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研究計画・評価分科会(第46回) 議事録

1.日時

平成25年6月28日(金曜日) 15時~17時

2.場所

文部科学省3階 3F 1特別会議室

住所:東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 平成26年度における各分野の取組について
  2. 研究開発課題の評価について
  3. 平成25年版科学技術白書について
  4. 部会等からの報告
  5. その他

4.出席者

委員

大垣分科会長、佐藤分科会長代理、有信委員、五十嵐委員、甲斐委員、川合委員、小池委員、高梨委員、柘植委員、平野委員、堀井委員、松田委員、安井委員、吉川委員、李家委員、渡辺委員

5.議事録

【大垣分科会長】  時間になりましたので、ただいまから第46回科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会を開催いたします。
 梅雨が始まったのか、終わったのか、夏になるのか、よく分からない不安定な天気でありますが、御参集いただき、ありがとうございます。
 まずは、事務局からお願いいたします。

【渡邊計画官補佐】  事務局の渡邊でございます。
 配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の裏に、配付資料一覧を付けさせていただいております。資料1から資料4まで、それぞれの議題に合わせて番号が振られておりますので、資料の御確認をお願いいたします。参考資料としまして、参考資料1、2、3を準備させていただいております。また、円卓の先生方には、机上配付資料として、科学技術白書と研究開発方策を準備させていただいておりますので、御確認ください。過不足等ございましたら、私ども事務局の方に御連絡いただければと思います。
 以上です。

【大垣分科会長】  よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入ります。議題(1)、平成26年度における各分野の取組についてであります。これは、次回以降の26年度予算の概算要求に係る事前評価に先立ち、まず文部科学省における取組状況を説明するものであります。今回も参考として、当分科会に属してはいませんけれども、研究基盤分野と海洋分野についても、担当より説明していただきます。
 それでは、計画官、よろしくお願いします。

【阿蘇計画官】  それでは、資料1を御覧ください。各分野の取組について、御説明させていただきます。
 まず、情報科学技術に関連する取組まで御説明しまして、その後、質疑応答の時間をとらせていただきたいと思います。
 2ページ目を御覧ください。まず、研究基盤に関連する取組をお願いいたします。

【前田基盤研究課長】  研究基盤に関連する取組について、基盤研究課長をやっております前田の方から簡単に御紹介いたします。
 研究基盤の取組ですが、概要にありますとおり、科学技術イノベーション政策が目指す重要課題の達成に向けて、科学技術が貢献していくためには、研究開発そのものの推進のみならず、それを支えます基盤を強化することが大変大事だと、私ども認識しております。最先端の研究施設、いわゆるオンリーワンの施設の整備・共用から、大学や独法研究機関が所有しています多種多様な設備の共用化あるいはプラットフォーム化を進め、また共通基盤技術の開発を併せて推進することにより、いわば研究開発の底上げにしっかりと取り組んでおるところでございます。
 施策としては大きく三つございまして、まず、世界に誇る最先端の大型研究施設ということで、SPring-8や、SACLA、J-PARCといった大型で世界オンリーワンな施設についての整備・共用を推進しております。また、情報分野でありますけれども、コンピューティング・インフラの構築を併せて進めております。
 左下になりますが、研究基盤の共用・プラットフォーム化、これは、繰り返しますが、大学とか独法研究機関が所有しております最先端の研究設備を産学官で共用していこうという施策であり、ただみんなで使いましょうというだけではなくて、産学官の人材が集まることで、産学官連携、あるいは異分野融合、さらには、若手研究者や技術者の育成につながるものとして、重要視しているところでございます。施策としては三つほどありますが、ここに記載のとおりでありまして、分野ごとにプラットフォーム化などを進めております。
 また、右側に参りますが、今度は機器等の技術開発ということで、左側は、共用化の推進、プラットフォーム化といった内容でしたが、右側はこういった機器について最先端のものを創っていくものであります。先端的な計測分析機器、光・量子科学、ICT基盤技術の研究開発等々について、ここに記載のとおり進めておるところでございます。
 以上でございます。

【阿蘇計画官】  続きまして、3ページ目の海洋開発に関連する取組、お願いいたします。

【井上海洋地球課長】  海洋地球課長でございます。海洋開発に関連する取組でございますけれども、背景に書いてありますとおり、海洋基本法、また、それに基づき策定されております海洋基本計画、これを大きなよりどころとして、施策を進めております。
 本年4月に、第2期目となります海洋基本計画が閣議決定されております。これは5年間の計画となっております。地球環境問題解決への貢献や、最近非常に大きな関心を集めております海洋エネルギー・鉱物資源の開発利用に向けた対応、また、北極海航路の利用など、北極の変化を受けた取組、そういったものが位置付けられており、そういったことも踏まえながら施策を進めております。
 取組のところで、幾つかトピックを紹介いたします。東北復興のために行っております東北マリンサイエンス拠点の形成、これは、実質的に昨年1年間が立ち上げの年だったのでありますけれども、今、地元自治体、漁協などとの連携関係が構築できて、非常にうまく立ち上がっているところでございます。
 深海地球ドリリング計画でございますが、昨年は特に、東北沖地震の震源域を掘削するという試みを行い、無事に成功しております。この解析結果等は、これから出てくるところでございます。
 また、右の方になりますけれども、グリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス事業の一環としまして、北極気候変動分野の取組を行っております。我が国の北極分野の研究者のコミュニティというものは、必ずしも束ねられていなかったのですが、今、この下にコンソーシアムというものを創っておりまして、そこに例えば300人の研究者が集まってくるといったように、体制作りが着々と進んでいるところでございます。
 その下に海洋資源の関係の取組が出ておりますけれども、新たな無人探査機を整備するなど、新しい資源の探査手法を開発するなどの取組をしております。また、こちらには書いてありませんけれども、平成24年度の補正予算におきまして、新しい海底広域研究船を整備するということが決まっておりまして、これは平成27年に完成する予定でございます。
 以上でございます。

【阿蘇計画官】  続きまして、4ページ目、宇宙分野に関連する取組をお願いいたします。

【小野山宇宙開発利用課課長補佐】  宇宙開発利用課です。宇宙分野の取組について、説明させていただきます。
 宇宙分野では、宇宙基本法というものが平成20年に出来まして、それを踏まえて政府においても体制変更があり、宇宙をしっかり利用していくという大きな方針の下、今年1月には、宇宙基本計画が新たに策定されました。また、本分科会で設置を認めていただきました科学技術・学術審議会宇宙開発利用部会においても、昨年12月に推進方策をまとめていただき、こういった方針の下、文部科学省は、技術開発や技術基盤の強化、人材育成等によって、安全保障・防災、産業振興、宇宙科学等のフロンティア、こういった分野に重点的に取り組んでおります。
 具体的内容につきまして、御説明させていただきます。まず、1.の先端科学技術への挑戦でございますが、一番左のイプシロンロケット、これは固体燃料ロケットですけれども、今年8月の打ち上げが予定されておりまして、報道等で御覧になっている方も多いかと思います。非常に機動的かつ効率的な打ち上げが可能になっているロケットでして、固体燃料ロケットとしては世界最高水準の技術を導入し、開発を行っているところでございます。真ん中の小惑星探査機「はやぶさ2」ですけれども、こちらは、平成26年度、来年度の打ち上げを目指し、開発を着実に進めているところでございます。一番右のX線天文衛星(ASTRO-H)でございますけれども、こちらは、平成27年度の打ち上げを目指し、開発を進めております。こちらについては、天文学、学術研究、世界からも注目を集め、参画者も多く入っております。こういった学術成果というものも、非常に期待しておるところでございます。
 左下の枠に行きまして、2.の宇宙先進国としての国際協力の推進でございます。まず、二つ目までの丸、「こうのとり」と「きぼう」です。宇宙ステーションに物資を補給する「こうのとり」の着実な運用、物資をしっかり宇宙ステーションへ送り込むということと、日本が担当しております宇宙ステーションの実験棟である「きぼう」の着実な運用と、しっかりとした研究といった取組を行っております。これについては国際協力の枠組みの中で取り組んでいるところでございます。三つ目の丸は国際協力の戦略的推進ということで、センチネルアジア、国際災害チャーターというような国際枠組みによって、災害時にお互い持っている画像等を提供し合って助け合うといった、防災の取組をやっております。こういった国際的な枠組みというのは、第一義的には防災の取組なのですけれども、こういったネットワークを生かしまして、海外への宇宙技術のインフラ輸出ですとか、人材育成等もパッケージで、日本の宇宙技術を海外にしっかり売っていくことにも貢献しているところでございます。
 最後に、右下の四角の3.の高度な技術力に基づく宇宙開発利用の推進ということでございます。まず一つ目は陸域観測技術衛生「だいち」の後継機の開発でございます。こちらも、25年度中の打ち上げを目指し、最終的な開発を進めているところです。1号機は光学の写真を撮る衛星でございましたけれども、2号機はレーダーの衛星でございまして、天気が悪いときでも色々な情報が得られるということで、東南アジアといった、雨の多いところですとか、あとは海洋監視といったところにも貢献できるのではないか考えております。二つ目の丸の地球規模の環境問題解決に貢献する地球観測衛星でございますが、こちらは、二酸化炭素を観測する衛星の「いぶき」の後継機のGOSAT-2ですとか、あとは、センサーになるんですけれども、降水レーダー等のセンサー開発を進めているところでございます。こちらにつきましては、環境問題解決・検討の有力な材料となるということで、環境省や国立環境研究所等々と連携を深めながら進めているところでございます。
 以上になります。

【阿蘇計画官】  続きまして、5ページ目、ライフイノベーションの推進に向けた取組をお願いいたします。

【馬場ライフサイエンス課課長補佐】  ライフサイエンス課でございます。5ページ目、ライフイノベーションの推進に向けた取組に基づき、御説明いたします。
 まず、背景ですが、6月14日に閣議決定されました「日本再興戦略」に加え、同日、内閣官房長官をはじめ、文部科学大臣、厚生労働大臣等を含めた関係大臣の申合せで策定されました「健康・医療戦略」におきまして、国民の健康寿命の延伸が位置付けられ、再生医療の実現や革新的な医薬品・医療機器の開発推進等の医療分野の取組が求められているところでございます。また、我が国の医療分野の研究開発の司令塔である日本版NIHの創設についても現在議論がなされており、このような状況を踏まえつつ、文部科学省としても医療を含むライフイノベーションの推進に向けた取組を実施していくこととしております。
 下の方に、平成25年度の取組を参考として記載しております。4本の柱がございます。一つ目、再生医療の実現ですが、真ん中に図がございますけれども、今年度から新たにiPS細胞研究中核拠点や疾患組織別の実用化の研究拠点を構築するなど、国際競争が激化しているiPS細胞等を使った再生医療・創薬について、我が国のアドバンテージを生かし、世界に先駆けて臨床応用をするべく、研究開発を加速していきたいと考えております。
 二つ目の柱は、革新的医薬品・医療機器の創出ですが、こちらは、オールジャパンの支援体制、臨床研究・治験環境等を整備し、革新的医薬品・医療機器等を創出するべく、厚生労働省、経済産業省と連携し、創薬支援ネットワークの構築等に取り組んでいるところでございます。
 三つ目、個別化医療の実現ですが、こちらは、例えば東北メディカル・メガバンク計画や、オーダーメイド医療の実現プログラムといったところを相互連携しつつ、個別化医療の実現に向けた研究開発を実施しているところでございます。
 最後、四つ目、高齢者・障がい者介護現場ニーズに応えるロボット等ですが、こちらは脳科学研究戦略推進プログラムというものを進めており、医療現場や患者ニーズを踏まえ、BMI技術等を活用した高齢者・障がい者の自立支援のための機器開発の実現と精神・神経疾患の克服を行っているところでございます。
 以上でございます。

