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宇宙開発利用部会 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第18回) 議事録

1.日時

平成29年1月23日(月曜日)15時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 18階 研究開発局会議室1

3.議題

  1. 最近のISS・宇宙探査動向について
  2. 平成29年度 文部科学省宇宙・航空分野関係予算案の概要
  3. その他

4.出席者

委員

主査  藤崎 一郎
第一主査代理  牧島 一夫
第二主査代理  角南 篤
専門委員  古城 佳子
臨時委員  知野 恵子
専門委員  続橋 聡
臨時委員  西島 和三
専門委員  向井 千秋
臨時委員  米本 浩一

文部科学省

研究開発局長  田中 正朗
研究開発局審議官  白間 竜一郎
研究開発局宇宙開発利用課長  堀内 義規
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長  庄崎 未果
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室課長補佐  立松 慎也

【説明者】
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 理事  山浦 雄一
 理事  浜崎 敬
 執行役  伊東 康之

5.議事録

【藤崎主査】 それでは定刻になりましたので,第18回国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会を始めたいと思います。
最初に,立松補佐から,この会議の定足数について御報告願います。

【立松補佐】 本日の会議でございますけれども,10名の委員のうち9名の先生方に御出席いただいておりますので,定足を満たしております。よって会議は成立することを御報告申し上げます。続きまして資料の確認に移りますけれども,お手元の議事次第の4にございますとおり,3種類の資料があることを御確認いただければと思います。不足等ございましたら事務局の方までお願いいたします。

【藤崎主査】 ありがとうございました。
 それでは,まず異動でございますが,これまで宇宙利用推進室長を務めていた鎌田室長が栄転されることになり,庄崎室長が代わりに宇宙利用推進室長になられ,今度私どもお世話になることになりました。
 それでは,まず鎌田室長の方から御挨拶いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【鎌田室長】 どうもありがとうございます。一昨年の10月から約1年と3か月,短い間でございましたけれども,宇宙利用推進室長としてこの会議に参加させていただきました。この場をお借りしまして改めてお礼申し上げたいと思います。
 私が着任したときは,ここの委員会で中間まとめ,第2次取りまとめを行わせていただき,それを後ろ盾にいたしまして我が国のISS計画への参加を2024年まで延長する道筋をつけていただいたところでございます。昨年は,その道筋をつけていただいたのを背景に大西飛行士や油井飛行士のミッションの遂行など,低軌道のISS活動について着実に成果を出していくという段階が進んだ時代と認識しております。
 今後,我が国が主催するISEF2を行うということで,これから更に第2次取りまとめをベースといたしまして,我が国の探査の方向性を改めて御議論いただくというところで,それを前にして去るのは大変私としては後ろ髪を引かれる思いでありますけれども,新室長も国際の案件に非常に詳しいということでございますし,我が国の宇宙分野を国際的な関係も十分に考慮に入れた活動にしていただかなければいけないというふうに考えてございます。
 私も官房という立場で少し宇宙と離れますが,宇宙も含めた全体の政策という中で今後とも宇宙分野について関心を持って取り組んでまいりたいと思いますので,引き続きどうぞよろしくお願いします。本当にどうもありがとうございました。(拍手)

【藤崎主査】 それでは,続きまして新任の庄崎室長の方から御挨拶いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【庄崎室長】 1月13日付で,鎌田の後任で宇宙利用推進室長を拝命しました庄崎と申します。直前は大臣官房の国際課におりまして,国際案件などもいろいろと担当してまいりましたが,宇宙分野は初めてですし,鎌田室長からはいろいろ引継ぎを受けておりますけれども,引き続き勉強してまいりたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

【藤崎主査】 どうぞよろしくお願いします。

(1)最近のISS・宇宙探査動向について

【藤崎主査】 それでは,これから本日の会議の議題に入りたいと思いますが,第1議題といたしましては,最近のISS・宇宙探査動向についてということでございまして,これにつきましては庄崎室長の方から御報告いただけますか。よろしくお願いいたします。

