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宇宙開発利用部会 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第5回) 議事録

1.日時

平成26年7月1日(火曜日)10時00分~11時45分

2.場所

文部科学省 15階特別会議室

3.議題

  1. 中間とりまとめに向けた論点整理について
  2. その他

4.出席者

委員

主査 藤崎 一郎
専門委員 阿部 晃一
臨時委員 角南 篤
臨時委員 知野 恵子
専門委員 続橋 聡
専門委員 西島 和三
専門委員 向井 千秋
臨時委員 米本 浩一

文部科学省

研究開発局長 田中 敏
大臣官房審議官(研究開発局) 磯谷 桂介
研究開発局開発企画課長 内丸 幸喜
研究開発局宇宙開発利用課長 柳 孝
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長 谷 広太

【説明者】
独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 理事 長谷川 義幸
 執行役 田中 哲夫

5.議事録

【藤崎主査】それでは、国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会第5回会合を開始したいと思います。御参集いただきまして、ありがとうございました。
 まず、今日の議題、資料につきまして、文科省、谷室長からよろしくお願いいたします。

【谷室長】本日は11名の委員のうち8名の方に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますので、小委員会として成立しているということを確認させていただきます。
 それから、お手元に資料をお配りしております。過不足ございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。

【藤崎主査】それでは、前回積み残しという米国科学アカデミー報告書と、無人月探査ミッションに関する日米協力の状況、必要に応じて、この御説明からお願いしたいと思います。

事務局(谷室長)より参考資料を用いて米国科学アカデミー報告書について説明。

【藤崎主査】「政策的課題」のところの最後の文章はどこに該当しますか。「政策的目標を構築するものは、スピン技術など有人宇宙飛行が必要とする莫大(ばくだい)な投資に対する経済的見返りがこれまで実証されていないことを常に念頭に置く必要がある」というのは、これはこの一つの課題なのですか。

【谷室長】直接の政策的な課題ということではないと思います。今回、当小委員会でも御議論いただきましたけれども、費用対効果の話の中で、投資に対する経済的な見返りという部分については、その見返り、効果をどのようにとらえるかということについて、経済的な価値で置き換えると、その見返りが必ずしも十分でないという指摘ではないかと認識いたします。

【藤崎主査】ここはこのサマリーから見る限りは、経済的なものについてはほかの政府のR&Dと比較して優位性を示すことは不可能であるけれども、いろいろなものを総合した場合には、有人宇宙飛行を続けるべきであると、委員会の結論としては、我々の有人宇宙飛行については継続されるべきものであるという結論になっているのではないですか。S-2の下から2番目のパラグラフです。
 ここは、今決める必要はありませんが、前向きに結論が出ていると私は理解します。
 もう一つ、無人探査ミッションの日米協力について説明をお願いします。

JAXA(田中執行役)より資料5-1に基づき、無人月探査ミッションに関する日米協力の検討状況について説明。

【藤崎主査】今おっしゃったような高精度な無人軟着陸技術、あるいは、移動探査技術について、NASAは既に保有していると。その場合に、無償で技術提供あるいは彼らの持っている、既にやってきた探査からの情報は得られるわけでございますね。

【JAXA(田中執行役)】この協力の分担については今後検討する予定でございますけれども、NASAはピンポイントの着陸技術はまだ実証していないというのが現状でございます。我々はJAXAの月着陸技術実証の機会にNASAのミッション、いわゆるローバー、それから、NASAの観測装置を搭載するというような協力を考えております。

【藤崎主査】これまでNASAが持っている情報や技術は、この高精度ピンポイント着陸探査でなくても、軟着陸については相当あるはずですが、それらの提供は得られるわけですか。

【JAXA(田中執行役)】そういう提供も受けながら国際協力の技術的検討を進めております。

【知野臨時委員】高精度着陸探査ですが、NASAは高精度でなくても人を送ることができたとすると、これは何のために必要なのですか。

【JAXA(田中執行役)】今まで「かぐや」や他の月のリモートセンシングの結果として、今後、月を利用していく、探査をしていく上で、探査すべき重要なポイント、場所が大分見えてきております。非常に狭い地域がその候補として挙がっていて、100m以内ぐらいの精度の着陸を行うことによって、探査を効果的に行うことができるということでございます。昔の有人の場合は比較的安全に着陸できる広い場所に着陸していたということでございます。

【知野臨時委員】そうすると、この技術がなければその探査は意味がないということになってしまうわけですか。

【JAXA(田中執行役)】例えば、水の一番ありそうな場所をポイントで狙って下りていくというのがミッションでございますので、高精度着陸が今後の月探査における一つのキー技術になると考えております。
 例えば月で長期滞在しようと思いますと、御存じのように夜・昼が2週間毎(ごと)に交互に来ます。その中で、夜の部分、すなわち暗い中で長期間過ごすことにおいてエネルギーの確保は非常に重要になってきます。逆に言いますと、極地域である特定の場所であれば、太陽の当たる時間
 非常に長い場所もございまして、そういう場所を選んで着陸していくということになります。
 また、水に限らないのですが、鉱物資源の分布については、大分精度よくわかってきていて、ありそうなところに着陸して探査することが重要になってくると認識しています。

【知野臨時委員】NASAとの協力を検討されているということですけれども、探査機を日本がつくって、日本の技術でピンポイント着陸をするという話に持っていきたいということですか。

【JAXA(田中執行役)】協力する場合には、我々としてもローバーを開発し、自らやっていくということを並行して検討しておりますけれども、今、NASAが検討している内容はローバーと水・氷資源、揮発性物質の探査に重点を置いた観測機器の開発でございます。それを日本の月着陸船に搭載してピンポイントの場所に置くというのが協力する場合の一つの案でございます。我々としても、日本として目指しているミッションを追加して搭載できるように並行して検討しているところでございます。