【阿蘇計画官】  続きまして、6ページ目、グリーンイノベーションの推進に向けた主な取組をお願いいたします。

【篠崎環境エネルギー課長】  環境エネルギー課長の篠崎と申します。6ページ目について御説明いたします。
 グリーンイノベーションにつきましては、文部科学省では大きく3種類の事業を行っております。緑色の緩和策、青色の適応策、それから、黄色の社会シナリオ、あるいは現場でのフィールド実証という取組がございます。
 まず、緩和策でございますが、基本的に文部科学省では、再生可能エネルギーあるいは省エネルギーの導入をしっかりと進めていくための基盤的・基礎的な技術開発を行い、全体の底上げをすることを目的としております。具体的な事業としましては、1.から4.までの色々な再生可能エネルギーの導入あるいは省エネルギーの推進のための技術開発に加え、右側にありますように、国際熱核融合実験炉の計画等の実施をしております。今年の目玉としましては、1.の戦略的創造研究推進事業の中で、現行のリチウムイオン蓄電池に代わる次世代の蓄電池、あるいは再生可能エネルギーを変換あるいは貯蔵するときに重要となる水素としてのキャリアをもう少しいいものに考えていくということで、アンモニア等のエネルギーキャリアの研究開発を、経済産業省との共同プロジェクトとして立ち上げております。
 適応策につきましては、基本的には気候変動による自然災害の被害の増大等の影響を正確に予測して対策を立てるというプロジェクトでございまして、これは前年からの継続事業となっております。
 黄色の社会シナリオ研究・革新的技術の研究開発・実証につきましては、ここにあるような、シナリオ研究、あるいは大学発グリーンイノベーション創出事業というものを行っております。
 以上が現在の取組でございますけれども、今後の方向性として、右下の白いところを御覧いただきたいと思います。グリーンイノベーションにつきましては御案内のように「日本再興戦略」あるいは総合科学技術会議の「科学技術イノベーション総合戦略」に位置付けられた、色々な施策が予定されておりますので、それを具体的に実施していくということを想定しております。
 一つは、特にエネルギー関係につきましては、経済産業省と共同プロジェクトを進めていくことの重要性を認識しておりまして、両省の間で合同検討会というのをやっておりますが、ここでの議論を踏まえ、色々な施策作りを考えていきたいと思っております。
 もう一つは、フューチャー・アース構想というのがございます。具体的には、気候変動、あるいは、物質循環、生物多様性のような、国際的な研究枠組みが、現在、色々と国際規模で統合していく動きがございまして、これへの対応ということと、もう一つは、ここの概念で言われているトランスディシプリナリー研究、いわゆる学際をさらに超えまして、研究のコミュニティだけではなく、社会のステークホルダー等の関与をしっかりと捉えた現場での実証研究、こういったものを大切にしていこうというようなコンセプトで、まだ概念の段階ですけれども、具体的に実施していくための方策を考えていく必要があると思っております。さらに、いわゆる社会と科学との接点、科学コミュニケーションというものの重要性というものも関連付けられると想定しておりまして、こことの連携方策をどうするかということも、意識しようと思っております。
 以上でございます。

【阿蘇計画官】  続きまして、7ページ目の情報科学技術に関連する取組、お願いいたします。

【下間情報課長】  情報課長の下間です。情報科学技術は、ライフ・グリーンイノベーション、あるいは防災といった、幅広い分野の科学技術イノベーションを支える共通基盤的な技術です。
 取組としましては、大きく二つありまして、イノベーション創出を支える最先端の研究基盤として、スーパーコンピュータ「京」を中核とする革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築を着実に進めるということと、総務省や経済産業省など関係府省と連携・協力のもとにICT基盤技術の研究開発を推進するということです。
 革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)、スーパーコンピュータの開発利用については、昨年9月末に共用開始をしたスーパーコンピュータ「京」を中核とし、9大学のスーパーコンピュータをネットワークで結び多様なユーザーニーズに応える革新的な計算環境であるHPCIについて、着実な運用を行うとともに、幅広い利用を推進し、画期的な成果創出につなげてまいります。後ほどお時間を頂き、今後のHPCI計画の推進の在り方について、御説明をさせていただきます。こうした成果創出に向けて国として戦略的に取り組むために、HPCI戦略プログラムにおいて5分野で戦略的な研究を推進しております。
 もう1点のICT基盤技術の研究開発については、課題解決型、すなわち様々な社会問題を解決していくためにICTがどのように貢献するかという観点から、超省エネルギー、防災・減災や革新的なものづくり等について情報科学技術分野においてどのような貢献が可能かという検討をさらに引き続き深めていくことが必要と考えております。大きく三つありますが、ICT基盤技術の研究開発においては、現在、ビッグデータ基盤技術の研究開発と環境構築に取り組んでおり、さらに新たな研究開発課題についても検討を進めてまいりたいと考えております。また、ICTの活用基盤の高度化については、社会システム・サービスの最適化のためのIT統合システム、サイバーフィジカルシステムの構築といったことに現在取り組んでいるところです。また、平成25年度からビッグデータの利活用によるイノベーション人材育成ネットワークの形成にも取り組んでおり、ICTを利活用し、ビッグデータを利活用しながらイノベーション創出を進めることができる人材育成のネットワークの形成といったことにも取り組んでいるところです。
 これらの研究開発課題を継続しつつ、引き続き必要な新たな研究開発課題について検討を進め、取り組んでまいりたいと考えておりますので、委員各位の御指導、御助言を賜りたいと存じます。
 以上です。

【阿蘇計画官】  前半の御説明は、以上でございます。

【大垣分科会長】  以上、七つの取組について説明がありましたが、何か御質問等はございますでしょうか。
 平野委員、どうぞ。

【平野委員】  宇宙戦略の件でありますが、この基本的な戦略体系が変わったことによって、文部科学省が国際的に協力・連携をするという点において、学術的に何か問題があったら、聞かせていただきたい。

【小野山宇宙開発利用課課長補佐】  宇宙基本計画で大きな柱とされたのが自律性の確保と利用の拡大で、それに加えて宇宙科学等のフロンティアということで、ややもすると、この順番はどうなのかと、宇宙科学等のフロンティアというのがやや下がったような言われ方をするときもあるのですが、これについては文部科学省として、しっかりとした先端的な研究開発ですとか、技術基盤、人材育成があってこそ、自律性の確保や利用の拡大の先導・下支えできると考えておりまして、文部科学省として、しっかり、宇宙政策委員会や、宇宙開発戦略本部の場で発言していきたいと考えております。

【平野委員】  くどいようで申し訳ないのですが、先端的な研究等々についてはよく分かっていますし、進めなければいけないと思いながら、一方では防衛上微妙なところが含まれるようになりますと、連携上、国際的な面でどのような問題が起こってくるのか、あるいはもう問題が出ているのかをお聞かせいただきたいという質問であります。

【小野山宇宙開発利用課課長補佐】  問題というよりは、むしろいい面が少しずつ出始めていると認識しておりまして、具体的に言いますと宇宙状況監視ですとか海洋監視については日米安全保障協力の中でも非常に着目されている部分で、JAXAの技術も防衛省や外務省と一緒になって、日本としてどのような協力ができるかといった議論を進めているところでございます。

【平野委員】  ありがとうございます。

【大垣分科会長】  ほかに何か。どうぞ。

【川合委員】  ライフイノベーションの推進の5ページで、前から気になっていることなのですが、再生医療はもちろん日本発で大変重要ですし、医薬品や個別化医療というのも重要なのですが、悪くなってから再生医療で治す、病気になったのを治すほかに、予防とか、診断といった、予防的なもの、又はきちんと診断していくような機器が日本は弱くて、海外に随分お金を払っているので、こういった点がライフイノベーションで重要だと思うのですが、なかなかいつも出てこない。そういった点は今後どうでしょうか。

【馬場ライフサイエンス課課長補佐】  ライフサイエンス課でございます。御質問、ありがとうございます。
 今、川合委員がおっしゃった指摘、我々としてもごもっともだと思いまして、従来から医療機器の開発ということは行っているところでございますが、今、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会の方でもライフサイエンス分野との連携を検討していると、我々も伺っておりますので、今言った予防の観点、診断の観点、そういったところも、検討を踏まえながら、今後、議論を深めていきたいと考えております。

【大垣分科会長】  松田委員、どうぞ。

【松田委員】  情報科学技術について、多分、ほかの省庁でも予算を講じられているからだとは思うのですが、ここだけ見ると文部科学省関係の予算のほとんどが、HPCIに集中しているように見えるのですが、文部科学省としての基本的な情報科学技術戦略というのは、まずはHPCIに掛けると、そういう考え方ということでよろしいでしょうか。

【下間情報課長】  予算の配分だけを見るとそのような御指摘になるかと存じますが、松田委員がまさにおっしゃられたとおりで、ICT全体の予算の中から言いますと、文部科学省の情報科学技術分野の予算は限られたものです。関係省庁と連携をしながら情報科学技術分野で社会課題の解決につながるような基盤技術開発を進めるとともに、スーパーコンピュータの開発・利用については、イノベーション創出のための研究基盤として文部科学省が取り組むものです。そちらに大きな予算を割きながら両方ともこれを充実させ、取り組んでまいりたいと考えております。

