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宇宙開発利用部会 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第14回) 議事録

1.日時

平成27年4月20日(月曜日)16時00分~18時25分

2.場所

文部科学省 3階2特別会議室

3.議題

  1. 今後の「きぼう」利用について
  2. 宇宙科学・探査ロードマップの検討状況について
  3. その他

4.出席者

委員

主査  藤崎 一郎
第一主査代理  牧島 一夫
専門委員  古城 佳子
臨時委員  知野 恵子
専門委員  続橋 聡
臨時委員  西島 和三
専門委員  向井 千秋
臨時委員  米本 浩一

文部科学省

大臣官房審議官(研究開発局)  森 晃憲
研究開発局開発企画課長  柳 孝
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長  谷 広太
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室課長補佐  神部 匡毅

【説明者】
茨城大学特命研究員  新村 信雄
東北大学東北メディカル・メガバンク機構長  山本 雅之
東京大学宇宙線研究所長  梶田 隆章
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 理事  浜崎 敬
 宇宙科学研究所副所長  稲谷 芳文

5.議事録

【藤崎主査】 それでは、時間になりましたので、国際ステーション・国際宇宙探査小委員会第14回会合を開催したいと思います。
 今日は、専門的なテーマも含めましてテーマが多くありますので、効率的に進めたいと思いますが、場合によって若干オーバーする可能性もございますので、その点はあらかじめ御連絡したとおりでございます。
 では、事務局からよろしくお願いいたします。

【谷室長】 小委員会に所属されております11名の委員のうち、8名の先生方に御出席いただく予定でございます。したがいまして、運営規則に定める定足数を満たしておりますので、会議として成立していることを御報告いたします。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第(案)4項のとおり配付しております。また、会議途中、適宜御参照いただくために、机上配付資料としてファイルにとじたものをお配りしております。過不足ございましたら、事務局までお申しつけください。

(1)今後の「きぼう」利用について

【藤崎主査】 第1議題は今後の「きぼう」利用でございます。ISSにつきましては、昨年7月の中間取りまとめの際に、この委員会といたしまして、2021年以降も引き続き参加していくことが適当であるという意見を表明したところでございます。その際、ISSから創出される成果も最大にしていく必要があると、そのためにいろいろ検討が行われるべきであるということでございましたが、本日は今後の「きぼう」の利用につきまして、成果を最大化していく方策について議論を頂きたいと思っております。
 本日は3名の先生方にいらしていただいておりまして、茨城大学の新村先生からタンパク質結晶生成実験の分野について、東北大学の山本先生に、エピジェネティックスやゲノム医療等の分野について、東京大学の梶田先生に宇宙の高エネルギー現象や素粒子物理等の分野について、「きぼう」をどのように利用するのか、長期的に運用できるのかということにつきまして、お話しいただきたいと思います。
 大変恐縮でございますが、各先生には複雑かつ重要な内容を、お一人15分という時間で御説明いただかなければいけないのでございますが、3先生にまとめて御発言、御説明いただきまして、後に質疑応答をさせていただくという段取りとさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

茨城大学新村先生より、ISSでの次世代タンパク質結晶化への期待について、資料14-1-1に基づき説明。

東北大学山本先生より、微少重力実験環境の意義について、資料14-1-2に基づき説明。

東京大学梶田先生より、宇宙線物理学・宇宙物理学の観点からのISSへの期待について、資料14-1-3に基づき説明。

【藤崎主査】 3先生、どうもありがとうございました。では、これから質疑に入りますが、時間が大変限られております。そこで、各先生への質疑応答を含めまして、お一人の先生に10分程度でお願いしなければなりません。なぜかと申しますと、この後、「きぼう」利用の御説明があり、それから、宇宙科学・探査ロードマップの議論もございます。したがいまして、お一人ずつ、まず新村先生への御質問ということで、それが終わりましてから、山本先生、梶田先生という順番で。また、大変恐縮でございますが、一問一答にいたしますと、時間がかかりますので、先生方には質問にはまとめてお答えいただくという形でお願いしたいと思います。
 まず、新村先生でございますが、私の方から。先ほど高品質のタンパクの大型結晶とか膜タンパクについて、宇宙でつくりやすいという話がございました。これは一旦技術が確立すれば地上でもできるということを意味するのでしょうか。そうではございませんと、創薬のためには相当量が必要だろうと思いますので、1回ごとにそれを全部宇宙に持って行くというわけにもいかないと思いますので、その点についてはどういう見通しなのかを御説明いただければと思います。

【西島臨時委員】 膜タンパクの重要性についてはもちろんそうだと思いますが、タンパク質が宇宙でうまくいくというのはかなり実績がありますので、これが膜タンパクの方に向かうのは大変いい方向だと思います。膜タンパク質できれいな結晶が取れたならば、まずはX線で構造解析をするというこの方向は良いと思いますが、先生の言っているタンパク質の大型結晶というのは、どういったタンパク質を標的にしているのでしょうかというのがまず1点。それから、中性子のときにはかなり量が必要と思いますが、その場合の発現と生成は膜タンパク質は難しいという課題は地上での実験が並行していくと思いますが、その進展状況をお伺いしたいと思います。

【向井専門委員】 大型化に関しては宇宙実験での効果は、8ページに書いてあるのはわかります。膜タンパクに関しての難しさは、不溶性であるとのことですが、なぜ重力のない宇宙で実験したら地球上で解決できないことが解決できると思っていらっしゃるのかを伺いたいと思います。

