航空科学技術委員会 研究開発ビジョン検討作業部会(第1回) 議事録

1.日時

令和元年7月4日(木曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省 18階 研究開発局会議室1

3.議題

  1. 航空科学技術委員会研究開発ビジョン検討作業部会の議事運営等について 【非公開】
  2. 航空分野の関係団体に対するヒアリング【非公開】
  3. 研究開発ビジョンの検討について
  4. その他

4.出席者

委員

科学技術・学術審議会臨時委員  李家 賢一【主査】
科学技術・学術審議会専門委員  佐藤 哲也
科学技術・学術審議会専門委員  武市 昇
科学技術・学術審議会専門委員  戸井 康弘
科学技術・学術審議会専門委員  和田 雅子

文部科学省

研究開発局宇宙開発利用課長  藤吉 尚之
研究開発局宇宙開発利用課宇宙連携協力推進室長  平田 容章
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐  宮川 毅也

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)航空技術部門長  佐野 久
一般社団法人日本航空宇宙工業会(SJAC)常務理事  髙辻 成次

オブザーバー

経済産業省
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)

5.議事録

1. 開会

【宮川課長補佐】  それでは、定刻より少々早い時間ですけれども、皆様お揃いのようでございますので、ただいまから科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会航空科学技術委員会研究開発ビジョン検討作業部会第1回を開会いたします。
 本日は、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。私は、事務局を務めさせていただく宇宙開発利用課の宮川と申します。
 今回は、去る6月24日の航空科学技術委員会第61回で本作業部会が設置されたことを受けた最初の作業部会でございます。議題の性質上、非公開で開始させていただきます。
 研究開発ビジョン検討作業部会は、参考資料1の「航空科学技術委員会運営規則」第2条に基づき設置されております。また同条の規定により、航空科学技術委員会の李家主査より、資料1-1-2の記載のとおり、研究開発ビジョン検討作業部会に属すべき委員とともに主査として李家委員が指名されております。
 作業部会開始に当たり、本日は研究開発ビジョン検討作業部会委員5名全員に御出席いただいておりますことを御報告いたします。
 それでは、御就任いただきました委員の方々を事務局から紹介させていただきます。
 李家主査でいらっしゃいます。

【李家主査】  李家です。よろしくお願いします。

【宮川課長補佐】  佐藤委員でいらっしゃいます。

【佐藤委員】  佐藤です。よろしくお願いいたします。

【宮川課長補佐】  武市委員でいらっしゃいます。

【武市委員】  どうぞよろしくお願いします。

【宮川課長補佐】  戸井委員でいらっしゃいます。

【戸井委員】  戸井です。よろしくお願いいたします。

【宮川課長補佐】  和田委員でいらっしゃいます。

【和田委員】  和田です。よろしくお願いいたします。

【宮川課長補佐】  次に、文部科学省の出席者を御紹介させていただきます。
 宇宙開発利用課長の藤吉でございます。

【藤吉課長】  藤吉です。どうぞよろしくお願いいたします。

【宮川課長補佐】  宇宙連携協力推進室長の平田でございます。

【平田室長】  よろしくお願いします。

【宮川課長補佐】  課長補佐の宮川でございます。よろしくお願いいたします。
 また、オブザーバーとして、JAXA、経済産業省より御出席いただいておりますので紹介いたします。
 JAXAの佐野航空技術部門長でございます。

