原子力科学技術委員会 原子力研究開発基盤作業部会(第2回) 議事録

1.日時

平成29年5月29日(月曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 5階 5F1会議室

3.議題

  1. 大学が保有する試験研究炉等の現状について
  2. 国として持つべき原子力研究開発機能と、その維持に必須な施設に関する現状把握・整理について
  3. 照射炉の代替機能について
  4. 「もんじゅ」サイトを活用した新たな試験研究炉の調査について
  5. 原子力機構が保有する施設の運営・供用体制について
  6. その他

4.出席者

委員

山口主査、寺井主査代理、五十嵐委員、尾野委員、木藤委員、多田委員、中島委員、横山委員

文部科学省

増子研究開発局審議官、西條原子力課長、小川原子力課課長補佐

オブザーバー

近畿大学原子力研究所伊藤所長、日本原子力研究開発機構大井川事業計画統括部長、日本原子力研究開発機構永井戦略・国際企画室次長、日本原子力研究開発機構楠大洗研究開発センター照射試験炉センター副センター長

5.議事録

(小川原子力課長補佐) それでは、少し早いですが、皆様おそろいのようですので、ただいまから第2回の原子力研究開発基盤作業部会を開催したいと思います。
 報道の方で撮影をされる方は、ただいまから議事に入るまでの間でお願いいたします。
 本日は御多忙にもかかわらず御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は、第9期最初の部会となりますので、冒頭は便宜的に原子力課の小川が議事を進めさせていただきたいと思います。
 初めに、本日の出欠と配付資料の確認でございます。
 本日は、8名の委員の方全員に出席していただきましたので、定足数である過半数を満たしてございます。
 続いて、本日の配付資料の確認をさせていただきます。
 議事次第を御覧ください。
 資料1としまして、原子力研究開発基盤作業部会(第1回)における主な指摘事項、資料2としまして、京都大学の研究用原子炉施設、資料3としまして、近畿大学試験研究炉(UTR-KINKI)の現状について、資料4としまして、国として最低限持つべき研究開発機能とその機能に必要な原子力施設の充足状況について、資料5としまして、照射炉の代替機能について、資料6としまして、「もんじゅサイトを活用した新たな試験研究炉の在り方に関する調査」委託業務概要、資料7としまして、原子力機構の主な供用施設における実績と課題でございます。
 また、参考資料といたしまして、参考資料1-1として、科学技術・学術審議会組織図(抜粋)、参考資料1-2として、原子力科学技術委員会運営規則、参考資料1-3として、原子力科学技術委員会における作業部会について、参考資料1-4としまして、第9期原子力科学技術委員会原子力研究開発基盤作業部会委員名簿、参考資料1-5としまして、原子力科学技術委員会原子力研究開発基盤作業部会の概要、参考資料1-6としまして、施設中長期計画、以上でございます。資料の欠落等がございましたら事務局までお知らせください。また、議事の途中でもお気づきの点がございましたら、遠慮せずにお申しつけいただければ幸いでございます。
 それでは、参考資料1-4を御覧ください。
 参考資料1-4は、第9期の原子力科学技術委員会原子力研究開発基盤作業部会の委員として御就任いただいた皆様を御紹介させていただきます。8名の委員の方全員が前期から引き続きお願いさせていただいております。
 なお、山口先生におかれましては、原子力科学技術委員会主査より指名を受けまして、本作業部会の主査を務めていただくことになってございます。
 それでは、皆様よろしくお願いいたします。
 それでは、まず、山口主査より御挨拶を頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(山口主査) おはようございます。
 この作業部会、主査を務めさせていただくことになりました。御指名を受けました山口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に挨拶をということですが、この研究開発基盤に関する作業部会ですが、いろいろな方とお話ししても非常に期待が高い作業部会になっていると思います。現実にそれは研究基盤に対して非常に多くの方が危機感を持っていらっしゃるということのあらわれでもあるというふうに思います。従いまして、ここでしっかり議論していただくということになるわけですが、もう一つ、昨今の事情を既にJAEAでは幾つかの研究施設がスクラップといいますか、そういうことになるということを表明されておりますし、従来にも増して緊急度が高いというのがもう一つ、2つ目の特徴かなと思います。
 更に言えば、これまで日本の原子力の研究開発が1ラウンドしてきまして、当初からずっとつくってきた様々な研究施設の利用とか活用とか、そういうものを踏まえたいろいろな教訓とか反省点とかあるというところ、そういう経験を我々今持ってきているということも重要なポイントかと思います。それを踏まえまして、多くの方にしっかり活用していただく一貫性を持った考え方で長期にわたって持続的にうまく原子力の利用とペアになりながら、それから人材の問題とか、そういうものにもうまく反映されながら、活用されながらしっかりした研究基盤の体系といいますか、それを構築するというのが重要な我が国の原子力分野におけます科学技術の課題だというふうに認識しております。そういう議論のできる場は正にこの作業部会であると思いますので、委員の先生方はこれまでこういう問題に非常に高い関心、見識を持っていらっしゃったことは重々承知しておりますが、それにも増して今後の議論をしっかりと取り組んでいただいて、この作業部会から科学技術委員会の方にしっかりした報告を上げていき、それが政策として反映されて原子力の利用が社会から受け入れられて、持続的にしっかりなされていくようにというふうに願っております。どうぞこの作業部会の検討、議論の方をよろしくお願い申し上げます。
 それでは、先ほど御説明いただきましたこの作業部会、規約によりまして主査として主査代理を指名させていただくことになってございます。私としましては、前期に引き続きまして寺井委員に主査代理をお願いしたいというふうに考えている次第でございます。いかがでしょうか。寺井先生、よろしいでしょうか。

(寺井委員) はい。

(山口主査) それでは、寺井委員、どうぞ主査代理の方をよろしくお願いいたします。
 それでは、これから議事に入らせていただきます。報道の方はいらっしゃらないかなと思いますが、よろしいでしょうか、撮影のほうは。
 本日の議題ですけれども、お手元の議事次第に書かれておりますとおりで、第1議題としまして、大学が保有する試験研究炉等の現状についてでございます。第2議題が国として持つべき原子力研究開発機能とその維持に必要な施設に関する現状把握・整理について、更に第3議題としまして、照射炉の代替機能について、第4議題として、もんじゅサイトを活用した新たな試験研究炉の調査について、第5議題として、原子力機構が保有する施設の運営・供用体制ということでございます。12時まで時間をとってございますが、時間のコントロールにつきましては、その議論の進み次第ということで考えてございますので、どうぞよろしくお願い、御協力をお願いいたします。
 では、最初の議題に入らせていただきます。
 大学が保有する試験研究炉等の現状についてでございます。
 我が国で京都大学がKURを持っていらっしゃいますので、京都大学にまず最初に、京都大学原子炉実験所の中島教授より説明を頂いて、それからその後でもう一つ、近畿大学におきましても研究炉の方随分御尽力いただいておりますので、近畿大学原子力研究所の伊藤所長より説明を頂いて、それから議論に入りたいと思います。
 では、まず、中島教授よりお願いしたいと思います。

