核融合科学技術委員会 原型炉開発総合戦略タスクフォース(第16回) 議事録

1.日時

平成30年6月26日(火曜日)13時~15時

2.場所

文部科学省3階1特別会議室

3.議題

  1. 第22回ITER理事会の開催結果について
  2. 第22回BA運営委員会の開催結果について
  3. 原型炉開発ロードマップの策定について
  4. 原型炉設計合同特別チーム報告について
  5. アクションプランのフォローアップについて
  6. 原型炉研究開発体制の強化のための大学等の連携強化
  7. その他

4.出席者

委員

岡野主査、笠田主査代理、池辺委員、石井委員、大場委員、柏木委員、坂本委員、澤委員、竹永委員、西村委員、福家委員

文部科学省

松浦研究開発戦略官、阿南補佐、吉澤核融合科学専門官、上田科学官、秋山学術調査官

オブザーバー

量子科学技術研究開発機構六ケ所核融合研究所 坂本宜照 核融合炉システム研究グループリーダー
自然科学研究機構核融合科学研究所 中島徳嘉 教授

5.議事録



【岡野主査】  それでは,1分早いですけれども,全員おそろいになったと思うので,始めさせていただきたいと思います。
 本日は御多忙のところお集まりいただき,ありがとうございます。定刻より1分早いですけれども,タスクフォースを開催したいと思います。
 それでは,事務局の方から,定足数の確認をお願いします。
【吉澤専門官】  本日は,出席の委員が11名全員御出席で,委員の過半数が定足数となりますので,定足数を満たしております。
【岡野主査】  ありがとうございました。
 それでは,ただいまから第16回原型炉開発総合戦略タスクフォースを開催いたします。
 なお,委員会の運営規則に基づき,本タスクフォースは原則として議事を公開いたします。御発言は議事録に掲載され,ホームページ等で公開されますので,御承知おきください。
 また,本日は,合同特別チームから,オブザーバーとしてBA国際核融合エネルギー研究センターの中島教授に,議題4のご説明者としてQST六ヶ所研究所の坂本核融合炉システム研究グループリーダーにも御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 それでは,次に,事務局の異動があったようですので,事務局から御紹介をお願いしてよろしいでしょうか。
【吉澤専門官】  私,4月に野田の後任として着任いたしました吉澤と申します。よろしくお願いいたします。
 同様に,あちらに事務局2名,類家と石原でございます。よろしくお願いいたします。
【岡野主査】  それでは,次は,事務局の方から,配付資料の確認をお願いします。
【吉澤専門官】  配付資料の一覧は,議事次第に記載をしているとおりです。読み上げは省略させていただきますが,議事を進めていく中で,落丁等ございましたら,事務局の方にお知らせください。
【岡野主査】  ありがとうございました。
 それでは,議題1の第22回ITER理事会の開催結果についてに入ります。
 先週開催されましたITER理事会の結果について,出席いただいた松浦戦略官より御報告をお願いします。よろしくお願いします。
【松浦戦略官】  資料1を御覧ください。第22回ITER理事会の開催結果ということで,先週,いつものとおり,ITER機構の本部で行われました。日本からは文部科学審議官の伊藤が政府代表として出席しております。
 2ページ目,御覧いただきまして,(1)のまずITER計画の進捗状況等ですが,2025年の運転開始のスケジュールを確実にするということで,主要機器の納入スケジュールの見直し等によって建設全体の遅延リスクを緩和するという目的で,建設戦略の改訂という作業が行われまして,前回のITER理事会では,改訂するという方針について承認されておりましたが,今回,ITER機構の中における詳細な検討,そして,研究者・技術者の委員会,STACと呼ばれるものですが,そこでの評価も受け,STACでは技術的に可能という評価は出ました。それを踏まえて,一応,この改訂建設戦略は,2016年11月に暫定合意されているコストの範囲内という旨を全体で確認した上で,承認ということになりました。
 あと,現在の進捗状況について,ITER機構側からの詳細な説明がありましたが,いろいろな厳しいスケジュール要求とか,厳しい技術要求にもかかわらず,一応頑張って,運転開始の目標である2025年というものを維持し続けて,着実に進捗しているということも併せて確認しております。
 この2016年11月に暫定合意されたベースライン2016で,現在,各局が国内調整プロセスというものを進めておりますが,アメリカとインドについてはまだ国内調整が終わっていないということが,この非公式の会合の中でもありました。次回以降のITER理事会において,最終合意のための議論を引き続き行うということになっております。次回は,11月14,15,フランスのカダラッシュで開催予定です。
 最終ページ,現在のITERサイトの建設状況ですが,右の写真,御覧いただけますとおり,トカマクピットについては生体遮蔽が完成して,上ぶたが,これは仮ですが,この上ぶたもついていると。周辺の様々な建物の建設も順調に進捗しているということで,サイトツアーを行ったのは久しぶりなんですが,いろいろな建設作業が進んでいるということで,なるべくそこをディスターブしないということで,今回,かなり夕方遅い時間になりましたが,久しぶりに行われて,目に見えた進捗があるなという実感がありました。
 以上です。
【岡野主査】  ありがとうございました。
 写真を見ても,かなり進んでいるなという感じがありますけど,ただいまの報告に対しまして,何か御質問がありましたら,お願いいたします。
【西村委員】  1つよろしいですか。今の御報告の中で,2016年ベースラインは,アメリカもインドも前向きという感触なんでしょうか。
【松浦戦略官】  例えば,アメリカについては,2018年度予算,これは2017年の10月から2018年の9月までの予算ですが,これが今年の2月にようやく成立をしまして,もともとDOEから63ミリオンの予算要求だったんですが,最終的には122ミリオンUSドル付きまして,これは上院・下院がちゃんと承認した額ですが,倍増の予算がついたと。2019年予算要求は,75ミリオンという形で出ていますが,これが上院と下院で,下院は163ミリオンというのが歳出委員会で議決され,上院は122ミリオン,今年度と同じ額が承認されて,今後,上下院のプロセス,一本化のプロセスがあるんですが,予算的には非常に前向きになってきていると。ただ,現金貢献がまだアメリカはないと。認められていないということで,ITER機構にとっては,資金的には米国からの現金の支払をいち早く望んでおりますが,予算上は前向きに来ていると。アメリカについては,まだ原子力政策の包括レビューの最中ということで,その結論は出ていないんですが,いろいろな意味で前向きな進展が見られると。
 インドの方も,いろいろハイレベルな働き掛け等も行っているということで,インドについても,表からなかなか見えにくいところもありますが,前向きに進んでいるというのが,インドの代表団等から話は出ておりました。ということで,引き続き様子を見つつ,必要に応じて我々からも働き掛けをしていきたいなというふうに思っています。
【西村委員】  2025年ファーストプラズマに関しては,2016年のベースラインがとにかく各国で合意がないことには動けないのかなと心配しているものですから,なおかつ,今の戦略官のお話の中にもありましたけれども,たしか4月に歳出委員会が開かれた中で,キャッシュコントリビューションに関しては,コミットメントを止めるという,はっきりそういうコメントが出ていて,多分,もう3年目ぐらいじゃないかと思うんです。お伺いしたかったのは,前向きというところが,ちょっと気にはなっているので。
【松浦戦略官】  キャッシュについては,アメリカは2016年から支払が今止まっていると。そこについては,アメリカ政府も努力はしつつ,議会からの理解がまだ得られていないということで,そこについては引き続き努力をするということでした。
【岡野主査】  ありがとうございます。
 それでは,よろしければ,議題2の第22回BA運営委員会の開催結果についてに入りたいと思います。
【松浦戦略官】  続きまして,資料2を御覧いただけますでしょうか。第22回幅広いアプローチ(BA)運営委員会の結果概要です。
 BAの運営委員会は,4月26日にQSTの那珂研で開かれました。春は日本で開催しますが,3年に一遍,茨城のサイトで行うということで,出席者は,日本からは大臣官房審議官開発局担当の増子で,欧州からはガリバ局長が通例どおり出席しております。
 2ページ目を御覧ください。各事業の概要報告がありました。マル1のIFMIF/EVEDAについては,LIPAcの調整試験が順調に進捗をして,RFQの試験も開始したと。この運営委員会の後ですが,先々週だと思いますけれども,QSTからもプレス発表されましたとおり,初ビームが出たということで,ようやくそこまで来たかなという感じです。
 IFERCについては暫定最終報告が出されて,順調に進捗と。
 サテライト・トカマク,JT-60SAですが,据付け,組立て,調整試験が順調に進捗しておりまして,18基全てのTFコイルの設置が完了するなど,2020年3月の組立て完了に向けて明確な見通しが得られたという状況です。
 2020年4月以降については,BAフェーズ2という位置付けにして,具体的な事業計画とかフレームワークについて検討しておりますが,以下にありますようなスコープに沿って,次回12月の運営委員会までに2025年までの事業計画を検討するように,各プロジェクトには指示が出ました。IFMIF/EVEDAについては,フェーズ2期間中には,長期連続運転に向けた高度化,そして,これまでの活動を踏まえました核融合中性子源の概念設計等を行うと。IFERCについては,原型炉設計活動や,それに必要なR&D,計算機シミュレーション,遠隔実験の準備等。JT-60SAについては,装置の運転を通じまして,ITERや原型炉のための運転シナリオの開発,そして,それに必要な装置の高度化といったスコープが指示されております。
 あと,タスクグループでは,日欧間の貢献額についての確認のための行政手続の文書について検討も併せて要請されました。テレビ会議等を通じて,月に1回,大体タスクグループを開いて,検討を行っております。
 あと,文科省からは,欧州からの外国人研究者とその家族のための生活支援,そして,教育支援の報告を行いまして,地元の多大な努力に対しまして,引き続き感謝の意を表明しております。
 次回第23回BA運営委員会は,12月にグルノーブルで開催される予定です。
 3ページ目は,BAの現状ということで,詳しい説明は省略させていただきます。
 以上です。
【岡野主査】  ありがとうございました。
 それでは,ただいまの御報告に対しまして,何か御質問があれば,お願いいたします。
【西村委員】  ちょっと1つよろしいですか,先週,いよいよDONESの建設が決まったというニュースが,グラナダに決まったという話がちょっと耳に入って,それとこのEVEDAとはどういう,これはF4Eの方のお話かもしれないですけれども。
【松浦戦略官】  もともとDONESは,欧州の中で3か所,候補地がありまして,徐々に絞っていくと。第1候補として,グラナダが挙げられています。F4Eは,そこにだんだん第1候補としての重きを置いていっていますが,彼らは建設資金としては,欧州の中の復興資金,いわゆる地域振興ファンドみたいなものを使って建設をしていくと。
 DONES自身は随分前から欧州の中性子源として提唱していると。他方,実際の中性子源の詳しい設計とか,日欧の協力の先にどうするかとか,まだこれは日欧間で非公式で意見交換をしている段階ですが,EVEDAがようやくちゃんとビームも出て,2020年の3月には,一応,きっちり初期の目標値までは達成できる見通しが出てきたということで,BAフェーズ2期間では,具体的な中性子試験の概念設計まではお互いやろうというところまではありますが,更にその先に,日本もA-FNSという構想を持っていますし,それとDONESとどういうふうにしていくのかというのは,現時点では別にコンセンサスはありませんけれども,自由な意見交換とか,いろいろジャブも打ち合いながら,引き続き意見交換をしていくという状況です。
