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研究計画・評価分科会(第29回) 議事録

1.日時

平成21年1月19日(月曜日) 14時~16時

2.場所

文部科学省 3F 1特別会議室

3.議題

  1. 重点課題等の評価結果について(ナノテクノロジー・材料分野)
  2. 平成19年度で終了した研究開発課題の事後評価結果について(情報科学技術分野)
  3. 「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」の改定について
  4. 長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策について(中間とりまとめ)
  5. iPS細胞(人工多能性幹細胞)研究等の加速に向けた総合戦略の改訂について
  6. ライフサイエンスデータベースの統合・維持・運用の在り方について
  7. その他

4.出席者

委員

澤岡分科会長、土居分科会長代理、石田委員、板生委員、井上委員、片山委員、唐木委員、北澤委員、笹之内委員、杉山委員、田中委員、谷口委員、中西友子委員、西岡委員、西山委員、深見委員、脳科学委員会金澤主査

文部科学省

(大臣官房)坂田文部科学審議官

(科学技術・学術政策局)泉局長、岩瀬科学技術・学術総括官、柿田計画官、苫米地評価推進室長、渡邉計画官補佐

(研究振興局)舟橋情報課長、菱山ライフサイエンス課長、山下ナノテクノロジー・材料開発推進室長

5.議事録

【澤岡分科会長】

 定刻でございますので、本日の研究計画・評価分科会を開催いたします。
 本日の分科会は、第4期の最後の会議でございます。どうぞよろしくお願いいたします。本日の会議は分科会運営規則第5条に基づき公開とさせていただきます。
 それではお手元の資料について、事務局より確認をお願いします。

【渡邉計画官補佐】

 それでは資料の確認をさせていただきます。
 お手元の資料の一番上に議事次第が載っております。これに従って確認させていただきます。議事次第の次が座席表、それから委員名簿となっております。その次に資料が続いております。資料1、ナノテクノロジー・材料分野の重点課題等の評価結果、資料2、情報科学技術分野の研究開発課題の事後評価結果、資料3-1、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」の検討経緯及び改定のポイントについて、資料3-2、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」の改定について(建議案)、資料3-3、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」(改定案)[大綱的指針との対照表]、資料3-4、国の研究開発評価に関する大綱的指針、資料4、長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策について(第1次答申案(中間取りまとめ))(案)、資料5、iPS細胞(人工多能性幹細胞)研究等の加速に向けた総合戦略改訂版(案)、資料6、ライフサイエンスデータベースの統合・維持・運用の在り方、参考資料1、科学技術・学術審議会関係法令等、参考資料2、研究計画・評価分科会における評価の進め方、参考資料3、研究計画・評価分科会(第4期)各部会・委員会のこれまでの開催状況となっております。
 もし不備、落丁等ございましたら、お手数ですが事務局までお知らせください。

【澤岡分科会長】

 よろしいですか。
 それでは議事1、「重点課題等の評価結果」につきまして、ナノテクノロジー・材料委員会において「次世代ナノ統合シミュレーションソフトウェアの研究開発」の中間評価(案)が取りまとめられましたので、本分科会において審議をいたします。
 それでは委員会より説明をお願いします。室長よりご説明をいただくわけですね。
 山下室長、お願いします。

【山下ナノテクノロジー・材料開発推進室長】

 ナノテクノロジー・材料室長の山下です。本来であれば、ナノテクノロジー・材料委員会の主査である榊先生からご報告いただくところですが、榊先生所要のため、代わりまして私からご報告させていただきます。よろしくお願いします。
 資料1でございますが、まずめくっていただきますとナノテクノロジー・材料委員会の構成員一覧がございます。その次にこのプロジェクトの概要を整理したポンチ絵がございます。次をめくっていただきますと、本日報告させていただく中間評価の総合的所見をまとめたものがございます。さらに参考資料といたしまして、中間評価の実施方法について定めました資料、さらに一番最後に本プロジェクトの外部評価の報告書の概要をつけさせていただいております。
 説明させていただきます。
 本プロジェクトの中間評価につきましては、資料についております総合所見の隣のページ「中間評価の実施方法について」です。本プロジェクトにおいては、学識経験者や民間有識者からなる外部評価委員会を組織しておりまして、外部評価委員会において設定目標の妥当性、研究開発の進捗、プロジェクトマネジメントの妥当性や人材育成への貢献の妥当性といった観点から評価を実施していただき、外部評価委員会の委員長のほうからナノテクノロジー・材料委員会にその状況について報告をいただき、さらに研究実施者に対して実施した、プロジェクトの進捗状況や外部評価委員会からの評価への対応状況等のヒアリング結果を踏まえまして、中間評価の総合的所見を取りまとめたものでございます。
 全体評価といたしましては、中間評価の総合的所見のところの資料を見ていただきますと、「研究開発計画はおおむね適切であり、順調に進捗している。ただし幾つかの課題については改善が必要であり、適切な方策を効率的に推進すべきである」という評価をいただいてございます。
 主な課題といたしましては7点でございますが、具体的には開発された統合ソフトで可能になるグラウンドチャレンジ課題の明確化、統合ソフト開発の一層の推進、統合ソフトの将来的な運用体制の整備、実験研究者、企業研究者との連携、人材育成の推進、広報活動の強化、開かれた視点に立った取り組み等に対して課題として示してございます。さらに課題に対する対応について、具体的な対応方策ということで3のほうで取りまとめてございますが、今日的な課題への対応、統合ソフトの高度化、実験研究者、企業研究者との連携、人材育成について、総合的推進ということで、具体的な対応方策を、それぞれのプロジェクトの推進者のほうから報告いただいているものをまとめたものでございます。
 このように本プロジェクトにつきましては幾つかの課題はあるものの、おおむね順調適切に遂行されており、また現段階における課題についても今後具体的な取り組みが進められる見通しとなっており、ナノテクノロジー・材料委員会としましては、全体として適切であり、順調に進捗していると評価したものでございます。
 以上でございます。

【澤岡分科会長】

 ありがとうございます。
 ただいまのご説明に関しましてご質問、ご意見などございませんでしょうか。
 ありがとうございました。特にございませんようでしたら、ただいまいただきました委員会の報告に基づき中間評価を決定することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 (承認)

【澤岡分科会長】

 はい、そのように進めさせていただきます。ありがとうございます。
 それでは議題2、審議議題でございます。「平成19年度で終了した研究開発課題の事後評価」についてでございます。情報科学技術委員会において4課題の事後評価案が取りまとめられましたので、本分科会で審議をいたします。
 それでは情報科学技術委員会土居主査よりご説明をお願いいたします。

