資料2-4 三上委員プレゼンテーション資料

「今後求められるリスクコミュニケーションの取組」について

三上直之

〇リスクコミュニケーションが「社会の各層が対話・共考・協働を通じて、多様な情報及び見方の共有を図る活動」であるなら、そうした「対話・共考・協働」の場をどれだけ社会にあまねくつくり出せるかが最大のポイントとなる、と思う。作業部会で紹介された下村健一氏の言葉を借りれば、そのような場を「普段化」していくことがまさに求められている。
〇そのための一つの取り組みとして、来年度からの事業にも一部含まれるが、地域レベルでの小規模な「対話・共考・協働」の場を、少なくとも数年単位で継続的に支援していくことが、やはり効果的ではないか。
〇作業部会で報告された事例の中で言えば、「津波避難に関するアクションリサーチ」(矢守克也・京都大学教授)や「介護予防の町づくり」(西條美紀・東京工業大学)などのような地域に密着した取り組みの中に、リスクコミュニケーションを「普段化」し、あまねく行き渡らせていく可能性がある。北海道でも、北大農学研究院の研究者らを中心に、BSE問題やGM作物に関して、消費者や生産者、流通業者、行政、報道関係者などを集めた対話の取り組みが、JST-RISTEX等の支援により続けられている事例がある。
〇直接に支援の対象とできる取り組みの数や分野をできる限り増やすとともに、得られた経験を蓄積、発信する活動も支援の枠組みの中に含めたい。それにより、リスクコミュニケーションの考え方や実践の方法が、自治体・NPO関係者、報道関係者を始めとする各層に共有されることが期待できる。
〇対話・共考・協働の場を組織する中心となる主体はだれかというのも、重要なポイントである。各ステークホルダーと一定の距離を保ちつつも信頼関係を築き、継続的に場の企画運営にあたることのできる組織・集団を、ケース・バイ・ケースで支援していくことが望ましい。作業部会での西條教授の報告にもあったように、大学やそこに所属する研究者はその役目を積極的に担うべき立場にあると考えられるが、課題や状況によっては学会やNPO、自治体などが担うことが適当な場合もあるだろう。
〇いずれの組織が担うにせよ、来年度からの事業で取り組まれる人材育成と連動し、輩出される人材が即戦力として活かされるようにすべきである。

 

 

 


 

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