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宇宙開発利用部会 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第10回) 議事録

1.日時

平成26年11月12日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 15階特別会議室

3.議題

  1. 新宇宙基本計画の策定に向けた検討状況について
  2. 月探査の意義について
  3. 国際宇宙探査の長期ビジョンについて
  4. その他

4.出席者

委員

主査  藤崎 一郎
第一主査代理  牧島 一夫
第二主査代理  角南 篤
専門委員     古城 佳子
臨時委員     知野 恵子
専門委員     続橋 聡
専門委員     西島 和三
専門委員     向井 千秋
臨時委員     米本 浩一
委員        渡辺 美代子

文部科学省

研究開発局長  田中 敏
研究開発局開発企画課長  柳 孝
研究開発局宇宙開発利用課長  千原 由幸
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長  谷 広太
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室補佐	神部 匡毅

【説明者】
大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻准教授  佐伯 和人
独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 理事   長谷川 義幸
 執行役  田中 哲夫

5.議事録

【藤崎主査】時間になりますので、第10回の国際宇宙探査小委員会を開催したいと思います。お忙しいところ、お運びいただきましてありがとうございました。
 では、事務局の方から、事務連絡をお願いいたします。

【谷室長】事務局の方から、本日の会議に関しまして事務的な確認をさせていただきます。
 本日、渡辺委員が少し遅れていらっしゃいますが、10名の先生方に御出席いただける予定でございまして、11名の委員のうち10名のご参加ということで、運営規則に定める定足数を満たしておりますので、会議として成立していることを御報告申し上げます。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。お手元に、議事次第をお配りしておりますけれども、4. 資料というところに書いておりますとおり4種類用意させていただいております。
 資料10-1、新「宇宙基本計画」の素案、資料10-2として月探査の意義について、それから資料10-3として国際宇宙探査の長期ビジョンについて、それから参考資料1としてシグナス補給船の打ち上げ失敗についてというものをお配りしておるかと思います。過不足がございましたら、事務局の方にお申しつけください。

(1)新宇宙基本計画の策定に向けた検討状況について

【藤崎主査】それでは、第1議題に入りますが、現在、宇宙政策委員会等で議論されている新「宇宙基本計画」の策定について、谷室長の方から御報告いただきます。

事務局(谷室長)から、新「宇宙基本計画」素案について、資料10-1に基づき説明。

【藤崎主査】どうもありがとうございました。
 今、パブリックコメントをやっているということでございますが、今後の見通しとしてはどのように考えるとよろしいのですか。

【谷室長】これは、21日までパブリックコメントに付されるということでございまして、それから、先ほど申し上げました工程表についても恐らく同様にパブリックコメントという形になろうかと思います。
 12月には、宇宙開発戦略本部の会合が開かれて、そこで決定をされるという運びになろうかというふうに理解をしております。

【藤崎主査】この作業が行われているということで、私どもの考え方をインプットすべく、この前、委員の方々に御協力を頂いて、非常に短時間の間に効率よくまとめたわけでございます。委員の方々、御協力いただきまして、どうもありがとうございました。
 当委員会のこの考え方は、この宇宙基本計画の担当部局である宇宙戦略室には伝えられて、それで、それも踏まえてこの作業は行われていると理解してよろしいですね。

【谷室長】そのとおりでございます。

【藤崎主査】皆様方、何かこの今の御説明でございますけれども、重要な点でございますが何かご意見があれば、この基本計画の作成について。何かご意見があって、これを知りたいということがあれば遠慮なくおっしゃってください。
 当委員会の考え方は伝えたということでよろしゅうございますか。
 それでは、この議題1はこれで了しまして、議題2に入りたいと思います。
 議題2につきましては、大阪大学佐伯和人先生の「月探査の意義について」ということで、今日は、御説明いただくということになっております。いらしておりますので、よろしくお願いいたします。

(2)月探査の意義について

佐伯准教授から、月探査の意義について、資料10-2に基づき説明。

【藤崎主査】どうもありがとうございました。
 時間の関係もございますが、若干の質疑応答を行いたいと思います。
 ちょっと、私の方から。
 最後に中国の話をされましたけれども、この月をステッピングストーンとして使っていこうということは、大体かなり多くの国が考えているようでございまして、さっき月研究会というのがございましたが、月について学者の間で国際的な形での連携みたいなのはございますか。
 それから、もう一つ、米国はもう今、月をステッピングストーンと余りしていないというような議論がございますけれども、そこら辺のところはどうなのでございましょうか。