【土居分科会長代理】

 土居でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 お手元の資料2に基づいてご説明させていただきたいと思いますが、情報科学技術委員会におきましては、平成19年度で終了いたしました研究開発課題の事後評価のうち、前回8月の分科会でご報告させていただきましたものに加えまして4プロジェクトにつきまして本年1月までに審議を行い、事後評価を取りまとめましたので、その結果を報告させていただきたいと思います。
 まずは「e-Society基盤ソフトウェアの総合開発」についてということで、資料2ですが、1枚めくっていただきますとそこに目次がございます。目次がございまして4課題が並んでおりますが、もう1枚くっていただきますと情報科学技術委員会の構成員一覧がございまして、その次にe-Society基盤ソフトウェア総合開発のポンチ絵といいますか全体図がございますので、ご覧になっていただければと思いますが、本プロジェクトは世界最高水準の高度情報通信システム形成のための鍵となるソフトウェア開発を実現させ、いつでもどこでも誰でも安心して参加できるIT社会を構築することを目的といたしまして、高い生産性を持つ高信頼ソフトウェア作成技術の7課題、情報の高信頼蓄積・検索技術の3課題のソフトウェア開発を、平成15年度から5年間実施したものでございます。
 当初から当時の担当大臣でいらっしゃいました尾身大臣が「経済活性化ということに力点を置け」ということで強力な指導をされまして、走り始めたものでございます。
 評価結果につきましては、全体について4ページ目に基づきご報告させていただきたいと思います。プロジェクト全体といたしましては、今後のIT社会に重要なソフトウェアの開発を適切な産学連携体制により実施し、当初の目標を達成する成果を上げたと評価いたしました。まず高い生産性を持つ高信頼ソフトウェア作成技術の開発につきましては、プログラミング言語やOS(オペレーティングシステム)記述言語等の利用、組み込みソフトウェアを含む幅広いソフトウェアの開発において、高信頼化を実現する技法や手法が開発されました。これらの技術は社会の基盤であるソフトウェアの不具合を軽減し、国民がIT社会に安心して参加することにとって極めて重要なものでございます。
 情報の高信頼蓄積・検索技術等の開発につきましては、インターネット情報の収集解析や、ストレージの高速化及び耐障害性の向上、並びに自然な音声対話の実現などに関する技術が開発されております。これらの技術はインターネットの大量の情報を経済活動に活用したり、デジタルディバイドの解消に大きく貢献するものでございます。さらに、合計で360人強の多くの人材が育成されましたことから、国際競争力が弱いと指摘される我が国のソフトウェア分野の技術力を高める上で、大きな役割を担ったものと高く評価いたしました。
 冒頭に申し上げましたように経済活性化ということでございまして、当初からかなりの参加企業と一緒に開発しておりますので、現在も実は商品化等々に向けて、この結果の幾つかのものは進んでいるといった状況でございます。
 続きまして「革新的シミュレーションソフトウェアの研究開発プロジェクト」につきましてご報告いたします。これはちょっと先になりますが25ページをご覧になっていただければと思います。そこにポンチ絵がございますが、本プロジェクトは地球シミュレーターなどの超高速コンピューター上で稼働する系全体最適シミュレーションプラットフォームを共通基盤として、生命現象シミュレーション、産業界における知的ものづくりのためのマルチスケール・マルチフィジックス連成シミュレーション、都市の安全・環境シミュレーションなど、広範な分野における世界最高水準のシミュレーションソフトウェアの研究開発及び普及を進めるため、平成17年度から3年間実施されたものでございます。
 次のページから評価をまとめております。このプロジェクトでは、まず大学や企業など複数の研究開発組織から多数の研究者が参加する体制のもとで、世界で初めて巨大たんぱく質分子の全電子計算等を実現するとともに、数千CPUのコンピューターにおいて高速に稼働するシミュレーションソフトウェアを開発するなど、これまでの性能を超える実用性の高い国産のシミュレーションソフトウェアが数多く開発されました。またソフトウェアの公開や企業による事業化、成果の普及に向けたワークショップの開催などが積極的に行われました。そして今後のシミュレーションソフトウェアの開発や、高度利用の担い手となります約90名の人材が育成されております。このようなことで優れた成果を上げたことから高く評価しております。
 こちらのソフトウェアも当初から産業界を巻き込んでおりまして、特段、学で開発されたソフトをしっかり産で使えるような形にということで、産業界がついておりまして、商品化といいますか製品としてつくり上げられております。現在まだ企業で研究開発が進められているような状態でございます。
 続きまして、「安全なユビキタス社会を支える基盤技術の研究開発プロジェクト」についてご報告いたします。これは資料の29ページをご覧になっていただければと思います。本プロジェクトは安全・安心なユビキタス社会の実現を見据え、電子タグにより音声、動画等の高付加価値情報を安全かつリアルタイムに利活用するために必要な基盤技術として、大容量データを扱う能力と耐攻撃性を有する電子タグ及びその電子タグと協調し、高付加価値情報を安全に扱うことができる組込型の基本ソフトウェアの研究開発を行いますと共に、その成果物を病院内の医療情報や食品の安全にかかわる情報システムに適用し、成果物の有効性を検証することを目指して、平成17年度から3年間実施されたものでございます。
 次のページから評価をまとめております。このプロジェクトでは安全・安心なユビキタス社会を実現するために必要な技術を開発するとともに、医療等の分野の団体と連携した実証実験によりその有効性が確認され、成果の利活用への道筋が開かれました。また開発した技術の製品化に加え、実証実験の成果についての口頭発表やニュースリリースなど成果の普及を積極的に行うとともに、本成果を国際標準化につなげた点において高く評価しております。
 最後が「サイエンスグリッド、NAREGIプログラムの研究開発」の事後評価結果についてご報告させていただきます。33ページをご覧になっていただければと思います。本プロジェクトは、分散いたしました高性能コンピューターを高速ネットワークで結び、世界水準の高速グリッド環境を構築するためのミドルウェアの研究開発を、平成15年度から5年間、国立情報学研究所を中核拠点といたしまして実施したものでございます。グリッドといいますのは、電気系統の送電の時の配線がちょうど格子になっているような形で送電されているということで、あれをグリッドと称しておりますが、それになぞらえましてインターネットあるいは企業内ネット、あるいは最近ですとコンピューター1台の中がかなりの数が集まるような形にまでなってきておりますので、そういうことに対してグリッドという言葉が使われております。本プロジェクトにおきましてはグリッド基盤ソフトウェアの完成、100テラフロップスの研究グリッド環境、テラといいますのが兆でございますから、100テラフロップスというのは1秒間に100兆回の小数点以下の数を持つ演算をするということでありますので、そうご理解いただければと思います。その研究グリッド環境におけるナノ分野のアプリケーションの実証、ペタフロップス、ペタはテラの1,000倍でございます、そのペタフロップス級の計算環境への対応が達成目標とされております。現在開発中の次世代スーパーコンピューターが10ペタフロップスをねらっているところでございます。
 次のページから評価をまとめております。まず国立情報学研究所を中心として、高速グリッドコンピューティング環境を構築するためのNAREGIミドルウェアVer1.0を開発して公開しております。また複数のスーパーコンピューターによる連成計算が、実際に50~100テラフロップスのグリッド環境で実現できることを実証確認しておりまして、これらの成果につきましては評価できるものとしております。さらに成果普及に向けNAREGIミドルウェアの国際標準化提案を行い、一部機能が国際標準仕様として承認されておりますといったようなことから高く評価しております。
 ペタフロップス級、それをまた超えますペタフロップス超級計算環境への対応等に関しまして、対応が十分でない点も見られましたけれども、現在も国立情報学研究所で研究開発体制が継続しておりまして、そこで問題解決が図られることを期待するとしております。
 以上でございます。

【澤岡分科会長】

 ありがとうございます。
 どうぞ質問などお願いいたします。

【井上委員】

 ただいまの情報科学委員会の評価結果については特に意見はないんですが、先ほどのナノテクノロジーの関係で、研究開発と人材育成を一体的に行うという中で、中間評価ですからまだ具体的にポスドク等についてどの程度育成するのかという全体像が見えないのかもしれませんが、ポスドクのキャリアパスの確立に向けた取り組みを強化するということですが、現在どの程度ナノテクノロジー分野でポスドクの研究者の育成を考えておられるのか、そのキャリアパスの確立の強化というのはどういうことを具体的に考えているのか、その点について教えていただきたいと思います。

【山下ナノテクノロジー・材料開発推進室長】

 この中間評価の時に出たのが、そのプロジェクトのソフトウェア開発の中でポスドクを雇って、具体的に何名というご質問が出たんですけれども、ちょっと個別のデータを持ち合わせていないんですが、その中で確かにポスドク問題というのはナノテクノロジー・材料委員会でも意識されていて、それをプログラムの推進者のほうにも結果として評価の中にそういう項目が出ておりますので、そこのところにちゃんと取り組むようにというご指摘があったというところで、すいません、ちょっと実際その3年間でどうだというデータは持ち合わせておりません。

【片山委員】

 今の全体としてのご評価はそのとおりなのだろうと思うんですけれども、今4つやられたんですが、4つについて差が全くつかず、全て同じようにいいんですか。

【土居分科会長代理】

 全て同じようにいいかと言われますと、なかなかこれは難しい話でございまして、実は1つのものが、例えばe-Societyということになりますと大きく分けてテーマが2つ、さらにその中に、片方が5つ、もう片方が3つというように、実は8つ走っているということで、この革新的シミュレーションソフトウェアに関するものも大きく3つのものが走っているということで、個々の数からいきますと実はかなりの数に上ります。そのそれぞれに関して「評価できる」、あるいは「高く評価できる」、「こういう点は不満足であるが」というようなことをやっておりまして、ここで今申し上げましたのは、それらを大括りにした評価をここでご報告させていただいたことになりますので、この4本柱に関しましては、総じてここで申し上げたように評価できるといたしました。よろしいでしょうか。

【片山委員】

 はい。

【澤岡分科会長】

 先ほど人材の問題で質問がございましたが、最近、ポスドクが任務を終えた後に職がないということが大問題になっております。特にライフサイエンス系では非常に多くの人材が育っていると聞きますが、情報通信関係ではその先の心配というのはどういう状況でございましょうか。

【土居分科会長代理】

 大いにその先が心配なのは、ライフ以上の点が場合によればあるかとも思います。要するに最近になりますと企業のほうがそれなりに採ってくださるというようなところが出始めたわけですが、いわゆる研究職のポストとしますと限られておりますので、特段また大学ということになりますと、よほどのタイミングでなければポストが空かないというようなこともございますものですから、ポスドクがまた次のどこかのポスドクになるというようなことも当然のことながら起こっておりまして、なかなか悩ましい問題でございます。

【石田委員】

 今のまさに分科会長からお話がありましたように、このプロジェクトはもともと確か土居委員が冒頭におっしゃいましたように、なるべく実践につながりやすい、もう非常に応用に近いところにある、なおかつ今の状況に即応して進めるべきプロジェクトという位置づけであったように思うわけです。そういう意味ではこの評価もそういう内容をなるべく反映させようというご評価だと思うんですが、特に今の澤岡分科会長のご質問に関連して、従ってここで育成された方が産業界の実際の力となって産業界に入っていっているとか、あるいは全体として力になっているかどうか、そのことは非常に大きなところだと思うんですが、その辺の感触というか感覚はいかがでしょうか。

