第8期地球観測推進部会(第2回) 議事録

1.日時

令和元年7月29日(月曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省16階 科学技術政策研究所会議室

3.議題

  1. 令和元年度「我が国の地球観測の実施計画」の取りまとめについて
  2. 我が国の地球観測の現状について
  3. 地球観測に関する総合科学技術・イノベーション会議の動向について
  4. 「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」のフォローアップの進め方について
  5. 地球観測に関する政府間会合(GEO)の現状報告について
  6. GEO閣僚級会合に向けた検討について
  7. その他

4.出席者

委員

小池部会長,春日部会長代理,赤松委員,上田委員,浦嶋委員,河野委員,三枝委員,髙村委員,舘委員,中北委員,中田委員,堀委員,武藤委員,村岡委員,六川委員,若松委員

文部科学省

生川研究開発局長,千原大臣官房審議官,林開発企画課長,横地環境エネルギー課長,石川環境科学技術推進官,葛谷課長補佐,池田地球観測推進専門官

オブザーバー

内閣府 髙澤参事官

5.議事録

【小池部会長】 定刻になりましたので,第8期の地球観測推進部会第2回会合を開催させていただきたいと思います。本当に暑い中お集まりいただきまして,ありがとうございます。
 事務局に人事異動があったということで,まず紹介いただき,続けて事務局から,委員の出欠,資料の確認等をお願いいたします。
【池田地球観測推進専門官】 それでは,事務局から研究開発局の人事異動について御報告させていただきます。
 研究開発局長に生川が着任しております。生川局長から一言御挨拶をいただきたいと思います。生川局長,よろしくお願いいたします。
【生川研究開発局長】 ただいま紹介いただきました,7月9日付で研究開発局長に着任をいたしました生川と申します。よろしくお願い申し上げます。
 先生方には,今,部会長からもお話がございましたけれども,暑い中,今日は御出席をいただきまして,本当にありがとうございます。私はこの会議に出席をさせていただくのは初めてでございますので,冒頭一言,御挨拶を申し上げたいと思います。
 地球観測は,統合イノベーション戦略2019において効果的な温室効果ガス観測の拡充などが示されているとおり,気候変動等の地球規模課題の解決に貢献するものとして,その重要性がますます高まってきているものでございます。また,地球観測データの利活用を更に進めていくことが重要であると考えております。
 本日は,平成27年8月にこの部会で取りまとめていただきました「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」のフォローアップの進め方の議論が行われる予定になってございます。また,11月初旬にはオーストラリアで開催予定の閣僚級会合を含むGEOウィーク2019に向けた検討も,予定をいたしております。これらの議題は,ともに当部会の当面の活動において特に重要なものと認識をしているところでございます。委員の先生方には,多様な視点で忌憚のない御議論をいただければ有り難いと考えております。
 先生方の活発な御議論をお願い申し上げ,簡単ではございますが,冒頭の御挨拶に代えさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【池田地球観測推進専門官】 生川局長,ありがとうございました。
 環境エネルギー課の環境科学技術推進官に石川が着任しております。
【石川環境科学技術推進官】 7月16日付で環境科学技術推進官に着任いたしました石川と申します。まだまだ不勉強なところが多いので,先生方に是非いろいろな御意見を頂戴いたしまして,この分野,しっかり進めていけるように頑張っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【池田地球観測推進専門官】 本日は16名の委員に御出席いただくことになっておりまして,六川先生は遅れていらっしゃる予定です。過半数に達しておりますので,部会は成立となります。
 本部会は,部会運営規則によりまして公開とさせていただきます。また,本部会にはオブザーバーとして,総合科学技術・イノベーション会議事務局の内閣府から髙澤参事官にお越しいただいております。髙澤参事官には,後ほど,議題3の地球観測に関する総合科学技術・イノベーション会議の動向について御発表いただく予定です。
 資料の確認ですけれども,資料はお手元の端末に格納されております。議事次第に配布資料一覧を記載しておりますので御参照ください。
 資料1-1として「令和元年度『我が国における地球観測の実施計画』(案)」,資料1-2として「令和元年度『我が国における地球観測の実施計画』(案)集計概要」,資料2として「衛星による地球観測の取組状況について」,資料3として「統合イノベーション戦略2019」,資料4-1として「『今後10年の我が国の地球観測の実施方針』(概要)」,資料4-2として「『今後10年の我が国の地球観測の実施方針』のフォローアップの進め方(案)」,資料4-3として「フォローアップ回答フォーマット(案)」,資料5として「2020-2022 GEO Work Programmeの準備状況について」,資料6として「GEO閣僚級会合等に向けた準備状況」,以上が資料になりますが,不足などがございましたら,お知らせください。
 また,もしお手元の端末に不具合等がございましたら,議事の途中でも事務局までお申し付けください。
 事務局からは以上です。
【小池部会長】 議事次第を見ていただきますと,6件,先ほど局長からも御紹介がありましたように,フォローアップであるとか,この秋の政府間会合,閣僚級会合等の議題も用意されておりますので,皆さん,議事の進行に御協力いただければと思います。
 それでは最初に,議題1としまして,令和元年度の「我が国の地球観測の実施計画」の取りまとめについて,事務局から資料の御説明をお願いいたします。
【池田地球観測推進専門官】 それでは,資料1-1「令和元年度『我が国における地球観測の実施計画』(案)」について御説明いたします。
 この実施計画は,第6期の地球観測推進部会で策定いただいた「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」に基づき作成することになっているものです。平成28年度から,このような形でまとめております。
 令和元年度につきまして,関係府省庁に前年度の内容からの更新をお願いしまして修正を施したものが,資料1-1の実施計画(案)になります。黄色でハッチングしてあるのが昨年度から変更があった箇所で,灰色でハッチングしてあるのが今年度削除された項目,赤でハッチングしてあるのが今年度追加された項目となっております。実施計画の完成版は修正箇所が見えない形でまとめますけれども,本日の資料としております実施計画(案)では見え消しの状態で御提示しております。実施計画(案)は分量がありますので,集計概要で御説明したいと思います。
 資料1-2の集計概要を御参照ください。(1)に記載しておりますように,令和元年度の総登録数は432件で,そのうち再掲が276件ございました。再掲は,実施方針の複数の項目に貢献する観測事業となっております。
 (2)は省庁等別の登録数をお示ししたものです。
 次に,(3)につきまして,平成29年度から令和元年度まで3年間の登録数の推移をまとめております。再掲を除くものについて,項目の種別ごとの推移も記しております。推移を見ると,観測の数は減少傾向にあります。関係省庁からの御連絡によりますと,事業が統合されたものもあるようで,数だけで観測内容そのものが減っているかの判断はできませんが,これから実施方針のフォローアップを行うに当たりまして,実施計画の個々の項目で気になるところなど,担当省庁等に確認しながら進めていきたいと思っております。
 (4)につきましては,観測手段として,衛星,地上,船舶,航空機及びその他に分けて推移をおまとめしております。なお,(4)でお示しした登録数には,再掲は含まれておりません。
 観測手段ごとに見てみますと,令和元年度,特に船舶のところで減少が見られます。実施計画(案)において,平成30年度と令和元年度を比較して海洋研究開発機構の項目数が大幅に減っていることが,船舶の項目数に影響していると思われます。項目数の減少について,所管課経由で,令和元年度から新たな中長期計画の開始で計画が見直されておりまして,分け方が変わり,項目の数は減っているものの,観測の内容自体は変わっていないとの御連絡をいただいております。
 逆に,地上に関しましては,前年度より項目数が増えております。前年度から17件の観測手段が地上に変更されておりますが,前年度は観測手段について,特段こちらから書き方の指定はしておりませんでしたが,今年度は衛星,地上,船舶,航空機,その他のうちからお選びいただくようにしておりまして,整理の仕方によるものかなど,理由が分かりましたら御報告したいと思っております。
 次のページになりますが,2ページ目の(5)につきましては,実施方針の項目ごとの観測事業の件数をお示ししております。ここにお示しした件数には再掲が含まれておりまして,括弧内は前年度の件数となっております。昨年度の部会で件数が減っていることが話に挙がりました生態系・生物多様性の現状把握と保全への貢献ですけれども,今年度,海洋研究開発機構6件,水産庁2件の削除がありました。
 なお,この項におきましては,新たに海洋研究開発機構3件,水産庁1件が登録されております。水産庁の事業につきましては,水産庁より,今年度は漁業法改正に基づく水産改革元年となっておりまして,今後数年掛けて沿岸資源の評価・管理対象種を拡大する計画があり,項目の数は減っているものの,対応する各種調査の増加分を見越して予算増となっているとの御連絡をいただいております。
 気候変動の予測精度の向上への貢献,森林の現状把握及び変化予測精度の向上への貢献,あと,地球観測による科学技術イノベーションの推進,こちらでも項目の減少が見られますけれども,海洋研究開発機構の削除・追加の差分によるものでして,地球観測の内容に変更はないとのことですので,これらに関しては,地球観測そのものが減少したということではないようです。
 集計概要は以上になりますけれども,傾向等で気になるところにつきましては,引き続き調査を行いまして,本部会において報告したいと思っております。
 議題1の説明は以上となります。
【小池部会長】 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして,御意見,御質問等がありましたら,どうぞお願いいたします。
 中北委員,どうぞ。
【中北委員】 御説明ありがとうございました。中北です。よろしくお願いします。これに出るのは初めてなので,質問させていただきたいと思うのですが,この集計は,国が観測を行っているもの,あるいは国が管轄されているものとか都道府県さんのものも入っているのでしょうかということと,それから,長期観測,現業観測という部類と研究用の観測という部類があると思うのですが,それは両方入っているのかと。この2点,お伺いしてよろしいですか。
【池田地球観測推進専門官】 こちらに示しておりますのは,国が事業として行っているものを関係省庁に御連絡し,取りまとめたものとなっております。研究室レベルのものにつきましては含まれておりません。
【中北委員】 二つ目の質問は,ある一つの事業だけのものなのか,ある程度継続的なものなのか,いかがでしょうか。それも事業の中で継続しているものは継続として入っているということですか。
【池田地球観測推進専門官】 継続しているものにつきましては,期間をお示しして,継続事業としてこちらに記載させていただいております。
【中北委員】 分かりました。ありがとうございます。
【小池部会長】 ほかにございますか。
 河野委員,JAMSTECの関係が整理されたということですけれども,何か御説明はありますか。
【河野委員】 特にはなく,事業ごとにまとめるので,中期計画が終わって新たに統合を再整理すると,どうしてもこういう形になってしまうので,もし数で整理するのであれば,その旨,あらかじめうちの担当部局に言うと,そのようにまとめることも不可能ではないかと思いますけれども。
【小池部会長】 この変化は,別に極端に減っているということを意味しているわけではないと。
【河野委員】 極端には減っていませんし,ごく短期的に見ると,一昨年度より昨年度,昨年度より今年度の方が,むしろ観測点数とかそういったものが増えているところもあり,それから,プラスチックなどの項目数が増えているところはありますけれども,整理の仕方がどうしても事業ごとですと,うちの事業は何ですかと聞かれてしまうと,明確にこれこれとカテゴライズできるものですから,こうなってしまいますね。
【小池部会長】 どうもありがとうございます。
 村岡先生。