庄崎室長より,最近のISS・宇宙探査動向について,資料18-1に基づき説明。

【藤崎主査】 今のSS-520 4号機について残念でございましたが,これだけでなく 他の件にも出てございますが,JAXAの方から何か補足ございますか。

【JAXA(山浦理事)】 それでは,SS-520についてでございます。先ほど御説明いただきましたように,JAXAの方でISAS所長をトップとする原因究明,それから今後のことを考えるチームを作ってございまして,とにかく理事長の指示としましては,民間の主体的な取り組みということもございますので,世の中のこういった小型衛星に対する取り組みの急速な進展ということも,とにかくスピード重視,しっかり皆さんに御説明をさせていただきました。そういうことで取り組んでいるところです。大変残念でございましたし,しっかりと取り組みたいと思ってございます。

【藤崎主査】 今,大体幅広く御説明いただいたんですが,アメリカの新政権が発足したので,恐らく文科省としてもいろいろな形で先方がどういうふうに宇宙開発の予算について考えていくのかということについて意見交換をされたりすると思いますが,これについても今はまだ一切人事が行われておりませんので,よろしくお願いいたします。これから全体について意見交換をさせていただきたいと思いますけれども,もしよろしければよろしくお願いいたします。

【牧島第一主査代理】 SS-520に関しては,宇宙科学研究所を中心とする活動にこのところ不具合が続いており、申し訳ないと思っています。
 OP3に関しては,研究者側としては、例えば現在宇宙ステーションで動いているMAXI(全天X線監視装置)と、アメリカがISSに搭載予定の新しいX線観測装置とを、ISSの機上で直接に通信させることなどを考えており、そうした試みを通じてOP3に貢献していきたいと考えています。

【藤崎主査】 他の委員の方々,今の御説明いろいろ項目が多岐に亘っていましたが,御質問,あるいは御意見ございましたらよろしくお願いいたします。

(2)平成29年度 文部科学省宇宙・航空分野関係予算案の概要

【藤崎主査】 次の議題に移りまして,最後にもし何かございましたらまた戻るということで,では,第2の議題は,文部科学省宇宙・航空分野関係予算ということで,この予算について御説明を頂きたいと思います。御説明いただけますでしょうか。

庄崎室長より,平成29年度 文部科学省宇宙・航空分野関係予算案の概要について,資料18-2に基づき説明。

【藤崎主査】 そうすると,去年は当初予算1,547億円に足して補正予算が280だったと。これJAXA総額と書いてございますが,このJAXA総額との年度予算との差はJAXA以外の部分が10億円程度あるということでございますか。

【堀内課長】 そのとおりです。

【藤崎主査】 わかりました。
 それでは,この予算について皆様御質問なり,御意見ありましたらよろしくお願いいたします。お話中でも何かございましたら皆様,よろしくお願いいたします。

【西島臨時委員】 少し細かい話で申し訳ないんですけれども,産業振興というのは2つあると思うんです。1つにはロケットを作った関連技術の波及効果として、たとえばレーダー等の機器がより高精密化されて関連産業が振興したとかいう分かりやすい部分です。もう一つは,先ほど大西宇宙飛行士が実験装置を運用して日本だからこそできる利用実験,たとえば、動物実験とかタンパク質結晶生成,材料,そういう波及効果に伴う産業振興というのもあると思います。後半は上手く説明しないと産業振興として理解し難い部分があります。一方、宇宙はお金を多額に使っているということが指摘されます。実際,日本実験棟「きぼう」の運用が昨年は117億で今年は116億というふうになっているんですけれども,利用する研究者に言わせると,宇宙空間を使いたいと思っても、自分の持ち前で地上の実験予算を獲得していないと参加できないのは問題だと。実際の運用経費として結構それなりの実験装置が必要であり、そうすると若い人は特に大きな予算を獲得していないと参加が難しいと聞きます。この117億から116億というのは,これまでと全く同じような数字ですが、中身が重要です。せっかく動物実験ができる環境が整ったので、少し地上の研究実験を支援することも視野に入れるべきです。その結果として、若手の発想を活かした画期的な成果が創出されて、それが産業振興に役立っていくと期待されます。しかも、その投資額は116億の一部とかをしっかり明示して。考え方だけでもよろしいんですけど,そういうことに対してはどうでしょうか。