【JAXA(長谷川理事)】ピンポイント着陸は非常に難しい技術です。なぜかというと、水・氷があるところは北極、南極になります。極域は日照時間が非常に短くて、ずっと夜だったりします。さらに、その辺はクレーターみたいな形状になっていまして、平たいところが非常に少ないのですね。「かぐや」で得たデータで分析した結果、山脈みたいなところの縁の高地、大体100mから200mぐらいのところが日照があって、かつ、平らなところで、そこに下りるにはそれなりの精度がないと下りられないということで、各国ともやりたいのだけれども、やる技術がまだない。
 今まで「アポロ」とかでやっているのは、中緯度の平たい海のところに降ります。「アポロ」の場合では、宇宙飛行士が肉眼でみてどこに降りるのか判断しています。そして、月面に降りた後、表面走行では、飛行士がローバーを運転します。今度は精度よく降りるという技術が、降りた後、ロボット技術ででこぼこしたところは避ける走行技術が各国競争している技術です。

【米本臨時委員】今の知野委員の質問に関連して意見があります。日本は、月に着陸していないのですが、米国とかは着陸技術をもっているし、最近は中国も着陸に成功しています。そのことからして、彼らは本当に高精度でピンポイントに着陸する技術を持っていないとどうして言えるのでしょうか。知野委員の質問は、それに近いところがあるのではないかと思います。では、日本は高精度で着陸できるというのだったら、日本にしかできない技術というのは一体何なのかということがここで見えてきません。それを知りたいとことではないでしょうか。日本が無人で月着陸技術を実現したときに、世界に先駆けた技術成果がどのような形で得られるのかという質問ではないかなと気がします。

【知野臨時委員】目的ですね、何で高精度な着陸を行う必要があるのでしょうか。

【JAXA(田中執行役)】高精度着陸の最後の肝のところは、近づいていって位置の特定とか画像処理をしながら障害物を避けて着陸していくと、そういう地形照合航法を今回実施していくところです。その技術を使った着陸は今回初めてと理解しております。
 また、それ以外にも、近づいていったときの細かい障害物を探査するレーダーとの組合せで確実に着陸していく技術検討をこれまでやっておりまして、実現のめどが立っていると認識しています。

【米本臨時委員】地形航法というのは画像を使って着陸する場所をピンポイントで探索して降りるということなのですが、世界中で結構研究されていると思います。では、なぜその中で日本しかできないものがあるということが言えるのでしょうか。ただやっていないだけで、やろうと思えば中国でも米国でもできるのではないかなという疑問もあります。いかがでしょうか。

【JAXA(長谷川理事)】多分やればできると思いますが、日本が一歩先手を打っているのは、その場の地形を把握して降りる技術というのは「イトカワ」で実施した実績があるからです。それは自動航法で、地形をリモートセンシングで観測しはっきりさせて降りていく確立した技術を持っているのは、我が国で一躍の長(ちょう)があります。
 もう一つの要素は、月に降りるときに要るのはエンジンで、降下するときに誘導していかないといけない。その技術はやっていないのですが、既に他の人工衛星でもやっている技術を応用していけばできると思っています。そこも一躍の長(ちょう)があります。確かに米国だって欧州だってやろうと思ったらできると思いますが、既に持っている技術で先行しているということに優位性があります。それは米国との交渉のときに強みになります。

【藤崎主査】この議論は、前の費用対効果の議論とも関連するわけですが、他の国が既に開発し、持っている技術・経験については、我々が完全にそれをシェアしてもらって使えるとすると、それに加えて少し薄いカバーでできるはずだけれども、そこのところは全部保証されているのかどうか。そして、我々が強い部分というのは、今おっしゃったようにそこが強いのであればいいのですけれども、同じように冗長があって、似たようなことをやって、そこに重複がないだろうかというところが、今後の費用対効果の議論のときにいつも問題になる点だと思いますので、そこを少し御説明いただければ有り難いかなと思います。

【JAXA(田中執行役)】日米協力で検討しているのは、お互いに今やっている技術、持っている技術を組み合わせるということでして、そこで役割分担が設定できると思っています。
 あとは着陸技術、日本が今後の国際宇宙探査において物資を月面に降ろす技術というのは、一つの輸送系の技術であり、我々が国際宇宙探査の中で活動していく上でのキー技術として確保すべきものと考えています。この分野は競争も必ずあると思います。そこで、日本として着陸する技術をちゃんと持っておくということは重要だと認識しています。

【藤崎主査】つまり、競争で得たものはシェアしないわけですね。

【JAXA(田中執行役)】競争で得たものは、基本的にどうしても見せられないところは見せないという部分はございます。

【JAXA(長谷川理事)】補足しますと、共同開発すると必ずそのノウハウがわかりますので、細かいところではなくて、大きなところはわかりますから、そこは重要だと思いますが。

【西島専門委員】同じになってしまうのですが、これは結局、将来米国の火星で有人と、有人で行ける部分はいいのですが、有人で行けない部分についてのすべてに有効で。無人でやる部分についてこの技術が生かせるという期待を米国も持っていると、そういう波及効果を持っているということですよね。

【JAXA(田中執行役)】米国が、ある意味で同盟国、信用しているところと一緒にやりたい、それがキーのパートナーとして次につながる、そういう意味と我々はとらえております。