【佐野部門長】  佐野でございます。

【宮川課長補佐】  西澤事業推進部長でございます。

【宮川課長補佐】  又吉マネージャーでございます。

【又吉計画マネージャー】  又吉です。よろしくお願いします。

【宮川課長補佐】  経済産業省より沼本係長でございます。

【経済産業省製造産業局沼本係長】  沼本です。よろしくお願いいたします。

【宮川課長補佐】  また、本日は議事の中でヒアリングを予定しておりまして、その説明者として日本航空宇宙工業会より髙辻常務理事に御出席いただいております。

【髙辻常務理事】  髙辻です。よろしくお願いします。

【宮川課長補佐】  続いて、資料の確認でございますが、6月24日の航空科学技術委員会と同様にペーパーレス化をさせていただいております。本日の配付資料につきましては、お手元の紙でお配りしている議事次第にございます配付資料一覧のとおりでございますけれども、全ての資料につきましてはタブレットPCのデスクトップの方に保存させていただいております。タブレットPCに不具合が生じた場合などがございましたら、事務局まで適宜お申し付けください。
 ただし、今、申し上げた議事次第と座席表、資料1-3-1から資料1-3-3の三つの資料につきましては机上に紙でもお配りさせていただいております。また、資料の不足等がございましたら事務局までお知らせください。
 それでは、以後の議事に関しましては李家主査にお願いいたします。

【李家主査】  天候の不順な中お集りいただきまして、今日はありがとうございます。
 航空科学技術委員会のもとにまた新たなタスクが与えられたということで、4回ほど予定されていると思いますが、この作業部会ではよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入ります前に、最初に藤吉課長から一言いただければと思います。お願いいたします。

【藤吉課長】  改めまして、藤吉でございます。
 お足元の悪い中、また、お忙しい中お集りいただきまして、本当にありがとうございます。また、委員をお引き受けいただきまして、重ねて感謝申し上げます。
 文科省では航空科学技術分野につきましては、第5期の科学技術基本計画ですとか航空産業ビジョン等、そういったものを踏まえて、JAXAにおける次世代の航空科学技術の開発ですとか、あるいは単独の企業では持てないような大型の設備、F7に代表されますような試験装置、そういったものの導入を通じて、この分野での研究開発を進めてきたところでございます。
 他方、最近の情勢を見ますと、空飛ぶクルマですとか無人飛行機、そういったものに代表されますように、次世代のモビリティーといったものが注目を集めていて、今後さらにそれが活発になると予想されており、文科省、JAXAとしてもそういったものへの対応というのがますます必要になってくると思っております。
 先ほど第5期と言いましたけれども、今年は次の5カ年計画である第6期の科学技術基本計画を策定する重要な年になってございます。この基本計画は5年に一度改訂されますけれども、次期第6期は令和3年からでございます。あと1年半ありますけれども、この時期から議論をして深めていくと、そういう段取りになっておりまして、その中で航空科学技術分野がどのように位置付けられるかといったことが非常に重要なことだと我々は考えております。
 皆様御案内かもしれませんけれども、現行の第5期の基本計画につきましては、航空科学技術に関する記述はほとんどございません。そこで、先ほども申し上げましたような次世代モビリティー・システムといったことですとか、そういったものへの対応といったものをぜひ第6期の基本計画には盛り込みたいと考えてございます。
 そういった点から、先般の航空科学技術委員会で本作業部会の設置が決まったわけでございますけれども、今年の秋、10月ぐらいまでの第4回ということで、ぜひ精力的に御議論いただきまして、単なる第6期の基本計画のみならず、その期間を含めた今後10年ぐらいを見通した今後のあるべき姿、文科省がやるべきこと、そういったことをぜひ忌憚なく御議論いただいて、お示しいただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【李家主査】  どうもありがとうございました。

2. 議事

(1)航空科学技術委員会研究開発ビジョン検討作業部会の議事運営等について
・研究開発ビジョン検討作業部会の設置について(資料1-1-1)と科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会航空科学技術委員会研究開発ビジョン検討作業部会委員名簿(資料1-1-2)について、報告された。
・科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会航空科学技術委員会研究開発ビジョン検討作業部会の公開の手続について(資料1-1-3)、承認された。
・航空科学技術委員会研究開発ビジョン作業部会の当面の検討スケジュールについて(資料1-1-4)、報告された。

(2)航空分野の関係団体に対するヒアリング
・第4期中長期計画の事業方針についてJAXA殿から発表された。
・我が国の航空機産業の状況等についてSJAC殿から発表された。
・旅客機開発事業への参画状況と今後の展望についてJADC殿から発表された。