【JAXA(浜崎理事)】 JAXA浜崎の方から簡単にお答えします。この費用は2つになっていまして,1つが宇宙ステーションを維持するための運用の費用,地上の管制要員等の費用,設備の費用,これが約半分になります。半分強ですけれども,残りが利用費用,利用費用については,総額としては余り大きく変わっておりません。しかしながら,これまでの利用がどちらかというと大型の共通的な実験装置を作って,それを利用するというのを第1弾でやってきました。その大型の実験装置の開発,共通装置の開発に一通り目途が立った段階でありますので,予算としては大体使い終わっている。どちらかというと,もう少し細かい実験をきめ細かくするための実験とか,あるいはライフサイエンスの実験も一つ一つの装置が比較的小ぶりでございますので,そちらの方にシフトしてきております。
 そういう意味で,なかなか実験の事前の準備や基礎的な費用,例えば地上実験の費用等をJAXAから直接負担するというのは従前どおり難しい状況にありますけれども,実験の内容としては,従前に比べると比較的個別的ですが,共通ではない装置の方に重点化ができるようになってきています。
 それから,企業との関係でも,企業の方でも投資意欲がある企業というのはそれなりの装置を作って実験されるようになってきていますので,従前に比べると新たなことができる環境になりつつあるというふうに思っております。

【西島臨時委員】 是非その辺はうまく産業振興を視野に入れて、関連事業を加速するような形でやらないといけないと思います。結局、最終出口として何に役立っているのかというときに,タンパク質の結晶が新薬に結びつくという単純な流れでは,なかなか納得していただけない。実際に新薬に帰結することは稀であり、投資しているお金はすごい額という印象だけで議論されてしまう。基礎基盤的な研究がどの程度の経費で運用されているのかを明示しておく必要があります。文部科学省の予算で動くプロジェクトでは、人件費の占める割合が大変大きい。たとえば、大学では人件費は固定された額として大きいので、実際に研究を対象として活用可能な運営交付金と言ったらすごい少ない額です。そういう実情がわかるような形にしないと,この数字だけがぽんと出てくると、前々から言っていますが,非常に大きなお金を使って産業振興にどう反映されたかという議論になってしまいます。その辺をわかりやすいように,今おっしゃったように,これから新しいテーマなんかも呼び込むような,そういうような道筋,お金だけではなくてそういうのも含めてやるというのをうまく出されていただけるとうれしなと思います。

【藤崎主査】 どうぞ,続橋先生。

【続橋専門委員】 1ページ目の予算額のところですけれども,先ほど主査の質問で1,542億に対するJAXA総額1,537億というふうに伺いましたけれども,そうすると,補正予算額の280億の中でJAXAが幾らになるでしょうかということ,その金額の中で特にどんなふうに使われたんでしょうかというのが一つです。
 あともう一つだけ,3ページ目の「ひとみ」の代替機なんですけれども,これの総額は幾らですかというのと,最初の「ひとみ」に比べてどのぐらい安くなるかと,その2点です。

【堀内課長】 補正予算は全部JAXAの関係の経費で,特に大きな予算としては,H3ロケットの開発であるとか,先ほど「こうのとり」の開発が入っております。昨年に比べて11億ほど多い点と,今のJAXAの総額が4億ぐらい減っているものを合わせて年度同じぐらいのレベルという説明をしているところです。
 補正予算については1枚目の紙に載っております各衛星の開発費が増えていますので,こういったところに載せてあると御理解いただきたいと思います。
 「ひとみ」の後継機,X線天文衛星代替機ですが,総額240億円ほどです。前の予算のときには310億円ほどでしたので,70億円ほどの減になっています。これは2つありまして,1つは対策ということで予算を増やさなければいけない部分,それから,やりたいことがたくさんある中,厳しい議論でしたけれども,ミッションについては,できる限り絞り,この240億という予算の議論を進めさせていただいたところです。

