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宇宙開発利用部会 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第1回) 議事録

1.日時

平成26年4月22日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 15階特別会議室

3.議題

  1. 国際宇宙ステーション(ISS)について
  2. 国際宇宙探査について
  3. その他

4.出席者

委員

主査 藤崎 一郎
主査代理 牧島 一夫
臨時委員  角南 篤
臨時委員  知野 恵子
臨時委員  米本 浩一
専門委員  続橋 聡
専門委員  西島 和三
専門委員  向井 千秋

文部科学省

文部科学副大臣  櫻田 義孝
研究開発局長  田中 敏
研究開発局宇宙開発利用課長  柳 孝
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長  谷 広太

【説明者】
独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 理事 長谷川 義幸
 執行役 田中 哲夫
 

5.議事録

【谷室長】定刻になりましたので、国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会第1回の会合を開催させていただきたいと思います。まず、事務局より本日の会議に関しまして事務的な確認をさせていただきます。小委員会に所属されております11名の委員のうち、本日は8名の先生方に御出席いただいておりますので、運営規則に定める定足数を満たしております。よって、会議として成立していること御報告いたします。続きまして、資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第案4項の通り配布しております。なお、会議の途中で適宜御参照いただくため、机上配布資料としてファイルにとじたものをお配りしております。それでは、主査の指名の紹介をさせていただきます。宇宙開発利用部会の部会長より、本小委員会の主査を藤崎一郎委員にお願いするということで指名を頂いております。この後は、藤崎主査から議事進行をお願いしたいと思います。
藤崎主査、よろしくお願いいたします。

【藤崎主査】ありがとうございます。委員の皆様、御参集いただきましてありがとうございます。私は、決して宇宙について専門家ではございませんが、前職等を通じまして、米国の宇宙関係者あるいはJAXAの方、その他日本の宇宙関係者ともお付き合いをさせていただいておりまして、大変名誉に思って受けさせていただきました。宇宙は、大きく三つのポジティブの側面があると考えております。一つ目は、日本の科学技術の進歩に貢献するものであり、スピンオフ効果もあること。二つ目は、若い人、将来への希望や未来への夢という観点です。毛利さん・向井さん・若田さんといった方々の活躍は、若い人のロールモデルとして夢を育ててきました。それから三つ目に、国際協力という側面です。これはやはり、主要な国の間、そして科学技術の進歩した国の間での唯一の本当の意味での国際協力であり、今のような米露間が緊張した情勢下においても、ISSは除外して協力を続けています。この大きな三つのポジティブな側面があるわけですが、他方、率直に言ってポジティブでない側面もあり、これは大変お金がかかると、その観点から合理化というものがずっと行われてきています。ところが、今ここにきて二つの新しい側面が出てきています。一つ目は、米国がもう一回本腰を入れて宇宙に取り組んでいくという姿勢が打ち出されてきたこと。二つ目は、中国とインド等が、中国の無人月面着陸に見られるように非常に力を入れてきたこと。この新しい局面の中で日本がどう取り組んでいくかが重要です。日本がどう取り組むかについて、全体的にはもちろん内閣府で考えていただくわけでございますが、科学技術を所掌する文部科学省としてどういう形でこれに貢献していくかということを宇宙開発利用部会から本委員会で検討してほしいと付託されております。特に二つ目の側面、ISSの今後の運用継続の問題、それから今後の宇宙探査の問題。この二つについて検討してほしいという趣旨の下、本委員会が設置されました。率直に申しまして、できるだけ早めに中間的な取りまとめができるように頻繁に会合を今後開催していきたいと思っています。以上が私の全般的な御挨拶でございますが、各委員の方々から簡単に自己紹介を頂きまして、それから田中局長に一言御挨拶を頂いて、事務的な説明に入りたいと思います。

【米本臨時委員】九州工業大学の米本です。よろしくお願いいたします。私は25年間、航空宇宙機メーカーで飛行機と宇宙機の開発をしてきまして、その間10年間HOPEのプロジェクトに参加しました。夢破れて9年前に大学に来ていまして、大学でも将来の再使用輸送系の研究に携わっております。そういう観点からこの委員会で何かお役に立てればと思っております。以上です。よろしくお願いします。

