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資料2

「国として戦略的に推進すべき基幹技術に関する委員会」資料


日本のあるべき姿、基幹技術の要件および具体的基幹技術・研究開発課題例



平成16年8月31日
(独)科学技術振興機構
研究開発戦略センター




1  基幹技術の要件
1. 基幹技術とは、「日本のあるべき姿」を実現する上で必須の技術および大きく寄与する技術
2. 国として戦略的に推進すべき基幹技術は、
(1) 発展性があり、かつ国際的に優位になりうる分野、あるいは社会に共通的に裨益する分野の技術であり、
(2) 採算性、規模や期間、リスク、あるいは技術の先端性とそれに伴う人材、設備などの面から民間のみによる自主的な研究開発が期待しがたい技術である。
(3) とくに、国・国民の(広い意味での)存続に関わる技術、根幹的な(基本的、普遍的で波及効果の大きな)あるいは基盤的な(多くの分野に共通的に適用可能な)技術が優先する。

2  日本のあるべき姿(今後の2〜30年間)
1. 世界から信頼される国、尊敬される国
国際社会の平和と発展への積極的関与
地球規模の問題・国際社会の課題の解決への貢献
アジア諸国との信頼関係の強化
2. 持続的発展が可能な国、国際競争力を持ったたくましい国
食糧・水・資源・エネルギーの安定的確保
経済・産業の発展、国際競争力の維持・強化
環境と発展の調和
3. 安全・安心な国
戦争、犯罪、災害、事故、疾病からの防護
安心できる社会システムの実現
4. 魅力のある国、活力のある国、
社会インフラの整備
社会的弱者に対する福祉
市民参加型の社会の実現
科学技術の発展と成果の享受
新たな価値・文化の創造と発信
独創性・多様性の尊重
異民族・異文化の受容と共存
次世代の育成

3  国として戦略的に推進すべき基幹技術ーあるべき国の姿からの視座
3 −1.「世界から信頼される国、尊敬される国」のための技術
 
(1) 世界の平和に積極的に貢献するための技術(核などの大量破壊兵器の拡散、テロ等に対応する技術)
(2) 人類の存続にかかわる、地球規模ないし広域の問題を解決する技術(食糧・水・エネルギー・資源の確保に資する技術、悪性新生物・精神疾患・感染症の予防・治療技術、地球温暖化対策技術、生物多様性保全技術)
(3) 発展途上国、とくにアジアの経済発展と環境保全の両立に資する技術(持続的発展が可能な社会モデルの構築、環境アセスメント技術、有害物質による汚染の防止技術)

3 −2.「持続的発展が可能な国、国際競争力を持ったたくましい国」のための技術
 
(1) 持続可能な社会の構築を可能とする技術
食糧・水・エネルギー・資源の安定的確保、利用効率の向上、節約に資する技術
環境・生態系の保全・利用に資する技術
「持続可能な社会」のための施策の展開に資する技術
(2) 国の経済発展に大きく寄与し、国際的に優位になりうる産業技術
(3) 産業および科学技術発展の基盤となるインフラ技術
(4) 国際的なインフラの中核的技術

3 −3「安全・安心な国」のための技術
 
(1) 社会および生活の安全確保に資する技術
テロ・犯罪の防止・被害の軽減に資する技術
情報・サイバー空間の信頼性確保に資する技術
悪性新生物・精神疾患・感染症の予防・治療、健全な発育に資する技術
水・食糧の安全に資する技術
有害物質による汚染の防止に資する技術
地震・洪水被害の軽減に資する技術
交通安全に資する技術
社会インフラ・大型プラントの事故防止に資する技術
災害救助・救援に資する技術
(2) 不安を軽減する技術
リスクの評価・管理技術
リスクコミュニケーション手法