(3)研究開発ビジョンの検討について
【李家主査】  では、続いて、議題3、研究開発ビジョンの検討についてへ移りたいと思います。今日は先ほどのヒアリングの内容も踏まえて、それから、6月24日に行われた航空科学技術委員会の議論を深掘りする形で、引き続いて未来社会のデザインをどのようにイメージするか、それを中心に議論したいと思いますので、まず最初に、事務局の方から中間とりまとめ骨子の素案というのを考えていただいておられますので、そこの検討から行いたいと思います。御説明をお願いします。

【宮川課長補佐】  時間も押しておりますので手短に御説明差し上げます。
 資料1-3-1をまず御覧ください。
 この資料は、先日の6月24日の航空科学技術委員会に提出させていただいた資料と同じものでございます。
 その1ページ目ですけれども、先ほど資料1-1-4で御説明差し上げたとおり、年度いっぱいで文部科学省としてのとりまとめを行う関係で、航空科学技術委員会としては10月中を目途に検討を進めると。それの具体的な検討の場として本作業部会が存在しているというところでございます。
 それで、この資料の内容の説明は割愛させていただきますけれども、事務局にて先日はこれまでの文部科学省全体総合政策特別委員会の検討を御紹介させていただいた上で、事務局として考えの及ぶ範囲において論点を列挙した、この資料でいう2ページから6ページまでの内容について御紹介させていただき御意見をいただきましたというところでございます。
 その内容が資料1-3-2でございます。
 先日、航空科学技術委員会の委員の皆様には速報的な議事概要として事務局作成のものをお送りいたしましたが、そのうちの科学技術基本計画に関する内容について、改めて先ほどの資料1-3-1の柱に沿うような形で並べ変えたものでございます。
 具体的に申し上げると、丸1(1)の人材の改革につきましては、若年層への理解を図っていくこと、あるいは、スペシャリストとジェネラリストのバランスのお話がございました。資金と環境につきましては、その後の丸4や丸5、未来社会デザインのシナリオへの取組を中心に御議論いただいたこともあり、特段の意見はなかったというふうに考えております。
 次の2ポツの未来社会デザインとシナリオへの取組については、社会がどう変わるのかというところを考えるべきであるということや、その中でも空の移動革命であったり、society5.0などの情勢というのが出てくるのではないか、あとは、ダウンサイジングの多頻度運航みたいなところが出てくるのではないかという御意見がありました。
 また、具体的な変化ではございませんけれども、ニーズ側、エアライン側の知見も踏まえたシーズ抜きの議論の必要もあるのではないかという御意見もありましたところ、次回の作業部会でヒアリングを予定しているところでございます。
 また、航空機が自動車のように簡単に使える社会や通信のレベル向上による安全な交通整理が可能となる社会などが考えられるのではないか。あるいは、また、産業の観点から、燃費、安全性、環境性はもちろんのこと、移動時間としてどの程度短縮というのが社会需要となるかというのはまた議論がなされるべきではないかというところが挙げられました。
 そして、この未来社会デザインとシナリオを支えるような、それを実現する先端・基盤技術、技術開発関連についての御意見といたしましては、先ほどのプレゼンにもあったかと思うんですけれども、基盤技術としてどういった得意分野を伸ばしていくのかとか、そういったところの御意見をいただきました。
 また、未来社会デザインというのはしっかりと技術の進歩を踏まえて検討すべきという御意見がありました。また、先ほどのプレゼンにもあった内容でございますけれども、デュアルユースの観点というのも考慮すべきではないかといったご意見がございました。
 こういった資料1-3-1、1-3-2の内容を踏まえまして、資料1-3-3となりますけれども、事務局にて中間とりまとめの骨子の素案という形で、本日、御提示させていただいているところでございます。
 個別の内容につきましてはこれらを統合したようなものでございますけれども、構成としましては、最初に序論として科学技術全体に関する動向とビジョンの目的を書かせていただいた上で、2ポツ目、次の章としてこういった現状や方向性についてを本日や次回のヒアリングも踏まえて書かせていただきたいと。
 続いて、3ポツについては航空科学技術分野が将来どうなるかというところを、前回の航空科学技術委員会や今回で中心となる議題でございますけれども、そこについて未来社会デザインとシナリオと、それを実現するような研究開発、基盤技術の整備の方向性について書かせていただいた上で、最後に4ポツとしてそれを支えるようなシステム改革というところで4.1人材や4.2資金、最後4.3の環境、あるいはその他、総合政策特別委員会のまとめの資料では大学改革というところが記載されていますけれども、大学改革やそれ以外の要素があれば4.4のその他に記載させていただきたいなというふうに考えております。
 最後にまとめという形で「おわりに」をと、そういう構成を考えておるところでございます。
 今回の作業部会でございますけれども、ただいまお示しした骨子の素案というのがありますけれども、作業部会の委員の皆様には引き続き未来社会デザイン、シナリオとこれを実現する研究開発基盤技術の整備の方向性を中心に忌憚のない御意見をいただきたいと考えております。
 事務局からの説明は以上でございます。

