量子科学技術委員会 量子ビーム利用推進小委員会(第9期~)(第10回) 議事録

1.日時

平成29年7月27日(木曜日)10時30分~12時00分

2.場所

文部科学省 3階 3F1特別会議室(東京都千代田区霞ヶ関3-2-2)

3.議題

  1. 軟X線向け高輝度放射光源やその利用について(整備運用計画案の骨子(案)について)
  2. その他

4.出席者

委員

雨宮委員、石坂委員、内海委員、金子委員、岸本委員、小杉委員、近藤委員、高橋委員、髙原委員、田中委員、山田委員

文部科学省

中川総括審議官、佐野科学技術・学術政策局長、信濃審議官(科学技術・学術政策局担当)、村上研究開発基盤課長、西山量子研究推進室長、橋本量子研究推進室室長補佐、大榊量子研究推進室専門職

5.議事録

【雨宮主査】  それでは、ただ今から、第10回の量子ビーム利用推進小委員会を開催いたします。本日はお忙しい中、御出席いただき、ありがとうございます。
 本日は11名の委員に御出席いただいております。本日は、尾嶋委員が御欠席です。
 本日の会議ですが、委員会の運営規則に基づき、公開という形で進めさせていただきたいと思います。
 まず、文部科学省に異動がありましたので、御紹介をお願いいたします。
【西山室長】  事務局でございます。本日はありがとうございます。
 それでは、本日の出席者のうち、前回の小委員会以降人事異動のあった文部科学省の者を紹介させていただきます。
 まず、科学技術・学術政策局長として、佐野が着任をしております。
【佐野局長】  佐野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【西山室長】  それと、今、所用で少し遅れているのですが、大臣官房の総括審議官として、中川、また、科学技術・学術政策局担当の大臣官房審議官として、信濃が着任をしております。
 私、7月18日付けで、量子研究推進室長を拝命しました西山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
【雨宮主査】  ありがとうございました。
 それでは、本日の議題に入らせていただきます。事務局より配付資料の確認をお願いします。
【大榊専門職】  それでは、お手元の資料を御確認ください。議事次第にございますように、資料1から資料3-2を配付してございます。また、前回までの資料はドッチファイルに入っております。資料に不備等ございましたら、事務局まで御連絡ください。
 なお、本日御発言いただく際は、お近くのマイクのボタンを押して御使用いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【雨宮主査】  まず、本日の小委員会の議題について、西山室長から御説明をお願いいたします。
【西山室長】  表紙の議事次第を御覧いただきたいと思います。本日の議題として、二つ挙げているわけですが、まず、本小委員会につきましては、高輝度3GeVの放射光源とその利用に関して検討を行う委員会ということで位置付けられております。
 本年の2月7日に高輝度放射光源とその利用に関する中間的整理ということで、国として整備する政策的な必要性ですとか、その技術的な事項について、審議・検討を行っていただきました。その結果、中間的整理を2月7日におまとめいただいているわけですが、それを踏まえて、5月29日に、その高輝度放射光源についての計画案の検討を行う国の主体として、量子科学技術研究開発機構(QST、量研)が適切であろうという御判断を、この小委員会としていただいております。その検討の結果を踏まえまして、文部科学省から、7月に、QSTに整備運用計画の具体的な案の検討に入ってほしいということの依頼を出しております。
 本日は、そういった経緯を踏まえまして、具体的なその高輝度放射光源の整備運用計画の検討を行っていきたいということになっております。これは、1回の議論で終わるものではないと思っておりまして、何回か議論を行っていただきたいと思っているわけですが、本日は、まずQSTから、現在の検討状況について、御披露をお願いしたいと思っております。それを踏まえまして、今後検討すべき論点、議論すべき事項の洗い出しを、本日行っていただきたいと思っております。それを踏まえて、次回以降、更に検討を深めていくというような段取りを考えてございます。
 また、これまでの議論の中で、人材の育成については一つ大きな議論としてあったと承知をしておりまして、本日、近藤委員と石坂委員に資料をお願いしております。人材の育成については、先立って、本日、御議論をお願いしたいと思っております。
 以上です。
【雨宮主査】  ありがとうございました。
 それでは、議題1の整備運用計画案の骨子(案)について、に入りたいと思います。
 今、西山室長から御説明がありましたけれども、前回、国の主体候補であるQSTに、整備運用計画案の検討をなるべく早く進めていただくようお伝えし、この小委員会で、状況をお伺いすることとしておりました。
 今回、QSTにおいて、中間的整理やこれまでの小委員会での議論等を踏まえ、計画案の骨子(案)をまとめていただきましたので、内海委員から御報告を頂きたいと思います。
 では、内海委員、よろしくお願いします。
【内海委員】   ありがとうございます。量研の高輝度放射光源推進準備室の内海でございます。
 今、御説明いただきましたように、量研が整備運用計画案を作れという依頼を受けております。その案全体を御説明できるほど、まだ固まっていないのですが、今日は、A4、4ページのお手元の資料1にまとめました骨子(案)を御提案させていただいて、委員の皆さんに御意見を伺いたいということでございます。
 この骨子(案)に関しましては、本小委員会で2月に取りまとめられました中間的整理と、前回、この委員会で公開されました国内動向調査の御提案が1件ございましたので、その内容も参考にさせていただいております。
 それから、日本放射光学会で、これまで長くいろいろな議論がされており公開資料になっているものがたくさんございます。また、日本学術会議のマスタープランに、放射光学会から提案されている資料も公開されておりますので、それらも参考にさせていただきました。お手元の資料の中身をそのままパワーポイントに流し込んだものをスクリーンに映していただいていますが、基本的に同じでございますので、どちらを見ていただいても結構なのですが、少し重要な部分だけ赤字で書かせていただいております。全体で5つの項目に分けて、整理してあります。
 最初でございますが、検討の経緯。これは、先ほど、西山室長から御説明いただきましたが、この小委員会で、軟X線向け高輝度3GeV放射光源の利用環境の整備を推進することが必要である旨が、中間的整理でまとめられたということです。
 それから、この委員会で、5月に、量研がこの計画案の検討を担う国の主体候補として適切であると言っていただいたということを記載してございます。
 次、お願いします(2ページ)。それを受けまして、量研は、6月の委員会で、理事の田島から、主体候補となる意思がある旨を表明させていただきましたが、そのときの発言の中身を骨子に書いてございます。量研は、世界トップクラスの量子科学技術研究開発プラットフォームの構築や、産学官連携活動を推進しイノベーションハブとしての役割を担うことを、重要な経営戦略に位置付けておりますので、今回の高輝度3GeV放射光源の研究計画の検討は、我々の方針にも沿ったものであるということで頑張らせていただきたいということが、ここに書いてあるというわけでございます。
 次、お願いいたします(3ページ)。まず、基本的な考え方を、5つのパラグラフに分けて、ここにお示ししています。
 最初ですが、この委員会で議論された結論だったと承知しておりますが「先端性と安定性を兼ね備えたコンパクトな軟X線向け高輝度3GeV放射光源(以下「本光源」という。)を新たに整備し、放射光による世界レベルの最先端学術研究及び多彩な産業利用成果を創出することができる、利用者視点に立ったフォトンサイエンス&テクノロジーの研究開発拠点を構築する」です。