【向井専門委員】JAXAの宇宙飛行士、そして宇宙医学研究センター長の向井です。宇宙医学研究センターでは、人が遠隔地で安全安心に暮らしていける技術を開発しています。先ほど主査からありましたように、宇宙開発にとって今すごく大きな時期にあるのではないかと思っています。ガガーリンが飛んで50余年、そして去年はテレシコワが飛んで50年たちました。50年を一区切りとすると国際競争から国際協力に変わるのは自然の流れです。今後は官のみではなく、民間による宇宙旅行なども行われようとしています。そういう意味で、税金でやるべき宇宙開発の方向性を真剣に考えていく重要な時期にあるのではないかと思います。このような観点から、ISSの利用や、あるいは今後日本が宇宙探査でどういうことを国際的に先進していくことができるかについて考えていければと思っています。よろしくお願いいたします。

【藤崎主査】まさに節目の年であり、米国もアポロが飛んで40年ということでまた宇宙に焦点を当てておりまして今、世界全体でも、人類で有人宇宙飛行が始まって50年ということで、今おっしゃった、官民のすみ分けの問題を含めてしっかり議論していくべきだと思います。

【牧島専門委員】  東京大学の牧島と申します。私は、現在のJAXA宇宙科学研究所がまだ東京大学宇宙航空研究所だった時代から、大学の立場で7機ぐらいの科学衛星の装置の開発、運用、観測等に関わってきました。現在、理化学研究所を兼務しており、ISSに搭載されているMAXIという装置の理研側での運用の責任者をしております。もう一つ、JAXA宇宙科学研究所で宇宙理学委員会という委員会があり、そこの委員長という大変重たい職を仰せつかっております。そういう立場から今回のこの小委員会に微力ながら貢献できればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

【藤崎主査】よろしくお願いいたします。牧島先生には、この主査の代理というのをお願いしようと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

【西島専門委員】持田製薬の西島和三です。私は、2000年ごろにタンパク質の構造解析を行って、合理的創薬を目指すということで、SPring-8に製薬協専用ビームラインを建設するときの幹事長を務めました。就任期間中に、SPring-8の製薬協コンソーシアムとJAXAとの包括協定を結びました。それが縁で、その後、国際宇宙ステーション特別部会の委員を務めさせていただきました。また、スパコン「京」やXFELあるいはJ-PARC等の国が持っている大型の先端施設を幅広く創薬に利用したいと思い、産業利用方策等に関わってきました。新薬誕生までには大分時間がかかるのですが、それでも、国民の健康・医療に何とか貢献したいと思っております。よろしくお願いいたします。

【続橋専門委員】経団連の続橋と申します。私は文系の出身でして、企業からの出向ではなく、経団連にプロパーとして30年以上勤めております。また、防衛生産委員会事務局長という肩書がありまして、防衛と宇宙両方担当しております。2008年に宇宙基本法ができて、安全保障面での宇宙利用も行えるようになりました。実際に活用するにはなかなか難しいところがありますが、広い意味で国の安全・安心、安全保障、外交に宇宙をどのように生かしていくのかというような視点が重要でございますので、そうしたことも含めてISSをどのように考えるかということを検討してまいりたいと思います。よろしくお願いします。

【藤崎主査】日米協力といった場合、サイバーの他に宇宙も新しい局面として力を入れないといけないですね。

【知野臨時委員】読売新聞の知野と申します。科学技術分野を担当しています。宇宙及びISSに関しては、1990年に当時の科学技術庁の記者クラブ担当になりまして、そのころから見てきました。当時は米国の予算がつくとかつかないとか議会でもめていたり、いろいろなトラブルも起きていたり、完成はいつも7年後と言われるように毎年毎年遅れておりまして、果たしてISSが実際に完成するだろうかと危ぶまれていました。それが2024年までの運用延長が議論されるなど、非常に隔世の感があります。ただ、当時は宇宙で何か建築物をつくるとか人が行くとか、そのための輸送手段をつくるとか、非常に新たなことに国が取り組むということでワクワクしていたところがあると思います。しかし、今はそういったワクワク感が少なくなり、何となく続けていくというある種の公共事業的なイメージでも捉えられております。本小委員会では、国民の税金で実施しているという視点でも見させていただこうと思っております。よろしくお願いいたします。 

