量子科学技術委員会 量子ビーム利用推進小委員会(第9期~)(第15回) 議事録

1.日時

平成30年3月19日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 15階 特別会議室

3.議題

  1. 軟X線向け高輝度放射光源の官民地域パートナーシップ具体化のための調査検討について
  2. その他

4.出席者

委員

雨宮委員、石山委員、伊地知委員、内海委員、尾嶋委員、金子委員、北見委員、小杉委員、高橋委員、田中委員、宮内委員

文部科学省

松尾大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、村上研究開発基盤課長、西山研究開発基盤課量子研究推進室長、大榊研究開発基盤課量子研究推進室専門職

5.議事録

【雨宮主査】  それでは、定刻になりましたので、第15回量子ビーム利用推進小委員会(小委員会)を開催いたします。
  お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
  本日は11名の委員に御出席いただいています。御欠席の委員は、石坂委員、岸本委員、近藤委員、高原委員、山田委員です。
  今回より、新たに4名の委員が就任されていますので、後ほど事務局から御紹介をいただきます。
 本日の会議ですが、委員会の運営規則に基づいて、円滑な調査の実施に影響を生じるものとして、議事のうち、軟X線向け高輝度放射光源の官民地域パートナーシップの具体化のための調査検討に係る事項は非公開とさせていただきますが、よろしいでしょうか。
  それでは、そのときには傍聴席の方に、非公開の議事の際にはお声がけしますので、御退出のほどをよろしくお願いいたします。
  それでは、本日の議題に入らせていただきます。
  事務局より配付資料の確認など、お願いします。
 【大榊専門職】  おはようございます。よろしくお願いいたします。
  配付資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を御確認ください。
  議事次第のとおり、資料1から資料3、及び参考資料1、参考資料2を配付しております。傍聴席の皆様には、資料1、参考資料1、参考資料2をお配りしております。また、前回までの資料及び報告書、それから、文部科学省から1月23日に行っているプレス発表につきまして、ドッジファイルにとじておりますので、御確認をいただければと思います。資料等に不備等ございましたら、事務局まで御連絡いただければと思います。
  また、新たに就任された委員の皆様について、順に御紹介させていただきますので、簡単に御所属と御専門を御紹介いただければと思います。よろしくお願いいたします。
  まず、石山先生、よろしくお願いいたします。
 【石山委員】  東京大学地震研究所の石山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
  専門は地形・地質学を中心にした活断層とか地震ということで、突然お声がけいただいて、まだ十分理解し切れていない部分がかなりありますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 【大榊専門職】  続きまして、伊地知先生、お願いいたします。
 【伊地知委員】  成城大学社会イノベーション学部の伊地知と申します。よろしくお願いいたします。
  専門は科学技術・イノベーション政策で、特にイノベーション、あるいは研究開発の状況を観測するというところで研究しております。
  恐らく、この小委員会の委員となった背景としまして、今回、リサーチコンプレックス等、ある拠点を中心とした産学官連携等が出てくる場があるかと思いますが、そういったところを研究の一端としているところがあろうかと思います。関連してほかにも幾つか評価関係の支援させていただいたことがございます。そういったところで幾らかお力になれればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 【大榊専門職】  続きまして、北見先生、お願いいたします。
 【北見委員】  日本原子力開発機構の北見です。
  私は施設部に所属しておりまして、その前段階の日本原子力研究所(原研)に入所してからずっと施設建設に携わってきております。経験としてはSPring-8、それからJ-PARCの建設に携わってきたという経験がございます。そのような観点で、この審議に協力させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 【大榊専門職】  最後に、宮内先生、お願いいたします。
