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量子科学技術委員会(第9期~)(第13回) 議事録

1.日時

平成29年6月30日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省15階 科学技術・学術政策局会議室1

3.議題

  1. ロードマップ検討について(1.量子情報処理(主に量子シミュレータ・量子コンピュータ)、2.量子計測・センシング、3.極短パルスレーザー、4.次世代レーザー加工)
  2. 推進方策の検討について

4.出席者

委員

雨宮委員、飯田委員、岩井委員、岩本委員、上田委員、城石委員、根本委員、早瀬委員、美濃島委員、湯本委員

文部科学省

上田研究開発基盤課量子研究推進室長、吉川研究開発基盤課課長補佐、橋本研究開発基盤課量子研究推進室室長補佐

5.議事録

【雨宮主査】  それでは、定刻になりましたので、第13回量子科学技術委員会を開催いたします。
 本日は、お忙しい中、御出席いただきありがとうございます。
 本日は10名の委員に御出席いただいています。大森委員、平野委員は御欠席です。
 今日の議題は、1番目が「ロードマップ検討について」、2つ目が「推進方策の検討について」、この2つです。
 それでは、事務局より配付資料の確認等お願いします。
【吉川補佐】  おはようございます。事務局の吉川です。それでは、お手元の資料を御確認させてください。議事次第にございますように、資料の1-1から資料2-2、参考資料は1と2を机上に配付しております。
 資料等に不備がございましたら、事務局まで御連絡ください。よろしいでしょうか。
【雨宮主査】  よろしいでしょうか。
 それでは、議題1に入りたいと思います。ロードマップ検討について。これについて、事務局の方から簡単に御説明をお願いします。
【上田室長】  事務局です。前回5月の委員会で、4つの分野に関するロードマップ検討グループの進捗の御報告を頂きまして、委員の皆様からも御意見を頂きました。その後も各グループにおかれましては精力的に御検討を重ねていただいて、案としてまとめていただきましたので、本日は各グループのリエゾンから御報告をいただければと思います。なお、各グループの開催結果概要は、参考資料2に付けてございます。
 それでは、御報告をどうぞよろしくお願いします。
【雨宮主査】  それでは、4つの項目について、ロードマップ検討グループの検討報告を整理していただきますが、説明を10分程度で、その後質疑を5分ないし10分という形で進めていきたいと思います。また4項目が終わった後に、4項目を俯瞰した形で質疑をまた少しとるという形で進めていきたいと思います。
 ここに書いてある順番で、量子情報処理、計測・センシング、極短パルスレーザー、次世代レーザー加工の順にお願いしたいと思います。
 それでは、量子情報処理に係るロードマップ検討グループのリエゾンである根本委員に、まずお願いいたします。
【根本委員】  それでは、量子情報処理のロードマップ検討グループの御報告をいたします。
 会合は2回行いまして、ハードウェアの技術要素から、5名の有識者からロードマップの素案を頂いて、それをもとに会合の方で議論をして、事務局がそれをもとに作成したロードマップを用いてもう一度議論をしていただきました。
 全体的なコメントとしては、ロードマップの位置付けとして、まず我が国におけるベストケースシナリオを示すということで、それを基準にしたロードマップを示していくということで行いました。やはり一番重要なところというのが、社会的・経済的なインパクト、それから科学技術インパクトが大切だろうというところで、そこからさかのぼってロードマップを見ていけるようなものにしていくのがふさわしいであろうということで、また分かりやすさということも非常に必要であるということも、全体的な議論になりました。
 最初、これは主にシミュレーションとなっていたのが、今、案では、「主に量子シミュレータ・量子コンピュータ」となっているんですけれども、やはり海外の流れを見ていて、そこから見ると、量子シミュレータに限ったということが余りに強調され過ぎてしまうと、日本は量子コンピュータ研究をやらないのかというように逆に誤解を受けるようなメッセージになってしまうのはよくないだろうということで、今の案としては、主に量子シミュレータ・量子コンピュータに係るロードマップというふうになっております。
 具体的には、EUのクアンタムマニフェストが1つの基準となっているであろうという認識から、そこから見て日本のロードマップとしての妥当性、それからアルゴリズムなど、物理以外の量子情報的な情報処理、技術的なところからの意見というものを加えた方がいいだろうということ。それから、アプリケーションとして、ほかの物理分野の素粒子や宇宙物理などへのアプリケーションというものもあった方がいいだろうというふうなところで、具体的なコメントをもとに、最初のロードマップ案に追記した形で今の案というものができております。
 書き方なんですけれども、ちょっと流れを見やすくするために色付けをして、あと特に社会的・経済的インパクトについては、それが実証されるにはある程度の時間幅があるだろうというところで、それが分かるような書き方がよろしいんじゃないかということで、このような形にまとめております。
 実際にこのロードマップ案を見ていただいて、3つの大きな構成要素があります。1つには、当然時間軸に沿って、横への流れですね。現在のところからイオントラップ、冷却原子で見てみますと、原子を捕捉したという現在の状況から、不規則な電子配置というようなものもできるようなものに関わるような技術ができてくると。それが平衡状態であったものから非平衡状態へ移っていくというような、そういうふうに時間軸の流れと、下から上へ上がっていく技術、研究の発展、進展からインパクトへの道筋というものが、下から上へのつながりですね。例えば、先ほどのイオントラップ、冷却原子の話ですと、研究の発展のところでは、不規則な原子配置というような書き方であったのが、応用上重要な物質へという、物質が実際に模擬・計測が可能になるというような書き方に、上への流れという、インパクトへの流れというような。
 それから、最後は斜め上への流れですね。一番右上にある社会・経済インパクト、これは経済的なインパクトなので、全体に共通したものが多いということで大体黒字になっているんですけれども、ここへ向かって全体が流れていくような作りになっていると、そんなところでよろしいかと思います。
【雨宮主査】  細かい字でたくさん書いてありますが、大きな流れ、この色と方向における見方という形、それから、分かりやすさを強調したということで、今、根本委員から御説明がありましたが、これについて御質問とかコメント等あればよろしくお願いします。
【城石委員】  よろしいですか。非常に分かりやすくなったと思います。ただ、社会インパクトと言ったとき、後で文章でも書いていただいていますけれども、Society 5.0とか、そういう社会課題がありますよね。ここのところに、これはどちらかというと、技術の色のご説明なんですけれども、ここにそういう社会課題があって、それを例えば、組合せ最適化でもいいんですが、何かそういう問題があって、それを解くために量子が必要でこういうふうになっていく、という絵になっていると、社会課題とのリンクがもうちょっとつかないかな、と思いました。その辺はいかがでしょうか。
【根本委員】  それは確かにそうなんですけれども。1つ悩ましい問題があって、社会的な課題というのは、非常に情報技術と多く結び付いているんですけれども、やはり量子シミュレーション・量子コンピュータというのはハードウェアの最先端のところが大きく関わっている研究分野で、それを両方書くというのはなかなか難しいし、フォーカスとして見えにくくなってしまうんじゃないかという考え方もあるかと思うんですね。
 検討するべきだとは思うんですけれども、どこまで社会的な実際に言われている課題とリンクして書けるのかというのは、なかなかそういう意味で、そこにつながるとすると、もっと違う側面といいますか、量子シミュレーション・量子コンピュータの違う側面の技術はどうなんだというような議論も出てくる可能性はあるので、示唆するという形で、こっちに関わっているというような、示唆するという形だと可能かなという気はするんですけれども、直接的にというのはなかなかちょっと難しいかなというふうに、私は個人的には考えています。
【城石委員】  例えば、SDGsがありますけれども、これもゴール、目標を書いているだけなんですよね。それと同じように、社会が抱えている課題で、こういうふうになっていくよというのが何か書いてあって、そこに量子シミュレータなりコンピュータがあると、物すごくいい社会に向かったサイエンスのサポートが得られるよ、という、何かそんなことが書いてあると解り易いかな、と思いました。少し御検討をお願いできないでしょうか。
【根本委員】  なるほど。それは多分ほかのロードマップとの絡みもあると思うので、事務局からお願いします。
【上田室長】  物理的に2回会合を開催していただき、その間も随分とメールでも議論していただいて、要素は出てきていると思っています。あとは事務局も悩みながら、どのような表現をしていくかを考えていたのですが、社会・経済インパクトの上の方に、現在の社会課題とか社会目標を単語ベースで書いていくということは考えられます。例えば、IoT社会やSociety 5.0、あるいは高度な材料開発等のような分かりやすい文言を単語ベースで上に書いて、最初パッと見たときに社会課題がまずあるのだなと思っていただくということで、つながりをつけるということは可能かもしれません。
【城石委員】  そうですね。
【上田室長】  これは全ての分野でそういう作業ができるのかもしれません。
【城石委員】  もしもそういうことをやっていただければ、そこに書いてある文言と、ここに書いてある、例えば量子デジタル、量子コンピュータとか、それらがうまくつながり、また、物性の予測とかそういうのが大事だというのが書いてあると、リンクされているようなイメージになりますよね。
【根本委員】  例えばなんですけれども、ここに書き込むのは結構スペース的には難しいと思うんですけれども……。
【城石委員】  それはありますね。
【根本委員】  4枚全体として、社会課題に対してそれぞれがどういうインパクトを持ち得るのかというような1つの図と、各ロードマップという作りも可能かなという気がします。
【城石委員】  すばらしいですね。
【雨宮主査】  ほかにいかがでしょうか。
【岩本委員】  細かいことというかあれなんですけれども、汎用デジタル量子コンピュータと聞くと、汎用コンピュータみたいに最初思ってしまって、いわゆる普通のコンピュータを量子でやるのかということに思われるような気がしたんですけれども。この汎用デジタルコンピュータで書かれているのはどういういうものを指していっているか、予想してと言うべきかもしれませんけれども。
【根本委員】  量子コンピュータ・量子シミュレータをどう呼ぶのかというので、様々な呼び方がどうしても出てきてしまうんですね。実際に定義もそんなに一様に決まっていなくて、それが分野によってもちょっとずつ違ったりするので、それをどうするかというところで、まず大きく分けて量子シミュレータと量子コンピュータに分けて、量子コンピュータなんですけれども、超伝導ビット、量子ドット、光というところは、量子コンピュータの基礎技術的なところを追っていくような流れになっているわけなんですけれども、それはもちろんシミュレータとして使うというようなアプリケーションというふうにあって、ただそれは、量子コンピュータへ最も近くつながっていくような技術的な道筋であるというところを出すために、汎用デジタル量子コンピュータという書き方になっているんだと思うんですけれども、どうでしょうかね。汎用大規模量子コンピュータとかの方がいいとかという。