(中島委員) どうもありがとうございます。京都大学原子力実験所の中島でございます。
 京都大学の研究用原子炉というタイトルの資料2を用意させていただきましたが、つくった後に説明を10分程度でやってくれという話で、30枚ぐらいありまして、大分はしょりながら説明させていただきます。
 右下に小さい字ですけれども、ページ番号が打ってございますので、このページでくくっていただければと思います。
 まず、開きまして2ページ目、3ページ目でございますが、我々のところは全国の大学の共同利用研究所ということでございまして、いろんな設備がございますが、今日はこの中の研究用原子炉KUR、それから臨界集合体実験装置KUCA、赤い字で書いているものでございますが、この2つ、主にKURメインなのですが、説明させていただきます。
 その前に、3ページのところでそもそも共同利用研究というのは我々のところでどんなことをやっているかということですが、黒ポツで4つ、それから赤いポツで3つ書いてございますが、最初のところは一般的な話ですが、全国の大学側と国公立研究機関、最近ちょっと民間もサブならいいだろうということで入ったりしてもらっていますが、共同利用ということで全て公募でやるということ、必要な経費は基本的には京大側が支出するということでございます。
 これに対して、これをいかに円滑にやるかというところが赤いポツで書いてございまして、共同利用、我々、研究炉といっても研究炉に附属するいろんな設備がございますが、それらの装置の担当者というのが京大の我々の中で決めております。基本的には研究者、それからそれをサポートする技術職員でございますが、これらの方々が外部から利用したい人たちを計画段階からサポートすると。研究会等を開いてその使い方をみんなで勉強したりとかあるいは新しい使い方を討議したりするということでございます。
 あと、我々も含め全ての共同利用研究者というのがこの原子炉実験所の中に原子炉利用研究者グループと、我々は利用者グループとか、ユーザーグループと言っておりますが、これを設置しておりまして、この中に全員が参加する。このグループの中から原子炉実験所の意思決定機関になりますが、運営委員会であるとかあるいは共同利用の今後の在り方とか採択を検討する共同利用研究委員会に委員を利用者の代表として推薦すると。こういった運営にも共同利用者の声を反映できるような形にするということでございます。
 それから、あと実験設備でいろいろ不具合とかあったりとか、あるいは新しいテーマをやりたいとかいうところがありましたら、主たるところは我々原子炉実験所の研究者がやるわけですが、これに対して利用者の利用法とかニーズをできるだけ反映すると、そういった形をとっています。これによってうまくできるのではないかと。
 特に、例えば後で簡単に触れますが、医療照射というのが特徴的でございますが、我々のところには医者のグループ、それから医学物理士というグループ、それからあと実際の装置を管理するといったグループがあって、それらが適切なサポートを行っているということでございます。
 その次のページ、4ページがKURのところでございますが、KURはいわゆる典型的な汎用型の研究炉でございまして、1964年に初臨界で当初1メガワットで運転をしておりましたが、4年後の68年に5メガワットに出力を上げたということでございます。いろいろ書いてございますが、2010年からはそれまでの高濃縮ウランに変えて低濃縮ウランを使っていると。上に書いてありますが、濃縮で約20%のMTR型、平板の燃料を使っているということでございます。
 その次のページ、いろんな分野、放射化分析といったような典型的なものとか、医療照射、それからそれ以外の基礎的な科学あるいは原子炉工学に直接応用できるような研究といったものを行っているということでございます。
 6ページ目では、いろんな実験設備がございまして、この炉心の周りにも炉心から中性子を取り出すような実験孔がございますが、このうちの例えばB-1と下に赤い字で書いてある、あるいはB-2と書いてあるものが最近更新した、あるいは新しく入れたものでございまして、こういった更新の実施に当たっては外部の研究者の意見を取り入れたり、あるいはB-1の陽電子ビームの方はむしろ外の先生からの提案で、そこのプロジェクトにのって一緒にやるといったような形をやっています。
 それから7ページ目以降は最近のトピックスということですが、御存知のホウ素中性子捕捉療法、すなわち医療利用ということでございますが、一時KURが停止していた時期もありますが、大体ここ数年は年平均で40件から60件ぐらいの医療照射を行っています。ただこの3年間はできていないということでございます。
 それから8ページが放射化分析で、これはトピックス的なものですが、はやぶさが持って帰ったような試料の分析なんかもやって基礎科学に貢献しているということでございます。
 片や9ページに行きますが、KUCA、臨界集合体実験装置でございますが、これはKURから10年後の74年に初臨界、現在の最大熱出力は100ワット、当初は1キロワットで1時間だけ運転できるというのもあったんですが、新規制対応でいろいろ不必要なことをやめようということで100ワットに下げています。特徴的なのは、複数架台といいまして、炉室の中に3つの炉心がA、B、Cというのがあって、これを制御系を切りかえながらどれか1つを選択して運転するということです。KURとの大きな違いというのは、KURの方は中性子源として利用するということですが、KUCAはそうではなく、炉心の核特性を主に勉強するというか、研究するというもので、これは教育的な効果も非常に高いですし、研究のトピックスとしては、この9ページの下に書いてありますが、加速器駆動未臨界システム、いわゆるADSの実験を世界で初めて開始したというのもございます。
 ちょっと詳細は省略させていただきますが、10ページにはADSの概念的な絵が描いてあって、中性子のパルスが出てちゃんと実験をやっているという話、それから11ページには、特徴的なものとしての実験教育で、全国の原子力を専攻する学生をここに集めて1週間泊まり込んでやると。1回に大体この写真に写っているような20人ぐらいの学生が毎週来て、それが大体年に7週間から8週間ぐらいやるということで、最近ですと年200名ぐらいの主に大学院生が、ここに来て1週間の勉強をしていくということで、今、この表の中では2010年3,000名到達と書いてありますが、とまる前までで確か4,000名ぐらいにはもうなっているということでございます。
 次のページは、ページ番号が打っていないですが、はしょりまして、13ページが施設の利用状況ということで、最近のデータは載っていないのですが、これは共同利用の件数が縦軸に書いてあって、内訳としては各設備ごとということになっていますが、大体年間150から二百数十件ぐらいの共同利用、これは最近も大体そのぐらいの数で推移していると。残念ながらこれが今3年間KURがとまっていて使えない状態であるということでございます。
 次の14ページもはしょりまして、15ページでございますが、最近の状況ということですが、新規制基準への対応ということで、御存知のように福島事故後に研究炉の新規制基準が2013年12月18日に施行されて、翌年に我々は適合確認を受けるための審査を開始したということで、いろいろ紆余曲折はございましたが、昨年5月11日に小さい方のKUCAの設置変更が合格しました。それからその数か月後、9月21日にKURの設置変更が合格したということであります。近大も同じく5月11日に合格して既に再稼働しておりますが、我々のところはまだちょっといろいろ検査をやっている最中ということで、下に書いてございますが、各種工事をやって、それから運転再開に向けての使用前検査、施設定期検査を実施中、KUCAの一部も使用前検査を開始しておりまして、KURも実は今日から検査を受けております。
 16ページですが、新規制基準で、何が変わったかということですが、四角印で書いてございますが、特にKURのような出力の高い炉、中高出力炉では今までの設計を超えた事象ということでBeyond DBAと言っておりますが、法律用語では「多量の放射性物質を放出する事故」の拡大の防止というのを追加で要求されております。
 それから、あとやはり地震、津波の評価が甘かったということで、自然災害についての評価が非常に厳しくなっております。これは後でちょっと簡単に触れますが、それ以外にもここに書いているようなものがあって、あと一番下にありますが、今回新しく施行されたものについては全ての項目について、既に認可を受けているものに対しても適合しなくてはいけない、いわゆるバックフィットでそのために全部含めて審査をやり直しているということでございます。
 あともうずっと飛ばしまして、17、18、19ページが地震の評価、これはSsの評価をやって、これも大分厳しくなっております。
 それから21ページが外部事象、それから内部事象ということで、赤で書いているのは竜巻とか火山、森林火災、あるいは内部溢水(いっすい)、内部火災、この辺がなかなか評価が難しくて結構時間がかかったところでございます。
 典型的な例としては、例えば23ページにぐるっと丸が書いてあって、赤い字でKURとかEG1とか、ちょっと見にくいですが、EG2とか書かれておりますが、これがKURの炉心のあるところ、それからEG1、EG2と書いてあるのはKUR用の非常用発電機のある場所なのですが、これを竜巻から守らなくてはいけないということであります。これで今想定としては92メートル毎秒の風が吹くと、この丸が3つ書いてあります。それぞれを中心とした丸なんですが、この丸の中にある車が飛んでくる可能性があるということでございまして、電力では車を固縛とかしたりしているのですが、我々のところはそうもいかないので、黄色い丸の書いてあるところは駐車場なのですが、この黄色い丸の駐車場にある車を竜巻警報が出たら大きな丸の外に、左の方に赤い丸が書いてございますが、ここにすぐに退避させますよということを国に約束しておりまして、これは利用者の皆さんにも重々お願いしなくてはいけないのですが、こういったことで対応するとしております。
 それから24ページが火災対策ということで、これはちょっと見にくいのですが、KURとかKUCAのこの絵でいくと左側の方に竹林などがございまして、森林というほどではないのですが、やはり火災が迫ってきたら何らかの対応が要るということです。具体的には、この破線とか斜線で示した部分で延焼を防止するということでありまして、このときに斜線の部分は十分な管理がし切れないエリアということで草木が多少生い茂っている。この部分にはすぐに水をまいて延焼を防止するということで、予防散水と呼んでいますが、これもいつでもこれができるようにしていますということを説明して了解を頂いております。
 25ページが多量の放射性物質を放出する事故ということで、これまでの事故の想定を超えてほぼ全炉心の溶融につながるような、放っておけばつながるようなことを想定していろんな対応をとるようにということで、モバイルの消防ポンプとかを用意したりしているということでございます。
 これらを受けて26ページ、27ページに記載のいろんな工事をやるということです。それは、大部分は終わっておりまして、現在はそのためのいろんな検査を受けているという状況でございます。再開までどんな手順を踏むかというのが28ページにございまして、上の黄色の枠の中で入ったのが全体の流れでございます。設置変更や保安規定の改定、それから工事等が必要であればマル3で、設工認というのは設計及び工事の方法の承認申請、認可申請でございますが、それをやって承認されたものから順次工事をしていくということです。工事が終わったものから順次、使用前検査、検「査」が抜けていますが、マル5の使用前検査を受ける。それからマル6というのが本来抜けているのですが、最後に施設の定期検査を受けて、それでやっと運転再開と、こんな流れでございます。
 今のところ、このマル4、マル5のあたりと使用前検査を一部開始したところ、重なっているあたりが今KUR、KUCAともに実施しつつあると。今日からKURは使用前検査を開始したということでございました。こういったことで運転を再開したいと考えているということでございます。
 あと、最後の2枚は、研究炉の課題ということでございまして、今後再開した後もいろんな問題があるだろうということであります。やはり直近の問題としては人とお金ということで、人員・経費と書いてございますが、新規制基準の適合確認のために今までも長期にわたり教員・技術職員が対応してきていますが、再稼働後も常にこれは最新の情報を反映するあるいはこれから法改正により検査制度が変わるといったこともありますので、種々の対応が必要で、それをやっていくための人手が足りない、お金もかかるでしょうということでございます。
 やはりあと大きいのは、規制の中に安全管理において品証というのを、今までも入っていたのでこれがかなり厳格に適用されるようになりまして、これに多大な労力を割かれているということです。あとそもそもの運転要員がなかなか厳しい状況になっておりまして、特に5MW(最大出力)でKURを運転するときは、先ほどのBeyond DBA対応で運転員を今まで3人でよかったところを5人に増やさなくてはいけない。こういうのをやっていくと人手が足りなくなってくるといった問題があります。それから使用済み燃料の取扱い、これは前から話をしているとおりでございますが、今、日本の研究炉は2026年までに使った使用済み燃料はDOE、アメリカが受け入れてくれます。しかし、それ以降の受入れはもうないということでございまして、もし2026年以降も運転を継続するということであれば、使用済み燃料を日本としてどうするかといったような議論が必要になってきます。
 あとこれはKUCA特有ですが、現在、高濃縮ウランをまだ使っておりまして、これを返送するということが核セキュリティ・サミットで国際約束になっております。これもなかなか大変なお金と人手がかかる話でございます。あとは一般的な話ですが、安全規制、セキュリティ強化への対応、それから施設の高経年化に対応ということで、いつまで運転するかも含めて、あと最後は廃止措置というのも当然出てきますが、これも今後どうするかというのが大きな課題になっているということでございます。
 30ページ、最後、ちょっと一般論的な話になりますが、私見と言ってもいいと思いますが、研究炉の重要性・必要性というのは研究開発、人材育成、これは原子力政策、エネルギー政策にかかわらず今後も変わらないものと私は思っておりますが、ただ研究炉を新しく設置しようと思うとやはり10年、20年といったリードタイム、それから大きなお金がかかるということでございまして、またJRR-3を最後とすると20年近く新たな研究炉の建設は行われていないということでございまして、技術的能力、経験値の低下というのが危惧されることでございます。
 今まで申しましたように大学では、規制強化、それから大学の運営費とか人員の削減等によりまして、研究炉の維持管理がかなり今も厳しい状態で、これを長期的にやっていくためには、やはり運営体制の抜本的な見直しが必要ではないかと。その中には例えば国際的な機能分担といったものも考慮すべきではないかと思います。この検討に当たっては、当然原子炉ですから安全確保というのが最優先ですが、ただそれで利用できなくなるあるいは利用しにくくなるということは本末転倒でありますので、そこをうまくあんばいした体制の仕方あるいはお金の使い方というのが必要ではないかと。また、先ほど申しました使用済み燃料の取扱いも大きな課題であります。
 あと、これは一つの考え方ではありますが、文科省の研究炉としてはそぐわないかもしれませんが、例えば医療用のRIとかシリコンドーピングといった商用利用ということでお金を稼ぐといいますか、これで維持費をある程度賄うといったことも長期運営には必要で、こういうのも考えていくべきではないかということでございます。
 それから、人材育成ということを考えますと、余り大きな原子炉をぽんと置くよりは小型炉の、私としては臨界実験装置みたいなものがいいのではないかと思います。このイメージが合っているか分かりませんが、例えば大洗には既にJMTRとそれのモックアップのようなJMTRCというものがございますので、こういったものを一緒にしたような施設というのがあってもいいのではないかということを考えているということであります。
 いろいろな場でもこういう話をしておりますが、やはりこれをしっかりと実行に移すということが必要でありまして、それが私この作業部会の場だと思っておりますが、研究開発の動向とか既存設備の状況などを踏まえて、我が国にとって必要な施設とその運営体制を速やかに決定しなくてはいけないと、そういう時期に至っているんではないかと思います。
 以上でございます。

