原子力科学技術委員会 群分離・核変換技術評価作業部会(第1回) 議事録

1.日時

平成25年8月7日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 東館13階1、2会議室

3.出席者

委員

山口主査、澤田委員、中島委員、長谷川委員、藤田委員、矢野委員、和気委員

文部科学省

田中研究開発局審議官、増子原子力課長、西田放射性廃棄物企画室長、石川原子力課長補佐

オブザーバー

横溝原子力研究開発機構理事、大井川原子力研究開発機構研究推進室長

4.議事録

【西田室長】それでは定刻となりましたので、ただいまから第1回群分離・核変換技術評価作業部会を開始させていただきたいと思います。本日は御多忙にも関わらず、また急なお願いにも関わらず御出席いただきまして誠にありがとうございます。本日、群分離・核変換技術評価作業部会の最初の会議ということでございますので冒頭、私、放射性廃棄物企画室長を務めております西田の方から進行を務めさせていただきます。
それではまず、資料1-2に今回の作業部会の名簿がございますので委員の皆様のお名前を御紹介させていただきます。委員の皆様には、後ほど御挨拶いただく時間を取らせていただきたいと思っております。まず、大阪大学大学院工学研究科環境・エネルギー工学専攻教授、山口彰委員でございます。続きまして、日立GEニュークリア・エナジー株式会社シニアプロジェクトマネージャー、澤田周作委員でございます。それから東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻教授、田中知委員でございます。本日は、所用により、欠席の御連絡を頂いております。京都大学原子炉実験所教授、中島健委員でございます。本日、御出席の連絡を頂いておりますが、少し遅れる旨の連絡を頂いております。続きまして東北大学大学院工学研究科・量子エネルギー工学専攻教授、長谷川晃委員でございます。それから日本原子力学会副会長、藤田玲子委員でございます。続きまして仁科記念財団常務理事、理化学研究所仁科加速器研究センター特別顧問、矢野安重委員です。続きまして慶應義塾大学名誉教授、和気洋子委員でございます。続きまして、オブザーバーとして日本原子力研究開発機構(原子力機構)から横溝理事、それから、大井川研究推進室長にも出席いただいております。
事務局を紹介いたします。研究開発局、田中敏局長ですが、遅れて出席の予定でございます。また、研究開発局、田中正朗審議官でございます。同じく研究開発局、増子原子力課長でございます。それから私、放射性廃棄物企画室長をしております西田でございます。よろしくお願いいたします。同じく研究開発局、石川原子力課長補佐でございます。
 なお、山口委員におかれましては、原子力科学技術委員会の田中知主査より指名を受けまして、本日の群分離・核変換技術評価作業部会の主査を務めていただくことになりましたので皆様、よろしくお願いしたいと思います。それでは山口主査から御挨拶いただきたいと思います。お願いいたします。

【山口主査】どうもおはようございます。大阪大学の環境・エネルギー工学専攻におります山口でございます。田中主査からこの作業部会の主査をということで御指名を受けましたので大変、大切なミッションだと思いますので精一杯、務めさせていただきたいと思います。この作業部会では、放射性廃棄物あるいは核燃料サイクル、そういう大きな枠組みと通ずる重要なテーマを扱うということで考えてございますので皆様方の御協力いただきまして立派な報告書をと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

【西田室長】どうもありがとうございました。それでは、ただいまから議事に入らせていただければと思います。プレスの方は所定の位置にお戻り願います。それではここから山口主査に議事の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【山口主査】それでは議事に入らせていただく前に、本日は初回の部会ということでございますので委員の皆様から一言ずつ簡単に御挨拶を頂きたいと思います。澤田委員の方から順番にお願いいたします。

【澤田委員】澤田でございます。先ほど御紹介いただきましたように日立GEニュークリア・エナジーから参りました。先ほど山口主査からお話しがありましたように、非常に重要な部会であるということでございますので、私としてもしっかりと議論に参加させていただきたいと思いますので皆さんよろしくお願いいたします。

【長谷川委員】東北大学の長谷川です。私、専門は原子力関係、材料の方でございます。その他にも加速器等や応用なんかにもいろいろ携わっております。私どものところの量子エネルギー工学専攻では、こういう群分離や、あるいは核変換技術ということを研究内容としてやっております。それらに関わる立場からもこの委員会でいろいろと審議させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【藤田委員】原子力学会の副会長をしております東芝の藤田と申します。今回は副会長の立場で参加させていただいておりますが、東芝で放射性廃棄物、及び次世代の再処理技術の研究開発をしております。群分離につきましては、1990年代に分離・核変換のプロセス開発や核変換用ターゲット材料の研究開発をしていました。今回、お役に立てば幸いだと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【矢野委員】仁科記念財団の矢野でございます。私は2008、2009年だったと思いますけど、これと同名の作業部会が原子力委員会のところに作られまして、そこに委員として参加しておりました。私の専門は放射性同位元素や、原子核が分裂していろんなものができますけども、そういったものをビームにするというのが私の専門でございます。和光の理化学研究所にRIビームファクトリーという非常に大型の加速器施設がありますが、今回のような群分離・核変換の主に基礎的なことしか分かりませんけども、何かのお役に立てればと思います。他の方は皆、原子力関係の方ですけど、私だけ原子核物理学でございまして、その立場から御意見を述べさせていただきたいと思います。

【和気委員】慶應義塾大学の和気と申します。国際経済学が専門ではありますが、環境・エネルギー政策評価などを中心に審議会などに参画し、またIPCC第三次評価報告書の代表
執筆者の一人として、温暖化問題における技術評価や意思決定問題に関与してまいりました。そうした関係で専門から遠いのですが、微力ながら本部会に参画させていただくことになりました。専門の経済学という分野は、特にコストベネフィット分析などを考えても、あまり超長期の技術評価の議論や、意思決定問題にはなじまないところがありますが、さりとて、社会的技術としてどう評価するかという観点からは、リスクを踏まえた経済学的視点や社会科学系の知見からの戦略的な議論も重要かと思います。よろしくお願いいたします。

【山口主査】どうもありがとうございました。それでは早速ですが、これから議事に入らせていただきたいと思います。本日の議題はお手元の議事次第に書かれておりますとおり、群分離・核変換技術に関するこれまでの経緯について、群分離・核変換技術に関する国内外の状況について、それに今後の進め方についての3点でございます。それでは議事に入る前に、事務局より出欠と配布資料の確認をお願いしたいと思います。

【西田室長】それでは出欠についてですが、本日は8人中、御出席いただく予定の中島委員を含めて7名でございます。定足数である過半数を満たしております。続きまして、本日の配布資料を確認させていただきます。配布資料といたしまして、議事次第、座席表、資料1-1原子力科学技術委員会における作業部会について、資料1-2群分離・核変換技術評価作業部会委員構成員、資料1-3群分離・核変換技術評価作業部会の公開手続について(案)、資料2-1群分離・核変換技術に関するこれまでの経緯、資料2-2群分離・核変換技術に関する国内外の状況、資料3今後の進め方、参考資料1原子力科学技術委員会運営規則の方をお配りさせております。資料の欠落等ありましたら事務局までお知らせいただければと思います。議事の途中でもお気づきの点ございましたら御遠慮せずお申し付けいただければと思います。以上です。

【山口主査】よろしいでしょうか。それでは、本日の議題に入らせていただきます。事務局及び原子力機構が資料の用意をしていただいておりますので、それぞれ資料を説明していただいた後に質疑・議論を行わせていただきたいと思います。それから、議題ごとに質疑応答の時間を設けて進めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。では初めに議題の1番目、群分離・核変換技術評価作業部会について、こちらを事務局より説明していただきます。事項として3件ありますが事務的な部分もございますので、まとめて説明をしていただきたいと思います。お願いいたします。

