原子力科学技術委員会 もんじゅ研究計画作業部会(第9回) 議事録

1.日時

平成25年6月12日(水曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省東館13階1、2会議室

3.出席者

委員

山名主査、笠原委員、北田委員、黒崎委員、永井委員、村上委員、山口委員

文部科学省

藤木文部科学審議官、田中総括審議官、田中研究開発局審議官、増子原子力課長、西條核燃料サイクル室長

オブザーバー

廣井日本原子力研究開発機構理事/敦賀本部高速増殖炉研究開発センター所長、飯島日本原子力研究開発機構敦賀本部高速増殖炉研究開発センター副所長

4.議事録

 

【山名主査】定刻となりましたので、ただ今から第9回もんじゅ研究計画作業部会を開始いたします。本日は御多忙の中、またお足もとの悪い中、御出席いただきましてありがとうございます。報道の方で撮影される方は、この時間帯に済ましてください。
 撮影の方、それではよろしいでしょうか。それではまず6月5日付けで、原子力担当の審議官として田中審議官が新たに就任されました。御挨拶をお願いいたします。

【田中審議官】6月5日付けで研究開発局担当審議官になりました、田中でございます。併せて日本原子力研究開発機構改革推進室の室長も拝命してございます。後ほど説明させていただきますが、先週金曜日に原子力研究開発機構の改革推進タスクフォースが発足いたしまして、私もその事務局として「もんじゅ」への対応も含めまして原子力研究開発機構改革の鋭意検討というところでございます。是非、よろしくお願いいたします。

【山名主査】それではこれから議事に入ります。本日の議題はお手元の議事次第に書かれておりますが、「もんじゅ」等の研究計画の策定についてでございます。まず事務局の方から、出欠の確認と配布資料の確認をお願いします。

【西條室長】本日の出席の確認と、配布資料の確認をさせていただきます。本日は稲田先生、大島先生の2名から欠席の御連絡を頂いておりますが、その他の7名の先生方に御出席いただいておりますので、定足数を満たしております。続いて本日の配布資料の確認をさせていただきます。お手元に配布してある資料です。資料1「もんじゅ」における保守管理上の不備について、資料2「もんじゅ」に関する原子炉等規制法に基づく命令等への対応について、それから参考資料といたしまして日本原子力研究開発機構改革本部(第1回)配布資料ということで、この3点をお配りさせていただいております。机の上にはいつもどおり青いパイプファイルにこれまでの会議の資料をファイルしておりますので、適宜、議論に合わせて御活用いただければと思います。資料の欠落等ございましたら、事務局までお知らせください。また、議事の途中でもお気づきの点がございましたら遠慮せずお申し付けください。本日は一般の傍聴者の方から会合の模様を収録してUstreamを使って配信したいという御要望、御相談がございましたので、もんじゅ研究計画作業部会公開の手続に基づきまして会議の妨げにならないことを条件に固定カメラで録画を許可しております。以上でございます。

【山名主査】それでは本日の議題に入りたいと思います。本日の議題は「もんじゅ」等の研究計画の策定でございますが、特に今日は、「もんじゅ」の研究開発体制、運転管理体制の在り方、この2点について御議論いただきたいと思っております。まず「もんじゅ」における保守管理上の不備の経緯について日本原子力研究開発機構から資料1を使って説明していただきます。文部科学省としての「もんじゅ」の保守管理不備への対応状況や日本原子力研究開発機構改革の動きについて資料2を用いて説明していただく予定でございます。それぞれの説明が終わった後に、フリーのディスカッションということで、研究体制の在り方について率直な議論を行いたいと計画しております。それではまず資料1「もんじゅ」における保守管理上の不備についての説明を原子力研究開発機構の方から15分程度でお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【廣井所長】廣井でございます。このたび規制委員会から保安措置命令と保安規定変更命令を頂いたこと、文部科学省の方から指導文書を頂いておりまして、国民の皆様から原子力の研究開発等を付託されているものとして、今回の件、深刻に受け止め、また深く反省しているところでございます。原子力研究開発機構としましても今回の件につきましては新理事長のリーダーシップの下、原子力機構改革推進本部を設置し、また私が担当しております「もんじゅ」では自らが考えて改善を進めていくという、そういう再発防止策の推進を進めているところでございます。それらの取組の状況について飯島の方から説明させていただきます。

