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1.課題名: ものづくりトライアル・パーク

2.課題概要: 全国の製造業者がネットワーク上で情報技術を駆使した高度の仮想試作(シミュレーションによるトライアル)を行える環境を実現し、これにより、中小企業を含むわが国の製造業者が、短時間低コストで高付加価値製品の開発を行うための基盤を整備する。

3. 評価の検討状況
(1)課題設定の妥当性(必要性)
1 国の方針との適合性
  
我が国の製造業における国際競争力を強化するため、ものづくりのIT化による製品の高付加価値化、工程の短縮、低コスト化が求められている。本プロジェクトにおいては、情報科学を駆使し全国の製造業者がネットワーク上で高度の仮想試作が行える環境を整備することで、試作工程を大幅に簡素化しつつ高付加価値製品の生産を可能にし、我が国の製造業の競争力強化を図ることを目的としており、技術革新による競争力強化、情報通信技術による飛躍的な生産性向上を図るという国の方針に適合している。

2 リーディング・プロジェクトとしての妥当性
プロジェクトの基本的性格
  
本プロジェクトにおいて、情報技術を駆使し、ネットワーク上に仮想試作を行える環境を実現し、主として中小企業の製造業者が、容易に仮想試作を行える環境を構築することにより、製造技術の革新が図られるとともに、製造業の競争力強化による社会・経済の発展の原動力となることが期待されている。
研究開発成果の持つ経済活性化効果等(実用化された場合の社会・経済へのインパクトを含む)
  
自動車および電機業界等製造業において、試作工程をIT化することにより設備投資が大幅に軽減されるとともに、実機の試作工程の短縮による製品開発期間の短縮による高い経済活性化効果が期待される。また、高度な仮想試作による柔軟なものづくり環境からの革新的な新製品の創出が期待される。
研究開発成果の目標とスケジュール
  本プロジェクトにおいては、仮想試作を実現するために必要となる中核技術(ものづくりの物理現象のモデル化、仮想試作結果評価法の構築、数値シミュレーションソフトウェアの開発、ものづくりプロセス最適化ソフトウェアの開発、ものづくりの実証)の開発を行うとともに、高度な仮想試作サービス基盤システム及びサポート体制の構築を目標とし5年間の研究計画を立てて実施することとしており、プロジェクト全体としてのスケジュールは妥当である。
大学等と産業界の役割
  
公的試験研究機関、民間企業や大学等でシミュレーション基盤技術、ものづくり最適化技術等の研究を実施し、基盤技術の高度化を図るとともに、共通プラットフォームへの対応を図る。
  多くの機能解析プログラムが外国に起源をもつものであるとの現状を鑑み、産業競争力育成の観点から、我が国オリジナルのプログラムの創出に十分配慮が払われることが望まれる。
政府部内における既存制度における研究開発課題及び他の経済活性化プロジェクトとの関係
  
本プロジェクトにおいては、民間企業、研究機関、大学等でそれぞれ開発されているものづくりシミュレーション基盤技術を統合し、ネットワーク上で容易に利用できる環境を構築するものであり他の課題との重複しない。

(2) 手段の適正性(有効性・効率性等)
1 研究体制の妥当性
研究責任者(プロジェクトリーダー)の適否
  
本プロジェクトのプロジェクトリーダーは情報技術を活用したものづくりに関する知見を持ち、世界的な技術動向や産業動向に精通している。また、本開発において重要な技術であるシミュレーション技術の先駆者として、この分野のリーダー的存在であり研究責任者として妥当である。
研究体制及び研究運営方法の妥当性
  
理化学研究所が中核機関となり、各個別研究課題の調整、プロジェクト全体構想の立案及び指揮等(目標管理・資源配分等)を行うとともに、外部有識者、関係企業及び研究実施者からなるプロジェクト推進会議(仮称)を設置し運営方法等について検討することにより、産業界側のニーズを吸収する予定であり妥当である。

2 研究計画の有効性・効率性
費用対効果
  
本トライアルパークが実現すれば、幅広い産業分野において、ものづくりの基盤的ツールとなることが見込まれており、その実用化とその後の普及により、高い費用対効果が期待されている。
知的財産の取得・活用方針
  本プロジェクトで創出される知的財産については、積極的に特許化するとともに、仮想試作空間(トライアルパーク)のプラットフォームに関する特許及びソフトウェア等の著作権などの知的財産の保護を行うとともに、広くその使用の承諾・活用を図るとしており妥当である。

4. 評価結果
  本プロジェクトは、中小企業を含む国内の製造業における競争力強化のため、ものづくり仮想試作の環境を産学官の連携のもと、構築していくことが必要である。ただし、実施にあたり、本プロジェクトについては、相談員の育成等も含め運営体制について十分検討を行っていくことが重要である。

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