【村岡委員】 岐阜大学の村岡と申します。よろしくお願いします。取りまとめ,ありがとうございます。去年だか一昨年だかももしかしたら申し上げたかもしれませんが,この実施計画を取りまとめていただくに当たって,今,中北委員からも御質問がありましたように,国の事業として観測計画あるいは事業を実施しているものを挙げていただいていますけれども,思い返してみれば,実施方針の中で,大学等による研究ネットワーク,特に生態系・生物多様性分野に関する研究ネットワークによる観測も,今後,我が国の地球観測の資産として,それをちゃんと社会のサステナビリティーに役立てていくということであれば,この実施計画を取りまとめていただくに当たって,あるいは先ほどのフォローアップを予定しているというお話もいただきましたけれども,今後,ボランタリーな研究ネットワークによる観測,オペレーショナルなものもありますけれども,そういったものを日本の地球観測データとしてどのように認識し,利用につなげていくかということを,もし何かお考えがあれば,あるいは今後,この部会で議論させていただくことが可能であればと思いまして,お尋ねします。
【池田地球観測推進専門官】 今後,実施方針の見直しを行っていただくに当たりまして,そういった観測をどのように認識していくかも含めて,御議論いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【小池部会長】 非常に重要なことですが,問題はどうやって調査するかですよね。国の機関の場合は割ときちっとした機関としての定義がありますからできるんですが,大学研究室レベルだと,なかなかそれが難しいと思います。例えば今のお話のあった生物多様性観測ネットワークなどはしっかり持続的な体制をお持ちですから,そういうものはむしろ積極的に入れていくことを考えてはどうかと思います。文科省から問合せしたときに対応できる事務局体制があるところは,むしろ積極的に入れていければいいと思います。
【村岡委員】 ありがとうございます。例えば私の分野だと,アジア太平洋地域生物多様性観測ネットワーク,AP-BONですね。これが組織化されてございます。もちろんAOGEOのタスクグループにもしていただいています。あとは,日本ですと,フラックス研究ネットワーク,これは三枝先生もかなり深く関わっていらっしゃいますし,ほかには日本長期生態学研究ネットワーク,これもきちんとバイ・ローを整えまして,ボランタリーではありますけれども組織化しておりまして,GEOのParticipating Organizationである国際長期生態学研究ネットワークの日本ブランチでもありますので,そういったところにアクセスして,もちろん何でもお手伝いしますので,そういったことからつないでいければと思いますけれども。
【三枝委員】 少し補足させてください。今の小池先生のお話にありましたように,大学等の方々がメーンで活躍されているネットワークでも,事務局が例えば国や研発法人の研究機関にある場合は,この調査に入っているものもあります。ただ,全国全ての大学の研究室に調査を掛けるのはなかなか大変ですし,その結果,年によって反応が多かったり少なかったりですと解釈が大変なので,例えば生物多様性センターですとか国立環境研究所ですとか,どこかに,担当者の人にこの調査が来たら反応するようにという状況をしっかり作るとよろしいかと思います。アジアのフラックスネットは環境研から入れているんですけれども,多様性の方は,未確認です。
【村岡委員】 ありがとうございます。生物多様性観測ネットワークでしたら,環境省生物多様性センターがAP-BONの事務局をしていますので,そこにアクセスしていれば。もし必要でしたら,私もそこは連絡をお手伝いいたします。ありがとうございます。
【小池部会長】 どうもありがとうございます。それから,先ほどAOGEOの関係もありましたので,その枠組みで動いているものは,定期的にずっと会合は持っていますから,そういう枠組みにも入れられそうですね。そうすると,今のようなところを事務局の方で整理していただければと思います。よろしいですか。
【池田地球観測推進専門官】 はい。
【小池部会長】 ほかにいかがでしょうか。
 ありがとうございます。それでは,次の議題に移りたいと思います。議題の2は,我が国の地球観測の現状についてで,JAXAの舘委員から衛星による地球観測の取組状況について説明をいただきます。よろしくお願いいたします。
【舘委員】 舘でございます。よろしくお願いいたします。それでは,私から資料2で御説明したいと思います。
 衛星による地球観測の取組状況でございますけれども,これは主にJAXAの取組と御理解いただければと思います。この資料は,JAXAが現在運用あるいは開発中の地球観測衛星,そしてその衛星の政策,サイエンス,あるいは実利用への貢献を目指した活動,最後に私どもの課題なり要望をまとめる形で三部構成にしてございます。
 最初に,ここにお集まりいただいている皆さんは,必ずしも衛星そのものに詳しくない方もいらっしゃるかと思います。また,大変詳しい方もいらっしゃるので,僭越でございますけれども,人工衛星について,多少,最初にイントロさせていただきたいと思います。
 御存知のとおり,地球を人工衛星はぐるぐる回っているわけですけれども,大きく分けますと,静止軌道で回っています「ひまわり」という衛星と,あと地球を周回する衛星,これは通常,南北にぐるぐる回っております。これは太陽同期軌道を通っている関係で,このように回っております。それ以外の衛星も多少あるんですけれども,主には静止と南北の極軌道と言われる軌道を回っている衛星でございます。今日は極軌道を回っている衛星を中心に御紹介したいと思います。
 この極軌道を回っている衛星でございますが,これは大体1日で14から15周いたします。軌道といたしましては,大体500キロメートルから1,000キロメートルぐらいの高度を飛んでいます。単純ですが,ぐるぐる回っているうちに地球が回転いたしますので,グローバルに地球全体を撮ることができるということでございます。
 その例が幾つか書いてございますけれども,例えばプランクトンとか植生が分かるとか,あるいは世界の雨が今ここで降っていますよという状況が分かる。これを我々はGSMaPと呼んでいますけれども,こういうことを撮ることができます。
 この中で示しておきたいと思っていますのは,要は1日14周回りますから,単純に考えますと,非常に幅が広い,例えば2,800キロメートルの幅で観測できますと,1日で全球を見ることができます。一方で,2,800キロメートルも幅が広いと,当然のことながら分解能は悪くなります。通常のカメラを御覧いただけると思うんですが,広角に見ると分解能が悪くなっていきます。一方で,細かく見ることになりますと,今度は逆に観測幅が取れないので,ちょうどスイカの縞模様の形になって,限られているところしか1日で見えないことなります。こういうことが基本的なことでございます。
 これを私どもは,二つに分類いたしまして,この表が現在,開発・運用している衛星でございますけれども,2016年から書いてございます。これは宇宙基本計画の工程表に基づいたものでございます。これは運用を基本にしておりまして,運用している衛星で,大きく気候変動対策と防災・災害対策とここでは分類しておりますけれども,気候変動対策の方は,三日以内に全球を見ることができる。つまり,ワイドな状況が分かるのを気候変動対策と呼んでいます。一方,防災・災害対策の方はそうではなくて,逆に細かく見ることを主眼に置いた衛星群を置いております。
 ここで,まず現在運用しているのは,2019年のところを御覧いただきますと,GCOM-W,「しずく」と呼ばれているもの,あとGPM/DPR,これはNASAとの共同のものでございます。あとGCOM-C,これは「しきさい」と言われているものでございます。あと,GOSAT関係が「いぶき」で,二酸化炭素を測定するものでございます。こういうようなのが,気候変動対策衛星として観測を続けております。一方,防災・災害対策はどうかといいますと,これは「だいちシリーズ」,又はALOSシリーズと呼んでいますが,これの今,ALOS-2が観測をしておりまして,その後にALOS-3,そしてALOS-4が打ち上がることを,想定して開発を進めているところでございます。
 これが全体のオーバービューですが,ここについては一つずつ,できる時間の範囲で御説明したいと思います。まず,気候変動対策でございますが,ここに六つの衛星を載せてございますけれども,一個一個を,次のページから説明したいと思いますが。大ざっぱに言うと,これだけの衛星がありますということでございます。
 一つずつ,若干説明させていただきますと,気候変動対策は「いぶき」,これは「いぶき2号」が昨年の10月に打ち上がっておりまして,「いぶき3号(仮称)」も,これから開発に着手するという状況でございます。このように,「いぶき」で何が分かってきたかというと,二酸化炭素が増加するとかメタンが増加するのが全球規模で分かりました。というのは,それまでは人工衛星ではなかなか観測が難しいと言われていた温室効果ガス,二酸化炭素を測定することができることを,初めて我々の方でできたのが「いぶき」でございます。「いぶき」は既に10年運用して,その成果が出て,前回の話ですが。たしか三枝委員の方から御報告があったと思うんですが,IPCCのガイドラインも,この観測データを基に修正されたということでございます。その後継として,3号機も今,開発を進めているところでございます。だんだん精度等は上がってきております。
 続きまして,水循環とか降水関係でございますけれども,これは大きなアンテナをぐるぐる回すことによって地表面を観測するものでございます。特にこちらの「しずく」では,海面水温が見れる。マイクロ波を使う関係で,夜間でも,あるいは雲があっても見えるところに特徴がございます。マイクロ波は6チャンネルありまして,いろいろな特性がございます。ここに述べていますのは,積算の降水量とか,あるいは海氷の密接度,これは極域の変動でございますが,例えば北極海における氷の減少も,この衛星で捉えております。
 そればかりではなくて,先ほどの下にありますGPM/DPRと組み合わせて,これは複数の衛星を使うわけですが,複数の衛星を使ってGSMaPを作っています。これはリアルタイムで現在どこに雨が降っているかを見ることができるものでございます。これにつきましては,私どものホームページ並びに気象庁さんの方で展開していて見ることができます。このGPM/DPRはNASAと一緒に打ち上げたものでございますが,この特徴は,雨雲の中をレーダーで観測することによって3次元のデータに撮るところでございます。
 マイクロ波放射計は,既に最初のAMSRの時代から結構長く観測していまして,マイクロ波放射計の次の世代を3号機と書いてございますが,次期AMSRを打ち上げる予定で開発を進めているところでございます。ただし,この3号機には,降雪量とか,もっと上層の大気を観測することができるような性能も,開発する予定になっております。
 続いて,エアロゾル・雲関係でございます。これは「しきさい」という衛星で,19チャンネル持っていまして,何もこのエアロゾルだけではなくて,海面温度観測とかいろいろなものに使われます。そういう意味では優れた衛星でございます。この衛星につきましては現在観測を進めておりまして,例えばこれは記者発表したものでございますが,昨年の夏の地表面温度は非常に熱かったというのをカラーで示しております。今日もこういうような画が撮れるのではないかと思いますけれども,こういう衛星でございます。現在は,この衛星を使って,例えばエアロゾル,具体的にはPM2.5そのものは分かりませんけれども,そういうものを観測することによって,大気がどう動いているかを見るものでございます。EarthCARE/CPR,これはESA,ヨーロッパ宇宙機関との共同プロジェクトで,開発を進めているところでございます。
 続きまして,防災・災害対策でございます。これは先ほど言いましたように,高分解能な衛星を称して,私どもはこう呼んでおりますけれども,主なミッションが防災だということでございます。ここに例で示していますのは,ALOS-2「だいち2号」の画でございます。その「だいち2号」でたくさんの画像を撮っているわけですが,ここで示したのが,昨年12月のインドネシアの火山が爆発して,それで島が崩壊いたしまして津波が起こったときの画像をここに持ってきました。これはなかなか噴火前のデータを撮っていないとこういうのが分からないので,私どもの「だいち2号」は全球をぐるぐる回って撮っているので,噴火前のデータもあるところに特徴がございます。それ以外にも,昨年の西日本豪雨のときの土砂災害も,こちらの衛星で撮ることができております。
 今日,これだけは是非述べたいと思って示したのが,一番左側の下の絵でございます。こういう高分解能の衛星は,いつでも撮れるのかというと,残念ながら,そうではございません。衛星が来る時間帯はほぼ決まっておりまして,夕方の18時から夜で,朝,そしてまた夕方という中で,撮っている時間帯がほぼ決まっています。真夜中に撮るのがALOS-2とALOS-4でございます。朝の6時と夕方の18時に撮るのが海外の合成開口レーダー衛星で,大体この辺りに来ています。お昼,6時から12時の間,10時半と思っていただければいいんですが,10時半頃は,世界のほとんどの光学衛星は,この辺りを飛んでいます。ですから,この辺りにはたくさんの光学衛星があって,データも撮れる。ALOS-3も,この辺りを予定しております。一方,お昼は今度はJAXAのALOSシリーズのALOS-2とALOS-4が飛んでくるという状況で,またその後はしばらくデータがなくて,夕方のところに海外の合成開口レーダー衛星が続くという,これは世界的にこうなっています。
