原子力科学技術委員会 もんじゅ研究計画作業部会(第10回) 議事録

1.日時

平成25年7月16日(火曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省東館3階1特別会議室

3.出席者

委員

山名主査、稲田委員、大島委員、笠原委員、北田委員、黒崎委員、永井委員、村上委員、山口委員

文部科学省

藤木文部科学審議官、川上政策評価審議官、田中研究開発局長、田中研究開発局審議官、増子原子力課長、西條核燃料サイクル室長

オブザーバー

廣井日本原子力研究開発機構理事、安部日本原子力研究開発機構次世代原子力システム研究開発副部門長、佐賀山日本原子力研究開発機構理事長補佐

4.議事録

【山名主査】定刻となりましたので、ただいまから第10回もんじゅ研究計画作業部会を開催いたします。本日は御多忙中にもかかわらず御出席いただきまして、誠にありがとうございます。撮影希望の方は、今お願いいたします。それではまず、7月8日付けで田中研究開発局長が新たに就任されておられますので、御挨拶をお願いいたします。

【田中研究開発局長】ただいま御紹介をいただきました田中でございます。よろしくお願い申し上げます。先生方におかれましては「もんじゅ」の研究計画というところで大変難しく、しかも将来の日本にとって大変大きな課題である事柄について、ずっと御検討をいただいております。私は机の反対側にしばらく座っておりましたけれども、7月8日付けでこちら側になるということになりました。「もんじゅ」のみならず、日本の原子力政策はなかなか難しい時期にあるということは正直なところだと思います。日本のエネルギー政策あるいは科学技術政策の屋台骨として私も全力を尽くして、ここに取り組んでいきたいと思ってございます。先生方におかれましては、しばらく「もんじゅ」についていろいろと御指導いただきたいと思ってございますので、よろしくお願い申し上げます。

【山名主査】それではこれから議事に入りたいと思います。本日の議題はお手元に議事次第が置いてありますが、「もんじゅ」等の研究計画についてでございます。議事に入る前に事務局から出欠の確認と配布資料の確認をお願いしたいと思います。

【西條核燃料サイクル室長】はい。それでは出席の確認と配布資料の確認をさせていただきます。本日は大島先生が前の会議が長引いているため、遅れての出席との御連絡を頂いておりますが、そのほかの先生方、8名の委員の先生方に御出席いただいておりますので定足数を満たしております。本日の配布資料の確認をさせていただきます。お手元の配布資料ですが、資料1といたしまして、国際協力の下での高速増殖炉/高速炉サイクルの研究開発について。これは前々回の第8回の会合で積み残しとなっていたものでございますが、そのときと同じ資料でございます。資料2といたしまして、廃棄物の減容・有害度の低減のためのシステム概念と研究開発課題。こちらも前々回の第8回で議論いただいた内容ですが、そちらも踏まえ、特に宿題事項などを加えて修正した資料となっております。それからもう一つ、参考資料1といたしまして、日本原子力研究開発機構改革本部(第2回)配布資料の抜粋という形でお手元に用意させていただいております。それからいつものとおり、青いパイプファイルでこれまでの第1回から第9回までの資料を席の方に置いてありますので、適宜御参照いただけたらと考えております。資料の欠落等ございましたら事務局の方までお知らせください。また議事の途中でもお気付きの点がございましたら遠慮せず申し付けください。それから本日は一般の傍聴者の方から会合の模様を収録してユーストリームを使って配信したいという御相談がありましたので、もんじゅ研究計画作業部会公開の手続に基づきまして会議の妨げにならないことを条件に固定カメラで録画を許可しておりますので御了承ください。以上でございます。

【山名主査】それでは本日の議事に入りたいと思いますが、その前に前回議論いただいております、原子力機構の体制問題の取扱いについて、原子力機構改革本部の検討の状況を事務局から御説明いただきたいと思います。室長、お願いいたします。

【西條核燃料サイクル室長】はい。それでは御説明させていただきます。お手元の参考資料1、これは7月4日に開催されました、第2回本部会合の資料を参考資料として配布しておりますが、こちらを参照しつつ御説明したいと思います。前回6月12日ですが、第9回の作業部会におきまして「もんじゅ」の研究開発体制、運転管理体制の在り方について議論をいただきました。その際、事務局の方から説明させていただきましたように、この大臣をヘッドとする本部の下に、丹羽大臣政務官をヘッドとする日本原子力研究開発機構改革タスクフォースを設置しております。こちらの方で適宜有識者の方からヒアリングを実施するということについて前回御説明させていただきました。前回の6月12日に先生方から頂いた御意見、御指摘等を取りまとめまして、第3回、参考資料の1枚目の検討状況についてのところがございますが、第3回のタスクフォースが6月21日に開催されまして、こちらに山名主査に御出席いただきまして、頂いた御意見、御指摘事項を含めタスクフォースの方に御説明いただいたという形になっております。タスクフォースですが、第2回の本部会合の前に5回、開催しておりまして、その5回開催した内容、本部会での御意見も含めてタスクフォースでの御指摘事項を本部に提示しました。提示した資料が2枚目以降になっております。2枚目以降のタスクフォースにおける有識者からの意見ということでございますが、主には3ページ目のところに「もんじゅ」の運転管理体制の見直しというところに、頂いた御意見を反映しております。それのみならず1ポツ、1ページのところの業務運営から最後のページになります6ページまでの、国としての課題につきましても適宜先生方からかなり広い御意見を頂いておりますので反映させていただいているという状況になっております。今度、こちらの方につきましては、最後のページをお開きいただきますと、今後の審議のスケジュールということで書いております。第2回7月4日本部を開催したところでございますが、次の第3回、7月下旬でまだ日程が具体的には決まっておりませんが、安全を最優先したJAEAの業務運営体制の在り方ということで、特に「もんじゅ」の運営管理の抜本的改革というところで議論を集中的に行う予定としております。こちらの方に、タスクフォースの御意見等も、本部会の御意見を含めて、御報告し議論をしていただくという形になっております。またこのような議論の様子につきましては、適宜こちらの部会の方にフィードバックしつつ進めてまいりたいと思います。以上でございます。

【山名主査】それでは本日の審議に入りたいと思います。まず審議の1ですが、国際協力の下での高速増殖炉/高速炉サイクルの研究開発について、でございます。それでは原子力機構の佐賀山理事長補佐から15分程度で御説明をお願いします。

