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宇宙開発利用部会 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第12回) 議事録

1.日時

平成27年1月26日(月曜日)16時00分~18時10分

2.場所

文部科学省 3階2特別会議室

3.議題

  1. 国際宇宙探査シナリオについて
  2. その他

4.出席者

委員

主査  藤崎 一郎
第一主査代理  牧島 一夫
第二主査代理  角南 篤
臨時委員  知野 恵子
専門委員  続橋 聡
専門委員  西島 和三
専門委員  向井 千秋

文部科学省

研究開発局長  田中 正朗
大臣官房審議官(研究開発局)  磯谷 桂介
研究開発局開発企画課長  柳 孝
研究開発局宇宙開発利用課長  千原 由幸
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長  谷 広太

【説明者】
独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 理事  山浦 雄一
 理事  長谷川 義幸
 執行役  田中 哲夫

5.議事録

【藤崎主査】大変遅ればせでございますが、明けましておめでとうございます。また今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日、第12回会合でございますが、定足数等につきまして、事務局からお願いいたします。

【谷室長】本日は小委員会に所属されております11名のうち7名の先生方に御出席いただいております。運営規則に定める定足数を満たしておりますので、会議として成立していることを御報告いたします。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第の4の通り配付させていただいております。過不足等ございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。

【藤崎主査】本日は、事務局からの御報告によりますと、前局長の田中敏さんが退官されまして、新しい局長に田中正朗さんがなられたということで、御挨拶を頂く予定です。本論に入りまして、途中で中断して御挨拶を頂くことにしようと思います。
 では、第1議題といたしまして、宇宙基本計画につきまして1月9日の宇宙開発戦略本部で決定されましたので、これにつきまして谷室長の方から御報告いただきます。

【谷室長】資料でございますが、前回と同様、机上用資料のファイルにとじ込ませていただいておりますので、そちらを御覧いただければと思います。
 インデックスがついておりますが、Aのところが宇宙基本計画でございます。先ほど主査から少し言及いただいたところでございますが、1月9日に内閣総理大臣を本部長といたします宇宙開発戦略本部が開催されまして、そこで新しい宇宙基本計画が決定されたところでございます。若干おさらいになりますけれども、御紹介をさせていただきます。
 資料の3ページに、宇宙基本計画の全体につきまして、その背景等について掲げております。既に過去のものになりますが、平成25年1月に宇宙基本計画が策定されたわけでございますが、その後、宇宙政策を取り巻く環境は非常に大きく変化し、安全保障上の宇宙の重要性が増大しているという環境の変化を踏まえて、新しい宇宙基本計画が策定されました。
 内容といたしましては、新たな安全保障政策を十分に反映する、また、産業界の投資予見可能性を高めるといったこと、また、産業基盤を強化するためとされており、今後20年程度を見据えた10年間の長期計画となっております。
 細かい点については割愛させていただきますけれども、26ページの後ろに宇宙基本計画の工程表がついております。これは、年度展開を書いた工程表でございますけれども、宇宙基本計画の本文と併せて本部決定をされているものでございます。この工程表につきましては、毎年見直しをしていくこととされております。
 本文の方に戻っていただきまして、本文の15ページの丸文字の3、宇宙産業及び科学技術の基盤の維持・強化のところの最初の大きな段落の最後のパラグラフ、中ほどのところでございますが、「このような方策を通じて、我が国の宇宙機器産業の事業規模として10年間で官民合わせて累計5兆円を目指す」という予算、あるいは、事業規模が示されております。
 あと、各論になりますけれども、20ページ、当小委員会で御議論いただいております内容に関連の深いところを紹介させていただきます。これも既に何度か御紹介をさせていただいておりまして、内容的に特に大きな変更があったものではございませんが、おさらいまでに御紹介させていただきます。
 20ページの一番下のパラグラフ、「宇宙科学・探査及び有人宇宙活動」というところでは、全体の位置づけを書いております。「人類の英知を結集して、知的資産を創出し、宇宙空間における活動領域を拡大するものであり、これまで多くの我が国のプロジェクトが世界的に高い評価を受けている。これまでの様々なプロジェクトを通じて培ってきた技術力と実績をベースに、宇宙分野における世界的な成果の創出や国際的な発言力の確保等を目指し取組を進める。」とされております。最後に、「(文部科学省)」と書いておりますけれども、これは関連する担当省庁名でございます。
 それから、20ページの一番下には「学術としての宇宙科学・探査」についての記載でございます。
 21ページにまいりまして、中ほどでございますが、国際宇宙ステーションの段落がございます。これは「国際宇宙ステーション計画を含む有人宇宙活動については」という記載ぶりになっておりますが、「費用対効果を向上させつつ、我が国が引き続き宇宙分野での国際的な発言力を維持するために、将来の人類の活動領域の拡大をしつつ、技術蓄積や民間利用拡大の戦略的実施等を効果的・効率的に行われることを前提に、これに取り組む」とされております。
 共通運用経費(CSOC)につきましては、「こうのとり」2機の打ち上げに加えて、将来への波及性の高い技術によって対応するとされておりますとともに、現在御議論いただいておりますISSの延長問題に関しましては、「他国の動向を十分に勘案の上、外交、産業基盤維持、産業競争力強化、科学技術等に与える効果と、要する費用に関して様々な側面から総合的に検討を行い、平成28年度末までに結論を得る」とされております。
 また、有人宇宙探査につきましては、一番下のパラグラフでございますが、「計画が今後国際的に検討されるものであることから、他国の動向も十分に勘案の上、その方策や参加の在り方について、外交、産業基盤維持、産業競争力強化、科学技術等に与える効果と、要する費用に関して厳しい財政制約を踏まえつつ、厳格に評価を行った上で、慎重かつ総合的に検討を行う」とされております。
 特に国際有人宇宙探査につきましては、「厳しい財政制約を踏まえつつ」といった、ほかのプロジェクトについては記載のない、厳しい書き方をされていると認識しております。要するコストが大きくなる可能性がございますので、そういったところをしっかり見極めていくという方針が出されているところでございます。
 当小委員会におかれましては、ISS、それから、国際宇宙探査につきまして、この夏をめどに検討を進めていきたいと思っており、ここに記載されておりますような総合的な検討をお願いしたいと考えておりまして、事務局としてもしっかりその務めを果たしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【藤崎主査】3点ございます。1点目は、この委員会で議論をしまして考え方を昨年末に整理したわけですが、それを踏まえた上で文部科学省が宇宙政策委員会に臨まれて議論されたわけで、その考え方は反映されているという考え方でよろしいですか。
 2点目は、今言われた、当委員会がこの夏に向けてこの前出した中間報告を最終報告に進化させるわけですが、その最終報告をつくるときにはこの宇宙基本計画の枠内という前提であると。宇宙基本計画が内閣で閣議決定されているわけですから、政府がやる場合にはこの範囲内で考えると。これはそのガイドラインであるということですね。
 3番目は、非常にいい資料をまとめていただいたのですが、本資料は基本的には持ち帰りをしないで、ここに置いておくものになっておりますが、先生方のお手元にも今後置いといていただいた方が、レポートをつくる上でいいので、新しい宇宙基本計画に関連する全ての文書を先生方にお送りするか、あるいは、お持ち帰りいただくか、どちらかにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【谷室長】今御指摘のあった3点でございますが、まず1点目、当小委員会でおまとめいただきました中間取りまとめ、それから、その後の文書を踏まえまして、事務局としてこの宇宙基本計画策定の作業に参画いたしました。したがいまして、先生方に御指摘いただいた内容につきましては、これが十分かどうかというのは御議論あるかもしれませんけれども、反映させていただけたと理解しております。
 2点目は、夏をめどに、今、主査の方から「最終取りまとめ」というお話がございましたけれども、「最終」と呼ぶか「第2次」といった呼び方をするかはございますけれども、進化させていくということでございます。その際、この宇宙基本計画の枠内ということが前提であるかということでございますが、方向性については御指摘のとおりでございます。大きな方向性は規定されたものと認識しております。ただ、内容につきましては、「様々に検討する」と書かれていることがかなりの部分を占めますので、小委員会の方で御議論いただく内容がそれに応えるものと理解しております。
 3点目につきましては、御指摘のとおりと思いますので、先生方のお手元にお送りするようにいたします。