 一時,よく言われているのは,防災に役立つためには2時間以内と言われても,発災後2時間というのはこれを見ていただければ不可能なので,こういう定義はできない状況です。一方,我々の目指しているのは,観測する1時間前に,どこを撮ってほしいという要望を受けて,観測した後,1時間後に出す。ですから,トータル2時間というのは,私どもはそういう定義をしておりますけれども,現実問題,これが現在の世界の衛星の動向ですので,発災後2時間以内に出すことは,物理的に今のところはできない状況になっています。これは是非御理解いただければと思います。
 あともう一つ,よく衛星を知っている方だと思うんですが,小型衛星をたくさん上げればできるんじゃないかということを聞くんですが,たくさん一遍に上げるとどうなるかというと,たくさんの衛星が同じ時間帯に来るだけであって,増えるわけでも何でもないので,基本的には,この箱から出すためには特別な軌道に打たないといけないことを御理解いただければと思います。
 続いては,合成開口レーダーを搭載した「だいち2号」あるいはALOS-4でございますけれども,これは雲も,あるいは夜間でも撮れるところに大きな特徴がございます。我々の合成開口レーダーはLバンド波長帯を使っていまして,これだと結構森林の地面まで届くところで,森林・非森林マップを作ることができております。海外ではどちらかというとCバンドとかXバンドが多いんですが,「だいち2号」はLバンドという特徴がございます。私どもは「ふよう1号」からLバンドを使って,これまで森林・非森林マップを作ってきております。そうすることによって森林の変化が分かるというものでございます。
 今,開発していますALOS-4でございますが。2020年度の打上げを目指しているわけですが,これは観測幅を従来の50キロメートルから200キロメートルに変えることで,非常に大きな幅にすることで,こういう観測幅の広い衛星はこれ以外に世界にはない,そういうものでございます。これが何のメリットがあるかといいますと,ここに九州を描いていますが,1回で九州を全部見ることができるという特徴がございます。災害のときにいつも議論になるのは,どこを撮るんだというところで,なかなかスポットが当てられないんですが,これだけ広くなりますと,九州全域撮っちゃおうという形になって見れるので,観測が広いというのは大きな特徴になります。
 続いて,光学でございます。光学衛星は,これも2020年度の打上げを目指しておりますが,光学衛星は世界にたくさんあります。小さな衛星から非常に分解能の高い衛星までたくさんあります。その中でも我々のALOS-3の特徴は何かといいますと,分解能としては80センチメートルぐらいですけれども,観測幅が70キロメートルと非常に幅広い。これは世界にない特徴でございます。そうすることによって,分解能が高くて,しかも広く見れるということと,更に,左下のところの画を見ていただけるかと思うんですが,これは南海トラフ地震が発生した場合に全体をスキャンできないかという形で,姿勢を振って観測できるようにする仕組みを取りまして,これですと太平洋側をずらっと南海トラフ地震が発生したときに撮ることができるようにしました。もちろん端では分解能は悪くはなりますけれども,こういう機能を持つことによって,何らかの事態が起きても対応できる,そういう特徴を持っております。
 ちなみに,右の上の方で,「だいち」と今回のALOS-3の比較でございますけれども,ここはお分かりいただけると思うんですが,これはJAXAの筑波宇宙センターの端のところでございます。そこに市の二の宮公園がございまして,その二の宮公園のところにテニスコートがあるのがよくお分かりいただけるかと思います。これぐらい分解能は良くなりますということです。
 続きまして,衛星観測の政策・サイエンス・実利用。これは三位一体で進めなければいけないと思っておりまして,我々としては,衛星という意味では宇宙基本計画に沿って進めておりますが,先ほどの地球観測の実施方針も,こういう中での政策の位置付け,そして実際の実利用に使われる点と,あるいはサイエンスからの要望がある。これらが含まれた形で,三位一体で進められるべきものと考えております。
 まず,サイエンスの方から考えますと,これは一つの例でございまして,これが全てではございませんけれども,衛星による必須の気候変数の一つの例として,GCOSが定義したECV(Essential Climate Variables)というのがございます。このECV,54あるアイテムのうち,私どもが持っています衛星ですと,大体26の項目を観測することができます。比較的多くの観測ができると思っております。それでは,衛星名と観測できるものは色分けをしておりますので,御参照いただければと思います。
 更に,気候変動対策では,もともと温室効果ガスの排出の方は,先ほど言いました「いぶき」で観測をしております。この観測結果がIPCCのガイドラインの改訂につながったと思いますが,一方で,温室効果ガスの吸収の方もございます。吸収は何で分かるかというと,吸収そのものが分かるわけではございませんけれども,この変動としましてバイオマスの変動がございます。これが一つは森林ということで,私どもは森林を今までモニターしておりました。森林の変化を,「ふよう1号」及び「だいち」から続いて変動を見ているところでございます。森林の一番問題になるのはアマゾン辺りの雲でございますが,これにつきましては合成開口レーダーというのが非常に有効でございます。このような観測結果を踏まえて,最後に書いてございますけれども,IPCCのガイドラインには,排出の方ばかりではなくて,吸収の方にも記述が変更されております。
 続きまして,実利用関係でございますが。実利用関係は書き出すとたくさんあるので,全部お持ちすることはできませんでしたけれども,この中で今回,一番データとしては今後使われると思われるデータを持ってきました。その例が,一般社団法人漁業情報サービスセンターさんでは,GCOM-Cのデータを使いまして,これは魚群の探知に使うということでございます。既にGCOM-W「しずく」の方も使っておりますが,ここで「エビスくん」というものに,こういう海面温度の情報を漁船ごとに与えて,現在,700隻あると言っておりましたけれども,そういう漁船がこれを使って漁場を探知しているということでございます。
 一方,更に,非常にGCOM-Cになると分解能が良くなりまして,250メートル分解能での海面水温が分かること,あるいはクロロフィル濃度が分かることで,沿岸地域における海洋状況を把握するのに使われることで,今,試験的ではございますけれども,有明海の赤潮対策,つまり赤潮が発生したらすぐどこかに逃げることにも使えるし,漁場予想にも使えるということでございます。こういう形でどんどん実利用が進んでいるということでございます。
 これ以外にもたくさんのものがありますけれども,とりあえずここで御紹介するのはこの辺にしたいと思います。
 最後に,どういうことが今,課題ですかという点がありますので,ここについて私どもの要望も含めて御説明したいと思います。
 まず,継続的な観測が絶対だろうと思います。残念ながら,これまでの衛星で,なかなか継続性確保ができていない部分がございました。でも,今後はこういうことがなく,30年ぐらいのスパンにおいて切れ目ない観測をすることによって,サイエンスの方での成果も出てきますし,実利用としても使っていくことができると思っています。そういう意味では,継続的な地球観測は大事だろうと思っています。
 将来の地球観測ミッションに対するサイエンスの要求でございますけれども,私どもとしては課題解決をずっと続けておりまして,それは気象庁さんと協力する形で課題解決を目指してきましたし、温室効果ガスについては環境省さん,そして防災については国土交通省さんという形で,課題解決に向けたデータの社会実装化を進めてきたわけですけれども,サイエンスについても両方が相乗効果を生むことが必要です。サイエンスとしても,どこを目指してやっていくんだということが出てきますと,これを併せて相乗効果が生まれると期待しております。
 一つの例として申し上げますと,アメリカですが,アメリカのサイエンティストがディケーダルサーベイを出して,今後10年,これをやりなさいというのを,サイエンス側からの要求が出ています。それに対してNASAは,それを実際にインプリメンテーションすることで,今,検討を進めているというやり方を取っています。是非我々としても,そういう部分がここにあると,実利用とサイエンスの非常に良い相乗効果が生まれるのではないかと思っている次第でございます。
 続いて,地球観測の価値の向上と書いていますが。これは大きく書いてございますが,要は非常に単純な話でございまして,先ほどの3ページに示した打上げのスケジュールでございます。お気付きになった方もいらっしゃるかもしれませんが,防災・災害対策の方は,計画上は継続するような計画になっているんですが,残念ながら,気候変動対策の方は,継続することがかなり重要な議題になっておりまして,空いている。つまり,宇宙基本計画の工程表上と,これからやるべきことが,本来ならマッチするような形で行くと,地球観測の価値が向上するのではないかと思っている次第でございます。そういう意味では,是非この場でこういう議論がなされると,整合性が取れた政策になるのではないかと思っております。
 長くなりましたけれども,私の説明は以上でございます。
【小池部会長】 どうもありがとうございます。ただいまの御説明につきまして,御質問,御意見等ありましたら,どうぞお願いいたします。
 堀委員。
【堀委員】 JAXAには大変お世話になっております。9ページの,早期把握で迅速な対応を支援という,これは具体的にどれぐらいの迅速さなんでしょうか。
【舘委員】 先ほど言いましたように,迅速といいますのは,大体一番早いのは,2時間を想定してやっていますが,これは先ほど言いました,要求があって,それから観測して,それからデータを出すまでに2時間というのを想定しています。
【堀委員】 災害の現場ではもっと早くという意見が必ず出るので,研究開発をするところだと思っています。
【舘委員】 十分あると思っています。もし可能であれば,予測ができると,もう少しできる。事前にある程度予測があって,それに基づいて観測計画を立てると,もっと早くできるし,事前に用意をしておきますと,通常は1時間出すのに掛かっているので,それを30分にするとかが可能になるんじゃないかと思っています。
【堀委員】 その方向の研究開発は非常に重要だと思いますので,防災側からも大変期待するところでございます。衛星観測,こと風水害に限って言えば,予測を基にした衛星の運用を実現すると,本当に画期的な技術になると思いますので,御検討お願いします。
【舘委員】 分かりました。
【小池部会長】 使う側も,衛星データが来たら,あらかじめ地上のデータ系を用意しておいて,すぐ重ねられるとか,何かそういう準備も必要なんでしょうね。相互に活用できるようにできればと思います。ほかにいかがでしょうか。
 中北委員。
【中北委員】 京大の中北です。最後の課題のところで,これは質問じゃなくて応援したいんですけれども,継続的な地球観測というのはサイエンスにおいても極めて大事だと思いますので,文句じゃなくて応援をしている,申し上げている言葉ですが,継続観測というのは非常に大事なことですので,この取り上げられている一つ目と三つ目は非常に重要だと思います。
 その中で,先ほど防災のミッションのこともおっしゃっていましたが,雨の電磁波レーダーによる観測というのは,TRMMが1997年に上がって以来,GPMに来て,今,GPMフォローオンの計画もされていますように,これも継続観測というのはすごく大事にしてやってきていただいています。という意味で継続観測は大事だという話と,それから,気象と水文の仲間の夢の観測として,あるいは防災上,国交省からこの要求はないんですかという質問でもあるんですけれども,雨の観測の時間分解能の向上というのは,防災という意味でも国交省からJAXAさんにあまり来ないんでしょうか。ちゃんと来ていますか。
 今日のお話の中で,防災の話だと,どうしてもALOSの話とか陸面観測の方を強調していただいているんですけれども,TRMM並びにGPM,それからGSMaP関連というのは防災上の方でも大事だと思っておられますが,GSMaPはもう一皮むけてほしいという要望も,それはもちろんあって,これは衛星観測による飛行時間分解能から仕方ないんですけれども,観測時間分解能の向上というのはずっと期待をしていきたいと。究極は,前回も言ったかもしれませんが,静止気象衛星による電磁波観測,多少粗くてもいいので,空間分解能が二,三十キロになっても,そういうところまで目指していっていただく,これは日本だけなくて世界も含めてかもしれませんが,それの全球観測できるということは科学的にもすごく大事なことですし,実用の上でもすごく大事なことだと思いますので,僕しか多分,ここでは言う人,この関係はいないかも,小池先生は司会だからあまり言いにくいかもしれませんので,僕から言わせていただきました。
【小池部会長】 どうもありがとうございます。最後のスライドのサイエンスの要求に関しましては,学術会議の方でタスクチームができていて,まとめていただいていると理解しております。