【飯島副所長】飯島です。よろしくお願いいたします。それでは資料1に基づきまして「もんじゅ」における保守管理上の不備について御説明させていただきます。
 1ページ目でございます。今回の経緯についてまとめております。平成21年1月に「もんじゅ」におきましては軽水炉と同様に点検計画等からなる保全プログラムを導入いたしました。「もんじゅ」は建設段階ではございますが、軽水炉については運転段階ということで対応しておりますが、「もんじゅ」についても将来の本格運転に向けまして、このシステムを導入したところでございます。その後平成24年9月にナトリウム漏えい検出器の点検計画の変更手続の不備が見つかり、これが保全計画に定めた点検期限を越えて点検されていなかった、その際の延期の手続がなされていなかった、というものでございます。その後調査した結果、多数の機器に同様の手続の不備があることが判明しまして、昨年12月に原子力規制委員会から保安規定違反という指摘を受けました。原因と対策について第三者委員会を設置して検討した上で今年の1月31日付けで報告書を提出してございます。その後一番下にございますが、2月に立入検査、3月に保安検査という経緯を経て、今年5月15日に原子力規制委員会からその結果について審議がなされ、5月29日付けにて保安措置命令及び保安規定の変更命令という命令を受けました。
 次のページ、2ページ目。今回の不備につきましては「もんじゅ」の性能試験を平成22年から再開しておりましたが、その後第2保全サイクルという40%出力までの期間で設定しておりますが、その性能試験を23年度、24年度と続けて、40%、100%という計画でやる予定でございましたが、一番下に書いてございますように、炉内中継装置の落下やC非常用ディーゼル発電機の故障といったトラブルがございまして、A系統、B系統、C系統とございますが、このB系統点検の際に工程を延期せざるを得ないということが生じました。上の方に線で16か月と書いてございますが、これが点検期限、保全計画に規定されました点検の頻度でございます。この頻度を超える事態になったのですが、そこで技術的な評価を行った上で正式な手続を踏んで延長すればよかったところ、その手続がなされていなかったということが今回の不備の事象でございます。
 3ページ目に、それらの中には機能要求のあるクラス-1機器が全部で57個ございました。それぞれにつきましては機能維持の確認はこの表に示してございますように確認はできているのですが、こういったクラス-1機器というのがあったということでございます。これらの57個の機器につきましては今年の3月末までに点検を全て終了してございます。
 次の4ページ目でございます。3月末時点での不適合の件数をまとめたものです。なお右下の黄色に色を塗ったところでございますが、そちらの機器等についてまだ点検がなされていないというものがございます。これらにつきましては原子力規制委員会から法令違反状態にあるというふうに指摘されたものでございます。これらにつきましては今年度今、点検を実施中でございますが、早い時期にこれらの点検を終了するよう現在取り組んでいるところでございます。
 5ページ目が今回の保守管理業務の流れと主な直接要因でございます。左側に保守管理業務の流れが書いてございますが、主として点検計画の作成段階、それから全体工程の作成・変更段階といったところで、点検工程との整合性を図るための検討、チェック体制、仕組みに問題があったということ。それから点検そのものの作業準備・管理・作業の実績確認、こういったところも紙ベースで記録が分かりにくく、点検期限の記載もなかったりといったことで比較しにくい状態にあったということが問題になっております。更に先ほどちょっと触れましたが、技術的な評価を行って点検期限を延長するという措置を取れば良かったのですが、その保全の有効性評価についての実施ができなかったということが問題になっております。
 6ページ目でございます。それらの原因等についてまとめたものでございます。一番下の欄にございますが、「もんじゅ」内、センターの運営管理室、プラント保全部、品質保証室、こういったところでそれぞれチェックないし確認が十分にできていなかったというのが直接の原因でございます。これらにつきましては仕組み等の改善、会議体での審議事項に新たに加えるといった対策を採ってございます。
 7ページ目は、組織的要因でございます。これらについては根本原因分析のチームを編成しております。その結果、品質マネジメントシステムに関する要因として、特に安全文化といったことの中で欠落が見られたという評価結果が出ております。ただこれにつきましては、その後の規制委員会等の評価におきまして、まだまだ掘り下げが不十分であるという評価を頂いており、現在その見直しを行っているところでございます。
 8ページ目でございます。対策の具体例。これは1月31日の報告書に記載した具体的な対策でございます。1点目が体制の強化ということで、所長を理事が直接務めることによりまして、経営が「もんじゅ」の管理を統括するということで強化を図りました。発電プラントの経験を有する副所長の配置等も行っております。それからプラント保全部におきましては特に電気保修課の要員の増強を行っております。またプラントの保守の経験を持ったシニアのメンバーによる技術専門職を配置しております。2点目は今まで紙ベースで行っていたところを電算機による保守管理システムを導入して、より確実に管理ができるような対策を採るようにしています。これについては4月から試運用を開始しております。その下につきましては、仕組みの改善等で、先ほど言った予定・計画・実績といったものの管理が確実にできるような仕組みに改善しております。
 9ページ以降、その具体例を示しております。9ページ目は体制の強化ですが、電気保修課の保守管理につきまして従来担当者20名の体制で行っておりました。一人当たり数千件の機器を見ているという状況でございましたが、ここを29名体制に増員しまして体制を強化しました。それから技術専門職2名を配置して技術的な指導・助言を行う体制にいたしました。
 それから10ページ目でございます。保守管理システムの導入でございます。従来紙ベースで行っていたものを計算機システムで管理します。特に一番下の欄にございますが、点検を予定している機器の状態や点検期限が間近になったもの、こういったときには警告を発するような機能を持っております。これらによって確実に確認、チェックができるシステムを導入し、現在、試運用に入っているところでございます。
 11ページにその全体像が書いてございます。保守管理システムによりましてPDCAのそれぞれの段階での支援ができるようなシステムとしております。左下に書いておりますが、警告・注意・お知らせ機能を備えたものであり、これについては現在、電気補修課員の習熟期間ということで今、試運用に入っているところでございます。
 12ページでございます。点検の計画の策定段階での整合性、点検・計画・工程の整合性の確認、工程が変更になったときにそれらの影響を確実にチェックするという、所全体の中で確認するという仕組みの改善を図っているものでございます。このうち予定・実績・進捗管理につきましては、今後保守管理システムに移していくということでございます。
 13ページ目は今回の問題では、課レベルでかなり判断がなされていた、そういうことが原因の一つでございました。今後はそれを部レベルの審議体、あるいは所内における審議体の中でそういった確認を確実に行うことを徹底しております。
 14ページ目でございます。原子力規制委員会の評価について触れてございます。5月15日の規制委員会で原子炉等規制法第35条第1項に規定された保安措置義務違反、これについては保全計画に従った点検間隔で点検を行わなかったこと、ということで指摘されております。また管理できない点検計画を作成したこと、保全の有効性評価を実施せずに点検を先送りしたこと、これが保安規定の順守違反と指摘されております。直接的な原因につきましては先ほど申し上げたような原因が指摘されております。
 15ページ目がその組織的背景原因でございます。これについては、理事長が必要な資源を確保して原子力安全を最優先に業務が遂行されることを確実にしなかったことが保安規定に違反するということ。またこれまでにも過去に根本原因分析を繰り返しているわけですが、それによってもこういう事態が起きたということで過去から存在する組織的背景要因がいまだに解決されずに残っていることを指摘されております。したがって過去からの原因、要因の分析が不十分であり、トップマネジメント、コンプライアンス、職員の意欲の低下等の項目が十分分析されていないということで、そのやり直しを言われております。ただし、プラントの安全性という点では、現在原子炉が低温停止状態にあるので、直ちに危険な状態になることはないということも言われております。
 16ページでございます。これを受けました措置命令の内容2点でございます。1点目が原子炉等規制法第36条に基づく保安措置命令でございます。一つ目が保守管理体制及び品質保証体制を再構築すること。2点目がそれらの結果と昨年12月の命令にあった未点検機器の点検が残っていることから、これらを実施した上で報告すること。3点目がそれまでの間、使用前検査を進めるための活動を行わないこと。この3点でございます。その次が保安規定変更命令でございます。安全文化の劣化兆候が認められたということで、それらの根本原因分析のやり直しとそれに基づいた対策の見直しを行った上で、それらを保安規定の中に書き込みなさい、その内容については①~④にあるような内容を含めて保安規定を変更しなさい、という2点でございます。
 17ページ。今後の対応状況でございます。直接的な原因につきましての再発防止対策、これは1月31日に報告したものでございますが、原子力規制委員会としては、これら再発防止対策を確実に実施することにより、直接的な原因、今回の不備に関する直接的な原因については除去すること可能である、したがってこれらについては実施状況を今後の保安検査等で確認していく、ということを言われております。したがいまして、我々としては再発防止対策については着実に実施し評価していくというふうに考えております。一方で組織的要因についてはトップマネジメント、コンプライアンス、職員の意欲の低下等の分析が不十分という評価でございました。これにつきましては、原子力機構の全役職員が安全の価値を認識し、安全文化の醸成に取り組み、安全最優先という組織を目指して、理事長のリーダーシップの下、全役職員が一体となって改革を進める、という方針で取り組みたいと思っております。そのため原子力機構改革推進本部、及びその下に原子力機構改革推進室を一昨日6月10日に機構内に設置いたしました。こういった組織の中で今後の対応につきまして検討していきたいと思っております。また再発防止対策、根本原因分析につきましては原子力規制委員会の命令に従いまして、これまでの過去分析分の反映の調査、根本原因分析の拡充といったものを行って、再発防止対策を見直してそれを着実に実施していく、こういう方針で取り組みたいと思っております。以上説明を終わります。

【山名主査】それでは今の御説明に対して、今後の体制かくあるべしという話は、後で自由議論のときにやりますので、今の御説明に対して疑問、質問、再確認等がありましたら、今、お願いします。山口委員。

【山口委員】保全の有効性評価という言葉が出てきますが、それについてどういうふうに考えておられるのかをお聞きしたいと思います。基本的には今の直接原因あるいは組織的原因に対する再発防止策がありますが、まず定めたルール、約束事なりを守るということが一つですね。もう一つはルールが適切かどうかというのは、この保全の有効性評価のところで見るのだろうと。今の話と最後に安全の価値を再認識し、という辺りがきちんと安全の向上に役立っているのかが、適切に評価された上で、見直していかれるものだと思います。そういう趣旨で、これから直接原因を除去して、保全に関するルールというものをきちんと守っていくようにします、というのが一つありますが、もう一つルールそのものを安全の向上にもっと寄与するものに、きちんとしたものにしていくアプローチも必要ではないかと思います。それが正に、ここでいう保全有効性評価ではないかと思いながら聞いていました。それで今の保全の有効性評価というものをどういうふうにやって、その有効性評価の結果をどう使っていくのかという辺りのお考えをお聞きしたいなと思います。