【佐賀山理事長補佐】はい。それでは資料1に基づきまして御説明いたします。内容的には最初のページにございますように、主要国の開発計画と「もんじゅ」で採用されたループ型の技術を確立する意義、「もんじゅ」を用いた協力項目の検討ということで3種類の内容になっています。
最初のページをめくっていただきまして、主要国の高速炉開発計画ですが、簡単に申し上げますと、一番我々の身近にあるのはフランスです。フランスはフェニックスで30年以上にわたる原型炉の運転経験を積んだ上で、ASTRIDという実証炉、予算等の関係でプロトタイプ炉と呼んでおりますが、実質的な実証炉です、 これを2025年に運転開始するべく、現在2013年から概念設計というフェーズに入りまして、これを3年間実施した後に、基本設計、建設に向けた判断を2019年の段階にいたしまして、その後建設をしていくという計画になっております。「もんじゅ」を用いてASTRIDに使う燃料の照射試験ということについて、是非やってほしいという要望も出されてきております。これがフランスの状況です。
 ロシアに関しては、これまでBN-600というものが原型炉で運転されていましたが、それに続くBN-800、これはBN-600のデザインとかなり類似の、余り大きな革新性を持っていない概念なのですが、これを実証炉として作るということを長年にわたってやってきて、経済的な理由で中断したりしましたが、2014年には運転開始にこぎつけるというところまできております。その後、これに続く商用炉としては、一番下にあるBN-1200というものが計画されております。これは既に概念設計に入っておりまして、2025年に運転開始するべく120万kWの出力のもの。これはロシアの方もGenⅣリアクターというふうに呼んでいまして、福島事故等のいろいろな安全対策の強化なども加味しながら作っていこうと考えている炉です。間にあるBOR-60やMBIRはデミトロフグラードにある実験炉、多目的用の実験炉です。こういったような計画も併せて進めているのがロシアでございます。
 その次のページで、インドでございます。インドに関してはラプソディというフランスのループ型実験炉を輸入して、それはFBTRというものですが、長年20年以上にわたって運転をしてきたわけです。これは独自に運転をしてきました。これに続く原型炉のPFBR、50万kWのものを、これも2014年には運転開始になるということになっております。インドはこの50万kWのPFBR、これもやはりやや古めのデザインで、安全対策等が必ずしも今のものにマッチしていないというふうに認識されておりまして、これを少し改良した形で商用の50万kW、同じ出力のCFBRを作っていきたいというふうに考えているようです。これに合わせて、まだ研究段階ではありますが、CFBR、PFBRで用いるMOX燃料ではなく、金属燃料で、よりブリーダーとしての機能を高く持った炉を作るといったところを一つの開発のターゲットに置いて、二つのタイプの炉の開発を実施しているというのがインドです。
 それから中国ですが、中国はCFERという実験炉がこの間臨界に達して、グリッドへの編入まで成功させました。今、燃料の製作が予算的な問題で追いつかず、やや停滞しています。これもじきに運転が順調に開始すると思います。これに続く炉として、実証炉を、自国開発という道とロシアからの輸入という二つの道を選択していまして、それをここでは括弧書きでしか書いてありませんが、両方の計画が並行して進められています。ただ、今、中国はいろいろなタイプの炉の開発を並行して進めている中で、予算的な意味での制約もあり、どちらにするかいずれ検討が行われると思います。現時点では両方進めていく、そして2030年頃の実用化を目指すということでやっています。中国でも同じように金属燃料の開発を、併せてやっております。
 韓国はこれまで炉は持っておりませんが、アメリカのPRISMという小型炉のコンセプトと独自でこれまで開発してきた2次系以降のシステムの概念を合わせてPGSFRという15万kWの概念を2028年の運転開始を目指して開発するということで、今、概念設計を実施しているところであります。
 このように世界の方は福島の事故等がありましたが、フランス、ロシア、インド、中国、韓国という、それぞれの高速炉ないし高速増殖炉の開発を目指している国々は順調にその開発を進めているというような状況でございます。
 次に「もんじゅ」で採用されたループ型の技術を確立する意義ということで、ループとタンクの概念を御説明して、両者の間にどんな違いがあるかということを簡単に御説明します。5ページ目にループ型とプール型がございます。日本以外の国々は全てプール型を採用しております。一言で言うと、プール型というのは1次系の原子炉容器の中に、1次系のシステム全てを収納しています。大きなタンク、容器の中に収納されているという格好です。これは、耐震性の観点で、仮に容器が非常に大きくなりますと、地震条件が厳しくなって、容器の板厚を増やさなくてはいけない。 直径が増えただけ肉厚も増やさなくてはいけないということになります。そのために、厚肉容器の大型容器の溶接がうまくいくかどうかが一つの大きなポイントになります。プール型の方がループ型よりも経済性が優れているというのがこれまでの世界的評価で、おおよそ1割くらい建設費が安いというふうに言われてきています。一方、日本の方では、耐震性の条件が厳しいこともありまして、ループ型の方が、より適合性があるということで、これを更に経済性を高めた革新的なループ型、先進ループ型と呼んでいます。こういう形を採ることによってプール型に劣らない、タンク型に劣らないような経済性を有するループが完成できると我々としては考えております。その見積りをしております。
 6ページは具体的にどういう違いがあるかということです。一言で言いますと、一長一短あります。余り優位な歴然とした差はありません。安全性に例えて言いますと、安全性に関してはそれぞれ安全設計要求を満たすように作ります。そういう意味で大きな特徴はありません。あえて言えば、プール型というのは大きな容器の中に、たくさんナトリウムを封入した形でシステムが構成されますので、グレース・ピリオド、全体の温度が高くなるまでの時間的余裕があります。一方ループ型の場合は原子炉容器と中間熱交換器は当然離れて設置されます。高低差をつけやすいということで、自然循環駆動力を大きく取れるというメリットがあります。ただし原子炉容器の中にはナトリウムの量が少ないですので、そういった意味でのグレース・ピリオド、ループ全体が生きていないような、原子炉容器だけになった場合にはタンク型よりも小さくなってくるということになります。構造健全性等に関してもここに書いてありますように、○と△で少し優劣を出しました。こういうそれぞれの特徴があります。保守・補修性という観点でもそうですね、アクセス性はループの方が、原子炉容器の中が非常に簡素ですからアクセスしやすいです。中間熱交換器とかポンプを簡単に引き抜くことによって取り出すことができるというタンク型のメリットもあります。製作・建設性に関してもそうです。一応、経済性は元々、プール型の方がループ型に比べて安いと言われましたが、先進ループ型炉にすることによって、つまり2ループ化をするとか、ポンプとIHXを一体化する、集中化をするなど、そういう形によってコストの削減が図れましたので、経済的優劣はほとんどないというように言えると思います。
 その次のページで、プール型、ループ型のシビアアクシデントの観点で追加しました。安全性で例えば自然循環駆動力が非常に取れると先ほど申し上げた点、それからプールの方はグレース・ピリオド、時間容量が大きくなるという点。それに加えて、ループの場合ですと炉内に全てを持っているわけではありませんので、原子炉容器の外側にある計装設備でいろんな状態を知ることができるということにも使える可能性はもちろんあると。やや優れているかなと。多少手前みそなところもありますが、そういった面も出てくると思います。しかし、基本的に軽水炉でいうPとBのような大きな違いがあるわけではなくて、1次系を一か所に集めているか、それとも部分部分で少し集中化をしたような先進ループにするかということだけですので、そういった意味での違いは、それぞれの特徴はありますが、余り大きな違いはないというように言えると思います。
 8ページは、それぞれの炉の共通性です。先ほど申し上げたように、1次系の部分が違うだけで、その1次系を除いた炉心、炉を止める停止系、燃料取扱い系、材料などに関しては基本的に大きな違いはありませんので、ほぼ共通の技術を選択することは可能であります。ただし、設計はそれぞれデザイナーのチョイスがありますので、そういった意味で、国によってそれぞれ少しずつ特徴的な違いがあったりするのも事実です。ですが、例えば炉心技術ですと、フランスと日本の技術はかなり類似していて、燃料に関してもかなり類似の技術が使われてきているのがこれまでの歴史です。そういった意味での共通に協力しあうところはかなり多くあり得るというように言えると思います。
 「もんじゅ」を用いた協力項目の検討で、9ページ目以降に「もんじゅ」の試験等でどういうデータを得るのかということを少し解説いたしました。
 「もんじゅ」の性能試験で取得するプラント関係データですが、ここにあるように「もんじゅ」にはいろんな計測点があります。原子炉容器の出入口、炉心の出口、流量、圧力、ナトリウム液位、外側にある中間熱交換器、蒸気発生器の出入口温度等々、圧力等も含めて流量等の計測器が設置されているわけです。ですからこういったそれぞれ計測点のデータ、プラントの出力変更、トリップ、自然循環、そういった性能試験の中で多くのデータを得ることができます。特に燃料集合体出口温度というのは、全集合体についておりますので、炉心の出口温度の挙動等は特にループ、タンクとは基本的には関係ありません。プラントをトリップしたときに、温度成層化が原子炉容器の上部で表れますが、そうした特色を持った応答を原子炉容器の出口で捕らえることは当然できるわけです。それらの点は、ループですから、原子炉容器の大きさに伴う応答時間に違いがありますが、そういった意味での特色は得ることができて、それはいろいろな意味でのプラントの特性分析に共通的に使うことができるということは言えると思います。
 11ページは、どんな試験をやるのかということです。プラントのトリップ試験は原子炉全体をトリップさせるものです。出力変更試験はステップ応答試験と言って、いわゆるプラントの応答を見る試験です。最近の原子炉は1次系と2次系の流量を可変流量制御といいまして、出力に合わせて増やしたり減らしたりすることをします。どうしてやるかと言いますと、原子炉容器の出入口温度差、「もんじゅ」は今、132度の温度差で実証炉だと150度近い温度差を取ろうとしています。この流量を可変にすることによって温度差を一定にすることがほぼできるので、熱荷重を軽減できます。フランスのスーパーフェニックスや「もんじゅ」などのプラントでは流量を可変にすることによってプラントを運転するやり方になっています。このやり方では、原子炉の出力制御、12ページの下にありますが、原子炉出力制御系と主蒸気の温度圧力制御系があります。これは出力指令によって1次系と2次系の流量を変化させたときに、それに追随するように原子炉出力を変えていく制御の仕方です。このやり方は火力発電の協調制御方式と同じです。こうやることによって熱荷重を減らしつつプラントの負荷変更要求に対して非常に迅速に応答できるようにするというような制御方式を採っております。プラントの応答特性は、出力を上げた場合下げた場合で少し異なりますので、そういったところもチェックできます。この応答はループ型の特性ですが、タンク型でも通常出力運転の領域では同じような応答をしますので、そういった意味でその辺りの特質を得ることができるということになります。負荷喪失試験というのはタービンの発電機側からの外乱で出力を50%くらい急激に下げるというようなときに、全体をトリップするのではなくて、ゆっくり5%/分くらいの出力スピードで下げてやることによって、その負荷に追従できるようにするというような試験で、「もんじゅ」で計画されています。
 13ページは自然循環の除熱試験です。これはこれまでも説明させていただいています。プラントをトリップしたときの自然循環挙動を見る。これはナトリウム冷却炉の場合、できるだけ大型の設備でやることが非常に重要な試験になります。「もんじゅ」のような大掛かりな設備でやるというのはそれなりの意味があるということになります。
 14ページは、蒸気ブロー特性です。プラントによっていろいろな考え方があります。プラントをトリップしたときに、蒸気発生器での残留熱の除去ではなくて、崩壊熱除去系という空気冷却器による除熱に切り替えることが普通やられています。そうしますと、蒸気発生器の中に高温のナトリウムが残ってしまいますので、短時間で再立ち上げできないということになります。そのため、蒸気発生器の温度を下げる工夫がなされています。「もんじゅ」の場合はブロー除熱ということでこの温度を下げます。今、ASTRIDなどではこれと同じやり方を検討しております。そういった意味でこういった「もんじゅ」のブロー除熱の特質が参考になるというようなことが言えると思います。簡単ですが説明は以上です。

【山名主査】はい、ありがとうございます。最初に確認したいのですが、今、協力項目の検討ということで「もんじゅ」で採れるプラントデータあるいは特性の確認の説明を頂きましたが、それらの項目は国際協力の下でやることに意味があるということをおっしゃったわけですか。

【佐賀山理事長補佐】そうですね。あの国際協力にはもちろん「もんじゅ」燃料照射などそういったところももちろん意味がありますが、こういった試験の結果もそれなりに十分活用し得るデータだと思います。

【山名主査】それでは、この件について御議論いただきたいと思います。どなたからでも結構ですから御意見等ございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。

【山口委員】大分、整理していただいたとは思いますが、一つ、ループ型の特徴ということで整理していただいた話で、この前、お話したポイントは多分7ページのシビアアクシデントの観点からの追加というところなのだと思います。まだここに書いてある話は自然循環特性の話と計装監視の話なのです。それはもちろんビヨンドデザインベースの話ではありますが、今、第4世代炉に求めようとしている安全性を「もんじゅ」でどれだけいろいろ見られるか、あるいはループ型炉がどういう特徴を持っているかという観点からは、まだこの点ちょっと不十分だと思います。例えばもう少し、深層防護的な観点で、アクシデントマネジメントでどういうことをやるかという観点で、それはもちろん除熱もそうですが、例えば液加工はどちらが有利かとか、ソースターム挙動はどちらにどういう特性があるか、漏えい時の格納容器への影響はループとタンクと比較してどうかとか、その観点を追加していただく方が、ループ型とプール型の特徴はもう少しクリアになると思います。今、第4世代炉に、今までこの中の議論でも冷却材バウンダリの多重故障だったらどうかみたいな議論もちょっと出たりしましたが、そういうものに対する耐性がどちらになるのかということがもう少しクリアになると思います。今のところは、結局見る限りではそんなに大差ないと。それはデザインベースに非常に近いところを見ているからであって、そうすると耐震性や経済性という観点から、あるいは各国が最初にやっている国に方式を追随するという観点からこういう旗の色分けになってしまうと思います。この中でどこまで詰めるのかというのは別にして、もう少し「もんじゅ」の利用を考えるときに、ループ型炉が今まではデザインベースとしてではなかったけれど、例えば今度重大事故対策が規制基準の要求として見られるわけであって、そういう中でどういう特徴があるかということを7ページに今、自然循環特性計装監視で整理されていること以外について、もう少し多面的にどこかで見ておかれることが良いのではないかというふうに思いました。それが一つです。細かな話になりますが、「もんじゅ」の運転という中では、比較的ここに書いてある話の中では熱過渡の話が非常にデータとして貴重だろうと思います。6ページになりますが、熱過渡のところを、構造健全性、2番目の欄で、プール型は熱容量大のため熱過渡荷重が小と。確かにそれはナトリウムの容量が大きい小さいというのをダイレクトに書いてあります。本当に運転したときの熱過渡の問題は、ミキシングが完全にできると考えたら熱容量が大きい方が有利であるという話です。実は運転してみたときにどういう温度分布があって、どういうところに温度変動が出ているとか、そういうデータがきっと採れると思います。そこのあたりはちょっと分析していただいたら良いのではないかなと思います。ループとの比較ということで少し意見です。