【西島専門委員】前も言いましたけれども、大前提として、有人が進んでいったら、無人のこんなことをやっても無駄ではないかと誤解されないように、有人が進んでいけば進んでいくほど、無人のピンポイントが必要なのだという部分を議論しておかないといけない。日本は有人をやるのはなかなか難しいから、とりあえず無人でお茶を濁すというようにとられないことを大前提にしておかないと。話がピンポイントの話になってしまったのですけれども、大前提はそういうことですよね。

【JAXA(田中執行役)】はい、そのように認識しております。

【角南臨時委員】基本的には日米協力の“Technology for Technology”という比較優位をベースにトレードするやり方が当たり前になっています。
 だから、先ほど御説明があったように、日本は既に獲得した技術、その中でも他国より相対的に優位であるものを“Technology for Technology”で交換しながら、トータルで全人類的な大きなミッションに向けて進んでいくという考え方だと思います。

【米本臨時委員】7ページの国際有人宇宙探査に向けた準備シナリオについて意見があります。日本が2030年以降に自国の技術として具体的に何を目指しているのか示すことが必要なのではないでしょうか。これだけ見ると、日本は未来永劫(みらいえいごう)有人はやりません、国際共同でつくられた宇宙船に日本は乗っていくだけですと言っているようなものです。そのことについて、私は1回目の委員会から気になって発言しています。日本は、本当に有人宇宙輸送技術を放棄しているのかと思われてしまいそうです。そうではなくて、2030年以降、日本は輸送も含めた有人技術を目指しているという確固たるシナリオをまず示してから、2020年における国際共同の有人宇宙探査の協議に対してどのようなマイルストーンで国際的に協力していくかというような図式にしてほしいと思っています。
 この準備シナリオの絵は何を言っているかというと、国際共同有人宇宙探査が始まるので、日本はピンポイント的にこういう技術を持って提案したいということを言っているだけであって、日本が本来目指している有人技術のシナリオは何なのかというのが見えていません。むしろそのシナリオを見せることによって、日本が20年、30年、そういう節目で共同のパートナーとして技術を提供していくという、もうちょっと地に足がついたようなシナリオが必要だということです。このようなピンポイントの技術提案で本当に国際共同有人探査に参画できるのでしょうか。
 先ほど知野委員からの質問は、本当にこのような技術提案で国際共同有人宇宙探査に乗れるのですかという疑問ではないでしょうか。最初から各論になってしまうと、今こんなものは必要ない、中国がやっているから良い、従来米国がやっている技術でいけると言われて議論に負けたら、日本の提案は崩れかねません。したがって、極めて具体的な技術を挙げて国際共同をやるのだという言い方ではない方がいいのかなとも思います。具体的な提案を挙げれば挙げるほど、果たして日本が優位な立場で発言し、パートナーとしてのプレゼンスが保(たも)てるのかという議論が延々と続いてしまうような気がします。

【藤崎主査】米本委員の御指摘は、最初から言っておられる有人ロケット技術の問題を横に置いて、特定の部分だけに焦点を当てて日本のプレゼンスが確保できるというのは、必ずしも実態に結びつかないかもしれないと、端的に言うとそういうことでございますね。

【米本臨時委員】その通りです。そういう議論をしないといけないと思います。

【知野臨時委員】米本委員とはまた少し違うと思うのですけれども、日本がなぜそれをやっているのか、その目的はどうなのか、人々に理解してもらえるものであるかどうか、ということが必要なのだと思います。
なぜそう思うかといいますと、先ほどの米国科学アカデミーの報告書、これは、どのぐらい影響力があるものかはわかりませんけれども、例えば、宇宙探査には市民の多くは注意を向けておらず、高い優先事項にはなっていないという指摘をした上で、中国について米国の法律は、NASAの活動に中国が参加することは認めていないと言っていますが、国際パートナーとしての中国の力の大きさみたいなものを指摘しているので、いつ国際協力の構造が変わってくるか、長期的にはわからない。協力の枠組みが変わるかどうかわからない。現実にISSにしても枠組みが変わってここに来てしまったわけですね。
 となると、もちろん国際協力も大事ですけれども、万が一何か起きたときに日本としてこれをやっていることにどういう意味があるのか、そこをはっきりさせるべきだと思います。

【藤崎主査】谷室長、このレポートは米国でも今のような受け止め方をされているのですか。

【谷室長】申し訳ありません、このレポート自身、米国内でどういう受け止めになっているのかということについては、まだ十分な分析ができておりません。
 先ほど主査から御指摘のありました部分について、日本語訳でいうと2ページ目の一番上の「政策的課題」の最後のところで、「莫大(ばくだい)な投資に対する見返りが実証されていないことを念頭に置く必要がある」という留意事項について、本文と照らし合わせて本当はもうちょっとポジティブに書いてあるのではないかという御指摘だったかと思います。
 この「政策的課題」は、後ろのサマリーの本文で言いますと、「S-3ポリシー・チャレンジズ」の一つ目のビュレッドのところを書いております。その留意点でございますが、全体としてのニュアンスと言いますか、トーンは、先ほど主査御指摘のとおり、S-2の下から二つ目のパラグラフ、日本語訳で言いますと、1ページ目の「有人宇宙飛行の根拠と一般の関心」のところの有人宇宙飛行の根拠のところですね、経済的な見返りといいますか、実用性のもの、それから向上心に関するもの、両者が補完することによって、有人宇宙飛行プログラムの継続が正当化されるという内容になっているかと思っております。
 ですから、全体として、予算も含めて技術的なリスクもあるし、非常に困難なチャレンジであるということは指摘しつつも、それについて留意事項ありつつ、それを解決するような道を模索していくべきだという内容になっているものと理解をしております。

