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4.安全・安心科学技術総合コーディネート機能の構築

(1)安全・安心な社会の構築に資する成果創出を目指したニーズとシーズのマッチング機能

 安全・安心な社会の構築に向けては、既存の技術の活用に加えて、科学技術の先進国たる我が国の有するポテンシャルを、より積極的かつ有効に活用し、被害をさらに抑えることや、より人にやさしい形での安全・安心の実現を目指すことなどが求められる。しかしながら、現状では、公的機関等の各事態の対応機関においては、抱える技術的課題の解決に対して可能性を有する科学技術シーズに関する的確な情報を入手するのは大変困難な状況にあり、我が国の科学技術ポテンシャルが有効に現場に活用されていない現状にある。一方、研究開発の現場においては、次々と生み出される科学技術シーズを安全・安心な社会の実現のために用いる具体的な方法についての見通しが乏しい状況にある。このため、危機事態への対応機関のニーズと科学技術シーズを情報及び人材の両面から繋ぎ、効果的な研究開発を実現する仕組みの構築が早期に求められる。
 特に、対応技術・機器等の開発にあたり、研究開発の企画段階から、危機対応機関・対応者のニーズや危機対応時の状況を十分に勘案した取組が必須となる。このための具体的なマッチングやコーディネート機能の構築が必要である。
 具体的には、例えば、新たに求められる危機予知や検知の技術や機器等の長期使用によって生じる故障、損傷、経年劣化等の情報を含めた現場で抱える問題点及び現場対応に有効な技術シーズを把握し、これらのニーズとシーズを繋ぐ仕組みの構築を行うことが求められる。ニーズやシーズの把握に関しては、下記(2)に示す安全・安心関連の情報収集・発信機能を構築することが必要である。その中で、産官学にわたる関係機関、関係者を取りまとめることのできるコーディネーターを整備し、研究開発の立ち上げにつなげてゆくことが有効である。

(2)危機事態への迅速・的確な対処の実現のために求められる科学技術的知見の提供機能

 平時においては、危機事態の発生による人命の保護、被害の最小化に資するべく、各事態の発生や潜在的なリスク等の国内外のリスク動向に関する情報を把握するとともに、それらに対する社会の脆弱性についての分析を行い、結果を提供するなど、国内外のリスクの動向に関する情報収集・分析・発信することが求められる。
 また、危機事態への対応機関における、科学技術の成果を積極的に取り入れた継続的な対応技術の改良・開発にあたって有効な技術シーズ情報を幅広く収集・分析し、提供する機能の充実が求められる。

 上記、平時における情報収集・発信への取組の成果を活用することにより、危機事態の発生時における情報の発信機能についても大きな期待ができる。テロ・犯罪・感染症等、安全・安心を脅かす要因は数限りなく存在する。このため、何らかの危機事態が生じた際に、その要因を一刻も早く特定し、最適な科学的対処法を決定することは、被害の最少化にとって最も重要なポイントであることから、必要な者に対し、的確なタイミングで、適切な情報を提供することが求められる。社会一般にとって未知なる事態と現場における対応者にとっての未知なる事態は異なることから、同一の事態であっても、受け手が必要とする情報を適切に提供できる機能が必要である。さらに、発生する危機事態の特質に応じた情報提供の機能も重要である。例えば、重要情報基盤は脆弱性の判明が極めて短時間に発生する。こうした実態の発生やその影響の拡大のスピードの特質などにも対応した情報提供の機能が必要である。

 こうした点を踏まえ、具体的な取組方策としては、次の機能の構築が必要である。

1 安全・安心関連対応機関と科学技術シーズを有する関連研究者等との情報及び人のネットワークの構築

 広範な科学技術研究開発から生み出される様々な知見のうち、危機事態への対応を行う関係機関・関係者にとって有用な情報を収集、分析し、提供するとともに、必要に応じて双方の関係者の意見交換の機会を提供し、人的ネットワークを構築しておくことが必要である。有効に機能する人的ネットワークを構築するためには、個々の活動の目標と取組課題を明確化することが重要である。
 具体的には、個別の危機事態や課題に関し、危機事態対応機関、関連科学技術の研究開発機関、関連機器開発機関等の関係者が問題意識を共有し、情報交換や意見交換を行うことが求められる。この際、それぞれの人的ネットワーク内での情報の取り扱い方については、メンバー間で取り決めていくことが必要である。

2 安全・安心関連の情報収集・発信機能

 危機事態発生時に必要な関連科学技術情報や、有識者情報を対応機関に迅速に提供するための情報収集と信頼性の高い情報の発信機能の整備が求められる。その際、情報の受け手からの更なる情報提供の要請等に応えることができる機能も必要である。また、情報の取り扱いについては、国民の知る権利や理解、協力、適切な行動のために、幅広い情報提供を基本とする。一方、危機事態によっては、国民の知る権利と社会・経済の安全確保とのバランスを考慮した取扱いも必要である。
 危機事態への対応策として収集・発信が求められる具体的な情報としては、
○ 危機事態毎の国内外のリスクの現状
○ 過去の危機事態に関する事例情報
○ 個別の危機事態に関連する科学技術の専門家に関する情報
○ 個々の化学剤、生物剤等の特性、中和方法、初期治療方法などをはじめとした個別の危機事態に関連する科学技術情報
○ 危機事態の対応機関において解決、開発が求められている装置や対策技術などをはじめとした科学技術面での課題
○ 危機事態及びそれらから生ずる社会の被害等に関する人文・社会科学的考察結果等が求められる。
 併せて、国民の安全・安心への意識向上に資するためにも、ホームページやメールマガジン等を活用した積極的な情報発信も重要である。

(3)政策立案・推進に資するシンクタンク機能

 安全・安心な社会の構築に資する取組については、国毎に緊急時の対応省庁や研究開発省庁の関与の状況や関心のあり方が異なること、公的機関のみならず、民間機関の貢献も多大なことから、単なる情報の蓄積では政策の立案・実行のためには有効ではない。従って、関係機関のニーズを包括的に理解したシンクタンク機能の構築が求められる。
具体的には、以下のような調査分析機能が求められる。
○ 国内外のリスク動向の調査・分析
○ 国内外における各危機事態への対応に資する研究シーズの情報収集
○ 国民及び専門家が求める安全安心な社会の構築に向けたニーズ把握
○ 海外における安全・安心関連の政策動向の調査・分析
○ 海外における安全・安心関連の研究開発プロジェクトに関する調査・分析
○ 国として重点的に投資すべき研究開発課題の戦略立案のための調査・分析
○ 社会の脆弱性の把握と対処方策に関する調査・分析
○ 政策提言機能

 上記(1)~(3)の安全・安心な社会の実現に向けた総合的なコーディネート機能の実現にあたっては、危機事態に対応する機関におけるニーズ情報等の取り扱いに関し十分な配慮が求められるとともに、ニーズが個別的であり特殊性を有することが多いため、コーディネート機能を担う機関にも特定の分野における科学技術に関する知見の蓄積が求められることから、公的機関や大学の役割が期待される。

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科学技術・学術政策局計画官付

(科学技術・学術政策局計画官付)

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