第7期 環境エネルギー科学技術委員会(第1回) 議事録

1.日時

平成25年4月26日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3階第2特別会議室

3.議題

  1. 環境エネルギー科学技術委員会の主査代理指名及び議事運営について
  2. 環境エネルギー科学技術関連施策について
  3. 持続可能な地球環境研究に関する検討作業部会の設置について
  4. 平成25年度の研究評価計画等について
  5. その他

4.出席者

委員

安井主査、橋本委員(主査代理)、三村委員(主査代理)、岩船委員、沖委員、河宮委員、杉山委員、関委員、館山委員、田中委員、林委員、原澤委員、松橋委員、安岡委員、山地委員、渡辺委員

文部科学省

鬼澤大臣官房審議官、篠崎環境エネルギー課長、清浦環境科学技術推進官、山村課長補佐、鏑木課長補佐、畑山地球観測推進専門官

オブザーバー

日本学術会議 春日副会長

5.議事録

【山村課長補佐】  ただいまより、第7期科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会環境エネルギー科学技術委員会の第1回会合を開催します。
 研究開発局環境エネルギー課の山村でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。第7期の第1回目の会合となっておりますので、主査の指名までの間、事務局で議事進行を務めさせていただきますのでよろしくお願いいたします。また、今期の第1回目の委員会で取り決める本委員会の運営規則が制定されるまで本委員会は非公開となりますので、御承知おきのほどよろしくお願いいたします。
 このたび科学技術・学術審議会の専門委員に御就任いただきました委員の先生方には、人事異動に係る発令をお手元に置かせていただいております。地球観測推進部会の委員も兼ねていらっしゃる方は、郵送させていただきました。また、研究計画・評価分科会の委員会においては、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会運営規則第4条第2項及び第3項により、委員会に属すべき主査及び委員については分科会長により指名されることとなっておりまして、委員の指名に係る発令に関してもお手元に置かせていただいております。本来であれば直接お渡しすべきところでございますが、時間の都合上このような取り扱いにさせていただいております点、御了承ください。
 それでは、議事に入る前に、まず本日の資料を確認させていただきます。

(配布資料の確認)

 次に、第7期の環境エネルギー科学技術委員に御就任された方々を御紹介申し上げます。資料1に、第7期環境エネルギー科学技術委員会の名簿がございます。名簿の順に、本日御出席の委員の方々を中心に紹介させていただきます。

(委員の紹介)

 本日、御出席の委員が過半数に達してございますので、委員会成立となります。
 続いて、文部科学省の出席者を紹介させていただきます。

(文部科学省出席者の紹介)

 次に、本委員会の主査の指名について、御報告いたします。
 委員会の主査については、科学技術・学術審議会運営規則に基づき、研究計画・評価分科会長が指名することとなっており、大垣分科会長より安井至委員が指名されておりますので御報告申し上げます。
 それでは、以降の議事進行を安井主査にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【安井主査】  皆様おはようございます。主査を務めさせていただきます安井でございます。またよろしくお願い申し上げます。
 第1回目ということで、新しい委員の方がお見えになりました。お手元の紙のとおり1分間程度の自己紹介等を後でやっていただきたいと思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。

(議題1について議論)※非公開のため公開する議事録では省略

【安井主査】  
 それでは、早速でございますけれども、この運営規則に従いまして会議を公開とさせていただきたいと思いますので、傍聴人の入場をお願いしたいと思います。

【安井主査】  それでは、ここで文部科学省の鬼澤審議官から御挨拶をいただきたいと思います。お願い申し上げます。

【鬼澤大臣官房審議官】  おはようございます。研究開発局担当の審議官をしております鬼澤と申します。本日は、大変お忙しい中御出席を賜り、大変ありがとうございました。また、第7期の科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 環境エネルギー科学技術委員会の委員をお引き受けいただき、まことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。
 第6期のこの委員会におきましても大変精力的に御議論をいただいたところでございますけれども、気候変動問題、エネルギー問題、これは人類の生存基盤にもかかわる大変重要な課題であることは言うまでもございません。文部科学省では、この二つの課題に科学技術面から貢献するということで、2点の研究開発を推進しているところでございます。一つは、現在の地球環境の正確な理解、そして将来の地球環境に関する高度な予測に基づき、適切な対応策の実施というために必要な、いわゆる適応策という側面でございます。2点目が、再生可能エネルギーや省エネルギーの導入などによりまして、温室効果ガスの削減を実施するために必要な緩和策ということで推進しているわけでございます。
 平成23年8月に閣議決定された第4期の科学技術基本計画におきましては、環境エネルギーを対象とするグリーンイノベーションの推進が、我が国の将来にわたる成長と社会の発展を実現するための主要な柱の一つに位置づけられております。また、成長戦略の具現化と推進を目的に設置されまして、安倍総理みずからが議長を務める産業競争力会議におきましても、現在、クリーンで経済的なエネルギー需給実現や科学技術イノベーション推進体制強化の一環として、さまざまな環境エネルギー政策について議論がなされているところでございます。さらに、既に御案内のことかと思いますけれども、特に適応策に密接に関連する国際的な動向といたしまして、国際科学会議、ICSUなどによりまして、地球環境研究の新しい枠組みであるフューチャー・アースの立ち上げが提唱されているところでございます。地球の変動を包括的に理解して、地球環境規模の解決に資する研究の総合的な推進を目指す国際協働の枠組みでございまして、来年の本格始動に向け、準備が進められているところでございます。この動きも大変急を要する状況になっているところでございます。
 このような、内外ともに、当委員会におきましてこれまでも御議論いただいてきた環境エネルギー分野に係る、いわゆる適応策、緩和策にかかわる大きな状況の展開といいましょうか、変化が見られているところでございまして、これらに機動的に対応していくためにも、本委員会の果たす役割は大変重要になっているところでございます。文部科学省といたしましても、環境エネルギー分野の研究開発を強力に推進していく所存でございますけれども、ぜひ委員の皆様より、大所高所から御忌憚のない御意見を賜り、私どもの指針とさせていただければと思っています。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、議題を進めたいと思います。環境エネルギー科学技術関連施策についてということでございます。
 まずは事務局からの御説明をいただきたいと思います。お願いします。

【山村課長補佐】  資料2-1「環境エネルギー科学技術分野の関連施策について」という資料でございます。現在国会で審議中の平成25年度予算案について、御説明をさせていただきます。
 まず、1ページ目でございます。大まかなグリーンイノベーション推進の全体像については、このページに記載されたとおりでございます。
 次に個別の施策について御説明させていただきます。2ページ目は、先端的低炭素化技術開発(ALCA)のプロジェクトでございます。今年度から、次世代蓄電池とエネルギーキャリアの2テーマについて、新たに特別重点プロジェクトととして立ち上げてございます。全体では、平成24年度補正予算案で9億円を計上するなど、25年度予算でも大きく枠を伸ばしたところでございます。さらに、有識者、文部科学省、経済産業省で構成するガバニングボードというものを設置いたしまして、両省が連携した、基礎から実用化までの一気通貫の研究開発を進めていくこととしております。ALCAプロジェクトにつきましては、4月1日から公募を既に開始しており、7月以降の事業開始を目指しているところでございます。
 3ページは、いわゆる適応策の関係の事業についてでございます。気候変動に関する予測や環境影響評価を高度化して、リスクマネージメントに資するための基盤的情報を創出することを目的として気候変動リスク情報創生プログラムが上段でございます。また、全球規模の気候変動予測成果をダウンスケーリングして、地域規模の予測につなげる研究開発を進めている気候変動適応研究推進プログラム、地球観測データや気候変動予測データの各種データ、ビッグデータを統合・解析するためのハブとして地球環境情報統融合プログラム(DIAS)が下段に、それぞれ記載されているところでございます。
 このうちDIASにつきましては、平成24年度補正予算で9億円を計上させていただいておりまして、機能強化が図られているところでございます。また、議題4でも御説明させていただきますが、DIASは本年度、本委員会において中間評価をいただくことになっております。
 次に、理化学研究所についても御紹介させていただきます。
 理化学研究所では本年度から、創発物性科学研究センターと環境資源科学研究センターを設置しておりまして、消費電力を革新的に低減するデバイス技術やエネルギーを高効率に変換する技術、新規触媒開発による二酸化炭素の資源化や低環境負荷でのアンモニア合成法などについて、それぞれ研究開発を進めていただいているところでございます。また、このほか科学技術振興機構の低炭素社会戦略センターにおきましては、低炭素社会に向けたシナリオ作成等に引き続き取り組んでいただいているところでございます。
 次に、4ページ目は、復興特別会計で計上している事業でございます。昨年度に引き続きまして、東北復興次世代エネルギー研究開発プロジェクトを実施しております。福島の革新的エネルギー研究開発拠点については、25年度の現在引っ越し中でございまして、平成26年度からの本格稼働を目指しているところでございます。
 最後の5ページ目でございます。大学発グリーンイノベーション創出事業について、御説明させていただきます。
 まず、大きな柱が二つございまして、分野別に大学のネットワークをつくり、目標・資源などを共有しながら研究開発や人材育成を行うグリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス事業、もう一つが、大学のキャンパスにおいてエネルギーマネジメント実証などを行う「緑の知の拠点」事業、これは経産省とも連携してございます。この2事業で構成されております。
 このうち、グリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス事業につきましては、DIASと同様、本年度、本委員会において中間評価をいただくこととなります。御紹介
 続きまして、資料2-2でございます。環境エネルギーに関する政府内での議論の状況について、簡単に御説明させていただきます。
 現在、総合科学技術会議や産業競争力会議では、それぞれ、科学技術イノベーション総合戦略や成長戦略の策定に向けて活発な議論が行われているところでございます。そのうち、当委員会に一番関係の深いと思われるような資料を御用意しております。4ページや7ページを中心に、蓄電池やエネルギーキャリアをはじめとして、当委員会に関連の深い事業がたくさん載せられてございますので、簡単に御紹介させていただきます。
 以上でございます。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、全般に関して御質問いただきたいんですが、そうなりますと、かなり細かいことになりかねないということもございますので、なるべく全体に関して御質問いただくと同時に、先ほど予告を申し上げました自己紹介も兼ねよういうことでございますので、ひとつ御協力をいただきたいと思います。
 順番といたしましては、資料1-1の名簿の順番でまいりたいと思いますので、時間をはからせていただきますので、ぜひ御協力をよろしくお願いします。
 それでは、岩船委員、お願いします。