(山口主査) どうもありがとうございます。
 では続きまして、近畿大学原子力研究所の伊藤先生の方からお願いしたいと思います。どうぞお願いします。

(伊藤所長) どうも皆さんおはようございます。
 本日は発言の機会を頂きまして、どうもありがとうございます。
 私は、近畿大学の現状というより、近畿大学の愚痴といったようなお話になろうかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 資料に沿って御説明させていただきます。
 近畿大の原子炉は、新規制基準が平成25年12月18日に施行され、我々の原子炉は翌年2月6日に原子炉を停止し、新規制基準の確認作業を開始したところでございます。平成26年10月20日には原子炉設置変更許可申請を提出いたしまして、平成28年5月11日に京都大学と同時に許可されたところでございます。その後、設計及び工事の方法の認可申請、認可申請につきましては、その1からその3に分けての3分割で行ったところでございます。そのほかに保安規定の変更許可申請、使用前検査申請、施設定期検査の作業を進めて平成29年3月17日に合格証が交付されました。これは即日の合格証の交付でございました。非常に私は感動いたしまして、合格証を受け取った瞬間に涙がぼろぼろ出てきた状況でございます。それだけ大変な仕事をやってきたというふうに自負しております。
 その後、原子炉の利用に向けて内部の手続等を進めまして、平成29年4月12日に3年2か月ぶりで運転の再開を行った。つまり商用炉でいいます再稼働を行ったところでございます。本当に我々ほっとしたこの当日、記者会見という形で報道関係者33名の方が来られまして、本当に祝っていただいたのを覚えております。
 その後、実はこれは余計なことで申し訳ございませんが、その日の4月12日の17時から原子力規制委員長の田中先生が定例の記者会見を行いました。それについて問合せが来ました。それはどういうことかと申しますと、ちょっと議事録がございますので、このことはホームページにも記載されているものでございます。それをちょっと読み上げさせていただきたいと思います。
 NHKのシゲタ記者の御質問です。近畿大学が再稼働したことに対しての御意見を伺いますということでございました。そのときに田中委員長はこういうふうに申しております。特に所感、感想を述べるようなことではなくて、おもちゃみたいな原子炉ですから、もう少し速やかに動かせるようにした方がいいと思うのですが、審査の方にも問題があったのかどうかはよくわかりませんけれども、やはり大学側はもう少しきっちりした姿勢で臨めばもっと早くいったのではないかという気がしますがね。いろいろな意味で反省材料もいっぱいあるのではないかと思いますけど、ということです。
 更に田中委員長は、もともと私なんかは、ああいう炉は本当におもちゃみたいなので何も危なくないのよと。止めたらすぐ燃料を手で触って抜けるぐらいの炉なのだからどうということはないのだということを申し上げてきたのですが、やはり新しい規制との関係で幾らかハードルは高いところがあったのかもしれませんね。ただ古過ぎますよね、原子炉がもう。本当に原子力利用を続けるのであれば、近大は私立だからあれでいいですけれども、やはり教育とか研究をするインフラとしてしかるべき整備が必要なものだと、そういった認識は私は正直言って文科省に欠けていると思いますけど、というようなことをおっしゃっています。
 更に記者が質問なさいまして、田中委員長は、人を育てるという意味からいうと、動いている研究炉というのはそれほど人材育成にゼロとは言いませんけれども、やはり新しいのをつくることの方がはるかに大きいですよ。だから10年とか15年に一つぐらい適当なそういった研究炉みたいなものをつくっていく、つくり続けることが一番いいのです。そんな高いものではない。安くはないけれども、どんな立派なものをつくっても500億円はしませんし、200から300億あれば立派なものができると思いますからね。そういう予算がないのかといったらそんなことはないので、予算の使い方を踏まえて日本の原子力のサステナビリティーというのをどう確保するかということは大きな課題だと思います、というふうな発言をなさっています。
 これを聞いたときには、本当に非常にショックを受けました。このような発言はありますでしょうか。こういったことで我々は激励というか、癒やしの言葉を欲しいというようなことを思っていないのですが、規制庁の長がこういったことを思っていることは本当に日本の国にとって非常に恥ずかしいというふうに私は強く思いました。その後、二、三の新聞社から問合せがございまして、そういうことを申し上げました。一部の新聞には書かれていたのですが、こういうような感覚でいるということ、今ごろ後出しじゃんけんみたいな感じで言われても我々はどうしたらいいのか。我々はこの再稼働に向けて3年と2か月の時間を費やし、さらには1億円のお金を使いました。私学にとって大変なものです。そういった中でこういう言葉一つで終わってしまうということは非常に嘆かわしい話です。このことが全てを物語っており、これからもそういった感覚で規制庁が動くのであれば、我々は団結してそれに立ち向かっていかなければならないというものを強く思った次第でございます。以上、ここまでが愚痴でございます。
 次に、新規制基準対応を振り返ってということでございます。研究炉の新規制基準は従来に比べて地震、津波、竜巻等の自然現象の想定が大幅に引き上げられ、事故に対しても従来を上回る想定とその防護対策が求められ、遡及的適用となりました。発電炉では、統一的な審査ガイドが事前に策定されたのに対し、研究炉は型式、出力などが千差万別、多種多様であり、事前のガイドの策定が困難との考えから、グレーデッド・アプローチ、リスクの大きさに応じた規制の考え方が採用され、近大炉は熱出力1ワット、これは発電炉の30億分の1でございます。つまり発電炉は100万キロワットでありますので、熱出力に直しますと300万キロワットです。それから見ますと30億分の1でございます。つまりどういうことを申し上げたいかといいますと、30億円を入れておく建物と1円を入れておく建物と同じような審査をする、こんなばかげた話はないんですというようなことを言いたいための比較でございます。極低出力教育研究炉であることから、この特徴を踏まえた審査が非常に期待されたところでございます。
 我々は、この審査が始まった当時、1年、多くて2年で済むだろうということだったが、このグレーデッド・アプローチが全く意味をなされていなかったのではないかと私は思っております。つまり、現実には保守的な判断に傾きがちとなり、個々の研究炉の特徴を踏まえた審査とはならなかったというのが結論でございます。今現在もそのような状況です。口だけはグレーデッド・アプローチでございますが、中身は全く違うものであったということははっきりと言えると思います。近大炉の場合、長期停止して本当に審査のためこれだけの時間をかける必要があったのか非常に疑問です。その疑問について少し並べてみました。
 まずは、原子力規制委員会及び原子力規制庁の組織体制はこれでよかったのであろうか。新規制基準制定に当たっての安全性や必要性の議論が十分であったのかどうか。新規制基準の公表後の事業者に対する丁寧な内容説明があったのかどうか。極低出力低リスクの研究炉を長期運転停止しての審査が本当に必要だったのかどうか。研究炉に対し、グレーデッド・アプローチがしっかり導入できたのかどうか。原子力規制委員会の審査官は、審査前に対象施設を十分に理解していたのかどうか。規制庁と事業者間で基準の考え方に大きな溝があったのではないかというような疑問が残ってきたわけでございます。
 次に、3といたしまして、今行われている検査制度の見直しでございます。今現在、4月7日に参議院の本会議を通り、新しい検査制度が通ったわけでございますが、このことにつきましてちょっと思いを述べさせていただきます。
 従来のような融通の利かない、更に施設の規模や特性を考慮しない硬直的な検査制度に比べますと、今回見直し中の内容はかなりフレキシブルであり、世界的な検査制度に近づいたものと評価されるが、検討のベースにある施設イメージは発電炉を念頭に置いたものであるため、研究炉にふさわしくないものではなかろうか。また、これまで以上に品質マネジメント、QMS、これの運用は厳しく要求され、研究炉でしっかり運用ができるのかどうか、海外の研究炉の規制状況をしっかり調査する必要があるのではないかと考えるところでございます。
 見た目には非常にフレキシブルになっていいのかなと思いますが、これは事業者の責任が非常に強くうたわれております。我々はこれについて、先ほど中島先生もおっしゃいましたが、非常に強く言われているのが我々の研究炉に果たして本当にふさわしいかどうかわかりません。QMS、これをしっかりと回していかなければ我々の施設は本当にまたいつ何時どのようなことになるのかということが懸念されます。そういった意味で、我々はこのQMSをしっかりと大学原子炉が回すことができるのかどうか、これが非常に心配なところでございます。
 4として、これからの研究炉の維持でございます。規制当局の要求を満たし、研究炉を維持・管理していくには、多くの時間と人手と経費が必要となり、また研究以外の専門的知識が更に要求され、大学教員だけで研究を行いながら研究炉を維持していくには、既に限界に来ているのではないかと思います。更には、いずれ廃止措置を行わなければならなく、そのときを考えると気が遠くなるところでございます。今や大学だけの力量で原子炉を健全に維持していくのは困難な状況である。私は、今後、国として現存の大学原子炉を含めて人的支援、経費的支援、維持管理支援、さらには廃止措置支援、これは廃止のときの使用済み燃料というか、燃料ですね。これをどうするかというそういった考え方等の援助を強く希望しており、その実施に当たっての体制を構築していただくことをお願いするところでございます。
 そのほかに我々は、核セキュリティ、最近非常に厳しくなっております。我々は規制庁というか、国というかどのように言ったらいいのかわかりませんが、例えば学生の実習で20人の学生が入った場合、5人に対して1人の教員をつけなさいということなんですね。それは学生が何をしでかすかわからない、テロ行為を行うかもしれないということで、そういうことまで要求しているのですね。学生というのは大学が責任を持って受けたものであって、そうするともう、疑うということ自体、これは非常に嘆かわしい話です。これに対して本当に我々、人的なものが足りなくなり非常に困っているところでございます。
 そのほかに、全てに関して内部脅威ということが強く懸念されており、我々自身も何も信じられていないのが現状です。新しい規制では家族に暴力団がいないかとか、そのほか金銭的に破産していないかどうかとか、アル中ではないかどうかとか、そういったところまで要求されるということなんですね。そういったようなことまでやって、本当に研究炉においてそういったことが本当に必要なのかどうかということ、これはちょっと考えていただかないとならないことだろうかなというふうに思います。
 もう一つ、非常に大切なことは、今度、新しい法律によって廃止実施方針というものを出しなさいというふうに言われているところです。これに我々はどのように記載していいかわからないところがたくさんあるわけなのですが、廃止する、しかし、そのお金はどこから出るのですかといいますと、私学の場合、単独でやった場合、廃止した場合、数億かかるわけなんですね。そんなお金どこから出るのですか、といったら本当にはっきり言えません。どうなるのかわかりません。
 もう一つ、核燃料、使った燃料をどうするのですか、我々単独で処理をすると、それにも二、三十億かかります。そういうことになってきますので、我々はどういうふうに記載したらいいのか。じゃ、日本国にみんなお任せします、日本国に譲りました、そんな無責任なことを本当に書いていいのかどうかということ、そういったところも含めて廃止措置の実施方針を近々出さなければいけない中で、本当にこれから廃止した場合、廃棄物、使用済み燃料、そしてその他もろもろについて、資金面も含めてどうしたらいいのか、文科省の方といろいろ御相談を頂きながらやっていきたいと思います。これはもう今や原子力規制庁なんていうものは、言葉は悪いですけれども、すみません、大阪人は特に悪いんですけれども、敵です、国の。そういう中で文科省と我々は、国というものを一緒になって守らなければ日本は潰れてしまうというふうに思っています。そういった意味で、共に手を携えてこれからの研究炉はどうあるべきかということをしっかりと考えていただきたいなというふうに思います。
 5番目、最後ですが、研究炉の役割と引き継ぎ炉の新設でございます。多くの国はエネルギーの安定供給と環境保全の観点から、原発を積極的に取り入れようとしている。科学立国である我が国は、原子力の様々な分野で世界に貢献しなければならず、我が国から原子力の火を消しては絶対ならないわけでございます。研究炉は原子力の人材育成や基礎研究、さらには医学分野の診断、治療において必要不可欠な基盤施設であり、どの研究炉も国の繁栄において重要な施設であります。現在の研究炉はいずれ寿命が来ます。日本の現状から見て新たに研究炉を建設するのに5年、10年では到底できないのが現状でございます。ゆえに早急に引き継ぎ炉の検討をお願いしたいというふうに思っております。
 日本で難しければ、海外でもよいのではないかというふうに思っております。我々はその中で、私学であるということでもありますが、人的な支援並びに資金的な支援、さらには現状をどのように処理したらいいかという、そういった廃止措置に対する支援、そういった支援を強く望むところでございますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。

(山口主査) どうもありがとうございました。
 中島先生、伊藤先生に御見解頂きましたので、これから質疑の時間に入りたいと思います。御質問や御意見ございましたら、御発言よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 寺井委員、どうぞ。

(寺井主査代理) 主査代理ということで余り発言をしない方がいいのかなという気もちょっとするのですが、御発言がないようですので少し糸口ということで御質問したいと思います。
 京都大学原子炉実験所、近大炉、両方とも新規制基準対応、非常に御尽力いただきましてありがとうございました。いずれにしても許可が出たということで、これから速やかに作業を始めて再稼働していただくということで、まずは敬意を表したいというふうに思います。
 それで、その中で非常にたくさんの人材とか資金を投入して新規制基準対応されたと思うのですが、先ほど近畿大学は1億円とおっしゃっていました。京都大学はそれよりも大きいのかなと思うのですが、そのあたりのところの費用であるとかあるいは人的支援ですか、そのあたりはどういうふうにしてカバーされたのか。近畿大学の場合は学内でということだと伺いましたが、例えば文科省からの特別な措置とかといったことはあったのかどうか。
 それからあとは定常的に運転しているときにやはりかなりの資金とか人的な資源が要ると思うのですが、その辺のところの定常状態での運転経費についても、例えば京都大学の場合は国立大学ですので、文科省からある程度の予算措置がされているかと思うのですが、今申し上げた資金面と人材面の措置についてお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

