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宇宙開発利用部会 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第2回) 議事録

1.日時

平成26年5月16日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省 15階1会議室

3.議題

  1. ISS計画への参加から得られた成果について
  2. 2020年までのISS計画への取り組み方について
  3. その他

4.出席者

委員

主査 藤崎 一郎
主査代理 牧島 一夫
委員 渡辺 美代子
臨時委員 阿部 晃一
臨時委員 古城 佳子
臨時委員 角南 篤
臨時委員 知野 恵子
専門委員 続橋 聡
専門委員 西島 和三
臨時委員 米本 浩一

文部科学省

研究開発局長 田中 敏
大臣官房審議官(研究開発局) 磯谷 桂介
研究開発局開発企画課長	 内丸 幸喜
研究開発局宇宙開発利用課長 柳 孝
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長 谷 広太

【説明者】
独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
理事 山浦 雄一
理事 長谷川 義幸
有人宇宙ミッション本部 宇宙飛行士運用技術部 宇宙医学生物学研究室長 古川 聡

5.議事録

【藤崎主査】定刻になりましたので、国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会第2回の会合を開催させていただきたいと思います。まず、事務局より事務的な連絡をお願いいたします。

【谷室長】まず、事務局より本日の会議に関しまして事務的な確認をさせていただきます。小委員会に所属されております11名の委員のうち、本日は8名の先生方に御出席いただいておりますので、運営規則に定める定足数を満たしております。よって、会議として成立していること御報告いたします。続きまして、資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第案4項の通り配布しております。以上でございます。

【藤崎主査】ありがとうございました。第1点。これからの進め方ですが、前回の会議を踏まえまして、文科省の担当者とも相談したのですが、率直に申して御説明がかなり長かったので、議論の時間が少し不十分だったかなと思っています。そこで、今後は、ペーパーを事前に配布し、要約版を作成していただきました。今後は、要約版に基づいて簡潔な説明をし、できるだけ質疑応答の時間を長くしていきたいと思います。今日はまず若田宇宙飛行士の帰還について、文科省より説明いただいた上で、来ていただいた古川宇宙飛行士と意見交換をして、議論に入っていきたいと思います。

【谷室長】事務局より、若田宇宙飛行士の帰還について御紹介をさせていただきます。今週の5月14日水曜日午前10時58分、日本人初の国際宇宙ステーション船長を務められました若田宇宙飛行士が地球に無事帰還しました。非常に広くメディアにも取り上げられましたし、パブリックビューイング等で多くの方にも見ていただきました。帰還の場所はカザフスタン共和国の草原でしたが、滞在日数188日、今まで古川宇宙飛行士がお持ちでした日本人最長滞在記録を更新される形で戻ってこられました。参考までに、累積の若田宇宙飛行士の滞在日数は348日、これは日本人の最長記録です。今後、米国で約2か月間、リハビリ等訓練をされた上で帰国されると伺っております。また、その際には関連のイベント等もさせていただければと思っております。

【藤崎主査】ありがとうございました。それでは、今日来ていただいた古川宇宙飛行士からISSに滞在された経験についてまずお話しいただけますか。

【JAXA(古川宇宙飛行士)】発言の機会を頂きありがとうございます。2011年の6月から11月まで5か月半国際宇宙ステーションに滞在し、様々な科学実験等も行いましたが、そこで強く感じたのは、国際協力の重要性、日本の存在感です。日本の存在感は、「きぼう」や「こうのとり」のハードウェアの面だけではなく、それをリアルタイムで運用するソフトウエア、人材の二つの面でとても評価が高く、日本人飛行士だけでなく、世界中の飛行士、エンジニア、地上のインストラクター、マネージャーなど様々な方から信頼されていることを強く感じます。私も日本人としてとても有り難く思っています。もう一つは科学実験に関してですが、「きぼう」日本実験棟を中心にたくさんの科学実験を行ってきましたが、私も携わったタンパク質結晶成長実験などで少しずつ成果が出てきています。例えば、現在治療薬のない筋ジストロフィーという難病があるのですが、治療薬の候補となるものについて、宇宙実験を通じて何種類か、地上での実験ではできなかったような細かい構造を知ることができて、それを用いて製薬会社等と共同研究を実施しています。そのほかにアルツハイマー病の仕組みに迫るようなタンパク質の研究や、セルロースという植物の細胞壁を溶かす酵素について、木くずからバイオエネルギーを作るという環境に優しい試みで、少しずつ科学的成果が出てきて、実用に近づいています。米国はタンパク質の実験を中断していましたが、日本が成果を出しつつあるのをみて、再開を検討し始めたと聞いています。そういった形で、この実験はアジアの国を初め、様々な国が興味を持っていてくれていて、とても日本として誇りに思っています。

