核融合科学技術委員会 原型炉開発総合戦略タスクフォース(第17回) 議事録

1.日時

平成31年1月22日(火曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  1. 第23回ITER理事会の開催結果について
  2. 第23回BA運営委員会の開催結果について
  3. 原型炉研究開発体制の強化のための大学等の連携強化について
  4. その他

4.出席者

委員

岡野主査、笠田主査代理、石井委員、大場委員、柏木委員、坂本委員、竹永委員、西村委員、福家委員

文部科学省

新井研究開発戦略官、阿南補佐、吉澤核融合科学専門官、上田科学官、徳澤学術調査官

オブザーバー

自然科学研究機構核融合科学研究所 森崎友宏 教授、今川信作 教授
量子科学技術研究開発機構六ヶ所核融合研究所 池田佳隆 所長

5.議事録

【岡野主査】  それでは、時間になりましたので開始したいと思います。
 本日は御多忙のところお集まりいただき、ありがとうございます。定刻になりましたので、まず事務局の方から定足数の御確認をお願いします。
【吉澤専門官】  本日、9名の委員の方に、御出席いただいておりまして、定足数は6名となっておりますので定足数を満たしております。
【岡野主査】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまから第17回原型炉開発総合戦略タスクフォースを開催いたします。
 なお、委員会の運営規則に基づき、本タスクフォースは原則として議事を公開いたします。御発言は議事録に掲載され、ホームページ等で公開されますので、御承知おきください。
 また、本日は、議題3の説明者として、核融合科学研究所より森崎教授、それから今川教授、QSTの六ヶ所核融合研究所より池田所長に御出席いただいております。よろしくお願いします。
 次に、前回のタスクフォース以後、新井研究戦略官が就任されていますので、一言、御挨拶をお願いします。
【新井戦略官】  皆さん、こんにちは。新しく核融合研究開発戦略官に着任しました新井と申します。新しいといっても去年7月末に着任でして、ちょうど本日の会議資料で配布しておりますが、私が着任して初めての仕事が、皆さんで御議論していただいたロードマップ(一次まとめ)を出すということでありました。
 ロードマップを見て、核融合の実現に向けて、いろいろな課題をオールジャパン体制できちんと解決していかなければならないと、チェックアンドレビューを随時していくということだと思いますが、着実に研究開発を進めつつ、ほかのセクターの皆様方とも連携しながら核融合研究開発を進めていくべきであると考えております。コミュニティーの皆様方と一緒に考えて核融合研究開発を進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【岡野主査】  戦略官、ありがとうございました。
 それでは次に、事務局の方から配付資料の確認をお願いいたします。
【吉澤専門官】  配付資料は議事次第に記載しているとおりでございます。読み上げは省略いたしますが、議事を進めていく中で、落丁等ございましたら事務局にお知らせください。
【岡野主査】  ありがとうございました。
 それでは、議題1、第23回ITER理事会開催結果について、に入ります。11月に開催されましたITER理事会の結果について、出席された新井戦略官より御報告をお願いします。
【新井戦略官】  それでは、資料1を御覧ください。第23回ITER理事会の開催結果についてでございます。
 去年11月14日と15日に定例の理事会がございました。これはいつものとおりフランスのカダラッシュで開催しておりまして、日本からは山脇文部科学審議官が首席代表ということで出席しております。議題としては、ITER計画を見据え、進捗報告あるいは研究の計画の事業マネジメントについて、あるいは次の年度の予算等、定例の議題で報告、議論がなされました。
 理事会の結果概要ですが、進捗状況の確認というところで、2025年のファーストプラズマまで60%近く建設が進捗し、本格的な据え付け・組み立てフェーズにこれから移行していく準備が整いつつあるということが確認されました。他方で、依然として、厳しいスケジュールと挑戦的な技術要求の中でプロジェクトを進めていく必要があり、遅延のリスクを勘案しながらやっていくということを確認しました。
 ベースライン2016の最終合意の関係では、コストについては暫定合意中、スケジュールについては合意済みということでありますが、引き続き一部の国が国内調整中であるものの、合意に向けて前進しているということが確認されました我が国については、ベースライン2016におけるスケジュール及びコストは妥当と核融合科学技術委員会の方で評価を頂いております。
 次回のITER理事会の日程は、今年6月19日、20日の両日、カダラッシュのITER機構本部で開催される予定です。
 次のページは建設状況についてです。理事会の際にサイトの見学もいたしまして、大分進んでおりました。トカマクの設置場所、写真の一番左側のところですが、こちらの遮蔽壁の方は大分せり上がってきています。ITER理事会前の10月の運営委員会(MAC)でも見学しましたが1か月の間でもトカマク建屋の壁がせり上がってきて中が見えなくなっており、それぐらいのスピードで、大分早いなという印象を受けたところです。日本の機器製作も進んでおりまして、東芝さん、あるいは三菱重工さん、三菱電機さん、各社連携でコイルを作製しているとか、NBTF、中性粒子の加熱装置の実機の研究については日立さんに納入していただきながら、イタリアでの研究も着々と進んでおります。
 次のページ、ITER計画の予算の関係ですが、2019年度、来年度の予算案が12月に閣議決定し、これから国会の審議が行われますが、145億円の予算となっておりますITERに対する予算は、現金貢献、分担金と言われているものと、物納貢献、調達機器の関係があり、分担金について48億円を来年、きちんと義務を果たしていくというところと、調達機器についてもTFコイル、あるいはNB含めた調達機器を進めていくというところで必要な予算を確保しています。
 次のページ以降は、ITER理事会の開催結果ということで、開催後にプレスに投げ込みをしている資料であります。内容は先ほど御説明したとおりですので、割愛させていただきます。
 【岡野主査】  ありがとうございました。それでは、質疑、討論に入らせていただきたいと思います。ビゴ機構長の任期はいつ頃まででしたか。
【新井戦略官】  機構長の任期は5年間となっておりまして、2020年3月までの任期となっております。
【岡野主査】  まだ十分、大丈夫ですね。これから設計をしっかり進めていただく時期なので、それを聞いて安心しました。ありがとうございました。
 それでは、そのほか何か御質問等がございましたら、お願いいたします。
【西村委員】  このITER理事会の後、12月に入ってセントラル・インテグレーション・オフィスのディビジョンヘッドの公募が出たんですね。日本人のスタッフがかなり、私がいたときには30人を超えていたんですけれども、インテグレーションオフィスはある種キーのポジションで、まさにこれからというか、今もう既にTFコイルの溶接も始まっているし、また日本ももうそろそろ準備されているんだろうと思いますけれども、どういう状況になっているのでしょうか。このITER理事会とは、直接か間接か分かりませんけれども、差し障りのない範囲で状況をお話しいただければなと思うんですが。
【新井戦略官】  ありがとうございます。まさに今、委員御指摘のとおり、日本人のITER機構におけるスタッフというのが他極に比べても非常に少なく、30人弱で、全体の3%程度です。当然、貢献のパーセンテージでいけば9.1%ですので、それに見合うような貢献というのをすべきで、日本で今後核融合をやっていくときの人材育成というのを含めて、きちんと人材を育成していく観点からも、もっと日本人のスタッフを増やすべきという課題を認識しております。
 職員として働いていただくことと並行して、IPAという出向制度が2017年にできており、4年以内となりますが、この制度を利用してフレキシブルに行っていただくような、人材供給にも力を入れてやっていきたいと思っております。
 もう1点、CIO、中央統合オフィスの部門長について、近々現部門長が退職されることに伴い、次期部門長の公募が1月31日まで行われています。これから組み立て、据え付けというところでキーになるオフィスでありますし、今までも歴代、日本人の方が部長職を担ってきたというところもありますので、この職責の重要性と日本の貢献という観点から、きちんと公募に対応していきたい、と我々としても考えているところです。
【笠田主査代理】  9.1%を満たせていないのが、私は最初、日本特有のことかなと思っていたんですけど、先日、極別の振り分けを見たら、満たしているのは中国だけですよね。だから根本的にITER機構のヨーロッパ圏外からの受け入れがしにくい状況になっていないかというのがちょっと気になったんですけれども、もしもそうだとしたら、何らかのアクションをしないと、ちょっと働きにくいのかなと。私は完全に外側の人間ですけれども、そう感じた次第です。
【新井戦略官】  ITER自体のサイトがフランスにあるため、やはり欧州のスタッフの存在感が非常に大きく、ほかの極は少なくなりがちというのはあると思いますけれども、中国については非常に若い研究者の方、研究者の卵といいますか、そういった人材を非常にたくさん派遣しているというところだと思います。どのフェーズでそれぞれの極の人がたくさん行くのがいいかというのは、戦略的に考えるところもありますが、日本として特有の難しさというのは、国際機関に行くことについて、今働いているところを完全に辞めて行かなければいけないという、日本の終身雇用制の労働環境がまだまだあり、なかなか難しいと思いますので、そこを少し改善するために出向制度を作り、籍を残し、また戻れるような形を作りましたので、これを広く周知して、いろいろなセクターの人に行っていただくようなことができればと考えています。
【岡野主査】  ありがとうございました。ほか何かございますか。
 それでは、御意見は出尽くしたかと思いますので、次に進みたいと思います。議題2、第23回BA運営委員会の開催結果についてに入ります。12月に開催されましたBA運営委員会の結果について、出席されました新井戦略官より御報告をお願いします。