【藤崎主査】ありがとうございました。よろしくお願いします。それでは、ちょうど田中新局長が来られましたので、御挨拶を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

【田中局長】遅れまして申し訳ございません。1月16日付けで研究開発局長を拝命いたしました田中でございます。
 私自身、直前は研究開発局の担当審議官でございました。そのときは原子力を担当しておりましたので、直接、宇宙にはかかわっておりませんでしたけれども、過去には科学技術庁時代は宇宙開発課の補佐をやっておりましたし、JAXAのロサンゼルス事務所にも駐在させていただいたことがございますので、宇宙には何度もかかわらせていただいた経験もございます。
 そういう意味で、皆様方の議論をきちっと私も受け止めて進めていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【藤崎主査】どうぞよろしくお願いします。どうもありがとうございました。
 では、議題1、国際宇宙探査シナリオに入りたいと思います。よろしくお願いします。

(1)国際宇宙探査シナリオについて

JAXA(長谷川理事)より、国際宇宙探査協働グループ(ISECG)での調整状況について資料12-1-1に基づき説明。

【藤崎主査】ありがとうございました。質疑を始めますが、最初に私から伺いたいと思います。10ページに「ローバ」の絵がございましたね。次の11ページの日本の提案状況の中にもありますね。この二つは何か関係があるのですか。

【JAXA(長谷川理事)】10ページ目は、代表例として米国がアイデアを出したものだけ出させてもらいました。

【藤崎主査】これは各国からの提供が必要なシステムの能力ですか。

【JAXA(長谷川理事)】能力としてこういう能力が要りますが、具体的にはこういうメーカーが提案したものに基づき、それぞれの国がいろいろなものをやっています。絵があった方がわかりやすいということで掲げました。

【藤崎主査】12ページに技術開発の考え方というところがございますね。これをもう少し整理して、例えば無料で入手できるもの、交換によって入手できるもの、購入によって入手できるもの、あるいは、日本が逆に提供し得る技術として、国別に、例えば米国からはこういうものが交換で入手し得るとか、購入し得るんだとか、そういう観点を見た上で、費用対効果及び自主開発という観点両方から見て、これは入手できるあるいは購入できるけれども、自分の方でやった方がいいと。あるいは、これは費用対効果からいったら交換なりで入手した方がいいんだとかいうような整理はできるのでございますか。
 なぜかというと、先ほどの宇宙基本計画の議論をするときに、非常に厳格に財政状況を踏まえ云々(うんぬん)という議論が室長からも提起があって、他にないような厳しい書き方がされている。そういうことになると、ここの技術開発の考え方に費用対効果という議論が書いてなくて、「主体的・自律的に宇宙探査を行うために必須な技術開発を」と書いてあるのでございますが、恐らく我々が第2次報告をつくるときに、その観点と防衛などでもそうですけれども、自分がどうしてもやらなければいけない、変えてもやらなければいけない、つまり、これはどうしても技術開発しなければいけない。逆に、これは購入あるいは交換できるといった整理をしながらやっていく。そこら辺の内幕のところを御説明いただくことは、今日でなくても結構なんですけれども、できますでしょうか。

【JAXA(長谷川理事)】次の説明の8ページ目にそれが出てきます。

【藤崎主査】わかりました。では、そのときに伺いましょう。

【JAXA(長谷川理事)】そのときに御説明させていただいた方がいいと思いますが、1点だけ。ここに掲げたものについては、機微の技術なので実質的には輸入ができないものです。そのため、この中で調整しているうちに、日本の技術が米国の技術を凌駕(りょうが)しているということになれば、そこでバーター及び協議になるというような内容になります。

【藤崎主査】今おっしゃっているのは、資料12-1-2の8ページの表ですね。

【JAXA(長谷川理事)】はい、そうです。

【藤崎主査】この表と資料12-1-1の12ページの議論は整合するんですね。

【JAXA(長谷川理事)】はい、整合させているつもりです。
 今、主査がおっしゃっていた資料12-1-2の8ページですが、例えば無人着陸の話が出ましたので。実際には入手しようと思ってもできないので、実質的には国際協力は可能であるけれども、自分たちが持っているもの、「はやぶさ」の地形照合等の技術がそのまま生きるのですが、それを交渉の中で入れて、向こうと調整をとって日本の技術を入れ込むことができるようになると思います。
 例えば、「こうのとり」の発展形の深宇宙補給機。物資を月ステーションに送らないといけないのですが、そこは頻度が結構必要となる見込みです。そこについてもアップグレードした「こうのとり」等を使って貢献していくことで、優位性が確保できるような形になると思います。