【藤崎主査】今回、若田宇宙飛行士はISS船長として長期滞在されたわけですが、宇宙飛行士間の融和を保つのは大変なものなのでしょうか。

【JAXA(古川宇宙飛行士)】はい、宇宙飛行士同士では、それぞれの違いを認め、尊重し合ってリーダーシップをまとめていきますが、船長としての搭乗員のまとめ方は、調整をして、和を求めて全体をまとめていくタイプと、トップダウンのような形でリーダーシップを取るタイプがおり、船長によって異なります。

【藤崎主査】私が今までで一番印象に残ったのが、星出宇宙飛行士の帰還時にワシントンにてチーム全員で行ったプレゼンテーションです。役割がきちんと分担されており、笑いもあり非常によくできていました。私が今までに見たプレゼンで一番面白く、ユーモアたっぷりで、かつ中身があって、船長さん以下みんながそれぞれのパートを演じていたので、感心したことがありました。そういうのは、皆さんで考えて行うのですか。

【JAXA(古川宇宙飛行士)】はい、御覧になった船長はサニータ・ウィリアムズさんだと思いますが、彼女はユーモアのセンスもあり非常に優れたリーダーです。宇宙飛行士はプレゼンの際、船長が全体をまとめて、事前に打合せをして順番を考えたり、ユーモアを使ったり、笑いの要素を取り入れたりしています。

【西島専門委員】先ほど私どもの関係するタンパク質結晶の話が出たので、聞きたいのですが、米国が再開するというのは、タンパク質結晶の成長の部分と、それからアルツハイマーとか疾患メカニズムの部分と、どちらの分野でしょうか。

【JAXA(古川宇宙飛行士)】タンパク質結晶成長実験を行うこと自体と認識しています。その中では、疾患のメカニズムを目的とした実験、治療を目指した実験の両方の分野を行っていると考えています。

【牧島主査代理】ISSのモジュールは国ごとに分かれており、設計の思想や使い勝手がかなり違うのではないかと思いますが、実際に生活してみての印象はいかがでしたでしょうか。

【JAXA(古川宇宙飛行士)】米国・日本・欧州は、安全の思想が標準化されています。中でも日本の「きぼう」は一番広くて、きれいで、静かで、とても人気のある実験室でした。ロシア人の宇宙飛行士も好んで使ってくれ、とても有り難かったです。ロシアはまた違った設計思想を持っており、違ったアプローチで安全に運用を行うという成果にたどり着いていると感じました。関係ないかもしれませんが、驚いたのは、宇宙に行ってロシア側のモジュールに入ったときのにおいが地上の訓練施設と同じだったことです。訓練施設が材質も全て含めて同じだなと感じました。無重力でなかったら地上かと間違ってしまうような状況でした。

【角南臨時委員】宇宙飛行士のその後のコミュニティ形成についてお伺いしたいと思います。日本のプレゼンスとして、「きぼう」など技術的な面を議論しています。しかし、それに加えて、宇宙飛行士そのもののソフトパワーがあると思います。我々日本はたくさんの宇宙飛行士を輩出し、今回、船長という一つの役割を担っています。宇宙飛行士のコミュニティは、宇宙政策とは別に存在をしていると思いますが、一緒に行かれた宇宙飛行士の方々や、先輩・後輩の宇宙飛行士とインフォーマルにいろんな情報を共有する等、コミュニティが存在しているのでしょうか。

【JAXA(古川宇宙飛行士)】はい、存在しています。特に一緒に搭乗した宇宙飛行士仲間は連絡を定期的にとり合っていますし、お互いに同じところに出張したりするときに一緒に食事をしたり、情報交換したりしています。それ以外にも宇宙飛行士同士で大きなコミュニティがあり、定期的に集まり情報交換を行っています。世界宇宙飛行士会議という集まりがありますが、驚くべきことに冷戦のころから続いています。その頃から当時の西側諸国と東側諸国が集まって情報交換をしたり交流を図ったりしていたと聞いています。