(山口主査) では、順番に中島先生から。

(中島委員) 京都大学ですが、基本的にはこの新規制対応も含めて運営費で賄っています。近大は1億円といって、京大の方は2倍ぐらいにはなっておりますが、あと旅費が結構かかっておりまして数千万ぐらいかかるということで、基本的には全部、今のところは運営費の中でやりくりしております。今後の運転維持費関係も今のところは運営費の枠内ではできそうだということですが、当然ながら運営費はだんだん削られておりまして、あとは研究費との配分をどうするかとかで、だから研究側の方のお金はちょっとずつ減らされていますが、やはり安全管理最優先ということですので、運営費はそうそう削れないということで、そういった形で何とかやりくりしていると。
 これは別の部会でもお話ししたのですが、競争的資金等をうまく活用してという話があるのですが、なかなかこの競争的資金でこういった基盤関係の方の整備にはお金が使えないような縛りがありますので、そこのところもうちょっとうまく考えていただければいいかなということはもう既に表明しているところです。

(伊藤所長) 近畿大学でございますが、実は我々、その当時9名という所員しかいなくてですね、この新規制基準対応に4名の人間を割いたわけです。全く人が足りなかったわけです。当時、今日御出席の増子審議官に呼ばれまして、お邪魔して非常に檄(げき)を飛ばされまして非常に励みになりました。それで近畿大学は是が非でもちゃんとやらなければいけないという決意のもとに大学に交渉いたしました。
 その結果ですが、実際には大学に人が増えたわけでございませんが、実は、こういうことを言っていいのかどうかわかりませんが、関西電力のOBの方を何人かお手伝いいただきまして合計8人ぐらいの人間をプラスアルファとして助っ人していただきました。そしていろいろと御指導を頂戴いたしました。実際にやるのは我々なのですが、やはり書類を書いたり、こうした方がいいよという指示を頂くというのは非常に有り難い状況であって、そのためにこれだけ早く進んだのではないかというふうに思っております。それの対応に3,000万円余りのお金を費やしたというのも事実でございます。そういったことで、人的には我々のほかにプラスアルファのそういった外部の人たちの援助があったということが非常に大きかったのではないかと思います。
 そしてあとは、先ほど言った旅費が約3,000万ほど要りました。大体百三、四十回、1回3人ずつ東京に行きますものですからそれぐらいかかるということで、3,000万円余り要りました。あと残りの4,000万というのは、このこれは工事関係のお金でございますが、その工事を4,000万かけたからといって何も近畿大学に残らなかったとの思いです。つまりそういった遡及的措置をとったために昔のことは何もわからない。そのために例えば防火扉の材質がわからないために何も書くことができない。だから新しいものをつくった方が早いよということで、防火扉なんかも全部やりかえたんですね。そういう無駄なお金を使ったということが非常に大きいのですね。そういうふうなことで今、我々は本当に、ああ、この新規制基準で我々にプラスになったものがあるのかなと思うと、何一つないというのが現状でございます。それだけどうでもええ、どうでもええと言ったら失礼かも、本当に言葉悪くてすみません。本当に大した新規制基準ではなかったというふうに思っております。
 そういった中で、これから本当に安全を守っていく、安全を確保していくというのは本当にまた別の問題があるのではないかというようなことを思っておりますので、本当にそういった何が安全等を守るのかということをもう少しきっちりとやっていく必要があるのではないかと。ただ法律に基づいて厳しくやって何々をせえというそういうものではないのではないかというふうに思います。
 それと、この中で4,000万と言いましたが、実は計算するお金、この各データのもとに炉心の臨界計算をやってくださいというそういう計算だけでも約1,800万、2,000万近くかかっております。それと検査費用、これが非常にばかにならなかったというのが現状でございます。そういったようなところでございます。

(山口主査) ありがとうございます。
 ほかには御意見いかがでしょうか。よろしいですか、まだもし時間があれば。
 では、木藤委員、どうぞ。

(木藤委員) どうも御説明ありがとうございました。
 私たちが昨年度の文科省の別の作業部会でもお二人の先生からじっくりお伺いしたところもあると思います。つまり、その前からずっと言われていることだということだと思うんですね。今回、新規制基準の対応ということはまた新たに生じた大きな対応だったと思うのですが、施設そのものの維持管理ということと、これをどう教育、研究に使っていくかというところは、課題はこの20年以上ですか、解決されないままで来ているのではないかというふうに思っております。というのは、過去にあった資料を私の方で気がつくものについて調べてみましたところ、当協会が、原子力産業会議と言っていた時代、2000年3月に報告書を出していました。研究炉の在り方に関する検討報告書ということで、大学の先生にも入っていただいて産学で行い、官の方にも報告したと思います。そのころ既にもう国内の研究炉の管理と利用支援をするということを提言したり、それから運転継続が困難になっている研究炉について継続が可能になる方策を立てるべしという提言、バックエンドの懸案に対しても早急な対策が必要だと言っています。新たに建設すべき研究炉についても検討を開始するべしと2000年3月の報告書にもございます。原産会議のものだからいいということを言っているのではなくて、そのように関係者の間では問題意識がずっと持たれていて、そのことについての対策がほとんど全くなされないままそれぞれの大学に任されてきたと。そういうつらさがこの新規制の対応の中で大きく負担になったということかなというふうに思います。
 その後、2010年9月に、これは関西圏の先生中心で原子力学会の方で将来必要となる共同利用研究施設についてという報告書もまとめられております。その中では既に、当然今おっしゃったような支援の技術スタッフの話、指導者の充実とか、手続の簡素化とか、外部ユーザーの受入れとか、利用環境、24時間利用できるように、それから妥当な料金の設定とか、そういうようなことも提言されておりました。最近になってもまた原子力学会の方と原産協会、原子力人材育成のネットワークの方でも課題提起をいたしました。
 ということなので、是非この場で最初に主査がおっしゃったように、国のお金、産業界からの支援ということも含めてだと思いますが、是非是非課題解決に進めるような大事な会議ということで提言をまとめていくというのをこの場で皆さんで知恵を出してやっていきたいというふうに改めて思いました。
 以上でございます。

(山口主査) ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 どうぞ、尾野委員。

(尾野委員) すみません、電事連の尾野です。
 私も事業者なので、ある意味穏やかな物言いをしたいと思いますが、今、新規制基準の話でお話を承ったところもございますし、それからこれから検査制度が変わっていくということで、多分新規制基準の次の検査制度の見直しというのは両方とも非常に大きな変化だというふうに思っております。事業者にも大変影響が大きいし、研究炉等も当然影響が大きいことだというふうに思っています。
 その中で、お二方の先生からどちらからもQMSが非常に厳しくなってということを心配されるお話があって、そういった御心配をされるのもごもっともかなというふうに思うと同時に、IAEAがIRRSで言っていたことというのは、本質を捉えると、じゃ、QMSを厳しくしてプロセスをぎちぎちに見ていきましょうということを言っていたのでしょうかというと、そうではなくむしろ逆のことを言っていたのではないかというふうに思っております。
 パフォーマンスベースとかリスクインフォームドとかということで言っているのは、ある意味グレーデッド・アプローチと同じようなことで、結果の重篤性に着目して物事を評価していきましょう、プロセスはどちらかというと現場を持っている事業者の主体的な活動でしっかりやってくださいという、発想としてはそういう発想で提言されているというふうに理解しております。
 それから米国のROP、リアクター・オーバーサイト・プロセスをひな形にということで議論されておりますが、米国のROPもパフォーマンスベースであったり、リスクインフォームドというのは結果としてのアウトカムを国は評価している。プロセスは事業者あるいは研究所がしっかりやるという形で進めていくということが枠組みだというようなことをおっしゃる方が多いと、実際にやっている方はそうおっしゃっているということなので、恐らくこれからの検査制度の見直しというのは、IRRSが言っていることであったりあるいは米国のROPの理念とか哲学の部分が的確に日本に移植されるということが多分何よりも重要で、そういうふうにしていかないと逆に形はそうなのだけれども、精神が入っていないと違う運用になってしまうということにもなりかねないので、恐らくそのあたりをしっかり見定めていくということ、あるいは米国のROPの哲学をしっかり入れ込んでいくということがこれから大事かと思います。
 その中で、海外の研究炉の状況などもしっかり調査する必要があるというふうに書かれていますが、私はそのとおりだと思いますので、いろいろな状況をよく見て、そして効果的に安全を生産していって目的を果たしていくということに何より進めていくよう、お互いに勉強する必要があるのかな、これは国も含めてかと思いますが、と思っております。手段ではなくて目的に着目するというところがポイントだと思っております。
 以上です。

(山口主査) ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 大体よろしいでしょうか。大変重要なポイントが多数出たかと思いますので、今後の検討に是非加えさせていただきたいと思います。
 では、伊藤先生、中島先生、ありがとうございました。
 それでは、次の議題に移らせていただきたいと思います。
 2番目の議題でございますが、国として持つべき原子力研究開発機能とその機能に必要な施設に関する現状把握についてでございます。こちらは文部科学省、事務局より説明をお願いいたします。
 では、どうぞよろしくお願いします。

