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宇宙開発利用部会 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第3回) 議事録

1.日時

平成26年5月30日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 3階2特別会議室

3.議題

  1. 今後の「きぼう」利用の在り方について
  2. 我が国の国際宇宙探査への取り組み方について
  3. その他

4.出席者

委員

主査 藤崎 一郎
主査代理 牧島 一夫
臨時委員 古城 佳子
臨時委員 角南 篤
臨時委員 知野 恵子
専門委員 続橋 聡
専門委員 西島 和三
臨時委員 米本 浩一
専門委員 向井 千秋

文部科学省

研究開発局長 田中 敏
大臣官房審議官(研究開発局) 磯谷 桂介
研究開発局開発企画課長	 内丸 幸喜
研究開発局宇宙開発利用課長 柳 孝
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長 谷 広太

【説明者】
独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
理事 山浦 雄一
理事 長谷川 義幸
宇宙飛行士 大西 卓哉

5.議事録

【藤崎主査】皆さん、おはようございます。探査小委員会の第3回会合を開催いたします。今日は大西宇宙飛行士に来ていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

【JAXA(大西宇宙飛行士)】よろしくお願いします。

【藤崎主査】まず、事務局から事務的なことをよろしくお願いいたします。

【谷室長】おはようございます。まず、定足数の確認でございますけれども、本日、11名の委員のうち9名御出席を頂いておりますので、委員会が成立していることを御報告申し上げます。続きまして、資料の確認をさせていただきます。お手元に、議事次第、一枚紙と、資料を4種類お配りしております。御確認いただければと思います。過不足ございましたら、事務局までお申し付けいただければと思います。なお、参考資料として記者発表資料を別途お手元にお配りしております。後ほど御紹介させていただくことになるかと思いますが、御確認いただければと思います。資料の確認等は以上でございます。

【藤崎主査】それでは、初めに大西飛行士から御挨拶いただきまして、この前、若田宇宙飛行士のメッセージを頂くということになっておりましたので、これを大西さんから御紹介いただいて、それから今後大西さんが飛ばれることについての御報告等を伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【JAXA(大西宇宙飛行士)】おはようございます。JAXA宇宙飛行士の大西卓哉と申します。2016年の自身の初飛行に向けて現在訓練を頑張っているところでございます。先ほどありましたとおり、まず冒頭で、先日、国際宇宙ステーション(ISS)の船長という大任を務め上げ、帰還した若田宇宙飛行士のメッセージを持ってきておりますので、そちらをごらんいただきたいと思います。

(若田宇宙飛行士のビデオメッセージ紹介)

【藤崎主査】どうもありがとうございました。では、大西さん、お願いいたします。

【JAXA(大西宇宙飛行士)】どうもありがとうございます。半年間、無重力空間で生活してきたとはとても思えないような若田飛行士の元気な姿をごらんいただけたかと思います。私も、ロシアと米国を往復する生活ですけれども、幸い日本に来る前に、帰還して約40時間後の若田飛行士と話をする機会があったのですが、こちらが思わず拍子抜けするほどの元気な様子で、宇宙医学というものの発展というのを感じましたし、宇宙飛行士の健康を維持するための技術が、ISSをテストベッドに、将来の探査計画を視野に入れて開発が進んでいるのだなということを実感させていただいた次第でございます。
 この場で発言させていただく機会を得ましたので、私が日ごろ米国NASAの宇宙飛行士室の中で業務をしていく上で感じたことを幾つか御紹介させていただきたいと思います。御存じのように、現在、NASAは将来の探査計画に向けて、次世代のロケットシステムであるSLS、それから、宇宙船「オライオン」の開発を進めているところでございますが、これらは将来のISSへの往復に使われるだけではなく、将来の小惑星とか火星といったその先を見据えた、将来の発展使用を前提として開発が進められているところであります。NASAの宇宙飛行士室の中で探査部門というのは独立でありまして、そこには数多くのパイロット出身の宇宙飛行士が所属しておりまして、開発の段階から宇宙飛行士が参加しているという状況でございます。また、2013年にNASAは8名の宇宙飛行士候補者を選抜しましたが、この選抜はISSのミッションだけではなく、将来の小惑星、火星を視野に入れた長期間のミッションに耐え得る人材を採用するために選抜したと聞いております。この選抜には、過去、NASA史上二番目となる約6000名を超える応募者があったと聞いておりますが、それだけ米国の中での将来の探査にかける民間の意欲というのを感じさせられました。
 私自身の経験を述べさせていただきますと、約3年前にNEEMOという訓練に参加しました。これはどういった訓練かと申しますと、フロリダの沖合の海底に研究室が沈められておりまして、その海底施設の中で約1週間、6名のクルーが、閉鎖環境で生活するという訓練です。その際に、小惑星上での移動若しくは作業手段を開発するためのテストを実施してきました。というのは、過去、NASAは月面に人類を送り込んでおりますが、月面は重力が存在しますので、例えば移動の手段とか作業をする手段というのは、地上で行われているものとそれほど大きな差はありません。ISSというのは、もともと人類が築き上げたものですので、作業するための例えば手すりとか道具を取り付ける場所が最初から計画で取り付けられています。
しかし、小惑星に行った場合、どこが変わってくるかと申しますと、何もないところで人類が活動するための足場をまず作って、移動手段を確立するところから始めなければいけないというのが大きな違いで、NASAは既にその点を視野に入れてそういった手段の開発に取り組んでいるところであります。それが既に3年前からスタートしている状況です。翻って我が国のISSの先の宇宙探査の状況を見ますと、まだまだ議論が遅れているのではないかなと私自身思っておりまして、少々歯がゆい思いがしているところでございます。是非小委員会の委員の皆様には、前向きな議論をこれから先も継続していただきたいと、私自身強く思っております。
 2016年、私自身ミッションを控えておりますが、そのミッションを安全に確実に遂行することはもちろんなのですけれども、その先、2020年代半ばに予定されている探査計画では、私も今の若田飛行士と同じくらいの年齢になっていると思いますので、その際には世界の宇宙飛行士の間でリーダーシップをとっていけるような、そういった人材になれるよう、それを視野に入れてこの先のミッションに臨んでいきたいと思っておりますので、引き続き御支援いただければと思います。簡単ではありますが、私からの御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございます。

【藤崎主査】大西さん、どうもありがとうございました。是非御活躍いただきたいと思います。せっかくでございますから、向井先輩、何か激励の言葉、あるいは、御質問ございませんでしょうか。どうぞ。