【石川課長補佐】私の方から議題の本番に入る前に、作業部会の関係で少し御説明をさせていただきたいと思います。資料1-1から1-3に関してでございます。
まず資料1-1ですが、これは御報告という形になりますが、先月の7月9日に開催されました科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の下にございます原子力科学技術委員会で本作業部会を設置するということを決定いただいたものでございます。この資料の一番下で、二重で囲んでおりますが、本部会の調査・検討事項ということで核変換技術の研究開発について群分離・核変換技術の研究開発の現状等を評価するとともに、陽子ビームを用いた出力規模の高い核変換実験施設の整備の必要性や有効性、整備計画の妥当性等について調査検討を行う作業部会ということで決定されているものでございます。
資料1-2は冒頭、既に紹介させていただいておりますが、本部会の委員の構成ということで御確認いただければと思います。
続きまして資料1-3でございますが、本日がこの作業部会の第1回ということでございますので、公開の手続につきましては本作業部会で決定いただきたいと思っております。案という形で資料1-3を作らせていただいておりますので、簡単に説明させていただきます。この作業部会の公開手続について以下のように定めるということで、1、2と裏面までいきまして3、4とございます。1.の会議の日時、場所、議事につきましては、原則1週間前に報道発表等させていただきたいというふうに考えてございます。2.の傍聴につきましては、一般傍聴者は開催前日の12時までに御登録いただく。報道関係につきましては、1社につき原則1名ということで、同じく開催前日の12時までに御登録いただくという手続にさせていただきたいと思っております。裏面にまいりまして、委員関係者、各府省関係者につきましても登録は同じように開催前日の12時までということでやらせていただきたいと思っております。3番目の会議の撮影、録画、録音というところでございますが、これまで既に開催されています作業部会、委員会等と同様に、主査が禁止とすることが適当であると認める場合を除き、傍聴者は撮影、録画、録音をすることができるということ。それを希望する場合は登録時に登録を行うというもの。また、作業部会の記録自体は委員の確認を踏まえて議事録として公式の記録とするという手続を取らせていただきたいと思っております。また、その他といたしまして、傍聴者が会議の進行を妨げると主査が判断した場合には、退室を求めることができるということ、会場の都合により人数制限をする場合があるということ、その他、詳細は主査の指示に従うということで公開の手続ということで作業部会として決定いただければと思います。以上でございます。

【山口主査】どうもありがとうございました。公開の手続について今、事務局から案という形で御紹介、御説明いただきましたけどいかがでしょうか。公開の手続等、このような形で御異議ございますか。よろしいですか。では、この案を取って正式に公開の手続にのっとって進めさせていただきたいと思います。
今、中島委員いらっしゃいましたので今日御出席予定の方、皆さんおそろいになりました。

【中島委員】すみません。遅くなりまして、申し訳ございません。

【山口主査】それでは続きまして、議題の2番目に移りたいと思います。群分離・核変換技術に関するこれまでの経緯を事務局から御説明していただきます。それからあわせて、議題の3番目群分離・核変換技術に関する国内外の状況を原子力機構より説明していただきます。両方の説明を頂いた後に、まとめて質疑応答の時間を設けたいと思いますので御了解ください。それでは説明をお願いいたします。

【西田室長】それでは資料2-1群分離・核変換技術に関するこれまでの経緯に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。
まず、1枚おめくりいただければと思います。我が国におけるこれまでの分離変換技術の位置付けにつきまして整理させていただいたものが2ページ目です。古くは、1988年、群分離・消滅処理技術研究開発長期計画。いわゆるオメガ計画が開始されております。この中で消滅処理分野といたしまして原子炉による炉物理、高速増殖炉(FBR)応用、専焼高速炉といったようなもの。それから加速器によるものとして陽子加速器、電子加速器の研究開発といったものが取り上げられているところです。2000年にはオメガ計画のチェックアンドレビューが原子力委員会により行われておりまして、これらの取組につきましては今後も着実に研究開発を進めることが適当であり、又は若い技術者にとって魅力ある、十分に能力を発揮できるような環境づくりが必要といった指摘を頂いているところです。また同じく2000年には、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律案が成立しております。ここで、付帯決議として下にありますように、国及び研究機関は最終処分の負担軽減等を図るため、長寿命核種の分離変換技術の研究開発について、国際協力、国際貢献の視点等も加味するとともに定期的な評価を行いつつ、着実に推進することが必要であるといった指摘を頂いているところです。その後、2005年の原子力政策大綱ですけれども、この中でもその他の基礎的・基盤的な研究開発の主要な活動には、放射性廃棄物中の長寿命核種の短寿命化等による放射性廃棄物処理・処分の負担軽減に貢献する分離変換技術の研究開発等があるということで言及を頂いているところです。その後の2008年ですけれども、特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針、国が定める基本方針の中で、国及び研究開発機関は最終処分の負担軽減等を図るため、長寿命核種の分離変換技術の研究開発について国際協力、国際貢献の視点等も加味するとともに定期的な評価を行いつつ、着実に推進することが必要であるというように、これまではその必要性及び着実に研究開発する必要性について国の政策の中でも位置づけられてきたところです。直近では2009年に原子力委員会、分離変換技術検討会が報告書をとりまとめているところです。
具体的には続きの3ページのところに、その概要が記載されておりますけれども、この検討会の報告書では今後の研究開発につきまして、マイナーアクチノイド(MA)均質装荷発電用高速炉の研究開発として与えられた性能目標に対する貢献度を定期的に評価し、目標の達成に向けた開発計画に沿って、これら課題に関わる見通しや判断が提示できるように進めるべきであるという指摘を頂いております。またその下、加速器駆動炉(ADS)の研究開発につきましては、二つ目のポツでございますけれども、FBRサイクルを中核とする将来の原子力発電システム体系の一部として研究開発を進め、各課題に対する解、あるいは解に対する技術的・経済的見込みを得る活動を着実に推進する。FBRサイクル技術に対する評価作業と並行して、同種の評価作業を実施し、その相対的地位を評価し、取組の在り方について検討するといった指摘を頂いているところです。
続きまして、4ページ目です。これは高レベル放射性廃棄物の処分につきまして第三者の専門家の意見を頂く観点から、原子力委員会が日本学術会議に審議依頼したことに対する回答です。この中で、高レベル放射性廃棄物の最終処分の方策確定、確立までの期間に実施すべき研究として核変換技術といったものが取り上げられているところでございます。
こうした中、この群分離・核変換技術の研究開発に係る政策的論点というものを今回、事務局の方でまとめさせていただいたのが5ページ目です。御紹介させていただきますと、必要性に係る論点といたしまして、高速増殖炉サイクルの見直しが不明確な中、高レベル廃棄物の処理・処分の負担低減に向けて、技術的選択肢を持つことが必要ではないか。そして、高レベル廃棄物処分の社会的負担軽減を目指して、より安全で、社会受容性の高い新たなバックエンド概念を構築することが必要ではないか。そして、この核変換技術につきましては多様な分野の研究者・技術者の力を結集して長期間にわたり、取り組む必要がある技術であることを踏まえまして、我が国の技術レベルの向上、人材育成の観点から取り組んでいくことが有効ではないかという点。また、高レベル放射性廃棄物をガラス固化体として地層処分する既存の技術、処分方策と比較いたしまして、ラボスケール段階にある群分離・核変換技術開発の有効性を示すデータを充足することが必要ではないかといったような論点があるというふうに考えております。本日はこの後、御議論いただきます技術的な論点を踏まえまして、こうした政策的論点等も勘案しながら今後の方向性について議論、検討を進めさせていただければと考えております。以上です。

【山口主査】では続いて、原子力機構からお願いします。

【横溝理事】資料の説明に入る前に一言、原子力機構を代表して御挨拶させていただきます。資料は大井川の方から説明させていただきます。今、原子力機構では、福島第一原発事故以来、福島の環境修復の研究や開発、それからサイトの廃止措置に向けた研究開発を第一に捉えて、さらには軽水炉に関する安全性の研究の強化、それから次世代の将来炉に向けた研究開発、それから放射性廃棄物の処理・処分に関する研究などを実施しているところであります。もんじゅのトラブル、J-PARCのトラブルで国民の皆様に御迷惑、御心配かけているところでありますけども、それをきっかけに文部科学省の中で原子力機構の改革の検討会というのが進められております。それに従って、我々、原子力機構自身が変わっていく必要があると感じております。どのように組織が変わっていくことになっても、これらの研究は原子炉を使い続ける上では必要になって、しっかりやっていかなきゃいけないことだと認識しております。放射性廃棄物の処分に関する計画の中に、核変換研究が含まれております。J-PARCをスタートするときに、国で設けていただきましたJ-PARCをスタートできるかどうか検討する委員会の中でも御審議いただいております。その中で核変換研究も非常に重要だという認識は頂きましたけれども、トータルの建設コストは非常に大きいということで1期と2期に分かれて、早めにスタートしなさいということなりました。この放射性廃棄物の処理・処分に関する研究に関しては、第2期計画として位置づけられました。当時ですと、まだこういう計画は世界的にはあまりなくて、日本が先行するような状況だったのですが、最近ではヨーロッパ、それからアジアの地域でも核変換に関する研究を強化しようという動きが起こってきております。私はこれを推進する上に当たっては国際協力で連携を取りながらやっていくということと、一つの研究機関ではなくて大学とか関連する研究機関も含めて日本の国内の総力で取り組む必要があると認識しております。いろいろ技術的オプションに対するきちんとした科学的な技術、データを提供することが私どもの大きな使命であります。それらを提供することによって政策のオプションを広げて、しっかりした方向性を出していただく、そういうステップになっていくと思っております。そういうことで、この審議を通じまして、原子力機構の貢献する部分に御支持が得られる状況になりますれば、私どもとしては、全力で取り組んで国の方向性に対して貢献していきたいと考えているところであります。
説明は、大井川の方からさせていただきます。