【山名主査】佐賀山さん、いかがですか。

【佐賀山理事長補佐】はい。まず、アクシデントマネジメントですが、安全性のところです。アクシデントマネジメントという観点で見ますと、クーリングという観点でありますと、タイプによって多少違いはありますが、例えばスーパーフェニックスですと「もんじゅ」と同じようなエアクーラーが2次系についていました。ですが現在のASTRIDの設計だと1次系の方のクーラーという格好になっている。それからSGを用いた除熱という観点ですと「もんじゅ」と同じ、ある意味外側の冷却でやるということが計画されています。アクシデントマネジメントのタイプの違いはある程度言えると思います。優劣という観点では、ある意味少し大きな差に必ずしもならないかもしれないなとは思います。ただ、おっしゃるように整理して分かりやすくした方が良いとは思います。それから格納容器ですが、「もんじゅ」は非常に大きな鋼製の格納容器を使っています。例えばスーパーフェニックスはトップドームと言われるものとガードベッセルが第1の格納バウンダリになっています。その外側にコンファインメントバウンダリを持っています。現在ASTRIDのデザインも、そこをどういうふうにするか、つまり二重容器破損まで検討対象としています。つまり「もんじゅ」で溶融貫通して外に出てしまったという、そこまで考えるようになると、そのコンファインメントのレベルで良いのかどうかという議論もあります。一概にループ、タンクの違いというよりは、いろいろな考え方を整理することが重要で、「もんじゅ」の結果はそういう意味では非常に役に立つわけです。溶融燃料が原子炉容器の外に流出してコンクリートと反応し、水素が出るという現象が起きたとしても、大きな格納容器で水素の爆発が起こることはくい止められる、また溶融燃料の溶融貫通があるところでちゃんと止まるということを示すことがあります。そういった意味での特質、「もんじゅ」が持っている特質、それを基にした安全設計のフィードバックのデータはうまく活用し得るデータとして提供できるだろうと思います。その辺りはソースタームの挙動と併せて整理した方が良いかと思います。
 熱過渡の点ですが、ここはある程度は意識したつもりではあります。プラントをトリップしたときにループ型とタンク型の何が違うかというと、配管の有る無しの違いのところだけです。ホットプレナムのところで温度成層化現象が起きて、その温度成層化現象の程度はタンクの方が原子炉容器が大きい分だけやや軽いです。ややですが。コールドプールの方、つまりIHXの出口のところでも同じようにコールドショックが起こることになります。そこでも温度成層化は起きないかという議論が当然あります。タンク型の方がナトリウムプレナムとしては大きいことは大きいですが、そこの温度成層化現象はそれほど顕著なものが起きるとは現在は考えていません。そういった意味で余り大きな差にはならないと思います。ループ型の配管はむだ時間系 になってしまうので、ミキシングには余り寄与しないという形になります。そういう意味での荷重条件の違いをもう少し丁寧に整理しておけば良いかなと思います。「もんじゅ」であるが故に、ループであるが故に、非常にメリットが出てくるということは必ずしもないかなと思います。以上です。

【山名主査】はい。ほかにいかがでしょうか。はい、村上委員どうぞ。

【村上委員】ありがとうございます。この資料で、6ページになります。プール型炉と比較してループ型炉の特徴ということで、プール型と先進ループ型を比較してあります。とても基本的なことですが、「もんじゅ」は先進ループ型ではありませんよね。言葉はちょっと悪いかもしれませんが、プール型としては現在運転中、かつて運転中だったフランスのフェニックスやスーパーフェニックスとか、かなり大型炉も含めて実績のあるものについて特性を述べている一方、先進ループ型炉というのは世界のまだどこにもなくて、これから作るとしても恐らく「もんじゅ」の技術を引き継いだ日本の実証炉ないしは商業炉だけになるだろうというので、既設炉であるプール型とこれから研究開発をして実用化していく段階の、いわば概念だけの比較であるという点で若干アンフェアの気がします。これから「もんじゅ」の研究計画を策定していくに当たり、世界的に国際社会に対して「もんじゅ」でどんなデータが採れて、どのような特性が確認できて、それで今後どのようなことに生かしていけるかを考える場合には、やはりまず「もんじゅ」の特徴としてどのようなことがあるかを挙げていただきたかったと思います。そうしますと、先進ループ型として挙がっている特徴の中で、多分今の「もんじゅ」ではどうか、という点があると思います。まずそこを明確にしていただきたいと思います。「もんじゅ」ではまだ若干の課題があるが、先進ループ型炉では恐らくはその点が解決、前進しているだろうという項目を少しはっきりしていただきたいというのがあります。具体的に私が思いますのは、例えば保守・補修性のところで、これも昔からタンク型炉は原子炉容器に何でもつっこんであるので、例えばポンプが壊れた、ちょっと見てみたいと思っても、いちいち原子炉容器の蓋を開けなくてはいけない。その点ループではポンプと炉容器が別なので、炉容器の蓋を開ける、アクセスする必要がないというので保守・補修性に優れているというのがごく一般的なことでした。一方で中間熱交換器の補修時には配管の切断が必要など、そんなことが書いてあります。これはちょっと「もんじゅ」ではどうなのだろうという気がします。あと気になったのは、経済性と製作・建設性について比較をしてありますが、経済学研究者の立場から言いますと、たしかに建設コストの数値はここに書いてあるとおりコンパクトで小さくて物量の点数などが少ないという点に左右される面もございますが、それより何より、建設工期に左右されるところが大きいです。すなわち工期が長かったらその分、物量が少なくてもお金がかかってしまいます。この経済性についても、一般的にプール型の方が集中配置で簡素で、建屋が小さく、物量が小さくて安いと書いてありますが、これはちょっと一概にそう言えない点があるので、「もんじゅ」でも先進ループ型炉でもどうなのかということについて、この表現はやや厳密性に欠けるような気がします。以上です。

【山名主査】佐賀山さん、何かコメントはありますか。

【佐賀山理事長補佐】はい。確かに、ここでは先進ループという形で比較をしましたが、「もんじゅ」ということでワンクッション入れて、もしやるとした場合について、簡単に御説明しておきます。最初の安全性のところでは1次系、2次系ともバウンダリ2重化によりナトリウム対策を強化とありますが、「もんじゅ」は1次系は2重化されていますが2次系はされていません。そこの部分は多少違いがあります。中間熱交換器の点で配管の切断が必要とあります。これはインプレース補修する場合は別ですが、「もんじゅ」で取り出してやろうとすると配管切断は必要になってきます。製作・建設性のところでポンプ組み込み中間熱交換器が先進ループ型にあります。これは「もんじゅ」の場合は当然独立しておりますので、この△はなくなります。それから経済性の点で村上委員のおっしゃったように、工期が短くなければ大したことがない、というのは確かにそうです。一応、私が申し上げたのは、世界的なアメリカやヨーロッパでの建設コスト、製作も含めて、一般的にも公表されているデータ的に見て、そのくらいの差がありますよということを申し上げました。そこはそれなりの分析を付けた形で表現し得ると思います。先進ループの方ですと遜色ないと思っていますが、「もんじゅ」の場合のようなコンベンショナルループ型炉というのはどちらかというとプール型と比べるとやや高めになっているというのが実態であろうと思います。

【山名主査】はい。山口委員何か。

【山口委員】先ほどの私のコメントは国際協力で「もんじゅ」でデータを採るときに頭から「もんじゅ」はループ型なのだからうちは関心ないと言われる話があるわけですね。そうするとループ型とプール型に共通のような試験やデータならば一緒にやっても良い、とくるわけです。今の最後のまとめで幾つかの制御性、運転性の話は共通だから関心があるよという話で、これはこれとして重要な国際協力の項目だと思います。もう一つはループ型と取られる知見だけれどプール型にも実はよくよく考えると参考になるよ、ループ型もシビアアクシデントへの耐性という観点から考えるとR&Dをやっておいても価値はある、という観点などがあると思います。私がループとプールを整理してみたら良いのではないかと申し上げたのは、こういう例えばなになに性はどちらが○でどちらが△という表を付けるよりも、今までのR&Dの実績を見たら、日本との評価でもループ型炉でもプール型炉でもどちらでも遜色ない設計が何とかできますという結論だったと思います。今、新しい安全に対するいろいろなリクワイアメントを考えると、ループ型というのは、プール型炉に比べて、非常にコントローラビリティがあって、マネージャブルなシステムです。「もんじゅ」でも炉容器でナトリウムの量は700トンくらいです。プールで作ると2,000トン、それ以上になります。そんなことやアクセス性などをいろいろ考えると、本当に今考えるシビアアクシデント耐性を含めるとループ型炉は魅力的なコンセプトで、いろいろ研究開発の価値があるということになれば、今、プール型をやっている国であってもニーズ、ものによってはループ型の方が適しているというものがあれば、もっと国際協力で関心を持つデータなりが広がってくると思います。私の、特にシビアアクシデント耐性、そういう面で比較してみたら良いのではないかというのは、頭から「うちはプールをやっているんだよ。「もんじゅ」はループなのだからループでうちに使えるデータというと熱流動特性だ」とそんな話に終わらないようなテーマを提案していただけるのを期待して少し比較してみたらというふうに思っていたのです。そういう観点でお願いしたので、一つ一つの項目をどっちが優れると丸を付けたら、あるところはこっちが優れてあるところは反対だとなってしまうので、それより先ほど申し上げた観点の方に意味があるのではないかと思います。

【山名主査】はい、佐賀山さん、今の御意見の趣旨は。

【佐賀山理事長補佐】はい、理解いたしましたが、ちょっと何か工夫してみたいと思います。かなり共通のところも確かにあることはあります。ループの方が良いね、ということを言うという意味でもないのですよね。

【山口委員】必ずしも、みんなでループをやってくれということではなくて、「もんじゅ」で採れるデータでプールでも非常に役に立つね、という領域は、今すぐではありませんが、実はもっと広いと思います。こういうまとめ方でしたら、これからすぐ国際協力にアウトプットをどう使うということが余り出てこないのではないですか。もう一工夫、どうすれば良いのかをまた考えてみたいと思います。是非その辺りは、そういう目でやっていただく方が良いと思います。