【向井専門委員】思う存分やってください。応援しています。

【JAXA(大西宇宙飛行士)】はい。

(1)今後の「きぼう」利用の在り方について

JAXA(長谷川理事)から今後の「きぼう」利用の在り方について、資料3-1-1、3-1-2に基づき説明

【藤崎主査】ありがとうございました。これから質疑応答に入りますが、第1回会合では一問一答形式で行い、ちょっと時間が長すぎましたので、2回目でまとめました。今度は5~6人に対して1人になるとお答えになるのも大変でございますので、2~3人で1人という感じに整理をさせていただこうと思っています。
 最初に私から。この長い方の資料の14ページと22ページの関係でございますが、14ページのところでタンパク質についてJAXA独自の技術として獲得したことと、それから、有償利用制度について書いてございます。それから、22ページで海外のISS利用で、米国はISSの利用について軌道上作業時間の50%を提供していると、この一番上に書いてございます。そこで、私が知らない、JAXA独自の技術として獲得された場合でも、特許等をとることはなくて、みんなでシェアされるものなのか、あるいは、NASAなどとも情報は交換されるのか、あるいは、NASAからも彼らの独自の技術として得たものは同じように得ているのかどうか、そこの民間あるいは外国との情報シェアについて。それから、利用制度につきましては、有償利用制度をやっておりますが、米国のISS利用リソース50%提供、これも有償ということでございましょうか。これは同じことを言っているのか、あるいは、米国の場合には国立機関には無償でやっているということなのか、そこの意味がよくわからなかったので、教えていただければと思います。

【西島専門委員】補足と質問ということで。まず、タンパク質の結晶とか創薬については大変いい資料を用意していただきまして、どうもありがとうございました。これで大体わかるのではないかと思います。25ページに書いた「条件が整えば」というもの、これも的確と思います。私の方からちょっとフォローしたいのですが、こういうトライアルユースとして、先に行ったときにメリットがあるということですが、ここに書いてないのですけれども、タンパク質試料の純度が高いものをつくるというのは大変に時間とお金がかかります。例えば、疾患関連でヒト型のタンパク質の量を獲得する場合、タンパク質を発現して結晶化に耐え得る純度をつくるというのはすごく時間と経費がかかります、グラムオーダーで数百万、数千万とすごくお金がかかります。したがって、タンパク質の量が少なくても結晶化条件が検討できるということがすごく効果が高いということを一言申したいと思います。つまり、そのオーダーで、今まで何グラムも必要だったのが、1グラム以下でも結晶化条件できるということになれば、参入する企業としては非常に敷居が低くなると、この点はもしかしたら、後で費用のところでコメントした方がよろしいかなと思いました。
 先ほど私、若田飛行士とか大西飛行士の話を聞いて思ったのは、宇宙飛行士の方は心も体も大変優等生というか、間違いなくそういう方です。そういう方が宇宙に行って、半年ぐらいでも重力とかいろいろな影響を受けて、帰るときに加齢が加速するような条件というのはある意味では非常にシビアな条件です。でも、逆に言うと、そういう非常にシビアな条件、特殊な条件下においてヒト試験ができるということは、ある意味では特殊モデルというか、例えばバイオマーカーの変化、前投与による薬の影響など病態モデルは加速条件ですので、例えば地上で10年間かかってコホート研究する場合と宇宙で半年間実施したものを比較すると、同じような挙動を示しかもしれません。つまり、宇宙で半年実験すると10年間地上で実施したことと同様な効果を得られることになります。そう考えると、4ページに「遺伝子発現の変動の機序の解明」と書いてあるのですが、遺伝子が明らかに変化するという特殊な場合はなかなか見つからない。実際は遺伝子が影響を受けて、実際に計測されるのは、血液中とか体液中のプロテオーム解析とオミックス解析の方になってくるのですね。それと、いわゆる先天的な遺伝の病気というのは非常に特殊ですけれども、最近言われている後天的な遺伝、環境に伴うエピゲノム変化といったものも追っており、幸いなことに、今、国際エピゲノムというコンソーシアムが動いていて、日本も文部科学省、JSTの中である一つのポジショニングを持っています。そういうところと協力していくというのも大きいかなと思いましたが、その辺はどうお考えでしょうか。

【藤崎主査】今、大変厳しい環境の中で、骨粗しょう症の10倍のスピードでの加齢という話がございましたが、元へ戻すような形は今まだ実験中の治療薬であって、今の飛行士の方は、例えば半年おられた場合に相当シビアな負担になったものはまだ今の段階ではこのままであるということでございますか。では、よろしくお願いします。

【JAXA(長谷川理事)】最後に頂いた御質問から説明いたします。骨粗しょう症ですが、今まで7人、8人の宇宙飛行士について、骨のカルシウムが抜けてしまうことで、骨がすかすかになる現象というのはもう既にありまして、きぼう利用推進委員会の先生方と相談して、その実験をしました。1週間に一遍、カルシウムを補うサプリメントを飲む実験をしまして、ほとんど減らないレベルまでいっています。ある部分は少し増えてしまったりするケースもあるのですが、若田さんにもそれを飲んでいただきまして、骨は行く前と全然変わらないということになっています。その内容は、関係の先生方が寝たきりの方々に投与している話と合わせて、その効果をよりはっきりさせた上で広めていこうという状態になっています。
 それから、前に戻って、西島先生がおっしゃったオミックス解析等のエピゲノムの変化ですが、12ページに書かせていただいております。今まさに、我々が浅島先生はじめライフの専門家の方たちと一緒にやらせていただきました。エピゲノム変化が加速的に生じると考えられる宇宙環境を利用して、国がやろうとしている分野のエピゲノムの方に、今重点を移そうとしておりまして、そこの疾患解析に宇宙が一役を担うというふうに、遺伝子のオンオフを含めてやろうということで計画をそっちの方に重点化させていただいています、というのが二つ目です。
 それから、西島先生がもう一つおっしゃった、量が少なくても、タンパク質の結晶成長ができるというのは、ここが一つの私たちが10年かけて専門メーカーと一緒に培ってきたもので、少なくても高品質の1オングストロームとか、すごい解析ができるような状態に持っていく部分がノウハウでありまして、確か特許をとっていたような気がします。ということで、ここが一つの売りにはなるのですが、明示していないので、これを外に対してわかるようにしたいと思います。
 それから、主査からございました話、まずNASAの有償利用の話ですが、有償利用で実費をもらって進めていこうというのは私たちが始めました。NASAの場合は、23ページに図で描かせていただきましたが、米国の利用リソースの半分をNational Labというような構想の中で利用していただくということです。資金も、例えばNIHがとってくださいということで進めているもので、費用をNASAがもらってという方法はとっていません。原則、NASAのインフラの部分は自分たちがいつでも、お客様というか先生方が使えるようにサポートしますが、利用自体についてはそれぞれの団体等がやってください、ということになっています。実験者とのつなぎが要りますので、NPO法人を設立して、そこで作業をうまくソフトランディングするようにしているようであります。
 それから、特許の件ですが、このタンパク質の結晶の中から結構とっています。それは飽くまで我が国の特許でありますので、それをNASAに、あるいは、NASAの関係のところにお見せするというのは、あるバーター条件でないと行いません。私たちの中で、先生方からもらったいろいろな知見を含めて、専門メーカーと共同の特許をとりまして、その方法自体が、当初はNASAが米国でやろうとしたものだったのです。彼らが断念したものを私たちがいろいろトライした上で、タンパク質結晶の大きなものを作れることが明確にわかり、成果が出てきたのです。米国側は、逆にそれを自分たちが先べんをつけてやったものだから、別の方法でもう一回他を圧倒したいということで、今、力を入れ始めた分野であります。