【土居分科会長代理】

 全体といたしますと力になっております。と同時に、またこれに類するといいますか、これをさらに発展させたようなプロジェクトがまた現在走っておりますので、そちらでも強力な研究者としてここで育ったポスドクも活躍されているというようなことで、何らかの形で企業に入る、大学のポストを得る、また次のプロジェクトをやるということで活躍していただいているのが、幸いなことに現状でございます。

【石田委員】

 はい。

【澤岡分科会長】

 他にございませんか。
 それではこの研究につきましては、ご報告がありましたとおり分科会としては承認させていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
 (承認)

【澤岡分科会長】

 ありがとうございます。

【土居分科会長代理】

 どうもありがとうございました。

【澤岡分科会長】

 続きまして議題3、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」について、研究評価部会におきましてその改定案が取りまとめられましたので、本分科会で審議をすることといたします。
 それでは研究評価部会より説明をお願いいたします。

【柿田計画官】

 研究評価部会の事務局を務めております計画官の柿田でございます。本日は、本来であれば研究評価部会の笹月部会長よりご説明いただくこととしておりましたが、急遽ご欠席となられましたので、私から説明させていただきます。
 資料3-1に基づき説明させていただきます。文部科学省の評価指針は、文部科学省の行う研究及び開発に関する評価のガイドラインであり、平成17年3月に内閣総理大臣決定された「国の研究開発評価に関する大綱的指針」を踏まえ、同年9月に科学技術・学術審議会の建議を受け、文部科学大臣決定されております。現在は、本指針に基づき文部科学省における研究評価が行われているところでございます。
 昨年3月以来、総合科学技術会議において、大綱的指針の見直しに係る審議が進められ、昨年10月31日に新たな大綱的指針が策定されました。これを受け、研究評価部会において、文部科学省の評価指針の見直しに向けた検討が進められてきたところでございます。これまでの検討経緯につきましては資料の1ページにございますが、研究評価部会では、10月からご審議をいただきまして、12月11日に改定案を取りまとめていただきました。この改定案は、12月中旬より文部科学省のホームページにおいて一般からの意見募集を行いましたが、意見はありませんでした。
 2ページをご覧ください。改定のポイントは、以下の6つでございます。
 「(1)大綱的指針の改定を受けての見直しのポイント」でございます。まず丸1「優れた研究開発の成果を次の段階の研究開発に切れ目なく連続してつなげ、研究開発成果を国民・社会へ還元する、的確で実効ある評価を実施」でございまして、具体的に3つ挙げております。1つは、「評価は、原則として外部の専門家等を評価者とする外部評価により実施」でございます。2つ目が、「成果に係る評価結果が次の研究開発につながるよう必要に応じて事後評価を終了前に実施」でございます。3つ目に「追跡評価の一層の定着を促進し、その成果を次の研究開発の企画立案や評価の実施方法等に適切に反映」でございます。
 2つ目のポイントでございますが、「研究者及び研究開発機関の研究開発への積極・果敢な取り組みを促し、また、過重な評価作業負担を回避する、機能的で効率的な評価を実施」でございます。1つ目に、「評価結果を誰がどのように活用するのか、その主体ごとの役割や責任をあらかじめ明確にし、関係者に通知するとともに、評価結果を適切に活用」ということにより、評価が無駄となったり、あるいは形式化することがないようにするという趣旨でございます。それから2つ目ですが、「研究開発の特性、規模に応じて、適切な範囲内で可能な限り評価の簡略化を行い、評価活動を効率的に行う」でございます。この点につきましては、本文をご覧いただきたいと思います。資料3-2の4ページをご覧いただければと思います。
 「1.5 評価における過重な負担の回避」として、まず、「萌芽的研究、比較的小規模な研究、大学等における基盤的経費を財源とする基礎研究等は、特に必要と認められる場合を除き、実施報告書等の提出をもって評価に代える」でありますとか、外部評価は、小規模な研究開発等については、外部評価の実施の必要性も含め、評価方法について事前に十分に検討した上で導入する。また、「評価対象となる研究開発課題が比較的少額の場合、メールレビューを実施したり、評価項目を限定する」等のやり方を取り入れるというようなことでございます。
 その他の関連項目といたしまして、研究開発施策、研究開発課題、研究開発機関といった階層構造の中で複数の評価が行われるわけでございますが、その場合に、可能な限り既存の評価結果を活用し合理化を図って、効率性を高めていく、ということを盛り込んでおります。また、評価文書を可能な限り様式を統一する等により評価作業を省力化するということを盛り込んでおります。
 資料3-1の2ページでございますが、丸2のポイントの3つ目、「目標の設定やその達成状況等に関して、被評価者が自己点検・評価を行い、評価者はその内容を評価に活用」でございます。これは、評価への被評価者の積極的な取り組みを促し、また、成果を幅広く取り上げ、評価の充実を図るという意図から、研究開発の計画段階から実施段階を通じ、研究開発の特性や規模に応じて自己点検・評価を実施し、評価者はその結果も活用しながら評価を実施するということでございます。
 それから、「優れた評価者を養成・確保するため、評価者の社会的地位の向上と研究者が評価者となることのインセンティブを高める取り組みを推進」ということを盛り込んでおります。例えば、研究開発機関等におきましては、研究者の任用において、研究開発評価に評価者として参加したことを経歴の1つとして考慮するということを盛り込んでおります。
 ポイントの丸3でございますが、「国際競争力の強化や新たな知の創造などに資する成果の創出を促進するよう、世界的な視点から評価を実施」ということで、「研究開発のグローバル化に対応して、研究開発評価についても世界的に高い水準のものとなるよう評価方法を設定」する、また、「海外の専門家や豊富な海外経験を有する研究者等を評価者として活用」ということを盛り込んでおります。
 3ページは、「(2)その他の見直しのポイント」です。丸1「新たな研究を見出し、発展させるとともに、人材育成面においても成果を生み出す研究開発活動を促すための評価を実施」、それから、丸2「創造へ挑戦する研究者を励まし、優れた研究開発を発見し、伸ばし、育てる評価を実施」でございます。研究開発評価の意義といたしまして、創造へ挑戦する研究者を励ます、優れた研究を見出して伸ばし育てるということが大事でございますが、この観点から、当初計画で予期していなかった成果が生じた場合には、当初の評価基準にとらわれることなく、新たな視点で評価基準を設定するなど、柔軟に対応するということや、副次的な成果など幅広い、次の発展につながる成果についても、評価に当たって考慮するということを盛り込んでおります。
 さらに、評価においては評価者の少数意見も尊重し、斬新な発想や創造性等を見過ごさないように留意するということを盛り込んでおります。また、失敗も含めた研究のプロセスや計画外の事象から得られる知見、研究者の意欲、活力、発展可能性等にも留意することとしております。
 丸3「評価の実効性を上げるため、必要な評価資源を確保し、評価支援体制を強化」でございます。「評価事務局職員等を持続的に養成・確保していくために有効な対応策の構築とキャリアパスを確立する取り組みを推進」していくことで、研究開発機関等において評価部門に専門性が蓄積されるように人事運用面で配慮していくということを盛り込んでおります。
 全体といたしましては、今回の大綱的指針の改定を受けて見直すということでございますが、引き続き、評価の合理化等に努め、効率的な評価システムの構築に努力していくということが一つ。それから、第3期科学技術基本計画の理念の1つでございますが、「モノから人へ」という理念のもとで、研究を通じていかに人が育てられているのかという人材育成の観点を盛り込んでいく、評価に幅広い視点を取り入れて、評価システムが創造的な研究開発の推進、また、創造的な研究開発環境の形成に寄与することをより一層目指すという観点から、今回の改定の案を取りまとめていただいております。
 以上が内容でございます。今後の予定といたしましては、本日ご審議をいただいた後、総会での審議を経て、審議会として文部科学大臣に建議していただくこととなります。
 以上でございます。

【澤岡分科会長】

 ありがとうございました。
 部会案につきまして、質問やご意見などございましたらお願いします。
 それでは、特にご意見がありませんので、分科会として案を了承し、総会へ上程させていただくということでよろしくお願いします。
 (承認)

【澤岡分科会長】

 時間が多少ございます。評価指針案の審議は終わりましたが、何かご意見がございましたらご発言願います。
 個人的に思うのは、審査・評価に係わる事務局職員のキャリアパスとありますが、評価する側は何かと悪役に近い役割ですので、キャリアパスとして確立するには、相当周りの理解がなければ難しい。仕事として周りから「大変よくやっている」と言われるのは、なかなか難しいのではないかという印象を持っております。

【片山委員】

 この中には2つのことが両方書いてあって、1つは社会の役に立つ成果を出すということと、もう1つ、基礎研究もやはり評価しようということがあります。これは当然2つ非常に大切なんですけれども、本文でのその書き方が、基礎研究等の評価の方は何となく付け足しみたいな感じがしなくもないんですけれども、そんなことはないんですよね。当然、社会の役に立つ研究と基礎研究というのはそれぞれ研究の質が違うわけであって、その両方とも適切に評価するというのが、この評価指針の中身だと理解してよろしいですね。