【知野臨時委員】NASAの宇宙飛行士採用の頻度や人数はどのように変化しているのでしょうか。

【JAXA(古川宇宙飛行士)】最近の例でいうと、2013年は8人採用しています。2009年は11人であり、人数はそのときの状況に応じていますが、人数だけ見ると横ばいかやや減っています。私のときは2004年はNASAだけで11人なので、そのあたりから横ばいかやや減っている傾向にありました。NASAは退職する宇宙飛行士の数と実際のミッションで飛ぶ人、地上から支援する人が何人ぐらい必要かということを考慮してとった結果がこのような数字になっているようです。

【知野臨時委員】米国はISSを2024年まで延長したいと言っていますが、その次の目標が月ではなくて火星である等かなり遠い将来の目標を描いているために、宇宙飛行士の採用自体が全体的に減少傾向にあるということはないのでしょうか。

【JAXA(古川宇宙飛行士)】これは私の推測ですが、今はISSに行く手段はソユーズ宇宙船しかありませんが、米国製の宇宙船が2017年とか18年頃に完成する可能性があるため、双方の宇宙船にも対応できる人や、更にその先のことも考えて選抜しているのではないかと思います。

【古城臨時委員】実験についてお伺いしたいと思います。日本はたくさんの実験を時間内に終わらせるよう努めているように見えます。他の国も同様だと思いますが、実験における手順などノウハウについて意見交換をする機会はあるのでしょうか。

【JAXA(古川宇宙飛行士)】あります。手順書をつくる際には、地上で研究者の考えをもとに、エンジニアなどがISSでの作業手順書の形にまとめますが、その際、地上でもリハーサルなどを行い、作業のコツも手順に含めます。それでも無重力に起因する予想外のことが起こることがあります。そういう場合にリアルタイムで行った原因追及、トラブルシュートの結果を基に、研究者、技術者が力を合わせて手順書の改善を行う仕組みや、難しい作業に関する手順を実際に宇宙で行った宇宙飛行士が、仲間の宇宙飛行士の訓練に同席し、現場のコツを伝えたりすることもあります。

【古城臨時委員】それはある種の共有知としてずっと受け継がれていくのでしょうか。

【JAXA(古川宇宙飛行士)】そのとおりです。

【牧島主査代理】友人に南極越冬隊の隊員がおり、彼から聞いた話では越冬隊員はふだん風邪を引かないが、日本から物資が届くとそれにウィルスがついていて、風邪を引いてしまうといいます。宇宙でそのようなことはないでしょうか。

【JAXA(古川宇宙飛行士)】私を含めて、仲間が風邪を引いたことはありませんでした。おっしゃったとおり、病気にかかっているのにわからないで、潜伏期に宇宙に行ってしまうと大変なことになります。そのために、ソユーズ宇宙船の打ち上げ前は2週間弱隔離され、同じような健康診断を受けた健康な人としか顔を合わせられません。そういう形で、知らない病気を持っているのに宇宙に行くことがないように運用しているので、おかげさまで健康が保たれています。

【藤崎主査】他に御質問がなければ次の議題に移りたいと思います。

事務局(谷室長)から参考資料2-1に基づき、ISSを巡るロシア要人の発言について紹介

【藤崎主査】ありがとうございました。前回最後に申し上げたように、4月末にワシントンに行って、旧知の大統領補佐官ホルドレン氏とNASA長官ボールデン氏と意見交換をしてきたので、簡単に報告させていただきます。ホルドレンにおいても、ボールデンにおいても、いずれもこれまでの日本との協力を感謝し、日本の技術力を評価し、そして日本との今後の協力に期待しているという話がありましたので、御報告いたします。

(1) ISS計画への参加から得られた成果について

JAXA(長谷川理事)からISS計画への参加から得られた成果について、資料2-1に基づき説明。

【藤崎主査】5ページ目の産業の振興で、参画企業は世界レベルの技術力をアピールして新たなビジネスを拡大したというお話を伺いましたが、そこから派生して開発された製品や技術を費用対効果の観点で示すのは難しいのでしょうか。

【JAXA(長谷川理事)】真正面に費用対効果として論じるのは難しいと思います。飽くまでスピンオフの一環として成果が出始めたという位置づけです。

【西島専門委員】産業の振興というのはわかりやすいですが、宇宙実験に関して成果の蓄積というのはわかりにくい。すぐに成果が出るものだけでなく、波及効果の高い基礎実験を大いにやるべきだと思います。しかし、例えば創薬による新薬誕生はタンパク質の結晶化に成功してから、どんなに最短でも15年、平均すると20年かかるものであり、宇宙だから加速されたというようなものは、時間軸を明確に示す必要があるのではないかと思う。また、タンパク質の構造解析が進んだのは、「きぼう」単独で成り立つものではなく、放射線SPring-8、NMR、スパコン等の我が国が大型の施設を持っているためであり、ISSはその一環にあるという位置づけ。そういう、日本の科学技術振興全体におけるISSの立ち位置を示すべきではないかと思います。