【藤崎主査】ありがとうございました。他に、委員の方々、御質問。どうぞ。

【知野臨時委員】まず質問ですが、「今後の民間『きぼう』」のところで「適正な利用価格設定」と書かれていますけれども、「適正」というのは非常にあやふやでどうにでもとれる言葉です。どの商売にしても皆さん適正な価格でやっていらっしゃると主張されると思うので、何をもって適正と考えるかという指標をお教えください。
 それから、1ページに「『きぼう』利用方針の変更のポイント」とお書きいただいていますけれども部外者から見ますと、方針の変更には全く読めないのですね。つまり、量の変化、今までやってきたこととほとんど同じだけれども、今度はこれをやりますということで、ほとんど今までと同じではないかという気がします。例えば、丸数字の1の我が国の強みとなる宇宙技術、それから、競争力の高い技術、企業の事業拡大、これはまさにそのとおりだと思うのですが、今までこれだけやってきて、方針の変更だとおっしゃるのであれば、次はここに絞りますなどの具体的なものがあってもいいのではないかなと思うのですが、それぞれに関して具体的にはどうお考えになっていらっしゃるのか。それが絞れないと方針を変更したことにはならないと思います。
 それから、三点目は、厚い資料も含めて全体を読ませていただきますと、今現在、ISSはロシア・米国問題もあって、様々な点でこれからどう変わるかわからないというリスクも含んでいるわけですが、これだけだとまるでそういったことがないかのように、そのまま量を減らすだけの話のように見えます。そういった情勢の変更についてどう思われているか。例えば、今、ロシアが2020年までと言っているけれども、2020年までの間にはやめないにしても、何か変化は出てくるかもしれない。現実に欧州も今までのATVをやめたという動きが出てきている。それから、2024年に本当に撤退したとしたら、ISSを今までの形態で使っていくことができるのか、そういう問題も出てきます。そうしたことも勘案すると、ISSはロシアにどの程度依存しているかという問題があります。そういったことの分析がなければ、これからの利用を考える上での疑問に答えていただいているように感じられないのですが、その辺はいかがでしょうか。

【藤崎主査】今、大変微妙な点の提起がございましたので、ここでお答えいただけますか。

【JAXA(長谷川理事)】適正な価格というのは、実費だけで、いろいろなマージン等を含めているわけではありません。世の中のそれと同種ないしは類似したものよりは、高くないようにしています。「適正」と言ったのは、それぞれのものに応じて設定しようということです。例えば小型衛星の放出は、スペースXだとか他でもやっていまして、そういうものを調べました。「きぼう」の方針にのっとって、我々が余計な費用を出さないで済むようなものかどうかを勘案して設定していますが、我々の方が多分一番安いのではないかと思います。他も同じように、他の国を見た上で価格を設定するようにしています。要するに、実費をもらうだけで利益を取ろうということではありません。お客様が、民間企業さんあるいは製薬会社さんが見た場合においても、そこは妥当なものなのでやってみよう、と思っていただくような費用に設定したというのがこの内容です。

【知野臨時委員】そうすると、宇宙実験的には適正な実費であっても、地上での実験と比べてどうかと、そのあたりはいかがでしょうか。

【JAXA(長谷川理事)】タンパク質の結晶等で製薬会社さんらと相談させていただいて、実際にトライアルでやっていただいて、次にお金を払うときには、実費でいうことを御相談させていただいています。これだったら出してもいいと思う価格を、いろいろな会社さんの意見を頂いて設定させていただきました。実際にお客様に直接相談して活動することが従来と違うところで、一番目のことでございます。
 二番目、方針の変化が余り見えないのではないか、と言われた件については、大きくはボトムアップからトップダウンというのは完全に変更のつもりでありまして、かつ、分野を絞って国の戦略と合わせてということが大きな話で、ボトムアップだといろいろな分野からいろいろな先生が出てくるのですが、それが国の戦略に合うかどうかというのは別の話になります。大きな流れとして、国の戦略の中で、宇宙特有の、有人特有でやれるものがそこの一役を担うという方向に絞っていこうということです。その具体的な内容を、詳細版の後ろの方に書かせていただきました。ライフサイエンスだとエピゲノムだとか、骨・筋の医療の方に対応させていただき、それを具体化させる作業を、今、その分野の方々と相談をやらせていただく、あるいは、役所さんとやらせていただくということです。

【藤崎主査】普通の言い方でいうと、重点化ということだとわかりやすいということなのでございましょうね。

【JAXA(山浦理事)】経営企画を担当させていただいていますので、一言補足させていただきます。当然この利用あるいはISSが上がったころと比べて、世の中の様々な環境とか、先ほどエピゲノムの話もありましたけれども、いろいろな世の中の取り組み、イノベーションを重視するといったような政策的なところ、それから、科学技術の進展、これを踏まえた取り組みに切り替えるということで、新理事長の下でJAXA全体として価値を創造するという考え方そのものを変えています。 
 その中で、「きぼう」利用においては、更に地上研究で日本が得意とすること、国として取り組むといったところ、それから、産業界における様々な意識を持った取り組み、こういったものを迅速かつ重点化して取り組もうということを我々経営陣挙げて、トップの指示、それから、関係の皆さんとの今まで以上におつき合いなかったところとの交流ということを含めてやっておりますので、我々としては極めて、きょう説明が十分でなかったかもしれませんが、大きな変化としてとらえて取り組んでいるということでございます。