【藤崎主査】わかりました。では、これはそのときにまたもう一度御説明をお願いいたします。

【西島専門委員】「法的に拘束されない」というところにあえて下線を引いてある。ということは、これは良きに解釈すれば法的に拘束されなく、必要に応じて、二国間でクローズドで契約を結んでやればいいし、自分の得意なものについては、例えば11ページの表で丸とか三角がついているのは、あくまでも状況によっては手を引いてもいいし、強く出てもいいという解釈してよろしいでしょうか。すなわち、先ほど言った宇宙基本計画で書いてあったように、そのときの日本の状況によってはやらなくてもいいし、場合によっては踏み込み過ぎることもあり、ということでしょうか。例えば、11ページの中で、特に私がこだわる必要はないと思うんですが、「資源抽出・精製技術」については日本も中国も抜けていますよね。場合によっては日本も中国もある意味ではここのところは必要だという思わくもあり、自分の得意な技術で対処できるというときには、ここに丸と書いてなくとも手を出してもかまわないと解釈可能でしょうか。一方、その上の部分について、さっき言った「表面移動(ローバ)」というのはどのぐらい必要かわからないので、ここは日本が手を引くこともあり得ると。そういうこともいいという意味での「法的に拘束されない」という、いわゆる紳士協定というのではなくて、必要に応じて柔軟に後の方で対応できると、全体を初めから縛らない方がかえってよいと、そういう意味合いと理解してよろしいですね。

【JAXA(長谷川理事)】はい、ISSのIGAみたいにきちっと国会を通った協定文書ではないので、クローズドで公開はしませんが、フォーラムで自由討議をしましょうと。その中で、自分たちがやりたいもの及び自分たちが戦略的に要るものは、手を挙げて言ってくださいと。それを言った上で、優位性がお互いにあって補完するのであれば交渉するというところなので、今、西島委員がおっしゃったものです。

【西島専門委員】そうすると、ISECGに入っている法的に拘束されないときの参加事業機関のJAXAの代表している人の名前はどなたですか。

【JAXA(長谷川理事)】私がJAXAの理事として入っています。

【西島専門委員】JAXAとしては理事が代表になっているのですか。

【JAXA(長谷川理事)】はい。国ごとに、長官ではなくて、探査部門の責任者がこの責任者になってくださいということになっています。

【西島専門委員】そういう形ですね。わかりました。

【JAXA(長谷川理事)】補足ですけれども、中国は去年、ISECGが終わった後で、人民解放軍の方々が積極的に入り始めたのですが、もともとマッピングの中に自分たちのミッションが入っていないので、会合の中で趣旨を踏まえた上で自分たちの嫦娥という月のミッションを入れていきたいと。こういうメリットとこういう国際貢献があるんだということを緩やかに言い始めたということがありまして、それぞれの国が持っているものが本当に価値があるかどうかはその場でオープンにしながら、協議の土台として提示するという形になっています。

【知野臨時委員】11ページの着陸機ローバに関しては、全て丸、皆が手を挙げているという状況なのだと思うのですけれども、これはどの程度調整が可能なのでしょうか。いつごろをめどに調整しようと考えているのでしょうか。みんなせっかく宇宙探査をやるなら今度はこういうことをやりたいと思っているのだろうなと想像しますが、その辺の調整はどうなっているのでしょうか。最後のページには共同開発に向けての検討とありますけれども、そういうことはどの程度可能なものなのでしょうか。

【JAXA(長谷川理事)】現時点において、重力天体は月に着陸し、調査をし、帰ってこようというのが、荒っぽいシナリオなのですが、具体的に何をしに行って、どういうふうにするかという目的を詰めた上でないと、どんな装置がどこまで要るかということは、重量を含めてわかりません。そのため、幾つかのシナリオを検討している段階の中で、その内容を踏まえた上で、中国だとこういう嫦娥とかが応用できるというような話で、すり合わせをする前段階という状態です。

【知野臨時委員】そうしますと、みんなが「どうせやるなら自分たちでやりたい」ということを言い出したら、そのまま平行線で行ってしまうかもしれない。その意味では、時間軸、タイムリミットはどの辺に想定しているのでしょうか。

【JAXA(長谷川理事)】タイムリミットは、これをいかに実現するかというシナリオというかターゲットデイによります。先ほどごらんいただきました7ページ目にシナリオ、ロードマップがございまして、月のステーションがあった上で、それを月からリモートコントロールして探査をしましょうと言っているのですが、そこまでに無人で自分たちがここまでできるということをメッセージというか、実績を踏まえた上で売り込むというのがこの辺の作戦になっているという状況です。
 なので、タイムリミットとしては、実際に月の表面の探査と合わせたシナリオが出てくる時期、2025年前後までにそれが開発できればいいというシナリオになると思います。まだ10年以上あるので、ここができたらこれを応用してという形になり、重量物で1トンだ、3トンだ、10トンだと言われるとできるのは限られますが、100 kgとか300 kgだとこの辺の多分できることになると思います。

【藤崎主査】知野委員の御議論からいくと、それはいろいろなもののシナリオが決まってから開発するわけではなくて、同時並行的に開発していくとすると、場合によっては無駄が生じるのはないかという観点があるだろうという御議論だと思いますけれども、そこら辺。つまり、一斉に手を挙げたときに相当準備ができていなければいけない。そうしないと、実績がないじゃないかと言われるという議論と。それから、今のシナリオ、タイムリミット、そのタイミングの関係を議論しなければいけないということ…。

【知野臨時委員】あと、法的拘束性がないとおっしゃったので、どこも引かなければ、うちだけでやりますとか、いろいろなパターンが出てくるわけで非常につかみにくいものがあると思います。

【JAXA(長谷川理事)】まず、ISECGの位置づけというのは、飽くまで法的な約束事を交わすまでのフォーラムという位置づけになります。なので、これに参加するとなったら、国際協定書を出さないといけないので、それまでに具体的な内容と段取りを決める時期がきます。それが第2回のISEFか第3回かわかりませんが、どんなミッションをどんな手段で何を目的にみたいな話が明確になった段階で手を挙げて決めていかなければいけない。そこまでの間で自由に意見交換及び技術的な売り込みをしましょうというのが、ISECGの位置づけだと理解していただいた方がいいと思います。
 それから、そのシナリオというか、ターゲットが決まる時期というのは、始まる10年前にはもうないといけないので、その時点で開発ができるという実力を提示しないといけません。なので、そこまでに実際の実績として示すと。いろいろなミッションが月に行ったり火星に行ったり、小惑星に行ったりしているというのが今の時点だと思います。なので、ダブりがあったら駄目なので、協定してあるミッションが決まれば、その中で役割分担が当然決まりますし、ダブりというのは通常やらないようにしますので、その中で決まっていくものだと思います。

【JAXA(山浦理事)】ちょっと補足しようと思いますが、よろしいですか。

【藤崎主査】どうぞ続けてください。

【JAXA(山浦理事)】わかりました。有人の着陸、月面移動と、無人の着陸、月面移動という活動は、何のために月なのか、あるいは、月か火星か、どこに行って何をするかによって変わります。例えば、月を例にとりましたら、月を探査する目的というのは、日本とヨーロッパ、あるいは外国で違うかもしれません。それはそれで大きな探査の目的の中で各々がどういう役割を果たすかということは、各国の意思によるもの。その意思の中で何を成し遂げるか、そのためにどんなものが要るかというところで、特に表面移動あるいは着陸というところは、各々の狙うところが一致すればそれを共有するし、一致しなければ独自にそういうものを持つ。国として自立性確保その他の認識の中で何を選ぶかということです。私見ではありますが、各国とももしかしたらどれも譲れないと思っているかもしれない。
 それが有人の着陸・移動であれば、費用対効果と言いましょうか、相当大きな課題がありますので、誰かがやってくれたら乗りましょうというようなことで、幾つかのファクターを踏まえた上で決めるべき問題だと思います。