【岩本委員】  いやいや、何か一般の方というか、ちょっと分野の違う知らない方が見ると、普通のコンピュータなのかという気もしないでもないですよね。
【根本委員】  ラップトップだと思われちゃうと困りますよねという、確かに。
【岩本委員】  そうそう。
【根本委員】  ただ、一応今ないものなので、なかなか名前をつけにくいとは思うんですね。だから、汎用というのは、一番内容的には合っているのかなという気はしています。
【岩本委員】  分かりました。
【上田室長】  確かに汎用デジタル量子コンピュータへ発展するという文言の下に、括弧書きで技術のことは書いてありますが、むしろこの括弧書きにこれで何ができるかということを書くとより分かりやすくなるかもと、御議論を聞いていて思いました。
【城石委員】  もう一つよろしいですか。そういう意味で、まさに量子ビットが一番右下ですと500から1,000個と書いてありますね。これってどういう意味があるんだろうか、500とか1,000ぐらい簡単にできるんじゃないだろうか、と一般の方は思わないだろうか、と思うんです。どれだけすごいのかということは、今の量子コンピュータということとが多分関連していて、これって何だろうということを、その凄さが一言で伝わるように書ければ有り難いな、と思ったんです。
【雨宮主査】  どうでしょう。
【根本委員】  大変鋭い御意見なんですけれども。実際にワーキンググループの会合でもそこはすごく議論になって、何量子ビットまでというふうに言うのかということはすごく議論になって。数で出したからには達成度も明らかに見えてしまうので、そこは専門家の方々も、ちょっとかなり熱く議論はあったんですけれども。とはいえ、やっぱり世界的な進展度合いから見て、日本が伍して発展を期待しているということは、やはり示すべきであろうという視点もあってですね。そうすると、このぐらいの数の量子ビットができてくるというふうに期待するのがふさわしいのではないかということなんですね。それは技術の側の話なんですけれども。
 それがインパクトとしてどうなのかといいますと、50個の量子ビットが本当にきちんと制御できるとすると、それでここに書いてあるような高度な計算が始まるというふうになっていますけれども、たとえばスパコンでは難しいようなものも少しずつできるようになってくると。それも物理系を操作して行う演算だけで面白いものが出てくるというベンチマークとして、50ぐらいというのがひとつの目安として言われているんですね。
 じゃあ1,000個ってどうなのかという意味ですけれども、1,000個集まってくると、エラーコレクションとの兼ね合いが非常に微妙な数なんですね。ここから大型の量子コンピュータになるというのは、非常にまだまだ大きなジャンプがあって、1,000個できても全然量子コンピュータはできないので、汎用デジタル量子コンピュータはできないので、そこにはすごく大きなジャンプがあって、ここはもう一つ境目といいますか、いかにどういった技術をインテグレートして量子コンピュータに発展させるかという1つの境目になっているというふうに考えると、大体50、100、1,000というふうに進んでいくと。ただ、本当はそのときに1,000個だったらこういう技術というようなものがあるといいと思うんですけれども、ちょっと今、そこは世界的にもなかなか分かってないところが多くて、それならではの技術というのを今、ロードマップに書き込むというのはちょっと難しいんじゃないかなと。
【上田室長】  事務局の理解を少し述べさせてもらうと、この10年までで、超伝導ビットに関しては100個程度が可能になると。これは上に書いてありますように、量子優位性の実現が始まるということですが、そこでできるシミュレータは、割と簡単な粒子数が少ないシミュレーションに対して、更に500個から1,000個になると、上に黒字で書いてあるような、室温動作する超低消費電力デバイスですとか創薬の粒子数に合致していくというように理解しているのですが、もしそれが正しいのであれば、そこのつながりも分かるようにしたり、500とか1,000個と書いてあるところの下に何かもう少し記述を加えたりするという工夫も可能かと、御議論を聞いていて思いました。
【城石委員】  真ん中に、ポスト「京」でもこの位しかできないと書いてありますよね。それよりも圧倒的な可能性が少なくともサイエンス的にあるのであれば、エクスキューズはもちろんエンジニアの問題もあるとは思うんですけれども、語弊を恐れずに申し上げますと、何かそこを単純化して書けないでしょうか。例えば、よくエネルギー分野ですと原子力発電所何個分とか言うんですけど、そんなイメージでもいいと思うんです。何か一般の方がよく触れておられるようなものに置き換えて、それのn倍とか、そういうやり方もあるのかなと思いました。
【湯本委員】  城石さんが言われたこの場所なんですが、50、100、あるいは消費電力100と書いてあるわけで、例えば「京」3台分の計算能力を、消費電力100分の1で実現するという言い方でもいいわけですね。
【城石委員】  はい。
【湯本委員】  それは言い過ぎなんですか。ただ、計算の質的な違いってあるわけですけど、そこは数字じゃなかなか書けないわけですよね。だから、そこはちょっと難しいんだけれども。ただ一般的には、「京」3台の能力を消費電力100分の1で実現するといったら、ええ、これすごいじゃん、ってインパクトあると思うんですね、表現的に。
【城石委員】  御専門の方が厳密な意味で考えられているので、ある特定の分野ではそういうことができるわけですよね。厳密な部分はきちっとクリアしていただいて、ある見方では、ここと比較するとこうだというのは、専門家の間でも多分それほど抵抗はないんじゃないかと思うんですけれども。それができると、500、1,000というよりは、その重要性が肌で感じられるような気がしたんですけれども。
【根本委員】  そうですね。
【城石委員】  中身がすごいのは間違いないと思いますので。
【飯田委員】  素因数分解とか、今、コンピュータが苦手な計算で何桁までいけるとか、そういう具体的な数字を書かれてはいかがでしょうか。
【根本委員】  素因数分解にしてしまう、そういうエスタブリッシュされている計算問題にしてしまうと、量子コンピュータが必要になるわけですよね。そうすると、これはエラー訂正がないので、そんなに簡単に比較ができないんです。なので、これはシミュレータとしての比較で、同じこういう物理系、又はこういう分子系なり創薬につながるようなのをシミュレーションする場合に、それを古典系のコンピュータでやらせようとするとどのぐらいかかって、それが量子シミュレータだとこのぐらいでできるというような比較という位置付けで、この比較を事務局ではされていると思うんですけれども。やっぱり計算問題というのは、デジタルコンピュータの中で比較される理論体系になっているので、シミュレーションに乗せるのはなかなか難しいと。
【飯田委員】  又は創薬とかの観点で言うと、いろいろなパターンで組み合わせて作っていくわけですけれども、ディープラーニングやパターン認識的などの方面へのアプリケーションの具体例があると分かりやすい。
【雨宮主査】  いかがでしょうか。いろいろ意見を、ここではコメントを出し合うということで。はい、早瀬委員。
【早瀬委員】  なかなかこのロードマップで時間を書くのは難しいと思うんですけれども、結構下の方の大規模量子シミュレータの利用が始まる前にクラウドを通して量子シミュレータの利用が始まるという、こういった時間スケールはある程度可能だろうと思って書かれているんですかね。
【根本委員】  コンピュータができる前にクラウドが始まるということですか。
【早瀬委員】  はい。
【根本委員】  そうですね、これは量子シミュレータをクラウドで使えるようにするという、多分イメージ的には、今、IBMとかがやられているような、クラウドというか、皆さんがログインしてその施設を使うというイメージに近いと思っているんだと思うんですけれども。なので、必ずしも量子コンピュータが、いわゆる計算サーバみたいになっていてクラウド展開するというものだけじゃなくて、量子シミュレータをクラウド的に使うというようなイメージのものが先に、これは量子シミュレータの方が先にできてくるので、こちらが先にきて、そういった技術は最終的には量子コンピュータが出てきたときには量子コンピュータをクラウドで使うというふうに発展してくるんだと思うんですけれども。
【早瀬委員】  じゃあここで対象となっているのは、そのちょっと前にできる数十個とか100個というレベルのシミュレータということなんですか。
【根本委員】  そうですね。それと冷却原子、イオントラップ等のこちらの方向で進んでいくような量子シミュレータを、クラウドを通して利用するというような、そういうイメージですね。
【雨宮主査】  いろいろ意見を伺いましたが、そろそろ時間ですので、次に移ってよろしいでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。
 それでは、量子計測・センシングに係るロードマップの検討のリエゾンである上田委員、早瀬委員にお願いいたします。どういう形でお二人で発表するかはお任せいたします。
【上田委員】  まずは私の方から、概略を説明させていただきます。このグループでは2回の会合を持ちました。1回目は要素技術を有する5名の有識者に、まずロードマップの素案を頂きまして、それを各有識者からの御説明を頂き、それを皆さんで議論した上で、事務局でまずロードマップの素案を作っていただきました。それをもう一度皆さんで議論しつつ、再度もう一度集まり、いろんなコメントを取り入れながら、今お示ししていますロードマップの案を作成しました。
 具体的には、まず有識者からのコメントに基づき、いろいろな出口の項目の重要性・必要性を、具体的なニーズに基づいた議論がなされました。具体的に言いますと、このロードマップ、ちょっと字が小さいかもしれませんけれども、研究・技術の進展のところで記載されていますような、例えばNVCのスピン操作技術に関していいますと、システムの小型化というニーズがあるということなので、これを有識者の方と議論して、どれぐらいでできるかということを議論した上で書きました。これは具体的な数値も書いています。あるいは、新型の共振器についていいますと、高速化のニーズがあるというご指摘を反映してあります。あるいは、量子慣性センサでいいますと、光源や真空の小型化と、こういうような具体的なニーズを有識者の方に頂きまして、それに基づいた実現可能性についての情報をロードマップに記入しました。
 更にこれが単なるアカデミックにとどまらず、他の技術とか、あるいは国内企業の参加の可能性を示唆したり、あるいは促すようなことも記入しました。具体的に言いますと、研究・技術の進展のちょうど右側に括弧の中で、関連する他の光量子技術や機械学習等の情報の進展を順次取り込むと、こういう形で取り入れました。
 この表の概略を申し上げますと、頂きましたロードマップの素案から、比較的国民目線で分かりやすいような、まず経済・社会のインパクトの項目ですね。一番上です。これをピックアップしました。それから、それらと関連するような科学技術、あるいは研究・技術の進展については、上記のものと関連するものをできるだけピックアップしてここに並べました。
 時期について言いますと、一番下を御覧になっていただきますと、現在できる技術、それから次の5年間、更にその次の5年間という、5年間ぐらいの枠で設定しまして、それぞれの期間においてどんな要素技術の進展が見込まれるかを記載しました。上の表でポツの1は、おおよそそれぞれの項目が一番早く達成するとしたらいつかということですね。ただ、実際にはそれはある程度幅を持たせる必要がありますので、それを色で記載しました。
