資料4-2 基本論点(分野別委員会からの意見をそのまま記載)

視点1 東日本大震災についての科学技術・学術の観点からの検証

1 社会の要請を十分に認識する必要性

  • 一般社会と専門科学者集団の対話が不足しているため、研究者等が社会からの要請を十分に認識していないのではないか。研究者等は学術の深化と科学技術の進展に努めるにとどまらず、多様な手段により自ら積極的に社会から学び、社会リテラシーを向上させることが必要ではないか。
  • また、国民の負託を受け公的資金を得て研究を行う者は、その意味を十分に認識するとともに、機会を捉えて社会に対し自らの研究の意義を説明する責任を負う。
  • 我が国の将来を支え、社会が要請する多様な人材の育成が必要。

視点1 1

  • 科学技術の推進に当たって社会との関係のあり方を検討することが重要であり、個人、機関、集団間で研究分野を超えた情報及び意見の相互交換・合意形成を図るとともに、自然科学のみならず、人文科学や社会科学の視点も取り入れつつ、社会システム・制度改革を一体的に推進することが重要である。(環エネ)
  • 様々な社会的課題に対する技術開発の必要性が大きなモチベーションになって(of-IT(情報科学技術の高度化)の)技術開発が推進され、大きな成果やイノベーション創出に繋がるという点をしっかりと認識したうえで研究開発投資を進めていく必要がある。<推進方策P4>(情報)
  • 社会への発信・対話については、各研究分野や各研究者、コミュニティの代表または拠点となりうる学協会や大学、大学共同利用機関、独立行政法人等が一定の役割を担うと考えられる。<推進方策P17>(情報)
  • ナノテクノロジー・科学技術に対する、社会からの期待を踏まえ、問題解決を起点として、研究開発課題を戦略的に重点化する。(ナノ)
  • ハザード評価などの科学技術的成果の普及に関して,市民の防災リテラシが向上するような方法で取り組む必要がある。(防災)

 

2 地震・防災に関する従来の取組方針の検証

  • 今般の大地震発生の可能性を追究できなかった理由について十分な検証を行うことが必要。常に研究体制の見直しが求められる中で、これまでの取組について不十分なところはどこか(焼け太りと言われないこと)。地震、防災にかかわる直接の専門家のみならず人文・社会科学分野も含め、総合的、学際的取組の強化が必要ではないか。
  • 国民の生命や財産を守るために真に何が必要かを追求。一般社会の声を十分に取り入れる。

