資料3-9 「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」改定に向けての基本的方向性(案)
研究開発評価部会事務局にて作成
指針改定に当たっての時代認識・課題等
1.科学技術イノベーション創出、課題解決のためのシステム化の推進
- 知の創造の段階にとどまることなく、社会ニーズに対応した成果の実用化を含む社会実装に至る全段階を通じた取組を評価へ反映
- 論文発表数、論文引用度は客観的な評価指標だが、論文関係の数値だけに頼り安易に目的化することがないように留意
- 研究開発活動のパフォーマンスの費用対効果を的確に評価するとともに、必要な改善措置等を講ずる(論文の質的及び新規性に関する新たな評価指標についても導入することを検討)
- 研究開発基盤強化の観点から、ベンチャー企業のような、実績は少ないが技術力や実用化へ向けての熱意がある研究開発組織・機関と連携・協力して推進する研究開発を積極的に評価
2.ハイリスク研究、学際・融合領域・分野間連携研究等の推進
- 研究開発目標の達成には高いリスクがあるが、成果が出た場合には社会的・経済的・学術的に非常に大きなインパクトを与える可能性が高いハイリスク研究や、学際・融合領域・分野間連携研究が積極的に評価されるよう、事前評価や事後評価の方法・評価基準、マネジメントの仕組みを、施策やプログラム・制度の目的を踏まえて導入(プロジェクトのリーダー等に裁量の権限と責任が委ねられることが許容される仕組み、評価の枠組みも重要)
- ハイリスク研究の事前評価においては、研究開発成果が技術的課題その他に大きなインパクトをもたらす可能性があるものであるか、その研究開発を実現するマネジメント能力を有しているか等について適切に評価
- ハイリスク研究の研究開発実施段階においては、適時、研究開発の進捗、諸情勢の変化等を踏まえて評価を行い、研究開発の中止も含め、適切な形で目標・計画を見直すとともに、事後評価においては、挑戦的な研究開発課題(プロジェクト)が当初の目標達成に失敗しても、予期せざる波及効果に大きい意味がある場合等には、次につながる有意義なものとして評定することを許容するような評価基準を設定
- 学際・融合領域・分野間連携研究については、既存の新しい研究領域の開拓を目標とする施策やプログラム・制度以外の審査においても不利にならないよう扱い方を明記するなど、研究の芽を適切に拾い上げるとともに、研究の進展に応じて、評価の基準、方法等を適切に見直す
3.次代を担う若手研究者の育成・支援の推進
- 若手研究者が励まされ、創造性を発揮しやすくなるような評価の実施
- ポストドクターや博士課程学生に提供されている処遇や研究環境、若手研究者が自立した研究者へ育ち、多様なキャリアへ進むことを支援するような活動等を積極的に評価
4.評価の形式化・形骸化、評価負担増大の改善
- 評価を導入・システム化してきた結果として、逆に責任・権限関係が不明確化する事態も生じており、意思決定の主体が適切な判断等を行うために評価が活用されるべきとの観点から、評価の在り方を再構築する必要性
- 評価に関する専門的能力を有する人材の育成、評価の設計を担当できる人材の育成、評価に関わる人材の能力アップを図り、キャリア展開を推進
- PD(PO)への責任・権限の付与、明確化、強化及び評価システムの合理化、柔軟化
5.研究開発プログラム評価
- 政策的に推進すべき具体的な科学技術イノベーション創出へ向けてのゴール(目的)を明確に設定出来る場合等については、今回初めて本格的に導入される「研究開発プログラム」レベルで時間軸を設定し達成度目標を基にした評価が、研究開発施策の評価に際して効果的に機能していくことが期待される
- 研究開発プログラム評価の導入にあたっては、既存の評価体系(政策評価、大学評価、独法評価、競争的資金制度の取組等)と整合性をとりながら、合理的かつ実効的な形で試行的、段階的に進める
- 基礎研究、学術研究等については、画一的・短期的な観点から性急に成果を期待するような評価に陥ることのないよう留意することが必要であり、研究開発プログラム評価においても、その特性を十分考慮する