【角南臨時委員】政策研究大学院大学の角南でございます。専門は科学技術イノベーション政策、科学技術外交を研究しております。宇宙というのは、先ほど主査が挙げられた三つの点、つまり科学技術イノベーションという側面と、ポスト冷戦後における国際協力という大きな側面、それからインド・中国の科学技術大国としての台頭という三つの側面で全て関わってくる重要な分野だと認識しております。本小委員会においては、幅広い観点からも我が国の戦略として語られることが非常に重要だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 

【田中執行役(JAXA)】宇宙航空研究開発機構執行役の田中と申します。月・惑星探査プログラムグループ統括リーダーということで、これから月・惑星探査プログラムについての検討をさせていただく立場です。よろしくお願いいたします。 

【長谷川理事(JAXA)】JAXAでISSの本部長をさせていただいております。私は1990年にISSに参画して、ISSの開発・運用、途中で「こうのとり」等も経験し、今に至っております。どうぞよろしくお願いいたします。 

【谷室長】事務局を務めさせていただきます宇宙利用推進室長の谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【柳課長】宇宙開発利用課長の柳でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【田中局長】研究開発局長の田中でございます。よろしくお願いを申し上げます。この会議の設置は、冒頭の主査からの御説明で大体尽きてはいるわけですが、まさに宇宙開発を担当させていただいている直接の身として、最近極めてひしひしと感じるものは、我々として今後宇宙開発あるいは有人宇宙をどのように進めていくのかです。私自身、1月にワシントンで開催をされました国際宇宙探査フォーラム(ISEF)、そこで35か国の政府関係機関が初めて一堂に会して、今後宇宙をどう考えていくのかということを議論したのですが、大臣とともに参加をさせていただいて、第2回を2016年か2017年に日本で開催をするということも大臣から表明をしていただきました。第2回事務局を務めさせていただくに当たり、まず日本としてどうするのかをきちっと考えないと、諸外国とのいろいろな調整もできません。そのためには、まずは文部科学省としてどうするのかをきちっと考えないといけません。ここにいらっしゃる向井さん、あるいは今ISSに滞在中の若田さん等(ら)が大変努力をされて積み上げてきた技術蓄積、信頼感、安定感ということに対して、日本は国際的にも高い評価を頂いていると思っております。しかしながら、今後どうしていくのかを考えたときに、今までのように、国民から見てわかりにくいものであっては決していけない。社会に対してISSの成果物や、ISSにて何をやっているのか、何を目指していくのかを国民から見てわかりやすいように説明責任を果たしていかないといけないと思います。そういう観点で、事務局やJAXAだけで内々の議論をしているだけでは決してよくなくて、いろいろな観点から多方面の方に議論をしていただいて、検討していただくことが極めて重要と思い、この会を開催させていただきました。正式には櫻田副大臣が間もなく到着いたしますので、櫻田副大臣からいろいろなお話があると思います。本小委員会は、大変タイトなスケジュールだと思われるかもしれませんが、今後の日本の宇宙のため、有人宇宙開発のためということで是非精力的な御検討をお願い申し上げたいと思っております。よろしくお願いを申し上げます。
 