視点1 2

  • 地球環境問題の解決のためには、単に各現象を解決する技術の確立のみならず、社会構造、都市構造、水利権や土地利用および経済活動を包含する、より大きな社会・経済的な観点からの取り組みが必要である。(環エネ)
  • 地震・津波等の大規模自然災害に関する防災・減災を巡る問題点は多岐にわたるが、例えば地震・津波等の被害予測等の限界、社会のパイプラインとなるインフラやシステムの機能不全、防災オペレーションに欠かせない関連情報の集約についての混乱、さらには風評被害等の問題点が指摘される。東日本大震災においては、こうした問題点が顕著に見られた。情報科学技術においても災害等に強いITシステムの構築、地震・津波等の被害軽減のための高度なシミュレーション、IT統合システムの防災オペレーションへの応用、風評被害等を避けるためのリアルタイムメディア解析技術の構築などにより、課題達成に貢献することが期待される。<推進方策P8>(情報)
  • 東日本大震災によって被災地域の情報通信インフラが瓦解したため社会の重要なライフラインであるITシステムが複合的な機能不全に陥った。重要な情報の消失等の問題も起こった。このような災害に対する脆弱性を改善するために、ダメージを回避して、システムとして最低限の機能を維持し、自己調整・自己修復等のできる情報システムが必要となる。そのためには、個人の認識に係るシステムの平時と非常時の使い分け、例えば平時には重視されるプライバシーについて、非常時には特別措置を可能にすることなどが求められる。<推進方策P9>(情報)
  • 今回の震災では広域な範囲に被害が及び、災害発生直後の広範囲に及ぶモノや人の動き、インフラの状況を十分に集約・整理できなかったり、必要な情報が異なる機関の間で共有されず、統合できないといった問題が見られた。その結果、防災オペレーションの混乱や、被災者の間での混乱を招いたことが指摘されている。災害時および災害後の広範囲かつ多岐にわたるリアルタイム情報を集約整理、統合化し、状況の変化を最適な避難活動・救援活動・防災活動及び被災者の最適行動の判断材料にフィードバックできるようなIT統合システムが必要である。さらにこうしたシステムを支える情報統合基盤技術の高度化が必要である。<推進方策P9>(情報)
  • 近年、ITを使いこなせる人と使いこなせない人との間の情報デバイドが問題となっている。さらに、今回の東日本震災時の人々の行動でも明らかにされつつあるように、緊急時のパニックに陥りがちな心理状態でも冷静に扱えるITシステムや、社会体制や組織構造の事情を踏まえた上での複数人での緊急情報共有を支援する機構、さらに、操作や判断の誤りを誘因しないようなインタフェースは、喫緊の課題である。利用者の探索行動や視線情報、表情や振る舞いからの意図推定技術や、情報要求を推測する情報インターフェイス技術に加えて、それらの技術を利用者の認知的状態や社会心理的状態を考慮して組み合わせデザインする技法を確立し、人とコンテンツとの対話を促すインタラクションのデザインとそれを支える技術とを確立することは、ITを、平時においてもまた緊急時においても真に国民生活を支える基盤として活用するための課題達成に必須の事項である。<推進方策P9>(情報)
  • 東日本大震災においては携帯電話が不通となる中で、避難場所の周知等ITメディアが大きな役割を担った。一方で誤報も見られた。災害時におけるリアルタイムITメディアの活用ならびにメディアの伝搬解析技術の確立は急務と言える。今後、風評被害等を避け、国民に情報を適切に発信できるような仕組みの構築が課題となってくるが、その際にもこうした解析技術による分析が必要不可欠となる。<推進方策P10>(情報)
  • 震災からの復興、再生及び安全性の向上等の諸課題に対して、ナノテクノロジー・材料科学技術が果たし得る役割は重要。(ナノ)
  • 原子力に関する国民的信頼・理解を再構築することが重要であり、原子力の潜在的な可能性とリスクをゼロベースで見直しながら、国民の安全の確保を大前提に取り組む必要があるのではないか。(原子力)
  • 科学的な地震観測を始めて以降、日本海溝は陸域から遠いこともあり海溝沿いの地震活動について十分に捉えられていなかったため、東北地方太平洋沖地震のような巨大海溝型地震に関する基礎研究を強化することが必要。(防災)
  • 発災直後の対策はしてきているが,災害発生から回復までの時間はほとんど考慮されてきていない。今後は、災害後生活を速やかに回復するために総合、学際的に社会のレジリエンスを考慮した復興対策が重要。(防災)

 

3 日本の科学技術のシステム化の必要性

  • 日本の科学技術は、要素技術の開発に偏りがちで、社会における実際の運用までを考慮したシステム化が行われない傾向があり、この結果、科学技術の成果が課題解決、社会実装に結びつかない場合があるのではないか。例)ロボットショック

