第7期 環境エネルギー科学技術委員会(第3回) 議事録

1.日時

平成25年8月2日(金曜日)15時00分~17時00分

2.場所

金融庁12階共用第2特別会議室

3.議題

  1. 「持続可能な地球環境のための研究の進め方について 中間とりまとめ」について
  2. 「地球環境情報統融合プログラム」における中間評価について
  3. 「大学発グリーンイノベーション創出事業 グリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス(GRENE)事業」における中間評価について
  4. 平成26年度概算要求にかかる事前評価について(非公開)
  5. その他

4.出席者

委員

安井主査、橋本委員(主査代理)、三村委員(主査代理)、江守委員、奥委員、河宮委員、杉山委員、館山委員、田中委員、林委員、原澤委員、安岡委員、山地委員、鷲谷委員、渡辺委員

文部科学省

篠崎環境エネルギー課長、木下環境科学技術推進官、山村課長補佐、鏑木課長補佐、畑山地球観測推進専門官、佐々木海洋地球課長補佐

オブザーバー

東京大学大学院工学系研究科 小池俊雄 教授

5.議事録

【安井主査】  ただいまから第7期科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会環境エネルギー科学技術委員会の第3回会合を開催させていただきたいと思います。お忙しい中、また、お暑い中、お集まりを頂きまして誠にありがとうございます。
 本日は、議題の(2)におきましてDIASの中間評価に関します審議を予定しております。それへの対応ということでございまして、東京大学から小池先生にお見えいただいております。どうもありがとうございます。
 それから、最初に本日の会議でございますが、一部非公開になりますので、それにつきましてお知らせを申し上げたいと思います。本委員会については、原則公開でございますけれども、委員会の運営規則に基づきまして平成26年度の概算要求に係る事前評価に関します案件につきましては、非公開とさせていただきます。したがいまして、それに関わります資料の4も非公開とさせていただきたいと思います。
 それでは、まず事務局から本日の出席者の確認をお願いしたいと思います。お願いいたします。

【山村課長補佐】  御出席の委員が過半数に達しておりますので、委員会は成立となります。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、議事に入ります前に、事務局から本日の資料の確認をお願いしたいと思います。

(資料の確認)

【安井主査】  ありがとうございました。過不足がありましたら、お知らせください。
 それでは、本日でございますけれども、お手元の議事次第を御覧いただきたいと思いますが、その他を含めまして五つの議題を予定しております。早速でございますけれども、議題の(1)、持続可能な地球環境のための研究の進め方について、その中間取りまとめでございますが、4月26日開催の第1回の委員会で設置いたしました持続可能な地球環境研究に関する作業部会からの御報告を頂きたいと思っております。まずは事務局及び作業部会主査でいらっしゃいます安岡委員からの御説明を頂きまして議論をさせていただきたいと思います。
 それでは、まず事務局からでお願いいたします。

【木下環境科学技術推進官】  それでは、初めに事務局の方から中間取りまとめの構成、概要につきまして御説明させていただきます。説明は資料1-1に基づいて御説明をさせていただきます。持続可能な地球環境研究に関する検討作業部会でございますけれども、3回の議論を通じましてフューチャー・アースの概要、参画する意義、関連する既存の取組、それから、今後のフューチャー・アースへの取組の在り方について議論をいたしました。中間取りまとめは、そういった点につきまして取りまとめてございますけれども、個別の研究分野であるとか、個別の研究について実施主体の検討、それから、その選考の方法論の検討であるとか、研究資金の具体的な獲得の方法であるとか責任分担ということにつきましては検討をしておりません。それを踏まえてこちらを御確認いただければと思います。
 この中間取りまとめ、概要から含めて4章に分かれた構成をしております。フューチャー・アース構想の概要というのが第1章でございます。資料1-1の1ページ目ですけれども、ここではなぜ今フューチャー・アースなのかということと、フューチャー・アースの目指すものということにつきまして、再度作業部会の方で議論を交換し、確認をいたしました。こちらにつきましては前回の環エネ委員会でこの部会を設置する際にいろいろと御紹介をさせていただいた内容と重複いたしますけれども、人間と環境の相互作用に関する研究の必要性の高まり、地球の限界点に近づいているとの指摘や、持続可能な地球環境の構築に科学は十分貢献できなかったという反省を踏まえてフューチャー・アースが提唱された。フューチャー・アースでは、経済学・法学・行動学・哲学といった人文社会の分野も含めた幅広い研究分野の融合を通じて持続可能な社会の構築に向けた具体的な課題の検討に貢献するということを目的としているということを概要としてまとめております。
 2ページ目に移ります。第2章はフューチャー・アースに参画する意義ということで、主に(1)の科学技術の振興・発展の観点、それから、(2)の我が国の社会及び産業への貢献の観点、そして三点目として科学技術外交の推進、この以上三つの面から意義を抽出いたしました。主なものを御紹介させていただきますと、知の細分化問題の打開策、知の統合に向けた実践であるとか、課題解決への科学の貢献、それから、社会の意思決定の支援、すなわち、何か意思決定をする際に科学的知見に基づいて意思決定を進めてもらおうという、そのための支援というような意義があるのではないか。それから、二点目の社会及び産業への貢献ということですと、気候変動に伴う災害や社会問題に対する提案であるとか、また、途上国へのグリーンビジネス展開への貢献といったことがあるだろうという指摘がありました。また、科学技術外交の推進という観点でありますと、具体的な根拠に基づいた国際交渉をすることによって我が国の発言力を強化するであるとか、アジアやアフリカ地域との連携強化、それから、我が国及びアジアの視点を世界に発信していく。つまり、これまでは西洋的な観点でこのフューチャー・アース構想、議論されておりますけれども、それとは異なった、自然と共生したような伝統的な知見を有しておりますので、そういったものを逆に発信していくということで貢献ができるのではないかとしております。
 それから、次が3章ですけれども、フューチャー・アースに関連する既存の取り組みということで、既存の取組の紹介と、それから、これまでの取組を踏まえた我が国の強み、弱みというのを抽出しております。(1)はフューチャー・アースの主に対象とする研究の特徴ということで、幅広いステークホルダーが参画するネットワーク型の研究であろうとしております。既存のプログラム、(2)の既存の国際地球環境変動プログラムにつきましては、世界気候研究計画(WCRP)であるといったような国際的な研究計画の調整を行うプログラムがあるであるとか、地球システム科学パートナーシップ(ESSP)のような計画もございましたが、それが既に終了しているといったことを確認しております。それから、(3)の研究を支えるファンディングの仕組み等につきましては、既存のアジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)であるとか、ベルモント・フォーラムの取り組みなど、それから、リスク情報創生プログラムであるとか、環境研究総合推進費、科研費等についても確認をしたところです。
 そういった取組を通じて我が国の強み、弱みというのはどういったものであろうかというものを(4)としてまとめております。強みとしては、我が国はフューチャー・アースが対象とする全ての分野に研究を実施しており、総合的な研究を実施する体制が整備されており、また、地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)や社会技術研究開発センター(RISTEX)のようなフューチャー・アースの萌芽(ほうが)とも言えるような先駆的な取組を有しております。また、持続可能な社会の実現に不可欠な省エネルギー技術も有しているという、こういった強みがあると認識しております。一方で、文理融合研究というのは緒に立ったところでありまして、言葉の壁であるとか、国際的な人脈の欠如から国際的なアライアンスを組んで研究を行う実施体制の取組というのはまだ十分ではないところがあるのではないかという指摘を頂いております。
 最後に3ページ目の4章ですが、フューチャー・アースに対応した今後の取組の在り方ということで、まず、なぜ我が国がフューチャー・アースに参画すべきなのかということをまず第1パラグラフで概要を書かせていただいております。フューチャー・アースに参加しないということは、先ほど申し上げたような我が国の持つ強みを国際社会に示すことができない上に、我が国にも影響を及ぼす可能性のある国際問題の解決にも寄与することができない。他方、地球環境問題、影響の発生は局所的ですけれども、このグローバル化した現代社会においては、影響はすぐ我々にも跳ね返ってくるという、そういった状況を踏まえると、我々はフューチャー・アースに積極的に参画すべきであろうという議論となりました。
 この議論を踏まえまして、フューチャー・アース初期設計報告書において、特に明示されている体制整備等については、我々がとるべきどのような選択肢があるかということで議論いたしまして、次のとおり提案をさせていただきました。(1)から(3)までございます。まず、一つ目が体制整備です。まず、フューチャー・アース本部への積極的な関与が必要であって、フューチャー・アース本部事務局又はアジア地域事務局の誘致を目指すべきである。それから、フューチャー・アースの分野は幅が広いため、国内関係機関は多岐にわたるということもありますので、関係者の情報共有、方針策定を行うために国内委員会を整備すべきである。また、ファンディングに係る戦略を練るためにも、関係のファンドのプログラムディレクター等を集めた会議の設置も考えられるという指摘もございました。また、実施に当たっては府省連携を図り、政府全体としてコンセンサスを形成すべきであるという指摘を頂いております。
 また、次に(2)ですが、ファンディング及びステークホルダーとの連携強化につきましては、自然科学の研究者と人文・社会科学の研究者、さらにはステークホルダーと協働して国際共同研究を行うためのネットワーク形成支援が必要である。研究資金の確保に当たっては、開発援助機関やUNESCO等の国際機関であるとか、産業界との連携も深めるべきである。それから、(3)ですけれども、最後にフューチャー・アースの研究を推進していくためにどのような能力を我が国として持つべきか、という点についてまとめております。一つとして、地球観測、観測情報の共有、モデリング・理論構築といった能力につきましては、従来もある訳ですけれども、今後もフューチャー・アース研究を支える重要な能力であると確認しております。
 他方、フューチャー・アース研究を更に今後進めていくために重要な能力としては、ステークホルダーとの対話・参画促進や、フューチャー・アースのトランスディシプリナリーという文理融合の研究について担い手の育成が必要である。それからまた研究者だけではなくて、持続可能な社会の実現に向けて、を国民全体、社会全体で機運を醸成していくためにも、科学コミュニケーションの役割が重要になるだろう、ということで結論といたしました。このような形で中間取りまとめをまとめさせていただいております。詳しくは資料1-2に記載させていただいたとおりです。
 事務局からは以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 続きまして、安岡委員から補足の御説明を頂きたいと思います。