【松田委員】  ありがとうございます。

【大垣分科会長】  よろしいでしょうか。特にございませんか。
 それでは、引き続き、各担当からお願いいたします。

【阿蘇計画官】  続きまして、8ページ目を御覧ください。ナノテクノロジー・材料科学技術に関する取組をお願いいたします。

【前田基盤研究課長】  この件につきましても、私、ナノテクノロジー・材料開発推進室長も務めておりますので、私の方から御紹介をしたいと思います。
 ナノテクノロジー・材料科学技術分野ですが、これは情報分野と同じような側面を持っておりまして、これ自体で何かイノベーションを起こすということではなく、グリーンやライフイノベーションの基盤になる、そういった技術又は科学という認識をしております。さらに、この分野は今でも日本が強みを持っている分野と認識しています。例えば、スマートフォンや、家電製品といったものは、新興国でどんどん強くなっていると思いますが、こういった製品に使われている部素材は、いまだ日本製品が多いということで、この分野は技術についてはまだまだ優位性がある。ただ、二つ目に書いてありますとおり、新興国はどんどん追い上げをしようとしている。特に戦略的な資金投資で、製品だけでなく部素材部分についても、新興国自国で進めようとしている状況がある中、我が国においても、せっかく強みがあるわけですから、この部分についてさらに強くしていきたいと考えているところでございます。
 具体的な施策については、下に書いてございます。まず、左上ですが、希少元素を用いない革新的な代替材料の創製、これは元素戦略プロジェクトと呼んでおりますけれども、具体的には、部素材の中にいわゆるレアアースと呼ばれる希少元素がたくさん用いられているのですが、こういったものを減らす、又は代替した何かを使って、希少元素をなるべく使わない部素材を開発していこうという取組であります。この取組はグリーンイノベーションとも非常に関係していることと、出口として経済産業省との連携が大事だという認識でございますので、先ほど篠崎課長からもお話があった連携と同じような形で、経済産業省との間で、ガバニングボードと書いてありますが、政府の中でも連携し、研究機関・研究者間でも連携するといった、そういった仕組みをしっかり作って、基礎から実用化まで一気通貫の体制を整えております。例えば磁石に関するプロジェクトで、磁石にはディスプロシウムという希少元素が使われていますが、そういったものを使わない材料を既に開発しつつありまして、この成果を経済産業省の方のプロジェクトに生かし、磁石を使ったモーターに応用しまして、自動車の絵が描いてありますが、ハイブリッド自動車用モーターに今後応用するといった、一気通貫の流れを作っております。その他、磁石の話に限らず、こういった形で元素戦略プロジェクトを進めているところでございます。
 下に参りまして、東北発素材技術先導プロジェクト、これは震災復興の関係でスタートさせた事業でございますが、具体的には、東北大学は、多元物質科学研究所ですとか、金属材料研究所とか、材料分野に強みを持っておりますので、こういった研究開発をより一層進めることで実用化につなげ、また復興にもつなげていこうというものであります。
 右側のナノテクノロジープラットフォームは、最初に私が申し上げたプラットフォーム事業の一つでありますので、内容的には省略をいたしますが、このように全国25機関でプラットフォーム事業を展開しております。
 それから、先に右下に参りますが、ナノテクノロジーを活用した環境技術開発、これは、つくばイノベーションアリーナという、つくばの中にある研究機関の連携の仕組みがあるのですが、その中の中核的プロジェクトの一つとして、地球環境問題の解決に向けた産学官連携の環境技術の基礎・基盤研究を進めております。
 最後に、一番左下の物質・材料研究機構でございます。物質・材料研究機構は、世界トップレベルの研究機関としまして、全国の大学等と連携して基礎・基盤研究を進めております。最近では、国内の材料分野に関する論文の被引用件数で、東北大学を抜き第1位というところまで来ました。この10年ぐらいはナノテクということで、いわゆる機能性材料の方に力を大きく入れてきたのですが、震災以降、あるいはトンネル事故なども踏まえまして、もう一度、構造材料というものを見直し、力を入れていこうという動きがございます。実は、24年度補正予算額100億円とありますが、これは建物を造って設備を導入するのですが、ほとんどが新しい構造材料の研究棟を造る予算であります。この構造材料の研究棟は造り始めたところでございますが、物質・材料研究機構一機関の建物ではなく、つくばをはじめ、大学、あるいは産業界も、皆さんがこぞってここに来て連携して様々なことができる、その結果として若い人も育てられる、そういった新しい研究開発拠点モデルを作って、構造材料の分野で貢献をしたいと考えております。このあたりは先日閣議決定しました「科学技術イノベーション総合戦略」でも社会インフラということで重要視されておりますので、そういった流れもにらみながら、文部科学省として強化をしていきたいと思っております。
 以上です。

【阿蘇計画官】  続きまして、9ページ目の防災科学技術に関連する取組、お願いいたします。

【鈴木防災科学技術推進室長】  地震・防災研究課でございます。背景に書かせていただいていますように、まず、首都直下地震、南海トラフ地震を対象とした、防災・減災対策に資する調査研究を実施すること、日本海側で発生する地震・津波については、調査が不足しているということでございますので、日本海側の地震・津波に関する調査研究を推進すること、地震・津波を早期検知する海底観測網の整備など調査観測を推進すること、地震・火山・風水害等による災害等に対応した基盤的な防災科学技術研究を推進すること、に取り組むこととしております。
 下に書いておりますのは、黄色が内局、文部科学省で直接実施する事業でございます。海底地震・津波観測網の整備といたしまして、南海トラフの対応と日本海溝の対応を実施するということでございます。また、地震防災研究につきましては、南海トラフの地震に関する防災研究であるとか、都市の防災に関するプロジェクトなどが進められております。また、地震調査研究推進本部による地震評価を行うために必要な調査研究をしているところでございます。
 右側は、防災科学技術研究所の運営費交付金で実施している研究でございます。まず、自然災害発生メカニズム解明に向けた研究ということで、地震・火山・風水害等の災害に対応した研究をしております。また、効果的な社会防災システムの構築ということで、社会防災に関わることで実際の普及を図るということを実施している研究がございます。最後に、実物大の建物を三次元的に揺らすことができる震動台を利用いたしまして、耐震技術研究を実施しているとところでございます。
 以上でございます。

【阿蘇計画官】  続きまして、10ページ目の航空科学技術に関連する取組、お願いいたします。

【伊藤宇宙開発利用課課長補佐】  研究開発局宇宙開発利用課より御説明いたします。
 航空科学技術に関連する取組ということで、「航空科学技術に関する研究開発の推進方策」、こちらは研究計画・評価分科会でまとめていただきましたが、このほか「航空科学技術に関する研究開発の推進のためのロードマップ」を、推進方策に基づいたものとして航空科学技術委員会でまとめていただいています。こういったものを基に中期目標や中期計画を文部科学省とJAXAで作りまして、これに基づいて26年度の取組予定を決めております。
 大きく四つございまして、まず、重点的に行うものとしては、1番目の航空環境・安全技術の研究開発でございます。環境と安全を重点的にやっていきたいと考えております。また、2番目ですが、今まで続けてきました超音速機の研究開発について、今年度は実証まで行いまして、平成26年度に解析を行い、まとめる予定でございます。これを先行的研究として挙げています。3番目でございますが、基礎的研究のものでございますけれども、次世代航空技術の研究開発ということで、電動航空機の研究開発、無人機の研究開発を行っております。さらに、人材育成を一つの柱として挙げさせていただいてございます。産学官連携も重要でございます。そういったものを、産学官連携強化と航空技術人材の育成への貢献としてまとめております。
 まず、環境と安全でございますが、環境といたしましては、エンジンの高効率化、低騒音化、そして翼の高性能化と、三本柱を立てております。いずれも複合材を使いまして軽量化を図るなど、燃費の向上などを行っています。それによりエンジンの高効率化や翼の軽量化で高性能化を図るということを行っております。また、低騒音化では、高揚力装置の形状の最適化を図るなどして、低騒音化を図っております。安全の方につきましては、次世代運航システム、気象情報利用技術、災害対応航空技術などを挙げてございます。特に災害対応といたしまして、ヘリコプターの集中した救助活動、こういったものを事故なく行うことができるよう救援活動の高効率化を行っており、将来の交通容量の増大に伴い、それに対応するために、例えば事故の多い後方乱気流への対応というのを考えたものが、次世代運航システム技術でございます。また、気象の晴天乱気流など、気象情報利用技術というものも、これに対応するものでございます。
 2番目は、先ほどの超音速機でございまして、今年7月から8月にかけて2回ほど、天候がいいときにスウェーデンのキルナで落下実験を行い、ソニックブームの低減といった実証を行う予定でございます。
 次に、3番目ですが、電動航空機や無人機、こちらは電動推進システムに関する研究や、無人機では、システムの運用方式やシステム設計といったものを研究してまいります。
 以上でございます。

【阿蘇計画官】  続きまして、11ページ目の原子力科学技術に関連する取組、お願いいたします。

【増子原子力課長】  原子力課長の増子でございます。それでは、原子力科学技術に関連する取組について、御説明申し上げます。
 まず、背景に書いてございますように、現在、福島原発事故を受けまして、原子力を含めたエネルギーに関する基本的な政策につきまして、経済産業省の方で議論が行われておりまして、今年の年末までに報告書が取りまとめられる予定になっております。一方、このような政策の方向性に関わらず、原子力災害からの復興に向けた取組は今後とも重点的に推進することが重要でございまして、特に、放射性廃棄物対策、あるいは原子力の基礎・基盤を支える研究開発や人材育成については、引き続き着実に進めていきたいと考えております。
 具体的な取組につきましては、まず原子力災害からの復興ということで、3点ほどテーマを掲げさせていただいております。1点目は、福島原発の廃止措置ということで、現在、工程表(ロードマップ)を策定して具体的な段取りが進められておりますが、特に重要になりますのが、燃料のデブリの取り出しに関し、所要の研究開発が必要でございますので、その点につき特に日本原子力研究開発機構でしっかりやっていくということでございます。
 2点目は、除染に向けた研究開発ということで、色々な除染技術の開発、さらには、放射性物質の可視化技術といった研究開発の取組を着実に進めていきたいと考えております。
 3点目は、福島原発の事故を受け、様々な課題が浮き上がっておりまして、特に大学や民間企業に連携していただきながら、様々な研究開発、さらには人材育成についてもしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
 左下に書いてございます、核燃料サイクル、あるいは原子力の基礎基盤研究開発につきましては、日本原子力研究開発機構で進めていく予定にしております。特に、高速増殖炉サイクル技術、その他、高レベル廃棄物の処理処分技術や再処理、あるいは原子力の基礎基盤研究について着実に進めていきたいと考えているところでございますが、御案内のとおり、「もんじゅ」の機器の点検漏れの問題が様々な社会的な問題にもなってございまして、そういった中で文部科学大臣を本部長といたします日本原子力研究開発機構改革本部を先月設置してございます。当本部におきましては、原子力機構の組織体制・業務を抜本的に見直して安全を最優先とする組織に改めるということで、外部の有識者の先生方に御参画いただいて議論を行っているところでございます。ここでは、下に書いてございます3点の項目を中心に議論を進め、今年8月上旬までには基本的な考え方を取りまとめ、平成26年度予算の概算要求等に反映していきたいと考えております。
 以上でございます。

【阿蘇計画官】  最後に、安全・安心科学技術及び社会連携に関連する取組、お願いいたします。

【木村科学技術・学術戦略官】  科学技術・学術戦略官の木村でございます。資料1の最後、12ページで御説明をさせていただきます。
 本分野につきましては、これまで安全・安心の科学技術ということで施策の企画・立案及び実施を行ってきたところですが、東日本大震災の反省におきまして、従前の安全・安心に加え、社会との連携、この分野を重視すべきという審議会の御指摘等も踏まえ、範囲を拡大して検討しているところでございます。検討に当たりましては、本日御出席の堀井先生に主査に着任いただき、委員会の名前も安全・安心科学技術及び社会連携委員会と改称いたしまして、御検討いただいているところでございます。
 取組は、本資料の中段及び下段の3点でございます。中段の一番上のものが、新たな取組でございます、リスクコミュニケーションの推進方策。本件は、東日本大震災を踏まえまして、今後同様な災害があったときのコミュニケーションの在り方を、災害時の対応も視野に入れて、平素の科学技術の専門家あるいは行政から一般国民に対するコミュニケーションの在り方、あるいは、そのために整えておくべき環境整備につきまして、平素の対応を中心に、御検討いただいております。委員会発足以来、親委員会2回、ワーキング3回と、精力的に開催しておりまして、その中で、早急に取り組む必要があるものにつきましては、7月をめどに中間取りまとめを行う予定で、概算要求に向け、まとまった段階で本分科会にも御報告・御審議いただく予定としてございます。また、中長期に取り組む課題につきましては、引き続き検討を進めていく予定でございます。
 2点目、3点目は、従前からの取組の継続でございます。2点目は、コミュニティがつなぐ安全・安心な都市・地域の創造でございます。これは、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業の中に領域を設けまして、地域及び志を共有するコミュニティから公募提案を受けて、大規模複合災害に対する対応についての研究を支援する取組でございます。2回目の公募が既に終了し、現在、審査に当たっているところでございます。
 最後に、一番下ですが、安全・安心な社会のための犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラムでございます。一番下に書いておりますが、内閣官房等、関係省庁と密に連携をとり、爆発物あるいは麻薬等の化学物質、放射性物質、こういったものを検知する機器を開発する検討を5年間かけて実施しております。現在、平成26年度、27年度に終了する課題について研究が進行中で、実証段階、あるいはこれから実証に入るものについて御審議いただくとともに、適切な研究開発が実施されるよう進めているところでございます。
 説明は、以上でございます。

