資料3-2 前回までにいただいた主な意見

【目標の設定、文科省としての取組の方向性】
・環境エネルギー分野の動きや速度、規模感は明らかに変わっている。社会ニーズも変化している。
・分野の規模が縮小していることに対する危機感。
・何のために環境エネルギー分野の研究をするのかという究極の目標を定めるべき。
・日本は欧州等と比べ、問題が生じてから対応するまでに時間がかかる。「Climate Emergency」という命題を掲げ、政府が機動的に取り組んでいく必要。
・日本の研究開発予算が限られる中、圧倒的な予算を研究開発に投資している中国をはじめ、世界とどう戦っていくか。
・大きな危機に対し社会が追いついていないという状況下において、革新的な科学技術はどのように貢献できるかが課題。
・社会課題はどこにあるのか、また、これに対応するため何を目標に掲げるべきか、しっかりと見定める必要。
・文科省は多様な分野のシーズを薄く広く支援し、安定的に基礎を育てていく役割や、2050年を担う若手人材を雇用して育てていく役割を担うことができるのではないか。現行の5年間予算事業等では研究者が研究に専念しづらい。
・5年後、10年後に必要とされうる環境エネルギー研究を基礎研究の段階から見出し、長期的に取り組むとともに、他省に成果をつなげていくことが重要。政策が需要を作り、技術が作られ、フィードバックし改良されていくというサイクルを生み出す必要。
・不確実性の中で技術の特定は困難だが、あるべき社会の姿を見すえつつ、研究資源の分散投資等により長期的に技術開発に取り組むことが重要。

【イノベーション】
・本分野の動向変化に対応するためには、1.5℃目標達成や持続可能な開発と、生物多様性や環境汚染等とのシナジー・トレードオフ等、多角的に事象を捉えて対応策を考える必要がある。人文社会科学と科学技術の連携や5E(3E+Ethics+Empathy)等、学術分野を超えた連携が重要。
・長期の技術イノベーションは、不確実性が非常に強いので、幅広の入り口を持ったイノベーション政策が必要。代替技術と比較しながら、多様なシーズと人材を育てていくことが大切。
・今起きているイノベーションは従来モデルを超えて起きている。従来とは違う、という発想が重要。その中で要素技術はどのように還元しているのかという視点。
・イノベーションには急進的(radical)なイノベーションと破壊的(disruptive)イノベーションの二つの側面があるが、後者を視野に入れられているか。
・日本では、イノベーションが、技術面でのブレークスルーとして使われるが、海外では、仕組みや制度、社会の中のイノベーションとして使われる。非連続のイノベーションと、今あるものを普及させるアイディアや仕組み、規制といったイノベーションとを車の両輪で取り組む必要があるのではないか。
・持続可能な社会に真に寄与するかという観点から、CO2フリーの水素とそうでない水素とを分けて捉える必要。

【他分野との連携・融合】
・基盤的な研究の推進が重要。材料、科学、AI等の他分野とも連携・融合して、また人材育成もあわせて取り組む必要。
・技術イノベーションだけであれば開発する側の人材育成に焦点を当てておけばいいが、社会イノベーションでは受け取る側の在り方や関与が重要なポイント。受け取る側のリテラシー向上や、人文社会科学との融合が実現されるようなファンドも重要。
・産業構造、経済構造、人口動態等社会の不確実性を前提とし、人文社会科学との連携が必要。
・金融界と議論を行う金融庁や規制を扱う国交省等とも連携して、オールジャパンで取り組んでほしい。
・不確実性をどのように評価し、扱っていくかも大きなポイントであり、受け取る側への伝え方やデータサイエンスとの連携が重要。

【Life Cycle Assessment】
・技術が導入された後のインパクトや本当に社会実装されるかどうかの評価も重要。科学的合理性だけでなく、社会的な合理性にも目を配って、社会システムやコスト、規制等を含めた社会実装に向けた分析や研究があってもよい。
・新たな研究開発を推進する上で、たとえば材料の新機能創出や低コスト化等を可能にする製造システムも視野に入れ、研究開発を実施していくべき。
・エネルギーインフラは、社会の在り方と密接に結びついていて、社会や技術を規定してしまう可能性もある。個別技術の開発と同様、インフラがどうあるべきかの議論があってもよい。
・「技術の改良」も研究開発成果の一環。「社会実装」の対象に包含してもらいたい。
・シェアリングによって効率が上がること自体は気候変動対策になるが、それにとどまらず、リサイクルや循環経済型といったサーキュラーエコノミーとの連動により、Well-to-Wheelの視点で環境負荷について考える必要。
・LCAについては、企業が自身の責任範囲(バウンダリー)を越えて取り組むことは困難だが、バリューチェーン全体の中での最適化を図って取り組んでは。
・日本の産業構造を踏まえたシナリオの提示は金融業界にとっても有効。

【基盤となる科学的知見の重要性】
・地球観測、予測、リスク評価等は重要な知的基盤であり、基盤データを作ることは国の役割。気候変動モデルや自治体の適応策等の様々なニーズに対応した基盤の重要性や、気候変動モデルの更なる高度化等の必要性を打ち出すべき。
・基盤としての地球観測データを継続的に運用していくための人材育成も重要。
・社会実装には自治体への働きかけも重要だが、現場には文科省の取組が認識されていないのが実情。各自治体が適応計画や都市計画を策定するに当たり、どこに権限があり、どのような情報が必要となるのか考慮するするとともに、情報が伝わっているか把握することが必要。
・自治体に気候変動に関する専門家が不足する中、自治体が気候変動適応計画の策定や気候変動対策に取り組む際の支援となる環境エネルギー分野の科学的知見の提供や研究等が必要。
・適応策を広げるには普及啓発だけでは限界。ナッジ等を通して、人の行動を変える必要。
・企業側から見ても、これから伸びていく分野があらかじめ把握されると良い。また、企業も応募できる資金があるとよい。

【人材育成、リテラシー向上】
・若手を含めた人材育成、研究環境整備、国際連携は全て重要なポイント。
・過去の知見を有するシニアの知見も非常に大事。シニアが過去の研究にこだわらず、必要とされる研究に挑戦することが大切。
・複数の専門分野に深い知見を持つフレキシビリティな人材の育成が重要。必要な分野に必要な人が集まって新しい視点から研究開発が進むような予算配分の在り方がよいのではないか。
・人材が不足する分野については、将来の人材育成を考えるだけでは時間がかかるので人材のネットワーク化による研究者層の形成が必要。
・地方大学でも優秀な人材がいるが、与えられた研究環境が有力大学に比べて劣り、力を発揮できていない。地方大学の支援も視野に入れるべき。
・エナジーセキュリティの観点からもリテラシー向上が必要。
・イノベーションを起こしたり、トータルソリューションを考えたりすることのできるよう、小学校から学際領域に対応できる人材を育てる視点が大切。

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研究開発局環境エネルギー課

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