 それから、前回の量子委員会で幾つかコメントがありましたけれども、例えば飯田委員の方から、ある程度達成されている項目があるという御指摘がありましたので、それについてもいろいろサーベイしていただきました。具体的に言うと環境センサと化学センサについて言いますと、例えば血液中のゼプトモルオーダーの異物検出とか、あるいは大気中での微粒子の同定とかの項目についての具体的な記載をしまして、達成見込みも、前回に比べてやや前倒しの記載になりました。
 それから、城石委員から、ヘルスケアについてのインパクトの図示というご指摘がありました。コピーライトフリーのきれいな絵が見つからないので、いろいろ工夫を事務局の方でしていただきまして、右側のような記載を行いました。
 私の方からは以上です。早瀬委員の方から、もし何かありましたらお願いします。
【早瀬委員】  大体言っていただいたことで大枠いいと思うんですけれども、やはり委員の方から、センサは何を継続するか、ニーズ側から考えることが重要であるということで認識が一致しましたので、できるだけそういったニーズを、このロードマップの中でも具体的に書くということで、かなり具体的な応用先を書いてあります。議論の中では、もちろん量子計測・量子センサ技術はこのロードマップに書いてあるような応用先だけにとどまらないのではないかという意見もあって、まさしくそのとおりだと思うんですけれども、その一方で国民に示す上で、具体的な応用先があった方が分かりやすいんじゃないかという意見もありまして、そのバランスを考えて、少し具体的に書くというような方向でまとめているといったようなロードマップになっていると思います。
 以上です。
【雨宮主査】  今の上田委員、早瀬委員の御説明に対して、質疑とかコメントあればお願いします。
【城石委員】  これは一般の方にすごく分かりやすいと思うんですね。物すごく努力されたと思うんですが、さき程と逆のコメントになりますが、逆にこれが何で量子なのかというのがちょっと薄くなっちゃったような気もして。定量的に飛躍的に上がるんですけれども、分かりやす過ぎるが故にどうしてこれができるんだろうかというのが、ちょっと見えにくくなっているのかなということで、逆の目線でちょっと心配になりました。
 あと、この絵も物すごく分かりやすくて有り難いんですけれども、これ、例えば今の装置でもできますよね。大きな装置ですが。量子だと、例えば物すごく小さいセンサでできるとか、ここにも書いてありますけれども、こんな小さな装置でできますよとか、量子であるが故に何か飛躍があって、それでセンサが小さくなるとか、何かそういうイメージと合わさると、更によくなるのでは、と思いました。
【上田委員】  ありがとうございます。具体的な数値については、研究・技術の進展の中に、これは各項目ごとに書くしかないので、ある程度予測ができるものについては数値を書いています。
 あと、量子が見えにくくなるというのは、まさにこれは具体的に書けば書くほどなかなか個々の技術を明示的に書くのが難しくなるという、二律背反みたいなところがあります。
【城石委員】  そうですね。勝手なことばかり言って、申し訳ありません。
【上田委員】  いえいえ。ただ、それぞれの技術、慣性センサにしろ微量の検出にしろ、これらは全て量子の技術がないと、キャビティーとかないといけないので、なかなか難しいですね。
【城石委員】  すごく難しいですね。済みません。
【上田委員】  全て量子の技術がないとできないものになっています。ありがとうございます。
【雨宮主査】  ほかにいかがでしょうか。
【美濃島委員】  今のご意見に関係するんですけれども、私もやはり、ぱっと見たときに、量子の特徴というか、非専門の方が見たときに、利点がもう少し分かると良いというのと、あとそれと関係しますけれども、量子の特徴が、ここに記載されている点に限らず、もっと幅広く展開していく可能性があるというところも、少しどこかに見えていると良いと思うんですね。
 例えば、囲みの記述の中に、関連するほかの技術への広がりも示唆するとか、一番下に注として量子情報とか光格子時計とか、ほかの分野にも貢献できるというふうに書いてはあるんですが、そこは何かもう少しはっきり見えると良いと思います。具体的にどのように改善したらよいかというのは、ただの思いつきですが、何かもう一つの項目、例えば新技術への展開のようなものを加えるとか、または、現時点では具体的に見えていない、○○センサというような名前はないけれども、量子という特徴を概念的に表すような広がりを持たせる項目を作って、その特徴が深化する先に、このような将来につながるというような、これだけ具体的なものをいろいろ書いていただいているからこそ、そのような少し俯瞰する概念的な1つの項目のロードマップがあってもいいのではないかと思いました。
【上田委員】  ありがとうございます。それにつきましては、この左上に括弧囲みの中で、それぞれのキーワードが記載されたいます。例えば、量子慣性センサとか、量子もつれセンサというのを色で、各色がそれぞれの右側の具体的な技術に対応していまして、それぞれがどういう量子のセンサに対応しているのかというのが、括弧囲みの中でキーワードとして書かれています。
【城石委員】  さきほど根本先生のおっしゃった、最初の1枚に何かそういう全体のイメージがあって、量子力学が、僕らが2.0と言っていた、そういう新しく状態に変わったことで何かが飛躍的にできる、だからこういう世界ができるという、そういうのがあると良いのかも知れません。ただ、ここに書くのは確かに難しいのかも知れませんね。
【美濃島委員】  おっしゃるような、全体を俯瞰するようなページが別にあって個別につながるというのを、表現できるのが1つの案です。もしそれが難しく、各論に入れるとしたら、ちょっと質の違うものにはなりますけれども、今、上田先生もおっしゃったような具体的な項目に加えて、その俯瞰するイメージを1つ加えてしまうというのも一つの案かと思います。今、共通という名前になっているところを、共通ではなく、量子○○センサのような形で、全体の概念を俯瞰するようなものを新たに作ってしまって、そこに、量子がどういう特徴を持っているか、将来の可能性も含めたようなものも1つ加えて、そこに今おっしゃったような、俯瞰するようなものを落とし込めないかと思ったのですが。すぐに、どのようにしたらいいのかというのは、今まで散々御議論された上でのことと思うので、すぐにはわからないのですけれども。
 例えば、量子計測センサのような一般的なものを入れたとして、そこに全体を俯瞰するような特徴を横並びで入れていくことによって、それを見て将来の可能性が少しでも見えるようにできないかと。ある種の夢のセンサじゃないですけれども。
【上田委員】  なかなか難しくて、夢があればあるほど現実可能性は少し未来になるんですね。量子センサって、多分量子情報処理というのはかなり夢があって、非常に長期的に見ないといけないという話で、逆に言うと夢が描きやすいんですよ。センサというのは、もう少しこの項目を御覧になっていただくと分かりますけれども、どれも実現する可能性がかなり高いんですね。なので、インパクトは夢を描くことよりは、具体性の中に、具体性を描くことの中にあると思います。やや玄人思考になると思うんですけれども、具体的記述の中に、本当のインパクトがあるかなという感じを私は持っています。
 そういう意味で、ここではむしろ夢よりは具体性を前面に出した方が、この部分については、より分かりやすい。もちろんオーディエンスは減るんですけれども、実際のターゲットとされている産業界の人たちから見ると、ああ、これは使えるのかと、聞いてみたいということがぴたっとくるような項目になっているんじゃないかなと思います。
【雨宮主査】 もつれ光によるX線センシングの可能性が開けるとあるのですが、X線センシングというのは、X線をセンシングするという意味ですか、それともX線による物質内部のセンシングという意味ですか。生体磁場センシングや磁場ベクトルイメージングは、それぞれ生体磁場、磁場ベクトルがセンシングされる対象だと思います。もし、X線センシングがX線による物質内部のセンシングという意味で使用されているのであれば、この並びでは分かりにくいと思います。
【上田委員】  ちょっと検討させていただきます。
【雨宮主査】  はい。どうぞ。
【飯田委員】  前回のコメントを検討いただいてありがとうございます。今、in vivoでの異物検出が中心になっているように思いますが、ライフ・ヘルスケア分野へのインパクトとして、リキッドバイオプシーなどもターゲットにしていいんじゃないかなと。いわゆる体外に取り出した体液を用いた検査ですね。血液だけではなくて、唾液、汗、尿。簡単に人をダメージを与えずに採取できる体液がありますが、これらに含まれる微量のがん由来の物質などを検査するというのもターゲットにしてよいのかなと思いました。
【上田委員】  これは量子センサと関係がありそうですか。
【飯田委員】  検出の際に量子センサをプローブとして用いるという意味では、迅速・微量検出を量子センサにより行うメリットはあると思います。あと、ゼプトモルオーダーという記述に関しましては、タンパク質などもターゲットとしてサブフェムトグラムやアトグラムも目標値に掲げてよいのではと思いました。例えばDNAはゼプトモルのようにモルの単位でカウントしますが、炎症反応の原因でもある抗原抗体反応と関連したタンパク質に関しては分子量が大きいためモルよりもグラムの単位で書かれることが多いです。サブフェムトグラムでの検出ができると、炎症反応の解明にもつながり、アレルギーや成人病の予防とか、そういったところへの貢献もできるのかなと思いました。
【上田室長】  具体的には、このロードマップでいうとどこの部分に近しくて、どのような記述が該当するでしょうか。
【飯田委員】  血液中のゼプトモルオーダーの異物検出について書かれております化学センシングの記述がありますが、そこからもう少し先の部分に記述頂くと良いのではと思います。今、2020年以降になると思います。
【上田室長】  では、ここの例等において、少し検討してみるというイメージですか。
【飯田委員】  そうですね。例として挙げてもよいのではないかと思います。
【上田委員】  余り具体的なことは書けないと思うんですけれども、必要な情報を検討させていただきたいと思いますので、事務局の方に御連絡いただけますと幸いです。
【飯田委員】  はい。
 あと、血液中の超微量異物検出ということで、例えばがん細胞の検出に関しては、量子センサの誘導も重要になってくると考えます。
【湯本委員】  量子センサを患部に誘導するということですね。
【飯田委員】  はい。がん細胞由来のいろいろな物質があるんですが、これらの検出するに当たって、量子センサをなるべく細胞の近くに誘導したり集積したりできるといいのかなと。
【上田委員】  量子センサを誘導するんですか。
【飯田委員】  はい。いわゆるドラッグデリバリーシステムと同様のイメージです。がん細胞の近くの血管には数百ナノメートル程度の穴が多数空いていますので、ナノ物質を血管中に導入すると集積しやすいということが知られています。医薬品で副作用が出るのは、多量の薬剤を導入した際に正常細胞にも医薬品が影響を及ぼすので、正常細胞にもダメージを与えるので副作用が出ますが、それを避けるためにナノカプセルを利用したドラッグデリバリーシステムに関する研究が盛んに行われています。それと同じように、異物検出に当たっても量子センサを患部の近くに誘導できる技術が発展すると、非侵襲性で生体にダメージを与えずに検査ができる可能性があります。
【上田委員】  それはカテーテルとかを使ってとか?