 【宮内委員】  宮内でございます。
  公認会計士で、この場には余りふさわしくないかと思いつつ、どの程度お役に立つか分かりませんが、力の限り努力したいと思っております。よろしくお願いいたします。
 【雨宮主査】  どうもありがとうございました。
  それでは、本日の議題に移ります。
  まず、諸外国における放射光施設を中核としたリサーチコンプレックス、その形成について、事務局より御説明をお願いいたします。
 【大榊専門職】  それでは、資料1につきまして事務局より説明をさせていただきます。資料1、A3の紙を御覧いただければと思います。
  諸外国における放射光施設を中核としたリサーチコンプレックスの形成ということで、従前、第6回のときにも先生方に御議論いただきまして、諸外国のリサーチコンプレックスの形成等について先生方から御発表いただいたところでございますが、今回は報告書に載っておりますMAX 4、Taiwan Photon Source(TPS)、SOLEIL、Diamond、それから軟X線施設ではございませんが、European Synchrotron Radiation Facility (ESRF)について、一覧という形でまとめさせていただいておりますので、まず御紹介させていただきます。
  スウェーデンのMAX 4から横に見ていただいて、Diamondまではおおむね3GeV級という形でございまして、エネルギーのエミッタンスで言いますと、MAX 4とTPSが次世代放射光で0.33ナノメートルラジアン、TPSが1.6ナノメートルラジアンという形でございます。こちらはいずれも目標値です。TPSは、目標値は達成していると聞いておりますけれども、MAX 4についてはまだ現状そこまでは至っていないと、先生方からは聞いているところでございます。
  それから、2007年からSOLEIL、それから2006年からDiamondと、それぞれ少し運用開始が古いものですが、いずれも3GeV級ということで運用を進めているというところでございます。
  それから、この施設はリサーチコンプレックスにそれぞれ立地をしてございまして、スウェーデンで言いますとIDEONサイエンスパーク、スウェーデン、ルンドに立地しております。このリサーチコンプレックスについて、主要都市からのアクセスについても同時に調べてございます。リサーチコンプレックスへのアクセスにつきましては、IDEONサイエンスパークについてはコペンハーゲン、すなわちデンマークの首都から鉄道でおおむね1時間程度、コペンハーゲン空港から車で40分程度という立地になっております。
  また、TPSにつきましては、新竹サイエンスパークということで、新竹市、台湾で7番目の都市から車で15分、それから首都の台北、台湾最大の都市から車で1時間半、それから台湾桃園国際空港から車で50分という立地になってございます。
  同じように、ほかの施設も見てまいりますと、フランスのSOLEILにつきましては、サクレー地区にリサーチコンプレックスが形成されておりまして、パリから車で40分、鉄道では1時間程度。オルリー空港、フランスで2番目の利用人数を誇りますけれども、このオルリー空港から車で20分程度という立地になっているところでございます。
  それから、英国Diamondでございますが、ハーウェル市に立地しておりまして、ロンドンから鉄道で1時間、車で1時間半程度ということでございます。それから、ヒースロー空港、最大の空港から鉄道で1時間半、車で1時間ということになっております。それからオックスフォードからは鉄道で30分、車で20分と、比較的オックスフォードの方が近いですが、オックスフォードにつきましては大学が多く立地している地域でございます。そこから鉄道で30分、車で20分程度ということでございます。
  それから、ESRFでございますが、こちらは硬X線の施設ですけれども、従前よりリサーチコンプレックスがしっかり形成されているということで、グルノーブル市に立地しておりますが、リヨンから鉄道及びバスで1時間程度、それからパリからは高速鉄道TGVで3時間。また、リヨン空港から1時間という立地になっております。
