資料8-1 原型炉研究開発の推進に向けて(仮称)(原案)

1. 本報告書の背景
(1)我が国の核融合研究開発は、現在、「第三段階核融合研究開発基本計画」(平成4年6月 原子力委員会決定)に基づき実施されている。また、核融合エネルギーの「技術的実証・経済的実現性」を目的とした原型炉計画を中核とする第四段階に向けた具体的な方針が、「今後の核融合研究開発の推進方策について」(平成17年10月 原子力委員会核融合専門部会策定。以下、「推進方策報告書」)に示されている。

(2)推進方策報告書の後には、原子力委員会核融合専門部会が平成21年に取りまとめた報告書「原子力政策大綱等に示している核融合研究開発に関する取組の基本的考え方の評価について」において、原型炉の実現に向け、我が国として確保、維持・発展すべき技術を明確にした戦略的なロードマップを策定し、それを産学官で共有してオールジャパン体制で取組を推進する必要性が指摘された。

(3)核融合研究作業部会の報告「核融合原型炉開発のための技術基盤構築の進め方について」(平成25年1月)を受けて、「原型炉開発のために必要な技術基盤構築の中核的役割を担うチーム」(合同コアチーム)が構築された。合同コアチームは、ITER計画及びBA 動や、LHDをはじめとする学術研究の進展を踏まえ、核融合原型炉の開発に必要な技術基盤構築の在り方を、我が国の核融合コミュニティの総意を踏まえて検討し、平成26年7月に「合同コアチーム報告」を取りまとめた。核融合研究開発の総合的な進捗状況等を俯瞰的に把握し、アクションプランの策定をはじめとする事項を審議する「原型炉開発総合戦略タスクフォース」(タスクフォース)は、平成27年3月の核融合科学技術委員会にて設置が認められ、同年6月より活動を開始している。さらに、産学官のオールジャパン体制により原型炉開発の技術基盤構築を進めることを目的に、平成27年6月、原型炉設計合同特別チームが結成され、原型炉の概念設計及び研究開発が開始された。

(4)核融合科学技術委員会は、上記のような原型炉開発に向けたこれまでの種々の検討を参照し、特に直近の検討成果である合同コアチーム報告の内容を基本としつつ、最新の研究開発の進捗状況とITER計画の最新のスケジュールを始めとする内外の状況を考慮し、また、広く社会の意見を反映させた原型炉研究開発の在り方についての報告を取りまとめることが必要であると判断した。

2. エネルギー情勢と社会的要請の変化
  原子力委員会による推進方策報告書が出された平成17年以降の核融合研究開発にも関係する最大級の社会環境の変化として、リーマンショック(平成20年リーマンブラザーズ破綻)に始まる経済不況、東日本大震災(平成23年)後における電力不足の経験、東京電力福島第一原子力発電所の事故、そしてシェールオイル・シェールガスの台頭の4点があげられる。
  不況と電力不足を経験したことにより、CO2削減を優先できるのは、経済環境がよく、電力供給にも余裕がある状況が条件となることを我が国は痛みとともに認識するに至っている。電力が足りないとなれば、CO2が出ようとも天然ガスと石油を利用せざるを得ず、平成24年度の天然ガス輸入量は平成22年度比で1840万トン(26 %)も増加している。
  軽水炉全基の長期停止によって、国民は、日本がエネルギー資源を持たない国でありながら、いまだに化石燃料を代替する技術を手にしていないという現実を認識した。再生エネルギーへの期待は大きいものの、その限界も認識されつつある。エネルギーを生み出す技術革新こそが日本の資源であることを世論として、核融合研究開発の重要性を改めて提案すべきである。
  核融合炉は再臨界や暴走の可能性が無いなどの固有の安全性に加え、炉内放射性物質であるトリチウムのハザードポテンシャル*1 が、軽水炉でのヨウ素131換算で3桁小さいという特長がある。一方で、国民は原子力安全に対する信頼を失っている。核融合エネルギーの早期実現に直結する原型炉を設計するにあたり、「現在の原子力安全技術レベルに留まらない高い安全性を示し、国民が安心を感じられなければ、原型炉を立地する場所は日本にない」と認識すべきである。核融合開発は、その固有の安全上の特性を活かした上で、社会に受け入れられるエネルギー源を目指す、不断の努力が必要である。
  シェールガスとシェールオイルの実用化によって、ガスと石油の需給関係は大きく変化した。在来型の化石燃料に加え、このような技術革新で実用化されてくる非在来型燃料まで含めれば、まだ多くの化石燃料資源が存在する。それらの利用は地球温暖化の危惧が大きいものの、一方では、風力や太陽光発電の増大に対して電力系統の安定性を維持するためには、負荷追従性が高い電源が必要であり、核融合が実用化を目指す今世紀中葉において、火力発電も一定の役割を果たしていると考えられる。
  日本政府が2016年5月に閣議決定した地球温暖化対策計画では、パリ協定での約束(2030年に2013年比でCO2排出量を-26%)を確実に達成するための対策に加え、2050年には同排出量を80%減らす長期目標を示した。その目標達成には革新的な技術の開発も必要であることが述べられている。GDPの伸びとCO2排出量には非常に強い相関がみられ、現状技術だけで経済発展とCO2排出削減の両立は見通せない。核融合エネルギーの実現は経済発展とCO2排出の相関を変えうる革新技術として位置づけられるように、他のCO2排出削減技術と比べた経済合理性を重視しつつその研究開発を進めるべきである。
  将来の電源構成やCO2排出削減の方策に関しては、未だ不確実性があると言わざるを得ないものの、核融合エネルギーが新たに市場に参入するためには、CO2排出削減で期待される再生可能エネルギー、原子力と並ぶ電源としての位置付け以上の価値が期待される。核融合エネルギーには、ベース電源としての位置付けだけでなく、ガス火力が担う負荷追従性も備え、それを代替して全電源構成としてCO2排出総量を削減できるような、柔軟で付加価値の高い電源を目指すことが求められる。