【藤崎主査】 他の委員の方々、是非お願いいたします。ございませんか。よろしゅうございますか。それでは、新村先生、お答えいただきます。

【新村先生】 質問、いろいろありがとうございました。まず、宇宙空間で大型結晶ができるような技術が確立されたら、それは地上でもできるのかということですが、できると思います。ただし、8ページのような宇宙特有の微少重力条件はどうしても地上では作り得ない。ですから、最終的にはそのうちの幾つかは宇宙でやることになると思います。宇宙でできた技術は特に地上でも、例えばそこに入っている可溶化剤だけではなくて、いろいろな脂質を使ってなるべく遅くたどり着くとかいろいろな手法を考えると、この濃度分布はつくることができますので、宇宙でタンパク質濃度分布を作ることで大きい結晶ができるんだということが確立されれば、地上でもそういう方法が確立されるのではないかと私は思っております。
 それから、膜タンパクが大型化するときに、地上でなくて宇宙空間に行っても安定性で得なことがありますかという御質問ですが、それは余りないと思っております。宇宙で膜タンパク質結晶育成を行うには、地上の条件を固めておくことが必要です。まずは地上で是非X線でやってみて、さらに、大きな結晶というチャレンジなものになったときに宇宙空間が利用されると思います。非水溶性タンパク質でも、地上で十分やっていて宇宙に持っていくのはその一部で、全てを宇宙に持っていくわけではないと思いますが、最終的に宇宙の方がいいだろうということがわかれば、別の方策が出てくると思います。宇宙の方でうまくいくということがわかったときには、地上での技術を使い少量のみを宇宙へ持っていくことになると私は思っております。
 それから、量が必要だろうということですが、膜タンパク質に関しては必要で、膜タンパク質を安定につくるという技術は並行してやっていかなければいけないと思っております。

【西島臨時委員】 地上でやれることは粛々とやっていって、膜タンパクを発現して量を確保するけれども、その貴重な膜タンパクの結晶化を地上で実施すると重力によってどうしても乱れがあるので、4ないし5オングストロームぐらいが限界となってしまいます。そうなると、いわゆる創薬のドラッグデザインに向かないので、結晶はできるが、きれいな結晶がとれない膜タンパクを宇宙に持っていって、2オングストローム、3オングストロームで創薬の精密なデザインをやり出すようなきれいな情報をとるという理解でよろしいでしょうか。

【新村先生】 まさにそのとおりです。ありがとうございます。

【藤崎主査】 新村先生、ありがとうございました。
 次に、山本先生にいろいろ伺いたいと思います。まず初めに、先生の小括1でございますと、「宇宙飛行は…今後の宇宙戦略を考える上での重要課題である」とあり、小括3では、「宇宙飛行士の方の解析を…将来の長期宇宙滞在の際の健康管理に資するデータの取得に挑むことができる」とあります。つまり、宇宙が宇宙のために役に立つと書いてございますが、最後の小括4の2と3の所で、ほかの汎用的なことについて、「ないだろうか」という形での問題提起をされておりますが、もう少し宇宙が全般的に役に立つというようなことがあればお願いいたします。

【西島臨時委員】 先ほどと同じですが、宇宙実験の機会・時間は少ないので、地上でかなりのことはやっていくと思いますが、例えば、先生が御専門とするストレスの場合に、健康な状態でのストレス、地上でのストレス、複合的な宇宙で初めてわかるストレスということを考えて進んでいく場合に、地上でのマウスのストレスについては、エピゲノム情報も含めてかなり進んでいるのか。そして、宇宙ではそういう総合的なものを見て、なお且つ宇宙飛行士の検体も複合的に合わせることに意味があるのでしょうか。
 もう一点はマウスを宇宙に持っていくのは、私たち研究者にとっては念願だと思いますが、同時に先生がおっしゃったイメージングラボというのは、リアルタイムで宇宙に持っていくことも考えているのか、あるいはサンプルを凍結した形で地上に持って来て行うのか、その辺の現実的な話をお伺いしたいと思います。

【向井専門委員】 先生のタイトルは「微少重力実験環境の意義」ですが、先生のプレゼン内容は全ゲノム解析、小動物イメージングラボの意義が大半で、意義の説明がなされていないように思います。プレゼンの最後に「飛行士に役立つ」とあります。先生の手法は宇宙飛行士の健康管理に役立つと思いますが、藤崎主査がおっしゃるように、先生の研究で学術的に何がわかるのかというところまで突っ込んだ説明をいただけると、ISSが学術に役立つ意義が明確になると思います。

【牧島第一主査代理】 今の向井委員の御質問に関係するのですが、重力が生物にどういう影響を及ぼすかを明らかにすることは、ISSを用いる学術的研究の重要な意義の一つだと思います。そのために動物と同時に植物を使う手もあるだろうと思います。お話は動物ばかりでしたけれども、植物を使ったら何ができるか、もし何か御存じでしたら、お伺いしたいと思います。

【知野臨時委員】 今の質問と少し関連するのですが、最後の小括4で挙げられている1、2、3というのはかなり大きなテーマだと思います。今まで日本だけではなくて、旧ソ連時代からのいろいろなデータもあると思いますが、そういうものを利用してこの大きな三つの問いに対する答えはどのぐらい得られているのでしょうか。

【藤崎主査】 ほかの委員の方々はよろしゅうございますか。それでは、山本先生、お願いします。

【山本先生】 私は、今回、分子生物学やゲノム研究の発展がどんなふうになっているのかという学問の到達点をお話して、そこから宇宙研究を眺めてみたらどうなるかということを皆さんにお伝えしたかったのですが、御質問を頂いていると、私が宇宙にマウスを送ることを計画しているとしたら、また、宇宙飛行士さんの解析をするのであればどんなことをするのか提案してくださいということのようですので、私の今日のプレゼンの理解が違ったようです。もちろん、私は科学者ですから、そういうところにも非常に興味がありますので、質疑の時間を頂いてその点についてお話させていただきたいと思います。
 最初に藤崎主査から頂いたのは、私がここで言っていることが、宇宙と人類や健康を守ることとどのように関係するのか、それから、宇宙の利用がマウスのプロジェクトでどうやって、また、地上の学術が宇宙のサイドの実験から見てどうやって進んでいくのかという御質問だと思います。最初に実験的な小動物として宇宙に上げるのはマウス以外には考えられません。それでマウスは…。

【藤崎主査】 私が質問した趣旨は、宇宙飛行士に対するストレス等の実験は、将来の宇宙活動のために必要だということを書いていらっしゃるのですが、もっと汎用的に一般的にこういうことが地上においても役に立つというような御説明はあり得るのかどうかということを伺ったつもりでございます。