 ここに利用者視点というのは、上から、こういう立派な加速器を作ったから、使わんかいという話ではなくて、使ってもらってなんぼという形の利用者の立場に立った放射光施設を作るということです。
 2番目ですが、これは運用に関わる重要なキーポイントの一つです。本放射光施設の運用に当たっては、共用促進法の適用を受けるということを、将来的には見越しているところでございますが、その枠組みに基づく科学技術・学術の幅広い分野にわたる共用を見越す。これは当然のこととして、一方、これまでの規制、制度の枠組みに必ずしも、完全に捕らわれることなく、柔軟な発想や検討に基づく新しい放射光施設にふさわしい新しい運用体制、運用形態を目指していきたいということが重要なポイントでございます。
 三つ目、オールジャパンで整備運用をやっていかなくてはならないということは、この委員会でも盛んに議論されていることでございます。それを、ここに書かせていただいています。「放射光科学に係る人材が結集して、オールジャパンで整備運用に当たることができるよう、これに係る計画案の検討を行う国の主体候補たる量研の強みや専門性を活(い)かしつつ、関係機関の積極的な協力を仰ぎ、グランドデザインの検討を含めた本光源計画を推進する」ということで、量研だけがやるのではなくて、是非とも関係機関の多彩な協力を頂いて、これを実現していきたいと考えている次第でございます。
 もう一つのキーワードが、官民地域パートナーシップでございます。これも、この委員会で、何度も議論されている項目だと承知しております。これも読ませていただきますが、「国だけでなく、地域や産業界の活力を取り込み、官民地域パートナーシップにより、整備運用を推進する」。「国の主体候補」、すなわち量研ですが、これ「が示すグランドデザインは、その第一歩となるものであり、早期段階から地域・民間のパートナーとの対話を通じて、産学官の人材、知、資金を結集させ、新たな産学共創の場として、真(しん)に利用価値の高い施設を整備運用していくことが重要である」と考えている次第です。
 最後ですが、我が国の高輝度軟X線利用環境は、立ち遅れているということがこの委員会でも、最初からずっと言われていたことです。そのような状況から鑑みて、本光源の早期整備が求められており、国としてのグランドデザインの構築の後、パートナーの選定、パートナーとの協議に基づく計画成案を得て、一刻も早く整備に着手して、2020年代初頭の運用開始を目指すという記述にさせていただいています。運用開始の時期については、いろいろな議論がございますし、これからの状況によっても、変わってまいると思いますので、今のところ、2020年代初頭の運用開始を目指すという形にしてございます。
 次、お願いいたします(5ページ)。ハードウェアでございます。これについては、特に加速器やビームラインについては、ここでもかなり議論されておりますし、具体的な数字が中間取りまとめの中にも書かれておりますので、それをほぼ踏襲した形になっております。
 まず、肝心の加速器でございますが、ライナック及び蓄積リングからなる高輝度3GeV放射光源の電子加速器であるということです。我が国で培われた技術的な実績・経験に基づき、先端性と安定性を両立させる。ここが肝でございます。これらを両立させた、コンパクトな加速器とする。これが、ここの委員会での結論であり、我々が検討させていただいても、やはりこれは譲れないというところでございます。
 具体的に、その先端性の一つの指標である、エミッタンスのところでございますが、エミッタンスとしては、1ナノメートルラジアン程度を目指すというところ、それから、蓄積電流として、400ないし600ミリアンペアを目指すというところが、一つの指標でございます。
 加速器としての究極を目指すというだけではなくて、むしろ安定性とのバランスが大事ですということが、この委員会での議論だったと思います。ですから、実効性能での定常運転、ちゃんと安定して、ユーザーに光が出せるというところで、この辺の性能が決まってくるのだろうと思いますが、それを両立させた、しかも、コンパクトな周長350メートル程度の蓄積リング加速器を作るというところが基本であると考えております。
 また世界で新たな技術が非常に進展しておりますので、マルチベンドアクロマートラティスを採用して、電子ビームの低エミッタンス化を図って、発生する放射光の高輝度化、高品質化を目指すというところでございます。
 一方、このコンパクト性ということを活(い)かして、整備費や運用費の極小化をはかることが、一つの目標点ということになります。
 次はビームラインですけれども、ビームラインに関しても、まずこれは軟X線向けの光源であるということで、挿入光源からのビーム利用を基本とするビームラインを作るということです。
 まずは、軟X線領域において、高い輝度、恐らく10の21乗ぐらいの輝度を得られるということが、最大の特徴になるというところでございます。
 一方、硬いX線領域、大体20keV領域に至るところまでの波長もカバーできるようなビームラインの設計を作るということです。それぞれに必要とする波長領域や偏光特性等に最適化したアンジュレータ又はウィグラーを採用するということになります。
 ビームラインの本数でございますけれども、これは、リングの周長やセルのデザインを決めると、ほぼ自動的に決まってくるというところでございますが、恐らく25本程度のビームラインを最終的に建設可能にするという辺りが、最適解かなと考えています。
 ただ、最近の技術進展によって、ビームラインそのものは25本程度かもしれませんが、各ビームラインにおいて、分岐によって実験ステーションを複数設置する、それで、実質的に利用できる環境を増やす、倍程度に増やすということも、十分検討する余地があると考えております。
 当然ながら、運転が開始された段階で、全てのビームラインが埋まっているということはあり得なくて、恐らくは運用の初期段階においては、利用ニーズに配慮した7~10本程度のビームライン整備を目指すというところ辺りが妥当ではないかと思います。
 次、お願いいたします(7ページ)。それらが入る基本建屋でございます。基本建屋に関しては、ライナックや蓄積リング、ビームラインや実験ホールが、収納できるもので、大きさは、大体このぐらい(約200~300m四方)になるのではないかと考えています。
 基本建屋とは別に、ユーザーが集まれる、あるいは、実験準備や会議等々に使うような、そういう研究準備交流棟という名前を付けていますが、そういうようなものも造っていかないといけないのでそれについても記載してございます。
 大前提になる整備用地でございますが、これも言わずもがなですけれども、加速器の安定運転及び放射光利用に必要な強固な地盤がないといけないということ。それから、周辺環境からの振動やノイズなどの影響がないところが、まず、技術的な必須条件になります。
 ただ、それだけではなくて、これもこの委員会で議論されていることを重要な項目としてここに書かせていただいていますが、本光源は広範な分野の学術研究や産業利用が見込まれることから、アクセスであるとか、利用者の利便性、例えば、食堂であるとか、宿泊地のインフラ、あるいは、放射光施設だけではなくて、周辺にどのような、いわゆるリサーチコンプレックスみたいなものを将来的に構築できていくような発展の可能性というようなことも、十分考慮に入れる必要があると考えている次第です。
 今度は運用についてでございます。ここに関しては、これから、本当にいろいろな議論をしていかないとと考えておりまして、ここには、今までの議論を少し箇条書的に書かせていただくとともに、新しい運用として、こういうものがあるのではないかというところの芽出しを少しさせていただいているところです。
 まず、大前提として、この施設は、幅広い分野の研究者に広く門戸を開いた国際的な共用施設であり、最先端学術研究及び産業利用の双方のニーズに的確に応えることが重要であるということです。
 実は私のところに質問に来られた方の中には、新しい高輝度3GeV放射光源は、産業利用だけに使うものだと勘違いされている方がおられました。そういうことでは決してなく、学術研究と産業利用双方のニーズに的確に応えるような高輝度3GeV放射光源を作るのだということを強調しておきたいと思います。