【飯田委員】  そういう手もあると思いますし、外部から何らかの外場を使って遠隔的に誘導するとか、電場、磁場、光、いろいろな方法があると思います。
【雨宮主査】  ほかにいかがでしょうか。根本委員。
【根本委員】  ちょっと話が戻ってしまって申し訳ないんですけれども、夢を語るのはというお話が先にあって、夢のところというのが量子的なもの、一番最初の赤でくくられているところの量子状態を利用してというところが実現するというのは、やはりインパクトの中心なのかなという、そこが夢なのかなというふうに、ちょっと一般には分かりにくいかもしれないというところはあると思うんですけれども、やっぱり古典ではできない何か新しい、量子でなかったらできないセンシングができてくるというのは、専門的でありながら比較的分かりやすいインパクトなのかなと思うんですね。
 やはりそこを、量子もつれ光とかなっているとこれはすごく分かりやすいんですけれども、ここのところ意外はどこから量子アドバンテージが出てきているのかというのがちょっと見えにくい形になっているので、その辺を夢というふうな感じで、もう少し分かりやすくしていただけると、この辺のバランスがとれるのかなとちょっと思ったので。以上です。
【城石委員】  1つだけよろしいですか。赤い枠のところ、「電子等が有する量子状態を利用し、古典力学を」と書いてあるんですけれども、古典力学というのは、昔の量子力学だと思っていいんでしょうか。夢というか、サイエンスというか、それが一般の方に分かる文言って何だろうというのを会社の中でもよく議論しているので、言い過ぎをあえて許していただくと、例えば、昔の量子力学では、どちらかというと固有値問題みたいなもの、原子を扱っていたんだけれども、今度の新しい、ここの量子センシングに使うような量子力学というのは、電子みたいなものを扱うと言ってはいけないのか、というものです。ここのところで、何が違うんだというところがもう少し分かりやすく書いてあると、全体がさらに分かり易くならないかなと思ったんですけれども。
【早瀬委員】  そういった議論は、委員の中でもこの議論の中にもあって、やっぱり量子を使うことで何がいいんだということは言った方がいいと。ただ一方で、ここに書く、ここだと5つの技術がありますよね。5つの技術それぞれに……。
【城石委員】  共通じゃないということですね。
【早瀬委員】  また別の原理で、あるいはそこに得意なところ、不得意なところもあり、あるいはニーズ側からいうと、ニーズによって必要とされる性能だったり、そういったものも違うので、ちょっとここに盛り込むのはなかなか難しいという議論になって。議論の中では、別の資料としてそういったものをまとめるのもいいんじゃないかというような議論もあったんですけれども、やはり4つのロードマップで共通してA4、1枚にまとめるということになったので、ちょっとそこの部分は確かに欠落している部分はあるかなと多少思いますね。
 なので、ちょっと文言を少し工夫する感じで盛り込められたらいいかなと思うんですけれども。ちょっとその辺がなかなかバランスが難しいという。
【城石委員】  済みません、難しいとは思うんですが。
【早瀬委員】  まさしくやはり量子を使うことで何がいいんだというところは、強調すべき点かなとは思います。
【岩本委員】  ちょっとこのロードマップのことじゃなく全体のことなんですけれども、既にちょっと議論があったのかもしれないんですが、2027年度以降の矢印のスケールというのは共通なのか。つまり、一般の方がぱっと並べて御覧になったときに、このセンサでできるところは大体これぐらいの量子情報処理ができるのかなって思ってしまっていいのか。若しくは、こっち側は任意スケールになっていて、多分そうだと思うんですけれども、量子情報では割と長いスパンが考えられている一方で、上田先生おっしゃられたように、センシングは近いので、短めのことが書いてあるんじゃないかと思うんですけれども。ちょっとそこらが逆に混乱を招いてしまう可能性もあるのかなというのが、ちょっと気になりました。
【雨宮主査】  4つのロードマップ、10年先までは数値が入っていますが、その後の矢印が少しずつイメージが違って、リニアなのか……。
【岩本委員】  そう、ログスケール……。
【雨宮主査】  ちょっとそこはありますね。4つとも合わせる必要があるかどうか、それとも違っていていいのか。
【岩本委員】  個人的には違っていてもいいと思うんですが、何か誤解を逆に与えないといいかなと思うんです。例えば、加工とかこれからあると思うんですけれども、もっと多分違うので、すごい短い時間スケールで書かれていると思うんですけれども、それと並べて前後を見たときに、じゃあ量子コンピュータもこのぐらいなんだと思われると、ちょっと……。
【上田委員】  これ、5年まで、10年までは太字の矢印で書いていますね。その後を破線の矢印にするとか、点々とするとか、少しぼやかすとか、イメージ的に処理するしかないですよね。
【岩本委員】  全くそのとおりだと思います。ちょっと今見て、同じように見えても、とられてもおかしくないかなと思いました。
【雨宮主査】  いろいろとあるかもしれませんが、少し時間も押してきたので次に進みたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、極短パルスレーザーに係るロードマップの検討ということで、リエゾンの岩井委員にお願いいたします。
【岩井委員】  それでは、極短パルスレーザーに係るロードマップの検討に関して御報告をさせていただきます。資料2-4に経緯が少し書いてあります。2回の検討の会合を行いました。全体で委員の先生方7名いらっしゃるんですが、その中で代表して3名の先生が書かれたロードマップをもとに、みんなで集まって議論をして、中身を精査していったという経緯です。
 これは光源開発に係るロードマップなんですが、中心的な課題は、これは国際的な流れでもあるんですけれども、アト秒のX線という新規光源があって、これが中心的な課題です。アト秒のX線をこれからどういうふうに開発して、それをどういうふうに使っていけばいいのか。科学技術とか、あるいはそれから派生するような産業に関して何を考えていったらいいのかということが中心的な課題、議論の内容だったわけです。
 全体的なこととしては、その下に書いてあるんですけれども、研究としてどういう研究があり得るのかというところから、かなり基本的なところから議論を出発したわけです。例えば、ここにはかなり具体的なことが書いてありますが、後からロードマップで御説明しますが、研究的な用途から考えて、例えば強度を優先するのか、あるいは繰り返しを優先するのか、その2つで開発は進めるべきだとか、あるいは、アト秒のX線を有効に使うためには、テラヘルツとか赤外光とか、ほかの先端光源も一緒に使う必要があるので、それらも含めて整備する必要があると、そういうたぐいのことを、要するに用途を考えて、出口を考えて開発から考えていくべきだと、そういう議論が行われたわけです。
 アト秒X線の1つのアドバンテージは、時間分解能が非常に高いというのは言うまでもないんですけれども、それと同時に、空間分解能も高くできる。それは波長が短いからなんですけれども。つまり、アトセカンドでナノスケールという未知の世界で、主に電子がどういうふうに動くのかという動作を直に見ることができる。これが一番いいことなんですけれども、そのことによって、既存の研究や技術がどういうふうに変わっていくのかと。そういうことはなかなか難しくて、我々ももちろん分からないんですけれども、そういうシナリオを一応書くことを目的にしたという、そういう流れです。
 それで、この資料にある極短パルスレーザーに係るロードマップの案というのを見ていただきたいんですけれども、一番下に光源開発のロードマップが書いてあります。研究技術の進展、光源及び計測というのがあって、もちろん今までの先生方のお話の横軸は時間軸になっています。今までのお話に比べて、時間軸に対して、特に10年以降の時間軸に対しては、これはほとんど何も言えません。というのは、そういう光源技術の開発によって、基礎研究として、いわばブラックボックスをあけることになるわけですけれども、それでどういうことが出てくるのかというのが余り分かっていないので、10年先までは一応予測していますが、その後に関しては、特に時間スケールに関しては、ちょっと何も言えないというのが現状です。
 科学技術インパクトのところには、そういう一番下に書いたような光源技術の開発によってどういう研究ができるのか。化学、物理、あるいは生物、それぞれの分野でどういうことができるのかということが書いてあって、その上にもうちょっと応用的なことが書いてあります。例えばスマホとか省エネルギーとか創薬とか、今あるような技術なんですけれども、それがブラックボックスをあけることによって、大分ブレークスルーがあるんじゃないか、そういう趣旨です。
 それで、少しだけ具体的な話をさせていただきますが、一番下の光源技術は、先ほどちょっとお話ししたように、赤と青で分けてありますが、赤が強度を重視した光源です。青の方が繰り返しを重視したもので、これは対象とか用途によって大分違うと。ガスフェーズの原子の研究なんていうのは密度が低いので、そういうところに強い電場や磁場をかけるためには、強度を優先すると。それに対して、固体なんかの場合は電子の密度が高いので、もう少し弱くてもいいかわりに検出感度を高くするために繰り返しを重視するべきだと。そういうところから、こういうふうに2つの方向に分けた流れになっています。
 それぞれテクニカルな問題があるので、ちょっと波長とか繰り返しなんていうのは少し違うんですけれども、そこに書いたようなスペックになっていて、現状では数ナノメートルから数十ナノメートルなんですけれども、それが波長的にはどんどん短くなっていて、最終的には0.15ナノメートルぐらいまでいくはずだと。パワーもどんどん強くなっていく。あるいは繰り返しも、今1キロヘルツが最高ですけれども、それが最終的にはメガヘルツまでいくのではないかと、そういう技術開発を期待しています。
 それによって、各分野の基礎研究がどう進んでいくのがその上に書いてあるんですけれども、例えば化学の分野では、今、光イオン化なんていうのが研究されていますけれども、それがだんだん時間分解能が高くなって、電子の運動が直に見えてくると。それが創薬とか、あるいは生体の内部での放射線の影響みたいなもの、微視的なメカニズムがどんどん分かってくると。そういうことを期待しているわけです。
 あるいは、固体物理、物性物理の世界では、今、電子材料と言われていますけれども、例えば半導体とか超電導体とかトポロジカル絶縁体、いろいろありますけれども、そういうものの中で動いている電子の動きが非常に精密に分かると。あるいは、スピンの動きも精密に分かると。それによって、今までとは違った設計指針で物質を開発することも可能になるだろうと、そういうことが期待できるということが書いてあるわけです。
 あるいは、そのちょっと上に書いてある、大体5年から10年の間でこういう研究というのは、今も数は少ないですけれども研究は始まっているので、実験的にはかなりやりやすくなるだろうということで、今は本当に光源を作っている人が実験をやるしかないわけですけれども、5年から10年の間までには外部利用者が使えるような小型の装置も可能になって、もっと先にはテーブルトップの光源もできるだろうと。あるいはそれに付随して、大規模施設と組み合わせて使うようなことも可能になるのではないか。それは10年よりもかかると思いますけれども、そういうことを期待しています。
 そういうことがあって、その上に書いてある経済・社会インパクトというのがあるんですけれども、先ほどお話ししたように、ここに関しては、例えば電子デバイスの新しい形として、今、具体的にできているのは、ナノギャップのところを光の電場そのものによって、ある一方向に低損失で電子を動かすなんていうことは、既に実験的にはできているので、そういう原理を使った新しいデバイス構造というのはできるのではないか。あるいは、高温超電導のメカニズムなんていうのも分かってくるんじゃないか。今までのような光のエネルギーを使うような使い方ではなくて、変調する電場や磁場をそのままダイレクトに使うような制御の仕方が可能になってくるので、それによってその上に書いてあるような、我々にもこれは本当は分かってないんですけれども、情報処理や通信デバイスとか書いてありますけれども、そういう既存技術で使っている要素技術を置き換えることができるようになったらいいなと。