(小川原子力課長補佐) よろしくお願いいたします。
 資料4、国として最低限持つべき研究開発機能とその機能に必要な原子力施設の充足状況について、文部科学省とあるのですが、このポンチ絵を御覧ください。
 こちらの資料につきましては、1ページをおめくりいただきまして、第1回作業部会の主な指摘と対応状況とありますが、前回、施設中長期計画、こちらは原子力機構の方で今後の施設のマネージをどうしていくかということを整理したものでございますが、こちらの資料を御説明する際に頂いた指摘に対応したものでございます。
 主な指摘につきましてでございます。施設中長期計画に記載されている継続・廃止施設の考え方についてどのように整理しているのか。施設ごとではなく、まず国として最低限求める機能ごとに整理したらどうかと、そういったことがございました。また、施設と人材育成は切り離せないものである。機能の中で人材育成方針を関連付けて整理することや本作業部会と人材育成作業部会のリンクをどう考えるかということ。また、施設をいつ廃止するか、集約先になる重点化施設は今後何年間使うことができるかなどのタイムスケジュール、事業展開が見えた方がわかりやすいですと。また、廃止する施設から一部機能を別の施設に移すと、こういった場合にこれまでやってきた研究もございますので、そういう意味では物量のミスマッチが生じないのか、そういった観点からもしっかり検討するべきではないか。また、施設の廃止・移転のスケジュールは原子力機構のスケジュールであるため、ユーザーと調整したスケジュールでもあるよう考慮してほしいと、こういった御意見を頂きました。
 それに対する対応状況でございますが、今回、この対応状況に応じて、まず原子力機構と、あと近大、京大の皆様方に情報等を頂きながら作成したものがこちらの資料でございます。
 対応状況でございます。国として最低限持つべき研究開発機能として、昨年度、原子力科学技術委員会で1年間御議論いただきまして研究開発計画を作成させていただきました。ですので、こちらをまずネットがわりとしまして、その主な項目ごとに日本原子力研究開発機構が公表した施設中長期計画等に記載されている原子力施設の継続・廃止状況をそのスケジュール感ですが、スペックも物量的なところについても検討しながら対応したところでございます。
 作業を行うに当たっての前提条件でございますが、原子力機構の方で整理している中長期計画のこちらの今期と来期は大体15年ぐらいを整理しておるところでございますが、試験研究炉への対応にはやはり大分時間がかかるということも鑑みまして、もう少し長く、2030年代までをスケジュールの中に入れ込みました。また、こちらは核燃料、RI使用施設の廃止時期については、運転開始60年後付近を想定したということです。こちらにつきましては、実際に60年に近づけば高経年化対策としてもう少し長く使うと、そういったこともあるのかもしれませんが、一定の過程を置いて整理してございます。また、試験研究炉の廃止時期は、これまでの運転実績等を含めて照射影響評価等により判断してございます。
 また、物量のミスマッチが生じる可能性があるものについては明記させていただきました。また、JAEA以外の施設につきましては、今回、まずは大学の保有炉を対象とすることとしまして、京大のKUR、あとはKUCA、近大のKINKI、こちらが正に今、再稼働に向けた対応、また近大につきましては動いてございますが、こういったことを行ってございますので反映させていただきました。
 こちら、次のページ、3ページ目でございます。
 昨年度、1年間御議論いただきました最低限持つべき研究開発機能ということでございます。こちらにつきましては、1ポツで福島関係の対応、2ポツ目、安全性向上に向けた研究です。3ポツ目、基礎基盤研究、4ポツで高速炉の研究開発、5ポツでその他の再処理等を含めた放射性廃棄物の処理・処分に関する研究開発、また6ポツで核不拡散・核セキュリティ関係、7ポツで人材育成ということでございます。こちらの更に中身につきましては、この場では割愛させていただきますが、右側に具体的に各項目ごとにどのような研究があるのかということ、こちらも昨年度、原子力科学技術委員会で御議論いただいたものでございます。
 これをもとにしまして、実際に線を引いていくというのは、4ページ目のこちらは今、分析した結論でございまして、5ページ目以降を見ていただきますと、具体的にどのような作業があるかということが見ていただけるかと思います。
 例えば5ページ目でございましたら、こちらは1ポツ、一番上に福島の対処に係る廃炉等の研究開発でございます。福島の研究に関しましては、現在このような施設が実際に使われているところでございます。例えばですけれども、試料分析と左側に書いてありますが、試料分析であればバックエンドの技術開発建屋から始まり、一番下、CPFでございます。
 今回、例えばただバックエンドの技術開発建屋につきましては、原子力機構の第3期中に使用をやめるということでございますので、第4研究棟という別の施設で利用していくということになります。こちらの更にその際、物量として見込めるのかというところも検討してございます。
 こうしていきまして、一つずつ見ていきますと、例えばでございますが、7ページ目でございます。こちらの下の方に赤い点線でJMTRの関係、あとKURの関係が赤い点線で示されてございます。先ほどのように機能を移していくというものを考えたときに、それができないものというのは何かというのを一個一個拾っていったのがこちらでございまして、正にJMTRにつきましては軽水炉の安全研究、材料照射の研究につきましてはなかなか代替機能がないというところ、あとは京大のKUR、こちらはビーム利用をしておった機能でございまして、人材育成にも使われていたものですが、こちらの例えば加速器で代替するということが今後やられることだということで聞いていますが、こういった場合におきましても、やはり実験の量としてはなかなか維持できないということを聞いておりますので、長期的な課題としてはこういったところが残るということでございます。
 同様にその後、ほかの分野につきましても分析しましたところ、時間の関係もございますので結論を申し上げたいと思います。4ページ目を御覧いただければと思います。
 先ほど申し上げた7つの項目ごとに、今後、課題はどのような機能でどのような施設に生じるかというのを見てきたところです。2ポツの安全性向上に向けた研究、こちらは正にJMTR及びホットラボが失われるということで、当該部会でもこの後、原子力機構の方から御説明するかと思いますが、JMTRの代替機能を短期、長期に分けてどうしていくのかというところが課題になっているという状況でございます。
 また、原子力の基礎基盤研究、こちらは多岐にわたりますが、例えばこれまで高速炉の関係の研究を行ってきたFCAにつきまして機能が失われていること、あとJMTRの話ですとか、あとはJRR-3につきましては、2030年以降も運転継続するためには、ある程度高経年化対策が必要だということ、また、KURについては、使用済み燃料の返送期限を鑑みれば、その機能が一部失われてしまうということでございます。
 そのほかにも4ポツ、5ポツにつきましては、こちら高速炉開発会議で今後高速炉の議論がされますので、それによっては必要な機能が更に必要などとか、そういった話があると見込んでございます。
 一方で、5ポツですが、CPFというこちらは高速炉の再処理を研究してきた施設ですが、ここについては、今後、原子力機構の方で廃止措置の判断をする時期が来ますので、その高速炉の議論を横目に見ながら考えていくということでございます。
 まとめますと、今後の方向性のところでございますが、大きく分けますと、このJMTRに係るところはやはり機能がなかなか代替できないということと、KURにつきましては、一部加速器で機能が代替できるという形ができましたが、一方で、やはり量的な面でなかなかKURクラスの研究が加速器で代替できるようになる、そういったところでございます。
 以上でございます。

(山口主査) どうもありがとうございました。
 それでは、御質問ありましたら。
 では、横山委員、お願いいたします。

(横山委員) 恐れ入ります。御説明ありがとうございます。
 加速器の世界は御存知のように世界で1つとか、2つとか、それがせいぜいなんですね。非常に巨大化しているので世界に1つしかない加速器を世界中で共有する、人材育成、学生教育を含めて共同利用するというのが当たり前の世界です。そこでお伺いしたいのは、原子力の世界では、最先端研究の現場に連携大学院制度などで大学院生をどんどん送り込んでその現場で育てていくことはされていますでしょうか。

(山口主査) 海外に送り込むということですか、ではなくて。

(横山委員) 国内で、原子力機構などの原子力、原子炉の最先端の現場で一緒に研究をしながら人材育成をしていくことをされているのか否か伺えればと思います。

(山口主査) では、少し、そうですね。全体的な話を文科省の方から御説明いただいて、多分、皆さんそういう実例いろいろ御存知だと思いますので、補足がありましたらまたお伺いしたいと思います。
 では、お願いします。

(小川原子力課長補佐) まず、事実関係としまして、例えば原子力機構が非常に大型の施設を持ってございまして、こういったものにつきましては、実際に例えばJRR-3であれば東京大学、特に大学をまとめて施設を使えるようにしてございます。また、廃止の方向性にということでございますが、例えばJMTR、こちらも大分外部利用のニーズが大きいようでございまして、こういったところはむしろ東北大学の先生たちが大学の協定で利用できるような形にしているところでございます。
 後ほど中島先生からも補足をしていただければと思いますが、特に京大の方でも同じようなシステムを持っていまして、それで大学の方、今まで京大の方では特にKURとKUCAなので臨界集合体とKURの方の人材育成をやっていたということで、一応タテとしては、そういう意味では原子力機構においても大学においても利用することができたと。ただ量的なところをどう見るかというところなので。

(山口主査) では、中島先生、どうぞ。

(中島委員) 今の御質問にありましたが、我々も当然機構の研究炉、JRR-3とかあるいは加速器、J-PARCと、そういうのは既に今までも使っておりますし、これからも使います。そういう意味でそこのところは変わらないのですが、今、我々の京都大学で実施している外のユーザーへの実験の場の提供ですが、KURが止まると、それができなくなってしまいます。そこで、その代替として我々は加速器、これは非常に小さいものでして、そういうものを考えてはいるのですが、それである程度の研究レベルは維持できるのですが、やはり今までのような、例えば今まで我々年間150件から200件ぐらいの共同利用研究というのを受け入れているわけですが、そういう機能まではもうできないでしょうという、そういった意味合いでございまして、特に横のつながりはしっかりやっております。

(横山委員) ありがとうございます。
 今の御説明で十分理解をしたように思います。あと、私、共同利用の審査を長くさせていただいておりまして、そういう意味においてはボトムアップも、各大学やコミュニティからも御希望というのが非常に重要だと拝見しておりますので、そういうところのニーズが強いようであればそれに沿った御審議を頂くのかなという感じがいたしました。ありがとうございます。

(山口主査) それでは、ほかに何か。
 どうぞ、多田委員、お願いします。

(多田委員) ありがとうございます。
 国として最低限持つべき研究開発機能というところで整理を頂きまして、大変ありがとうございます。ちょっとこの中にどう入れるべきか私もよくわからないのですが、医療上の利用ということはほとんど書かれていない、この中に。中性子利用のところでKURのところで医療というのが一言ぽんと入っているだけなのですが、先ほど中島先生とか伊藤先生がお話になったところにも医療という言葉が書かれていないと思います。そういった意味で、こういった研究炉がとまっている間、医療はできなかった、医療研究もできなかったと聞いたら、これからKURがとまったらどういうインパクトがあるのか。
 それから、新しい研究炉について、やはり医療用の利用というのが非常に重要なのではないかと。国民にとって重要なのではないかというふうに思っておりますので、その辺の医療という観点をもう少し入れてもよいのではないかなというのが私の感想でございます。

(山口主査) ありがとうございます。
 多分また別のところで出てくるかもしれないのですが、少し、中島先生もシリコンドーピングの話とか、モリブデン製造の話とか、そういった件もあって、産業利用という観点と研究開発機能という観点とちょっと両方整理する必要があると思いますが、重要な御指摘で、実際に今KURなんかはそれで随分実績を上げておられるので、その辺は検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 木藤委員、どうぞ。

(木藤委員) ありがとうございます。
 御説明いただいた資料で、これは前回の部会にもこういう題名だったんですが、最低限持つべき研究開発機能とされています。この部会のテーマは国として持つべき研究開発機能だと思っておりまして、何かここが話が小さく見られている感じがします。最低限持たないといけないというより、理想形をいうのが大事じゃないかというふうに思っております。その辺部会の立場ということもあるのですが、大きくどうあるべしというふうに考えていくのがよくて、その中で現状こうだからこの辺しかできないとか、そういうふうにいくのではないかと思うのです。そうなると当然ここに医療とか、それで横山委員がおっしゃったような、例えばほかの分野も含まれます。ここは原子力機構、しかも量研機構は入っていない感じです。大学も一部の部門だけなので、もっと全体を見た中でという議論が必要じゃないかなと思うのですが。

(山口主査) あるべき論を語るところ、多分プライオリタイゼーションをしないといけないということだと思いますが、何か事務局の方からございますか。

(西條原子力課長) 原子力課長の西條です。どうもすみません、ありがとうございます。
 最低限持つべきという、議論を小さくしたいという思いでやっているところではないのですが、ただ今回の整理の中で、特に後ろの表を見ていただくと、将来を見たときにどういうところが、目の前にどういったところがやはり一番の喫緊の課題であるかというところをしっかりと議論しておかないと、先ほどから御指摘いただいているとおり、もう10年、20年も前からこうあるべきというところはいろいろ御議論させていただいていますし、我々の方もなかなか実現できていなかったというのは非常に歯がゆいところでもありますので、おっしゃるとおりであるべき論は常に我々持っておかなければいけないと思うのですが、その中でも特にここ、喫緊を見たときに、本当に実行ベースに移すに当たってどういったところに包括していかなければいけないかというところを特に議論いただければということが気持ちとしてこれが出ちゃって、とにかく小さくするというよりは、とにかく目の前にあるものをどうクリアしていかなければいけないか。でもそのためには全体を見ておくというのはおっしゃるとおりだと思います。その両面の整理が必要かと思いますが、一応そんな形で。

(山口主査) ほかにはいかがでしょう。よろしいでしょうか。
 前回の議論のいろいろ指摘いただいた点を改めてこうして整理していただいたと思いますので、一つはこれが今後の報告の重要な内容ということになるかと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして3番目の議題に移ります。
 照射炉の代替機能についてということでございまして、こちらはいろいろ産業利用の話も出るかと思います。日本原子力研究開発機構より説明を頂くことになっております。よろしくお願いします。