【藤崎主査】知野委員の言われた第三点について、ロシアと米国との関係、その他環境の変化の問題がございましたが、いかがですか。

【JAXA(山浦理事)】JAXAとして答えさせていただきますけれども、もし不足のところがありましたら、文科省の方でフォローいただけたらと思います。我々として、ロシアの一部の方がインタビューに答える形でおっしゃったというのは当然承知しております。ただし、それに関して国としても聞いておられないと我々は認識していますし、JAXAとしても一切そのような話は伺っていないと確認をしておりますし、ロシアのISSを含む関係者とコミュニケーションしても、そういう話は一切、彼らとしては考えていないというふうに聞いております。ただし、知野委員のおっしゃったような、あらゆるリスクに対してどのように認識して対応していくかということは非常に重要ですので、それについては我々の持ついろいろな調査分析機能、それにかかわらず様々なところとの情報を十分把握してやっていきたいと思っております。

【田中局長】まず、知野委員の御質問ですが、私として少し感じるところがありますから、お話し申し上げたいと思います。JAXAが今回出してきた紙を事前に我々も検討したのですけれども、大きな方針の変更をされているというのは、今までずっと積み上げてきて、ISSで何ができるかというのを今まで一生懸命模索してきたのだけれども、むしろ今後は「ISSを使って何をすべきか」というところを前面に出そうじゃないかということで、あの資料もつくってもらったということであります。したがって、重点化というよりも、方針を変更してもらったと私たちは思っているものですから、「方針変更」と書いたのです。ただ、具体的ではないのではないかというところは、まさにその御指摘のとおりであって、何をすべきかというところが必ずしもはっきりしてないというところは、これから更に具体化をしていかなければいけないだろうと思います。
 もう一つ、諸外国の状況とかいろいろな国際動向、ISSをめぐってはいろいろ状況が変化するのだろうと思うのですけれども、今回この資料をつくってもらった趣旨は、いろいろな動き、アンテナを高くやらなければいけないのだけれども、自分たちとしてどうするべきなのか、何をしたいのか。したいのかというと変ですけれども、自分たちの方針をはっきりしないと、諸外国の情報に左右されるという面もあるのだけれども、まず我が国としてあるいはJAXAとしての考え方をはっきり示すのが先行ではないかということで、今回の資料をそういう趣旨でつくってもらったわけです。したがって、ここには諸外国の状況の様々な動きをまだ書いてないのですけれども、これから具体化していくに当たっては、そういうこともアンテナを高くして具体化を進めていくということになろうかと思います。

【藤崎主査】今の第三点について何かありますか。

【田中局長】第三点は、我々政府挙げて、米国の動き、ロシアの動き、EUの動き、様々なものがありますが、一つひとつに余り左右されることなく本質をきちっと見極めて、あるいは、それぞれの情報の背景とかいうこともきちんと分析して、対応することが必要だろうと思います。

【藤崎主査】わかりました。今のは言葉の問題ですから、本質的な問題ではございませんが、知野さんの言われるのは、青い方とオレンジの方を比較すると、オレンジに書いてあるのは強化であり、重点化であり、本格化であり、積極的活用と継続と書いてあって、余り変更らしい言葉で書いてないので、もうちょっとそこは工夫される必要があるだろうという、新聞編集委員としての語感は私も理解できるところでございます。

【古城臨時委員】今、局長が触れられたのですけれども、新しいことを今度はやるというのではなくて、今までやってきたことを基礎として新たなことを選ぶことができた、ということをきちっと書かないといけないと思います。この書き方ですと、今までいろいろとボトムアップでやってきたが、余りうまくいかないものは捨てて、いいものだけに集中すると、何となくそういう感じにとられちゃうので。むしろ、ボトムアップでやってきたことからすごく有効で、しかも国の課題解決につながるようなこういうものが出てきたので、それを更に発展させるというように書かないといけないのではないでしょうか。新しいものを何か打ち出すということよりも、今までの積み重ねの上に更に何ができるのかということに今回は力を入れて、日本的な特色を出す、というような説明でないと、このところを理解するのはなかなか難しい。こちらの詳しい方を読むと多分書いてあるのだと思うのですが。それから、言葉の問題だと思うのですけれども、ボトムアップからトップダウンへということはこの頃盛んに言われていますけれども、科学の分野でトップダウンというのはどうなのかなという感じがするのですよね。ボトムアップから出てきたものを選別して、そして重点化していく、ということではないでしょうか。トップダウンに転換するというと、これまでの積み重ねや科学的研究と関係ないところからこれをやれと言われているようなイメージがあるので、広報的にはどうなのかなと一市民としては思います。

【藤崎主査】今の古城委員の御指摘は大変重要な点で、これまであるものの成果の上にということで考えないと。何か変わってしまうことではないのだということをうまく示すような形で御説明いただくというのは大事な点だろうと思います。

【向井専門委員】JAXA方針変更の話と、トップダウンとボトムアップに関して、研究コミュニティの立場から話をさせていただきます。この表と、資料3-1-2の23ページは、NASAの利用主体の切り分けは非常にはっきりしていて、この形が日本はとれていない。この形をとるためには省庁間連携が必要なため、内閣府のレベルで考えないとこういう形はできないです。参考資料の23ページの「海外ISS利用の取り組み」の中の米国National Labプログラムのところを見ると、先ほど古城先生が言っていらしたボトムアップとか産業利用がISSリソースの半分を使って書かれています。これはグラント(研究費)がある。他の省庁からの利用をつかんでこられているから、JAXAがやっているような産業界への有償利用を細かに考えなくとも済む。このグラントの機構はNASAにはあるのです。でも、JAXAや文科省はISS利用の研究者に対するグラント制度がないのです。装置は開発できる、しかし、実験結果の解析や分析するお金は研究者が別の資金源を確保しなければならない。さっき古城先生がおっしゃったボトムアップというのは、茶色の50%のISSをNational Lab.として利用する範疇(はんちゅう)です。NASAはNational Labのリソースとして50%は外部に利用をゆだね、残りの50%のリソースはNASAが本来、宇宙開発予算でやらなければならないことに利用しています。つまり、NASAは宇宙科学研究、地球観測、探査等です。この範疇(はんちゅう)で実施されている宇宙医学研究は運用を可能にするためにトップ・ダウン的に優先順位をつけられた応用化研究が主で、National Lab の50%リソースを利用している国立衛生研究所(NIH)などの生命科学テーマと趣が幾分違うのです。NASAがやらなければいけない宇宙医学は科学的にメカニズムを解明するというテーマではなく、飛行士をより長期に、より遠くの宇宙に安全・安心に探査・滞在させるために必要な研究内容です。したがって、ボトムアップとトップダウン的な研究のすみわけが比較的明確です。この構図がうまくできると、日本も、宇宙開発予算による研究・開発と、ボトムアップから出てきている科学的な研究アプローチ、成果・アウトプットの切り分けががはっきりすると思います。これが今は全部一緒になっていているため、投資対象に対する成果内容がわかりにくいと思います。 