 また、先ほどの繰り返しになりますが、利用者視点に立った新しい放射光施設の運用を目指すということを、運用に関しての最初の項目に書かせていただいています。
 財政事情の観点からは、運用費の極小化ということを考えないといけないのですが、一方で、安定的に年間6,000時間を超える運転時間を確保するということを目指したいと考え、ここに記載しています。
 基本的には、共用促進法の適用を見越すということになりますが、従来、共用促進法の下で行われているような実験課題を公募して審査で採択するという通常の枠組みに加えて、それとは別に、産学連携や産業利用を大きく推進するような柔軟な新たな枠組みを、別に検討しても良いのではないかと思っている次第です。
 ここでも出ていましたが、産業利用の推進のために、コーディネーターやコンシェルジュといった人材の活用、配置も、当然考えるということでございます。
 産業利用促進のための新たな枠組みに関する具体的な内容として、審査方法とか、成果公開・非公開のルールを、もう一度、新たな放射光施設として、検討し直しましょうということでございます。当然ながら、それは、適切な利用料金設定とセットということになると思っています。
 これも、既にSPring-8等でも始まっているとは思いますが、測定代行サービス、メールインサービスのような、ユーザーが実際に放射光施設に来なくても良いという方向に、どんどん時代は変わっていくだろうと思っていますので、このあたりも制度化したいと思っています。
 今の時代、学術でも、産業利用でも、1個の課題に対して1本のビームラインだけで論文が書けるという時代ではございませんので、一つの課題で複数のビームラインを横断的に利用できるということが、当たり前になるというような課題採択のシステム等を考えていきたいと考えている次第です。
 学術をどういうふうに盛り上げていくかというところに関しましても、これから真剣に考えていかないといけないと思っています。
 ここは、具体的なことが余り良く書けていないので、是非とも御意見を頂きたいのですが、世界トップレベルの質の高い学術研究成果を数多く創出するために、大学・研究機関の研究者とインハウススタッフが、強い連携・協力のもと、研究開発を実施できる体制を整備することや、課題審査プロセスの検討を行って、メリハリある採択とか、ビームタイム配分を行うというようなことが重要なポイントになると思っている次第です。
 それから、今日の御議論にも出てまいりますが、当然ながら、大学を含めて、人材教育・育成の場としての機能を、新しい放射光施設は果たしていかないといけないということでございます。
 これも、言わずもがなではありますけれども、実験やデータ解析において、AIやロボティクス等の積極活用。恐らく、高輝度3GeV放射光源が完成した頃には、特にAIの分野は、今の我々の想像を超えるぐらい進展していることが予想されますので、その辺をしっかり取り込んでいって、新しい放射光の運用を考えていかなければいけない。それが、利用者にとって、使い勝手の良い利用環境の一つにもなるのだろうと、今、考えている次第です。
 専用ビームラインのお話です。今までのお話は、いわば、共用的なビームラインのお話でしたけれども、特定の者が整備を行う専用ビームラインの設置も、当然あるだろうと考えています。ただ、専用ビームラインの設置の在り方については、もちろん、産業界の方が設置していただく専用ビームラインもあるとは思いますけれども、特に大学等の学術コミュニティの今後の検討進捗に、是非とも期待したい。一緒にいろいろ検討に加わっていただければ有り難いなと考えている次第です。
 あとは、これもこの委員会で出てきた議論ですけれども、ビームラインの整備に当たっては、施設全体を俯瞰(ふかん)して、バランスのとれた形にする。産業的にも学術的にも、バランスのとれた形にするとともに、1回作ってしまったものは、未来永劫(みらいえいごう)ではなくて、施設者側がきっちりと施設全体を把握・管理をして、適切なスクラップ&ビルドが行えるような制度を作りたいと考えています。
 SPring-8やフォトンファクトリーなど他の放射光施設や中性子・高強度レーザー等の量子ビーム施設との強い連携・ネットワークが、非常に重要でございます。ですから、特に放射光施設、日本の放射光施設全体のハブ拠点に、新しい放射光施設が是非ともなっていくべきであるということでございます。当然ながら、施設の役割分担や相補性が明示されるということは重要ですし、それが、利用者の利便性の向上にもつながる。インハウススタッフの人材の流動性も、こういうような放射光施設者同士の間で高めていくべきです。
 施設の整備や運用に当たっては、アカデミアや産業界から幅広く意見を聴取させていただいて、それらを適切に設備の整備や運用に反映させていきたいと考えております。
 最後でございますが、官民地域パートナーシップでございます。役割分担について、少しここで提案させていただきました。本計画は、整備・運用を通じて、官民地域パートナーシップにより推進されることが肝要であると、この委員会でも何度も言われております。
 今後、国の主体とパートナーたる地域・民間との間の対話で、具体的な内容は構築されていくと予想しているわけですけれども、まず、今の段階で、本光源の実現と成功に向けて、一例として、こういうような分担でどうかということを、ここに記載いたしました。
 まず、加速器でございますが、これは、我が国が強みとする放射光科学の枠を結集した設備であり、技術的に安定した整備運用が肝要となることから、これは、国の主体が財源を要求して、整備するということが妥当であろうと考えております。
 次に、基本建屋でございますが、地域が民間活力の投入を含め国の主体以外の財源で整備費を用意していただくことが想定されると考えている次第です。これが一つ。
 ビームラインについても、もし、地域・民間が利用収入を見越して、これで、何かの新しい運用、積極的に地域や民間が関わるという場合には、ビームラインについても、その財源を負担していただくことが、有り難いかなと考えている次第です。
 ただ、100%民間というわけではなくて、やはり、国の主体が準備していくということも、将来の検討として、余地をここに残してあるということでございます。
 そういうビームラインの整備運用を担う主体とか、財源負担の役割分担については、これからいろいろな協議をしていくことになろうと思われます。
 交流棟についても、できれば、地域において、何とか整備をお願いできれば有り難いと思っている次第です。
 整備用地についても、他の共用施設でも同じですけれども、地域において、具体的な確保並びに造成をお願いしたいと思っているところでございます。
 少し長くなりましたが、骨子の内容については以上でございます。
【雨宮主査】  どうもありがとうございました。
 今までの本委員会での議論を踏まえての整備運用計画案、グランドデザイン骨子(案)が示されましたけれども、この委員会でこれに関するコメントを議論したいと思いますが、その前に、資料2を事務局から説明していただき、この資料1、2を併せて、後で議論したいと思います。
 ということで、資料2について、事務局より御説明をお願いいたします。
【大榊専門職】  それでは、資料2について御説明させていただきます。整備運用計画案の策定に向けて、今後検討すべき事項として整理しているところでございます。この資料につきましては、量研が整備運用計画案を策定するに当たって、今後、小委員会として検討すべき事項としての観点をお示ししたものでございます。
 一つ目のポツでございますが、整備・運用に必要な組織体制ですとか、必要な人員について、でございます。
 二つ目ですが、実際に放射光施設周辺の産学集積であるとか、産学連携の発展可能性についてといったものを、御議論いただくのがよろしいのではないかと考えてございます。
 三つ目でございますが、施設の運用についてということで、施設全体の運用マネジメント、本格的な産学連携・産業利用の促進に向けた枠組み、公募課題の審査プロセスですとか、それに関連する成果公開・非公開のルール、利用料金の設定を含む利用料収入の増加方策といった点を、施設の運用全体という観点で、御議論いただくのが良いのではないかと考えております。