【JAXA(長谷川理事)】すみません、7ページでもう一回整理するというか、二つに分けてお話しすべきでした。有人のミッションを行う部分は非常にお金がかかる部分で、各国協働してやらなければいけない部分と、自発的に自分たちが国でやりたい部分と二つに分けてお話をすべきでした。これは自律的にやりますので、自分たちが独自で打ち上げますが、有人のミッションの場合、月あるいは月の着陸等の部分は、人間を送り込む等々のことで非常に高額なお金がかかります。そうすると、その部分については、一国でできませんので、共同で役割を分担してやるということになります。この有人ミッションをやるときには、当然それを決めた上でスタートすることになるということを御理解いただきたいと思います。

【牧島第一主査代理】国際的に協力・協調してやっていくときに、それぞれの国が手を挙げても、実力がなければ駄目なので、結局は話合いの場につく時点でどこまで実力があるかが問われます。また今から5ないし10年で、11ページ左のような独自のミッションを進めることによって、短期間でどのぐらい有効に自分たちが技術を獲得できるプランを持っているかも、問われると思います。そのあたりはお互いどのぐらい、手の内を明らかにして議論をするのでしょうか。また、そのようなエビデンスが議論の場にどのぐらい要求されるのでしょう。

【JAXA(長谷川理事)】例えば、南極に着陸するというNASAのミッションの場合、エイムズリサーチセンターというところが軟着陸をして月の水とか探査をしようとしているんですが、そこの着陸について、米国でできない代わりに日本がやってくれないかというような意向がありました。それを二国間でやるときに、相手はどこまでできるかということを踏まえた上でやることになりますので、限られた部屋の中でこの重量でできるのか、探査の着陸の精度は云々(うんぬん)という話が当然出てきますので、実績があればあるほど信用してくれることになります。
 JAXAの場合、「はやぶさ」で小惑星にランデブと着陸したことがすごく評価されています。かつ、「かぐや」で周回し、軌道のコントロール等ができているということがあって、彼らとしてはそれをすごく認めたということで、実績があって実力があることをいかに示すかというのが交渉の内容になります。

【牧島第一主査代理】11ページの表で、日本に丸や三角がついているところで、現時点で日本はスタートラインで結構よい位置につけている項目、現状ではかなり後ろにいるけれども、戦略的に追いつきたい項目などがあると思います。それらが区別できると議論がしやすいでしょう。

【藤崎主査】そうですね。

【JAXA(長谷川理事)】次の資料の中にそれが一部出てきますので、すみません、聞いていただいて、不足があれば質問してください。

【藤崎主査】それを議論した上で、今の議論を判断いたします。

【向井専門委員】先ほどの長谷川理事の発言内容の確認です。「国際探査の枠組みとしては、ISECGの枠組みが全てではない」と思います。資料3ページのISECGでの技術的調整部分で、「国際協働による有人宇宙探査に向けては」という項目から始まっています。例えば日本が有人宇宙探査を遂行する場合に、国際協働計画と単独で行う計画の2つの選択があります。しかし、国際協働計画の方が費用対効果が良いと思われるので、日本はISECGという枠組みを使う方向で資料がまとめてあると思いますが、そういう理解でいいんですよね。
 JAXAだけではなくて、中国やその他の国々も、国際協力計画の方が得策と思えばISECGの土俵に情報を出してくるけれども、ISECGには別に法的拘束があるわけではないので、単独や二国間協力等があってもかまわない。いろいろな枠組みが考えられますが、ISECGという枠組みが一番得策と考えているので、大きな字で書かれているだけで、ISECGの枠組みのみではないという理解でいいんですよね。

【JAXA(長谷川理事)】はい、御意見のとおりでいいと思います。ただ、ISECGという14機関が参加しているところで、自分たちがやりたいものを表明しながら、周旋活動及び引っ張っていく場としては、この場が国際的にアピールし発言力を増すので。そういう意味で、中国は途中で去年から調整に乗り出したということだと思います。ちなみに、ロシアはESAあるいはDLRともやっていて、別の形をとろうとしているということもありますので、それは向井委員の言うとおりだと思います。

【JAXA(山浦理事)】二、三年前まで私は、日本の代表でやっていましたので、一言申し上げます。ISECGにどういう情報をどのレベルまで出すかというのは、各国が、それぞれどこまで出すのが得であり、どこまで出さない方がいいのかという、それぞれの思わくの中で、交渉力を強くするためにはどっちが良いかを判断しているはず。そういう思わくが国によりそれぞれ違っているはずです。ただし、去年のISEFで、ISECGの活動を尊重するというステートメントが最後の共同声明に盛り込まれましたので、これの動きについてはJAXAとしてしっかりと取り組んでいかなければいけない役割を担っているということは認識しております。

【藤崎主査】実際にはISECGという場に出す前に、NASAとかフランスとかESAとかというところといろいろな打合せをして、これをISECGに出すかということで、別にISECGがポンとあるわけではないんでしょ。そこら辺のところを少し教えていただくとわかりやすいと思うので。

【JAXA(長谷川理事)】事前の根回しをした上で、日本の場合はJAXAと、米国ではNASAと相談し、これをマルチの場に出すことによって表明できるし、日本とヨーロッパで調整した上で、これは二国間でやった方がより強力だからというのはやっています。

【角南第二主査代理】ISECGで各国の考えを理解することが重要。ここで得た情報を分析に生かし我が国の宇宙政策に反映することです。
一つ聞きたいのですが、ワーキンググループのチェアというのは、例えば輪番制のようになっているのですか。任期とかありあますか。

【JAXA(山浦理事)】私は3年前にISECGでやっていまして、当時JAXAが議長を輪番制でやりました。その中で探査の長期ロードマップを作る取りまとめをやったんですが、そのときのJAXAのチェアマンシップというのは、今日後ろに並んでいる人も、あるいは、もうリタイアした人も当時かなり頑張ってくれました。私レベルの会合は年に1回ぐらいですけれども、その下で部長か課長レベルの会合が毎月とか、更にそれを固めるためのテレコンが世界各地を結んで週に1~2回かな、JAXAがリードしました。要するに、そういうものを一つ取りまとめたというプレゼンスというのはものすごくありましたし、次にJAXAはいつごろチェアマンをするかというのも戦略だと思います。
 チェアができる国というのは、ヨーロッパ、米国、ドイツ、カナダ、日本と、そのようなところですので、立候補すればやれます。直接、先生のお答えになっているかわかりませんが、この枠組みを使ってリーダーシップを発揮すると同時に、国の政策との整合性の中で発言をするという機会を増やせば増やすほど、今後の国際協力における中心的役割をとれるのは間違いないと思います。