【山本先生】 まさにそこをお答えしたいと思います。一番短い答えは「イエス」です。地上で私が受けているストレスの中には、対人的なストレス等いろいろなストレスがありますが、一番のストレスというのは酸素を呼吸する「酸化ストレス」です。私たちは植物がつくった光合成産物を動くことができるという特徴を使って採取してきて、酸素を使って燃やして効率よくエネルギーを得ているわけです。酸素にまつわるものが一番のストレスです。
 これに対して、私たちの体は防御ができているのですが、宇宙に行ってみたら更に新たなストレスと向き合う形がある。宇宙飛行士の方が受けている一番のストレスは何だろうか。閉所にいるというストレスだろうか、重力がないことのストレスなのだろうか、若しくは、よくわからない宇宙線が飛んできて被ばくするようなストレスなのだろうか。そこのところについては研究しなければわからない。
 新たにわかったストレスに対する私たちの体の応答系がわかることによって、実は地上でもそういうことに対する応答系があったということが普遍化していくので、学術という観点から見れば、宇宙で受けるストレスを地上に生かすために研究することが大切です。更に言うと、将来の人類は恐らく宇宙に長く滞在して観察や旅行をするかもしれない。そういうときに、出かけていって大丈夫な人、宇宙のストレスには極端に弱い人、恐らく大丈夫な人、とても強い人、向井先生みたいに非常に強い人がおられるかもしれないということで、そこをどうやって仕分けるのか。薬で副作用が出る人と同じように、宇宙に行っては駄目な人をどうやって見つけ出すのか。そのあたりも私が申し上げた中にあると思います。ですから、藤崎主査の質問に対して、私の短い答えは「イエス」です。もちろんです。
 それから、西島委員の質問で、マウスの研究はどうなのか、それから、地上での研究はどうなのかと。ストレスに対する研究というのは長い歴史があって、大体のことはわかってきているところもあります。ただ、私が途中で少し申し上げたストレスに非常に弱いNrf2欠損マウスを宇宙に連れて行ったらどうなるのか、すぐ死んでしまうかもしれないし、すぐに病気になってしまうかもしれない。そういうことは宇宙空間を利用してみないとわかりません。重力のない環境を、若しくは微少重力実験環境を使ってみないとわからないことで、まさにそういうところに来ているのかなと思います。
 それから、イメージングラボの話を長々申し上げたのは、これまでの実験スタイルでは、たくさんのマウスを利用して、6時間目、12時間目に殺して調べるというようなスタイルの実験が多いわけですけれども、宇宙にたくさんのマウスを連れて行くのは無理なので、非侵襲的な観察を1匹のマウスで繰り返してやるというシステムをつくっていくことが大切だということを申し上げたくて、取り上げた次第です。
 それから、「宇宙」が学術としてどれほど面白いものなのかという向井委員の御質問ですけれども、まさにここに新しい学問のほう芽があるのではないかと思います。重力のない環境で今後長期滞在されるという方がおられるようですけれども、今は15万人のコホートで皆さんのゲノムを決める時代になっています。そうすると、ゲノムとエピゲノム、さらにはメタボロームやプロテオームのデータを突き合わせた関連解析を通して、重力と関連する遺伝子発現は何なのか、重力と関連するバイオマーカーは何なのか、それから、それ以外の宇宙を旅しているということに関連するマーカーは何なのかということを調べていく。そういう新しい学問ができてくることが期待されます。
 植物に関しては専門じゃないのでよくわかりません。申し訳ありません。
 最後に、知野委員の御質問ですけれども、マウスを宇宙に持っていって、マウスが活躍しているところを調べた例というのを私は存じ上げません。今のところまだメダカまでです。もしかしたらマウスを上げた例もあるかもしれないのですが、大きなデータとして発表されているものはないと思います。メダカも脊椎動物ですので、有意義なデータがとれていると思いますが、マウスを使って、しかも、発達とか恒常性の維持とかいうところに挑むような研究と、更に宇宙を旅してこられた飛行士の方が、例えば宇宙を旅した遺伝子の記憶がエピゲノムという形で残っているかどうかということを調べていくことが、今後の大きなフロンティアになっていくと思います。
 ちょっと長かったですけれども、よろしいでしょうか。

【藤崎主査】 よろしゅうございますか。それでは、梶田先生にお願いいたします。
 私の方から一つだけ。先ほどMAXIとかいろいろ御説明いただいたのですが、例えばMAXIから得られる情報はISS参加各極に共有され、あるいは、ISS-CREAMとかK-EUSOというのから今後得られるものも相当程度共有されていくという前提なのでしょうか。若しくは、ケース・バイ・ケースで、一つずつやりとりが行われていくようなことなのでしょうか。帰ったら参加国共有でやるのでしょうが、ほかの国にもシェアされていくのでしょうか。そこら辺のものを教えていただければと思います。

【米本臨時委員】 技術的なことで質問があります。ISSが軌道を周回するため、ある天体に絞っての観測が難しいという弱点について、船体自身を天体の方向にポインティングするような制御をしていれば、そういう問題は克服できるのでしょうか。
 それから、もう一つの欠点は、ISSの宇宙線の2次粒子の影響とのこと。実際どれぐらい観測に影響してくるのか、何か定量的なものがあれば教えていただきたいと思います。

【向井専門委員】 MAXIやCALETはこれまでの宇宙実験の中でも非常に功績のあるものなので、もう少し強いメッセージは出ないのかなと思います。本日説明された3先生とも、ISSを利用するとこのような研究ができるというレベルのプレゼンだったと思います。ISSでないと研究できない点は何なのか、他の地上施設ではなくISSの研究施設に研究費を投入してでも試行したい研究内容であるという強いメッセージが出ないものかなと思うのです。
 梶田先生のプレゼンでいうと、例えば11ページの天文学のところで、一番下に重力波について書いてあるのですが、三項目までは理論的ですが、次に突然「これをISSで測定することは大事」とのことですが、唐突なので違和感があります。突然何でここにISSが出てくるのかなと。「ものごく重要」とあるのですが、この説明では「ISSではなく無人のサテライトでは駄目なのですか」という質問が出ると思います。
 最後に、12ページの二つ目のポツで「ISSという新たなプラットフォームができた」、「またとない機会」と表現してあります。「またとない機会」というよりは「ユニークな機会、あるいは、施設」、ISSでないと駄目だという内容を各研究者の先生方から出していただけると、強いメッセージになると思います。