(1)国際宇宙ステーション(ISS)について

事務局(谷室長)からISSについて、資料1-1-3に基づき説明。

【藤崎主査】櫻田副大臣から御挨拶をお願いします。

【櫻田副大臣】今日はお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。「国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会」の開催に当たり一言御挨拶申し上げたいと思います。国際宇宙ステーション(ISS)計画は、人類史上比類のない規模の平和目的の国際科学技術プロジェクトとして遂行されております。本年1月、米国ワシントンにおいて35か国の代表が出席をし、第1回国際宇宙探査フォーラム(ISEF)が開催され、国際宇宙探査の意義・重要性に関する意見交換がなされたところでございます。この中で、米国政府は、少なくとも2024年まではISSの運用を延長することについて表明がありました。また、日本政府代表として出席した下村文部科学大臣からは、将来の国際宇宙探査に対して主体的に貢献すること、次回会合を日本が主催することを表明いたしました。これまで我が国は、日本実験棟「きぼう」の建設・運用、物資補給機「こうのとり」の打ち上げ、日本人宇宙飛行士の搭乗等を通じ主要な役割を果たしてきており、我が国の技術と貢献は各国からも高く評価されております。また現在、若田宇宙飛行士がアジア人として初めてのISS船長として活躍しておりますが、これは、御本人の努力、能力に加え、我が国が重要なパートナーとしての地位を占めるに至ったことのあらわれでもあります。米国が表明したISS運用延長や、ポストISSへの我が国の取り組みについて、多面的、かつ総合的な観点から検討し、我が国がリーダーシップを発揮して新たな段階の宇宙探査に主体的に臨むことが重要であると考えています。本委員会では、今後のISS及び国際宇宙探査について、我が国における対応の基本的な在り方について、6月いっぱいを目途に、おおよその考え方を取りまとめていただきたいと考えております。藤崎主査を初め委員の皆様におかれましては、その専門的見地からの御意見を披露していただくとともに、自由かっ達な御議論をお願いしたいと思います。

事務局(谷室長)から、ISEFについて、資料1-2に基づき説明。

【藤崎主査】質問があれば適宜お願いいたします。まずは、私の方から二つ。ISEFについて。日本が議長国をやる2016年ないし2017年までの間に政策的協議を続けていくわけですが、どのような格好で何を議論していくかという行程はどのように考えているのでしょうか。もう一つは、先ほど角南委員からも、中国について御指摘がありましたが、今回でなくても次回に中国、インド等の新しく出てきた国についての包括的な説明をしていただきたいと思います。予算は情報公開されておらず、難しいかもしれませんが、全体にどんな感じでどう来ているかということが非常に大きな関心だろうと思います。ただ、ISSについて、JAXAからも説明がありますので、今のことも念頭に置きつつJAXAより御説明いただき、それを踏まえて全体として議論をしていただきたいと思います。


JAXA(長谷川理事)からISSについて、資料1-3に基づき説明。

【藤崎主査】ドイツはESAとは別に出てきましたが、ドイツとESAは別なわけですね。

【長谷川理事(JAXA)】ドイツはESAの主要国でもありますが、独自に自分の国としても行っています。

【藤崎主査】文科省とJAXAより説明がありましたが、この説明に対する質問ということでなくて結構でございますが、ISSについて御意見あるいは御提起があればお願いいたします。

【西島専門委員】ISSには欧州という一区切りで11か国入っており、フランスやイタリアも入っていると思いますが、欧州の中での足並みはどうなっているのでしょうか。最初の宇宙探査国際会合は欧州で開催されたとのことですが、欧州の中の各国の立ち位置というか、中での状況はどうなっているのでしょうか。一方、私の記憶では、ISSから脱退する場合や新規に参加する場合の明確な条件がはっきりしないというのを以前にお聞きしましたが、中国がISSに入りたいと言った場合に入る仕組みはあるのでしょうか。

【藤崎主査】時間の関係もございますので、少しまとめて御質問をお受けして、その後まとめて回答いただきたいと思います。

【知野臨時委員】米国は少なくとも2024年まで延長と表明していましたが、「少なくとも」というのはどういう意味でしょうか。本当は何年ぐらいまでの運用を目指しているのでしょうか。また欧州は、2017年以降のISS運用費の分担分を多目的有人宇宙船のサービスモジュールの提供に代えたということですが、リソース配分はどのようになっているのでしょうか。同じように使えるということでしょうか。

【米本臨時委員】資料の24ページ、日本の技術開発マップが割ときれいに整理されているなと思います。輸送技術に関して、一般に有人技術というと輸送をイメージする人が多いと思いますが、有人輸送技術に関して日本は非常に遅れていると思います。JAXAの中で有人輸送技術についてどのような議論が行われてきたか、教えていただきたいと思います。

【角南臨時委員】資料の24ページは非常によく整理されていると思いますが、今後ISSで獲得・実証していく技術とそうでない技術は、どういう経緯でそのように分けているのでしょうか。2024年までの延長を考慮する場合に、この辺の戦略は変わり得るでしょうか。