【澤岡分科会長】

 私はそのように理解していますが、計画官、いかがでしょうか。

【柿田計画官】

 今のご指摘のとおりでございます。特に注意しなければいけないと思っておりますのは、いわゆる出口といいましょうか、実用面での成果を問うような評価に陥りがちな昨今の状況があるわけですけれども、やはりそうではなくて、イノベーションの源である基礎研究というものも非常に大事でありますので、それについては評価システムの中できちっとその趣旨を認識した上で評価するということで、あえて、基礎研究の評価に当たっての配慮事項として特出しして記載しているものでございます。付け足しということではなくて、そこも十分認識して評価システムをきちっと作り上げていこうという趣旨でございます。

【板生委員】

 板生でございます。
  もう言わずもがなかもしれませんが、評価をする立場からしますと、評価者そのものは大変忙しかったり、たくさんの評価が求められたり、それから場合によっては、必ずしも専門家ではないこともあったりするわけでありますので、ここに書いていただいているとおりですが、評価の簡略化ということも大事なんですが、それ以上に評価者支援システムのようなもの、要するにデータベース、又は、場合によってはある程度のところまでを評価された中で、さらに高度な評価をするというような階層構造的に、場合、場合によって違いますけれども、そういう評価システムを考えて、そして評価のサポートをするというシステムが大事ではないかなと思っておりましたので、それに関してもご配慮いただければと思った次第です。

【深見委員】

 ちょうど関連することなんですけれども、現在評価者は研究者が行っているという現状があると思うんです。評価というのはいろいろな意味で非常にたくさん入ってきまして、研究者が研究する時間をかなりそこに費やしているという現状があると思いますので、評価者を簡単に、なるべく効率的にするということは非常に重要なんですけれども、やはり研究者でない評価者が評価するシステム、今ちょっとそういうお話がありましたけれども、研究者以外の人も評価をするようなシステムづくりというのを、将来にわたって構築していくことが必要になってきているのではないかなと思いますので、そういうことにつきましてもぜひ少し考えていただけたらいいかなと思います。

【土居分科会長代理】

 2点あるのですが、1点目は板生委員が今おっしゃられたことに非常に似ているんですが、ここ3年ぐらい実は私は評価を受ける側、被評価者の立場になってお白州へ引きずり出されたんですが、その感想から申し上げますと、中間評価、事後評価ともども、どうも事前評価のような評価しか受けておりませんで、その時の思いつきで何か事前評価のような質問がポンポン、ポンポン飛んでくるようなことに実はなっておりました。従いまして、「この場は事前評価の場ではありませんから」というのを再三申し上げたようなことがあります。なので、これは評価をする方の構成を、具体的にどこかで、やはりそういう点に配慮せよというようなことをやっていただき、実際にそれを運用していただくようなことをしていただく必要があるんじゃないかと思いました。それが1点です。
  それからもう1点は、これとは間接的に関係があるんですが、まず、2ページの(1)の丸1の2番目ですが、事後評価を終了前に実施し、その次につながるようにとあるんですが、実は学術分科会の場でも申し上げたんですが、これは科研費も実はこういうことしか許されていないわけですよね。要するに最終年度を次のものの最初の年度とダブって行うようなことが可能なような、あるいは他のものもそうなんですが。といいますのは、先ほどから出ておりますがポスドクだとかを抱えているとか、あるいは生き物を抱えているとかというような研究プロジェクトだといたしますと、最終年度というのは報告の取りまとめに向けて細々となってきております。ところがいい成果を出しているとしましても、その次に行かなきゃいけないとなると、人を抱えておく、あるいは生き物を抱えておくというのはなかなか難しいんですね。ですからそういった面からして、最終年度は何か次のものが、最初のものが走れるような制度をちょっと工夫していただくのがよろしいのではないかと思います。そうなりますと、ますますもってこの事後評価が生きてくるのではないかと思うのですが、なかなか難しいかもしれませんけれども、ちょっとご検討いただければと。

【澤岡分科会長】

 ありがとうございます。
 よく北澤委員が「中間評価は怖いけれども最終評価は怖くない」とおっしゃいますが、やはり最終評価は次につながる非常に重要なものであるという仕組みが必要だということですね。大変有意義なご意見をいただいているかと思います。どうぞ今後のために大いに参考にしていただきたいと思います。
 それでは議題4でありますが、「長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策」について、脳科学委員会において「中間取りまとめ案」をまとめましたので、本分科会で審議いたします。
 それでは脳科学委員会よりご説明をお願いいたします。主査の金澤先生、お願いいたします。

【金澤主査】

 ありがとうございます。それではご報告を申し上げます。
 これまでの経過をまずちょっとお話しいたしますが、既にご承知とは思いますけれども、この件は平成19年10月に当時の渡海文部科学大臣から、少子高齢化を迎えるこの国の持続的な発展、Sustainable Developmentに向けて、人間が特殊に進化いたしました脳の科学的な研究を戦略的に推進するために、長期的展望に立った脳科学研究の基本的構想及び推進方策を考えろという諮問をいただいたものでございます。それに対応いたしまして答申案を策定しているところでございますが、平成19年、去年の11月にこの分科会及び学術分科会学術研究推進部会におきまして、その両方でつくっていただきました脳科学委員会において、メンバーはこの報告書の77ページに出ておりますが、精力的に審議を続けてまいりました。
 昨年8月の後半から9月上旬に開催されましたこの分科会及びその総会におきまして、審議経過報告として一度ご報告をさせていただいておりますが、その時にいただきましたご意見も含めて、改めて脳科学委員会等で議論を重ねまして、本日の第1次答申案(中間取りまとめ)の案をご報告申し上げたいと思います。
 これまでの経過につきましては87ページから89ページの参考資料13に述べてございます。ご参考にしていただけたらと思います。
 それでは第1次答申案の内容につきましてご報告をいたしますが、まず目次でございます。先ほどちょっと申しました諮問をいただいたわけでございますが、70ページに諮問の時の理由書がございます。70ページの諮問内容(1)~(5)までに対応するように目次が実はつくられております。
 目次に戻っていただきますが、第1章では現状と問題点、それから第2章では基本的構想を提示いたしまして、第3章以降で具体的な推進方策として、第3章は推進体制、それから人材育成の在り方というのは第4章になります。それから第5章で社会との調和について述べてございます。
 第1章から参ります。2ページから18ページまででございますが、まずは現状とその問題点です。人間を理解するための科学的基盤を与えるという意味での科学的意義と、それから医療、福祉あるいは教育から産業まで非常に幅広い貢献が期待されるという社会的な意義を、脳科学研究について述べてあります。続きまして4ページから15ページで脳科学研究の主な成果を分野ごとに述べておりまして、国内外における脳科学研究の研究政策の現状等も記載しております。15ページぐらいまでであります。16ページから17ページで脳科学研究の推進に向けた課題といたしまして、先ほどからちょっと議論がありましたけれども、基礎的知見の集積基盤となる研究の長期的な安定支援策の不足、これは現状の問題点でありますが、それから脳科学の研究成果を社会に結びつけるための推進方策の不足等々、この3つの点を指摘しております。
 18ページはポンチ絵でありますけれども、この答申全体を俯瞰いたしましたロードマップをつくっております。大変細かい字で恐縮ですが、一番下の黄色いところには脳科学研究全体を支える基盤技術開発を述べておりまして、その上に立って学術的・融合的研究環境の実現というのが緑色で述べてあります。そしてその上に灰色でいわゆる学術研究があり、その上にさらに社会への貢献を目指した政策的な戦略的研究が述べてあります。これはこの答申全体をまとめたものであります。後で一部少し違った目で述べてまいります。
 第2章に入ります。19ページから39ページまででございますけれども、審議経過を前にご報告いたしました時は、隣接する学問との連携や融合について少し考えるようにというご指摘があったと伺っておりますが、それも含めて19ページの第1節におきましては、脳科学研究が目指すべき方向として、まず第一にこの下のほうにありますが、人間の総合的理解、総合的人間科学という考え方を打ち出しております。第2に20ページの上になりますが社会への貢献を挙げまして、総合的人間科学を構築するんだと、それから社会に向けた成果を得るんだという2つの大きな理念を掲げておりまして、この2つは実はこの答申のサブタイトルになっているところでございます。「総合的人間科学の構築と社会への貢献を目指して」というのがサブタイトルになっていることをご記憶いただきたいと思います。
 そして20ページ~38ページですが、これは推進についての考え方でありますが、21ページに基礎研究の重要性、それから26ページには基盤技術開発の重要性、そして31ページからは社会への貢献という3つの観点から整理をしておりまして、具体的に推進すべきだろうと考えられる研究内容について記載しております。
 そして39ページになりますが、これもまたポンチ絵でありますけれども、これは脳科学の学問としての主な特徴です。つまり研究は非常に広いものであること、あるいは新しい技術がどんどん開発されていることなどの観点から、先ほど申しました総合的人間科学の構築に向けた協働という観点から、他の領域をも整理したタイムテーブルをここに掲げたのであります。研究のテーマの拡がりというところが脳科学の中でも大きく拡がっていくもの、そして新しい技術が脳科学に関して進んでいるもの、進んでいくであろうもの、それから下のほうには、実は総合的人間科学の構築に向けた協働体制はこういうところと幾つか出ておりますが、融合的な研究が広がっていくのではないかということを期待して書いております。
 なお、おわかりかと思いますが、この三角錐の上の赤いほうはどちらかというと人文社会科学でありまして、青いほうがどちらかというと自然科学・理学・工学ではないかと思います。生物系も入るかもしれません。
 続きまして第3章でありますが、40ページから51ページでありますけれども、これは第2章で提言いたしました研究の展開を支える推進体制全般について記載しておりますが、例えば40ページの第1節では、研究段階の特徴、特色を踏まえまして幾つかのポイントを述べておりますが、1番は40ページの下のほうにあります科学研究費などの研究者の自由な発想に基づく学術研究について述べております。そして41ページの真ん中あたりからは、JSTのCRESTなどの政策に基づいて将来の応用を目指す基礎研究について述べております。また42ページの真ん中からは、脳科学研究戦略推進プログラムなどのいわゆる政策課題対応型の研究開発の、それぞれの役割について述べております。また43ページから47ページにかけては、第2節の研究推進の基盤としての大学について述べておりますが、44ページからは大学共同利用機関、独法などの研究機関の特色などを踏まえつつそれぞれ記載しております。47ページ以下になりますと今度は項目になりますが、グローバル化への対応、それから48ページ、人材の流動化促進などについても書いておりまして、社会還元を目指した取組について49ページから記載しております。50ページからは脳科学委員会の役割についても述べております。71ページでも脳科学研究に関する施策の評価やフォローアップ等の必要性について、やはり諮問の中でも書いてございますので、今後もきちんとした活動を続けようと思っております。52ページから59ページにかけましては、脳科学研究の人材育成の在り方について述べておりますが、あまり前回のご報告から大きな変化はございません。ただ53ページ以下で人材育成の目標と理念といたしまして、広範な学問分野を系統的に教育する体制の維持や構築の必要性、あるいは57ページあたりに多様なキャリアパスの体制整備の必要性等について提言しております。
 最後になりますが第5章であります。60ページから63ページであります。短いんですがここは非常に大事でありまして、この部分は前回ご報告をいたしました後に新たに追加した章でございます。具体的には60ページから61ページの第1節で、おそらく脳研究が進んでいくに従って引き起こされる可能性のある、今でも多少問題かもしれませんが、倫理的・法的・社会的な課題について、継続的にあるいは深く議論をしていくことが必要であるということを述べております。
 62ページの第2節では、脳科学研究は社会的に応用していくわけですが、社会的に貢献するんだと言っているわけでありますから、その場合に被験者の方々の保護であるとか、あるいは倫理審査の重要性というものを記載した上で、慎重な倫理的検討を要する問題に対してどう対応していったらいいか。特に脳科学委員会として考えておりますのは、学会やあるいは政府レベルでの議論を積み重ねていく必要があるだろうと考えておりまして、そのことを述べております。
 さらに62ページから63ページにかけまして、脳科学研究と社会との調和ということになりますが、コミュニケーションという言葉のほうが適切かと思いますけれども、研究者と報道メディア、あるいは産業界、あるいは行政、消費者などなど、いわゆる社会を構成する方々との継続的なコミュニケーションを図るということが極めて大事だろうということを述べております。あえて神経神話という言葉も、あるいは似非脳科学というようなことを述べておりまして、そういうものを払拭する必要があるということを述べているわけでございます。
 最後に今後の予定等でありますが、今後は総会等での審議をいただいた後に、第1次答申案中間取りまとめとしてパブリックコメントにかけさせていただきます。そしてその結果を踏まえまして、3月から5月ごろになるでしょうか、脳科学委員を再度開きまして議論をいたしまして、6月を目途に第1次答申案を取りまとめたいと思っております。
 以上でございます。