【JAXA(長谷川理事)】ワーキンググループのチェアマンは、アンダーラインが入っているところのように、ISSに参加している国がNASAと協議したりしてとることになります。ロシア、ロスコスモスは残念ながら一歩引いているので参加は年に1回か2回ぐらいで、実際には西側の国がステアリングしています。なので、議長については日本が必ず何年かに一遍手を挙げればできるということになります。

【JAXA(山浦理事)】ちょっと私の御説明がよろしくなかったですが、資料の図を御覧ください。ここにありますとおり議長は輪番です。JAXAも3年前にやりました。一方、各ワーキンググループのリーダー国は図のとおり固定で、これらについてはそれぞれ個別の議論をリードしている、ISS計画への参加国でございます。

【藤崎主査】まだ御議論あると思いますけれども、今までの御議論を聞いておりますと、次の探査シナリオ、同じ議題の中でございますが、田中執行役から御説明いただく予定の探査シナリオとセットになっているようでございますから、これを御説明いただいて、更に議論を深めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

JAXA(田中執行役)より、国際宇宙探査シナリオ(JAXA案)について資料12-1-2に基づき説明。

【藤崎主査】ちょっと質問でございますが、4ページで、「我が国の自立性確保のための月探査の実現」という御説明いただいたのは、我が国の月面利用における自立性確保のためのという意味でございますか。それとも、我が国が国としての自立性を確保するために月面の利用が必要だと意味でございますか。

【JAXA(田中執行役)】月の利用を進めていく上で、日本としてやるべきことを自らの判断でやれるような自立性という趣旨でございます。

【藤崎主査】ありがとうございました。議論を始める前に伺いたいんですけれども、6ページと8ページでございます。これは先ほど来議論が出ているものの繰り返しになるわけでございますが。
 日本が取り組むべき事業を以下の視点で取り上げているということで、6ページでは四つの観点を言われています。国際協働、優位性、産業競争力、持続可能性ということでございますが、宇宙基本計画、あるいは、前の私どもの議論でも考えなければいけない視点として安全保障とか費用対効果ということがあって、そういう観点から、例えばここに書いてある優位性というのは単なる技術ではなくて、費用対効果も含めたものである、あるいは、持続可能性というのは予算プロファイルの中で相対的に実現可能であるから、予算ということは費用対効果も考えたものであるということだろうと思うのでございますが、考え方として整理するときに、戦略的に日本がどうしても持っていなければいけないもの、あるいは、費用対効果でこれをやることは適当であると。文言の問題かもしれないけれども、そういうことをどこかに入れておいた方が理解はしやすいのかなという感じがいたしました。
 それから、8ページの各表については、ざっくりとこういうもの、三角にする場合があるからあれなんですけれども、まとめるときに、これの一部は日本が非常に強いと。しかし、NASAがこういうものを持っているので、協働してやるというものはないのか。これはこういうくくりで全部整理できてしまうものなのかがよくわからなかったのでございますが、これはいろいろな技術があってそれはできないのでございますか。こういう大きなくくりで考えるのでございますか。

【JAXA(田中執行役)】最初に御指摘いただきました取組の検討の視点のところでございますが、藤崎主査の御指摘のとおり、安全保障とか費用対効果を考えた優位性とか持続可能性ということも我々は意識してまとめているつもりですけれども、少し言葉足らずかもしれません。その点これから検討して、これらの位置づけを見直していければと思います。
 それから、8ページの優位性について、全体で判断するのか、一部分で判断できるのかという御指摘だと思いますが、ここで書いておりますように、非常に大きな主要エレメントをざくっと示させていただいております。例えば補給機一つにしても、その中でも様々な要素、日本が得意なところとほかの国が得意なところの組合せで最適なシステムをつくっていくことになります。そういう意味では、最終的な判断をしていく上ではこういうようなモジュール、様々な主要要素の内容をきちんと分解して、全体としてどうするかというような検討をしていく必要があると思っております。

【藤崎主査】一言で申しますと、コアな部分は戦略的に我が国としてどうしても維持せざるを得ないけれども、費用対効果という観点から協力できる分野はできるだけ協力していくんだと、そういう二つの組合せの考え方であるというと、いろいろなところで通りやすいという観点があるのでそういう点を申し上げました。
 すみません、これから議論を開きたいと思いますので、皆様方よろしくお願いいたします。

【牧島第一主査代理】13ページのまとめの一番下に、科学的成果の最大化ということで学術コミュニティとの連携が入っているのは結構なのですが、是非お願いしたいのは、学術コミュニティとの取組を、ただ単に科学的成果の導出だけではなくて、もっと構造的にプログラム全体に適用していただきたいことです。これから先の技術開発を担う主体は三つあって、一つはJAXAを中心とする、ある意味では官、二つ目が企業を中心とする民ですが、そこにもう一つアカデミックなセクターがあります。全国の大学や、JAXAの中でも宇宙科学研究所は、官とも民とも違うマインドで動いています。
 今こういう議論がこの場で行われている同じ時期に、アカデミックなセクターでは惑星探査を日本はどのようにやっていくか喧々諤々の議論や、多少は堂々巡りの議論が続いています。そちらの方は主に、宇宙基本計画で書かれた「一定枠」の予算をどう使うかという議論なのですが、一定枠の中でイプシロンロケットを使うだけでは決して十分な探査ができず、どうすべきかという悩ましい議論が続いています。ところが困ったことに、そちらの方の議論には、今日この場のような議論が全く伝わっていないのです。
 今日の話を拝聴しても、アカデミックセクターの話と読める部分はあるのですが、そのボトムアップの力にどの部分を任せるのか、戦略的に打ち出していただいた方が良い。善意に解釈すると、JAXAヘッドクォーターとしては、サイエンスのことは科学者に任せて余り踏み込むべきでないとお考えかもしれないですが、費用対効果を高めるためには、お互いにもっと踏み込んだ議論をしなければいけない。
 そういう意味で、我々研究者も心が狭くて、政策的ミッションが上から降ってきても、お金がひも付きなのが嫌だという、ある種のアレルギーが伴ってしまうのですが、それはよくないことです。限られた予算をどうやってうまく使うか、それぞれの立場でお互いに協力しながらやっていく必要がある。「はやぶさ2」は政策的な形で出発しましたが、それを研究者が受けて、幸いいい形で進めることができました。そうした進め方は可能であると思いますので、是非お互いにもっと自分たちの取り組みを宣伝し、情報流通の場を増やすべきでしょう。科学者に対しても、私が責任を持って、「そういう狭い心では駄目で、政治的なことも、清濁併せのんで取り込まなければいけない」と説得するつもりですので、是非そのあたりも、しっかりと考えていただきたいと思います。