【阿蘇計画官】  以上で、説明は終わります。

【大垣分科会長】  以上、五つの分野について取組の説明がありました。何か、御質問はございますか。
 柘植委員、どうぞ。

【柘植委員】  前半のものも含めて、分野ごとに学術的な掘り下げと同時に社会還元に取り組んでいるということはよく分かりますが、これを1月に前期の科学技術・学術審議会が下村大臣に建議した内容と照らしてみますと、一つ、是非、今後注力すべきことが出てきます。「東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の在り方について」の中で、社会的課題を解決する人材の育成という表現がありました。それから、その人材の育成は、単なる教育じゃなくて、こういう研究とかイノベーションと一体的に進めるべきであるという表現もありました。そういうところに照らしてみると、各分野が、研究とイノベーションというところに注力するのは、当然なのですけれども、それぞれが非常に大きな社会的課題の解決に向けた科学技術ということを考えますと、この中で社会的課題を解決する能力を持つ人材の育成という面が非常に希薄になっております。一部はわざわざ別な項目で人材を育てるというようなことが書いてありまして、これも無駄ではないのですけれども、この研究そのものが、大学の先生も参加しているし、後ろには学生・大学院生がいるわけです。そういう面で提案としては、今後是非、各分野の取組について、その研究やイノベーションへの参加そのものの中で、どういう人材が育っていくよう工夫しているかを見える化をしていくことと、もう一つ、ちょっとこの場ではないのですけれども、私は先期まで人材委員会の主査をしておりましたが、あちらの人材委員会でも今のような視点で、この各分野の取組の中でどういう社会的課題を解決する人材が育成されているかという面も是非、今期か来期、取り組んでもらいたいと、このあたりを申し送っていただきたいなと思います。
 以上です。

【大垣分科会長】  ありがとうございます。
 何か、特によろしいですか。

【阿蘇計画官】  本日は各分野からの御説明ということで、中には幾つか人材育成的な視点も重要でありますという御説明をいただいたところですけれども、紙面の都合上、書いていないところも、もしかしたらあるかもしれません。そういうことも含めまして、柘植委員から御指摘いただきました「東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の在り方について」に沿った社会的課題を解決する人的育成は、しっかりと進めるようにしていきたいと考えております。

【大垣分科会長】  ほかに、あと一つか、二つか。有信委員、どうぞ。

【有信委員】  全体的なことで、さっきの柘植委員の話にも関連するのですけれども、それぞれ非常に重要なことをやろうとしていることは、よく理解できます。ただ、背景のところで、例えば、ナノテク・材料だとか、安全・安心もそうですし、先ほど情報に関しても質問がありましたが、要するに、今やろうとしていることを俯瞰(ふかん)的に見たときの位置付けが、背景の中で、文部科学省がここに重点を置くことの意味が分かるようにもう少しなっているといいかなという気がします。例えば航空・宇宙のように、それぞれ委員会があって全体的な議論がされていて、やるべきことというのが決まっているところはいいのですが、特に情報のように総務省、経済産業省、文部科学省とそれぞれ分かれて色々なことをやっている場合、今ここで取り組んでいるものがどういう位置付けにあるのかと言う点がもう少し分からないと、先ほど質問に出ていましたように、本当にこれでいいのかというのが問題になるのですね。例えばサイバーセキュリティーのようなものは、安全・安心から、情報技術から、全てに絡む話にもなります。ところが一言も言葉が挙がっていないというと、やっぱり全体的な俯瞰(ふかん)的な観点からの記述があると、もう少し安心して資料が読めると思いますので、今後御検討いただければと思います。

【大垣分科会長】  ありがとうございます。
 渡辺委員、どうぞ。

【渡辺委員】  全体に共通することではあると思いますけれども、例えばナノテクノロジー・材料科学技術について、現在、まだ日本は強い状況にありながら、新興国が追い上げているという御説明がありました。このような状況の中で、研究費や、研究者の数で勝負することになってしまいますと、大国に勝ることが難しくなってくると思われます。それをどういう戦略で回避していくのか、少し説明が明確ではないと思いますので、そこを是非意識して、戦略的に進めていただきたいと思います。
 以上です。

【大垣分科会長】  ありがとうございます。
 松田委員、どうぞ。

【松田委員】  今、それぞれの分野の説明があって、どこにどれだけお金を使ってこうでしたという話があったのですが、全体の割り振りを行うときに、なぜここがこの額なのか。例えば、ナノテクがこのぐらいの金額、ライフイノベーションがこのぐらいの金額になったという話も、先ほどの有信先生の話に関連しますけど、教えていただけるといいなと思います。特に思ったのは、まさに今、渡辺委員がおっしゃったところで、例えばナノテク分野は、ある意味、日本の最後の生命線みたいなところがあるわりに、逆に予算はなぜこんなに少ないのかと思っていて、その辺りも含め、ほかの省庁がこういう取組をやっているから文部科学省はこれでいいとか、全体の割り振りの中で結果的にこうなったとか、そういう話も含めて教えていただけると非常に助かるなという気がします。

【田中総括審議官】  私、あまり個別の分野で発言する機会はないものですから、こういう機会に発言をさせていただきたいと思います。まさに今、それぞれの課題ごとに御説明を申し上げてしまったきらいがあって、文部科学省として、平成26年度、何を大事と思って何をやりたいんだというところの、最初のところがうまく御説明できなかったのかと思っております。具体的には平成26年度概算要求というのはこれから始まるわけですけれども、本日頂いた様々な御指摘をきちんと踏まえて、メリハリがあり、かつ全体としてどうしていくのかということが、柘植先生がおっしゃったように見える化できるような、そういうものにして、機会を改めて、どういう時期なのかというのはちょっとよく分かりませんが、いずれにしても8月末までに概算要求を取りまとめるわけですけれども、もう少し緊迫感を持った、緊張感を持ったような、そういう御説明を申し上げたいと思います。

【大垣分科会長】  ほかになければ。高梨委員、手短にお願いいたします。

【高梨委員】  すみません、次のところのアジェンダで課題に対する評価をやると思うので、ちょっと先取りになるのですが、この成果のところで書かれているようなことが、例えば航空科学技術に関する取組などに反映されていると思ってよろしいのでしょうか。

【伊藤宇宙開発利用課課長補佐】  はい。私、航空担当の者でございますが、反映させていただいています。

【高梨委員】  多分、紙面の関係で出てきていないだけかもしれませんが、例えばエンジンの要素技術については随分と進捗があったけれども、いわゆるインテグラルな形になったときに、全体システムになったときの検証が十分ではないというような、成果のところに今後の取組でやるべきと書いてあったことが、ここに出てきていないのがすこし気になりました。あと、この10ページの資料において「ALL-JAPAN」と書かれているところは、オールジャパンでもって日本発の標準か何かを取ろうという意図があるという意味でしょうか。

【伊藤宇宙開発利用課課長補佐】  「ALL-JAPAN」という意味は、それぞれのリソースを効率的に使いまして、企業の方と研究機関の方がそれぞれ役割分担を持って効率的にやることによって、限られたリソースの中でいいものを創っていこうというものでございます。

【高梨委員】  分かりました。前半の部分は?

【伊藤宇宙開発利用課課長補佐】  前半は、インテグレーション技術でございますが、最終的にエンジンを造る中で足りない部分を洗い出してやる必要があるということを踏まえ、今、確かに要素技術ではあるのですが、新しいエンジンを今後の国産機に導入できるようしていけるような研究開発というのをやっていきたいとは思っております。ただ残念ながら、費用面のこともありますので、構想はあるのですが、そこまで至っていないところでございます。

【高梨委員】  分かりました。

【大垣分科会長】  よろしいでしょうか。次の評価のところでも、航空が本日は出ます。
 ほかになければ、この件に関してはよろしいでしょうか。
 それでは、ただいま委員の方々から頂いた御意見等につきましては、各事務局において今後の施策の検討に際して参考にしていただきたいと思います。
 なお、先ほど審議官から話がありましたけど、予算の概算要求前に行う評価については、次回以降の計評分科会にて御審議いただきますので、皆様、よろしくお願いします。
 続きまして、議題(2)「研究開発課題の評価について」に移ります。本日は、中間評価1題と事後評価4題、計5題の研究開発課題の評価に関する審議を行います。
 最初に、航空科学技術委員会から、中間評価1題と事後評価3題について、説明をお願いいたします。評価票は各委員に事前に送付させていただいておりますので、必要な部分について簡潔に説明をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いいたします。