【続橋専門委員】 ロケットの打ち上げ費も入っているのですか。

【堀内課長】 ロケットの打ち上げの費用も入って,総額で240億ということです。

【藤崎主査】 向井先生、どうぞ。

【向井専門委員】 2つ質問があるのですが,宇宙基本計画では,やはり宇宙産業とか民生分野の促進というのをかなり強く色濃く出しているわけで,文科省の予算がすぐに,先ほど西島先生がおっしゃったように成果が目に見えて出てくるというようなものより長期的なものに通常使うわけですから出てくると思わないんですけれども,例えばこの政策展開というか,宇宙産業に力を入れたことによって産業界の人たちがモチベーション,例えば産業界の人たちというのはこの部分によってかなりモチベーションが高く宇宙産業の方に入っていこうというような動きが出始めているんでしょうかというのが一つ。
もう一つは,ISSの利用がやはりJAXAの前の資料を見せていただいても,これだけ見るとそんなに変わった枠組みになっていない。こういったところでもう少し,例えばアメリカとやるようなOP3などではISS利用を2025年に向けてもっと民生分野の人たちが入ってこられるような,敷居を低くするようなアプローチをしているんでしょうかというのをちょっと伺いたいと思います。

【堀内課長】 産業の方ですが,十分かどうかという問題はありますが,内閣府の宇宙戦略委員会の方で産業ビジョンの議論をやっておりまして,ここで次のステップ,主に利用でどういったことをやっていくかといった話をさせていただいています。そういった産業の方が入ってこられるような環境を作っていければと,議論を進めています。
ベンチャー企業の話で,報道などで聞かれているかと思いますが,だんだんとそういった参画の可能性が広がり,そういった産業ビジョンの中から出てくることによって,また宇宙活動法などの法整備をすることによって,文科省も内閣府と一緒に進めていくところです。

【JAXA(山浦理事)】 今の堀内課長に加えて山浦ですけれども,ここにH3ロケットと,それから次期技術試験衛星というのがあります。これは,そもそもいわゆる仕様スペックを決める段階から民間企業が世界に打って出て競争力を持つ,勝てるロケット、衛星を作りたいということで,昔のロケットでしたらJAXAがメーカーの皆さんに仕様を提示して,それを作っていただくという関係でしたが,今回は全く逆です。産業界があって,産業に使えるものとして提案いただく,これをどのような技術を持ってやるかということも十分企業とJAXAとで,それから政府のいろんな関係のところも含めて仕事をしていく。それで,開発スケジュールを立ててやっていくということですので,ロケット,衛星でもがらっと変わっています。
同様に,今ありましたようにベンチャーとのおつき合いはかなり,私,産業振興を担当していますけれども,個別にやっているという環境にあります。

【向井専門委員】 すみません,そうしますと,これはやはり産業振興などの経産省との予算とか,そういったものも文科省とともに入ってくるんじゃないかと思うんですが,そうなると,国として見たときの宇宙に関する国家予算,文科省だけの国家予算が1,542億,これにプラスアルファになるわけですよね,経産省の,そうすると外から見て日本の宇宙開発予算が幾らかというトータルの部分は幾らぐらいになるんですか。