 欧州側もそんなにDONESについて,明確にこれで決まったというわけでは必ずしもないということなので。
【西村委員】  そういうことがちょっとはっきりしなかったんで,情報だと,400から600ミリオンユーロぐらいの,それもアンダルシアのローカルガバメントもサポートするというようなお話もあって,クロアチアが要は降りたわけですね。建設期間10年,そうすると,まさに戦略官がおっしゃった,A-FNSもろに,若しくはこのフェーズ2,それとまさにかぶっているという印象を受けて,彼らがそれで設計を進め,建設を進めるんであれば,どこかそこに中の調整なりコラボレーションなり,これをどう位置付けて,要するに,どの人をどう位置付けるかという言い方がちょっと言い過ぎかも分かりませんけれども。
【岡野主査】  西村先生,今おっしゃった情報って,議事録に載って大丈夫ですか。
【西村委員】  これはどこかのニュースです。
【岡野主査】  ニュースですか。
【西村委員】  はい。もうニュースで流れているもんですから。
【岡野主査】  分かりました。
【西村委員】  いや,結構です。そういう情報共有だけ。
【岡野主査】  ありがとうございました。
 そのほか,よろしいですか。
 それでは,次の議題に,こちらが一番大きいので,次の議題に入らせていただきます。
 議題3,原型炉開発ロードマップの策定でございます。前回まで,原型炉建設並びにその実用化に向けた原型炉研究開発ロードマップについての御議論を頂いておりましたが,アクションプランに示された開発課題のうち,早期に限られたリソースの中で優先的に実施すべき課題を抽出するための開発優先度及び国際協力の観点に基づいたロードマップの一次まとめ案を案として提案させていただいておりますので,ここで御議論いただきたいと思います。資料の3を御覧ください。
 まず,簡単に御紹介いたします。構成は,本文が10ページと,それから,最後のページにA4,1枚のカラーのロードマップを記載するという形になります。このロードマップは非常に簡略化されておりますが,基本的にはアクションプランに沿う形のものをまとめているという形になります。核融合コミュニティというか,専門家に対しては,アクションプランを見ていただければ詳細に分かるので,今回のロードマップは割とみんなに分かってもらえるようにという,そういった説明で使えるということを考えながら作られています。
 それでは,まず,本文の方を,読んでいる時間はないので,簡単に御紹介したいと思います。
 まず,1ページ目は,このビジョンがどう作られたかという,どういう意図かということが書いてあるので,これは今までも御紹介しているものですし,皆さん共通認識があるかと思うので,飛ばせていただいて,次のページのロードマップの作成の観点というところに移りたいと思います。
 まず,1マルの開発の重要度と緊急性のところですね。このような観点で重要度を決めましたというのが,(1)が,「原型炉研究開発の推進に向けて」で示したチェックアンドレビューの項目を達成するために,直ちに着手することが必要な喫緊の課題と,そのマイルストーンを示すということですね。それから,チェックアンドレビューの時期もここに念のため書いてあります。
 それから,2番目の項目は,早期に建設や設計を開始しなければ,上記のチェックアンドレビューや移行判断に間に合わなくなるのではないかという視点から,時宜を得た※予算措置が必須という課題とそのマイルストーン,特に予算措置というところが非常に大事だと思いますね。早く動かないといけないので,そういうものを選んであります。
 それから,3番目は,課題間の相関関係の視点から重要な戦略的課題とそのマイルストーンです。
 その次の2マルが,そのうちで特に国際協力でするべきかどうかという観点も判断が必要とされてきましたけれども,その判断基準として3つ挙がっています。1が,これまでの研究開発の実績により,我が国に高度の研究開発基盤があり,他国に対して指導的立場に立つことができる課題,2番目が,国内研究開発との相補性により,国際協力での実施が効率的と考えられる課題,それから,3番目が,リソース的に我が国単独では実施が困難な課題,もちろん,ただし,非常に重要だというものだという意味ですけれども,この3つの判断基準で選んでいるということでございます。
 それから,次のページですね。ここからロードマップの概要に入っていきます。ここはアクションプランを一緒に議論いただいた委員の皆様方には,大体御存じのことしか書いていないのですが,特に重要なポイントだけちょっと読んでいきたいと思います。
 まず,ITER計画ですね。1マルです。ここは,ITERの説明が,さっき申し上げたように,一般の方にも,一般の方というか,核融合コミュニティを非常によく知っている方ではない方にも説明できるように,ITERの前提が書いてあるんですね。最後の4行を読みたいと思います。「ITER計画が運転段階に入った2020年代後半以降は,原型炉へ向けた炉心プラズマの研究開発や,ブランケットの機器試験などを本格的に実施することが可能となる。その機を逃すことのないよう,必要な先行研究を着実に積み重ねて,原型炉関連の研究開発を加速する必要がある」,これが本当に言いたいところということです。
 それから,次の2マルが,幅広いアプローチ,フェーズ2というものですね。何度か戦略官の方から出てきていると思いますけど,今,フェーズ2を2020年から開始しようとしているわけです。それにつきましても,前半ずっとその状況を説明している部分なので,ここは省略させていただいて,次のページの中頃ですね。【JT-60SA】という項目の下の行の「こうした取り組みは」から読ませていただきますが,「こうした取り組みは,原型炉に向けた設計・開発活動として大きな役割を果たす。とりわけJT-60SAの建設を2020年3月までに完了し,その後の初プラズマ点火を着実に実現し,初期研究段階に移行することが必要である。その後ITERの技術目標達成のための支援研究や,原型炉に向けたITERの補完研究を実施する統合研究段階を経て,高性能定常プラズマの長時間維持を目指す拡大研究段階へと展開し,定常運転を実証することが重要である。なお,JT-60SAは,トカマク国内重点化装置計画にも位置づけられている装置であり,国内研究者のコミュニティが,実施機関である量子科学技術研究開発機構とともに,JT-60SAを利用した研究計画を共同企画・立案しつつ実施していくことも重要である」と。この最後の4行は,さっきのロードマップ,後で絵が出てきますが,見方によっては,JT-60SAはBAの中の一つなのですけど,BAだけでJT-60SAが運用されているように読めるといけないと思いまして,最後の4行が追加されています。
 その次が,今もちょっと話題になりました,中性子源の形ですね。先ほどITERと幅広いアプローチに関しては,タイトルの後ろに「(国際協力で実施)」と書いてありまして,これについては何の異論もないと思いますが,核融合中性子,これについては,「国内協力も利用して実施」というふうに,ちょっとだけ違う文言で書いてあります。今後の状況によって,できる限り協力するということでございますけれども,そういう意味もあって利用して、という文言が入っています。
 ここも,前半はおおむね計画と,あるいはヨーロッパの先ほどのDONESの話も少し出てきますが,最後のところのパラグラフだけを読ませていただきます。次のページですね。次のページの最後のパラグラフです。「第一回中間チェックアンドレビューでは,A-FNSの建設推進判断を行うこととし,それに向けて設計R&Dを実施する。建設推進判断後は,IFMIF/EVEDAとして中性子源用原型加速器の技術実証を実施するとともに,A-FNSの工学設計を進める。第二回中間チェックアンドレビューでは,その成果を基にA-FNSの建設移行判断を行い,建設設計と建設に速やかに進むことが肝要である。2030年頃からの核融合中性子照射試験を開始し,原型炉の建設判断に必要な材料等の初期照射データを取得する」ということが,ここで言いたいことでございます。
 A-FNSという文言が出てきておりますが,文部科学省から出るというか,こういう委員会から出るこういう報告書の中では,A-FNSという名前が具体的に出たのは,これが最初の文書になるというふうに思います。それだけ一歩前に進んだということでございます。
 次は,4,原型炉研究開発ですね。ここはおおむね中心になるところですから,大事なことばかりが書いてあるのですけれど,特に言えば,真ん中辺の,行でいうと後ろぐらいですが,「第一回中間チェックアンド」あたりから読ませていただきますと,「第一回中間チェックアンドレビューでは,それまでのBA活動等の成果を踏まえ概念設計とそれに必要な要素技術開発の開始判断を行う。第二回中間チェックアンドレビューでは,原型炉概念を設定し,工学設計・実規模技術開発の開始判断を行う。原型炉工学設計・技術開発段階では」,これは2025年頃に判断した後ですけど,この段階では,「原型炉設計の進捗と第二回中間チェックアンドレビューでの判断を踏まえ,実機大超伝導コイル開発試験のための設備や,日本の原型炉が採用する遠隔保守技術を開発する設備の建設判断を行う。また,JT-60SAやITERの実績を踏まえて,原型炉へ適用可能な加熱・電流駆動装置の開発を実施する必要がある」,もちろんこれだけで全部いいわけではないのは分かっているのですが,一番予算的に重要そうなものがここに書いてあるということでございます。
 それから,(2)ですね。今,原型炉研究開発の項目1だったのですけれど,2は,原型炉シミュレーターの開発になります。これは主に国内活動で実施するということなのですが,この後半を読ませていただくと,「今後は,燃焼プラズマ等の実験的知見,最新の計算科学の知見などを取り入れ,原型炉のより効率的な制御,運転領域の拡大などを目指し,原型炉用シミュレーターの開発を進める必要がある。そのためには,核融合専用の計算機資源を計算機技術の発展に併せて確保していくことが重要である」ということでございますね。計算機が要るというふうに書いてございます。
 次の3項目めは,安全性研究・トリチウム取扱い技術ですね。これも主に国内研究で実施します。国内研究で実施するという意味は,国際協力をしないという意味ではないので,誤解ないようにお願いしたいと思います。もちろん国際協力はしていくのですが,主として日本でやると。日本が中心になってやるという意味です。
 ここも,これは2パラグラフ目から読みますが,「安全性の研究は,核融合固有の安全性も生かすように実施していく必要がある。データを蓄積していく意味から,検証と妥当性確認実験等を早期の段階から着実に推進して原型炉の安全性の検討を実施しておくことが重要である。また,トリチウムの大量取扱い技術は,ITERがフランスに建設されることも踏まえ,ITERの知見を生かしつつ,国内技術として蓄積していく必要がある。第二回中間チェックアンドレビューでは,燃料システムの開発に必要なトリチウム大量取扱い技術開発のための設備の建設判断を行う」ということでございます。
 それから,4番目の項目が,炉工学と関連基礎研究ですね。最後のところを読ませていただきますが,もちろんこれは必要であるということが書いてあるわけですが,一番最後の3行を,重要なんで申し添えますが,「一方,大学等を中心として取り組む必要がある先進的,基礎的研究課題も存在する。したがって,特に早期に炉工学研究の基盤を形成する必要のある事項を優先して,炉工学基盤研究を推進する」,これが3行,最後に書いているというのを申し上げました。その前半は今飛ばしましたけれども,当然,非常に重要な研究課題であるということが書いてあるわけです。
 それから,5マルが,ブランケットになります。これは国内で実施となっています。これを読む前にちょっと申し上げておきますと,これってITERのTBMのことが書いてありますが,これは予算措置として,早期に必要であることと,それから,ITER-TBMをベースに原型炉ブランケットを設計するので,それが、ITER-TBMが原型炉でつながるということが書いてあるということになります。
 それについて,一番最後だけ,2行だけ読みますが,「工学試験等を含むTBMシステム開発での成果を取り込みながら原型炉用ブランケットの工学設計開発へ展開する」,これが最後2行に書いてあるんですね。その上はITER-TBMのことなので,ちょっと違和感があるなと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが,そういう事情だと思ってください。当然,原型炉が目的ですからね。ITERのTBMが最終目標ではございませんが,絶対通過するという意味から,そういう書き方がしてあります。