【岩船委員】  東京大学の岩船でございます。
 私、今回から、初めてこちらのほうに参加させていただいているんですけれども、実は私、文部科学省に入ったのが今日初めてで、それだけやはりアカデミックなところから遠いところでずっとやってきた者です。またこの分野というのは、やはり他の省庁と非常に密接に関係する部分だと思いますので、ぜひ、競合、重複、いろいろあると思うんですけれども、うまいすみ分けをして、交通整理をしながら、なるべく地味な研究も拾っていただけるような体制を築いていただければなと思っております。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、沖委員、お願いします。

【沖委員】  沖でございます。おはようございます。私は、岩船先生と同じ東京大学生産技術研究所におります。本来は、本日お見えの、主査代理になられた橋本委員のような大発見とか、社会の役に立つことをやるのが生産技術研究所の役目なのですが、私自身は、グローバルな水循環、そしてそれが気候変動でどう変わるかといったことを研究しておりまして、この後の議題でありますフューチャー・アースにも多少かかわらせていただいているという次第です。
 今回の資料を拝見いたしまして一つ思いますのは、やはり環境問題といったときに、まず気候変動とエネルギーというのが科学技術のかなめではありますけれども、気候変動に限らず、健康リスク、生物多様性喪失のリスク、あるいは食料、水、そういういろいろなリスクがある中で、それらを総体として捉えようというのが、おそらくフューチャー・アースの一つの背景になっているのではないかというふうに思います。片や、少し危惧されますのは、地球温暖化に関する、あるいは気候変動に対する人々のパーセプション、関心が薄れている。必ずしも脅す必要はないと私は思っていますけれども、さまざまな地球規模のリスクを我々は共有しているということを、やはりいろいろな多くの人に、世間にわかってもらって、それで施策を進めるということが非常に重要ではないかなと思います。
 済みません、時間を過ぎておりますが、もう1点は、非常に限られた分野の研究者がこういう問題にかかわるのではなくて、できるだけ大学、研究機関を通じて、いろいろな分野の方がこういう環境問題の科学技術にかかわれるようなフレームワークというのを常につくり続けていくということが重要なのではないかなと思います。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 奥委員は御欠席で、河宮委員、お願いします。

【河宮委員】  海洋研究開発機構の河宮と申します。ふだんは温暖化予測のための機構モデルの開発の取りまとめ役というような形で仕事をしております。温暖化予測をこれからどう発展させていくかということに関して、社会制度との関連だとかそういうことを考えていかなければいけないと、あるいは、人が社会をつくっていく中でエネルギー利用と環境への負荷というのは不可分なものであるという認識のもとで、温暖化予測の枠組みを考えていかなければいけないというような雰囲気に最近なっておりますので、こういう場で私も勉強したりであるとか、何がしかの貢献をしたりということができるのを楽しみにしております。
 よろしくお願いいたします。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、杉山委員、お願いします。

【杉山委員】  電力中央研究所の杉山と申します。温暖化に関する政策面をずっと研究しております。その中で技術開発についても関心を持っています。
 今日御説明いただいた資料もそうなんですけれども、こういう特に基礎研究の部分というのは民間だけでは到底やり切れない、政府としてしっかり支援していくということは非常に意義があると思っています。最近、興味を持って読んでいる話で、アメリカ合衆国の国防総省の技術開発というのがあって、バッテリーというのが今特に注目を浴びて、資金を入れている。何のためかというと、戦争のためのロボットとして、バッテリーが少しでも性能がいいといいというので、ものすごい、ほんとうに桁違いの資金を使ってやっていると書かれていました。日本の場合はなかなかそういうわけにはいきませんけれども、こうして学会、それから民間の、消費・生産活動のためにこういう活動をしていくことも非常に重要だと思いますので、そういう関心で見ています。
 今日御説明いただいたこの資料に関して言うと、方向性としては大事なものを拾っていると思うんですけれども、心配なのが、コストというものがどのぐらい意識に入っているのかなということで、ある意味デジャビュ感のある話でもあるわけです。ムーンライト計画とか、石油ショックのころからやってきた技術がもう一回、名前としては返ってきているようなものがあって、一度は試されて、だめ出しされてしまったものも中にはあるだろうと。その後情勢が変わって、また可能性があるということで拾われていると思うんですけれども、いろいろやってみたけれども、結局やはりコストは、最初から下がるはずもなかったし、下がらなかったというのではつまらないので、何か、例えばここの、リチウムイオン電池よりも10分の1のコストのものを目指すとか書いてあるんですけれども、こういった目標設定が可能なものというのは、非常に興味を持って見ています。というのは、エネルギーというのは技術が決してないわけではなくて、今のものより安く入っていかないと意味がないと思っていますので、その点は大事かなと思っています。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 関委員、お願いします。

【関委員】  関でございます。私は損保ジャパンで、長いこと環境及びCSRの推進をしてまいりまして、実はこの4月からは、損保ジャパン本体は顧問という立場になりました。損保ジャパン環境財団というのがございますので、そこの専務理事を今しております。また、4月から明治大学のほうでも少し講義を持つことになりました。
 基本的なスタンスとしては、企業と環境という立場から何か貢献ができればいいかなというふうに思っております。特に企業の中でも、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)等の活動にも参加をしておりますけれども、そこでもビジョン2050と、あるいはもうちょっと短いアクション2020ということで、産業界としてどんなふうな取組をしていこうかと、あるいはステークホルダーをどんなふうに巻き込んでいこうかといったような議論をしています。
 その中でも、やはり現在、科学的な知見をどのように我々のビジョンなりアクションに生かしていくかというのが大きなテーマになっておりまして、そういった意味では、科学的知見をどう社会に生かしていくのか、あるいは企業の行動につなげていったらいいのかといったような視点で参加をさせていただければというふうに思っております。
 よろしくお願いします。

【安井主査】  ありがとうございました。
 高村委員は御欠席で、館山委員、お願いします。

【館山委員】  館山です。私は、つくばの物質・材料研究機構でシミュレーション関係の仕事をしております。やっているのは第一原理計算といって、原子とか電子のレベルでのシミュレーションの手法開発、それとその触媒、あるいは電池等のエネルギー問題、環境問題の題材に関する応用というのをやっております。最近では、橋本委員が研究総括補佐の「さきがけ・エネルギー高効率利用と相界面」のプロジェクト、あるいは、ここにもありました「元素戦略拠点プロジェクト」に関連しまして、特に電池、リチウムイオン電池の微視的なところの機構解明とその開発というところに従事しております。また、同じく文部科学省の京コンピューターを使わせていただきまして、そちらのほうから理論的に何とか、役に立たないと言われている理論計算を何とか役に立たせようという努力をしております。
 やはり、ほかの先生もおっしゃっていましたが、オール・ジャパンで何かに取り組むというのは非常に大事だと思いますので、そういう体制の構築に貢献できればなというふうに考えております。どうぞよろしくお願いします。

【安井主査】  ありがとうございました。
 続きまして、田中委員、お願いします。

【田中委員】  田中でございます。私、地球快適化インスティテュートというところから参りましたけれども、これは三菱ケミカルホールディングスが、将来についてのシンクタンクということで立てまして、20年先を考えてから、そのニーズに応えて、どんなことをすればいいかということを日ごろ考えている研究所でございます。
 本日のテーマに関しましては、私の立場として日ごろ考えておりますのは、一つは、経済産業省のプロジェクトと文部科学省のプロジェクトの区別といいますか、文部科学省の基本的な考え方とすれば、極めて大きなブレークスルーを狙うような研究をしていただく必要があるのではないかなというふうに思っていまして、その辺が、日ごろ見ていますと、少しミックスされているようなところがあって、その辺をちょっと気にしているということがございます。
 それからもう一つは、どうしても世界中で同じようなことをみんなでやってしまうというような世の中でございますので、やはり日本に立脚したということで一つテーマをフォーカスしていくというような考え方があったらいいのではないかなというふうに思います。
 以上でございます。

【安井主査】  ありがとうございました。
 橋本委員、お願いします。

【橋本主査代理】  橋本です。私は先ほど御紹介のあったALCAのプログラムディレクターを仰せつかっております。この中で今年から始まる次世代蓄電池は、文部科学省の施策ですけれども、実際には経済産業省との合同委員会を立ち上げ、主査の安井先生がそこでいろいろつくり上げてきたプロジェクトです。省庁縦割りの弊害ということが非常に言われている中で、このプロジェクトは文部科学省と経済産業省とが一緒になってつくり上げてきました。経済産業省のほうでもこれに対応したプロジェクトが動いておりまして、それの運営自身を両省一緒にやるという形になっており、今後の我が国の省庁縦割り弊害を打破するモデルになるような事業にしたいと思っております。そこをしっかりサポートして、あるいは監視していただくのがこの委員会なのかなと思います。
 また、環境のほうで言いますと、文部科学省と環境省とが一緒にやる取組というのが今後大変重要なってくるのではないかと思います。ここにいらっしゃる環境系の先生方は、皆さん環境省のプロジェクトにも非常にかかわっておられますので、そういう意味では、人的には十分もうつながっているわけです。ぜひ施策的にもそういう方向性を出していくとよいのではないかなというふうに思っています。
 あわせて、先ほどの資料2でありました環境エネルギー分野の政策動向について、国家の動きですけれども、私はこの二つの、総合科学技術会議の議員と産業競争力会議の議員を仰せつかっていますので、これをまとめ上げたほうの人間であります。いろいろ御指摘もあるかと思うんですけれども、今当面はこういう施策を打ち出しております。これをベースに、5月末から6月頭にできる成長戦略の中に、かなり具体的な課題として書き込む予定です。その中で何を狙っていくかというと、今申し上げました省庁縦割り打破ということで、文部科学省、経済産業省、ほかの省庁等々が一緒になって動く、そういう大きなプロジェクトをやっていきたいと思っております。
 まずは来年度の予算に向けてですけれども、その後についてもこういう大きな流れをつくっていこうと思っていますので、この委員会ではそういう視点から、我が国のエネルギー政策、環境政策がどうあるべきかということと、それのプロジェクト運営等がどうあるべきかといったことを、ぜひ積極的に御提案いただけるとありがたいと思います。私自身も、先ほど申し上げた先駆的な取組である次世代蓄電池プロジェクトなどがありますので、そういうのを国全体の施策の中にモデルとして打ち込んでいこうというふうに思っております。また、ガバニングボード、あるいは、今日は御説明がなかったですけれども、戦略検討チームというのがありまして、そういうのを国のプロジェクトとしては必須のものにしていこうと思い、今、提案しているところであります。ぜひともよろしく御議論いただきたいと思います。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、原澤委員、お願いいたします。