【堀内課長】 倍ぐらいになります。内閣府がまとめたのもありますので,もし説明の時間を頂戴できるのであれば,文科省だけではなく全体がどうなっているかと。

【藤崎主査】 大事な点でございますから,是非全体とかどうやってどう調整して,文科省でどうなっているのかということを御説明いただいて,よろしくお願いいたします。

【堀内課長】 次回御説明させていただきます。

【向井専門委員】 わかりました。ありがとうございます。

【藤崎主査】 他の委員の方々いかがでございますか。

【知野臨時委員】 今御指摘あったベンチャー企業のことですけれども,内閣府の資料を見ますと説明がかなりいろいろ前面に書いてありますが、文科省のこの資料からはあまりそこが読み取れませんので,もう少し前面に出していくことができないのでしょうか、というのが一つです。
それと,もう一つ,今お話があった次期技術試験衛星ですけれども,これは産業界で要望しているというお話ですが、オール電化衛星は,既にアメリカの企業でかなり前から実現しているわけですけれども,今から乗り出していくというのは遅くはないのでしょうか,勝算はおありになるのか,あるいは作るだけではなくて,何か政策を考えられているのか,そのあたりを教えてください。

【堀内課長】 最初の方の御質問で,もう少し前面に出していこうと思ってます。今余り説明しませんでしたが,2ページ目の下の段の衛星が並んでいるところの下から2番目,次期マイクロ波放射計の相乗り搭載性の調査・検討とあります。これは新規予算で,水循環ということで水蒸気や水がどうなっているか,また,海水温などを見たりするもので,例えば気象データを更に拡充したり,漁業の重要なデータを提供したりというようなことで,利用を進めていこうというものです。これまで工程表には載っていなかったんですが,ニーズを踏まえて相乗りの可能性のある衛星も見つかりましたので,進めているところです。

【知野臨時委員】 もう既に,民間でかなり前に実用化されているもので,日本が遅れて産業振興として取り組みますが、作るだけではなく,何か施策で後押しするとか,いろいろな方策が考えられると思うのですが,そのあたりを。

【堀内課長】 それも合わせて,先ほど国際競争力と申し上げましたが,これからの次のステップの議論だと考えています。H3ロケットも国際競争力が上がったところで,半分ぐらい商用で打ち上げられれば良いということ,それから,次期技術試験衛星も増えていければというようなことを考えてます。今,そういった観点で仕様などを詰めていただいています。それぞれの開発経費のところでそこまで見せているわけではありませんが,ここは少し議論が進んだところで見せるようにしたいと思います。

【JAXA(山浦理事)】 もともと次世代技術試験衛星の政府内議論が総務省を中心にされましたけれども,そこには当然JAXAも入っていましたし,それから衛星企業,通信事業者,非常に幅広くユーザーの皆さんが入っていると,そういう意味です。それから政府関係者も入っておられると。そういう中で実際に議論が進められた,それをベースにして,更に今度は企業が自らどのようにそれを作っていくことで国際競争力を保てるかということで,既に我々としては衛星企業を決めるためにRFP(提案要請)を出させていただいて,そこにはかなりそういった事業戦略,それを含めての話題を検討させていただくということで提案をお願いしていますので,選定の途中ですが,まず我々はあきらめずにしっかりと日本の技術を使って世界に来るというところでは非常に私はいいと思っていますし,我々もJAXAとして技術者集団としての意見を是非言ってまいりたいというふうに思っております。

【JAXA(浜崎理事)】 技術的に1点補足させていただきますと,これまでもイオンエンジンたくさんあるんじゃないかというお話しがありましたけれども,まだ静止衛星の世界において日本で使っている衛星はそれほど多くありません。それもイオンエンジンという比較的小出力だけれども性能の良いエンジンを使って,打ち上げてから1年程度かけて静止衛星に投入しているというものが多くあります。JAXAではホールスラスタというちょっと別の種類の,もっと推力の大きいものを使って,大型衛星でも4か月ぐらいに投入できるようにというところで,そこで8か月,時間的な競争力が出てきますので,そういうところを一つの大きな目玉として取り組んでいきたいと思っています。もちろんイオンエンジンもその一例でございますが,その他についても各々の技術に競争力を持っていけるように企業を含めて良いものを選んでいこうということです。