【藤崎主査】大変大事な視点だと思いますので、よろしくお願いいたします。

【西島専門委員】2点あります。1点目は、私もよく使うのですが、8ページにある産業競争力で、「他産業への波及効果大」と書くと、何かわかったような気持ちになるのですが、この辺は、今すぐに思いつくような産業への波及効果というのではなくて、かなり広いところまで見据えて、という解釈だと思います。したがって、今ある成果をどうやってうまく見せるか、広報活動をするかという努力が重要です。これについては、JAXAはこれまで十分やってきたと思っていると思うんですが、ちょっと離れた産業から見るといまだにかなり敷居が高い。そういうところでは「波及効果大」と書いたほどには効果が生まれないので、その辺は是非、言葉はきれいですけれども、出るような形で努めてほしいです。
 もう1点は、わかりやすく言いますけれども、例えば宇宙の場合は、波及効果として国民、特に青少年の夢への期待というのがあるのですが、今の月というものをかなり具体的に考えているという意味で、例えば青少年から「日本人が月面に立つのはいつですか」と聞かれたら、JAXAとしてはどのように答えるつもりでしょうか。当面無人で、後方支援するけれども、「日本には宇宙飛行士を運ぶ手段もないし、日本人が宇宙に立つのは大分先だよ」というふうに言うのでしょうか。どのように答えるつもりでしょうか。

【JAXA(田中執行役)】最後の日本人が月面にいつ頃立つのかということでございますが、我々がビジョンで書いていたのが、5ページ目で示していますように、当面は、科学的価値の創出のために科学探査をやっていこうとしています。これはどちらかというと無人、まだ人が行っていない活動です。その後、国際宇宙探査等の活動の中で、人が月周回での深宇宙居住モジュールでの滞在や、更にその先として月面に人が短期に下りていくというような活動を想定しています。そして、20年後ぐらいかと思いますが、国際的な有人月面探査をやるときに日本人も一緒に降りたいというのが一つ大きな目標です。

【西島専門委員】わかりました。なぜ聞いたかというと、さっきの費用対効果という話はありますが、国のステータスを考えるとある程度の予算はどんどんつけるべきだと私は思っているのですが、現実にはかなり厳しい。であれば、厳しい状況の中で、優先順位を踏まえて精査すべきでしょう。しかし、そういう厳しい予算で対応していくと、日本人が月に立つチャンスもだんだん遠のいていくんだよというような、夢をなくすわけではないですが、そのような現実的なところも踏まえて発信すべきでしょう。つまり、国のスタンスとか青少年の夢という視点から見ても、国は一定の額を宇宙に投じなければいけないと感じます。そういうような部分も議論しないと、理詰めだけでいくのではなく、夢の部分もあるんだということを知っておかないといけないのではないかと思って、あえて発言させていただきました。

【JAXA(山浦理事)】基本的には、人類がいつ月面に到達して短期滞在、それが1週間なのか1か月なのかはありますが、人類がいつ行くんだということとイコールだと思うんですね。そのときに日本は決して日本人の宇宙飛行士が行くというチャンスを逃さない。そこにはその一員として必ず参加する、その前提です。そのときに、計画の中で中心的な役割を果たし、みんなからリスペクトされるようなあるシステムを提供する、それは探査に不可欠なものを提供するということ。それが一体何であるかというのが課題です。その技術力をどういうステップを踏みながら何年までに獲得していくのかを示す、その青写真を描くというところが宇宙機関としての役目だと思っています。

【藤崎主査】到達という意味では、もう人類は到達していますよね、40年前に。

【JAXA(山浦理事)】ただし、あえて申し上げると、今その技術力は米国を含め再構築の必要があると思います。今日必要な技術力というのは、いわゆるアポロ計画のように冒険家が何人かで行ったという種類のものではなく、世界各国の宇宙機関の職員として仕事をする宇宙飛行士が、安心していき安心して帰ってくるもの。そのために必要なシステムとして、今ようやくロケットと宇宙船を米国で作り始めたという状況です。「技術力」というとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、そういったところをしっかりとやるために必要な技術を再構築して、最新の技術をもってどうやるかというシステム構築から始めないといけない。その中には財政事情もあると思います。

【知野臨時委員】基本的な質問で大変恐縮なんですけれども、8ページにあるものは、先ほど御説明いただいた国際宇宙探査のロードマップを受けて、日本としてというか、JAXAとしてこういうことをやりたいと、そういう位置づけなんでしょうか。

【JAXA(田中執行役)】はい、そういう考えで整理しております。

【知野臨時委員】最初のシナリオ、ロードマップをみますと、確かに発展可能な深宇宙居住モジュールというのは線で囲んで入っているのですが、深宇宙補給機は当面計画なしと書かれていますよね。この辺は、日本としてこれを提案していきたい、当面計画はなくても日本として提案してやりたいんだと、そういうことなんでしょうか。

【JAXA(田中執行役)】この深宇宙補給機の当面計画なしと書いているところは、今、我が国も含めてほかの国では具体的な計画が設定されてないと、必要だということは認識されているんですけれども、各国具体的な開発等が進められていませんという趣旨です。
そういう中で、「こうのとり」の技術等を発展させて、日本として優位性を生かして取り組んで貢献していく事業として整理しております。

【知野臨時委員】「こうのとり」の優位性を生かすというのはわかるのですけれども、これは巨額な費用もかかるし、実現もかなり大変なものだと思うんですね。他国も含めてそういう計画がない中であえて提案していく。ここに、深宇宙補給機に関しては産業競争力等に寄与とか継続的需要があるということを書かれていますけれども、継続的需要というのは飽くまでこういう計画を日本がやれば「こうのとり」と同じようにメーカーに発注できるかもしれないけれども、それは本当の意味で20年後、30年後の産業競争力と言えるのかどうか。飽くまでそういう注文をメーカーに出せるという話なのではないでしょうか。