【原澤委員】  国立環境研究所の原澤です。昨年度から文部科学省の気候変動リスク情報創生プログラムの影響・評価の研究領域のPOもさせていただいて、そういう意味では温暖化の影響適応の研究がオール・ジャパンで今進んでいるのではないかと思っています。一つは、環境省のS-8、これは三村先生が課題代表者でありますし、またRECCAというのもあって、そういった、これまでは省庁縦割りで進んできたようなプロジェクトが、研究者のつながりから始まって、非常に大きなチームワークができるようになってきて、これが多分2年後には適応戦略という形で実を結ぶのではないかと思っています。あと、研究所の立場から申しますと、震災後に災害環境研究というのを立ち上げまして、それを具体的に福島の地で実現していこうということで、福島県環境創造センターをつくっていくということで、今、その計画づくりをやっているところであります。
 環境とエネルギー、そういう中で非常に重要な位置づけなわけなんですけれども、さらに加えて、やはり2050年、社会がどうなるのかというような、いわゆるそのシナリオ作成みたいなものも、科学技術のこういう検討の中の一端として非常に重要だなということで、環境研としても、全方位で言うと、なかなか人の問題もあったりしてできないんですけれども、将来シナリオ、環境技術の、やはり現地に実装できるような、そういった研究も、今、進めているところであります。
 私としての質問は、先ほど御説明があった東北の復興というようなところでも、かなり科学技術のプロジェクトが進むという中で、さきに御紹介したような将来シナリオ的なところがどういう関係にあるのか、ちょっと御質問させていただきたいと思います。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 松橋委員、お願いいたします。

【松橋委員】  松橋でございます。
 東京大学と併任で、先ほど御紹介をいただきましたJSTの低炭素社会戦略センターのほうの研究統括を務めております。私は、先ほど橋本委員が御指摘になった省庁の縦割りを改善するという話に大変共感いたしておりまして、御紹介のあった文部科学省と経済産業省の予算の共同策定といいますか、これもとてもいい動きだと思いますし、また私は、国内クレジット制度の創設時からずっとかかわってまいったのですが、こちらは経済産業省と環境省の間で、国内クレジットを、経済産業省が主としてつくってきたものと、環境省が策定したJ-VERというものが、無事に縁談が成立をして、今年度から新クレジット制度ということで発足をする運びになった。ここも省庁の関係者に深く、御尽力に敬意を表している次第です。
 これからは省庁横断で、オール・ジャパンということで、日本のためにやるという体制が少しずつできていると思っておりまして、そのために、文部科学省というこのポジションが非常に科学的に中立で、そしてその結論を最初から決めないという、サイエンスの基本的な立場ですから、これがとてもいい立場になっているのではないかと思っております。私もLCSというところを舞台にして、少しその省庁横断のお手伝いということで考えていることがございます。
 それから、震災によってエネルギーと温暖化をめぐる状況が一変したわけでして、現政権もいわゆる25%削減という目標を一旦留保して、新しい目標をつくるということですけれども、当然のことながら原発の問題もあって、数字的には実現可能な数字というものを策定していかなければいけない。それから、震災前後でエネルギーをめぐる情勢は一変しておりまして、これからエネルギーのシステム、あるいは電力のシステム等々、制度的な変革が大きく進んでいくところだろうと思います。これと、ALCA等々で行われております電池とか、いろいろな新しいエネルギー技術の革新というものを、うまくここがシナジーが起こるようにして、グリーンイノベーションが進むように、そういった制度設計をしていくということが社会のためになることだと思っておりますので、そこのところにお手伝いをさせていただければと思っております。
 特に質問はございません。
 以上でございます。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは続きまして、三村委員、お願いいたします。

【三村主査代理】  茨城大学の三村でございます。私、第5期のときに委員をさせていただいて、今期の第7期までの間何をやっていたのかといいますと、今日紹介がありましたRECCAのPDをさせていただいておりまして、現在もそうなんですが、それから環境省の気候変動適応に関するS-8というプロジェクトの研究代表者、それから、総合科学技術会議のもとでJSTが運営しています社会システム改革と研究開発の一体的推進の気候変動対応型の社会システムの改革プログラムの社会実装の検証委員会などもさせていただいていて、そういう意味では、研究を組織する側でこの間やってまいりました。
 そのほかに、低炭素センターとか、今日の中にGRENE事業とかがあるんですけれども、これだけ、観測からモデル、影響評価、それから対策というようなプロジェクトのラインナップがそろっていて、相当な国費が投入されていると。すばらしいことだと思いますけれども、そのわりに、国際的にはあまり日本のプレゼンスが大きくないというのが、この間非常に強く感じていることで、それぞれプロジェクトごとに自分の成果を出さなければいけないという、一生懸命やっているというのはあると思うんですが、こういう場を通じて、どうやってその成果を一つにまとめて、世界の場にも持っていくし、日本の中でも役に立つというような形にするかというのを考える必要があるのではないか。そういう意味では、フューチャー・アースのことを考えるとかというのは、非常にいい機会ではないかというふうに思っております。
 質問なんですが、今日この関連施策についてお示しいただいたのは、それぞれはよくわかるんですが、以前に文部科学省で、気候変動に関する総合的な戦略のようなものをつくられていて、そのそれぞれのプロジェクトはここに位置づけていますというような図がかなり前にあったと思うんですけれども、そういう形で、ある程度数年先を見据えたような戦略があって、その中でこういうプロジェクトが配置されているという話になっているのかどうか。その辺のことをちょっと教えていただいたほうが、こういうものを議論するときにやりやすいと思います。それだけです。

【安井主査】  ありがとうございました。
 次は私でございます。
 私も、実を言いますと東京大学生産技術研究所の出身でございまして、関係者が3人もいるという状況でございますが、そこで環境プロジェクトの総括代表などを担当しまして、全国で400人ぐらい研究者がいました。それ以来、環境研究というのを、問題解決型で、できるだけ幅広く見るにはどうしたらいいかという、要するにあまり集中をしないで広く見ることばかりずっとやってきて、今日に至るキャリアでございます。
 先ほど橋本委員から御紹介いただきました、経済産業省との合同委員会の座長をさせていただいておりますが、でも主戦場はむしろ環境省でございまして、それで中央環境審議会の委員とか、あるいは環境省が出している推進費の企画委員会とか、そんなところでいろいろと、お金の配り方なんかをやっておりますが、感じることは、人材が非常にやはり限られていて、同じ方を使い回しをしなければしようがないということですね。ですから、次世代の人材をいかに育てるかというのはすごく重要だなと思っておりますので、ALCAはその一つかもしれませんけれども、ほんとうにそんな方向に少し何とかしたいなと思っている次第でございます。
 よろしくお願い申し上げます。
 では、安岡委員、お願いします。

【安岡委員】  安岡でございます。東京大学名誉教授という肩書きになっておりますが、私も、東京大学をやめた後も環境分野において、JSTですとか、それから情報・システム研究機構で研究のお手伝いをさせていただいています。
 これからの環境エネルギー研究というのは、やはり課題解決と皆さんおっしゃいます。課題解決のために何をするかというと、いろいろなことがあるんですが、例えば省際、学際、国際、際を超えるということがやはり非常に重要で、これは仕組みをつくらなければいけないというのは一つあります。ただ、学問的な方法論としても、例えば学際といったときに何をしなければいけないかということは、まだはっきりわかっていません。システム科学技術というようなことが言われていますが、これはやはりもう少し、皆さんで考えなければいけないなと私は思っています。いかに学際、際を超える、学問の際を超えるかと、この方法論も重要だと思います。それを使っていかに課題を解決していくかということが、これからの、課された宿題だと思います。
 一方で忘れてはいけないのは歴史です。例えば温暖化、一番初めに温暖化の論文が出たのが1859年です。生物多様性の論文(進化論)が出たのも1859年です。初めの100年間は課題解決なんて何も考えずに、学問的な興味だけでやってきたわけですね。今、その成果がないと、課題解決ができないというのが事実です。ですから、やはり文科省としては、その課題解決を片手に持ち、基礎的な研究をやはり片手に持って、将来の、30年後の課題解決に向けての研究もやはりやっていかなければいけないというのはあるだろうと思います。
 フューチャー・アースというのも、際を超える一つの大きな国際的な枠組みだと思います。後ほど春日先生からお話があるかもしれませんが、そのためには、やはりいろいろな方法論、仕組み、これを考えていかなければいけないので、そこで協力をさせていただきたいなというふうに思っています。
 よろしくお願いいたします。