【西島専門委員】分化というのは面白いのですが、簡単には言えないと思うのですが、資源として本当に月は魅力あるのでしょうか。どうせ探査を行うならば資源が期待できるところが良いと思うのですが、本当に月というのは資源としてそれほど魅力あるのかが、もう一つ見えないのですね。つまり、レアメタルの問題とか、それから地球は資源が枯渇すると言いますけれども、たまたま掘っているところが枯渇するだけの問題じゃないかという人もいるので、その辺の問題。
 それと、月と火星の魅力っていう場合に、私の個人理解ですけれども、月はもう大分前に人が到達して、正直言ってチャレンジという意味では魅力に乏しい。どうせ行くならば、火星に行った方が人を送ったときにはそれだけの達成感というか、壁が高いということで魅力あるというので、月と火星はそういう違いもあるのかなと思っているのですが、それについて。

【角南第二主査代理】ロードマップはこの夏から検討されているということですが、大体いつごろまとめられるのでしょうか。

【知野臨時委員】まず17ページの説明のときに、南極の2か所で通信できるところを諸外国も探査機を降ろしたいと狙っているという御説明でしたけれども、具体的にどういう国がいつごろ何を狙っているのでしょうか。それと、22ページの科学コミュニティをまとめる活動で、SELENE-2着陸地点検討委員会で、着陸地点を提案したとお書きになっていますが、具体的にどこを提案されたのですか。

【藤崎主査】他にございますか。もう五つぐらいございましたので、ここで簡単にお答えいただいて、もし2回目があればいたしましょう。

【佐伯准教授】まず、他国の学者との交流についてですが、学者レベルは、常に「かぐや」の段階から、「かぐや」が面白い、例えばたて穴を撮ったときには、次のルナ・リコナイサンス・オービタのときに撮影してもらうようにデータを送るとか、それから出てきた情報とかをそれぞれデータを交換し合って議論をしたりとか、そういう研究レベルの交流というのは常にございます。
 それから、探査の企画レベルというものも、最近は国際協力探査という言葉が非常に多くなっておりますので、自国だけではできない探査の部分をセンサーとか着陸装置とか、それぞれ得意な国に分担してというような議論は、計画段階からよく行われておりますので、そういう技術レベルというか計画レベルでも交流というのは、非常に盛んに行われているというふうに考えております。米国は、余り関心のないそぶりを見せておりますけれども、実は科学的な意味では非常に重要な探査を矢継ぎ早にやっておりまして、ルナ・リコナイサンス・オービタもそうですし、グレイルもそうですし、非常に重要な成果を次々と上げています。 なので、米国は本気じゃないかというと、私はそうではないと思っています。恐らく、中国が有人探査を始める直前ぐらいには、国民レベルでも大騒ぎになると思っております。
 それから、分化という意味で月と火星を比べた場合に、火星の方がサイズも大きいですし、海が存在したということもありますので、間違いなく火星の方が資源という意味では面白いと考えております。
 ちょっと今回説明不足だったのは、資源というものは地球に持って帰って使う資源ではないということを言い忘れておりました。月で使う資源というのは、月そのものを開発するものに使うということと、それから月から火星に行くときに使う資源という意味合いですので、そういう意味合いにおいては、月の資源を使うという意味合いが大きいと思っております。
 それからロードマップですが、今年中にはある程度のひな形みたいなものはつくりたいと考えております。そのひな形を科学コミュニティに披露しまして、これからいろいろな御意見を頂きながら、ブラッシュアップしていこうというようなところですので、目標としては早期にということなのですが、余りにもたくさんの学会が絡むことなので、実際に安定した解に落ち着くかどうかというのは、チャレンジであります。