【澤岡分科会長】

 ありがとうございます。
 どうぞご質問、ご意見などお願いします。

【中西(友)委員】

 内容についてはよく書かれていると思うのですが、予算面のことは何も触れられていないことが気になります。例えばもっと増やしたいのでしたら、今これぐらいかけているけれども、もう少しあるべきだとか、また、今こういうことをしているけれども、もう少しこういうことを重点的に伸ばしていきたいなどという検討はされているのでしょうか。内容的には非常にいいと思いますが。

【金澤主査】

 ありがとうございます。事務局から答えてもらいますけれども、かつて脳科学委員会の前のプロモーションの時にはかなり突っ込んだ議論はいたしましたけれども、脳科学がわーっと大きくなりますと他が縮むというのは現実でございますので、あまりそういうことは言っていないつもりですけれども、事務局のほうがしかるべき考えを言ってくれるとありがたいとは思っておりますが、どうでしょうか。

【菱山ライフサイエンス課長】

 ライフサイエンス課長でございます。
 報告書の13ページ、14ページに、まず我が国における脳科学研究政策の現状というので、現状で今までにどんな政策をやってきたかというのがありまして、15ページの最後のパラグラフのところに我が国の政府予算規模では大体年間300億円程度であるということで、ライフサイエンス関連予算の7%程度だということが記されています。それからどんなことを今後やっていくのかにつきましては、先ほどの金澤先生のご説明の中の21ページ以降、基礎研究と基盤技術開発、それから31ページの社会への貢献とありますが、今後進めていくような研究開発としては21ページ以降に具体的書かれているということでございます。
 ただ、ここには幾ら予算が必要だというのは書いてございません。幾ら必要だということについては、毎年の予算要求でやっていくことだろうと思っています。ちなみに平成20年度に新しく17億円のプログラムが認められまして、21年度の政府予算原案はその17億円が23億円に増額されているところであります。

【唐木委員】

 39ページの「新しい融合の科学の目指すもの」としてまとめられているところですが、今お話にありましたように、例えばサイエンス、エンジニアリング、テクノジーという意味ではさまざまな脳科学研究が行われた経緯もありますことを思いますと、この上の今回の脳科学研究の特徴というと総合人間科学ということで、人文社会系を取り込んで新しい領域を開くということがやはり一番の特徴かと思いますが、この上の研究テーマの広がりの分、あえてこの新しい技術というところはこれまでもあったのかなと思うんですけれども、何か一本化というか研究テーマの広がりのこの新しいところにまとめられたほうがわかりやすかったのかなと思うんですが、あえて2つに、技術と研究テーマの広がりということで分かれているのはどういう理由でしょうか。

【菱山ライフサイエンス課長】

 研究と技術を2つに分けたというよりは、こういう新しい技術によってさらに研究が発展していくのではないかということでございまして、むしろ18ページの研究と技術を抜き出してより具体的に書いたのが39ページでございますが、18ページが全体のロードマップで、一番下の基盤技術開発というのが今唐木委員からご指摘のあった技術のところでございます。この技術開発と学術研究や基礎研究、あるいは政策課題対応型研究を支えてさらに発展していくのだろうということであります。

【金澤主査】

 当然かもしれませんが、研究者というのは知りたいことがどんどん広がっていくわけですね。それがこの脳科学というものの中でどういうふうに展開していくかということは上に書いてあるわけです。例えば言語というのが一体脳の中のどこでどうやってつくられるのかとかそういうことを知りたいとなると、10年ぐらいとここに書いてありますけれども、例えばそういうことです。ただ、そのためには当然ながら手段が必要なわけです。それを知りたいということだけで上手くいけばいいですけれども、なかなかそうはいかない。全く別のところでポコッと何かすごいテクニックが生まれるかもしれないわけで、そういうものを新しい技術として取りまとめていると私は理解しているんです。ですからあえてここを分断する必要は確かにない面もあるんですが、やはりそこは区別をしておいてもいいのではないかと理解しています。

【唐木委員】

 ああ、そうですか。

【金澤主査】

 大事なのはむしろ下だと思っていただければ。融合のところですね。

【唐木委員】

 はい、ありがとうございます。

【深見委員】

 人材育成のところでちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、具体的には53ページの大学院の教育というところなんですけれども、「脳科学教育ネットワークを形成し」と書かれているんですけれども、実際にちょっとイメージがわかないものですから、少しどういうことを想定しているのかなというところでご説明していただきたいと思うんですけれども。大学においてという、個々の大学において教育というのは多分脳科学のところというのはかなり既にされてきていると思うんですけれども、現状に加えてネットワークをつくるに当たって、大学でどういうようなシステムというものを目指しているかということでお伺いしたいと思うんですけれども。