視点1 3

  • 自然科学分野の異分野融合が不可欠なだけでなく、実用化・製品化まで見据えるならば、社会科学の知見も活用し、学際的な体制で新たな産業やビジネスの在り方といった将来展望、出口戦略まで視野に入れることが望まれる。(環エネ)
  • 社会の様々な課題の達成に貢献するため情報科学技術の技術革新を推進するにあたって研究開発の推進のみならず、実証実験、社会への実装を通じて単に要素技術だけでなくシステムそのものを改善する仕組みが重要であり、人材の育成や産業界との連携を強化する視点も必要となる。<推進方策P16>(情報)
  • 研究成果の実用化への受け渡しや実用化された後のユーザニーズへの適合を可能にする仕組みが必要である。研究内容の企画や具体の研究実施段階において、必要に応じ実用化にあたる企業等の関係者の意見が聞けるよう、協議会やワークショップ等の場を設定し、実用化につながる研究成果を生み出すための技術的なポイント等について情報を共有することが大切である。プロジェクト実施主体に応用分野の研究機関や実用化を担う企業が参画することも有効である。以上のような研究成果の実用化を支援する仕組みを国が研究資金を投じる研究開発プロジェクトにおいて、課題採択の条件とすることも考えられる。<推進方策P16、17>(情報)
  • 社会への発信・対話については、各研究分野や各研究者、コミュニティの代表または拠点となりうる学協会や大学、大学共同利用機関、独立行政法人等が一定の役割を担うことも考えられる。<推進方策P17>(情報)
  • ナノテクノロジー・材料科学技術に対する、社会からの期待を踏まえ、課題解決を起点として、研究開発を戦略的に重点化する必要。(ナノ)
  • 課題解決のため、学術会議に関連した30の学協会等の集まった学際的な連携体を通じた分野間連携を推進する必要がある。(防災)

 

○視点2 課題解決のための学際研究や分野間連携

1 課題解決のための政策誘導

  • 課題解決のために、学術の世界においても、学際研究や分野間連携を進めるための政策誘導的なメカニズムの構築が必要ではないか。

視点2 1

  • 自然科学と経済社会システム変革の相互関係、環境・エネルギー技術の社会的受容性及びその実効性、その導入に関しての利害調整、リスクコミュニケーション及びそれを踏まえた国民的合意形成、科学技術面からの外交政策など、人文・社会科学領域との連携・融合が図られる必要がある。(環エネ)
  • 実社会から広汎かつ刻々と変化する情報を集約し、コンピューティング技術等により最適な解や方向性を導き出し、さらにそれを現実の社会にフィードバックし、課題達成に結びつけることのできる『課題達成型IT統合システム』の構築が必要とされる。国として達成すべき課題を明確にしたうえで、これらの課題達成に有効であり、かつ様々な分野に応用可能なIT統合システムを構築し、普及を促進する観点から、最先端のセンサーネットワーク、モバイル系IT、コンピューティング技術、制御技術、アプリケーション・ソフトウェア等を統合した情報統合基盤技術の高度化を進める必要がある。その上で最終的には、こうしたITの運用から政策や経営といった社会的意思決定につないでいく必要がある。<推進方策P13>(情報)
  • 安全やリスクについての国民との接点のあり方や、社会の意志決定のあり方などに関する社会科学的な分野の強化が必要。(原子力)
  • 重要課題の達成に向け、基礎から応用、開発の各段階で緊密に連携した「循環研究」を総合的かつ計画的に推進。(ナノ)
  • 防災分野の研究開発成果は、一般市民がその重要なユーザであることも多く、独立行政法人、大学等の研究機関は、企業等に研究成果を移転するとともに一般向けに積極的に広報・普及。(防災)
  • 例えば避難という具体的な課題を設定して,本当に被害を減らすためには,今ある科学技術をどのように組み合わせていけばよいかというような学際的な方策の考え方を示す必要がある。(防災)

 