【廣井所長】ここで使われている保全の有効性評価と申しますのは、JEAC(日本電気協会)等でこの保全プログラムを導入する際の基本的考え方にも決められております。それを我々は保安規定の中にも組み込んでおります。例えば点検間隔などを変更する場合には、こういう項目を評価して、それで点検間隔の変更等ができますというようなことが決められております。それは保守管理要領などにも、下位のルールにも落としています。細かな手順の評価項目等を決めて実施している、それをここでは保全の有効性評価と申し上げております。今、山口委員のおっしゃったのはもう少し大きな意味での計画全体あるいはそれを実施に移している仕組み、そういうものを含めて有効性評価と言いますか、そういうのを実施してルールが適切なものかどうかということをしっかり考えるべきじゃないかという御指摘と受け止めました。そういう意味では、私どももそういう観点で仕組みも含めまして、あと第三者の委員会を設置して、そういう専門家の御意見も聞いて、ルールを適切なものにしていくという取組も進めているところでございます。

【山名主査】山口委員、いかがでしょうか。

【山口委員】とりあえず他の方の御意見があろうかと思いますので。

【山名主査】よろしいですか。

【山口委員】一言だけ。やっぱり今の点というのは、これ全般的に見ると、例えば規制委員会の判断でも元々実施できないような計画であったというような評価、分析がなされていて、そのあたりこれからどうアプローチしていくかというのが、リソースも限られています、当然。少しいろいろ今回御説明いただいたのは、組織を充実させます、あるいはソフトウェアを使ってスケジューリングがちゃんと管理できるようにしますというもので、それはそれで役に立つと思います。もう一つ頭を使う部分がもうちょっと取り込まれるべきかなと思いました。今のお答えでは何となく分かったような分からないような感じでした。その辺を是非御検討いただきたいと思います。

【廣井所長】そういう意味では私どもは保全プログラムを導入した経緯の中で短時間でこれを実施に移したという反省もございます。軽水炉の経験を十分に学んでいなかったという点がございます。それらをしっかり学んで、合理的な保全計画にしていきたいと思います。我々はある意味で何でもかんでも設備機器を点検計画の中に入れてしまったという反省がございます。事後保全で良いものはちゃんと事後保全の方に移行し、巡視点検で見ていくものは巡視点検で見ていく。我々の計画そのものがそういうふうにできていれば、毎月の月管理で点検の時期をチェックしていく数も減るわけでございます。軽水炉の実際に進められている実態も勉強して合理的なものにしていきたいと思っております。

【山口委員】是非、お願いしたいと思います。実際には安全上の重要度から機器や設備にはクラス分類があるわけで、重要度に応じて適切な管理、維持管理をやっていくわけですし、国内外問わずリスク情報などに基づいて適切で合理的な管理を行っていくという考え方も当然導入しなくてはいけないと思います。その辺りが最後のページに、安全の価値を再認識し、というのがあって、これは非常に大切なキーワードだと思います。そもそも今回の問題から安全の価値というものにどういうふうにつなげていくのかが少し見えにくくて、恐らく今、おっしゃったようなところをしっかりできたら、安全の価値を踏まえたしっかりした保全計画になるのかと思いながら聞いておりました。

【山名主査】よろしいでしょうか。他にいかがでしょうか。笠原委員。

【笠原委員】山口委員と同じことを聞きたかったのですが。全く同じところがポイントかと思っておりました。もう一つ付け加えてお聞きしたいのが、軽水炉を参考に始まったということですが、今回のお答えを聞いていても軽水炉のやり方をいろいろ学ぶということはよく分かりました。ただ軽水炉はある程度もう実用化されていて、どこを点検すれば良いのかは分かっている技術でございます。それに対して高速炉「もんじゅ」はそれ自体がまだ分からなくて、点検開発自身も大きな目的の一つだと思います。保全の有効性もちょっと次元の違う有効性があるのではないか。研究開発に近いレベルの意味もあるのかなと思われます。そのへんの御認識は。この後の議論にもしかすると入るかもしれませんが、もし出発点でどの次元でこれから考えようと思っているのか教えていただけますでしょうか。

【山名主査】本件、お答え願います。

【廣井所長】私自身はまだこういう、何が正解であるかというところまでは至ってはいません。今おっしゃっていただいたようなことは第三者委員会で専門の委員の先生からもいろいろな面で御指摘いただいております。それらと併せて、特に委員長の小澤先生からも新しい保全プログラムを作るつもりで、そしてそれは時間がかかるものなのですよ、ということもおっしゃっていただきました。我々の心構えとしてはFBRの保全プログラムを作り上げるんだという心意気でやっていきたいと思っております。

【笠原委員】ありがとうございます。後半の議論はそういう解決に向かっているなと思いました。

【山名主査】重要なポイントだと思います。他いかがでしょうか。黒崎委員。

【黒崎委員】話が変わりますが、15枚目に規制委員会の評価の組織的背景原因のところで、3番、職員の意欲の低下という話が出ております。これはちょっとびっくりしたのですが、本当に意欲が低下しているのかなという感想を持ちました。私の知っているJAEAの職員の方はそんなに意欲は低下していないようにも思います。職員といっても若い人もいればお年を召した方もいるし、それぞれ役職によって違うと思います。意欲の低下はどういうことを言っているのでしょうか。仮に低下しているのであれば、どういうふうにこれに対処しようとされているのかを教えていただければと思います。

【廣井所長】規制委員会の方でまとめられた、私どもで出しました報告に対する評価の中では原子力規制庁さんの保安検査の中でインタビュー等実施されております。そのインタビューの中で職員の声を確認していますが、その中にマイプラント意識が少なく運転停止状態が長期間となり士気が下がっているという発言が確認されました。研究をやりたくて「もんじゅ」に来たが事務的な用務ばかりで士気が低下しているという声があったということで、そういうことが我々の分析の中にはなかなか出ていなかったということでございますので、現在根本原因分析等を見直しているわけですが、その中では職員の士気、意欲、これについても分析をしてそれに対する対策を打っていくというふうにしたいと思っています。まだ分析の途中ですので、結論としてはまだ出ていません。