舘委員もお話になったように,この地球観測推進部会は,地球観測の価値をしっかり訴えて,関連各省と共同して進める立場にありますので,是非ここにお書きになっているように宇宙基本計画、また海洋基本計画などとも連携して,地球観測の施策の推進に,この部会が中心となってメーンストリーム化ができていくと有り難いと思います。
 春日委員。
【春日部会長代理】 春日です。この部会では,地球観測のデータの利活用について,特に民間からの活用についても繰り返し御発言があったところです。価値を高めるためには,より一層,幅広い活用の在り方についても具体的な提案を重ねていくことが必要と思いまして,そのために二つ,最近のアイデアを紹介させていただきたいと思うんですが,一つには,衛星観測によって見えてくる地表の植生の変化あるいは土地利用の変化をヒトの健康研究に役立てたいという,そういうアイデアがあって,JAXAの先生方と,それからグローバルヘルスの先生方が,つい最近,ワークショップも開いたり,あと日本医学会のセッションで,そういうアイデアについて議論されたとお聞きしています。
 それから,これは若松委員がフォローしてくださると思うんですけれども,RESTECにおかれましてもアフリカの密漁対策に衛星観測データを使われるアイデアをお持ちということで,8月のTICADのときにサイドイベントを開催されると聞いております。そのように今まで以上に利活用の幅が広がるということを,この部会でも引き続き話題提供,情報を共有していければと思います。
【小池部会長】 どうもありがとうございます。
 はい。
【三枝委員】 温室効果ガスの方からも一つ,先ほどのサイエンスとの関係について,補足といいますか,応援させていただきたいと思います。先ほど御紹介いただきました温室効果ガスのGOSATシリーズについては,GOSAT-2が上がりまして,1号機から継続しまして,二酸化炭素とメタン,それに加えまして,一酸化炭素という化石燃料の燃焼起源を代表とします,物の燃焼によって発生するガスの観測も開始され,これも良好に初期的なデータが得られているということが,最近,記者発表されたところです。
 これは大変,次のステップ,大規模な温室効果ガスの排出源を識別する,特定するというところに有用なデータですが,同時に,他項目の観測,他項目の解析をするための重要な検証データというのも必要となります。これは衛星観測だけではなくて,様々な手法による地上観測,航空機観測,船舶観測などの重要性も同時に強調されるべきであって,その検証だけでなく,そのデータを使ったデータ解析システムの開発と運用というところも重要になってきますので,これからこの後は,温室効果ガスの濃度を測るだけではなく,様々なサイエンスのグループと共同しまして,非常に高いレベルの検証,それから高いレベルの吸収・排出量の見積りとその検証というところもやっていくことにより,この後,今世紀後半に温室効果ガスの発生をネットゼロエミッションに持っていくところまで,パリ協定の進捗状況を検証するために継続していくことが必要であると考えております。
 以上です。
【小池部会長】 どうもありがとうございます。多分これ,どんどんエンドレスに続くと思いますので,時間もありますので,舘委員,どうもありがとうございました。
 それでは,次の議題に移りたいと思います。議題の3は,地球観測に関する総合科学技術イノベーション会議の動向についてですが,先ほど御紹介のありました内閣府の髙澤参事官から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【髙澤参事官】 内閣府の髙澤でございます。私の方も,この7月の異動で環境省の方から内閣府の方に参りました。よろしくお願いいたします。
 それでは,資料3の方で御説明をさせていただきたいと思います。統合イノベーション戦略2019ということで,この6月21日に閣議決定をいたしましたので,その概要を紹介させていただきます。
 統合イノベーション戦略でございますけれども,基礎研究などの成果を生かしまして,いかにそれを社会実装していくかというものでございますが,昨年の2018の統合戦略から策定後の1年間の内外の情勢の変化等を踏まえまして,強化すべき課題でありますとか新たに取り組むべき課題を抽出いたしまして,施策の見直しが行われまして,目標の達成に向けてということで,また策定されたものでございます。
 資料の中で,戦略のポイントということで,丸1 から丸4 ということで書かれておりまして,こちらの方が今回の戦略の四つの柱ということになっております。一つ目がSociety5.0の社会実装ということで,スマートシティーの実現,創業・政府事業のイノベーション化でございます。二つ目が研究力の強化,三つ目が国際連携の抜本的強化,四つ目が最先端(重要)分野の重点的戦略の構築でございます。
 字が小さくて恐縮ですけれども,丸4 の重点分野というところで,右の方に強化すべき分野での展開というところで書いてあるんですけれども,丸4 の最先端の分野といたしましては,ここに項目として書かれておりますAIとかバイオテクノロジー,量子技術等の分野が挙げられておりまして,これらにつきましては特に世界中で目覚ましい進展がございますが,一方で,近年の地球温暖化の進展でありますとか大規模自然災害の増加等ございますので,環境エネルギー分野での対応の重要性も高まってきているというところでございます。その下の応用分野のところには,環境エネルギー分野が書かれておりまして,一番下のところで,その他の重点分野では,衛星データ,海洋データの活用,そういったところが書かれているというところでございます。
 今後,これらを踏まえまして,一番下のところに書いてあるんですけれども,第6期の次期科学技術基本計画が,これは次期の計画は2021年度からということになるんですけれども,その計画の検討に向けて本格的な検討が開始されてくるといった状況でございます。
 次のページに行っていただきまして,統合イノベーション戦略2019の環境エネルギー分野のところを要約したものでございます。全体目標といたしましては,前回,パリ協定の2℃目標の達成というところが書かれておりましたけれども,ここまた1年の動向を踏まえまして,第5次エネルギー基本計画でありますとか,また,IPCCの1.5℃の特別報告書なども公表されましたので,1.5℃目標への貢献ということや,今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会を実現するといった文言が,目標として書かれているところでございます。
 新たに付け加わりました項目といたしまして,左のところの下から二つ目になりますけれども,正に地球観測といったところが新規の項目として追加されております。本年3月に開かれました総合科学技術イノベーション会議の政策討議の中でも,国立環境研究所と,また文部科学省の方から,第7期の地球観測推進部会の提言等を御紹介いただきまして,それを受けて戦略に盛り込まれたということでございます。
 統合イノベーションの戦略ということでございますので,もちろんデータ収集にとどまらず,社会実装,社会貢献を見据えた取組ということが正に期待されておりますので,課題解決に向けた取組を一層進めていただくようにお願いをいたします。
 あと,地球観測につきましては,目標達成に向けた施策・対応策ということで,右の方に書かれておりますが,2023年までに温室効果ガス測定データの迅速な収集,品質管理を実施する。また,温室効果ガス観測データ等を用いたパリ協定に基づくグローバル・ストックテイク等へ貢献する取組を推進するといったことが,戦略の中で書かれている中身でございます。
 一番下になりますけれども,また,統合イノベーション戦略の中で,本年内に環境分野に関して,革新的環境イノベーション戦略というものを策定するということが明記をされています。これにつきましては,2050年の目標達成に向けまして,技術の実用化・普及を見据えて,例えばコスト等のより明確な目標を立て,目標達成に向けての技術的・制度的課題でありますとか,社会実装に向けたより具体的な施策等について,更に検討していくというところになっております。また皆様方の引き続きの御協力をよろしくお願いいたします。
 私の方からは以上でございます。
【小池部会長】 どうもありがとうございました。ただいまの御説明に,御質問,御意見等ありましたら,どうぞお願いいたします。前回も話題になりましたが,国立環境研と文部科学省にご準備頂き,それからこの部会からの提言を出させて頂き,その結果きちっと盛り込まれたというのは大変結構なことだと思います。先ほども随分話が出ましたけれども,こういう形になる提案を是非皆さんと協力して進められればと思います。よろしくお願いいたします。
 よろしいでしょうか。次の話題とも密接に関係しております。次の議題4は,今後10年の我が国の地球観測の実施方針のフォローアップでございまして,その進め方について,まず事務局から御説明いただき,それを受けて,CSTIの方針とも関連しながら議論させていただければと思います。事務局の方,よろしくお願いいたします。
【池田地球観測推進専門官】 議題4について御説明いたします。資料4-1の「『今後10年の我が国の地球観測の実施方針』(概要)」及び資料4-2の「『今後10年の我が国の地球観測の実施方針』のフォローアップの進め方(案)」を御参照ください。
 平成16年,総合科学技術会議におきまして地球観測の推進戦略が策定されました。策定後10年を迎えたところで,総合科学技術イノベーション会議,CSTIの環境ワーキンググループでは,見直しの検討に向けた地球観測等事業の進捗状況のレビューを実施しております。そして,その結果を受けまして,地球観測推進部会は,地球観測を取り巻く国内外の動向を踏まえた「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」を作成いたしました。この実施方針が3年から5年程度を目安に見直されることになっておりまして,今年度がちょうど4年目,来年度が5年目に当たりますので,今期の部会の中で見直しを行っていこうと思っております。
 資料4-2の,実施方針の進め方のフォローアップのところを御参照ください。今期部会におきまして,関係府省庁の緊密な連携・調整の下,課題ごと,府省庁ごとに,取組状況,平成27年8月の実施方針取りまとめ後からの国内外の動向,新たな政策文書の策定等,あと最近の国内外の動向を踏まえた今後の課題を整理いたします。整理後,実施方針のフォローアップといたしまして,今後5年間で追加すべき取り組むべき課題を取りまとめてまいります。
 スケジュールとしましては,本部会後,関係省庁に地球観測に関する課題ごと,省庁ごとの情報の提供を依頼いたしまして,集まった情報を事務局で取りまとめます。第3回部会におきまして,次回部会ですけれども,それらの情報を基に,骨子案作成に向けた御議論を行っていただきます。第4回部会におきまして骨子案を取りまとめ,それを基に中間取りまとめに向けた御議論を行っていただきます。年度内に中間取りまとめを作成いたしまして,最終取りまとめに向けた議論を開始いたします。
 以上のように考えております。以上です。
【小池部会長】 どうもありがとうございます。非常に有用なステップで,これは1回目のときから議論させていただいておりますが,これを今,御説明いただいたような手順で進めるということですが,皆さんから御意見,御質問ございましたら,どうぞお願いいたします。
 髙澤さん,先ほど御説明いただいた中で,第6期の開始が2021年度ということになりますので,その6期の基本計画の本格的検討開始と,このスケジュールはどんな感じなんでしょうか。ちゃんとマッチしておりますか。
【髙澤参事官】 6期の方も,この4月に諮問がされたばかりでございますので,これから徐々に検討はされていくと思いますので,ほぼ大丈夫と思いますが,またそちらの方もどういった感じになるかというのは,今後,明確になってくると思います。
【小池部会長】 3年から5年の部会の見直しにつきまして,先ほど池田さんの方から関連の省庁のヒアリングを行うということがございました。最初に申し上げたように,私が一番多分長く委員をさせて頂いておりますので,歴史の話をさせて頂きます。2004年の12月に地球観測の推進を総理に意見具申させていただいたときに,議論や推進の中心をどこに置くかと随分議論したんですね。その中で,結局,この科学技術・学術審議会の中に置くということが決まりました。その経緯には二つの考え方がございました。アメリカは大統領府の直下に置いていて、私自身はそっちの方がいいんじゃないかと思い、内閣府の総合科学技術会議で議論しましたので,総合科学技術会議に置いた方がいいんじゃないかと申し上げました。科学技術の現業でないと,本当にこれを推進する予算であるとか,それから事務局体制の組織力等を考えると文科省の科学技術・学術審議会に置いた方が良かろうという考え方がございました。最終的に後者の結論になり,この府省連携の推進部会ができたわけです。