【藤崎主査】今おっしゃるとおりで、1ページ目の輸送のところが中心でございますが、細かいことを言うようでございますけれども、「ポリシーチャレンジ」のところは、有人宇宙飛行が必要とする莫大(ばくだい)な投資に対する経済的見返りのところについては、確かに国民の大多数は関心が低いのだと。しかし、国民は大体こういう問題について関心が低いので、関心を持つ人間についてはかなり理解が深いというような感じで書いてあって、そう後ろ向きではないのではないかと。
 このものを見る目として、よその国のレポートですから、ニュートラルに見ればいいわけですけれども、米国としては、「これはいろいろな議論があるけれども」と言って、前向きに持っていこうとしているのではないかなという感じを受けたものですから、その点だけ補足させていただきました。
 この二つ、今御報告いただいた点について何か、特に米本委員の言われた点、有人宇宙ロケットの話は、ちょっと前に向井委員から、「有人ロケットに直ちに結びつけるのではなくて、生活基盤の問題等もあるので、有人というのはもっと広くとらえるべきである」という議論は確かにございました。この点で、ほかに何かございますか。

【向井専門委員】質問ですが、ここで中国をパートナーシップで書き込んでいますね。これは米国の国益にかかわってくるのかもしれませんけれども、いずれ中国が参加してくるということを考えているというふうに読めませんか。

【谷室長】ISEFでも中国が入ってきておりますし、国際的な共同の枠組みの中には中国は入ってくるのだろうなと。中国自身も国際協力でやっていこうという方針を打ち出しておりますので。具体な形はいろいろあり得ると思いますけれども、中国を排除するということはないのだろうと考えております。

【向井専門委員】JAXAの説明や米本委員の御指摘を考えると、有人宇宙探査自体は一国ではできないというスタンスに立っていると私は思います。そこが、先ほど知野委員がおっしゃった一国で何かやらなければいけないというスタンスとちょっと違っていて、これは宇宙大国のロシアでも米国でも一国ではできないものと思います。
 そのため、協力や競争が必要です。JAXAの資料4-2 P.7の表中、有人宇宙探査計画の一部として、無人月面探査が非常に太い矢印で書かれているので目立っているのですが、ISSを使った探査技術(宇宙滞在技術、低軌道への物資輸送技術等)の獲得は既に着手し、現在も継続中なので、実際はこの緑のラインの方が太いのが現状と思います。
 米本委員が指摘されている輸送技術の必要性に関しては、低予算でできることとして無人月面探査が一番着手しやすいのでこのような書き方になっているものと思います。
 したがって、この表では無人月面のところだけが強調されているかのように見えるものと思います。

【JAXA(田中執行役)】この絵の大きさと力の入れ方のバランスが御指摘のように合っていないかもしれません。そういう意味では、最初に着陸とは申し上げましたけれども、その後のほかの技術も含めて、次のページにも書いてございますが、今後、探査活動をしていくために我々が貢献できる主要課題というのはこの四つかということで整理しております。
 一つは、既にISS計画で着実に、特に探査、長期滞在に向けた研究、技術実証を進めていきたいということが一番の柱でございますし、二つ目は今、「こうのとり」で培っている技術を将来のランデブー、いわゆる地球近傍ではなくて、離れたところでのランデブー技術に結びつけたい。
 また、三つ目は、ピンポイント着陸というような位置づけで整理しておりまして、四つ目とあわせ、いずれにせよ、我々が優位性を持っている技術をいかに活用してプレゼンスを発揮していくかということが課題だと認識しております。

(1)中間とりまとめに向けた論点整理について

【藤崎主査】「中間とりまとめに向けた論点整理」という3枚紙がございますが、あらかじめ御覧いただいているかと思います。これは特に方向性をきちんとつけたものではなくて、今まで議論の出た点、特にJAXA等から御説明いただいたパワーポイント等を整理したものでございます。まず、これについて何かご議論があるかどうか伺った上で、私から少しつけ加えさせていただきまして、それについても御議論を伺い、もしよろしければ、それを踏まえた上で今後、事務局に作業をお願いしたいと思います。
 つきましては、まずこの3枚紙について何かポイントが抜けているのではないか、このポイントはバランスがとれていないのではないか、あるいは、若干やむを得ないと思いますが、重複があると思われる点を。つまり、「はじめに」はこれまでのISSの参加から得られた成果があり、次のページで今後のISS計画への取り組み方があり、3番目が宇宙探査への参加の在り方でございます。率直に申しまして、宇宙探査の参加の在り方についてはまだ議論がいろいろございますので、ここで最終的にこれということではないので、本当に中間の頭出しということでございます。
 第1点のISSのこれまでの成果と今後の取組については相当議論も重ねましたので、ある程度、皆様方の御意見もあるかと思います。皆さま方の御意見もあると思いますので、御議論をお願いします。