【山名主査】他にいかがでしょうか。無いようですが。よろしいですか。それでは引き続き資料2の説明をお願いします。

【西條室長】資料2に基づきまして、文部科学省としての対応について御説明させていただきます。お手元の資料2「もんじゅ」に関する原子炉等規制法に基づく命令等への対応について、これに基づいて御説明したいと思います。
 1ポツの経緯、それから2ポツの今回の命令の内容につきましては、先ほどJAEAさんの方から御説明がございましたので、私の方からは1枚めくりまして、文部科学省としての本件への対応、これを中心に御説明させていただきたいと思います。
 まず始めに、「もんじゅ」に関しましては安全確保第一にこれまで進めてきたところでございますが、そのような中で今回、規制委員会から原子力の規制法に基づく厳しい命令を受けたということにつきましては、地元を含めまして国民の皆様の最大の関心事である「もんじゅ」の安全性の信頼を著しく傷つけるものであり、文部科学省としても非常に重く受け止めております。このため原子力機構に対しまして安全確保の体制強化及び再発防止の徹底を厳しく求めることとして、5月16日に独法通則法第65条に基づく是正措置要求文書を発出しております。独法通則第65条、これは独立行政法人が命令、法令に違反若しくは違反する恐れがある状況にあることによりまして、本来当該法人が行うべき業務に支障が出る恐れがあるという判断があった場合に、主務大臣がその状況を是正するよう求めることができるという規定でございます。今回は先ほどお話がありましたように、原子炉等規制法に違反また違反の恐れがあるという状況を踏まえ、文部科学大臣より原子力研究開発機構の理事長に対して、この状況の是正措置を求めたものであります。実際に出した文書を次のページ、別添の1に添付しております。記以下、下の方に1ポツといたしまして、未点検機器の点検及び保全計画の見直しを早急に完了し、安全確保に万全を期すこと。2ポツは、本件に係る責任の明確化を図った上で、再発防止に係る仕組みや体制の整備を図ること。次のページにいっていただきまして、3ポツといたしまして、機構役職員の安全文化の醸成に改めて最大限努めること。4ポツとして、その他原子力規制委員会の命令等に対し早急に必要な措置を講ずること。この4項目は基本的に規制委員会より今回の件を踏まえて改善を求められている項目ですが、これに加えまして5ポツとして、今後の「もんじゅ」の取組を進めるに当たっては、安全の確保のための取組を最優先とすることを改めて徹底すること。こうして今回の件のみならず、今後の取組に関する要請も加え、計5項目についての要求をしております。最初の文書のところですが、記の上のところですが、下記の取組を進めるに当たっては、地元を始め国民の理解を得られるよう、説明責任をしっかりと果たしていただきたいとして、今後の取組に対して外部への説明をしっかり行い透明性をもって進めることという形で求めております。また戻っていただいて二つ目の山のところですが、その後5月23日にJ-PARCにおける放射性物質漏えい事故及び当該事象に対する通報遅れが発生しております。本件に対する直接の対応としましては5月28日に、文部科学省より、今回のJ-PARCの責任主体であります、高エネルギー加速器研究機構及び原子力研究開発機構に対しまして、両組織の規制対象施設の安全体制緊急総点検の実施を要請しております。一方で「もんじゅ」に加えJ-PARCでの件が発生したということを非常に重く受け止めた上で、5月28日に、大臣の指示によりまして、文部科学省に原子力研究開発機構の組織体制・業務の抜本的見直しを検討するため、大臣が自ら本部長を務める日本原子力研究開発機構改革本部を設置することを決定しております。その文章は別添の2に記載しております。設置の目的は、日本原子力研究開発機構の組織体制・業務の抜本的見直し、国の政策上、優先度の高い業務に重点化を図ることによりガバナンスを強化するとともに、失われた信頼の回復に向けて安全を最優先とする組織に改める、これを目的としまして、下村大臣の下、第三者である外部有識者にも参加いただき議論を行うという形で進めることとしております。さらに、検討の進め方の二つ目の○にございますが、同本部の下に丹羽文部科学大臣政務官をリーダーとする日本原子力研究開発機構改革タスクフォースを設置し、改革本部の指示に基づき、具体的な案件に対して掘り下げた議論を行うこととしております。同本部につきましては先週金曜日6月7日に第1回会合を開催しております。当日の配布資料ということでお手元に参考資料として配布させていただいております。資料2-1、2-2で原子力研究開発機構の概要や抜本改革における論点の例、こちらの方が一緒に付いておりますので、これを説明した後に、有識者の先生方に自由に御意見を頂いております。その中で特に「もんじゅ」に関しましては、国策として「もんじゅ」の稼働を目標に掲げなくてはならないが、JAEAが「もんじゅ」を運営管理していくことを議論の前提とせず、JAEAから切離し運営することなど、様々な選択肢を議論のそ上に載せることが必要ではないか、経営陣と現場との間で日常的な問題意識を深く共有していくことが大事であり、トップが現場まで行き、話をしていくことが極めて大事である、また「もんじゅ」に対する安全管理を電力事業者並みまで能力を高めること、中にはアメリカのように、保守管理を外部の業者にアウトソーシングするといった考え方もあるが、中途半端になると安全管理上の問題が起きるというような御意見、それからこういったものをまとめるに当たって、現場の方がちゃんと納得するように配慮していかなければならない、という御意見を頂いております。この会議自身もオープンで開催されて、そういった御意見を頂いております。今後、本部における具体的な検討を行いまして、2か月程度で基本的な方向性を取りまとめることとしております。また文部科学省そのものの体制強化の一環として、6月5日付け同本部の事務局組織である日本原子力研究開発機構改革推進室を文部科学省に設置して、当該室長としまして今日挨拶させていただきました原子力を専門に担当する審議官、田中正朗審議官が着任しているということでございます。文部科学省といたしましては上記本部における検討を精力的に進めつつ、新たな事象の下で原子力研究開発機構の取組をフォローし、規制委員会の命令に対する取組が確実に実施されるよう、所管官庁として機構におけるその他の取組に対する評価や予算措置等の手当についても責任を持って対応していくことを考えております。また、これらの取組をしっかり進めながら「もんじゅ」の安全性をしっかり確保した上で、またこの部会における「もんじゅ」に関する研究計画の策定を行いまして政府全体のエネルギー計画の中で「もんじゅ」の位置付けを明確化してまいりたいと考えております。私の方からの御説明は以上でございます。

【山名主査】それでは今の文部科学省の取っております改革の体制についてですね、何か御質問があればここでお受けしたいと思います。いかがでしょうか。村上委員。

【村上委員】大変素人的な質問というよりは感想ですが、改革本部の設置の経緯を今伺いますと、まず文部科学省に日本原子力研究開発機構改革本部が5月28日に設置され、トップは文部科学省トップの下村大臣が就かれ、その下に日本原子力研究開発機構改革タスクフォースを設置して個別の案件について掘り下げますという、時期的には先月末に設置した。その後JAEAさんに原子力機構改革推進本部及び原子力機構改革推進室が設置されたのは6月10日ということですのでタイミング的にはその後になります。すごく単純な疑問ですが、文部科学省さんがJAEAの組織の改革の検討をされている。それと並行して、一方JAEAさんの方でもJAEA御自身の中に改革推進本部と改革推進室を設置して進めていく。この関係を御説明いただけますか。

【増子課長】文部科学省の本部を設置したのは大臣のイニシアティブがありまして、速やかに機構の改革を進めようということで設置しております。具体的な作業は丹羽政務官をヘッドに事務方を含めて対応するという形にしています。機構の改革組織の設置が遅れているのは、理事長着任時期の問題もありまして、松浦理事長がイニシアティブを取って速やかに体制を整えているということですが、文部科学省の方が先行リードして、機構の改革を検討着手したのが早かったということです。具体的に今後は機構からのフィードバックも受けながら、文部科学省自ら具体的な基本的な方向性については方針を出していきたいと考えております。

【山口主査】よろしいですか。

【村上委員】どっちが後か先かという時期の問題ではなくて、文部科学省さんもJAEAさんも当然目的は共通ですよね。共通というか認識しているところは一致していて、何か組織の在り方に問題があったからこんなことになっているのではないか、これを何とかしよう、とそこまでは一致しますよね。それをわざわざと言いますか、文部科学省さんとJAEAさんと似たような、しかも非常に紛らわしい、思わずこれは同じものかと思ってしまいましたが、別々に設置するのはなぜですかということです。

【増子課長】組織が別ですから。もちろん一体的にやることはできませんが、今回の件については、まずは機構が大きな問題を起こしてしまったというのは事実ですので、透明性の確保という面で、まずは文部科学省が所管省庁として大きな方向を議論するというのは必要であるということで、もちろん別々にやって作業効率を悪くしてもしょうがないので、機構の検討の結果では先ほど言ったように適宜、文部科学省の方にフィードバックしながらやっていくということになろうかと思います。

【山名主査】いかがでしょうか。推進室は文部科学省の中に設置されたんですか。JAEAの室とは別で二つあるということですか。JAEAの中にも室がある、文部科学省の中にも室があるということですか。

【山名主査】正確に言っていただけますか。

【西條室長】文部科学省には「日本原子力研究開発機構改革本部」という本部を置いておりますが、その本部の事務局機能として田中審議官をトップとする「改革推進室」を置いてあるという形です。機構さんは機構さんで先ほど御説明がありましたように、17ページにありますように、「改革本部」とそれを具体的に進めるための「推進室」を設置しているという形です。名前が全く同じで分かりづらくて申し訳ありませんが、形としてはそういう形になります。

【山名主査】それでは他にいかがでしょうか。私の方から伺いたいのですが、この作業部会で技術的な検討を進めておりますが、いずれここで体制、取組方法の議論を、という予定でおりました。その途中でこの体制改革の議論が既に始まっているということですが、この研究計画と体制の組替えの関係が時間的にどう関係していくのか、簡単に御紹介いただけますか。

