はじめに

 科学技術・学術審議会は、平成19年10月18日に、文部科学大臣から「長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策について」諮問を受けた。

 脳は、人間が人間らしく生きるための根幹をなす「心」の基盤であり、その研究は、人文・社会科学と融合した新しい人間の科学を創出し、これまでの科学の枠組みを変える可能性を秘めている科学的意義が高い取組である。

 また、現在の脳科学研究は、脳の発達障害・老化の制御や、精神・神経疾患の病因解明及び予防・治療法の開発を可能にするとともに、失われた身体機能の回復・補完を可能とする技術開発等をもたらすことから、医療・福祉の向上に最も貢献できる研究分野の一つであるとともに、記憶・学習のメカニズムや脳の感受性期(臨界期)の解明等により、将来的には教育等における活用も期待されるなど、社会的意義も大変高い取組である。

 このように、脳科学研究は科学的・社会的意義が高いことから、今回の諮問においては、少子高齢化を迎える我が国の持続的発展に向けて、長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策について、その在り方を検討することが求められた。

 これを受け、科学技術・学術審議会では、研究計画・評価分科会及び学術分科会に対し、本諮問に対する具体的な審議を付託するとともに、研究計画・評価分科会及び学術分科会学術研究推進部会の合同により、脳科学委員会を設置し、精力的に審議を重ねてきたところである。

 本第1次答申案(中間取りまとめ)は、我が国における脳科学研究の基本的構想とともに、それに基づく具体的な推進方策としての研究推進体制、人材育成、社会との調和に関し、審議した結果を取りまとめ、公表するものである。今後、国民からの意見募集や関係各方面からの意見を踏まえ、審議をさらに深め、来年6月頃を目途に、第1次答申を行う予定である。

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