 四つ目でございます。ビームラインの整備・運用について、ビームラインの利用の観点をお示ししてございますが、運用当初段階でのビームラインの整備については、整備本数も含めたものと、あわせて、中長期的なビームラインの整備の在り方であるとか、専用ビームラインの整備について、どうしていくべきか。
 また、将来的にビームラインのスクラップ&ビルドを、どういうふうに扱っていくべきかという点。
 さらに、ビームラインの柔軟な利用に向けた新たな仕組みの導入ですとか、学術分野において、ビームライン利用の在り方をどのようにしていくべきか、という点についても、御議論いただくのが良いのではないかと考えてございます。
 五つ目でございますけれども、こちらは、この後、御議論いただく予定でございますが、施設を利用した人材育成の在り方についてという観点でございます。
 六つ目でございますけれども、骨子(案)の最後にも示されてございますが、官・民・地域の役割分担について、こちらは適切な予算規模と財源負担の考え方について、今後、御議論いただくべきではないかと考えております。
 安全管理責任等を含めた運用全体、役割分担の考え方についても、御議論を頂いてはどうかと考えております。
 以上、こういった観点で、今後、御議論を頂いてはどうかと考えておりまして、整理させていただいたものでございます。
 以上でございます。
【雨宮主査】  ありがとうございました。
 資料2も含めて、内海委員から説明のあった資料1、この骨子(案)について、補足する意見とか、新たな観点、また主体であるQSTに対する質問、意見等ありましたら、しばらく議論したいと思いますので、よろしくお願いします。
【高原委員】  産学連携だけではなくて、アカデミアも含めて、実際に実験を行う立場から申しますと、こういった放射光の実験の前段階として、やはり、化学実験あるいは生物実験等のいろいろな施設というのは、あらかじめ整備していただいていた方がよろしいかと。後付けで設置しますと非常に大変になります。その中でも、化学薬品等はいろいろな規制等も入ってきますので、そういったことも考慮した施設を、是非、今回、施設の整備の段階と同時に、御検討いただければよろしいかなと思います。
【雨宮主査】  是非、そういう視点は重要だと思いますので、また、検討事項、骨子(案)の中には、何らかの形で配慮いただければと思います。
 他に、御質問、御意見、要望がありましたら。
 一つ確認なのですけれども、4ページ目、基本建屋のところで、「地域が民間活力の投入を含め国の主体以外の財源で整備費を用意する」ともちろん、後ろの「あるいは」ということがあるのでフレキシブルなのですが、これは、加速器の入れ物が、基本建屋ですよね。その辺、非常にうまくつながってないと。建物と加速器が、それぞれ別々というような形でデザインされるということは、まずいと思うのですけれど、その辺の補足はありますか。
【内海委員】  それは、今、主査の雨宮先生がおっしゃったとおりでございます。建屋と加速器というのは、その設計段階から、一体的にいろいろ協議をしながら進めていかないといけないということは、もう十分承知しております。ここに書かせていただいたものは、飽くまで財源分担に関しての一つの考え方ということでございます。
 これは、パートナーが決まった段階で、当然ながら、綿密な打合せをしながら、取り合い部分を含め、一緒になって造っていくことになります。
【雨宮主査】  どうぞ、他の委員、いろいろと御意見、御質問ありましたら、お願いします。
 本委員会でのいろいろ議論されたことのポイントがきっちりとまとめられていて、特に何か漏れがあるというようなことは、気が付かないのですが、何かあれば。
【高橋委員】  よろしいですか。
【雨宮主査】  はい。
【高橋委員】  細かいことで申し訳ないのですけれども、先ほど、事務局から、資料2の最後に述べられた、運用のところで、安全管理責任等を含むということがあったと思うのですけれども、資料1の3ページ、運用のところで、実際、例えば、そういった放射線安全ですとか、そういった法対応のことですとか、先ほど高原先生からお話のあったような化学と生物の法対応のところ、そういったところの運用についても、どなたかが責任を持って考えなければいけないポイントがあるかと感じました。
【内海委員】  ありがとうございます。
 骨子(案)のところには、書いてないのですけれども、安全管理責任に関しては、国の主体のところが、一義的に、一元的にやらないといけないことであろうと思っています。放射線の申請一つにしても、今、複数では認められないという動向がございますので、そこは、恐らく国の主体が、安全に関しては、一義的に責任を持つという体制になろうかと考えています。
【高橋委員】  ありがとうございます。
 その点に関して、ユーザー側(がわ)からのリクエストとしまして、放射線に関する登録は、各施設に登録しなければいけないわけです。その法律のシステムは分かるのですけれども、そのプロセスの書類の書式ですとか、どういった立場の方の責任が必要ですとか、そういったシステムが、やはり、施設ごとに全然違うとなると、申請する側(がわ)として、戸惑いが非常に大きくなるので、現在の動いている他の例を参考になさった上で、いろいろ統一感のあるシステムになると、より有り難いなと、ユーザー側(がわ)としては思います。
【内海委員】  ありがとうございます。
【雨宮主査】  他にいかがでしょうか。
【近藤委員】  よろしいですか。
【雨宮主査】  近藤委員。
【近藤委員】  資料1の3ページ目、運用の4ポツのところに、利用料金設定等についての記述がございますけれども、その目的として、利用料収入の増加を図るということなのですが、この増加した利用料収入は、放射光施設の運営に還元されるというような形で、そのために、増収を目指すと考えてよろしいでしょうか。
【内海委員】  ありがとうございます。
 今、骨子案には1文さらっと書いていますが、実際にどういうふうにやっていくかは大変大きな問題です。新しい放射光源の運用には国だけでなく民間もより積極的に関与していただくことも想定しておりますので、今のルールや法律等との整合性をとりながら、どういうふうにやっていくかということは、これから本当に必死になって検討していかないといけないところだと思いますので、今ここで、明確なお答えはできません。
 ただ、今ここにこう書いてあるからといって、学術ユーザーから、料金を何百万円も取れということは、全然考えておりません。ただ、一方で、国の財源がこれだけ厳しい中で、しかも、こういう放射光施設の運用も、必ずしも国だけが全面的にやらなければならないものではないのではないか、いわゆる官から民へというような流れもあるということは承知しております。
 特に産業界の利用に関しては例えば、適切な適正なサービスに対しての対価は、しっかりとお支払いいただくというようなことがあっても良いのではないかと思っています。成果公開・非公開のルールとも、密接に関係してきますが。そういう中で、結果として、全体として、利用料収入が、既存の放射光施設に比べて増えることになれば、大変良いことだと思います。しかも、近藤先生におっしゃっていただいたように、その得た利用料収入が、例えば、新しい装置の高度化であるとか、施設の運営全体であるとか、サポートの充実であるとか、そういうようなところに回っていくということが、あるべき姿であると思っている次第です。
 ただ、言うことは簡単ですが、なかなか大変で、いばらの道がいっぱい待っているかもしれませんが、是非とも応援していただければ有り難いなと考えています。
【近藤委員】  ありがとうございました。
【雨宮主査】  他にいかがでしょうか。
 この骨子(案)の中で、やはり、4ポツの運用というところが非常に重要だと、私は思っています。整備する主要施設、加速器、ビームライン、建屋、交流棟は、デザインが決まり、項目が決まれば、割と着々といくものです。
 運用というのは、こういう項目、全て重要だが、それをどういうふうに実際に落とし込むかというようなところが重要で、その辺、この委員会として、何か意見があれば、もう少し議論して良いのかと思います。