【JAXA(山浦理事)】我々としてある想定を置いてこういった検討をしないといけないということがあります。そのときの想定というのが、まず我々自身全部独自でやれるかというとそれはない。そうすると国際協力が前提になる。その国際協力の中で我々が国際パートナーの間で信頼されている部分はどれかということと、今までの経験の中で生かせる技術は何であるか、あるいは、想定するシナリオとしてあり得るシナリオは何であるかという中に、我々の宇宙機関として持っている知見を動員して考える。
 そのときに人類が宇宙空間で活動する上で必ず補給するものがある、それは何であって、どれくらいの量を運ぶかと、それはこれから考えないといけないし、まさに国際間の協働シナリオ作成の中で、それがバイラテラルか、マルチラテラルかわかりませんが、そういうものとして我々は早くシナリオとセットで検討していく必要がある。ただし、これを概算要求としていつ出すというフェーズよりも、まずはシナリオの中で皆さんに「こういうものを想定していますよ」というのがこの表です。
 したがって、あとはそれをどう生かしていくかというところで、「こうのとり」の発展形というのが、そのままそっくり地球周回軌道上での宇宙利用の中に生かせるのか、あるいは、その中で使うコンポーネントが衛星の産業競争力に寄与するかもしれないと。結局は宇宙で使う部品でありコンポーネントであり、あるいは、もしかしたら大がかりな設計手法の革新をここに適用するかもしれないし、あらゆる可能性を考えているということです。

【知野臨時委員】そうしますと、逆にこういう計画を立てないことには、「こうのとり」で培った技術なり、あるいは、部品をつくる能力というものは途絶えてしまうのではないか。それを途絶えさせないためには、今考えられる最良のものがこれであると、そういうことでしょうか。

【JAXA(山浦理事)】途絶えさせたくないからこれをやるというと少し本末転倒に聞こえますけれども、知野委員のおっしゃっている趣旨はもっとポジティブなメッセージと言いましょうか、確認だと思うんです、私は。我が国の強みを国際的協働事業の中で生かしていく上で、これは必須の技術であると、発展させるアイデアは幾つもあると思っています。

【向井専門委員】3点あります。初めに、4ページの大きな枠組みでは、「本来日本が持つべき基本スタンス」が書かれています。それに続いて、「JAXAの方向性」が書かれていますが、先ほど牧島先生が指摘されていた学術や基礎研究には言及していません。例えば、JAXA案では国際枠組みで日本人を飛行させると書いてありますが、そのための基礎研究の必要性は書いてありません。JAXA案では技術的要素が中心です。また、13ページのまとめでは、JAXA案の表現が消えてしまって、「日本の宇宙探査の取組方針」と、ここで「日本」にすり変わっています。つまり、「日本が本来やるべき内容」とJAXA案にギャップがあります。このギャップは文部科学省案で埋めるのでしょうか。
 次に、8ページで、有人ロケットや補給機の技術的な開発は書いてありますが、有人技術の観点の開発要素が全く書かれていません。例えば、4ページに「日本人宇宙飛行士を飛行させる」という目的が挙げられているので、この最後の項目に「日本人を月面に立たせるために必要なライフ系、医学系の研究をする」という項目を入れるべきと思います。その項目を入れることで、日本が技術面だけではなく、有人宇宙探査計画をライフサイエンスの観点もいれて総合的に考えている姿勢が示せると思います。
 3点目は、先ほど長谷川理事が説明された初めのISECGの資料の11ページを見ると、宇宙服は日本に丸がついていません。ところが、2番目の資料の最後のページ【参考5】を見ると、「有人の滞在」というところで、ちゃんと宇宙服が「地上研究」という形で入っています。JAXA案では「火星は当面、無人計画のみ」と言うものの、ISECGの枠組みで行うと宇宙服などの有人技術に関する基礎研究が必須となります。有人火星計画に関しては、有人宇宙技術の基礎研究であっても日本は参加しないのか説明していただきたいと思います。

【藤崎主査】いずれも大変重要な点でございますから。第1点の問題はJAXAにお答えいただいた方がいいのか、文科省の問題なのか。むしろ文科省から伺った方がいいかもしれませんね。

【谷室長】第1点についてお答え申し上げます。最終的には日本としてのシナリオという形でまとめていく必要があって、今のJAXA案、それから、日本としての取組という関係から言えば、日本としての戦略の中で、あるいはシナリオの中で、JAXAが果たすべき役割がきちんと明示されることが必要だろうと思っております。恐縮ですが、今日の資料についてはそこが十分整理されてないところがあるかなと思っております。
 先ほど宇宙科学のところで差の部分があって、ここに十分書かれていないものがあって、文科省案というのがあるのかということでしたけれども、最終的には文科省案と言いますか、こちらの委員会でまとめていただく中に、きちんと宇宙科学の観点からどういうことをやるべきか、それは国際宇宙探査という文脈の中で、宇宙科学としてどういうことをやるべきというものが含まれた全体のシナリオが書かれるべきと考えておりますが、そのインプットは、恐縮ですが、まだ十分できていなくて、特に月に関しては月科学のコミュニティ、惑星科学のコミュニティは月科学についてのロードマップを検討されている。今、牧島先生から御紹介があった研究会で議論されているのがそのロードマップと理解しております。それがある程度固まった段階、あるいは、検討状況について機会を捉えてインプットさせていただいて、それと技術的な例えばアイテムの絞り込み等と連動させる。そのための技術、そのためのアイテムという形で全体の内容を書く必要があるだろうと思っております。

【藤崎主査】第1点の場合には、文科省でもなく、内閣府全体の方針なわけですけれども、それは今の宇宙基本計画にあって、それをどういうふうに文科省として文科省の分野からサポートしていくか。そして、それをどうやってJAXAとして反映していくかという、3段階があるわけですね。資料はそれが1段階と3段階が一緒になったような形になっているから、向井委員御指摘のとおりだと思います。
 第2点と第3点についてJAXAの方からお願いします。

【JAXA(田中執行役)】第2点は、月面での滞在技術の研究開発、地上の研究というのを、どういうふうに取り組んでいるのか、入れるのかということでございますが、21ページに書かれていますように、有人滞在に向けた地上研究も当然含んでいると我々は認識しております。
 あと、8ページにあります深宇宙居住モジュールでの様々なECLSSとか放射線防護の要素技術の開発、それから、そこで行う有人滞在技術の研究という位置づけで、滞在技術については取り組んでいきたいと思っています。
 それから、最後のまとめのところでJAXA案との記述が抜けてしまいましたが、これ全体をJAXA案として書かせていいただいています。最終的には、JAXAのやることだけではなくて、日本全体としてはどうしていった方がいいかということを御提案させていただくというスタンスでございます。
 それから、宇宙服についても、地上研究は進めていこうということでやっております。

【JAXA(長谷川理事)】21ページの見方だけちょっと補足させてもらうと、これはISECGのロードマップに書いてある話で、日本がやるというよりは、全体の中でやっていきましょうという意味なので、誤解のないように。

【藤崎主査】これは日本ではないのですね。

【JAXA(長谷川理事)】はい、探査もそうですし、宇宙船もそうなのですが、全体の中のです。御参考までに。

【藤崎主査】さっきの第1点の関連で言われた、日本人を立たせるという観点からの議論はどういうふうにするんですか。これは西島委員からもあったし、こういうものが視点としてあるのかないのかという議論ですが。