【安井主査】  ありがとうございました。
 山地委員、お願いします。

【山地委員】  地球環境産業技術研究機構と、長い名前なものですから、英語の略称でRITEといいます。安井主査のところのNITEというのと近いんですが、そこの理事・研究所長を務めています山地でございます。
 考えてみると、学校を卒業してからもう40年を超えまして、学部卒業後は大体エネルギー問題にかかわる研究、調査もありますが、やってきた。それから温暖化対策、温暖化関係も、もう20年を超えてかかわってきていると思います。しかし、私はハードの研究をするというよりも、技術とか制度の評価をするという、政策研究の分野でやってまいりました。
 そういう意味では、今、どなたかもおっしゃいましたけれども、東北大震災の後の、特に福島事故の影響があって、エネルギーに関しても温暖化対策に関しても、政策の再構築をしているというところでございますから、そこを横目に見ながら研究開発ということになるんだと思います。ただ、文部科学省の位置づけは、やはり私は基礎基盤の形成ということだと思っておりますので、そこは忘れずにやっていただきたい。
 エネルギー問題とか温暖化問題を何十年と見ていますと、課題自体はそんなに大きく変化しているわけではないですね。ただ、何十年かたつと、例えば温暖化対策にこれだけ力を、政府が資金と人材を投入するというのは、確かに40年前、30年前には到底想像できなかったことで、RITEも温暖化対策にしか役立たないCCSをこれだけやっているとか、変化はるあるんですけれども、ただ、やはり普遍的なものを求めるというところが文科省には求められている、そこはやはり考えていただきたいと思います。とはいえ、やはり科学技術にも、それから、それに携わる者にも、社会的期待に応えるということは必要なわけですから、そういう意味では文部科学省と経済産業省の協力による、今日も御紹介のあった話は、出口を目指して、社会的実装を目指す、このベクトルをつくるという意味で非常に重要なことと考えています。RITEも今まで、経済産業省あるいは民間からファンディングをされた研究が多かったんですけれども、文部科学省の研究ファンドにもある程度御協力させていただける面もあるのではないかと思っております。
 以上が紹介を兼ねた私のコメントですが、質問と言われたのでちょっと、言わなくてもいいのかもしれませんけれども、そういう意味では、出口を求める、社会実装を求める研究というのはもちろん大事なんですけれども、やはり文部科学省としては基礎基盤を維持していくという、将来の芽を出すというところが大事ですね。そういう手立てをどう考えておられるのか、それをお伺いしたいと思います。

【安井主査】  ありがとうございました。
 鷲谷先生はお休みでございまして、渡辺委員、お願いします。

【渡辺委員】  初めまして。上越教育大学から参りました渡辺径子と申します。私も今回初めて委員に加えさせていただきました。よろしくお願いします。
 実を言いますと、私は小学校の教員なんです。ですので、この有識者会議、今、どきどきして参加させてもらっているんですが、私は新潟県の教育委員会の派遣で、教員養成課程の学生さんに実践的な指導力をつける、そのように指導するために派遣されている者で、5年目になりました。
 私は、学校現場ではどんなことをやっていたかと申しますと、理科とか、それから環境教育に軸足を置いて、あと生活、総合的な学習の時間を基軸にして、各教科も連動しながら大きなプログラムをつくって、ESDに向かって進んでいくというような授業実践を積んできたつもりなんです。それを今、学生さんに紹介しながら、ではほかにどんなものが考えられるかなというようなことをやっているんですけれども、今お話を聞いていて、大学発のグリーンイノベーション創出事業、すばらしいなと思いました。でも、こう見ていると、大学だけではなくて、それ以外の、私の立場から言いますと、高校でも中学でも小学校でも、幼稚園でも保育園でも、その年齢に応じて何かできるのではないかなと思いました。今、出口ではないとおっしゃったんですが、私がもし、中学校、高校の教員なら、今見せていただいた、このすばらしいパンフレット、これを導入にして、幾らでも総合的な学習の時間、展開できるんです。なので、こんな情報が、先ほどから膨大な予算等々おっしゃっていましたけれども、膨大な予算と研究資料を一般の人にも感じていただく手段になるのではないかなと思いました。
 私もそんな教育の観点から協力できればなと思います。どうぞよろしくお願いします。

【安井主査】  ありがとうございました。
 ちょっと長引きまして、それで事務局からの御回答は、できるだけ簡単でお願いしたいと思いますけれども、よろしくお願いします。質問が幾つかございましたので、お願いしたいと思います。

【篠崎環境エネルギー課長】  環境エネルギー課長の篠崎でございます。いろいろ御示唆とか御意見とかいただきまして、ありがとうございました。
 いろいろいただいた意見が、まさに我々も従前より、いろいろ強い問題意識を持って、どうすればいいかなということを日夜悩みながら考えていて、我々なりの努力はしているんですけれども、やはり問題の大きさが非常に大きいので、なかなかやり切れていないというのも実態としてあるのかなと思っています。
 その中でも、例えば、何人かの委員から御指摘いただいた縦割りの打破という話です。これも先ほど橋本委員のほうから御指摘いただいたようなことで、いろいろ解消の努力はしていますが、やはり必ずしも十分ではないところもありますので、これからもしっかりと意識しながらやりたいと思っておりますが、今後ちょっと考えないといけないのは、役所同士の縦割りというのもあるんですけれども、さらに発展させて、今、私がちょっと強い問題意識を持っているのは3点ありまして、一つは、いわゆる産業界と学会というか、大学というか、いわゆる産学の壁とか、それから学問領域の中でも、いろいろな分野、気候変動とか物質循環とか生物多様性とかいろいろあるわけですけれども、それぞれの連携というのをどういうふうに考えるかという話と、それから、理科系の分野と文化系の分野をどうするかという話とか、そういういろいろな、学問領域の縦割りみたいなものもあるのではないかと思っています。
 さらに言うと、大学の研究と、いわゆる社会実装の現場にいる人との、研究者ではない人とのやりとりをどうするかという、そっちのほうの話というのも大きな問題としてありまして、いわゆる役所同士の話とは別に、そういう話をどういうふうに捉えて、どういうふうに対応していくかということを考えたいなと思っています。
 それから、将来シナリオをどういうふうに考えるかというような御指摘がありましたけれども、実は、先ほど説明しませんでしたけれども、参考資料2というのがありまして、「環境・エネルギー領域における研究開発方策」というので、第6期の当委員会で策定いただきました、我々なりのシナリオとか考え方とか、戦略というのをつくっているわけですけれども、個別の具体的な課題は最初のほうにありますが、15ページを御覧いただきたいと思いますけれども、6ポツの上のパラに、なお書きのところがあります。「未来予測にかかわる事柄は不確実性を前提として議論すべきである」というのがあるんですけれども、実は第6期の当委員会でも、この不確実性というのが非常に議論になりまして、要は、シナリオをつくるにしても、もともとのシナリオの前提になるようないろいろなファクターというのが、いろいろ変わると。それから、今つくったとしても、近未来にやはり変わるだろうということを前提とすると、なかなかシナリオをつくるというのが難しいということがちょっと議論されたわけです。
 ただし、だからといって何もやらないというわけにはいかないので、そこはある程度想定はするにしても、その想定が今後のいろいろな社会の動きなり、世の中の動きによって変わっていくということも前提としたシナリオを考えないといけないというのが、多分この前回の研究開発方策で言っているところだと我々は思っておりまして、そこもしっかりとにらみながら、どういうような考え方に基づいてやっていくかというようなことを今後も考えていく必要があるのかなというふうに思っています。
 それから、山地委員から言われた基礎基盤、文部科学省の立ち位置というところですけれども、そこも我々は非常に強く意識しております。文部科学省のジレンマというのは、基礎基盤にこもってしまうと、なかなか世の中と乖離した研究になってしまうということで、他方、実用化を目指すことを強く意識すると、今度は基礎基盤がおろそかになってしまうというような議論もあって、行ったり来たりするというのが文部科学省の宿命であり、ジレンマであるわけですけれども、そこをこの分野でもいかにうまくコントロールするかというのが我々が一番やらないといけないことだというふうに思っておりまして、この委員会の場で、今後もいろいろな御指摘をいただくと思いますので、そういうこともしっかりと捉えながら、そういうことも意識して、今後政策を進めていきたいというふうに思っております。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、ちょっと時間が押しておりますので、これで議題の2を終わらせていただきたいと思います。
 次の議題、フューチャー・アース関係でございますが、持続可能な地球環境研究に関する検討作業部会の設置についてということでございまして、まず事務局からの御説明をいただきたいと思います。

【清浦環境科学技術推進官】  事務局から、議題を設定した理由というところで簡単に御説明いたしまして、議論につきましては、日本学術会議 春日副会長から御紹介した上で進めさせていただければと思っておりますが、もうこれまでの委員の先生方の発言でも語り尽くされておりますけれども、フューチャー・アースという国際的な動きがございまして、これがいわば地球規模問題解決に資する国際的な研究を、縦割りをいかに是正して、縦割りといいますのは、先ほど課長からもありましたように学問分野間の縦割りでもあり、セクター間の縦割りを超えて包括的な研究をいかに進めるかという問題について、早急に我が国としても対応が迫られているというところでございます。
 アカデミー、ICSUのほうから出てきている話でございますけれども、それを支える政府としてどういうことをやるかというところも論点がたくさんあるというふうに思っておりまして、このような議題をつくっているところでございます。
 以上でございます。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、本議題の議論に、フューチャー・アースそのものということで御説明をいただきたいと思っておりますけれども、イニシアチブと、それから日本学術会議の取組になるかと思いますけれども、日本学術会議副会長の春日先生から、御説明をいただきたいと思います。