【知野臨時委員】南極に各国が狙っているというのは、具体的にはどの国がいつごろどういうものを降ろしたいと狙っているのでしょうか。

【佐伯准教授】南極は水資源のこともありまして、米国の極地の着陸探査計画であるとかロシアの探査計画とかが近々に計画されているのですが、それらが着陸する場所となりますと、必然的に極地地域は日照条件が厳しくなりますので、日照率の高い地域が選択されることになろうかと考えております。具体的にどこということが、まだ発表されている段階では確かにないと思うのですが、高日照率領域、選択肢としては基本的には高日照率領域が選ばれて、ただ、高日照率領域は地形的にはやや急峻(きゅうしゅん)な難しいところなので、それらの着陸技術との兼ね合いで、高日照とその地形の着陸のしやすさということのバランスで、今各国が選択をしているというところだと思います。

【知野臨時委員】近々とおっしゃったのはどのぐらいの近々ですか。

【谷室長】恐縮でございます。次のJAXAの方で用意をしていただいている資料の中にちょっとございますので、その点は後で。

【知野臨時委員】わかりました。では、最後にSELENE-2の検討会で実際提案されたところを教えてください。

【佐伯准教授】SELENE-2のときには当時の制約として中低緯度の表側という制約がございましたので、全部で10か所ぐらいの点の地点に絞り込んで、更にその中からある程度確度が高いと言いますか、技術的にも成果が上げられそうな5か所というものを絞り込みました。
 その地域というのは、チコクレーターとか、それからコペルニクスクレーター、それから物理探査がしやすいという…今ちょっと資料を出してから後でお答えします。

【藤崎主査】ほかの先生方、委員の方々、何かございますか。もしなければ、今、谷室長からもございましたようにJAXA長谷川理事の「国際宇宙探査の長期ビジョンについて」、これも関係いたしますので、そちらに入って、それでもし質問がございましたら後で戻って議論することにいたします。
長谷川理事、この国際宇宙探査の長期ビジョンは、先ほど御説明のあった…

【JAXA(長谷川理事)】場所とか国とか地域が出てきます。

【藤崎主査】今、宇宙基本計画というところで議論していることとは、前にこれとは何か関係を持ってこのビジョンというものはできているか、全くこれは別物として、このビジョンというものと計画というものは何か関係があるのか、中で御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

(3)国際宇宙探査の長期ビジョンについて

JAXA(長谷川理事)から、国際宇宙探査の長期ビジョンについて、資料10-3に基づき説明。

【藤崎主査】ありがとうございました。非常に包括的な簡潔な御説明でございますが、皆様方から御質問、ございませんでしょうか。各国がどういうふうにやっているかというのが一目瞭然でございますが。

【古城専門委員】マルチでやるか、あるいはバイでやるか、単独でやるかということだったのですが、バイでやるのは、今二つぐらい事例を知らせていただいたのですが、これが典型的な例ということでしょうか、それともこれ以外にもあるということでしょうか。

【JAXA(長谷川理事)】はい。あると思います。ESAとロシアとかが例として出されましたけれども、日本と米国、実はインドはロシアと今協定を結んでやろうとしていますし、ESAは中国とやろうとしていますし、いろいろな交流をやっているようです。
 ただ、明確にメッセージとして出しているものは、この例示させていただいたものです。
 米国は、この南極域は日本と共同でと言っているのですが、実はヨーロッパにも話を持っていったり、カナダに持っていったりしているというので、検討の中で出入りが出てくるので、お互いに持っている技術をどこが供与してくれて、お金と技術をということで。動きはすごく国際的に動いていると。

【古城専門委員】そうしますと、二国間だけじゃなくてマルチになる可能性もかなりあると。

【JAXA(長谷川理事)】はい。2か国ないし3か国ということもあります。

【藤崎主査】いかがでございますか。先ほどの佐伯先生の話とあわせまして、月の話につきまして何かポイント等、ございましたら。

【佐伯准教授】先ほどの答えの続きをさせていただいてもよろしいでしょうか。
 先ほどは失礼いたしました。SELENE-2で最終的に絞って、プリプロジェクトに提案したのは5か所なのですが、特徴ごとにまとめますと、表側地殻の構造及び物質を調べるための探査場所として「チコ」と「コペルニクス」、それから表側でも裏に近い地殻の構造や組成を持っているのではないかということで、南の方にあります「ズッキウス」、それから地震計を搭載して核の存在やサイズであるとか、月の内部構造を明らかにしようという意味で、「アポロの14号サイト」にもう一度降りるというアイデアと、もう一つ、「湿りの海」というところに降りるという探査と。その5か所を提案させていただきました。