 当初,地球観測推進部会を開きますと,各省庁の傍聴の方がたくさんいらっしゃいまして,その中でやるものですから,非常に緊張感を持って,やらせていただいたことを最初に記憶しております。もちろん、今、緊張していないわけじゃないんですが。何を申し上げたいかというと,このフォローアップの機会に,この実施計画にいつも情報を出していただいている各省庁の方々と,どうやったらこれをもっと活性化でき,かつメーンストリーム化できるか。先ほど議論しましたように,宇宙もありますし,海洋もありますし,各大学もありますし,いろいろな機関があるわけですが,それを活性化できるか,是非皆さんと一緒に議論させていただきたいと思います。
 具体的には,先ほど議論した実施計画の使い方なんだと思うんです。去年よりも減りましたねとか増えましたねという議論に加えて,これをインテグレートしたときに何が生まれるのか,どういう政策にこの情報を反映していけばよいのかという議論にまでなっておらず、府省庁連携のメリットを十分には活かせていないように思います。是非ともこのフォローアップの機会に,各関連省庁の方々と本当によく議論をさせていただきたいと思います。先ほどありましたように,ヒアリングの機会もございますので,そういうところで御相談をさせていただき,各省庁においても,もちろん文科省においてもですけれども,これを加速していくようなことになれば有り難いと思っております。
 ということで,このフォローアップ,非常に大事ですので,事務局から骨子が提出されるとパッと済むような話ではなく、皆さんに御自覚していただいて貴重なご意見を頂きたいと思います。今回は非常に議事が多いので,皆さんに一言ずつということはありませんが,多分,次は必ずあると思いますので,皆さん,よくお考えいただきたいと思います。
 どうぞ,髙村委員。
【髙村委員】 今日の冒頭の議題からも関係しているんですけれども,今,小池先生がおっしゃったフォローアップの進め方は大変大事だと思っております。先ほど舘先生の御報告の中で,GCOSが気候変動に関する意思決定に必要な情報としてどういう観測項目が必要かというのを,スライドのこれは13枚目でしょうか,示してくださったと思うんですけれども,正に課題解決型の地球観測という意味で,課題が八つあるわけですが,それに現在対処するのにどういう観測が必要なのかということを,今一度精査をするタイミングではないかと思います。GCOSのこの作業は大変ですから非常に有用だと思いますし,他方で,先ほど中北先生もおっしゃいましたけれども,気候変動といっても,例えば気候起因の災害の防止のためということになると,そこに必要とされるデータというのはまた異なってくると思いますので,そうした点も含めて,課題に照らしたときに,今,どういう観測の現状にあって,どういう課題があるのかということを,是非事務局の方で整理をしていただきたいと思います。
 これは同じように,各省庁のところでやられている観測についても同様でして,一つ是非フォローアップで検討したいと思いますのは,それぞれの省庁で分担しておやりになっているというのは,これはそれぞれの権限の中でですが,それが突然観測項目が変わったり,あるいは追加されたりということが,どのように国として本当に必要な観測のインテグリティを保つのかということを,どう確保するかという課題が他方であるように思っていまして,そういう意味では,今,申し上げた2点ほどですけれども,フォローアップの中で,是非担当されている省庁さんも含めて議論ができるといいんじゃないかと思います。
 以上です。
【小池部会長】 どうもありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 武藤委員。
【武藤委員】 ありがとうございます。このフォローアップの体制で府省庁ごとにというときに,そもそも外務省さんも入っていらっしゃらないですし,ある意味,今,JICAは抜けてしまっている状況にございまして,ただ,ヘビーユーザーであることは確かですので,どこかフォローアップのグループの中に位置付けられるよう,できればよろしくお願いいたします。
【小池部会長】 どうぞよろしくお願いいたします。
【池田地球観測推進専門官】 関係省庁,皆さんに意見を聞きながら御議論いただけるような場を用意したいと思いますので,よろしくお願いいたします。
【小池部会長】 国際的には,外務省,JICAの枠組みというのはものすごく大きいですよね。世界的にそれを展開しておられますので,今のところ入っていないですよね。
【池田地球観測推進専門官】 外務省は,観測事業の担当省庁には入っておりませんが,地球観測の関係省庁には入っており,議論の場には是非出ていただけるようにしたいと思います。
【小池部会長】 ですから,そこを広げていただくといいのではないかと思います。国際的な観測ネットワークをJICAの事業で非常に進めていることは間違いないので,そこまで広げていくと,先ほどCSTIの中で国際ネットワークの強化というのが3項目目にありましたが,そういうものにもつながっていくと思いますので,是非,今,武藤委員からの御提案,よろしくお願いしたいと思います。
【池田地球観測推進専門官】 はい。
【小池部会長】 ほかはよろしいでしょうか。
 河野委員。
【河野委員】 4-3のフォローアップの案というのでは含まれていますか。議題に。
【小池部会長】 いや,今,4-3の資料の説明は,まだされていません。
【池田地球観測推進専門官】 こちら,参考資料として付けておりまして,実施計画と同じような形でこういったフォーマットをお渡しして,関係省庁の方から御意見いただき,情報を集めようと思っております。もし何かコメントがありましたら,是非よろしくお願いいたします。
【河野委員】 冒頭,話題になりましたので,私たちがもしこれをもらったらどのように整理するかを考えると,なるべく大きく捉えて,大きな流れを書こうとするんですね。そうすると,数は減っていく方向にどうしても私たちの場合なってしまって,どういうことをフォローアップとして調査したいかによって,書きぶりを少し指示した方がいいのかと思います。
 例えば,同じ観測でも,船を使って観測する人たちと,漂流フロートを使って観測している人たちと,ブイを使って観測している人たちは,国際情勢も違えば,取組状況も違えば,当機構で言いますと予算の付き方も違いますので,それぞれのこういう傾きは随分違います。ただ,大きく書こうと思うと,それを一括して大きな違いはありませんということになるんですね。そうすると,本当に地球観測全体が伸びているのか,そうでもないのかというのが分かるのかもしれませんけれども,反対に細かい情報はどんどん失われていくので,よくうちの企画の人は粒度というんですけれども,粒度を少し統一した書き方にしないといけないと思います。
 前,ここでの発表で,JAMSTECは海洋観測全般でという資料を作るんですけれども,気象庁さんは船舶観測とフロート観測に分けて発表されたりして,粒度がそろわないんですね。何かそこを工夫されると,うちで迷惑掛けているのに申し訳ないですけれども,期の切れ目に大幅に数字が変わるというようなことも減ってくるんじゃないかと思うんです。
【池田地球観測推進専門官】 ありがとうございます。情報展開する際には,そういったことも意識しながら,こちらから依頼を掛けたいと思います。
【小池部会長】 今の河野委員の御指摘は,髙村委員の先ほどあった,全体として日本は大丈夫かというのを,あるいはそれを確認するためにも必要ですよね。できるだけ全体像が見えるような粒度というのはどういうものでしょうか。確かにある程度細かな粒度で御回答いただくようにお願いすると,分かってくるのではないかと思います。どうも貴重な意見,ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。
 はい。
【三枝委員】 これ,どちらがいいのか分からないんですけれども,今の河野さんからおっしゃられたように,これまでこのように歴史的にやってきて,今後どう続けましょうという,そういうフォローアップの仕方もあるかと思いますし,あと,それはもちろん,ここにも課題1から8まであって,始めてから5年10年とたつうちに,社会のニーズがいろいろと複雑なものになってきていて,例えば気候変動にしても,気候変動自体の観測から影響評価に進んできて,その次は気候変動に適応する社会を作るにはどうしたらいいかといった問題意識が大きくなり,更に,例えばIPCCの報告書あるいは特別報告書といったところの中では,気候変動対策と食糧安全保障の両立,あるいは地球上のどこで厳しいトレードオフがあり得るかといった問題に応えるべきという議論が,科学者の間で非常に強いサイエンス上のニーズを持って議論されていたりします。それから,先ほど春日さんからお話がありました健康の問題にしても,大気汚染物質の排出量を強力に減らすということが気候変動対策との相乗効果もあるので,こういう国や地域では大気汚染物質を総力を挙げて減らすべきといった判断が出てくるような観測ですとか,いろいろな社会のニーズに応えるような観測というものをこういうところに挙げていこうとすると,とても複雑になってきます。あの分野とこの分野のこういう観測を組み合わせてこうやるべきといった議論がたくさん出てくるんですけれども,そうすると,そのフォローアップがとてもたくさんになってしまうので,オーソドックスな分野別の地球観測をこのように長期継続するべきという議論と,それから,新しい課題あるいは問題意識に対してどう応えるかという二本立てがあると,読んだときに,科学者の側も,それから政策決定者の側も,使えるという印象を持つのではないかと思いました。
 以上です。
【小池部会長】 どうも貴重な御意見,ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 赤松委員。
【赤松委員】 私は民間の委員ですので,この地球観測のデータが,どう実務利用や社会実装されているかということが非常に気になるところでありまして,この実施方針のフォローアップの進め方というのを,どのようにするのかということが気になっていたのですが,それは資料4-3のフォーマットを各省庁の担当の方にお渡しして,記入して返していただくと考えればよろしいのでしょうか。
【池田地球観測推進専門官】 このフォーマットに書いていただくとともに,関係省庁の方で,いろいろな観測事業につきまして,もしできましたら次回の部会の中で発表いただいたりすることも,こちらでは考えております。
【赤松委員】 そうなると,多分,このフォーマットの中で何が出来上がってきたのかということを書くのが,この取組状況という欄だと思うんですね。そういう理解でよろしいですか。
【池田地球観測推進専門官】 はい。
【赤松委員】 そうすると,単純に取組状況だと,こういうことをやりましたという話だけで終わってしまうような気がするのです。本当に見るべきはアウトカムだと思うのです。何が出来上がって社会に実装されたかというポイントを書いていただかないと。プロセスの話をしていても駄目で,今回この期間の中でどういうものが出来上がってきたのかという話を書いていただかないと。そこの情報が出てこないと,我々がこれからどうしたらよいかという話につながらないのではないかと思うので,そこを重視してヒアリングを行っていただきたいというのが一つのお願いでございます。
 もう一つは,利用省庁間や,実際に観測しているJAXAと利用省庁の連携をどのように進められてきたかを見ないといけないのではないかとも思います。先ほど堀委員の方から,2時間では観測・配信できないのだろうけれども,何とかしてそこをやるということを考えられないのかという話がありました。私も無理な部分はあると思うのですけれども,例えば私どもの会社の話をすると,観測するところと実際に防災を考える,災害対応を考えるという,それぞれの専門家がいるので,そこが連携することで,結構予測をしながら観測をするということを,災害のときに結構やっています。ですので,そうした部分をもう少し強化していくには,恐らく利用省庁側との連携をもっと強めないといけないということで,これは非常に重要な課題なのではないかと思うんです。とすると,今,どこまでそれができていて,今後どうするべきなのかという議論を,この見直しの中で是非やっていくべきではないかと思います。我々の会社でやっていることは極めて小さな話ですが,国の仕組みとして,そこをどのように作るのかということは考えていきたいと思いますので,ヒアリングの中で聞ければよいと思っています。
 以上でございます。
【小池部会長】 どうも。
 堀委員,どうぞ。
【堀委員】 どういう観測機器をどのように使っているかということを書くことは必要でしょうか。使い古しのものなのか,最新の機器がどんどん出ているのかが分かることは必要かと思いましたので。極めて即物的ですけれども,機器について書くことはできるんですか。