【安岡委員】  ありがとうございます。3回にわたって作業部会を開かせていただきました。基本的に作業部会のメンバーからは積極的に進めるべきという結論が得られています。積極的に進めるというのは二つの視点がありまして、一つは組織的な視点、もう一つは研究推進の在り方という視点です。組織的な進め方という意味では、例えば事務局の誘致とか、それから、事務局そのものか、若しくはアジアの地域ノードの事務局を誘致することを進めるべきであるというようなことを検討いたしました。これは4章に詳しく書かれています。今まで地球圏生物圏国際協同研究計画(IGBP)ですとか、地球環境変化の人間的側面に関する国際研究計画(IHDP)というのは、事務局は全部ヨーロッパにありまして、これまでの地球規模での研究推進というのが大体海外を中心に進められていたと。もちろん、日本は参加していた訳ですけれども、もう一歩進めて、特にアジア地域を中心とした今後の在り方を考える上でも、日本が積極的に活動すべきだということを結論づけています。
 それから、研究推進の在り方になりますが、これも実は2点あります。一つ目は、日本で既にいろいろな要素がもう始められています。例えば課題解決をしなければいけないということは、第4期の科学技術研究基本計画の一丁目1番地でもあったわけです。それから、科学技術外交を推進するというようなこともそうでした。宇宙基本法、海洋基本法、更に地球観測に関する政府間会合(GEO)、全球地球観測システム(GEOSS)への参加というようなことで、基本的な要素というのはほとんど日本が持っている。この辺の詳しい話は3章に書かれています。こういうものを今までややばらばらに進められてきたものをまとめて統合するいい機会であろうと。積極的にこのフューチャー・アースを活用することによって、日本の今までのプログラムを進めていったらどうだろうか、これが一つあります。
 ただ、一方で足りない部分がやっぱりあります。これはなかなか難しい点です。国際的にもこれを今後進めていかなければいけないというところで、4章の方に少し書かせていただきました。特にトランスディシプリナリーという考え方、これは社会に向けて科学技術のコミュニティを超えて社会に入っていく、それをトランスディシプリナリーという言い方で呼んでいる訳ですけれども、これにはかなり高いハードルがあります。ステークホルダー、何かいい日本語を考えた方がいいと私は思っていますが、そういういろいろな関係者と連携を図る。日本でも文理融合というようなことが言われていましたけれども、これはなかなかうまくいっていません。これを機会にもう一歩、二歩進めるべきであろうということで、日本で既にいろいろなことが始められているけれども、いいものは更にそれを統合して伸ばしていく、足りないものはつけ加える、こういうことで推進していったらどうだと。
 それからもう一つの視点は、人材育成という視点です。これは昨今、いろいろ言われていますけれども、若い人たちがどうしても内向きになりがちだ。ついこの前の6月に大学改革の報告書も出ましたけれども、そこでもかなり強く取り上げられています。フューチャー・アースを機会として、できるだけ日本が海外とつながっていく。そのためにできるだけ若い人に頑張ってもらう仕組みを作っていったらどうだろうか。この人材育成というのもこれから日本にとっては非常に重要な仕事になりますけれども、このフューチャー・アースを、研究推進を進める一つの目的として進めていったらどうだ、日本で既にやられているものを集める、若しくは足りないものを加える。それから、人材育成という視点、この二つの視点から研究推進を進めていったらどうだということですね。それ以外にももちろんポイントはありますけれども、詳しくは資料1-2を御覧ください。
 最後に、具体的な課題については今後検討するということにさせていただいています。学術会議等にも委員会が既にできておりまして、アカデミアの方でどういうことをやるかどういうことをやらなければいけないかと検討されています。部会でもそういう話が一部出ましたけれども、それを報告書の中でまとめるということはいたしませんでした。今後の議論に委ねたいと思っています。総合科学技術会議でもこれから議論が始まるかもしれませんけれども、これから考えなければいけないことはいっぱいあるということで、次のステップとさせていただきたいとまとめています。
 以上です。ありがとうございました。

【安井主査】  ありがとうございました。
 追加情報として事務局から6月に開催されました気候変動枠組み条約のSBSTAに関する御報告を追加でお願いしたいと思います。

【木下環境科学技術推進官】  席にお座りの方、参考資料1としてお配りさせていただきました。SBSTAの会合が6月にございましたので、フューチャー・アースに関連するような指摘もありましたので、簡単に御紹介させていただきます。
 このSBSTAですけれども、文部科学省関連ですと議題7の研究と組織的観測という議題がございましたので、全部で20ばかしある議題のうちの一つなのですが、ここに参加いたしました。この議題は大きく分けて2部構成で、まずはリサーチ・ダイアログと呼ばれる研究者と、それから、参加者、情報交換、意見交換の場がまずありました。そこではIPCCの副議長であるとか、IGBPの事務局長が最新の気候変動の研究成果について発表していました。また、この場をかりて我が国としても革新プログラムの成果であるとか、SATREPSの成果であるとか、我が国が科学的知見の創出であるとか技術開発等で大きく貢献しているということを御紹介させていただきました。
 また、もう一つは議題7の交渉そのものでございますけれども、ここで最終結果、報告として採択されたものの中に特筆すべきなのは、単に先進国からの技術移転に頼るのではなく、開発途上国自身が研究に取り組むことの重要性が指摘されました。また、そのためには能力開発が果たす役割の大きさであるとか、、研究が単なる研究として終わるのではなくて、途上国の現場へ研究成果が実装される必要があるというような指摘が報告書の中で具体的に明記されました。こういった点はフューチャー・アースの構想とも随分通じるところがあると思っておりますので、今回、御紹介をさせていただきました。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、御議論いただきたいと思います。御説明いただきました資料1並びに安岡先生からの補足説明、さらには今の参考資料1、本編もございますので、何か御質問、あるいは御意見等頂きたいと思います。
山地委員、お願いします。

【山地委員】  フューチャー・アースに積極的に参加するというのは、私もそれは非常に結構だと思います。参考情報的なことで一つ申し上げたいのは、国際応用システム分析研究所(IIASA)という研究所がウィーンの郊外にございまして、我が国も創立以来のメンバーとなっております。ここはグローバルチェンジの一種、気候変動とか、人口とか、水とか、そういうもののシステム分析をやっているところですけれども、ちょうどこの問題に真正面から取り組んでいる研究所だと思いますし、我が国も関与しております。それから、人材育成という点でもIIASAはサマースクールを3か月やるなど、いろいろ使える研究所だと思いますので、是非IIASAの活用も視野に入れていただければと思います。
 それから、いわゆる人脈というか、人脈のネットワーク的なことですけれども、毎年10月初めにSTSフォーラムというのを京都の国際科学館でやっております。あれもは活用できるのではないかと思いますから、STSフォーラムについても一つ要素として入れておいたらいいのではないかと思います。
 以上2点です。

【安井主査】  ありがとうございました。

【三村主査代理】  私もこの作業部会のメンバーで参加させていただきました。こうやって最後に整理していただくと、そのときに見えなかったようなことが見えてきて、少し発言させていただきたいのですけれども、4番の体制整備の話なのですが、国内での体制、あるいは国際的な体制でもこれが研究NGOというか、非政府的な取り組みとして行われるのか、それとも政府間の取り組みとして行われるかという、フューチャー・アースの性格づけのようなことが議論されているか、あるいは国内ではどういうふうに考えたらいいかということを少し検討しておく必要があるのではないかと思います。
 例えば第3期科学技術基本計画の中では地球温暖化研究イニシアチブというのがあって、研究者とファンディングをやる各府省の担当の課長さんとが一緒になって、総合科学技術会議を中心に省庁間のプログラムとしてオール日本の気候の研究をしよう、そういう研究者と行政官の方とが一緒になって議論して方針を決める仕組みができたのはすごくよかったと思いますけれども、問題は、それが必ずしも広い大学とか研究者コミュニティに十分には広がらなかった。それが省庁間の取組という枠があったのではないかなと思います。
 ところが、一方では、国際科学会議(ICSU)などを中心にした国際的な学術NGOの体制でやれば、政府などファンディングする人との関係はどうなるのかとか、そういう問題も出てくると思います。ですから、フューチャー・アース全体がIPCCのようにインターガバメンタルとか、そういうような性格のものにするのか、あるいはもう完全に学術界がリードして、それを政府系の機関がファンディングなどでサポートしようとしているのか、その辺の仕組み、性格づけ、それを最初の段階で少し明確にするというか、議論しておくのが必要なのではないかと思います。

【安井主査】  大変重要なポイントだと思います。

【安岡委員】  例えばこれはファンディングエージェンシー、国際的なファンディングエージェンシー、いろいろなものが絡んでいます。そういう意味では、お金はいろいろなところから来る。ガバメントももちろんあるわけです。それ以外にももちろんあり得るかもしれません。先ほど三村先生から科学コミュニティが中心となってという話がありました。確かに科学技術プログラムではありますけれども、これはいろいろなステークホルダーを巻き込むというのが一つの特徴ですので、ファンディングはいろいろなところから来ますし、ステークホルダーもいろいろなところの人が入るというのが特徴なので、従来の枠組みとはちょっと違うものになるだろうと、私は思います。
 従来の枠組みのままでやろうとすると、どうしても破綻するのではないかなという気がしています。ただ、どう進めていったらいいのかというのは、多分、これからの議論ですね。お金、ファンドそのものはやっぱり日本政府からも出していただかなければいけませんし、例えば総合科学技術会議が議論する場合もこれは国の機関ですから、国として見るということになります。その委員会自身は、多分、学術会議が中心になって作られるであろう、国内委員会というのが中心になって、これから検討していくということになるだろうと思います。