【新井戦略官】  資料2をご覧いただければと思います。
 日程は今、岡野先生からお話あったとおり、去年12月6日にフランスのグルノーブルで開催しております。これはフランスの原子力庁関係の研究所MINATECで開催しております。これは審議官級の会議で、日本は研究開発担当の増子審議官が首席代表ですが、国会審議の都合で出席がかなわず、私が代理で首席代表となりました。欧州側は欧州委員会のガリバ局長で、BAの3事業、IFMIF/EVEDA、IFERC、サテライト・トカマクの進捗状況報告と、2020年以降のBAフェーズ2も視野に入れた事業計画と、来年の作業計画の更新等が議題になっております。
 次のページ、BA活動の現状です。3事業についていろいろな報告がなされ、上のボックスと真ん中右側のところがIFERC関係の現状であります。遠隔実験センターにおいて、特にCEAのカダラッシュ研究所と六ケ所をつなぐ遠隔実験が11月末に成功したという報告や、原型炉に必要な重要機器の設計関係では、JETで使用されたタイルとダストの分析が進んでいるという報告もなされています。スパコン関係は、六ヶ所に新しいスパコンが導入され、本格的に運用開始しました。真ん中左側のボックスはIFMIF/EVEDAの話で、加速器のいろいろな機器が欧州から届いており、去年の6月には8系統高周波源を用いたRFQによる陽子ビーム加速実験に世界で初めて成功したというが報告されております。
 一番下のボックスはサテライト・トカマクの話で、こちらについても調達機器が届いており、特にTFコイルについては全て届いるという報告です。JT-60SAの組み立て完了は2020年3月、初プラズマを来年夏頃予定しているということも報告されております。
 次のページも会議の結果概要で、BAフェーズ2に向けた検討がかなり各事業の事業委員会で進んできており、これから政府レベルで計画をきちんと詰めていくというところで、日欧政府におけるさらなる検討に資するため各事業計画を暫定承認しました。
 次のページ、ブローダーアプローチ関係の予算ですけれども、来年度予算案は73億円となっております。JT-60SAについては来年3月に完成に向け、組み立てまでの予算ということで42億円少々、IFMIF、IFERC関係でも必要な予算を確保しているところであります。
 次のページ以降は、先ほどのITERと同様ですけれども、会議の後の報道発表資料を参考に添付しておりますので、ご覧いただければと思います。以上です。
【岡野主査】  ありがとうございました。ただいまの御報告に対しまして御質問等がございましたら、お願いいたします。
 随分BAが進展していると思うんですが、六ちゃん2はもう運用されていて、順調に動いているという感じなんですね。
【新井戦略官】  はい、そうです。
【岡野主査】  そのほかIFMIFもいろいろ入ってきていると思います。今のタスクフォースは、第2回に六ヶ所で開催し、視察を行いました。次回から一部メンバーの方が替わられるとも思いますし、しばらく見に行っていないので、第1回からというのは無理だと思いますけど、一度六ヶ所に行って、大事なBA活動を見ていただく回を作っていただければとお願いしておきたいと思います。やはり物を見ると全然違うと思うのと、雰囲気が分かると思います。
【新井戦略官】  はい、検討していきたいと思います。きょうは池田所長もいらっしゃっていますし、石井先生もいらっしゃいますので、相談していきたいと思います。
【西村委員】  
 私から1つ。60SAは是非ともと思って、成功するように思っているんですが、これは、日本側はこういう予算というのはオーケーですけど、EU側というのはまだコントリビューションが続くんでしたっけ。ちょっとEUからの、基本的には物納なんでしょうけど、ヘルプというか何らかのアシストは続くのかなという。もちろんTFもPFもクライオジェニックもみんなできないとだめなんですけど、最後の組み立て、魂を入れていくプロセスなので、それぞれのメーカーさんの、ある一種献身的なコントリビューションを期待するんですけど、向こうの、EUの側もうまく魂が入るように協力を頂けるような仕組みが少し気になるところです。
【新井戦略官】  仕事そのもの、あるいはそれを踏まえた役割分担で、それに付随するコストについて、全て協定に基づく諸文書で固まっておりますので、現場の日欧の関係者の議論というのは、大分、鎌田副所長からも最初は難しいところもありましたが、今は非常にいい関係で仕事ができているという話を聞いており、そういう魂を入れるところも含めてきちんと連携をしていくということだと思います。
 あと2020年以降の活動についても、どう連携していくかを議論しており、組み立ては、その中途の、一ステップだと思いますので、そこについてきちんと議論はされていると理解しています。
【岡野主査】  4ページ目の各拠点における具体的取組内容のところで予算がちょっと書いてあるんですが、(2)は前はIFMIF/EVEDAと書いてあったと思うんですが、それは説明のために中性子源の建設と実証というふうに変わったということですかね。IFERC、SAは書いてあって、IFMIFが別の名称になっていたので、何かそこは状況が変わったのか、それとも単に一般向けに説明のためにこう書かれたのかを確認したいんですが。
【新井戦略官】  特に定義付けが変更されたということではなくて、対外的な説明に使っている資料ですので、言葉が省略されているところがあります。
【岡野主査】  分かりました。 そのほか何かございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、議題3の原型炉研究開発体制の強化のための大学等の連携強化についてに入りたいと思います。
 前回のタスクフォースにおいて事務局から概要を説明していただいておりますが、アクションプランの実現に向けて、大学等には技術課題の解決や人材育成の貢献が期待されています。その方策となる大学等による共同研究の実施について、来年度の公募に向けた具体的な体制や公募テーマ等を関係者の間で議論、調整いただきましたので、御報告をお願いしたいと思います。なお、本件は、原型炉設計合同チームの共同研究と併せて、このタスクフォースが監督するということになりますので、タスクフォースの役割は非常に重要だと認識しています。メンバーの皆さん、よろしくお願いします。
 それでは、本プロジェクトのディレクター機能を担う共同研究ワーキンググループより、全体像及びNIFS公募部分について、森崎教授及び今川教授から御説明をお願いいたします。なお、この後、特別チームの公募データ案の部分はQSTの池田所長からお願いするということになると思います。
 それでは、よろしくお願いします。
【森崎教授】  それでは、共同研究ワーキンググループを代表いたしまして、核融合科学研究所の森崎がこれまでの経緯を報告させていただきます。資料に従って御説明いたします。
 まず2ページ目です。ここにいらっしゃる方はよく御存じだと思いますが、これまでの議論をまとめております。まず核融合科学技術委員会が一昨年の12月、「核融合原型炉研究開発の推進に向けて」というものを出しております。この中身ですけれども、原型炉設計合同特別チームを中心に炉設計を推進して開発計画を立案し、量研、核融合研、大学、産業界の間で、開発計画の中で担う役割を分担する。そして、国と各機関で戦略と問題意識を共有し、一体となって原型炉研究開発に取り組むために、新しい制度設計も含めた体制整備を行う。それから、核融合科学研究所及び大学は、相補的・代替的なヘリカル式・レーザー方式の推進や、核融合プラズマと炉工学の学術基盤の構築、教育並びに人材育成も行う。それらを大学の自主・自律の下に進めると同時に、ITERやJT-60SA、LHD、BA活動への積極的な参画も期待されています。大学では、より多くの優秀な人材を育成すべく、独創的で魅力的な学術研究を推進し、国内外との共同研究を通して、多様な研究の機会を学生や若手研究者に提供するなどの取組を行うべきであると、こういうものが出されました。
 これを受けて、平成30年、昨年の7月24日に核融合科学技術委員会が「原型炉研究開発ロードマップについて(一次まとめ)」を出しています。この要点の抜粋には、アクションプランの実現に当たっては、炉工学の基礎研究等において、大学等の貢献が不可欠であること、また同年3月28日に核融合科学技術委員会が取りまとめた「核融合エネルギー開発の推進に向けた人材の育成・確保について」においても原型炉研究開発に必要な人材の確保に当たっての大学等の重要性を示されています。自主・自律を前提とした大学等のすぐれた取組を支援するためには、これまでの量研を中心とした体制に加えて、大学等を対象とした原型炉に向けた共同研究を取りまとめる新たな体制を整備することが必要であり、その体制の整備に当たっては、中核機関を設けることが望ましく、中核機関の要件としては、核融合に関して、1、大学等が自主・自律の下に取り組む共同研究を取りまとめた実績や、2、研究を通じた人材育成にも取り組んできた実績が十分にあり、3、世界最先端の大型核融合装置の設計、建設、運用まで取り組むことのできる能力を有し、その能力を原型炉設計等にも生かすことのできる機関であることが挙げられ、それには核融合科学研究所が最適であり、今後核融合科学研究所を中心とした体制の検討を深めていく必要がある、というものが出されました。
 これに基づいてQSTと、NIFSの関係者が集まって、3ページ目にあります共同研究の運用体制というものを構築しました。左半分がQST側の共同研究、右半分が新しくできるNIFS側の共同研究となっております。QST側は、御存じのとおり特別チーム共同研究ということで、もう既にある共同研究がベースとなっておりますので、主に右側の、核融合研側の新しくできる共同研究に関する御説明です。
 この図を見ていただくと、左右対称になっていることが分かると思いますが、QST側、NIFS側でいろいろな機能が対称になるように構築しました。まず、この共同研究、中心となるのはもちろん大学、NIFS側の担当者がプレーヤーとなって研究するわけですけれども、QST側の既存の研究と調整を行うために、真ん中にある共同研究ワーキンググループ、その下にある共同研究調整サブグループというのが重要な役割を果たします。きょう御説明するテーマ、研究課題を決めるに当たって、共同研究ワーキンググループを12月に開催し、今回新しくできる共同研究の大方針を決めました。これを、その下にある共同研究調整サブグループに投げております。この共同研究サブグループの中に7名のプロジェクトオフィサーというのを置いており、この方々を中心に、どういうテーマが適当かという議論をしていただきました。そのテーマについて本日タスクフォースの皆さんに議論いただき、最終的な御承認をいただきたいと考えております。