 それから、リサーチコンプレックス内の産学間の主要施設ということでまとめさせていただいております。併せて一番下の欄にあります、リサーチコンプレックスの地図も御覧いただければと思いますが、まずMAX 4を見ていただきますが、この赤い丸で囲んだ部分がリサーチコンプレックスの立地だと思っていただければと思います。MAX 4についてはリサーチコンプレックス全体を見通しても、おおむね2キロ、3キロ圏内ということで、更にその外側に中性子線施設European Spallation Source(ESS)、欧州核破砕中性子源が立地しておりまして、全体としては、3キロ圏内ぐらいの中にルンド大学も含めて、おさまっているような形になっております。主な産業といたしましては、通信、世界最大の携帯電話メーカーでありますEricssonが立地しているということでございます。また、Gambloという人工透析で知られる医療機器メーカー、そのほか、ICT、テレコム、ライフサイエンスといった企業が、このルンド市内に集積しておりまして、この地図にもお示ししましたとおり、大学としてはルンド大学が立地しているということでございます。
  それから、公的研究機関につきましては、先ほど御紹介しましたが、MAX 4よりも少し離れたところでございますけれども、ESS、欧州核破砕中性子源が立地をするというところでございますが、今のところ、ESSは稼働しておりません。将来的には稼働が見込まれているという施設でございます。
  TPSの方を御覧いただければと思います。TPSの地図の赤い丸のところを見ていただきますと、大体、3キロ、4キロ圏内のところに主要な施設が立地しております。
  主な産業界といたしましては、TPSの周辺、500社以上の企業が集積してございますけれども、世界最大の半導体製造ファウンドリでありますTSMC、それから世界3位の半導体製造ファウンドリでありますUMCと、主に半導体業界が中心に立地しているところでございます。そのほか、半導体、コンピューター、通信、オプトエレクトロニクスといったような電子産業の企業が集積しているということになっております。
  それから、大学は、同じく地図にお示ししておりますけれども、国立清華大学と国立交通大学という形で立地をしているところでございまして、いずれも比較的TPSの近くに配置されているということでございます。
  それから、ITRI(工業技術研究院)は、台湾最大の産業技術研究開発機構ということで、日本で言うと産業総合研究所(産総研)のような形でございますが、そういう施設がおおよそ近傍に立地をしているという形になっておりまして、こちらも大体3、4キロ圏内に集積しているところでございます。
  それから、真ん中の欄に行っていただきまして、SOLEILの御紹介をさせていただきますと、SOLEILは少し地図で御覧いただきますと、範囲が横に広いような形になっておりますが、これはSOLEILも含めて、それからエコール・ポリテクニークのところまで、おおむね5キロ圏内ぐらいを中心に集積をしているところでございます。SOLEIL近傍には80社以上集積しておりますけれども、主な産業は、フランス電力会社、食品関係のDanoneと、それからThalesというハイパワーレーザーの製造関係の会社が入っておりますのと、あとは日本から堀場製作所と京セラが、主な産業界として集積しているところでございます。いずれも下の地図に場所は記載させていただいているところでございます。
  それから、大学としましてはパリ-サクレー大学が将来的には立地をしていくという形になっております。それからパリ南大学、またエコール・ポリテクニーク、University Institute of Technologyという形で、大学が多く集積をしているという立地だということが特徴であります。
  それから、公的機関としましては、少し離れておりますけれどもフランス原子力庁のCEAと、それから国立科学研究センターCNRSがそれぞれ、立地をしており、こちらも大体おおむね5キロ圏内に集積をしているということでございます。
  それから、隣のDiamondを御覧いただければと思います。Diamondも地図をつけておりますけれども、比較的こちらはコンパクトな集積をしておりまして、大体1キロ、1キロ半に集積をしておりまして、Diamondの近傍にはおおむね200社以上の企業がついております。
  また、大学としましては、University Quarterというものが立地を予定しているというところでございます。
  イギリスの場合、主に公的機関が中心に立地をしてございまして、ラザフォード・アップルトン研究所、それから医学研究協議会MRC(Medical Research Council)、それからEuropean Space Agency、が立地しており、またこちらもパルス中性子源、ミュオン源のISISが近くに立地をしているということで、こちらはおおむね公的機関が中心となって、1キロ、1.5キロ圏内に集積をしているという特徴がございます。