*1ハザードポテンシャル(毒性指数)は、その有害物質が人体に取り込まれたときの影響を表す量であり、物質を法的な安全基準濃度まで薄めるのに必要な空気の体積(気体の場合)または水の体積(液体の場合)で表される。したがって有害物質の総量ならびに危険度が高いほど大きな数値になる。

3. 原型炉に向けた核融合技術の開発戦略
  我が国の核融合技術開発は、核融合エネルギーの「科学的・技術的実現性」を示すことを目的とした第三段階にある。現在、ITER計画を中核とした自己点火条件の達成及び長時間燃焼の実現、並びにBA活動を中心とした原型炉開発に必要な炉工学技術の基礎形成を目標とした研究開発を進めている。
  核融合エネルギーの「技術的実証・経済的実現性」を目指す原型炉計画を中心とする第四段階への移行に向けて、現在最も開発段階の進んだトカマク方式によって、第四段階への移行条件を満足させる技術課題をコミュニティ全体の共通目標として定める。技術課題を達成し、原型炉に向けた技術基盤を構築する上で、ITER計画・BA活動は最も大きな柱であり、ITERの経験を活かしつつ、原型炉に必要な技術の研究開発を計画し、産学官のオールジャパン体制で実施する。ITERからは、そこでの開発実績を研究開発に十分反映させるだけでなく、建設期・実験期のいずれにおいても、原型炉の技術開発の課題解決に資するため参加極をリードする。
  核融合炉の実用化時の経済性は、安全性と技術的成立性の上に成り立つと共に、建設時の社会情勢やエネルギー情勢にも左右される。原型炉では、安全性を大前提として、炉工学技術の総合的成立性を実証すると共に、実用化時の経済性を情勢に応じた現実的なものとするための研究を行う。原型炉設計は、それらの目的を両立して実施できる炉を提示する。原型炉の建設・運用費は、実用化時の経済性を見通す上で重要な指標の1つであるため、炉設計では原型炉の適切な建設・運用費が提示されなければならない。以上の観点で炉設計を進めるのと同時に、技術面で原型炉の建設・運用費や実用化時の経済性を決める要因のうち、ITER計画・BA活動にて、ある程度検証に着手可能な項目である、ベータ値などプラズマの高性能化や、装置の稼動・故障率、ブランケットの熱交換効率などについては、検証を早期に実施する。
  一方で、研究開発の加速と課題解決を促すには多角的なアプローチが必要であるので、一定の多様性を持った総合的な取り組みとして進める。主案であるトカマク方式の着実な進展を図ると共に、相補的・代替的なヘリカル方式・レーザー方式、さらには革新的概念の研究を並行してバランス良く行うべきである。これまでの核融合研究では、学術研究の対象であった帯状流が、いまや核燃焼予測に不可欠になるなど、学術研究が炉設計の信頼性を高め、それがさらに学術研究へ問題提起をするなど相乗効果がある。そのため、大学等での学術研究基盤を維持し、研究成果を要素還元して学術として体系化・普遍化することが重要である。