 運用の最初のところで、産業利用と最先端学術研究の双方のニーズに的確に応えると。このバランスは非常に重要で、今の時代の流れとして、産業利用ということに、かなりウエートを置いて議論してきましたが、これも言わずもがなで、最先端学術研究も重要なので、ここは非常に重要だと思います。
 運用の2番目、安定的に年間6,000時間を超える運転時間を確保する。これも、非常に重要。
 今日、議論がこれからあります人材育成との関係も非常にありまして、時間がないと、学生というか若い人にオン・ザ・ジョブ・トレーニングができず、人材が育たないということのリスクにもなるので、この運転時間は非常に重要だと思います。
 先ほど内海委員から、運用の5番目、世界トップレベルの質の高い学術を創出するために、研究開発を実施できる体制を整備するという点で、お知恵を拝借したいというような発言がありましたが、具体的にどういう体制なのかということを、もう少し深掘りすることが必要なのではないかと思います。
 今までの経験に基づいて、こういうところは良かったと。しかし、こういうところが不十分なのではないかと。他の世界の施設を見ての比較でも良いですが、ここが具体的にどういう体制の整備なのか、いろいろと御意見いただければと思います。
【山田委員】  よろしいですか。
【雨宮主査】  どうぞ。
【山田委員】  運用のところですが、ビームラインとして、今のやり方でいくと、2種類程度のビームラインができるというようなイメージをどうしても持ちます。共用促進法にのっとったビームラインがある。それから、専用ビームラインというようなビームラインが、どうしてもイメージされます。
 現在、J-PARCの中性子の施設で同じようなことが起こっていますが、やはり、ユーザーの方々にとって、一番重要なことは、いろいろなビームラインが使えること。このビームラインに行ったら、サポートは全然駄目だが、こっちはすごく良いよとか、異なるビームラインがあっても良いのですが、その運用としては、互いの垣根をできる限り下げ、ユーザーの方々は、いろいろなビームラインが使えるという運用が必要ではないかということを、MLFの運用をとおして非常に強く、今、感じています。
 ビームラインが重要なのか、ビームタイムが必要なのかというところで、やはり、ユーザーにとってはビームタイムが必要であって、いろいろなビームラインを使うビームタイムを得られるということで、共用促進法で、多くのビームラインを作っていくよりは、共用ビームタイムというコンセプトを、既存の学術利用のビームラインにも導入してやっていったらどうかということを考え始めています。
 新しい高輝度光源に関しても、最初からそういう意識を持って、制度設計、運用設計をやっていくべきではないかと考えています。
【雨宮主査】  共用ビームラインと別に、共用ビームタイムというコンセプトの違いを御説明願います。
【山田委員】  例えば、具体的には、KEK(大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構、高エネ研)のビームラインは、大学共同利用という枠組みの中で運用しています。学術研究に関してのビームラインなのですが、やはり、そのビームラインも、産業界の方々が使いたいというような要求が、かなり大きくなってきているのです。
 そのときに、我々としては使っていただきたいのですが、今の運営形態でいくと、どうしても、共用ビームラインのサポートに匹敵するぐらいのサポートが、なかなかできない。ビームライン1本当たり、せいぜい一人か二人ぐらいという状況でやっているので、やはり、大勢の方々に使っていただくためには、それなりのサポート体制をちゃんと作らないといけないのですが、そのことが、今、非常にやりにくいというか、できない状況になっているので、その辺りは、やはり運用形態を、そういうビームタイムを共用促進法でサポートするというような考え方に。新しくビームラインを作って、人も手当てしてやっていくことは、すごくお金が掛かりますから、ビームタイムをサポートするという考え方だと、既存の異なる運営形態のビームラインに対しても、それは適用できるのではないかと、我々は考えています。
【雨宮主査】  どうもありがとうございます。
【小杉主査代理】  先ほどの御説明にあった、一つの課題で複数のビームラインを横断的に利用する制度というのは、なかなか良いと思うのですけど、今、山田先生が言われたように、複数のビームラインといっても、それぞれ帰属が違っていると、そんな制度は実現しないので、J-PARCのやりにくい部分が回避できるような方策も含めて、カテゴリーが違うビームラインでも横断的に使えるような制度を、是非、実現していただくと良いかと思います。
【内海委員】  よろしいですか。
【雨宮主査】  どうぞ。
【内海委員】  山田先生と小杉先生からの御発言のとおり、実は、非常に強い問題意識を持っています。
 こういう場で申し上げることは適切でないかもしれませんが、いわゆる共用促進法と大学共同利用の制度というところが、両方ともかなり制度疲労を起こしかけてきているところがあり、新しい高輝度3GeV放射光源で、それに代わるあるいは両者を包含した新しいものを構築できれば、それは非常にすばらしいことだと思っています。
 山田先生が、今までも、この委員会で、それに近いような発言をされているということは意識しています。現段階の骨子案にはそこまで踏み込んで、なかなか書けないという事情がございます。
 ここには、専用ビームラインのところで、その中で少し長く書かせていただいているのですけれども、「専用ビームラインの設置の在り方については、大学等の学術コミュニティの今後の検討進捗にも期待する」という書きぶりにしてあります。少し制度に踏み込んだところ、あるいは、各大学やKEKと一緒になって、今の制度や組織の壁を乗り越えられることができれば良いと思っています。
 ただ、我々量研に今、与えられているバウンダリー・コンディションの中では、難しいところもございますので、これからこの委員会の支援も頂いて、そういう方向に議論を進めていくということができれば有り難いと考えている次第です。
【雨宮主査】  確かに、資料1の3ページの下から2番目のポツにありますように、専用ビームラインの設置の在り方について、大学等の学術コミュニティの今後の検討進捗は非常に重要だと思います。
 たまたまというか、小杉委員、この10月から放射光学会の会長ですので、放射光コミュニティの中で、そういう議論をしていただくことは、重要かと思います。
 専用ビームラインは非常に重要であると同時に、専用ビームラインの難しいところは、一つの課題で、複数のビームラインを横断的に利用することがなじまないということで、そこをどう両立させるかという問題、新たな課題ですけれども、これがうまくいくと、非常に良い。
 共用ビームラインと専用ビームラインそれぞれの良さを活(い)かしながら、横断的にできると、良い形になるのではないかと思います。越えなければならないハードルがいろいろあるかと思いますが、是非この点は議論すべきではないかと改めて感じます。
 他にいかがでしょうか。
 高原委員。
【高原委員】  先ほど雨宮先生が言われていた世界トップレベルの云々(うんぬん)で、体制を整備するというところですけれども、やはり、インハウススタッフだけでは、なかなか新しいサイエンスは実施するのが難しく、現状のいろいろなビームラインの学術とインハウススタッフの関係というのでは、なかなかうまく強い連携・協力というのはできないと思います。
 今、大学関係でも、クロスアポなどを積極的に導入するということが言われていますが、現実には、余り行われていないわけです。是非そういう制度をうまく利用して、これは国内だけではなくて、国外の方々も、そういった形で引っ張ってきて、是非、強いタッグを作るという体制整備を行っていくと、今までと違う形での運営ができるのではないかと思います。
 こちらのところで気になったことは、人材育成のところで、「合わせて」と書いてあるので、これは、重要性を強調するためには、独立させた方が、書き方としては良いような気もします。
 以上でございます。