 6番目が,大型ヘリカル研究になります。それから,7番目には,高出力レーザー研究というのが出てまいりますが,これについては,前半の第1パラグラフがこれまでの成果を書いておりますが,最後の2行,「これらを通じて,核融合炉に共通する技術課題を解決することによって,原型炉研究開発に貢献する」と。
 その前の2行も重要ですね。3行戻っていただいて,行の後ろから,「学術研究から研究開発への将来展開も想定しつつ,今後も様々な学術的視点から,大型のヘリカル研究を推進する」というのがありまして,「これらを通じて」につながるということでございます。
 それから,高出力レーザー研究,これはどういう書き方かという議論があって,最初は大型レーザーと書いたのですけれど,高性能レーザーってどんどん小さくなっていくので,大型じゃないんじゃないかという話があって,それは全くもっともだと。大幅に小さくなりますからね。そういう意味で,高出力レーザー研究というふうに名前を選ばせていただいています。
 ここも最後の3行を読ませていただくと,前半はこれも成果なので,最後を読ませていただくと,「今後,高出力レーザー研究については,核融合以外の分野への学術的広がりを視野に入れて,学術研究から開発研究への将来展開も想定しつつ,上記原型炉開発への寄与も含めて推進する」ということでございます。
 それから,社会連携活動ですね。これは国内で実施,当然そういうことになります。核融合エネルギーが国民に選択され得るエネルギー源となるためには,社会との情報の共有と不断の対話が必須である。戦略的なアウトリーチ活動を実施するため,アウトリーチヘッドクォータを設置し,日本全体を統括して社会連携活動を実施し,国民的理解を醸成することが必要である」と。
 それから,最後の9は,これはロードマップには,絵にはないのですが,第4段階への移行についての一言が書いてあります。これは最も重要なポイントですが,「上記の着実な実施を経て,2035年のチェックアンドレビューにおいては,原型炉建設段階である「核融合研究開発第4段階」への移行を判断する。別紙の原型炉研究開発ロードマップには,その時点で達成すべき目標の例を示す。なお,社会連携活動の充実によって,核融合炉実用化に向けた国民的な理解が形成されていることが,第4段階への移行に大変重要な判断条件であることを追記しておく」ということでございます。
 それから,最後のページですね。3節です。これは,ちょっとロードマップとは違ってきていますが,ロードマップの絵,図だけでは読み取れないので,あえてこれを書かせていただきましたが,原型炉研究開発体制の強化のための大学等の連携強化ということが書かれています。
 ここは全部読ませていただきますが,「アクションプランの実現に当たっては,炉工学の基礎研究等において,大学等の貢献が不可欠であることは言うまでもない。また,本年3月28日に核融合科学技術委員会が取りまとめた「核融合エネルギー開発の推進に向けた人材の育成・確保について」において,改めて,原型炉研究開発に必要な人材の確保に当たっての,大学等の重要性を示したところである。自主・自律を前提とした大学等の優れた取り組みを支援するためには,これまでの量子科学技術研究開発機構を中心とした体制に加えて,大学等を対象とした原型炉に向けた共同研究をとりまとめる新たな体制を整備することが必要である。大学等を対象とした新たな共同研究のとりまとめ体制の整備に当たっては,その中核を担う機関,つまり中核機関を設けることが望ましい。中核機関の要件としては,核融合に関して,大学等が自主・自律のもとに取り組む共同研究をとりまとめた実績や,研究を通じた人材育成にも取り組んできた実績が十分にあり,世界最先端の大型核融合装置の設計,建設,運用まで取り組むことのできる能力を有し,その能力を原型炉設計等にも生かすことのできる機関であること,があげられる。上記要件を鑑みると,中核機関としては,核融合科学研究所が最適であり,今後さらに,核融合科学研究所を中心とした体制の検討を深めていく必要がある」,かなり重要なことが書かれていると思いますが,前回も少し戦略官から紹介があったと思いますので,こういう体制を作ろうとしていると。これをロードマップの最後に書いております。
 それから,次が別紙にあります1枚物のロードマップです。このように非常に分かりやすく簡略にさせていただいております。上から見ると,ITER計画がありまして,建設段階でございますが,2025年に着火してから,DTプラズマに向けたプラズマ制御試験に入って,2035年頃にDT着火ということを目指すということになります。
 それから,2025年までがBAのフェーズ2の活動期間ということが示されています。これは全体に関わるものですから,ここに何かが入っていくというふうには読めないようになっていますが,そのすぐ下にJT-60SAがあって,これは一部はBAですけれども,初期研究段階に入って,その後,統合研究段階に入って,拡大研究段階は2030年移行ということになります。
 それから,核融合中性子源でございますが,技術実証・工学設計をした上で,2025年のチェックアンドレビューの判断に沿って,建設,試験に入るということがここに明快に書かれていることになります。
 それから,原型炉研究開発ですが,これはいろいろな研究を原型炉研究開発という1項目にまとめたのですが,ここが非常に重要なポイントであるということも含めて,緑色のかなり目立った色で書いてあって,概念設計・要素技術開発,最初は1.5センチぐらいの幅からだんだん太い線になって,最後は2035年以降,これは移行判断した後は,ここが主たるところになるということで,大きくぐっと広がって,そういうイメージを書いている色ですね。
 2025年以降の技術開発課題としては,本文でも御説明したように,4項目あって,原型炉設計活動と,シミュレーター,安全性研究・トリチウム取扱い技術,炉工学と関連基盤研究ということになります。
 大学が載っていないじゃないかと言われそうなのですが,先ほども何度も本文で言いましたように,関連基盤研究というところに大学が貢献していただく課題があるというふうに考えています。
 それから,ブランケット開発については,これはテストブランケットモジュール(TBM)と書いてありますが,ここまではITERも兼ねた,ITER-TBMも含めた書き方になっていますが,もちろん原型炉を目指したブランケットを開発するという意味でございます。
 最後,6番,7番は,大型ヘリカルと高出力レーザーの研究でして,ここは最後の後半の方に,今後,学術研究から開発研究への展開も想定して,それぞれが研究を進めるけれども,同時に原型炉研究への貢献も期待したいという書き方になっているつもりです。
 最後が,ここはロードマップにもちゃんと書いておこうと思いまして,社会連携活動は黄色で目立つように書いてあります。途中経過が何もないですけど,35年,チェックアンドレビューするときには,本文にも書いたように,原型炉に向けた社会連携活動の実施で,民意が得られていなければいけないと。民意じゃないですね。社会の理解が得られていなければいけないという意味で,ここにマイルストーンが書かれています。
 以上で,非常に大ざっぱに御説明いたしましたけれども,図の方は,多分皆さん見れば,なるほどと思われるぐらい簡単に書かれていると思うんですね。
 1つ言い忘れました。図の方で,左から右に向かってびゅーんと山が大きくなっているのがありますが,これは別に予算に比例しているとか,そんなことを理解されるといろいろと問題があるんですが,左上に書いてありますが,ロードマップ遂行に必要なアクティビティがこういうふうに上がっていくんだという,イメージ図だと思っていただきたいと思います。こういうものがあると,やっぱり頑張るんだなという感じがするので,私はなかなかいいバックじゃないかと思っていますけど,そういう意味でございます。
 以上で私からの説明は終わりますが,御質問などありましたら,お願いいたします。
 1つ,事前にちょっとコメントがあったので,坂本委員か,秋山委員ですか。秋山委員ですか。ちょっとコメントを頂いたので,それをお願いいたします。
【秋山学術調査官】  印象だけの問題でちょっと恐縮なんですけれども,ロードマップの図で4番の原型炉研究開発のところが,かなりここが一番太枠,黒枠になっていまして,岡野先生がおっしゃられたように,この4番が本丸だということで強調されていたと思うんですけれども,人によっては,これ,太枠以外のところがイクスクルードされているような印象を持たれないかなという心配がありまして,特に2035年以降,マル2,マル3,マル5のところは包含されているのでいいんですけれども,1のITER計画だとか,あと,6,ヘリカル,レーザー,それから,社会連携活動というのが,何となく原型炉開発からイクスクルードされているんじゃないかというような印象を持たれることがあるかなと思いますので,殊更黒い太枠に大きい意味を込めないんであれば,この枠はほかの枠と同じ太さのものにして,フラットな感じにした方が無難かなというふうに思いました。
【岡野主査】  ありがとうございました。
 この枠を太くしたのは,ここがおっしゃったとおり本丸で,重要なんだという意味を含めて太くしたんですが,色が緑で相当目立っているので,そういう意味では,太線で,ITERはもちろんですし,大型ヘリカル,高出力レーザーの研究からあえて敷居を作っていますというイメージに見えるんだと言われれば,そうかなと私も思うので,もしも皆さん同意いただけるのでしたら,この線,太さにこだわる必要はないので,何か意味があるのかと思われないように,ほかの線と同じにしたいなと思いますが,いかがですか。
【西村委員】  でも,それに関連して,ITER計画のところの線が細過ぎません?
【岡野主査】  ITER計画の線も細いですね。これも太くしましょう。
【西村委員】  だから,同じ太さにしたら僕はいいと思うんだけど。
【岡野主査】  同じにしましょう。これは意図してやったんじゃないと思います。たまたま作ったときにこうなっただけで,そんな太さに意味はないので,こだわらなくてもいいのですけれど,太さは同じにしましょう。それがやっぱり妙な誤解を生まないという意味で。いいですね。それは誤解だと思いますから,絶対に。ITERが重要でないとここで言うはずがないので,大丈夫ですけど,じゃ,太さは調整するということにしたいと思います。
 それからあと,もちろん皆さんから御質問いただいていいんですけど,澤さんからたしかコメントをメールで頂いていたので,要件をちょっと,必要なら改訂したいと思いますので,いかがでしょうか。
【澤委員】  ITERロードマップ,2項のマル1のITER計画のところなんですけれども……。
【岡野主査】  本文ですね。
【澤委員】  本文の方ですが,ここの書きっぷりのところで,ITERの計画を国際協力で実施という文章の中で,日本としてこの計画をリードしていくという観点のメッセージが込められた方がいいのかなというふうに考えています。思わくにあるのは,高度な研究基盤等を使ってITER計画をリードしていくという視点もこのロードマップに加えて,日本国内の研究者のモチベーションアップとか,そういうものが図られるようなロードマップにしていただきたいというのが1つコメントです。
【岡野主査】  そういう意味では,「国際協力で実施」と特に書いてあるので,何か日本が,そんなことはないかと思うのですけど,第三者的に参加だけするみたいに読めなくはないので,そこの意思表示を書いた方がいいですよという意味だと思うんですが,どこら辺をどう書くのがいいでしょうね。全く御趣旨は,多分,皆さん賛成じゃないかと思うんですが。
【澤委員】  例えば,セカンドパラグラフの最後の方,「原型炉に向けては,DT燃焼着火後」云々というところで,「JT-60SAによる先行研究が重要であり」という文章があるんですが,ここでこの成果をITER計画に反映していくというところに,ITERの開発に反映だけじゃなくて,計画とか,試験計画に反映とか,そういう言葉を織り込むとか,そういうのが私のアイデアとしては考えています。