【知野臨時委員】10ページの「宇宙常任理事国」とはどういう意味合いで使っておられるのでしょうか。実際にそのような組織があるわけではなく、誤解を生むような表現なので、どういう定義で使っているのか御説明を頂きたいと思います。一番問題となっている費用対効果に関して、成果についてはこうやって取り上げていますが、未達のもの、あるいはできなかったものはどのように評価しているのでしょうか。当初は宇宙工場を作りますなどの話もあり、そういったものを目指したけれどできなかったという例もありますので、そうしたことも含めて、御説明いただきたいと思います。

【渡辺委員】産業の振興という観点で、様々な産業への応用が考えられるという御報告がありました。国内の産業界、企業がどれぐらい参加しているのかというのが一つ目の質問です。二つ目として、国内の産業界が今後の事業に長期的な視点で関わってくると思いますが、これを将来の事業の種にしようとしている企業はどのくらいあるのでしょうか。正確な数が問題ではなく、将来に向けて産業界が注目する状況にあるか、またその方向に向かっているかどうかが重要と考えます。

【JAXA(長谷川理事)】時間軸やタンパク質創薬プロセスにおける「きぼう」の立ち位置については、別途まとめたものがあるので、それを提示させていただきたい。また、資料2-2のP.21にスーパーコンピューターやSPring-8との共同の話について入れております。「宇宙常任理事国」という表現については、「宇宙常任理事国的な」という趣旨で記載しており、ISSに参加している米国、ロシア、カナダ、欧州、日本という五つの機関でISSのみならず将来のことについても話している状況を指しています。

【JAXA(山浦理事)】日本はISS計画への参加以前は自前のロケットすら持っていなかった。H-ⅡAロケット、H-Ⅱロケットすらなかった。人工衛星はあったが、今の4分の1ぐらいの大きさほどであった。それがISS計画に参加することによってどのような位置になったかというと、重要な会合には必ずJAXAは呼ばれるようになった。いわゆる国際会議にJAXA理事長がトップ5の1人として呼ばれるようになった。そういう位置づけに中国は有人計画を実施した結果として今入っていますが、我が国も大きなことを決める際に、必ずなくてはならない相談相手の一つとしても認められたということで、そこに入ってくるのは中国も入れて六つぐらいの機関しか世界にはないと、そういう意味です。

【知野臨時委員】ISSは米国がリーダーシップをとっているプロジェクトですが、それに対して日本がモノを言うことはできるのでしょうか。例えば、米国は2024年まで運用を継続するといっていますが、とても日本の財政では認められそうもないとか、そういう立場の違う発言もできるような力を日本はどの程度持っているのでしょうか。

【JAXA(山浦理事)】米国は2024年までISSの運用継続をするということを国として決めましたけれども、日本は当然イコールパートナーとしての投票権を持っている。そこで国として政策的にどのような方向でいくかということをしっかりと日本が決めた上で応える。それがイコールパートナーとしての役割であり、お互いにそこは尊重している。しかもそのルールをしっかり我々共有して進めてきている。あくまでも米国が宣言したのは、米国としての決定であり、各国の回答を米国が待っている状況です。

【JAXA(長谷川理事)】ISS参加国間の五つの宇宙機関で物事を決めるときは、コンセンサスベースで決めるということになっており、1か国でも反対すると決められない条件になっているのが大きな要素です。また、マイナス、未達のものは実はたくさんありました。想定した内容で設計を行い製造しているはずだけれども、宇宙特有の環境の中でしかわからないことがあり、設計条件にフィードバックを行ったり、オペレーションのやり方を変えたりして対応してきました。その辺りがノウハウであると思いますが、「きぼう」の打ち上げから5年、6年たってようやくプロセスの中に入ってきたところです。

【JAXA(山浦理事)】半導体、タンパク質結晶においても、ISS計画への参加で得られた微少重力を用いた実験の機会により大きな成果を上げると考えていましたが、予想以上に地上の技術が進歩したことで、時間軸での勝負が難しくなりました。これからどのようにISSを用いた微少重力実験を進めるかというのが大きな課題だと思っています。