【JAXA(長谷川理事)】あります。5ページに「20年後に月面の短期滞在」と書かせていただいているのですが、20年後に国際的に宇宙飛行士を送り込もうというのがもともとです。12ページの下半分で、深宇宙モジュールとか、技術を確立して日本の自律性をやりますというのが2行で、その下の「ISS及び深宇宙拠点における」というラストセンテンスですけれども、「長期有人滞在実証に当たっては、日本人宇宙飛行士の滞在を実現する」という方向に持っていくというのが我々の基本的スタンスです。
 ですので、国際的な月探査ステーション、及び、もしかしたら着陸するかもしれませんが、その中に日本人が必ず入っていただいて、国際的なアピールは、常にプレゼンスは出したいというのがJAXA案でございます。

【向井専門委員】そうであれば、8ページの「事業の主なるエレメント」の最後に、「日本人の月滞在を可能にする」と入れると、人間の要素が入り、この表が本当の意味で有人宇宙技術を総合的に考えた表になると思います。

【JAXA(長谷川理事)】わかりました。それを採り入れて検討したいと思います。

【続橋専門委員】いろいろ見ていて若干違和感があるのは、「産業競争力」という言葉でひとくくりにしていることです。例えば「こうのとり」のように現行の輸送能力の競争力を強化するという話と、それで培ったいろいろな技術が他の産業に波及して、産業の競争力の強化につながればいいという話があります。また、新しい市場を創るのか、今の市場を拡大するのかというのが、混在しているような感じがします。それが「産業競争力」という言葉で、8ページの評価指標のところに入っています。むしろ「競争力」というのを使わないで、「産業への影響」として、現行の宇宙産業の競争力を打ち上げ数を増やすことでつける。基盤の強化の側面もあります。あるいは、将来の市場を創出する、他の産業の技術・基盤を強化するというふうに分けた方が良いと思います。「競争力の強化」が重要ということですが、「産業」というのは、宇宙産業なのか、宇宙産業が波及した全体の産業なのか、その辺のところが混在しているので、分けた方がいいと思いました。

【JAXA(田中執行役)】ありがとうございます。産業への影響として分けて整理すべきとの御指摘は全くそのとおりで、JAXAは、この議論に限らず我々の行っている事業全体に共通する視点として、検討をしていきたいと思っています。

【牧島第一主査代理】今日伺った意見の中で一番インパクトがあったのが、先ほどの山浦理事の御意見です。少し言葉を和らげて、なぜ40年前に有人月着陸ができたのだろうかと思います。材料、通信、制御、ITなどの技術は、いずれも現代に比べれば圧倒的に劣っていた。当時ようやく四則演算の電卓が現れ、理系の学生だった私は「これで丸善の7桁対数表を持ち歩かずにすむ」と思い、もう少し年上の世代は計算尺を使わなくてよくなったと感じた、そのぐらいの時代でした。そんな時代に月着陸ができたのは、それが米ソの冷戦の代理戦争のような役割をもち、費用対効果を全く考えなかったことが、一番大きな要素なのでしょうか。

【JAXA(山浦理事)】国家の意思だったと思います。意志があるからこそリソースを投入して、期限を設定してやり遂げたということだと思います。

【角南第二主査代理】産業競争力ということであれば、相対的な位置づけも非常に重要だと思います。それはISECGの場であってもお互いにどこで優位に立つかというような視点が必要です。
 今後の議論の中では、各国の戦略ももう少し踏まえることが重要ではないでしょうか。せっかくISECGの場で議長をやっているという意義も、そういうところにあるのかなと思います。

【JAXA(山浦理事)】先ほどの向井委員の三つのうちの1番目ですけれども、当然、国が決めることですけれども、我々はその中で国家が判断するための材料を、我々でなければできない能力を使って提示するというのが役割だと思います。それは技術論だけではなくて、今ありましたような、各国が何を考えているかとか、我々だったらこうするとか、我々がこうすれば日本人宇宙飛行士はその中の一員として月に送れるとかです。それだけではなくて、国全体としてどうあるべきかという、我々としての提案するシナリオは当然あっていいと思い、このような仕事をやっています。我々は提案できる宇宙機関として進めていくというのが、今、経営トップを始め我々の意識ですので、こういう活動は是非続けていきたい。待ちの姿勢はしたくないと思います。

【藤崎主査】そのことについては全く誤解はないです。提案していけないということでは全くないのですが、資料をつくったときに、提案と日本政府の政策が、どちらがどうなのかということがごっちゃになっているところで、整理をお願いしたいということを申し上げただけです。
 では、この議題はまだ御議論があると思いますが、ここでとりあえず了いたしまして、次の議題と、2月6日の点につきまして、時間もほとんど過ぎておりますので、手短に事務局からお願いいたします。

(2)その他

谷室長より、Google Lunar XPRIZE及びHAKUTOについて参考資料1に基づき、平成27年度文部科学省宇宙関係予算案について参考資料2に基づき説明。

【藤崎主査】ありがとうございました。では、次に相模原について御説明いただけますか。

【谷室長】小委員会としての日程は御相談させていただいた上でつくらせていただきますが、2月6日にJAXA相模原キャンパスと調布航空宇宙センターにおいて、宇宙探査に関係する現在の取組状況についての施設と研究内容をごらんいただくことにしております。
 スタートは13時でございます。12時50分にJR淵野辺駅に集合していただければ、研究所まで御案内させていただきます。終了は17時半ごろめどでございます。行程は、念のため後ほど併せてお手元に届くようにいたします。

【藤崎主査】よろしくお願いします。申し訳ございません、時間をオーバーいたしましたが、きょうはいろいろ突っ込んだ議論ができて非常に良かったと思います。
 今後の日程は結構ですけれども、どういう点を議論するかの大きいところだけ、谷室長からお話しいただけますか。それで終了したいと思います。

【谷室長】大きく二つございます。一つは、ISSの関係では大きな方向性を出していただきましたけれども、CSOCという共通システム運用経費の分担の在り方について、NASAと完全なセットをする段階にはまだ至っておりません。これについての調整状況、あるいは、考え方、方針を明確にしていただく必要があると思っておりまして、この点についてまず議論をお願いしたいと思っております。
 それから、国際宇宙探査につきましては、既に縷々(るる)御議論いただいておりますこの内容を、戦略シナリオという形で、日本全体としてどうあるべきかということについて具体化を図るということを御議論いただきたいと思っておりまして、夏を一つのめどとして報告書という形でまとめていければと考えております。

【藤崎主査】今日はどうもありがとうございました。JAXAの方々もいろいろありがとうございました。
 それでは、先生方、どうも御苦労さまでございました。ありがとうございました。失礼いたします。

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課

-- 登録:平成27年03月 --