2 学際研究や分野間連携を支える人材育成

  • 学生や若手研究者が、社会の多様な視点や発想を有するようにするための取組が必要ではないか。

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  • 関係する分野が多い環境・エネルギー分野においては特に、研究者の学際的な連携を促進し、特に国際的に開かれた人材育成環境を構築し、国際的な人材交流を活性化することにより、社会の多様な要請に応え、広く産学官・市民にわたりグローバルかつ分野横断的に活躍するリーダーを育成することが必要である。(環エネ)
  • 今日、学問分野は高度に専門化が進み、分野が異なると同種のデータや情報であっても表現形式が異なるほか、利用したいツールもインターフェイスや入出力データ形式が異なるために利用できないという事態が起こっている。さらには、異なる分野のリソースに関してはどのようなものが存在するかもよくわからない状況である。このような状況が、学問分野では学際的研究分野の創成の障害となり、地球規模の問題といった複雑な対象を扱う場合には、関連する分野のリソースを有機的に結び付けて高度に連携した情報処理を行うなどの総合的分析を困難にしている。新フロンティア開拓を目指すような新しい学際領域の創成においては、異分野のリソース間の関係付けや連携そのものが試行錯誤的に模索されることとなり、動的に定義可能な柔軟な関連付けや連携定義を行うための知識フェデレーションの基盤が必要となりつつある。様々な分野における情報が集積され、ITによる様々な分野の活動の増幅の事例が蓄積されていく中で、ITと他分野が融合した新しい学問領域が創出され、分野間の人材交流により新しい問題の発見・イノベーション創成の機会が増大し、政策立案や経営の意志決定に反映させることを期待したい。<推進方策P13>(情報)
  • 過去に「情報爆発」をテーマにして科研費特定領域で行ったように、若手のポテンシャルを有する研究者の幅広い方面からの積極的な参画を促し、アクティビティーの高い研究活動と優れた研究成果を生み出すような人材育成機能も併せ持つ研究プロジェクトは極めて有意義と評価できる。こうした点も含めた研究体制のあり方についても、今後前向きな議論を行う必要があることを付言したい。<推進方策P17>(情報)
  • 先端研究整備のネットワークや国際的に開かれた研究開発拠点の活動に、若手研究者や学生を積極的に組み込み、計画的に人材育成を行う。(ナノ)
  • 防災に関する情報発信と分野横断的な研究の必要性を鑑み、学術会議に関連した30の学協会等の集まった学際的な連携体を通して学際的研究や分野間連携を支える人材を育成することが必要。(防災)

 

○視点3 研究開発の成果の適切かつ効果的な活用

1 社会的ニーズの把握と研究課題への反映

  • 研究課題を設定する段階で、ユーザー、応用分野の研究者、人文・社会学者等との広範かつ積極的連携などにより、社会的ニーズを掘り起こし、それを適切に課題に反映する取組を強化することが必要ではないか。

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  • 研究成果が政策に適切に反映されるよう、政策側は科学技術に何を求めているかを明確化すること(意思決定に必要な知見や政策形成に重要な研究課題の提示等)、また、研究機関側も政策の判断を助ける客観的な科学的知見や方法論を積極的に提供することが不可欠である。そのためにも、政策及び社会的ニーズを研究活動に反映させるとともに、研究者の知見や研究成果を政策に的確にフィードバックさせるための相互情報交換システムとなる場の形成と活用を進める必要がある。(環エネ)
  • 情報科学技術が様々な課題の達成に貢献するためには、プロジェクト企画段階から、解決すべき具体的な課題を的確に捉えた上で研究開発目標を設定し、課題達成にふさわしい研究内容・体制を構築することが必要である。その上で、研究成果が適切かつ効果的に実用化され円滑に社会還元されることが必要である。(情報)
  • このため、目標設定の段階から応用分野の研究者や人文・社会学者との連携の場を設け、あらかじめ課題と関係するセクターにおける問題意識、課題を巡る状況、情報科学技術への具体的期待、さらには研究成果に期待される社会的意義や社会的効果、考えられる社会的影響やマイナス面、研究成果を実用化するにあたっての社会制度・システム面での課題等について十分把握し、課題達成としての妥当性を議論し、共通理解を得ることが必要である。<推進方策P17>(情報)
  • 目標達成に向けて取り組むべき課題は、多様な技術分野にまたがることが多いため、限られた課題亜領域で活動を進めるのではなく、課題解決を起点とした研究開発課題の戦略的重点化を分野融合の好機と捉え、それを実現する体制づくりや共通基盤技術の他の領域への水平展開を積極的に行うべきである。(ナノ)
  • 複数の都道府県が同時被災するような広域災害に対する防災体制の再構築とともに学際的な連携による社会レジリエンスの考慮。(防災)

 