【大井川室長】それでは資料2-2に従いまして群分離・核変換技術に関する国内外の状況について説明させていただきます。
2ページで、群分離・核変換技術とはどういうことかを説明したいと思います。高レベル放射性廃棄物に含まれる放射性核種をその半減期や利用目的に応じて分離することを分離技術と呼びます。それとともに、長寿命核種を、短寿命核種、あるいは非放射性核種に変換する技術を変換技術、あるいは核変換技術と呼びます。下に絵がありますけれども、使用済燃料を再処理しまして、通常ウラン(U)とプルトニウム(Pu)を回収します。フィッションプロダクト(FP、核分裂生成物)、それからマイナーアクチノイド(MA)、これらは高レベル放射性廃棄物、ガラス固体化として地層処分するというのが従来の技術になります。分離変換技術ではこのFPとMAの部分をさらに幾つかの群に分けます。この絵に描いてある例としては、MA、白金族、発熱性元素、そしてその他の元素という四つの群に分けることを想定しております。このように分けますとMAの部分、ネプツニウム(Np)、アメリシウム(Am)、キュリウム(Cm)等の元素が含まれますけども、これらは核変換による短寿命化が可能になります。それから白金族のルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)等は利用することも可能になります。それから発熱性元素のストロンチウム(Sr)、セシウム(Cs)は、焼成体という熱的に安定した形にしまして、冷却した後に地層処分が可能になります。その他の元素には、既に発熱性の元素や毒性の非常に高いMAが含まれていないので、高含有のガラス固化体として地層処分することができます。言わば、ゴミをそのまま捨てるのではなくて、幾つかに分別して、それぞれに適した捨て方をする。あるいは、燃えるゴミは燃やす、そういうことだと考えていただければ良いと思います。こういうことによりまして、上の目標にありますように、長期リスクの低減、すなわち廃棄物の潜在的有害度の総量を大幅に低減することができます。それから、処分場の実効処分容量の増大、これは逆にコンパクトな処分場に処分することができるということです。それから放射性廃棄物の一部資源化といったことが目標となっております。
3ページに、その導入効果について少し具体的に示した例があります。左下のグラフは、長期リスクの低減について説明した例で、横軸が処理後の経過時間で10年、100年、1,000年から1,000万年まであります。縦軸は潜在的有害度。これはシーベルト(Sv)単位になっていますが、通常、放射能というのは御存じの通り、ベクレル(Bq)単位で測るわけですけど、同じ放射能でも人体に入ったときにはそれぞれの元素、核種によって影響が違ってきます。その身体への影響というのはSvで計るわけですけども、BqあたりのSvに換算する係数がそれぞれの核種に決まっておりまして、その線量換算係数で重みづけした指標ということでBq単位ではなくてSv単位で書いております。緑の線で書いておりますのが、使用済燃料をそのまま処分した場合の潜在的な有害度になります。そして、グラフの中に紫色で、天然ウラン9トンというラインが横一線で引いてありますけれど、これは使用済燃料1トンで規格化しているのですけども、燃料1トンを作るのに濃縮の際に必要であった天然Uの量になります。すなわち原料として、地中から掘り出してきた天然ウランが元々持っていた潜在的有害度を下回るまでに、使用済燃料だと大体10万年を要するとこのグラフから分かります。これに対しまして高レベル廃棄物、すなわち、UとPuを回収した後のガラス固化体では、この天然ウラン9トンのラインを下回るまでに数千年位かかるということになります。もう一つ、分離変換技術導入ということでMAを99.5%除去することが可能であれば、元々の原料を下回るまでに要する時間を300年位にまで短縮することができるということです。これが一つの分離変換技術の目指すところ、長期リスクの低減ということを示しています。それから右の図ですけれども、地層処分の実効的な容量の増大について示しております。三つの絵があるのですけれども、一番上は従来の地層処分の概念です。この規格化は使用済燃料3万2,000トン。これは六ヶ所再処理工場を40年間動かしたときに相当するものですけども、ガラス固化体が4万本出てきます。これを50年間冷却してから1本あたり44平方メートルで処分すると、単純に4万本×44平方メートルということで1.8キロ平方メートルになります。これに対しまして分離変換技術を導入しますと、通常のガラス固化体とは違った廃棄物が出てきます。一つはSr-Csの焼成体ということでこれが5,100本出てまいります。これを130年位冷却して、よく冷えてから面積0.23キロ平方メートルに処分します。それから高含有ガラス固化体は8,300本出てきます。これは発熱性のものが入っていませんので冷却して5年で捨てることができます。面積は0.18キロ平方メートルということでトータルしますと大体面積が従来の場合に比べまして4分の1程度に小さくすることができます。それから、このSr-Csの焼成体というのは、大体半減期が30年で、発熱も半分に減っていきますので、置いておくほど処分面積を小さくすることができます。そして、一番下に書いてあるのは極端な例ですけど、Sr-Csの焼成体を320年冷却させてから廃棄し、高含有のガラス固化体は45年冷却してから廃棄する。そうしますと、大きなトンネルの中にこれらの廃棄体を配置することができるようになりまして非常に小さな面積、大体100分の1位の面積で処分することができるということを示しています。分離変換技術を適用することで長期貯蔵との組合せを上手くすると処分に必要な面積を非常に小さくすることができるということがもう一つの具体的な導入効果になると考えております。
続きまして4ページからは個別の分離技術についてですけれども、分離変換技術は最初に言いましたように分離技術と核変換技術の二つで構成されます。分離技術の方につきましては、使用済燃料から用途に応じて元素を分離・回収する技術ということになります。幾つかの国でいろんな研究が行われていますが主に日本とフランスが研究を行っているということになります。日本は、左の絵にありますように先進湿式法、NEXT法と呼ばれているもの。これは高速増殖炉サイクルに最適化された湿式によるプロセスで、U、PuそしてNpをまず抽出してから、抽出クロマト法でAm、Cmといった核変換対象のものを抽出します。その下にありますのは溶媒抽出法で、抽出クロマトの代わりに溶媒抽出を使うということで、行われている中身は同じことになります。こういうことが日本で検討されています。右にありますように一番上のポツ、先進湿式法は高速増殖炉サイクルの研究開発と一緒にやられています。二つ目のポツ、4群群分離法は群分離のために開発されてきた技術ですけども、現在は新しい溶媒TODGA等を使った方法が開発されているという状況です。フランスは幾つかの方法を検討していまして、左の絵にGrouped separationとありますのは、GANEXと呼ばれていますけれどもUを取り除いた後、GANEX-2というステップでPu、Np、Am、Cmといったアクチノイドを一括して除去しようという思想の分離工程になります。それからその下にありますEnhanced separationというのは、通常の高レベル廃液からSANEXやIAMEXといったプロセスでAm、Cmを取り除くというものです。それからSole-Am separationというのは、核変換をAmだけにしてCmは廃棄の方に回そうという考え方のものです。こういう方法がフランスでは検討されておりまして、kg規模でも使用済燃料からの実廃液によるプロセス試験等が行われています。アメリカでも行われていますが、元々アメリカは政策として再処理はしないということですので、いろんな要素技術の研究はされておりますけど今のところはそれほど大規模にはなっていないということです。
続いて、5ページの核変換についてです。核変換では、使用済燃料中のMAを回収して主に核変換、核分裂反応により短寿命核種に変換するということで二つの方法が主にあるというふうに考えられております。一つが発電用高速炉利用型というもので、発電用高速炉における均質又は非均質燃料によるリサイクルです。下の左側の絵がそれを示していまして、幾つかありますFBRから使用済燃料が出てきまして、そこから使用済燃料を再処理しまして、PuとMAをまた燃料製造プロセスの方に回しまして高速炉に装荷するということで一つのサイクルで発電と核変換を同時にやってしまうという考え方です。この場合、燃料に含めることのできるMAというのは大体5%が最大限だというふうに考えられていまして、薄くMAを回すということになります。それから右側にありますのが階層型と呼ばれているものです。階層型では、発電用サイクルから独立した加速器駆動システムを中心とした核変換専用サイクルというのを設けます。絵にありますように上の四角の方は右側に発電炉が並んでいますが、これは軽水炉でも高速増殖炉でも構いません。そこから出てくる使用済燃料を再処理しまして、Puは発電用のサイクルの方に戻していきます。MAはそこから分離しまして核変換専用のサイクルで回すということになります。必然的にこの核変換専用サイクルでは、非常にMAの濃度が濃くなる燃料になり通常の高速炉では核変換できませんので、加速器とつないで未臨界状態で核変換するということが必要になってきます。加速器駆動システム(ADS)がここで使われることになります。非常にMAの量をコンパクトにできますが濃度が濃いということになります。具体的に言いますと、六ヶ所再処理工場が、年間800トン/年という処理能力がありますけども、そこから年間1トンぐらいのMAが出てきます。その1トンのMAを毎年核変換しようとしますと、核変換サイクルでの燃料処理プロセスというのは10トン/年位の処理が必要になってくるということで、いずれの800トンに対しまして大体100分の1の規模のサイクルで核変換ができるということになります。従いまして、MAを核変換サイクルに閉じ込めるという意味では階層型は優位ですけれどもMAは非常に濃いということでまだまだ開発しなければいけない課題が多いということになります。