【李家委員】  航空科学技術委員会の主査をしております李家から、報告させていただきます。
 まず、お手元の資料2-1-1、横長の紙を見ていただきますと、ここに航空科学技術関連の研究開発の全体の流れが書いてあります。本日御説明いたしますのは、左側にあります、緑色で囲まれた、国産旅客機高性能化技術の研究開発、クリーンエンジン技術の研究開発、運航安全・環境保全技術の研究開発、これらの事後評価、及び一番下にあります次世代運航システム(DREAMS)技術の研究開発、この中間評価です。最後の次世代運航システム技術の研究開発はもともと3番目にありました運航安全関連の研究開発の中から出てきたものでありまして、そういう意味で、まず事後評価について報告させていただき、最後にDREAMSの中間評価について報告させていただきます。
 最初に資料2-1-2の10ページを御覧ください。この10ページ目は、事後評価の1本目、国産旅客機高性能化技術の研究開発の概要です。ここには全般が書いてありまして、左側の上の方に、目的としまして、この国産旅客機の高性能化技術のため、特に注目しているのが、低燃費化と低騒音化に資する先端技術の実証試験等を通じて、そこで得られる知見やノウハウ、蓄積データ等の技術研究成果が産業界にも活用されていくことを目的として、研究開発を行っております。
 実際の評価に関しましては、ページをめくっていただきまして12ページ目以降ですが、最初に、(1)課題の達成状況ということで、必要性としましては、昨今の地球温暖化や航空機に対する環境規制の強化といった流れの中で、安全性や経済性はもとより、環境にも配慮することが要求されています。そういった中で、JAXAがこれまで行ってきた様々な技術の研究成果を通じて、その成果が産業界で有効に活用されることが期待されています。こういった国産旅客機の実現を目指している、現在の我が国の状況を踏まえまして、必要性の観点から妥当であると判断いたしました。
 次の有効性に関しましては、平成22年度までに航空機の低燃費化・低騒音化に資する先端技術を開発し、平成24年度までに各種確認試験等に必要な技術開発を行うという目標が設定されておりましたが、各種確認試験等に必要な技術開発等は既に達成されており、有効性の観点からも妥当であったと判断しました。ただし、現在はまだ実機開発が続いておりますので、実機開発が終了した段階で、各項目個別に有効性を再確認することは、将来のさらなる航空機開発に役立つ情報を提供してくれると考えております。
 次に効率性ですが、これは、国産旅客機の開発メーカー、関係行政機関との連携を適切に行ったと判断しております。一方で、外部の開発機関等の外部要因によるスケジュールの変更もありまして、その辺りに関する事前の対策がとられていなかったことは反省すべきとしております。13ページにございますが、資金計画といたしましては、既に国産旅客機の研究開発に今回の成果等が多数利用されていることに鑑み、妥当であると判断しております。
 以上、本事業の課題達成度としては、妥当であると結論付けております。
 13ページ真ん中の(2)成果ですけれども、本事業は、先ほど申し上げました国産旅客機の安全性や環境適合性を評価し、さらには型式証明を取得するための試作機の飛行試験や強度試験等を実際に行って、全機インテグレーション技術をまとめ上げる重要な課題であり、そのための様々な試験技術や計測技術、及び評価技術の確立を行いました。14ページに移りますけれども、こういった各研究課題について、得られた成果は妥当であり、全ての目標は達成したと判断しております。
 (3)の今後の展望といたしまして、こういった本研究開発で培われた様々な知見について、次の全機開発の時点でも有効に活用できるよう、ノウハウの整理ですとか知識伝承も是非行ってもらいたいと考えております。さらに、コスト的にも、効率的にも、よく効率を上げて製造を行っていくこと。それから、実際に飛行機が飛ぶようになり、運航上の整備のサポート体制も考えるような、そういった研究開発体制もとってほしいと指示しました。また、今後増大する航空需要に対応する際、一番問題になるのが騒音問題ですので、現行や次世代の航空機の騒音低減に資するような研究開発について、推進していく必要があるとしております。
 以上が最初の事業です。
次に、ページをめくっていただきまして16ページ目、横長の紙で、クリーンエンジン技術の研究開発の概要です。左上に目的が書いてあります。航空エンジン技術の研究開発を通じて、我が国の航空エンジン産業が目指す高度なエンジン全機開発能力及び今後の環境基準強化に対応できるような先進的エンジンの環境技術を獲得し、その成果を産業界に移転することで、我が国の航空エンジン産業界の開発能力の確保と国際共同開発における地位向上に貢献することを目的としています。
 ページをめくっていただき18ページの事後評価票ですが、最初の課題の達成状況ということで、必要性としましては、先に申し上げたとおり国産エンジンの実現を目指す我が国の状況を踏まえた研究開発であり、特に環境規制への対応は突破すべき大きな課題ですので、必要性の観点から課題設定は妥当としました。
 有効性に関しましては、騒音低減や排気ガス関連の低減といった具体的な目標が適切に管理されており、研究開発の進捗状況も適切であったことから、有効性の観点からも妥当としました。ただし、先ほども御指摘がありましたとおり、この研究開発成果を生かした国際競争力のあるような航空機用国産エンジン開発の具体的なビジョンがまだ描けてない状況ですので、こういった点は十分認識して、将来的な計画では、高環境適合新エンジン開発につなげるべきであるといたしました。
 次に効率性ですが、これは、国産エンジンの開発メーカーや関係行政機関等の連携を適切に行っています。また、開発メーカーと連絡調整を行いつつ、適切に成果が反映されるロードマップを作り上げ、進捗状況の確認も組織的に管理されているとともに、資金計画に関しても、優先度をつけた整備を行ったように、コストの低減等も実現されておりますので、そういった面で、効率性の観点から妥当であったとしました。
 以上より、評価結果としまして、必要性、要素技術研究開発の有効性、効率性ともに妥当で、適切な研究開発が設定されており、目標は達成されて、本研究開発は終了することが妥当であると判断いたしました。ただし、これも繰り返しになりますが、市場投入できるエンジン開発という課題が残っていることは十分認識してもらい、将来の研究開発においてその使命に対応すべきであるとしました。
 19ページ真ん中の(2)成果ですが、ここでは三つ挙げてありまして、低NOX燃焼技術、低騒音化技術、低CO2技術ですが、それぞれ国際的な基準値である、ICAOのCAEP4の基準値ですとか、ICAOの騒音に関する基準値、そういったものに対する目標値を設定して研究を行いましたが、それぞれ目標値を上回る成果を上げており、目標は達成できたと判断いたしました。20ページの真ん中、成果については、今申し上げたように、当初の目標を達成し、必要な成果が上げられたと判断しております。繰り返しになりますが、ここでも、エンジン全体、実機エンジンにインテグレートされたときのことを考えると、個々の技術は今回の課題でかなりのレベルを達成しておりますが、エンジンにインテグレートされたときに本当に発揮できるか、そういった面での検討も今後必要であると、述べております。
 最後の今後の展望ですが、世界的な環境保護への関心ですとか、国際規格との関連でエンジンを造っていく、そういった面で、今後、JAXAは積極的かつ主体的な参画をしながら、国際的にも、例えば、国際規格の制定に取り組んでいってもらいたいということです。
 以上が、2番目のクリーンエンジン技術の研究開発です。
 ページをめくっていただき22ページ、3番目の事後評価ですが、運航安全・環境保全技術の研究開発の概要として、左上に2点の目的が挙げられています。1点目は、国内の運航会社と連携して「ヒューマンファクタ安全向上ツール」を開発し、その普及を図って運航安全へ寄与すること。もう一つは、乱気流の事故の予防・抑制に貢献するために、ライダーと呼ばれる光を利用した遠方の風速測定装置を開発して、それを乱気流事故の予防・抑制に用いるといったことを目的としております。
 ページをめくっていただき、事後評価に関してですが、24ページになります。課題の達成状況の必要性としましては、これからも航空機による輸送量はますます増加が見込まれますので、さらなる事故率の低減を図るための研究開発としまして、これらの点は社会的な要請が強く、国が関与して、積極的に進めていかなければならないと考えられます。そういった意味で、1点目のヒューマンエラーの防止は、航空安全の確保において大きな課題になっているということ。それから2点目の、乱気流を検知して事故を防ぐという面でも、ライダーと呼ばれる風速測定装置が強く求められております。そういった意味で、必要性の観点から、本課題設定は妥当であったと判断しております。
 2番目の有効性に関しましては、先ほど申し上げたヒューマンエラー関係の各種ツールの開発、それを実際の運航会社での普及を図る努力が多くされております。また、ライダー技術についても実用に近いところまで開発が進められており、有効性が認められております。
 3番目の効率性に関しましては、25ページに移りますが、先ほども申し上げましたが、ユーザーとなる国内の運航会社、航空機を使用する行政機関のニーズを的確に取り入れている研究を行っており、また、仕様も決めた上で産業界と共同で研究開発を実施しておりまして、この実施体制は妥当であったと判断しております。総予算規模についても、JAXAが達成したライダーの技術に関しては、世界唯一の成果と考えており、そういった点に鑑み、資金計画は妥当であったと判断しております。
 以上、必要性、有効性、効率性ともに妥当であり、適切な研究開発計画が設定され、本研究開発は終了することが、妥当であると判断いたしました。
 25ページの下の方の成果に関してですが、最初の点、ヒューマンエラーの防止に関しては、日常運航再生ツールといったものを開発し、運航会社に使用してもらって、実際にヒューマンエラーの防止に役立てております。我が国の航空会社でも、幾つもの航空会社が導入しており、運航会社からの改善提案等に対する対応も的確に実施しており、目標設定に対して十分な成果が得られたとしております。
 26ページ2番目の乱気流検知装置の実現という点では、航空事故の半分程度は、乱気流が主要因となっており、非常に長い距離の有効レンジを持つライダーを開発したということ。それから、特にこのライダーに関しては、ボーイング社と共同研究も行っており、JAXAの研究成果が、将来ボーイング機に採用される可能性もあり、航空利用者の安全向上に直接寄与し得るものと評価しております。
 以上から、研究開発を順調に進め、得られた成果は妥当であり、全ての目標を達成し、さらに社会貢献度の高い波及効果が得られたといった点は、高く評価しております。
 今後の展望としましては、世界最高性能のライダー技術に関しては、次の段階として、乱気流事故防止システムとしての本当の実用システムの研究に発展させ、実用的に使えるレベルに持っていくべきであるとしました。2点目としまして、先ほどのエンジンとの関連もありますが、航空機、機体のインテグレーションという意味でも、ライダーのような装備品関係、これに関して、まだまだ海外の専業企業が独占している状況もありますので、装備品まで含めた航空機システムを、我が国において開発できるようにするため、JAXA内での検討が必要であるといたしました。
 以上が、事後評価の3件です。
 申し訳ありませんが、4ページに戻っていただき、中間評価です。横長の紙で、次世代運航システム技術の研究開発の概要とあります。そこの左上に同じく目的を書いておりますが、現在、国土交通省が推進している「将来の航空交通システムに関する長期ビジョン(CARATS)」があり、この実現のためにJAXAで次世代運航システム(DREAMS)を提案しております。このDREAMSにおいて、空港容量の拡大、就航率の向上、低騒音運航ですとか、防災・小型機運航の技術といった技術を獲得することを目的としております。
 ページをめくっていただき、最初に御説明いたしましたとおり、この課題は平成16年に開始され、平成20年度に中間評価が行われました運航安全・環境保全技術の研究開発の二つの研究開発項目の一つを独立させたものです。
 この中間評価の課題の進捗状況について、必要性としまして、DREAMSプロジェクトは、まず、産業界等の外部機関の成果の利用の促進を図って、メーカーに対する技術移転を行うとともに、キー技術を国際規格団体へ提案することを目的とし、我が国においては、民間航空機運航の規模が非常に大きいですので、国際的な貢献に資するということもあり、十分な意義を持つ、妥当なものと判断しております。
 有効性としましては、衛星航法、データリンク、航空機搭載アビオニクスの機能を最大限活用し、技術開発と飛行実証を行って、成果をまとめて国際機関に基準を提言するとの目標設定がなされており、現在、十分な成果が得られつつあると判断しております。
 7ページ目に移っていただき、効率性ですが、航空機の運航に関わる行政機関、それから同様の取組を行う外国政府や国際機関とも適切に連携を行っており、それぞれが得意とする分野を持ち出して連携協力しながら、重複のない、効率的な研究開発を行っていると判断しております。こういった点を考え、関連機関との連携、ユーザーのニーズ等を踏まえた設定・管理がなされており、効率性の観点からも妥当であると判断しております。
 8ページ、最後のページに移っていただき、評価結果といたしましては、必要性、有効性、効率性ともに妥当であり、本研究開発を着実に実施していくことが妥当であると判断いたしました。
 (2)の各観点の再評価と今後の研究開発の方向性ですが、必要性の再評価といたしまして、我が国は現在、ロー・コスト・キャリア、LCCと呼ばれる運航会社が多数登場しており、航空交通の需要は、ますます伸びることが予想されております。そういった意味で、ここで取り上げております運航・安全システムの研究開発は、JAXAが取り組むべきテーマであり、必要性はさらに高まっていると判断いたしました。
 有効性の再評価といたしましても、ここでの研究開発は、空港容量の拡大、就航率の向上、運航効率・安全性の向上に直結する成果を出すものと考えており、本研究の目標の有効性は変わらないと判断しております。ただし、毎年のように航空交通量が変化している中で、常に本研究開発の目標が適切なものになるよう、計画の進捗を確認していくことが望まれるといたしました。
 効率性の再評価に関しましても、産学官の広範囲な連携は、今後も積極的に進めるべきで、今後の研究開発の方向性に関しましては、本研究開発の開始後の状況変化によって、災害時対応という点も非常に重要性を増しております。こういった状況変化に対して、柔軟に対応できるような体制作りと、研究計画の変更を常に心掛けるべきであると考えております。それから、国土交通省が主導しておりますCARATSが目指している空港周辺での高密度運航に貢献する様々なキー技術、これに関しては、国際規格団体に提案することが、我が国の航空交通システムの発展や産業界の強化につながりますので、その辺りのことを考え、成果を生かす活動に力を注ぐ必要があるとしております。
 最後に、その他といたしまして、今申し上げた国土交通省が主導するCARATSとの連携がこの研究に関しては必須と思われますので、省庁の垣根を越え、一体感を持って実施していくべきと考えております。
 以上でございます。

【大垣分科会長】  多数の題目、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。いかがでしょうか。
 五十嵐委員、どうぞ。

