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1.課題名: ナショナル・リサーチグリッド・イニシアティブ(NAREGI)

2.課題概要: 世界水準の高速コンピューティング環境の実現を目指して、分散したコンピュータを高速ネットワークで結び、百テラフロップス級の計算処理能力を持つグリッド・コンピューティング環境を構築し、産学官連携の推進や、ナノテクノロジー、ライフサイエンス等他分野と情報通信分野との連携の下で行う融合領域研究を進展させる。

3. 評価の検討状況
(1)課題設定の妥当性(必要性)
1国の方針との適合性
  バイオ、ナノ等、最先端研究開発分野においては高性能計算機によるシミュレーションが不可欠であり、そのブレイクスルーには百テラフロップス級の計算性能が必要であるといわれている。百テラフロップス級の計算性能を実現するためには、グリッド・コンピューティング環境の構築による高性能化が効率的かつ効果的である。現在、欧米においてもグリッド・コンピューティング環境の構築が国家プロジェクトとして進められており、バイオ、ナノ等21世紀の国家戦略として重点的に推進すべき分野における国際競争力を確保する観点からも、早急かつ計画的に高性能のグリッド・コンピューティング環境を実現していくことが不可欠である。
  グリッド・コンピューティングに関する技術については、「平成15年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」における情報通信分野の重点領域の中で、高い計算能力を確保するコンピュータシステム等として、その必要性が指摘されている。また、「情報科学技術に関する研究開発の推進方策」においても、高速グリッドコンピューティング環境の構築が、当面の推進方策として明記されている。
  本課題は、百テラフロップス級の計算処理能力を持つグリッド・コンピューティング環境の構築を目指したものであり、国の方針と適合する。

2リーディング・プロジェクトとしての妥当性
プロジェクトの基本的性格
全国の産学官の研究機関から利用可能なグリッド・コンピューティング環境が構築され、バイオ、ナノ等の最先端研究開発に利用されるもので、比較的短期間で実用化が期待される。
研究開発成果の持つ経済活性化効果等(実用化された場合の社会・経済へのインパクトを含む)
糖尿病や癌に効果のある新薬の実現等、バイオ、ナノ等の最先端研究開発に利用されることにより約4兆円の経済波及効果が見込めるとしている。また、IT産業の国際競争力の維持・向上、約800億円の市場増大が期待され、社会・経済への波及効果は大きい。
研究開発成果の目標とスケジュール
研究開発成果の目標は、プロトタイプの開発、及び、中核技術の開発であり、スケジュールは、開発・試験運用・検証を経て5年後の実用化を目指すものである。目標、スケジュールともに適切であると考える。
大学等と産業界の役割
グリッド技術に関する研究開発を実施している大学・研究所や企業の研究者、および、バイオ、ナノの最先端研究を実施している研究者がプロジェクトリーダーのもとで集中研究を行う体制となっており、大学等が持つ技術シーズが有効に活用される。また、5年間総額の国の負担額300億円に対して83億円の参加民間企業による貢献が明確に示されており、かつ、参加企業による成果の製品化が計画されており、産業界からのコミットメントは妥当と考える。
政府部内における既存制度における研究開発課題及び他経済活性化プロジェクトとの関係
経済産業省の「ビジネス・グリッド・コンピューティング」(経済活性化プロジェクト)で開発されるセキュリティ技術等の高信頼性・安全性技術を活用する等、相互の連携が計画されている。研究開発内容の役割分担について

(2)手段の適正性(有効性・効率性等)
1研究体制の妥当性
研究責任者(プロジェクトリーダー)の適否
国内外のグリッド・コンピューティングに関する調査・研究に数多く携わり、企業内でのサイエンス系グリッド推進のとりまとめを行う等、研究能力、リーダーシップについて高く評価できる。また、大学客員教授も兼任しており、産業界と大学の両方の観点からの判断が出来ることも評価でき、研究責任者として適任と考える。また、本課題に50%従事することを予定しており、エフォートについても適切と考える。
研究体制及び研究運営方法の妥当性
プロジェクト構想(実施内容、実施体制等)の決定、予算配分の決定等、本プロジェクトに関する決定権を有するプロジェクトリーダーのもとで、大学等のシーズを活用した産学官連携による集中研究の体制が構築されており、研究体制および研究運営方法は妥当と考える。
2研究計画の有効性・効率性
費用対効果経済活性化効果欄にも記載した通り、十分な費用対効果があるものと考える。○知的財産の取得・活用方針成果については、標準化を目指し、オープンソフトとして広く公開を予定している。また、成果を活用して、参加企業による製品化が計画されており、成果の活用方針は適切と考える。

4. 評価結果
  課題設定の妥当性(必要性)より早期に実施すべきと課題と判断する。また、上記の通り、手段の適正性(有効性・効率性等)についても、現段階での計画として十分検討されているものと判断する。

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