 ここで研究課題が決まりましたら、核融合研側の共同研究をマネージしている核融合研の共同研究委員会での検討を行います。この共同研究委員会が実際にプレーヤーとなる大学の先生方、それからNIFSのスタッフに対して、共同研究の公募をかけて採択を行うとなどの任務を担っております。核融合研には元々3つの共同研究があり、共同研究委員会が今回新たに加わった共同研究と併せ、4つ全ての共同研究のマネージを行います。個々の共同研究に関しては、その下にさらに共同研究委員会というのを置いており、今回の原型炉研究開発共同研究に関しても、原型炉研究開発共同研究委員会という下部の委員会を設置しました。実際には、左下のこの共同研究委員会が実質的な公募の策定、審査を担います。ここで共同研究のマネジメントを実際に行って、共同研究が終了した時点で報告を親委員会に上げる、そしてそれを最終的に調整サブグループに持ってきて報告を行っていただく、こういう流れになっております。
 それでは、次をめくって4ページ目の説明をさせていただきます。先ほどの図で共同研究ワーキンググループ、それから共同研究調整サブグループというのを御説明しましたが、その役割と、具体的な委員の方々をまとめたものがこの表です。共同研究ワーキンググループの役割は、QST、NIFS間の共同研究のガイドラインの大方針を提案するとともに、共同研究の大方針、実施状況等をこのタスクフォースへ報告します。この委員会には、岡野先生と笠田先生にタスクフォースとしての立場で、飛田さんと今川先生に共同研究調整サブグループの立場で参加いただいております。そして、黄色がQST側から、ピンクが核融合研、大学から参加したメンバーということになっております。
 共同研究ワーキンググループの下にある共同研究調整サブグループはQST、NIFSの共同研究公募課題の調整を行い、ワーキンググループに共同研究の運用、実施状況の報告をします。共同研究サブグループの中にはプロジェクトオフィサーという7人の方がいて、この7人の方が所掌課題の共同研究の進捗を把握し、アクションプランに沿って進むように助言をします。今回に限っては共同研究の課題の策定を議論していただきました。右にあるような方がメンバーとなっております。
 次に5ページ目、ここからはNIFSとQSTの今回の公募の課題について御説明いたしますが、最初にQSTの方を池田所長から説明していただいて、その後まとめてNIFSの説明をさせていただきます。
【池田所長】  それでは、まずQSTの共同研究ということで、先ほど森崎先生からあったんですが、今回、私ども共同研究ワーキンググループにおいて、以前タスクフォースであったように、QSTの強みはプロジェクトとかインテグレーションでしょうと、それからNIFS、大学は専門分野、人材育成だろうということがかなり議論されました。QSTそのものとしては、従来やっていた共同研究をしっかりやっていくことをベースとして、今回公募する理由を決めております。
 すなわち、ここに書いてありますように、6ページの左側ですが、やはり私どもとしてはアクションプランを直接的に遂行するということで基本的なことを考えております。大きく5つの項目がありますが、まず、担当する共同研究というのは原型炉設計合同特別チームを中心に進んでいるものということで、それを効率的にやりましょうということが前提となります。来年度につきましては新たに、大枠としては3項目なんですが、炉設計、理論・シミュレーション、核融合炉材料と規格・基準、これはアクションプランの項目に対応しており、そういうものを前提としています。ちなみに従来も、やはり炉設計、理論・シミュレーション、それから核融合炉材料等を中心にやっていました。
 そのうち炉設計につきましては、詳細については後ほどもう一度説明いたしますが、安全性が重要だということで、安全性の課題としてサプレッションプールということに着目して検討したいと思っています。理論・シミュレーションにつきましては、いろいろなテーマがございますが、やはりダイバータが非常に炉設計に対して重要だということがありまして、これまでの検討を踏まえたダイバータのモデルをさらに高度化したいということをテーマとして考えております。それから核融合炉材料と規格・基準につきましては、当面私どもとしては、原型炉としては低放射化フェライト鋼が重要だと思っており、それに関連した項目、併せて材料評価のための核融合中性子源の概念設計を進める必要がございますので、それに関することについて公募を提案しております。
 具体的には次の7ページでございますが、全部で今回は5項目、アクションプランの0の炉設計、5の理論・シミュレーション、8の核融合炉材料と規格・基準、このアクションプランに基づいて5つの項目を公募課題として考えています。
 炉設計については、安全ということを考えた場合に、In-vessel LOCAといいまして、真空容器内で水がぼっと膨らんで、それが蒸気になって沸騰して圧力が高まりますと真空容器に過大な圧力が掛かりますから、それを、原子炉みたいにサプレッションプールを用意して減圧すると。その際に非凝縮ガスの影響がどうかということが安全評価として大事であるということで、こういうテーマを募集したいと思っています。理論・シミュレーションにつきましてはダイバータシミュレーションということで、ダイバータシミュレーションコードは最近どんどん進んでおりますが、より原型炉を想定して、原型炉もいろいろ設計が進んでおりますので、それをより想定した実サイズのダイバータシミュレーションをしっかりやっていきたいということです。
 核融合炉材料等につきましては、低放射化フェライト鋼の照射硬化要因ということで、これは理論的な話なんですが、中性子が当たりますと格子欠陥が飛ばされまして転位ループが内部で発生し、それが材料の硬化にどういう影響があるかというのを、実験的な手法、いろいろな提案をしていただきたいということを考えています。それから2つ目は、核融合中性子照射場の理論的・定量的な研究ということで、これも若干理論に絡むんですが、中性子が当たってはじき飛ばされますと、いろいろなエネルギーを持った形で一次はじき飛ばしエネルギー、PKAエネルギーですけど、これをいろいろ調べることによって、それを今度組み入れて、最終的には照射欠陥を定量評価ができるのではないかということで、そういう統計的なデータをとっていく、それを基に理論的な予想をしましょうという研究テーマでございます。
 それから、最後になりますが、中性子源の照射モジュールシステムということで、現在、核融合中性子源の概念設計を進めておりますが、照射系につきましては、照射材料を、温度を一定にして温度評価をしなければいけないと。1つのアイデアとしては、照射媒体に液体金属、これは非常に電気伝導、熱伝導がいいものですから、そういうものを入れることによって温度コントロールがしやすいのではないかという提案がございます。ですから、そういう液体金属、例えばナトリウムカリウムとか、リチウムもございますが、そういうものに対して実際可能かどうかの基礎データをとって、核融合中性子源の評価にしていきたいということを考えています。
 以上をQSTとしては来年度からさせていただきたいということでございます。
 以上です。
【森崎教授】  5ページに戻っていただきたいのですが、核融合研・大学側の共同研究は、公募の種目というものを決めるところから始まりました。具体的には、POの方と議論しながら、課題の設定を考えました。ここにありますように、3つの公募種目に分けております。最初の課題指定型、それから、次はA'となっていますけれども、これは若手優先の枠です。最後のBというのが課題提案型です。
 課題指定型というのは、研究課題を公募において指定し、アクションプランに基づき中長期的な視点に立った概念として先進的な研究課題ということで、研究期間は3年、予算申請額は3年間総額で上限1,500万円というのを決めております。
 2番目のA'というものは若手優先ということを掲げており、内容は上の課題指定型と同じです。ただ、この説明の2行目にあります、次世代のリーダーとなる若手研究者を育成するために、研究代表者は応募年度4月1日時点で39歳以下に限るものとするということで、ここで年齢による差別化をしております。そして、あとは同じですが、上限の金額が3年間で500万円ということにしております。
 それから、3番目の課題提案型はアクションプランの課題に対応するため、新興・融合分野との連携等により、これまでになかったような新たなアプローチで取り組む課題です。終了時の審査で重要性が確認された場合には、その翌年度に課題指定型の枠で公募することも検討するというものです。初年度は、課題提案型で出していただくということです。アクションプランにはあるけれどもAの課題指定型に入っていないような課題、こういうものを提案していただくということになっています。予算申請額は上限100万円ということになっています。ここに書いてありますように、終了時の審査により重要性が認められたら上の課題指定型に応募していただくということになります。
 下に米印で備考が書いてありますが、QSTの共同研究については、研究期間は3年程度、最長5年、予算申請額は年間100万円以下ということになっています。米印の2つ目ですけれども、本事業の予算枠に合わせるために、採択後に、公募時に提案された経費を査定することがあるということで、ここに書いてある額のとおりに出ない可能性があるということをうたってあります。そのほかNIFS及びQST共同研究の具体的な公募内容、手続については公募要領に記載することとします。