6ページは高速炉。ここではFRと書きましたが、ADSの開発状況について各国を比べたものです。詳細につきましては割愛したいと思いますけれども日本、欧州、アメリカ、中国等でADSやFRの研究がされてきました。アメリカについてはこの左の絵には出てきてないですが、1990年代、ここではAFCI計画とありますが、その前にATWというADSの大規模なプロジェクトがありまして、そこからAAAというような名前に変わって、そこからAFCIとなっています。2年か3年ごとにプロジェクトが変遷していったという経緯があります。アメリカでは今のところはADSの研究は、あまりやられていないという状況になっています。皆さん、FRのところはよく御存じだと思いますのでADSのところを少し紹介しておきますと、ベルギーで、この後説明しますがMYRRHAというのが検討されている状況です。中国でも実験炉級、原型炉級のものが検討されているという状況です。ここで少し解説しておきたいのは、中国のところで一番右下のところに80万kWthと書いてある、このthというのはThermalの意味で、熱出力が80万kWということです。ここに原型炉と書いてありますが、実はこれは我々が検討している最終的な商用のADSプラントであり、80万kW熱出力というものなります。これは、電気出力にしますと大体27万kW、270MWです。高速炉側で見ていただきますと、もんじゅに相当するような出力規模になります。ですから、ADSというのは最終的な目標出力が低めになっているということで、開発のステップとしては遅れてはいますけれどもこれから達成しなければいけないステップの数として今の高速炉とそんなに変わらないということを御理解いただければと思っております。
それから7ページからは外国における状況です。アメリカでは御存じの通り、オバマ政権がBlue Ribbon Commission(BRC)というのを作りまして、その最終報告が2012年の1月に出ております。先進炉だとかサイクルだとかいろいろなことが書かれているのですけども、分離変換技術に関連するところでは、先進的な原子炉及び燃料サイクル技術に関する研究開発・実証のための人材育成を含む、安定的かつ長期的な支援というのが必要だと書かれています。その下に小さい字で書いてありますけれども、現状では燃料サイクル技術を絞り込むことは時期尚早であろうというようなことが書いてありますが、この技術というのは持続的な安全性、経済性、環境性及びエネルギー確保の目的から極めて有望であるということで研究開発を継続するべきだというふうに言われております。それからBRCの下に小委員会というのが設置されていますがそこでも同じようなことが言われています。詳細は割愛したいと思います。
8ページは、ヨーロッパにおける状況です。ヨーロッパでは各国が集まりまして、EURATOMで持続可能な原子力エネルギー技術開発プラットホーム構想SNE-TPというのが2007年に発表されています。そういうのに従いまして、2010年からは欧州持続的原子力産業戦略ESNIIというものも提案されて、その中で研究を推進しているということで第4世代炉のロードマップだとかMA核変換等についてこういうプログラムに沿って資源配分がされています。今は、資源配分の仕組みとしましてフレームワークプログラム(FP)とありますが、今、第7次に入っております。その中で、右下にありますような幾つかの分離変換に関するプラグラムが走っているということです。左の絵はですね、その中で今後開発していくべき炉ということでSFRナトリウム冷却高速炉、LFR鉛冷却高速炉、GFRガス冷却高速炉、こういうものが挙げられております。それぞれプロトタイプの炉がありまして、ASTRID、MYRRHA、ALLEGROという三つが挙げられていまして、このうちのMYRRHAというのがPb-Bi冷却のADSとしてベルギーで検討されています。それはまた後で述べたいと思います。
9ページにフランスの状況があります。フランスは、原子力・代替エネルギー庁(CEA)がメインになって、こういう研究を行っております。フランスでは、ここに書いてないですけど1991年に放射性廃棄物管理研究法というのができまして。そこでは15年かけて高レベル廃棄物の処理・処分についての研究をやりましょうというプログラムが走っていました。その結果を受けて2006年に放射性廃棄物等管理計画法というのが作られました。また、この法律に基づきまして2012年12月にCEAが長寿命放射性元素の分離・核変換について報告書をとりまとめております。その中に書かれていますのは、MA核変換は深地層処分の必要性を排除するものではないが、より長期にわたる発展への道を開く可能性があるということが書かれております。各技術について例えば、分離技術に関しましてはMAの分離技術について今日検討されている全てのプロセスについて実験室レベルで実証済みであり、それらのプロセスを産業規模までに外挿することに対して理論的な障害はないというようなことが書かれております。高速炉に関しましてはフランスでは電気出力60万kWのASTRIDというのを作っていくということがこの中で書かれております。それからAmの核変換について、均質で炉心の中へ入れる場合と非均質で炉心の周りに置くような場合について研究がされております。それから高速炉の発電コストに対する核変換の影響というのは5~10%程度というふうに言及されています。ADSに関しても、CEAでは評価をしておりまして、加速器駆動システムADSを含む、専用の独立した階層においても可能である。ただし、産業用に成熟させるために必要な努力は臨界炉を用いる場合と比べて遥かに大きなものになるということで技術的な課題はまだまだ大きいということがここには書かれております。コストについてもkWhあたり20%増加とされております。ここについて、我々は20%という数字をフォローしきれてなく、かなり大きめのコスト増加に評価されているなという印象があります。
そして、10ページがベルギーの状況になりますが、ベルギーのMYRRHA計画というものの概要があります。目的は核変換そのものをここでするのではなくて、核変換のための技術開発を行うということ。それからPb-Bi冷却で行いますので先進的な原子炉の開発を行うこと。それから核分裂炉、核融合炉等の材料の照射、加速器に基づく科学コミュニティーへの貢献。それからSi照射、RI製造等の中性子照射、こういういわゆる、研究炉の提案です。今ベルギーでは、照射炉BR2が動いているのですが、それの後継炉としてADSを提案しております。仕様のところにありますが、加速器と結合しまして大体熱出力で50~100MW。臨界での運転も可能でその場合は、100MWということになります。燃料は、核変換そのものをするわけではないのでMOX燃料で考えているということです。我々、原子力機構はこのプロジェクトの設計チームCDTに2010年から参加して連携を深めているところであります。2010年3月にベルギー政府がこのサポートを表明しまして、建設費も960Mユーロ。大体1,000億円強になると思いますが、そのうちの40%を負担するということを表明しております。
11ページに、その資金に関してより詳しく載っておりますが、960Mユーロの内訳がありまして、ベルギーが40%、EU諸国が30%以下、アジア諸国で20%、その他10%ということで資金調達をしたいというのがベルギーの考え方です。我々もこれに可能であれば、貢献することができるかということを検討していきたいと思っているところでございます。
12ページは、中国の状況ということで、中国はFBR、それからADS両方とも盛んに研究開発が行われております。FBRの方は、下の図の右側にありますように実験炉ができまして、そのあと600MW級のデモンストレーションを狙っているという状況です。それからADSの方は左側の図ですけれど、加速器を順次伸ばしていきながら出力を上げていくということを考えていまして、2015年に25MeVぐらいの加速を行って、2020年代にはADSと結合しまして10MWの出力を出す。最終的には2032年に先ほどありました800MW、1.5GeVのADSを作りたいというふうに考えているということです。
13ページは、我が国での研究開発についてですけれども、核変換に関しまして幾つかの型があるということで、発電用高速炉利用型にも、均質型と非均質型があるということを御理解いただきたいと思っております。ここにありますように燃料の形態で、均質型というのは5%以下の低濃度のMAを入れて、発電用の燃料を兼用して炉心全体に装荷したもので、非均質型は、やや高濃度になり、20~30%のMA等を含んでいる燃料を炉心又はブランケットに一部入れて、核変換するということになります。これに対してADS階層型というのは、燃料に50~80%の高濃度MAを含んでいまして、Uを含まないUフリー燃料を炉心全体に装荷するということになります。燃料の形態としましては、高速炉は基本的に、酸化物か金属燃料です。今、原子力機構で行っておりますFaCT計画では、酸化物が第1候補ということになっております。ADSに関しましてはMAが非常に濃いので、MA相互の共存性が良い窒化物燃料を使おうと考えております。それからMA燃料の再処理に関しましては、均質型は発電サイクルの設備で一括して処理します。非均質型は一部を発電サイクルと共用して行うということになると思います。ADSに関しましては、発電サイクルと独立のMA専用のサイクルを作ることになります。再処理プロセスは、高速炉の方は酸化物の場合は湿式法、金属の場合は乾式法ということになります。ADSの場合は、発電サイクルの方は湿式分離法を行って、専用サイクルの方は乾式法を行うということになります。幾つかの技術について共通する部分がありますので、基礎的なところでは一緒になってやることができるということになります。備考のところですが、FaCTの主概念としては酸化物が用いられています。高速炉の方ですけども金属燃料の方は副概念になっています。Amの高含有燃料製造に関する技術開発等が非均質型で行われております。ADSでは要素技術開発ということになっています。
14ページが最後の資料になりますけども、原子力機構における分離変換技術概念の研究開発実施範囲ということでこの資料自体をもんじゅの研究計画作業部会(第10回)、7月に行われたときの資料をそのまま持ってきております。もんじゅの方ではNa冷却、MOX燃料高速炉に関しまして、Amの均質サイクルのところまで研究範囲として考えているということがこの図では示されております。一方、ADSに関しましては、下の方に書いてありまして加速器駆動Pb-Bi冷却窒化物燃料未臨界炉プラント概念ということで、特に点線等書いておりませんけれども、最終的にはAmだけではなくて他のMAを含んだADSの核変換サイクルというのを実現したいと思っております。左側にありますように今は基礎研究段階とありますが、2008年から2009年にかけて原子力委員会で行われましたチェックアンドレビューで、まだこういう段階であろうと言われているため、こういう書き方になっております。今の研究開発の段階がどこにあるかということについては今後この部会の中で御議論いただければと思っております。以上です。