【岡野主査】  じゃ,このあたりに,キーワードとしては,日本には大きな基盤があるということと,それをITER計画にも反映できるように積極的にITERに貢献していくという,そういうキーワードですね。
【澤委員】  はい。
【岡野主査】  そのような御意見を頂いたんですけど,いかがでしょうか。ITERが自然にできて,それに日本が後乗りで参加するみたいに読めるといえば読めるので,これはさっき申し上げたように,核融合コミュニティの中でそう誤解する人はいませんが,これは外に見せるものですから,御指摘は適切なような気が私はするのですが,よろしいでしょうか。よろしいですか。笠田委員,いかがですか。大丈夫そうですか。
【笠田主査代理】  はい。
【岡野主査】  そうしましたら,きょうも時間はありませんので,私が作文を考えさせていただいて,多分,1行ぐらいだと思うんですね,今の趣旨を酌んだのを,「その成果を確実に」の最後の,下から2番目のパラグラフの2行目ですね。「その成果を確実にITERでの開発に反映していく」というところの前に,日本には非常に大きなコミュニティがあるということと,基盤があるということと,ITER計画にも働き掛けつつみたいな言葉を作文しますので,その辺,もちろん皆さんにお送りしますが,基本的に御一任いただければと思いますが,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。またお伺いいたしますけれども,そのときにもしもコメントがあれば,頂ければと思います。
【澤委員】  あともう一点ございまして,6番の資料にもちょっと絡むかもしれませんが,ロードマップの本文の最後のところの3項,原型炉研究開発体制の強化のための大学等の連携強化のところが,読んでいて違和感があったのが,原型炉の研究開発体制を強化することが恐らく目的のはずで,その目的と手段が逆なのかなという印象を受けました。ですので,タイトルの書き方とかはなかなか変えるのは難しいのかもしれませんが,体制を検討するというよりは,大学の自主・自律の,大学の取組を生かして開発体制を強化するという趣旨に書き換えられないかなというのがコメントです。体制づくりにちょっと力点が置かれているので,そこから吸い上げる成果というような書き方に検討していただけないかと思います。
【岡野主査】  いかがでしょう。タイトルそのものが連携強化になっているので,何を書き加えればよろしいですか。何となくおっしゃっている趣旨は分かっているし,多分,十分理にかなっていると思うのですけど,何をどう変えるというのが,ちょっと私には思い付かなかったんですが,ひょっとすると,本当に数言変えるだけでよさそうな気がしますよね。特に違和感がある文言ってありますか。
【松浦戦略官】  ちょっと事務局からですが,この議論はもともとアクションプランの中で,大学で「大」と書いてあるところを実際にどうやって進めるのかという議論になったときに,やはり大学として責任を持ってアクションプランに書いてあることを実行しようとしたときに,今足りないところがあるというので,その答えが大学との連携強化となっているので,一番の目的は,やっぱり原型炉開発体制の強化と。そこで足りないピースなり手段を今回こうやって書いたということで,全体としては,原案でも事務局としてはいいのかなとは思ってはいたんですけど。
【岡野主査】  分かりました。そうしたら,もしもここをちょっと変えればいいのにというのがあったら,後で御提案いただいて,事務局ともちょっと相談しますので,決定的にこれ全体がよくないという御意見じゃないですよね。
【澤委員】  ではないです。
【岡野主査】  ですよね。分かりました。じゃ,そのようにお願いして,あとは御一任いただければと思います。よろしくお願いします。
【柏木委員】  既に何度かこれを読んでいたんですけれども,きょう,ふと気付いてどうだったかなと思うことがあったので,1点だけコメントさせていただくと,きょうの資料に,産学官の「産」という字がないような気がして,それはよろしいんでしたっけ。今までの資料には大体産学官の連携でというような単語を使っていたかと思うんですが,その単語が見当たらないような気がしたんですけど。
【岡野主査】  これを産に見せようとしていますよね,はっきり言って。
【柏木委員】  そうなんですけど,ほかの今までの文章ですと,大体,例えば,産学官の研究開発体制とかいう三者をちゃんと取り込んでやっていきましょうという文章が常に入っていたんですが,それがずっとあったからだと思うんですけど,ここからその文字が抜けているかなという気がしたんですが,それは多分,入れる……。
【岡野主査】  産業界の視点としてはいかがですか。つまり,ここに産学官と書いちゃうと,ロードマップに取り込まれることになっちゃうけど,いや,そう言われてもねって。そうじゃなくて,ここは核融合コミュニティが頑張っているので,産がそれを見て,社内での調整をして,分かりました,じゃ,産業界としても協力しますよと言ってくれるためのものなので,ここに取り組まれているんですよね,あなたはと言っちゃうのは,ちょっと問題はありますかね。
【松浦戦略官】  6ページ目のマル4(1)の真下の「オールジャパン体制」……。
【柏木委員】  そうなんですよね。そこがそうなのかなって。
【松浦戦略官】  そこが産といえばそうなんですけど。
【柏木委員】  そうなんです。多分,そこに明確に書くか書かないかだけなのかもしれないなと思ったんですけど。
【松浦戦略官】  今回,開発の優先度とか重要度とか,その辺のプライオリティーの置き方を書いているので,個々のプレーヤーが何をやるとかいうのは,アクションプラン上に書いてあるといえば書いてあるんですけど,ただ,意気込みを示すという意味で,どこかに書いてもいいのかなという気もします。
【岡野主査】  そうですね。オールジャパン体制にはもちろん産も入っていますけど,ここにあえて産官学で共同したとか書きますか。それで特に支障はないですか。
【柏木委員】  今,過去の資料を見ていて,平成29年の12月の資料のところで,一番最後ですね。資料ナンバー9の5.2のところが,産学官の研究開発体制というところでは,確かに六ヶ所をベースにそういう活動をしていきましょうという項番で,ちょうどここのところはそこに適合しているのじゃないかというふうに思います。
【岡野主査】  オールジャパン体制のところに,産学官の協力によるオールジャパン体制としてみたいに書きますか。産が頭で大丈夫ですか。ボールを投げられたみたいにならないですか。
【柏木委員】  分からないですけど,科学技術委員会の資料には,その順番で書いてあるので。
【岡野主査】  普通そうですよね。語呂が合って。
【柏木委員】  それにならうと思えば,そんなにおかしくないのでは。
【岡野主査】  なかなかちょっとどうかな。
【柏木委員】  どうですかね。
【岡野主査】  どうですか。産業界とかって書いちゃうと,ますます明快になっちゃうから。
【西村委員】  もっと明快ですから。産業界から界とかって書いたら。
【岡野主査】  書いてもらっても支障がないといって,逆に書いてあった方が会社に説明しやすいとかいうことがあるのか,いつの間に入っているじゃないかと言われるのかという,そういう視点なんですけど,どうしましょう。オールジャパンには入っているんですよね,言うまでもなく。
【福家委員】  既にオールジャパンの中に産業界は入っていると思いますので,産官学のオールジャパン体制ということではないんでしょうか。
【岡野主査】  でよろしいですか。皆さんいかがでしょう。あえて産という字を入れると,何か妙に目立って,ちょっとマイナスになったりしないかなという。オールジャパンと言う以上は,産も入っているんですとはきっとみんな会社の方で言っていただけると思うので,よろしいですかね。どうですか。
【笠田主査代理】  1番のロードマップ作成の観点のところで,明確に今回のを整理するに当たっての考え方が書いてあって,ここでは国際協力の重要性とか,日本の独自の開発であるべきかという観点を明記しているのであって,今回,そういうオールジャパンであるということはもう前提条件になっていて,特に明確に示すような何かではないというふうに私は考えていたので,オールジャパンに全て含まれているということで構わないんじゃないんですか。
【柏木委員】  そういう趣旨で確認できれば,特に問題ないかと思います。
【岡野主査】  オールジャパンは少なくとも書いてあってよかったですね。おっしゃるとおりだったので。御指摘のとおりだったので。
 それでは,これはこのまま無難な方向でいくということで,入れさせていただきたいと思います。
【西村委員】  1つだけ,ごめんなさい。6ページのA-FNSのところなんですけど,ざっと読ませてもらったときに,ほとんどの文章って,「必要である」とか,「重要である」とか,「推進する」とか来るんですけど,A-FNSのところだけ「望ましい」になっているんですよ。
【岡野主査】  6ページですか。
【西村委員】  6ページの上のパラグラフの一番最後のところが,「具体化することが望ましい」になっていて,これがちょっと引っかかっていまして,何で「具体化することが必要である」とか,「具体化することが重要である」とかという表現にならなかったのかなと。ほかのところは,多くの場合,「必要である」というか,「重要である」とかという文章の終わり方をされているんです。
【岡野主査】  これ,西村先生,「国際協力」が「望ましい」に掛かっているんじゃないんですか。建設が望ましいんじゃないですよ。
【西村委員】  「国際協力を得ながら,具体化することが望ましい」。
【岡野主査】  つまり,A-FNS建設は必要なんですけど,国際協力ができるなら,それが望ましいの意味だと思いますが。これは上のところは,それまでの国際的なことが書いてありますから。その下には……。
【西村委員】  「経験や結果を生かして,国際協力も得て,具体化することが望ましい」。
【岡野主査】  その1行下には,建設判断を行うと書いてあるわけですから,物すごく明快に書いてありますよね。
【西村委員】  建設判断で要らないという可能性があるということですよね。
【石井委員】  A-FNSとは書いていないんですけど,5ページの最初の段落の「中性子源の開発及び照射後試験設備が必要となる」というふうには書いてはある。A-FNSとは書いていないんですけど。
【西村委員】  いいんです,いいんです。だから,そういうふうに,「必要である」とか,「重要である」という文章の終わり方が非常に多いんですけど,ここだけ「望ましい」になっているので,ただそれだけです。
【岡野主査】  これ,私は国際協力が望ましいんだと思うんですよね。そういう意味なんですよ。A-FNSがあった方が望ましいなんて書いてあるところはどこにもないと思うんですよね。何かというと,文章の順番を変えますか。
【西村委員】  ごめんなさい,ただちょっとそれが気になっただけ。ここが「具体化することが重要である」だったら,何となくすっと流れるんですけど。
【岡野主査】  どうしましょうかね。「望ましい」は「国際協力」が掛かっているようにしか私には見えませんが,余りこれを変えますと,かえって誤解を招きそうな気がしますが,いかがでしょう,ほかに御意見は。
【柏木委員】  「国際協力」に掛かっているのであれば,「A-FNSの建設に当たっては」を主語にして,「国際協力を得ながら進めることが望ましい」とすれば,そんなに大きな変更じゃないんじゃないですか。
【岡野主査】  そうなんですが,そこまで物すごく明快にすると,それはそれで後でちょっと……。それはそれで私もその日本語は思い付いたんですけど,それはそれでどうなのよとちょっと思ったので,ちょっとここは後で――文科省のほうはいかがですか。
【松浦戦略官】  そうですね,最終的にはやはりチェックアンドレビューのところで判断をしていく。ここの原案としては,やはり建設の具体化することを今までのEVEDAの経験を生かして,国際協力を得ながらということが,ある意味望ましいというのは自然かなとは思ったんですけど。
【岡野主査】  分かりました。そういうのもあるのかなって。私は国際協力に掛かるという,ちょっと核融合コミュニティ的に理解しましたが,ひょっとしたら,具体化することが望ましいにも掛かっているような気がするので,もしも大きな反対がなければ,このまま置いておきたいなと思うんですが,いかがですか。これはその後に建設判断を実施すると書いていただいていますから,特に弱くはないと思います。むしろA-FNS,すごく書いてあるなというイメージなので。よろしいですかね。