【西條室長】元々このもんじゅ研究計画作業部会におきましては、いわゆる技術的な観点で議論をいただきまして、「もんじゅ」の新しい研究計画を作っていくということでございます。その中に当初12月に報告させていただきました、先生方にまとめていただいた中間まとめの中で今後取り組むべき課題として研究体制が1項目として挙げられております。こちらの方で、その議論もしていただく予定にはなっていたのですが、今回こういった事象が起きまして、今大きな機構全体としての、また「もんじゅ」も含めての議論を文部科学省や機構さんの中でも新しい組織を作って検討していくということでございますので、本日本部会において元々取り上げることとしていた、体制について御議論いただいて、元々議論する予定でございました体制についても、いろいろな御意見を頂きまして、これを改革本部にフィードバックしていくという形を考えております。その上でまた、もちろん作業部会の方で細かい他のいわゆる高速増殖炉の取りまとめの研究、廃棄物の減容化の研究、安全研究、こういったものについて引き続き御議論はありますので、そういったものと併せて最終的な取りまとめをしていきたいと考えております。

【山名主査】それではよろしいですか。山口委員、どうぞ。

【山口委員】質問ですが、今の資料2の2ページ目にJ-PARCの話が出ています。関係を整理しておきたいのですが、J-PARCにおける漏えいを踏まえ安全体制緊急総点検の実施を要請するとともに、国の方で改革本部を設置することを決定したと書いてあります。この資料は元々「もんじゅ」の命令に対する資料なわけで、J-PARCでの放射性物質漏えいが具体的にどういうふうに関係しているのかということを解説、説明いただけますか。

【西條室長】後ろのところの、確かにこの資料自身は「もんじゅ」についてということでございますが、最終的にこの本部を設置するに至る中で、正にJ-PARCにおける放射性物質の漏えいの話、それから通報の遅れというところから、共通的な安全管理に関する考え方というところにおいて、「もんじゅ」のみならず組織全体として、しっかりと見直しを検討すべきということで本部が立ち上がったということでございますので、ここに書かせていただいているというものでございます。資料自身は頭のタイトルどおり、「もんじゅ」に関するものへの対応でございますが、全体の見直しというところには当然大きな柱として「もんじゅ」が入りますので、そういった意味でここに流れを書かせていただきました。時系列的に書いておりますので、分かりにくいところがあるかと思いますが、一応こういうことが起こったということに対して、こういう対応を取っていったという流れの中で記載させていただいたということでございます。

【山口委員】私がちょっと考えたのは、J-PARCのあそこは運用の体制は全然違いますよね。加速器機構との共同運用ですよね。そういう意味では今、ここで組織体制や研究開発、発電プラントとしての「もんじゅ」の進め方の議論をしているときに、J-PARCのような他の法人と共同で運用しているようなところでの話は、今回の議論とどう関係しているのかという整理をしたかったのですが。今のお答えとしては直接組織あるいは研究施設の運用のやり方うんぬんというものは特にここでは意味が含まれているわけではない。単純にJAEA一つの組織の問題として見ているということでよろしいですか。

【西條室長】J-PARCについては、基本的な運営形態は原子力研究開発機構と高エネ研が一緒に見ている施設ということで、原子力研究開発機構が「もんじゅ」からJ-PARCまでかなり広い範囲を見ているという中で、この安全に関する問題が起こった。それでJAEA全体の議論、いわゆる取り組んでいる事業の重点化なり、こういった幅広いことをやることについての安全管理の考え方などを議論するというのが全体を見る改革本部になります。「もんじゅ」はその中の大きな柱になりますが、改革本部イコール「もんじゅ」ということではございません。そういったところで分かりづらくなっているところは申し訳ございません。そういう位置付けでございます。

【山名主査】それではよろしいでしょうか。説明は以上にしまして、これから体制や取組の在り方についての議論を進めたいのですが、どういたしますか。フリーに意見を受けますといろんな方向に散漫になる可能性があるので、まず先ほど御意見が出ておりましたJAEAの「もんじゅ」に対する取組の中で安全やその技術に対する取組の根本的な部分、山口委員や笠原委員がおっしゃっていたような話です。安全文化と言うのかどうか難しいところですが。先ほど山口委員が保全計画の中身をどういうふうに評価するのかという話があって、廣井理事のお話ですと保全プログラムを組んだときに、もちろん軽水炉の保全プログラムも参考にして使ったということですが、恐らくそのときに自分たちの技術開発における自分たちのための保全プログラムを十分考えていなかった、そこまで至ってなかった、というふうにおっしゃったように聞こえました。山口委員はそこを問われている。ということは自分たちが取り組んでいる技術の中で、それをどう咀嚼(そしゃく)しているのか、自分たちのポリシーとしてどうやっていくのかというところにまだ抜けがあったということになります。これは研究開発あるいは発電プラントとしての運用の中で自分たちは何を見ているのかという真髄部分が一部浮いているところがあった可能性がある。これは正に安全文化でもあるし、ひょっとするとビジネス文化と言いますか、研究開発の文化に関わるものであるのかもしれません。そのあたりの本質的なところを、まず最初に議論いただこうと思います。20分か25分使ってですね、今の「もんじゅ」の取組に代表する研究開発や取組の根本的な部分で、委員の方々の率直な御意見を伺っておこうと。それからもう少し具体的な話に入ろうと思います。その部分についていかがでしょう。先生方。

【廣井所長】今日、我々は特に今回の件での保守技術についての説明資料がないのですが、参考に御議論していただければと思うのは、第7回の資料を見ていただいて、43、44ページ等が保全プログラム、ナトリウム冷却炉用保全計画の開発というところを書いてございますので、それらについてコメントしていただければと思います。

【山名主査】それも参考にしながら基本的な姿勢のところについての御意見がありましたら。永井委員。

【永井委員】先ほど室長の方からいろいろ改革、今後の話を少し御紹介いただいたところにかなり根本的な、要はJAEAの存在意義自体を問うようなところから考えていくというようなコメントもされていたと思います。そこの本質は何か。ここの先ほど説明いただいたところによく出てくる安全文化、現場という言葉は毎回のように出てくるんですが、その具体的なところは何だったのかということが今まで出てきた記憶がないのです。私の意見の結論から申し上げると、やはりこれは協力会社というか民間とJAEAとの在り方、関係をそこから見直す必要があるのではないかと思います。そこが多分根本なのではないかと思います。現場でいろいろ研究開発をしている人の意欲がなくなっている。何で意欲がなくなっているのか。そこがあるところで言うと、民間に丸投げしているかもしれない。丸投げと研究協力、民間との協力とはまた別問題、全然違うことだと思います。それが一緒になっていないか。現場で何千個という点検をすることは、恐らく原子力研究開発機構の方自身がやっているわけではないですよね。恐らく協力会社の方がやっているはずです。それを監視するような、ルールをずっと細かく作っているだけに私には見えます。そうではなくて、原子力研究開発機構自体が、いわゆる現場の方がどう関わっていくのかというところの具体性がないと、やっぱりここの議論は始まらないのではないかと思います。これが私のほぼ言いたいこと全てです。そこが出発点だと思います。いかがでしょうか。

【山名主査】理事の方から。今の点、趣旨は御理解いただきましたね。

【廣井所長】その点も大事な点だと思います。ただ実際の限られた職員の数の中で業務を実施していくとなると、そういう作業請負、実際の点検作業は協力会社だけではなくてそれぞれ「もんじゅ」の場合には4社の大きなプラントメーカーに点検を依頼しています。そういう中で、特に軽水炉と比べると我々なかなか難しいなと思っているところは、同じ測定点でもセンサー部分は例えば2次冷却系だと東芝で、制御盤は日立で、というように普通ならば1社で点検を考えれば良いところを各社にまたがったところでそれらをハーモナイズしてやっていかないといけません。そういう意味で問題の所在はそういうところにもあると思います。それを今回のところとどういうふうに結びつけて整理していったら良いかということが、まだ私自身はアイデアはないです。