【山口主査】はい、どうもありがとうございました。それでは委員の皆様方から今、事務局、それから原子力機構の方からの説明につきまして、御質問をお受けしたいと思います。何かありましたらどうぞ。御発言ください。中島委員どうぞ。

【中島委員】大井川さんからの説明の基本的なところで確認させていただきたいのですが、3ページ目の導入効果のところです。分離と変換の導入ということですけども、先ほど説明が発熱の部分のところを分けるとかなり楽になるよというお話しでした。これは変換をやらないで分離だけの効果というのは評価できるのですか。両方やる場合4分の1とか100分1とか書いてありますけども。

【大井川室長】はい。核変換によってAmが核変換の方に回っていますので、この廃棄物の中で取り除かれています。Amが、ガラス固化体等の方に入っていますと長期にわたって発熱しますので、これほどまでに処分場の面積を小さくすることはできなくなります。原子力委員会での2008年~2009年のチェックアンドレビューのときにはそういうオプションについても比較しまして、あまり効果がないということになっているかと思います。

【中島委員】やはり分離と核変換と併せて十分な効果が出るということでしょうか。

【大井川室長】はい。

【山口主査】定量的な数字とか出せるのですか。

【大井川室長】はい。今日は資料をそこまで持ってきてはいませんが。

【山口主査】あまり効かないということでしょうか。

【大井川委員】そうですね。

【山口主査】他にはいかがでしょうか。どうぞ、澤田委員。

【澤田委員】やはり資料2-2で、5ページ左下の絵の発電用高速炉利用型について。これは右の方の階層型には軽水炉が入っているのですが、左の方は軽水炉が入っていない。これはいわゆる平衡期を想定した絵をここに表しただけであって、軽水炉のMA等を対象としないとかそういう話ではないのですよね。

【大井川室長】はい、この絵自体は平衡期の話で、軽水炉からのMAが出てきて、高速炉で核変換を行いながらというのは、疑似的にはこの右側の階層型のような形になってFBRに移行していくというのがあると思います。移行期の検討についてはFaCT計画の中でしっかりされているというふうに認識しております。

【澤田委員】分かりました。

【山口主査】他にはどうでしょうか。藤田委員どうぞ。

【藤田委員】同じように資料2-2の2ページ目ですけれども、基本的には核変換するのはMAだけで、FPはここに入れないという理解でよろしいのでしょうか。

【大井川室長】これは一つの例として出していまして、我々は技術的に資源投入していくのはこの部分ですけれども、FPに関しましてもヨウ素(129I)だとかテクネチウム(99Tc)だとかその辺は何とか核変換できるかなというふうに思っているところもあります。幅広く、取り組んでいくことは必要だと思っております。

【藤田委員】はい、ありがとうございます。

【山口主査】長谷川委員どうぞ。

【長谷川委員】最初、J-PARCの方で1期、2期というお話しがあったのですけれど、現実的にいうと、J-PARCの中の加速器は変わらないわけですよね。ターゲット部分を新たに作っていくというそういう理解でよろしいか。

【横溝理事】はい、そうです。一番上流にリニアックがありまして、その途中に引き出すためのトンネルだけが用意できています。そこに加速器を置いて、その建物がありません。空きスペースだけ用意しますので、こういう研究施設をその先に建設してビームを引っ張ってくるようにそこまでは準備できています。

【長谷川委員】研究施設というのは、核変換をすべてそこでやるということになるのでしょうか。それとも新たにADS専用の加速器を作るという部分が入ってくるのでしょうか。

【横溝理事】今の範囲は、非常にゼロ出力に近い、核変換のデモとしては物理実証をする程度の低いパワーを考えています。次に大きな施設を作る設計に必要なデータを取るための工学的な研究施設。特に材料の研究開発の研究施設も同じように付けようとしていまして、二つの研究施設を建設するという計画になっております。

【長谷川委員】そこでは新たな大きな加速器を作るという話は入らないということでしょうか。

【横溝理事】ええ。加速器に関しては今の研究段階では東海村にある加速器を使うことでと考えています。

【長谷川委員】その後、実用化するときに、さらにまた専用のものを作るということですか。

【横溝理事】ええ。より大きなパワーのものです。先ほど中国などで考えている規模の施設をやるときには、専用の加速器を作ると同時にシステムをどういうふうに組み上げるのが良いのかなどを考えているところです。

【長谷川委員】もう一つ質問させてください。資料2-2、3ページのところに地層処分の負担軽減になるとありますが、これから何万年にもわたる保管が必要な地層処分のための面積になっていますが、いろいろ処理を進めるといろいろなレベルの放射性廃棄物がたまるのだという考えもあります。要するに地層処分だけではなくて、その途中で排出されるものなどを含む廃棄物の処分に必要な面積とか、そういうのをトータルで評価するということをやっておられるのですか。

【大井川室長】まだ、分離変換技術自体のプロセスが固まっているわけではないので、精度よく見積もるところができていないのが実状です。ただ、再処理が800トン/年の規模に対して、MAの核変換が先ほど言いました10トン/年の規模なので、そこから出てくる廃棄物自身は上の階層での規模に比べると大きくないと思っています。その上の階層の廃棄物をどう捨てるのかというのにMAの核変換がどう寄与するのか考えると、今あるこの絵のような形になっていきます。そこに、もう少しいろいろな廃棄物が加わりますが、それは今の段階では二次的な効果かなと思っております。

【山口主査】他に影響はないということですよね、二次的なもので。よろしいでしょうか。では、他にはいかがでしょうか。和気委員どうぞ。

【和気委員】この導入効果に関して、特にアメリカのスタンスは何ページでしたでしょうか。アメリカは直接処分場を基本路線とする国ではありますが、7ページの最後のところに、核変換の技術が唯一、実用的な技術というように、相当断定的な表現がなされています。個人的には、処分における発熱性のコントロール問題に関心があるものですから、このような評価は国際標準的なものなのかどうか、基本的には日本もそのような考え方できたのかどうかなど、どのようにみたらよいのでしょうか。

【大井川室長】私もこの辺は専門ではないのですけれども、一つ気をつけなくてはいけないのは、アメリカはPuが廃棄物に入るのです。日本は、Puが廃棄物には入っていないので、発熱については少し違いが出てくる部分があります。それから、処分をするときに発熱を支配しているのは実は、核変換の対象になっているTRU核種ではなくて、SrやCsです。ところがこれを捨てたあと、超長期にわたって発熱し続けるのはTRU核種、AmだとかPuになります。それらが核変換するということで消えますので、そうするとSrやCsは、30年の半減期でどんどん冷えていってくれるのでマネージがしやすくなるということになってくると思います。その辺の議論は、基本的には日本はPuを除いた高レベル廃棄物としてどういうふうに捨てればいいのかというのは、検討された上で今の処分が最適化されていることになっております。

【山口主査】よろしいでしょうか。事務局の方から説明していただいた資料2-1の最後に定義、論点が四つ示されていています。今の和気委員の御指摘等はこの中で、社会受容性の高い新たなバックエンド概念を構築することが必要ではないかと、こういうものに今、群分離・核変換技術というのはちゃんと応えられるのかというあたりで、もう少ししっかりした議論が必要なポイントなのだろうと思います。恐らく国によっても今、御説明あったように持論が違うと思いますし、少しこういうテーマで国際的な関係っていうのも気になるのですけど、いろいろテクニカルな話も含めて、それからこの部会で議論するのは多分2-1の資料の論点というそのあたりも重要な視点だと思います。それも含めて、いろいろ御意見や御質問等ありましたら続けて御審議いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。はい、中島委員どうぞ。