【谷室長】まず、ISSから抜けるというお話ですが、ISSは協定、条約で参加の在り方というかフレームワークが決まっています。そこで決まっている役割を変える場合には、全体の計画に支障のないように調整の上で行うことが前提になっております。逆に言うと、新しく加わる場合にも、事前の調整が行われれば可能になると理解しています。それから、「少なくとも」の意図ですが、NASAでは2028年まで技術的には使い続けることが可能であるという評価を行っていることから、「少なくとも」2024年まで使い続けるというのが現在の米国のスタンスであると理解しています。

【西島専門委員】例えば米国のある種の企業コンソーシアムの場合には、1社抜けるときには、かわり1社を探してきてから抜けて、自社が抜けてもその後の運用に迷惑をかけない仕組みが整っています。また、自分の会社が吸収合併されても、生き残った会社がそれをつなぐという形でコンソーシアムをつなぐことが事前にきっちり決まっています。極端な話、今、アジアで唯一日本が参加していますが、日本が抜けると、その穴を中国が今までの建設費を含めて埋めれば入れるという枠組みになっていると解釈してよろしいでしょうか。

【長谷川理事(JAXA)】分担については国として決まっているので、その国が変わるのであればIGAの改正が必要になります。一つのやり方としては、ISSの枠組みとして、自分の持分の中で他国を参加させる、非参加国の参加(NPP)というのは認められていて多数者間調整委員会(MCB)で承認できます。なお、中国の場合はどうなるかという議論は全然されていない状況です。ESAの内部については、ドイツ、イタリア、フランスが大きな役割を担っており、協議して進めています。有人宇宙分野はドイツがリードしています。欧州は2017年以降のISS運用費の分担分をATVから多目的有人宇宙船のサービスモジュール提供に変更していますが、これは2021年以降どうするかとは別の話と理解しています。先ほど米本先生等からありました資料24ページに書いてある有人輸送技術については、輸送本部等JAXA全体の中で信頼性向上の議論をしているところです。その中の一つとしてエンジンの工夫をISSで培った安全等の技術を生かす方向で議論しています。資料24ページ獲得技術の表の「赤」の部分はプログラムとして予算が付いていない部分で、ここはやりたいという意思をJAXAとしては出しています。「黄」の部分は予算として認めていただいたものを実行としてやっていくものです。「青」の部分はISSの運用を6年間経験して獲得したと言ってもいいのですが、例えば危機管理については何が起こるかわからないこと、及び米露と協調して対処していくことからノウハウの蓄積という書き方をしています。

<櫻田副大臣御退席>

【知野臨時委員】欧州による2017年以降のISS運用費の分担に関してですが、欧州がATVで物資を運ばないことになると、その分の分担はどうなるのでしょうか。

【長谷川理事(JAXA)】欧州補給機(ATV)は結果的には部品等製造・調達ができなくなり多目的有人宇宙船のサービスモジュール提供に変更されましたが、どこが代わりに物資を運ぶかという意味では米国になります。

【米本臨時委員】有人輸送技術について、ロケットエンジンの信頼性を上げることは、有人輸送に限らず輸送技術の信頼性の向上につながるものであり、以前から行われています。有人輸送技術獲得のため、ロケットの信頼性以外にどういうシナリオで技術獲得をしていくかという議論があれば教えていただけますでしょうか。

【長谷川理事(JAXA)】国際的な宇宙探査の中にシナリオとしてまずどういうものを設定するについては、ISECG(国際宇宙探査協働グループ)の中で日本も含めて五つ、六つの国が今リードをとって進めています。我が国の権益や国益を確保のため、その中にできるだけ我が国としてのスタンスを明確に書いていくようにしています。ただ、技術的問題や予算の課題があります。現在は月近傍という話がたくさん出ていますが、月近傍到達のためにはエンジン技術・輸送技術が必ず必要になります。それに向けて、「こうのとり」の次のバージョンの検討をJAXA中の社内検討として始めています。