 こうして3つの種目をまず決めた上で、NIFSは、QSTと同じように、当然アクションプランに沿った形で課題を提示しております。NIFS側の課題を選定した理由の大きなところは、大学等の自主・自律を前提とし、中長期的な、しかも人材育成を含むアクションプランを遂行する研究開発ということに主眼を置いております。あと、大学ですので先進的な、すぐには解決できない、時間がある程度掛かるような、そういった研究に着目しているということです。アクションプランで大学の担当とされている項目のうち、ブランケット、ダイバータ、燃料システムについては、原型炉を構成する機器の中でもとりわけ飛躍的な技術進展を必要とするものである一方、ある程度我が国の研究者に強みがあるため、本制度でこの3つの課題を支援することが効果的であると考えています。また、システムとしても興味深いことから、若手研究者の参画を呼び込むことも期待されます。すぐに技術を完成させる必要はなくとも、中長期的な視野で人材育成の布石を打っておくことも必要な分野ということで、この3つを挙げています。
 まずブランケットに関しては、原型炉概念との整合性の観点で、運転の後半で設置が検討されている液体ブランケットに関する問題を課題に設定しております。それからダイバータに関しては、ITERにも採用され、原型炉への採用も有望であるものの、さらなる可能性の研究が必要なタングステンを追求することとしています。ただし、シミュレーション研究については、学術的な観点からダイバータプラズマの基礎物理過程に着目し、QST研究と差別化しております。そして最後に燃料システムですが、これは学術的な総合知を問う重要な課題として設定しております。
 具体的な公募課題は、8ページをごらんください。NIFS・大学側もアクションプランの項目2、3、7に従って、先ほど御説明しましたブランケット、ダイバータ、燃料システムの課題を掲げております。
 まずブランケットですが、液体ブランケットの電気絶縁被覆による強磁場下MHD圧力損失低減検証というのを掲げております。これは液体金属自己冷却ブランケットの流路に電気絶縁被覆を施すことにより強磁場下でのMHD圧損を低減させるための製作技術を開発し、試験ループ――これはNIFSの試験ループですが、これを使ってその性能を検証するということです。それから、液体ブランケット異材接合部の増殖・冷却材との共存性の研究、これは、液体金属・溶融塩自己冷却ブランケットの異材接合部の微細構造、元素分析、機械特性評価等を実施し、腐食メカニズムの解明と材料の組み合わせ、溶接手法との関係を明らかにする研究です。
 それからダイバータに関しては、まず、ダイバータ機器健全性評価技術の開発です。これはどういうものかといいますと、タングステン部、配管部、それらの接合部を対象として、モノブロックからマクロ・ミクロ欠陥、微細組織、強度、寿命、熱伝導等の評価が可能な微小試験片を切り出し、これを試験、評価するための技術を開発する研究です。ダイバータ用タングステン合金の開発は、新しいダイバータ用タングステン合金の開発を目指して、非照射特性の観点での材料スクリーニングを行い、さらにイオン照射を用いた照射特性を通して照射耐性の観点での材料スクリーニングも実施する研究です。それから次は、ガス元素及び合金元素によるタングステンの再結晶抑制技術の開発です。これは、タングステン及びそれを用いたダイバータの寿命を決定する再結晶を抑制するための技術を開発する研究です。次の課題は、ダイバータデタッチメントプラズマ中の原子分子過程実験とモデリングです。これは、原子、分子の励起状態、壁でのイオン反射で生成される原子の励起状態、輻射吸収などダイバータデタッチメントプラズマ中の原子・分子過程について、直線型装置における分光計測、それからモデリングを行って、周辺・ダイバータシミュレーションコードへの導入を進める研究です。
 最後、燃料システムに関するものです。これは燃料循環システム要素技術研究です。内容は、燃料循環システムの高効率化のため、これまでに提案されている既存技術の課題及び新技術の可能性について整理し、要素技術の開発を推進する研究です。
 このような公募課題をNIFS側からは今回、挙げております。
 最後に9ページ目ですけれども、今後のスケジュールについて御説明いたします。左側にQST、右側にNIFSの共同研究の流れを同じ時間軸で書いております。一番上、1月22日が本日、タスクフォースでの検討です。それから、今月下旬に、QSTの方は公募を開始します。QSTでは2月下旬で締め切って、3月下旬には審査の後、採択通知を出すということですが、NIFSの方は、ほぼ1か月遅れて、全てが進行する予定になっております。今日のタスクフォースでこの研究課題が認めていただければ、NIFSの共同研究委員会の方で最終的に承認、それから、その上の運営会議で承認して、公募が開始されます。それを3月上旬と今は予定しております。そして、3月上旬から公募を始めて、下旬に締め切り、その後、5月上旬には採択通知を出すことになっております。そして6月上旬に、いろいろな手続を済ませた後、共同研究がスタートできるのではないかと考えております。
 そして、次年度以降ですが、今年度はNIFSの方の体制が整っていないために、1か月遅れでNIFS側は進みますが、次年度以降はNIFS、QST、可能な限り公募から採択までそろえたいと考えております。12月初旬に公募を開始して、1月から3月で初年度の研究成果報告会を行って、報告書の提出も年明けに行っていただくと。その間、今年度と同じように審査を行って、4月上旬ぐらいに採択通知、そして5月初旬ぐらいからは共同研究がスタートできるようにしていきたいと考えております。
 以上です。
【岡野主査】  森崎先生、池田所長、どうもありがとうございました。
 それでは、これから質疑に入るんですが、その前に1つ、私からタスクフォースの役割について確認したいんですが、3ページ目の体制表の上の方にタスクフォースが出てきていますが、提案、了承と書かれているんですが、この了承という言葉は、承諾と承認と了承の意味の違いを十分考えた上で了承を選ばれていますか、それとも何となく了承と書かれただけですか。了承はここには適当ではないような気がするので、ここはやはり承認にされませんか。何か、今から変えると問題があるでしょうか。大丈夫ですか。
【森崎教授】 大丈夫だと思います。
【岡野主査】  タスクフォースの役割を非常に重視したい、重要だと認識しているので、ちょっと確認したところなんです。
それでは、質疑、討論に入りたいと思います。よろしくお願いします。
【笠田主査代理】 ここまでまとめていただきましてありがとうございます。この運用体制の図を見ていて、これは運用体制なので、やはり我々がどう運用していくかという図なので、これは当然こうなんですけど、一方、いろいろなコミュニティーの研究者の方とか、これから巻き込んでいくコミュニティー外の人から見ると、結局どういうアクションをとればいいのかとか、どんなレスポンシビリティーがあるのかなとかが、多分これから公募要領の中にそういうことは書かれていくと思うんですけど、流れがちょっとよく分からないなと思って。というのは、例えば今後NIFSから出てくるこの公募課題、いずれも課題は非常に重要だと思いますし、実施すべき課題だと私も思うんですけれども、これを中間チェックアンドレビューとか重要なマイルストーンのときに、ここまで達成していないと、これはもう原型炉に乗りませんよという心掛けをPOの人と提案する研究者の方が持つようにしないと、単に研究してデータ出して終わり、論文書いて終わりという類いのものとは違いますよね、今までの共同研究と。そこの部分がないと、例えば液体ブランケットの、電気絶縁被覆とかを付けてMHD圧力損失を低減しないと液体金属ブランケットはちょっとできないというのは私も理解できるんですけれども、では、この公募された研究であるところまで達成しないと、もうこの案は原型炉からはなくなりますよという意識を共同研究者に持ってもらわないといけないし、そういうふうに公募しないといけないと私は思っているんですけれども、そのあたりどうですか。
【森崎教授】  公募の段階でそこまで厳密に書くかどうかはちょっと微妙なんですけれども、プロジェクトオフィサーというのはやはり非常に重責で、この4ページ目にも書いてありますが、所掌課題の共同研究の進捗を把握し、アクションプランに沿って進むように助言するというところです。ここで一個一個の課題、担当された課題をウオッチして、進捗を見て、そういった、今、笠田先生が言われたような、ある意味叱咤激励に近いようなこともやっていただくのがこのプロジェクトオフィサーの仕事、任務の一つではないかと考えております。
【今川教授】  核融合科学研究所の今川です。ちょっと補足をいたしますと、今、笠田先生から御指摘があった、POが進捗を助言するというところの機能をしっかり見せるために、今、核融合科学研究所の共同研究は所内世話人を必ず各課題に充てることになっています。その所内世話人を、このプロジェクトオフィサーになっている核融合科学研究所の職員が所内世話人になるということを、今年1月に開催しましたNIFS原型炉研究開発共同研究委員会の中で議論をして、そのように決めました。この先またPOとのやりとりがしっかりしてくると見直しが必要になってくるかもしれませんけれども、来年度、平成31年度の公募課題につきましては所内世話人が、NIFSに所属するPO、実際2人なんですけれども、その2人が所内世話人として進捗を管理するというふうにします。
【森崎教授】  さらに追加しますが、通常、世話人というのは各課題ごとに個別にいます。この世話人が、やはりアクションプランをきちんと理解している人、というのが大事なところで、ほかのNIFSの共同研究と、そこは差別化を図っております。
【笠田主査代理】  ありがとうございます。大変心強く感じました。結果的に、だからPOの方と、この共同研究ワーキンググループあるいはタスクフォースとの意見交換とか意識の共有というのが今後すごく重要になると思うので、是非そういうことができる形にNIFSサイドの方で御支援いただければと思います。ありがとうございます。
【西村委員】  今の笠田先生のご発言は大事なところで、この文言の中に原型炉設計とか原型炉開発という言葉がなさ過ぎるように思うんですね。
公募種目のA、A'、Bの提示もそうですし、今回公募する課題を選定した理由というところもそうなんですけど、これはあくまでも原型炉を開発する、目指すという特別な意味の役割を持っているわけで、そういう意味では、例えば課題指定をする場合には、QSTの設計グループ若しくは合同設計でもいいんですが、設計目標値を提示してもらって、それに向かって必要な物性を研究するとか新しい材料を開発するとか、設計がとにかくあって、それを目指して研究。特に、大学・NIFS側は学術をやっていくというベースですよね。QSTの側は運転なり設計なり、それをやっていくというのが昔からの流れかと思うんですが、そういう設計値、ターゲットとして示されるべきその設計値を、何とか学術的な背景を含めながら出していく、それがまさにアクションプランのそれぞれの項目を満足させていくということの一つの形だと思いますけれども、もう少し、原型炉設計をやるんですと、一般の、いわゆる広い意味の学術研究ではないんですというところを前面に出してほしいなという気がします。