【知野臨時委員】未達に関して、今の説明だと設計だけの問題になりますが、運用面、宇宙飛行士の搭乗面なども含めてお願いします。

【JAXA(山浦理事)】宇宙飛行士の訓練方法、選抜方法など、その方法を変えていかに短く安くするかのノウハウが蓄積されてきたところです。到達レベルがわかり、訓練の方法、実験のやり方、実験の環境支援も民生品を使えば良いこともわかってきたので、その辺りも結構なノウハウになっています。

【JAXA(長谷川理事)】開発参加企業が何社かというお話でしたが、「きぼう」の開発・運用に約650社、「こうのとり」の開発・運用には約400社が参画しています。

【続橋専門委員】費用対効果という観点がやはり重要です。整理方法として例えば、横軸に基礎から応用を並べて、産業も作る方と使う方に分けた上で、マトリクスで整理した方がわかりやすいと思います。とはいっても金額では計れない教育や外交的な観点もあるので、定性的な評価と定量的な評価のそれぞれが必要だと思います。

【米本臨時委員】前回、向井委員とも議論になりましたが、有人輸送技術をどうやって獲得するのかあるいは獲得しないのか議論が必要ではないかと思います。また、我が国としてISSを2024年まで運用継続するとして、無人回収技術に挑戦するというのはできないのでしょうか。

【阿部臨時委員】文科省の他の審議会でも同じことを言っていますが、出口戦略を余り言いすぎるとつまらない研究しかできなくなってしまいます。予算の観点から費用対効果の議論はもちろん必要ですが、ISSだからこそできる独創的な研究、何に使えるかわからない研究があってもかまわないと思います。ポートフォリオの問題です。民間企業であっても、一定の比率では何に使うかわからない研究をやっています。まして大学やISSで最初からこれに使おうというような研究は難しいというのが、産業界で研究開発を実際に研究者として、あるいはマネジメントとしてやってきた実感です。他方で、実用的な研究というものも重要で、例えば、材料に関していえば、宇宙で使う材料というのは宇宙でしか実験できません。あるポートフォリオを組んで、出口戦略、基礎研究をバランスよく取り組む必要があると思います。もう一つ、広報戦略が大事で、どんな研究をしているのかというのが今一つ伝わってきません。ホームページに載せているだけでは一般国民には多分伝わっていないと思います。最後に、非常に重要なことは、11ページに書かれている青少年の育成。こういう活動が理科離れを少しでも止めるのであれば、極めて重要だと思いますので、そのあたりも意識してこれからしっかりマネジメントしていただきたいと思います。

【古城臨時委員】国際関係におけるプレゼンス向上というのはまさにその通りです。現在のように宇宙において国際的な緊張が高まっている中で、「きぼう」で科学や技術に直結した実験をしていることは、平和的利用の最たるものではないでしょうか。特にそれを国際間の協力でやっていることに重要性があるので、そういう点で日本はかなり貢献できるということだと思いますので、宇宙の平和的利用として成果を上げていると言うことも重要だと思います。

【藤崎主査】おっしゃるとおりで、出口戦略ばかりではいけないと思います。また、今の費用対効果費については説明しにくい部分ですが、実は非常に肝の部分です。米国でもどこでも苦労しているはずですが、何か彼らの説明ぶりから学べるもの、あるいは米国以外のISS参加の他極で参考になる例はあるでしょうか。

【JAXA(長谷川理事)】今回の御説明に当たっても他極の例を参考にしようとしましたが、文章でずっと書いてあるものがほとんどで余り参考になりませんでした。有人ロケットの件でさっき話のあったロケット及び帰還技術に関して、社内ではトップの指示の下で研究を進めているところです。特に我々有人本部としては、有人宇宙施設からの無人回収技術をまだ獲得していないので、断熱シールド及び誘導制御技術については、進め方も含めて検討中で、文科省とも相談しているところです。それから出口戦略は社内でも検討を進めているところです。広報については戦略的な広報を始めたところです。いろいろと工夫して、宇宙飛行士だけが脚光を浴びるのではなく、技術的なバックグラウンドの下で国際的なマネジメントの方法を取り入れ、マスコミさんとも連携しつつ取り組んでいるところで、更に努力をしていきたいと思います。青少年の育成はかなり力を入れているところで、教科書に取り上げられたり、宇宙飛行士は数が限られていますが、その他技術系の職員を派遣したり、依頼があればデータの提供を行ったり、リクエストがあれば基本的に全面的に対応しています。それから古城先生がおっしゃったように、ISSそのものが国際平和の象徴なので、そこはうまく工夫して加えたいと思います。