【佐賀山理事長補佐】分かりました。ちょっと考えます。

【山名主査】はい。検討してください。それでは、稲田委員お願いします。

【稲田委員】この資料を見せていただいて、プール型とループ型の比較があって、その中で安全関係もいろいろなデータを海外で使ってもらえるのではないかと理解しました。つまりループ型とプール型はそんなには違いませんよ、ですから海外でも使ってもらえるのではないですか、というトーンでお伺いしました。ここで以前からどういう議論があったのかを見返しながら、質問させていただきます。国際協力という観点ではいろいろなほかの項目も確かあって、そういうものについてどういうふうに考えて、これだけというのか、むしろプールとループの違いのところが今、目立ってきているから、国際協力がなかなかしづらい面があるのでここを抜き出したと見るのか、どちらでしょうか。その辺りの位置付けが今一つ分からなかったので教えていただければと思います。もう少し幅広に考えるということはできないのでしょうかという質問です。

【山名主査】佐賀山さん、いかがですか。

【佐賀山理事長補佐】国際協力をやるときに、あるものを使って照射するということは当然できます。プラントを作るということ、運転してデータを採るということ、照射という形で利用するというのと、大きく分ければその3種類に 分かれると思います。照射は当然、どんなものでも同じなので良いとして、運転するということになったときに、運転の基本特性、そういうところはさっき申し上げたようなやり方で考えていくと、かなり類似性が持てるはずです。作るとなったときに、そこでループ、プールの構造健全性や保守性などとの連携が出てくると思います。作ることに関してでは、コンポーネントの基本的な特性は同じで余り変わらないが、設備への当てはめ方が異なります。そこにきたときには、協力といったときに、やはり基本特性は同じだけれど実験炉を作って、商業炉を作る、ある意味その違いのような感じです。基本特性は同じだけれども実際に作ろうと思ったものは大分違うというようになってきます。そこにきてどうしても差が出てきてしまうということが多分あると思います。ただし材料までに分解すれば同じですが。メンテナンスの仕方に関しても、基本技術は同じですが、ループの設備のメンテナンスの仕方とタンクのメンテナンスの仕方は当然、やり方や手順、使う技術も微妙に違ってくるということはあります。その辺りを少し整理できるともう少し分かりやすいのかもしれません。

【稲田委員】全体像をもう少し見せていただいた上で、論点をこうだからこれを議論しているというように御説明いただけると分かりやすかったかなと思います。

【山名主査】多くの委員が、何かそういうことを感じている気がします。ほかに。笠原委員お願いします。

【笠原委員】少し似ているオーバーホールの話が1点と個別の具体的な話が一つです。一つ目は、最初に2ページや3ページで各国の状況の説明があり、ループ、タンクの話になりました。最初の各国の年表の話が、こうなっていますよというフラットな御説明だったのですが、本当は現時点というところを見ますと、今動いているのは「もんじゅ」とBN-600くらいしかなくて、そういう中で貴重な「もんじゅ」は現状で動けるものであるということと、この先「もんじゅ」の次に各国でいろんな計画があって、「もんじゅ」のデータは日本の実証炉だけではなくて、受皿として何種類かありそうだという、そういう文脈の中での「もんじゅ」はどうかという話ですよね。少しその観点からループ、タンクもつながっていくと分かりやすいのかなと思いました。個人的な意見かもしれませんが、福島以降、「もんじゅ」の次はどうなるのだというのは、日本の多くの方が心配しているところではないかと思います。例えばこれで実証炉計画が必ずしも順調でなくても、各国でうまく補完し合ってASTRIDがうまくそこを受け継いでくれて、またそこから日本に戻ってくる道があるなど、そういう観点で言ってくれるととても安心するような気がしました。それが1点です。もう1点は、ループの特徴を使ってどうかということですが、ほかの委員の方も言われたように、プールとループの違いはどうかというより、できれば共通項はどうで、なおかつもっと良いのは、ループの特徴を使ってタンクにするけれどタンクでは余り採れないようなデータというのがあったら一番良いと思います。山口委員もおっしゃいましたが、熱過渡にいろいろあって、大洗のデータなどをいろいろ見たり、熱過渡をやって気付いたのですが、意識している熱過渡、壊れることは余りないと思います。軽水炉もそうですが、過去に壊れているのは思いもよらなかった熱荷重です。軽水炉だと玄海などでキャミティフローと言われるところで温度成層化が思いもよらず起こって亀裂が出ました。ループはタンクより計装に凝ったことができます。タンクよりそういうことを見つけやすいのではないかと思います。タンクだとはるかかなたのベッセルから中に起こっていることが分かりづらくて、もしかしたら起こっているかもしれないが見つからないだけみたいな話があります。そういうのはループの壁の層などを測って、今まで見つかってなかったような荷重モードがないなど、そういうことをやればタンクにもループにも役に立つし、ループだからこそ採れたということが何かできないかと。それは一つの例ですが、そういったことで提案があると非常に国際協力ということで良いのではないかと思いました。

【山名主査】今の点、よろしいですね。

【佐賀山理事長補佐】あの、安全性の最初のものは、福島の事故の後、安全設計クライテリアを共通化して作り、ASTRIDにも当然適用します。ロシアも含めて適用します。それを実現して、それのときにも「もんじゅ」のいろんなアクシデントマネジメントも含めた対応策は大変参考になりますし、そういったことでまた我々の方にフィードバックをかけてくるというような大きな流れは既に動いております。

【山名主査】議論について解説を事務局の方からお願いします。

【西條核燃料サイクル室長】事務局の方から御説明をさせていただきます。先ほど、稲田先生の方からもお話がありました全体像の話ですが、机上の第6回の会合の、今年の1月になりますが、そこで高速増殖炉の国際協力の下での、ということで資料2-2のところです。こちらの方で全体像を一度御説明させていただいています。これは国際のワークショップもありましたので、その前にということで全体像を整理した中で、特にこれの中では8ページを見ていただきますと、一つが高速増殖炉開発の成果の取りまとめの中での国際協力、それから廃棄物の減容化での国際協力、それから加えて安全性の部分、三本柱になっています安全性強化の部分での国際協力という中で、特に一つ目の高速増殖炉開発の取りまとめを目指して、研究開発や安全性のところでループ、タンクの違いというところが出てまいりました。そこについての少し絞った資料を作っていただいたという経緯があります。全体像としてはおっしゃるとおり、中間まとめで提示させていただきました大きな三つの柱それぞれについての国際協力があり得る中で、「もんじゅ」はループという特徴があるからという議論に入ったので、そこについての整理をしたということです。時間がたってしまいまして申し訳ありません。そこに絞った話になってしまっているので今日はそこだけのように見えてしまいますが、全体像はこういった整理の中でのお話でございます。申し訳ございません。補足させていただきました。

【稲田委員】その資料は見ながら言っていたのですが、どの部分かちょっと分かりませんでした。

【山名主査】はい。黒崎委員。

【黒崎委員】私が一番知りたいことは、国際協力ということですが、各国がどれくらい「もんじゅ」を必要としているのかというところがもう少し明確になっていれば良いのかなと思っています。最初の丸1のところで、高速炉開発計画というのを見せていただいて、これを見る限り、それぞれの国は高速炉開発していくのかと、こういう計画があるのであれば、それなりに「もんじゅ」を必要とするのか、ということは何となくは理解できますが、もう少し具体的にそういうところが明確になっていれば「もんじゅ」を使うというところの位置付けがもう少しはっきりするのかなと思います。福島事故がありましたけれど、各国の研究開発の計画はそんなに変わらなかったとおっしゃいました。その辺りがどうしてなのか、そういうことを詰めていくと各国が高速炉開発にどれくらい本気で取り組もうとしているのかというところも見えてくると思います。フランス、ロシア、インド、中国、韓国とありますが、フランスとロシアの場合と、中国と韓国の場合とではまたいろいろ置かれている状況も違うと思いますし、ここには米国は出ていませんが、米国はこういうことをどう考えているのか、その辺りも明確にしてうまく「もんじゅ」の必要性のところにつなげていっていただければ良いのかなと思いました。コメントです。

【山名主査】はい。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。村上委員どうそ。

【村上委員】基本的な質問で恐縮です。本日の資料で御説明のありました国際協力の項目は、以前この部会で半年以上前に議論した「もんじゅ」を用いた研究開発の中での優先度、重要度のマトリックスがございました。あの中との関係はどのようになるのでしょうか。と言いますのは、以前、重要度と優先度で何をもって優先度をつけてデータを採って技術開発をしていくか、成果の取りまとめで何が重要かのマトリックスをまとめた際に、国際的にも期待が高いからといったような項目は、全くなかったわけではないでしょうけれども、少なくとも私の記憶では、まず成果の取りまとめに必須でやること、すなわち、これまで日本で研究開発を30年近く続けてまいりましたが、その取りまとめ上、今ここで取りまとめておかないとせっかくの知見が分散してしまう、それを何が何でも防ぎたい項目は何かがまず1点。それから「もんじゅ」でなければできないことは何か。世界中を見渡してもこのデータが採れるのは「もんじゅ」しかないというものは何か、という観点で重要度と優先度の分類がなされたように覚えております。そのときに国際的に見てどれだけ必要とされているか、フランスや中国、ロシア等々といった国からも「もんじゅ」で是非こういうことをやってほしいと、これを是非一緒にやりましょう、という観点からお声がかかりそうかという観点はあったのかもしれませんが。あったのでしょうね。ちょっとその辺りの関連が分からないので。今日御説明のあったこれらのもの、これから国際協力として提案しようとしている項目が、果たして重要度、優先度分類のA1に入るのでしょうか。それとも違うのでしょうかということです。

【山名主査】はい。ありがとうございます。事務局から解説をお願いします。

【西條核燃料サイクル室長】はい。今、村上先生からあった御質問の件ですが、第6回の中間的な論点の取りまとめの資料1の9ページ、10ページの部分です。中間取りまとめのときにまとめていただきましたマトリックスです。資料2-1、資料2-2、最後に資料1という形になっております。一連が「もんじゅ」等の研究開発計画についてになっております。そこの9ページ、10ページが重要度、優先度分類という形になっています。

【山名主査】よろしいですか。第6回の最後の方に添付されている中間取りまとめ、縦長の資料の中の10ページに横向けの重要度の青い表があります。

【西條核燃料サイクル室長】その中で、そのときに御議論いただいた、先生から御指摘がありましたが、高速増殖炉開発における技術の重要度の分類と「もんじゅ」を利用することの優先度の分類という形で、高速増殖炉開発の中で重要な技術と「もんじゅ」を使わないとできないことという整理をさせていただいております。その中の高速炉開発における技術の重要度の分類基準のところで、AとBという形になっております。高速増殖炉開発において鍵となる技術、重要又は補強となる技術をBとしております。その中の指標といたしましては、Aの方にありますように、国際的に高い評価を得る技術ということで、世界初、有償入手依頼、対等な対価の国際協力の対象となるものが分類基準の方に入っております。Bの方は重要又は補強というものでありますが、国際協力のテーマになり得るものという形での整理をさせていただきました。それで「もんじゅ」でなくてはできないもの、若しくは「もんじゅ」で開発することが合理的な技術、「もんじゅ」以外でと、優先度の方は1、2、3となります。A1若しくはB1のところに入るようなものについて、若しくはA2、B2に入るようなところでは「もんじゅ」で開発しつつ、それは国際協力という視点もこの中には含まれているという、分類の仕方は前回させていただいたところでございます。事務局からその決め方だけの解説ということでこういう形になっております。