【中島委員】確認というかですね。いろいろ当然、政策的な話が絡んではくるのですけども、まず、技術的に見たときに、資料2-2の中で二つのサイクルを回す高速炉型と階層型というのが純粋に技術的に見たときにどちらが優れているかとかですね。なかなか難しいとは思いますが、これだけ見ているとやっぱり高速炉型の方がある程度、技術的には成熟というか、ADSに比べれば進んでいる。形もシンプルでぐるりと一回りすればいいという。これが可能であれば、こちらで全部やればいいのかなというのが、ぱっと見の印象になります。それに対して階層型は、高速炉型でのループができない場合のオプションとしてやる。ただ今の段階では、どちらも決められないので両方の基礎的な研究は必要であると、そんな印象を受けました。ここで議論する話かもしれませんが、とりあえず実際にやられている研究者の立場としての、技術的な立場としてどういうふうに考えているか何かあればお聞かせください。

【山口主査】今の資料2-2の5ページです。これについては、少しいろいろな方からも御意見を頂きたいと。

【西田室長】はい。それでは事務局の方から。問題意識として今、御指摘あった点についてです。御指摘のとおりですね、技術的な成熟性という意味では、高速増殖炉サイクルによるものというのがかなり前に進んでいると認識しております。従いまして、我々としましてもどちらが優れているか、どちらに切り替えていくかということではなく、やはり技術的な選択肢としてこうした加速器による群分離・核変換技術の研究開発というものを並行して進めていく必要があるのではないかと考えているところです。資料2-2の中で、13ページですけれども、ここでそれぞれの研究開発の状況などを見させていただきますと、やはり現時点では高速炉サイクルの研究開発が進んでいる中でADS階層型につきましてはまだまだ要素技術開発を進めている段階ですので、こうした部分も少し前に進めることができないかというのが我々の問題意識です。

【山口主査】原子力機構の方からも、大井川さんの方からも、少しテクニカルな面での観点として何かございましたら御発言ください。

【大井川室長】技術的な段階としては、明らかにFBRの方が先行しています。それはこれまでの投資を比べれば、何桁違うかというところです。それはもうしょうがないところだと思っています。ただ、先ほど出てきましたようにベルギーで大規模なものを作ることを真剣に考え始めているという状況になってきています。これが上手くいけば相当なレベルにまで達することができるだろうと思っております。ただ、その中で我々が果たさなければいけない、ベルギーにはできないことは、J-PARCを持っている強みだとかいろんなところがあります。今まさに、今までずっと基礎・基盤段階と言われていたけれどもそこを一つ、一歩踏み出す機会ではあると思っておりますので、当然、FBRとADSの比較という意味ではなくて、我々の持っているオプションをより確かなものにしていくという視点で、研究開発が進められたらなと思っているところです。

【山口主査】矢野委員、どうぞ。

【矢野委員】長谷川委員のときにも聞こうかと思ったのですけど、先ほどのJ-PARCの強みとおっしゃったけど、もう少し具体的にベルギーに対してどう強みがあるのか言えますか。それと今後のスケジュールで、多分もっと具体的にJ-PARCのデータが出てくるのではないかと思うのですがどうですか。

【西田室長】今回、まずは状況の御紹介をしましたが、次回以降、現時点での具体的な取組等につきましてより詳細に御紹介させていただき、御意見等を頂いていきたいと思っております。

【横溝理事】概要だけでも簡単に。

【大井川室長】J-PARCの一番の強みは、横溝から最初ありましたように既にLINACがあるということです。陽子ビームが通っているわけですから、持ってくればできますというのが一つですね。それから原子力機構は、加速器だけではなくて核燃料サイクルに関する技術を持っています。MAを使った実験だとかあるいは、照射したあとの燃料を再処理試験したり、あるいは照射後試験したりだとかそういう総合的な分離変換技術を進めていくという意味ではJ-PARCの横にNUCEFという実験施設がありますけれども、そこでケミカルな実験をやろうと思っております。そういうことをインテグレートした形での実験をできるというのが原子力機構の強みだというふうに思っています。

【山口主査】よろしいですか。今の点では欧州、例えばMYRRHAはFBRの会議なんかで一緒に議論されているようなところがあり、サイクルをやっている強みという意味では、欧州の一つの集まり、まとまりとしてアプローチしているわけですよね。そういう意味ではそこにまた原子力機構もCDTに参加されるというお話しもさっきあったのですが、少しその辺の関係とかあるいは、そのサイクルを持っているから強みであるとすればやっぱり国際協力をどういうふうな形で組み込んでいくとかそういうことは重要な視点だと思います。J-PARCの強みがLINACにあるという話と、サイクル技術があるという話が、その一つはその通りだと思うのですが、そのサイクル技術があるという話はどういう国際的な枠組みでやるかというのが非常に依存してきて、その周辺のサポートするテクノロジーがどれくらいしっかりしているかと、その辺の観点で例えば、欧州とかアメリカとの協力なりをどのような形で取り組むかという関連でJ-PARCの強みを言えますか。その辺を少し解説していただくわけにはいかないですか。

【大井川室長】ちょっと難しいお題ですけども、我々は、今、J-PARCで行う実験で使うMAについて、国際的なところから調達してくるようなことは今のところ考えていないです。もんじゅで考えられているGACID計画というのがありますが、あれはアメリカで抽出したMAをフランスで加工して日本に持ってくるという枠組みで考えています。我々はできれば原子力機構の東海核サ研、原科研、それから大洗の方にも幾つかホットラボ等がありますので、そういうところを駆使することでMAの燃料が調達できる体制を何とか作っていきたいというふうに思っております。今、現状では、限られた使用量しか許可されていないというわけですけれども、そこは打破していかないといつまでたってもMAの調達のところで基礎・基盤段階から出られない。これはADSだけに限らず、FBRに関しても同じことが言えるのかなと思っています。廃棄物の低減化のための研究開発をするという限りは、やはりそこのFBRだとかADSだとかいう核変換システムだけじゃなく、その下を支えるサイクルまで含めてポテンシャルを上げていくというのが、まずは、我が国としては必要となる。その上で、外国の人たちにも参加してもらい、あるいは外国の人たちに何かものを頼むっていうのはあってもいいと思っていますが、まずは、自分たちのポテンシャルを上げていくということを考えていきたいと思っています。

【山口主査】まずは、一つは技術的な選択肢をしっかり持つということなので、これを軸に相乗効果と言いますか、それで国全体としてのサイクル技術、底上げもできるというそういうお考えということですね。あと他にはいかがでしょう。どうぞ、藤田委員。

【藤田委員】今の大井川さんの話で補足ではないのですが、私個人的には、日本の群分離プロセス技術のポテンシャルは欧米に比べて高く、まだ、これと決定はできないのですけれど、幾つかの研究開発はオメガ計画の中で実施しているという強みがあると考えています。先ほどの話のように、燃料形態が酸化物、金属、窒化物と、いずれについても基礎研究しており、いろいろな候補プロセスを持っているというところも強いと考えています。ですから、MYRRHAに参加される際には今の使用済燃料からどのようなプロセスでFPやMAを回収し燃料にするという技術的なベースを日本が一番持っているのではないかと考えております。個人的に別の観点で、先ほど新たなバックエンド概念を構築できないかという話の中で今回はMAを最初のターゲットとしてよろしいのですけども、高レベル廃棄物を低減するという観点で、やはりFPも含めて新しい処分概念で、回収して、核変換できるものはしていくということによって日本独自の高レベル廃棄物の量を減らせる概念を今後、提言できたら非常に良いと、そういう研究開発の方向性を持っていかれるということが重要だというふうに考えています。

【山口主査】はい、ありがとうございました。

【矢野委員】あの、ちょっといいですか。

【山口主査】どうぞ、矢野委員。

【矢野委員】今のお話しの続きですけど、夢の消滅処理技術ということを考えると今、ここで語られているのはMAをFPにします。ほんとはFPを安定核に持っていくということができればこれぞまさに夢の消滅処理技術です。これは原子炉工学者と核物理学者がお互い、あるところは、これは原子炉屋さん、これは核物理屋さんだなということをそろそろ意識し始めているので、その次の夢のところまで視野に入れたものを考える。ロードマップなんてとても無理ですけども、とりあえずここからやるにしても最終形の、恐らく30年か40年、我々時間があるのだと思います。それくらいあれば全てを安定核に持っていくというようなことも天才が現れればできるかもしれないので。人のそういう高まいな夢を我々が描くべきじゃないかと思います。