(2) 2020年までのISS計画への取り組み方について

【谷室長】全体の進行にも関わりますので、資料2-3の御説明に入る前に補足をさせていただきます。本来、本日御用意して御議論いただくべき資料がありまして、「きぼう」の具体的な利用の在り方について資料です。恐縮でございますが、今日は間に合いませんでしたので、次回、「きぼう」で出た成果、「きぼう」をどのように今後使っていくのか、どういう形で戦略的にやっていくのかという資料を用意するとともに、そこを集中的にまた御議論を頂きたいと思っております。

事務局(谷室長)から、2020年までのISS計画への取り組み方について資料2-3に基づき説明。

【藤崎主査】まずは、私から最初に2の表について。我が国が分担している輸送量が左にあり、各極が査定するという説明がありましたが、この各極が査定というのは、各極が日本の分担している輸送量を査定するのではなく、各極がそれぞれ自分の分を査定し、そして各国間で調整するという意味ですか。

【谷室長】各極が査定というのは、CSOC(共通運用経費)全体の経費のことです。まず、NASAが中心になって見積りを出し、その見積りについて妥当かどうか各極が査定します。そのことを「各極が査定」と書いています。実際に現状どのぐらいお金がかかるかを調べて、次のCSOC期間の経費見積りをNASAが出すわけですが、その見積りに応じて各極の負担は決まるので、各極が喧々諤々議論をして、まずCSOCの総額を決めます。そこはNASAの言いなりではなくて、各極が査定をしています。

【藤崎主査】この点線のレベルは、その査定が行われたレベルで、そこから更にまた日本の場合は1割削減をしているわけですか。

【谷室長】一番左側がHTV7機になっており、単純に現行期間の7年7か月を次期期間の5年分に割り戻したものが右側の柱の一番上のラインになります。これは単純計算すると約4.4になります。この数字は、新しい次期CSOCの総額見積りをベースにしていますので、その総額を各極が査定して1割削減したということです。

【藤崎主査】各極ともこの1割を削減しているわけですね。

【谷室長】総額を1割圧縮しているので、各極に割り振られる分担が1割減った形になっています。

【藤崎主査】したがって、削減した比率はみんな変わらないということですね。

【谷室長】はい。

【藤崎主査】これは後でお答えしていただければいいのですが、これだけ削減したことによって、マイナスは全く生じないのでしょうか。つまりできなくなった実験があるとか、そういうことはなくて、単に合理化すれば、これだけできたということでしょうか。それとも、削減したことによって実はしたかったことをこれだけ諦めましたということはないのでしょうか。それがないとすると、元々の数字がどうだったのかという議論が生じると思います。

【西島専門委員】今のところは大変重要だと思います。もちろん費用対効果という話もありましたので、安く上がるに越したことはないのですが、ある程度物資輸送もできるようになって、果たして利用経費がこのように減ってくるのは本当にいいのかと思います。それから、宇宙という非常に重要な分野であるにも関わらず、利用経費が年間32億円というのはいかにも少ない印象です。極端な話、日本は建物などの物を「つくる」ことは得意なのですが、「ソフト」の部分がない。地方の自治体で立派な美術館があっても飾るにふさわしい絵がないことがある。優先順位を付けることなく、利用経費を一律に削ってしまっては、全てが中途半端になってしまう。利用経費削る際に、しっかり優先順位をつけているのか確認したいと思います。

【牧島主査代理】まず、米国、ロシア、ESAと並んで五極の一角を日本が占めるというのは非常にすばらしいことで、国民に対して十分に宣伝をする価値のあることだと思います。費用の話をするときには、やはり日本が今後どういう戦略をとっていくのか、すなわち日本がいないと今後ISSがやっていけないキーポイントがどこであり、どこを押さえるべきであるかを考えることが非常に重要だと思います。今「こうのとり」はかなりそれに近いものになっているでしょう。それが国際的な日本のプレゼンスを高めることになりますので、お金では計れない非常に大きな効果につながると思います。そういうキーポイントをこれから一生懸命考えていくことが非常に大事ではないかと思います。

