資料2 我が国における研究用原子炉について

福井工業大学 工学部 原子力技術応用工学科 教授 来馬克美

1.背景

○ 福井県は、地域と原子力の自立的連携を目指して、平成17年3月に「エネルギー研究開発拠点化計画」を策定し、計画を具体化
○ 将来構想として、アジアを中心とした国際的・応域的・中長期的な連携協力の“要”となる大型共同利用施設(研究炉、ホットラボ等)設置の必要性を強く認識
○ 拠点化計画の柱である「安全確保」「研究開発」「人材育成」「産業創出」の目玉となるべき施設=研究炉整備の構想
○ 「画竜点睛」を欠くことのないように準備!

2.経緯

○ 若狭湾エネルギー研究センターは、児嶋眞平先生(元福井大)、山名元先生(元京都大)、山口彰先生(元大阪大)、山本章夫先生(名古屋大)にフランスとドイツの研究炉調査を委託 20年7月
○ 日本原子力学会は、「将来必要となる共同利用研究施設検討」特別専門委員会(三島嘉一郎委員長)を設置し検討。報告書作成 21年10月~22年9月
○ 原子力学会秋の大会(北海道大)で、報告書の特別セッション開催 22年9月
○ 原子力学会から学術会議へ要請する準備 22年秋
  →23年3月福島事故発生による中断
○ 事故後、国の原子力人材育成部会、原子力研究開発基盤部会、原子力学会、学術会議等で、さまざまな検討開始
○ 新規制基準対応のため、国内の全ての研究炉は運転停止
  (29年秋現在、近大炉と京大炉のみ再稼働)
○ 福井大学学長、福井工業大学学長が、県のエネルギー研究開発拠点化推進会議で、大学における原子力人材育成に新しい研究炉は不可欠と要望 27年11月
○ 日本原子力学会、「我が国における研究炉等の役割(中間報告書)」 28年3月
○ 国による高速増殖原型炉もんじゅの廃止措置決定に伴い、県が国に新研究炉整備の検討を要請
○ 文部科学省(原子力安全研究協会に調査委託→有識者委員会設置予定)
○ 科学技術審議会原子力研究開発基盤部会(第4回)開催

3.海外の研究炉

○ドイツ;ミュンヘン工科大学 原子炉安全研究所
    FRMII;20MW 高濃縮ウラン燃料、2005年4月~運転中
               ミュンヘン市中心部から約20km北部に位置
               中性子源(cold-neutron flux)医療、RI製造、
               *炉心設計は学生のコンペで決定

○フランス;CEA カダラッシュ研究センター
    JHR(ジュールホロビッツ原子炉)
       出力・100MW 2007年~建設中 AREVA建設主体
               燃材料試験、RI製造等  *ホットセルも設置
       コンソーシアムメンバーはヨーロッパ中心の参加国
       建設資金負担額に応じて利用時間配分を決定する仕組み
       *JAEAも参画

4.新研究炉のイメージ

○ ポスト京大炉・近大炉
○ IAEAによる原子力安全人材育成の国際的な拠点施設
○ アジアの原子力安全向上、研究開発、人材育成、産業創出の中心としての役割期待
○ 高度医療(BNCT)、RI製造、医薬品開発、非破壊検査(中性子ラジオグラフィー)、自動車部品開発など
○ 産学官連携による共同利用プラットフォームの構築


お問合せ先

研究開発局 原子力課