【山口主査】はい、ありがとうございます。オメガ計画の頃は、やはりそういう消滅処理という言葉で非常に魅力的な研究として、随分やられたのをよく覚えているのですが、一方で、技術的に難しい面もあるというのも確かです。それから今まで少し議論に出ている高レベル廃棄物の減容とかそういう意味でニーズとしても非常に魅力がある。だから、いろんな観点でやっぱり同時に見ていって御審議いただかないといけないと思います。今、矢野委員と藤田委員から御指摘いただいたように、一つのブレイクスルーをもたらすようなポテンシャルを持った技術であるというのは確かだなと思います。その上で、地に足つけてどうやって、やっていくか。あるいは、中島委員からありましたように高速炉の方によるサイクル等の比較ですとか。ちょっといろいろな論点、これから何回か御審議いただくことになろうかなと思います。あと、いかがでしょう。他に今日、御質問なり、確認事項なり、あるいはこういう観点でやるべきではないかという御意見なり、是非頂きたいと思いますけれども。はい、長谷川委員。

【長谷川委員】核燃料サイクルでは将来的にどういう工場、転換工程等が必要になるのか、図や絵で描かれたのがありました。この高速炉利用型や階層型の核変換処理でも、最終的にどういう施設、工場、設備が必要になるだとか、新たに加速器1本作るとか、全体的な話が分かると良いと思います。この両方の核変換処理をやろうとすると、ものすごく大きな施設が二つ動くということになりますよね。そうなると、お互い共用できるものがあるかとか、今現在あるものはこういうところで使えるとか、階層型の場合どういうものが必要になるのかもう少し具体的に書かれた資料があってもいいのではないかと思います。この階層型をやるときにMAの燃料工場をまた新たに作る必要があるかとか。あるいは、六ヶ所村に作る予定のMOXの燃料工場と同じレベルのものを階層型でも作るのかなどがもっとわかりやすくなれば経済的にも技術的にも議論が整理できると思うのです。今見ているものは簡単な絵なので、それぞれ将来的にはどういうものが具体的にプロセスの中で施設として必要なのかというのを今分かる範囲で明示しておくことが必要ではないかということがあります。それから、高速炉利用型と階層型で、最終的に必要になる技術に対して現在どこまで達しているのかというような資料が欲しいと思います。高速炉利用型だと、いろんな分野に対してある程度は技術開発が達していると思いますが、階層型はそれに対してどのくらい必要とされる技術水準に達しているのでしょうか。私どもが知っているところでは、ある部分は非常に進んでいるのだけれど、あるものは全然進んでいないものがあると思うのです。何かそういうものをはっきり明示するようなものがあれば、どこに集中投資しなければならなくて、あと何を研究しなければいけないかということが分かると思います。全体を見た上で、我々が判断できるような資料があったらいいかなと思います。

【山口主査】それはやはり是非いずれかの機会でお出しいただきたいなと思います。今、長谷川委員から御指摘いただいたのは、一つは施設としての充足性ですよね。今ある施設と、これからどういうものが必要となるか。それからもう一つは技術。これはギャップ分析みたいなもので、今ある技術に対してどこが不足しているのか。それから三つ目は、関連してコストの話を先生はおっしゃっているのだと思います。こういう技術開発をやる上で、いかに効率的にやっていくかと。先ほどMYRRHAの方にもアジアから20%ぐらい拠出するというお話しもされて、J-PARCでもやっていくと。そうすると果たして、どのくらいの研究開発投資が受け入れられていただけるのかという意味と、また施設とかコストとかテクノロジーとかそういう面で現状の立ち位置の確認と将来的見通しのようなものはやはり明示していただくのが必要かなと思います。その辺は1回議論の議題に挙げていただけたらなと思いますのでよろしくお願いいたします。いかがでしょう。他にございますか。

【大井川室長】1点だけ今の。

【山口主査】はい、どうぞ。

【大井川室長】施設に関しては、この5ページの説明のときに口頭で申し上げたのですけれども、上の階層と下の階層とで規模が、大体100倍、100分の1になりますので、同じように燃料製造工程だとか燃料製造処理プロセスというのは必要になるのですけれども、物流量としては非常に小さなもので再処理工場の横にくっ付いているようなそんなイメージになります。ADSが、800MW熱出力のものが四つ並べば、大体六ヶ所再処理工場から出てくるMAの核変換ができるとそんなイメージを持っています。それについては別途、次回以降説明させていただきたいと思います。それから技術レベルに関して、我々、原子力機構だけではなく、原子力学会には分離変換技術に関する専門委員会がありまして、そこで技術レベルを評価したことがあります。実は、その評価に基づいて見てみると、やはりまだまだ基礎・基盤的な段階を抜けられていなくて、そこを突破するために必要なのがMAを使ったいろいろな実験だというふうに考えています。そこで、我々はこのJ-PARCの実験施設を提案したり、その他に分離変換サイクルの実験施設を提案したりということを今回やっていきたいと思っているところです。

【山口主査】はい、ありがとうございます。今のポイントは、最初の必要性に係る論点という中で、三つ目の技術レベルの向上とか、それから群分離・核変換技術開発の有効性を示すデータ充足というあたりを御説明いただいたと思いますので、そこも重要な話でまた御意見を是非伺いたいと思います。あと他にはもう一つですね、人材育成の観点というのがここに入っていて、あまりまだそういう意見はなかったですが、少しそういうポイントで御意見ある先生方とかあるいは、大井川さんの方で何か一言ございますか。どうぞ、長谷川先生。

【長谷川委員】人材育成ということでは、やはり再処理そのものが現実的には日本原燃が産業規模でかなり進んでいるわけです。今、大学で、再処理だとか核燃料などに関わる化学とかはどのくらい盛んに今やっておられるかという点があります。私どものところで申し上げますと、核燃料やそれに関係する化学系の研究室は、昔は幾つもありました。今は、先生方がどんどん変わってしまい、他の分野になってしまったものもあります。群分離や核変換となると、化学もさることながら、核燃料や再処理も含めて、燃料を作るところからやらなきゃいけないわけですね。しかし現在は産業規模で、あるレベルになった燃料製造のところには、新しい研究開発が当分要らないという、要らないという言い方は非常に申し訳ないですが、技術開発にあまり切迫度がないために、大学の中でも研究が廃棄物に関わるバックエンドの方にどんどんいってしまっていると思います。一方で、核変換のために新たな燃料を作るということになると、新たにそういう人材を育てなければいけないということになるわけですが、それはかなり長期的な視点で見ないといけないと思うのです。そんな簡単に大学で講座をポンと作って、そこで明日から技術者というか人材がどんどん出てくるという状況ではありません。やはりこういうものではっきり将来計画が見えたところで、それは国としてやると判断して、大学でそういうのをミッションとしてやらなければいけないと決定して、多分どんどんやっていくのだろうと思うのです。ただ、一方でそれらの分野を盛んに研究されていた世代の先生方がどんどんリタイアされている状況があります。核燃料を作る、それから再処理についても、いろんなところを実際やられてきた先生方が、リタイアされて世代が変わってきている状況だと思うのですね。その中で、やはり新たに育てようということになると、早めにそういう方向に全体の指針を作らないと大学としてもなかなか踏み込めないところがあると考えております。そういう意味では、先ほど全体像を出していただきたいとお願いしましたが、そこに自分たちが育てた学生を行かせるにも、学生がそういう大きな流れに希望を持ってですね、それを勉強しようとか、そこに就職するという気持ちになってくれるような、グランドデザインみたいなものが早く欲しいと思っております。

【山口主査】大学では、私もやはり核燃料とかを扱うことの困難さというところから実際、核燃料とか処理とか非常に重要な枢要技術ではあるのですが、大学はやっぱり細ってきている。多分、中島先生とかも実感してもらえると思います。そういう意味では、原子力機構に、やはりこういう技術について人材育成も含めて引っ張っていっていただくようなことを考えていただきたい。やはり大学ではなかなか限界もありますので。是非そういう視点も今、長谷川先生いろいろ御指摘いただいたのはもっともな話です。そういう視点も是非、今日の資料はそういう話はあまりなかったですけど、盛っておいていただけたら非常に良いと思います。あと将来、継続的にそういう人材が必要になってくるわけですので、是非その点お願いしたいと思いますし、また人材育成も、どこかで議題に挙がるのですかね。

【西田室長】はい、検討します。

【山口主査】分かりました。いかがでしょうか、他に。どうぞ。

【和気委員】よろしいですか、すみません。1点確認させていただきたいのが、9ページの資料2-2、フランスの状況の中で、分離技術という項目のところで、産業規模までに外挿するには理論的障害はないという表現がありますけども、技術評価をする場合の専門家の用語なのかもしれませんけども、この産業実用化に向けての理論的障害がないという、こういう表現はどういうふうに素人的に理解したらいいのかをどなたか教えていただきたいと思います。

【山口主査】それは大井川さんで。どうぞ。

【大井川室長】はい。ちょっと難しい表現になっているかと思うのですけども、要は、実験室規模、それもかなり大きめな実験室規模で彼らは成功しました。次のレベルとしては、実際の再処理工場から出てくる廃液に適用することになりますが、このプロセスまでできますよという自信を持ちました。ただ、本当にやろうと思ったらその処理量は恐らく100倍とか1,000倍ぐらいの世界になりますので、その機器の開発だとかはまだまだ必要ですよとそういうことを言っているのだと思います。藤田さんあたりが良いかもしれません。