【山名主査】村上委員、よろしいでしょうか。全体像はそのような感じで。その中でのループ、プールの議論についての補足的説明だけ行われたような理解です。いかがでしょうか。稲田委員どうぞ。

【稲田委員】今日はプール型とループ型の比較から協力できる項目について議論がなされたわけですが、プール型とループ型が類似しているかどうかという議論は、国際協力の観点でしても良いのかなと思ったのですが。どちらが良いかという話はそれはまた別にしないと、ちょっと変な話になるのではないかと思いました。もう一つは、国際協力と言うからには、こちらから協力するという観点もありますが、向こうから協力してもらうということは考えなくてよろしいのでしょうか。

【山名主査】はい。2番目の質問、いかがですか。向こうから。

【佐賀山理事長補佐】向こうから、魅力的な概念だということで是非やりたいと言ってもらうという意味でしょうか。

【稲田委員】そうではなくて、海外から日本に対して役に立つような情報を得るようなことはあり得るのでしょうか。

【佐賀山理事長補佐】海外の方から、海外のプラントでという意味でしょうか。

【稲田委員】要するに、協力というからには両方が協働して何かやるということですから、日本のプラントの今後の、何か役に立つようなことが得られるような話です。

【佐賀山理事長補佐】それは、当然、いろいろな種類のものが、当然あり得ます。基本特性は違うが、いろいろな設備はそれぞれのデザイナーの思いによっていろいろな種類のものを持っています。我々は我々で良しと思ってやってきていたものでも、海外の方がもっと良い実績を持っているような部分は当然あります。そういったものは、我々の方から見て魅力的に映るわけですが、そういった意味で向こう、海外のもので得たい情報などは既に幾つかあって、それを協力しないかという話し合いも始まっています。そういうのは幾つもピックアップできると思います。

【稲田委員】はい。どうもありがとうございます。

【山名主査】はい。いかがでしょうか。大体、専門の皆さんの御意見は出尽くしているようですが、もう少し私から一般人として聞かせていただきたいと思います。基本的に国際協力をやるからには、それが我が国にとっていかにメリットがあるかというのが基本です。そういう観点で、先生方からも出ましたが、海外の技術と連携していることによる我が国で得られる技術的なゲイン、例えば経費節減、できない試験のデータが海外から入ってくることがあるかどうか。これは稲田委員が聞かれたことと同じです。二つ目。我が国の「もんじゅ」が動いていることが国際的にいかに認知されているか。彼らが「もんじゅ」の存在にいかに依存しているか。これについて答えが欲しい。三つ目は我が国が国際協力、国際的に我が国の開発成果が国際貢献できるのかどうか。それはプールかループかという話と関係しますが。今のお話だとループで得たデータでもプールに反映できるとおっしゃったのだと思います。我が国が国際貢献できるのかどうか。最後に村上委員がおっしゃったのですが、インドのPFBRやロシアのBN-800はクラシカルな炉だとおっしゃった。我が国は先進的なループを目指さないと実用にとって意味がないというか、そこを目指しているギャップがあるのだと。であれば、これから我が国がループで先進的なものを目指していくという流れの中で古典的なものをやっている国や先進的なGenⅣに取り組んでいる国と付き合い方のバランスのようなものがあるはずである。その目標像の違いにおける国際協力の意味は当然問われてくる。そこは是非聞きたいように思います。最後に我が国が高速炉開発において国際的な協力を採っていることによる我が国の開発でのリスクヘッジ効果は何か。よもやリスクを増すことはないでしょう。連携しているということは恐らくリスクヘッジの効果があるわけで、それがいかにあるのかということは問いたいと思います。今の質問は一言で全部答えられますか。それとも宿題にしましょうか。

【佐賀山理事長補佐】まず、ゲインですね。ゲインとは直接的にはどういうことですか。

【山名主査】下世話な話をすれば、国際協力をすることによって我が国の開発経費が節約できるのか。

【佐賀山理事長補佐】まず、今、世界で目指している、作っているものは現状の技術のものなので、彼らももう一歩進んだコマーシャライゼーションを視野に入れたものを作りたいということがありますので、開発要素はかなりまだあります。そういった意味でそれを協同で進めることができればコストもリスクも当然落とせるということになります。ここは世界共通の認識です。それをできるだけやりたいというのが掛け値のない本音の話です。「もんじゅ」の存在そのものも皆十分意識していて、世界に今、リアクターがないので照射するデータを採ることの要請が一番強いです。「もんじゅ」のデータが欲しいというのは当然あります。早く動かせというのが一番の彼らのリクワイアメントです。国際貢献という観点で新しいものを作る。それから、あと先ほどの古いタイプの炉という話と関連しますが、要するに安全のクライテリアや新しい第4世代炉と言われるものにしないとまずいというのは、日本、フランスから端を発しましたが、ロシアもインドも皆同じように考えていて、それを作り出す、そのようなクライテリアを守る形を作ろうというのが今のコンセンサスだと思っています。そういった意味で、世界できちんと目標を共通にセットして達成していくということが世界的にも認知されていますし、今進もうとしている道です。GenⅣだけではなくてインプロやIAEAの場を借りて、既にその活動が開始され始めていますので、そういう方向に進むと思います。リスクヘッジ効果は先ほど申し上げたとおりで、そういった意味で、国際協力、国際貢献という形で日本が果たす役割はかなり大きいと思いますし、「もんじゅ」を使ってそれをやることも当然求められておりますので、それなりの意味を持った活動であろうと思います。

【山名主査】ありがとうございました。それでは、この点については先ほどの第6回と今日の議論を合わせて、国際協力についての認識をまとめたいと思います。それでは次の議題に入らせてください。次は「廃棄物減容・有害度の低減のためのシステム概念と研究開発課題」ということですので、機構の方から説明は安部さんから、手短に要点をお願いします。