【米本臨時委員】今、向井さんが言われたことに少し関連するかもしれません。今後、ISSの有効利用ということで、厚い方の資料の3ページについて、これは一回目、二回目、相当議論をしてきたことでもありますが、日本の強みとは、今までボトムアップでいろいろ蓄積してきたデータとか技術というものに立脚するのでしょう。けれども、今後とも日本の強みを生かすという意味で、ここに具体的に書いていただいている、例えば4ページ目の放射線被ばく管理や、あとにも出てきます水とか空気の再生利用技術、そういったものを日本が利用することで、今後の国際宇宙探査の議論の場で、日本がプレゼンスを示すことが本当にできるのかということの説明がもう少し欲しいなという気がします。それが最初の質問です。というのは、これを見る限り、もしかしたら米国技術のキャッチアップをやろうとしているのかというふうにも思います。この内容では、日本の独自の技術をどうやって生かして、次の場面では日本が「これは全部日本に任せてください」ということが本当に言えるのかどうかが見えません。
 それから、5ページにおいて、燃料電池は重要になる技術だと昔から言われていますが、世界の水準に対して今、日本はどのレベルにあって、これはリードできるのかとか、そういった議論が欲しいなと思う訳です。そういったことを議論していって初めて、ISSの今後の利用において、日本はここをどんどんフォーカスしてやっていけば世界をリードできるというような議論がやられるべきではないか、というのが私の最初の質問の意味です。
 続けて二番目の質問に行きます。資料の薄い方の2ページ目に書いてあるのですが、「有人輸送を除き、いろいろ技術を習得した」ということはもう確かなことで、誰も文句を言わないと思います。だけど、有人技術というのは輸送を伴います。その議論は、最初に質問したところ、余りやらないようなことを言われた。しかし、有人輸送の技術を持たないまま、今後本当に日本がプレゼンスを持てるのでしょうか。現状、お金がないからやらないのか、やろうと思ってやっても技術的に追いつかないのか、そこはもう一度議論する場が必要なのではないかなと思っています。ISSに貢献した「きぼう」と「こうのとり」について、日本が培ってきた技術の中でも後者の「こうのとり」は相当な輸送技術だと思います。ヨーロッパはやれなかったわけですね、諸般の事情があって。「きぼう」の利用というのは、今いろいろ議論されています。しかし、「こうのとり」を使って次につながるような輸送に関する技術課題もいっぱいあります。今後ISSの利用は、10年あります。2024年までは約束されているわけなので、その中で「こうのとり」を使って有人輸送につながる技術を獲得していくという議論が、今までの委員会には全然出てきていません。これについては、一回目も二回目の委員会でも質問したのですけれども、お答えをいただけませんでした。今後有人輸送技術については、どのようにしていきたいのか、どのようにしていった方がいいのかということをもう一度教えていただきたいと思います。
 三番目の質問は、3ページ目についてです。国の戦略的な研究開発へ重点化、国家戦略という中で、今まで出てこなかったサンプル回収技術がここに突然出てきています。私が発言したから入れたのかどうかわからないのですけれども、どういうふうに思ってここに書かれたのかというのを教えていただけませんでしょうか。

【JAXA(長谷川理事)】まず、有人輸送に関するスタンスですけれども、国際宇宙探査をにらんだ場合は、結局、米国が主導していくことになります。そして、米国が今やろうとしている内容は、低軌道の有人輸送の話と、深宇宙の宇宙探査用の有人輸送の話が並行してやられています。その中で、米国政府は資金を投下して進めているという現状になっています、御存じのとおりですが。
 JAXAとしては、並行してロケットの新しいものを含めて高信頼度化を進めようとしています。それと帰還回収技術をやっていこうというのが今の段階での技術的準備であります。スタンスとしては、米国の動きを踏まえた上で日本が本格的な有人に乗り出すかどうかというのは政策判断になるので、JAXAではなくて、政策的に判断をしていただこうと思います。どっちにしても、国際的に、特に米国との間でせめぎ合いをしたときに、米国が欲しいというものをやらないと入らないのですよね。ISSの経験及び今もそうなのですが。我々がやりたいといったことが、彼らにとってそれがそうだというもののカードを持っていたいというのが私たちの考え方で、日本のやりたいこととベクトルが合えばそれが一番いいということで努力をしているつもりです。
 今度は地球周回以遠に行きますので、有人輸送は必ずしも地球とか地球の周辺の往復環境を意味しているわけではなくて、その先に対して、火星を踏まえた上でもそうですけれども、航行上の居住の環境を維持する等、月だったら月の対象天体の表面に降りて、表面を探査し、掘削して、リターンさせるという技術を、有人輸送の一つとして獲得するということが一つのスタンスかなと。米国がまだ持っていないものがあって、お金の制約とかいろいろなものの中で、日本がやることによって米国が助かるだけではなくて、我々がやりたいものがキーサプライヤーになるというふうなスタンスで進めたいと思っています。そういうものの具体的な内容を幾つか書かせていただいたのが、再生型燃料電池とか、ECLSSみたいな生命維持装置で、日本の得意な水リサイクル、空気リサイクルがその中に入っていけるだろうと。特に民間が既に持っている最先端の技術というのはたくさんあるので、それをスピンインさせて、アップグレードさせて元に戻す等、それを使っていくというのが宇宙開発そのもののやり方だと思うのですが、有意な技術がこの中にあります。再生型燃料電池は日本がトップを歩んでいるので、それを宇宙用にどうアレンジするかというのが最大の問題で、その中で既にやっているものを選びました。これが一番目です。
 二番目の答えも結局同じなのですが、「きぼう」とか「こうのとり」の技術をより将来にというのは、NASAとのせめぎ合いをやっているのですが、「こうのとり」のアップグレード版、月に使うものをどういうふうに仕立て上げるかというのが最大の問題でありまして、シナリオの中で私たちがそれを出すことによって、彼らが助かるだけではなくて、日本の技術が、それがないとできないというものの中にうまく落とし込めないかということで、それの検討・研究をし始めているところです。
 サンプル回収はもともとあったものを、ここで。サマリー版が余りうまくないので、古城先生から御指摘があったのですが、詳細版には書いてあったものを、今のスタンスの中でサンプル回収を入れたつもりであります。このサンプル回収技術はロケットの回収から、宇宙船の回収から、どっちにしてもキーの技術になりますので、そこはやっていく必要があるだろうということで入れさせてもらいました。