【藤崎主査】 他の委員の方いかがですか。

【米本臨時委員】 堀内課長の方から内閣府の方で宇宙産業ビジョンを今年の春ぐらいまでに策定していくというお話でした。どのような内容で議論が進んでいるのか,もし紹介できればお話しいただきたいと思います。宇宙活動法も変わりましたし,民間企業が参入しやすくなりましたが,このようなことを絡めての宇宙産業ビジョンになると思ういます。内閣府でどのような議論が進んでいるのかということに加えて,文科省としてもそのような新しい方向をどのように支えていくのか,今言えるものがあれば教えていただけないでしょうか。
先の議題にありました超小型衛星投入ロケットSS-520も新しい宇宙産業ビジョンで支えていこうとしている民間企業参入の一つと思います。文科省としてSS-520の位置づけをどう考えていのか,委員の皆さんも疑問に思うところであり,また知りたいはずですので,教えていただけないでしょうか。

【堀内課長】 宇宙産業ビジョンの内閣府での議論について,我々としては議論をフォローしているところで,まだ何かしら結論があるということではありません。内閣府と相談して何かお示しできるものがあれば次の機会に考えたいと思います。今,我々の方で少し考えていることが,利用を広げていくことで、衛星の情報の展開や,それと合わせて小型衛星などもそうですが,これから具体的にどういったものを設定していけるかがあります。
SS-520について予算に載っていないですが,これは外部資金で民間との共同でやっているプロジェクトなので,国の予算には載せていません。例えば経済産業省の方の競争的資金をとっているとか,そういうことでは国のものが使われているのですが,外部資金を使ってのプロジェクトですので,ISASやJAXAの持っている技術が展開していくことにより一歩進んだ取り組みになっていると思います。

【米本臨時委員】 獲得した外部資金や民間との共同研究で得られた成果も,やはり文科省の成果です。したがって,単なるお手伝いなので詳しく説明しないということで良いのでしょうか。外部資金や民間との共同研究であっても,どう位置づけて,今後の日本の宇宙開発に役立てていくのか,やはりビジョンが必要です。先ほどSS-520の打上げ結果を発表戴きましたが,それ自体の意義付けを言わないことについて,何か違和感がありました。試験を実施するからには,文科省としての見解があってよいのではないかと思います。

【田中局長】 SS-520は経済産業省の受託費と,それから文科省・JAXAとしては,直接的な国費を入れているわけではありませんが,内之浦の射場を使ってもらって,JAXAが技術的なアドバイスや支援をして今回完成したものですので,恐らく目に見えない形で文科省・JAXAも関わっております。今回,SS-520には2つ大きな目的がございまして,1つは超小型の衛星を打ち上げられるような専用のロケットの技術的な可能性,それからもう1つは,民生用の技術をできるだけ宇宙用のロケットに適用していくということです。まだ原因究明中ですから余り軽軽なことは言えませんけれども,いずれにしてもこの打ち上げの準備段階までに,少なくとも民生の技術についても相当程度,宇宙用のロケットにも適用可能だというところまで心象としてはあります。今回の実験について言えば,この段階であっても成果が得られているだろうと思います。一般的な取り組みとしては,この民生用の技術を広くいろいろな宇宙用の技術として使っていき,結果としてコストを下げると同時に,今まで宇宙でやってこなかったような新しい企業などが入って,それがまた新たなことを促進していくといった,そのようなことの環境づくりとか,あるいはリードしていくということが文科省やJAXAの役割として認識しております。これはあくまでJAXAの予算として書いてあるので目につきませんが,もう少し個別のプロジェクトとして宣伝していきたいと思います。
それから,もう少し産業関係で言いますと,幾つか西島先生もおっしゃっていますけれども,例えばロケットのような製品そのものをつくり,その製品自身を民間や海外に売っていくといった,これまでもあった宇宙産業として,御存じのように去年は三菱重工がH2Aロケットの打ち上げサービスをUAEに提供することになりました。UAEがなぜ日本を選定するかというと,日本とUAEの政府間で協力関係があるからということです。実際JAXAとUAEの宇宙機関の間で協力協定を結んで,UAEとしては日本という国に対して宇宙関係の技術であるとか,人材の育成といったものを期待されています。我々も直接輸出そのものを後押しするのは考えていないですけれども,相手国との協力関係を作って,そういう産業が出ていきやすい環境をつくるということもあるのではないかと思います。
それから,もう一つ大きな役割としては,そうやって開発してきた宇宙の技術といったものを民間の方々が使いやすい環境を作っていくこと,宇宙ステーションなどはまさにそういう例ですし,最近は「きぼう」の中でやっている小型衛星の放出といったものがあります。宇宙実験はライフサイエンスなどでも,実はJAXAは外部のベンチャー企業にも「きぼう」を使ってもらっています。そういう意味では,今まで宇宙について関心を持っていた企業だけではなくて,外縁,あるいは今まで関係なかった企業にも取り組みやすいような環境づくりが我々の使命だと思います。