【安部副部門長】はい。この資料は、同じタイトルで前々回、第8回に一度御説明をいたしまして、そのときに頂いた御指摘、コメント、それから質問、こういったものを踏まえて今回修正、追加をしておりますので、そういったところを中心に御説明したいと思います。
 3ページを見ていただいて、前回資料の中で高速炉が果たすことが可能な三つのモード、プルトニウム燃焼モード、持続的発電モード、軽水炉補完モード、三つの使い方について御説明しまして、その際に幾つかの炉心概念から出てきた数字を併せて御説明しました。そのときいろいろな数字が十分整理されずに出てまいりましたので、今回はまず資料に使います炉心を三つ決めまして、それについての基本的なデータをこの表の中でまとめております。一つが「もんじゅ」、もう一つは実用化を目指した実用炉の設計例、それからプルトニウム燃焼をより効果的に行うために機構で検討した例でございます。この三つの炉心について主要なスペックをまとめております。この資料の中では、この表の中の数字を使いながら御説明しております。
 次4ページでございます。これは高速炉を使ってプルトニウムの燃焼あるいは生成をコントロールする場合に、それが炉心の仕様とどういう関係にあるのかというものを整理したものです。左側のグラフがございまして、これは今、表で御説明した三つの炉心概念をプロットしております。実用炉の設計、「もんじゅ」についてはブランケットを付けた場合と付けない場合、二通りを書いております。燃焼炉は元々ブランケットがございませんので一通りです。合わせて五つの炉心について書いております。まず「もんじゅ」について言いますと、下に二重丸になっておりますのは、これはブランケット付きの「もんじゅ」の特性で、これはブランケットを付けておりますので、プルトニウムが増殖するということで、発電していくとプルトニウム燃焼がマイナスということはプルトニウムが増殖していくということでございます。この「もんじゅ」の炉心概念が右側の断面図でございまして、真ん中の「もんじゅ」の炉心断面というのがございます。周りにブランケットを巻いておりますが、これを巻くことによって、発電することによってプルトニウムが増殖をしていくと。次にこのブランケットを全部取っ払うとどうなるかというのが左のグラフのもう一つのプロット点でございます。軸・径方向ブランケットを削除しますとかなりの割合でプルトニウム燃焼が進んでいくということでございます。「もんじゅ」という炉についてもブランケットを取る、取らないということによって、プルトニウムの増殖も燃焼も可能であると、これが高速炉の非常に柔軟なプルトニウム管理機能であるということでございます。そのほかの炉心ですが、実用炉の炉心は発電コストを下げるという設計指向がございまして、プルトニウム富化度を下げるような設計で、その中でもブランケットを付けたり取ったりすることによってプルトニウムの燃焼も増殖も可能であるというものでございます。プルトニウム燃焼炉というのは炉心概念を少しいじって、できるだけ燃焼率を高めるという炉心で、その場合には「もんじゅ」よりも更に燃焼率が上がるということでございます。基本的な高速炉でのプルトニウム燃焼特性は同じような進み方をしておりまして、例えばブランケットを取った炉心ですと、プルトニウム富化度を横軸にしてプルトニウム燃焼率を取りますと、富化度と共にプルトニウム燃焼率は増加していくという、一つの共通の反応系であるということが分かります。
 5ページです。マイナーアクチニド燃焼について、これも初期の燃料組成との関係を整理いたしました。下の方に棒グラフがございまして5種類あります。まず一番左が軽水炉の新燃料の組成、これはウラン235とウラン238でウランだけの燃料ですが、これが燃焼を終えて炉から取り出しますと、FP、マイナーアクチニド、プルトニウムが一部生成してまいります。プルサーマルの場合には新燃料の中に、燃料によって随分異なりますが、この計算例ではプルトニウムが7%程度入っておりますが、取り出し時にはプルトニウムが2、3割減ってまいりまして、マイナーアクチニドが0.3%できてまいります。高速炉の場合、これもブランケットを付けたり外したり、炉心概念によって随分組成は変わってまいりますが、真ん中の例は実用炉の設計例、150万kWの実用炉の設計例でございます。これは基本的には新燃料と使用済燃料の燃料組成が大体同じになるような炉心ですので、プルトニウムの濃度も14.2が14.5、マイナーアクチニドも0.7%装荷して取り出しも0.7%です。エネルギーを発生した分だけFPが出てきますが、次回のリサイクルではこのFPの分だけウランを補ってやれば、繰り返しエネルギーが発生できます。この高速増殖炉でブランケットを取った場合がそのすぐ右の炉心でございます。この場合にはプルトニウム富化度も少し高めにする必要がございまして、結果として新燃料に比べて取り出し燃料の中のプルトニウムの組成は減ってまいります。したがってブランケットを取ると少しプルトニウムが燃焼して減っていくということが分かります。更にプルトニウム燃焼モード用にプルトニウム燃焼率を上げたプルトニウム燃焼炉というのが一番右側です。この場合にはプルトニウムの濃度を34%まで高めてやっております。そうしますと取り出し時はプルトニウムが30%ということで1割以上のプルトニウムが減ってきます。併せてこのプルトニウム燃焼炉の中でマイナーアクチニドもできるだけたくさん、今技術的には5%程度までは添加できると考えておりますので、5%を添加してまいりますと取り出し時には4.1%ということで2割程度のマイナーアクチニドが減ってくる、ということで非常にプルトニウム燃焼に向いた炉心概念にしてやると、かなりマイナーアクチニド、プルトニウムの燃焼スピードが速くなると。それからこの計算例ではございませんが、「もんじゅ」や実用炉やプルトニウム燃焼炉以外の炉心概念でもある程度のプルトニウム燃焼やマイナーアクチニド消滅も可能でございます。高速炉については、非常に組成、ブランケットの付ける、付けないで燃焼によるプルトニウム組成、マイナーアクチニドの量の変化をコントロールできるということでございます。
 2点目ですが、10ページに移ります。前回御説明したときに、元々分離変換研究は非常に広い範囲において長期間かかる研究だけれども、今回この「もんじゅ」等で行っていこうとしている廃棄物減容のための研究開発は分離変換研究全体像とどういう関係にあるのか、どういう位置付けにあるのか、といったところの御質問等がございました。改めてこの「もんじゅ」等での研究開発というのはどういうものなのかというものをもう一度整理いたしました。まず考えるときの前提としまして、分離変換研究全体としてはこれは確かに多くのオプションがございまして、オプションごとにそれぞれ開発すべき課題がいろいろございます。マイナーアクチニドあるいは分離等で共通的な課題もございます。それは分離、燃料製造、再処理、照射、燃料開発等、広い分野にたくさんの開発課題がございまして、長期的な研究が必要になってまいります。この中でいろいろなオプションがございますが、高速炉の均質サイクルオプション、これは従来FaCT(高速増殖炉サイクル実用化研究開発)の中でもマイナーアクチニドリサイクルは前提条件になっておりましたので、かなり研究開発が進んでおりまして、基本的には各分野とも基礎研究の段階はおおむね終了していると。いろいろなオプションの中では一番研究開発が進んでいるという状況でございます。今後個別の基礎研究だけではなくて、総合的なオプションの評価をやろうとしますと、分離から照射後試験までの一連の施設を用いた試験が必要になってまいります。その中で特に日本の場合では、マイナーアクチニド分離というものについては設備の能力が不足しておりまして、マイナーアクチニド燃料を作るときの原料をどうやって調達するかということが一つこの分離変換研究の日本の中でのボトルネックになっております。一方研究開発実施の観点からの留意点ということで、「もんじゅ」を使った研究開発でどういったところに留意すべきかということでございます。まず「もんじゅ」は実規模照射が可能な世界唯一のツールでございますので、これを有効に使っていくということが一つの重要な視点であります。それから「もんじゅ」でやるためには試験をやってどういうふうになるのか全然分からないような試験はできません。想定される範囲があらかじめ把握されておりまして、この試験は安全に実施できる、そういった試験情報は事前に採っておく必要がございます。「もんじゅ」の運転計画と適合したような試験計画を立てることが必要です。特に「もんじゅ」についてはできるだけ早く運転再開をして、早くデータ、成果を上げていくということから、それに間に合うような研究開発計画を作っていくということが大事であります。また我が国には「常陽」がございます。「常陽」「もんじゅ」その二つを使って「もんじゅ」では採れないデータは「常陽」でということで補完をしながら有効なデータが採れる。「もんじゅ」で照射試験をやりますときには、いろんなサイクル施設が必要になってまいります。アメリシウム、ネプツニウムを含有したMOX燃料については国内のサイクル施設である程度の対応が可能でございます。ただ能力的、数量的にはある程度の限界があると。それからマイナーアクチニドの原料については、「もんじゅ」についてはプルトニウム241から生成されるアメリシウムが炉心の中にたまっていたり、プルトニウム原料の中にもアメリシウム241がたまっておりますのでこれを有効に使っていくということと、先ほども少し国際協力の話が出ましたが、廃棄物減容において、この日本でボトルネックになっておりますマイナーアクチニド原料については国際協力をうまく使って海外の原料を使っていくということが考えられます。こういったことを併せまして、「もんじゅ」で実施する廃棄物減容等の研究開発計画は、いろいろな分離オプションの中でも一番進んでおります、ナトリウム冷却MOX燃料高速炉の均質サイクルを主たるオプション概念としまして、我が国でもう既に使うことができますサイクル施設等も使いまして、準工学規模の技術見通しと有効性の確認をしていくのだと。その他のオプションについては、いろいろな基礎研究が進められておりますが、マイナーアクチニド均質サイクルMOX燃料については基礎研究の寄せ集めではなくて、こういうシステムとしての積分検証が可能であると。ここが一つ今回の研究開発の大きな目標になるのかと思います。この中で「もんじゅ」を中心に「常陽」でいろいろな試験をやってまいります。我が国のサイクル施設を使いまして、燃料サイクル技術としてアメリシウムの均質サイクルまでのサイクル技術の見通しなどを併せてやっていくと。国際協力を使って、海外のマイナーアクチニド原料、海外で製造されたマイナーアクチニド燃料、マイナーアクチニドを含有した照射済燃料を活用して照射試験計画の内容をより充実させるとともに、各分野での情報交換、共同評価を進めるということでございます。
 これが分離変換研究全体とどういう関係にあるのかということを12ページに少し整理いたしました。分離変換研究としては、いろいろなオプションがございます。ナトリウム冷却のMOX燃料以外にも金属燃料もございますし、ADSといったオプション概念もございます。右側にいきまして、マイナーアクチニドリサイクルについてもアメリシウムだけをリサイクルするという考え方もありますし、全マイナーアクチニドをリサイクルするオプションも考えられます。分離変換研究の対象範囲としては非常に広くなっておりますし、オプションごとにそのオプションの、例えばADSであればADS概念の開発といったような研究開発も必要になってまいります。今回の「もんじゅ」等での研究開発というのは、この中のナトリウム冷却MOX燃料高速炉プラント概念を使いまして、高次化プルトニウムあるいは高富化度のプルトニウム燃焼用のMOX燃料の確認、アメリシウムサイクルのオプション、その中での均質サイクル、これを対象とした研究開発をやって、単なる基礎研究だけではなくて、準工学規模での積分検証も含めた研究開発をやっていくというのが、この研究の主たる対象になってまいります。申し遅れましたが、「もんじゅ」の成果の取りまとめというのは赤い波線で囲みました。ナトリウム冷却MOX燃料高速炉プラント概念の高速炉酸化物燃料サイクル、このプルトニウム燃料サイクルまでの確認は「もんじゅ」の成果の取りまとめでやりまして、更にアメリシウムサイクルまで拡張した研究開発をこの廃棄物減容の研究開発の主たる対象としてやっていくということでございます。
 次の13ページが今申した、「もんじゅ」の研究を使った廃棄物減容で炉心燃料開発、燃料製造、再処理でどの施設を使ってどんな研究開発をやっていくのかを整理したものでございます。右側にプルトニウムサイクル、プルトニウムの燃焼と高次化プルトニウム利用、次にアメリシウムサイクル、全マイナーアクチニドサイクルがございます。それぞれの段階でどういった施設を使って確認をしていくのかということを整理しております。この中のプルトニウム燃焼、高次化プルトニウム利用、アメリシウムサイクルの領域、ピンクで囲った部分、これが今回の廃棄物減容の研究開発でございまして、この中で「もんじゅ」「常陽」、燃材施設等を使ってこういったデータを採っていくということでございます。
 15ページにまいります。この研究開発の一つの大きな目標が準工学規模で物質収支を積分検証していくということでございます。15ページはその基本的なデータの流れを書いております。基本は製造時の新燃料の組成に対して照射後試験あるいは再処理試験で得られます燃焼後の組成がどう変わっているか、このデータを使って検証していくということでございます。具体的には16ページです。ポンチ絵があります。「もんじゅ」の炉心がありまして、その「もんじゅ」で燃えた燃料集合体数体を取り出します。1体当たり30kgのMOX燃料がございまして、集合体を解体してピンの形にして再処理試験、照射後試験を行っていくと。この中で実際にピンを溶かしまして、燃料組成がどうなっているのかを分析いたします。それがピン単位の収支のデータ、スポット部の収支のデータ、これが生データでございます。このデータを使いまして、別途いろいろな解析評価で得られます集合体の中の出力分布や炉心の中の出力分布を使いながら、最終的には炉心の物質収支を得まして、増殖比あるいは炉心としての各種の変換率を積分的に求めていこうということでございます。残念ながら集合体規模での再処理試験等が、今のサイクル施設ではできませんので、ここで書いておりますようなピン規模の再処理試験、サンプル規模での細かい分析を積み重ねて、炉心での積分検証につなげていくということになります。以上が大きく変更した点でございます。以上です。

【山名主査】はい。ありがとうございます。それでは、時間が限られておりますが、御意見をお願いします。黒崎委員。

【黒崎委員】5ページを見ていて思ったのですが、意外と減らないなというのが最初に見た率直な感想です。特にプルトニウムの割合だけを見ると、プルサーマルの方が随分減ります。量はどうなのかと思って見ていくと、燃焼炉の検討例という3ページのものを見ると、燃焼炉は小型なので装荷されているプルトニウムの量も少ないから減る量も少ないのかなと思って。その辺りはいかかでしょうか。マイナーアクチニドはたしかに一番右側のパターンだと減るのですが。プルトニウムを減らすという意味で、これを言ったら元も子もないかもしれませんが、高速炉を使ってプルトニウムを減らすというところが意外と減らなくて、それだったら薄く広くプルサーマルでやっていった方が減る量は減るのではないかなと思いました。その辺りはいかがお考えでしょうか。