  最後に、ESRFの御紹介をさせていただきます。ESRFは下の地図で御覧いただきますと、大体3キロ圏内、縦長の円で示しておりますけれども、こういったところにおおむね集積しておりまして、ESRFの近傍にはおおよそ40社程度の企業が入っております。
  それから、STMicroelectronicsという欧州最大の半導体メーカーと、それから情報通信・電気機器の多国籍企業Siemensと、世界規模の重電メーカーSchneider Electricが、それぞれ立地をしておりまして、比較的、重工業、半導体関係が強いということになっております。
  それから、グルノーブル工科大学、それからグルノーブル経営学院というのが立地をしているというところでございます。いずれも地図にお示ししたとおりでございます。
  こちらも、SOLEILにもございましたけれども、フランスの原子力庁CEAと、それからCEAが設立したナノテク研究開発拠点でありますMINATEC、それから国立科学研究センターでありますCNRS、それから欧州分子生物学研究所のEMBLと、それからラウエランジュバン研究所という形で、こちらもかなり公的機関の集積が多くなっており、公的機関と産業界がそれぞれ多く立地しているということでございます。
  こちらのリサーチコンプレックスでございますが、横並びでこれを御覧いただきますと、大まかな主要共通点として、おおむね人口50万人程度の主要都市から、公共交通機関でおおむね1時間以内に立地をしているということが言えるかと思います。また、主要な空港から自動車でも1時間程度という状況でございます。
  それから、リサーチコンプレックス全体の大きさは、赤い丸で書かせていただいておりますけれども、産学間の主要施設はおおむね5キロ圏内に集積をしているという特徴があろうかと思います。海外のリサーチコンプレックス、放射光施設を中核としたリサーチコンプレックスという形で今回御紹介させていただいておりますけれども、そういった共通事項があろうかと思います。こちらも御参考としていただければと思います。
  事務局からは以上でございます。
 【雨宮主査】  どうもありがとうございました。今、資料1について説明いただきました。諸外国において主に放射光施設との絡みにおける、放射光施設を中心としたリサーチコンプレックスの形成ということで、一覧表で御説明いただきました。この本委員会で議論している軟X線向けの高輝度放射光源の官民地域パートナーシップの具体的な調査検討をこれから行うわけですけれども、今まで議論をしてきた中で、やはりリサーチコンプレックスの形成ということが1つの要素として入っていると。それを議論するに当たり、諸外国のリサーチコンプレックスがどうなっているのかということを、情報を頭にしっかりと入れて上で、私たちがどうそれを評価・審査するかということの一助になるかと思いますので、是非これを御覧になっていろいろ御意見、あとはこの委員の中には、実際にこういうファシリティー、放射光施設に実際に行って肌でいろいろなことを感じたプラスアルファの情報とかあるかもしれませんので、そういうことも含めて情報を共有したいと思います。
  よろしくお願いします。
  前、小杉委員がSOLEILのことについてプレゼンをしていただいたことがありますが、何か補足等がありますか。
 【小杉主査代理】  中身の話に入る前に、修正をお願いします。地図のスペルは合っているのですけれども、SORではなくてSOLです。2か所あります。主な産業界のところも。
 【大榊専門職】  失礼しました。修正いたします。
 【雨宮主査】  SOLEILですね。
 【小杉主査代理】  この2月にも行ってきたのですけれども、もともとパリ-サクレー大学としてこの地域の教育機関をひとつに統合するというサルコジ政権のときの方針があったのですけれども、マクロン政権になって、大学、Universityとグランゼコールというのは、教育機関ではあるのですけれども、なかなか一緒になるのは難しいということで、パリ-サクレー大学からエコール・ポリテクニークなどのグランゼコールは分かれることが決まったそうです。パリ市内の方も、パリ-ソルボンヌ大学で一体化するはずだったのが、グランゼコール系は大学系とは一緒にならないことになったそうです。いずれにしても、基本的にこのリサーチコンプレックスと言うか、民間を含めた地域構想自身は大きくは変わらないと聞いています。
 【雨宮主査】  尾嶋委員、いかがでしょうか。
 【尾嶋委員】  私も幾つか行ってきたのですけれども、全体の印象としては、産官学と言っていますけれども、3GeVクラスの放射光施設の近くにはメジャーな大学があるという印象は、やはり非常に強く持ちました。全般で台湾とかルンドとかは産業界の大きな会社もきちんとある。ただし、Diamondに2月に行ってきたのですけれども、何か公の研究機関だけしか見当たらなくて、産業界が200社と書いてあるが、本当ですか。