【雨宮主査】  どうもありがとうございます。
 他にいかがでしょうか。
【岸本委員】  よろしいですか。
【雨宮主査】  岸本委員。
【岸本委員】  この今回おまとめいただきました骨子(案)の中で、官・民・地域の役割分担というところで、今のところ見えてきていることが、建設当初の資金の面。本当に重要なことは、施設が実際にできた後、永続的に発展活用されていくということが、非常に重要となってきます。そういった面で言いますと、例えば、建設後の企業からの資金投入の仕方は、恐らく、利用料金ということでしかないというふうに見えています。
 この委員会でも議論がありましたけれども、産業界はとにかく軟X線のところは経験が不足しており、ここに書かれているようなコーディネーターとかコンシェルジュ、あるいはテクニカルスタッフの方々の役割が非常に重要となってくると思います。
 例えば、そういうところに、企業から何らか資金が投入されるような仕組みだとか、そうすることによって、産業と学術、あるいはその施設といったところが、共にスパイラルアップしていくような仕組みも、ちょっと議論の中にも入れた方が良いのかなと。できてから、そういうことをやろうと思うと、なかなか進みにくいところもございますので、そういった視点でも入れていただければ良いのではないかなと思いました。
【雨宮主査】  どうもありがとうございます。
 他にいかがでしょうか。そろそろ時間ですが、よろしいでしょうか。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。
 整備運用計画の策定に向けて検討すべき事項のうち、人材育成の重要性は、今まで何回も指摘されてきましたが、もう少し深掘りしたいと思っています。
 今日は近藤委員、石坂委員から、放射光を利用した学生の教育について、御自身の研究の状況等も御紹介いただきながら、話題提供をしていただければと思います。
 各委員から御説明の後、資料について、御質問があれば、御質問を頂いて、その後、まとめて、議論の時間を少し持てればと思います。
 それでは、近藤委員から御説明をお願いいたします。
【近藤委員】  ありがとうございます。慶應義塾大学の近藤でございます。教育現場での放射光利用ということで、お話をさせていただきます。着席のまま失礼いたします。
 学生の放射光利用、放射光施設の利用の形態としては、ここ(1ページ)に挙げましたような三つの在り方があるかと思っております。
 一つ目は、試料を持ち込んで、測定・解析するということが、一番普通の通常の使い方かと思います。
 二つ目は、共同研究者に試料を渡して、測定してもらい、解析もしてもらって、結果を受け取って、それを自分の研究に活(い)かす依頼型の使い方ということになるかと思います。
 三つ目は、それとは逆に、放射光施設にかなり長い期間、滞在して、装置の開発をしながら測定をし、そして、その結果を、また開発にフィードバックして、研究を進めていくという、開発を軸とした利用形態というものがあるかと思います。私どもの研究室は、この三つ目のスタイルで、利用をさせていただいているところであります。
 具体的にどういうような装置を開発しながら、放射光施設を利用させていただいているかということを、簡単にまとめさせていただいたものが、次のスライド(2ページ)です。ちょっと小さくて恐縮ですけれども、フォトンファクトリーのBL13Bで、準大気圧X線光電子分光装置というものを立ち上げながら、触媒作動時のXPS(X線光電子分光)のオペランド測定をしたり、あるいは、フォトンファクトリーのBL11BあるいはBL7Aで、テンダー領域あるいは軟X線領域の電気化学XAFS(X線吸収微細構造)装置を立ち上げて、電気化学制御下でのオペランド測定を行ったりしております。
 こういった装置を使った立ち上げを含んだ利用の仕方でございますと、通常の測定に加えまして、装置の起動、調整、メンテナンス、改造、あるいは、オフラインでの実験が、研究活動の中に加わってくるということになります。
 また、それに加えまして、ビームラインに設置されております最先端の装置を使わせていただくということもさせていただいております。具体的には、UVSORのBL3U、透過型の軟X線電気化学XAFS装置、これは小杉先生のステーションですけれども、こちらに試料を持って伺って、電気化学制御下でのオペランド測定などもさせていただいております。
 こういった装置を開発しながら、あるいは、使わせていただきながら、具体的にどういうふうにビームタイムを使っているかということを、学生ごとの年間利用ビームタイムという形で、まとめさせていただきましたものが、次の表(3ページ)でございます。
 御覧いただきますと、例えば、一番上の博士課程1年生の学生ですと、アンジュレータのビームラインを使って、実験をしておりますけれども、8時間が1シフトで、掛ける10ということですから、年間で、大体3日ちょっとのビームタイムを使って、博士の研究をしているということでございます。これは、必ずしも多いということではないと感じております。
 二人目の学生は、開発を主にしております。その関係で、アンジュレータのビームラインだけではなくて、ベンディングのビームラインも使って、開発を進めているというところです。
 次の修士課程2年の学生は、これは、UVSORのビームラインを使わせていただいている関係で、他の学生に比べて、比較的恵まれた状況にありますけれども、その下の修士課程の学生ですと、1年間で8時間掛ける7とか、9とか、要するに、3日か3日以内ぐらいの感じで、マシンタイムを使っているということで、一番下に書いてございますけれども、大学院生一人当たり、年間でアンジュレータのビームライン、競争力のあるビームラインを使えるビームタイムが、平均して、大体73時間、約3日ということでありまして、これは、なかなか厳しい状況であると感じております。そのために、ベンディング・マグネットのビームラインも使わせていただいて、何とか開発を進めているところでございます。
 これは私どもの研究室の例ですけれども、私どもの研究室だけが特別なのかと感じまして、他の研究室、これは物理系の研究室の先生にお尋ねいたしまして、先生の研究室の学生にビームタイム状況を教えていただいたものを、まとめたものでございます(4ページ)。この先生の研究室は、やはり、装置の開発を軸として、放射光を利用されている研究室になります。
 博士課程3年の学生、一番上にございますけれども、この方は、XFEL(X線自由電子レーザー)を使っている関係で、その予備実験として、他の施設の放射光ビームラインを使っているというところで、ちょっと特殊な立場で使われているようです。次の博士課程3年の方、24時間掛ける10日間。その下の方々ですと、合わせて4日間、6日間、7日間ということで、1年間で、1週間ないぐらいのマシンタイムを使っていらっしゃる。
 私どもの研究室に比べて、倍ぐらいのアンジュレータのビームライン利用時間を持っていらっしゃるということですが、今、放射光施設で30代、40代で活躍している、実質的に引っ張っている方々が、学生の頃に使っていたビームタイムというのは、恐らく、年間で2週間、3週間、あるいは、それ以上といった状況であったかと思いますので、それに比べますと、かなり少なくなっている、2分の1とか、3分の1ぐらいになっているという状況でありまして、そういうこともあって、こちらの研究室では、海外の放射光施設も使われているというような状況かと思っております。
 実際に、こういうビームタイムをどんなふうに使っているかということをまとめたものがこれ(5ページ)でございますけれども、これは、私どもの研究室の例です。博士課程の学生で、1年間で、放射光施設に滞在している平均滞在日数が約100日です。
 修士課程の学生では40日ぐらい。かなり長い期間、放射光施設に滞在しているのですけれども、先ほども申しましたように、実際にビームタイムが配分されているのは、1年で、修士課程の学生ですと、数日ぐらいというところです。滞在日数の割に、実際に使われているビームタイムは、なかなか少ないという状況にあります。