【山名主査】大事なところなので今日はお答えは結構です。これから一生懸命考えてください。委員から、今のはマイプラント意識、現場意識、誰がどう運用するかという責任論に関わるのですが、ここについては率直に意見を伺っておきましょう。永井委員の思いはよく分かりました。他にいかがですが、今の点で。笠原委員。

【笠原委員】まだそれほど整理ができているわけではないですが、研究開発と運転管理、研究者と作業者みたいな対立構図で議論されているような気がします。先ほどの改革本部の中でも、運転管理は外でアウトソーシングみたいな議論が出てくるのも、そういう議論のされ方をしているからのような気がします。そこに違和感があります。保全技術というのは「もんじゅ」の本来目的だと思います。そこが研究開発に制約を掛けるようなものに見られてないかと。本当はかなり現場に技術の芽というのがあるのです。そういう対立構図だとなかなか解がないのではないかと。そうではなくて両方併せて研究開発のような方向に向かった議論、そういう視点ができないものかなと思いました。どうやってやったら良いのかは分かりませんが、少なくとも何か人間的な議論を超えたものが必要ではないかと思いました。

【山名主査】これはお答えは結構です。他にいかがでしょうか。関連するような。山口委員。

【山口委員】今、保全と言われていますが、ここで議論になっているのはいわゆる保全の技術の話ではないところなのです。先ほど廣井理事からお話のあった資料のところでは、プラント運転保守技術の目的としてシステム運転保守を自ら行い、その経験を通じて成立性確認、経験蓄積を実施すると。運転初期における初期故障、トラブルの経験克服とその後の運転経験を経たランダム故障の経験克服と。それを通じたナトリウム炉の特徴を活用した保全技術を確立するとあります。その話と今の点検漏れとかの話と、また笠原委員がおっしゃっていた研究開発と現場での施設の運転という対立構図でいう話と随分違う話ではないかと思います。コメントですが、一つはこういう保全技術の目的ということを踏まえれば、早くきちんと「もんじゅ」を運転していろいろデータを、運転経験を蓄積していこう、そういうものに対するモチベーションですよね。それが本当にあったのかというのが一つ問われるのではないかと思います。もしそういうモチベーションがあったとしたら、軽水炉の保全をベースに高速炉の場合の保全プログラムを作るときに、高速炉の保全プログラムをどういうふうにやるべきかをもうちょっと考えておくべきだったと思います。それが一つです。本当に「もんじゅ」を運転して発電して、いろいろデータを取り、保全技術を蓄積しようというマインドが現場の人たちの中に根付いていたのかどうか。もう一つ違う視点で、そのときの状況は分かりませんが、恐らく保全プログラムが出たときに、外部評価委員会とかで議論しましたか。あるいは規制の監督官庁のところでその保全プログラムで良いのかどうかは多分、議論する場があったと思います。そのとき、逆にそういうところから、こういう保全プログラムで安全向上に役立つのか、現実的にそういう保全プログラムは実行できるのかとか、私はそういうサジェスチョンがあるべきだったと思います。何となく見ている側がJAEAがこういう保全プログラムでやると言っているから「じゃあ、良いですよ」と、やると言っているものならやってくださいと、何となく無責任に見ているような気もします。JAEAの方も早くきちんと運転をするという視点ではなくて、保全プログラムを細かく出さなくてはいけないから出そうという、そういう何というか、JAEAだけではなくてその外側で見ている人も、高速炉できちんと保全技術の確立に役立つようなデータを取っていくには、どういう保全をやれば良いのか、どういうことをやれば良いのかということを外の人も考えてサジェスチョンしておくべきだったと思います。JAEAも現場の人から見れば現実的に自分たちができるプログラムを早く立ち上げていろいろデータを取っていきたいという気持ちになるようなもの、つまり中の話と周りの外の話と、両方で合理的に実行可能な方法で、なおかつ安全に対してしっかり意義があって保全技術の確立に対して意味あるデータが取れるようなやり方、それを関係者が皆で議論しておくべきだったのではないかと思います。何となく、そこで最初にお話したのですが、保全のプログラムでアラームを鳴らすシステムを作りましたというような話、体制で保全、点検件数が多すぎたので人員を増強しましたという話は、それはそれとして、決められたルールにのっとって保全をやる上では大切なことだとは思いますが、もうちょっと違う話。それが、さっき私がもうちょっと頭を使うような方策を出さないといけないのではないかと言ったあたりです。漠然としていますが、そういうことを感じました。

【山名主査】趣旨は大体、よく理解しております。廣井理事、おっしゃっていることは分かりますよね。

【廣井所長】はい。

【山名主査】北田委員。

【北田委員】同じようなことになりますが、確かに今回の説明を伺って思ったのは、体制、システムをこういうふうにしたのでチェックはできますよ、というようなことを言われているような気がします。それは裏を返せば、結局その体制なりシステムができたので、もう大丈夫なのだと、逆に中の人が思ってしまわないのかなと思います。なので結果的にはそのために何か会合的なものが増えるようなイメージもありますので、事務量が増えて、また先ほどの話ですが、士気が低下するなんてことにもつながっていかないのかなと懸念します。もっと組織の中で、山口先生も言われましたような、皆でより良いものにしていく、そのための垣根を取り払ったような議論ができる、そのような文化、組織が構築できるような方策を少しでも示していただけると良いのかなと感じました。

【山名主査】他、いかがでしょうか。村上委員どうぞ。

【村上委員】これは決して批判とか非難のつもりではないので、私の言葉の選び方が適切でないのは最初におわび申し上げます。廣井所長の検査すべき点数が多くて職員の数が足りなくてそれで一人で何千点も、しかもその機器の中でも、同じ系統の中でも違う会社でというのが、まず言い訳から入っていくように聞こえました。非難ではありません。当事者になれば何でこういう問題が起きたのかと厳しく責めたてられて、言われてみれば何でこんなことが起きたのだろうと考えてみると、どうしてもそういう言い訳ではなくて事実に当たるというのは分かります。なので、決してそのこと自体は「言い訳なんかするな」と言っているわけではありません。ですがそれは聞く側にしてみれば、そんなに数が多い、人数が足りない、メーカーが違うとかは最初から分かっていたことであって、それならそれでどういうふうに保全プログラムを考えていけばいいか。点検漏れや、見逃し、間違いをゼロにすることは不可能ですから、どうしても何点かは漏れてくるものはあるでしょうが、それなら、それではどうしたら良いかをもう少し考えていればこんな大きな問題にはならなかったのではないかなと思います。軽水炉は多くの電力会社が持っているProvenな技術を使ったプラント、標準化されたプラントと開発段階にある「もんじゅ」とでは様々な違いがありますので、軽水炉でできていることが「もんじゅ」ではうまくいかない、軽水炉の保全プログラムをそのまま当てはめたのではなかなか通用しないということは、そもそも開発のフェーズが違うから当たり前ですが、しかし原因究明として、要因として点数が多い、種類が違うというファクトとして導き出すのは良いですが、そこで終わりでは、じゃあそういう場合にはどうしたら良かったの、ミスゼロは無理でもミスが見つかったときにどういう改善をすれば良かったのというのを、そういう姿勢で取り組まれれば良いと思います。既に考えておられると思いますが、そう思いました。