【金澤主査】

 わかりました。これは非常に大事なポイントをご質問いただいたと思っておりますが、かつて当時文部省でありましたけれども、脳科学の教育ということをどうしたらいいかという時に、いろいろな議論の中に脳学部をつくったらどうだというような話さえあるぐらい、まあそれは半ば冗談なんですが、つまり多岐にわたっているんですね。従いまして、例えば文学部の中でも心理もおありでしょうし、いろいろな部署にいろいろな研究者がおられるわけですね。そういうところに入ってくる学生さんたちは、そこですべて得られるとは限らない、しかし脳というものに対して非常に強いアフィニティを持っている人たちのレベルを全体に上げようとするためには、大学同士のコネクションということも、実際には行われておりますけれどもそれをシステマチックにしたらどうか、あるいは大学共同利用施設を使ってある教育システムを、例えば社会学系の方であっても数学の方であっても、そこに行けば脳に対してある一定のレベルの知識なり技術なりが得られるというシステムをネットワークでつくろうではないかという意味でありまして、具体的にどこの場所に何を建ててということは、実はこれからです。

【澤岡分科会長】

 他にいかがでしょうか。
 追加された新しい章の62ページの下4行についてです。ほとんどの方々は右脳、左脳ということを信じていると思います。私も半分は信じている方です。これをなりわいにしてビジネスが成り立っている企業がたくさんありますので、パブリックコメントの段階で相当話題になるのではないかと思います。この参考文献は比較的新しいものであり、この文献から「これは疑似科学である」とか、「根拠が非常に薄い」と言い切るような判断をして良いのでしょうか。

【金澤主査】

 いえいえ。例えばで言いますと、右脳、左脳というのは一部正しいわけです。当然ですけれども、右の脳が主にやることと左の脳が主にやることというのは、これはもう間違いがないんです。ただ問題は、そういうものをどう社会に今の段階で言うかということであって、「右脳人間」という言葉は現実には多分ないと思います。「左脳人間」という表現はないわけです、正しくないわけです。「女性脳」、「男性脳」というのも実は同じでありまして、それぞれ特徴を持っている、お互いに違う部分を持っているということは間違いありません。それを「男性脳」、「女性脳」と呼んで、社会の中でそれをある意味で広めて利用していこうというところに問題があるわけです。ですからここまでは正しい、ここから先はまだわからないということを正確に伝えようというのが、実はこの報告の中で述べられていることです。ある意味では細かい話になるかもしれませんけれども、あくまでも正確なことを知った上でそれを利用してほしいということであります。簡単に申しますとそういうことです。

【石田委員】

 私も素人的立場で見させていただいて、この辺は非常に興味もあったし大事なところだと思うんですけれども、全く強く言い切っておられて、これは確かに一般のマスコミの方が見ますと、全くこれまで言っていたことが否定されたのかという感じも確かにしないでもないというところがあると思うんですね。しかも確かに諮問のあった時に、脳科学についてはえてして疑似科学、えせ科学になりやすいという議論も科学技術・学術審議会総会でもあったわけでありますけれども、その辺をどの程度までどういうディスクローズするのが最も今のところ妥当なのか、それについてはいかがでしょうか。

【金澤主査】

 そういうコメントがあったら、むしろ大変ありがたいと思います。そういう機会を与えていただくことで大変助かります。正確にお答えをしていこうと思っております。

【澤岡分科会長】

 他にいかがでしょうか。
 それでは本分科会としてお認めいただきまして、同様の審議が学術審議会で20日に行われますので、その2つの結果をあわせて総会に審議議題として提出する予定でございます。
 それでは金澤先生、ありがとうございました。

【金澤主査】

 どうもありがとうございました。

【澤岡分科会長】

 それでは議題5、「iPS(細胞人工多能性幹細胞)研究等の加速に向けた総合戦略の改訂」につきまして、事務局より報告をお願いします。

【菱山ライフサイエンス課長】

 ライフサイエンス課長の菱山でございます。
 お手元の資料5でございます。「iPS細胞(細胞人工多能性幹細胞)研究等の加速に向けた総合戦略改訂版」についてご説明申し上げます。
 この総合戦略改訂版につきましては、一昨年、平成19年12月22日付で文部科学大臣決定ということで公表されたものでございます。この総合戦略はiPS研究という我が国初の非常にすばらしい成果が出たことを受けて、今度どのように進めていくかというのをまとめたものでありました。このたび平成21年度の政府予算原案が決まりましたので、それに合わせて改訂版をつくったものでございます。
 簡単に説明させていただきますが、最後から2枚目のポンチ絵がございます。これは1枚でまとめたものであります。まずこの総合戦略につきましては5つのパートに分かれておりまして、1つが体制整備、2つ目が新たな制度に関する取り組み、3番目が研究推進及び社会還元、4番目が研究環境整備、5番目が知財に関する取り組みというものであります。それから新しいものについては「新」という字が書いてございます。
 まず体制整備に関する取り組みでございますが、ライフサイエンス委員会のもとに幹細胞・再生医学戦略作業部会というのを設置しまして、今引き続き検討しておりまして、この総合戦略の改訂版についてもいろいろなご検討をいただいたところでございます。また(2)でございますが、文部科学省のiPS細胞等研究ネットワークというのを構築して、日本全体の取り組みということでやっております。このネットワークの中には文科省の関係だけではなくて、経済産業省の産業技術総合研究所の研究所、あるいは厚生労働省の成育医療センターや精神・神経センターといったところも参画しております。
 また(3)中核的研究組織のところでございますが、京都大学にiPS細胞研究センターというのが設置されております。
 次に2.新たな制度等に関する取り組みでございますが、まず(1)は先端医療開発特区でございます。これが昨年公募されてiPSの研究についても採択されたというところでございます。(2)革新的技術戦略の着実な展開でございますが、これについては今後総合科学技術会議のほうで進められると思われます。革新的技術戦略の中にiPS細胞についても取り上げられているというものであります。
 それから3.研究の推進及び社会還元に関する取り組みでございますが、まず基礎研究を引き続き進めますし、また再生医療の実現化プロジェクトでも引き続き支援を進めるというものでございます。(3)は新しいものでございますが基盤整備ということで、さまざまなiPS細胞がつくられておりますので、品質管理や標準化の検討をしたいと考えておりますし、またそういった標準化あるいは品質管理、疾病の患者さんの細胞からiPS細胞をつくるといったことを進めるプラットフォームというのを進めていきたいと考えております。また(4)でございますが、これはJSTの戦略イノベーションというものが新たに予算案として認められておりますので、企業を含めて産学官連携でiPS細胞の社会還元を進めていきたいということでございます。
 4.研究環境整備でございますが、これはJSPS、それからJSTにおいて、若手研究者の育成あるいは国際シンポジウムといったものの開催などを進めていこうというものでございます。
 それから知財に関する取り組みでございますが、これはヒトiPS細胞の樹立が報道された時からかなりご指摘があって、既にさまざまな知財の支援をしているところでございますが、さらに来年度からは知財の取り組みについてさまざまな知恵を産業界やあるいは海外からもいただいて、集めて、それぞれ知財戦略を立てられるような体制を整備していこうということで、再生医療の実現化プロジェクトの予算の中で認められているものでございます。
 改訂版についての内容は以上でございますが、ご参考までにその次のページに、その下になりますが、支援の全体像ということで、研究費やいろいろな環境整備費をあわせますと、平成21年度の予算としては約45億円ぐらいでございます。またその他に平成20年度の補正予算で15億円ほどが認められているということでございます。
 その他に科研費やあるいはJSTの国際化支援とか、それからWPI、世界トップレベル研究拠点プログラムによる支援、あるいは理化学研究所の神戸の発生再生総合研究センターや京大の再生医科学研究所における運営費交付金といったものは、運営費交付金の中に入っておりますので計上しておりませんけれども、そういった支援があるというところでございます。
 以上です。

【澤岡分科会長】

 報告議題でありますが、質問などございましたら。

【西山委員】

 この記載にある5番目の知的財産に関する取り組みのところで、要望というか意見なのですが、結局基本的な基礎研究ということでの知財化ということは達成されておられるかと思うのですけれども、やはり当該分野は非常に国際競争が激しい分野で、かつ最終的には医療行為としてお医者さんの取り扱いの中に実現化した時に初めて患者を救えるということにつながります。基礎研究のみに留まっているのでは実用化に至らない。部分的に特許だとか活用体制だとかいう記載があって、それに進んでいこうという方向は明示はされているのでありますけれども、やはり国際競争からすると、米国も欧州も医療行為、医療方法は特許化が認められている一方で、日本の特許法では医療方法は特許にならない。医療方法が特許にならないということはどういうことを意味するかというと、これからはin vivoの実験が非常にたくさん増えてこないと最終的に実用化には至らない。そうするとそういう国際競争の中で、特に米国でありますけれども、医療行為は特許法で認められておりまして、どんどん特許化できるにもかかわらず、日本の土俵ではできないということでありますから、実用化を推進するという体制においては、競争上特許法が足かせ手かせになってしまっている。もちろん倫理的な面とか非常に難しい側面があることはわかっていますけれども、国際競争の中で、手かせ足かせがあるような分野が国際競争に勝ちにくいということは確かなものですから、その辺について公平に競争できる土俵となるような仕組みというのを日本に構築しなきゃならないということで、そういう立場からの検討をぜひお願いしたいということであります。