【JAXA(山浦理事)】一言補足します。JAXA全体としてどのような技術に取り組むべきかというところは、人がどうだということではなくて、日本として自立性を持つのにいかに重要であるか、あるいは、これが日本の宇宙開発活動、利用も含め、それの指標で考えています。したがって、他のパートナーがどうだというのは、一つ一つの計画なりプロジェクトの中で行うある種の方法論と言いましょうか、そういうものですので、そういう御理解をいただけたらと思います。日本として自立性を持った活動をどの範囲でやるかというところで、LEOの活動であり、将来の探査であり、惑星上で日本として他者に依存しない技術が何である、あるいは、我々として依存するところを持ってでもやるべき活動、いろいろあると思いますので、そういう中で判断していくべきことだと思っています。

【藤崎主査】今の点は大事な点でございまして。費用対効果等からいくと、かなりの部分、情報を共有し、技術もシェアしていった方がいい面と、他方、自立性を確保していかなければいけない、両方の柱があるはずで、片方だけではないはずなのですね。ですから、そこのバランスを考えないといけないという点で、さっき冒頭で情報の共有、特許等の点についてちょっと伺った次第でございます。

【続橋専門委員】薄い方の資料の1ページ目です。私もこの表を見てどこが変化したのかという感じがしました。キーワードを考えた場合に、例えば「国際」ということで、国際宇宙探査とか、国際協力ということを考えると、丸数字の1と4。次が、研究開発ということを考えると丸数字の2。産業化ということを考えると、利用の推進を含めて丸数字の1の産業競争力の強化、こうした三つのグループにまとめることができます。一番大事なのは国際だと思います。「産業」という言葉は入っていますけれども、この書き方について私は若干違和感があります。その違和感は何かというと、厚い方の資料の3ページの(1)の丸数字の2を読んでいくと、最後に「獲得した新たな最先端技術をもって国際的なビジネスを展開することが期待される」と書いてあります。私の感覚でいうと、今の宇宙関係の国際的なビジネスというのは、例えば衛星やロケットなど、一部海外に売れているのもありますけれども、そこをもっと売ろう、もっと売れるようにしようという議論が中心だと思います。
 先ほど燃料電池という話もありましたので、イメージはわかりました。実際に売れているものはHTVの誘導技術などです。すぐに売れるものは、イメージしているものとはフェーズが違うのではないかという気がします。規模感が違います。書き方は、「期待される」ですが、期待にこたえられるかどうかわからないし、ちょっと書きすぎではないかなというのが私の感じです。
 「科学技術・イノベーション」という言葉があって、科学技術というか、研究開発を行って、その後どのような成果に結びつくのかという議論があります。奥村理事長の成果が重要という問題意識もよくわかっています。ただ、基礎研究は大事ですし、基礎研究も実用化につなげていくというフェーズも大事です。多分ISSでやるのは極めて基礎研究に近いものだと思います。そこは打ち上げビジネスとか衛星ビジネスとは質が違うと思いますので、混同しないようにしていただきたい。混同すると何が起こるかというと、この一、二年ずっと議論しているのですけれども、「もうかるのだったら、民間もそれなりのカネの負担をしてほしい」という議論になりかねないと危惧するところであります。

【牧島主査代理】利用方針の変更という位置付けになっていると思うのですが、変更するからには三つの条件を前もって出していただきたい。まず、なぜ変更しなければいけないのか。世の中、何か変えることが良いことで、変えないことは悪いことであると、我々日本人は現在、集団催眠にかかっているところがあり、私は非常にそれを気にしています。もちろん変えることは悪くはないのですが、今まで「きぼう」を運用してきて、どこがプラスでどこがマイナスだったか、良かった点や、うまくできた点は何か、一方で不十分な点や問題はどこにあるのか、それらのスタディがあってこういう方針が出てくるべきであると思います。
 二番目には、もちろん環境条件は様々に変わっております。国際条件も変わるし、技術も進展する。一方でISSそのものは古くなっている。それらを考えると、10年前と今で同じはずがないわけで、その環境条件の変化をどう認識しているかを明らかに願いたい。
 三番目に、一番と二番を踏まえて何を目標に掲げるか、大目標がどこにあるかが、最初にうたわれている必要があります。それを抜きに、ボトムアップがいきなりトップダウンになるというは私もかなり違和感があります。そういう情勢分析があった上で、今後はこういう目標にしたいという方針が提示され、それが1、2、3、4、5にブレークダウンされていて、その部分を皆で共有する必要があると思いました。

【藤崎主査】ありがとうございました。これについて、文科省あるいはJAXAの方からございますか。

【谷室長】今、牧島先生から三つ御指摘のありました変更の理由、非常に重要な御指摘だと思います。「きぼう」の利用については、成果が上がってないのではないかという漠然とした言い方がはびこっておりまして、それに対応してしっかり成果が出るように、成果の最大化ということを目標に掲げて、今回もJAXAと一体になって資料をつくったつもりなのです。けれども、まだ改善が必要だという御指摘でもありますので、これについてまた改めて資料を整理させていただいて、そのプロセスで我々もしっかり考え方を整理したいと思っております。

【藤崎主査】今、谷さんが言われたのは大事な点で、資料の書き方、整備というよりも、考え方がどうなのかということをみんなで共有したいというお話だったと思うので、よろしくお願いいたします。

【JAXA(長谷川理事)】谷さんがおっしゃったのであれなのですけれども、考え方の整理、一緒にさせていただきます。一言だけ申し上げたかったのは、詳細版に少し書いたのですが、5年、6年、運用をやらせていただいて、当初想定していたものでないことがいろいろ起きました。それがプロセスを確立するための重要な教訓になりまして、タンパク質もそうですし、細胞の培養もそうですし、船外も、安全を含めた上で、どこまでやれば最小の労力でできるのかがわかってきました。その部分をベースに次のステップに持って行くことがうまく書けていないので、少し工夫させていただきたいと思います。