(3) その他

【藤崎主査】 では,次にHTV-Xの開発状況についてお話しいただけますか。

JAXA植松センター長より,HTX-Xの開発状況について,資料18-3に基づき説明。

【藤崎主査】 ありがとうございました。委員の方々,いかがでございますか。

【古城専門委員】 これまでのものとの比較がありましたけれども,その中で何か一番技術的に難しい点はどのような点でしょうか。

【JAXA(植松センター長)】 この現行のHTVで機能が分散されているのにはそれなりの理由がございまして,やはりスラスターの配置ですと非常に広く分配されている方が姿勢のコントロールとかしやすいんですけれども,それをサービスモジュールといった1か所に集約することによって,若干それが難しくなるというチャレンジはございますが,それに対してでもこういったモジュールにすることのメリットは大かろうということで,こういった構想にしております。

【藤崎主査】 牧島先生、どうぞ。

【牧島第一主査代理】 初歩的な質問ですが,これはH3ロケットで打ち上げるということですか。

【JAXA(植松センター長)】 H3ロケットで打ち上げる予定です。

【牧島第一主査代理】 もう一点お伺いします。今までHTVでは太陽電池が本体の胴回りに貼りつけてあったと思いますが,今度は新たに太陽電池パドルを設けるところが大きな違いのように見えます。これは、この輸送機そのものを,いろいろな用途に使いたいという発想から来ているのでしょうか。

【JAXA(植松センター長)】 そうですね。現状のHTVでは,機体の周りに太陽電池パネルを張りつけておりますけれども,それは安全面を考慮して,当初我々としては開発が初めてだったものですから,非常に安全側に考えて太陽電池パネルを余り大きく広げないようにということでボディマウントにしておりましたけれども,非常に発生効率は悪くなります。今回,HTVを開発して非常に開発経験も蓄積してまいりましたので,太陽電池パネルをもっと効率の良いパドル型にしても安全を維持していけるだろうというところまで我々の技術が蓄積されましたので,こういった効率のいいものに変えさせてもらいました。

【藤崎主査】 米本委員,いかがですか。

【米本臨時委員】 2ページ目の他国の輸送機との比較について,以前も質問したことがあります。ドラゴンは,再利用あるいは往還するものなので, 再利用や往還しないHTV-Xと直接的なコスト比較はできないと思います。シグナスが他の輸送機に比べてこんなに高いと思いませんでした。その理由が分かれば,御説明いただけないでしょうか。

【JAXA(植松センター長)】 シグナスにつきましては,言い方は悪いですけれども,シグナスはどちらかというとドラゴンに比べると非常に慎重型といいますか,従来の開発体制であるとか開発のシステムをとっている,いわゆるアグレッシブにコストダウンしていくよりは信頼性を重視するというような傾向がちょっと見られるような状況です。ですので,この2ページ目の図は,単位輸送量あたりのコストになっていますけれども,単位あたりに換算しますと,シグナスは若干効率が悪くなっているというような状況になっています。ただ,シグナスにつきましても,前々号機から与圧搭載部を拡張いたしまして,非常に搭載量を上げてきておりますので,このデータはちょっと古いデータになっておりますけれども,これが若干左に寄っていっていると思います。