【春日日本学術会議副会長】  おはようございます。日本学術会議で国際担当副会長をしております春日と申します。
 また、今お話のありましたICSUでは、戦略立案やレビューを行うCSPRの委員を務めております。研究者としてのホームは厚生労働省の国立医薬品食品衛生研究所で、安全情報部長を務めておりまして、医薬品や食品に関する安全性を研究サイドから政策支援するという仕事をずっとしております。
 資料3-1を御覧いただきたいと思います。
 まず、2ページ目に御紹介させていただいているのは、2009年に『ネイチャー』に出された記事です。スウェーデンのレジリエンス研究所のロックストロームさんが、「A safe operating space for humanity」というタイトルで『ネイチャー』に出されたもので、ロックストロームさんほか大勢の方が共著者になっていらっしゃいますけれども、ここで「プラネタリー・バウンダリーズ」という用語が提唱されました。この図は9つの指標を示しているもので、人間が地球上で安全に生活していけるために越えてはならない境界、これを具体的に示しているものです。先ほどから学際、省際というふうに、際を越えなければいけないという議論がありましたが、ここの際は絶対に越えてはいけないという境界になるようです。
 この論文が、フューチャー・アースを推し進めるための大きな後押しとなったというふうに私は理解しています。非常に緊急性をもって当たらなければいけないということが、ここで強調されています。
 フューチャー・アースとは、ということで2ページ、お示ししましたが、この3ページ目はスライドショーで、大きく隠されてしまっていますので、まず4ページ目を御覧いただけるでしょうか。
 気候変動、それから生物多様性に関しては、国際的ないろいろなプログラムが1980年代から活発に動いています。WCRP、IGBP、そしてDIVERSITAS、また人間的な環境ということでは、IHDPというプログラムも90年代の半ばに立ち上がっています。これらの取組は非常に先駆的な地球観測データ、そういうものを私たちの社会にもたらしてくれたわけですけれども、それでもなかなか社会の実装には至らないという課題が認識されるようになりました。この既存のプログラムが2000年に入りましてESSPという形で、より連携して動いていこうということがうたわれたわけですけれども、それでもなおかつ、まだ社会的なオペレーションのためには課題がある。やはり研究者だけで物事を提唱していっても限界があるということが認識されてきたようです。
 今御紹介しましたのは主に自然科学系のプログラムですけれども、そこにもっと人文・社会科学に強く入っていただきたいという機運が高まってきました。ICSUというのは自然科学がメーンになる科学者の組織になります。もちろん一部は人文・社会科学も入っていますけれども、メーンは理系の連合になります。そこに社会科学の国際会議でありますISSCが協力するという形で、さらに国連組織である国連大学、またUNEP、WMO、ユネスコ、それと資金提供機関であるIGFAやベルモント・フォーラム、こういうものがアライアンスとして連携することによって、もう少し、ほんとうに社会に役立つような研究テーマを提唱し、それを実行し、そして社会に反映されるようなそういう枠組みをつくろうということで、フューチャー・アースが計画されました。
 ですので、基本となる研究対象は気候、物質循環、生物多様性、人間活動、そういうことを柱としておりますが、その結果として地球の変動を包括的に理解して、地球規模の課題の解決に資するという総合的な推進事業になります。先ほどからも幾つか、日本国内でも必要だということでお話がありましたけれども、課題解決型であるということ、そして学問分野の中では自然科学と人文・社会科学の際を越えるという、そういう学際的な研究であること。さらに、学者だけではなくて、政策決定者、また関係者、産業界も含めて、そういうさまざまな関係者と、研究の立案段階から参加していただいて協働で進める、そういうトランスディシプリナリーな形がフューチャー・アースでは強調されているところです。
 現在、2014年の本格稼働を目指して、暫定的な事務局がスタートする直前の段階にあります。それにつきましてはもう少し具体的に、後でお話ししたいと思います。
 では、具体的にどんな研究課題が考えられるのかというものがICSUのホームページに幾つか出ています。地球システムの変化をモニターして、今後の予測をするようなこと。それから、地球が生命を維持しているための能力の限界や、もうある点を越えてしまうと不可逆的に大変革になってしまうようなティッピングポイント、それをできるだけ早く正確につかまえて、警報を発するような研究。また、政策や人間行動の変化やイノベーションの科学的知見をつなぐような研究、またIPCCやIPBESに対して具体的に貢献していくような研究、SDG、持続可能な開発のための目標の評価を支援するような研究、またビッグデータサイエンス、そして若手人材育成、このようなものが例として挙げられています。
 6ページを御覧いただきたいと思います。このようなフューチャー・アースは、アイデアとしては2011年6月ごろから具体化し始めて、去年の年末までトランジションチームというものが、フューチャー・アースの具体化に対して計画を立てるという役割を担いました。今年の2月、3月にかけて、このトランジションチームのレポートが公表されてきたわけですけれども、その間にも、去年の6月には、リオ・プラス20を利用しまして、ICSUが中心となってフューチャー・アースのローンチングイベントがリオで開催されました。また、年末に近い11月、12月のころには、ICSUの三つのリージョナルオフィスが、地域別の問題について話し合うワークショップを行いました。それらが統合される形で、間もなくフューチャー・アースのための暫定事務局が発足する見込みです。この事務局が、約18か月の間、時間をとって、フューチャー・アースの本格的な本部事務局の設置、また実際のプログラム稼働に対して準備を進める計画になっています。フューチャー・アースそのものは、まずは10年間の計画ということで、2022年ころを、もう少し先になるかと思いますけれども、そこまでを一つのタームとして実施される予定です。
 このフューチャー・アースが計画されているのを受けまして、我が国でもさまざまな機関が準備を進めているところです。それについて、少し御説明したいと思います。
 日本学術会議は、ここ10年ほど、持続可能な社会のための科学と技術に関する国際会議、これを連続して行っております。先生方の中にも御協力いただいている方がいらっしゃいます。2011年9月にはこれを京都で行いまして、「Building from regional to global sustainability:Visions from Asia」ということで、当時名古屋大学の安成委員に代表議長を務めていただきました。これも、コンセプトとしましてはフューチャー・アースのようなものを目指すということで、学術会議に関係しましては、これがフューチャー・アースに近づいていく第一歩だったというふうに考えております。
 次のページを御覧いただきます。その後も、去年3月にロンドンで開かれたプラネット・アンダー・プレッシャーに関する国際会議、それから、先ほどもちょっと御紹介しました、6月に開かれたリオ・プラス20のときのサイドイベント、そしてアジアリージョンということでは、昨年11月にクアラルンプールで開かれましたフューチャー・アースに関するリージョナルワークショップ、そしてファンディングエージェンシーの共同体であるベルモント・フォーラムの会議等、幾つかこの間開かれていますけれども、そのようなところに、日本から大勢の代表の方が参加されています。また、一番最近では、4月8日と9日になりますけれども、台北で、フューチャー・アース・イン・アジアに関する、これはクローズドですけれども、ブレーンストーミングの会議が開かれました。ICSUのリー会長が台湾の方であるということで、台湾のアカデミアシニカがホストをしてくれましたけれども、ICSUのウィルソン事務局長も、それからアジア太平洋リージョナルオフィスのハッサン所長も参加されました。ここに日本学術会議の大西会長と私とで参加してまいりました。
 また、大きな会議になりますが、9ページに御紹介しているのが、昨年12月、京都の総合地球環境学研究所の谷口先生が中心となって開いてくださったフューチャー・アジアに関するインターナショナルシンポジウムです。ここでは、このフューチャー・アースの母体となりましたようなWCRP、IGBP、IHDP、DIVERSITASに関係していらっしゃった日本の先生方が具体的なこれまでの実績について御紹介くださって、今後フューチャー・アースに統合されていくための展望についてもお話しくださいました。ICSU、そしてISSCからの参加もありました。アジア各国からも活発な参加がありました。
 このように、日本の研究者コミュニティーではフューチャー・アースに対して、ここ2年ほどかけて準備が行われてきたわけですけれども、日本学術会議としましても、これらの動きをより促進するために、いろいろな研究者組織、また研究者以外の組織との連結を図るお手伝いをさせていただきたいと思っているところです。10ページから、少し学術会議の取組について御紹介させていただきたいと思います。
 学術会議は、210名の会員と約2,000名の連携会員で成り立ちまして、日本の科学者コミュニティーを内外に代表する組織として、内閣府に設置されております。人文・社会科学の第一部、生命科学の第二部、理学・工学の第三部、そしてこれら各部の中に置かれている分野別委員会、これはいわば縦割りの委員会という組織になります。ですけれども、社会に役立つ提言を出していくためには、もちろんその分野を横断した取組が必要になりますので、この図でいきますと右側のほう、幹事会附置委員会あるいは課題別委員会というところで、文理を越えた共同作業でさまざまな提言作成の審議をしているところです。
 また、左下になりますけれども、機能別委員会の中に国際委員会が置かれています。この図で丸く囲んだところです。国際委員会、分野別委員会、そして第一部、これらの中にフューチャー・アースに関係する委員会の母体となるような組織がございます。
 11ページを御覧いただきたいと思います。国際委員会と、それから分野別委員会の各委員会の共同という形で、実はICSUのユニオンに対応する約20の分科会が設置されています。また、IGBP、WCRP、DIVERSITASにつきましては、今期になりまして、IWD合同分科会という形で一緒に活動いただいています。また、そこにIHDP分科会も合同で開催されることがよくあります。また、IRDRというのは災害に関する、防災に関するプログラムですけれども、これはICSUと国連が中心となって立ち上げているプログラムで、行く行くはフューチャー・アースにもジョイントしていくというふうに言われています。
 このIRDRに対応する分科会も学術会議の中に置かれています。昨年、ICSUの横断的なプログラムや委員会に対応する分科会の間で、実は学術会議の中でもあまり情報共有が図られていなかったということを認識しまして、これらの委員会を結びつける連絡協議会を設置したところです。フューチャー・アースにつきましても、同じような既存の委員会、分科会をうまく稼働させながら、さらに何かフューチャー・アースに特化した新しい委員会が必要なのではないかというふうに考えているところです。
 そして、もう一つ強調させていただきたいのが、人文・社会科学からの参加になります。第一部の附属として国際協力分科会というものがございまして、現在、社会科学のIFSSOや経済学のIEAなど、歴史学等の国際的な学術団体に対応して活動いただいておりますけれども、実は学術会議はISSCにまだ加盟しておりません。これは非常に大きな問題だというふうに認識しておりまして、こちらへの加盟を早急に進めるよう、現在準備を進めています。
 次のページを御覧いただきたいと思います。ここは文部科学省とも連携をとりながら、また関係の研究機関にも独自に活動いただきながら、フューチャー・アースに対して、関係の諸機関が既に連携のための動きを進めています。例えば、先ほどもシンポジウムのことで御紹介しました京都の総合地球環境学研究所、そして国立環境研究所、IGES、この3研究機関では、所長さんたちの会議が行われたとお聞きしておりまして、合同で新しい研究プロジェクトを計画されているというふうにお聞きしています。また学術会議も、文部科学省だけではなくて、環境省、外務省とも少しずつお話を進めているところです。国際機関につきましては、ICSU、ユネスコはもちろんですけれども、国連大学は、武内副学長や、新しく着任されましたマローン学長とも、このフューチャー・アースについてお話をさせていただきました。
 今後、日本国内のファンディング機関であるJSPSやJST、またJICAとJSTとの共同プログラムであるSATREPS等とも、このフューチャー・アースについてお話を進めていきたいと思いますし、他の関係府省、そして地方自治体、大学、またNGOやNPOとも、連携を開始しなければいけないというふうに思っております。そのために、実は、6月18日になりますけれども、学術会議が主催しまして、国内でのフューチャー・アースのためのキックオフ、また関係機関との連携を始めるためのワークショップとシンポジウムを企画しております。これはまだ調整中ということですけれども、この日程を押さえていただいて、できるだけ先生方にも御参加いただければありがたいと思っております。
 フューチャー・アースの暫定事務局、また本部機能のために、実は今年2月にもう締め切られましたけれども、科学者委員会、そして暫定事務局長の公募がありました。それぞれに対して、日本からも推薦、また申請をしております。科学委員会に対しましては、最終的に18人の組織となる予定ですけれども、日本学術会議、そして文部科学省より、5人の研究者を推薦しております。現在選考中ですが、ほぼ煮詰まってきている段階かと思われます。また、暫定事務局長は自分で申請するものですけれども、日本人お一人が申請されています。これも間もなく発表されると思います。今週の23、24日にICSUは理事会を開いたので、そこで公表されるという予定だったんですが、実はまだ公表されておりません。これが一番新しいニュースです。ということで、まだ選考中のようです。
 今後、日本としましては、本部事務局をどう考えるか、これを早急に考えていかなければいけない段階にあります。暫定事務局が発足すると、多分すぐだと思いますけれども、ICSUのメンバー各国に対して本部誘致の意思があるかどうかの意向確認が行われるというふうにお聞きしています。ICSUの本部からは、日本へ、非常に期待しているという個人的なお話もお聞きしていますけれども、もちろんこれは公平な選考が行われるものです。そこで、関係機関、また予算の見通しも含めまして、早急にその協議が必要だということをちょっとお伝えしたいと思います。文部科学省の取組につきましては、これから多分お話しいただけると思いますが、日本学術会議としましても、これからも積極的にフューチャー・アースには取り組んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【安井主査】  ありがとうございました。
 御質問もあろうかと思いますけれども、これから、当委員会の取組み方につきましても事務局から御提案をいただいて、それでまとめて御質問をいただきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いします。
 では、よろしくお願いします。