4. 原型炉に求められる基本概念
  原型炉の目的は、技術的実証と経済的実現性を明らかにすることであるが、核融合エネルギー研究開発において、核融合の利点を活かした安全性の追及を最優先に、社会との適合性が高い新たなエネルギー源として選択され得るよう社会受容性を高めることが極めて重要である。
  3章で述べた開発戦略の元、原型炉は21世紀中葉までの核融合エネルギーの実用化に備え、数十万kW を超える定常かつ安定な電気出力、実用に供し得る稼働率、燃料の自己充足性を満足する総合的なトリチウム増殖を実現することを目標とする。原型炉の運転開発期は、それぞれマイルストーンを定義した段階に分け、先進技術の開発・実証を段階的に実施可能な装置としておく必要がある。
  特に、上記の基本概念を達成するため、炉設計時に留意すべき設計要件として、

  • 事故時及び平常時の公衆被ばく、並びに原型炉プラント従事者の被ばくを合理的に低減する安全性の確保(ALARA)
  • 実用化に向けた視点から、廃炉・廃棄物処理も含めた受容され得る原型炉の建設コスト
  • 原型炉の運転初期のダイバータ及びブランケットはITER計画およびITERテストブランケットモジュールの技術に基づくが、運転開始後に得られた知見から設計更新可能な柔軟なブランケットとダイバータ設計

について満たす必要がある。
  また、原型炉の運転開発期には、

  • 長時間・長期間運転に向けた熱・粒子制御と、ディスラプション回避などのプラズマ制御
  • 実用炉に展開可能なメンテナンスシナリオと、原型炉最終段階で実用に供しえる稼働率の実現
  • 原型炉で得られた知見を反映させたブランケットとダイバータの高性能化

を実現することが求められる。
これらの基本概念を持つ原型炉を実現する上で、解決すべき技術課題とその開発計画は、後述するアクションプランとして策定する。

5. 技術課題解決に向けた開発の進め方
5.1. 開発計画立案の考え方
  開発計画を立案するにあたり、目標とする核融合出力等の原型炉性能をシステムとして満たすための技術仕様項目(熱粒子束や中性子束等)を検討し、その定量的な定義がなされていることが必要である。それを担い、原型炉開発の司令塔となるのが炉設計である。炉設計は技術の整合性だけでなく、プラントとしての経済性、負荷追従性などの新たな付加価値も考慮したうえで、確定した技術仕様に基づいて課題を挙げ、その開発目標を設定する。開発計画は、超伝導コイル、ブランケットなどの項目毎に技術課題を分類し、「アクションプラン」として各課題の発展と課題間の連関を整理・分析する。課題の解決に向けた時系列展開には、現行プロジェクトであるITER計画、BA活動での取り組みも含め、後述のチェックアンドレビュー、及び移行判断の時期を考慮して開発計画を立案する。そこでは、担い手となる実施主体及び必要な施設を明示する必要がある。