【木下環境科学技術推進官】  関連情報として事務局から補足させていただきます。フューチャー・アースの構想につきましては、先ほども少々言及させていただきました初期設計報告書で、その活動の概要というのが定義をされております。フューチャー・アースは運営がアライアンスと呼ばれる後継組織が企画をしているわけですけれども、そこはICSUといったような学術会議の団体であるとか、それから、WMOであるとか、UNESCOであるとか、UNEPであるとか、国連大学といった国際機関、それから、ファンディングエージェンシーのベルモント・フォーラムといったような機関がまずそのメンバーに入っています。
 ここが設立しようとしている運営組織としては、ガバニングカウンシルという理事会に相当するようなところと、サイエンスコミッティ、それから、エンゲージメントコミッティ、こういう運営機関を設立して、このフューチャー・アースを回していこうとしております。現状では、サイエンスコミッティがもう既に立ち上がっておりまして、我が国からは地球研の安成先生がメンバーのお一人になられております。まだガバニングカウンシルであるとか、エンゲージメントコミッティは設置されておりませんけれども、暫定事務局長が選任をされておりまして、この来年中期ぐらいには本格的にこの今申し上げた体制が立ち上がるように調整が進められていくということになります。
 事務局からは補足は以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 御意見を頂きたいと思います。

【杉山委員】  外交という言葉が出てきていて、今、首相の指示の下に攻めの温暖化外交戦略を構築せよということで、攻めというのは、要は日本としてまじめにコミットしましょうということだと思いますけれども、中身としては別に数値目標だけではなくて、こういった科学技術の振興も重要な柱になりますので、この科学技術外交の推進というところは大変結構だと思うのですけれども、もう一歩進んでこれを国際公約にする、そこまで行きたい、行ってほしいと私は思います。国際公約にすると何がいいかというと、科学プログラムで世界的に少し困った現象が時々起きているのは、例えばアメリカの話ですと今年は水素だと大統領が言うと、水素ブームが1年だけあって、翌年はバイオマスブームだといってバイオマスが1年だけあって、またすぐ縮む。
 こういう政治的に不安定な状態だと、一瞬お金はたくさん使われますけれども、全く人材が育たずに無駄遣いになる、こういう批判はよく論文で出ていまして、そうならないためにも安定した政策が必要である。それは一国の中だけだと政治情勢でいろいろ左右されやすいんですけれども、国際貢献をしますと国際公約をきちんとする。そういう位置づけにして実施を国際的にレビューしてもらう、そういう形を作ることで安定した科学技術の振興が図れるということで、是非国際公約としてこれはやった方がいいと。それは日本の貢献として非常に説得力のあるものだと思っています。
 次に、これは文章全体を見た印象なのですが、自然科学から政策まで一足飛びになってしまっている。IPCCで言えば第1部会と第2部会の半分ぐらいまでのところから、いきなり政策とか産業界とかステークホルダーに結びついている感があります。ただ、実際の政策の関係者というのは何を気にするかというと、自然科学の知見から一足飛びに政策が決まるということはまずなくて、もっと卑近な雇用への影響ですとか、産業競争力への配慮ですとか、あるいは適応の方で言えば身近な災害への防御とか、そういったことを真っ先に考えます。やっぱりステークホルダー、出口を意図してやるということであれば、IPCCで言えば第3部会に当たるようなところ、ですから費用と技術、そこのところの研究というのが厚くなくてはいけない。
 そこのところが日本では相対的に弱いという指摘もありまして、そうであれば何もオールジャパンにこだわる必要はなくて、積極的に海外の一流の研究者と交わるような、そういう日本の若い人々を育てていく、そういう視点が大事だろうと。それがないと自然科学から政策提言に一足飛びというと、私もかつて自然科学で教育を受けたので、こういうことを言うのは不届きかもしれませんが、どうもちょっと浮世離れしたような、仙人の解決策のようなことを時々言われるわけです。一番極端なのは、直ちに世界中の二酸化炭素を半分にせよというのは、かつて言われたことがありますけれども、それは大学の自然科学系の先生の発言としてはいいのかもしれないんですけれども、政策決定者にとっては何の意味も持たない発言ですね。そういうのは、それで終わってしまってはいかにももったいないので、やっぱり真ん中のところを厚くする必要がある。
 もう一つ、これもまた印象ですけれども、産業界という言葉がチラチラとは出てきますけれども、やっぱりどうもとってつけたような印象があって、省エネルギー技術を有する産業界との連携を積極的に検討とあるのですけれども、もしこれを本気で考えていらっしゃるのであれば、是非そちらの方面の人をもうこの段階で取り込んで一緒に検討なさる方がいいのかなと。後からアプローチするといっても、もう土俵は決まっていて、何かコメントくださいというぐらいでは真剣なコミットメントや寄与は望めないのではないかしらと思います。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、林委員、お願いします。

【林委員】  非常に近い印象を私、先生と同じような印象を持っているのですが、自然科学と社会科学、融合しなくてはとか、トランスディシプリナリーと言っているのですけれども、それを結びつけるものは何かという、その底流に流れるメカニズムのことをもう一言言う必要があると思います。一言で言うと、一つは都市化のようなものですね。そういうのが幾つかある可能性があるのですが、そういう都市化という現象が自然の気候変動というか、猛威が高まってくる中で、例えば日本ですと少子化して、高齢化して社会が弱ってくる。そうすると、言ってみるとシマウマとか、シカがいるところへライオンがガッと襲い掛かるような、そういう図式になってくるわけですね。そういう図式がどういうふうにしてできてくるかというメカニズムがあって、底流に流れているものがあって、それを見ようとするときにやはり自然科学の人と社会科学、あるいは工学、農学が一緒になってやらないとこれはできないという、そういうことだと思います。
 だから、そのあたりのところがどうつながるかというのを一つ二つ重要なことを書かれている。私が今、必要だと思っているのは、都市化というメカニズムが、自然と社会をつないでしまっているものですから、その少子化とか高齢化というのは、皆さん御承知のように日本だけの問題ではなくて、アジアも広域にわたって日本よりもはるかに急速に進展していますので、国際的に日本がここへ踏み出して貢献していくといったときに、ヨーロッパよりも日本がもっと貢献する可能性が高いといいますか、非常に近いところに、場所的に近いし、現象としても非常に近い時期に起こっているわけですから、これは一体となってやるということは非常に意義が高い。そのように外からも言ってもらえるのではないかなと思います。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。

【江守委員】  手短に言うと、杉山委員のおっしゃったことに賛成します。僕自身も作業部会に出ていたのですけれども、作業部会のメンバー構成が比較的狭い意味での地球環境科学の専門家プラス何となくステークホルダーという感じであったような気がしていて、僕自身は作業部会でも発言しましたけれども、もう少し工学――工学といっても何というか、自然よりの工学というか、土木とか、そちら側の人は何人かいらっしゃいましたけれども、もう少し人工物というか、エネルギーとか、産業技術とか、そういうもののシステム、そういった専門家が入ったところでこの議論はやらなくてはいけないというふうに僕はずっと感じながら作業部会に出させていただきました。
 長い方の資料1-2というやつの6から7ページに書いてありますけれども、三つの提案されている研究テーマというのがあって、ダイナミックな惑星、グローバルな開発、持続可能性に向けての転換というのが書いてありますけれども、読むといろいろな捉え方があると思いますけれども、一つの単純化した見方としては、IPCCで言えば、気候変動というのはこのフューチャー・アースのテーマの一部ですけれども、仮にそれで言うと、1、2、3というのはわりとそれぞれワーキンググループのIPCCの1、2、3に対応しているようなところがありまして、3というのは特にIPCCのワーキンググループ3のような人たちが特に工学系、エネルギー経済とか、そういう人も含めて、もっと入ってくるというふうに捉えるべきだろうと思っていますので、今後、そういう展開の広がりを個人的には期待しています。

【安井主査】  ありがとうございました。
 では、橋本委員から。

【橋本主査代理】  私は今、総合科学技術会議の議員でありますけれども、総合科学技術会議としての意見ではなくて、議員個人としての立場で少し意見を言わせていただきます。最後の取組の在り方で出されていることは、これは大変良い方向であって積極的にこういう誘致を目指すべきだし、研究も進めるべきだということを提言していただくのは大変よろしいと思います。それ自身は非常に良いわけですけれども、今後これを政策的な中に位置づけるとなると、今も議論に出ておりますように、ちょっと弱いという気がします。
 理想論はもちろん書いていただくとして、それをどうやって政策の中に位置づけるのかという、そういうこともやはり考えていただく必要があります。それに関して申し上げますと、今、総合科学技術会議では総理の指示を受けて、25%削減目標をゼロベースで見直し、今後の環境エネルギーに対してどういうふうに国として技術開発をやっていくかということのためのに、「環境エネルギー技術革新計画」改訂作業を行っております。そこで個人的にも感じているところは、今、エネルギーにフォーカスが行っていて、環境に対する印象が弱いということです。そういうような方向になっている。そこはほかの人たちも感じていると思います。今議論されているようなところもうまく取り込み、あるいは、入れ込みながら、そういう連携をしていくということも少し考えておかないと、これだけがただ浮いてしまうということになりかねませんので、検討していただければなと思います。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、御意見をいろいろ頂きましたが、ここで議題を終了させていただきまして次に入らせていただきたいと思います。それでは、議題(2)でございますが、これから先は中間評価でございまして、地球環境情報統融合プログラムの中間評価でございます。まず、中間評価でございますが、留意事項がございまして、読み上げさせていただきます。
 評価を実施するに当たっては、文部科学省における研究及び開発に関する評価指針というものがございまして、これにのっとって公正で透明な評価を行う観点から、原則として利害関係者が評価に加わらないようにする必要がございます。その利害関係者の範囲につきましては、研究計画・評価分科会で定めておりまして、当委員会もそれに従うことにいたします。それによりますと、評価対象課題に参画している人、被評価者(実施課題の代表者)と親族関係にある方、それから、利害関係を有すると自ら判断される方、評価に加わらないことが適当であると判断された方ということでございます。これからやります議題の(2)につきましては、対象者はいないと判断しておりますが、3番に申し上げました利害関係があると自ら判断される方はおられますでしょうか。(2)はよさそうに思いますが。いや、その議題(3)の方でございますけれども、グリーンの事業の環境情報分野では林委員と鷲谷委員の御両名が参画者であると事務局側としては認識をしているようでございますので、それでは、本題に戻ります。利害関係があると自ら判断される方はいなかったということにいたします。
 それでは、第2回の委員会、6月19日で設置いたしました中間評価調整グループで中間評価の原案というものを作成していただきました。実施状況及び中間評価の原案につきまして、中間評価調整グループの三村主査からこれにつきましてまず御説明を頂きたいと思います。お願いいたします。