【池田地球観測推進専門官】 そういった情報も集まるように,こちらから関係省庁・機関にお願いして,情報を集めるようにしたいと思います。
【堀委員】 是非,取組状況の中で,どんな観測機器をどのように使っているかということがデータとしてあると,非常に分かりやすい議論ができると思います。
【池田地球観測推進専門官】 そういった情報も集めるようにいたします。ありがとうございます。
【小池部会長】 中田委員。
【中田委員】 先ほどの三枝委員がおっしゃった二本立てでというのは,私も非常に賛成いたします。特に資料4-3の最後の項にある最近の国内外の動向を踏まえた今度の課題というところを各省庁が書くことになると,観測そのものに対する動向もありますけれども,今,それぞれのセクターで何が課題となっていて,具体的なことは分からないけれども,これが分かりたいみたいなものが出てくると,観測につなげていけるのではないかと思いました。以上です。
【小池部会長】 どうもありがとうございます。大変多くの重要な意見を頂きました。第一に二本立て戦略、第二に粒度を考えましょう、第三に国際協力の推進となるような情報を集めましょう、第四に具体的な機器を挙げて動向を探ろう。第五に得られる情報を府省庁間連携にうまく使おう、第六に実施報告に加えてアウトカムがちゃんと分かるようにしていこうとです。これらをまとめて,日本として現在,地球観測がどうなっているかを理解し,これを次の政策にしっかり反映できるようなフォローアップにしたいという要望が委員から出ております。委員の皆さんのご協力を得て部会もしっかり取り組みたいと思いますので,是非関連省庁の方々と十分御相談いただきながら,議論の素材を是非集めていただきたいと思います。それからまた,直接お出でいただいて,議論の場を是非設けていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【池田地球観測推進専門官】 ありがとうございます。
【小池部会長】 春日委員。
【春日部会長代理】 今の小池部会長のまとめに補足させていただくような形の意見ですが,前回,この実施計画を作ったときに,それまでは,資料1-1であれば,網羅的に各省庁がどういう観測をしているかという表がまず出てきて,その全体像を把握したいということで,今,こちらの2ページにあるような目次という形で,大項目,中項目と整理してくださいという意見が出て,その結果として今の表になっていると思います。
 ですので,全貌を把握しなくてはいけないという議論は前回もあったわけですね。今回,今のいろいろな御意見を踏まえると,把握した結果,何が足りていなくて,どういうことを今後やらなければいけないかにまで踏み込んだフォローアップをするとなると,そこにまた新たな軸が入ってくるような気がします。時系列的なものですとか,空間的な展開ですとか,そこには国際協力も含めてですね。
 そうすると,この目次がどういう形で俯瞰マップのように改良できるのかというイメージを持った上で,更にそこに合うような調査票の設計も必要になるかと思いまして,実際,これからの進め方のスケジュールで,省庁に調査を出す前に,そこのもう1回,設計を議論するタイミング,機会はあるんでしょうか。
【池田地球観測推進専門官】 お集まりいただいて議論するのは難しいかもしれませんけれども,メールベースででも委員の皆様に,こちらからまたそういったフォーマットの形式とかを御確認いただいて,それで進めるようにしたいと思います。
【春日部会長代理】 ありがとうございます。その際には,ですから調査票がどういう形でまとめられるのかという,まとめのイメージとセットで,申し訳ないんですけれども,御提案いただけると有り難いと思います。
【池田地球観測推進専門官】 そのようにいたします。ありがとうございます。
【小池部会長】 かなりタイトなスケジュールの中でやっていただくことになりますので,委員の皆さんも言いっぱなしじゃなくて,是非御協力をお願いしたいと思います。それによって地球観測が本当に良くなっていくというか,進捗していくということでありますので,よろしくお願いいたします。
【中北委員】 小さいのを1個だけよろしいですか。
【小池部会長】 はい。
【中北委員】 もしも配慮されていたらすみません。この付属していたエクセル表を見ていて思ったんですけれども,観測項目ごとにも整理してあるんですか。要するに,情報としてはこれだけあるんですけれども,それで何を測っているというのがある中で,これを今,大項目というか,実用とかサイエンスの目的で整理していただいているんですけれども,整理の段階で,観測項目ごとの整理って,どこかで出てくるんですかという質問です。目的に応じてこれ測っていますというのは見えるんだけれども,この項目を測っているというので,横の軸で見るというリストというか,何かそういうのは出てくるんですか。
【池田地球観測推進専門官】 現時点では,実施方針の課題とかそういったものに沿ってまとめるようにしていますが,これをまた観測の項目に沿ってまとめ直すということですね。
【中北委員】 はい。それが是非見えた方が,僕は抜けがないように確認できていいんじゃないかと,今日も新幹線に乗りながら見せてもらっておりましたので,もし可能であれば,そういう整理の仕方も考慮いただければと思いました。
【池田地球観測推進専門官】 検討したいと思います。ありがとうございます。
【小池部会長】 基本的に,今日最初に議論した実施計画の目次に沿っていくんですよね。
【池田地球観測推進専門官】 今のところ,そのように考えております。
【中北委員】 いえ,分かっているんですけれども,せっかく大事な国全体の情報が入っているので,観測した物理量というか,水蒸気なら水蒸気とか,何かそういうのでも見えるサブ資料みたいなものにオーダー(並べ直し)もしておいてもらうと有り難いというのが今の述べたことです。この項目に関して何か文句言っているんじゃなくて,項目に応じてやると,ここではこれも測っている,ここではこれも測っている中で,実は同じ観測対象をピックアップしてくると,ここで使われていて,ここで使われているのが出てくるので,それも抜けがないかどうかを,あるいは大事なところをもう少し進めるべきかどうかというのが見えやすくなると僕は思いますので,そういう整理もしておいていただければと思いまして。
【小池部会長】 理解しました。
【中北委員】 何か最後に。
【小池部会長】 いえ。そういう資料がしっかりできてくると,一方で進んでいるメタデータの作成の方もしっかりできてきますので,そうすると,全体的にこういう情報を効果的に使える,先ほど省庁間の連携ということもありましたが,物理量で二つ三つで取り組んでいるものがあるとなると,それは空間的に補完もできるという形に広がるという可能性もあるという御指摘だと思います。是非そういうこともよろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは,議題の5ですが,地球観測に関する政府間会合(GEO)の現状報告につきまして,これは村岡委員から御説明をお願いしたいと思います。
【村岡委員】 ありがとうございます。岐阜大学の村岡です。GEOプログラムボードの委員を2016年からさせていただいています。今日は,今年GEOが取りまとめています「2020-2022 GEOワークプログラム」という3か年の活動計画の準備状況について簡単に御報告するとともに,次に,2019 GEOシンポジウム,これは5月末に開催されまして,ちょうど第1回のこの部会の会議と重なりまして,私,それでこの会議を欠席させていただきましたけれども,どういうことが今,GEOで議論されているかということについて,ごく簡単に御報告いたします。
 資料の表紙をめくっていただきまして,2ページ目ですが,たくさん書き込んでありまして失礼します。まず,「2020-2022 GEOワークプログラム」の準備状況ということで御報告します。そもそもワークプログラムは何かといいますと,2015年のメキシコシティでの閣僚級会合で承認を受けました第2期GEOの計画,「GEO戦略計画2016-2025」で定められましたGEOの様々な観測及びそのデータの利用・応用,これを3か年のワークプログラムという計画にまとめて,これを3年ごとに更新して,GEOSSの構築・実施,そしてGEOコミュニティの活動を進めていくということになりました。今年までは「2017-2019 GEOワークプログラム」というのが動いていまして,今年の1‐2月から,来年から3か年のGEOワークプログラムの準備が始まりました。
 準備が始まりましたというのはどういうことかといいますと,GEOは,GEOのプログラムボード,プログラム委員会と言っていますけれども,これとGEO事務局が協力しまして,GEOコミュニティ,つまり参加国,参加機関に,広くGEOに関する観測及びその利用拡大の活動計画のプロポーザルの募集を掛けました。これが1‐2月に募集が掛かりまして,GEOプログラムボード及びGEO事務局の協力によって,多くのプロポーザルを,ただいまレビューしています。レビューというのは,基本的には様々な提案をエンカレッジするという姿勢でもって,計画が更にいいものになるように,また,GEOコミュニティとして個々の活動に何か協力できることがないかという観点から提案書をレビューします。この数か月にわたってプログラムボードでレビューをしてきました。プログラムボードというのは32の国及びGEO参画機関から成っている委員会です。日本はその共同議長を担当していまして,JAXAの落合さんが,その務めを果たされています。
 お手元の資料のページの下半分,今,「2020-2022 GEOワークプログラム構成案」と簡単に御紹介していますが,提案書はかなりの数が来まして,GEOプログラムボードでは10の分野,つまりEcosystems/biodiversity,Water,Regional GEOs,Geographically-definedとか,あとはDisaster risk,様々な分野,10分野に簡易的に分類しまして,これをプログラムボード,三十数名の委員で分担しまして,レビューをしています。更に,後ほど御説明しますけれども,5月末に開催されましたGEOシンポジウムでもその議論をしまして,このGEOシンポジウムのタイミングでバージョン1が公開されました。そこには,現在,バージョン2が準備されていると書きましたけれども,つい先週,バージョン2が公開されました。
 公開というのはどういうことかといいますと,準備中のGEOワークプログラムを公開しまして,コミュニティでもって3か年のワークプログラムという計画を更にブラッシュアップしていこうという精神の下での公開を意味しています。今のところ,GEOフラッグシップ,GEOイニシアチブ, Regional GEO,Foundation Task,GEO Community Activities,この5種類の活動計画が,今,カテゴリーとしてありますけれども,フラッグシップというのはかなりオペレーショナルに近いような形での活動で,ただいま4課題,レビュー中です。
 次に,GEOイニシアチブ,これは活動としては随分matureな状態に近付いているような,リソースもしっかりしているような活動計画で,現在,23課題がレビュー中です。
 次に, Regional GEO,これは地域GEOといいます。Regional Group on Earth Observationsといいますけれども,2019年,今年のワークプログラムまでは,地域GEOSSイニシアチブと言っていました。我が国は小池先生が共同議長を務められておりましたアジア・オセアニアGEOSSイニシアチブを構成しています。
 昨年の京都での本会合でもって,Regional GEOSSをRegional GEOと改めるということが決まりました。どういうことかといいますと,GEOSSの構築・実施よりも,更に地域活動というのは,キャパシティービルディングですとかエンゲージメントですとか,GEOSSの構築そのものよりも広い活動を含んでいるので,グローバルGEOとともに連携しながら,地域のGEO,地域のグループ・オン・アース・オブザベーションがある方が,実態に即しているのではないか,更に将来的な展開もあり得るのではないかという議論がありまして,プログラムボードと四つの地域GEOSSのリーダーシップの方々との議論及び昨年のGEOシンポジウムでの議論,そして京都での本会合での議論を通しまして,地域GEOというものが立ち上がることになりました。Asia Oceania Group on Earth Observationsも,もちろんここに入っています。
 次に,コミュニティ・アクティビティーズに参りますけれども,そこには25課題と書いてありますが,先週発表されましたバージョン2では31課題となっています。そのほか,GEO事務局とワーキンググループがマネージしますファウンデーショナルタスク,つまり様々なGEO活動,GEO構築実施に関する基盤タスクが,今,検討されているところです。