【知野臨時委員】質問なのですが、これ、日本の計画ですけれども、2018年SLIM、2019年SELENE-2、どちらも着陸検討中となっています。着陸をするミッションみたいですけれども、それぞれの関係は、どのようになっているのでしょうか。

【JAXA(長谷川理事)】SELENE-2という言葉がよくなかったと思うのですが、さっきのことです。7ページ目にこの米国が提案したRPMが南極域にありますが、ここに対して日本に協力してくれないか、検討に入ってくれないかというので、その検討の内容が、SELENE-2でやってきた技術的なものを入れているという意味で、ここで入れました。
 もともとSELENE-2って、ここの辺の中緯度だったので。この言葉は、済みません、SELENE-2というのは、そういう意味ではちょっと違う意味です。

【知野臨時委員】名前が違うっていうことですか。

【JAXA(長谷川理事)】名前はまだないのですが、南極域の探査機という意味で描かせてもらいました。

【知野臨時委員】米国の計画と一緒という。

【JAXA(長谷川理事)】米国の計画と一緒にやれないかなという、検討中ということです。

【知野臨時委員】はい。それで、このSLIMとSELENE-2、SELENE-2と言ってはいけないかもしれませんが、この計画は別々、独立したものなのですか。

【JAXA(長谷川理事)】今は提案が、ISAS理・工学委員会で出たものが、SLIMとこのDESTINYという、二つのものがあり、それ以外の検討もISASの方の中で検討されていると。そのSLIMというのと、このSELENE-2がもともとやってきたもの及び南極の分をどうするかは、今後の検討ということにしています。

【知野臨時委員】ちょっとよくわからないのが、このSLIMですけれども、以前も指摘したかもしれませんけれども、つまりピンポイント着陸の実証ということが目的で、それだけをおやりになるようですけれども、これをやって何をしようとされているのかというところがよくわからないのです。
 つまりこれ、イプシロンロケットで打ち上げるということで、かなり小さな機体を打ち上げて実証するということだと思うのですけれども、将来につなげるための何か、そういう計画があって、そのために基本的なデータをとるものであるとか、そういうものならわかるのですが、この辺のところをどう考えてらっしゃるのか。
 例えば、宇宙科学はイプシロンロケットでということをわりと言われていますけれども、本当はイプシロンではなくて、H-ⅡAなり何なり、もうちょっと大きなもので、大型の機体を打ち上げることも考えられるでしょうし、ピンポイント着陸をすることを通じて、何を目指そうとしているのか、例えば、着陸しましただけじゃなくて科学的な観測データをとるとか、これからの将来の計画に向けてのデータをとるとか、そんなことはお考えになっていないのでしょうか。

【JAXA(長谷川理事)】最初にお答えしたいのは、目的は何かということをちょっと、ここ足した方がいいですか。

【牧島第一主査代理】後で補足いたしますので。

【JAXA(長谷川理事)】SLIMがやろうとしている提案の内容は、さっきのピンポイント着陸を実証しましょうという初めてものと、具体的には光学照合航法という月を照合して降りる技術、それに自立的な着陸誘導の制御とか軽量な脚を使った実証をしましょうというのが、工学的な意味というふうに提案があったそうです。
 もう一個の、もともとSELENEでやろうとしていたものは、どちらかというと、このピンポイント着陸だけじゃなくて、高度計のランダーのようなものを入れ、更にその中で月探査をしようというものだったので、このSLIMの計画自体が、ある面で、こちらがSELENEでやろうとしたものと、かなり先行的にダブるということがあります。SLIMの計画って、今ちょうどISASの中で最終的な検討をされている段階で、ISASで決めた後、JAXAの中でどうするかを調整しようということに、今、なっております。
 なので、この機会を上手に利用しながらテストフライトで確立をし、そして次にそれを実証していくというアプローチも、多分出てくるので、その辺はJAXA全体の英知を集めた上で、うまいマイルストーンをつくればいいのではないかと、私、個人的には思っております。