【米本臨時委員】ISSの実績は、皆が認めるところです。これをベースにして有人宇宙探査にどう取り組んでいくか、これは絶好のスタートラインになると思います。しかし、今日の御説明であるように、ISSで培った技術だけではなくて、別途に獲得した輸送技術等の総合的な技術をもって国際共同に取り組まないといけないというのは明らかです。それは何かというと、日本が、これまでとこれから将来にわたってどう取り組んでいくかというしっかりした宇宙開発全体のシナリオのことです。有人火星探査は自国だけではできないと思います。しかし、まずは日本として何らかの確固たるシナリオがあって、これまではISSでしたが、これからは無人月着陸探査等が計画されているという構図が欲しいものです。
 今回の資料にはないのですが、実際に「こうのとり」を使ったHTV-Rという回収実験をインハウスでされる計画と聞いています。月着陸探査にも、サンプルを回収して地球に持ち帰ってくる話も可能性としてでてきます。そういった国際共同での月着陸探査のシナリオになったときに、日本もちゃんとこのような引き出しがあるということを見せていく必要があります。したがって、国際共同の有人宇宙探査に向けては、そのような総合的なシナリオの整理の仕方で臨む必要があるのではないでしょうか。今までのISSの意義に関する議論は正しいと思います。しかし、それだけでは国際共同の有人宇宙探査への参加シナリオが語れないということが今日の説明でも明らかです。日本の総合技術としての宇宙開発を、これまでに培ってきたもの、これから将来にわたって育てていくものという形で全体的に見据えた上で、2020年ではこういう形の国際協力、2030年ではこういう形の国際協力というような、大きなシナリオが欲しいものだと考えます。同じ話の繰り返しになりました。

【向井専門委員】まず、ISSの成果のところはこれでいいと思うのですが、2ページの今後のISS計画への取組が、2020年までしか書かれていませんが、ISSは必ず終焉(しゅうえん)を迎えるわけで、どこかの時点で軸足を、現在のISS主軸のところから次のプログラム、例えばISS以遠の宇宙探査や小型で効率のいい第2のISS建設などに移す必要があると思います。費用対効果から考えて、継続しても単にメンテナンスしているだけであれば、新たな計画に予算を使った方が効率的という考えもあると思います。
 もう一点、3ページの我が国の国際宇宙探査への参加の在り方が、全部ざっくりと書いてありますが、これはまだ議論が多いものと思います。国民、マスコミ等いろいろな意見を入れた議論をもう少し続けるべきではないかと思います。どういうコンセンサスが出るにしても、コンセンサスを得るための議論がし尽くされていないと思うのです。つまりこの資料で(1)が我が国の国際探査に取り組む意義、その次は進め方。この進め方のところにもう少し広い範囲での議論を今後も継続的に、例えばこういう委員会なり、あるいは、パブコメをとるなりして、継続するというようなニュアンスをどこかに入れた方がいいと思いました。その二点です。

【西島専門委員】私も、2ページ目の今後のISSの取り組み方ということで、実際に日本の負担している費用を考えると、上の三つ、「きぼう」はとか、有人宇宙の貢献、この辺は私もいいと思います。それから、丸数字の2の「成果最大化のための『きぼう』利用の方向性」、これは具体的…。
 ちょっと違和感があったのは、1番目の「ISS計画への参加を通じて強化すべき技術」というところで、いきなり「我が国の強みであり」とあるのですけれども、何が強いのかというのは、いきなり強いのが前提になっている。書き方とすれば、「持続的な探索活動の有人長期滞在技術の獲得」はこういうことであるけれども、特に我が国は強みであるこういう分野について強化すべきであると、ただ、万遍でなくて、こういうものが必要だけれども、特に我が国では必要なものはこういうことであって、それは当然地上への波及効果が期待される分野であると。強化すべき技術というところをもう少し読みやすくした方が、いきなり「我が国の強みであり」というと、逆に違和感があるなと思いました。

【知野臨時委員】書き加えた方がよろしいかなと思うのは、一つは、得られた成果だけではなくて課題とか問題とかいうものがあってもいいと思います。費用対効果というのは随分言われたことですし、この長く遅れ続けて費用も膨らんでしまった計画を見ますと、どこに問題があったのか。成果だけではなくて、そういうものが欲しいと思います。
 それから、先ほど向井委員もおっしゃいましたけれども、2024年まで運用延長したいと米国が言い出したところからこういう見直しが始まっているので、そこに全く何の言及もないということはおかしいと思いますので、そこの視点が必要だと思うのが一つ。
 それから、シナリオですね。これを読ませていただきますと、すべてが順調にいっているというシナリオになっていると思います。例えば、今ここでロシアが下りてしまうなどいろいろ問題が出てきたときの、このケース、あのケースみたいな、いろいろなことを想定したシナリオが必要かなと。それはイコール、ここの中では全く触れていないリスク管理というものをどう考えるかと、そこの問題になると思いますので、その視点が必要だと思います。

【続橋専門委員】ISS・国際宇宙探査小委員会の報告なので、どうしてもISSと探査だけになるのですが、宇宙全体のことに全く触れないというわけにいかないと思います。ですから、衛星を使ったリモセンとかロケットとか、そうした他の宇宙分野に対してISSとか宇宙探査の予算を、現行の比率から増やしていこうとしているのか、一定のまま行こうとしているのかというのが、よくわからないというのが第一点です。
 それから、こういった評価をやるときに、例えば2008年に宇宙基本法ができていますけれども、その中で幾つか指摘があって、研究開発と産業化と外交と安全保障を一生懸命やろうということになっています。そうした要素と照らし合わせた場合に、それぞれの目的に対してどのように役に立つという点から、ISSや宇宙探査をどのように評価できるかということも入れた方がいいと思います。

【阿部専門委員】今日の皆さんの御意見を伺っていると、ここの場でさえそうなのだから、国民にこれを説明するというのはものすごく難しいと思うんですね。さっき向井委員が全体像を言われましたけれども、私もJAXAの委員をしばらくやらせていただいていましたので背景がわかっています。ですから、今後の在り方というのは全体像をまず示して、その中で現状と課題がどうなっていて、これから行くときにISSがどう役に立っていくのかと。その中で2020年以降の取組も語られるべきだと思うんですね。それがばらばらに出てくるから、非常に理解しにくいと思うんです。
 別に有人火星探査だけが究極の目的ではなくて、いろいろな広がりがあるプロジェクトだと思うので、そのあたりもよくわかるようにした方が良いと思います。さっきの米国のレポートにもありますけれども、ほとんどの人が関心を示さなくて、国民の総意が得られにくいということになってしまうと、予算という意味でもなかなか難しいところがあると思うんですね。科学者の方々はどちらかというとPRというのを下に見て、いい研究さえすればみんなわかってくれるんだということだと思うんですけれども、そうではなくて、どう全体像を説明し、意義をPRするかというのは極めて重要だと思います。