 そこの資料には,幾つかの課題について下線を引きました。実線の下線は,例えばDIASですとかAOGEOについては,我が国が主導的に提案しているものです。点線の下線のものは,他国や機関の提案に,我が国の機関あるいはグループが強く参加しているものになっています。
 次に,GEOシンポジウムについて御報告します。次のページを御覧ください。GEOシンポジウムというのは,以前はGEOワークプラン・シンポジウムとかGEOワークプログラム・シンポジウムと言っていましたけれども,GEOの観測計画,利用の計画,そういった活動を議論する年1回のシンポジウムのことです。今はGEOシンポジウムと言っています。主にコミュニティ形成,アウトリーチ,ワークプログラムの構築などを目的として,毎年大体5月頃に開催されます。1年ごとにこれらの開催の主目的が入れ替わりまして,今年5月27から29日の三日間,ジュネーブで開催されましたが,これは先ほど御説明しました「2020-2022 GEOワークプログラム」の構築,ブラッシュアップを目的としたシンポジウムでした。このシンポジウムの全ての資料は公開されています。
 三日間のシンポジウムで,お手元の資料にコンテンツだけお示ししましたけれども,GEO活動が広くターゲットにしていますSDGs,パリ協定,仙台防災枠組,あるいは健康に関するもの,都市化に関するもの,あるいは地域活動に関するもの,ただいまワークプログラムを構築するに当たって主要な課題について,全部で10のセッションが持たれて,基本的には,例えば提案書を出したグループによるプレゼンテーションと,それによるGEOコミュニティとのパネルディスカッションというような形で,どのように観測を進めていくのか,あるいはどのような観測が応用分野ごとに必要とされるのか,それらに横串を通すにはどんな仕組みが必要なのか,あるいは地域でのニーズ,国ごとのニーズをグローバルな観測あるいは利用拡大と連結させるには,どのような手当てが必要なのかというような議論がありました。先ほども健康と地球観測の話がありましたけれども,気候変動,防災,健康,都市化,あるいはSDGsへの対応,そういったものが特に注目されました。
 セッション10のところではリージョナルGEOの話が出ていました。四つのリージョナルGEO,Asia Oceania GEO,Afri GEO,Ameri GEO,Euro GEO,この四つのRegional GEOの代表者が登壇しまして,それぞれがどのような地域コミュニティを形成してきたのか,そのような機能を持っているのかという議論をし,ブレークアウトセッションの中では,例えばAsia Oceania GEOが,GEOSS-APシンポジウムによってどのようにコミュニティを拡大してきたのか,利用を拡大してきたのか,観測を継続しているのか,発展させているのかというようなことも他の地域の方々から興味を頂きまして,いろいろなディスカッションをしました。
 もう一つ大事なこと,これで最後にしますけれども,プログラムボードの中で幾つかのサブグループがございまして,2017年の終わりからパリ協定対応のサブグループが立ち上がりました。どういうことかといいますと,GEOコミュニティによる様々な観測とか解析をどのようにパリ協定の達成につなぐのかという議論をするためのサブグループであり,JAXAの落合氏と私で,日本がリードする形で,そのサブグループをずっと実施してまいりました。そのうちの一つが,今度,2020-2022のワークプログラムの中で基盤タスクのうちの一つとして,パリ協定対応のClimate Working Groupを作るというところまで持ってまいりまして,これはGEOコミュニティによる様々な観測,プレーヤーももちろん,GEOの観測プレーヤー,ユーザーコミュニティを連携させることによって,GEOの価値をどのように観測の継続と利用の拡大によって発展させていくのか,それをパリ協定の目標達成につないでいくのかということを,今後,更に,サブグループよりも一段高いプログラムボードの外にClimate Working Groupというものを作りまして,GEOコミュニティとしてそれに取り組んでいくという流れができたというのが最近の状況です。同じようなことが,SDGs及び仙台防災枠組でも,今,議論が進められていまして,まずはClimate Working Groupを作ろうという議論になっています。
 以上です。ありがとうございます。
【小池部会長】 どうも村岡先生,いろいろと本当に御活躍いただきまして,ありがとうございます。ただいまの御説明に,御質問,御意見等ございましたら,どうぞお願いいたします。
 よろしいでしょうか。次のGEO閣僚級会合の話とも非常にリンクしていますので,議題の6の閣僚級会合に向けた検討について,事務局の方から資料の説明をお願いいたします。
【石川環境科学技術推進官】 それでは,私の方から,資料6に基づきまして,GEO閣僚級会合と,今年の11月にありますGEOウイーク2019に向けた準備状況ということで,御報告させていただきます。
 一つスライドをめくっていただきまして,これは既に5月の資料でも御紹介しているものですけれども,今年のGEOウイークは,11月4日のサイドイベントから始まりまして,9日土曜日の第50回のエグゼクティブ・コミッティまで,1週間掛けてオーストラリア・キャンベラでということでございまして,テーマがアース・オブザベーションで,インベストメント・イン・ザ・デジタルエコノミーということで,デジタル経済ということがキーワードとして入ってきているということでございました。閣僚級会合の主な議題につきましては,地球観測データですとか情報が,いかにして世界経済の持続的な成長に貢献するかということですとか,本会合の方では,優先3分野の実績と,これからの活動の方向性の議論や,GEOの貢献拡大に向けた検討ですとか,今,村岡先生の方から御紹介いただきました次のワークプログラムの承認ということを,このウイークでやっていくということで,議論が進められているところでございます。
 次のページを見ていただければと思いますけれども,先週,23,24日に第48回のエグゼクティブ・コミッティ,閣僚級会合の準備ワーキンググループを25日ということで,先週,ジュネーブで会議を開催して,私の方で出席してまいりました。本当に今日の部会と前後が逆になっていれば,正に今日みたいな議論を私も頭にインプットして会議に出席できたので,もう少し会議を充実してやってこれたところもありますけれども,逆に,ジュネーブに行ってきて,今日のここでの議論を聞いて,先週の議論も,ここで議論いただいていることとほとんど同じような議論をされているというのを感じました。三日目にありました閣僚級の宣言文案の議論のところでも,テーマ自体がデジタルエコノミーが一つのキーワードになっているんですけれども,観測自体の持続性というものが大事であるという話ですとか,今,正に優先3分野にしておりますSDGsとパリ協定と仙台防災枠組と,その三つをしっかりやっていくというのは引き続き大事だよねという議論があった上で,デジタル経済,イン・ザ・デジタルエコノミーと言っているのも,私が先週受けた印象ですと,Society5.0の中でどうしていくかという議論を,日本でもCSTI中心でやっておったりいたしますけれども,そういった議論と正に同じように,AIであるとかIoTというものが,ここまで実社会に入ってきているところで,このアース・オブザベーションというものがどうそういった次の社会の中で貢献していくかという問題意識からの議論だと受け止めております。
 基本的には,11月に向けたアジェンダにつきましては,既に公開されたアジェンダから大きな方針転換はなく,その方向でやっていくというものが確認されたと認識しておりまして,その上で,今,申し上げたように,デジタル経済という,日本で使っている言い方であると,Society5.0に近いかと思っていますが,そういった中に,どうこの地球観測というものが貢献していくかというテーマですとか,あと,先週の議論でもよくあったのが,コマーシャルセクター,プライベートセクターを,どう関係付けながら進めていくかということを,しっかり論点として議論していくということが,関心事項として大きくございました。
 それと,あとは新しくオセアニア地域ですとか,そういう島国の国々も,このGEOのコミュニティに参加するというものが新しく入ってくるような話もございまして,そういったところで,ますます地球観測というものがどう貢献していくかという議論になっているかと思っております。そういった各国の問題意識の下で,今年のGEOウイーク,オーストラリア・キャンベラで,どういった形で議論していくかということを,先週,議論させていただいたと認識しております。全体的な進め方は,今,私が申し上げたような認識で,各国,11月に向けて,それぞれの詳細を詰めていくということになろうかと思っております。
 そういう意味で,3ページ目以降のところで,前回の5月29日に,この部会で頂いた議論を,事務局,私どもの方でまとめさせていただいておりますけれども,3ページ目,4ページ目を念頭に,大きく方針としてまとめるとしたら,5ページ目のところの三つの柱なのかなということで,ここは先週の各国の議論とも共通していて,前回のこの場の議論をまとめても,こういうことなのかなと思っておりまして,繰り返しになりますけれども,一つが,地球観測自体の持続性というものが大事であるということと,また,優先3分野への貢献の必要性,それと,デジタル経済,そういった新しい経済に対しての地球観測の貢献の可能性と,こういったものをしっかり議論していくというところで,日本側としても言うべきところは言っていくという形で対応していくのかと考えております。
 簡単な報告ですけれども,現在の進捗として,以上でございます。
【小池部会長】 どうもありがとうございます。石川さん,就任されて翌週,ジュネーブということで,御苦労さまでした。皆様から御意見,御質問ありましたら,どうぞお願いいたします。先ほどの村岡委員からのGEOのプログラムボード及びシンポジウムの説明に関しても,併せて御意見,御質問ありましたら,どうぞお願いします。
 まず上田委員,それから河野委員,お願いします。
【上田委員】 いろいろ会議があるということで,そこでいろいろな視点があるということで認識をした次第ですけれども,資料6の3ページのところで,必要とされる取組ということで,恐らく日本側としても,今後の取組を紹介したり,あるいは必要な課題というのを挙げていかれることだと思うんですけれども,そこで一つの別の視点ということで,環境教育に対するGEOの取組という視点も入れていただけたらと思うんです。
 というのは,私がいます地球環境学堂というところで学生の講義をします。大学院生です。そこでの学生の取組や,NPO法人とも一緒にして,そして環境に対する意識を変える取組というのをしているというのを,私自身がこういうのをやっているんだというので学んできました。そうすると,例えばマイクロプラスチックというのは,観測をする,それが大事,それが今,問題になっているというのもあるんですけれども,元をたどると,消費者の行動を変える必要がある。その消費者の行動というのは,行動を変えるための情報が必要である。その情報の提供の場としてのGEOの地球観測の情報,それをいかにアクセスしやすくできるか。例えばNPOあるいは教育の現場で,そういった情報をいかに提供できるかという視点も必要になってくる。教育への利用というのも,一つ,取組というか,今後の一つの視点として入れていただけるといいかと思いました。
【小池部会長】 どうもありがとうございます。何かございますか。
【石川環境科学技術推進官】 一言よろしいでしょうか。教育というところに直結するわけではないんですけれども,GEOウィークの一つのキーワードとして,コミュニティ・アンド・ユースエンゲージメントということで,ユースエンゲージメントというキーワードがありました。資料で見る限りは,必ずしも日本で言う小学生とかいうところまでではなさそうですが,若者へのというようなニュアンスでキーワードがありましたので,GEOウイークのところでそれを実際どのようにやっていくのかというのは,我々も注視しながら,また共有できるようにしたいと思います。
【小池部会長】 ESDの取組は,日本が中心でずっとやってきましたよね。GEOを最初作っていたときに,ESDとGEOって結構シンクロナイズしてやっていた記憶があるんですが,これ,文科省が中心になってやっておられたと思うんですけれども,上田先生は,ESD関係は直接コミットされておられませんか。
【上田委員】 ESDって。
【小池部会長】 エデュケーション・フォー・サステナブル・デベロップメントですけれども。これ,僕の記憶では,文科省がすごく中心になってやっておられたと思っていたんですけれども,違いましたか。
【河野委員】 ユネスコ事業じゃないですか。