 あるいは、創薬の開発なんかでも、新しい原理を使うことができるんじゃないかと、そういうことがあって、その一番右上に書いてあるのは、恐ろしいことが書いてあるんですけれども、ナノスケール・超高速、要するにペタヘルツの世界ですけれども、スマートフォン型や、あるいは今、時計や眼鏡型のコンピュータとかありますけれども、そこにスパコンが入るんですね。そんなことが目指せたらいいんじゃないか、そういう議論をしてきたわけです。
 大体以上です。補足があったらお願いします。
【雨宮主査】  どうもありがとうございました。それでは、御質問等お願いします。
【美濃島委員】  極短パルスレーザーということなんですけれども、今のお話を伺うと、アト秒X線にかなり特化しているということなのですね。
【岩井委員】  もちろんこれは極短パルスレーザー全体のことなので、それに特化しているわけではないんですけれども、国際的な流れとして、これはやらなきゃいけないだろうと。そのときに、もちろん実は読んでいただくと、例えば現在から5年の間とか、5年から10年の間の光源開発は、波長は1.5ナノメートルから300ミクロンと書いてあるんですね。これは要するに、アト秒X線は非常に開発要素が高いので、特別に開発をしない限りできないものなのでこう書きましたけれども。ほかのテラヘルツとか赤外線とか可視光の場合は、ほぼシングルサイクルに近いところまで今いっているので、それはやめていいわけじゃないんですけれども、それとアト秒X線をいかに有効に組み合わせることによって、ここからどう発展するかという、そういう意味です。
【美濃島委員】  御説明を聞けばそうかなと思うんですが、ただこれを単独で見たときに、研究・技術の進展というところに「(光源及び計測)」と書いてあるんですが、どうしても光源発生のことしか書いてないように思えるのですね。さらに、発生も、波長とパルス幅と強度、繰り返しなど、いわゆる光源のパラメータしか書いてないように思って。けれども、目指しているインパクト、つまり先ほどのいろいろ一般の人がこういった極限技術を使えるようになって、社会に使われていくといったときに、単に発生できるということではなくて、やはり制御技術も必要になると思います。いろいろな意味の制御が含まれて、発生パラメータの制御技術もあるし、パルス内部の位相やタイミングとか、複数の大型施設との同期という意味では空間的や時間的な制御なども必要になると思うんですが、そういったことが見えてこないような気がしまして。
【岩井委員】  ちょっとそれは議論の中では、キャリアエンベロップフェーズの話とかいろいろ出ているんですけれども、ちょっと細かいかなと思ったので、これは書くんだったら一番下のところに書くんですけれども、ちょっとこれ、スペース的に無理かなと思ったので、そこまでは。要するに、一番ドラスティックに変わるところから、その上に飛んじゃっているんですけれども。どうですかね。だから、その中で、位相制御技術なんて書いてもいいと思うんですけれども、計測に関しては、それを全部書くのはなかなかちょっと難しいのかなというのが現状なんですけれども、どうしたらいいですかね。
【美濃島委員】  もちろんいろいろ議論されたと思うんですが、ちょっとこれを単独で見たときに、本当に光源のいわゆる波長とかパルス幅とか、そういったある意味クラシックなパラメータしか書かれていないように思ってしまうので。でも、やはり今の光源技術というのはそれだけではないということが重要なことですし、それによって発展してきているわけですよね。
【岩井委員】  要するに、アト秒を出すため、シングルサイクルの可視光でもそうですけれども、もちろん位相変調がうまくできるようになったからそれができているんですけれども、そういうことをどうアピールしたらいいのかという話ですよね。どうしたらいいですかね、それは。
【美濃島委員】  例えば、私は最初に見たときに「光源及び計測」と書いてあるけれども、発生の項目しかないので、計測の課題はないのかという印象を受けました。逆に、光源だけのことに限定するとこのようになるとしてあるんだったらまだいいのかもしれないですし。さらに、もう1個下のラインに、「大規模データを効率よく取得することにより」というコメントがありますが、ちょっとこれは何を意味するのかが少し分からないんですね。
【岩井委員】  これはあれですね、要するに赤と青で分けて、高繰り返しのメリットを言っているつもりなんですけれども。
【美濃島委員】  ちょっと分かりにくいような感じもしました。例えば、この1行を使って、今言ったような制御が必要であるというところですね。つまり、パルスが1個では存在できないわけですよね。極短パルスというと、一般の人のイメージは、1個のパルスが細くなることだけをイメージしますけど、高繰り返しが入っている理由は、まさにパルス列として位相制御が重要であるからですよね。それによって様々な同期をして活用されているということなので、その1行を使って何か表現していただくということはできないでしょうか。
【上田室長】  すごく荒っぽく言うと、量子シミュレータとコンピュータにおける誤り訂正みたいな話でしょうか。
【美濃島委員】  まあ、ある意味では、そうですね。
【上田室長】  量子シミュレータのどこかに書いてあるところはあるかと。
【美濃島委員】  非常に重要な要素で、それがあるかないかによって、その技術が使えていくかどうかの、ある意味のキーだと思うので。
【上田室長】  そういったところの書きぶり、技術に関しては、事務局としても最大限サポートいたします。
【岩井委員】  ちょっとあれですよね、議論の中では、そういうのはむしろ技術的なことなので、外に出すときにはむしろ分かりづらくなるのかなという配慮があったと思うんですけれども。そういうところはむしろアピールした方が分かりやすいというか、違和感がないということですね。
【美濃島委員】  それは、いろいろなお考えがあると思うので、どの程度が良いかはよく分からないんですけど、先ほど量子計測・センシングのときも、あまり分かりやすくなり過ぎると、すごさが伝わらないというか、何で量子なんだという議論が複数の委員の先生からあったと思うんですね。私のイメージとしては、せっかくロードマップを作るので、単純に項目だけが並んでいるより、やはり技術的にすごいんだというか、挑戦的な開発要素があるからこれだけの項目も必要なんだというところが何となくにじみ出ている方がいいのではないかと思って。それでいうと、単純に短くするというだけではないわけなので。制御があるからこそ短くなるわけですよね。そういうすごさというのがにじみ出た方がいいのではないかということなんです。
【岩井委員】  なるほど、ありがとうございます。
【雨宮主査】  どうぞ。
【城石委員】  今、大分言っていただいたんですけれども、私、これは、大きな展開のもとになる基盤技術の1つじゃないかという感じがしていまして。この光源ができれば、計測もできると思うんですけれども、さらに例えば、化学反応の制御とかにもつながる可能性がありますよね。
【岩井委員】  はい。化学反応の制御というのは、一応このロードマップの中には、委員会の中としてはそれを含めているつもりで。どこに書いてあるかな。化学反応というキーワードはどこかにありましたね。
【城石委員】  はい。ただ、光源及び計測と書いてありますよね、下に。だから、ここの黒い字で書いてあるのよりも、もうちょっと広い枠組みで書いてもいいかなと思ったんです。極短、非常に短いパルスのレーザーができると、それは化学反応とかそういった量子の世界の、物すごく短い時間の制御なり観察ができる基盤技術を提供するもので、それができることで観測もできるし制御もできる。今までできなかった、電子の動きって書いてありますけれども、物の本質に迫れるわけですよね。そこは本質的なメリットで、それを提供するレーザーを作りますということですよね。
【岩井委員】  つまり、一番下に書いてあることと、その上に書いてあることの関係性がちょっとつながりにくいという、そういう意味ですか、ぱっ見たときに。
【城石委員】  はい。要するに、もったいないなと思うんですよ。「化学反応等において電子が動く時間スケール」と書いてありますよね、一番上の赤い枠のところに。
【岩井委員】  はい。
【城石委員】  でも、これは多分この前の議論もそうだったんですけれども、化学反応の本質がこういうアト秒時間で起こることであるという、全く違った世界が見えるわけですよね。だから、化学反応等において電子が動くというよりは、今まで見られなかった化学反応の本質が分かるという書き方も、何ですごいのかということを、もう少しアピールできるんじゃないかと。アト秒で、空間も物すごく狭いということで、今までの技術では全くできなかったことが、この技術があるとできる。だからこそ逆に、将来の大きな可能性も見通しにくいという、何かそこのニュアンスがちょっと読み取れないというか、もったいないな、と思ったんです。
【岩井委員】  専門の先生方は、皆さんそれをいつも考えていらっしゃるので、ちょっと当たり前っぽくなっちゃっていて。
【城石委員】  済みません、私、素人なので。
【岩井委員】  それは一般の人が見たときに、当たり前の表現だともったいないということですよね、それは。
【城石委員】  そうなんです。
【岩井委員】  それはおっしゃるとおりです。
【根本委員】  そこの当たり前の表現のところと、多分重なるんだと思うんですけれども、下から科学・技術インパクトまでというのは、すごく分かりやすいような気がするんですね。いろいろな抜けがあるという御意見もあるとは思うんですけれども。社会的インパクトのところは、すごく乖離しているように私には見えていてそれは何でかというと、センシングでも、例えば安全な船舶自動運転事業が始まっていくわけですね。
 そうすると、ただセンシングと言っても、自動運転制御だと思う人は多分いなくて、この事業のどこにこの量子センシングが役に立ってこれが始まっていくのかということは、何となく自然と分かるような気がするんですね。だけども、光源計測と言われていて、テーラーメイドの物質創生が始まると言われても、それのどこに寄与するのかが分かりにくいし、ましてやナノスケール、スマートフォン型スパコンができると言われても、それがこれとどう関係があるのかというのはここからは見えてこない。
【岩井委員】  分かりませんね。1つは、先ほどお話ししたように、ここに書いてないんですけれども、要するに、光の使い方がちょっと変わってくるので、光の振動数の時間スケールで電子を動かすことができるようになるので、繰り返しは圧倒的に早くなりますよね。物理的な展開としてはペタヘルツまでいくはずなので、そういう高速化というのはもちろんあり得ると思いますが、それは原理原則の話なので、それをどうやって使うんだというところまで見えているわけではもちろんないので、我々も。だから、それを書けと言われると、ちょっとなかなかつらいなというのが本音ですね。どうしたらいいんですかね。
【城石委員】  またさっきの議論にもつながると思うんですけれども、要するに、先生がおっしゃった夢がすごくあるわけですよね。それで新しい世界が絶対開けるはずですよね。だから、そういうのをむしろ書いてもいいのかもしれない、と思うんです。口頭で御説明いただいたお話はすごくわくわくしてくるんですけれども、ここに書いてあることは、何かちょっとそれとは乖離しているなと思って。
【岩井委員】  何言いましたっけ、よく覚えてないですけれども。
【城石委員】  済みません、失礼な言い方で申し訳ありません。
【上田委員】  これ、光源開発とかあると思うんですけれども、それがレーザーを作る産業の育成とどうつながってくるのかという視点が重要じゃないですか。極限的な技術の開発を、もし全て現状のように外国に頼ったままでいって、ユーザーとしてだけ発展させるというのは、私はこのレベルになってくるとやや危険な気がするんですが。
【岩井委員】  それととても鋭い御指摘で、全くそのとおりですね。要するに、この手のレーザーは、要するにハコモノではないので、たくさんのレーザーを組み合わせてやるわけですけれども、そのときの要素レーザーを日本がどれだけ作っているかというと、非常に弱いということは全く御指摘のとおりで。そこからやらないと、本当に作りたいものは作れないというのは全くそのとおりなので。その視点は余りなかったんですけれども、全くおっしゃるとおりだと思います。
【上田委員】  逆にこのレベルの基礎開発をすると、いろいろなアイデアが出てくると思うんですけれども、そのときにそれを基盤技術化するようなものが、いわば両輪のようなものですよね。基礎研究、それから実際の基盤開発の部分が両輪でないと、またごそっと持っていかれる可能性があると思います。
【岩井委員】  全くそのとおりですね。
