参考資料1 シグナス補給船(Orb-3)の打上げ失敗について
1.事故状況
- シグナス補給船運用3号機(Orb-3)を搭載したアンタレスロケットは、米国バージニア州のNASA・ワロップス飛行施設より、10月29日7時22分(日本時間)に打ち上がった直後に爆発炎上。
- アンタレスロケットの打上げ失敗は、今回が初めて。
- オービタル・サイエンシズ(OSC)社は、NASA・米連邦航空局(FAA)等の外部専門家による事故調査委員会を組織し、原因究明作業を行っている。
2.NASA側の見解
- 原因究明には数週間程度を要することが見込まれる。
- Orb-3には、ISS/きぼうの維持運用にクリティカルなシステム品は搭載されておらず、当面のISS/きぼうの運用に支障は無い。
- また食料・水を含む消耗品も余裕があり、ISS搭乗宇宙飛行士の健康や安全にも支障は無い。
3.ISS補給計画への影響
- ISSにおいて特に重要な消耗品については、10月29日22時8分(日本時間)にISSにドッキングしたプログレス補給船57Pでも供給されたため、半年以上の余裕があり、運用上支障はない。
- この事故を踏まえた補給計画の見直しに向けた検討がNASAにおいて開始されている。
- 来年度打上げ予定の「こうのとり」5号機の搭載品については、2015年春期を目途に、国際調整により確定される予定。
4.JAXA搭載品
・ 船外材料曝露実験サンプル
「きぼう」曝露部に設置する船外簡易取付機構(ExHAM)に搭載し、宇宙環境に曝露することで、各種材料の宇宙環境影響評価を行う計画であった。
・ 再突入データ収集装置(i-Ball)
NASA及び欧州宇宙機関(ESA)との協力により、国際共同研究の一環として、破壊高度データの蓄積による再突入機の落下推定域の精度向上のために、来年2月頃に大気圏に再突入し廃棄する予定のATV5に搭載される計画であった。
【参考】米オービタル・サイエンシズ社の見解
・ 現時点の分析では、アンタレスロケットの第一段主エンジン(エアロジェット・ロケットダイン製AJ-26)の2基のうち1基のターボポンプが不具合を起こした可能性がある。
・ アンタレスロケットの打上げ再開は2016年始めに計画しており、2015年から2016年にかけては、他社のロケットを利用して1~2機のシグナスを打上げる計画。
注:「AJ-26」は旧ソ連時代に開発製造されたものを米企業エアロジェット・ロケットダインが改造したもの。