【向井専門委員】先ほどの発言で、知野さんご指摘の「変更がはっきりしない」ということに関して賛成です。 なぜ変更が明確でないか意見を述べさせていただきたいと思います。
 一点目として、先ほどの資料3-1-2の23ページを見ていただくと、日本はまだISSに軸足を置いた立ち位置でこの資料を作成しているからと思います。変更内容やその方針がそれほど大きく変更されていない。NASAは公式には探査を前面には出していないものの、NASAの研究資金がどのような研究に使われているか分析すると、立ち位置が探査に軸足移動してきている。したがって、変化がわかりやすい。
 二点目は、NASAのヒト対象研究(ヒューマンリサーチ)は二極化していて、職業宇宙飛行士はより遠くより長く、現在の宇宙滞在6か月を、ルーチンで1年にしようとしている。そして、研究手法も、西島先生がおっしゃっているように、プロテオミックスとか遺伝子発現解析をより導入しています。 例えば、1年滞在のNASA乗組員は一卵性双生児の一方を宇宙へ、そしてもう一方を地上で研究します。症例数が少なくとも、プロテオミクス、オミックス系を検索することでより知見が得られると考えられています。
 NASAは、より長く、より遠くへ有人で探査することを考えた立ち位置に立っているから、方針や動向がかなりはっきり見える。日本は探査のためにISSを有効利用するという立ち位置がはっきりしないので、わかりにくい資料になっていると思います。二極化のもう一方は一般人の低軌道への宇宙旅行に必要な医学基準作成です。

【藤崎主査】わかりました。どうもありがとうございました。

(2)我が国の国際宇宙探査への取り組み方について

事務局(谷室長)から我が国の国際宇宙探査への取り組み方について、資料3-2-1に基づき説明

【藤崎主査】この後、JAXAの方からシナリオについて御説明を頂こうと思ったのでございますが、御説明を頂くと議論の時間がなくなってしまいます。次回会合にそれを思い出して議論するというのもやや無理な話でございますので、申し訳ございませんが、JAXAの方は次回ということにさせていただいて、この時点で今の文科省のISEFへの提案ということ、具体的なシナリオではなくて、一般について御議論があればしていただくと。もしなければ次回シナリオと併せてさせていただくということにしたいと思います。今、この時点で御議論があれば伺いたいと思いますが、いかがでございましょうか。

【西島専門委員】私も、コスト負担というよりも、むしろ「また」以下の「ISSを最大限活用することが最も効率的である」と。もちろんそうだと思うのですけれども、この次の「参加体の多様化」というところで、いろいろなところが参加するということなのですけれども、この辺の、今、ISSに入っている15か国と、宇宙探査についての参加体の多様化と、こういうところを入れるということ、ものすごく広くするということはいいのですけれども、ISSを最大限活用するというところと参加体の多様化の参加していない国との整合性は矛盾になりませんか。

【谷室長】現在、ISSの関係でも、例えば米国は民間の企業が物資輸送などを担っております。参加体の多様化というところはまだアイデアでございまして、国際的にどういう評価を受けるかというのもありますし、この小委員会での御議論を踏まえた上でということでございますけれども、現在ISSでも既に先行的に進んでいる状況を鑑みますと、民間企業とかベンチャーといったものも、その技術力とかポテンシャルを十分生かしていく。あるいは、最終的にはそういったところに任せるべきサービスとか、プロジェクトの中でもそういった要素があり得るだろうと思っております。これは、プロジェクトをつくっていく中で、誰がどの部分を担うかという議論を喧々諤々やることになると思いますので、参加体を増やすと議論が複雑になるわけですけれども、できればそういったメリットを生かしつつ、また、幅広い国民各界各層からの応援をしてもらうという意味でも、一つの工夫としてやっていきたいと思っております。

【西島専門委員】民間企業やベンチャーが入ってくるのは当然ですし、いいと思うのですが、その前の参加していない国はすべて問題なしと言っておられますけれども、大丈夫ですか。

【谷室長】これは「プロジェクトの信頼性、成立性に支障を及ぼさないことを前提に」という書き方をしておりますけれども、入りたいから入れるということではなくて、どういう形で貢献してもらえるのかということを評価しつつ、プロジェクトの成功の可能性をより高める形であれば、参画をしていただくということを期待できるのではないかという趣旨でございます。

【向井専門委員】意義に関してですが、私は安全保障の意義をもっと強く打ち出すべきだと思います。この資料では、意義が羅列されており、何が本当に大事で、探査しなければいけないのということがわかりにくい。長期的な意義の理念は掲げられていると思いますが、短期的な意義ですぐにでも実施する必要があると思うのが、安全保障、特に広い意味の安全保障と思います。安全保障というのは、国民が安全・安心、そして、生産性があって、医療のセーフティネットを持って暮らしていける生活を維持することです。
 私たちが住んでいる日本は島国で、海で隔離されていて、自然資源が十分でない。そういった中で水や食料やエネルギー、空気浄化といったことを考えたときに、現在の豊かな生活を国民に持続的に担保していくためには選択肢は二つしかない。一つは外交で外に頼って生きていく。 もう一つは自立型の社会をつくっていく。私は、自立型の社会を目指すべきと思うので、このためには資源を再利用して、農作物の収率を上げたり、エネルギー効率を上げたり、そういったことをやって自立できる道を探していく必要があります。
 例えて言うと、ISSはミニ日本というふうに言い換えてもいいくらいだと思います。ISSは地球資源に依存しなければ生きていけません。 有人探査が月を目指す場合は、地球への依存率はISSのそれよりかは少ないが、まだ地球の資源に依存せざるを得ない。しかし、ターゲットを火星にすると、地球には頼らない、第二の地球をつくるくらいの自立性が必要となります。 したがって、有人火星探査技術の研究・開発は、日本が他国から自立して生活していける国を作る方向性と一致していると思います。技術立国の日本として、真剣にその方向で研究・技術開発をしていくべきと考えます。さもないと、日本は国際情勢にかなり左右された生活をせざるを得ません。日本が自立するための技術開発は早急に、ISSや有人宇宙探査などをテストベッドとして推進していくべきだと思います。そういう意味で、この意義のところで安全保障、狭い意味でいうと軍事もありますが、私は広い意味での国民の豊かな生活を担保する安全保障を強く打ち出してほしいと思います。

【角南臨時委員】向井委員と似ている話ですが、人類として宇宙探査に取り組むべき意義と、我が国が国際的な取り組みに参画していき、そこでリーダーシップを国策として取る意義が混在しているような感じがします。その辺のところを明確にしてほしいと思います。人類にとって宇宙探査に取り組む意義というのは、すごく長期的な話です。そうすると、政策決定をしていくときに、今決定すべき話なのか、ちょっと考えておいて、もうちょっと先までしっかり議論を積み重ねた方がいいというような雰囲気になってしまいます。しかし、実際は今政治的な決断をしないと、10年後、20年後の日本のプレゼンスに相当影響が出てくるという難しい側面を持っています。意思決定をする側(がわ)が今、何を求められていて、日本が今何をここで決めなければいけないのか。その辺のところの整理をしてもらいたいと思います。