【三村主査代理】  それでは、御報告をさせていただきます。10分というような時間が予定されていて、かなり膨大な中身なものですから、要領よく話をさせていただきたいと思います。資料2と机上配布1という分厚い資料がありますが、その二つを見ながら報告をさせていただこうと思います。まず、資料2が中間評価の案ですけれども、1枚めくっていただいて1ページ目を見ていただけますでしょうか。これが中間評価調整グループの構成員でして、私が主査を務めさせていただきました。8月5日にこのメンバーで中間評価を実施しております。
 もう1枚めくっていただいて2ページ目を見ていただければと思います。これはプログラムの概要ですけれども、本プログラムは平成18年から22年にかけてDIASの開発が行われました。それを受けて更にそれの発展と充実、展開を目指すということで行われているプログラムで、その中間評価を今回行ったということです。それで、その後に研究開発概要とか、必要性等が書いてありますが、これは当初決まっていたものなので別の資料を使って報告をさせていただこうと思います。
 3ページ目を見ていただきますと、予算ですけれども、平成23年から毎年4億何がしかのお金で遂行されておりますが、24年には補正予算がついたということもあって9億円が追加をされております。実施機関は本日来ていただいております東大の小池先生を研究代表者として進められているということです。
 それで、すぐに中間評価をしてもよく分からないと思いますので、この机上配布1を少し見ていただけますでしょうか。この1の下のページが、自己評価があります10ページ目の次のページ、パワーポイントになっているもので、それのパワーポイントのページの2というところですが、このDIAS-Pというプログラムは三つの目的で行われていまして、一つは構築されてきたDIASの高度化、拡張、それから、それを使ってワークベンチと呼ばれているデータ基盤、いろいろな多様なステークホルダーがそこに自分のデータやアイディアを持ち寄ってというような成果を得ていく、そういうようなものを開発するというようなもの。それから、3番目がこのプロジェクトの後、更に長期的に運用していく体制の設計、提案をするというようなことが目的になっています。この三つの目的でやられている。
 次のページの裏側を見ていただけますでしょうか。それで、どういう成果が上がったかというのは、自己評価報告書、あるいは中間報告の中にもたくさん書いてありますが、簡潔に言いますと、まずデータ統合解析システムでは、ここにありますように大量の様々なデータを集約する、そういう取り組みをした。それで、そのために真ん中に4.6ペタバイトから25ペタバイトのストレージの拡張ということも行っているというようなことです。それで、一つだけ、そういうものの中に入れるデータのドキュメントメタデータ、紹介をするような部分があるのですが、それが日本国内のプロジェクトについては45件にとどまっているというようなことも報告をされて、この点、後で触れます。
 それから、2番目にそのデータをたくさん相互に集めて結びつけていくということに基づいて、それをどういうふうに活用していくかということについては、その下の図、4ページ目の図を見ていただきますと、国内、海外、国際機関と結んで非常に多様な解析のトライアル、それから、場合によっては現地の実装というようなことが行われているというのが成果です。それで、その中で特に国際機関などといろいろなネットワークを組んでやられている。その中でこれを見ていただきますと分かりますけれども、河川とか、ダムとか水、資源、テーマが多くて、これは小池先生の非常にすぐれたリーダーシップ、研究のリードというようなものの効果が大きかったのではないかと思います。これが成果の概要ということで、それをどう評価するかということについて資料の2に戻ってお話をさせていただきます。
 4ページを開けていただけますでしょうか。まず進捗状況ですけれども、4ページの評価の中で、2.の評価結果の最初が(1)課題の進捗状況ですけれども、これについてはどういうことをやったかは先ほどお話をしたとおりです。それで、研究開発の体制、連携等というのが第2パラグラフにありますけれども、これについては様々なデータの収集やいろいろなグループとの連携が行われているということはよく分かりました。それで、特にGEOSSや欧米の水循環の関連データセンター等の間で国際的な連携を進めていることは非常に高く評価できると思います。ただ、先ほど言いましたように共通的、これはDIASは公共的な統合解析のプラットフォームを作るということですから、それに参加する多様な分野の研究者や行政機関との連携を行って、ユーザーを支援する仕組みというようなものを強化する点では大きな課題があるのではないかと評価をしております。
 それから、研究開発の目標の達成度ですけれども、多くのものは数量的な評価においても達成されていると言えます。ただ、先ほど言いましたようにメタデータの公開が45件にとどまっているというようなことは、広く日本のプロジェクトがこのDIASに集中してくるというようなことにはなっていないという点で弱点があると思います。それから、研究開発の成果については、先ほど紹介したように様々な成果が出ていると評価しております。
 5ページ目を見ていただけますでしょうか。5ページ目の上ですけれども、東日本大震災で電力の不足などがあって一時縮退モードがあったりとか、脆弱(ぜいじゃく)性を克服するために分散化を図ったりというような努力はされております。それで、(2)の今後の方向ということですけれども、そういうような進展もあり、効果を発揮するような開発は行われてきたと評価をいたしました。その下に「一方」というのがあると思いますけれども、データが巨大に成長してきているという面もあって、システムのメンテナンスやユーザーサポート体制が追いついていないのではないかというような評価をいたしました。それで、必要性や有効性の観点から事業については継続すべきだけれども、十分見直すべき点があるというのが我々の結論です。
 それは下に幾つか点で書いてございますが、一つは、幅広い、様々なユーザーコミュニティに利用されるようにマネジメント体制を構築する、見直すという必要がある。それから、2番目は、そういう方向に最終的な目標に達成するためには、どういう段階を踏んでそこに行くのかという見通しの良いシステム開発計画というのが必要なのではないか。それから、3番目の点は、これもユーザーサポート体制の問題ですけれども、その後の議論でどういう点で必要かということで、例えばアーカイブされているデータを俯瞰(ふかん)できるツール、機能だとか、ある程度細かい点も指摘をさせていただきました。それから、4番目の点は、DIASにあらゆる地球環境に関連する全ての分野を何の順位もなく持ち込むというのはなかなか大変だろう。したがって、得意な分野や、そういうようなものに優先順位を決めて、それについてはあるプロジェクトでできたものというだけではなくて、時空間的にできる限り広い広がりを持った使いやすいデータを集めるというような努力が必要ではないかということです。
 それで、6ページ目ですけれども、最後の点ですが、これは長期運用体制でして、現在はまだ開発の段階にある。それを社会のデータインフラとして実用、長期に運用するというところに持っていくためには、このDIASを社会の中にどういうふうに位置づけて、どのように使っていくのかということを明確にして考える必要がある。そういう検討を今後十分していただきたいということです。特にその他ということに書いてありますが、現在はDIASのプロジェクトの一環として長期運用体制が検討されている訳ですけれども、内部の検討だけではなくて、国家戦略技術の一環として位置づけられてスタートしたものですから、文部科学省、国においてもこれをどういうふうに今後使っていくのかということについて検討する必要があるのではないか。そういうような評価をいたしましたので、このDIAS-Pに対する評価を超えて、この委員会、あるいは文部科学省に対してお願いをするというようなことも書いてございます。
 少し駆け足になりましたけれども、以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 よろしければ委員のお二人がお見えでございますけれども、お二人が御欠席で、お二人がお見えでございます。何か追加するようなことがございましたら。よろしいですか。河宮委員、もしよろしければ。

【河宮委員】  追加というよりは確認をしたいところなのですけれども、DIAS-Pに関してICSUデータ情報統融合の推進という項目があったのですけれども、パワーポイントの図の最初の1枚の2ページ目、下半分の一番下の方、例えばそこにありますけれども、これは多分、世界科学データシステム(WDS)というプロジェクトの話をここでも引き受けるということかなと理解したのですけれども、これは既に総務省の方で話が、国際事務局を引き受けるという話が進んでいると理解していまして、その辺、府省レベルでの連携というのがどうなっているのかなというのを確認したかったのと、あと気象庁でも気候サービスのための世界的枠組み(GFCS)みたいなシステム作りが進んでいるので、その辺との関係をいま一度確認したいなと思いました。

【小池教授】  どうもありがとうございます。先ほども御紹介いただきました代表を務めております小池と申しますが、今、河宮委員からお話のあった、恐らくパワーポイントの4の5のところでICSUデータ情報統融合の推進ですけれども、これはWDSではなくてWCRPの中にWDACというのができていまして、WCRP Data Advisory Councilというのですが、そこでWCRP全体のデータを取りまとめていくというアクティビティがありまして、それにこのDIASがコミットするというところで書いております。
 この立ち上がりがWDAC、もう一つはモデルのものが立ち上がったのですが、これが立ち上がったのが昨年10月、具体的には昨年の7月でして、具体的な議論が始まったのは今年の3月でして、それでここのところを書いておりますが、これでの議論が大分遅れておりますので、その次のページに、パワーポイントのその次のページの6という表がございまして、ここに進捗状況、二重丸とか、丸とか、三角で書いております。そのワークベンチの5のところを見ていただくと、三角が書いておりまして、これが随分遅れたもので、ここだけがちょっと遅れているというようなことで、新しい戦略を国際調整の中で取りながら進めているところであります。

【河宮委員】  ありがとうございます。

【安井主査】  ほかに何か御意見等ございますでしょうか。どうぞ。

【畑山地球観測推進専門官】  先ほどの三村主査からの報告の中で出てきました点について、2点ばかり補足させていただきたいと思います。まず、ストレージ要領の件で25ペタという話がありましたけれども、これは5年後の目標として設定されているものでございまして、24年度末においては11.6ペタバイトまで整理されているということでございます。それから、国内のドキュメントメタデータの整備のところで45件しかないというお話がございましたけれども、実際はいろいろな事業から既にデータは、データベース等でメタデータも含めて公開されているわけでして、そういったもののデータを含めますと、約2,200件のメタデータがDIASに登録されております。その部分全体につきましては、目標は達成しているのですけれども、今まで公開されていなかったデータに関するメタデータは45件しかないという、そういう視点でございます。
 以上、補足でございます。

