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はじめに
1903年にライト兄弟が初の動力飛行に成功してから今日まで、数多くの技術者・研究者が新たな航空科学技術を切り拓き、航空輸送を進歩させてきた。その結果、現在では、東京−ニューヨーク間が約12時間で移動可能となり、世界全体の航空旅客が1日に580万人を超えるなど、航空輸送は現代社会に欠かせないインフラストラクチャとなっており、今後も世界的な航空輸送量の増加が予測されている。
引き続き我が国が、経済・産業等の面で発展していくためには、航空輸送システムの一層の強化が重要な課題となっている。このような観点から、我が国の科学技術に関する基本的な計画をまとめた「第3期科学技術基本計画」(平成18年3月 閣議決定)及び「分野別推進戦略」(平成18年3月 総合科学技術会議)においては、航空機の高速化、環境適合性等に対する社会の要請を踏まえ、静粛超音速研究機の研究開発が、今後5年間に集中投資すべき戦略重点科学技術として選定されている。さらに、この基本計画を受けた文部科学省の「航空科学技術に関する研究開発の推進方策について」(平成18年7月 科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会)においても、静粛超音速研究機の研究開発は、次世代超音速機技術の研究開発の一つとして掲げられ、世界的な優位技術の獲得を目指すとの方針が示されている。
上記の静粛超音速機技術に関する我が国の方針を踏まえ、科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 航空科学技術委員会の下に設置された静粛超音速機技術の研究開発推進作業部会は、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(以下、「JAXA(ジャクサ)」という。)が計画する静粛超音速機技術の研究開発(以下、「本研究開発」という。)を効率的かつ効果的に推進するための具体的方策に関する検討を行った。検討では、各委員の専門的な知見を活かした活発な議論が行われ、まず、根本に立ち返って次世代の超音速輸送機(以下、「SST」という。)の研究開発の意義について検討を行い、その後、国内外の動向、本研究開発の具体的な内容について検討を進めた。国内外の動向の把握においては、エアライン、シンクタンク、関係省庁等の有識者からヒアリングの協力が得られた。
本報告書は、平成18年10月から5回にわたって作業部会が検討した結果をとりまとめたものであり、本研究開発の推進は我が国にとって非常に大きな意義があるとの認識のもと、中心的な課題の選定、目標時期、実施体制など、研究開発を迅速かつ効果的に進めるための具体的な方策を提言するものである。本報告書が、世界に先駆けた静粛超音速機技術の獲得に貢献し、次世代SSTの実現、ひいては航空科学技術が社会の発展に一層重要な役割を果たすことにつながるよう、今後の文部科学省及びJAXA(ジャクサ)の取組みに期待する。
本文
本報告書の結論を簡潔に述べるならば、“次世代SSTに関する研究開発は、社会的、技術的な観点等から我が国にとって必要なものであって、諸外国等の動向に鑑みれば、可能な限り早期にソニックブーム低減等の世界的な優位技術を獲得すべきである”というものである。
以下、「研究開発の意義」「次世代SSTの実現可能性」「研究開発のあり方」について、その詳細を述べる。 |
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