【李家主査】  ありがとうございました。
 では、ただいまの御説明をもとに、今もありましたように、未来社会のデザイン、そのイメージといったところを中心にまずは議論いただいて、その後で資料1-3-3の中間とりまとめ骨子の素案についても御意見をいただきたいと思います。まず最初の方の未来社会関係の方、何か御意見ございますでしょうか。
 私からよろしいでしょうか。
 空の移動革命とかいろいろと話が出ていますけれども、これは先ほどの話もありましたけれども、非常に短い距離の移動というイメージのもとで、日本ではいろいろ話されていると思いますが、超音速航空機のようなもっと遠い距離を短い時間で行くというのも空の移動革命に入れていいかなと個人的には思うんですけれども、どのようなイメージをほかの方はお持ちでしょうか。

【戸井委員】  市場の読み方で、前回の委員会で、私はIoT技術の発達とかでダウンサイジング化みたいなことを口走ってはいたんですけれども、JADCの分析というか顕著な傾向として、むしろ小型機の分類の中での大きいサイズの派生型の方に売れ筋が振れています。グローバルな移動というものの必要性というか、長距離の移動はそれなりに違う傾向を考えなきゃいけなくて、例えば、どこかの国とシリコンバレーの人たちの行き来が盛んになるからその交通量が増えるだろうとか、そのニーズに応じたものがあるとは思うんですけれども、その際にどうやって攻めるかというと、運航会社の立場からすると、やはり傾向をしっかりつかんでロードファクターを挙げて大型化でつなぐ方が経済的で、運航ビジネスが組みやすいので、今の傾向もそうなんですね。single aisleが伸びているというものの、どんどん大型化しているんですね。320でも321になったり。737の方も。737は50年前に130人乗りぐらいで設計したのがどんどん継ぎはぎで、今は170人を狙うとか、かなり無理な展開になってきて、それが今のトラブルの要因ではあるんですけれども。エアバスも少しずつ、大型の派生型が伸びてきています。
 ただ、空飛ぶ移動革命というのはまた別の次元の要素で、それを使うとそれに置きかわってくると。決してグローバルな移動、長距離の移動が空の移動革命でというふうには必ずしもならない。なので、社会を変える自動車とか短い距離に頼っているものの変わり方と、旅客機の成長というのと、それぞれ違う動きなんじゃないかなという感じもしていますけれども。

【李家主査】  ありがとうございます。
 そうすると、我々の立場としては、そういった短い距離の移動が今までと全く違う格好で革命的に変わるという点と、世界全体を見据えた地球規模の移動という点、その両方の視点から未来を見ていくという、そういったことでよろしいんですかね。

【戸井委員】  と感じるんですね。ある程度把握しておくみたいな感じでばーんと飛んで、そこから先が空の移動革命で、というつながりを考えたらという、新しいつながりが出てくるかもしれません。

【李家主査】  わかりました。ありがとうございます。

【戸井委員】  もう一つ、超音速のいいところは、世の中を1日片道1回しか飛べないものが往復できるとなったときに、運用する側にとってはもう持っている機体が半分でよくなるので、常に2機持って同じルートで飛ばなきゃいけないところが、そういう意味ではやっぱり超音速機の一つの価値というか、そういうのもあるだろうと。