【牧島第一主査代理】少し別の角度からSLIMについて説明します。本日の資料10-1の、新「宇宙基本計画」の20ページの下の3行のところです。「中型計画に基づき3機」といっているのは、H-ⅡAロケットを用いた科学探査です。その次、「公募型小規模小型計画に基づき」というところが、イプシロンロケットによるミッションになります。
 21ページ目の上では、ジオスペース探査衛星(ERG)がイプシロンで打ち上げる科学衛星の2号機とされています。1号機は、昨年「ひさき」という衛星を打ち上げました。その後で、もう1機、別のミッションが入るかもしれませんが、科学衛星の3号機として、先ほどのSLIMとDESTINYという二つが現在俎上(そじょう)に上がって検討されています。先ほど長谷川理事から説明のあった資料10-3の最後のページに、SLIMとDESTINYが並んでいるのは、これが現在イプシロンの3号機で打ち上げる可能性のある候補の二つとして残っているという状態を示したものです。
 知野委員の御質問に対するお答えを、私の理解からしますと、SLIMは単に月への着陸だけを目指すのではなくて、近いところにある重力天体、つまり重力が強くて逆噴射などで高度に軌道を調整しないと激突してしまうような天体に降りていく技術を、ここで獲得をするものです。その先にあるのは、当然、火星あるいはもう少し遠くの大きな惑星ということになります。
 もう一つの流れは、必ずしも重力天体ではなく、小さい小惑星など、太陽系の始原天体を探索する試みです。小惑星探査機「はやぶさ」が到達した「イトカワ」もその例で、重力は弱いけれども、月などより遠くにあるので、電力供給や間放射線耐性などの問題に対処しつつ、惑星間空間を遠いところまで飛んでいく技術を開発する必要があります。
 この二つが、大体今のISASにおける惑星探査の流れになっています。それぞれがロードマップを持っていて、この二つをどういうふうに整合させていくかが、考えどころです。
 それから、先ほど佐伯先生からお話があったような研究コミュニティのロードマップと、どのようにすり合わせをやるかも、今盛んに議論されている状況です。

【知野臨時委員】誤解のないように申し上げますが、単に月に着陸という意味で申し上げたのではありません。重力天体での着陸ということは、既に伺っております。そういうことを御質問させていただいたのではなくて、先ほどオールJAXAの知恵を結集してとありましたけれども、やっぱりこのJAXAという組織全体で取り組むということをどうやるのかということです。
 というのは、この10ページの表の年表には入っていないのですが、組織がその当時は別だったとはいえ、ISASとNASDAがばらばらに月探査計画を進めている。例えば、ISASの場合「ひてん」「はごろも」と来て、そして「LUNAR-A」という計画をやっていましたが、とても遅れた上に中止になった。一方で、それはそれとして「かぐや」が進んでいますというようなお話を聞いたときに、日本全体として何かロードマップというのはないのかと感じました。それぞれ、組織として目標を掲げてシナリオを進めているのかもしれないけれども、私たち外の人間のから見ると日本全体として月探査をどのように進めようとしているかというのが全くわからなかったわけですね。
 それで、今回も同じようなものが前後して打ち上げられるというときに、前に打ち上げられるものは、後に打ち上げられるものの基本データをとるなどの役割があるのではないかと思います。その辺の調整みたいなものをきちんとやらなくてはいけないのではないかなと思います。
 新しい宇宙基本計画では、宇宙予算を10年間で5兆円に増やす方針だと聞きますが、現実問題として予算は厳しいと思いますので、そうしたことも考えると、先ほど国民への説明ということが挙げられましたが、その意味でも、どういう形で何を目指していくかがわかるように説明できる計画にしていくことが必要だと思っております。
 この説明ですと、何となくバラバラにやっているような印象です。

【藤崎主査】何かございますか。

【JAXA(長谷川理事)】オールJAXAでやっているのですが、今現在、新しい提案がISASの中で二つ選ばれたと。それに対する技術検討を行いISASの中で年内ぐらいに結論が出ると聞いていまして、その段階を受けて、我々の探査の本部とかJAXA全体の中の本部間の横断で、それを整理した上で、マイルストーンでしていこうかという動きをJAXAではしていますので、それをそのままバラバラにやるという考え方ではありません。
 ピンポイント着陸といっても結構難しい着陸なので、中国が非常に慎重になっているのはそこがありまして、中緯度域に降りているのですが、ほかの国も実は同じで、ある程度、まずは降りる着陸の部分を比較的容易な中緯度でやった上で、本番を南極でという動きにしているので、その動きができるのであればそのようなミッションの段階的なアップグレードという考え方ができるのではないでしょうか。あとは、費用とかミッションの精巧度をどういうふうにするかという技術的なトレードオフをしていけばいいのではないかというふうに考えているつもりでありまして、飽くまでここで御提示させていただいたのは、現時点において持っている情報をお出ししたというふうにとらえていただきまして、これを精査していくというつもりであります。