【石井委員】  細かい点なんですけど,ロードマップの図の方で,BAフェーズ2が今,2025年までで話が進んでいると思うんですけど,BAフェーズ2の矢印が2025のところからちょっと離れている。それが気持ち悪いなと。
【岡野主査】  分かりました。それは誰も反対することはないと思うんで,先の赤いところまで,3ミリほどですけど,伸ばさせてください。おっしゃるとおりですね。何でここなのかよく分からないですけど,実施している本体からすれば,「えー」って思うのかもしれないと思うので。
【石井委員】  少しだけ気持ち悪いので,すみません。
【岡野主査】  石井委員の気持ちはちょっと酌ませていただいて,線は延ばしたいと思います。これは大丈夫ですよね。
【松浦戦略官】  はい。
【岡野主査】  よろしいですよね。じゃ,伸ばしたいと思います。
【大場委員】  すみません,私が理解できていないのかなと思いながら質問なんですけれども,8ページ目の最初の3行のところの「(1)~(4)の成果を踏まえ」という,工学設計を完了させるというのは,35年以降のことですか。最後の図のところで,35年以降の矢印で,工学設計が完了というふうに書かれていて,でも,そこに並行して「建設と運用」と書かれていると……。
【岡野主査】  これは,定義の問題だと思います。原型炉工学設計というのは,ITERでいえばEDAと言われるところであって,工学設計の図面では,物は建設できないと考えています。建設に入ったら,産業界に入ってきていただいて,建設設計を行うということになると思います。ですから,35年までには工学設計が完了していなければいけません。そういう理解ですね。
【大場委員】  矢印が35年から出ていますよね。「社会受容性と経済性の見通しを得た工学設計の完了」が35年から伸びていて,私,それが35年までに終わるのではないかと。
【岡野主査】  本当だ。失礼。これ,おかしいな。これは違うん……。
【大場委員】  やっぱり私が間違っているんじゃないですよね。
【岡野主査】  これ,おっしゃるとおりですね。私が見落としていましたね。これはおかしいな。見通しを得た工学設計の完了,あ,これは間違いではないんですよ。ダイヤモンド型の赤の意味がここに書いてあるんですよね。だから,これ,矢印が逆かな。
【阿南補佐】  すみません,事務局からなんですけど,一応,凡例に書いていますけれども,矢印のところで,達成すべき目標,目標達成が求められる時点がこの時点で,求められる目標というのが黒い矢印のところという意味で書いたので,前に表現がなくて,こうしてしまったんですけど。すみません。
【岡野主査】  そうしたら,矢印の頭を取った方がいいですか。
【阿南補佐】  逆にした方がいいですね。
【岡野主査】  逆の方がいいか。逆の方がいいですね。僕は全く無意識にこれ読んでいて,書かれたとおりだと思っていましたけど,確かに見てそう思われるなら,それが大場委員のおっしゃる指摘が正しいと思いますね。逆にしましょう,三角を。ありがとうございました。そうですね。そういう視点で見ていただくのは有り難いです。
【竹永委員】  すみません,1点だけ。9ページのマル9のところで,「2035年のチェックアンドレビュー」と書いてありますが,この後ろに「頃」が入っていないので,書いた方がいいと思います。
【岡野主査】  どこでしたっけ。
【竹永委員】  9ページ目のマル9です。
【岡野主査】  「2035年頃の」ですかね。分かりました。9ページ目の第4段階への以降,マル9の1行目,「2035年」の「年」の後ろに「頃」という漢字を入れたいと思います。本文には,2035年から数年以内と書いてあるんですけど,「頃」って書いた方がいいですね。「頃」には違いないので,「頃」と入れたいと思います。ありがとうございました。
 それでは,以上でおおよその意見が出そろったかと思います。今頂いた御意見は反映した上で,このロードマップをタスクフォース案として,7月24日に開催の核融合科学技術委員会で御審議いただくことにしたいと思います。調整を要する修正が必要な場合には,幾つか調整が必要でしたけれども,私の方に,主査の方に一任いただければと思います。
 それから,なお,このロードマップにつきましては,昨年度から議論を重ねてまいりましたが,特段の問題がなければ,次回の核融合科学技術委員会で一次まとめとして特定させていただきたいと思っています。そういう見込みでございます。 これまでの各委員の御協力に改めてお礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは,議題4の方に移りたいと思います。原型炉設計合同特別チームの報告についてでございます。本タスクフォースでは,合同チームによる研究開発の進捗状況の把握,同チームへの助言等を行うことになっております。本日は合同特別チームから坂本核融合炉システム研究グループリーダーにおいでいただいておりますので,29年度の実績と30年度の活動計画について御説明いただきたいと思います。
 それでは,よろしくお願いします。
【坂本グループリーダー】  原型炉設計合同特別チームの坂本宜照です。本日は,平成29年度活動報告と平成30年度活動計画について御説明させていただきます。
 それでは,ページをめくっていただきまして,まず,平成29年度の活動の概要ですけれども,メンバーの総数は平成30年1月現在で86名です。内訳としましては,QSTと産業界,大学等がほぼ同じ割合で参画いただいております。
 一方,常勤メンバーは14名でして,そのため,産学共創の場の構築を進めながら活動しているという状況でございます。例えば,大学や研究機関との共同研究,これは昨年度15件実施しました。また,技術会合は適宜開催して,約30回,延べ400人が参加いたしております。
 一方,関連学協会・機関との連携強化という面におきましては,ワーキンググループ活動によるアクションプランの具体化を行ったりですとか,他法人でのアウトリーチ活動のヒアリングを実施したりしております。さらに,超伝導技術の委託調査を行っております。
 また,核融合エネルギーの長期戦略という面におきましては,低酸素社会に向けた核融合の役割というものを,RITEの方に委託調査で行っていただいております。また,希少資源の確保戦略として,意見交換等を実施しているところです。
 次のページが,原型炉の目標と設計方針ですけれども,原型炉の目標につきましては,核融合科学技術委員会の報告書に示されているように,ここに記した3つを実現することでございます。そのための設計方針としまして,炉本体につきましては,定常運転であること,核融合出力は1.5から2ギガワット,炉寸法としては,プラズマの主半径を8から8.5メートルとしております。
 一方,プラント設備に関しましては,軽水炉の冷却水条件であります加圧冷却水を採用しまして,発電端での電気出力を0.5ギガワットと想定しております。
 これらに対して,ITER及び軽水炉の技術基盤を活用しつつ,原型炉特有の課題の克服に注力して,検討を進めております。そこで,まずは,成立する概念を1つ構築して,その後に概念をよりよく改良していこうと。そういう方針で進めてございます。
 次のページですけれども,活動計画といたしましては,タスクフォースの策定したアクションプランに沿って,原型炉設計開発活動を展開すると。特に第1回の中間チェックアンドレビューに向けた取組といたしましては,下に書いてございます,原型炉の運転計画や基本概念,概略パラメータ,さらに,機器・設備とそれらの技術仕様,コスト概算,安全設計指針,放射性廃棄物の管理処分シナリオ等々,これらについて研究機関・大学,産業界が問題意識と戦略を共有して,一体となって課題解決に向けた研究開発を推進すること。こういった取組で進めてございます。
 次のページから,平成29年度の主要成果について,アクションプランに沿って,特に基本設計の部分について御説明をさせていただきます。
 まず,0ポツの炉設計ですけれども,その前に,右上に特別チームが主体となって実施するアクションプランの項目について,簡単に状況を記してございます。図の説明の方では,主要な成果について説明させていただきます。
 まず,0ポツの炉設計では,発電のための冷却システム関係の成果について説明させていただきます。発電にはブランケットからの熱を基本的に利用するんですけれども,これまでダイバータにもやってくる熱を利用しようとすると,ブランケットの冷却系に直接接続することになるんですけれども,そうすると,冷却水を回す圧力損失が増大してしまうという問題がありました。そこで今回検討を進めたのは,ブランケットの冷却水の予備加熱としてダイバータの熱を利用するということ,さらに,真ん中の図にちょっと小さくて恐縮ですが,ブランケットの冷却水系にバイパスラインを付加することによりまして,中間熱交換器へ行く水量を低減して,ポンプ動力を低減すること。こういった合理化を進めることによりまして,発電端の電気出力で約2割弱ですけれども,向上できるという見通しが立っております。
 そのほかには,軽水炉での機器構成等を踏まえて原型炉に適用したときに,タービン系の機器構成や建屋構成というのがどういうふうになるかという検討を進めているのが,右上の図でございます。
 更にもっと広い範囲,プラント全体について,周辺設備の構成案に基づいた配置計画というようなものを作成いたしております。
 次の1ポツの超伝導コイルにつきましては,ITER技術基盤を最大限に活用しつつ,超伝導線材やコイルの本数,最大生成磁場強度,導体電流値,最大設計応力,巻線方法といった項目について,超伝導コイルの設計のベースラインを策定したというところでございます。
 ここで,最大設計応力でトロイダル磁場コイルにつきましては,800メガパスカルということで,これはITERの設計条件よりも厳しい,強いものとなってございます。ですので,ここにつきましては,低温鋼の高強度化に向けた取組として,現在,物材機構との委託研究で,候補材の引張試験を実施しているところで,割とこれまでの結果を超えるようなコイルの材料が見えてきている状況です。
 もう一つ,超伝導コイルにつきましては,製作公差の問題がございます。ITERの超伝導コイルでもかなり厳しい製作公差を要求されて,コストも非常に掛かっているという状況です。原型炉では,ITERよりも更に大きな超伝導コイルを,より厳しい製作公差で作らなきゃいけないということがございまして,そこを何とかならないかということで,誤差磁場の評価というのを進めております。その結果,ITERと同等の補正磁場コイルを利用することで,製作公差に関しまして,ITERの2.5倍程度まで緩和しても大丈夫じゃないかというような結論に到達いたしております。
 次が,2ポツのブランケットです。ブランケットにつきましては,これまではシンプルな箱型の筐体,低放射化フェライト鋼で作った箱型の筐体の中に増殖材や増倍材を詰めた固体増殖・水冷却ブランケットの概念検討というのを構築してきておりました。一方,例えば,筐体の中,冷却水,冷却配管がございますが,そこから水が漏れた際に筐体が壊れてしまうという可能性が安全性研究の結果からも出てきまして,この箱の筐体をもっと強くしてやろうということで現在進めておりますのは,右側の図にございますように,箱の筐体の内部に補強のリブを設置して,筐体の耐圧性を向上するというような取組を行っております。その際,右下にありますような,水が漏れたときの応力解析ですとか,増殖部の温度の解析,こういったことを積み上げてきまして,たとえ水が漏れたときにも,筐体の健全性を確保できるというような見通しが得られております。
 ただ,右上の図にあるように,構造が複雑になると,どのようにして作るかというところが現実的な問題として出てきます。そこで,どのように組み立てるかというような製作性の検討を進めつつ,左下に写真を示しておりますが,部分的なモックアップを製作して,実際に作れるというようなところを検討したこと。方式としては,HIPによる拡散接合でこういったものを作って,今後,開発課題というのを抽出していこうというところでございます。
 次はダイバータについてですけれども,ダイバータは,こちらの絵に示していますように,大まかな構造はITERのダイバータの概念を踏襲しております。違うのは,我々の研究している原型炉では,高熱負荷部にはITERと同じカッパー合金配管を使いますが,低熱負荷部には,中性子負荷が大きいので,F82Hの配管を使用すること。こういった2系統の冷却系で構成いたしております。