【安井主査】  なるほど。数値をどう理解したらいいのか難しいですけれども、そういうことだそうでございます。
 ほかに何か御意見ございますか。杉山委員、どうぞ。

【杉山委員】  タイミングとして今言うのがよくないのかもしれないんですけれども、机上配布1の今後の方向性の最後の方に環境問題解決を導く合意の達成には人間の認識世界や文化、歴史、倫理意識の違いを対象にした取り組みが必要云々(うんぬん)とあるのですけれども、こういうことを考えると、このDIAS自体の取り組みはすばらしいと思います。ただ、そのデータが観測と予測のデータであって、過去の歴史のデータというもの、もちろんこのデータの情報源としては、はるかに精度は劣るもの、ただ、その歴史的なデータが一緒にないと実際に問題を解決しようというときにちょっと寂しいというか、間違えると嫌だなという。例えばこれ、出口の一つとしては地域の生物多様性をどうしますかというような使い方は間違いなくできるわけです。
 ただ、そのときに大体、今ある生態系というのは、特に日本なんかだと30年前はそこで全然違う生態系でした、50年前は全然違う生態系でした、100年前は違いました。どんどん移り変わる生態系を相手にしている訳で、今あるものを維持するのがベストとは思えないし、そういうことはローカルに合意形成をその都度図っていかなければいけない。そういうときに歴史に関する情報というのは、その土地、その土地でその都度調べ直すというのももちろんあるのですけれども、せっかくこうして統合的なデータベースがあるのであれば、その歴史的なデータについても精度は落ちるものにしても、景観の写真とか、あるいは景観の絵地図とか、古文書とか、そういった環境史とか、そういった分野がありますので、そういったもののデータベースも併せてあると、例えば地域の生態系保全のことを考えたいというときには役に立つ。
 また、別の観点から砂浜がこれから消失するかもしれないというときに、これまでのところ、砂浜が消失した理由というのはダムを造って、河川からの土砂の流出を止めてしまったとか、河川の防護をする堤防を作ったので砂が流れ込まなくなって砂浜がなくなりました。そういった話、そういった歴史も踏まえて、人間が何をやってきたかを踏まえて、その上で今後、温暖化なり何なりの悪さが起きるとしたらどうする、そういった議論をしなくてはいけないので、観測データがたっぷり性能よく集まって、あとそれに基づいてシミュレーションできるという、そこだけの情報だけ見ていると、私も意思決定のときに情報が足りない。その歴史的な部分を何かしらつけ足せないかなという、以前も少し申し上げたんですけれども、もう本プログラムでは難しいということであれば、何か外部のプログラムと連携するなりして、そういった形で政策決定者なりステークホルダーに提示できると、より具体的な政策への橋渡しのところがある。中身のあるものになるのではないかしらと思います。

【安井主査】  なかなか難しい御提案かもしれませんが。どうぞ。

【小池教授】  大変貴重な御示唆を頂きましてありがとうございます。一つの例として鷲谷先生が御在席ですけれども、鷲谷委員とさせていただいていますのは北海道の黒松内町を流れる朱太川というところの生物多様性をこのDIASのシステムで包括的に見ておりまして、その中で鷲谷先生、明治時代からの蝦夷(えぞ)地の開拓のところで、どういうふうにそこが使われてきて、そしてどう開発されてきたかというような情報はお持ちでして、ただ、今御指摘のようにそれが画像としてアーカイブされているかというと、まだそこにはなっていません。
 そういうような情報と、今お話がありましたが、長期の気候変動のデータをその土地の融雪から、水の流れから、物質の循環からというのを長期、過去40年とか50年さかのぼって走らせるような数値データ等、そういうようなものを組み合わせた情報を町民の方とか、町の政策決定者の方に流し出してはいるんですね。そういう中に、今御指摘のような、まあ、場所によっては古文書だとか、風景の写真とかというようなアーカイブを加えていくということの重要性は今御指摘のとおりだと思いますので、是非実現していきたいと思います。ありがとうございます。

【安井主査】  ありがとうございました。
 では、館山委員、お願いします。

【館山委員】  館山といいます。私、物質材料研究機構で計算科学の研究をやっておりまして、その観点から少し質問なのですけれども、今回、パワーポイントの3ページから6ページあたりを見ますと、基本的にハードウェア、まず、ストレージが何でこんな逐次にやるのか。一挙に25ペタやってシステム改正した方が早いのではないかというのが私の印象ではあります。
 もう一つ、ソフトウェアの方、あるいはデータベース化の方に関しても、文科省は様々なデータベースのプロジェクトがあって、環境ではなくても材料系でもたくさんありまして、非常に技術の蓄積はあるはずなので、それもなぜこのぐらい時間がかかるのかというのはちょっと分からない。検索にしても、民間の技術は非常にビッグデータとかいうことでありますので、それに比べて何となく遅いかなと。2年先に出来上がったところで、もう技術的なところで陳腐化しないかというのが非常に懸念されるので、もう少し加速させてもいいのではないかなというのが印象です。
 あともう一つは、私、京コンピュータもユーザーとして今使っているんですけれども、DIASについては今、システムを作る方はやっているのですが、ユーザー側でどういうふうに使えるかというのも一緒に始められているのかちょっと把握できなかったものですから、そのあたりについても伺えればと思うのですが。

【安井主査】  どうぞ。

【小池教授】  非常に重要な御指摘、また、サポーティブな御意見、ありがとうございます。このシステムの開発は、この4月から国立情報学研究所の所長になられた喜連川先生がこのDIASの高度化、拡張のリーダーでございまして、そういう意味ではデータベース、情報科学の最先端の研究者と一緒に進めております。先ほど御紹介がありました、補正でドッとついたので、ようやく今年度末には20ペタバイトというストレージになりますが、これは予算の制約でなかなか拡張するというのは難しい状況にはあります。ただ、文部科学省の御努力でここまで来ているというのは大変有り難いことだと思います。
 それから、大型、スーパーコンピューティングのアウトプットとリンクさせるところは、これは京ができるときにまさに御議論させていただいて、京ができるときの経緯でどういう巨大なストレージをそばに置いて、ユーザーが使いやすくするかという設計の中にこのアイディアは入っているんです。ただ、地球環境、あるいは環境に特化したということで、京のストレージシステムとは別個にこれを運営しようということになっております。今、スーパーコンピューティングのアウトプットとしては、NICAMという地球の気候の変化を表す雲解像モデルのアウトプットを、そのアウトプットが出たところから入れていくというようなことも実験をしておりまして、ハイパフォーマンス・スーパーコンピューティングのアウトプットをいかにうまくアーカイブしながら、超大容量となりますので時系列的にうまくアーカイブしながら使っていくかというところが我々の今のかなり重要な課題になっている。

【安井主査】  ありがとうございました。
 ほかにどなたかございますか。よろしゅうございますか。どうぞ。

【河宮委員】  今度、本当に補足という感じなんですけれども、今の説明で、先ほどの説明でDIASの成果をいろいろと説明されましたけれども、あの中でCMIP5データの公開という項目が、詳しくは報告書にありましたが、パワーポイント資料の33ページ以降です。ここに関しては、私が関わっている温暖化予測プログラムとも協力して日本のデータを数多く載せていただいたんですけれども、ここから配信されている日本のモデルのデータ、MIROCであるとか、NICAMであるとか、そのモデルの予測データが配信されていたわけなのですけれども、とある統計を調べてみたところ、DIASから配信されているMIROCのデータというのが論文引用数、ほかの研究機関のモデルと比べてみて世界一になっていまして、これはDIASの皆さんに迅速に対応してもらったおかげかなと。これだけの資源というのを提供していただいたおかげかなと思っていますので、その点で非常に私の評価は高いということはつけ加えておきたいと思います。

【安井主査】  どうぞ。

【三村主査代理】  私が今ここで小池先生に質問するのは変なあれかもしれませんけれども、皆さんに我々が行った評価と小池先生のお考えを聞いていただくのはいい機会だと思うのですが、評価の5ページ目のところにユーザーサポート体制のことがかなり細かく書いてあります。DIASの成果は小池先生、喜連川先生という非常に研究のリーダーシップをとられる先生方のリードで多面的な成果が出ているということは、そのとおりだと思います。それを更に公共的なプラットフォームにするためには、そういうふうに輝くようなお名前の方ではない方もどんどん入ってきて、それを使えるための共通のツールをどう作るかというところが非常に重要なのではないかというのが論点で、そのためにやや細かく書かせていただいたのですが、その点についてDIASの発展段階もありますから、小池先生自体はどういうふうにお考えかって、少し今教えていただければ、ほかの方々も理解が進むと思います。

【小池教授】  発言のチャンスを頂きましてありがとうございます。今、三村先生がおっしゃったとおりでございまして、DIAS、これは2期目でございまして、7年4か月ぐらいたっているわけですが、1期はとにかく目玉の成果を出す。今までなかったようなアウトプットを出すというのが我々の使命でございました。システムを作るものも使命だったのですけれども、それによって何が新たにできたかというのを示すことが使命でございました。2期目に入りまして、今、最終ゴールはこれを運用体制に持っていくということですので、これをどういうふうに設計したかといいますと、この後、評価されると思いますが、GRENEの環境情報に七つの課題、六つの専門課題がございまして、これとリンクしながら、それぞれ輝くような成果、アウトプットを出して、それを横展開しながら広く多くのユーザーに使っていただけるようなものにしていきたいという戦略をこの2期、とりました。
 その中で先ほど少し触れていただきましたが、水についてはそういうことで非常に成果が出たと思います。それから、都市、気候などの成果が出つつあると思っています。そういうストラテジーで、まさにここで、中間評価で御指摘がありますように、多様なユーザーに決め細かなサービスができるような体制作りであるとか、データに関しましても、問題固有のデータだけでなくて、広く利用価値のあるようなものを今後アーカイブしていくような、そういうことがサービスできるようなデータだとか、あるいはソフトウェアに関してもそういうものをこれからやっていくというフェーズになるところで、非常に適切な評価をしていただきまして大変有り難いと思っております。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 大体よろしゅうございますか。読ませていただいたその感想ですが、このアンダーラインが引かれているところが、これは最終結論になるのでありますが、そこだけ読むと、実を言いますとほとんど問題なく行われていると読めてしまうんですね。具体的には、全体的には計画されたところは十分に行われていて、それで本事業については推進して継続すべきである。それでいいと思うんですけれども、その文章の前あたりを少し若干収束いただいて、やはり御指摘のここに書かれている文章よりどうも三村先生の先ほどの言葉とこの文章、どちらが評価が高いかなと聞きながらちょっと見ていたんですけれども、もう少し直させていただいて、やはり十分に見直すべきところがあるとおっしゃったように思いますので、特に今後の研究開発の方向性に関しては、アンダーライン、ここだけを読まれてしまうとあれですので、ちょっとアンダーラインを伸ばそうかなというような気もしないでもないと思っております。
 というわけでございまして、御議論、ありがとうございました。大変御苦労かけて小池先生に推進をしていただいております。その本原案を基に私が責任をとらせていただいて、その文章の若干の修正をさせていただきたいと思いますけれども、お認めいただけますでしょうか。