5.2. 産官学の研究開発体制
  これら技術課題を着実に解決するには、産官学のオールジャパン体制を構築して研究開発を強化し、リソースを最大限に活用する必要がある。それを実効的なものにするため、六ヶ所サイトを原型炉開発に向けた中核的ハブ拠点として発展させる。原型炉設計合同特別チームを中心に炉設計を推進して開発計画を立案し、那珂サイト、核融合研、大学、企業、国の間で役割分担し、戦略と新しい制度設計も含めた問題意識を共有して、原型炉研究開発を一体となって取り組む体制整備を行う。
  産業界には、ITERやJT-60SAをはじめとする国内装置の建設を通じ、核融合機器の製造技術の開発と蓄積が求められる。原型炉設計には将来の産業化を見据えた設計合理性が求められるため、概念設計の初期段階の継続的参画が必要である。特に、原子力分野との連携は、安全基準の策定の点でも、極めて有益である。核融合科学技術委員会は、核融合研究の専門家だけでなく、広く社会の意見を取り入れて核融合研究開発に関する基本方針を策定し、チェックアンドレビューを行う。文部科学省は、核融合科学技術委員会の基本方針に基づき、核融合研究開発に関する政策・施策を立案する。量子科学技術研究開発機構は、トカマク方式の中核的研究開発機関としてITER計画、BA活動、原型炉設計等を、国内外との連携のもとに推進し、それを通した人材育成にも努める。核融合科学研究所及び大学は、相補的・代替的なヘリカル方式・レーザー方式の推進や、核融合プラズマと炉工学の学術基盤の構築、教育ならびに人材育成を行う。それらを大学の自主・自律のもとに進めると同時に、ITERやJT-60SA、LHD、BA活動への積極的な参画も期待される。
  各機関で問題意識を共有し、連携の実効性を高める上で、人材の流動性や多様性は重要であり、クロスアポイント制度の導入などが有効である。更に他分野とも連携を図ることは、下記の人材確保の観点だけでなく、核融合技術の効率的な開発と波及効果も含むイノベーション創出にも繋がる。

5.3. 人材育成・確保
  これらの長期に亘る研究開発を持続的に推進するためには、人材育成が極めて重要である。そのためには、ITER計画・BA活動や先進的な学術研究を有機的に連携させ、原型炉研究開発に必要な人材を産官学の緊密な連携のもと育成する。特に、ITERにて経験を積んだ後、得た知見を持ち帰って原型炉開発に反映させるため、人材の流動性を確保する制度設計が必要である。大学では、より多くの優秀な人材を育成すべく、学生や若手研究者に独創的で魅力的な学術研究の推進や、国内外との共同研究を通して多様な研究の機会を提供すべきである。
  核融合技術は総合工学であることから、核融合分野内での人材育成に加え、他分野からの参画を促し、人材を確保することも重要である。特に、共通部分が多い放射線利用分野や原子力分野と連携した人材育成は、有効である。更に、機械系や電気系など従来からの連携分野のみならず、社会とのリスクコミュニケーションの重要性の観点等も鑑み、人文社会系を含めた広範囲の分野との連携・交流を行う。このような取り組みは、他分野で活躍できる人材の教育にも貢献できる。原型炉の設計は、技術的実現性だけでなく、社会の要請・受容までの統合的視座に立って実施する必要がある。そのため、以上のような連携を通し、複合的視点を持った多様な人材から成る炉設計体制を構成する。

5.4. 国際協力
  開発リスクやコストを低減する上で、ITER計画・BA活動を含めた国際協力は大変有効である。国際協力を行う課題は、国内研究開発との相補性や他国の開発状況を分析して決定し、実施する。また、国際貢献の観点から、我が国のこれまでの高い研究開発ポテンシャルと人材を活用し、ITER計画や様々な国際的な取り組みに積極的に参画して、世界の原型炉設計の中で主導的な役割を果たしてゆく。ITER計画・BA活動を通して原型炉の技術課題解決が進むよう、我が国はITER計画・BA活動をリードすべきであり、そのための体制整備を行う。運営面も含めた実績・経験の蓄積は、その後の国際共同開発に資するものである。

5.5. 核融合炉の安全基準の策定
  核融合炉は原理的な安全性を有する一方で、トリチウムの環境移行など、固有の安全技術が求められる。トリチウムについては、プラント内外での挙動と環境での生態系影響の把握、安全管理技術の確立が必要である。また、福島第一原発事故を鑑み、原子力発電所の安全対策手法も取り入れつつ、核融合炉では従来の考え方に留まらない事象も想定し、重大な事故シーケンスの解明、事故進展防止のための安全設計手法を構築する。そして、国民や環境の視点に立ち、日本の風土・社会状況に合った原型炉の安全設計ガイドラインと、安全要求基準を早期に策定する。そのためには、核融合研究者だけでなく、安全工学、プラント工学、放射線影響、環境、社会、規制と許認可など広い分野の専門家と協力して、総合的な核融合安全性研究を推進する。