【知野臨時委員】 今の向井委員の質問とまさにつながっているのですが、お尋ねしたかったのは、今、ISSは続けるか続けないかと、何年まで続けるかということで議論になっているわけですが、2020年以降続けなかった場合に先生たちの研究はどうなるのでしょうか。どのぐらい深刻なダメージを受けるのかというところを教えてください。

【古城専門委員】 私も同じところです。まとめの最後のところで、「プラットフォーム上で観測することが」というので個々の衛星との違いを出されているのですが、「研究者は観測機器により専念できるという大きなメリット」ではちょっと弱いかなという感じがします。そこの違いをもうちょっと説明していただき、もう少し具体的な利点がないのかなと思うのですが、もしあれば教えていただけますか。

【藤崎主査】 他の先生、よろしゅうございますか。もしよろしければ、梶田先生にまとめてお答えいただきたいと思います。

【梶田先生】 まずデータの共有ですが、天文学の分野ではデータの共有は着々とカルチャーになってきていると思いますので、世界的な潮流として共有になると思います。一方で宇宙線は、現在はまだ個々の実験グループが、例えば何か国の国際共同ということであれば、その中ではもちろんデータは共有されますが、それを更に実験グループ外まで共有するかという点に関しては、実験分野の全体の流れとしてそちらの方向には動くでしょうが、個々の実験としてどうするかは議論中ではないかと思います。
 それから、ポインティングができるかどうかですが、すみません、これは私には答えられないです。つまりISSが全体として動いている中で自分がどこまできちんとポインティングできるかという話だと思いますが、これは私の答えられる範囲を超えています。
 あと、2次粒子ですが、これも実験装置を考えるときにどこまで検討するかということだと思いますが、私の理解ではCALET等ではこれが致命的になるような要素ではなく、ちゃんと考えておきなさいというレベルのものだと思います。
 あとは、強いメッセージにというところですね。4ページでISSと独立科学衛星の利点あるいは弱い点ということで述べさせていただきましたが、私の観点としては、ISSという共通インフラを作った以上、それを利用できる範囲で最大限利用するべきということです。もうISSができているのですから、それは宇宙に上げる検出器等をつくる人にとっては非常に大きいメリットになっていると思います。もちろん、それぞれ利点、欠点ありますが、独立科学衛星の場合、インフラを自分で全部持っていくので、相当大がかりにはなると思います。
 あとは、もしも2020年以降ISSがなかったらどうなるのかという質問ですが、地上の装置は2020年以降がサイエンスとしては一番面白い時期なので、地上装置自身はもちろん観測するでしょうが、宇宙での観測との連携がとれないというのは、サイエンスとしてはものすごく損失が大きいと考えています。

【牧島第一主査代理】 梶田先生、ありがとうございました。一緒に仕事をしている仲間ですが、梶田先生は地上で重力波望遠鏡の建設のリーダーをやっておられますので、MAXIに関係した者として私から、委員の先生方の御質問に補足の説明をさせていただきます。
 単独衛星とISSの利害・得失について、梶田先生に大変よくまとめていただきました。追加する意味で例えて言うと、単独衛星は野原の真ん中に一戸建ての家を建てるようなもので、ISSは大きなニュータウンの団地みたいなものです。一戸建ての家だと、自分で電気も水道も引かなければいけないし、市役所、病院、学校などがすぐ手近にはないという状況ですが、自分の好き勝手な生活ができます。一方、ISSの方は大きな団地ですので、電源も水も郵便局も学校も病院もあり、至れり尽くせりの環境ですが、団地に特有な規約があります。
 団地の規約に当たる一例がISSの姿勢で、地球を一周回る間に姿勢も一周回ることが規約になっており、シャトルがドッキングしたり、国際的な約束で必要と考えられるとき以外は、これを破ることはできません。したがって、私の望遠鏡は常にあの星を見ていたい、だからISSは回転をやめて、こういう姿勢を保ってくれという要望を出しても、通りません。
 「きぼう」船外プラットフォームに搭載された全天X線監視装置MAXIは、そこを私の先輩の松岡先生が逆手にとられた装置です。ISSは常に腹を地球に向けて一周するから、望遠鏡も一定の方向を向かず、空をぐるりと見渡してしまう。したがって、一つの天体を見続けることは不得意でも、全天をなめ回すような観測には向いているわけで、MAXIはそのような装置として設計されました。その逆転の発想がMAXIを成功に導いたと言えます。
もし一つの天体だけ注視したい装置を載せるときには、ISSの地球周回につれ、望遠鏡をそれと反対向きに動かすような、自分自身のポインティング装置を持たなければいけない。そういう計画もあるけれども、その分だけ面倒になってしまいます。これが米本委員に対するお答えです。
 もう一つ強調したいのは、多くのミッションが載っている梶田先生の資料5ページのうち、下の三つが「きぼう」船外プラットフォームに取りつけられることです。日本の「きぼう」はISSの中でも船外プラットフォームという特別な施設を持っているという点は非常に強みです。装置をある決まった大きさの四角い箱に収めて持っていけば、プラットフォームにカチャッと取りつけられます。それに対して、外国のモジュールでは、AMSやK-EUSOといった装置は、それ専用の特殊な取りつけ方をしないといけません。船外プラットフォームは宇宙の観測にとって非常に大きなメリットで、それがうまく使えるような装置であれば、単独衛星よりもいろいろな点でやりやすく、費用も安く、開発期間も短い。場合によっては宇宙飛行士に修理してもらうことも可能かもしれず、そのあたりは大きなメリットと思います。