【田中局長】技術的な課題のみならず、宇宙空間の秩序をどのように国際ルールの中で保っていくのか。枠組みをどうするか、新しい国が入ってくる際にその枠組みがどう適用されるのか等の国際ルールをどう考えていくのかも我々としての大きな課題です。ISSは大変良いモデルになっていますが、それを今後どう発展させるのかについても大きな議論になると思います。

【藤崎主査】次回のISEFで日本として何をやるべきか、それに向けて何を進めていくべきかという点、また、中国、インド等の実情について、もしできれば次回会合で少しお話をいただけますでしょうか。

(2)国際宇宙探査について

JAXA(長谷川理事)から、国際宇宙探査について、資料1-4に基づき説明。

【藤崎主査】ロードマップを作るのに意見の違いもあり取りまとめるのが大変だったとありましたが、その背景は何でしょうか。

【牧島専門委員】ISSや有人宇宙探査という話になると、有人は人が乗ることから安全性の確保のために、アウトガスなどの制限が極めて厳しくなります。ISSはそうした課題を乗り越えるための技術獲得というモチベーションもある一方で、有人にしたためコストがかさむという課題を抱えています。これがISS計画を非常に高価なものにし、新規の参入者が余り気軽に使えないという足かせにもなっていると思います。有人であるが故にISSが非常に使いにくくて高価になってしまっているという点と、人命をしっかり守りながら、今後更に遠くに行きチャレンジングなことを行うという二つの点はどのようにバランスを取るべきか、良く考えないといけません。

【続橋専門委員】以前、米国の関心は元々アポロを初め月にありましたが、今は火星にあります。一方で、ロシアと中国は月に関心を持っています。月には資源があると言われています。実際にロシア、中国が関心を持っているのは月の資源なのでしょうか、それ以外でも何か重要なものがあるのでしょうか。一方で、米国は月の関心が薄れ、火星に関心が向いているのはなぜでしょうか。

【米本臨時委員】ISECGの議論、特に有人宇宙探査の議論に本当に日本が乗っかれるのかいう疑問があります。確かに、無人探査の技術は実績があり世界に誇れるものですが、有人宇宙輸送がない中で参加できるのでしょうか。最初は無人宇宙探査であるため参加できると思いますが、いざ有人宇宙探査が始まったときに、日本がどういうスタンスで参加するか不安があります。牧島先生がおっしゃったように、無人と有人で実験装置が高くなるなどといった個別に議論はあるところで、どちらが良いかはミッションごとに判断されるべきだと思います。一方で、長期的観点から見たときには、有人宇宙輸送は人類のフロンティア拡大という大きな意義があり、ISSはその技術を獲得する上で一番重要だと思っています。そういう議論の場をはっきりと作って国際協力の枠組みに日本はどう乗っていくかというのを議論の場をもうける必要があると思います。

【知野臨時委員】米国の小惑星捕獲ミッションは、どの程度の熱意を持って受け止められているのでしょうか。また、国際協力を呼びかけていますが、何か前向きなことを答えている国はあるのでしょうか。

【長谷川理事(JAXA)】ISECGに関して、各国の意見調整の違いというのが実際にあります。また、ESAとは別にドイツ、フランス、イギリスが出てきており、ESAの立場とドイツ宇宙機関としてのDLRの立場は違います。国際宇宙探査シナリオをつくるときに、米国以外は月着陸というのが目的地としてあり、みんな目指しています。そのためにロシアは当然昔から月探査をやっていたわけですし、ヨーロッパもみんな同じです。米国政府としては、ブッシュ大統領は明確に月を目指そうと表明しましたが、オバマ大統領は月に行かないということを表明しており、NASAも月に行くプランは描けません。火星が最終目的地ですが、そのために小惑星経由で行くのか月経由で行くのか、要するに、火星に行ったときに技術的に重力天体で降りて長期滞在ができるのか、放射線は大丈夫なのか、救命救急は大丈夫なのか等々の技術実証の場としてどこを使おうかという議論です。月近傍のラグランジュ点までは今の大型ロケットで往復可能であり条件としては悪くありません。ただ、実際に火星に降りて、実際人間が探査や居住を行う技術、サンプルリターンの技術は月近傍では学べないので、無人機によって火星に降りるか、あるいは実際に重力天体に降りて行う必要があります。月が一番近いため、リスク及び技術面、コスト面を含めて、月が最適なのはみんなわかっていますが、明記できないため妥協した結果になっているのです。