【清浦環境科学技術推進官】  私のほうから、春日先生のお話に少し補足させていただくようなところも含めて、先に御紹介をさせていただきます。
 まず、資料3-2の1枚紙でございます。「フューチャー・アースのファンディング戦略」という紙でございまして、左のほうにピラミッドの形のものがあるペーパーでございますけれども、これはICSUのほうが考えているファンディング戦略の全体像を示した図でございまして、これの解説をさせていただきます。
 ピラミッドの真ん中に赤線がありますけれども、このフューチャー・アース・イニシアチブで特徴的なのは、そのピラミッドの上の2段、青と緑の部分というのは国際的に協働で取り組んでいくものなんですけれども、ここだけではなくて、それぞれ各国で行う取組についても影響を与えていこうというふうな構想でございます。
 まず、ピラミッドの一番上のところでございますが、これはまさにフューチャー・アースの本部自体の機能のことでございまして、上のほうにありますが、科学委員会だけではなくて、ステークホルダーとも議論しながら、フューチャー・アースで取り扱うべきリサーチアジェンダ、研究課題について議論していくと。地球規模問題に対しましてどういう研究を進めるべきかというようなところを、ここで議論すると。
 下のほうの、緑色で書いているところがございますが、これは国際協働で取り組む、フラッグシップになるような取組でございます。既にベルモント・フォーラムというものが動いておりますけれども、これは、特にNSF、あるいはイギリスのリサーチカウンシルがリードして始まったものでございますが、少し地球規模問題に関しては国際的に協調して、重要なところの課題をピックアップして、フラッグシップになるような研究課題に共同で取り組もうという国際共同ファンディングの取組でございますけれども、こういうふうなものもフューチャー・アースの一角を占めるような活動として位置づけて、今はベルモント・フォーラムのメンバーが、こういう課題がいいのではないかということで活動が始まっているところでございますけれども、フューチャー・アースが立ち上がりましたら、この青いところの機能とも連動して動いていくようなところを構想しているというところでございます。
 それから、そのピラミッドの下のほうでございますけれども、黄色いところで、「地球規模問題の解決に向けた戦略的な研究」と書いておりますけれども、キーワードでございますトランスディシプリナリーな研究ということを進めるというふうな取組。それから、この研究自体を下支えする各国の基礎・基盤の取組、これは観測そのものでございますとか、情報の関係の活動も含み得る話でございますし、もちろん基礎研究、人材育成も入るという概念でございます。左下のほうに少し書いてございますけれども、本部がその取り組むべき研究課題というのを設定して、各国のそれぞれの取組というのをエンカレッジしていく仕組みがつくれないだろうかというのが、フューチャー・アースが考えているところでございます。この意味で、ICSUがリードしているアカデミーの話ではございますが、各国の政府で行っておりますファンディングの仕組みですとか、その方向性というところにもかかわりがございます。
 それでは続きまして、資料3-3でございます。先ほど春日先生のお話の中で、学術会議の中にもフューチャー・アースに対応する委員会を設置されるというふうに御紹介がございましたけれども、これと並行するような格好で、やはりこのフューチャー・アースに対応して、政府としてどういう方策を検討すべきかというふうな、作業部会という格好で少し集中的に議論する場を設けたほうがいいのではないかということで、今回提案しているものでございます。
 私からは、以上でございます。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、御議論あるいは御質問をいただきたいと思いますけれども、順番といたしましては、全体の枠組み、最終的には検討作業部会と、かなりディテールに行きますので、大きなほうから、できましたら御質問いただきたいと思いますけれども、何か、あるいは御意見等ございましたらいただきたいと。いかがでしょうか。

【河宮委員】  春日先生にお伺いしたかったんですけれども、このフューチャー・アースの一番の目玉としては文理の融合というか、連携というかがあると思うんですけれども、国際的なISSCにおけるフューチャー・アースの位置づけと、ICSUにおける位置づけというのは、どういう関係にあるのでしょうか。ICSUではもう相当、ICSUとしてはこれをやるんだみたいな、一丁目一番地的なところがあるんですけれども、ISSCではどういう扱いになっているかということと、あと、日本では加盟が、学術会議は少なくともなかったということなんですけれども、日本で加盟している団体というか組織が全くなかったということなんでしょうか。
 その2点です。

【春日日本学術会議副会長】  ISSCも、これは人文・社会科学ですので、経済学も政治学も入っていることになると思いますけれども、そういう学問がこのフューチャー・アースを進めていくためには不可欠であるという認識のもとで、ISSC自体では非常に力を入れて取り組まれています。事務局長のハックマンさんが、ICSU側のウィルソン事務局長とともにさまざまな会議に出られて、対等な立場でフューチャー・アースにかかわろうという姿勢を示されています。
 日本では学会の単位で、つまり団体としてISSCにどうかかわっているか、ちょっと私の把握が不十分なのですが、研究者個人個人のレベルでは、ISSCの理事にも日本人がいらっしゃいますし、研究者としては強くかかわられている先生がいらっしゃるようです。

【河宮委員】  ありがとうございます。

【安井主査】  ありがとうございました。
 どうぞ、原澤委員。

【原澤委員】  先ほどの資料3-1で、4ページ目に「トランスディシプリナリー」というキーワードが入っているんですけれども、従来、インターディシプリナリーとかいろいろな、そういったキーワードが出てきて、この場合のトランスディシプリナリーというものの意味を御説明いただければと思うんですけれども。

【春日日本学術会議副会長】  私がこれを十分に説明できる、最適な者かどうかはわかりませんけれども、学問分野だけではなくて、研究、また学術、それと、ここに書いてありますような政策決定者、また社会のプレーヤーとが協働で作業していくというところ、それぞれ領域を越えるという、学問だけの領域ではなくて、社会におけるプレーヤーそれぞれの役目を越えて連携をしていくということで、トランスディシプリナリーと書かれていると思います。
 もう一つの意味として、協働で作業する目的ですが、社会の課題を解決するという目的を達成するための取組ということが、トランスディシプリナリーという言葉のコンセプトかなというふうには考えております。

【安岡委員】  ちょっと補足させていただいてよろしいですか。

【安井主査】  どうぞ。

【安岡委員】  トランスディシプリナリーという言葉を使っているのは、日本の39の学会が一緒になっている横断型基幹科学技術研究団体連合というのがありまして、学会の連合です。ここがトランスディシプリナリーという言葉で、TRAFSTという組織名になっています。そのトランスディシプリナリーな組織をつくったときに、さまざまな議論があったんですが、一つには、インターディシプリナリーというのは、いろいろな学問分野の知識を寄せ集めるというんですか、それぞれ持ってくる、つまみ食いをするようなものがインターディシプリナリーとかいう言葉で言われていたわけですが、トランスディシプリナリーは、例えば統計学とか、いろいろな学問分野で必ず共通に使われるような方法論、モデリングもそうですし計測もそうなんですが、そういうようなものを横に連ねるというのをトランスディシプリナリーというふうに呼んでいたと。
 今、春日先生がおっしゃったように、ここのフューチャー・アースの枠組みの中でトランスディシプリナリーという言葉が使われているときには、やや組織的な意味がやはりあって、先ほどの学会連合みたいな、学問を横に連なることをするために組織的にどういうふうにしたらいいかというようなことを言うときにも、トランスディシプリナリーという言葉が使われます。ですから、後者のほうを強く意識して、ここではそういう名前が使われているのではないかなというふうに私自身は思います。
 以上です。

【安井主査】  橋本主査代理、どうぞ。

【橋本主査代理】  まず前提として、こういう課題に対して国際的な協働研究、それから協働作業というのは、大変必要、重要であります。今後、こういう問題は各国でやるのではなくて国際的にやるということが極めて本質だと思いますので、大変重要な取組だというふうに思います。また、我が国がやはり世界に尊敬される国として、こういう国際的な取組の中でリーダーシップをとるということも国策に合っているわけでして、そういう意味で主導的にやっていくということも大変重要だと思います。
 そういう中において、本部事務局の誘致というのが多分一つの核になっているのだと思いますが、これは当然予算を伴うことでありまして、そこはどういうふうに考えておられるのでしょうか。誘致しなくても、もちろんお互いに出し合ってということになるんでしょうけれども、誘致するとどれぐらいの予算が必要で、それをどうするのかということはどのような状況なのでしょうか。

【春日日本学術会議副会長】  そこは暫定事務局が発足しないと、その道筋もはっきりしない。これは誰も今のところわからない状況です。そうであれば、世界のどこの国であろうと、1年半後の予算について確定的なことを出せるわけはないと私たちも考えておりまして、早急は、早急なんですけれども、どこまで具体的な提案を求められるのか疑問だなというふうに、正直には考えております。また、暫定事務局長が決まらないと、その後の具体的な動きは実際にはとれないので、今は待っている、目の前のことを待っている。ただし、その後にどういう方たちと、どういう話をしたらいいかという準備はしておかなければいけない、そういう段階だというふうに思っております。