【藤崎主査】 牧島先生、ありがとうございました。
 今日は、新村先生、山本先生、梶田先生、大変重要な課題につきまして御説明いただきまして、ありがとうございました。十分な時間もないところでの御説明、質疑応答、大変申し訳ございませんでしたけれども、引き続きよろしくお願いいたします。
 今日は、次に「きぼう」の利用について、JAXAの浜崎理事から御説明を頂くことになっております。この後、質疑応答いたしますと、宇宙科学・探査ロードマップの検討状況については、次回に回すということにならざるを得ません。そこで、大変申し訳ございませんが、「きぼう」の利用については、今日は説明だけにして、また次回に質疑応答ということで、簡単な御説明を浜崎理事にお願いいたします。そしてロードマップの方にまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

JAXA(浜崎理事)より、今後の「きぼう」利用について、資料14-1-4に基づき説明。

【藤崎主査】 浜崎理事、ありがとうございました。いろいろ御議論もあると思いますが、これにつきましては、次回の会合までにごらんいただきまして、御質問等があれば行っていただきたいと思います。

(2)宇宙科学・探査ロードマップの検討状況について

【藤崎主査】 第2議題でございますが、宇宙科学・探査ロードマップの検討状況について、稲谷宇宙科学研究所副所長からお願い申し上げます。

JAXA(稲谷副所長)より、宇宙科学・探査ロードマップの検討状況について、資料14-2に基づき説明。

【藤崎主査】 稲谷副所長、どうもありがとうございました。今御説明いただいたJAXAの開発中プロジェクトの実施状況、それから、研究中・選定中プロジェクトの検討状況、その中にはSLIM、小型探査機による高精度月面着陸の技術実証、あるいは、戦略的中型1ということで幾つかのプロジェクト、さらには太陽系探査のプログラム的実行に向けた検討状況という、三つの大きな枠組みについて御説明いただいたわけでございます。
 今のJAXAの御説明を受けて議論をする前に、文部科学省からお考えを説明いただければと思います。

【谷室長】 国際宇宙探査全体という観点で申し上げますと、我が国として国際宇宙探査にどのように取り組んでいくというある種のシナリオが必要になってくるかと思います。本日、稲谷副所長から御紹介いただいた宇宙科学・探査ロードマップは専らボトムアップの取組で、コミュニティからの意見・提案という形で出されるものと理解しております。
 本日は、取りまとめ方の基本的な考え方、方向性、それから、現状を御紹介いただいたということで、まだ作業中ということでありますが、最終的に取りまとめられた暁には当小委員会に改めてインプットしていただいて、それを踏まえて、冒頭申し上げました国際宇宙探査シナリオを作り上げていきたいと考えております。その全体像につきましては、また改めて当小委員会で御議論いただくような形で御相談させていただきたいと思っております。

【藤崎主査】 谷室長、ありがとうございました。では、各委員の方から、今の稲谷副所長の御説明に対しまして、御質問あるいは御意見をおっしゃっていただければと思います。6時に近くなっておりますが、先ほど申しましたように、きょうは若干延長させていただくという前提で考えておりますので、時間のことは別として御議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【西島臨時委員】 国民からすると、「はやぶさ」の成功は印象強く、この部分は日本の強みだと思いますが、私の認識では無事に生還したのは良かったですが、サンプルリターンという意味ではラッキーな部分があり、確実にサンプルを取るということについては余り成功したとは言えないのではないかと思います。「はやぶさ」のサンプルリターンの経験というものが、どのくらい生かされるのか、高精度とあるがどのくらいの精度なのか。また、民間ベースの技術応用というところで、かなりの地上への波及効果が見込めると思いますが、それを期待しても良いのでしょうか。

【知野臨時委員】 昨年11月の小委員会でも質問させていただいたと思うのですが、JAXAの長期ロードマップの中で月探査に関しては、SLIMの後、SELENE-2とかSELENE-3とかを検討されているという御報告を頂いております。今回のSLIMの位置づけ、SELENE-2、SELENE-3との関連はどのようになっているのでしょうか。というのは、宇宙科学研究所(ISAS)でボトムアップで上がってきたものではありますが、プログラムということをかなり意識して強調されています。そういう意味ではどのようにお考えなのかというのが1点です。
 それから2点目は、先ほど口頭でイプシロンロケットでという御説明がございましたが、資料の方には特にイプシロンロケットということが記載されていないのはなぜなのでしょうか。イプシロンとその打ち上げミッションに関しては、小型であることで早く、安くというというのが一つのうたい文句で第1号を上げたと思います。ただ、2回目の打ち上げに関しては、衛星側との調整がうまくいかなくて、予定より1年遅れてしまって、3年もあいてしまったということがあります。今回、日本初のピンポイント着陸に挑戦されるということで、このミッションのハードルもかなり上がっていると思います。そういう意味で、ロケットと探査機の調整がうまくいくのかどうか、きちんと一緒に進められるのかどうか。また、もしそれがうまくいかなくて、例えば、打ち上げが1年遅れてしまうような場合には、SELENE-2などと打ち上げ時期が一緒になりますが、その辺について組織としての考え方について教えてください。

【向井専門委員】 SLIMは工学系からきている技術実証ですが、この後にこれを使った理学系のミッション等プログラムはどのようになっているのでしょうか。

【米本臨時委員】 プログラム化について、質問があります。13ページを読みますと、各コミュニティが持っている戦略をRFIという形で抽出するというような考え方だと思います。一般に言うプログラム化のイメージは、従来ISASが中心になってきたボトムアップの対極にあって、戦略的にトップダウンで進めるものと思っていました。どうも、それとも違うようです。各コミュニティの考えを抽出するというのであれば、ボトムアップのままでやるのかなとも読めます。ここで言うプログラム化の考え方について、どのような組織を使って、例えば、従来のISASの工学委員会とか理学委員会を中心に運営するのか、別の組織を使うのかということも教えていただきたいと思います。それから、新しい組織としての宇宙探査イノベーションハブが、このプログラム化に対して、どのようにかかわってくるのでしょうか。