【三村主査代理】  よろしくお願いします。

【安井主査】  では、ありがとうございました。
 それでは、次、議題(2)が終わりまして、議題の(3)に入りたいと思います。大学発グリーンイノベーション創出事業グリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス(GRENE)事業における中間評価についてということでございます。また、先ほど申し上げました留意事項で、先ほど既に申し上げましたが、林委員と鷲谷委員の御両名は参画者でいらっしゃいますので、今回、退席を求めませんので、御発言を控えていただければ結構かと思います。
 そのほかに自分自身、利害関係を有すると御判断される方はいらっしゃいますでしょうか。大丈夫そうですね。それでは、進めさせていただきたいと思います。それでは、本事業の概要について、まずは事務局からの御説明を頂きたいと思います。お願いします。

【鏑木課長補佐】  それでは、参考資料の2を御用意いただきたいと思います。今年度の研究評価計画という冊子がございますが、その終わりの4枚目をお開きいただきたいと思います。終わりの4枚ということで、この大学発グリーンイノベーションの創出事業と、それから、今回、評価を頂きます各3事業の概要をポンチ絵で御用意しております。まず、全体につきまして、簡単に御説明いたします。本事業というのは、グリーンイノベーションによる成長を加速するということを考えましたときに、大学という機関が持ちます知というものを結集するということを一つ大きな前提に置いておりますが、この中で研究開発、人材育成、新技術の実証ということにつきまして、こういった大学がネットワークを作って、お互いの良いところを更に強化をしていくという中で相乗効果を生むということを狙って展開されている事業でございます。
 改めましてグリーン事業について申し上げますと、そこに書いてありますように大学ネットワークの構築による国際協力の強化ということで、環境エネルギーに関する重要研究分野ごとに国内の有力大学が戦略的に連携をして研究目標ですとか、研究リソースを共有しまして、研究成果といたしまして世界最高水準の研究成果を出すということもさることながら、人材育成を推進するためのネットワークを形成していただくということも事業の大きな主眼として展開しているわけでございます。本事業におきましては、そこにありますよう先進環境材料、植物科学、環境情報、北極気候変動という四つの分野を展開しておりまして、今回、そのうちの三つにつきまして中間評価についての御議論を頂くということでございます。
 簡単でございますが、以上でございます。

【安井主査】  ありがとうございました。
 ということでございまして、植物科学分野、環境情報分野につきましては、第2回の委員会、6月19日でございますが、中間評価調整グループにて、また、北極気候変動の分野は北極研究戦略小委員会にて中間評価の原案を作成されたものでございます。本日は、この3分野の中間評価の原案の報告ということになります。なお、先進環境材料分野でございますけれども、審議会の開催スケジュールの関係で次回以降の委員会にてナノテクノロジー・材料科学技術委員会から中間評価の原案の報告がされる予定でございます。
 まず、進め方でございますけれども、その最初の三つの分野から中間評価結果の案をまとめまして御説明を頂いて、それから、質疑応答の時間を設けさせていただきたいと思います。まずは植物科学分野の中間評価の原案でございますけれども、この分野の中間評価調整グループの主査でいらっしゃいます原澤委員からの御説明を頂きたいと思います。お願いいたします。

【原澤委員】  それでは、資料3-1に沿って中間評価結果(案)を御説明いたします。1枚めくっていただいて、そこにあります表が五人の委員の名簿であります。この五人で検討したということでございます。3ページ、まず概要ですけれども、こちらにつきましては先ほどの参考資料2の後ろから3枚目をごらんいただければよろしいかと思います。植物CO2資源化研究拠点体制ということで、二つの大きなネットワークを作りましてスーパーバイオマス育種ネットワーク、東大が中心となったネットワークと、神戸大学が中心となりましてバイオマス利活用ネットワークを作りまして、これを相互に有機的に結んで研究を進めるという中で、この分野をリードする国際的なイノベーター、国際的に通じる人材を育成するというようなプロジェクトになってございます。
 それでは、3ページの下の方の研究の必要性等ですけれども、簡単に御紹介いたしますと、CO2の固定化と資源化によって温暖化対策、あるいは将来予想されます化石燃料の枯渇に伴う、いろいろなバイオマスベースの化学製品を作るというような、そういった研究開発になっておりまして、まさに今必要性が高いプロジェクトであるということでございます。
 4ページに参りまして有効性ですけれども、これまでバイオマス関係、いろいろな研究がされてきて、どうも基礎と応用が個別にやられてきたというのをネットワークでしっかりつなげて、新しい技術を創出していく、それをまたいろいろな企業とか国際機関との連携を通じて更に進めていく、将来的には日本の経済社会を担っていく、そういったプロジェクトになってございます。効率性ですけれども、プロジェクトが進むに当たりまして、ネットワークをいかに作るか、連携をいかに作るかが重要な課題ということでありまして、本プロジェクトにつきましては、代表機関に置かれた実行委員会、これは週1回やっているということであります。更にその運営委員会、拡大運営委員会、推進委員会という形で階層的な委員会を作りまして、かなり密なコミュニケーションを通じながら連携を図ってきたというプロジェクトでございます。予算については4.、5.に課題実施機関の体制が書いてございます。
 それでは、中間評価の方でございますけれども、5ページ、2.(1)課題の進捗状況ということでございますけれども、今御紹介しましたように非常に密な連携をとっているということと、あとは人材育成のプログラムについてもかなり充実したものになってきているということであります。中間評価ということで、ただ、17か月の研究成果ということなのですけれども、元々の目標設定が真ん中の方にありますように、例えば悪環境下での生産性を20%向上するというような精力的な目標を設定しておりますので、その達成したかどうかが非常に分かりやすいということで、ほぼ100%達成というような報告でございました。
 ただ、下の方に、バイオマスの場合は基礎、応用から更に実用化また社会への導入というようなことも考えるわけなのですけれども、まだそこまで至っていないという段階での評価である訳ですけれども、こういった点が検討の中では出てきたということで、そういったことも書いてございます。ただ、学術的には76編ということで、短期間の間に多くの論文を出して非常に良い成果が出ているのではないかということで、最後の行ですが、以上のことから、当初の目的と計画に沿って全体として順調に進捗していると評価できるということでございます。
 6ページですが、今後の展開に当たってということで必要性についてはプロジェクト当初とほぼ同じことでありますので、研究開発とそれの実用化と社会への導入とか、あるいは人材育成については引き続きやはり重要性はそのままということですね。有効性につきましても、やはり重要性はあるわけなのですが、例えばCO2削減というような点で、例えばこの研究で作られるようなスーパーバイオマスですとか、あとはバイオリファイナリーで出てくるような製品が本当に社会にとって有用なものかどうかというような点では、中間段階でしっかり整理をしていく必要があるのではないかという御意見が出ております。その点を有効性の「今後は」以降に書いてございます。研究の実用化や社会の導入を見据えて社会的貢献という出口の観点で全体としてまとまった成果を創出できるように社会ニーズを踏まえて技術的課題を整理して研究開発の取り組みを強化する必要があるというようなことでまとめております。
 効率性につきましては、各大学、それぞれの得意分野をうまくネットワークを使いまして、かつ基礎から応用までしっかりできるということで、効率性は十分ではないかと思いますが、更に進めていただきたいということであります。「以上のことから」ということで、中間評価時点では、当初の計画どおり進捗している。今後は更に学術的成果ばかりではなく、研究成果の実用化を含む社会的貢献を考慮して、構築した連携ネットワークを生かし、積極的、効率的にプロジェクトを推進することが妥当であるということを結論としています。
 (3)のその他でございますけれども、議論の中でいろいろな意見が出てまいりましたけれども、本プロジェクトの一つの特徴といたしまして、LCAを使って開発した事柄について、環境的、経済的な面からまとめていくというのが重要な視点であるということなのですが、中間時点ではまだ第一歩が踏み出せたということでございますので、今後は社会的ニーズを反映した、研究課題を早い段階で整理し、LCAの分析を本来のように生かしていくということで、加速して当初の目標達成を期待するというようなことで、その他ということで書いてございます。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして環境情報分野の中間評価の原案につきまして、三村主査からの御説明を頂きたいと思います。