【JAXA(浜崎理事)】 ここの左の茶色の点々がありますけれども,これがCRS2の予測範囲,要するにNASAが新しい契約をまとめて契約したところがこの範囲になっておりますので,シグナスの改良型もこの範囲の中に入っているものと想定されます。それを考えてもHTV-Xは更に左上にあります。

【米本臨時委員】 再利用するドラゴンとのコスト比較に関してはいかがでしょうか。

【JAXA(浜崎理事)】 まず,再利用については,再利用しますとペイロードが単純に言って3割ぐらい減になりますので,現状JAXAとNASAとの契約,枠組みとしては回収は入っていない,だから,NASA側も回収については既に持っているということもあり,交渉の中でも必要ないということがあることによって,全体としては回収の部分については今回は入れない方が得だろうというふうに考えました。
回収技術については非常に重要だと考えていますので,現在,HTVの7号機で回収カプセルを作る,これはサイズで行くとHTV全体を回収するものの約5分の1のほとんどスケールモデルになっている格好で,技術開発だけは進めていこうということでございます。それを進める中で将来,少しずつ全体を回収する,ペイロードとして一部できるわけですが,例えば有人の回収機を将来作るかどうかといったときに必要な技術だけ確保しておいて,今後に備えるというような考えでございます。

【米本臨時委員】 確認ですが,この比較表には,ドラゴンは往還しないものを示しているという理解でよいでしょうか。

【JAXA(植松センター長)】 そうです。

【藤崎主査】 2つ簡単な質問でございますけれども, HTV-XとHTVでコストはどうなっているのかというのが1点。
それとカーゴ搭載時期というのが仕様に入っているのですが,これは搭載部というものを一番上につけた設計によってこういうことが可能になったのですか。単に運用の問題なのか,また,こういうふうに短縮することによって,実際にはかなり運用は難しくなるのか,教えていただけますか。

【JAXA(浜崎理事)】 最初のコスト目標についてですが,当委員会でもお話しいたしましたとおり,HTVは号機ごとに値段は違ってきていますから,最後の9号機に比べて半減というのを一つの目標にしております。ですから,それが一つの目標。委員会のときにもトータルでそういう話をさせていただきましたが,それを目標に現在進めています。

【藤崎主査】 9号機の50%と。

【JAXA(浜崎理事)】 約50%を目標にしております。
 それから,短くなったのは2つありまして,1つが機体の変更,1つがオペレーションの変更,これ両方全部組み合わせての達成でございます。例えば3ページの図を見ていただきますと,非与圧部に最初に入れる手順とか全体を組み込む手順と,ペイロードを組み込んでから全体の与圧部と電気モジュールを結合する作業をしていますけれども,これ今回は全て組み上げてから結合するというようなことで短くしていることと,両方のノウハウを全部つぎ込みまして,短期化しているということでございます。

【藤崎主査】 他の委員の方々,いかがでございますか。
 それでは,特にHTVに関しまして,あるいは全体の説明それも含めまして,この3つの議題につきまして何かご質問ございませんか。
最後の事務連絡の前に、宇宙開発利用部会第8期のもとに設置された小委員会の最後にあたり、田中局長よりお言葉をいただけたらと思います。

【田中局長】 委員の皆様におかれましては、ISSの運用延長決定や今後の宇宙探査の方向性を出すという、大きな変革の時期に活発な御議論をいただき、誠にありがとうございました。いただきました貴重なご意見をもとに今後のISS計画における成果の創出や、来年度に開催を予定しております国際宇宙探査フォーラムに向けた準備を確実に進めて参りますので、今後ともよろしくお願いいたします。

【藤崎主査】 では,この委員会につきましては,これで終わりとさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

(了)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課

-- 登録:平成29年03月 --