【角南臨時委員】論点整理ということですけれども、国際プレゼンスの確立のところはもう少し丁寧に記述してほしいと思います。例えばナショナルアカデミーのレポートでは、国家安全保障、国際関係、ナショナルプライドと細かく書いてあるので。そういう意味では、それぞれの中でどういう意味があるのかというのをもう少し分けて書くと良いと思います。
 国家安全保障に関心のある国民もいれば、国家としての誇りに関心のある人もいるし。それから、今回、ISSの日本人初の船長ということもあって、ある意味でこれは国家としての誇りにかかわる部分もあります。そういったことももう少し分けてきちっと書き込んでいくことが必要だと考えます。

【藤崎主査】文科省あるいはJAXAから、今までの御意見に対して何かございますか。

【谷室長】意見というほどではございませんが、これまで頂戴したいろいろな御議論を、ごく簡単にまとめるという趣旨でまとめさせていただきましたので、ちょっと舌足らずなところもあったかと思いますけれども、それは今後の作業の中にしっかり反映させていただきたいと思います。

【長谷川理事(JAXA)】リスク管理のところ、ロシアが下りたら、あるいは、米国云々(うんぬん)の話は書いた方がいいかなと。リスク管理として、幾つか御指摘いただいたことは確かに入れた方がいいかなと思いました。

【藤崎主査】大体この紙の流れに従って付け加えさせていただきますと、恐らく中間とりまとめで最初に出てくるISSの評価については、我が国の科学技術への貢献が一点、第二点、産業の振興というスピンオフ効果、第三点、国際プレゼンスの問題、第四点、青少年の育成、この四つの項目については皆様方も随分議論を重ねました。ここで費用対効果という観点で今の四つのプラスの側面に対して評価をしていかなければいけない。
 2番目に、今の新しい状況というのは、米国が再度宇宙に目を向けてきているということと、中国、インド等が新たに参入してきていると。こういう新しい環境下でもう一回見直すということで、今後のISS計画に今までのを踏まえてどう取り組むかということですと、ここでございました議論は、まず一つはISSの利用法、「きぼう」の利用方法について、これまでボトムアップということでやってきたのを、トップダウンでやると。そして、国の戦略的目標に従ってやる、あるいは、民間の割合を増やすのだというような議論がございました。
 これに対して、他方、自由な発想の基礎研究というものは大事であるとか、学術の重視が必要、出口戦略をはっきりさせておくと可能性が狭まってしまうではないか、あるいは、これまでの議論を否定したような形ではなくて、これまでの議論に積み上げる形で考えていくべきではないかというような議論があったかと思います。
 さらに、NASAの有償利用制度等について説明があり、日本では「適正価格」で、実費で今後やっていくという議論もございました。そこら辺をどういうふうに整理していくのかというのはこれからの大きなポイントであるという議論があったように思います。
 もう一つは、今日も繰り返した議論でございますが、探査とも関連いたしますけれども、費用対効果の観点からいって、どこまで自主開発、自主的な形にしていくのか、あるいは、外国の知識をベースにし、あるいは、共同でやっていくことに重点を置いていくのか、そこのところは大きな論点でございます。もちろん程度問題ということはございますけれども、これを常に念頭に置いておかなければいけないという話がございました。
 国際的なプレゼンスという観点で、今後これをどう考えていくかというときに、宇宙常任理事国というのは適当ではないけれども、宇宙先進国という地位を今までISS、「きぼう」を通じて確保し得たと。そして、アジアのゲートウエーである。ベトナム、その他の国も日本に対して「きぼう」利用等で表明してきている、これが財産になっていると。それから、中国等の台頭がある。
 こういうところで、今のISSについて私が皆様方の議論から受けた印象は、違っていればあれでございますけれども、今、幸いにしてこの車に乗っている、一旦下車した場合には、もう先に行ってしまって乗車できないというISSに乗っているところで、約1割の投資で相当な成果が得られてきたと。
 2020年までということが、2024年にどうするかという判断が出てくるわけでございますが、大方の議論としては、これまでは日本にとってプラスの効果が大きかったので、米国が2024年と言っていることについてはむしろ前向きに考えていいのではないかという発想ではなかったかなという感じがいたしました。したがって、運用延長について前向きに考えていくと。日本のような、今、1割の投資で得ている効果ということから考えると、クモの糸というのは大げさでございますが、米国がそういうふうに対応を変えてきたということは、日本の立場を強くするものであるということではないか。
 国際宇宙探査につきましては、率直に申しまして、さっき言った3段階の議論、つまり、ISSを今後どういうふうに延長するかという第一の問題、2番目は、第二ステップとしての月面の無人探査の問題、第三ステップ、更に火星有人といった真打ちの方に進んでいくと。その三つのステップのうちで、有人・無人についてどう整理するか議論が分かれて、有人について宇宙ステーション、生活基盤ということだけで本当にいいのか。ロケット等を含めて総合的なプランを立てて、その中で判断をしていかないといけないのではないかという議論と、そこまで今見なくてもいいかもしれないという感触とあると思いますが。
 結論は、どこに出すにせよこの問題をトータルで議論する必要があるのだろうということ。そして、また繰り返しになりますけれども、常に費用対効果、国際協力というのがそのバランスの上に、自主開発の問題と国際協力をどういうふうにバランスさせながらやっていくかという話だろうという御議論があったのではないかなと思ったところでございます。
 ただ、宇宙探査についてこれまで出ている御議論では、米ロの圧倒的な技術力、経験があるので、日本の自主開発ということがあるにせよ、これを利用しないで、全く独自の自主開発ということではなくて、一部についての自主開発で、これを利用しながらの自主開発であって、それをどういうふうにどこまで認識するかということは、さっきの有人ロケットなどの問題を含めまして、もう少しきちっとした絵姿を描きながら言わないとわかりにくいのではないだろうか、国民の理解も得にくいと。そして、国民に対して広報努力をしながら、もう少し全体像がわかりやすい姿を示していく必要があるだろうと。
 ただ、宇宙開発、宇宙探査については、先ほどもISSで申し上げたような話ですけれども、日本は今これでなりいい地位を占めているのが、一旦途中下車したら再乗車できないものなので、だからといって別に不合理に金を使っていかなければいけないという話ではございませんけれども、今は非常に恵まれた地位にあることは認識しつつ、早く全体像を描くことが必要であろうというようなことが、これまでの御議論の中心ではなかったかなという印象を受けておりますが、いかがでございましょうか。