【藤崎主査】 ありがとうございました。では、ここで稲谷副所長からお願いいたします。

【JAXA(稲谷副所長)】 「はやぶさ」はうまくいったかもしれないが、実力はどうかということで、謙虚になってやりなさいという御指摘と理解しました。それがSLIMにどう反映されているのかですが、例えば「はやぶさ」で行った画像航法。この技術はそのままSLIMの高精度着陸というのは画像を使って照合しながら降りていくということで反映させており、直接的な過去の成果あるいは経験の反映は、それに限らず、確実にあります。その点では、「はやぶさ」に限らず、我々が持っておりますその他の探査機、例えば、「あかつき」という金星ミッションが、残念なことに現在まだ金星投入は成功しておりませんが、そこでも多くのことを学びました。このSLIMは推進系、空気のない月に着陸するためにはエンジンが必要なわけですが、そういう様々な意味での過去の失敗、あるいは、不具合の反映も含めた形のプロジェクトへの反映はやっているということを申し上げさせていただきます。
 民生へのフィードバックがあるのかということについての御質問は、なかなか難しいところでありますが、先ほど申しましたような画像を使って誘導するとか制御するということは、そういう目的のものが宇宙以外にもあれば適切に反映させるものであると思いますし、今日具体的な例について用意しておりませんでしたので、そのほかにも可能性があるかどうかということは調べさせていただきたいと思います。
 それから2番目が、従来月の探査ということで、国際宇宙探査等の文脈でSELENE-2あるいは3とかいう議論がされていたものとSLIMとの関係についてですが、宇宙科学は、国際宇宙探査、あるいは、国際間で行われる政策的外交の側面でも行われるような探査との関係は、当然のことながら、非常に強く意識しております。宇宙科学が独自に技術開発あるいは科学のミッションをするとはいえ、そういうこととは無縁であっていいわけではなくて、可能であれば、あるいは、必要であれば、そういうこととの連携を強くしていくことで、双方がwin-winの状況をつくることを考えたいということはもとよりベースの考えとしてはあります。その文脈におきまして、結果としてSLIMが選ばれて実行されるという状況になれば、その技術はそれらのミッションに国として生かすということは当然のことであると考えるところであります。
 それから、イプシロン前提ということですが、これはミッション規模を、イプシロンロケットを使ってやるという小型科学衛星という公募のフレームワークの中でやったことで、その中でコンパクトかつ機動的にできるミッションをつくることを前提としてやったものであります。その前提をひっくり返す、あるいは、試験規模なども含めて自由にやってよいということであれば、違うことをやれたかもしれませんが、ミッションの公募の段階での条件としてこれを課したものであります。
 その際に、過去の例などからして、ロケット側と探査機側あるいは衛星ミッション側とのすり合わせ、あるいは、能力や、ロケットと衛星の間の様々なインターフェースの条件などの準備不足あるいは調整不足などのために、時間がかかるとか、双方の性能が十分に発揮されないということはもちろんあってはならないことであります。我々はミッションとロケット側は一体でやるべきものと考えておりまして、過去にそういうことで時間がかかったことがあったのも事実かもしれませんが、その反省を生かす形で。少なくとも今回のミッション提案につきましては、JAXAの中の輸送の皆さんとはコミュニケーションを密にして調整をやっているところであります。
 一方で、ロケットも、開発途中のものであったり、新たな要素が加わったりするところは、その性能を保障するという立場と最大に利用するという立場がある中で、実証を重ねて性能を確定するようなところもあります。そういうところも、お互いに相手の懐に飛び込むような形で調整をすることで最適な両者の関係をつくって、使える機会を最大化するということでやっておりますので、御心配の御指摘かと思いますけれども、現在の状況はそういうことを解消すべく鋭意関係者が調整しているというふうに御理解いただければと思います。
 それから、SLIMというミッションはいわゆる工学的な実証なので、工学の実証のみの目的で、理学の応用はどうなっているのかという御指摘だったと思います。例えば、我々が新しくチャレンジングなことをやる場合に、過去の例で恐縮ですけれども、MUSES-A「ひてん」という名前の月のスイングバイの実験をして、最終的には月に到達するということをやりました。それは地球・月間の軌道を自在に調整しながらいろいろなマヌーバをするという工学実験です。その次に、GEOTAILという、打ち上げは外国に頼りましたが、地球・月の周りの磁気圏探査というミッションをやりました。「ひてん」とGEOTAILはまさに工学実証をして、完成した技術を使ってサイエンスを本格的に行うということをやったものです。したがいまして、このSLIMにつきましては、コンパクトネスと早く実行できるということで工学実証をやった上で、その後どう使うかということにつきましては、その他のミッション、もちろん月も含みますし、火星への着陸なども含みます。8ページにお見せしました形でSLIMの先駆的役割を技術実証することは、この先にいろいろな科学観測、あるいは、科学的な成果創出のためでもありますし、国際宇宙探査の文脈で、先ほどのSELENEへの後継との関係におきましても先鞭(せんべん)をつける役割をするという形で、この工学実証の結果をサイエンスの立場でも使うことも考えますし、国際宇宙探査の文脈でも使っていただくことを目指しております。その様子は8ページをごらんいただければ御理解いただけるかと思います。
 最後に頂きました御質問は、従来、宇宙科学はボトムアップで、その時々でよいミッション提案を集めて競争的に選考することで、競争に勝ち残ったものがミッションを実行できるという状況でした。一方で、そのやり方で長期の見通し、あるいは、10年20年の長きにわたって戦略を持ってやっているのか。それも一方で必要なことで、戦略がトップダウンであるか、ボトムアップで作る戦略があるのかないのか、これは議論だと思っております。一方で、我々としてはコミュニティの意向を吸い上げて、それをベースにマテリアルとして、そのものをそのままどれかを選ぶということではなくて、それを参考にしつつ宇宙科学としての実行戦略を練り上げるというのが今回の作戦であると考えております。したがって、コミュニティの考えをよく聞きつつ、独自の宇宙科学としての日本の戦略、一方で競争的にやることでよいミッションをつくり上げてきたという我々のやり方を可能であれば保存しつつ、よい両立を図ることを模索しているというのが我々の今の状況です。我々としてもよい戦略をつくるということと、競争的によいミッションをつくり上げていくということの両立を図りたいと思っております。

