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1.課題名: 量子情報処理プロジェクト

2.課題概要: 量子デバイス技術の各種基礎的研究について、競争的環境下で並行して行い、必要となる技術的基盤を確立する。

3. 評価の検討状況
(1)課題設定の妥当性(必要性)
1 国の方針との適合性
  実現のあかつきには、莫大な経済効果が見込まれ、また、海外においても競争が激化している分野であり、我が国においても本分野のイニシアティブを取るべく国家として取り組む必要がある。
  なお、本プロジェクトは分野別推進戦略、平成15年度資源配分の方針及び研究開発推進方策において位置づけられており、国の方針と合致する。

2 リーディング・プロジェクトとしての妥当性
プロジェクトしての基本的性格
  本プロジェクトは長期的展望に立っているが、プロジェクト終了後までには量子コンピュータの実現に有望ないくつかの技術的基盤の抽出という一定の成果が期待されるとともに、量子コンピュータ以外についても多くの研究成果が期待され、リーディングプロジェクトとしての基本的性格に合致している。

研究開発成果の持つ経済活性化効果等(実用化された場合の社会・経済へのインパクトを含む)
  本プロジェクトについては、長期的な課題であるとともに、リスクも大きいものではあるが、実現のあかつきには、IT産業等へ革新をもたらし、莫大な経済波及効果が期待される。

研究開発成果の目標とスケジュール
  本プロジェクトは有望な技術の確立を目指すものであり、そのスケジュールは概ね妥当と考えられる。なお、公募のため、他のプロジェクトに比べれば不確定な要素が大きい。このため、目標の下に具体的な研究内容を提示するなど適切な措置を講じるとともに、適切な時期に評価・調整が必要である。

大学等と産業界の役割
  本プロジェクトは、競争的環境下で行われるため、それぞれの研究課題について産官学を問わずに、適切な機関が選定され、参画することが期待される。
  なお、産業界の若手を育成するという視点に留意するとともに、産業界とどのように連携していくのかについてイメージを持つことが必要である。

政府部内における既存制度における研究開発課題及び他
経済活性化プロジェクトとの関係
  これまでも競争的資金等で結果的に量子現象を活用したデバイスの研究開発は実施されているが、プロジェクトとして多岐にわたる量子情報処理のアプローチを総合的に包含したものは今回が初めてであり、これまで以上に戦略的な取組みが期待できる。

(2) 手段の適正性(有効性・効率性等)
1 研究体制の妥当性
研究責任者(プロジェクトリーダー)の適否
  本分野について国内で第一人者であるとともに、世界の屈指の研究者であり、プロジェクトの研究総括という立場からプロジェクトの全体計画の構築・課題の選定・評価等、全体を見わたすにふさわしい知見・学識を有していることから、最適であると考えられる。

研究体制及び研究運営方法の妥当性
  本分野については、その研究内容が基礎的な段階のものであること及び多方面からのアプローチ、包括的な取組みが必要であることから、研究総括のリーダーシップの下、競争的環境下で研究開発を進めることが妥当である
  なお、プロジェクト内での研究グループ間の連携が重要であり、その点に十分留意する必要がある。

2 研究計画の有効性・効率性
費用対効果
  長期的な課題ではあるが、実現のあかつきには、莫大な波及効果が見込まれるものであり、高い費用対効果が期待される。
  なお、各研究グループの研究費については、内容によりメリハリをつけることも考慮する必要がある。

知的財産の取得・活用方針
  本プロジェクトの推進により関連分野の特許群の取得が期待される。

4. 評価結果
  本プロジェクトについては、実用化された場合の社会・経済へのインパクトが非常に大きく、また、量子コンピュータのみならず、幅広い研究開発への波及効果が期待できる。さらに、複数のアプローチを競争的環境の下で包括的に進める点で優れた取組みと考えられる。その際、既存の競争的資金制度との関係について整理する必要がある。
  また、プロジェクト内での研究グループ間の連携が重要であり、その点に十分留意する必要がある。
  なお、若手研究者の育成も重要な観点であり評価できる。その意味では、若手研究者による挑戦的な研究についても、大胆かつ弾力的に実施する必要がある。

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