【菱山ライフサイエンス課長】

 特許法あるいは医療特許については、先生もご存知のように今知財本部でご検討されていると聞いております。ただ、私どもはその中でどうするかということで、あまり詳細には申し上げられませんが、このiPSかどうかは別にしまして、多分企業の方もあるいは大学の方も、医療特許が必要だということであればアメリカならアメリカの法律に基づいてアメリカで知財を出願することになるのではないかと考えております。ただ私どもは特許法を所管しているわけではないので、今の知財の仕組み、アメリカはアメリカ、あるいはヨーロッパはヨーロッパ、日本は日本、その中でやっていっているところでございます。

【澤岡分科会長】

 他にございませんか。
 大変重要なご指摘ありがとうございました。
 先へ行きたいと思います。本日の最後の議題でありますが、「ライフサイエンスデータベースの統合・維持・運用の在り方」について、ライフサイエンス委員会からの報告をお願いします。

【菱山ライフサイエンス課長】

 続いてご説明申し上げます。資料6でございます。「ライフサイエンスデータベースの統合・維持・運用の在り方」ということで、ライフサイエンス委員会で検討したものでありまして、ご報告申し上げます。
 この報告書を開いていただきまして2ページを見ていただけますでしょうか。ここにはデータベースの整備の意義及び必要性ということが書いてございまして、ライフサイエンスの分野におきましてもデータドリブンというかデータがどんどん出てきていて、特に最近、例えばゲノム科学のように大量のデータがどんどん出てくるというような状況になっておりまして、またデータベースもたくさん出ているという状況にございまして、これらを使いやすく整備していくということが大変重要になっているということでございます。
 ただ、次の3ページを見ていただきますと現状及び問題点というのがございまして、特に問題点のところにございますように、なかなかデータの共有あるいは欧米に比べるとデータベース整備の予算が小さいんじゃないかとか幾つか問題点があります。特にデータの共有とかデータベースがなかなか相互に使えにくいということがございまして、せっかく税金を投入したものにもかかわらず、データの有効活用ができていないというのは問題ではないかということでございます。諸外国の状況ということで、4ページの3.でございますが、アメリカと及び欧州では整備が進みつつあるということでございます。
 4.に今後のデータベースの統合・維持・運用の在り方というので、これは機能面の検討、それから5.では体制面の検討というのが行われていて、まず4.のデータベースの統合・維持・運用の機能についてでございますが、ライフサイエンスのデータ自体は、実は文部科学省の関係の大学や理化学研究所といったところだけではありませんで、厚生労働省や経済産業省、あるいは農林水産省といった関係のところもありますが、全体につきましては今後総合科学技術会議でご検討していくということになっております。総合科学技術会議とも連携をとりつつ、今この報告書をまとめたものであります。
 5ページの一番上のポツにございますように、ライフサイエンスデータベースの整備を担う機関というのは、データベースのカタログづくりや関連データベースの横断的検索にとどまることなく、他機関と連携して将来的には日本全体を1つに集約するということが期待されるんだということが書かれております。ただ、これは事業としてやる必要があるということでございまして、研究というよりはきちんと事業として位置づけられることが必要だということが述べられております。ただデータベースを統合化するに当たっては、例えばヒトのゲノムのデータというのは取り扱いを注意しないといろいろな個人情報の関係もありますので、そういったことも含めて検討して整備していくことが必要だろうということが書かれております。
 次に5.体制でございますけれども、一番最初に書いてございますけれども、今までライフサイエンスの統合データベースという事業が、今もございますけれども、それにつきましては時限的なプロジェクト、競争的資金で行ってきたものでございますが、データベースというのは時限的にというよりは次から次へと生み出されて、かつ長期間継続的に整備していくことが必要だろうということでございまして、そういったセンターを設置して運用していくことが考えられるけれども、2つ目のポツでございますが、ただ新たに新設していくというのは、それはそれで行財政改革の中で非常に難しいのではないかということであります。
 4つ目のポツに「したがって、本作業部会としては」とございますけれども、まず総合科学術会議で全体の国家戦略を描くことを強く期待するということと同時に、現時点では総合科学技術会議からご指摘をいただいているのでありますが、統合データベースプロジェクトと、これはJSTで行っておりますバイオインフォマティクス推進センター(JST-BIRD)という事業がございますが、これに関して総合科学技術会議としては、この統合データベースプロジェクトとJST-BIRDとの一本化の目標として具体的検討を進めるべきだというご指摘をいただいておりますので、それを十分踏まえて次のような体制を検討することが適切だということで、体制について結論を出しております。
 6ページの一番下にございますように、統合データベースプロジェクトの中核機関であるROISというのは共同利用期間の情報システム研究機構でございまして、そこに今委託しているわけでございますが、そこのライフサイエンス統合データベースと、これまで我が国のライフサイエンス基盤のデータベースを支えてかつ推進してきましたJST-BIRD、それからデータベースを有するいろいろな研究機関が、コミュニティの意向を踏まえてそれぞれ役割分担を図り、一体的な運用を図るということが適切だろうということでございまして、かつ次の段落でございますが、そのため、これまでのデータベース開発者に対する支援を行ってきたファンディング事業としてのノウハウ、それから文献情報等のデータベース利用者に対する支援を行ってきた情報事業としてのノウハウの両方を兼ね備えているJSTが新たな組織を設置して、情報システム研究機構のライフサイエンスデータベースセンターをはじめとする関係が持つポテンシャルを最大限に生かして、柔軟な運用を可能とする仕組みを構築して、データベースの統合・維持・運用を図るということでまとめたものでございます。新たなこういった組織につきましては、広く研究者コミュニティの意見をきちんと聞いて反映して、設置主体のJSTにおいてこういったデータベースの運営の内容を定める計画を策定するような検討が進められていくことが必要だということが、結論として述べられているところでございます。こういったことでございまして、こういった今の事業を統合して新しく進めていくということが結論となっております。
 6.に移行時期ということがございますが、今の統合データベースプロジェクトという時限的なものにつきましては平成18年度から5年間ということでございますので、徐々に移行していくということで、平成21年度の政府予算の原案から少しずつ経過的措置を講じていくということにしております。
 こういった方向で今こういった報告書をまとめていただきましたので、具体的な方策について今検討を進めておりますし、また総合科学技術会議のほうでもライフサイエンスデータベースの作業部会というのを設置して、実は第2回目の検討が今日の今ぐらいの時刻に行われていますが、オールジャパンの体制に向けて総合科学技術会議でもご検討していただいているところでございます。
 以上です。

【澤岡分科会長】

 ありがとうございました。
 ご質問、ご意見などございませんか。

【土居分科会長代理】

 課長のただいまのご説明の中にありましたが、我が国でデータベースがこれまで育たなかった理由で2つ大きいのがありまして、一つは継続的に資金が投入されなかったということがあるのですが、もう一つは、もしも研究者が関与する場合には、要するにその方々をちゃんとそれなりに評価をしていただく必要があるということなんですね。欧米諸国ではデータベースを構築したということは極めて高く評価されるんですが、日本の場合には、結果としますと要するに数の勝負に出てこられますので、同じ土俵で論文何編だという勝負の巻き添えを食らっちゃうんですね。それはよくないということは以前から学術会議等々で報告書も出しているんですが、依然として数の勝負が広く使われているという場で同じ戦いをされなきゃいけないとなりますと、とてもとても間尺に合わない。ですから、それは分野、分野でデータベースをおつくりになる方々を尊重していただくようにということは、学術会議の報告書を何回か出したことがあるんですが、ぜひこのライフの分野でもそういうことに関しましては、気をつけて丁寧に扱っていただかないといいものができないと思っておりますので、よろしくお願いしたいというのが1件と、もう一つはICSU(国際科学会議)で実は科学データベースに関して取り扱うようなことをやるわけですが、そこに幾つかの委員会がございますがCODATAというのがありまして、前会長が東京大学の岩田修一先生だったんですが、緊急見直しということがありまして、全体を見直すというので12委員会が、国際委員会ができまして、私もそのメンバーの1人として報告書をまとめたものが次のアセスメントにかかって、去年の10月のICSUの総会で、ワールドデータシステムというものを構築し、その科学データに関して広く国際的な協調をとり、全科学者に対してデジタルディバイド等々もないようにしようということを含めて進めていこうというのがあります。幾つかの要するに難点はあります。ご存知だと思いますが、EUが出してきました“sui generis right”という特別な権利という、データベース構築に関して投資をした人を守るということで、15年間守るというようなことがあったりしまして、欧州はディレクティブですので全てそれに則って法律ができております。フランスが一番強くて、教育にも使わせないというようなものがあったりするんですが、いずれにしましてもいろいろハードルが高いのがありますが、国益ということもそれぞれ考えておりますので、我が国に関しましても、国益を考えた上でそれに対して不都合がなければ、ぜひそういうようなことで国際的なものにも加わっていただければというような気がいたしますので、その点もご考慮いただければと思います。