 それ以外の時間をどう過ごしているか、予備実験をしたり、実験の準備をしたり、あるいは、研究室内の他の学生の実験を支援したり、あるいは、研究室の外の共同研究者の実験支援をしたり、装置のメンテナンスや開発・改造、あるいは、サマースクール等でのTA(ティーチング・アシスタント)等をしているということです。
 こういったものを見ていて、注意しなければいけない点として、やはり、滞在期間が長い割に、実際に自分自身の研究に使えるビームタイムは限られており、それは、やはり失敗が許されないというような状況になってございまして、十分な準備とスタッフのサポートが必要ということになります。
 そうしますと、自分自身のアイデアで、自発的にその研究を展開するという余地は、なかなかないところでございまして、そういったクリエイティビティを高めるような研究を、学生に進めてもらうためには、ビームタイムの増加が必要だろうと感じております。
 また、こちらにもございましたように、装置のメンテナンスあるいは共同研究者の実験支援に、学生がかなりコミットをしているようなところですけれども、それが、学生の負担にならずに、むしろポジティブに、意欲的に取り組んでもらえるような工夫が必要かと考えております。
 これは、私どもの研究室のことですが、それをより広げて、学生の利用環境について、考えておいた方が良いと思われることを、少し挙げておりますものが、このスライド(6ページ)になります。
 繰り返しになりますけれども、学生自身の研究に使えるビームタイムを増やすということが、学生の主体的研究活動を活性化するのに必要だと思います。そのことがまた、放射光施設を利用する学生の教育効果を上げる上で、重要だと思っております。
 また、いろいろな方にお聞きしますと、ビームタイムにおいて、学生が実際に自分の手を動かして、測定する機会が全般的に減少しているという状況があるということでありまして、放射光を利用することによる教育効果を上げるためには、やはり、何らか工夫が必要かと思います。
 また、装置のメンテナンスや共同利用者の実験支援には、当然、装置の理解を深めたり、あるいは、研究、実験の力量を高めたりするというメリットがあるのですが、それを有効に進めるために、本人にとって、ポジティブに、前向きに進められるような環境を整えるということが大事かと考えております。
 例えばですけれども、ビームライン担当者のサポートとして、RA(リサーチ・アシスタント)やTAという形で、参画できるようにして、研究経験や実験経験を増やすとともに、経済的な支援も受けられるようにするということもあろうかと思います。
 また、最先端のビームラインやエンドステーションの開発が行われる際に、その場に学生が関わるということは、非常に貴重な機会を与える良い機会になると思いますので、なるべく多くの学生が、こういう機会に積極的に参加できるシステム、インターンシップなども考えられると思いますけれども、そういった仕組みを作ることが大事かなと考えております。
 長期間にわたって、放射光施設に滞在して研究したいという希望を持っている学生はおります。そういった学生の研究活動を活発に支援する上で、研究指導体制は大事かと思います。放射光施設に責任を持って指導する指導者がいて、そして、大学と協力しながら、しっかりとした指導体制で、相補的な教育ができるということが望ましいかと感じております。
 ここに挙げましたようなことを推し進めていくためには、そのベースに、学生がアクセスできるビームタイムが十分に確保されるということが大事かと思います。その意味で、安定的な運転時間の確保ということが、非常に大事になってくるかと考えております。
 以上です。
【雨宮主査】  どうもありがとうございました。引き続き、石坂委員から御説明を伺った後で、まとめて時間をとりたいと思います。
 石坂委員、お願いいたします。
【石坂委員】  東京大学の石坂です。
 大学における研究教育と放射光利用につきまして、実際の教育現場でどのように学生が施設や装置を利用しているか、どれぐらいのビームタイムを使っているかということを話してほしいということでした。飽くまでとてもローカルな一研究室の例ですが、お話ししたいと思います。
 当研究室は先ほどの近藤先生のお話でいうと、一番目の使い方をしている研究室でして、試料を持ち込んで自分で測定し、解析をしながら研究を進め論文を書いていく、ユーザーとして放射光を使っています。研究室運営としては、私は2010年に独立して研究室を作ったところで、基本的には東京大学(本郷キャンパス)の研究室で、光電子分光装置や時間分解電子線回折装置を立ち上げて実験しております。これらの装置は学生と一緒に、自分たちで設計して組み立てておりまして、学生のオン・ザ・ジョブ・トレーニングは基本的には本郷での装置開発や実験で行っています。
 特にこちらの光電子分光(1ページ目の左写真)を用いていろいろな物質の電子構造を測定するのですが、その際に放射光がとても重要であるというテーマが多く、放射光をユーザーとして使った実験も定期的に行っています。
 あとは、2回だけですが、こちらの、非平衡状態の格子ダイナミクスの観測というテーマで、SACLAも利用させていただいたことがあります。
 次のページ(2ページ)、具体的にどういった施設・装置を利用しているかについてです。この数字は適当な概算です。学生は今9人いますが、全体で平均すると半分ぐらいの時間は本郷で実験や装置開発をやっていて、残り半分で主に高エネ研や、物性研(東京大学物性研究所)のLASOR、広島大学のHiSOR、SPring-8、SACLAといったところを利用させていただいています。
 学外実験で一番多いのが高エネ研のフォトンファクトリーで、具体的にはBL28でVUV(真空紫外線)の角度分解光電子分光を行っています。去年は結構多い方で、学生全員で年間12日間ぐらい頂いています。あとはBL2の軟X線とVUVが両方併用できる光電子分光装置も、去年は結構多くて5日間ほど頂きました。
 広島大学は、スピン分解光電子分光のすぐれた装置がありますので、それを使わせていただいております。去年は、これも多い方ですが、11時間のビームを8日間分です。
 高エネ研とHiSORにはコンスタントに課題申請を出し続けて使わせていただいています。基本的には、スタッフと学生が3、4人ぐらいで行って、1日ぐらいで交代しながら測定するという感じになっています。
 SPring-8は、軟X線、光電子分光、XAS(X線吸収分光)のため、これも大体2日単位で何回か使わせていただきました。
 SACLAは、フェムト秒時間分解X線回折というかなり難しい実験だったのですが、これは何年か前に2回ほど、3研究室合同でかなり大きなプロジェクトとして行った形になります。
 うちの研究室では、学生が各自一つから二つ、人によっては三つぐらいのテーマを同時に進めており、基本的には最初から最後まで一人で動く形で研究しています。本郷でまず実験をして、そこで真空技術や実験方法を学んでから、学外施設に行くようにしています。個人差が大変大きいですが、私の感覚からすると、本当に初めての実験系に行く場合は早くて、2、3日目から怖がらずにある程度スムーズに作業ができるようになる。
 試料を導入してビームを通して測って、というような実験ルーチンについては、これも個人差が大きいのですが、大体3回目のビームタイムからは、一人でできるような感じです。例えば、私が会議で離れる間でも任せられるというのは、大体3回目からかなという気がします。
 一方ヘビーユーザーになってくると、非常にまれですが、学生が貢献できることもあります。例えば、あるビームラインでは自動測定システムがなく学生が徹夜で張り付いて角度を1度ずつ回して測るということをやっていたのですが、とても制御系に強い学生がいて、共用の自動測定システムを作って導入した、という例もあります。
 基本的には慣れるまでに時間が掛かるので、ビームタイムが1日しかないとか、次がいつもらえるか分からないとか、そういうときは時間を優先して、やはりスタッフが中心で進めることになります。研究成果と教育効果を秤(はかり)に掛けたとき、どうしてもスタッフが進めてしまい、学生は夜番や手伝いという補助的な作業になってしまうということがあり、人材育成という点では課題だと思います。