【藤崎主査】米国が月に行かないという背景は何でしょうか。

【長谷川理事(JAXA)】米国として過去にアポロで月探査は実施したこと。新しいところ(月よりもその先)に米国政府としてはリーダーシップを発揮するという表明だと理解しています。それから、安全基準の厳しさについて。ISSでは、米国から言われたシステム安全の厳しさをそのまま各国に適用しています。例えば、人間の命を守るために二つ故障しても動かないといけないという基準があり、部品レベルで燃えないこと、火の出ないことが求められるので、システム全体で見ると当然高くなります。しかし、ISSを経験してわかったことは、そこまでの厳しさ、基準は重要ですが、実現する手段として、超一流の部品とか材料とか、物を持ってくる必要はないということです。最新版の民生品を、その基準にのっとって改修した上で打ち上げることが可能であり、それを用いて冗長系を組めば二重、三重安全になることがようやくわかってきたので、基準を変える工夫をしています。一例としては、この間、NHKの4KカメラをNHKさんとの共同研究で打ち上げましたが、4か月以内で着手した上で、若田飛行士に間に合わせるために半年ほどで仕上げました。そのもとは民生品だったのですが、これまでと比べると画期的なスピードです。

【藤崎主査】何を有人で行い、何を無人で行うかという点はどうでしょうか。

【長谷川理事(JAXA)】基本的には、人間がいるから安全というわけではなくて、有人も無人も同じ要件であり、居住環境の中でそれをどう生かすかということです。利用の仕方という意味では、結局、目的がどこかによるので、目的に応じて判断するものだと思います。

【藤崎主査】有人でやると、いろいろな実験ができると思いますが、安全のために大変コストが高くなってしまう。そこで、どこまで無人にするか、どこまで有人にするかというところの線引きについての考え方の整理はどのようにされているのでしょうか。

【長谷川理事(JAXA)】有人の利点は、セットアップしてチェックし、問題があったらそこで直せるという点です。オペレーションそのものは、自動的にするか、リモートコントロールでできるという分け方になっています。答えになっていますかね。米本委員から御指摘のあった(ISECGの作成した)ロードマップを含めて有人プログラムにどう参加していくかという点ですが、非常に難しい議論ですが、実行レベルとしてはやっていきたいというのはあります。それに向けた提案はさせていただいていますが、実際にプログラム的に動かすのは政府でないとできないので、基本的には内閣府さんや文科省さんで議論の場を作っていただく必要があると思っています。

【米本臨時委員】そういうものがないと、今後有人宇宙探査が実行段階に移ったときに、日本が発言はできても参加ができないという心配があります。JAXAでも有人輸送技術獲得のロードマップを持っていないといけませんが、今はありません。中国が台頭してくる中で、日本はどうするのかという答えを今持っていないのです。そういった議論をこの機会にやらないと、恐らく次のISEFの中で有人宇宙探査に対して何かある重要なパートを得られない恐れがあると思います。