【知野臨時委員】今の2024年に関しては前向きにとらえていくという御説明でしたけれども、最初のところで全体の約1割強の費用負担で成果が得られたということがあります。2024年に行くまでの間も果たしてそうなのかとか、これが1割で済むのか、あるいは、もっと増えるのか、その辺の判断をする材料が今の時点ではないので、ここは条件が必要なのではないでしょうか。

【藤崎主査】そうですね。それはさっき知野委員がおっしゃったので事務局が入れると思いますが、リスク管理の点でロシア等がどういうふうに出てくるかによって状況は変わってき得るので、それを十分勘案しながら、今の前提であればということであろうと思います。そこは全部変わってしまって、日米だけでという議論ではもちろんないだろうということだと思います。

【知野臨時委員】そうですね。つまり、1割が2024年まで保証されると考えていらっしゃるのかどうかを含めて見解をお尋ねしたいと思います。

【藤崎主査】今、見解を得ようと思っても、ロシアがどういうふうに出てくるかについて、今の時点でJAXAに言っていただいても文科省に言っていただいても、現時点ではわかりませんので、その点は十分念頭に置きつつ。しかし、1割であるか、若干増えるか減るか、減ることはないと思いますが、基本的には本件が望ましいけれども、この点を十分念頭に置かないで単にコミットするのはおかしいというのはおっしゃるとおりなので、その点はしっかりと念頭に置く必要があるのだろうと思います。

【知野臨時委員】もう一点、後の方でおっしゃったロケット等を含めて総合戦略、トータルで絵姿を書かないといけないと思います。

【藤崎主査】それは米本委員が当初から言っておられることですね。

【知野臨時委員】そうですね。それがないと国民の理解を得にくいという御指摘もありまして、確かにそのとおりだと思います。
これがここの委員会のミッションかどうかはわからないのですが、文部科学省とはまた別に内閣府に宇宙政策委員会というのがありまして、そこで、例えば輸送にしても将来宇宙観光とか言っていろいろ実験機の開発着手みたいなことをあげています。そういうものも含めてトータルでどう考えていくかというふうにやらないと、ISSだけではなくて、これから始める将来技術も含めて大きな図でとらえることが必要ではないかと思います。

【藤崎主査】よくわかりました。文科省あるいはJAXAから、今、知野委員の言われた点について何かコメントはございますか。ツーリズム等を含めた全体の姿というものについて、どういう認識を持ちつつ我々はこの議論をするのかという。

【磯谷審議官】全体の姿の前にもう一度確認ですが、先ほど主査がおまとめいただいたように、財政的な問題については、今後1割がどうなるかというのは今言える話ではないですけれども、国内の財政状況もありますので、そういったことを十分留意しつつやる必要もあるし、経費削減みたいな考え方というのは当然、経費の削減というより合理化というのはどんなときでもあると思っております。
 それから、全体像の話につきましては、宇宙政策委員会にもこの情報は十分届けておりますし、宇宙政策委員会でも政策全体の議論、取組を始めると伺っておりますので、その中において、こちらで議論したことを是非反映していただいて、キャッチボールといった形で取組を進めていきたいと思っております。

【向井専門委員】一点だけ、費用対効果の確認ですが、将来に向けての研究開発や人材育成は費用対効果で説明するのがとても難しい場合があります。
 この委員会での議論では、ISSを自国のみで行う場合の一割の費用で現在の効果を得ているわけで、費用対効果は良いことになります。つまり、この委員会からはポジティブな方向性の報告書が出るように思います。しかしながら、国民の多くが読む新聞等では、これまでもネガティブメッセージとして扱われることが多いので、その格差がどうして出るのかをいつも悩んでいます。その格差が縮まらないと、この委員会や、JAXA、文科省あるいは内閣府の計画案が、国民の総意を反映できてないことになってしまうと思います。ISSの費用対効果をどのように考えるのか、いつも悩んでしまうのです。