【上田委員】  ここのロードマップのときには、産業とのタイアップとか育成まで含めた視点を、そろそろ真面目に考えた方がよいと思います。非常に基幹的な技術なのでね、私はやや危険な気が、危機感があるような気がしますね。
【岩井委員】  その話は、正直言って出なかったんですけれども、それは全くおっしゃるとおりだと思いますね。ただ、もちろん素案としてはそういうことを考えるべきだと思いますけれども、私はややそれに関しては悲観的で。そこまでやって、日本が基盤技術としてやろうとするかというと、なかなか難しいんじゃないかなと思うのがありますね。こういうロードマップを書くときには全くそのとおりで、そういうことを考慮するべきだと思います。
【上田委員】  とりわけこれは技術の最先端と基礎研究の最先端が不可分な題材な気がします。
【岩井委員】  ありがとうございます。全くそのとおりだと思います。
【雨宮主査】  飯田委員、どうぞ。
【飯田委員】  ほかの、量子計測・センシングとかとの絡みで、例えばもつれ光子発生するのは非線形光学結晶などを使いますが、そういう観点で、もつれ光子、量子光源の発生に対するコントリビューションなどは書く必要はないでしょうか。
【岩井委員】  それはこの科学技術インパクトの上の方に、まだちゃんと議論していないんですけれども、量子情報処理との連携を促進と書いてあるんですけれども、その中身ですよね。御存じのように非常にブロードバンドなので、位相変調を使って、竹内さんがやっていらっしゃる話ですよね。
【飯田委員】  はい。
【岩井委員】  まさに全くそのとおりで、そういう量子情報処理とのフィードバックの掛け合いというのは非常に大事だと思いますね。
【飯田委員】  もう一つ、生体の「水の窓」波長での話が書かれていますけれども、例えば量子センサの励起光源としても使えるのかなと思いました。このような生体内での励起光源としての用途での観点も書かれるといいのかなと思いました。
 あと細かいことですが、生体に対する放射線の影響の微視的メカニズムの解明とあるんですけれども、これは放射線の影響ということは、遺伝子のダメージとかそういったことですか。
【岩井委員】  そういうことですね。
【飯田委員】  それもターゲットを遺伝子に限定したり、放射線に限定したりされるより量子センサを用いた生体内の計測などとも絡めてもう少し広い範囲で書かれた方がいいのかなと感じました。
【岩井委員】  その辺が難しくて、つまり、一般の人が見たときに、スペシファイした方が分かりやすいのが、どのぐらい一般的にした方が分かりやすいのかというのが、ちょっと我々も分からなくて。それはむしろ委員の先生方にお聞きしたいなと思うんですけれども。広げた方がいいんですかね、こういうのは。
【飯田委員】  たとえば、放射線の箇所の後ろに、括弧書きのような形で幾つか例を並べる形もあり得るのかなと思います。
【上田室長】  一般的な抽象的な概念と具体例と両方とも書ければいいということだと思います。例えば最初の量子情報処理の書き方は、割と広い範囲のことを書いて、括弧して例等という書き方をしており、一般的な目線で見ると広いものと狭いものを両方書いてあるというのが分かりやすいなと思って見ていましたので、そういった手法が使えるかもしれないと思いました。
【雨宮主査】  ありがとうございました。まだあるかと思いますが、もう一つ残っていますので。
 それでは、次世代レーザー加工に係るロードマップというところで、湯本委員からお願いいたします。
【湯本委員】  次世代レーザーのロードマップということで、委員、別紙にありますようなメンバーで、2回打合せを行いました。1回目に我々の方で、主査等でロードマップの案を作りまして、それをもんでいって、最終的な今回の形にしたということになっています。
 では、今回のA4、1枚の点について御説明いたします。まず右、中央やや上に点線で囲ったところがありますけれども、今、レーザー加工というか、これから産業そのものがどうなるかということでいろいろ考えて、そこを20年後のターゲットとして、今何をすべきかというような形でまとめました。この点線の中では、半導体電子、あるいは自動車という分野の製造工程において、レーザーがかなり使われるようになってきたと。ちょうど今週、ヨーロッパの方でレーザーの展示会等がありまして、そこで成長率等の数字が出てきまして、これは実は1.46兆円、9.何%という数字が昨日出てきた数字なんですけれども、かなり大きな数字が出てきました。
 実はレーザー加工そのものの市場をほかの市場と比べるとどうかといいますと、1.5兆円ですけれども、車がワールドワイドで58兆円、それから、半導体が35兆円。車に関していいますと、年率大体2~3%伸びている。それから、半導体に関しては、16年はマイナスです。今年が割合よくなってきて2%ぐらい。でこぼこがありますけれども、まあ、ほとんどゼロみたいな、そういう状況です。ただ、これから大きく伸びると思います。CPSとかIoTという時代になってきますとこれからずっと伸びて、実際今年は半導体はかなり景気がよくなっていると、そういう状況です。とは言うけれども、ゼロから2%、3%という中で、実際に9.6%出てきているというのは、かなり大きな数字だと思っています。
 では、工作機械も含めて全体でどうかということを考えますと、過去の約20年間で、純粋機械の工作機械、これが2.3倍。平均のCAグロスレート、コンプレックスのグロスレートで見ますと3.7%ぐらいになります。それに対してレーザー加工機が8.2倍、9.6%になっています。そういう意味で、やっぱりレーザーそのものがかなり大きく伸びてきているというのがお分かりいただけると思います。
 では、じゃあ20年後の工場ならどうなっているのかなと考えると、これは工場といっても種類ありますけれども、単純に自動車産業を考える。多分、エンジンがなくなるかもしれない。電気自動車になるかもしれない。そうすると、今までやってきたダイキャストで型を作って、高温で溶かした金属を入れてという作業はなくなっちゃうかもしれない。そうすると、既存のこれまでの工作機械が2%、3%伸びてはいますけれども、その部分がかなり逆に減っていく可能性がある。そういう中で、電気部品がどんどん増えたりとか、それから、ある程度の形を作ったのは、レーザーで細かい調整をする。そういうところが増えてくるということを考えると、やはり20年後の工場のスタイルが一掃されるかもしれない。そういう姿を想定して、これを作りました。
 一番右上が、こんなことになるんじゃないかということで、我々文章にまとめたのが、CPS型次世代レーザー加工機によるものづくりプロセスの革新というタイトルを付けておりますけれども、ワンストップ、つまり1か所に頼めば全てやってくれるよと。材料を買ってきて工場を転々とさせるのではなくて、1か所に頼めば全てやってくれる。それがワンストップという意味ですけれども、そういう世界が実現できるのではないか。そういう装置のことを、我々CPS型次世代レーザー加工機という名前を付けましたけれども、こういう世界ができるだろうと。
 更にもう一つ重要なのが、これはネットワークに全てつながること。地球の裏側に工場があると。そこにCADのデータを送れば、自動的に作ってくれる。機械の特性も全て把握して、条件出しも機械の中で自動的にやってくれるような、そういう世界が来るんじゃないかと。CPSというのはちょっと余り御存じない方もいらっしゃるかもしれませんけれども、サイバー・フィジカル・システムということで、サイバーというのはコンピュータの中、それから現実の世界、フィジックス、フィジカル。これが融合したような世界で、実際の世界がコンピュータの中で全て実現できるんじゃないかと。そういうものを両者を融合することによって、こういう世界のものづくりの現場も変わってくるんじゃないかということを、20年後を想定しました。
 それに至るに当たっては、だんだん純粋CPS、半CPS、そういう世界があると思いますけれども、その下の段に、CPS援用型という言葉を使いましたけれども、これが半自動みたいな、そういう世界を想定しています。お客さんがこんな形で、こんな材料で、こんなものを作ってくれとデジタルのデータを送れば、自動的に最適化して、それをどんどん作っていくと。その実現をする上では、2つ目のポチになりますけれども、仕上げがほとんど要らないような加工。それから、普通は切った後、ケミカルでもう一度処理して表面出しをしたりするんですけれども、そういう薬品を不要にするという、これも大きな課題です。
 それから、サブナノぐらいまでできるようになると。EUV露光装置がそうですけれども、そういう世界が来ますと、多分量子という世界も、量子コンピュータにも何らかの貢献ができるようになるんじゃないかと。
 それから、原子炉の中の金属の表面ですね、それをかたくする。それを軽量にしたいと。そういう表面改質という技術も必要になってくる。そういう表面改質になりますと、レーザーなんて非常に得意な分野になってきます。そういう形で産業の現場、あるいはお客様の必要なものを提供できるというところに、レーザーがどんどん進んでいくんじゃないかというふうに考えております。
 そういう意味で、2つ目の大きなポツになりますけれども、物理がきちんと分かって、学理が分かって、それから職人の今持っていらっしゃるノウハウ、そういうものを全部吸収できる、融合する、そういうことが必要になる。それがなければCPS型の加工機は無理だというふうに考えています。
 じゃあ何をするのかということになるんですけれども、ちょっと真ん中を置いておいて、下の点線の方に移りたいと思います。実は現在のレーザー加工ってどういう形をしているかというと、試し切りの条件出しが物すごく時間がかかっています。材料が変わる、厚さが変わる、それだけで全部変わってきます。そのために、できるかできないかも分からない。そのために、物すごく時間がかかっている。それが点線の中の現在の状況ですね。それから、そういうのというのは大体人間個人が持っています。それをどうやってコンピュータに入れるかというのも重要ですし、それから、もう一つレーザーというのは、ある意味では欠点と言えば欠点なんですけれども、パラメータが多過ぎる。波長、パルス、繰り返し。そういう意味では、多次元空間の中をどうやって最適解を見つけるかというのは、非常に難しい問題だと思います。
 ところが、加工の物理といった瞬間に、これは物理の中でも非常に嫌われている世界ですね。非線形、非平衡、開放系という。物理というのは、なるべくシンプルにして、例えば物質がなくなっちゃうというのが一番困るわけですよね、解析するのに。それがなくなることを前提とした物理なわけです。そういう意味で、なかなか物理屋さんも手を出してこなかった領域、そこをもう一度加工ということを前提に、物理モデルをきちんと立ち上げる必要があるだろうと考えております。
 一番下の大きな黒ポツの下に4つ小さな点がありますけれども、やはり加工現象の観測ということはきちんとやらなければ無理だろうと。その中に括弧付きで、最先端研究基盤を駆使したその場ミクロ観察とか、超高時間分解観測。それから、マルチスケール。これは時間領域も、それからサイズもそうなんですけれども、加工を考えたときにサブフェムト、フェムト、ピコ、それからミリまで必要になってくる。そういう意味で、10桁以上の領域をきちんと見るというのは非常に重要になってくる。そこは物理と学理をきちんとしてやらなきゃいけないというふうに考えています。
 更に加工中の観測というのは非常に難しいです。温度が数千度まで上がります。それから、金属を切るといった場合、中が見えません。そういうこともありますので、見えないところをどうやってやるかということで、やはり機械学習も導入が不可欠だというふうに考えています。
 こういう研究項目を使うことによって、固相、液相、気相、それからプラズマ、この4つの層、それからプラス開放系という、こういう複雑な系の物理をきちんと構築する必要がある。
 更にそれをベースにして、ミクロ、それからメゾもあるんですけれども、それからマクロ。これまでのダイナミクス、どうやって発展していくか、これもきちんと考える。それをやるためには、やはり材料も液体を専門にしている人、有機を専門、無機を専門、結構ばらばらです。それで特化しちゃってますけれども、そういう人たちの融合という研究スタイルも必要になってくるというふうに考えています。
 それから、放射光施設などの量子ビームを使って、超高速、あるいはいろいろな波長、短波も含めて研究開発が進んでいく必要があるだろうというふうに考えています。5年後、あるいは10年後になってきますと、そういう学理に裏付けられた加工モデルというのがだんだんできて、コンピュータの中でも、デジタル化という言葉を使っていますけれども、そういうシミュレーションの世界ができてくるだろうと。そのシミュレーションも、今は流体連続体力学の中で行われていますけれども、そこに第1原理計算もかなり取り込まれた形にできる。その上に機械学習も入れることによって、見えない世界をリアルタイムで創造しながら加工もできる、そういうことが必要になってくるだろうと。