【山名主査】これもお答えは要求しませんので。

【廣井所長】答えではないですが、どうしても言い訳に聞こえてしまうというのは大変申し訳ないと思います。たくさん原因を挙げて、それを改善していくということで、それらを繰り返すことが、また言い訳になってしまいますが、私個人が今、考えている今回の保守管理の不備のポイントは、一つは担当者と担当課に任せてしまったという管理であったことが一番大きいのかなと思います。それを改善する仕組みをしっかり入れて、経営の方も責任を持っていくということが大事かなと思っています。それからもう一つは、先ほど山口委員からもありましたが、自分たちの決めたルールを自分たちで守れなかったということがありますので、それはそういう面でも意識の問題、あるいはルールそのものを見直していくということにつなげて改善していきたいと思っています。

【山名主査】この問題はかなり本質的な部分だと思います。私もかつて非常に大きなプラントにおりました。結局、こういった研究開発と大規模なプラントはある種並立はなかなか難しい。難しいと言ってしまうと駄目で、やらないと駄目なのですが、大きなプラントを維持しながら、その中で研究成果を挙げていくのは、非常に難しいoptimizationの取組が必要であって、それができるできないかが正に研究開発の能力なのです。できないなら最初からやるなと言いたいし、それができる体制を組めと言いたいわけです。比較的、所帯の小さい母体でのこういった工学的開発と「もんじゅ」のぐらいの大きさになってくるときの研究と運転のバランスの難しさは指数関数的に大きくなっていきます。これは、現在私は京都大学の研究所におりますが、同じ悩みを我々も持っています。研究開発の成果を求められた中で、現場を動かしていくという、そこの動かし方のビジネスポリシー、ビジネス文化というか、そこをきちんとできる体制を組む、まともな大型研究開発をやる体制であるはずです。当然、ハードや予算も関係しますし、それを操るリサーチマネジメントも大事であって、そこが欠けていたんじゃないですかということを今、委員の方々は大変懸念しておられる。こういうわけです。これは当然マインドの問題、ソフトの問題、ハードの問題、お金の問題、人員の問題、全部かかってきます。そこをよく考える必要があるということを多分皆さんがおっしゃっているのだろうと思います。廣井理事、そういうことを委員の方々が思っているということは是非、お持ち帰りいただきたいと思います。山口さんどうぞ。

【山口委員】廣井理事のおっしゃった話で、点検を担当者と現場の課に任せていたのが悪かったとおっしゃいましたが、私は逆ではないかと思います。今まで多くの人が見ている中で悪いことがあったというのは、よくあることで、むしろ責任を持ってやる人を明確に定義しないと、こういう点検は担当の人たちで責任を持って成し遂げられない。逆に先ほどの資料の13ページで課長、部長、所長と上がっていくところのラインで、いろいろな審議体を間に入れられていますが、私はむしろそういう補修、保全のような非常に現場にorientedな話は現場の人がきちんと責任を持ってやるというふうに考える方が、むしろうまくいくのじゃないかなと思います。実際に私は組織論の専門家でも何でもないので分かりませんが、少しコメントとしては、こういうふうにある組織の体制でうまくいかなかったからもう少し関係者を増やしていけばうまくいくという発想は単純すぎる構造で、ものによって、こういう現場や機器やシステムに密着したところがしっかり責任を持ってやるということをお互いに了解するということの方が効果的ではないかと思います。私の考え方が間違っているのかもしれません。それは組織論の専門家に御意見を伺えば良いかと思いますが、お考えいただければなと思います。

【山名主査】分かりました。そういう考え方があるということですね。他にいかがですか。笠原委員。

【笠原委員】先ほど言葉が足りなくて、研究開発と運転管理の対立みたいなことを言いましたが、今の現場のモチベーションからいうとやはり機構のような組織だと研究開発ということに価値を皆が置きたいと考えていると思います。こういう現場orientedなことだと研究開発の種は、本当の意味で現場が強くないと出ないです。うまく言えないのですが、今まで一見、運転保守職場のように見られたところがもう少し研究開発の中心にあるような考え方、モチベーションが与えられた方が良いのではないかと思います。想像ですが、今回のことも何が本当のプラント安全に有効なのかどうかは現場の方がかなり知っているのではないか。なかなかそれが出て行かないようなことが少しあるのかなと思います。もし現場の価値観が変わると、そういうところが良い方になってくるのではないかと感じました。議論の方向をもう少し変えられないかなと思いました。

【山名主査】そうですね。いろんな視点がありまして。恐らくこれくらい大きなプラントになるとそれぞれの部署をしっかりと責任を持って担当するというオーガニゼーションが成立していないと動かないはずです。しかしそれが動いているだけでは研究にならない。それぞれの情報量、それ全体のリサーチマネジメントとしてガバナンスする体制、それをうまくリンクしなければ駄目だと。いかがでしょうか。このテーマは重要なので、もう少し時間を使いましょうか。黒崎委員どうぞ。

【黒崎委員】最初の方で質問させていただいたのですが、意欲の低下というところ、あそこがかなりキーポイントかなと思います。周りを固めていってミスをしないようなそういうルール作り、組織作りも大事かと思いますが、そこに働く人それぞれの責任、意欲、人がすごく大事なのかなと思っています。それで最初質問させていただいたときの答えで、本当は研究がしたかったのだけど、それで不満があるみたいだとおっしゃっていたような気がしました。そういう気持ちも分かりますが、大きなプラントをミスなく安全に動かすというところにも価値を見いだしていただけるような、そういう組織の考え方を作っていただくということがすごく大事かと思います。研究ももちろん良いですが、研究以外のところでもすごく重要で、そういうところで仕事することに誇りを持てるような風土作りなども考えていただければなと思いました。

【廣井所長】先ほどの答えの中、私の答えは十分ではなかったものですから、あれですが、私個人としては大洗のセンターで4年間所長としてやって、また「もんじゅ」も経験していて、意欲、士気が低いとは全然思っていません。むしろ本当によく徹夜続きみたいなことによく耐えてやってくれていると思っております。ただこの規制委員会のインタビューもまた事実であります。約300人いるわけですが、300人全体が本当にどんな意識かなというところについては、少し我々はよく分析をして、そして300人が300人とも自分たちの仕事の意義を見いだして、高い意識・意欲を持てるようにというふうに、今思っているところでございます。

【山名主査】1点確認させてください。さっき規制庁のインタビューで、用務は事務的なものが多く、士気をなくしていると発言した方がいた。

【廣井所長】マイプラント意識が少なく、という発言もあった。

【山名主査】ということを現場の方がおっしゃったということですね。

【廣井所長】そうですね。その報告書の中にその二つの言葉が引用されているものですから。

【山名主査】そのマイプラント意識の話は先ほど議論して、正に自分がこの大きな開発の中で何を担って、自分の価値が何かというところが失われているということで、結構深刻な問題ですよね。事務的なことばかりであるというのは何か業務の洪水に流されてしまって、あるいはプレッシャーみたいなものがあってというような、ちょっと違う視点があるかもしれませんね。今のこの現場の考えはもっと徹底して調べないといけないです。皆さんはどう考えているのか。開発に対するモチベーションは高いと、今、所長はおっしゃったから、何か違うものが混ざっているのかもしれません。

【廣井所長】300人いるわけですから、300人が高いかというところについては私が調べたわけではないので分かりません。私が接している人は、課長さん、グループリーダーなど、ちょっとクラスの高い人との接触が多いですから、そういうところで受けている印象だけで申し上げているので、もう少し分析しないといけないと思っています。

【山名主査】現場の声が経営層に上がりにくいところがあるのではないかという御指摘がどこかであったと思います。それにも関係してきます。いかがでしょうか。この文化論で最後に言っておきたい人がたくさんいますね。永井先生。