【三村主査代理】  分かりました。資料は3-2をごらんください。そのほかに自己評価などの資料もございますが、時間の関係もありますので資料3-2を使って御説明をしたいと思います。
 1ページめくっていただきまして評価委員の構成は、先ほどのDIASの評価と同じメンバーで、同じ日、7月5日に行いました。2ページ目をお願いいたします。この環境情報分野のグリーン事業の概要ですけれども、研究開発の目的は、先ほどのDIASのところでも説明がありましたけれども、環境情報を活用して大学研究機関がDIASを中核とするネットワークを構築して、課題解決に向けてそれをどういうふうに利用したらいいかということを開発し、促進させる。それから、そのための人材育成を図る。そういう目的を持っております。必要性についてはそういうことですので、今まで構築されてきたDIASのシステムを使って、いかにそれが現実の課題解決につなぐことができるか、そこのところを明確にするということの必要性にあるということです。
 3ページ目ですけれども、そのために既に実績のある大学のネットワークを使って研究開発と人材育成を共に行うという観点が効率性のところで述べられております。予算はこれまで3年間、4億円前後の予算が使われておりまして、実施課題が一つではなくて、7課題が一つのまとまりを持ってやっているということです。課題のテーマですけれども、最初の東大の溝口先生の課題、溝口課題はタイの気候変動と農業影響。東大の今須先生の課題、今須課題はCO2、炭素循環などの解析、それから、次に同じく東大の伊藤先生の課題は、生物多様性、生態情報の統合化、名古屋の林先生の課題は、都市計画、防災、さらに、その次の東大の渡辺先生の課題は健康リスク予測という、これはバングラデシュを対象にしております。それから、その次に柴崎先生の課題は、DIASのワークベンチを活用した流域レジリエンスの向上のための取り組み。最後の課題は幹事課題ということで、これらの課題全体をどうつなぐかということをやるという構成になっております。
 5ページ目を見ていただけますでしょうか。中間評価ですけれども、2.の評価結果、課題の進捗状況は、七つ課題があるものですから、それぞれ進捗状況に散らばりはありました。しかし、全体を見てDIASとつないで、それの実際の活用、課題解決にどうつなげるかということに挑戦し、研究を進めているという点では進捗が見られましたので、ここでもおおむね順調に進捗していると評価いたしましたが、その課題ごとの進捗の程度の差は下の個別の課題に反映させてあります。それを簡単に見ていただきますと、溝口先生の課題はタイの農業なのですけれども、現地のデータを集めること自体が大変で、それを実際にDIASの中に持ち込んで、ほかのデータと結びつけるとか、そういう点では非常に大きなバリアがあったということで、まだ進捗状況としてはやや不十分だという評価であります。
 一方、今須先生の課題は様々なスケールでCO2、それから、メタンの発生源と空中での分布ということをモデルと観測を組み合わせて評価しており、非常に高く評価できる進んだ成果を出している。また、大学の講義やセミナーなども積極的にやっていて、人材育成の成果も上がっているというふうに評価をいたしました。それから、生物多様性の伊藤先生の課題も、これまでにないアプローチで、国内の生物多様性、生態分野の主要な研究コミュニティを統合して、それを国内のデータベースにつなげるということで、体系的で精力的な取り組みをされていることがよく分かりましたので、高く評価という評価にしております。それから、林先生の都市分野の課題は、まさに先ほどから出ている自然科学的な分野と社会の政策とを結ぶという点で具体的な取り組みをされていて、DIASの中に入れていくにはふさわしいテーマだと。進捗もあると評価をしております。
 それから、渡辺先生の健康の分野は、これはバングラデシュの健康の問題、健康リスクを評価するということなのですが、人間の移動を含めて健康の問題と評価をするということなのですが、途上国のデータを集めること自体が大きな課題になっておりまして、DIASとの連結という点ではやや不十分。それから、柴崎先生の課題は6河川を対象にしたものなのですけれども、それぞれステークホルダー会議を開いて、流域ごとの問題の特定とその解決策を導くという非常に先進的な取り組みをされていて、ワークベンチと言われるものの形はこういうものだというようなことを端的に示す取り組みになっているというふうに高く評価しております。
 一方、先ほどの植物科学の分野では、利用者協議会が頻繁に開かれているということでしたが、この七つの課題が、様々な会議をされているのは分かりましたけれども、それぞれの進捗状況をお互いに報告し合いながら、組織的にワークベンチを作っていくという形では、やや不十分な点があるのではないかということで、課題間の連携促進については今後努力をしてほしいというような評価であります。
 それで、今後ですけれども、DIASの中にたまっているデータと個別分野のデータとをどうつないで、それを課題解決につなげるかということでは、そのような典型的な例の取組が必要ですので、進捗状況も勘案して、7課題とも今後も継続して実施すべきだと考えます。ただ、それが個々の課題は、個々の地点における個別性の高いものですから、このパラグラフの最後にありますように、得られた成果、構築した方法論やデータが普遍的、汎用的なものになるとか、それがDIASの共通的な例、あるいはデータとして機能が強化されるという方向にどういうふうにつながっていくのかということが必要であると思います。
 個別の課題ごとの課題も一応書いておきましたが、もう既に触れたものも多いので報告は以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして次でございますけれども、北極気候変動分野の中間評価の原案でございますが、これは小委員会主査の小池先生は今日御都合が悪いので事務局でございます海洋地球課の佐々木課長補佐から御報告を頂きたいと思います。お願いします。

【佐々木課長補佐】  北極気候変動分野について御報告させていただきます。北極研究戦略小委員会、2ページ目に構成メンバーがございます。本日は主査の代理として、中間評価について報告させていただきます。
 まず、北極気候変動分野、3ページ目でございますが、研究開発の概要・目的を、簡単に御説明させていただきます。中段のところで、まず本事業では北極の研究関係者が広く結集して議論を行うための北極圏環境コンソーシアムというものを設置し、活動を行うということと、北極気候変動に係るモデル研究と観測研究をパッケージで推進するとしたプロジェクトでございます。代表機関は国立極地研究所でございまして、参画機関としまして海洋研究開発機構でございます。以下四つの研究戦略目標を設定して研究を推進しているということでございますが、温暖化に関する北極域における温暖化、全球の気候変動に与える影響、日本の周辺の気象、水産資源に及ぼす影響、北極海航路等の研究でございます。4ページ目に予算と実施体制について書かれております。
 それでは、中間評価の結果について御報告させていただきます。まず、課題の進捗状況でございますが、必要性に関する進捗と有効性、効率性とそれぞれ分けまして、それぞれの視点で整理させていただいております。まず、必要性に関する進捗度でございますが、大体、構成といたしましては評価すべきことと課題が併記されているとお考えいただければと思います。まず、四つの戦略目標に向けた各取り組みに関しては、個別の成果が出ているということと、国立極地研究所が中核になって一つにまとめて観測とモデルの連携の支援など、そういう体制が構築されているということは評価できるというところでございます。次に「一方」というところから課題でございまして、観測モデルのフィードバックについては、まだ不透明な部分が多く、まだ四つの戦略目標との関連、連携が十分なされていないということでございまして、各取組の間の連携を強化しつつ、目標達成までのプロセスをより具体化する必要があるということで整理しております。
 次に有効性に関する進捗状況でございます。評価すべき点としましては、国立極地研究所が中核となって運営会議を独自に設置し、進捗管理を行っていることでございます。一方ということで、次の観測とモデルの連携がとれていないというのは先ほど申し上げたところでございます。次に国際的に見て我が国の研究がどのように評価され、各国とどのように連携を図ることができるのか。我が国の独自性、優位性を明らかにして検証する必要があるという御指摘を頂いております。次にデータアーカイブについては、できる限り早期に公開することが望ましいという御指摘を頂いております。
 次、6ページ目でございます。効率性に関する進捗状況でございます。前半は課題でございます。予算の効率的、効果的な執行をするためのPDCAサイクルを徹底させる必要があるということです。次は評価すべき点でございますが、国際的な共同研究プログラムに参加するといったことで、我が国としての北極研究が見やすくなったということは評価されるということでございます。一方、また平成27年度に北極の研究者を集めて大きな国際会議がありまして、そういったところで画期的な研究成果を数多く提示するということが必要であるということで整理させていただきます。
 各観点の再評価と今後の研究開発の方向性でございますが、先ほど申し上げたとおり、計画どおりほぼ順調に水準以上の成果を上げているのだけれども、個々の取組が十分なされていないというところでございます。今後の取組に当たって、こういった点について留意するべきということで御指摘がございました。まずは国際連携を強化し、我が国の強みを明確にし、我が国のプレゼンスを高めていく戦略性が必要であるということでございます。2番目は観測とモデルの改良に反映されると同時に各モデルの相互補完性が確保される。3番目はそういったものを進めていって、本事業の終了後も機能する確固たる共同体制を構築する必要があるということで御指摘いただいております。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 以上三つでございますが、実を申しますと、これらにつきましては報告書を一つにまとめた形で8月22日開催予定の研究計画・評価分科会で私から報告をさせていただくと、そういう形に最後はなります。ということでございますが、以上三つの御報告に関しまして何か御意見ございますでしょうか。
 では、江守委員からお願いします。

【江守委員】  ありがとうございます。植物科学分野なのですけれども、有効性等のところで社会ニーズを踏まえて云々(うんぬん)ということが課題のような感じで書かれている印象を受けたのですけれども、素朴な質問なのですけれども、この分野の研究開発というのは、ゆくゆくはどれくらいCO2の削減を量として定量的に見込めるという何か見積りがあって行われているのか教えてください。

【原澤委員】  今回のプロジェクトについては、LCAという分析のグループが入っておりまして、具体的にはある種のバイオマスのいろいろな高収益性を上げたりとかした場合、どれぐらいCO2が吸収できるようになるかというような、そういう研究も入ってございます。ですから、あるバイオマスについてCO2削減の効果というのは出せるのですが、それで具体的にそのバイオマスをある一定の地域に植えたときにどれだけの効果があるかというようなところまでは、プロジェクトの中には入っていないのですけれども、LCAというようなところで、今、江守さんが言ったようなことは考慮しております。
 ただ、中間時点では、LCAにつきましてはまだ研究の方の、例えばどんなプロセスを対象にして計算をするかというようなところ、まだ決まっていないということですから、後期についてはLCA分析をしっかりして、さっき御紹介したような環境的、経済的、社会的な影響も含めて、そのCO2の削減量も含めて検討してほしいという、そういうことを(3)のその他で書いております。

【安井主査】  よろしいでしょうか。

【江守委員】  LCAをやるのは分かったのですけれども、違う方に伺いたいと思うのですけれども、もし御存じであれば、例えば山地委員とか杉山委員がCO2の削減の全体のシステムというか、戦略というか、そういう観点からこういった技術、どれぐらい見込んでいらっしゃるかというか、この削減全体を御覧になる分野ではどれぐらい期待されているものなのかというのをもし御存じでしたら教えてください。