 それをもとに、光源が何が必要だという。光源開発に対する指針を提供する。ここは、アト秒、岩井先生のお話にもありましたけれども、レーザーをどうするんだと。これも実は日本は後れています、はっきり言って今後れています。ここでも議論があって、やっぱりレーザー開放しなきゃいけない、それは事実なんです。じゃ、何をするかなんです。そこを明確に問題設定していないと、結局回り道になったりとか、やったけれども使えないとかですね。そうすると、一生懸命やっている人たちが後で苦しんじゃうんですね。そういう意味で、そういうことのないような、まあ、正しい方向と言ったら言い過ぎですけれども、間違いが少しでも少ない方向、この学理の研究を通してちゃんと提供してあげると、それが非常に重要になるんじゃないかと考えています。
 先ほどの議論と一緒で、レーザー産業そのものをどうやって日本の中で育成していくか、これは計測装置も一緒なんですよね。実は今週か、さっきも言いましたけれども、昨日ヨーロッパから帰ってきたんですけれども、やっぱり展示会見ても日本のレーザーがほとんどなくなっちゃっている。それから、やっぱり小さな光源、観測技術、測定装置、欧米は結構ベンチャーが作っちゃっていますよね。そうすると、今、ヨーロッパで、量子情報で100億円ぐらい出すんですかね、EUで。そこにはもうベンチャーがどんどん入ってきている。作るし、既存の違うベンチャーもそこに入ってきて、学と産、産といっても中小の産ですけれども、そういうところがどんどんお互いに刺激し合って、新しい方向にどんどん加速しているという感じを強く受けました。
 そういう意味で、学だけでもやはり無理がある。そこをどうやって産を巻き込むかというよりは、場合によっては引き起こすか。そういう観点で活動していくことが必要なんじゃないかというふうに思っています。
 あとは真ん中のところにいろいろ目標数字、精度がどのぐらいとか、こんなことができますということは書いてありますけれども、基本的にはワンストップでできる世界。特に自動車を考えると、工場の中ががらっと変わるだろうと。それを想定して、今我々大学、あるいは学術として何をすべきかということを、今ここでまとめた、そういう状況です。以上です。
【雨宮主査】  どうもありがとうございました。それでは、御質問等あればお願いいたします。根本委員。
【根本委員】  1つ教えていただきたいんですけれども、CPS型次世代レーザー加工機というのを導入するとすると、投資規模というのはどのぐらいのものなのかというのを教えていただけますか。
【湯本委員】  多分、今のレーザー加工装置が数千万ぐらいなんですね、1台。そのうちレーザーは大体半分ぐらい値段とっています。ここでCPSってコンピュータなりがついてきて、これが今の価格だけでは言えないんですけれども、例えば我々、ここに凡例を入れましたけれども、この赤いところ、レーザー援用露光加工、これはEUV露光装置を想定しています。こうなってくると、今のスパコン程度のものが、将来的には我々の見込みではワンチップでできるだろうというところまで考えております。そうすると、CPUの値段がかなり下がるはずなんです。トータルで見ると、分散型か集中型かでも違ってきますけれども、数千万の装置が多分同じ値段か1億円ぐらいか、そのぐらいを想定しています。
【雨宮主査】  ほかにいかがでしょうか。
【岩井委員】  ちょっといいですか。我々のところでも、加工というのを応用に書かなきゃいけないので、それでちょっと教えていただきたいんですけれども。20年ぐらい前に、ピコ秒のレーザーから100フェムト秒のレーザーになったときに、加工の切れ方が違うとかという議論が大分あったと思うんですけれども、そういう観点からすると、例えばアト秒はともかくとして、シングルサイクルの赤外光とか、そういう……。
【湯本委員】  シングルサイクルですね。
【岩井委員】  例えば、赤外光だったら4フェムトぐらいですね。それの先頭値が非常に高い電場を使ってそういうことをやったときというのは、どうなんですかね。ちょっとその辺の御意見を伺いたいんですけれども。
【湯本委員】  まだそこもよく見えていないところは、事実あります。それで1つタイムスケールで考えると、数ピコのところに1つ境があるかと思っています。これは要するに、我々今、2温度モデルで考えています、電子から光子に移ってくる。その光子が本当に熱になっているのが大体10ピコ弱ぐらい。そこまでは、パルス波を短くすると、効率が悪くなってくるんですけれども、そこから下へ行くと、またちょっとよくなったりするという世界があります。それが今分かっているのは、ピコ秒から上で一度ボトムがあるというような、そんな世界が分かっています。
 じゃあ、今それで我々、もう一つ課題にしているのは、熱的に切れないか。熱というのは、本当の光子が動く時間。その前に、電子温度だけが高温、1万度、2万度にして、それで電子を脱離できないか。そういう世界になってくると、多分100フェムトぐらいになるんじゃないかなという気がしています。それもピコ秒、金属とガラス、透明なやつは全く違ってくるんですけれども、電子があるなしなんですけれども。最初、電子がやっぱり形成されないと何もできない。ある場合とない場合と全然違う。ない場合は、やっぱり短いパルスというのは有効になってくる、励起を引き起こすために。
【岩井委員】  スマホの導電性ガラスの……。
【湯本委員】  回りを切るやつですね。
【岩井委員】  丸い切れ方のところが何とかならないのみたいな話を時々聞くんですけれども、その辺はどうなっているんですか。
【湯本委員】  今、結構問題になっています。それで今は、問題は熱で切ると、CO2で簡単に切れるんですよ。ところが、温度上がって切っている。冷えたときにクラックが入る。落としたときに割れる、これが一番問題なんですね。クラックを、何ミクロンか忘れてましたけれども、数ミクロン以下にしてくれというのが、その業界なんです。そうすると、温度を上げて下がるというプロセスが入っちゃうと、使えないかもしれない。そこはまだ見えていないところもあります。だけれども、例えばUVの光を使えば切れるかもしれない。それはエキシマレーザーを使うときに、やはり違ってきているのも事実なんです。ですから、短いパルスよりは、バンドギャップとかボンドのエネルギー、そことの整合性が重要だと。
【岩井委員】  共鳴条件なんですね。何と共鳴させるかという話。
【湯本委員】  そうです。それによって、その後のプロセスが、過程がみんな変わってくるということだと。そこを考えないと、ただ切れるからいいでしょうという話にはならないと。
【上田委員】  ボンドのところを狙って、ピンポイントでいくと、そこだけすっと切れるかもしれませんね。
【湯本委員】  かもしれません。あとはレーザー。だから、そういうのがちゃんと見えて、この波長のレーザーを作ってくれ。その指針がきちんと示されれば、非常にレーザーを作る人にとっても有り難いわけですよね。それがもしかしたら10ナノ変わると駄目かもしれない。今のレーザー産業というのは、基本的には大出力のファイバーレーザー、1ミクロン帯か10ミクロン帯なんです。せいぜいそれの倍波の0.5ミクロン。材料の都合で切っているんじゃなくて、レーザーの都合で切っているわけです。そこをドラスティックに変えるにはどうしたらいいか。
【上田委員】  物理、化学、材料、AIまで含めると、かなりインターディシプリナリーな統合知識が要求される分野なんですね。
【湯本委員】  そうですね。
【上田委員】  逆に新しいサイエンスとテクノロジーの形態というんですか、しかも利益を生める、そういうプラットフォームになるとすばらしいですね。
【湯本委員】  そうですね。そういう1つのケーススタディーになるんじゃないかと。
【岩井委員】  やっぱりさっき先生がおっしゃったように、本当に基盤からやるためには、それに関係したいろいろな分野を全部統合したプロジェクトを作らない限り、1つのことのためにそこからやるのは絶対無理なので、相当組織立ったことをやらないと駄目でしょうね。
【上田委員】  レーザー産業の育成という、いろいろな観点からの育成がありますけれども、これは1つのいい切り口かもしれませんね。
【湯本委員】  だと思っています。
【雨宮主査】  じゃ、飯田委員。
【飯田委員】  この加工精度と深さがマイクロ加工10ナノメートル精度で、改質加工では2ナノメートルまでいけるというお話なんですけれども、ここまでいければ現状原子ビームで加工しているマイクロ流体チップの加工にも利用できて、それを置き換えることもできるのかなと思いました。
【湯本委員】  そうですね。ここは今言われたのは改質のところですね。
【飯田委員】  はい。
【湯本委員】  そうすると、加工とはちょっと違うのかな。本当に穴をあけるとか、そういうところは多分材料にもよるんですけれども、半導体でしたらサブナノぐらいまでは多分いくと思います。
【飯田委員】  例えば、表面にプローブになるような分子を修飾したりとかするときに、ラフネスが問題になりますが、ナノメートルオーダー、若しくはそれ以下での精度の加工ができれば、バイオチップへの応用も考えられると思います。
【湯本委員】  はい。
【城石委員】  これは、産業界とすると非常に期待されるんですけれども、量子という観点からすると、先ほど御議論あったように、ボンディングのエネルギーの幅を物すごくチューニングするところに課題があって、そこは何を課題としてやられるかというのはどういうふうに考えればよろしいんですか。
【湯本委員】  ある意味では、ほかの量子情報とか量子ブレーターとは、かなり量子という言葉が違っていると思っています、ここでは。それよりはフォトンという、そういう量子だと思っていただいた方がいいかと思っています。エネルギーをフォトンとして考えるとかですね。そういう意味では、ここで我々は量子という言葉は、中では量子現象を使ってはいるんですけれども、それを前面に出すことはあえてはしてません。
 逆に、本当のさっき言った量子シミュレータ、量子情報に、この技術をやることによって光源できると。サブナノで物を作れる。そういう形で、最終的には量子コンピュータに貢献するという、そういう形になるかなと思っています。
【城石委員】  済みません、もう1点。今の御議論で御説明を伺っていて思ったんですけれども、レーザー加工のための加工学理って書いていただいていますけれども、それってかなり量子現象なり、そこにフィジックスがあって、そこの現象をうまく使うことで全く違った加工が出てくる、というふうに書かれた方が良くはないでしょうか。書いてある物理量も、加工精度とかそれよりも、何かそれの方がすごい革新的っぽいような気がするのですが。ここに書いてあるのは、割と、理解、なじみやすいので、従来と何が違うんだろうと感じました。
【湯本委員】  いや、これ、かなり違っているんですけれども。
【城石委員】  まあ、でも分かりやすいので。
【湯本委員】  分かりました。
【岩井委員】  確かに人事だともったいないと思いますね、やっぱり。すごさが伝わらない。
【城石委員】  そうですよね。
【上田委員】  むしろ課題設定をすること自体から始めないといけないんですよね。そういう意味で、ほかの分野とはかなり異質な感じがします。
【湯本委員】  そうですね、状況、タイムスケールもかなり違っていますのでね。
【上田委員】  何が問題かということを理解することから始めないといけない。しかも恐らくそこには、物理、化学、材料のフロンティアがあるというのがかなり明確だと思います。これは量子だけじゃなくて非平衡、非線形、開放系なので、非常にチャレンジングなテーマですね。
【城石委員】  分かりやす過ぎて、ちょっともったいないと思いますけど。
【飯田委員】  次世代レーザー加工とか量子レーザー加工とか、そういう形にしてはいかがですか。
【湯本委員】  シーケンス型という名前もかなりいろいろ議論がありました。ただ、量子……。ちょっとやっぱり。
【雨宮主査】  まだあるかと思いますが、大分時間も来ていますので、どうもありがとうございました。
 この4項目を俯瞰して、特に御意見がありましたら。5分ぐらいとるつもりでしたが、各部で大分議論が延びてきたので、時間はありませんが。今までの議論の中でも、全体での意見も出てきたと思いますが、いかがでしょうか。