 さらに,カセットは,遮蔽機能を持つように,基板内部に水溜を付けることにしております。
 さらに,右上の図に示しておりますけれども,高熱負荷部分というのは,独立に交換できるような構造と。そういった概念で進めております。
 次に,4ポツの加熱・電流駆動システムについてですけれども,これにつきましては,特にECにつきましては,共同研究の方で推進いたしております。左上が電流駆動効率の評価ということで,ECの波の周波数と,横軸には入射角度を示しておりますけれども,どういった条件でどういう電流駆動ができるかという評価を行ったり,ECCDの効率を改善するために,非線形クーロン衝突効果を用いたシミュレーションをやって,25%程度改善できる見通しがあるですとか,あと,複数モードを励起した際のシミュレーションというのに着手しているという状況です。
 下には,ECの入射ランチャーシステムですね。これもシミュレーションですけれども,4掛ける4の位相配列アンテナを用いることで,焦点を制御して,プラズマ中のECCDの駆動位置を制御すること。そういった検討を進めております。
 右側には,中性粒子ビームの配置の最適化ということで,現時点では,どの場所にどれだけのパワーを入射することによって,定常運転に望ましいプラズマの分布が得られるかとか。そういった観点でパラメータをスキャンして,検討を進めているという状況です。
 次のページが,5ポツの理論シミュレーションです。これにつきましては,ワーキンググループ活動を展開しまして,アクションプランの具体化という作業を行いました。原型炉に向けた理論シミュレーションについて,下の報告書の内容というところに書いています項目,これらの研究課題項目につきまして,中長期の研究開発計画を,専門家の先生方の意見集約を行いまして,立案したと。現在,これは報告書の第1稿ができておりまして,現在,その改訂作業を行っているというところでございます。
 次,6ポツの炉心プラズマですけれども,炉心プラズマにつきましては,特別チームでは現在,プラズマの運転シナリオの構築ということで,統合コードを用いた基本放電シナリオの検討に着手しているという状況です。この中で,特にこの図に示しているのは,周辺部にECCDを行うことによって,内部輸送障壁が制御できそうだと。つまり,閉じ込めの制御ができそうだというようなことが分かってきております。
 下の段には,導体壁によるMHDの安定性の評価というのを進めているというものです。
 右側には,これは非常に難題なんですけれども,ディスラプションですね。これにつきましては,ディスラプションの予測コードを開発するということから進めているというところで,ディスラプションの統合コード,これによりまして,垂直移動事象ですとか,逃走電子,あるいはディスラプションの緩和制御,そういったことがシミュレーションできるようなコードの開発を行っております。下の図には,垂直移動事象が行ったときの結果を示しております。
 次,7ポツの燃料システムですけれども,ここでは,冷却水へのトリチウム移行量の評価というものを,共同研究によって実施している段階です。ここでは,第一壁やダイバータ,ブランケットの増殖領域において,多層の材質構造,表面にタングステンを蒸着した低放射化フェライト鋼ですとか,あと,更に温度の分布を考慮して詳細な評価を進めたというところで,こちらに示しておりますトリチウムが冷却水に移行すること。ただ,この見積もった量というのは,CANDU炉と同等のトリチウム除去系が適用可能であるということが分かっております。
 あと,燃料循環システムにつきましては,最近ですけれども,ITERの燃料循環システムを参考に,原型炉の燃料循環システムがどのぐらいの規模になるのかというようなところの検討を始めているという状況でございます。
 次は,8ポツ,核融合材料と規格・基準ということで,ここでは主に腐食挙動の評価や材料特性ハンドブックの整備をしているということでございます。
 また,低放射化フェライト鋼につきましては,照射後の靭性データを取得するということで,右のグラフに示しておりますが,例えば,靭性改善材,MOD3と書いていますけれども,それでは標準材と呼んでいるIEAに比べて重照射条件下でも耐照射性に優れること。そういったデータが取得できておりまして,こういったものをハンドブックとして整備しているというところです。
 次,9ポツの安全性につきましては,これまでに極端な仮想事故に対する影響緩和システムですとか,規模の検討というのを実施してまいりました。その結果として,圧力抑制系等を付けることによって,原理的には対処可能だというようなところは分かっております。実際に設計に落とし込むには,余り極端な仮想事故ではなくて,設計基準事故に対するような解析を実施しまして,それに必要な安全,影響緩和システムを構築すること。そういった検討をやっているところでございます。
 2つ目に書いてございますのは,これはダイバータには,熱負荷を低減するために希ガス不純物をプラズマ中に導入いたしますけれども,それらが放射化すると,これまで検討していなかった部分なんですけれども,新たな放射性ソースタームになるということがございまして,その影響の評価というのを行っているというところです。例えば,アルゴンですと,1時間ぐらいの連続照射であれば,外部に放出可能なレベルだということですが,それ以上照射していると,例えば,廃棄処分するためには,3年ぐらい冷却してから廃棄処分しなきゃならないと。そういったことが分かっております。今後,新しい放射性ソースタームとして加えて,安全性解析等を実施していく予定でございます。
 下の安全重要度分類につきましては,重要事故事象に対する機器・設備の重要度分類や安全機能の整理というものに着手していると。これはこういったものをベースに安全確保方針の検討に資するためでございます。
 次,10ポツの稼働率と保守ですけれども,保守方式については,これは上から抜いたり,横から抜いたりといろいろな方式をいろいろ検討してきたんですけれども,現在は上からブランケットを引き抜くと。こういった方式を主案として進めております。そこで,実際にどうやって移動させたり,固定したりとか,そういったことをより具体的に詳細に検討を進めていると。特に最近の成果としましては,最初はブランケットを上から吊って,ぶら下げるようなものを考えていたんですけれども,それだと不安定だろうということで,上端と下端をしっかりがっちり把持しながら引き抜く,こういった保守方式を考案しているという状況です。
 右側には,放射性廃棄物の観点で,ホットセルの具体化を進めていると。これまでには放射性廃棄物の管理シナリオというのを構築しておりますので,それに基づくとともに,保守動線を考慮して,この図に示しておりますような建屋構成も検討している状況です。さらに,この建屋は特に遮蔽設計にも留意しながら,このような絵を描いております。
 以上がアクションプランに沿った昨年度の活動報告ですけれども,次は平成30年度の活動計画ということで御説明させていただきます。今年度,アクションプランに沿って設計活動を実施するんですけれども,特に以下の課題を重点的に実施しようということで進めております。
 まず,炉設計につきましては,トカマク複合建屋区内,ここをより詳細化していくこと。さらに,所内消費電力の概算評価を進めていく予定です。
 超伝導コイルにつきましては,超伝導コイル系の周辺設備,バランスオブプラント,さらに,低コスト化へ代替案として矩形導体巻線と。こういったものの検討を進めていこうと考えております。
 ブランケットにつきましては,筐体内の流動解析によって生産したトリチウムをちゃんと回収できるということを示していきたいと思います。
 ダイバータにつきましては,ディスラプションによる電磁力の解析を構造設計に反映するという予定です。
 加熱・電流駆動システムにつきましては,EC駆動効率の改善に向けた物理検討を進めていくこと。
 炉心プラズマにおきましては,プラズマ運転シナリオを更に進めるとともに,パラメータ検討会みたいなものを企画して,特別チーム内で今後の方針とか,そういったものを議論していきたいというふうに考えております。
 燃料システムにつきましては,燃料循環システムの構成や規模を検討するとともに,安全性については,安全解析に基づく安全設計ガイドラインの検討を進めること。
 稼働率と保守につきましては,真空容器の電磁構造解析に基づく検討ですね。特にポートやクライオスタットにつながる部分,そういったところまで含めて検討する予定です。
 次のページは,平成30年度の共同研究,これは採択案件と,あと,計画中の委託研究について一覧にしてございます。共同研究の部分,青い背景の部分において,青文字が平成30年度から実施する部分で,黒いのは昨年度からの継続案件です。炉設計で10件,理論で5件,構造材につきましては17件で,全部で32件の共同研究を実施中です。
 さらにこのほか,委託研究・調査として,黄色のハッチの部分のこの5つについて計画をしているところです。
 次のページが,昨年度,平成29年度の主要な国際会議等での外部発表と,本年度の予定についてまとめました。
 上半分,主要な国際会議で基調講演や招待講演というのが,非常に最近声が掛かるようになってきているという状況です。例えば,昨年度,ISFNT-13というのは,炉工学関係の非常に大きな国際シンポジウムですけれども,ここでは,基調講演ですとか,招待講演2件,そのほか,ここに書いているところで招待講演が幾つかございます。
 あと,今年度は特にインドで開催される予定のIAEAの核融合エネルギー会議での口頭発表に我々の設計活動が採択されたということです。そのほか招待講演,この2つが予定されています。
 最後,予算の状況ですけれども,昨年度と今年度,予算としてはほぼ同額です。ただ,昨年度に比べて,委託や共同研究を増やしつつ,より全日本体制を強化していった取組にしたいなというふうに考えているところです。
 以上です。
【岡野主査】  ありがとうございました。非常にコンパクトにまとめていただいていて,助かります。
 非常に技術的な課題が多かったので,その細かいところをここで議論することはできないと思うのですが,全体の流れ,それから,今後の展開というか,今後どう進めていくか,それから,非常に活動が活発に行われているので,それをどう国内,世界に発信していくかという視点での議論をちょっとお願いしたいなと思っているんです。個別の技術的な疑問は後で中島教授か坂本リーダーに聞いていただくか,飛田部長に聞いていただくか,そうしていただくとして,そちらの議論をしてもらいたいなと思っています。つまり,この数年で開発の推進に向けてという報告書が出ましたし,人材の報告書も出ましたし,ロードマップもほどなく出るし,きょう拝見したように,原型炉の設計も非常に活発にやっていただいているわけですが,実は海外で余り認識されていないのじゃないかなという御意見も聞こえてきたので,それは決して誰かがサボっているとか,そんなんではなくて,やっぱりタスクフォースもそうだし,我々の宣伝不足かなという気はしますが,そういった視点で,何かここが足りないんじゃないのとか,こうしていくべきじゃないかというのは,何かありますでしょうか。
 例えばですが,私がちょっとだけコメントしたかったのは,最後のページの,今後の主要な外部発表と書いてあるのですけど,非常に活発に発表されていると思うんですけど,それぞれの題名が,設計の進展とか,活動とか,運転シナリオとか,核設計とか,割と一本に絞った,論文としてはそれでいいと思うんですが,日本の原型炉はこれですという発表がないような気がするんですね。それは,でも,誰がやるべきかよく分からないのですけど,やっぱりやってほしいなと思います。多分,海外から見ると,日本の原型炉は一つに見えないのですよね。もちろん今研究中だというのはそのとおりだと思うのですけど,でも,これまでずっとやってきたじゃないですか。SlimCSとか,DEMO-CRESTとか,CRESTとか,いろいろありましたよね。VECTORもあったし,どれも完成しましたといって発表したわけじゃなくて,今考えているのはこれですという発表があったので,それがやっぱり海外は,日本はこれかって思われる論文が今ちょっと足りないかなという印象を持っていますけれども,その辺,対策は何か,あるいはそうではないという御意見があれば,どうでしょう。今後とか,あるいは,この次のIAEAでそれが出るとか,そういうのがあれば,ちょっとコメントを頂ければと思います。