【牧島第一主査代理】 今、議論になっている「戦略的」という言葉の意味には、二つの面があります。一つは、学術コミュニティから上がってきた提案を実行していくにしても、個々をバラバラに考えるのではなくて、技術的・科学的にできる限り一筆書きになるよう、順番やミッションの組立てを調整すべきであるという意味です。もう一つは、ここで議論している国際宇宙探査のように、ボトムアップとは違うダイナミクスで行われる宇宙開発活動との連携のことであり、こうした異なる原動力にもとづく計画が、ばらばらに進行せず、お互いにうまく歯車がかみ合うことが重要です。「戦略的」という言い回しには、この両面があって、今その両面から検討が進んでいるという理解で、稲谷先生、よろしいでしょうか。

【JAXA(稲谷副所長)】 結構です。

【米本臨時委員】 それに関連して、宇宙探査イノベーションハブという組織との関係はどのようになっているのでしょうか。

【JAXA(稲谷副所長)】 探査ハブについての現状ですが、イノベーションハブということで、新たな探査というものをどういう形で進めていくかについて、JAXAの中の機能をどうするかという議論が現在進行中です。少なくとも私たちが考えていることは、宇宙科学という独自の塊と、今の国際宇宙探査もにらんだ形で探査のハブをつくって、両方がwin-winになるような形のブリッジをするような役目というふうに我々は認識しています。組織設計、それから、この探査ハブというのは、JSTが運営するイノベーションハブに応募して獲得するという形で、これも現在進行中であります。その進行に伴って、それが採択される、されないということの結果として、そのハブがどういう組織になるかということで今動いている最中ですので、これにつきましては、私がお答えするというよりも、少し時間を頂いて、しかるべきところからお答えするのが適当かと思います。

【古城専門委員】 日本が独自にやるのと、国際的に共同して行うことの関係を教えていただけますか。競争的な側面と、協力して行った方がコストが下がるという面があると思いますが、今お話を伺っていると国際的な共同というものも考えているけれども、それはほとんど小規模なプロジェクトベースのようにも見えます。国際的な共同に持っていく背景にはどのようなお考えがあるのかというのを教えていただけますか。

【JAXA(稲谷副所長)】 背景を少し申し上げると、米国、欧州、日本で日本が一番予算規模は小さいですが、おかげさまでこれまでの実績に鑑み、その三つが3極という形で対等に近い議論をさせていただける状況があります。その中ですら、共同で始める、あるいは、競争的に私が一番乗りをやるというマインドの両方で、外交とか戦略の文脈も含めてやるような状況はあります。それぞれの国が、自分が一番になりたいという欲求と、規模が大きくなりすぎて一国だけでは米国ですらマネージできないという状況もあります。ですから、共同でうまくやるということと、競争的に我々が一番になるということのミクスチャーの中で、どういう形でやっていくかというのは戦略として考えるべきだと。それから、国際間で計画を立ち上げるというのは非常に難しい面があって、立ち上げの同期を図るというのは、それぞれの国がそれぞれのやり方でやっているシステムが違いますので、その点でも国際協力は時間がかかったり交渉がヘビーになったりする。それぞれがそういうふうに考えていて、お互いが一番得をする、さりとて国際協力で初めて成り立つものであるようなものを目指している。背景にそういう環境があります。
 例えば、「はやぶさ」で我々は世界で初めてやりました。そうすると、その分野について我々はリードできる可能性が非常に高い。逆にまだ我々はキャッチアップをしないといけない分野も残っている。例えば月の着陸のようなものは、我々はまだ外の重力天体に着陸した経験はない。でも、米国、欧州は既にやっている。そういう場面で「はやぶさ」のような小天体を目指す場合と、月に降りる、火星に降りるという場合では、我々が相手を引っ張っていくのか、ついていくのかという関係も違います。
 そこは一概に全部に普遍的にこういう作戦であるということは申し上げにくいところで、その分野、分野で得意なところは伸ばすし、必要なキャッチアップもしていくしという、両面をやらないといけないというところがあると思います。どちらかと申しますと、SLIMについてはそこを早く我々の独自のやり方で実行して、次の展開を切り開きたいというのが考えの背景にはございます。
 その3極相手の話とは別に、それ以外の国、新興勢力と言われているような国との競争、協力はなかなか難しいところがあります。どの国というわけではありませんが、そことの関係は少し違う考えで当たらないといけないということで、国際間も相手によって違いもありますし、先ほど申しました分野によっての取り組み方の違いもありますので、その違いに応じて、我々として何が一番いいやり方であるかということを日々考えている状況です。

【知野臨時委員】 この中型、小型、多様な小規模プロジェクトのお金ですが、300億とか100~150億規模とかいうものですけれども、これは固定しなければいけないのでしょうか。つまり、これだけ枠があれば、それだけ使いたいということになると思うのですが、もうちょっと柔軟に考えることはできないのでしょうか。
 例えば、ここで書かれているように、公募型小型が機動的かつ挑戦的に実施ということになると、その要素の中には費用、コストみたいなものも入ると思います。100億円規模というのは、宇宙の関係者の方からすると安いプロジェクトなのかもしれませんが、一般からみるとちっとも安い感じはしないんですね。例えば月の着陸も、今回理学はなしに工学だけということになるのなら、その分安いお金でとにかく着陸させると。今度、理学につながるようなところにその分お金を上乗せしてみるとか、そういう柔軟な試みというのはできないのでしょうか。そういうことをやろうお考えにはならないのでしょうか。

【牧島第一主査代理】 知野委員の御質問の前にさかのぼってしまいますが、古城委員の御質問に対して稲谷先生から、国際協力にいろいろな形があるというお話がありましたので、稲谷先生の4ページを拝借し、二つ具体的な型を紹介したいと思います。
 その一つは、水星探査計画(Bepi-Colombo)で、これは日本とESAがほぼ1対1で協力をして二つの探査機を作っています。それらが段重ねの状態でアリアンロケットによって打ち上げられ、水星まで航行します。二つの探査機の一方を日本が作り、他方をESAが作っているという意味で、ほぼ対等な国際協力と言えるでしょう。稲谷先生、そう思ってよろしいですね。