【安井主査】  事務局、どうぞ。

【清浦環境科学技術推進官】  私のほうから若干補足しますと、非常にまだ不確定な部分が多いというふうに聞いておりまして、ただICSUのほうの方に聞いたことがある話としては、フューチャー・アースが動いたときの事務局の規模はどのくらいのイメージを持っているのかというと、やはり20名とか、そういう単位の数の組織をイメージしていると。ただ、そんなに、非常に大規模な予算を投じるということも想定していないというふうなことは言っております。現段階でわかっているのは、それぐらいでございます。

【橋本主査代理】  20名というと、ある程度イメージがつかめますね。

【安井主査】  どうぞ。

【篠崎環境エネルギー課長】  資料3-2をもう1回御覧いただきたいのですけれども、ピラミッドのところの、おそらくお金もいろいろな議論があって、一番上の青いところ、これは例えば事務局経費とか、いわゆる機関を運営するための経費みたいなところだと思うんですけれども、今、清浦が申し上げたように、ここに対するお金というのはそんなに大規模にならずに、できるだけコンパクトにしようというのがおそらく今の、これを主導している人の基本的な考えなんだと思うんですね。それはおそらく我々だけではなくて、ほかの国も、あまり大きな事務局をつくってしまうと、今、既存の機関がいろいろあるわけで、それとの整理をどうするかという話もありますし、それから、さらに追加的なコストがかなり膨大になると、それぞれの国も二の足を踏んでしまうということになりかねないので、今の基本的な考え方というのは、あまり大きく取り上げるという話、というよりは、むしろコーディネート的な機能を中心にするのかなというような話だと思います。
 ただ、下のほうです。例えば事務局なり機関ができたときに、それを受けて、それぞれの国がどういうことをやるかとか、そのためにどの程度のことまで取り組むかというような話になると、多分下のほうになっていって、その下のほうをどの程度で見るかというのは、それぞれの国の考え方とか政策判断にもなると思うので、我々としては、そもそもこれはあまりまだ確定しているわけではなくて、何となくイメージとして、概念として今は進んでいるというところがありますから、今後の状況を見ながらよく考えていかないといけないと思っていますけれども、そういうところを眺めながら、この緑や黄色やオレンジのところをどういうふうにするかというのを、まさにこういうところも含めて、関係者の方々と議論していきたいというふうに思っています。

【安井主査】  どうぞ。

【三村主査代理】  春日先生の資料の6ページに進行表があるんですけれども、ちょっと今おっしゃった研究の中身、方向性の問題で、トランジションチームというのがあります。私、実はフューチャー・アースについてはほとんど関与していなくて、ホームページで見たりとか、いろいろEメールで回ってくるのを読んでいるぐらいしか知らないんですけれども、そのトランジションチームというのを見てみたら、IPCCで仕事を一緒にやっている人が何人も入っていて、しかも入っているのが自然科学者ではなくて、社会学者の人が入っていたりするんですね。気候変動に対する適応について我々が考えると、どうやって堤防をつくるかとか、あるいは生態系をどういうふうに守るかとかいう話なんですけれども、彼らは適応策に対してトランスフォーメーションというのが一番大切なんだと。つまりシステムの根本を変えて、将来何があっても対応できるようにするのが大変だというので、もうIPCCの中でもあまり議論がかみ合わないというか、そういうような主張をしているような人が何人も入っていて、トランジションチームがどの程度、この将来の方針提示に出すのかよくわかりませんが、例えばフューチャー・アースのようなプロジェクトを自然科学の人間が考えると、衛星でどうやってはかるかとか、そのモデルをどうやってやるかとかいう話になるんですけれども、トランジションチームのメンバーの顔ぶれを見ると、彼らがやっている議論は必ずしもそういうところだけではなくて、もっと社会システムとか、将来のそういうものをつくる戦略的な方向性は何かとか、そういうようなこともやっているのではないかなと想像しながら、そのメンバーの顔ぶれを見ていたんですけれども、サイエンスコミッティーができてから方針提示ということだと思うんですけれども、将来の研究の方針、それについて何か、こんなようなことが今議論されているのではないかとか、こういう方向も出てくるのではないかということについて、春日先生とか、あるいはこれまでシンポジウムをやられた沖先生、中身について、今までである程度わかっていることがあれば、何か教えていただければ思うんですけれども。

【沖委員】  では、少しお時間いただいてよろしいでしょうか。
 今の中身ということに関しましては、フューチャー・アースに関しては、多分、春日先生はあまり強くおっしゃらなかったですが、一番理解するのに大事なのは、4ページ目のところにあります現在走っているさまざまな地球環境に関するプロジェクト、WCRP、DIVERSITAS、IGBP、IHDPをマージするというところがまず一つ強い。その中でも、IGBPが比較的主導的な役割を担っていると私は認識しております。そうしたときに、若干、次の5ページにありますようなティッピングポイント、これは、リスク認知的には非常にみんな怖がるわけですね。怖がって、何とかしてくれというようなのを前面に出していて、トランスフォーメーション、ライフスタイルも変えなければいけない、我々は今、人類の大転換にあるのだと、非常に形而上的な言い方で物事が今、進んでいて、これはちょっと、具体的に何が行われるか。ところが、では実際のインプリメンテーションに近い文書が、今トランジションチームからできつつありますけれども、それを見ると、観測をして、モデル化して、そして社会と対話をして適正に制御するという、比較的穏やかな、今までと同じような枠組みが当然出てくるというような状況です。
 日本学術会議の大型研究に、先ほどの関連の部会から出しましたものは、私もちょっと構想を入れまして、過去150年ぐらいで人口10億人から、今70億、もうすぐ90億になる。これがまた今度は、近いうちに、早ければ今世紀中に減っていくという、人類の大転換期を迎えていると。そういうときに、人口だけではなくてエネルギー効率、都市の住まい方、食料生産の効率、いろいろなものがどういうふうに今まで変わってきて、今後どう変わりそうかというのをきちんと展望するような、まさに、ですから文理融合は目的ではなくて手段なわけですので、手段として文理融合して何があるかというと、そういう人間の暮らしに関する科学技術の累年、この100年、過去100年から150年、そして未来100年から150年のデータベースをつくって、そして適切に、では何をしなければいけないか、あるいは技術の間とのギャップを同定するとか、そういうことをやってはどうかというのを提案したつもりであります。

【三村主査代理】  ありがとうございました。

【沖委員】  もう一点補足します。事務局の話ですが、日本で、私の周りで見ておりますと、事務局そのものを持ってこようという話はあまり、まだそれを、誰も手を挙げていないかと思いますが、フューチャー・アースの中ではアジア域、先ほど申し上げたように、やはりヨーロッパが強いわけですね。今あるプロジェクトは全部、スイス、フランス、スウェーデン、ドイツに事務局があるわけです。これをヨーロッパ外に出すとは、私はあまり思えません。ただし、逆に申し上げますと、アメリカとかアジアに対してのフューチャー・アースが、国際的といいながら、ヨーロッパの中の国際で動いているわけです。ところが、やはりアジアにも展開していきたいというときに、アジア域のリージョナルオフィスみたいなのがつくれないかというようなのを日本に持ってきたいというような意向はお持ちの方がいらして、そういうものを日本に置くのがいいかどうかというのを、この委員会、あるいは作業部会で検討していただくというのがいいのではないかなというふうに思います。
 最後に、トランスディシプリナリーですが、これは、さっきの暫定事務局長に邦人1名が申請したと。その申請された方から懇々と、薫陶を受けたんですけれども、ここのコンテクストでいうトランスディシプリナリーは、一言で申しますと、インターディシプリナリーはディシプリンとディシプリンのインターであると。ここのトランスディシプリナリーは、そのディシプリンを越えたところであると、もう端的に申しますと、社会とディシプリンの連携、学と社会の連携だということでして、安岡先生がおっしゃった使い方とはちょっと違うかなというふうに思います。

【三村主査代理】  なるほどね。

【安井主査】  他にいかがでございますか。どうぞ。

【春日日本学術会議副会長】  先ほどの質問にちょっと補足します。
 ICSUそのもの本体からは、5ページにお示ししているような例がホームページに掲載されていますけれども、フューチャー・アースのアライアンスの組織であるベルモント・フォーラムが選んでいるテーマなども少しありまして、それはコースタルゾーンです。沿岸域の生態や防災、そういうものがあります。それから幾つかあります。アジアとしては、この間の台北でも具体的なテーマなどの話もあったんですけれども、そこでも防災ですとか、特にモンスーン気候を背景とした防災、それから環太平洋の地震、造山帯を背景とした防災、そしてエネルギー。そしてもう一つ、アジアらしいというところがコアバリューという、これは沖先生が、ちょっと形而上学的な議論というふうにおっしゃいましたけれども、自然に向き合うための人間の哲学といいますか、そういうところを考えたらどうかという、そういう話も出てまいりました。情報提供いたします。

【安井主査】  どうぞ。

【松橋委員】  ちょっと私は、直接専門に近くないものですからあれなんですが、イメージとしては、5ページに書かれている研究課題は非常によくわかりますし、橋本先生がおっしゃった世界全体でやっていくことも非常に必須だと思うんですが、ただ、非常に内容が大き過ぎて、おそらく予算がそれほど多くはないだろうという、何となくイメージを持つんですが、その中でこれだけブロードに広がったものをやろうとすると、とても、ちょっと難しくて、何となく、フラッグシップと書かれているものが、つまみ食いというと申しわけないんだけれども、そういうイメージになると、ほかの国際的な組織に対するインパクトとか、そういうものが難しくならないかなと。
 もうちょっとシャープに、少ない予算でできることは何かというのを戦略的に絞ってやればと思うんですが、そのあたりはいかがでしょうか。