【坂本グループリーダー】  御指摘のように,割と,ここに書かせていただきましたけど,基調講演とか招待講演,結構声が掛かるんですけれども,やっぱり例えば,この間韓国で原型炉プログラムワークショップとかありましたけど,外国の人が発表される中に,日本の原型炉という引用がちょっと少ないなというのは私も感じて,非常に悔しい思いをして帰ってきています。そういう意味で,なぜかなということは考えたんですけど,やっぱり1つは,アピールするのがちょっと足りていなかったかなというのと,あと,プレゼンスを示すには,国際会議の発表も大事ですけれども,学術論文等々をしっかり出して,数を出して,クロスレファレンスするような,そういった取組をやっていくと。それも海外の研究者と議論しながら,俺たちのはこうだ,そういったことを議論しながら,お互いにリファーしていくような,そういった取組というのを少し強化していかなきゃいけないかなというふうに思っています。
 あと,一応,今度のIAEAの会議は私の方で口頭発表することになってございますので,今,岡野主査のおっしゃったようなことに応えられるように,今我々のやっている原型炉はこれだというのを前面に出すようにしたいと思います。
【岡野主査】  是非お願いします。きょうの資料でも,炉本体は8メートルから8.5メートルって書いてありますから。これは分かるのですけど,外に向けて言うときは,今の考えている主たる設計は8.5メートルですが,1.5ギガワットでこういうパラメータですってやっぱり見せた方がいいと思うんですよね。実際に私がレビューを書かせてもらったときにも,1つに絞れないのが割と困りました。だから,何かレファレンスというのも,今度,IAEAは絶好のチャンスだと思うので,それが日本の原型炉を参照するときの最高の論文になるように,お願いしたいと思います。
【坂本グループリーダー】  分かりました。
【岡野主査】  そのほか。私がしゃべってしまいましたけど。どうぞ。
【柏木委員】  18ページの共同研究・委託研究のページで,人材育成というような観点で2点ほどお聞きしたいんですけれども,1つは,これだけ大学の先生方が入っていらしている中で,やっぱり新しい研究室とか,新しい分野との交流とか,あるいはこんな活動を通じていろいろな大学の方々がここに参加されるプラットフォームになるというような感じが出てきているのかというのが1点目と,もう一つは,多分こういうところでいろいろな方が入ってきやすくなると思うんですけど,これをもっといろいろな方を巻き込んでいくためには,どんな取組とかきっかけとかがあるといいなとかいうアイデアとかございますか。ここの写真を見ていると,真っ黒なんで,ちょっと女性がいなくて寂しいから,もうちょっといろいろな人が入ってこられるような感じになるといいなという印象を持ちつつ,2点ほど教えていただきたいと思います。
【坂本グループリーダー】  今言われたように,大学の先生に協力してもらって,原型炉に向けた問題意識とか,そういった課題を共有して,みんなでそっちの方向に向かってやっていくんだというような取組に対して,こういう共同研究って非常に役に立っていると考えています。
 こういうのが原型炉に向けたプラットフォームになっていくかということに関しては,一応年に1回ぐらいですけど,全体の共同研究の人を集めたところで,進捗報告とか,今後の計画とかというのを共有することで,ある程度そういったことができているかなとは思います。
 ただ,これまで,今,炉設計,理論,構造材ってありますけれども,それぞれ分かれた形でやっているので,たまにはというか,炉設計も構造材も一緒に集まったところでみんなで議論すると,よりいいのかなというふうにも思います。
 あと,いろいろな人を巻き込んでいくということなんですけど,それは特に共同研究以外に委託研究や調査,これがかなり異分野というわけでもないんですけれども,ちょっと我々のコミュニティから少し離れたところの方々,例えば,ベリリウムの資源確保とか,そういったところですとか,核融合エネルギーの導入効果の感度解析って書いてございますけれども,こういった社会受容性に関わる部分,あるいは最近では,我々の特別チームの活動,割と広まっているようで,この間,パナソニックやみずほ情報総研さんの方から,入りたいというか,今委嘱手続をやっているところですけれども,そういった形になっていて,そういった人たちも,具体的に核融合の研究,直接じゃないけれども,関わってもらえるような,そういったふうに広げていけたらなと思っています。
【岡野主査】  ありがとうございます。
 何か特別チームに対する質問みたいになっているのですけど,フリーディスカッションして,何かこういうのもあればいいのにというような御意見が出てくればいいと思うんですが,何かございませんか。あくまでもフリーとしてですね。
【柏木委員】  やはり我々,ITERとかやっていますと,どうしても大きなプロジェクトなので,学生さんから見ると,ちょっと入りにくいという印象を持たれがちなので,逆に原型炉の方では,夢を語れる,いろいろなテーマがあるよという感じで宣伝していただけるといいんじゃないかなというふうに思っております。
【岡野主査】  そのほかいかがですか。これからは宣伝も大事なので,地道にやっていることは物すごく進歩したと思うのですけど,それを国民にもそうだし,世界にもそうだし,やっぱり知っていただく必要があるのですけど,何か仕組みが新しくできるときっといいですよね。そういう何か御意見かアイデアがあれば,是非お願いしたいと思っています。きょうでなくても,また機会があるときにお願いしたいと思います。
 今日は,企画調整グループ長の中島先生にもいらしていただいていますので,いろいろきっと調整いただけると思うので,人脈の広い方ですので,やっていただけると思うので,こんなアイデアがあるというのがありましたら,是非提案いただければと思います。
 報告書なんかの宣伝は,どっちかというと,どうでしょうね,英語化もしたりするのも大事かもしれないですよね。そういう意味では,ロードマップは英語化をした方がいいだろうなと私は思っています。ただ,これは短い文章なので,比較的すぐにできると思いますけど,IAEAには間に合わないかもしれませんが,間に合えばそれに越したことはないですね。ちょっと頑張ってやってみる必要があると思います。
 そのほか,よろしいでしょうか。
【大場委員】  ちょっとよろしいですか。すみません,2ページ目のところに,他法人でのアウトリーチ活動のヒアリングというのが書かれていて,関連学協会・機関との連携強化のところですけれども,それについて発表なさった資料を先ほど自分で見ていたんですけれども,そこで最終的にアウトリーチ活動の強化というのが出ていて,特にメディアでの活動だとかというのが出ているんですが,それは具体的にどのようになるんですか。
【坂本グループリーダー】  これにつきましては,前回,六ヶ所の池田所長から説明されたと思います。今回は資料から割愛したんですけれども。
【大場委員】  私,前回休んでしまったんですが,活動全体というか,30年度活動計画としてまとめられるときに,それが出ていないことが指摘で,活動計画として書かれているのであれば,それのこともこの資料の中に含めていただくことが必要かなと思ったというだけなんですけれども。
【坂本グループリーダー】  それはおっしゃるとおりですね。アウトリーチに関しては,QST,NIFSが専従組織を作って,主体的に取り組んでいくというふうに伺っております。そのときに,特別チームとして何もしないわけではなくて,広報担当という形で常勤メンバーの人を一応指名させていただいていますので,何かあれば,例えば,今回作ったきれいな図とか,アウトリーチに利用できるものというのは提供したいなというふうに考えております。
【大場委員】  含めていただければ,全く問題ないので。
【坂本グループリーダー】  分かりました。ありがとうございます。
【岡野主査】  大場委員がおっしゃったのは,例えば,17ページのこの表に入っていないねという……。
【坂本グループリーダー】  この表には割愛することなく書くべきでしたね。
【岡野主査】  技術的なことを説明するのでこうなってしまう気持ちもすごく分かるのですが,重要性を,非常に重要であることがアクションプランで指摘されたわけなので,全く対等にいつも扱うという心掛けが大事じゃないかなと思います。いつも繰り返し繰り返しそれをやって,うっかり忘れたということがなくなるようにしていくと,雰囲気も変わっていくんじゃないかと思いますので,是非こういうところには入れてください。
【坂本グループリーダー】  分かりました。
【岡野主査】  よろしくお願いします。これはタスクフォース,特別チームだけの問題ではなくて,我々核融合コミュニティ全体の考え方の問題だと思っています。どうも適切な意見をありがとうございました。
 それでは,ちょっと時間が押してしまいましたので,申し訳ないですけれども,フリーディスカッションをここで終わりにさせていただいて,議題5のアクションプランのフォローアップに入りたいと思います。
 それでは,坂本リーダー,どうもありがとうございました。
 次に入らせていただきたいと思います。一人一人御担当者にお願いしようかと思ったんですけど,それは時間がないので,私の方から御説明していきたいと思います。資料5を御覧ください。御覧いただいても,こんなにいっぱいありますから,今ここで全部読むことはできないのですけど,恐らく皆さん,目は一度は通されているはずだと思うので,非常に簡単に紹介します。
 前回から変更されたところが赤になっているのが多いです。たまに真っ黒のままのところもありますけど,改訂されているのは主に赤になっています。前回との違いは,順調ばかりの項目とか,全部加速が必要みたいなのがあったりして,気持ちは分かるんだけれども,ある程度基準を決めてということで,「順調」「加速が必要」というのを書き加えていただいたところが幾つかあります。考え方としては,「加速が必要」というのは,2020年に迫っているチェックアンドレビューに今のままでは間に合わないよねと思うところは,「加速が必要」と書いてもらうことにしています。つまり,人材が不足で,全体として全然間に合わないんだというようなものは,チェックアンドレビューに本当にそこまでに間に合わないものだけ必要と書いていただいて,2025年のチェックアンドレビューというのもある。そういうところは順調か当然判断してもらうんですけれども,今はまだ間に合うということであれば,「順調」と書いていただいているというやり方をしています。全部加速が必要と言い始めれば,全部加速が必要なので,そうではない書き方になっています。その辺の調整が行われて,大体「加速が必要」とか「順調」が混ざっているという形になっていると思います。そういう基準をみんなで共有したので,少し変わりました。
 そういう点で全体を見ていただくと,何といっても「加速が必要」が多いし,「順調」もあるのですけど,「非常に順調」という項目が本当はあるはずなんですが――「極めて順調」ですね。それは意外に少ないなということが見て取れるかなと思います。時間もないので,「極めて順調」だけ見ていくと,JT-60のところなんてないんじゃないかな。炉心プラズマのところのJT-60SA研究計画の改定,これは「極めて順調」ですね。そういう意味では,改定がされていますから,非常に順調だと思います。
 あとは順調はリチウムのところですかね。燃料システムのところの2ページのところのリチウム6の確保方策の検討というところが「極めて順調」ですね。
 あと,大量製造技術の確立というところも「極めて順調」と。これは違うな。これはブランケットですね。そんなわけないなと思った。おかしいなと思ったんですけど,すみません,項目が違いました。トリチウム大量製造の技術はまだできていないですね。材料のところですね。これは鉄系材料,低放射化材料ですね。の方は極めて順調ということでございますが,あとは「順調」「加速が必要」が随分あるということですね。
 それから,「極めて順調」が極めて少ないんですけど,稼働率と保守のところへ行っていただくと,バックエンド検討と保守技術開発・蓄積というのは「極めて順調」というふうになっています。これは産業界からも大きな協力があって進んでいると私は認識しておりますが,非常にうまくいっているようです。