【藤崎主査】今、角南委員の言われた人類と日本という二つの視点から見ると、この紙自体は恐らく日本ということを考えて書かれているのだろうと私は思いますけれども、ほかに御議論は。

【米本臨時委員】宇宙開発というのは、まずは自立を目指すべきだろうと思います。その上で国際協働というのが考えられるのではないでしょうか。私の最初の質問に対して、長谷川さんからは丁寧にお答えがありました。その後に山浦さんからの補足については、私も全く同感です。日本としてどうやっていくべきかという基本的なスタンスがないところで、国際協働というのは考えられないはずです。宇宙基本計画にもちゃんと「自立」ということが書いてあります。それは非常に重い言葉で、そのスタンスなしに国際協働といっても足元がふらふらしてしまいます。日本として自立した宇宙開発をどうつくっていくかという確固たるものがあった上で、今の当面の目標としての有人技術はどうしましょうとか、国際協働の宇宙探査をどうしましょうとか、そういう議論の流れになっていくことが大事かなと思いました。

【知野臨時委員】これは後のJAXAの方で出してくれる資料と関連しているのかもしれませんけれども、将来、火星と言い切っていますけれども、どのぐらいの将来を前提とされているのかというのが一つです。
 それから、これによって我が国は各国を先導していきたいと御説明されましたけれども、どのように先導していこうとされているのでしょうか。例えば、例としてあげた無人月探査、有人月探査とか、そういうものを日本が提案するように持っていこうとしているのか何なのか。いろいろな人たちの理解ということを挙げていらっしゃいますけれども、そのためには、いつ目指すとか、どのように先導していくのかというあたりをもうちょっと具体的に説明してください。

【牧島主査代理】日本の考え方を決めていくときに難しいのは、アジア諸国とどのように協働していくのか、それとも考えないのか、という点です。ヨーロッパのように地続きでお互いに民族が混じり合うところと比べると、アジアは国ごとの特殊性が非常に大きいので、簡単にアジアが一緒になって進むことは難しいですが、長期的にはそこは避けて通れないと思います。この中に詳細を書く必要はないのかもしれないけれども、考えておく必要はあるという気がいたします。

【藤崎主査】ありがとうございました。他になければ、最後に文科省、JAXAから一言ずつお願いいたします。

【谷室長】たくさん御指摘を頂きましたので、お答えできる範囲でまずお答えしたいと思います。
 まず、向井委員から安全保障という観点のお話がございました。御指摘のお話は以前から向井委員から伺っておりますし、私もそれを意識して書かせていただいたつもりです。産業振興、社会的利益の観点で我が国の抱える課題に直結ということを書かせていただいたつもりでありますが、広い意味での安全保障という観点でもう少しそういう色が出せないかということについては考えさせていただきたいと思いました。
 それから、角南委員の最初の御指摘、人類なのか我が国としてなのかということについては主査からもお話がありましたが、意義としては我が国としてということで書いたつもりでございます。ちょっと見直してみたいと思います。宇宙をふだんやっていない人が意思決定ということで、そういう観点での見方をもう一度整理させていただきたいと思います。
 それから、日本としての自立した宇宙開発ということについて、その柱の議論、そこの点について引き続き議論をさせていただければと思っております。また、そういう議論の場を考えさせていただければと思います。
 それから、先導するというのはどういう意味なのかということですけれども、まさにそういうシナリオ、プロジェクトをまず提案して、各国との調整を引っ張っていくというのが、目に見える形だと思っております。また、ISEFでホストする中でこういった提案をして国際宇宙探査を引っ張っていく、それも一つの先導であるかと思いますし、国際的な宇宙探査の枠組みについても議論の場をつくる、あるいは、それを中心的に日本人がやっていくということも、先導ということになり得るのではないかなと思っております。アジアの協働ということもよく考えてやっていくべきということでありますが、「きぼう」の利用の中でも、今、アジアとの協力というのは様々にやっておりますし、国際宇宙探査についても、APRSAFといったフレームワークがございますので、こういった場も活用しながら、アジアとの協働を国際宇宙探査につなげていくようなやり方を考えていきたいと思っております。

【藤崎主査】ありがとうございました。JAXAには、次回、シナリオについて御説明いただきますが、この時点で何かございますか。

【JAXA(田中執行役)】次回説明させていただくので、詳細は省かせていただきますけれども、我々、本日、文科省資料の7ページの「当面の取り組み方」で方向付けられた、いわゆる前提条件なり考え方をベースに、今、国際宇宙探査ロードマップで議論されている大きいスケジュール、それから、ターゲットに合わせて、日本としてどういうアプローチ、どういう準備を進めていけばその目的が達せられるかということを検討している最中でございます。 詳細については、次回御説明させていただきたいと思います。

【藤崎主査】申し訳ありません。今日はできなかったので。では、次回の日程について、谷室長、ございますか。

【谷室長】次回の日程等の御説明の前に、昨日の14時に記者発表されたものですけれども、JAXAがこれまで独自の宇宙服の研究開発をやってきた中で、それのスピンオフという形で発表されたものでございますが、冷却ベストでございます。研究開発のプロセスでいろいろ試作したものも併せて展示をさせていただいておりますが、差し支えない範囲で触ってみたりしていただければと思います。
 今日、「きぼう」の関係の資料の3-1-2にまとめさせていただきましたが、最後30ページに有人宇宙技術のスピンオフ事例というものを並べさせていただきました。今日、阿部委員がいらっしゃらないのですけれども、私、左上にあります「ムッシュオン」というのを今日着ています。これから暑い季節になりますから、防臭する等、非常に好評でもあります。こういったものも成果としてしっかり紹介していくことが必要ではないかと思いまして、今日わざわざ、恐縮ですが、こういう形をとらせていただきました。今後もこういう形でいろいろなスピンアウトの成果が出てくることを期待したいと思いますし、そういったものをにらみつつ、「きぼう」の研究開発、利用というものも進めていきたいと考えておりますので、御紹介まででございます。
 本論の方に戻りまして、次回の日程でございますが、6月13日の金曜日、10時からこの会議室で予定しておりますので、お集まりいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【藤崎主査】どうもありがとうございました。

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課

-- 登録:平成26年06月 --