【北澤委員】

 この件、JSTもちょっとかかわっておりますので、ちょっと問題といいますかそういう観点からコメントさせていただきたいんですが、データベースというのは、日本のような国はなぜやならなければならないのかという、早く言えばそういうところに他の学問とちょっと違うところがあって、日本語だけの、日本人だけのためのデータベースというようなものは、英語のデータベースに比べたら最初から経済的には成立しないというような面があるんですね。ですからその時にそれを国策としてあえてそれでもやるのか、それともどうするのかというのがまず第1点の大きな問題で、今回のこの統合データベースも、こんなことをいつまでやっていてもいいのかというような問題を最初から抱えているような面がある。つまり日本だけでこういうデータベースをつくることに意味があるのかどうかという問題であります。
 それからもう一つの問題は、研究者がデータベースをつくり始める時には、研究に必要だからそういうデータベースをつくるという形で、純粋に研究心でつくっていくわけです。ところがみんながそれをだんだんに使うようになると、今度はむしろメンテナンスとか使いやすさとかそちらの方がはるかに重要になってきます。実はそういう段階というのはJSTの得意なところなんですが、今そこのところで大きな問題が起こるだろうと思われている中で、研究者たちはつくり始めたわけですね、それで文科省で、もう研究者たちに任せておけませんよということで、JSTにこれを移管されたという言い方はよくないかもしれないけれども、早く言えば結果的にはそういうことになっているわけです。
 そうすると、今回の先ほどの課長からのお話でも、研究者コミュニティの意見を十分に聞いてJSTはきちんとやりなさいと言っているわけですね。つまりどっちでやるんだと、研究者のやりたいようにこれからもやっていくのか、それとも今後どうすべきかというような方向に向けてやっていくのかと、これはこうやって書いてあるといかにもそのとおりだなと思えるんですが実は大問題で、これからかなりの紆余曲折が予想されるわけですけれども、その時にそうなりますと、やはり総合科学技術会議とかそういうところが中に相当に入って指導力を、リーダーシップを発揮していただかないと、例えばJSTでこれをハンドルできるかといったら、まずできないと思われます。その意味でリーダーシップをどこが発揮できるかといいますと、残念ながらこういうデータベースというのは文科省だけでやっているわけでもない。そうしますと、文科省の中だけで話し合う委員会ではやっぱりちゃんとした方針が出せないというようなことがありますので、そうなるとCSTPかなと思うんですけれども、その点でCSTPが自分のこととしてちゃんとやっていただければ、いいところへ向かっていけるんじゃないかと。そうでなければコミュニティの皆さんの意見を十分にお伺いして、それでパーセンテージで割り振って予算を割り振るというのは、まあそんな類のことしかできなくなってしまう可能性があるので、そこは我々としても注意しますが、ライフサイエンス課でもそういうことをよくお考えになられて、リーダーシップを発揮していただけたらと思います。

【澤岡分科会長】

 ありがとうございます。
 他にいかがでしょうか。
 それでは、この件につきましては、ただいまの意見を十分に反映するような形でそれぞれご努力いただきたいと思います。
 最初に申し上げましたが、この分科会は2年間の任期でございまして、任期は1月いっぱい、今日が最後の分科会でございます。最後に当たりまして、一言ご挨拶させていただきたいと思います。
 いつも夏が近づきますと、概算要求との関係でいろいろな委員会が重要課題を取りまとめて、この分科会で審議をすることが行われてきました。その度に「総論なく各論からスタートするのは好ましくない」というご指摘がございまして、改善に努めた結果、年々よい方向に向かってきたと思います。総合科学技術会議が総論をつくり、それに基づいて各部署が各論をつくって概算要求するという形になっていますが、時間の関係から、どうしても各論から入ることが多く、少なくとも文部科学省の審議会においては、まずこうあるべきだという総論の議論が欲しいといつも思っておりました。しかし、分科会に属する委員会の数が年々多くなり、部会もたくさんあるため、限られた回数の分科会ではとても手が回らない。この分科会は大きな審議会であったという歴史があります。このような歴史を持つ分科会としてそれぞれ委員の方に出来る限りの努力をお願いして、審議をいただきました。私のキャパシティが小さいからかもしれませんが、分科会の守備範囲が非常に広く、総論が議論される時間が非常に少なく、委員会から生々しい提案が最初から出てくるものですから、ついて行けないというご意見もございました。今後そういう点で少しでもよい方向へ行ってほしいと願っています。これはあくまで私の印象でございます。委員の皆様におかれましては、この2年間大変幅広い内容につきまして熱心にご審議いただきましたことを、心よりお礼申し上げます。
 最後に局長よりご挨拶をいただきたいと思います。

【泉局長】

 ありがとうございます。
 ただいま澤岡分科会長からございましたように、第4期科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の会合は本日が最後となります。お手元に参考資料3として、平成19年2月から今回までご審議いただきました事柄をまとめた資料を差し上げておりますが、この分科会は本日を含めまして8回の会合を開催いただきまして、具体的には、2ページ以降にあります各論と申しましょうか、科学技術基本計画でいうところの重点4分野から、国家基幹技術等にかかわるものまで非常に幅広い分野において、いろいろな研究開発の進め方等について、あるいは予算要求等に当たっては計画の事前審査という形でご審議をいただいたところです。
 さらに1ページ目をご覧いただきまして、第23回の大型放射光施設の中間評価のご審議、静粛超音速機技術の研究開発の推進方策の策定、それから昨年夏にありました地球環境科学技術に関する研究開発の推進方策の策定、こういったところが本分科会の比較的大きな審議事項であったかと思います。個々の分野におきまして、それぞれの時点、時点での焦点になる事柄についてご審議を賜ったところです。
 また、こうした審議にあたっては、委員会あるいは部会で細部にわたってご検討いただいたわけですが、ここにおられる先生方には、それぞれの部会・委員会に主査等のお立場で参画していただいて、それぞれご審議のみならず、いろいろな評価作業と申し上げてもいいような事柄をお願いしたところでございます。
 今期は今回が最後ということになりましたけれども、特に、澤岡分科会長、それから土居分科会長代理におかれましては、平成13年に科学技術・学術審議会を発足いたしまして以来、4期8年にわたりましてこの分科会の中心的な役割でご指導を賜ったところでありまして、特に厚く御礼を申し上げます。
 今後は、今お話がございましたようにやはり総論的なご審議もいただきながら、個々の分野での推進方策についてご議論を深めていただく必要があろうかと思いますけれども、個々の分野の研究開発推進方策等をご審議いただくに当たっても、今日も幾つか話題に出ましたけれども、人材の養成でありますとか、あるいは知財の取り扱い、さらにはデータベースといった共通の問題もございます。こういう問題は、審議会には横断的な委員会もございますので、そういったところにも議論を投げかけるとともに、いよいよ平成21年は第3期の科学技術基本計画の4年目になるわけでありまして、次の第4期の基本計画に向け、文部科学省としての議論をしていかなければいけないというフェーズになってきておりますので、これまでの4期のこの分科会でのご議論、あるいは学術分科会その他の関連審議会、関連分科会でのご議論、そして審議会総会でのご議論等も踏まえて、今年の半ばぐらいには科学技術・学術審議会、文部科学省としての検討に着手していく必要があると認識しており、事務的にはその準備も進めているということも申し上げておきたいと思います。そのような意味でも、今後とも引き続き文部科学省の科学技術の推進につきまして、いろいろな立場、観点からご指導、ご助言を賜ればと思うところです。
 本日は予算の話はいたしませんでしたが、平成21年度の科学技術関係経費、全省庁で3兆5千5百億、前年とほぼ同額、7億程度マイナスになりましたが、その中で文部科学省の予算は約2兆3千億、特にその中でも科学技術振興費につきましては、平成20年度の8,619億に対しまして約1.6%、政府全体での科学技術振興費の伸びは1.1%でありまして、文部科学省はそれよりは高めの伸びだったというような、非常に厳しい財政事情の中ではありますがそういった状況になっております。今後とも予算の確保、21年度予算事業の遂行につきましても、引き続きいろいろなお立場からご指導を賜れればと思います。
 ちょっと長くなりましたが、第4期分科会の最後に当たりまして、事務局の立場として、また直接事業をご指導いただいている立場として、御礼とご報告をさせていただくものでございます。重ねてあつく御礼申し上げます。どうもありがとうございました。

【澤岡分科会長】

 これももちまして閉会といたします。どうもありがとうございました。

【渡邉計画官補佐】

 事務局からご連絡申し上げます。
 本日の議事録案は後ほど事務局よりメールでお送りいたしますので、加筆・修正がございましたらご連絡下さい。澤岡分科会長の了承の上、文部科学省ウエブページに掲載させていただきますので、よろしくお願いします。
 また資料につきましては、お帰りの際に封筒にお名前ご記入の上、机上に置いていただければ、事務局より後ほど送付させていただきます。
 今まで本分科会運営のご協力を賜り、ありがとうございました。
  

お問合せ先

科学技術・学術政策局計画官付

(科学技術・学術政策局計画官付)

-- 登録:平成21年以前 --