 あとは,レーザーのところが「極めて順調」ですね。それはもう推進したいということだと思うんですけど,こんな感じで,「極めて順調」はまだ本当に五,六個しかないという状態なので,これをできる限り,「極めて順調」にはできないかもしれないけど,「加速が必要」が「順調」に変わるように,取り巻く人材を配置してやっていく必要があると思います。
 全体,さらっと言っただけですけど,いかがでしょう。何か特に全体として注意点とかございましたら,お願いします。読めなくて申し訳ないですけれども,全体として余り「極めて順調」ばかりでないというのは,皆さん何となく御理解いただいていると思いますけど,だからいいわけじゃなくて,今後改善する必要があります。そのためのロードマップですし,そのための特別チームでいろいろ考えていただいているので,今後,どんどんよくなっていくと思っています。
【笠田主査代理】  「極めて順調」なものは大変結構なんですけれども,今後加速が必要ということで,これ,コミュニティのある意味,自己評価ですよね,このフォローアップは。それに対して,課題達成のために必要な措置ということがあるんですけれども,自助努力でできるような措置もかなり含まれているとは思うんですけれども,一方で,タスクフォースとして何らかの意思表示というか,特に必要なものがこの中にあるんであれば,やっぱりそういった点は強調していかなくちゃいけないのかなと思うんですけれども,その視点はいかがでしょうか。
【岡野主査】  どうでしょうね。御意見はいかがでしょうか。何かそうしなきゃいけないけれども,それはロードマップとかに反映はされているはずなのですが,この中で何かマークを付けるとか,そんなことになるんでしょうかね。
【笠田主査代理】  それぞれの担当の分野の中で,特にちょっとこれは特別措置が必要というか,検討するつもりというか,措置というのがここで決めてもどうというのはあるのかもしれないですけど,特に強調しておくべきものがあれば。
【岡野主査】  特別に何か事情があるとか,そういうことですよね。人が全体に足りないとか,予算が足りないというのはしようがないとして,特別こういう事情があってピンチだというのは,それぞれの分野で例えば少し説明を付けていただくとか,そういうのがあってもいいかなと思いますが,いかがでしょうか。
 何か項目は要りますかね。マークを付けるとか。それとも,事情を知っておくことで書くとかですかね。
【笠田主査代理】  多分,ここに書いてあるとは思うんですけれども,一言,ここで物申しておくべきものがあれば,それは順調なものだけ言っているというのもなかなかバランスが……。
【岡野主査】  おっしゃるとおりですね。科学技術委員会でどうやって説明しようかなと思ったのですが,そうしましたら,多分,科学技術委員会でも同じような時間になっちゃうと思うので,各担当でここは読んでねというところは,じゃ,黄色で塗っていただくとかしますか。そうでもしないと,きっとこれだけあると,何も説明できないですよね。
【笠田主査代理】  そうですよね。ちょっと詳細化されているのは大変いいんですけど,そういう限られた時間の中で説明する際に,やっぱり強弱というのは……。
【岡野主査】  そうですね。おっしゃるとおりですね。
【笠田主査代理】  そのあたりはちょっと配慮が必要かなと思いました。
【岡野主査】  そうしましたら,何かマークを,黄色塗りにするとか,何かそんなことをしていただいて,少なくともここはスルーしないで見てもらいたいというところを強調していただくような操作をしてもらっていいですかね。科学技術委員会の日,そうしないと,もちろんそれは最終版には載らないけれども,私が全部読めないので,そういうのでいかがですかね。
【柏木委員】  すみません,今のは,アクションプランの概要表とか,総括表みたいなイメージではなくて,この中で重点項目だけ抜き出すというイメージですか。どちらなんでしょうか。全部見るよりも,ある項目のまとめみたいな文章を作る……。
【岡野主査】  いや,それは作れればあれですけど,これの総まとめみたいなのをするという……。
【柏木委員】  各項目というか。それとも,ここの各項目のこれがちょっとまずいみたいなこと……。
【笠田主査代理】  いや,私はこれ全部重要だと思っているので,本当に時間が幾らでもあれば,全部説明しなくちゃいけないと思っていて,まとまるものでもないと思うんですけど,ただ,当然必要な措置が,明らかにどこかコンフリクトを起こしているとか,そういったものが,要するに,この中には必要な措置の中の強弱というのが表現されていないと思うので,もしもそういうのがなければ,多分,自助努力で何とかなりますでいいと思うんですけれども,自分のところの努力だけではどうしようもないものとか,こういうところで表現が必要なものがあるんであれば,限られた時間の中で説明する際に説明しておくことも要るんじゃないかなという意見です。
【柏木委員】  ハイライトしていくということですか。
【笠田主査代理】  そういう感じですかね。
【岡野主査】  あるいは,理論・シミュレーションを見ていただくと,この理論・シミュレーションだけは,多分,そういう話題が出るか,出るためだと思うんですけれども,全体のまとめをトップに付けていただいているんですね。これはいいかもしれませんね。私が紹介するときは,ここを読むという。そうすると,そのつもりでここに重要項目を書いていただいて,今の理論・シミュレーションはちょっと遠慮深く書き過ぎているようにも思ったので,もっと書いた方がいいと思うんですけど,もっと項目別に,ここが危ないとかいうのを書いてもらっていいと思うんですけど,このぐらいの大きさの感じで書いていただくのがいいですかね。ハイライトしちゃうとそこしか見ないし。
【笠田主査代理】  それをやってしまうと,何となく皆さん,人材が足りないで全部終わっちゃうような気もしなくもないんですけど。
【岡野主査】  おっしゃるとおりですね。
【笠田主査代理】  ここに書いてあるのは全部重要なので,全部読んでくださいしかないと思うんですけど,本当にこれ,説明の仕方の問題だけであって。
【岡野主査】  いや,私の説明が非常によろしくないなと……。
【笠田主査代理】  いやいや,そういうことではなくて。
【岡野主査】  なかなか1か所だけ強調するというのも難しいし,困っちゃうんですよね。
【笠田主査代理】  だから,もちろんこうやって書けるんであれば……。
【岡野主査】  書いていただければ,少なくともそれは読むようにします。全てにないといけませんよね。全ての項目にね。
 それじゃ,それを書き加えて,この理論・シミュレーションの例を見ていただいて,こういうのをちょっと書いていただいて,そうすると,これは最終版にも残せますから,ハイライトじゃ残せないですからね。ここに書いていただいた方がいいかもしれませんね。そういう作業を大急ぎでしていただいていいでしょうか。あと1か月ぐらいしかないですけど,数週間で。次回,いつでしたかね,核融合科学技術委員会。
【吉澤専門官】  7月24日です。
【岡野主査】  24日。あと一月あるので,1週間前までには文科省にお見せしないといけないので,7月10日ぐらいの感じで,7月10日の週ぐらいのつもりでちょっとコメントを入れていただけると有り難いです。説明をするとき,ここを見てというところですね。それを是非お願いします。
 それをまた別途頭に並べた方がいいかもしれないですね。頭にね。最初のページにね。それは私が考えます。。是非まずコメントをよろしくお願いします。そうすると説明しやすくなると思いますね。
 貴重な御意見を頂いて,ありがとうございます。そのとおりだと思いますね。
 余りにも大きいので,これでよろしいでしょうかというのも気が引けるんですが,またチェックしていただいて,これはこうだという何か御意見がありましたら,また後でお知らせください。
【西村委員】  この資料は,やがては公開されるんですか。
【岡野主査】  公開されます。
【西村委員】  ホームページに載りますか。
【岡野主査】  きょうここに出たということは,これは少なくとも載りますよ。
【西村委員】  これはね。
【岡野主査】  最終版ではないという形で載りますけど,最終的にいつかは載ると。
【西村委員】  第1回の……。
【岡野主査】  第1回ではないですね。前回もやりましたから,その後,改良版としてこれが出ます。
 次が,もう一つやらなきゃいけないことがあるので,ちょっと急いでいただいて申し訳ないですけど,次の課題,議題6,原型炉研究開発体制の強化のための大学等の連携強化についてに入らせていただきたいと思います。
 アクションプランの実現に向けまして,大学等には,技術課題や人材育成への貢献が求められています。自主・自律を前提とした大学等の取組の取りまとめに適した体制の整備については,前回の核融合科学技術委員会におきまして了承されております。
 実施に当たっては,タスクフォースが事業を監督するという役割を担うことになりますので,それについて,内容について事務局の方から御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
【阿南補佐】  先ほどのロードマップのときの御説明で少し話がされたと思うんですけれども,大学との連携を強化して原型炉研究開発を進めていくということを,核融合委員会の方でも決まっておりまして,その一つの方策として,共同研究を取りまとめる体制の整備と真ん中の四角のところに書いてあるんですけれども,そういう体制を作っていくということで,それでいろいろ趣旨は,機関,法人等はあると思うんですけれども,やはり核融合科学研究所と組んでやっていくのが一番よかろうということで委員会からも御意見を頂きまして,今,核融合研が中心となって各大学と連携していくという体制を検討しております。詳しいことはまだ検討中ということなんですけれども,イメージとしては,公募型研究費みたいな形になって,昨今の研究費では大体プロジェクトオフィサーとかディレクターとかあると思うんですが,そういうのを置くことが必要になって,タスクフォースの先生方におかれましても,やはりアクションプランを進めていく司令塔として,その中で役割を担っていただくとは思うんですけれども,今現在,文科省と核融合研と,あと,QSTとの間で,どういうやり方がいいかというのを検討しておりますので,また決まり次第,こういう形でお願いしたいんですけれどもということで,御相談させていただけたらと思っております。
 以上です。
【岡野主査】  ありがとうございました。
 この資料だけだと,タスクフォースがどう関わるかがまだはっきり見えないですけれども,タスクフォースは非常に重要な役割を果たすことになるのだろうと思います。
 それでは,ただいまの御説明に対して,何か御質問,御意見等がありましたら,お願いいたします。
 これ,一言で言えば,大学がアクションプランで「大」と書いてあるところに,お金がなければ,当然やっていただく,責任を持っていただくことはできないので,そういう責任を持っていただける体制を新たに構築するという趣旨だと思います。
 いかがでしょうか。よろしいですか。また何か今後気が付かれたことがあれば,お知らせください。
 それでは,本日用意をしております議題は以上ですが,このほかに特に報告,審議すべき案件とかございますか。よろしいですか。
 それでは,本日のタスクフォースはこれで閉会いたします。次回の日程は12月頃を予定しており,具体的な日程については,事務局で調整の上,後日連絡いたします。次回のタスクフォースが第9期タスクフォース最後の会合となります。
 本日は,御多忙の中,御出席いただいて,ありがとうございました。
 それから,委員の皆さんには1つ宿題を出させていただきましたので,先ほどのあれですね。フォローアップの件ですね。数行で結構なので,追加いただければと思います。よろしくお願いします。


―― 了 ――

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研究開発局研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付

類家、石原
電話番号:03-6734-4163

(研究開発局研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付)