【安井主査】  では、春日先生、お願いします。

【春日日本学術会議副会長】  私の聞いている範囲で、私の理解ですけれども、大きなプログラムを、科学的なプログラムをもっともっと手を広げてやっていこうというよりも、個別のプログラムを取り上げた際にも、その計画の仕方、実施の仕方、そしてその結果の社会への反映の仕方そのものを変えていこうと、そういう発想の転換がフューチャー・アースのポイントではないかというふうに思います。
 ですので、関係者は広くなるんですけれども、その関係者とのインタラクション自体のやり方を、手法として変えていく。そして、そのための新しいガバナンス、組織のあり方を変える、そういうことで理解しております。

【安井主査】  関委員、どうぞ。

【関委員】  今の御意見ともちょっと関連するんですけれども、私も、やはり何らかの共通の理解とか共通の目標みたいなものがないと、なかなか成果につながりにくいかなというふうに思うんですね。それで、資料3-2の組織図の中に、エンゲージメント委員会というのがございますね。ちょっとこのことで、産業界とかNPOの関係者も参画というふうに書いているので、このあたりの具体的な何かプランが進んでいるのかどうかということを、確認したいと思います。
 さっき自己紹介のときにちょっと申し上げんですけれども、WBCSD、持続可能な開発のための世界経済人会議、ここが「ビジョン2050」というのをつくって、それをもうちょっと「アクション2020」で具体化していこうという作業が、今、進行中なんですけれども、世界200社、日本からは20社ぐらい入っていますけれども、そこでまさにスウェーデンのレジリエンスセンターとタイアップをして、科学的な知見を生かしながら、共通の議論のためのプラットフォームみたいなものをつくって、分野ごとに、農業分野ですとか都市化ですとか、そういったものについて具体的なアクションに落とし込んでいくような、そのために科学的知見を生かそうというようなことをちょうどやっているんですね。
 したがって、このエンゲージメント委員会というのがどんな構想のもとに進んでいくのかということを、現状を教えていただきたいと思います。

【春日日本学術会議副会長】  現状として私がお聞きしているのは、こういう関係者で組織するということと、それから、科学者委員会と暫定事務局のほうを先にスタートさせるということだけですね。

【清浦環境科学技術推進官】  エンゲージメント・コミッティーのほうは、今、置くことだけ決まっておって、科学委員会のほうは国際公募がかかったわけなんですけれども、どのように公募して、どのように決めるのか、そもそもエンゲージメント委員会のミッションは何かというふうなところも含めて、まだ提示されていないという状態でございます

【安井主査】  杉山委員、どうぞ。

【杉山委員】  さっき松橋先生がおっしゃったことに近いんですけれども、ちょっと組織立てが複雑だなというのが、率直に、見て思っていることで、私の少ない体験から言うと、このIHDPとIPCCにはかかわっているんですけれども、特に文化系のほうの研究というのは非常に多彩で、言葉もよく違うし、考え方も全然違うしで、一種コンセンサスのようなものをつくることが非常に難しくて、そういう中で、これを共通の取組にするぞと上が決めても、それぞれの国や機関は、やはりそれぞれ違うアジェンダを持っているわけで、なかなかそっちに向かってばっと動員かかるとかいうふうになりにくいところがあって、予算をつけるところが非常にやる気があって、引っ張るぞという国が1個あれば、それでも動くんですけれども、ちょっとそれがどうなるのか。フラッグシップのようなものが幾つか動くんだけれども、その下が一体どのぐらい動くかということで、IHDPの経験で言うと、まさにそんな形だったんですね。大きなアジェンダを上の人が決めて、フラッグシップの行動にはある程度予算のめどがあって。でも、あとは、アジェンダだけあるから、みんな予算探してきてやってくださいという作りつけだったんですけれども、結局うまくいかなかったケースが多かったのではないかと、私は認識しています。
 なので、さっき松橋先生もおっしゃっていたんですけれども、何かターゲットを絞ってやるということであれば、それもありかなと思うんですけれども、今の構えだと、すごく大きいんですけれども、どこかの国がお金もたっぷりつけるというような、そういうコミットメントがないとちょっと動きにくいかなというのが、正直、今、見ている感想です。

【安井主査】  ありがとうございました。確かに、なかなかこれだけ大きな組織が絡むと、相当、確かにお金の問題は大きいですね。他には、よろしゅうございましょうか。
 大体御意見出尽くしたようでございますので、ここで決めなければいけないことが一つございますが、先ほど事務局から御提案ありました、資料3-3にございます検討作業部会の設置でございます。いずれにいたしましても、まだ、この確たる全体像がわからない段階でございますので、それに対応する形で、機動的に動ける検討会として、持続可能な地球環境研究に関する検討作業部会というものをつくらせていただきたいと思いますが、それに関しましてはいかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか

【安井主査】  はい。それでは、事務局案にありますような持続可能な地球環境研究に関する検討作業部会を設置することを決定させていただきたいと思います。
 作業部の主査というものを、ここで、一人だけ指名をさせていただいて、まだこれからでございますけれども、委員構成等につきましては、事務局、あるいは指名いたしました作業部会の主査、私と、3名で協議をさせていただいて、一応この主査の責任において決めさせていただきたいと思いますけれども、そんな手はずでよろしゅうございましょうか。

【安井主査】  ありがとうございました。それでは、そのような形で持続可能な地球環境研究に関する検討作業部会の設置をさせていただきたいと思います。
 一番重要なところでございますが、作業部会の主査といたしましては、ぜひ安岡委員にやっていただきたいと思います。

【安岡委員】  よろしくお願いします。

【安井主査】  よろしくお願いいたします。特に御反対もないようでございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次の議題に移ります前に、林委員がお見えになりましたので、自己紹介を1分ぐらいでお願いしたいと思います。

【林委員】  私は名古屋大学におりますが、もともとは土木工学が自分の出身分野なんですけれども、特に都市化とか、その関連するいろいろな影響といいますか、そういうことをずっと研究してまいりました。
 先ほどの御意見も聞いていたんですが、私は特に交通のほうで、世界交通学会という、70カ国ぐらいから1,500人ぐらいの先生たちが集まる学会がありまして、今、飛行機とか車、鉄道、船とかいろいろありますが、その全体の学術委員長をやっていまして、いろいろな影響を見ているところです。
 先ほどのフューチャー・アースも、私は安成先生とずっと一緒に仕事をしているので、もともと文理とかいうのは一緒にやるのが当たり前になっているんですけれども、お話を聞いていて、フラッグシップのことをやって、それだけで終わるのではないかという話もあったんですが、それをやらないとできないのではないかなと思います。
 それからやはり、もう一つ、私の感想なんですが、ICSUとかいうのは、私はナチュラルサイエンス系ではないので入っていないんですけれども、やはりもう一歩やらなければいけないのは、先ほどトランスディシプリナリーとはどういう意味かというのがありましたが、対社会というのがあって、その対社会というのは、現実の問題がやはりあって、そことどうつながるかというテーマをやらないと意味がないのではないかと思います。そうでなければ、またもとのところへ引っ込んでやればいいと。
 それからもう一つは、特にアジアのほかの国と一緒に、巻き込んでやるといいますか、あまりにもプレゼンスが低くて、今日も25%のあれを見直すなんて言っていますけれども、私もドーハの会議に行っていましたが、京都会議で決めたことをみずから離脱したことによって、全く信用がなくなって、プレスコンファレンスをやっても誰も来ないという、そういう状況です。2国間のいい枠組みをつくったよといっても、誰も聞きたくもないという状況ですので、フューチャー・アースのこれもうまく使いながら、やはり日本がきちんとできることというのがあると思いますので、このトランスディシプリナリーというのは、ほかの国もほとんどできていないと思いますから、ぜひこの枠組みで、その原型が一つでも二つでもできればいいなと思っています。
 以上でございます。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、ありがとうございました。議題3は終了とさせていただきまして、議題の4でございます。
 当委員会はこういう議論ばかりやっているわけではなくて、いろいろと評価等をしなければいけないので、それに関しましての議題4でございますが、事務局からの御説明をお願いします。

【山村課長補佐】  資料4を御覧下さい。本年度の環境エネルギー科学技術委員会における研究評価計画の案でございます。
 評価対象課題につきましては、まず、1としまして、事前評価がございます。これは、26年度の新規予算要求課題について評価していただくということになっております。あと、本年度中間評価をしていただく課題が幾つかございまして、ひとつが地球環境情報統融合プログラムということでございます。二つ目が大学発グリーン・イノベーション創出事業ということでございまして、そのうちの環境情報分野と、おめくりいただきまして植物科学の分野を、こちらの委員会で中間評価の調整グループを設けていただきまして、御議論いただければと思っております。
 なお、ウとエの先進環境材料分野と北極気候変動分野におきましては、事業の実施にナノテクノロジー・材料科学技術委員会と地球観測推進部会が関連が深いということで、そちらのほうでまず中間評価の原案を作成していただきまして、本委員会に報告いただき、その後研究計画・評価分科会に報告するというプロセスをとらせていただきたいと考えております。
 事後評価につきましては、本年度は特に対象はございませんので、取り決めはございません。
 以上でございます。

【安井主査】  ありがとうございました。
 何か御質問、あるいは御意見等ございますでしょうか。よろしゅうございますか。例年のやり方をほぼさせていただくということでございます。
 それでは、一応議題が4まで進んだことにいたしまして、議題の5番目でございますが、その他でございます。
 その他議題、何か事務局からございましたら、お願いします。

【山村課長補佐】  本日の議事録につきましては、後日、事務局よりメールで委員の皆様にお送りさせていただきます。修正等がございましたら、御指摘いただければと思います。最終的には、文部科学省ホームページに掲載することで公表させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、旅費・委員手当の御確認についてお配りしてございますので、御確認いただきまして、お帰りの際に事務局に御提出願います。
 今後の委員会につきましては、机上配付資料1のとおり予定しておりますので、よろしくお願いいたします。次回の第2回委員会は、6月19日(水曜日)15時を予定してございます。1週間前程度にメールなどで開催案内を御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 なお、本日、資料が大部になってございますので、机上に置いておいていただければ、後日事務局より郵送させていただきたいと思います。
 以上でございます。

【安井主査】  ありがとうございました。
 以上をもちまして、環境エネルギー科学技術委員会の第1回目の会合を閉会させていただきます。本日は大変ありがとうございました。

── 了 ──

お問合せ先

研究開発局環境エネルギー課

メールアドレス:kankyou@mext.go.jp

(研究開発局環境エネルギー課)