5.6. 開発ロードマップの作成
  技術基盤構築の体制整備するにあたり、合同コアチーム報告書、及び研究開発計画を各項目の時系列展開として整理した開発チャートを元に、実効的なフォローアップと時宜を得た体制整備の進捗状況を確認できるようアクションを精査し、アクションプランとしてまとめる。以上を踏まえ、原型炉開発ロードマップを策定する。

6. 原型炉段階への移行に向けた考え方
6.1. アウトリーチ活動
  核融合エネルギーが国民に選択されうるエネルギー源となるには、核融合エネルギーの意義や、投資に見合う価値、安全性に関する社会との情報の共有と不断の対話が必須である。そのためには、原型炉設計活動を含む国内外の核融合開発研究に関する戦略的アウトリーチ活動が重要であり、日本全体を統括して活動しうるヘッドクウォータを設立し、関係機関の協力体制を立ち上げる。そして、市民、経済界、学術界など立場の異なる多様な視点から、核融合炉の社会的価値の最大化を目指した社会連携活動を計画・推進する。国民が核融合エネルギーに安心を感じるためには、データに基づく安全性の説明だけでなく、適切なリスクコミュニケーションを継続的に行って、国民の持つ不安や疑問を一つ一つ解消してゆくことが必要である。マスコミ等を通じた広範囲な情報発信は有効な手段の一つであるが、教育機関との連携活動や地域の対話集会などを通し、様々なレベルで国民と研究者・関係機関の間で双方向の理解を深め、信頼性の醸成に努めるべきである。
  なお、アウトリーチ活動が、学生などの将来核融合研究開発に携わる人材の確保や、他分野からの参画に強く関わることも留意すべきである。

6.2. 移行判断とチェックアンドレビュー
  原型炉段階への移行判断は、ITERで重水素(D:Deuterium)と三重水素(T:Tritium)を燃料としたDT核燃焼実証が見込まれる2030年代に行うことを前提に、研究開発計画を構築する。そして、研究開発の時系列展開の指針とし、進捗状況を確認するため、チェックアンドレビューを実施する。推進方策報告書では、移行判断前に1回行うとされていた中間チェックアンドレビューを、ITER計画、及びJT-60SAを含むBA活動の現在の進捗状況を鑑み、また達成が見込まれる成果を考慮しつつ、移行判断までの研究開発を効率良く実施するため、以下のように2回に分けて実施する。

  • 第1回中間チェックアンドレビュー:原型炉設計合同特別チームによる概念設計の基本設計が終了し、JT-60SAの運転が開始される2020年頃に実施。
  • 第2回中間チェックアンドレビュー:ITERのファーストプラズマが予定される2025年から数年以内に、特別チームによる原型炉概念設計が完了を受けて実施。

原型炉設計の完成度については、第2回の中間チェックアンドレビューの段階で、原型炉の全体目標と、概念の基本設計が成立することを裏付けしうる技術基盤の構築が見通されていることが必要である。さらに、原型炉段階に移行する際には、原型炉設計と研究開発実績の整合性が問われるとともに、実用炉段階で経済性を達成できる見通しを得ておく必要がある。
  なお、21世紀中葉での核融合エネルギーの実用化を目指すには、早期実現に繋がるようチェックアンドレビューから移行判断までを第四段階の準備期間として相当規模の工学開発活動への着手を促進すべきである。そのため、2回目のチェックアンドレビューの際に、原型炉に必須のコンポーネントの工学設計開始の適否も判断する。

6.3. ITER計画・BA活動を踏まえた見直し
  ITER計画は研究開発の時系列展開において明確なクリティカルパスであり、ファーストプラズマやDT核燃焼実証の時期、エネルギー増倍率や長時間維持の成果、ブランケット機能の実証などは、開発計画やチェックアンドレビュー項目、移行判断条件に直接関わる。そのため、アクションプランの時系列展開、及びチェックアンドレビュー項目と時期は、コミュニティ内外での議論のもと、ITER計画の進捗状況やBA活動の成果を踏まえて合理的かつ効率的に対応がとれるよう、随時タスクフォースが見直してゆくこととする。

お問合せ先

研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付

吉田、工藤
電話番号:03-6734-4163
ファクシミリ番号:03-6734-4164

(研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付)