【知野臨時委員】先ほど中型何機、小型何機っていうお話がありましたけれども、外から見ていますと、JAXA内の縦割りが強いように感じます。科学はイプシロン、実用はH-ⅡAというふうに、もうはなから決めつけているような感じがしますが、もうちょっと柔軟に計画を考えていくような姿勢があってもいいのかなと感じましたので、申し上げた次第です。

【JAXA(長谷川理事)】了解しました。

【向井専門委員】知野委員御指摘の「JAXAの宇宙計画がバラバラに見える」という点は、その通りと思います。また、佐伯先生が言及された「宇宙政策がISS、低軌道止まりなので、学生が低軌道以遠を考えられなくなってきている」という点は、ゆゆしき状況と思います。
 縦割りの作業や計画がうまく横通しされてないために無人や有人の宇宙計画がバラバラに動いているような感があります。また、政策的にはこの小委員会で議論している内容が、内閣府で議論している宇宙基本計画の中にもっと反映できるようにするべきと思います。そうすることで、縦割り的な計画が有機的に結びつき日本の宇宙開発計画を強く社会に発信できるようになると思います。また、日本の宇宙政策の工程表とロードマップは、低軌道以遠の計画をもう少し夢のあるものにするべきと思います。

【藤崎主査】恐らく、JAXAの計画はいろいろ各国がどういうことをやっているかと、そういうことを含めて、一つのビジョンとしてこういうものがあると、それを現実的に落としていっているのが基本計画であって、したがってどれだけこういうビジョンから基本計画に拾われていくか、反映されていくか、そして基本計画が、できるだけ包括的なものになることが望ましいということで、私どもも当小委員会の見解はインプットとしているわけでございますね。引き続き、それは留意していかなければいけないと思います。
 今日は、この月について、いろんな角度から御議論いただいたわけでございますが、時間もございませんので、月についてはとりあえずここまでといたしまして、また改めて議論することになるかと思いますが。
 シグナスの問題等もございましたので、最近の動向について事務局から御説明をお願いします。