【山名主査】安部さん、お願いします。

【安部副部門長】はい。このプルサーマルの検討例は、まず一番左の軽水炉のウラン燃料の使用済燃料の中にあるプルトニウム、これを再処理してプルサーマルの新燃料のプルトニウムとします。この場合には、プルトニウムの同位体組成のうち核分裂性プルトニウムのPu -239、241の割合が比較的高く、両方合わせて65%くらいございます。そういうプルトニウムであれば新燃料の中に入れて軽水炉でも燃焼できます。1回目のプルトニウムについてはこういう形で燃焼すれば6.6%が4.6%とかなりの量減ります。残った4.6%のプルトニウムを次に処理できるかというと、これは軽水炉では基本的にはできません。三つのモードで御説明しましたけれども、これがいわゆる高次化プルトニウムで、これを使うということになると高速炉で使っていくしかないと。それを専ら使うのが軽水炉の補完モードと。軽水炉と高速炉、これをカップリングして使っていこうというのが補完モードになります。高速炉の一番右の例で余り燃焼率が高くないということですが、これは確かに入れたプルトニウム、マイナーアクチニドが炉内で燃焼しますが、一方で一緒に入れたウランからプルトニウムが生成し、プルトニウムからマイナーアクチニドがまた生成するということもありますので、差し引き全部やりますとこの程度の燃焼率になります。したがって高速炉でプルトニウム燃焼でどんどん減らしていくということになりますと、こういうものをどうしても繰り返してやらざるを得ないと。これは高速炉でやる場合にはある程度限界があるのは事実であります。ただ一方で、高速炉の場合には発電をしながらかなり経済的にもリーズナブルなコストの中でプルトニウム燃焼も行っていけますので、そういうトータルで見たときにどちらが得かというのは、それこそどういうスピードでプルトニウムを管理したいのかと、いろんなパラメータで変わってくると思います。

【黒崎委員】分かりました。

【山名主査】よろしいですか。はい、北田委員。

【北田委員】ちょっと補足です。そのデータを見させていただいたときに、気を付けないと駄目だなと思って見たところは、やはり高速炉は三つ並んではいるのですが、それぞれ運転期間は違うものですので、単純にこの数値を比較されるとちょっとまた見誤るというところがあるのではないかと思います。コメントです。それとは別で、教えていただきたいというところが幾つかあります。12ページのところで実際にこのような全体像としてはこうなりますよということを言われたところです。まず一つよく分かっていないところが、上の基礎研究と書かれているところでの括弧の中、四角の中で、Pu→Np、Am→Cmのところです。今の御説明でもそれが全然触れられていなかったので、それは一体どういうことなのかということを説明いただきたいと思います。認識ではアメリシウムで廃棄物の減容は全て終わっていくわけではなくて、恐らくネプツニウムも当然含まれているでしょうし、場合によってはキュリウムも当然入れていくのだろうと考えておりましたので、「もんじゅ」等での廃棄物減容等の研究の主たる対象として赤の点線で囲われてはいるのですが、私は当面としては確かにこれがまず当たるのだろうと思いますが、対象としては更に右のところである高速炉マイナーアクチニドの均質サイクルという、そこの部分まで含めるようなものが計画としてあるのかなと判断していたのですが。その2点を教えていただければと思います。

【山名主査】安部さん、お願いします。

【安部副部門長】はい。まず、基礎研究と書いた部分の説明を飛ばしていましたので、補足させていただきます。この資料は基本的に右側にいくにしたがってリサイクルをするマイナーアクチニドの核種が増えていくとともに、同じ核種をリサイクルするにしてもその濃度を高めるということを基本的に前提としております。基礎研究の中でもだんだん右側にいくにつれて核種としてはプルトニウムだけでなくて、ネプツニウムやアメリシウム、最後にはキュリウムも含めて研究対象になりますねと。右にいくにつれてデータとしてはまだ採れていない不十分なものを書いております。それから量的にも右にいくにしたがって濃度が高くなってまいりますので、それを表しております。ここで言いたかったのは、いろいろな核データ、物性データにつきましても、例えばアメリシウムのデータについても比較的低濃度についてはデータも採れてきておりますし、低濃度のアメリシウムのリサイクルであれば、ある程度のアメリシウムの核データについても精度のデータがあれば設計もできますし、リサイクルが実際にできると。これが濃度が高くなればなるほど物性データも高濃度のデータが必要になりますし、その精度も十分な精度がないと高濃度のリサイクルができないということで、基礎研究も右側にいくにしたがって、組成、濃度、精度について要求されるハードルが高いということを表したかったわけです。
 それから2点目の御質問の今回の研究開発でキュリウムは対象になっていないのか、ということでございますが、機構の中で基礎研究としてキュリウムを含む物性の測定を今、鋭意していますので、そういった研究は当然やってまいります。ただこの研究計画はまずは「もんじゅ」を中心としまして準工学規模でのサイクルの積分的な実証をやるということを主たる目的と捉えまして、そちらの部分を強調するためにそこの部分を対象範囲として書いております。今まで行っております全体の分離変換研究としてのキュリウムに関する研究、これは当然従来どおり進めるという理解をしております。

【山名主査】北田委員、いかがですか。

【北田委員】廃棄物の減容といったときにアメリシウムはそんなに物量が多いものではなくて、むしろ考えるべきはネプツニウムだろうというのがまず私の考えです。ですのでネプツニウムを外していると結局は何をしているのか分からないのではないかなというのが少し危惧するところです。アメリシウムは確かに減るとか増えるとかはこれで分かりますが、実際として廃棄物の全体から見たときに、アメリシウムはそれほど大きな物量を占めているわけではありません。ですのでトータルとして見て、少ししかないものを減らしたからといっても余りうれしくないという、そういう感覚です。ネプツニウムのことが何も触れられていないというのが少し違和感を抱いたというところです。

【山名主査】安部さん。お願いします。

【安部副部門長】先ほどの御質問はキュリウムに関することかと思い、キュリウムの話をしました。ネプツニウムについては基本的にアメリシウムサイクルの中でアメリシウムと書きましたが、プルトニウム、ネプツニウム、アメリシウムの均質サイクルで、特に燃料サイクル等の技術的なハードルから言ったらアメリシウムの方が高いという前提で、ここはアメリシウムを代表して書いてしまいました。この資料を通じましてアメリシウムと書いておりますのは基本的にはネプツニウムも含む概念です。そこは失礼いたしました。

【山名主査】よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。意見がないようなので、安部さん、先ほどの黒崎委員からの燃焼率がFBRは余り高くないというお話ですが、炉心のインベントリが全く違いますよね。高速炉の場合には今の資料の3ページにありますが、14トンくらいのプルトニウムが炉心に装荷されていて、そのうちにある比率で減りますから、プルサーマルの場合には多分1炉心の装荷プルトニウムはこの1/10以下ぐらいになります。黒崎委員、高速炉1基の炉心はプルサーマル10機くらいのマスとしてはあるという理解です。

【黒崎委員】そのへんの量の関係というものも少し書いていただいたら良かったのかなと思いました。

【山名主査】そうですね。割合だけですと少々分かりにくいところがあります。

【黒崎委員】もちろんそれは分かるのですが。

【山名主査】それから、確かに、これ、燃焼度も違うのですね。

【黒崎委員】そう、燃焼度も多分違います。

【山名主査】そういう意味では、ギガワット/年で規格化して、マスでどこかに300キログラム/ギガワット/年とあったけど、ああいうので比較するともっと分かりやすいかもしれませんね。安部さん。

【安部副部門長】はい。考えてみたいと思います。今、主査がおっしゃったようなインベントリの話と、先ほど北田委員がおっしゃったような燃焼速度、これらも非常に効きますので、そういったものを総合したパラメータがもしあれば考えてみたいと思います。

【黒崎委員】高次化プルトニウムの話というものもすごく大事なのではないかなと思います。それも含めてもう少し整理していただいたら、非常に分かりやすいかと思います。

【山名主査】是非そこをよろしくお願いします。今、同位体の議論が全く出ていないのですが。北田委員がおっしゃったようにネプツニウムとアメリシウムは半減期が違うので毒性の継続の時間的意味が違ってきますから、またその辺りを補足していただくことになるかもしれません。念頭に置いておいてください。ほかにいかがでしょうか。北田委員、どうぞ。

【北田委員】13ページで、炉のシステム、炉心であるとかにそういうところにアメリシウムやネプツニウムを入れていったときに、どういうふうに使えるかということを書かれている中で、炉心に関して「もんじゅ」が緑色で書かれています。緑色というのは改造が必要だということで、アメリシウム、ネプツニウムだけでなくキュリウムを入れたときに何か改造がいるということなのですが、よく分からないので、説明していただければと思います。どのような改造が必要になるということですか。

【安部副部門長】はい。これは具体的な検討をした訳ではありませんが、キュリウムを取り扱うということになりますと、放射線強度が非常に強いので、新燃料の取扱いや発熱などにいろいろな考慮が必要になります。「もんじゅ」でこういう新燃料を扱う場合には、それに関するいろいろな改造が必要になるのかなということで緑にしました。

【山名主査】北田委員、いかがですか。

【北田委員】そういうことであるならば、下に燃料開発などでは「常陽」などでは特に改造はいらないという書き方でしたので、少し違和感を抱きました。

【安部副部門長】再度確認しますが、「常陽」に関してはある程度そういう制限強度の高いものについても取り扱えるような設備になっていますので、「常陽」に確認したところ基本的にキュリウムの燃料については改造なしでできるということでしたので、オレンジにしております。

【北田委員】少量であるということでしょうか。

【安部副部門長】もちろん、前提条件によって変わってきます。

【山名主査】ほかにいかがでしょうか。特にございませんか。安部さん、では、時間も残っていないので、私から伺いたいのですが、元々「もんじゅ」は増殖比はある程度持って、増殖型の発電炉としての実証を主目的に置いています。そこに今、積極的な廃棄物減容という大きな目的を入れていくことで、先ほどおっしゃっていたようなブランケットの扱いや燃料のスペックを「もんじゅ」においてある程度積極的に変えていくというようなことも可能かなと思う人もいると思います。例えばプルトニウム富化度をもっと上げて燃焼効率を上げることを実証できるのかとか、「もんじゅ」からブランケットを取ってみてプルトニウムの燃料効率を調べようとか。しかるに「もんじゅ」はある規制上の認可があってそうそう簡単に変えることもできないでしょうが、さりとてそういう新しい方向の開発をするのであれば、もう少し積極的に新しい許認可を取るなど、アグレッシブに燃料の設計を変えて取り組んでいくという余地があるのかどうかは大いに気になるところです。そこはいかがでしょうか。

【安部副部門長】やはり、「もんじゅ」で実施するには許認可との関係が非常に重要になってまいります。以前御説明した「もんじゅ」での試験計画についても、まず第一段階は今の許可の中でできることをやっていくと。基本的にはMOX燃料が主体ですが、「もんじゅ」の場合にはアメリシウム2%程度までは許可で使用できることになっていますので、その範囲の中でマイナーアクチニドについてのデータは「もんじゅ」でも採れると。その間については、「もんじゅ」ではそういうデータを採って、あとは「常陽」のアメリシウムの濃度の高いデータ等と突き合わせながら総合的に評価をすることによって準工学規模でこうなるだろうという評価を行っていく。その次の段階は「もんじゅ」の設置許可の見直しをして、「もんじゅ」でできる範囲での実際の試験をやっていくということになると思います。今、具体的な計画として考えておりますのは、GACID計画と言いまして、今の許可ではできない、キュリウムも少し「もんじゅ」の中に入れていくというような試験計画を今考えております。それ以外についてもまだ大分先の話ですので、具体的な計画はGACID以外は特に立てておりませんが、可能性としてはいろいろ考えられると思います。