○視点4 社会への発信と対話

1 科学的助言の在り方

  • 科学技術に関する専門的助言と政府の意志決定の関係の明確化が必要ではないか。広く科学者の意見を求めることが重要である。科学者の見解が分かれる場合には、複数の政策オプションに集約、提示し、それらを踏まえ政策を決定するというプロセスを確立すべきではないか。

視点4 1

  • 研究開発によって新たに生み出された科学的知見が、必ずしも有用な技術にばかり結びつくものではなく、安全や健康、環境への影響など一定のリスクをもたらす可能性についても配慮が必要である。環境・エネルギー領域の科学技術を推進するに当たっては、その成果の有用性を強調するだけでなく、その安全性や不確実性についても常に注意を払い、リスクについても積極的に社会に提供することが求められる。(環エネ)
  • 実社会から広汎かつ刻々と変化する情報を集約し、コンピューティング技術等により最適な解や方向性を導き出し、さらにそれを現実の社会にフィードバックし、課題達成に結びつけることのできる『課題達成型IT統合システム』の構築が必要とされる。国として達成すべき課題を明確にしたうえで、これらの課題達成に有効であり、かつ様々な分野に応用可能なIT統合システムを構築し、普及を促進する観点から、最先端のセンサーネットワーク、モバイル系IT、コンピューティング技術、制御技術、アプリケーション・ソフトウェア等を統合した情報統合基盤技術の高度化を進める必要がある。その上で最終的には、こうしたITの運用から政策や経営といった社会的意思決定につないでいく必要がある。<推進方策P13>(情報)
  • 研究開発成果を将来の事業化へ結び付けるためには、例えば、ナノテクノロジーの環境・健康・安全面(EHS:Environment, Health and Safety)の課題や、倫理的・法的・社会的問題(ELSI:Ethical, Legal and Social Issues)についても一定割合の資源を投入して取り組むことが必要。(ナノ)
  • リバードクタや防災ドクタの制度では,それぞれの専門をもつ複数の専門職員を配置し,行政職員の選択権も広く確保する方が効率的である。(防災)

 

2 リスクコミュニケーションの在り方

  • 科学技術の限界や不確実性に関する認識を踏まえ、政府は、科学技術のリスクに関して社会とどのように対話すべきか。すぐに「地震予知」ができるとか、「ゼロリスク」が可能と誤解させたりしないことが重要。
  • また、科学技術への信頼を得るため、どのように取り組むべきか。社会との双方向のコミュニケーションを強化し、科学技術の社会的得失(リスクとベネフィット)の均衡を適切に判断しなければならない。国民のリスクリテラシーと研究者等の社会リテラシーの双方を向上することが必要ではないか。

視点4 2

  • 自然科学と経済社会システム変革の相互関係、環境・エネルギー技術の社会的受容性及びその実効性、その導入に関しての利害調整、リスクコミュニケーション及びそれを踏まえた国民的合意形成、科学技術面からの外交政策など、人文・社会科学領域との連携・融合が図られる必要がある。(環エネ)
  • 社会とのコミュニケーションのインターフェースとなる専門家を育成することも必要ではないか。(原子力)
  • 近年、ITを使いこなせる人と使いこなせない人との間の情報デバイドが問題となっている。さらに、今回の東日本震災時の人々の行動でも明らかにされつつあるように、緊急時のパニックに陥りがちな心理状態でも冷静に扱えるITシステムや、社会体制や組織構造の事情を踏まえた上での複数人での緊急情報共有を支援する機構、さらに操作や判断の誤りを誘因しないようなインタフェースは、喫緊の課題である。利用者の探索行動や視線情報、表情や振る舞いからの意図推定技術や、情報要求を推測する情報インターフェイス技術に加えて、それらの技術を利用者の認知的状態や社会心理的状態を考慮して組み合わせデザインする技法を確立し、人とコンテンツとの対話を促すインタラクションのデザインとそれを支える技術とを確立することは、ITを、平時においてもまた緊急時においても真に国民生活を支える基盤として活用するための課題達成に必須の事項である。<推進方策P10>(情報)
  • 新規物質の有用性を強調するだけでなく、その安全性・不確実性についても常に注意を払い、得られるリスク評価の結果を積極的に社会に提供。(ナノ)
  • 東日本大震災のような予想を大幅に上回る災害に対して建物や施設に被害が発生するリスクを社会が受容しなければならないことを踏まえ、地域の特性に応じたリスクをどのような考えのもとに受容して行くかの合意形成。(防災)
  • ハザード評価などの科学技術的成果は,わかりやすく一般市民に説明する必要があり、そうすることで国民の社会リテラシの向上が期待できる。(防災)