【李家主査】  わかりました。ありがとうございます。

【武市委員】  私も同じで、超音速機が現在の航空輸送のマーケットの延長線上にあると考えるのでしたら、既存のマーケットの発展の可能性の一つと捉えられますし、一方アーバンエアモビリティーは新規のマーケットとして捉えられているので、両方必要だと思います。

【李家主査】  ありがとうございます。
 あとはいかがでしょうか。
 資料2にsociety5.0とかもありますけれども、製造の革命に関して、このあたりのところは需要が拡大された結果として航空機へのニーズが増えるからこの辺のところも一気に発達していくという、そのような見方なのか、それとも、こういったsociety5.0とかIoT的なものがどんどん発達していくので、それに引きずられて航空の方も影響を受けていくのか、どちらの方向なんでしょうか。両者共存して発達していくのでしょうけれども。
 ほかはいかがでしょうか。未来社会以外でも結構ですけれども。
 この間の資料の2ですと、人材関係とかその辺で何かお気づきの点、ありますでしょうか。

【武市委員】  この間の委員会に講義があって出席できなかったので、資料に目を通して幾つか気になる点があったのでお伝えしていいですか。
 今の資料だと、若手の研究者育成方針は書かれているんですが、どのような研究人材が求められるかという観点の記述があっても良いと思いました。
 それから2番のところに、例えばこういう分野の研究者が求められるのではないかといったようなことが書かれていますが、求められる研究者像についても記述があった方がよいのかなとは思います。
 その点で、資料1-3-2のところにスペシャリスト、ジェネラリストという表現がありますが、ジェネラリストという言葉は、専門分野が特にない人のことを格好つけてジェネラリストと呼ぶ組織もあるので、この言葉は避けた方が良いかもしれません。
 逆に、先ほどの佐野さんの御説明のときにもちょっと申し上げましたが、10年、20年、30年という単位で大事な技術分野が変わっていくのに従って自分自身の専門性をスペシャルに変えていけるような人材が望ましい、というような感じのことを書いてあってもいいのかなと思います。
 もちろん時代に合わせるだけじゃなく、時代の変化を牽引できることが理想的ですけどね。
 それから、1-3-2の1ポツ目で、「若年層のうちから理解を図っていくことが重要ではないか」と書いてあるんですけれども、私ぐらいの世代とそれより若い世代だと、逆が多いんですよ。大学院を出て、修士を出ても博士を出た後も航空分野というのを見限ってほかに行く人が結構多かったりします。何かしら対策があってもいいかもしれません。見限られない分野であるのは難しいと思いますので、ただのコメントとして資料に残すかどうかは別に御判断ください。
 もう一点気になるのが、これも資料に書いてあったことですが、既存の分野で日本が得意とする分野の学会には日本人はたくさん行くんですが、そうじゃない分野には日本人は全然いないのが現実です。先々週も航空交通管理の学会に行ったんですが、日本から参加しているのは二人だけでした。やはり将来大事と思われる分野にどんどんチャレンジするような、育成の仕方が必要かもしれません。

【李家主査】  ありがとうございます。
 先ほどの若年層というのは、多分、もっと若いとか……。

【武市委員】  と思いますけれども。

【李家主査】  和田さん、そんな感じじゃなかったかと思うんですが。それでもう十分に魅力を感じていて、博士を出たといっても航空を見限るようなことをしないような人材……。