【五十嵐委員】  先ほどの高梨委員からの御質問にもあったように、それぞれの研究はかなりの成果を上げられたと思うのですが、その他に書いてあるとおり、今後どのように生かしていくのかという点が一番重要かと考えます。そういう意味で、継続される研究などが、今後の26年度の取組に入るのかどうか、私も気になります。ここに書かれましたように、産業界とどうやっていくのか、JAXAさんとして何ができるのかというお話をもう少しお聞かせいただきたいのですが。

【李家委員】  本日の4点の研究開発課題に関して、終了いたしました三つの研究課題、最初の国産旅客機高性能化技術に関しましては、先ほども御説明しましたように、実機開発自体は産業界の方で進んでいます。その中で、さらに次をにらんで、環境性を高める、安全性を高めるといった面で、特に環境と安全をキーワードとして、次の研究開発をJAXAが進めようとしている状況です。その一つの環境技術の中で、航空機の機体に関しては、例えば騒音を低減させることがあります。離着陸時に空港周辺での音がうるさいのは、エンジンだけではなくて機体も音を出しますので、その辺のところを低減するという意味で、今回終わった研究開発課題の成果を使いながら、さらに拡大する状況で、新しい機体開発に騒音低減技術が活用できるようJAXAが尽力していくと、そのように理解しております。
 それから、エンジン関係でも、やはり低騒音化が重要になってきていますが、先ほど伊藤課長補佐から御説明あったように、航空機の機体の方は、実機開発が国内でも進んでいますが、エンジンの方は、まだ国内でできるところに行っておりません。そういう意味では、この技術が実機のエンジンに適用できる状況は、機体より遠いと考えておりますが、これも将来をにらんで、常にインテグレーションできるよう進めていくと、そういったことで次の研究開発を立ち上げていると理解しております。
 最後の運航安全に関しましては、まだDREAMSが続いておりますし、そのほか、事後評価の3番目の運航安全技術の方の研究開発で出てきたライダー関係が、実用化に向けて進められているところですので、その点をにらんだ研究開発を続けていくと、そういった研究課題が立ち上がっていっていると理解しております。
 以上です。

【五十嵐委員】  御丁寧な説明をありがとうございます。そういう意味で、26年度の取組の御説明の中に、全体の背景であるとか、国際的に日本の航空研究がどの位置にあるというような御説明が、もう少し入って展望が見えた方がいいかと。若干、項目が並んでいるだけに見えましたので、質問させていただきました。

【李家委員】  御指摘ありがとうございます。26年度の取組に関して、今、御指摘いただいたようなことが最初に挙がっていればよろしいと。

【五十嵐委員】  はい。

【李家委員】  どうもありがとうございました。

【大垣分科会長】  どうぞ。

【小池委員】  事後評価のところの今後の展望を見ると、今後、何をしていくかに関して、かなり具体的なことが書かれているのですが、これは一体どのように進めていくつもりなのか。先ほどおっしゃっていました、エンジンの開発そのものまでは、日本ではなかなかできていないと。個別のところだけやっても、ここでストップしてしまう、その間にまたギャップが出てくるわけですね。ですから、全体の流れの中でどれをどうやっているのかがいまいちつかめないので、その辺りを少し説明していただければと思います。

【李家委員】  まず、機体の方に関しては、具体的な名前を申し上げると、三菱航空機が現在開発しているMRJに対する、技術適用ということになります。JAXAといたしましては、単に一企業が、現在開発しているものに資する研究開発をする機関ではありません。さらにその先をにらんだ次の旅客機開発に使えるよう、常にメーカーとその辺りを協力・連携しながらやっていくということで、JAXAの方である程度レベルの高いところまで研究開発したものを造っておき、実際に次にメーカーが機体開発するときにそれを使っていくという流れになると思っております。
 エンジンの方ですが、国産で、国内メーカー単独でエンジンを造る計画というのは、今はありません。ただし過去に日本のメーカーも参画しましたが、国際共同開発として欧米のエンジンメーカーと日本のエンジンメーカーの、3、4社が一緒になってエンジンを造ったことがあります。そういった国際共同開発エンジンというのが現在も多数飛んでおります。次にそのようなエンジンが出てきたときに、例えば、ここで挙げられているJAXAがやった研究開発、それが、日本の国内エンジンメーカーの方で実際の実用的な技術として持てるようになれば、それを使って国際的な枠組みの中でより発言力を持って参画でき、ある意味ではシェアを高められると、そういった方向でエンジンメーカーは考えていると思います。ですから、JAXAに関しても、そういったことに資して、我が国の航空宇宙、特にエンジンの研究開発能力を高めておくことは、重要なことではないかと、そのように思っております。

【大垣分科会長】  時間が大分オーバーしているものですから、簡潔にお願いいたします。

【松田委員】  基本的な質問なのですが、アビオニクス技術の蓄積がなかったということが、結構厳しく書かれているのですが、これはどういうことでしょうか。

【李家委員】  航空機の場合は、特に、欧米のメーカーがある程度独占しているような状況がありまして、そこに新たな日本のメーカーがアビオニクスを造っても参入できないような状況が多々あります。そういう意味で日本のメーカーが欧米のメーカーの下請け程度になっていたということを背景として述べております。

【松田委員】  ありがとうございます。

【大垣分科会長】  ほかにはよろしいでしょうか。
 それでは、先ほどの五十嵐委員の御指摘は、後で少し書き加えられますか。

【李家委員】  事務局の方でやっていただいた方がいいと思います。

【大垣分科会長】  それでは、先ほど頂いた御意見を基に事務局において修正をしていただいて、主査の李家委員と私とで確認した上で本分科会として決定したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【大垣分科会長】  それでは、異議なしということで、そのようにさせていただきます。どうもありがとうございました。
 続きまして、原子力科学技術に関する研究開発課題の評価についてであります。原子力科学技術委員会から、事後評価1題について、説明をしていただきます。
 よろしくお願いします。

【増子原子力課長】  原子力課長の増子でございます。資料2-2-1に基づきまして、御説明いたします。
 原子力科学技術関係の評価対象のプログラム、6件ございます。そのうち、今回、評価対象になりましたのは、一番下の青枠で書いてございます研究開発段階炉等の廃止措置技術の研究開発ということで、事後評価でございます。
 資料2-2-2を御覧ください。4ページ目にございますが、ポンチ絵に沿って御説明させていただきます。
 まず、1.の背景と2.の事業概要をまとめますと、この研究開発は、日本の原子力施設において、将来発生する膨大な放射性廃棄物を、安全かつ合理的に処理・処分するために、平成21年度から23年度まで、3か年かけまして、現在も廃止措置中でございますが、新型転換炉の「ふげん」を用いまして、放射性廃棄物の低減化及び必要コストの最小化に有効な放射性物質の除染技術の研究開発を行ったものでございます。
 研究開発の内容は、3.に記載したとおり、除染技術の研究開発と元素分析調査及び評価でございます。詳細につきましては事後評価票に記載しておりますので、次の4.の成果のところを御覧いただきたいと存じます。
 まず、除染技術の研究開発の成果でございますが、「ふげん」の設備・機器の状況に応じまして、クリアランスレベルに除染できる除染技術として、物理除染と化学除染の除染性能を把握するとともに、「ふげん」の廃止措置に伴い発生いたします放射性廃棄物を除染することによる経済性効果を試算いたしました。その結果、除染による経済性につきましては、「ふげん」の特に復水器、これは1,000トン近くございますが、これを対象に試算したところ、物理除染と化学除染の大きな差はございませんでした。ただ、「ふげん」の廃止措置に伴う金属解体物、これは5,000トン近くございますが、これに除染を適用した場合と除染しない場合を比較した場合に、除染した場合にはトータルコストとして2割程度削減できたという結果が出ております。
 また、元素の分析調査・評価でございますが、コバルトに着目いたしまして、金属表面等の残留核種の放射能濃度を測定することで、クリアランスレベル以下を判断できる可能性がある、ということを示したところでございます。
 以上により、当初の計画は、達成されたという評価を頂いたところでございます。
 なお、今後の対応としましては、個々の事業者で情報を閉じることなく、より安全・効果的な除染技術の確立に向け、さらなるデータの充実、さらには共有化を図る観点から、引き続き成果の公表等をしっかり行っていくと同時に、国民の関心の高い分野でございますので、廃止措置プロセスなどを、今後とも分かりやすく説明できるよう対応していきたいと考えてございます。
 以上でございます。

【大垣分科会長】  それでは、ただいまの説明に関しまして、御質問等はございますか。いかがでしょうか。特にないということでよろしいですか。
 吉川委員、どうぞ。

【吉川委員】  一つ質問ですけれども、ここで開発されました除染の技術は、特定の原子炉施設に適用できるものと理解したらいいのか、それとも、例えば世界中で同じ問題が発生したとき、日本で開発した技術が広く使えますよ、ということで理解したらいいのか、どちらでしょうか。

【増子原子力課長】  これは「ふげん」という新型転換炉を用いたものでございますが、今後、日本だけではなく、多くの国で廃炉が進んでいくということになりますので、この除染技術は、かなり幅広く適用できると考えております。そういう評価が得られております。

【吉川委員】  そのあたりは広く、日本国内だけではなく、世界に発信するというのが必要かと思いました。

【増子原子力課長】  はい。今後、国際学会等でも発表できるようにしていきたいと思います。

【大垣分科会長】  ほかによろしいでしょうか。
 それでは、特に修正はないものとみなして、ただいま御審議いただいた評価案につきまして、本分科会として決定したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【大垣分科会長】  それでは、異議なしということで、分科会として評価結果を決定することにいたします。ありがとうございます。
 それでは、時間が大分ずれ込んでおりますが、議題(3)であります。平成25年版科学技術白書についてであります。資料の説明をお願いいたします。