【小池部会長】 ユネスコか。文科省でもユネスコですね。自分がユネスコだったからバイアスが掛かっているかもしれませんが。分かりました。今,僕自身は,それがどのようになっているか,教育と地球観測,持続可能な開発,それから気候変動,災害というのは非常に重要だと思うんですけれども,確かに能力開発ってありますけれども,エデュケーションってあまりないですよね。どうですか。地球観測の中であまりないですね。プログラムボードの中で,あまりそういう議論は出ていないようにも見えますね。
【村岡委員】 ありませんね。プログラムボードの中でも,大学教員をやっているメンバーもいまして,何とかこういうのを教育現場でも反映させられたらいいねという話は,個人ベースではすることありますし,あとは地域GEOの取組として,アウトリーチの一環として,もっといろいろなユーザー,広い意味でのユーザーエンゲージメントという観点で。
【小池部会長】 ユーザーエンゲージメント,能力開発はもちろんありますけれども。
【村岡委員】 はい。でも,本当に教育という感じはないです。
【小池部会長】 エデュケーションというのはあまり確かにないですね。重要なキーワードのようには思いますので,考えていただければと思います。ほかにいかがでしょうか。
 髙村先生。
【髙村委員】 ありがとうございます。資料の6と,あと村岡先生の御報告にも関連するんですけれども,資料の6のところで,日本の対応方針として三つ出していただいているところに関わるところです。一つ,優先連携3分野での更なる貢献の努力というのは,先ほどの村岡先生の御報告にもあったと思いますが,優先連携3分野について,スモールグループを作って議論していくと。大変大事な活動だと思っております。
 これは要望でありますけれども,先ほど舘先生の御報告の中で,GCOSが気候変動政策決定に必要な観測項目というのを挙げている,こういう項目を抽出していただく,整理をしていただくような作業というのを,もししていただけるとすると,大変いいように思っています。舘先生はアメリカの例を紹介していただきましたけれども,もちろん日本としてそれを決めて,観測の計画の中に入れ込むというのも大事ですけれども,もし全球レベルでこういう形で出てくると,それを踏まえて日本として何を貢献できるかという議論ができるかという点です。
 それから,二つ目は,同じく対応方針の三つ目ですけれども,これは対応方針への問題提起ですが,デジタル経済への地球観測の貢献もそうですけれども,逆にデジタル化が地球観測の高度化に貢献するという側面もあるように思っていまして,その点について一つ問題提起をしたいと思います。以上です。
【小池部会長】 最後のは,デジタル経済が地球観測に貢献ですか。
【髙村委員】 デジタル化。
【小池部会長】 分かりました。
 村岡委員,どうぞ。
【村岡委員】 ありがとうございます。1点目に御指摘いただいた点ですが,正にそこは大事なポイントでして,このプログラムボードによるパリ協定対応策グループが,昨年,GEOシンポジウムのときとその直後にパリ協定ワークショップを開きまして,GCOS,WMO関係のステークホルダーの皆さんをお呼びして,例えばエッセンシャル・クライメット・バリアブルズを例に,どのような観測をどのような分野がどう進めるのかという議論に加えて,更に分野は縦割りではなくどう連携するかという議論をしました。(さきほどお話した2020-2022 ワークプログラムにおいて)パリ協定ワーキンググループではなくてクライメット・ワーキンググループという名前にしましたのは,パリ協定だけじゃなくて,様々な分野に関係するだろうという議論が背景にありました。それで横串を通す中で,どのような応用のためにはどのような観測項目が必要で,どのような観測デザインが必要でということを,このワークプログラムに参加するコミュニティを連携させる形でフォーラムをやっていくという考え方です。更に,そういったところから,今後,GEOコミュニティ,あるいは各国,グローバルに,どのような地球観測が必要になりそうかということを,ユーザーと観測側が一緒になってデザインしていくという機能をこれから発達させることが必要だろうという,そういうような活動です。もちろん,御指摘いただいたECVから話は始まっていきます。ありがとうございます。
【小池部会長】 ほかにいかがでしょうか。
 若松委員,どうぞ。
【若松委員】 前回御紹介いただいたときも,デジタル経済への投資という言葉がすごく気になっていたんですけれども,今日御説明いただいて,日本で言えばSociety5.0への貢献みたいな話だよと言い換えていただいたのは,すごく分かりやすくなって良かったと思います。
 でも,そういう意味だと,本当はもう少し一般的な言葉,デジタル化とかデジタルトランスフォーメーションとか言うと思うんですけれども,何でこういう言葉を使ったかみたいな話がどこかで聞けましたか。
【石川環境科学技術推進官】 議論を聞いているところでの私の印象ではあるんですけれども,基本的にはコマーシャルセクター,プライベートセクターとの関わりを強化したいというコンセプトがベースにあって,その上で,経済活動自体も,今,AIとかの新しいテクノロジーが入ってきたことによって,経済活動自体がすごく変わってきていると。そこにどう貢献していくかというような文脈のように私は受け止めています。そういう意味で,単純に技術的なところでのAI,デジタル化との連携というよりは,デジタル化によって経済活動が変わってきている中で,どのように地球観測が貢献できるかという文脈で議論されているというのが私の受止めでして,そうすると,冒頭,説明で申し上げたように,Society5.0社会の中で地球観測がどのように今後存在価値を持って貢献していくかという議論と共通するというのが,私の受け止め方でございます。
【若松委員】 そういうことは,デジタル化したエコシステムというか,社会全体がデジタル化した中でどう貢献するかというのを,デジタル経済への投資という言葉で表現されているというイメージですか。
【石川環境科学技術推進官】 そうですね。そういう認識に近いのではないかと思っております。
【若松委員】 非常に分かりやすくなったので,ありがとうございます。
【小池部会長】 浦嶋委員。
【浦嶋委員】 民間コマーシャルセクターとの連携という意味では,私も損害保険会社で,よく日経新聞等にも出てきているんですけれども,衛星の観測データを使って,いかに支払いを迅速に済ませるかということが,多分,欧米の保険会社も同じだと思うんですけれども,各社競争領域に入っています。そして,今,ここで語られている観測に関する最初の資料には,そういうベンチャーみたいなのは多分入っておらず,ここは公的なセクターが関わる地球観測だと思うんですけれども,今,本当に地球観測のベンチャーがたくさん現れていて,そういうところに我々も投資はしていますし,いろいろなベンチャーファンドが投資していると思うんです。皆さんよく御存知の話だったら大変恐縮ですけれども,例えば機関投資家が投資をするのに,ここの会社は業績がこれから上がるか下がるかというのを,観測データを使って,例えば駐車場の空き状況を見てここの小売業はこれから上がるかとか,そういう世界で使われているんですよね。これが地球環境のサステナビリティーにどれだけ貢献するかどうかはさておき,凄まじい領域で観測データが使われています。私,今年からこの部会に入ったので,ここの部会が領域としている分野とコマーシャルセクターが扱っている地球観測とはどのような整合性を持っているのかというのが,自分の中で整理が付かないままなので,教えてもらえますか?正に損害保険のお支払い現場とか災害予防のところでも,地球観測に関してはいろいろな動きがあります。感想めいた話ですけれども,以上でございます。
【小池部会長】 赤松委員,どうぞ。
【赤松委員】 違う話をしようと思っていたのですけれども,今,浦嶋委員のお話があったので。私は,たまたま2週間ほど前にアメリカに行って,向こうの地理空間情報の状況を見てきたのですけれども,正に保険の世界で,これは衛星ではないのですが,航空画像で,本当に全米をカバーして,保険の支払いを迅速化しているという仕組みが,ものすごい勢いで確かに動いていました。
 ですので,今,リモートセンシングを広く見ると,そういうベンチャーが入ってきて動いている世界が多数ある中で,GEOの世界がどのような方向にこれから向かっていけばよいのか,日本としてどのようにやっていけばよいかという点で,非常に大きなターニングポイントになっていると思います。
 この言葉,デジタル経済への投資というのは,非常に刺激的な言葉だと思うんですが,ここに我々民間セクターも参画するのは当然ですけれども,Society5.0を掲げて,日本としてどうやってこのイニシアチブを取るのかということも,GEOの活動の中で,これから非常に重要なフェーズに入ってくるのではないかと思っています。
 AIでの画像解析は世界に先行されていて,技術のところだけ取ると,なかなかそこは回復できないぐらい先行されてしまっているので,地球観測という大きな枠の中で,日本としてのイニシアチブを民間も含めて取っていくということを,これからGEOの中で活動できればと思いますので,またそういった状況を教えていただければと思います。どうもありがとうございました。
【小池部会長】 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ,若松委員。
【若松委員】 浦嶋委員が疑問に感じたことも,少し私が補足できればと思うんですけれども,どうしてもGEOでの議論だったり地球観測部会での議論というのは,決まっているわけじゃないんですけれども,グローバル環境衛星的な,少しサイエンス寄りな議論になっていて,今,おっしゃったコマーシャルセクターの議論というのは,もう少し高分解能衛星であり,よりもっと細かい部分の議論がメーンになっているというところが,少し距離があるところなのかと,私自身も何年かここに携わって,思ってきていました。
【小池部会長】 前回の部会で,浦嶋委員がお話しになった,民間企業活動への投資を促し,保障するような情報の提供というのは,割と私ども親和感があって,目からウロコと言わせて頂きました。一方で、今,議論があったように,凄まじい勢いで地球観測データが経済活動に利用されている面も私どもは認識して,このデジタル経済への貢献というのをいかに考えていくかは重要と思います。
 私,両方があるということをしっかり見据えて,どちらかに偏るというわけでは多分ないと思うんですね。例えばJAXAがどうするかといったときには,宇宙基本法の中で,計画の中でどうしていくかという話になりますし,本当に超高分解能で,ほかの人には取れないような情報が取れるということによる経済活動への貢献というのも一方であり,それはひょっとすると民間がやるのかとか,それそのものを民間がやるのかと,いろいろな立ち位置があると思います。
 最後のスライドの3番目というのは,なかなか理解できなかったんですけれども,日本はSociety5.0という両方を含めたいいフレームを持っておりますので,これをどう地球観測に適用していくかというのを是非御一緒に考えていきたいと思いますし,先ほど,また戻ってしまいますけれども,フォローアップという議論の中にも,これは是非入れていきたいと思います。
 よろしいでしょうか。10分ほど時間を延長して大変申し訳ありませんでしたが,閣僚級会合について非常に活発な御意見を頂きました。そのほかにつきまして,委員の皆さんから御発言等がありましたら,どうぞお願いをいたします。
 よろしいでしょうか。そうしましたら,今日予定されている議題は以上でして,事務局から連絡事項をお願いいたします。
【池田地球観測推進専門官】 本日の議事録は,後日,事務局よりメールで委員の皆様にお送りいたします。各委員に御確認いただいた後,文部科学省のホームページで公表させていただきます。
 旅費の書類をお配りしている方は,内容を御確認いただき,そのまま机上にお残しください。
 次回,第3回の部会は,9月13日金曜日の14時からを予定しております。開催案内につきましては,改めて御連絡させていただきます。
 以上です。
【小池部会長】 閉会の前に,宿題が来るということをもう一度御確認いただきまして,これは私どもの方から言った宿題ですけれども,フォローアップに関するカテゴリーとか,どういうものにしたらよいかという問合せが参りますので,夏休みのさなかでありますが,どうぞよろしくお願いします。そうしないと,9月13日の部会のときに宙ぶらりんになってしまいかねませんので,どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,地球観測推進部会第2回会合を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

お問合せ先

研究開発局環境エネルギー課

メールアドレス:kankyou@mext.go.jp

(研究開発局環境エネルギー課)