【岡野主査】  ありがとうございました。御指摘のことは私も感じてはいるんですが、とはいってもNIFS・大学なので、原型炉の設計値があって、それだけを目指してくださいと言われたら、それはやはり大学・NIFSの役割だけでは担い切れないだろうなという気はするので、ある程度広げて、NIFSではQSTではできない部分とか、そういったところの先進的なものというのはあっていいと思うんですね。ただ、5ページに中長期的な視点と、それから先進的な研究課題と書かれていますが、私のイメージでは、核融合の研究課題で中長期的でないものなんかないし、先進的でないものはなく、そういう意味で、この2つの語を理由としてアクションプランの一番隅っこの方に行ってほしくないというのはちょっと感じています。そういう意味では、西村先生がおっしゃったのはポイントを得ているかなと感じています。
【西村委員】  今の中長期に関しては、これはもう2050年ぐらいの話をしているわけで、少なくとも2035年より後ろの話をしているわけで、それぐらいの意味は、それを中期というのか長期というのかは分かりませんが、少なくともアクションプランをざっと見れば、二千三十何年よりも後ろの話なので、それはもうはっきりしているわけです。
 もう少しコメントさせていただくと、このQSTからの公募課題とNIFSの公募課題は、例えば0、設計、5番、理論・シミュレーション、8番と、それからNIFSは2番と3番と7番とか、こういう書き方をすると、QSTは0、5、8しかやりません、NIFSは2と3と7しかやりませんというようにも読める。QSTはダイバータだってブランケットだって、設計に関わる部分はQSTの方がやっていかないとだめなわけで、学術的な側面はNIFS・大学がやられればいい、それは今まででも多少なりともやってこられているわけです、現実に。例えば3番のダイバータは、QSTのところにも3番のダイバータがあっていいと思うんですね。学術的な側面が強いか設計的な側面が強いかによって分担を分ければいいと思っているので。
【岡野主査】  ダイバータについてはというか、この番号ですね。番号は、私はこれは代表的なアクションプランの項目名という意味だけで書かれていると思っていて、そういう意味では問題ないと思ってはいます。
【池田所長】  それについて補足すると、これは今回の新規テーマであって、現行のやつは、やはりダイバータ関係で幾つかあったと思います。
ですからそういう意味では、5点だけではなくて、QST自体はいろいろなことをやっておりますので、今回は新規テーマとしてこういうのをやりましたということの、あくまで説明をしているだけです。
【岡野主査】  私の理解は、QSTが0番から11番まで全部ないというのはもっともで、限られたお金と限られた人材でやっていらっしゃるので、今回は、今の予算でできるのはこれで、特に重要だというところが書かれていると思いますし、課題を拝見すると、ほかにもいっぱいあるなと思いつつも、ここに絞ったんだなというのは理解できるんですが、そのQSTができないところをNIFSさんとか大学の方にお金を。BAの中の非常に貴重なお金ですよね、それを大学の方に少しお願いして、今までできなかったところをやってほしいという意図だと思っています。そういう意味から言うと、今回の公募課題を拝見すると、非常に特定のものを挙げて申し訳ないんですけど、液体ブランケットで、しかも自己冷却は狭過ぎませんか。
【西村委員】  私もダイバータの課題も狭過ぎると思うし、逆に新材料開発と言ってしまうと、もう無限に続きますよね。
【岡野主査】  ただ、ある程度それはだんだん修正していける気がするんですけど第1回だけど3年続くんですよね。最大500万円ということは、この課題に最大1,500万円ずつ、ということは、つまり液体ブランケットの自己冷却に3,000万円投入することになりますよね、最大で。自己冷却をせめてやめていただくとか、例えば液体金属で増殖するんだけど、水冷却だってあり得るわけだし。あと2番目の方は溶融塩も書いてあるので、これはFFHRの予算でやっていただくとか、いろいろ考え方があると思うんですけど、このままはちょっと大き過ぎませんかね。
 例えば、あくまでも私の提案ですけど、課題提案型に提案していただいて、100万円は確かに少ないので、この上限は少し上げるとか、そういうことを考えて来年度に判断するとか、そういうのならあっていいと思うんです。つまり私は自己冷却の液体ブランケットについても重要だと思っているんですが、同時にヘリウム冷却だって重要だと思っているし、別の形式がないと経済性を達成できないんじゃないかという心配をしているので、アクションプランではTBM、テストブランケットモジュール、原型炉にテストブランケットモジュールを入れるということまでやって、1号機の原型炉用ブランケットとは違うものを実用炉に使う可能性も考えているわけです。でもここで液体金属冷却自己冷却が一番に出てくるのはちょっと違和感があるので、強いて言わせていただいたんですが、皆さんの御意見はどうですか。
【柏木委員】  多分テーマの細かい話ではなくて、タスクフォースでアクションプランを作ってきたことを考えると、テーマを選んだ御説明の理由のところに、今、例えば大学の方ですと、取り組みやすいテーマで今回出しますというような意味合いの文章があるんですけれども、そこに、アクションプランから見てこのあたりは優先的に進めなくてはいけないという観点がセレクションにあると、分かりやすいのではないかと思うんです。御説明としては大学で取り組みやすいところのテーマを今回挙げていますという書きぶりになっているので、ただ選考の過程では恐らくアクションプランを見ていて、これは早めにスタートしなくてはいけないよねという観点もあったんだろうと思いますので、アクションプランと照らし合わせてこれも選んでいますというような御説明があれば、そんなに問題ないのではないかなという気はいたしましたが、そのあたりはいかがなんでしょう。
【上田科学官】  今の液体ブランケットもそうですが、ダイバータのところも拝見すると、いろいろ御検討いただいたということは理解しているんですが、ちょっと書いている内容が細か過ぎる気がします。例えばダイバータ機器健全性評価技術の開発で、モノブロックから微小試験片を切り出して評価と、ここまで細かく書く必要はないのではないかという気がします。当然、原型炉に貢献するような内容でなければいけないんですけれども、もう少し大学の研究者の自由な発想を入れられる余地を残していただけないか。そういう意味では、岡野先生の言われた意味は分かるんですが、液体ブランケット、私は入れるのはいいと思うんですけれども、例えば一番最初のMHD圧力損失のために電気絶縁被覆の技術を開発するとか、ちょっとこの辺細か過ぎる感じもしますので、もう少し自由な発想を入れられるようにしていただくというのが大切かなと。岡野先生の御意見を完全に受けた発言ではありませんけれども、そういうところが少し気になりました。
 逆に7の燃料システムは、何でもありというような書き方になっているのは、ちょっとバランスがとれない。そういう意味で、まず原型炉に必要な課題として、どういう課題をNIFSからの公募研究で取り扱うのかということをある程度明確にした上で、もう少し全体の、そういう細かい内容と、もう少し大きく考えたテーマと、その辺の書き方のバランスの調整が必要かなと思いました。
【大場委員】  私も同じようなことを思っていたんですが、ちょっと言い方を変えて発言させていただきます。それぞれのアクションプランの項目は項目として置いておき、公募課題の緑字のところはこのままでもいいかもしれないと思います。でも、その後の黒字のところが非常に細かい内容になっていて、違和感があります。緑字に対してどういう課題が今あるんだということを示す程度にとどめ,広く募集するというようなやり方をするのが、その前にありますこれまでの議論というページに書かれているようなことを受けた、この共同研究をする趣旨に合った応募になるのではないかと思います。
 あともう1点、これはいろいろ議論がありますし、他の科研費等でもそういうものですが、若手優先のときに、なぜ上限500万になるのかということが気になります。もちろん人材育成という観点や、あるいは、重要なことは言っているけれども体制として未熟さを感じるというときに、このような対応をするということは十分あり得ることではあるんですけれども、ここの差異がちょっと分かりづらく書かれているかなと思います。
【岡野主査】  ありがとうございます。今、上限の話が出てきて、若手の500万も上限という意味なら別に変えてもいいかなという感じが私はしますが、もう一つ気になるのは、QSTは100万円というのは理由があるんですか。
【池田所長】  QSTの考え方は、基本的にはQSTの施設をいっぱい使っていただくことで、なるべく研究に伴う出費を抑えたいと。併せて、財源が限られていますから、多くの先生方、ですからオールジャパンでやるためには、いろいろな方たちで、なるべく広くやっていきたいと思っています。やるべきことが多いので、大きな考え方では、まずそういうくくりで今現在進めているところです。
【岡野主査】  QSTの予算は、この5つの課題で合計500万という。
【池田所長】  いえ、そうではなく、それ以外に幾つかやっておりますが、何度も言っていますように、今回新規テーマとして5つなので、現在37のテーマでやっていまして、それが来年度また終わるものもありますし、始まるものもありますけど、今回新規テーマとしてこの5点をということになっております。
【岡野主査】  NIFSさんは全部新規なので、大きく見えるということですね。
【森崎教授】  NIFSは既に3つ共同研究がありまして、その中で、これは重複を避けなければならないのですが、予算の額も数十万円単位のものから、もう少し大きなものまであります。それと差別化を図るという意味もあります。