 

○視点5 復興、再生及び安全性への貢献

1 安全社会の実現や防災力向上のための研究開発の在り方

  • 安全・安心を念頭に置いた研究開発や、災害に強い社会基盤を構築するための研究開発として、どのような取組を行うべきか。

視点5 1

  • 気候変動や東日本大震災で再認識された自然の脅威に対応するために、地域の特性に応じた自然と共生するまちづくりを進めることが必要となる。(環エネ)
  • 災害発生時の災害救援機等における情報共有ネットワークを確保することの重要性を鑑み、防災機関と協調して研究開発を進める必要がある。(航空)
  • 今日、あらゆる社会の課題達成のためにその役割が期待されているITシステムには、システムとしてのディペンダビリティが最も必要とされる。大規模な自然災害発生時など過酷な条件下においてもITシステムが社会のライフラインとして機能し、危機的状況下でも課題達成のためのシステムとしての役割を維持することは、国民の生命や安全安心にとって大変重要である。災害等に強いディペンダビリティの向上が必要不可欠となる。そのために、最低限の機能を維持するためのエネルギー供給系との統合、応急的な復旧、保守の容易さなどの機能を強化して、社会の神経系としての自律性を確保することも必要となる。<推進方策P4>(情報)
  • 除染や廃炉等事故への対処のほか、事故の教訓を踏まえた原子力施設の安全性向上や放射性廃棄物の処理・処分等の課題に対する国民的な関心や社会的要請、新たな知見・技術の確立への期待・必要性が高まっている中、如何にして、これらの分野に優秀な人材を惹きつけ、また基礎・基盤的研究開発や人材育成の取組を強化していくべきか。(原子力)
  • 東電福島原発事故を経験した国として、その教訓を活かしながら、国際的にどのような貢献が可能か。(原子力)
  • 東日本大震災からの復興、再生の実現に向け、次世代の主要産業の創出等による我が国の国際的優位性の強化、安全で豊かで質の高い国民生活の実現への貢献という観点に基づいた重点化も必要である。(ナノ)
  • 物理的環境、社会、人それぞれを災害に対して強くするための研究開発とリスク・ハザードを知り予測するための研究開発とにより防災力を向上し、地域の安定成長に貢献する防災科学技術は国際展開させて地球規模の問題解決にも資する必要。(防災)
  • 災害に強い社会基盤を構築するための基盤情報として、あらゆる防災に関する情報に位置情報をつけてデータベースとして一元化し管理する必要がある。(防災)

 

2 研究機関の復興支援

  • 研究機関の成果や人材を、更に被災地の復興に役立てるため、どのような取組が必要か。

視点5 2

  • 地域の特性に応じた自然と共生するまちづくりを進めるためには、地球環境の変動を正確に把握し適切に対応することが必要であるため、地球観測・予測、統合解析システム等の社会を支える基盤的情報として技術開発していく必要がある。(環エネ)
  • 震災からの復興、再生及び安全性の向上等の諸課題に対して、ナノテクノロジー・材料科学技術が果たし得る役割は重要であり、本質的である。(ナノ)
  • 復興に関してレジリエンスを考慮することで,広く社会的に絶対壊れてはいけないもの,ある程度は壊れてもよいものなどのプライオリティを考える必要があり、そのためには学際的な人材を研究機関に集める必要がある。(防災)

 

お問合せ先

科学技術・学術政策局計画官付

電話番号:03-6734-3982(直通)

(科学技術・学術政策局計画官付)

-- 登録:平成24年08月 --