【城石委員】  1点だけ。全体を俯瞰する1枚というのは作っていただけると思ってよろしいんでしょうか。先ほどの議論の中でもあったんですけれども。
【上田室長】  そもそも最終報告書自体に、何かしらの説明のポンチ絵みたいなものは必要ですね。そのときには全体的なことも書かなければいけないでしょう。今おっしゃっているのは、4つのロードマップを俯瞰するような全体像ということでしょうか。
【城石委員】  それの位置付けが……。
【橋本補佐】  最初におっしゃった社会課題というのを明確に示して、そこにこれがしっかり連なっていくんだというのを包括的にというような。
【城石委員】  そうですね。それとあと、量子というのが何で出てきて、それが実現できるのかということでしょうか。やっていることが物すごくいいことなので、是非そういうのがあった方が、分かりやすいかなと思ったので。
【橋本補佐】  工夫したいと思います。
【上田室長】  多分、量子というのは2つに使われていますよね、あらわになって出ているのが。普通のほかの人が見たときに、その量子が同じなのか違うのか、あるいは違うにしても、ベースは同じだけれども、アプリケーションの出口として違っている。そういう差がなかなか見えにくいのではないかなという気がしています。
【雨宮主査】  各検討グループにおいては、検討ありがとうございました。何か事務局からありますでしょうか、今後のロードマップのことで。
【上田室長】  これまでのロードマップ検討グループの有識者の方々、リエゾンの皆様にまずはお礼申し上げます。本日いろいろと頂いた御意見は、表現ぶりのようなところも多くございますので、事務局としてもできる限りサポートをさせてもらい、ブラッシュアップをもう少し継続するということかと考えております。
【雨宮主査】  そういう形でお願いいたします。
 それでは、議題2に入りたいと思います。推進方策の検討について、事務局より簡単に御説明お願いいたします。
【上田室長】  前回の委員会で、今後報告書を作成するに当たり、推進方策の具体化についてたたき台をお示ししまして御議論いただきましたが、その修正案を作成しましたので御説明いたします。
【橋本補佐】  私の方から説明させていただきます。ちょっと時間がなくなってきましたけれども、可能な限り御意見を頂ければと思います。
 資料2-1と2-2と用意しておりますけれども、2-1の方は前回からの違いが分かるように見え消しにしたもので、資料2-2の方は修正したものを全部飛ばしたものでございます。前回からの変更点も含めて説明したいと思いますので、2-1をベースに御説明したいと思います。改めてですけれども、この文書は最終的には中間取りまとめの3ポツと4ポツのところをこの文書に置き換えて、それで1つの報告書にまとめていくと。その中には、作成いただいておりますロードマップを含め、1つの報告書に束ねていくというイメージでおります。
 前回からの変更点をかいつまんで御説明いたします。まず、冒頭の文章ですけれども、前回の委員会の中で、なぜ量子が注目されるようになってきたということを、よりしっかり書いてほしいという御意見を頂きましたので、それを踏まえて改めて書き直したところです。この書いた過程で、今年度になってから新しく政府の方でも動きがあったものをアップデートしておりまして、この1枚目の下の方ですけれども、前回の委員会でも御紹介しましたが、内閣府の方で新しい官民研究開発投資拡大プログラムというものが来年度から創設されることになりまして、その中で光量子技術というものを含む革新的フィジカル空間基盤技術というのがターゲット領域の1つに決定したという動向がございましたので、そちらを記載させていただきました。
 また、未来投資戦略2017、成長戦略が今年の6月に閣議決定されましたので、その中で関連する記述として、前回の議論でもイノベーション・ベンチャーのエコシステムといった観点などございましたので、それに関連する記述を記載してございます。
 以上が1枚目の修正点に関してですけれども、2ページ目に移りまして、2のところですが、前回の委員会の中で、課題先進国という観点で、よく書けているけれども、更にSDGs(Sustainable Development Goals)についても触れるとよりよいのではないかというコメントを頂きましたので、それを踏まえて修正してございます。
 それから、次のページですけれども、3ページ目のところは、細かく修正しているところはございますが、改めて事務局で読み直して、こういうふうに書いた方が分かりやすいだろうというところを、細かい表現ぶりですけれども修正してございます。
 それから、4ページ目でございますけれども、まずイのところで、基盤技術のところがちょっと位置付けが分かりにくいというコメントがございましたので、共通的な基盤技術、共通的なというのは、1から4の4つの領域を共通的に支えるような基盤技術といった観点を出したのと、あと基盤技術のところに、光学・フォトニクスとか加速器・計測技術だけではなくて理論的なものも含むということなのではないかという御意見を頂いていたと思いますので、理論を含めた基盤技術の研究開発というふうに入れております。
 それから、2のところですけれども、タイトルのところに継続的に強化するということを強調するようにしましたのと、あと真ん中のところで、量子技術と生命科学の融合部分ですけれども、「量子レベルから機能を統合的に理解し」と、理解まででとどまるのではなくて制御までということが大事ではないかというコメントを頂きましたので、「制御する」ということを入れてございます。
 それから、5ページ目でございますけれども、人材育成のところに下の3行を追加してございまして、こちらはダイバーシティーの観点、前回委員会で御指摘いただきましたので、ダイバーシティーの観点を、特に女性研究者の人材育成に取り組むということが重要であるといったことを記載してございます。
 それから、その下のイノベーション・ベンチャーのエコシステムの構築と改めて見出しを書き直した部分ですけれども、前回の議論の中でもアントレプレナーシップ、それからベンチャーといった議論が行われまして、それを踏まえてここを書き直してございます。冒頭のところに、想定ユーザーとの共同研究・産学連携やベンチャー創出の促進などによって経済・社会の多様なニーズに取り組んでいくことが重要であるといったこと。それから、後半6行ほどですけれども、社会・社会の様々な問題が複雑化している不確実性の時代において、アントレプレナーシップを持つということが重要であるということ。それから、大学や国立研究開発法人のインキュベーション力の強化ですとか、ベンチャー・キャピタルを初めとする企業関係者とのネットワーク形成など、こういったことを通じまして、イノベーション・ベンチャーのエコシステム構築を目指すべきであるといった観点を追記させていただきました。
 以上、前回からの変更点を説明させていただきました。
【雨宮主査】  どうもありがとうございます。資料2-1と2-2で、2-1が見え消しになっている点ということで、前回との差分です。前回御欠席の委員が何人かいらしたので、差分以外の部分も含めてコメント、御意見あれば頂ければと思います。どうぞ。
【美濃島委員】  全体をよく読めてないのですが、1つ、人材育成のところで追加していただきたいのは、流動性確保とか異分野交流というのは非常に重要なことだと思うんですが、それに加えて、以前から、ある種の継続性というか安定性も重要という議論もあったと思います。やはりプロジェクトベースで短期に切られてしまうような雇用形態のみでは、挑戦もできないと思うんですね。例えば、ある組織に留まらず、分野で育ってきた人材をうまく回して活用していくような仕組みであるとか、従来の停滞するような安定ではなく、挑戦できるような継続性の確保という、もう少し広い形で見た人材の活用に関する安定性というような観点を少し入れていただくとよいかと思います。
【雨宮主査】  ほか、いかがでしょうか。
【根本委員】  済みません、ちょっと細かいことを聞いて申し訳ないんですけれども、2ページ目の新しく加えられたところで、「成長と格差是正を両立する世界に類を見ない社会を目指し」というふうになっているんですけれども、世界に類を見ない社会というのはどういった部分を想定されていらっしゃるんでしょうか。
【橋本補佐】  我が国においてもやっぱり格差というのが話題になってきているところだと思うんですけれども、成長も維持しながら格差の是正もしっかりしていくという社会を両立するというのは簡単なことではないというような、1つの常識なのかなと思って、そういう意味でこういうことを両立できるというのが世界に類を見ないのではないかという趣旨で書かせていただいております。これは我が国だけじゃなくて、世界的に課題になっていることだと思いますけれども、世界的に先進国は成長を追求する余りに、なかなか格差の面というのをしっかりと手当できていないというところは、世界的に問題になっているところ。アメリカなんかも特にですよね、議論が活発になっていると思いますけれども。そういう世界的な現状を踏まえて、こういう世界に類を見ないという表現を使わせていただいています。
 これが、「類を見ない」というのは言い過ぎとかということであれば、もうちょっとこういう表現をした方がいいとか、御提案いただけますと非常に助かりますけれども。一応参考にした文書はございまして、経済産業省の方の審議会でまとめている文書がございまして、その中でこういうフレーズを使っているところがあって、それを参考にさせていただいています。
【根本委員】  いや、そうなんだろうなとは思ったんですけれども。
【上田室長】  SDGsを盛り込むに当たり、少し政府内の文書を当たったところ、このような文言があり、それを記載しております。
【根本委員】  ここだけ何となくカット&ペースト的に見えるのは何でだろうなと。
【橋本補佐】  大胆な感じだと思うんですけれども。
【城石委員】  「世界に先駆けて」というので、いいのかもしれません。「世界に先駆けてその実現を目指す」とか。そうしたら、よそにないという意味ですよね。
【根本委員】  先導するようなという意味合いですよね。
【城石委員】  そういうニュアンスでしょうか。「世界に類を見ない」というと、確かにちょっと引っかかる人がいるかもしれません。
【雨宮主査】  そうね。類を見ないというか、想像できないというネガティブなイメージに聞こえるとよくないので。
【橋本補佐】  ありがとうございます。
【雨宮主査】  ほかにいかがでしょうか。もう少し時間をとってもいいという配分で最初は考えていましたが、そろそろ時間なのですが。はい、じゃあ。
【美濃島委員】  簡単に。ここで考える量子とは何かという話がずっと委員会でもあったと思うんですね。先ほども量子という言葉に異なる意味があるという議論があって、あとは量子が何をもたらすのかの特徴がもっと一目でわかった方がいいんじゃないかとか、そういう観点が最初の一言、イントロのところに何か書けるといいと思ったんですが。これをやはり単独で見たときに、この文章が対象としている量子というのはどういうイメージなのかという、定義というか、何をイメージされるかというのが一言書けるといいかと思いましたので。今、すぐにどうしたらいいかという案はありませんが、検討していただけると。
【上田室長】  悩ましいですね。中間とりまとめの1.、2.でそういったところを長々と記述しておりまして。
【美濃島委員】  そこから少し持ってこれるといいかなと。
【上田室長】  工夫してみます。
【雨宮主査】  よろしいでしょうか。
 それでは、これで一通り議論を終了いたしましたけれども、何か全体を通して、委員の方からございますでしょうか。
 特になければ、事務局から伝達事項等よろしくお願いいたします。
【吉川補佐】  本日は、皆様ありがとうございます。次回の量子委員会なんですけれども、今、皆様の御都合を聞かせていただいているところですけれども、7月の下旬から8月中旬、そのあたりで設定していきたいと考えています。皆様のまた御協力をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 本日の資料ですけれども、郵送を御希望の方は、封筒に入れた後、机上に置いていただければと思います。あと不要な資料、ドッチファイルについては、机上に置いたままにしていただければと思います。
 以上です。
【雨宮主査】  それでは、以上をもちまして第13回の量子科学技術委員会を閉会いたします。今日は御出席いただき、どうもありがとうございました。

―― 了 ――


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-- 登録:平成29年10月 --