【笠田主査代理】  NIFSからの公募課題に関して、ブランケットについては提案課題が、例えば液体ブランケットのMHD圧力損失低減検証法に関する研究、異材接合部の共存性研究という、緑ぐらいのところにして、ダイバータに関してもダイバータ用タングステン材料に関するこういった課題の研究というふうな課題指定にするということでよろしいんじゃないですかね。どうなんでしょう。
【岡野主査】  ここで議論することだと思いますが、やはり下が細か過ぎるんだと思います。液体ブランケットの絶縁被覆のMHD圧損と言われれば、それはそうだと思うし、冷却材との共存性というのは全くそのとおりだと思いますが、やはりその下で細かく書かれてしまったんだと思うので、そこはもう少し広く考えていただいた方がいいかなと思いますが。これは皆さんの意見を聞いてからですけれども。
【西村委員】  森崎先生、QSTの方々ともこういう課題というのは、もう調整されたわけですね。例えばダイバータ機器健全性評価、これは1つ大きなカテゴリーですね。その次のダイバータ用タングステン合金の開発というのと、それからタングステンの再結晶抑制技術というあたりは、要は新しいタングステンみたいなイメージに私には思えるんですね。3つ目はデタッチメントの話が出てくるので、これは単なるソリッドダイバータだけでなくて、プラズマの部分を含めた、私流に言わせていただくと気体ダイバータと固体ダイバータのハイブリッドの話なんですけど、これはこれで1つ。そういう意味では、この真ん中の2つはちょっと、見ようによると1つのテーマのようにも見えるし、先ほどの岡野先生のコメントだと、合金の新材料開発は一体幾らお金掛かるんですかというふうにも思えるんですね。
 あと、これはダイバータテストファシリティーの議論というのはなかったんですか、ダイバータに関してはコアチームの報告書の中で特出しにされていた項目で、その中で現状と要求仕様との間に非常に大きな乖離があるという言葉をたしか使われていたような印象があって、ゆえにダイバータが、わざわざ強く強調されていたという記憶がある。それがまさに今、実施段階のようなフェーズに入ってきているので、そのあたりもちょっと気になります、テストファシリティーに関しても。
 それからブランケットに関しては、確かに自己冷却というのは、私も気になります。
【上田科学官】  今の新装置の話ですが、これは金額から考えて、新装置を新たに作るということができる金額ではないですよね。ですからそういうことを勘案して装置開発という話は入っていない、むしろダイバータデタッチメントプラズマのところでそういうような高密度装置を、少なくともそれは既存の装置を利用して研究するテーマというところまでは入っている。
【森崎教授】  上田先生が言われたように、金額的に、新しい装置をこの共同研究で作るというのは最初から議題に上がっていません。
【西村委員】  このブランケットに関しても確かに、大場さんのお話もそうだけど、ちょっとその黒いところは。緑のところも、もう少し大きくてもいいと思います。そういう意味では、燃料システムがまさにそんな雰囲気ですよね。
【岡野主査】  そうですね。燃料システムは、私も見て、これはもうこれでいけばいいなと思います。
【西村委員】  だからトリチウムの循環、トリチウムサーキットをどういうふうにやっていくかというのが、本来ここの1つのポイントなんだろうと思いますけれども、でも書き方としては、やはり少し大きくしておいた方が、ブランケットのところも、いいのではないかなと思います。
【竹永委員】  ちょっと議論が元に戻って申し訳ないですけど、タスクフォースの位置付けなんですが、この共同研究ワーキンググループとタスクフォースは切れていて、特にタスクフォースの下にこのワーキンググループがあるわけではないと理解しています。今、承認とおっしゃいましたけど、ちょっと承認は強いのかなというふうに理解していまして、それで了承という言葉を使ってあると私は理解していたわけです。そこを承認ということにしてしまいますと、タスクフォースのオーケーがないと先には進めないということになると思うんですが、この運用体制というのは、やはりあくまで共同研究ワーキンググループが主体、一番上になって進めていて、実態としては共同研究調整サブグループが運用をやるような体制というふうに理解していますので、その中でタスクフォースの役割というのは承認を与えるような存在として一番上に居座るというか、いるのかというところは、どういう考えでいればよろしいでしょうか。
【岡野主査】  私が前から聞いていた話は、このようになりましたのであしからず了承くださいというのではないと思っています。それはタスクフォースの役割を本当に果たしていますか。
【竹永委員】  それでいいですという議論ではもちろんないとは思いますけど、承認というところまで求めるのかどうかというところです。もちろんここでいろいろ議論して、コメントを反映した上で実際の運用をやってもらうというのは当然だと思います。
【笠田主査代理】  私もちょっと確認が必要だと思うんですけど、多分タスクフォースは中間チェックアンドレビューとか、そういう大きなくくりでの承認というか、そういうことになると思うんですけれども、このレベルのことで正式な承認ということをやっていったときに、タイムスケジュールとして合うのかということもありますし、多分ある程度責任は共同研究ワーキンググループが責任を持って実施して、その下のサブグループ、プロジェクトオフィサーが進捗の管理とかをして、我々は多分、アクションプランにのっとっているかどうかのところの承認というか、そこはあると思いますが、そのタイミングが公募のたびにやるというサイクルが成立するのかですよね。
【岡野主査】  これまでは、QSTはそうしてきました。必ず公募の前にお話しいただいて承認されていましたけど、毎回、不適切な課題があった場合にはコメントしようという意思でタスクフォースは臨んでいたはずです。
【新井戦略官】  今のお話ですけれども、恐らく最初に議論したときに、タスクフォースがPD的な機能を担うというような議論があったかと思いますけれども、その趣旨は、今、笠田先生が言われたアクションプランとかチェックアンドレビューとの関係で、きちんとタスクフォースが責任を持ってやっているというところで、その観点から、大戦略みたいなものについては、この共同研究についても見ると。ただ、機動的に、いろいろな公募とかスケジュールに合わせてとか、そういうような動きというのはしていかなければいけないので、それについては共同研究ワーキンググループが責任を持ってやると、そういった経緯だったというふうに理解しております。
 ですから、今日御議論いただいている内容も、やはりアクションプラン、原型炉に向けた研究開発をきちんとやるような体制になっているかというところの議論であったと思いますので、そこについてはタスクフォースの議論を踏まえて公募を開始していただくということが必要だと思いますけれども、では他方で、一言一句、この公募要領みたいなものまで承認をしなければいけないかというと、そうではないというふうに理解しています。
【岡野主査】  ありがとうございます。きょうの議論を聞いた限りでは、共同研究ワーキンググループで、アクションプランをしっかり進めて原型炉を作るという共通の認識の下に出てきたようには見えず、タスクフォースが考えるべきことではないかなと私は思っています。
【新井戦略官】  きょうの資料についても公募要領そのものではありませんので、それに承認を与えるという議論ではないと思いますけれども、原型炉に向けた課題を解決するための共同研究を進めていくというところで、きちんとそういう流れになっているのかというところについては、ピン留めをこの会議でしていく必要があるのではないかと思います。今の御議論を聞いていて思ったのは、やはり原型炉に向けた諸課題の中で、何が優先課題であって、その中でQSTがやる部分、NIFSがやる部分、学術的な自由な発想に基づいてやるといっても原型炉に向けた研究開発の優先度が高いところで何をやるのかというところのつながりがやや弱いのではないのかという御指摘だと思いますので、アクションプランにおける原型炉に向けた研究開発の優先度の中で、こういう考え方でこの項目なんだというところをもう少し明らかにしつつ、この課題の内容で細かく書いてあるところは細か過ぎるのではないかと、むしろ自由な発想みたいなものが逆に出てきにくいのではないかという御議論もあったので、緑のところをきちんとみんなで了解するようなプロセスに持っていかれるといいのかなと思いました。
 あと、別の観点で若手の話がありましたけれども、NIFSの共同研究の公募種目に3つありますが、A'で若手と書いてあるのは、Aの中で若手の枠があるということであって、若手の人がAの方に出してはいけないということではありませんので、若手の人でも上に出していただいて、大きな研究費を念頭に置いた提案というのもあるかと思いますし、より若手の人にチャンスを与えるという意味。かつ予算の制約がある中で、特別な点線を若手のために付けるかというときに、少し上限が低いプログラムを作ったと理解しております。
【大場委員】  多分私もそうだと思うんですが、もう少し文言を変えないと、AとA'の違いが。研究のレベルがどういうふうに違っても出していいんだとか何か書かないと、これは上と下が「研究課題を公募において指定し、アクションプランに基づき、中長期的な視点に立った概念として」と、全く同じ言葉を使われていますよね。これではだめだと思います。やはりどういうレベルで、上には出せないようなレベルでも39歳以下の研究者においてはA'というものも出せますよということが、もう少し明確に分かるような文言にすべきではないかと考えます。
【笠田主査代理】  例えばAに若手が出して、ちょっとAでは採択できないけど、予算を絞って頑張って実施できるようであればA'で採択しますということもあっていい気がするんですけど、どうなんでしょうかね。だからそこまでPOが面倒見るかなんですけど。
【森崎教授】  今の御提案は、極端な話、種目を2つにして、審査の段階でAに来た若手の研究の一部を、そういう少額の予算で採択するということですか。
【笠田主査代理】  そういうルートもあり得るのかなと、もしも若手ということをエンカレッジしていくのであれば。
【森崎教授】  NIFSのほかの共同研究では、若手に限らず、いきなりこの金額でスタートするのはどうかな、というものは審査の段階で査定して、まずは準備段階として、今年度はこれでやってくださいというのはあります。