【木村科学技術・学術戦略官】  それでは、お手元の資料3、A3の大きな紙で御説明させていただきます。平成24年度の科学技術の振興に関する年次報告、通称「平成25年版科学技術白書」でございます。お手元に、ちょっと大部でございますが、カラーでお配りをしているものでございます。本日は、本体を横に置きまして、このA3の紙で御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、位置付けでございますが、科学技術基本法の8条に政府が科学技術の振興に関して講じた施策を、国会に毎年報告するということが定められてございまして、この条文に基づき報告を作成し、国会に提出しているところでございます。
 この冊子でございますが、全体としまして、1部と2部の2部構成になってございます。2部につきましては、文部科学省のみならず、他の省庁を含めた政府全体で、科学技術に講じた施策をまとめたものございます。本日は、第4期の基本計画に沿った取りまとめについて、第2部の説明は割愛させていただきたいと思います。
 第1部につきましては、テーマを「イノベーションの基盤となる科学技術」と題しまして、喫緊の課題であります経済再生を目指し、科学技術の成果を社会的、あるいは、経済的な価値に結び付けるイノベーションの実現に向け、その基盤となる科学技術、科学技術が何を行うべきか、課題及び改革の方向性をまとめることを主眼としております。
 今回の特徴としまして、冒頭に特集を二つ、大きく組んでございます。一つ目の特集は、左側のページの中段でございますが、科学技術を通じた東日本大震災からの復旧・復興の取組でございます。大震災から2年がたちますが、いまだ現地では、復旧・復興が進まない状況でございます。そんな中で、一部、科学技術が、復旧・復興に役立っている現状がございますので、その現状について、いくつか例を挙げて御紹介しているところでございます。
 特集の二つ目は、ヒトiPS細胞等を活用した再生医療・投薬の新たな展開でございます。山中先生がノーベル賞を受賞され、その後、政府を挙げて大きな予算をつけ、研究が進んでいるところでございますが、まだまだ基礎研究でも、iPS細胞がなぜできるのか、あるいはがん化する危険性についての機構解明等、進んでないところがございます。基礎研究から創薬又は臨床研究までの一貫した体制、こういった政府の取組について、文部科学省のみならず、厚生労働省、経済産業省、3省協働で実施している状況について、課題、今後の計画及びめど等についてまとめているところでございます。
 右側のページに行きまして、本文でございます。本文は、先ほど申し上げましたとおり、第1章、第2章の2章構成になっております。第1章では、IMDの国際競争力ランキングを取り上げるほか、今世紀に入ってから、日本で多くのノーベル賞の受賞者が出ていること、あるいは、大学ランキング等を取り上げまして、基本的な指標を基に、現在の我が国の科学技術を取り巻く状況について概観しております。
 続きまして、右側の下、第2章につきましては、「科学技術でイノベーションの可能性を拓くために」と題しまして、4本の柱を立てて、四つの観点から検討を行っております。一つ目の観点が、研究開発活動の活性化でございます。我が国においては、新興・融合分野の取組及びハイリスクの研究に対する取組等が、十分でない状況を取りまとめ、今後そのような観点から、研究を進めていく必要があるというような、今後の改革の方向性を取りまとめております。右側のグラフでございますが、イギリス、ドイツ、日本の例を挙げ、一番下の水色の部分が、国内論文、それぞれの国の研究機関に所属する研究者だけで書かれた論文です。これについては、20年前から、この三国でそれほど差もなく、また年の変化もあまり見られないのですが、オレンジ色又は緑色の棒グラフの部分は、二国間、あるいは、三国以上の研究機関に所属する研究者によって書かれた論文で、イギリス、ドイツでは、非常に大きな伸びである一方で、日本の伸びは小さい。そのために、伸びてはいるのですけれども、相対的にはシェアを落としていることを示しています。このデータはトップ10%論文について、まとめたものでございますが、このような状況をまとめてございます。
 裏面の左側上段でございますが、イノベーションを実現するための創造的、独創的な研究開発に適した環境でございます。様々な課題がございますが、例えば、若手研究者の能力が発揮できる、自立的な研究環境が十分でないこと。あるいは、研究者一人当たりの支援者数が、他の国と比べて非常に少ないこと。これは右側のグラフでございます。あるいは、評価を研究者の処遇や資金配分に反映するシステムが必ずしも十分でないようなこと。こういった現状から、これらの観点について、今後取り組む必要があるとまとめてございます。一つ、イノベーションに科学技術の成果をつなげるという観点から、左側の中段やや下でございますが、革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)というものを当省で今年度から始めることにしております。この制度によって企業だけでは実現できない革新的なイノベーションを産学連携で実現することにより、大きな期待が得られるということも含めて、記述をしているところでございます。
 下段でございますが、3本目の柱、国際研究ネットワークの構築でございます。右側、スペースの関係で、一つの図しか描いてございませんが、10年差を置いたこのような各国の科学技術出版物を表す円の大きさ、それから共著論文のつながりを表します各国間を結ぶ線、このグラフを掲示しております。この10年間で、中国は非常に大きな円になってきたこと。それからヨーロッパ諸国とアメリカをつなぐ線が非常に太く密になってきている状況。その中で日本については、10年たってもあまり変わらないような状況です。これを比較することにより、国際研究ネットワークから孤立する懸念がみえます。今後、国際研究ネットワークを構築し、共同研究あるいは共著論文等を活性化していく必要があるということを記載してございます。
 右側に参ります。4本目、最後の柱でございますが、科学技術イノベーション創出のための人材育成でございます。イノベーションの実現に貢献する人材について、確固たる育成方法というのは確立されていないところですが、備えるべき能力や育成手法については、様々な試行錯誤の取組が、各大学で始まっておりまして、少しずつ共通認識が浮かび上がっている状況でございます。本日お越しの堀井先生の取組等もその事例として紹介させていただいております。今後、その他大学等の人材育成の参考にさせていただくべく、記載をしているところでございます。
 右側下、最後でございますが、第2節といたしまして、我が国における科学技術イノベーション政策の動向について、まとめております。総合科学技術会議、あるいは、本科学技術・学術審議会におきまして、様々な科学技術の振興及びイノベーション実現に向けた取組の強化について、報告がまとまっておりますので、その状況について取りまとめております。
 以上でございます。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御意見あるいは御質問等ございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。
 どうぞ。

【甲斐委員】  平成24年度のこの1枚紙は、こちらにある白書をまとめたものだという意味でしょうか。

【木村科学技術・学術戦略官】  はい、概要でございます。

【甲斐委員】  このような立派なものができておりますので、もう十分検討されたことでしょうし、これについて、何か意見を言う場ではないとも思います。意見というのではないのですが、このまとめた1枚紙が、若干気になると思いました。日本の中でも、経済産業省や、厚生労働省などと違って、文部科学省が本気で担っているのは、やっぱり学術の芽ですよね。シームレスで最終的には、イノベーションになるかもしれないけど、学術の芽を育てるというのが一番の役割ですよね。でも、このA3版を見ると、経済産業省が作ったような、イノベーションへまっしぐらというまとめ方に見えてしまうのですね。
 まとめ方が気になるのは、科学技術政策研究所が出されているデータを示されていますが、いいところだけ取って、そうではないところが漏れているような気もします。例えば、裏のページの2番から行きますと、イノベーションを実現するための創造的、独創的な研究開発に適した環境として、1番は、若手研究者の能力が発揮される自立的な研究環境と、ここは何項目か挙げて、どれも重要ではあると思います。しかし、現場で一番感じるのは、4番なのですね。時間がなくなっているですとか、研究環境がよくないということが大きくて、日本は、ここのところの政策で、何とか若手支援というのをやってきているのですが、いろいろな理由から時間がなくなって、支援者もいないというのは、すごく大きなことですね。そういうことに対して、では具体的にどうするかが、本体を読めば書いてあるのかもしれないのですが、方向性がちょっと見えないのですね。例えば、研究環境の対策として、リサーチ・アドミニストレーションシステムの整備、あちこちでリサーチ・アドミニストレーターを置くのがよろしいとか書いてあるのですが、実際、現場にいると、そういうことではない。すばらしいリサーチ・アドミニストレーターが大学に一人来られて、その方向性を審議してくれることを求めているのではなくて、現実問題として、他国と比べてテクニシャンが全然いないとか、もっと細かいことがすごく足りない。全体的な伸びが後れているとあちこちに書かれていますが、これも科学技術・学術に対するお金が、日本は1.1倍ぐらいに対して、どこの国でも1.4倍ぐらい上がっていると、大きな伸びの開きがあって、明らかにお金もなくなっていて、時間もなくなっていて、その割には貢献しているというのが実感です。
 国際的な共著論文が少ないというのも、地理的なことを考えればもちろんそうですし、EUの中にいますとEU間がすごく近いことを感じます。もちろん国際共著論文を増やすということをうたってくださるのはいいですが、具体的な方策はというと、外国から研究者を呼ぶ環境を創るとか、留学生を出すとか、そういうことだろうかという気がします。それよりも、もっと今の研究環境をよくしてくださった方がいいのではないか。山中さんを必ず出されますけど、山中さんの論文が共著論文だったのかとか、イノベーションのシームレスを最初から考えて、経済活性を考えてやった研究ではないですよね。本当に学術の興味に根ざして始めていった研究ですし、日本発で出た研究です。
 ですから、たくさんの問題を列挙いただいて、それぞれみんな当たっていると思うのですが、出口として、研究環境をよくして、文部科学省として何を担うのかをうたっていただきたいと思います。白書を読めば、どこかに書いてあるのかもしれませんが、方向性のまとめ方として、経済に資する、イノベーションに資するための研究を文部科学省が担うというより、その芽を育てるという方向性を、強く打ち出した発信の仕方をしていただけるとありがたいと思います。

【木村科学技術・学術戦略官】  まず、白書の性格でございますが、冒頭申し上げましたように、政府が科学技術の振興に関してこうした施策を取りまとめることでございまして、何とか分野の推進方策ですとか推進計画といったものではないということは、御理解を頂ければと思います。既に行われている状況をデータとしてファクトで示すというものが白書の性格でございまして、ばらばらに散らばっているできるだけ多くの客観的なデータを集約して、全体を見るとこういう状況が概観できるのかと、そういう一助になるのが、一番大きな性格であると御理解いただければと思います。
 問題はその次でございまして、そのデータを見て、さてどうするかというところは、これからの話でございまして、それは、各機関あるいは行政において、このデータを基に今後取り組むべき方向というのは考えていく必要があるかと考えております。

【大垣分科会長】  簡潔にお願いいたします。

【五十嵐委員】  申し訳ございません。私も甲斐委員と同じことを感じまして、今の御説明を伺ってさらに不安になったことがあって、この報告書、白書を見て政策を考えるのなら、なおのこと、その部分が抜け落ちていくのではないかという印象を持ちました。実際にこの白書を拝見して、おっしゃったように2部構成になっておりまして、第2部は文部科学省だけでなくて各省庁が関連した施策ということで、省庁の壁がなくなるのは、大変結構なことなのですが、最初の特集を除きますと2部の方が大きくて、文部科学省のプレゼンスというのは非常に少ない上に、イノベーションのことしか書かれていないと思いました。その点は、非常に不安に思いましたので、本年の報告書はできておりますが、そのあたりのことは、委員の意見として収めておいていただきたいと思います。

【木村科学技術・学術戦略官】  済みません、ちょっと御説明が至らなかったかもしれませんが、この報告書全体が、文部科学省のみならず、各省を含めた政府全体で講じた施策の報告書となってございます。

【五十嵐委員】  その点は、白書の意味・役割については、十分ではないかもしれませんが、理解しているつもりです。だた、その中で、文部科学省の部分にどういうことが書かれているかという点についての意見として述べさせていただきました。失礼いたしました。

【木村科学技術・学術戦略官】  理解いたしました。
 それから、1点でございますが、このタイトル及び中身でございますけれども、イノベーションという言葉は使っておりますが、あくまでも論じているのはその基盤となる科学技術でございます。この要約の仕方が、理解いただくのに若干適切でなかった面もあるかもしれませんが、論じておりますのは、イノベーションではなく、イノベーションの基盤となる科学技術の課題について取りまとめるとともに、改革の方向性がにじみ出るような形で書く努力をしているという状況でございます。

【松田委員】  今おっしゃられた点は、実はすごく重要で、要するに研究者が地道にいろいろなものを積み重ね、いろいろな発明をして、研究をされたというところは、大事なのですけど、それを社会的に実現させるプロセスそのものがイノベーションなので、イノベーションのベースとなる科学技術のところに重点を置くのでしたら、そこは明確にしないと、こういう書き方をすると、大学で行われていること全てがイノベーションみたいなイメージで受け取られかねないのではと思っています。今のTOR理論とか、イノベーション理論とか、産業創出とか、そういった観点でのイノベーションというのはあくまで、ベースとなるサイエンスがあって、実現する過程が一つのイノベーションなので、その辺りが少しごっちゃになってしまっているという印象を、今の話を聞いて余計に受けてしまったところがあります。

【木村科学技術・学術戦略官】  ちょっと戸惑うところでありますが、あくまでもイノベーションの基盤となる科学技術についてまとめたものであると、御理解いただければと思います。

【大垣分科会長】  2部の第4章には基礎研究という章も立ててはありますから、全体として、この取りまとめはやや、特にイノベーションの基盤となる科学技術というところに焦点を当ててまとめてあると、そういう理解でよろしいですね。