【山名主査】可能性としてはあるけれども、いろいろ難しい問題があると、こうおっしゃっているわけですかね。集合体レベルで行うのであればGACIDのように、ある程度従来の燃料の設計を拡張したようなことも可能かなと、一種の照射炉心みたいなものですが、それは十分対応できるかと思っていますが、もう少し炉心全体の設計を変えることもその先にはあり得る、可能であると理解してよろしいでしょうか。

【安部副部門長】技術的には可能であると思いますが、その場合には炉心仕様を変えますとそれに関するいろいろな改造や燃料仕様もいろいろ変わってまいりますので、費用の問題とか、トータルの中で判断されるのではないかと思います。

【山名主査】分かりました。ほかにいかがでしょうか。稲田委員、お願いします。

【稲田委員】もしかすると、今のことの確認というか、分かりやすく説明していただくだけになるかもしれません。10ページ目について質問させていただきたいのですが、まず左側の留意点で3番目に基礎研究段階はおおむね終了と書いてあって、これはほぼ基礎研究は終わっていると見れば良いのか、あるいは大きな課題はないかもしれないけれど課題が残っているのかというのが一つお伺いしたことです。もう一つは、最後のところでマイナーアクチニド分離について設備が不足していて、マイナーアクチニド原料の調達がボトルネックになっていますという話がありました。右側にいきますと、いろいろ限界がありますという話が書いてあり、それを「もんじゅ」で今度試験をしていきますというときに、「常陽」で補完しますとか、国際協力で補完しますという話が書いてあります。基本的にはやれる範囲でやっていきますと受け取ればよろしいのでしょうか。それとも設備改造をしながらやっていこうということを考えられているのでしょうか。その2点、残された基礎研究の課題と今後設備改造がどれくらい必要なのかということをお伺いしたいのですが。

【山名主査】安部さん、お願いします。

【安部副部門長】はい。まず、1点目は、時間の関係で説明を割愛してしまったのですが、17ページを御覧ください。これは今回追加した表です。これは正にMOX燃料を使った均質サイクルの技術がプルトニウムサイクル、同じプルトニウムでも高次化したものや高富化度のもの、どんなプルトニウムでも使う、ここでは全プルトニウムサイクルと言いますが、そういうサイクル。あるいはネプツニウム、アメリシウムのサイクル。それから全マイナーアクチニドサイクル。そういうサイクルの回し方がだんだん技術的に難しくなってきますが、そういう技術を段階的に蓄積していくことができますよと。分野ごとにこのサイクルの階段を上っていくように、技術がどういうふうに今後進んでいくのか、それを左側の丸と矢印で表しています。例えば炉特性・炉システムについて言いますと、今「もんじゅ」でMOX燃料炉心の工学規模のデータが出てまいりますが、将来的にはそれにマイナーアクチニドを入れて、マイナーアクチニド含有MOX燃料炉心のデータが採れます。それから燃料開発についても同様です。こういう流れの中で、右側の方に研究開発段階の評価がございます。矢印があって、その矢印の左側が現状を表しています。この研究開発を行うことによって矢印の右側くらいまで段階が進むのではないかという評価になります。まず炉特性・炉システム評価について言いますと、MOX燃料炉心、マイナーアクチニドを含まない炉心については「もんじゅ」で一部性能試験も行っておりますので、既に準工学研究段階にあるだろう。これを今後「もんじゅ」の成果の取りまとめを行っていくと工学研究段階に入っていくだろう。マイナーアクチニド炉心という目で見ますと、「もんじゅ」に含まれておりますマイナーアクチニドは量的には限られていますし、まだそのデータは十分に採れていませんので、今は基礎研究段階が終わったところだけれども、今後の「もんじゅ」を使った廃棄物減容等のデータを採ることによって、準工学研究段階まで進むのではないかと。これは分野ごとに達成度合いが異なっておりまして、現時点でのところで言いますと、大体基礎研究段階が終わったところくらいかと。ただ例外がございまして、燃料製造やマイナーアクチニドの分離などはまだ基礎研究段階の途中にあります。したがって先ほど御質問がありました、10ページの書きぶりで、おおむね終了と言いましたのは分野ごとに少し差がありますが、大体基礎研究段階を終了したところが大多数だという意味でこういう表現を使いました。

【山名主査】よろしいでしょうか。

【稲田委員】はい。ありがとうございました。

【山名主査】はい。ほか、永井委員どうぞ。

【永井委員】今日の話、私は全くの素人なので、いろいろ読んで、話を聞かせていただいて勉強させていただいたので、技術的なことに関してこれ以上御質問することはないのですが、素人の立場から話を聞かせていただいて、そもそもこの作業部会は、研究の取りまとめ、初年度については研究の取りまとめの研究、分かったような分からないような表現の話をしていて、もう一つはこの廃棄物減容の話にもっと重きを置くという話になっている。もう少しパブリックな目で見たときに、これがエクスキューズのようにとられると非常にマイナスになるので、核燃料サイクルがやはり我が国に必要なのだ、国によっては使わないという選択肢もあるというわけですが、その中でサイクルをすることがやはり必要であって、その中でここの具体的な研究結果を通じてそれが我が国としては絶対必要だということを示すのが、この作業部会の一番重要なところなのではないかなと思います。いろいろなデータを見させていただいて、こういうことがあるのだと勉強したのですが、やはり最後の取りまとめのところでもう少し分かりやすくそこがパブリックにアピールできるような形の表現で何かしていただけるとより有り難いと思います。漠然としたコメントで申し訳ありません。私は素人なのでこれ以上申し上げられないのですが、そういうことをお願いしたいと思います。

【山名主査】ありがとうございます。ほかいかがでしょうか。村上委員どうぞ。

【村上委員】あの、永井先生どころではない、本物のど素人の私から今、率直に皆様の御意見を聞きながら思ったことを申し上げます。資料でいうと10ページ、研究開発実施の観点からの留意点の中の2番目の運転計画のところでございます。「もんじゅ」で試験を安全に実施するための条件を満たし、運転計画と適合することが必要ということが、研究開発実施の観点からの留意点として挙げられていますが、運転計画ということでしたら、そもそも、この「もんじゅ」の作業部会は昨年の革新的エネルギー環境戦略の中で「もんじゅ」についての方向性が示されたことに端を発していると記憶しております。具体的には「もんじゅ」では年限を区切った研究計画を策定して実施して、そしてこれまでの研究開発の成果を取りまとめ、その成果を確認の上、研究を終了するといったようなことがございます。それで限られた期間、具体的に何年とは定められていないものの、とにかく成果を取りまとめて、廃棄物減容の研究に、より重点を置いてしっかりそれらの成果を示した上で研究を終了するということが国民に示された方針だったわけで、それを受けてやってきたわけです。ところがそういう目で廃棄物減容や有害度の低減のための研究開発の具体的な内容等々を見てみますと、とてもじゃないけれど年限を区切って、例えば10年程度の研究やいろいろな試験等を実施してデータが採れて、それで「もんじゅ」が終わりとなるような気はいたしません。率直なところ。しっかりと成果が出れば出るほど、もっと突っ込んでその先の、より具体化した廃棄物減容のための大きなシステムの実用化に向けてこういう研究開発課題が出てくる、これももう少しデータをより深く突っ込んでみたいという欲求が必ず出てくるはずでございます。それは先ほどの永井先生のおっしゃった、今後やはり高速炉の核燃料サイクルシステムが原子力にとって必要だというようなことにもつながってくるかと思いますし、そのような研究計画を進めて具体化して、なまじ、あえてなまじと言わせていただきますが、その研究がうまくいけばいくほど、やはり「もんじゅ」は必要だということにおのずとなってくるのではないかと思います。その辺り、昨年のエネルギー環境戦略で言われた年限を区切って研究を実施し、研究を終了ということと今現在の状況でどう考えれば良いのか、考えを整理していただけませんか。

【山名主査】はい。おっしゃる趣旨は承りました。御承知のように、核燃料サイクル政策自身がまだ、新しい政権の下で十分審議されていない。それから地層処分等の廃棄物の問題と社会的な問題も多々ある中で、我々はこの研究計画を策定しているわけですが、今の時点では少なくとも廃棄物減容が重要だという、一つの国の目指している方向というものがある。それに対して「もんじゅ」がどのくらい応えられるか、何ができるかということを、まだ洗っている段階です。したがって、ここにおいて、例えば、必要性について強く何かの具体的な結論を出すというところまで行けるかどうか、私自身、いまだ分かっておりません。むしろ、何ができるのかということをまず洗って、それで年限を区切って、メリハリのある開発をやること、これは万人共通の認識であって、そこは安易に捨てる必要のない一つの条件だと思っています。問題は、こういった新しいテーマに対して、どこまで行えば、正にメリハリのついた答えを出せるかというそれを見極めるのが我々のタスクですので、とにかく、技術的に何がどこまでできるのか、どういう成果が得られるのかをまず洗うということでいくということです。その先に恐らく、ある種の年限のようなものを設定するプロセスが待っていると思いますので、それについては、今、余りそこには立ち入らない。政策的な審議も横目で見ながら、それを考えていくということにしたいと思っています。その点、御了承いただきたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、今日の議題については、以上で審議を終えたいと思います。事務局の方から連絡等ございましたらお願いします。

【西條核燃料サイクル室長】はい。どうもありがとうございます。本日頂いた御意見につきましては、取りまとめた上で各委員の先生方に照会を図っていくことになりますので、よろしくお願いいたします。それから、今回の会議の議事録案につきましても、出来次第、また、メールで御相談させていただきますのでよろしくお願いいたします。それから規制庁のプレス発表資料を机上に置かせていただいております。7月の17日、18日、明日、あさってとなりますが、「もんじゅ」の破砕帯に関する、規制委員会による現地調査が実施される予定となっております。こちら、第8回の会合で「もんじゅ」の破砕帯のJAEA側の調査結果については、4月30日に提出したものではありますが、簡単に御紹介させていただきました。6月13日に、これについての説明を有識者会合にした上で、今回、調査が入る予定となっております。明日、あさってということで、朝から晩まで2日間実施されることになっておりますので、御参考までに情報として資料を配布したものでございます。以上でございます。

【山名主査】それでは、以上で第10回もんじゅ研究計画作業部会を終了いたします。本日は、ありがとうございました。

 

――了――

 

お問合せ先

研究開発局原子力課核燃料サイクル室

(研究開発局原子力課核燃料サイクル室)