  ほかのところでは、台湾新竹TPSの近くにあるITRIにも行ってきましたけれども、産学がうまくやっているなという印象を持ちました。しかし、Diamondは中性子施設のISISも両方見たのですけれども、何かアプリケーションというか、産学連携というのは余りやっていない印象を持ちました。もうちょっと広いところに産業界があるかもしれませんが。
  Diamondではオックスフォードシャーにあるオックスフォード大学など幾つかの大学の先生が兼務していて、かなり精力的に研究が進んでいるなという印象を持ちましたが、産学連携という点では、ちょっと見当たりませんでした。
  それともう1点、日本にいると公共交通機関が非常に便利なので、放射光施設まで電車で行ったり地下鉄で行ったりできます。ドイツ・ベルリンのBessyなどは地下鉄で行けるのですけれども、一般的に放射光施設はとても遠いところにあります。Diamondは車で1時間。ヒースロー空港からタクシーに乗ると、下手したら4万円ぐらいとられます。定額タクシーで行けば1/3くらいで安く行けるのですけれども、日本で作るのであれば公共交通機関の近くに位置するところに作るべきですね。それからある程度のメジャーな大学がある地域、また産学連携、地域連携をもっと表に出すというのが大事かなという印象を、私は持っています。
 【雨宮主査】  ほかにいかがでしょうか。産業界の方から、何か御意見とか。あと、新たに4名の先生方、委員に入っていただいていますけれども、この放射光施設ということとの関わりで何か御質問的なものを含めて、御意見があれば。よろしいでしょうか。
 【高橋委員】  個人的な質問でもいいですか。
  もし行ったことがある方がいらっしゃればお伺いしたいのですけれども、この中での移動というか交通機関というのは、例えば循環バスのようなものであるとか、そういうのはあるのですか。それともそれぞれ車で放射光施設に行くとか、そういうのがあるのですか。
 【尾嶋委員】  大体、そういうときは車で連れていってもらっているという感じなので、よく分かりません。
 【高橋委員】  2、3キロ、5キロ、近いようで、実際に移動するとなると、それなりの距離だと思うのですけれども。
 【西山室長】  年明けにMAX 4のルンドに行ってきましたけれども、ルンドはこれから中性子源の施設を作るのですが、ルンドもそのIDEONサイエンスパークとMAX 4とESSをつなぐようなトラムは作って、中でぐるぐる回るような、そういうのは作ると聞いていますね。これからですね。
 【雨宮主査】  どうぞ。
 【宮内委員】  いろいろなリサーチコンプレックスという形で産業界が集まってきているのですが、これは最初から、例えばTPSでいけば500社というのが最初から来ていたのか、それともここに施設ができた後に加わってきて形成されていったものなのか。それから、その形成するに当たって、何らかの産業界の中での同意事項とか、そういうようなものがもともと形成できるような形でスタートして、そこに後から加わる、フリーエントリーかどうかはともかくとして、後から加わっていくための仕組みというようなものが予定されていたものなのか、その辺は御存じないでしょうか。
 【尾嶋委員】  では、TPSの話をさせていただきますと、放射光施設は1995年ぐらいに1GeVぐらいの小さなリングができて、今、TPSという3GeVクラスの大きいリングができました。実は放射光施設ができる前段階からここには国立清華大学と国立交通大学がありまして、サイエンスシティーだったのです。台湾政府はここをサイエンスシティーにしようということで、ITRIという工業技術院、つまり日本の産総研と近いようなものを作って、ここのミッションは創業することだと、看板にはっきり書いてある。創業、要するにイノベーション、イノベーターを作ろうと。TSMC、今では世界で一番にシリコンファウンドリーですけれども、その会社を作ったモーリス・チャンという人は、このITRIの中に小さな実験室を作り、彼はITRIの所長だったのですけれども、そこで半導体を作って、大きくなった。今、このITRIの中に住友化学をはじめ、日本の企業も数社、入っていて、そういうベンチャービジネスを作ろうとしています。そこでTSMCとかUMCとか、そういうのができてくると、小さな会社もサイエンスシティーに集まってくるのです。だから、ある意味で非常にうまく回っている。
  その中で、サイエンスシティーに放射光も要るよねということで、1995年ぐらいから実験できるようになってきた。それが更に大きくなっていく。台湾のこのケースというのは非常にいいモデルケースになっているなと思います。産業界もそこの放射光を使いたいということを今、言っていますので。いいサイクルで回っているというふうには思っています。
