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1.課題名: ナノテクノロジーを活用した新しい原理のデバイス開発

2.課題概要:   2010年頃に訪れると予想されるシリコン電子デバイスの微細化の限界を打破するアプリケーションの一つとして、タンパク質の自己組織化を利用し、超小型、超省電力のデバイスを世界に先駆けて開発する。

3. 評価の検討状況
(1)課題設定の妥当性(必要性)
1 国の方針との適合性
  本プロジェクトは、我が国が世界に先駆けて開発した技術シーズを、実用化に向けて産学官の強力な連携の下に進めるものであり、政府主導で重点的・戦略的に推進すべきものである。
  また、本プロジェクトは分野別推進戦略、平成15年度資源配分の方針及び研究開発推進方策において位置づけられており、国の方針と合致する。

2 リーディング・プロジェクトとしての妥当性
プロジェクトしての基本的性格
  比較的短期間でも実用化が見込まれる成果があり、かつ、中長期的には新産業を創出するような成果が見込まれる。
  しかし、ドットに用いる金属については、一般的に熱に弱いなど、実用化にはいくつかの技術課題があることに留意すべきである。

研究開発成果の持つ経済活性化効果等(実用化された場合の社会・経済へのインパクトを含む)
  本プロジェクトの成果は、従来のデバイスとは全く異なる原理に基づく新たな手法を用いたデバイス作製技術であり、かつ、さらにその先の長期的展望である新原理のデバイスもあわせて、新産業の創出をはじめとして大きな波及効果が見込まれる。

研究開発成果の目標とスケジュール
  本プロジェクトの成果は実用化・製品化を目指すものであるが、そのスケジュールは概ね妥当と考えられる。
  しかし、開発しようとしているメモリ自体は新しいものではないことから、この手法を用いた開発の長期的展望を視野に入れてプロジェクトを進めることが必要である。

大学等と産業界の役割
  これまで、基礎段階の研究開発として企業と大学の共同研究が進められてきた技術シーズについて、本プロジェクトには、実用化までを一貫して実施するものであり、中心となる研究者の所属する企業(松下電器)が自ら製品化につなげるものであり、非常に緊密な適切な連携が図られるとともに、実用化への明確な展望が期待される。

政府部内における既存制度における研究開発課題及び他経済活性化プロジェクトとの関係
  該当なし

(2) 手段の適正性(有効性・効率性等)
1 研究体制の妥当性
研究責任者(プロジェクトリーダー)の適否
  本プロジェクトのシーズを世界に先駆けて提唱するなど、本分野における第一人者であり、責任者として妥当である。

研究体制及び研究運営方法の妥当性
  外部有識者を含むプロジェクト推進委員会による評価を受けながら適切に研究開発が進められると考えられる。また、実用化・製品化を目指した研究開発であるが、開発当初から企業が主体的に参画することにより、より効果的・効率的に研究開発が行われると期待される。

2 研究計画の有効性・効率性
費用対効果
  本プロジェクトの成果には大きな波及効果が見込まれるものであり、十分な費用対効果が期待される。

知的財産の取得・活用方針
  本プロジェクトの推進により関連分野の基本特許群の取得が期待される。

4. 評価結果
  本プロジェクトについては、タンパク質の自己組織化を利用してデバイスを開発するという手法が斬新的であり、非常に野心的な取組みであること等から、リーディングプロジェクトとして推進することは概ね妥当と考えられる。
  なお、デバイスを作るプロセスに新規性があり、かつ、そこに本プロジェクトを推進する意義があるということを、表題も含めて強調することが必要である。
  また、今回実用化が見込まれるメモリ自体は新しいものではないことから、この手法による研究開発の成果のイメージを広く持ち、長期的展望に立って進めることが必要である。

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