【知野臨時委員】前回も質問させていただきましたが、欧州はATVをやめ、オライオンのサービスモジュール開発に切り替えています。欧州がこれまで担当していたISSへの輸送にかかる費用はどこが負担するようになっているのでしょうか。特に2016年以降の5年間を考えるときに、そこがはっきりしていないと状況がよくわからないので、教えてください。

【古城臨時委員】今、牧島委員がおっしゃったことは私も非常に重要だと思います。やはり日本がないと困るというところをつくっていくことは、今後の協力におけるプレゼンスをどのくらい高めるかという点でも非常に重要な点だと思います。それを広報していくこともすごく重要ではないかと思います。

【JAXA(長谷川理事)】合理化・効率化による総量の圧縮については、基本的には運用・利用の圧縮にならないように、特に利用の時間が短くなったり輸送便が減ったりすることのないように調整した上での削減となっています。利用経費に関しては、実際にはとても厳しいです。利用経費で利用関係の実験のインフラ整備と運用経費、研究者との運用サポート費用などを賄っていますが、予算を先送りされてしまうと、日本がやろうとしている利用関係、特に民間を含めてのサポートができにくくなってしまうので、何としてでも確保ないしもう一回増額してもらわないと困るというのが立ち位置です。日本がどこを押さえるべきかということですが、日本が今、大いに期待されているのは、「こうのとり」による物資輸送と「きぼう」の船外プラットフォームが主なものです。特に牧島先生が携わったMAXIは最たる例です。他にも、ロシアからは、日本のモジュールの品質の高さ、故障の少なさを評価されています。また、「きぼう」は、船内実験室・船外実験プラットフォーム・エアロック・ロボットアームが非常にコンパクトになっており、それらを生かした小型衛星の放出が強みになっているところです。ATVに関しては、ESAとNASAの2国間の関係でCSOCオフセットが決められており、ATVがなくなることによる負担はNASAが負うものであり、日本は負担を被っているわけではありません。なお、ATVからオライオンサービスモジュールへのオフセット手段の変更には、ATVがつくれなくなったという背景がありますし、ATVの役割として燃料自体を運ぶというものがあったのですが、燃料の消費が意外と少ないということもあって、当初の役割から違う方に進める方が良いとなったようであります。 

【藤崎主査】先ほど阿部委員より広報戦略の強化という話があって、宇宙飛行士に焦点を当てることは非常に効果的だと思いますが、それ以外に焦点を当てるなど様々な形を考えているということですが、どのような形の広報戦略を計画して実行されていますか。

【JAXA(長谷川理事)】様々なテレビ局及び新聞社とのチャンネルができましたので、企画を持ち込むなどして、宣伝してもらおうとしています。その中身は宇宙飛行士関連もありますが、むしろ技術的なものや、国際的な立ち位置、特に日米、日ロの間でどんなにすばらしい状態になっているのかということを番組的にうまく編成できないだろうか、新聞記事にならないだろうかということを日々実施しています。その中には若い人たちに対して、ISSにおける実験や国際協力がすばらしいものであることを実例をもって示そうとしています。具体例として、若田さんが訓練している様子を実際に見ていただきたいということで、NASAと調整して訓練部分を限定的に撮らせてもらうということで、スペシャル番組をつくってもらったり、新聞社に入ってもらったりするというやり方をしています。

【阿部臨時委員】そういう技術的な広報宣伝をする際に、先ほど牧島委員や古城委員が言われたように、日本ならではというのをアピールするのが良いと思います。もう一つは全然違う話ですけれども、費用という意味では、企業との協力において金銭的インセンティブを与え過ぎない方が良いと思います。もちろん東レではそんなことはありませんが、無償にしてしまうと本気の研究ではなく、どうでもいいことをやるようなところも出てきかねませんので、企業のコミットを得るためには、自腹を切ってそれでもやりたいということをやらないと、なかなかいい成果にはつながりにくいのではと思います。 

【西島専門委員】つい先日終了した内閣府のファーストプログラムに関わっていたのですが、ファーストプログラムを始めるときに国民から日本を代表する人たちにどういう最先端研究をやってほしいかという、漠然としたアンケートを6年ぐらい前に実施しました。その際に、必ず最先端研究でやってほしいのは、60から70%は健康とか医療とか創薬とかに役立つものをやってほしいという声が多かったです。日本が迎えている高齢化社会におけるビジネスモデルを構築し、タンパク実験では日本にふさわしい疾患などにアプローチしていくというような国民の期待に応えるスケールの大きな話とする必要があるかなと思います。