【木村科学技術・学術戦略官】  はい。

【大垣分科会長】  今の御指摘も重要なところでございます。
 ほかになければ、ここまででよろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。
 続きまして、議題(4)、部会等からの報告事項についてであります。報告事項が2件ありまして、一つ目はHPCI計画推進の在り方に関する検討ワーキンググループの中間報告、二つ目は「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」改定に向けての基本的方向性についてであります。
 それでは、事務局から報告をお願いいたします。

【下間情報課長】  お時間を賜りましてありがとうございます。今後のスーパーコンピュータの開発・整備・利用について、有識者会議からの報告が出ておりますので、この機会に、簡単に御説明申し上げたいと存じます。資料は、資料4-1-1から4-1-3まで、それぞれ1枚紙になっておりますが、これに沿って御説明申し上げます。
 ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ、スーパーコンピュータの開発・利用につきましては、HPCI計画ということで、文部科学省として推進しており、今後10年程度を見据えたHPCI計画推進の在り方に関する検討のためのワーキンググループを昨年2月に設置しまして、これまで18回のワーキングを開催しております。パブリックコメントを経て、去る6月25日に中間報告が取りまとまりましたので、その内容について御説明申し上げます。
 資料4-1-2が中間報告の概要となっており、スーパーコンピュータによるシミュレーションが、理論、実験と並ぶ第三の科学的手法として、サイエンスの振興や産業競争力の強化、安全・安心な国づくりといったものに不可欠な基盤として、その重要性はますます増加しております。国際的にもスーパーコンピュータの開発・利用が積極的に進められている状況です。アメリカ、ヨーロッパでは、2020年頃にエクサスケール、すなわち京の100倍の性能を持つスパコンの実現に向けて、研究開発を進めており、先日のランキングでは中国が1位を獲得しました。1位となった中国のスパコンは、中央演算装置(CPU)は米国製のものを利用しながら、中国の独自技術も組み合わせて高い演算性能を達成したものですが、中国では、CPUの自主開発も進め、エクサスケールの実現に向けて計画的に研究開発を推進しているという状況があります。
 その中で、我が国としても、「京」で蓄積した技術・経験・人材を適切に維持・発展させていくことが重要であり、現在「京」は、分子レベルから心臓全体を再現すること、あるいはものづくりの設計・開発の大幅な効率化などで画期的な成果を上げつつあるところです。今後、さらに能力の高いコンピュータを開発することで、効率的な新薬の設計や、地震発生から津波、避難、復興対策までを統合した広域複合災害対策の実現といった多くの社会的・科学的課題の解決が期待できます。また、新たな課題として、経済・金融、伝染病の伝播など、社会科学の分野でのスパコン利用や、ビッグデータ処理といったことへの対応も重要であります。また、産業界ではまだまだ、こうした最高水準のスーパーコンピュータを使いこなす状況にないわけですが、スパコン利用のニーズそのものは、大変高いので、今後、さらなる裾野の拡大のため利用促進策が重要であります。
 裏に参りまして、そうした中で、今後のスーパーコンピュータの整備の在り方については、トップレベルやその次のレベルのスーパーコンピュータを複層的に配置して、全体として世界最高水準のインフラの維持強化が重要であります。そうした世界トップレベルの性能を持つリーディングマシンを、国として戦略的に整備することが重要であります。長期的な計画を策定し、戦略的に全体的な計算科学技術システムの整備を進める中で、リーディングマシンについては、国内で継続的に開発を行い、世界トップレベルの高い計算能力を持ち、幅広い分野をカバーする一つのフラッグシップシステムを整備する。「京」は幅広い分野をカバーするフラッグシップとなるスーパーコンピュータですが、それに代わる一つのフラッグシップとなるシステムと、そのフラッグシップシステムを支える特徴的な複数のシステムを組み合わせて全体として計算性能を高めていくことが重要であります。このフラッグシップシステムについては、2020年頃までにエクサスケールのコンピューティングの実現を目指し、その詳細については、開発主体候補である理化学研究所からのヒアリングを踏まえて、今後具体化を図ってまいります。また、フラッグシップシステムを支える複数のシステムは、「京」に代わるシステムの内容が詳細に固まっておりませんので、その内容を踏まえて、複数のシステムの在り方について検討し、最終的には、公募により具体化をしていくという方向性が示されているところです。
 また、スーパーコンピュータは計算機ですので、これでシミュレーションを行うためには、そこで動くアプリケーションソフトウエアの開発も大変重要であることから、エクサスケールのシステムの能力を最大限に発揮するアプリケーションについて開発を進め、必要な国際協力も進めるといったことが、提言の概要です。
 パブリックコメントでも、こうした世界最高水準のスーパーコンピュータを含めた複層的なスパコンの開発ということについては大方の理解が得られているところですが、そうしたシステムで何を達成するのかが重要であり、この報告書の全体のうちの4分の1のページを利用の観点に割いております。
 その一部を御紹介すると、最適な治療を実現する画期的な新薬開発について、特定の標的タンパクのシミュレーションを行うことは「京」で進めているところですが、複数のタンパク質に対する新薬候補物質の影響解析を行い、副作用の少ない画期的な新薬につなげていくことが、期待されております。「京」であれば5年掛かる計算が、「京」の100倍の性能であれば20日程度でできるということで、より多くのシミュレーションを短時間で行うことが可能となり、広域複合災害については、現在も、地震や津波の発生や伝播、建物の振動、津波の遡上といったものを個別にシミュレーションするということについて、かなり精緻な予測が可能になっております。残念ながら地震や津波はまだ予知といったレベルにないわけですが、あらかじめ起こり得る可能性を多くシミュレーションすることによって、きめ細やかな防災・減災対策に活かしていただくことが期待されるわけですが、エクサスケールでは地震、津波の伝播、建物の倒壊、津波の遡上による街路の影響、その際の避難の在り方、人の流れといったようなものを、全て複合的にシミュレーションを行うことが可能となります。このような国民生活にも関わりの深い社会的課題の解決あるいはサイエンスの課題の解決に向けて、スーパーコンピュータによるシミュレーション技術をさらに高めるべく、検討を進めてまいりたいと考えております。
 このような報告の内容を踏まえて、今後、文部科学省として検討を進め、平成26年度概算要求に向けて研究開発課題について本分科会においてさらに御審議を賜りたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 説明は、以上です。

【大垣分科会長】  御苦労さまでした。
 佐藤委員、どうぞ。

【佐藤分科会長代理】  ちょっと質問をさせていただきたいと思います。「京」を使ったいろんなシミュレーションなど、大変すぐれた結果も出始めていますし、そういう意味でさらに、最後のスライドにありますようにいろんな可能性もありますし、利用という観点では本当に重要な課題だと思っております。
 ただ、一つ分からないのは、「京」を超えたリーディングマシンを創るときに、コンピュータサイエンス、日本のコンピュータ科学・工学として、どのような位置付けになるのかがちょっと分からないのですね。大きな研究で、例えば宇宙科学の場合だったら、大きなロケットと一緒で、H-IIAロケット、そういうのは三菱重工が開発していますけれども、そのときに同時に、JAXAの中で研究開発本部があって、そういう研究者と一体になって開発しましたし、J-PARCなんかにしても、加速器、大事な基盤的な施設ですけれども、それもKEKの中の加速器の科学者が連帯して造っていくわけですね。「京」の次のリーディングマシンというとき、「京」もそうだったわけですけれども、そういう意味ではもう一つ、日本のコンピュータ技術とか科学という観点で見ると、これはほとんどメーカーに丸投げに近い状況で行くのか、その中で、大学でのコンピュータ技術と科学とか、例えば理化学研究所もそのように本当にコンピュータ技術・科学として発展する可能性があるのか、メーカーの技術としてできればいいという観点なのでしょうか、そのあたりをお聞きしたいと思います。

【下間情報課長】  簡潔に申しますと、「京」の開発・整備・利用に際し、理化学研究所は計算科学研究機構という研究の拠点となる組織を神戸に設けております。今おっしゃったような観点から、メーカーとも協働しながら、研究者が計算科学研究機構に集い、コンピュータサイエンスを高めていく研究を行う拠点となることが期待されています。先ほど「京」で蓄積した技術・経験・人材を適切に維持・発展と申しましたのは、これまでの我が国におけるメーカー、あるいは、大学の関係者の中で、コンピュータサイエンスの分野や利用面でのアプリケーション開発の専門家がこの研究拠点に集っておられますので、そうした方々が、さらに次の課題に取り組むことによって、コンピュータサイエンスそのものの発展ということも期していきたいと考えております。

【佐藤分科会長代理】  分かりました。その機構の中で、ユーザーのための勉強会といいましょうか、教育などを含めてやっておりますし、確かにそういう方がおられることは分かるのですが、こういうリーディングマシンを創るときの話を聞くと、どうしても、量というか、膨らますと大きくなるということばかりが見えてきて、コンピュータサイエンスとか技術とかでは、何か新しい概念とか、新しいアイデアによる開発とか、そういう要素はどうも感じられないのですね。そういうところは、大学で是非やるべきだと思うのですね。もちろん理化学研究所の機構の中と連携しながらでしょうけれども、大学でもう少しそういう、本当の開発といいましょうか、そういうものができるようにならないと、と思います。ただただ量を増やしていくだけだったら、どこの国でも同じようにやっていくわけですから、大学をもっと生かすようなシステムを考えていただくことがやっぱり必要じゃないかと思います。ただ量を拡大するような話ばっかりでは、仕方ないと思います。
 ちょっと例が適当ではないかもわかりませんけど、このワーキンググループのメンバーの1人でもありますが、例えば牧野先生は、GRAPEというパイプライン処理をする専用コンピュータを開発することによって、ゴードン・ベル・メダルを何回ももらっている人ですけど、同じように、新しいアイデアとか新しい概念を大学で生み出せるような、そういうことを考えないと、ただ量を増やすだけのことをやっていたらだめではないかと思います。大学の研究者が真に革新的研究により寄与できるようなしくみを、もう少し考えてほしいと思います。

【大垣分科会長】  よろしいですか。
 ほかになければ……。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」の検討状況について、事務局から報告をお願いいたします。

【阿蘇計画官】  資料4-2を御覧ください。4月22日の科学技術・学術審議会でこちら「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」改定に向けての基本的方向性につきまして審議され、決定されておりますので、御報告いたします。
 以上です。

【大垣分科会長】  簡単ですが、よろしいですか。

【阿蘇計画官】  報告事項ということですので。

【大垣分科会長】  はい。ただいま短い説明がありましたが、何か御質問ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 以上で本日の議題は終わりますが、そのほかに何かありますでしょうか。皆さん、特にないでしょうか。
 本日は随分本質的な御指摘もありましたので、本日の資料に直接反映することができないものもあるかと思いますが、今後のものに反映していただきたいと思います。
 それでは、事務局から、次回の予定等について、お願いいたします。

【渡邊計画官補佐】  次回の計評分科会につきましては、また皆様に事務局の方から改めて日程調整の方をさせていただきたいと考えております。
 7月1日付で文部科学省組織改編がございまして、計画官付は企画評価課と課名が変わります。次回、委員の皆様には企画評価課から連絡させていただく形になります。企画評価課は、本日御説明をさせていただきました白書チームと、今、計画官から御説明させていただきました評価チームが一つの課となる予定でございますので、次回の計評分科会の際に、改めて必要な手続等の御説明をさせていただきます。
 以上です。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、時間が大分過ぎてしまいましたが、以上で科学技術・学術審議会第46回研究計画・評価分科会を終了いたします。長時間、どうもありがとうございました。

── 了 ──

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科学技術・学術政策局企画評価課

(科学技術・学術政策局企画評価課)

-- 登録:平成26年01月 --