【藤田委員】研究開発には、基礎から応用、そして実用化とあるのですが、基礎から応用の間で、よく言われるのはDeath Valleyと言われる基礎研究をやっても次の応用研究の間に死の谷があって、そこを越えられないとまず技術として成立しない。次に技術として成立しても、実用化するまでの間にダーウィンの海という死の海がある。技術的には良いのだが、それを装置にするときにはまた一つ、死の海が深くあると言われている。今の話は少なくとも技術としては確実にできるということが分かった。それを装置化するときに幾つかの谷があるのだけど、ある程度の大きさ(工学規模)の装置でやっておけば、実用化にするときにはスケールアップと言って、どれだけの倍数で大きくするかを検討すれば良くなるので、工学規模の装置でやっておけば実用化の見通しも立つ。現在、そこまで一応できているということをこの資料では言っているのだと思います。ただ、実際にプラントを作ってみると、例えば六ヶ所(再処理工場)を見ても分かるように実際の使用済燃料で試験してみると、やはり燃料要素相互の関係でファクター(要因)としてつかめてなかったような要因も出てくる可能性がある。それで例えば六ヶ所ですと、アクティブ試験をやっておいて初めて使用済燃料を使用するステップを踏むのです。今後、実用化のときに全く課題がないわけではないが、とりあえず装置という観点での課題は今のところはクリアしているというふうに理解していただくと良いと思います。

【和気委員】ありがとうございます。

【山口主査】多分、和気委員はどういうスタンスでこの群分離・核変換に取り組んでいくかっていう意味では、Blue Ribbon Commissionの話もそうですけど、先ほど御質問いただいた、外国が、どう捉えているのかというのをやっぱりもう少し、しっかり深く理解するというのが大切だと思います。多分この御指摘で、外国でさらっと書いてあることの意味合いなり、彼らの考えていることはどこにあるのかっていうのはもう少し分析してみた上で取り組み方を議論してもいいのかなとちょっと今、御質問伺ってそういうふうにも思いました。他にはどうでしょう。澤田委員どうぞ。

【澤田委員】今日、これはFBRを使う場合でもADSを使う場合でもですが、今後の原子力のどういう状況になっていくのかという想定なり、条件があって、それに基づいて性能なり、仕様が決まっていて、それを達成するための研究開発がいろいろとあると思うのです。2年前の事故以来、いろいろ取り巻く環境が非常に大きく変わってきているのですけども、目指す性能なり、仕様なり、それで出てくる開発目標は変わらないということでいいのかどうかということです。多分、私が思うにそれは変わらなくて、例えば導入基数が変わるとかそんなことで良いのではないかなと思いますけども、その辺はやはり一応整理して、変わらないのなら変わらないということでまとめておく必要があるのではないかなということが一つ。あともう一つは、先ほど大井川さんが、原子力機構がお持ちになっているいろんな施設を使って、世界を引っ張っていけるようにしたいとおっしゃっていましたけど、今の施設をそのまま使えるのかどうかということ。例えば私、ちょっと状況を存じませんが、老朽化しているとかいろいろあるかもしれませんが、今の施設がそのまま使えるのか、さらに改造しなきゃいけないのか、新設のものが必要なのかどうか。研究開発を進める上で、施設面でこの先、何をどう整備していかなきゃいけないかということもよく御検討いただいて、御説明いただけると有り難いなと思いました。

【山口主査】はい、ありがとうございます。施設の話は先ほど少し出た話で、前半の話は資料2-1の事務局から説明していただいた資料で、最初に位置づけ等、最後は学術会議のところまで、そこにファクトがずっと並べてあるわけです。それについてどういうスタンスで、出発点としてどう考えるのかというあたりを、ファクトを踏まえてこういう考え方でというあたりは、やはりどこかで再認識をしたいと思います。ありがとうございます。あと他にはいかがでしょうか。大体よろしいですか。いろいろ貴重な意見、たくさん頂いたと思いますので是非事務局の方でも少しその辺分析していただいて、また今後の審議を進めていただきたいと思います。では、ありがとうございました。それでは続きまして、議題の4番目、今後の進め方について事務局から説明を頂いて、御質問をお受けしたいと思います。説明をお願いします。

【石川課長補佐】それでは資料3に基づきまして、簡単に御説明させていただきたいと思います。本日は全般的な国内外の状況であるとかそういったことを御紹介させていただきまして、皆様から様々御意見いただいたところでございます。とりあえずの事務局のたたき台という形で、作らせていただいております。これから御議論いただきたい論点というところで、本日の中でも様々な委員の先生方から御指摘いただいておりますが、以下の観点から御議論いただいたらどうかということで例示として挙げさせていただいております。一つは直近として2009年の原子力委員会においてレビューがなされているわけですけれども、その段階から現時点において、どういった技術的進展がなされているのか。また現時点において、どういったところに技術的課題があるのか。また、高速炉による核変換と並行して実施していくことの意義というものがどういったところに見いだしていけるのか。また、ベルギーのMYRRHAという話もございましたが、国際的な連携というところで、この研究を加速させていくというような見込みがあるのか。こういった論点も含めて、実用化と実用化に向けた経済性も含めた現実的な構想というものが現時点でどういった形になっているのかといったところを今後また御議論いただければというふうに考えてございます。また本日、頂きました意見も踏まえまして、またどういったところをまた御議論いただくかというところは引き続き事務局の方でも調整させていただきながら進めていければと思っております。こういった議論に当たりましては、次回以降も原子力機構の方からヒアリングを行うような形を取りまして先生方から御意見を頂いていきたいと思っております。下に今後のスケジュールということで書かせ頂いておりますが、中身のところは本日の意見も踏まえまして、また主査と御相談させていただきながら詰めさせていただくといたしまして、9月に2回ほど、10月に2回ほどヒアリングをしながら議論を詰めていきまして10月下旬のところで1回、その段階までレビューしながら御意見いただいたところについて中間的なとりまとめというところで進めていければというふうに思っております。簡単ですが、以上でございます。

【山口主査】どうもありがとうございました。今の資料3で、今後の進め方を御説明いただきましたが御質問とかございますか。この辺、先ほど御検討いただいた中で大分論点が出てきているかなと思いますけども、よろしいでしょうか。特にございませんか。はい、それではどうもありがとうございます。では今、御説明いただいたように今後の進め方でこういった論点で、若干これにプラスアルファとかあるかもしれませんけども、今後9月、10月2回ずつ開催して、まず中間的なとりまとめするというスケジュールで御協力の方、是非よろしくお願いいたします。それでは以上で、本日予定しておりました議題は終了ということになりますが、委員の皆様方からその他、御意見等ございますか。よろしいでしょうか。それでは、増子原子力課長から御挨拶ということでございますので、お願いしたいと思います。

【増子課長】本日はお忙しい中、第1回の作業部会に御出席いただき、貴重な御意見を頂きまして誠にありがとうございました。今回の群分離・核変換の作業部会につきましては、既に御案内の通り、2009年の原子力委員会報告書の中で大体5年以内に評価をするということがうたわれている関係で、ちょうど今年あたりから作業をスタートしなきゃいけないということで本来であれば概算要求に間に合うように早く立ち上げたかったのですが、諸般の事情でこのタイミングで第1回ということになりました。今回の群分離・消滅処理の背景として、実は加速器を使った高レベル廃棄物の減容化とか有害度の低減は、先の通常国会でも結構質問が出ていまして、総理とか文部科学省大臣も答弁している件でございます。しっかりと着実に進めるというふうなお答えをさせていただいているところですが、また先の参議員選でも与党の自民党の政権公約、あまり実は知られていないのですが、高レベル廃棄物の減容化とか有害度の低減とはっきり書かれております。そういう意味で、文部科学省としてもしっかりとこの分野を進めていかなきゃいかんと思っております。その意味で、先生方の貴重な御意見を伺いながらこの分野どういうふうに進めていくか、概算要求のタイミングに間に合いませんが、秋口にまとめていただく考え方も含めて、しっかりと進めていきたいと思いますので、第2回以降も是非ともよろしくお願いしたいと思います。本日は、どうもありがとうございました。

【山口主査】どうもありがとうございました。それでは、事務局から連絡事項です。

【西田室長】本日は、どうもありがとうございました。本日頂いた意見を踏まえまして今後の進め方に反映していきたいと思っております。また次回の日程ですけれども、まだ日程が決まっておりませんので、後日、委員の先生に御連絡した上で調整をさせていただきたいと思います。以上です。

【山口主査】それでは以上をもちまして、第1回の群分離・核変換技術の評価作業部会を終了させていただきます。今日はお忙しいところ御出席、御審議ありがとうございました。

―了―

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