3 −4.「魅力のある国、活力のある国」のための技術
 
(1) 高度社会インフラの整備に資する技術
(2) 心身障害者、高齢者の生活・活動を支援する技術
(3) 多様な表現・発信、多彩な参加を可能とする技術
(ユビキタス対応ネットワーク、ユーザーフレンドリー・インタフェース、表現の自由度が増すメディアアート)
(4) 科学を先導し、基本的な発見を可能とする技術
(科学技術フロンティアへの挑戦を可能とする研究インフラの整備)
(5) 科学技術成果の普及と享受に資する技術
(国民の関心・理解・受容を高める手法、製品開発・イノベーション等へのインセンティブを高めるためのシステム)
(6) 伝統文化を支え、新たな文化の創出・発信を可能とする技術
(7) 社会的関心が高く、学術に大きく貢献する科学技術
(8) 健全な発育、高度な教育、専門家の育成に資する技術

4 「国として戦略的に推進すべき基幹技術」に関する研究開発課題例
4 −1.主として「世界から信頼される国、尊敬される国」に関連する研究開発課題例
 
生物・化学・放射線・原子力(BCRN)兵器の不拡散・廃棄に関する検知・検証
爆薬・薬物検知・処分
悪性新生物・精神疾患、感染症の克服
地球環境の継続的な観測・評価分析・予測
地球環境の保全(地球温暖化対策、砂漠化メカニズムの解明とグリーン化対策、生態系・遺伝子資源保全)
アジア地域で共同で行う持続的発展可能社会モデルの構築(経済発展と環境保全の両立)、水・食糧・エネルギー・資源確保、(広域)汚染の防止

4 −2.主として「持続的発展が可能な国、国際競争力を持ったたくましい国」に関連する研究開発課題例(1)
 
持続可能なエネルギー・システム(エネルギー生産性の向上、再生可能エネルギー、高効率・低コスト燃料電池・水素エネルギーシステム、シーオーツーの隔離、革新的原子力プラント、核融合技術(ITER(イーター))、超伝導電力基幹網)
省資源(資源生産性の向上、物質循環システム、機器・住宅・社会インフラなどの長寿命化)
希少資源・枯渇資源の代替物質の開発
持続可能な環境資源の利用(森林・河川・沿岸海域を含む)
多種・多様・多数の無機系物質の創出とハイスループット評価による新機能探索
ライフサイエンス分野の基盤的データベースの構築(ゲノム基礎DBと臨床DBの構築・統合)
衛星・ロケット(気象・地勢・災害の高精度監視・観測、ナビ・通信・放送、準天頂衛星、日本版ガリレオ)

4 −2.主として「持続的発展が可能な国、国際競争力を持ったたくましい国」に関連する研究開発課題例(2)
 
エレクトロニクス産業分野の革新的技術(シリコン極限構造デバイス、高温作動半導体、SFQ集積回路プロセッサー)
光・光量子産業分野の革新的技術(量子ドットレーザー、アト秒パルスレーザー、テラヘルツ光源利用、光デバイス、フォトニクス有機材料、先進ディスプレー)
ナノテク産業分野における革新的技術(ナノデバイス、バイオナノ、ナノ触媒、新超伝導材料)
世界最高性能のシミュレータの開発
次世代情報ネットワークシステムの開発(シームレスなアクセス、知的で自然なインターフェイス、厳しい要求条件下での通信を可能とする技術)
知的なシステム構築を可能とする革新的技術(認識・学習機能を持ったデバイス、意識と感覚運動機能を持った人型ロボット、知識ベースの構築による自然言語処理)

4 −3.主として「安全・安心な国」に関連する研究開発課題例
 
簡易型高性能爆薬・薬物検知技術
個人認証技術
先進ゲノミクス・ポストゲノミクスの医療への応用
食と健康の科学(安全な食物生産、免疫強化、生活習慣病・成人病などを防ぐ健康科学)
生活環境の健康に対するリスクの解明と対策
交通機関のセキュリティの向上
安全確保のための新世代センサー開発とその統合技術
通信のセキュリティ確保・プライバシー保護

4 −4.主として「魅力のある国、活力のある国」に関連する研究開発課題例
 
身障者・高齢者の生活・活動を支援する高度福祉機器・システム(IT、ロボット技術の開発と活用)
基本的な発見・未知の探求を可能とする最先端研究施設(ALMA天文台計画、大強度陽子加速器計画、スーパーカミオカンデ、深海探査、宇宙探査、大型放射光施設)
ITを活用した学習と文化遺産へのアクセス
文化遺産の保存、修復技術
健全な発育のための教育システム



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