(楠副センター長) 原子力機構の楠です。
 資料5に沿いまして説明させていただきます。
 1ページめくっていただきまして、JMTRの概要と照射利用ということが書いてございます。照射炉ということは、ここではJMTRというふうにしております。JMTRの設置目的は、そこにございますように動力炉国産技術の確立と国産動力炉などの発展に寄与するため、原子炉用の燃料及び材料の各種照射試験、RIの生産並びに教育訓練を行うということで、1970年から供用されてきておりました。熱出力50メガワットで、高速中性子と熱中性子はそこにございます4掛ける10の18乗パー平方メートルセックということで、軽水炉の一桁上というふうなものになっています。
 照射の利用の内訳でございますが、右側の図にございますように、約7割弱が軽水炉分野、特に寿命延長とか材料のところが多い利用になっています。それから科学技術分野ということで材料基礎基盤研究と、それからRIの製造といったところが18%という形で、用途といたしましてはやはり軽水炉の方の需要が多いということになっています。
 次のページに参りまして、国内研究炉との比較ということで、JMTRと機構、それからKURといった形で比較をさせていただいております。主な用途、それから熱出力、冷却材、冷却材出口温度、熱中性子束はJMTRでは主に燃料照射試験やRIの製造等に用いられる中性子で、エネルギーの比較的低いものを言っております。それから高速中性子束、JMTRにおきましては、主に材料照射試験において重要なパラメータとなるエネルギーの高い中性子束、これを指しております。その下に照射孔がどの程度あるか、照射のための体積がどの程度あるかということで比べてまいりますと、JRR-3につきましては、主な用途はビームの利用ということになってございますが、熱中性子束はそれなりに高い数値を確保しています。ただこれはピークの値としてはこれぐらいありますが、その下の照射孔の数とか、照射の体積を考えますと、これについては複数の利用ニーズを大幅に満たすことはできない。照射についてはかなり制限があるというふうになっています。
 それから常陽、これは高速炉です。これにつきましては、冷却剤としてナトリウムを使っているという関係上、水環境での試験の実施ができない、中に水を持ち込むことができないという。それから温度が約500度ぐらいありまして、軽水炉の環境を模擬するということであれば290度から350度ぐらい。これに対してかなり高い温度ですので、その温度を下げる必要などがあるということです。
 それからKURにつきましては、JMTRの代替ということで考えますと、かなり出力的には小さいというものでございます。
 それからHTTRなのですが、その下に書いてございますが、HTTRは、当面高温ガス炉の技術基盤開発に用いる予定であることに加えまして、照射キャプセルの出し入れに大規模な設備の追加が必要であるため、HTTRの用いた照射利用については今後必要な時期に改めて検討するということで、今回は対象外としております。
 それから試験炉の性能比較ということで、世界におけます照射試験炉ということで比較してございます。縦軸が高速中性子束、横軸が熱中性子束ということで書いてございまして、高中性子束ということでは、2掛ける10の18乗以上のあたりのところを考えています。そうしますと、2016年ではJMTR、JRR-3、常陽、国内外合わせまして6基程度、それが2025年頃になりますとJMTRがなくなりまして、このころにはJHRが稼働してくる。またロシアのナトリウム冷却の高速研究炉が稼働してくるというふうなことが計画であります。
 このような炉を対象にJMTRの機能を代替できるのかといったことが次のページから書いております。
 まずは軽水炉分野、軽水炉分野では材料照射、特に加速照射といったことが重要になりまして、そのために必要な性能としては2掛ける10の18乗以上、それから軽水炉条件での実験に適した温度、多様な照射条件での試験ということで、こういった観点からはJMTR以外のものでは今は多分難しい。それから燃料照射のところにつきましては、JRR-3で一部行うことができますが、やはり照射孔の数も制限されておりますので制約があると。それから燃料の照射で燃料事故評価ということ、これにつきましては、出力急昇試験というふうなものを行うには設備をかなり加えなければいけないというふうなことがございまして、十分にはできないと。それから改良型炉の開発ということにつきましても制限があると。
 常陽につきましては、先ほど申し上げましたような形で、水が使えないとか、それから温度が高いといったことで、これにつきましても。
 KURにつきましては、照射用の代替炉といたしましては、研究規模、研究のものということで代替にはちょっとならないということで考えております。
 6ページ目に参りますと、海外の炉を挙げております。この中で幾つかございますが、大体軽水炉の安全性向上に必要とされる用途といたしますのは、そこのところ、右から4つ目のBR-2、JHR、ATRといったところで、このクラスのものであればおおむね代替が可能であるというふうに考えてございます。
 その左から3番目のハルデン、HBWRといったところは、スターマークがつきまして、マルがついてございますが、これは中性子束を増大させるブースター燃料を近接配置するといったようなことでできるということですが、このようなことは規制等のこともございまして、なかなかほかの国でやるというのは難しいかなというところがございます。
 それから次のページに参りまして、科学技術分野ということで、科学技術分野につきましては、高温ガス炉の材料とか核融合材料の開発、それから材料の基礎基盤研究といったことがございます。これにつきましては、メカニズムの解明等試験片レベルでの利用ということも想定されるために、基本的にはJMTRの代替が可能であると。KURにつきましては、中性子束が低いということになるので、基礎的な研究には適しているというふうなことで評価してございます。
 8ページの方に参りますと、科学技術分野で海外でございますが、これにつきましては、基本的には大体JMTRの代替が可能だという形でしております。
 それから、その次のページが材料製造分野、産業利用というところですが、これにつきましてはRIの製造とシリコンの半導体というものがあります。JRR-3、常陽等におきましては利用のニーズはある程度満たすことができるということで、三角にしてございまして、KURにつきましては、学術研究レベルで実施できるということで、そういったものには適しているということになります。それからシリコンの半導体につきましては、実績があるのはJRR-3でございます。JMTRは装置を付加すればできたと、それから常陽につきましてもそれなりの装置を付加する必要があるという形にしております。
 一方、海外のものは、10ページの方にございますが、おおむねRIの製造につきましても実施が可能でありまして、また、シリコンの半導体につきましても、これをつくっているといいうところもかなりあります。そして産業利用につきましては大体どの炉でも代替が可能ということになってございますが、一方で輸送に伴うコストが発生すると。そういったことでコストがより手間が国内のものに比べますと大きいということです。
 また、下のところで、ただし、国外炉による代替は、研究者・技術者の人材育成、それからRIの安定生産・供給の観点から課題であるというふうなことがありまして、こういったことはJMTR運営・利用委員会の報告書でも指摘したところでございます。
 次のページに参りまして、これはJMTRの代替機能として国内での代替が難しい軽水炉分野及び産業分野について加速器での代替ということはどうでしょうかということで、軽水炉分野の照射試験等につきましては実施は難しいと。そちらの方の上から1つ目と2つ目の方に照射試験について、それから加速器の開発についてが述べてございますが、これらの照射試験は軽水炉の環境の条件が大きく異なるということで、JMTRが担ってきた軽水炉分野の代替が困難であるということです。その下のところで産業利用分野ということでRIの製造と、モリブデンの99につきましては、加速器によるものはいまだに研究開発段階、それからPET検査用のRIにつきましては、これについては加速器でもできるでしょうと。
 また、医療のところで、先ほど話題に上がりました加速器によるBNCTにつきましては、京都大学や南東北のBNCT研究センターにて平成28年度より治験が進められているという状況です。JMTRについてはBNCTの方でやっていただいております。
 最後のページで、国内にある代替炉についての検討結果ということで、軽水炉の分野では寿命延長試験、燃料高性能化試験、それから燃料事故時の評価ができない。一方、科学技術の分野ではおおむね代替ができるところであるけれども、産業利用分野では代替が一部可能であるということです。そして国外のいわゆる照射でございますが、こういったものについては性能的には大丈夫ということは、代替することは可能であると。
 課題及び今後の議論の方向性ということでございますが、代替機能につきまして、国内につきましては科学技術分野など国内において代替が可能な分野がある一方、照射試験や産業利用の分野では国内における代替が難しい。
 それから、国内での代替が可能なものにつきましては、既存施設を活用した利用方策を検討するということが重要でございます。そして、国外炉の利用につきましては、多岐にわたる利用ニーズを満たして、研究アクティビティをどう維持・発展させるかということが短期的な課題です。
 そして、今後、我が国として持つべき研究開発機能としてJMTRの代替炉の検討がもう少し長いスパンでの課題でありまして、スペック等の具体的な研究が必要であるということになっております。
 以上です。

(山口主査) ありがとうございます。
 それでは、質疑に入りたいと思います。何かございますでしょうか。

(木藤委員) ありがとうございました。
 質問は簡単なところなんです。2ページ目の円グラフ、これで照射利用の内訳、金額となっていますが、それは何の金額ということなのか。金額は幾らですか。

(楠副センター長) これは27年度に照射が計画されておりました照射費用ということになっています。それで、金額的には大体6.6億円ぐらいということです。

(木藤委員) 照射費用というのは、つまり施設を利用するのにかかるお金という理解でしょうか。

(楠副センター長) 施設を利用していただくのに我々が頂く照射費用ということです。

(山口主査) ほかにはいかがでしょうか。
 では、五十嵐委員。

(五十嵐委員) 御説明ありがとうございました。
 質問ですが、国外の炉を幾つか挙げていただいていて、代替可能というような御説明がありましたが、課題として、利用ニーズを満たし研究アクティビティをどう維持発展させるかというところにまとめられているのだとは思うのですが、こういった海外の施設は自由にというか、比較的希望通りに利用できる環境にあるという理解でよろしいでしょうか。

(楠副センター長) それは炉にもよるというところがございまして、例えばハルデンなどというのは結構使われている、広く使われているところではございます。それから、ほかのものにつきましては、目的が合えば使わせていただけるというような炉もございまして、かなり炉によって状況は違うということですが、例えばBR2とかハルデンとかATRとかといったところにつきましては、利用することが想定できるといったように考えております。

(五十嵐委員) それは必要な手続きをすればできるということなのですか。

(楠副センター長) はい。所定の手続をして申し込むという形です。

(山口主査) 共同利用の制度は既にあって、海外の研究者にもオープンになっていると、そういうことでよろしいですね。

(楠副センター長) はい、結構です。

(山口主査) ほかにはいかがでしょうか。
 では、寺井委員。

(寺井主査代理) 非常によくまとめていただいていると思いますし、最後の12ページのまとめもそのとおりだと思います。ただ、今後別のところでの議論になるかもしれませんが、少し海外炉の調査については詳細にやってもらえるといいかなと思うのが1つです。例えばオークリッジのHFIRとか中国のCARR、その辺のところが今回余り出ていないので、続けてやっていただくとしたら、その辺をちょっと注意していただくということです。
 それから、国内の炉の利用については、いつまで使えるかという、そういう視点も大事かなと思うのです。例えばJRR-3と常陽ですね、この辺のところ、KURも含めてですが、いつまで使えるのか。つなぎとして使うとしたら、その辺のタイムスパンを考えておかないといけないということだと思います。それは海外の炉も多分同じ話で、さっき2035年でしたっけ、何かあったとは思うのですが、海外の炉はそれが出ているのですが、国内炉の話がその辺はどのぐらいのスケジュールでやるのかなというところが、もし今後、もうちょっと調べていただければというふうな感じがいたします。そのあたりお願いします。

(楠副センター長) 海外炉の方につきまして、代替ということをある程度ここでは絞って書かせていただきましたが、御指摘のありましたように、ほかの炉につきましても調査ということで考えたいと思います。
 それから、国内炉の方につきまして、2025年ぐらいであれば、例えば3号炉とか常陽というものはまだ動いているだろうという想定でございますが、これらの炉につきまして高経年化が非常に進んでいるという状況がございますので、それがどこまで使えるかというところは、その状況を見ながら反映していくということが必要かと思います。

(寺井主査代理) ありがとうございました。
 多分、その辺も含めたタイムスケジュールというのを今後、多分作っていくんだろうというふうに思います。
 それから、そういう意味では代替期間をどう乗り越えるかということと、今後、どういうふうに国内に新しい炉を造っていくかという議論が重要だと思うのですが、恐らくこれまでも議論がありますように、やはり日本というのが科学技術先進立国でやってきていて、それでやはりアジアといいますか、特に東南アジア、その辺への人材育成であるとか、あるいは技術供与であるとか、先進技術の開拓という意味での重要なミッションがあると思うんです、中国とどういう関係になるのか微妙なのですが。ただ、東アジアのハブとしてやはりしっかり東南アジアのハブとしてやっていくということを考えると、つなぎの期間はともかくとして、やはり国内でしっかりとしたハブになるようなものを造って、周辺諸国への貢献を行っていくという視点も重要かなと思いますので、そういった視点も是非忘れずにとどめていただければというふうに思います。これはもう多分、皆さん、そういう理解だと思うのですが、よろしくお願いいたします。
 以上です。