【向井専門委員】質問ではなくて意見でもよろしいでしょうか。私は探査、特に有人宇宙探査を考えるときには、定義とか扱う範囲を共有することが必要と思います。まず、宇宙探査そのものを考えたときに、無人なのか有人なのかという線引きは、そのときの予算の使い方の優先度で考えれば良いと思います。有人の場合に、現在の中国のような独自路線なのか、国際協力なのかという点から考えることになります。日本の場合は、予算規模、国民の税金により行われていること、現在の宇宙開発は国際協力なしにはできない状況等から、国際協力で進めていくものと思います。そして、国際協力で進める場合は、協力・競争の観点から、どの要素部分を、どの国が、どの程度開発していくのかという考え方をしていくものと思います。多くの議論が有人宇宙飛行・探査というと、有人ロケットの開発をすべきか否かということを中心に考えてしまいがちです。例えば先ほどの24ページの資料で、有人の輸送技術が開発されていないことを言及されていますが、輸送技術だけが探査技術ではありません。有人探査をするためには、宇宙であれ砂漠であれどこであれ人の生活基盤がない遠隔地に、安全・安心、医療をセーフティネットとした生活のインフラをつくることが基本と思います。そう考えると、先ほどの24ページの資料で、既に日本は国際宇宙ステーションの建設や運用実績から宇宙滞在技術を獲得してきています。宇宙開発はロケットエンジニアが担う割合が大きいので、有人宇宙探査と有人ロケットの開発が同義になっています。そういう狭いスコープで考えてしまうと、日本は有人宇宙探査をやるべきではないという結論になってしまいがちです。しかし、有人探査技術は人が安全安心な生活を行うためのインフラをつくることを含んでいると考えれば、日本は資源が少ない国なのでそこで蓄積されたリサイクルシステム等の技術で国際的にも国内的にも貢献できるところはたくさんあると思います、地上で開発された技術を宇宙開発に投入し、有人宇宙探査技術のジグソーパズルのピースをできるところから埋めていくということも一つの方向性ではないかと思います。その過程で新たに手に入れた技術は社会実装も容易です。まとめると、有人宇宙探査は有人ロケット開発と同義ではないということで、議論の範囲を広げて考えるべきと思います。

【藤崎主査】非常にわかりやすい御説明で、有人の定義をもう一回明確に考えて、我が方が開発して発射したロケットでなくても、そこでたどり着いた先における技術を日本の独自のものにすることによって大きな貢献ができるので、有人というものは決して1から100まで全部自分がやらなければいけないわけではないと、そのうちの大事な部分をおさえれば良いという考え方もあるということでした。いろいろな考え方があるので、1からやりたいという考え方もあると思いますが、そういう御議論もあるということでしたね。他に御意見ありますでしょうか。なければ、まとめて、長谷川理事よりお話しいただきまして、それから文科省の方からお願いします。

【長谷川理事(JAXA)】実際に技術ロードマップの中で、有人宇宙船じゃないですけど、宇宙船の技術というのは実質的には「こうのとり」及び「きぼう」の技術で代替できたこともあって、次に人間が搭乗する技術は多分できるだろうというので、有人の宇宙船は次の我々の売りにもしたいなと思っています。一方で、有人ロケットは我々が得たもの以上に非常に厳しい安全を要求されており、有人の輸送手段は宇宙船とそれを持って行く手段で分けて考えていただければと思います。それともう1点、回収技術に関して。有人宇宙施設から地上に戻す技術ってまだ持っていないですが、実質的には「イトカワ」から持ってきたカプセルの技術にあるように、宇宙から戻せる断熱シールドの話と誘導制御の二つがあればできるので、できるようになるだろうと思います。現在、米露と中国しか持っておらず、獲得すれば次のポジションを得ることができるかなと考えています。

【谷室長】24ページの技術獲得の表は有人宇宙の技術体系を示しているものと理解しています。例えばISEFにて下村文部科学大臣が、「我が国の得意な技術、独自の技術というものを生かして貢献していく」、「主体的に関わっていく」という意思表明をされておりますが、24ページの技術獲得の表は一つの議論のベースになるものと思っており、今後どこを伸ばしていくのか、それもコストや現状の優位性、今後どこがキーテクノロジーになっていくのかも含めて御議論いただいて、国際宇宙探査に貢献する箇所の絞り込み・優先順位等を御議論いただければ大変有り難いと思って、この資料は作っております。

【藤崎主査】今日はもう時間でございます。この二つの議題については大変突っ込んだ、また根本的な議論をいろいろ提起していただきましてありがとうございました。

事務局(谷室長)より、今後の予定について、資料1-5に基づき説明。

【藤崎主査】どうもありがとうございました。では、第1回会合はこれで了することといたします。私は、この連休の初めでございますが、別な会議でワシントンに参りますので、その際、ホルドレン科学技術補佐官とNASAのボールデン長官に、これはもともとの昔から知っているものでございますから、会う予定にしておりますので、その結果についてはまた御報告させていただきます。どうもありがとうございました。

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室

(研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室)

-- 登録:平成26年06月 --