【安井主査】  御指名がございましたけれども。

【杉山委員】  先に申し上げます。あとで難しいことは山地先生にお答えいただくとして、見積りによってはバイオマスの寄与というのは地球規模でのCO2削減に非常に顕著に効きます。数百ppmとか、そういう規模で効くという方もいらっしゃいます。その一方で、最近、バイオマスはそれを進めることでほかの生態系を圧迫するというようなところで評判が悪い部分もあります。それを言った後で、私も実は江守委員と似たようなことを考えていて、木材というのは今ないわけではなくて、今あるものがスタートですので、研究をやるとしたら、その意義は少なくともこの文脈だと非常に何かコストが下がる、エネルギーであればコストが下がるとか、材料であれば新しい、いい材料ができるとか、もっと企業、いわゆる本当のビジネスにつながるようなニーズに直結するようなアウトプットがあり得る。一足飛びにそこまで行かなくても、この基礎研究をやると、そういった方向性が見える可能性があるという、そういうつながりが示されてしかるべきだと思うわけです。
 そういう意味で、このLCAはもちろんクリアしなければいけないんですけれども、経済的な分析というところが、私は極めて、極めて大事だと思っていて、経済性を無視したら、今ある木で全部足りてしまうわけで、何か新しい仕組みができます、新しい植物ができますといったところが売りなのだろうと。私、この研究開発の内容自体には非常に興味があって大変期待もしているわけですけれども、そういったここの評価の中でも書いてありますけれども、社会的貢献、もっと言えば事業化、この経済性というところをかなり追求して、その経済性という面で成立するような、そういう期待が持てるような研究、それは応用研究でも、基礎研究でもいいですけれども、そういったところにある程度焦点を絞っていかないと、全く採算が合う見込みのないところでの研究活動というのも、ほかの研究プログラムでバイオマスに関して見たことがありますので、そうなっていないかなというのはちょっと心配です。
 その点に関して、この評価の中で推進委員会、企業の有識者も入っているので、そこで議論しているというので、そこで担保されているのかなとも思うのですけれども、ちょっと残念だったのは、今回のこの中間評価調整グループの構成員も大学の方と、あと研究所の方が入っているのですけれども、エネルギーの産業に詳しい方とか、あるいは化学系の材料に詳しい方とか、そういった目からも評価して、中間評価もできるとより良かったのかなと。それは最終評価の際に反映していただければと思うのですけれども、そういった感想を持ちました。

【安井主査】  ありがとうございました。

【山地委員】  割と広範な範囲の話だと思うんです。この育種、あるいはゲノム解析というのは基本的に非常に重要な分野だと思っているんですけれども、ただ、温暖化対策というところだけではなくて、医療にも、食糧問題にも、材料にも応用が利きます。ここの視点は最初から温暖化対策というのがあるんですかね。そこらあたりの認識が不足している。もう少しベーシックなところで非常に大事だと思います。そのネットワークをとるということはですね。
 温暖化対策という点から見てどうかというのは、江守さんの投げかけですから、それはLCAという話が出てきたけれども、それだと思うんですね。材料として使って固定するというのもあるでしょうし、バイオ燃料で代替していくというのは、それもLCA、土地利用変化を含めたところも入れて、ですから、それがこういう育種をやる研究者たちにとって非常に本質的なことかどうか、私は何かこの問題、温暖化対策以外のアプリケーションがいろいろあると思うので、あんまりそこで評価を厳しくしていく必要もないのではないか。私はどっちかというと、基礎基盤重視型なものですから、そういう感覚を持っています。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、河宮委員。

【河宮委員】  今の山地委員の御意見とほぼ同じことを指摘しようとしていたのですが、6ページのその他のところでLCAは土地利用の社会的影響等にも適用してという話があったのですけれども、ポンチ絵の研究体制を見る限り、ここの研究体制の中でそこまでやろうとするというのは、そこまで求めるというのはちょっと酷かなという気がしておりまして、これは大変大事な課題ではあるのですけれども、別途プロジェクトを立ててやるぐらいの勢いが必要な課題なのではないかなという感想を持ちました。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、田中委員、お願いします。

【田中委員】  一応、企業のポリマーのある程度分かる人間として、この委員会、評価委員をやっていましたので、先ほどの杉山委員の話にお答えしたいと思いますけれども、実際、LCAはほとんどプロセスがしっかり分からないと計算ができないものでありまして、そのプロセスができれば、コスト計算もある程度はできるということになります。今、フラスコの研究者とLCAの研究者がいるのですけれども、その間をつなぐプロセスの研究者がいないので、実際に工業化されたときにどのぐらいのコストというか、エネルギーを消費したり、プロセスを作ったりするための費用が幾らぐらいになるかというところが余り明確に出ないというような状況に思われます。そういう意味では、後半に当たっては、そういうことがきちっと把握なり、推算できる研究者も加えるともう少しLCAなりコスト計算がクリアになってくるのではないかなと思います。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 極めてごもっともだろうと思います。館山委員、どうぞ。

【館山委員】  個別の案件ではなくて全体なのですけれども、グリーンの目標は世界最先端の技術を出して人材育成をするということがテーマだったと思うのですけれども、各中間評価に対してどういう技術が出たのかという具体性がないように私は感じました。論文数は出しているとか、そういうのはあるんですけれども、もう少しトップの技術というか、今の中で何がトップで出ているのかがあった方がもっといいかなというのは個人的な感想です。
 もう一つは人材育成についてなのですが、若手をどういうふうに育成されているのかというのが余り明確に書かれていないような気がします。あと、本当に日本人を育てているのか、国籍はどうするのかというあたりは実は気になって、最近は中国人のポスドクがたくさんいたりとか、どういう人材を本当に育てたいのかというところも含めた形の評価があった方がいいのではというのは個人的な印象でした。ありがとうございます。

【安井主査】  はい。という注文でございます。少し難しいかもしれませんね。ポスドクの国籍ぐらい分かるかな。はい、どうぞ。

【江守委員】  しつこくて申し訳ないんですけれども、杉山委員と山地委員と河宮委員にお答えいただいて、どうもありがとうございました。僕も基本的にそういうことでいいというか、意義としてはすごくあるのだろうという点で同感なのですけれども、研究開発の必要性のところに、特に事前の時点での3ページのところで、その排出削減ということが非常に強調して読めるので、ほかにもいろいろいいから、いいじゃないかということなのか、それともこれが必要ということで始まったので、ちゃんとこの必要性に向かっているのかというところが非常に気になるところであります。要するにこの名目で予算がついて、本音は別のメリットを狙っているみたいなことだと、その評価する側も責任が問われると思いますので、少し指摘させていただきました。

【安井主査】  はい。分かりました。御指摘、いろいろありがとうございました。ほかにございませんか。それでは、どうぞ。

【原澤委員】  先ほどの人材育成の件については、自己点検結果報告書の方に少し詳しく書いてございます。具体的にそういう人数とかいうのを、この中間評価報告書、手短にまとめるというような趣旨もあったかと思うので入れていないんですけれども、そういう意味では自己点検結果報告書の方も見ていただければと思います。
 あと、江守さんの方のCO2の削減について、まさにそこがCO2削減と資源化という目標になっているわけでありまして、そこで委員会の中でもそこのCO2削減の観点としては社会的ニーズが十分に反映されていないというところがありますので、そこについては6ページの有効性のところで書かせていただいていますし、CO2削減の本来の目標としているというのも、社会的ニーズというところでまとめたキーワードを使っているということであります。

【安井主査】  いろいろありがとうございました。このチーム編成でLCAが本当にできるかというのは、確かになかなか問題かもしれませんので、そのあたりも含めて評価をさせていただきたい。
 どうぞ。

【渡辺委員】  お願いします。私は植物分野の方で評価委員に参加させていただいたのですが、日本のトップレベルの研究、植物分野以外、お話しいただいたのですけれども、有識者とか研究者だけではなくて、一般の人たちにも是非とも科学的な情報を広げることが必要なのではないかなと思いました。そこで意見交換しながら、例えば植物分野では遺伝子組み換えに特化して、日本で実現できるのかな云々(うんぬん)という話もあったのですが、そこで研究の新たな方向性とか、日本で具現化するための新しいステップみたいなのが見えてくるのではないかなと思いました。
 先ほど国籍云々(うんぬん)の話があったのですけれども、今、日本の子供たち、科学リテラシーを育てようというお話があるのですが、実は子供だけではなくてその親御さん、市民も是非とも育てなければいけないという話になっております。6月14日に閣議決定された第2期教育振興基本計画では、その四つの大きな柱の中の一つとして学びのセーフティネットの構築というのが挙げられています。教育の効果は広く社会に還元されるものであるという考え方なんですね。誰もがアクセスできるいろいろな学習の機会をというのなのですけれども、是非ともそんなふうな、こんな研究を通して国の中に大きな科学のウェーブみたいなのができていただけると有り難いかなと思います。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 予定が大体、そろそろやめなければいけない時間なんですけれども、もう一つ議題がしっかりと残っていますので、このあたりにさせていただきます。
 それでは、いろいろ御議論いただきましてありがとうございました。以下調整をいたしまして、先ほど申しましたように一つの中間評価の結果の案という形にまとめさせていただきますが、その文章等に関しましては先ほどと同じで座長一任ということでやらせていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。

【三村主査代理】  よろしくお願いします。

【安井主査】  はい。それでは、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、議題(4)でございますが、議題(4)は実を申しますと事前評価に関わります案件ということでございますので、委員会の運営規則によりまして非公開とさせていただきたいと思います。つきましては、傍聴者の皆様におかれましては、ここの段階で御退席をお願い申し上げたいと思います。

(傍聴者退室)

(議題4について議論)

【山村課長補佐】  本日の議事録につきましては、後日、事務局よりメールで委員の皆様にお送りさせていただきます。御確認いただき、修正等あれば御指摘ください。最終的には文部科学省ホームページに掲載することで公表させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、旅費、委員手当ての書類につきましては、御確認いただき、お帰りの際に事務局に御提出ください。また、本日の資料につきましては、机上に置いておいていただければ、事務局の方で郵送させていただきます。
 次回の会合については、改めて日程調整の御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、これをもちまして第3回環境エネルギー科学技術委員会を閉会させていただきます。本日は誠にありがとうございました。少し遅れてしまいまして申し訳ございませんでした。

── 了 ──

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