【和田委員】  ちょっと悲しいですね。

【佐藤委員】  実際、そうですよね。

【武市委員】  そうですね。

【李家主査】  何か追加で。

【和田委員】  女性航空協会で実際に航空に興味を持ってもらおうということで取組をしているんですけれども、そうすると、中学生ですとか早いと小学生ぐらいからそういうのに興味を持って、実際にそこで取り組むことによって英語を勉強したりとか、あと、将来技術系のところに行きたいとか、専門性というか、自分が大学で学ぶということが、最近、中学、小学校ぐらいのところからもう始まっているので、航空に興味を持ってもらうということでその辺の取組が必要なんではないかというお話をさせていただいたんですね。
 実際に技術系とか航空関係で博士課程まで行って、そこから見限ってほかの業界にいらっしゃるというすごく残念なケースも、今、伺ったんですけれども、反対に、私は社会人でリカレント教育的に博士の学位を取ったんですけれども、やっぱり後から研究したいなとか、そういう方も結構いらっしゃいますし、あとは、幼いころからずっとそれを目指して技術系に行くとか、パイロットになるとか、いろいろな形のケースがあると思うので、とりあえず若年層のうちから興味を持っていただくということはあってもいいのかなと。そして、海外に出る人もいるでしょうし、そこからまた何か知見を得てこの業界に何か貢献をしてくれるといいなという部分を思ってこの間お話しさせていただいたんですね。
 あと、今、技術系ということで理系の学生さんの話というのがメーンになっていると思うんですけれども、私は文系の社会科学系の博士なので、実際にその辺の経営系の部分、技術系の方が経営者になるということも結構あるとは思うんですけれども、そういう部分で両方の学生が共同で何か取り組めるようなものがあったらいいのかなというのを思いました。
 あと、意外とビジネスコンテストとかあると思うんですけれども、技術系のそういうコンテストとかがあるとやはり文系の人はいいなと思ってもなかなか踏み込めなかったりとか、そういうところから、実はアイデアがあって一緒にコラボレーションすることによって何かいいものが生まれてくるというのが結構あると思うんですね。ですから、そういうふうな部分の取組ですとか、先ほどお話もありましたけれども、JAXAというと宇宙という、JAXA、宇宙で、航空? え? あったの? というのが正直ちょっとここはあれなんですけれども、よくそういう話を聞くので、やはりそういうところをいぶし銀の部分も含めてもっともっと若年層に認知してもらえるといいのかなというのを思った次第です。

【李家主査】  どうもありがとうございました。

【佐藤委員】  人材の方なんですけれども、大学が考えているのと企業が考えているのとJAXAが考えている必要な人材というのが結構違っているような感じがしていまして、それを共通で必要なところというのはいぶし銀のような研究をしている人材なのかなと思っていて、なかなかやっぱりジェネラリスト的な話は難しかったり。あと、資料に挑戦できるとか失敗できるという項目があったと思うんですけれども、なかなか若いうちに失敗してうまくいくケースというのは難しいので、そういうのを本当に救える方法があるのかなというところを検討していきたいなと。
 それから、あと、未来社会の、例えば、アーバンモビリティーの空飛ぶクルマみたいなものが本当にコスト的に成り立つような話なのかとかいうことが余り議論されずにどんどん進んでしまっているような感覚があるので、その辺の議論もしたらいいのではないかなとちょっと思っているんですけれども。

【李家主査】  人材関係、いろいろお話しが出ましたけれども、次回、学術界の方からのお話を伺えるとの予定なので、またそこで議論できればと思います。
 最後に、アーバンエアモビリティーの件に関しては、これについてお詳しい方、何かコメントありますでしょうか。

【佐藤委員】  地上に比べて空を飛んでいくので、近距離で少人数でといったときに本当にいけるのかなという、何が変わればいけるのかなというところがなかなか見えていないんですけれども。

【戸井委員】  ウーバーのウーバーサミットというのが、その分野で注目されていて、去年よりも今年、違ったなと思ったのは、ローターだけでなく固定翼つきが前提になっている点です。本当のe-VTOLだけで何か乗せるとか人を乗せるという感じはなくなって、固定翼がついているという機体構想が増えてきて、やはり移動の飛行効率を考えたらそうならざるを得ない状況になり、だんだん何かその辺のバランス点が見えてきているのかなという気もします。