【谷室長】参考資料1の方に、最近の事故ですけれども、シグナス補給船の打ち上げ失敗がございましたので、それについてのインプットをさせていただきたいというふうに思います。
 シグナス補給船、これはスペースX社のドラゴンとともにISSへの物資輸送を担う米国の重要な無人補給機でございますけれども、10月29日に3号機の打ち上げを失敗してございます。これは、もう報道等で御承知のとおりかと思います。
 オービタル・サイエンシズ社は、ロケットの開発、それからシグナスの開発・運用をやっておる会社でございますけれども、ここがNASAあるいは米連邦航空局(FAA)等を交えて、外部専門家の入った事故調査委員会を組織して、原因究明を行っているところでございます。
 事故直後に、NASA側が見解を発表しておりまして、原因究明には数週間程度かかるのではないかということとともに、ISSの維持運用にクリティカルなシステム品は搭載されていなかったということであって、当面のISS運用に支障はないということを言っております。
 それから、このシグナス補給船3号機に搭載しておりました食料、水の消耗品でございますが、もともとISSにも余裕があったということでございまして、搭乗している宇宙飛行士の健康、安全に支障はないということを言っております。
 実際のISSへの補給計画で、その補給の一部が損なわれたということでございますので、そこへの影響ということを3.にまとめてございます。
特に重要な消耗品ということでは、同じ日、たまたまこれは同じ日になったんですけれども、ロシアのプログレス補給船が上がっておりまして、こちらでも供給されたということもございます。合わせてトータルで半年以上余裕があり、運用上の支障はないということでございます。
 他方で、補給計画全体については見直しをする必要が出てくるということで、NASA中心に、既に開始されてございます。
 我が国の関係では「こうのとり」の5号機、来年度打ち上げを予定しておりますけれども、この搭載品についても見直しをする必要があるだろうというふうに考えておりますが、国際調整をした上で、来年の春ごろに確定をさせたいというふうに考えてございます。
 それから、シグナス補給船3号機でございますけれども、JAXAとして搭載していたものが大きく二つございます。一つは船外材料曝露(ばくろ)実験サンプルということですが、「きぼう」には、船外の曝露(ばくろ)部で材料開発等に利用する実験装置、ExHAM(船外簡易取付機構)というものがございます。この実験装置そのものがもう既に上がっておりますけれども、そこに取り付ける材料サンプルがもともとこの搭載品として載せております。
 また、再突入データ収集装置、i-Ballというふうに通常言っておりますけれども、これは再突入時のデータ、各種データを取得するというもので、現在軌道上に上っておりますATV5、欧州の補給機でございますけれども、これに搭載するという予定にしておったものがございました。
 これらについての今後の対応については、検討しているところでございます。
 本件に関しては、11月5日付になりますが、一番下の参考のところにオービタル・サイエンシズがプレスリリースを出しておりまして、その時点での分析ということではありますが、ロケット第一段の主エンジン2基のうち1基のターボポンプに不具合が起こったのではないかという可能性があるということを言ってございます。
 また、アンタレスロケットについては、注のところにございますAJ-26というロケットエンジンを使っておりますけれども、旧ソ連時代に開発製造されたものを改良したものということですけれども、これはもう使わないというふうに言っておりまして、別のロケットエンジンに換装して、2016年初めから新しく再開をすると。
 それまでの間、他社のロケットを利用して、1ないし2機、シグナス補給船を打ち上げるということを言っております。
 ISSへの直接の運用に対する支障という意味では、大きな支障は生じないということでありますけれども、全体の補給計画等については今後支障がないように見直しをしていくという予定にしているということでございます。
 また、机上配付でございますけれども、ヴァージン・ギャラクティックのSpaceship2についても、時期的に非常に近接して宇宙関係で事故があったということで、大きく報道された関係もございまして、報道ぶり等を中心にまとめたものを机上配付させていただいております。
 ISSあるいは国際宇宙探査ということでは、直接関係ありませんけれども、早ければ来年にもということで、宇宙旅行を計画していた、その中でその飛行船を開発していたところも、試験飛行中に事故があって墜落して1名の方が亡くなったという事故でございました。直接に影響はないということでありますけれども、宇宙を身近に利用する機会というのが少し遠のいたという意味でも残念な結果でございます。現在、原因究明調査中というふうに聞いております。

【藤崎主査】ありがとうございました。田中局長、何か全体にあれはありますか。

【田中局長】宇宙基本計画が新しくなりつつあって、先ほど向井委員等がバラバラ感があるよねとかおっしゃっておりましたが、何でそういうような印象になるんだろうかなと。月の探査というのを、我々として本当にどうしていきたいのかということが、うまく発信もできてなかったし、うまくまとめて一つの体系にしておくということもできていなかったのかなというふうに、大いに今反省をしているところです。
 ただ、宇宙科学というところに、この惑星、月の探査とか、深宇宙探査を追い込んでしまうと、宇宙科学はある意味聖域だよねとかいうことになってしまって、余り政策的に扱ってこなかった部分はあったのかなというふうに思います。
 ただ、これからゴール設定をどうするのかとか、アクションプランはどうするのかとか、資源について一体どこの部分ぐらいをこうやって費やしていくのかなというふうに考えたときには、科学のことではありながら、日本としてどうするのか、それを実現するために国際的な連携をどうとっていくのかということを、しっかりとした考え方をまず立てた上で、並行して立てながらということかもしれませんけれども、こういうそれぞれのミッションをその中にうまく組み入れていくということが、ますます重要だろうなというふうに思いました。
 したがって、今日いろいろ御意見を頂いて、私自身もこれから宇宙探査の政策というのをこの場で十分御議論いただいて、いろんなインプットを頂いて、政策体系をきちっとまとめていくということを、是非進めさせていただきたいというふうに思いました。

【藤崎主査】ありがとうございました。
 では、今日の議論は以上といたしますが、次回の会合について、谷室長お願いします。

【谷室長】次回会合でございますけれども、12月12日、金曜日、10時を予定してございます。場所は今回と同じこの部屋を考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【藤崎主査】皆さん、どうもありがとうございました。

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課

-- 登録:平成27年01月 --