【岡野主査】  ちょっと時間も押してきましたけれども、皆さんいろいろ御意見頂きましたが、QSTの方はこのままで大丈夫だと思うんですが、NIFSの方は、これだけ議論が出たので、本日の議論に沿ったご検討をいただくということで了承としたいと思います。本日の御意見を反映した資料を作っていただいて、その上で公募に入っていただくということではいかがでしょうか。皆さんの御意見はいかがですか、よろしいですか。
【西村委員】  岡野先生、笠田先生はこのメンバーになられておられますので、十分にケアをよろしくお願いします。
【岡野主査】 もちろん共同研究ワーキンググループで見せていただいて、そこでゴーサインを出していいということですよね。よろしいですか。
【上田科学官】  ちょっと済みません、思い付きのようなことで申し訳ない。今の若手の枠で研究期間3年とあるんですが、例えば研究を始めて成果が出そうになったら、早い段階で上の大きな額に出せる。例えば科研みたいに、最終年度、前年度に上の枠にもう1回出せるとか、何かそういうような配慮をしてもいいのかなというふうに思いました。
【岡野主査】  NIFSさんの方は技術的に問題が何かありますか、そういう仕組みで。
【今川教授】  途中でやめるということは、これは毎年審査があるので、可能です。あと、公募のときに3年以内という公募を認めていただけると、2年で出てくるというのも認めることができるんですけれども、そこは議論があるかと思います。
 あと、先ほどの議論をお伺いしていると、NIFSからの公募課題の中の黒いところが細かくなっているのは、実はQSTさんのフォーマットに合わせたところもありまして、だから公募のときにはここを見せないようにするということが一番多分簡単で、緑の部分だけを公募とするということでよければ。あと、緑のところをどうするか。ですから具体的には、こちらからもう1回この文章を直して、どういう形で諮ればよろしいですか。
【新井戦略官】  きょうの御議論を踏まえて緑のところを修正していただいて、岡野先生とも相談しつつ、最終的には共同研究ワーキンググループで了解をとっていただくような形。会議を実際開くかメール会議か、形はあると思いますけれども、そのプロセスが必要なのではないかと思います。
【岡野主査】  そういう流れでよろしいですか。では、これは了承として、NIFSさんには少し見直していただいて、共同研究ワーキンググループで議論した上で公募にするということにしたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、ちょっと時間が押してしまいましたけど、議題4、その他に入りたいと思います。今後、本タスクフォースで取り組むべき案件について、皆様から御意見を頂きたいと思っています。第9期のタスクフォースは本日で最後となりまして、次期委員会はメンバーも変更になると思いますので、皆様からの御意見を次期タスクフォースに引き継いでいきたいと思っています。事務局の方で検討事項を準備していただきましたので、自由に御意見等をお願いいたします。
 それでは、事務局より御説明をお願いします。
【新井戦略官】  資料4をごらんいただければと思うんですけれども、きょうは実は議題がそれほど、数が多くないと思って、少しフリーディスカッションの時間をとって、次期の委員会につなぐような形にできればよろしいかなと思ったんですけれども、議題3で非常に議論が活発に行われましたので、この時間帯はフリーディスカッションということで自由な議論をしていただければと思うんですが、その参考になるようなものを用意したという位置付けです。
 1つ目はチェックアンドレビュー、2020年にこの第1回目がやってくるというところで、それに向けてどういった準備をしていくのか、アクションプランの取り扱いを含めてどういうふうに考えていけばいいのかというところの意識合わせのディスカッションです。チェックアンドレビュー第1回目については、原型炉の概念設計の基本設計が終了するという状況、あるいはJT-60SAの運転が開始される状況を見た上での実施だと思いますので、実際に行うのは2021年とか、そういったような時間感覚なのかなと思います。ですから次の期の委員会は、チェックアンドレビューそのものをやるというよりかは、それに向けて準備をしていくようなことがタスクになるのではないかと思っております。
 チェックアンドレビューの項目は、一昨年12月の原型炉研究開発に向けての報告書の最後の方に添付しているもので、かなり大くくり化されたようなレビュー項目になっています。他方でアクションプランの方は課題ごとに、非常に細かく線表が引かれておりますが、チェックアンドレビューの各項目に関係するアクションプランの項目の進捗状況を確認して、チェックアンドレビューに備えていく、チェックアンドレビューをいざしようとしたときに、全体を俯瞰できるような形になっている状況に持っていくのがいいのではないかというのが1つの考えと思います。
 あともう一つは、進捗状況の確認をアクションプランに基づいて行ったときに、実際の進捗、技術課題の解決の進捗とか、各々の課題がいろいろ相関しているところもあるかと思いますけれども、その際に優先順位が若干、こっちを先にやってとか、こっちを重点的にぐっと加速して進めてとか、その辺が変わってくるようなところもあるかと思うので、必要に応じてアクションプランの適宜修正というものもチェックアンドレビューに先駆けて、きちんとその準備の作業の一環としてやってもいいのではないかと思っております。
 もう一つのアイテムは、アウトリーチであります。これからほかのセクターにも、サポートを十分受けながら、支持されるような形でやっていくことが大事ではないかという中で、アウトリーチというところは今までも御議論があったと思います。アウトリーチヘッドクォーターについては、事務局としても関係機関の方々と議論して、早急に立ち上げたいと思いますけれども、それをヘッドクォーターが全部やるというわけではないので、戦略を練って、関係の皆様と話し合って実際のアクションに持っていくのだと思います。その際、戦略の検討で重要な論点はどういうものなのかというのが1つの議論のテーマかと思います。例えばアウトリーチの対象を考えても、対専門家、対産業界、対国民一般、子供たちも含めて、そういう対象別で戦略も変わってくるでしょうし、今、年齢の話もちょっと言いましたけれども、あとは核融合の何をアピールするか。科学技術としての先端性をアピールするのかとか、次世代エネルギーに向けた有望な技術であるというエネルギーの側面でのアピールなのか、あるいは、核融合をやることによっていろいろなスピンオフがあって、ほかの分野に対する裨益がたくさんあるとか、そういったものをアピールするのか、あとは非常に大型科学技術でコストが掛かるものについて効率化が非常に進んでいるというものをアピールするのかとか、いろいろな側面でのアピールの仕方があると思いますので、それぞれいろいろなことを考えてやっていけばいいのかなと思っており、この辺についても御意見頂けるとありがたいと思っています。 2つ大きい課題を例示しましたけれども、ほかにも何かあれば、少し御議論いただければと思います。
【岡野主査】  ありがとうございました。それでは、その他もあるにしても、大きな課題を今2つ頂きましたので、まず第1番のチェックアンドレビューの実施とアクションプランの取り扱いです。実際チェックアンドレビューをどう進めるのかということについて、今ここで決めるわけではないですが、皆さんから御意見があれば申し送りたいと思うのですが、いかがでしょうか。
【竹永委員】  アクションプランのフォローアップを適宜やっていくということになっていたかと思うんですけど、そういう意味で次回のフォローアップをいつやるのか、それを踏まえた上で見直しをやらなければいけないところは見直しをやるということになると思うんですけど、2020年の第1回中間チェックアンドレビューに向けて、やはりフォローアップはきちんとやっていかないといけないと思っています。前回も結構な労力を使ったので、かなり大変だと思いますけれども、ただ、やはりチェックアンドレビューに向けてはやる必要があり、その辺のスケジュールをどうするかというところは決めないといけないかなと思ってはいます。
【岡野主査】  フォローアップをしないという選択肢はないと思うので、いつするかということですよね。でも、2021年その初頭とかにきっとチェックアンドレビューが入るだろうから、やはり2020年、もう来年ですね。だから次年度は、やはりチェックをもう一遍やらないとまずいでしょうね。
【坂本委員】  前回のフォローアップのときもそうだったのですが、フォローアップを結構労力を使ってやったとは思うのですが、その後のアクションが足らなかったかと思います。やはりフォローアップとアクションプランの見直しをセットにしないと、フォローアップを有効に生かせないというのが前回の反省とは思います。
【岡野主査】  おっしゃるとおりかと思いますが、アクションプランをどのように見直すかというのは、御意見がありますか。例えば、順調でなくて遅れているものがあったとしたら2019年を2020年に書き直すみたいな見直しであってはならないような気がするんですよ。でも、全体を変えるわけにはいかないので、最小限度なのか、それとも2019年を2020年と書き直すぐらいで済むようなものは運用で考えるとか、いろいろな考え方があると思うんですけど。
【坂本委員】  そういう意味からいうと、実際に書き換えるということよりも、遅れているということを明確に広く示せるようなことをしないといけないのではないかと思います。特にダイバータに関しては、元々大変だということが分かっているので、力を入れていて、実際そのとおりやらなければいけないことはダイバータワーキンググループでも議論されていますが、そのとおり進んでいるかどうかということに関しては、やはり、きちんと進んでいないところもありますので、何かアクションを起こせればいいと思っています。
【岡野主査】  例えばどんなアクションですか。
【坂本委員】  そうですね、一番はやはり予算になってしまうのでしょうけど。
【竹永委員】  本来で言うと、やはり遅れているところで、大学なり、責任持ってやることが期待されている機関があれば、そことの共同研究に少し重点を置くとか、今回の共同研究のテーマに関しても遅れているところで、もうここはやらないといけないというところを重点的にテーマに挙げてもらうとか、そういうことを本来は考えないといけないと思います。そこまで今回のテーマではできていないかもしれませんが、今後そういうことも考えていかないといけないのかなという気はします。