【佐藤委員】  燃費とかコストとかの計算とかもされている方はいらっしゃるんですか。

【戸井委員】  当然、そうですね。もともと、回転翼だけで浮かんでいるというエネルギーロスは、もういかんともしがたいですからね。

【経済産業省製造産業局沼本係長】  オブザーブからよろしいですか。
 空飛ぶクルマの件について、確かにビジネス的なところで言うと、まだこれからというのが正直な答えだとは思います。想定されるユースケースですが、日本と海外では異なる可能性があり、日本だと都市部の交通網がかなり整備されていることもあり、山間部や離島など過疎地での活用というケースが想起されます。ビジネス面というよりも社会インフラとしての活用に近いかもしれません。対して、海外では、まず、空港に着いてから空港から目的地までの移動の手段としての活用ケースが考えられています。空港を活用出来るという点からも固定翼機みたいの活用というのが広がってきているのではないかなと思います。背景として日本以外のアジアや南米など、空港からの移動インフラが乏しい地域が存在しており、新たにインフラを構築するという費用と、アーバンエアモビリティーの活用されたときのコスト比較に将来的にはなってくるのかなというふうには思っています。まとめますと世界中のユースケースと日本のユースケースというのは異なる点があるというところが一つ。
 あと、これも海外ですが渋滞による過度な移動時間を削減するため、米国ロスのような地域をイメージして頂ければと思いますが、その移動時間削減のためアーバンエアモビリティーが活用出来るのでは、と考えられています。ビジネス視点では、時間に対する付加価値を出せる人がどれだけいるかという点が重要であり、多分ウーバーが見ているところだと思います。

【李家主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、時間も残り少なくなってきましたので、残りの資料1-3-3の中間とりまとめ骨子の素案について、この1枚紙に関して御意見いただければと思います。このような構成でいいのかどうかといった面ですが。

【戸井委員】  ちょっと気になりましたのが、最初は「我が国の」、と始まっているんですが、そこから世の中の未来のあり方はこうだろう、は良しとして、途中では、我が国の強みという観点での方向性がちょっと抜けているような気がするんです。
 我々ビジネスでは同じようなことを考えるんですけれども、SWOT分析すなわち、strength, weakness, opportunity, threats,とかそれぞれやった上で、世の中の状況があって、日本の状況を自覚した上で、次を論じます。技術の行き先を考えるときは、余りそういうことを気にせずにまとめちゃってもいいのかとも思いますが、気になりました。

【李家主査】  そうすると、我が国の強みとかそういったところも……。

【戸井委員】  そこを伸ばすべきであるとか、世の中の脅威はこういうふうに向かっていて、そこに対するべくこういうふうに行くべきとか。なかなか中国の脅威とかそんなところまで考え出すとこの持っていき方に沿わないかもしれないですけれども。

【李家主査】  そうすると、第2章が現状分析なので、そこに我が国の強みのようなものをもう1回入れて……。

【戸井委員】  加わるといいんですかね。ええ。

【李家主査】  3章というのが、今、おっしゃられた、世の中の興味がどんな方に向かっているかというのがこの未来社会に関する話だから、そういう観点からも入れていただくという、そういったことですかね。そういうことでよろしいでしょうか。

【戸井委員】  我が国の現状という中にそういうところも含まれればいいのかなと思います。

【李家主査】  ええ。3章があって、そのためにはどうすればよいかが4章で、まとめていくということですかね。あとはいかがでしょうか。
 今日、最初の藤吉課長の御挨拶の中で、5年先じゃなくて10年先を見据えてというお話もありましたけれども、多分、我々が今議論している未来社会というのは20年、30年先になってしまっているのですが、そのあたりのところを見据えた議論にせざるを得ないと思いますが、よろしいですかね。

【藤吉課長】  はい。

【経済産業省製造産業局沼本係長】  すみません。またオブザーブからですけれども。
 2ポツの2.2の向かう方向性というのが、多分、大きな未来社会デザイン、シナリオの実現方策というか、大きな絵姿が見えた後に向かう方向性は見えてくるのかなというふうに思うんですけれども。