  ほかのところは、私は分かりませんけれども。
 【小杉主査代理】  SOLEILの地域はもともと、パリ南大学が、地図を見ていただいたら、下側の谷側にあり、上側の台地側の左上にCEAというサクレーの研究所があって、右にエコール・ポリテクニークがあるという、大きな三角形はあったのですけれども、それぞれつなぐところや真ん中の台地側に余りなかったのですね。パリ南大学はもともと放射光の古い施設、小さな施設があって、そこを中心に放射光とレーザー関係の企業が、パリ南大学がある谷側、地図に書かれた楕円状の地域の外側の下側、に幾つか小さいものがあったのですけれども、先ほど御紹介したように、サルコジ政権がここをサイエンスシティーにしようとした際には、スペースのある台地側にSOLEILの建設が始まっておりましたし、スペースのない谷側ではなくて台地側で産学連携をやるということで、民間等も集まってきたというような流れで、非常に大きなプロジェクトになっています。鉄道を通す話も、あと3、4年でできるのですかね。フランス政権としてかなり力を入れている背景があります。
 【雨宮主査】  どうもありがとうございます。
  ほかにありますか。多分、今の御質問に関しては、お答えできるのは今、台湾のTPSとフランスのSOLEILのケースですが、そうですね。今、宮内委員から御質問のあったことに関して、それはどういうふうにほかのところ。例えばMAX 4とかDiamondとかはどうなのかと。尾嶋委員から、Diamondの近傍で200社以上と、どこまで含めての、エリアを含めての200社だと質問がありました。
 【尾嶋委員】  私が見た範囲では、余り見当たらなかったので。
 【雨宮主査】  ちょっとそこを、事務局の方でプラスの情報を調べていただければと思います。
  MAX 4も、では、補足があれば。
 【小杉主査代理】  MAX 4という4番目の施設ではなく、MAX 1、2、3という小さな放射光施設がルンド大学にもともとあり、ルンドというのはスウェーデンではストックホルムに次いで力を入れている大学都市のひとつですし、デンマークのコペンハーゲンにも近く、交通の便もよくて、ルンド大学、最近非常にスウェーデンの中では伸びています。もともとウプサラ大学とか、非常に古い大学がストックホルムの北にあったのですけれども、最近はウプサラ大学も力を失っていて、MAX 4を作る土地としてはウプサラ大とルンド大との議論があったのですけれども、最終的には流れから言ってルンド大学の方に決まりました。ただ、これは大きな施設なので、前のMAX1、2、3というのはキャンパスの中にあったのですけれども、キャンパス外に離さないと作れないということで、少し外側、北側に行って、スペースができたところで少し民間も集まってきているかなと。
  一応、国としては力を入れているのですけれども、基本的にはMAX 4は学術サイドで作られている経緯があるので、フランスのSOLEILがある地域のような国を挙げて産学連携のサイエンスシティーを作る話ではないと、私の理解では思っています。。
 【内海委員】  MAX 4に関してはMAX 4とESSの間、今、緑色の台地になっていますが、ここに新しく工業団地のようなものを作ろうとする計画のような写真というか、絵のようなものを見たことがございます。
 【小杉主査代理】  では、もう国として全体計画を持っているのですか。
 【内海委員】  今は何もないところですが、この中心部のところはもういっぱいになってきているので、新たなものはこちらにつくるというようなことを考えているのではないかと思います。
 【雨宮主査】  ほかに何か、御質問、御意見、ありますでしょうか。
 【金子委員】  何か私の中で、リサーチコンプレックスってそんなに新しいものなのかというところが少し疑問なので、聞きたいのですけれども、つくばの研究都市ができたときとすごくよく似て、このことをすごく思ったのですね。つくばはもう既に高エネルギー加速器研究機構(高エネ研)とかに中性子とか放射光もあって、物質・材料研究機構(NIMS)に顕微鏡などもあって、ある種、結構、解析をする道具はそろっていて、そこに各研究機関もそうですし、あとは産業界も研究所を置くというようなことを、かなり施策を持ってやられたという認識で私はいて、まだ私の記憶が曖昧なので何ですが、もう随分昔にそういうことを取り組まれていて、それに加えて今、これをリサーチコンプレックスとしてやらなければいけないことというのは、何がその頃と特に違うのかなというところが分からなくて、集まれば勝手に何かが触発されて起きるというものなのか、それともやはりシナジーを作るための何か1つきっかけを作るものが要るのか、それが軟X線施設になるのかどうかというところが非常に重要なのではないかなと思っていて、施設を作るだけでは、やはり難しいところもあるので、それとともにやはり交わる機会を作る、何か仕掛けを一緒に作っていくということが、リサーチコンプレックスの中でも重要ではないかと思うのですけれども、どなたか、つくばでは成功例なのか、それともどうなのかというところは、いかがなのでしょうか。