(山口主査) ありがとうございます。
 今の御質問でちょっと思ったのが、代替期間というのと長期的にという話と、寺井委員からは少し整理して、まずこれ、当面はJMTRの代替機能が必要であるというお話で整理されていると思うのです。それで、最後のページの今後の議論の方向性というところで、JMTRの代替炉の検討が長期的課題であり、スペック等の具体的な検討が必要と書いてあって、少しその辺の整理が必要かなと思うのです。寺井委員の御指摘も踏まえ、まず当面、JMTRが担ってきた、特に上の軽水炉分野の課題というのは喫緊の課題ということと言えると思うのですが、それと海外の炉の利用ということも踏まえ、長期的にどうJMTRの機能を利用維持していくかという話で、それで結論のところで長期的課題なのか、あるいは短期的にはどうするのかというのは少し曖昧になっていて、ちょっと寺井委員の海外炉の運転のタイムスパンとかスケジュールなんかも踏まえて整理していただけたらというコメントを頂いたので、その辺の時間感覚の話を一緒に書いていただいたらいいと思うのです。そうするとJMTRの代替機能は短期的課題であるんだけれども、代替炉は長期的課題であるとか、ちょっと書き方が違ってくるのかなと思いまして、少し整理をよろしくお願いしたいと思います。

(楠副センター長) わかりました。

(山口主査) ほかにはいかがでしょうか。
 五十嵐委員、どうぞ。

(五十嵐委員) 今、主査がおっしゃったのは、全くそのとおりだと思います。伺っていると従来のものの代替という御説明ばかりだったので、もうちょっと長期的なスペックとして、専門外で申し訳ないのですが、将来的にはこういうところが必要になってくるといったような視野も持って御検討いただけたら、もっといいのではないかと思います。

(山口主査) ありがとうございます。
 ほかはよろしいでしょうか。では、どうもありがとうございました。
 では、続きまして4番目の議題で、4番目の議題は、もんじゅサイトを活用した新たな試験研究炉の調査についてでございます。こちらを文科省の事務局から説明を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

(小川原子力課長補佐) それでは、よろしくお願いいたします。
 資料の6でございます。「もんじゅサイトを活用した新たな試験研究炉の在り方に関する調査」委託業務概要、片面1枚ございますので、こちら、先日の部会でも、もんじゅサイトに関して調査を行っていくという話をさせていただきましたが、こちら、今、正に公募の途中というか、進んでございまして、そちらの御報告ということでございます。
 まず、こちら業務目的としまして、こちらの調査の中身でございます。こちらにつきましては、全国の大学・研究機関等が参画するコンソーシアムが運営する試験研究炉をもんじゅサイト内に新たに設置する際に、どのような試験研究炉が国内外の研究者等のユーザーからニーズがあるのか。全国の大学・研究機関が参画するこうしたコンソーシアムの構築体制等はどのような形がよいのかなどに関する調査を実施ということでございます。こちら公募を行いまして、技術審査等を経まして、公益財団法人原子力安全研究協会が落札しました。こちらの契約手続を今、進めているところでございます。
 また、2ポツでございます実施項目でございますが、どのような形で進めていくかでございます。外部有識者委員会をまず設置しまして、こちらは公益財団法人原子力安全研究協会が外部有識者委員会を設置します。設置に際しましては、下に挙げるようなメンバーで構成するということでございます。例えば原子炉の専門家、またユーザー関係の皆様、産業利用、医療利用も含めたものでございます。また、原子力人材育成分野の先生方、コンソーシアムにおけるマネジメント分野の有識者等ということで、こちらは今後具体的に原子力安全研究協会の方で考えられていくということになっています。
 また、調査内容でございますが、求められる試験研究炉のスペック。こちらは本部会でやっているところと重複する部分がございますが、我が国の研究炉を取り巻く動向、また、求められる研究炉が対象とする研究分野、又は人材育成機能、対象となる研究者等のユーザー。また、求められる運営主体の在り方としまして、例えば運営主体としてここに挙げたようなJAEA、大学、その他法人、法人格もございますが、このようなものがいいのかなど、また日本各地、海外から学生・研究者が集まる共用施設の運営体制はどのようなものがいいのか、そういったことでございます。
 調査の実施方法でございますが、こちら年度で調査実施いたしますが、本部会での審議の御参考にしていただくということで、途中段階を2回ほど、こちらの部会に報告をさせていただきたいと思います。その意味でも、本業務につきましては、調査報告書を年2回、夏と冬に1回ずつ原子力研究開発基盤作業部会で中間報告を行えるような形にしてございますので、また調査が進みましたら中身については御報告させていただこうと考えてございます。
 以上でございます。

(山口主査) それでは、この調査の委託業務の紹介でございますが、御質問ありましたらお願いいたします。
 木藤委員、どうぞ。

(木藤委員) ありがとうございました。
 これも先ほど申し上げたことと似ているところがあります。前回の部会の資料ですと、閣議決定された内容というのは、将来的にはもんじゅサイトを活用し、新たな試験研究炉を設置する、こういうことだというふうに説明いただいて、そのように理解しておりますが、今日頂いた資料ですと、いきなりもんじゅサイトを活用したということで、将来的にとかそういう視点がもう落ちていて、いきなりもんじゅサイトに造るのねという、こういう感じなんですけれども、もうちょっと全体の計画、構想というのがあって、その次にもんじゅサイトでやる。何か2段階あってもいいんじゃないかなという、そういう感じを受けておりますけれども、ほかの委員の方、どうなんでしょうか。

(山口主査) なかなか難しい問いかけですが、まずはいかがですか、何か答えられることはありますか。

(西條原子力課長) すみません、もんじゅサイト、前回御説明したように、閣議決定というか、あれ自身は原子力閣僚会議決定という形で、もんじゅの在り方という中で地元との関係で、もんじゅのサイトを将来的、もちろん今すぐ何かを造るわけではないので、もんじゅの廃止措置が進む中でどういった活用方法があるのかということで試験研究炉の設置というところを提案させていただいているというところでございますので、そういう意味では、一応前提としては地域との関わりというところもありまして、そこを前提とした上で、どういったものをというところではあるのですが、それが単に国が何か勝手に決めたものを置くというのではなく、やはりこれは将来、こういった全体の今、御議論いただいている研究炉、国として持つ機能というところですね、活用されるものをやはり造っていかなければいけないという観点から、今回はそのためのまずは第1弾の研究として委託調査をお願いしているというところでございます。もんじゅサイトを活用した将来的というのは、意図的なものは全くないのですが、使うに当たっての大きな視点としてどういったものが正にすべきか。それから、体制としてこれはこの後の議論でもありますが、どういった体制で進めていくべきかというところはきっちりと皆さん議論した上で、やはりこれが最終的にはいろんな方々にとって、やはり将来の研究開発をやっていく、日本が原子力の研究開発をやっていく上で、やはり重要な施設という形になるものとしてどういう形をやっていくのかというのを議論させていただくというところでございます。
 今回は正に委託先が決まったという状態で、全然スタートしていないので、これについては先ほど御説明させていただいたように、しっかりと調査の内容、こちらの方に御報告させていただきながら全体に反映させていただければというように考えております。

(山口主査) ありがとうございます。
 どうぞ、寺井委員。

(寺井主査代理) なかなか政治主導で進めておられると難しい部分があるかと思うのですが、多分今のお話を理解すると、先ほど来議論されている、求められる国として持つべき研究試験炉のスペックをここである程度ラフに議論していただいて、それを運営主体の在り方も含めて、それを御提示いただくと。それについては議論ということになるのですが、例えばそれをもんじゅのサイトに造るとしたら、そのスペックが全部生かせるのかどうか。そこはまた別の話かもしれないなという気がするんです。つまり、もんじゅのサイトはこれから廃止措置に向かうわけですが、少なくとも今ある場所を使おうと思うと、それなりのスペースしか多分使えないし、廃止措置をやっていきながら、ある程度スペースが多分できてくるんでしょうけれども、ある意味、そういう時間的、空間的な制限の中でどういうものが、もんじゅサイトということを言った場合に出てくるのか。多分その議論が2番目の議論としてあるのかなと思うんです。だから、全体の理想的なスペックで、これがまず第1段階で議論していただいて、第2段階として、それを廃止措置中のもんじゅに造るとしたらどうなるか。もんじゅも廃止措置30年とか多分かかる話だと思いますから、その辺の2段階の議論になるのかなという気がします。ちゃんとその辺のところは今後、報告書を年に何回か出していただく中で議論を進めるのかなというふうに私は個人的には理解しているのですけれども、そういう理解でよろしいですか。

(西條原子力課長) 今、先生の方から御指摘があったとおりだと思います。もちろんここのサイトを前提として、かついろいろな廃止スケジュールもある中で、どういった対応をしていくのかというのは当然制約条件が出てくると思います。ただ、まずは制約条件から入るというよりは少し広めに議論しながら、そこにどういった形でというところは2段目という形になると思いますので、その辺も整理はいずれして議論させていただきたいと考えております。

(寺井主査代理) ありがとうございました。

(山口主査) ちょっと私の理解は、今、地元との関係というような話、言葉も出たのですが、むしろもんじゅのサイトにはいろいろなインフラもあるんです。もちろん炉もそうなんですけれども、それに続く研究施設のようなものもあり、あと当然、もんじゅのために作った設備などもあり、ということで、むしろこれはボトムアップ的といいますか、そういういろいろインフラとかを備えたもんじゅのサイトを活用する可能性ありやと、ポテンシャルありやと、ニーズがマッチするのかと、そういう視点での議論と。一方、先ほどの我が国が持つべき研究機能、あるいは研究炉の姿というのはトップダウン的な、やはりこういうことをやるべきであって、それでこういう研究の研究施設が要るんだと、ということで、第1段階、第2段階的アプローチというよりも、両方が並行していって、もんじゅのサイトを廃炉という中でどういうふうに研究のために使っていけるのかという視点での議論という理解をしていて、その辺の整理の仕方も、このタイトルを見ると先ほどの議論した試験研究炉をもんじゅサイトに活用して何とかするというふうにも読めるわけです。それで寺井委員の御指摘のようになったわけですが、その考え方は必ずしもそうというわけでもないとも思いますので、先ほど今後1度整理してという中で、考え方をちょっと両方の議論から併せて行われているところの中身を1度御紹介いただければと思いますので、寺井委員もそういう理解でよろしいですね。

(寺井主査代理) 多分それで結構だと思います。まず、場所を決めてということではなくて、全体、理想的な形を先ほど一通り申し上げましたけれども、理想的な形をしっかり出して、現実問題として、それがどこで実現できるのか。例えばもんじゅであるとしたら、その機能のうちのどこまでが得られるのか。多分そういう議論かなと思うんです。そうなると、駄目な部分はまた別のところでという話に当然なり得る可能性がありますから、そういった可能性も含めた、踏まえた議論かなというふうに私は理解しています。

(山口主査) どうぞ。

(西條原子力課長) ありがとうございます。
 今頂いた御意見を踏まえて整理をさせていただきますが、正に理想的なところ、それから制約条件というのもありますし、今、主査の方からありましたように、逆に言うと、利点というところも当然あって、周辺にある施設や何かを使って。そういったところの整理の兼ね合いという感じになってくるのかなと思っていますので、その辺は委託調査を進める中で整理をして御説明させていただきながら御議論という形で進めたいと思います。

(山口主査) ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。今のお話ですと、2回ぐらいは説明いただくということですか。本日は全員の委員に御出席いただいていますので、今日の議論を覚えておいていただいて、また是非次回、御出席いただいて議論していただければと。
 それでは、次、5番目の議題に移ります。原子力機構が保有する施設の運営、供用体制についてでございます。こちらも原子力機構より説明いただきたいと思います。お願いします。