【宮川課長補佐】  事務局ですけれども、3ポツ、4ポツというのは文部科学行政、研究開発の分野としてどう向かうかというところを意図しております。すなわち、その前の2ポツで研究開発分野だけではなくて、産業界あるいは運航業界とかそういうのをひっくるめてこういう方向性がある、だから、研究開発の方向性はこうしたらどうだというのをその後に持ってくる。そういう意図で書いたものでございまして、そういう意味で、航空分野とか航空業界とかそういうふうに書かせていただいたのはそことの切り分けの観点で書かせていただきました。
 先ほどの戸井委員の話も、我が国の強みというところも、李家主査がおっしゃっていただきましたけれども、そういった産業界の強みというのを踏まえつつ、3ポツで研究開発の分野でどうしていくべきかという流れを考えて書いたものでございまして、ちょっとすみません。この1枚の資料だとそこまで表現し切れていなかったかもしれませんけれども、補足させていただきます。

【経済産業省製造産業局沼本係長】  業界が向かう方向性は、佐野理事からもいろいろ御発言があったとおり、業界構造上、航空の未来社会を考える上でボーイング、エアバスなど海外完成機メーカーが描く将来予想が重要だと考えます。それらの将来予測と本議論で描く未来社会をどこまで一致させていくかということもすごく大事な視点だと考えております。要はシーズ主体、シーズ発想にならないビジョン検討が重要ではないかと考えております。また経産省としても本ビジョン作成にあたり、いろいろと議論させていただけると非常にありがたいかなと思っております。

【李家主査】  いえ、ありがとうございます。
 確かに、立場によっていろいろな見方ができてしまうので、その辺が誤解の起こらないような文言を使っていただいて、並べ方もちょっと考えていただきたいです。
 最終的には、これは文部科学省から出るものなので、そこに一番視点を置くことになるけれども、それを述べる前に、いろいろ御意見をいただいたように、我が国全体と、それから、世界全体の、また、業種、立場によって、いろいろな見方があるという点が含まれているといろいろと考えやすいものになるかなと思いました。

【宮川課長補佐】  そうですね。ここの科学技術基本計画だけの流れを申し上げますと、この10月までに取りまとめていただく中間とりまとめをもって総合政策特別委員会に提出することになります。その同じタイミングでほかの材料であったり原子力であったりと、いろいろな分野から同じような形でまとめの文書が提出されて、それらを踏まえながら、総合政策特別委員会が引き続き年度いっぱいをもって一つの文書をつくるということなので、必ずしもこの作業部会あるいは航空科学技術委員会で作成したとりまとめ文書そのものがそのまま文部科学省のとりまとめに引用されるというわけではないと承知しております。しかしながら、一つ委員会としての成果として残るものではありますので、そういうのも考えながら作業させていただきたいなと思います。

【李家主査】  ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

【武市委員】  前回の委員会後に一応メモをつくったので、後で宮川さん宛てに送っておきます。

【李家主査】  お願いします。
 では、どうもありがとうございました。
 本日はここまでの議論とさせていただいて、中間とりまとめ骨子の素案についてはいろいろいただいた御意見も踏まえて事務局の方で修正していただきます。その結果を私が確認した上で、次回の航空科学技術委員会にて報告するようにしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それではそのように進めさせていただきます。

(4)その他
【李家主査】  最後に、議題の4のその他ですが、これまでの議事の内容も踏まえて何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 そういたしましたら、ありがとうございました。
 以上で本日の議事は全て終了いたしましたので、進行を事務局にお返しします。

3. 閉会

【宮川課長補佐】  最後に事務連絡をさせていただきます。
 次回の研究開発ビジョン検討作業部会は、今、最終的な日程の確認中でございますけれども、9月上旬になることを見込んでおります。最終的な確定をし次第、また改めて皆様に御連絡差し上げたいと考えております。
 また、本日の作業部会の議事録につきましては、事務局にて案を作成して、委員の皆様に御確認いただいた上で文部科学省ホームページに掲載させていただきます。その際、御案内のとおり、議題の2までは非公開となりますので、そのような形で作成させていただきます。
 それでは、これで科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会航空科学技術委員会研究開発ビジョン検討作業部会第1回を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

(了)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課