 もう一つの課題は、これはユーザーとして使っている限りは仕方ないのですが、やはり装置の運営に必要となる真のスキルは施設に常駐して数々のトラブル対処をするとか、理想的には開発からきちんと加わるとか、そういうことをしない限りは身に付かないと思います。
 もう一つこれも難しい課題ですが、放射光を使うこと、更に言うと運営することに対して、学生の関心やモチベーションは必ずしも高くないように感じます。もちろん、興味を持つ学生もいるのですけど、総じて大変そうだと、敬遠する学生も多いという点があります。答えは持っていないのですが、問題だと思っています。
 最後も答えがないことで申し訳ないのですが、学生やドクター取りたての若い研究者が、例えば放射光施設の研究員やスタッフになる、というキャリアパスは本当はたくさんあると思うのですが、必ずしも私の周辺の学生たちがそれをそれほど魅力的と思わないというような現状は、ちょっと問題だと思っています。
 まずは、魅力的な施設・装置であることということが重要であると思っています。ここで魅力的というのは複合要素なのですが、一番大事なことは、単純に世界的な競争力だと思っています。そこに行けば、勝てる実験データがとれる。あそこにいたら、周囲に優秀な人がいて、新しいアイデアやコラボレーションでどんどん新しいことができる。そういうようなことが、とにかく一番の魅力だなと思います。
 それに掛け算する形で、使いやすさということがあるかと思います。きちんとビームタイムがもらえる。例えばそこでビームライン・スタッフをやるのであれば、そこで管理するだけではなくて、きちんと自分の研究時間がとれる。そういうことが大事だと思っています。
 もちろん、ユーザー側としては、サポートや連携をきっちりやってもらって、研究成果が良く出るようになるということは、大事だと思います。
 あとは、マイナーなことなのですが、生活的な不便さは減点方式で、学生にとっての魅力を少しずつ下げるように思います。具体的には、いつ行っても宿がとれないとか、夜8時半ぐらいまで一生懸命実験してしまうともう御飯を食べる場所がないとか、そういうことは、地味に減点方式で効くような感じはあります。でも基本的には、前二つの競争力と使いやすさの掛け算が大事だと思っていて、ここがすばらしければ、多少の不便は我慢できるものだとも思います。
 今後の課題をまとめると、まず一つはとにかく、高い競争力を維持できるような仕組み。そこに行くと本当にすばらしい研究ができるという状況が最初だけでなく維持できること。
 もう一つは、先ほどから出ていますが、十分なビームタイム。特に学生が自主的に研究を進めることにより育つ、という意味では十分なビームタイムが大事だと思っています。
 あとは、サポート、連携、人材交流。いろいろな立場の人がうまく協力してできるようなシステムがあると良いと思います。
 最後にとても小さな具体例なのですが、内容がしっかりしたセミナーやインターンシップは学生が自発的に参加していて有効だと感じています。最近うちの学生が高エネ研の群論セミナー(対称性・群論トレーニングコース)という、1週間の泊まり込みセミナーに行っており、どうも内容がとても良いらしくて、一人行ったら、それを聞いて、もう一人行って、というようなことが続いています。すぐ人材育成に効果があるというわけではないですが、施設への垣根が低くなる感じがあるようで、有効だと思いました。
 まとまりがないのですが、一研究室の例としてこのような現状になっています。
 以上です。
【雨宮主査】  ありがとうございました。
 今の近藤委員、石坂委員の御説明を踏まえて、骨子(案)のブラッシュアップという視点から、具体的に御議論いただければと思います。
 安定したビームタイムが重要であるという点は、お二人の委員で共通していたと思います。また、石坂委員が言われた世界的な競争力との掛け算ということに、非常に共感します。
 骨子(案)の人材育成に関してブラッシュアップすることが必要な点について、何か御意見がありましたら。
【高橋委員】  一つだけ良いですか。
【雨宮主査】  どうぞ。
【高橋委員】  すみません、近藤先生のお話の中で、例えば、ビームライン担当者としてやりながら、経済的支援も受けられるようにというお話があったと思うのですけれども、そういった形で、利用料というか、サポートに対する対価としてお支払いする分が、そういったサポートのお手伝いをしている学生のところにも還元できるような仕組みが、何かしらあると良いのかなと、理想的には感じました。
【近藤委員】  先ほど石坂先生のお話にもありましたように、長期間滞在すると、デメリットもいっぱいございまして、例えば、アルバイトができないとか、経済的に困ることもございます。
 そういうところも考えますと、やはり、自分のためでもあるのですけれども、放射光施設でやることが、経済的にも支援していただけるというような仕組みがあって、学生をサポートすることが、可能になればと思っています。
 その中で、例えば、企業の方の研究・実験をお手伝いさせていただいて、何らかの本人への給料の支援を頂くということは、あることかなとは思います。
【雨宮主査】  はい。
【金子委員】  今のお話にちょっとつながりますが、代行測定の単語が、先ほどの骨子の中にも出てきたかと思いますが、やはり、ロケーション等にもよるかもしれませんが、産業界、ルーチンワークになってくると、できれば、人を行かすよりは、サンプルを送って代行測定をしてほしいというニーズが増えてまいります。
 ですから、そういう場合に、今、言われたような学生たちに協力いただくという形が、もし整うのであれば、それは、産にとっても、学生などの経済的なことに対しても、うまくいく一つの方法ではないかなと考えます。
【雨宮主査】  他にいかがでしょうか。
 効率と人材育成というのは、必ずしも両立しないことがあって、例えば、どういうときに人材が一番育つかというと、トラブルシューティングです。順調に物事がルンルンといっているときというのは、ほとんど育たないのです。そういう意味では、やはり、長期的な視点と短期的な視点とのバランスが重要ではないかと思います。
 こういう施設を作り、運営する上でも、そういう視点をうまくバランスしていくことが重要かと思います。
 高原委員、どうぞ。
【高原委員】  人材育成と産学連携を掛け合わせて考えたときに、学生たちが、産学連携に従事した場合の機密保持です。これは、人材育成から離れますけれども、産学連携の研究に、ある程度、従事しているときに、いつも話題に出てくるのは、この内容は、論文発表できるかどうかというところで、その辺りは、学生をうまく、産学連携の研究に従事させるときには、一番のキーポイントになる。
 会社にサンプルを持ってきていただけるときに、論文として公開できるような内容で、最先端のところまで考えておいていただくと、学生にとっても、一緒に仕事をやることが励みになるので、そういったことをうまく活用していくと、産業界でも使える人材を育成できるというところで、メリットは出てくるかと思います。
 以上でございます。
【雨宮主査】  よろしいでしょうか。大体、予定の時間になりました。
 今日、御議論いただいた、御発表いただいたことを、骨子(案)の人材育成という面のブラッシュアップに生かしていただければと思います。どうもありがとうございました。
 以上で、本日の議題は終了いたしますが、事務局から何か連絡事項がありましたら、お願いいたします。
【大榊専門職】  ありがとうございました。
 次回、第11回量子ビーム利用推進小委員会の日程につきましては、改めて御連絡させていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
不要な資料やドッチファイルについては、机上に置いたままにしていただければと思います。
 以上でございます。
【雨宮主査】  以上をもちまして、第10回量子ビーム利用推進小委員会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。
―― 了 ――

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