(大井川部長) 原子力機構の大井川です。お手元資料7番の方に沿って説明したいと思います。
 めくっていただきまして、2ページ、原子力機構の供用施設ということで、3ページにありますように今、10個の施設が供用施設として登録されています。供用のキョウの字がにんべんが入っている施設がこの10個で、にんべんのない共用というのは、J-PARCについては適用されていて、それはまたちょっと違う枠組みで使われています。きょうはにんべんのついている供用施設について話をさせていただきます。
 3ページにありますように、中性子利用・照射後試験施設ということで、JRR-3、JMTR、常陽、燃料試験施設。イオン加速器としてタンデム。放射光利用施設としてSPring-8。加速器質量分析施設としてペレトロンとタンデトロンをそれぞれ持っています。校正用の施設が東海にありまして、もう1つは最後ありますが、遠隔技術開発試験施設ということで、福島県の楢葉にモックアップ試験施設を最近、整備してございます。
 4ページが利用の状況で、平成19年度から27年度までの状況です。見ていただきますとわかりますように、青いところ、JRR-3とJRR-4の部分が平成23年度、震災以降、低いという状況です。21年度減っているのはJRR-3でトラブルがありまして、運用ができなかったときがあったということです。
 5ページはJRR-3に関します供用の実績ということで、大体利用件数というのは500から600、多いときには800近くという利用件数で推移しているという実績を持っていました。
 めくっていただきまして6ページはJMTR。これは平成18年度までということになっていまして、十数件の利用件数ということでございました。
 7ページは、こういう供用をしていく、利用していただくまでの流れを示したものになります。真ん中の1番上、定期募集と随時申込というのがありますが、基本的には年に2回、利用に関して定期募集を行いまして、その課題について審査を行って、合格したものについて採択通知を出して、その後、真ん中の個々の利用に進んで、最終的には報告書を提出していただくというような形になります。左側に随時申込とありまして、成果非公開課題だとか、研究開発以外の利用については、課題の審査なしで利用いただくこともありますが、その分、利用の料金は高くなるというような仕組みになってございます。
 8ページは利用を審査する専門部会というのがこういうふうに設けられておりまして、ここのところで審査を行うという仕組みができております。ざっと簡単ですが、こういう流れで施設の供用をしていただいているという状況です。
 9ページからは、供用施設の改善の取り組みということで、JRR-3とJMTRの改善の取り組みについて1枚1枚まとめさせていただきました。JRR-3の改善取り組みに関しましては、今、震災以降とまっているということもありまして、中性子科学会だとか大学等から早期の再稼働を求められているという状況です。それから、先ほどあります照射炉のニーズの一部の代替をされることが期待されているということです。そういうことも踏まえまして、それから震災以降とまっている間にユーザーにアンケートをとって、その辺の声も酌み上げたうえで、下の幾つかの改善すべき事項というのをまとめてございます。
 1つ目は、安定した運転が重要だということで、毎年7サイクルをしっかりと運転することが望まれているということですが、我々、新規制基準に対応して、まずは再稼働を果たすと。それから、JRR-3に関しましては高経年化等も進んでいるということで、その対策等も確実に実施していくということが、課題の取り組みの方向というふうに考えております。
 それから、研究環境の充実ということで、先ほど申し上げましたアンケートによりますと、やはりJRR-3に比べまして、海外炉で照射をされている方等の意見を聞きますと、改善点があるのではないかということを言われています。まずは、外国に比べて性能が劣っていては話にならないということで、中性子ビーム増強なども目指していきたいと。それから、いろんな実験施設の最先端化も図っていきたいと考えております。
 それから、3ポツのところは、新たな照射炉ニーズへの対応ということで、そのような設備も機能拡大をしていくということもやっていかなければいけないと考えています。
 4ポツは供用体制の充実ということで、これもアンケートによりますと、JRR-3の研究者への支援の体制というのが非常に脆弱(ぜいじゃく)だと、手薄であるというふうな指摘がございました。その辺、我々も参考にさせていただきながら、きめ細かい情報の提供だとかユーザーフレンドリーな課題申請システムの採用などを行っていって、それからコーディネータとか実験支援者の配置なんかも考えていきたいというふうに考えています。
 5ポツ、すそ野を拡大ということで、人材育成だとか、あるいはJRR-3の近くにあるJ-PARC等とうまく共同して、たくさんの利用者が集う、そういう対話の場等を設けていくということで、ここを起点にして新しいイノベーションを生み出していくようなことも必要かなと思っています。こういう方向性を全てやっていくには、1番上のところ3つ目の丸にありますが、必要な予算確保の仕組みというのが不可欠なのかなと考えているところです。
 続きまして、JMTRです。JMTRは平成17年当時ですから、JMTRを改造して寿命を延ばして使い続けましょうということを決めた当時、こういうユーザーフレンドリーなことにしてもらわないと困りますよというようなことが言われたことをまとめたものです。
 まず、1ポツ、JRR-3と同じで、安定した稼働が必要だということで、稼働率60%から70%を目指しますということでした。
 それから2ポツの研究環境の充実ということで、照射キャプセルの製作に要する調達時間を短縮すると。こういう実験をしたいと言われてから2年かかっていたのでは研究開発が進まないということもあって、そういうのを短縮しようということ。
 それから、3ポツのところですが、照射費用の低減だとか情報管理、そういうユーザーの身になった制度を作っていくということを考えないといけない。右側にありますように、原子炉の運転維持費を合理化するというようなことが求められていたわけです。
 それから、すそ野拡大のところですが、アジア諸国との連携だとか、あるいはJMTRを使ったオンサイト研修だとかを行っていくというのを考えていこうということです。
 このような点が研究炉に関する改善ということで我々としては認識しているところでございます。
 以上です。

(山口主査) それでは、御質問などありましたらお願いします。
 木藤委員、お願いします。

(木藤委員) ありがとうございます。
 本当に素人なので申し訳ない質問なんですけれども、先ほどの御説明で、利用者から利用料の徴収があって、運営されているのですよね。その利用料の中で、この施設は動かしているというわけじゃなくて、そこには運営交付金とかどう適用されているのかということがあるのですね。そうすると、JRR-3等の予算確保の仕組みが不可欠とありますが、これはつまりどういうことですか。利用料をもっと上げるということとか、どのようなことをイメージされているんでしょうか。

(大井川部長) 利用料を上げるというのはなかなかユーザーとのつながりもあって難しいのですが、やはり運営費交付金の方が毎年毎年圧縮されていくような仕組みになっているので、かつ震災以降、非常に規制への対応とかの要求、ハードルが高くなった部分もありまして、必要な費用とかが増えてきているんです。そういうことも含めて、ちゃんと運転をしていくための費用というのは今、なかなか確保できていないようなので、そういうのを確保しつつ、またユーザーへの便宜も図ってということで、これは予算確保の仕組み、運営費交付金がいいのか、ほかの何かいい仕組みがあるのかというのも含めて、御議論いただければというふうに考えているところです。

(山口主査) ほかにはいかがでしょう。
 どうぞ、中島委員。

(中島委員) どうもありがとうございます。
 3号炉の方で改善取り組みということで5項目ほど挙げておりますが、まず確認だけですが、まずは現状の機能のままで再稼働して、その後、落ち着いたらというか、こういったことをやっていきたいということでしょうか。あともう1つ、我々は運転要員とか、そういうところが非常に厳しい状況になっておりますけが、JRR-3等は今というか、これから長期運転していくに当たって、どのような感じなんでしょうか。

(大井川部長) 今のところは何とかなるかなと。それはほかの施設をとめていっているのもあるので、そういうところから人をやりくりしてというふうにしていきたいと思っていますが、そのうちというか、施設の廃止措置に移っていかないといけないところもあるので、そういうところへ人を充てていくのも必要になってくるので、バランス的には難しい状況であるというのは変わりないかなと思います。

(中島委員) ありがとうございます。
 うちもそうなのですが、とまっている間というか、とまるちょっと前に入ったばかりの人とか、ほとんど運転を経験していない。これから夏ぐらいには再開したいと思っていますが、やはり最初の段階というのは非常に心配の大きいところでございます。今、お話がありましたように、例えばほかの施設から移ってくるというと、やはり相当の人材の教育訓練というか、そこが非常に大事で、動いたはいいけれども、また何か人的ミスでとまってしまうと結構いろいろ話題になってしまいますので、そこはお互いですが、気をつけていただければと思います。

(山口主査) ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 先ほどの木藤委員からの御質問でもあったんですが、今日のこの議題は本来は施設の運営供用体制についてというのが議題で、今日のところはJAEAの実態としてこうやって運用されていますというお話がされていたと思います。課題のところでは必要な予算確保の仕組みが不可欠というところで改善の方向性が示されて、そこがいきなり予算確保の仕組みの方に飛んでしまっているので、恐らくここでまた、このテーマは非常に重要で、これから議論しなければいけないのですが、先ほど口頭で御説明いただいたレギュレーションへの対応の話ですとか、それから人の話もそうですし、利用料金も当然受益者負担という考え方もあるわけで、いきなり予算の確保の仕組みというのは、これはこれでよしとして、じゃ、どういう制度が必要で、どういう予算が必要でという、もう少しその切り込んだ議論が多分、ここの場では皆さんしたいんだと思うんです。また、是非その辺の話もむしろ施設運用者の側からのリクエストとか、ニーズとか、課題というのをもう少し赤裸々にというか、出していただくというのは非常に重要なことだと思いますので、その辺はお願いしておきたいなと思います。
 では、よろしいでしょうか。本日は非常に活発に御議論・・・はい、どうぞ。

(寺井主査代理) 今のこの議論ではないのですが、全般的な今日の課題、議題の中で、1つだけ強調しておきたいことがあるのですが、本日は照射炉の代替機能についてということで、JMTRの代替機能についてお話があったと思います。それから、京都大学、近畿大学から現状についてお話があったのですが、また所望を言いますと、研究用原子炉といった場合に、いわゆるJMTRの照射炉のかなり大量の中性子フラックス、たくさん当てて幾らという話のもの。つまりこれは原子力の研究には欠かせない。例えば高燃焼度化とか高経年化とかそういうものと、もう1つは京大炉とかJRR-3もそうなのですが、JRR-3は今日、図面が出ていなかったのでよくわからないんですけれども、京大炉の概念的なものなんです。つまり中性子源として使う原子炉。ビームを原子炉の炉心から取り出してきていろんな分析に使ったりするという、こちらの方はむしろ原子力というよりは中性子科学といった基礎的な教育・研究に使うような部分があると思うんです。同じ原子炉といっても、研究用原子炉といっても多分、大きく分けてその2つがあって、ちょっとそこを整理しないとまずいのかなという気がするんです。もちろん1基で両方替えられれば1番いいのですが、今までたくさんの種類の原子炉があるということはそういうことではなくて、やはり機能に特化したものが有効的に使われてきているんだろうと思うんです。だから大きく分けて、その2つのタイプの研究用原子炉があるということです。
 それから、中性子源として使うものについては、最近は加速器を使った中性子源というのも結構出てきていますから、それとの整理も多分必要になってくるという気がします。もちろん条件は大分違っていまして、もちろん中性子のフラックスが違いますし、もちろんスペックの問題もあるし、それからもっと大事なのは、照射できる体積といいますか、それがかなり多分違うんです。ちょっとその辺のいろんな照射条件なんかも加味しながら考えることが必要かなと思います。
 人材育成に関して言えば、これはいずれも重要でありまして、中性子源として使うような原子炉については、例えば原子炉の炉特性であるとか、基本的な学生に対する教育の部分は十分それでやれると思いますが、ただ照射技術の継承とか、あるいはかなりたくさん中性子を当てたときに材料の物性がどう変化するかという、そういうことに関する人材育成については照射炉ではないとできないということが当然ありますから、少し基本的な機能、これから多分先ほどの原安協で調査されるところにも入ってくるのだと思うのですが、今、申し上げたような事柄も含めて検討していただいて整理したらいいのではないかなというふうに思います。これちょっと最後、コメントです。

(山口主査) ありがとうございました。
 ほかには皆様から御意見ございますか。よろしいでしょうか。
 では、どうもありがとうございました。
 では、最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。

(小川原子力課長補佐) 次回の開催につきましては、本日いろいろ御指摘いただきましたので整理・検討させていただきまして、夏ごろかと思いますが、また具体的に日にちが決まれば御連絡いたしたいと思いますので、また日程の照会等をさせていただきたいと思います。
 また、今回の会議の議事録案につきましては、出来次第メールにて御相談させていただきます。
 以上でございます。

(山口主査) もう夏ごろのような気候です。
 それでは、以上をもちまして第2回の原子力研究開発基盤作業部会は終了いたします。本日はどうもありがとうございました。


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研究開発局 原子力課