【岡野主査】  それは非常に有効な御提案ですね。共同研究がせっかくあるんですから、今後それをうまく使って加速するというのが大事だと思います。
 私が日頃感じているのは、チェックアンドレビューされる方の立場、代表的には特別チームだと思うんですけど、その方々が気にしているのは、どういうチェックアンドレビューになるのかと。項目、アクションプランはすごく細かいんだけど、それを1つ残らず達成していないと不合格になるのか、そんなことはないんですけど、そういうイメージを持たれている、何となく漠然と心配されているような気はするんですが、これはあくまで私の考えですが、チェックアンドレビューといっても中間の、第1回ですので、現状はどのぐらいで、2025年の第2回に対してこのままいけそうかどうかという判断がメーンで、細かく見れば達成していないものもあるかもしれないし、達成したものもあるかもしれないんだけど、全体としてタスクフォースとしてレビューしてみて、加速すべきものもあるにしても、これで2025年に向かって大丈夫だなと思えれば、第1回の中間チェックアンドレビューはパスだというふうに思っているんですけど、皆さんの御意見はどうでしょう。1つ残らず達成しているか、達成していないものはバッテンを付けて点を引くとか、そんなことをお考えですかね。どれぐらいのイメージを持たれているでしょうか。
 というのは、もう一つ大事なことは、チェックアンドレビュー項目というのはかなりざっくりしているんですね。多分これだったら全然達成していないじゃないということにはならないような気がするんですが、細かいところよりは、つまりチェックアンドレビューで、このチェックアンドレビュー項目だけ見て判断するのか、アクションプランの項目一つ一つをチェックするのか、それかチェックアンドレビュー項目を一歩下がって、全体としてアクションプランの中のどの項目がバランスよく達成できているかというのを広く見て、何も100点満点を求める必要はなくて、ある程度いけているなら合格ということになるのか。それか、もう少し別のやり方で点数を付けるとか、厳しいのもあり得るかもしれませんが、その辺ですね、議論しないといけないのは。もちろん今ここで決めるわけではないです。御意見があれば、是非言っておいていただければ、次の委員会がやってくれると思います。
【竹永委員】  点数を付けるというイメージは余りなかったんですけれども、付けられる方も誰なのかよく分からないですし、チェックアンドレビュー項目に関しては、それはやはり達成していないと多分、達成しているか達成していないかで、していないのであれば、どういう対策をとらないといけないのかというところはまとめないといけないと思います。一方でアクションプランの方は、全てを達成するというのは多分無理だと思うので、そこはやはり重要度を含めて判断せざるを得ないのかなと思っていますけど、だからそれが全部達成していないからバツですというわけではないですが、やはり達成していないのがあれば見直しはしないといけないと思いますので、第2回のチェックアンドレビューに向けてアクションプランをどう書き直すか、具体的にどう見直すかというところはなかなか難しいところがあると思いますけど、研究計画の、少し加速をしないといけないところは、やはり少し加速をするような予算、人の手当て、そういうものもコミュニティーとして考えていかないといけないのかなという気はします。
【岡野主査】  予算と人の手当てというのは、かなり重要ですよね。達成されていないのは何かあって、もちろん研究上の困難があってできていないというのは大問題ですけど、もちろんそういうものもありますが、単に人手がどうしても足りないというところもあるのは確かなので、そう簡単に解決できないけれども、そういうのを提案していくのは役割かなと思いますね。
【岡野主査】  予算と人の手当てというのは、かなり重要ですよね。達成されていないのは何かあって、もちろん研究上の困難があってできていないというのは大問題ですけど、もちろんそういうものもありますが、単に人手がどうしても足りないというところもあるのは確かなので、そう簡単に解決できないけれども、そういうのを提案していくのは役割かなと思いますね。
【新井戦略官】  アクションプラン自体は原型炉の開発に向けて必要なアイテムを全て網羅したということだと思うんですけれども、チェックアンドレビュー項目で大くくりにしている項目というのは、計画を進めていくときに必ず通らなくてはいけないような大きな課題、予算も含めて大きな課題をくくって書いていると。ですからそこについてはクリアしないと先に行けないということで、今までも、最初に平成17年に報告書を作ったときには、チェックアンドレビューは途中は1回だけやって、最後、原型炉に行くかどうかというところの後半部に1回というところだったんですけれども、もう少しきめ細やかにやりましょうという第1回が2020年に来るということだと思います。
 こちらの緑の冊子「核融合原型炉研究開発推進に向けて」の16ページにありますが、やはりこの大きな7つのテーマについて、きめ細やかにチェックをしなければいけないというところで、これをチェックして、改善するところは改善するというところで、前に進めるためのレビューというところが基本的な考え方かなと思いますし、全然出来ていないのであれば、もうこの先に行けないという、もう全部終わってしまうということで、極端に言えばそういう形になってしまうので、そうはならないように皆さん進めていらっしゃると思いますけれども、その中で少しその方向の加速が必要だとか、もうちょっとここを改善したらいいのではないかとか、そういうところのアドバイスが出てくるようなレビューにすればいいのではないかというふうに思います。
【岡野主査】  ありがとうございました。皆さん大体、御意見を頂いたけれども、チェックアンドレビューの今ある大項目は少なくとも満たせているという状態でなければいけないけれども、それに対してアクションプランの対応をもちろん見た上で、バランスよく進んでいるかどうか、あるいは遅れているものがあるならば、それはどう対策するかといったことを考えることがチェックアンドレビューで行われるというふうな、非常に簡単に言えばそんな感じでよろしいですか。
【西村委員】  丸とかバツとかという話ではないと思っていますが、評価はやはりシビアにやるべきだと思います。でも、その結果、何々だからといって全部バツという、そういう話は元々想定していない。あくまでも前向きに進めるためのマイルストーンというか、そういうチェックアンドレビューだと思っているので、丸、バツではないということだけ。
【岡野主査】  ありがとうございます。私ももちろんそう思っているし、そうあるべきだと思っていますが、でもタスクフォースはある意味、核融合コミュニティーの中に見えるので、みんなでオーケーと言っただけみたいになるのはよくないと思うから、きちんと評価した上で大丈夫だというお墨付きを出すということだと。やはり細かく正確には見ていかないといけないと思います。ありがとうございました。
 それでは、ここはおおむね頂いた議論は出尽くしたかと思いますので、次にもう一つ、アウトリーチです。アウトリーチのヘッドクォーターに関するテーマ、何か御意見はあるでしょうか。どんな戦略があるかとか、何をするかとかですね。
【笠田主査代理】  今期のタスクフォースの期間中に、アウトリーチに関してはNIFSもQSTも広報、アウトリーチ関係の担当者が着任されて体制が整備されたというのは、非常に前進だと私は思っております。今後のタスクフォースで議論していくべきことは、ではそういう体制が個別に整ってきているというところで、どのように戦略的に核融合全体の社会へのリーチをしていくかというところの方針とか支援とか、そういったことを全体的に議論していくのが大事だと考えております。例えば大学の立場からすると、やはり我々が核融合のPRを、我々のところに学生を呼び込むために必要性を感じているんですけれども、では具体的に1人で何ができるかというと全然大したことはできませんし、相当労力も払うので、そういったことに対する支援も、うまくそういったネットワークを使ってやれるような方法を考えていただきたいし、考えていきたいと考えているんです。それがヘッドクォーターということにもつながるんじゃないかなと思うんですけど。
【岡野主査】  そうですね、そういうサポートやアクションをヘッドクォーターが担うべきではありますね。ヘッドクォーターは先ほどもあったチェックアンドレビュー項目の大項目の1個ですから、しかも明快に書いてあって、ヘッドクォーターができていると書いてありますから、できないという選択肢はないんですよね。だからそこは何らかの形で動いていないといけないと思うので、核融合コミュニティーの協力がもちろん必要ですけど、文部科学省さんからもいろいろ御指導いただいて作るというふうに考えていますので、是非よろしくお願いしたいと思います。それができた上で、今、笠田さんがおっしゃったような各大学とか、そういったものをサポートしていくというのが大事かなと思います。ヘッドクォーターだけで何かできるわけではないので、そういったオールジャパン体制を、まさしくヘッドクォーターとして役割を果たして、日本中がうまく協力できるようにするということかなと思います。
 そのほか何か御意見はありますか。ちょっと時間が過ぎてしまって申し訳ないですが。よろしいでしょうか。それでは、本日用意しておりました議題は以上でございます。
【岡野主査】  今期はアクションプランの改定とかフォローアップの実施、「核融合原型炉の研究開発の推進に向けて」とか「原型炉開発ロードマップ」の策定など、たくさんのアウトプットを出してくることができましたのは、全て皆様のおかげだと思っています。本当に心から感謝いたします。 それでは、本日、御多忙の中どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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研究開発局研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付

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