【JAXA(稲谷副所長)】 はい。役割的にはそうです。資金的には大小ありますけれども。

【牧島第一主査代理】 もう一つは、X線天文衛星(ASTRO-H)で、これは日本のミッションですが、日本が求心力を持っていますので、非常にたくさんの外国がコラボレーションで入ってきています。具体的には、ESAがまず参加し、その下にフランス、英国、ドイツ、オランダ、スイス等の国が参加しています。米国はNASAを経由して参加しています。カナダも、小さい部分ですが、担当しています。このように日本をハブにして世界のたくさんの国が参加する形の国際協力もあります。

【藤崎主査】 ありがとうございます。では、知野委員の御質問について、稲谷副所長からお願いします。

【JAXA(稲谷副所長)】 数字を決めて、それが硬直的な考えにならないかという御指摘だったと思いますが、おっしゃるとおりだと思っています。一方で、青天井で計画をやってよいという話になると、これはまたこれで別な問題を起こします。この議論は、宇宙基本計画の中で書かれています。一定のリソースを割り振ってやる見積りをするために、それぞれの計画がどのぐらいの規模でやって、どのぐらいの頻度でやると、どのぐらいのエンベロープで宇宙科学の予算が実行可能な範囲に入るのか。我々としては拡大したいのはもちろんですが、制約の中でやる。100億というのは余り気楽に言う数字ではないことは自覚しております。これまでの実績を勘案しながら、これぐらいの規模のことを3年に1回、これぐらいの規模は2年に1回と、そういう形で実行することで、日本が今まで獲得してきた各分野の国際間でのプレゼンスは維持できるし、より国際間をリードするものとフォローするものとの両方が、これぐらいの規模のものがこの頻度であると実行可能になるなと、少し背伸びはあるかもしれませんが、求められている役割と、実行可能な能力を勘案した形で作った数字です。当然のことながら、そのときにもいろいろ議論があって、それより大きなものをやるような状況が出たらどうするのかということにつきましては、別の新たな合意をしてやるのであれば可能性は排除しない。ある種のスタンダードを提供するということでありますので、もちろん同じ内容で小さいミッションができればエンカレッジされることでありますし、大きなものについても別の合意をするという前提の下にそれはあり得るということで、柔軟な運用をしていくことを考えています。もちろん決めた数字の上限に張りつくようなことは本末転倒ですので、そこの趣旨は提案者の皆さんにもよく理解された形でやっていきたいと考えています。
 それから、SLIMは工学実証だけになるのかということですが、我々はSLIMが降りた後にどういう付加的な、あるいは、それをメインのミッションに乗せられないかという意味で、様々な応用を考えているところです。その中にはもちろんサイエンスの機器も載せることを検討しており、現在のロケットとのインターフェース調整状況、この辺までは確実で、この辺からは今後の検討に委ねようというような形で、付加的なミッションをどう乗せるかということも大いに検討しています。これについても、成案が出ましたら、御紹介できるものと考えております。

【知野臨時委員】 私は青天井にしないのかと聞いたのではなくて、むしろ安くできるものは、下の方に下げる方でできないのかということをお尋ねしました。日本の技術の強みはいろいろありますが、値段が高いとかよく言われたりしますので、公募型小型は1機当たり100から150億程度ですので、2機で200億から300億の間になる。そうなると、一つは50億だけれども、もう一つは200億にしてみるとか、そういうメリハリという意味でお尋ねした次第です。

【JAXA(稲谷副所長)】 おっしゃるとおりで、上だけではなくて、同じ提案を小さく持っていけたら、それはエンカレッジされるとか、サポートされますという実例を我々がつくることで、実行者の方々が、ちょっと言葉が適当ではありませんが、インフレにならないようにするというのは非常に大事なことだと思っております。一方で、機会が減れば減るほど、1回当たりにたくさん盛り込みたいと考えるので、その辺のバランスあるいはさじ加減というところで、今、知野委員おっしゃったことは我々も特に考えているところであります。同じ考えを共有していると言わせていただきたいと思います。

【向井専門委員】 1点だけ、JAXAへのお願いです。稲谷先生の今日の8ページはすごく包括的にいろいろなプログラムを一枚の構想図にまとめていて良いと思います。これはSLIMを中心に理工学系のボトムアップ研究、そして、ISSを中心とした有人宇宙技術のトップダウン的な研究が同じ絵図にまとまっています。これまではトップダウンはトップダウン、ボトムアップはボトムアップと、全くバラバラのプログラムとして説明していました。トップダウンとボトムアップの研究を同じロードマップに入れて、日本の研究施設・大学・企業が一丸となって宇宙探査計画を遂行しているということを国内外に知らせることが必要です。この絵図を見ると有人の部分は火星をターゲットにしているし、科学の方では太陽系をターゲットにしているというのがわかると思います。ですから、この絵図にある包括的に探査計画を考える構図を常に続けていただきたいと思います。

【藤崎主査】 ありがとうございました。
 今日は、稲谷副所長、ありがとうございました。また、新村先生、山本先生、梶田先生には長時間おつき合いいただきまして、ありがとうございました。
 次回会合につきまして、事務局からお願いします。

【谷室長】 結果的にちょっと時間を超過したということで、アジェンダセッティング等、事務局で不手際がございましたことをおわび申し上げます。
それから、会議資料と議事録の公開について申し上げます。宇宙開発利用部会の運営規則に基づきまして、本日の会議資料は公開となりますので、後日、文部科学省のホームページに掲載させていただきます。また、議事録につきましても、公開になりますので、委員の先生方に御確認いただいた後、ホームページへ掲載いたしますので、よろしくお願いいたします。
 次回日程でございますが、5月20日水曜日10時から、場所は今回と同じ3階2特別会議室を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

【藤崎主査】 委員の方々、そして、御説明いただきました先生方、どうもありがとうございました。閉会いたします。

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課

-- 登録:平成27年07月 --