【角南臨時委員】政策的判断というと、費用対効果の議論は避けられないが、これぐらいのコストでこれだけのものを得たという考え方を、複数の軸から整理して、もう少し情報収集していく必要があると思いました。まず一つは、他国との比較という観点でいえば、ISSでこれまで得られた様々な技術は、ISSがあったからこそ日本が得られたものであると思います。逆に言えば、特に今回得られた技術を、例えば中国、あるいはそれぞれの有人計画を単独でやってきた国に比べると、10分の1ぐらいのコストとスピードで、実はすごく効率よく得られたもので、そもそもISS計画への参画がなければ我が国としては諦めざるを得ないような技術やノウハウもあると思います。さらに、結果的に宇宙常任理事国といえるような地位を獲得する上で、ISS計画に参加せずに単独で進めた場合にはどれだけのコストがかかったかというのを考えると、ISSに参加していない国と比べると非常に効率的にキャッチアップできている、国際協力によって技術を効率的に獲得できたという観点で、得をしているといえるのではないかと思います。現在議論されているISS運用継続の話も、むしろ日本にとっては良い話で、残り数年間で得られるものは徹底的に得ようという戦略の議論もできるのではないかと感じました。 

【藤崎主査】大変大事な点。自分だけではとてもできないところを、いわば他人のふんどしを使いながらどこまで全体のパイを広げていけるかということで、肝の議論であると思います。

【JAXA(長谷川理事)】(有人技術獲得にかかった各国のコスト比較グラフを提示しつつ、)米国は80兆円ですが比較にはならないので、ESAの情報をいろいろ精査した結果、およそ我々と同じような立ち位置でやっているが5.3兆円ほど使っている。一方で我々は0.8兆円ほどの費用で同じ成果を上げていることになります。西島委員の話ですが、宇宙で大きなターゲットをやるというのは、確かにそのとおりだと思いますので、そこのところに焦点を当てて進めようと思います。次回で議論する「きぼう」利用の方針の資料にそれを応用していこうと思います。それから、阿部委員の話ですが、有償利用の制度をうまく利用しながら、企業との研究で占有権を与えて、トライアルでやって、よかったら実費を次で出してくださいという仕組みを導入しました。他も同じように、外の競争的資金を獲得していただいて、我々はサポートの部分のみ行うように役割を変えていこうとしております。

【知野臨時委員】費用対効果の話になりますと、私ども素人がよくわからないのが、宇宙実験を通していろんな成果を出されたということですが、これは地上の研究者のコミュニティの中で、すなわち宇宙実験をしている方たちだけではなく、全体にその分野の研究者の中でどの程度評価されているのでしょうか。それからタンパク実験に関して、条件が整えば7割以上と資料中にありますが、どの程度の割合でその条件は整うのでしょうか。これは地上との比較ということになると思うので、宇宙だけでなく地上との比較において論じてほしいと思います。

【JAXA(長谷川理事)】当初は、宇宙特有の研究もあったが、今は重点化ということで、地上の研究と関連づけて実用化につながるものを進めているので、宇宙での成果そのものは地上の医療や医学にも応用されています。それは次回別途御説明させていただきたいと思います。

【谷室長】今日いろいろと御指摘のあったところで、お答えし切れなかった部分について、本来御用意しておくべきものであったものも含めて、改めまして次回に、特に「きぼう」の利用に焦点を当てて、これまでどのように取り組んできたのか、その成果がどう出てきて、課題が何で今後どうしていくというポートフォリオというようなこと、有償化、そういうことを含めて議論をしていただく準備を次回させていただきたいと思います。また、当小委員会の大きなミッションであります、もう一つの国際宇宙探査につきましても意義、それから方向性についても御議論を頂きたいと思っておりまして、その準備をさせていただきたいと思っております。

【藤崎主査】今日は私の方からお願いしまして、説明資料は短くすること、時間を短縮するということにしましたために、JAXAの方ではいろいろ御用意いただいたものを御説明する時間がなく、そのために事前に準備されたものについての御質問を受けた部分もあり、若干御迷惑をかけたかもしれません。申し訳ありません。ただ、こういう形にやることによりまして、皆さん方が御議論する時間が長くなったかなと思いますので、次回以降もこの形でやりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

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研究開発局宇宙開発利用課 宇宙利用推進室

(研究開発局宇宙開発利用課 宇宙利用推進室)

-- 登録:平成26年06月 --