【藤崎主査】私も向井委員にお答えできるような答えはございませんけれども、横の側面と縦の側面と申しますか、今おっしゃった1割で10割という側面と、もう一つは時系列的な時点であって、これまでこれだけの投資をしてきたと。他方、ここでやめる場合に、向こうへこれだけつながり得るものがここで切れてしまうという。その横の側面と縦の側面を見ていくと、例えばISSは無人月面が次のステップになっている。
 これをやっていくことによって、宇宙先進国としての地位を確保していくかどうかという国民の決意がもちろんあるわけでございますし、これはもう結構だと、中国にお譲りするということになればあれですけれども、今までの御議論では、基本的には流れの中では、そういう縦の系列と横の系列という費用対効果でいけば、これの難しいところは冷却ベストなどでは判断できない部分のもっと大きな、これは向井委員の言われる安全保障などの点を含めての話でございます。費用対効果という言葉の定義の問題が余りにも狭い意味の費用対効果で議論すべきでないという意味では、全くおっしゃるとおりではないかなと思っております。

【阿部専門委員】向井委員がおっしゃった費用対効果に関して、大多数の国民は「はやぶさ」はやってよかったと思っていると思うんですね。あれは日本の誇りだと。ですから、「はやぶさ」の費用対効果がどうだったのかということをもう少し定量的に解析する必要があるということが一つと、もう一つ、我々の企業のR&Dもそうですけれども、これは費用ではないんですね。R&Dの費用をコストと考えると、削減すればするほど利益は上がりますから、それはもう切り下げた方がいいわけで。R&Dは投資と考えるべきだと思います。
 費用対効果は、これは日本としてどういうポリシーを持って将来のために投資するかという話なので、どこに投資するかというところが非常に重要。費用というとコストですから、それは下げれば下げるほどいいんだという議論になると、R&Dも宇宙開発も全然先に進まないということだと思います。

【角南臨時委員】今、阿部委員がおっしゃったことは非常に重要で、米国のレポートも非常に明確に書いてあるのは、Economic Benefitのところをよく読むと、確かにCost Benefitとは書いてないですね。Return of Investmentと書いているんですね。それはまさにおっしゃるように、コストではなくて投資だという意味です。
 ただし、政府が行う他の研究開発のプログラムと比べて、宇宙に関して言えば投資に対するリターンを信頼性のおけるデータによって優位性を見せることは不可能だと書いてあります。

【藤崎主査】これまでの御議論を踏まえまして、文科省で中間報告の案を起案していただく。ただ、これはこれまでの議論がございますので。率直に申しまして、ISSのこれまでの成果については大体収れんしていると。今後の取組についても近いと。ただ、今おっしゃった2024年のところはきちんとしたメルクマールをつけましてどういうふうに書くか。リスク・コントロールみたいなことをつけながら書くと。
 そして、全体像の姿、探査について、第2段階、第3段階につきましては、まだ相当議論もございますので、無理にここで意見の一致があったように書くというよりは、そこについてはこういう議論もありこういう議論もあったという形で書いて、こういう指摘があったということ。
 それから、最後の非常に大事な点でございますが、費用対効果の議論については、阿部委員、角南委員からも御指摘あったように、投資的な側面ということを強調しつつまとめていただくと。
 それでいつぐらいまでに案を投げていただけますか。

【谷室長】なるべく急いで、まず初回のドラフトを今週中に先生方のところにお届けできるように作業させていただきたいと思っております。

【藤崎主査】第1弾を投げて、それについていろいろコメントがおありになると思うので、それをメールなりでまたお返しいただくと。それを勘案して第2弾を投げていただいて、よろしいということでまとめさせていただきたいと思いますので、タイミングをよく見ていただいて。
 委員の方々も大変恐縮でございますが、事務局から参りましたらできるだけ早く、即座に返していただいて、キャッチボールを繰り返して、ほかの委員の言ったことで意見が違えば、自分の言ったところだけではなくて、そこのところも見ていただかなければいけないものですから、そのキャッチボールを繰り返してまいりたいと思います。
 まずは今週第1弾を送っていただくと。それを見ていただいてから御判断いただくということでよろしゅうございますか。

【知野臨時委員】質問ですけれども、そうすると、今の最後のところの費用対効果というのを余り言わずに、これは必要な投資であると言い切ってしまうのでしょうか。

【藤崎主査】いや、費用対効果については、米国のレポートにこういうふうに表現されているので、「費用」という表現でいくのか、あるいは、別の形でのとらえ方もあると。したがって、これを「費用」と言った場合にも、純然たるいわゆる経済学の費用対効果よりも、もう少し幅広いものとして考えながらの費用対効果という議論が多かったのではないかと、こういうことではないでしょうか。

【知野臨時委員】ただ、その表現は若干気をつけて書いていただきたいと思います。というのは、1兆円プロジェクトで、これは投資なんだ、科学で役に立っているんだというように言い切ってしまうと、一般的には理解されにくいと思います。いきなり問題点をすり替えたように、論点をすり替えたように感じます。

【藤崎主査】「費用対効果」という言葉がなくなるのはあり得ないことなので、この意味はどういうことなのかという解釈で、もう少し幅広い意味であるということを。そこは皆さんが納得いただくような形に記載していただくと。

【谷室長】最大限努力をさせいただきます。「費用対効果」という表現そのものは宇宙基本法等にも書かれておりますので、それを避けて通ることはできないと思いますし、費用対効果という形で御議論を頂いたところであります。他方で、投資とそれに対するリターンという見方の重要性というのはきちんと強調させていただきたいと思います。

【藤崎主査】委員の方々、よろしければ先ほど申し上げた段取りでこれから進めさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。

【谷室長】事務局から御連絡だけ。
 中間とりまとめにつきましては、先ほど御指示ありましたとおり作業を進めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それから、次回の日程でございますけれども、第6回の会合は15日、10時から予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。ありがとうございました。

(説明者については、敬称略)

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研究開発局宇宙開発利用課

-- 登録:平成26年08月 --