 【雨宮主査】  つくばに関しては、1970年代から、田中角栄の時代からあって、その後1985年の万博があり、そしてつくばエクスプレスが開通したと、そういう中にあって、一定の役割を果たしてきているけれども、またつくばとして、その中でつくばの研究所が連携し合うということで、つくばイノベーションアリーナ(TIA)と言われる経済産業省を巻き込んでの研究機関同士いかに連携し合うかという新たな仕掛けを活発に行っているというところはあるかと思います。
  これ、私の専門は都市づくりとは関係ないけれども、やはりある時定数で何か新しいところにものができて、そしてどこかに移動していくという、その流れがあるので、何か一遍作ってしまえば、それがずっと永久に続くというものでもなく、あるライフタイムをもって、いわゆる興亡盛衰が起こっていくという。だから、やはり私たちは常に新しいものを作っていかないといけないということなのだろうと思うのです。だから、このリサーチコンプレックスというのは、もともとつくばの構想もロシアのノヴォシビルスクの科学アカデミーというのをシベリアの中に作ろうとして、それをモデルにしたとありますけれども、やはりその時代、その時代に、やはり何か新たなものを作っていこうという意味では、古くて新しいものという感はあるのだろうと思います。
  だから、リサーチコンプレックスというコンセプト自体が、何か非常にオリジナリティーがあるものではなく、その時代に合った最適化されたものをいかに作るかというところがポイントなのだろうと思いますね。
 【尾嶋委員】  今おっしゃったように、リサーチコンプレックス自体は、そんなに新しいものではなくて、ある意味では当たり前なのですよね。大きな施設を作る、放射光にしても中性子にしても、それを支える人はやはり大きな大学であって、そこに人が集まってくるというのは当然で、ここには示されていないのですが、スタンフォード大学の放射光施設というのが、これはまさにリサーチコンプレックスの中心で、あそこはまさにシリコンバレーです。スタンフォード大学の授業は、シリコンバレーの企業にもテレビで配信していますし、産業界の人も、エクソンとかインテルとか、放射光を使いに来ている。エミッタンスが悪いので、まだ第2世代なのですけれども、リサーチコンプレックスという形というのはいろいろなところで引き継がれて、例えば韓国のPohang Light Source(ポハン)にしても、あれは8ナノメートルラジアンぐらいですか第3世代ではないですか。
 【小杉主査代理】  ポハンは高度化しました。
 【尾嶋委員】  高度化したなら第3世代ですね。
  だから、それもやはりポスコ(浦項製鉄)という、新日鐵住金を追い越すような鉄鋼会社、それからポステック(浦項工科大学)という韓国ナンバー2の大学があって、それらが一緒になってリサーチコンプレックスを作っているというのは、ある意味ではもう当たり前のことかなというふうに思いますね。
  ただ、時代の流れとして何が違うかと言うと、インターネットの進歩でコミュニケーションが非常に速くなって、サンプルを送ったら測定結果がメール便で返ってくるようになった。しかし、本当にそこにいなくてはいけないのかということは若干違っていて、やはり、フェーストゥフェースのコミュニケーションというのは大事かなというようにも思っています。
 【雨宮主査】  はい。いかがでしょうか。少し時間も経過したので、特になければ次に進みたいと思います。
 それでは、これ以降は軟X線向け高輝度放射光源の官民地域パートナーシップの具体化のための調査検討に係る事項のため、傍聴席の方は事務局の指示に従って御退室をお願いいたします。

(傍聴者退室)
(以降、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会量子科学技術委員会量子ビーム利用推進小委員会運営規則第4条第3項に基づき、調査の円滑な実施に影響の生じるものとして非公開)

お問合せ先

科学技術・学術政策局 研究開発基盤課 量子研究推進室

(科学技術・学術政策局 研究開発基盤課 量子研究推進室)