【永井委員】黒崎先生がおっしゃったところを、もう1回聞こうと思ったのですが。私も知っている方、みんな一生懸命、本当に夜遅くまで。例外がいるかもしれないではなくて、皆さんそうだと思います。ほとんど例外はないと思います。だけど、JAEAのプロパーの方が本来やる業務をやっているのかどうかというところが、やっぱり違うだろうというのがその答えの意味だと思います。意欲を失っている人がほんのちょっといて他が多いという意味ではなくて、皆さん意欲を持たれているけれど、本当にそれが、自分が一番力を発揮して、安全のため、研究開発のために何をすべきかと考えたときに、「これは俺の仕事なのか」とそれを悩まれているというのが今の答えの意味で、ちょっと違うのではないかと思います。そこを酌んでいただきたい。そこには人事の評価の在り方から含めて、それと関連して今日頂いた中には、若手の育成から。それも評価に関わってくることかもしれませんが、どうエンカレッジしてやるかという視点がほとんどないと思います。具体的には、例えばシニアの方、経験豊かな方を2名技術専門職として上の方に就ける、それはそれで結構かもしれません。だけどそこに将来有望な若手を就けてそれをキャリアアップの一つの重要なものに、例えばの話です、そういうところに就けてエンカレッジしてそれを評価に反映させる、あるいはさっき民間との在り方と私は申しましたが、人事交流とか。限られた人数の場合、本当にそこの部署のトップだけを、一人だけしかいないからそちらにやって、そうすると結局誰かにやってもらうしかない。それをもうちょっと下の立場に行ったり、上に行ったりいろんなところを経験して人事交流する。そういうのも含めた評価の在り方も重要だと思います。

【山名主査】村上委員、お願いします。

【村上委員】永井先生が最初に言われたことと正に同じことを言おうとしました。みんな熱心で、一生懸命日々の業務をやっていて意欲はあるけれど、それが本来やりたいことと違うのかもしれないというのは大いにあり得るところです。NRAのインタビューの結果、いろいろ組織のやり方、進め方に関する不満が出てきたというのも、私はこれを見た瞬間、それは果たしてアンケート、インタビューの取り方がどうだったかを知らないと何とも言えないと思いました。どういうやり方をしたか分かりませんが、少なくとも職員全員から強制的に聞き取りをしたわけでは多分ないと思います。恐らくよくやるやり方で、メールや紙で全員に質問票を振りまいて、返ってきたものだけを集計して、めぼしいものを採ったと。こんなやり方は一般的にアンケート、本当のニーズをつかむ分析としては最も信頼性の低いやり方です。なぜならばそういった方法で集めた結果は何らかの形でバイアスがかかる。本当の真相、本心、組織的な傾向をつかむためにはあえて返事を返さない人の口を開かせることが本当は必要です。乱暴ですが、一番信頼できるアンケートの結果が出るのが、突撃電話インタビューだそうです。席にいて一番仕事で忙しいときを見計らって電話をかけて突撃で質問して、答えを言うまでしつこく食い下がるというのが一番信頼できる結果の出方だそうです。恐らくこのNRAはそこまでやっていないです。本当のところ、どの程度職員の方々が心から納得して現場の改善が進んだのか。研究課題の解決ですから、それに向けて取り組むための答えを引き出すために、是非そういったちょっと強制的な嫌がられる手段もやってみることを検討されてはどうかと思います。

【山名主査】一つの提案でございます。是非前向きにお考えいただきたいと思います。山口委員。

【山口委員】何となく精神論みたいな話になってきて、私はちょっと違うと思います。私がお話したかったのは、今回の問題は現場のスタッフの割には点検項目が多すぎて現実的ではないものだったということです。それと仕事の意欲があるないという話とは別の問題です。仕事の意欲があるから点検項目が多くても頑張ってできますよ、という話ではないと思います。現場の人は、それだけ点検項目があったら、これは安全上はもっと点検間隔を延ばしてもいい、正にリスク情報活用のところでさんざん議論してきた話ですが、そういうものを現場の人は実感として感じています。果たしてそういうようなものがきちんと保全プログラムにフィードバックされてそれが改善されていくような枠組みがきちんとできているか、という問題なのだと思います。個人個人に意欲があるかないかという意味では、私は黒崎先生や永井先生がおっしゃったように、皆さん意欲があると見ていますが、ただ意欲がないから意欲を持たせてあげればこの問題が解決するという話ではなくて、今の点検項目なり、そういうものをこのリソースで適正化してやっていくためにはどういうふうに変えていけばいいのか、現場のところでのそういう提案がきちんとプログラムに反映される仕組みができているのか、そこが本質的なところだと思います。何となく職員のモチベーションみたいな話や安全文化、それはそれで重要なことですが、ちょっとそういうメンタルな部分に何となく問題解決を押し付けてしまって、皆頑張ればできますよ的なアプローチは本質的な改善にならないので、仕組みをどう変えていくか。それがさっきの組織で今まで課がやっていたものを部でも所でも再審議しますよ、みたいな話で、たくさんの人がチェックしますみたいな話は、結局は余り効果がないと思います。むしろ誰が責任を持ってきちんとやるか、あるいはそのチェックをどういう仕組みでやるか、そこをしっかり決めてやれば良いと思います。そういう安全文化論は、それはそれで一つの軸として、システム、枠組み作りをきちんとやって、どうすれば実行性のあるプログラムにこれから改善していけるかというアプローチを提案していただきたいと思います。

【山名主査】それではこの件はここで一度やめて、次はほとんど具体的にやるような話になっていますが、体制の話、具体的な提案とか、それ以外の意見がありましたら伺いたいと思います。笠原委員。

【笠原委員】山口委員の延長というか具体化になりますが。無駄なことをたくさんやるのでは元々の「もんじゅ」の目的にもかないませんし、国の付託にもかないません。何とか保全プログラム自身を有効性評価して、合理化するというのが目的だと思います。その中で、今回聞いた中で、いろんなシステムを作って管理をきつくすると余計な仕事が増えてしまうのではないかと。その前に「もんじゅ」の保全自体を合理化することを考えるのが、ワンクッション要るのではないかと思います。文部科学省の方にできる本部にも関わるかもしれませんが、問題の設定が管理あるいは法令順守のことに少し重点が置かれすぎていないかと思います。

【山名主査】いかがでしょうか。余りないようですね。

【北田委員】確認というかお聞きしたいのですが、「もんじゅ」の保全を今言われていますが、そもそも「もんじゅ」を使って研究開発をするという体制と、保全するという体制との関係はどのようなものになっているのか教えていただけますか。オーバーラップしているところは当然あると思いますが、保全で今、いろいろ言われている体制を変えた、システムとかいう話がありますが、研究開発体制としたときに、それとの兼ね合い、どのような関係になっているのかがよく分かっていませんので、教えていただければと思います。

【廣井所長】私も説明しきれるかどうか難しいですが、そもそもの原子力研究開発機構の組織設計では、大きな施設を動かすところを拠点と定義して、そこがプラントを安全に管理していく責任を持っているという意味で、「もんじゅ」は拠点と位置付けられています。安全に「もんじゅ」を運転していくことが最大のミッションである。研究開発は部門という集団で、そこから得られたデータを将来の知見に反映していく、成果をまとめて表面に出していく、そういう大きな組織設定になっています。しかしながら例えば、電力会社さんですと、各発電所があって、例えば、SCCの問題がある、あるいは破砕帯、耐震等の問題があるというと、大体本店があって、本店の方で、それは発電所が複数ありますので本店に技術支援部隊があって、そこがやる。「もんじゅ」の場合は、原子力研究開発機構としてのそういう発電所は1個ですので、そこは「もんじゅ」が抱えざるを得ない。「もんじゅ」だけでは抱えきれないので今では次世代部門という研究開発部門が敦賀に、今はFBR安全技術センターという名前になっていますが、そこが研究開発的側面を支援するという格好になっています。そういう意味では今回の保全の問題は、安全管理するという組織のミッションを持っている拠点の問題です。もう一つややこしいのは、今これから性能試験をしていくというフェーズですので、単にルーティン的な管理をしていくのではなくて、性能試験に向けたいろんな計画も本来は「もんじゅ」が持っている、あるいは期待されているところです。ただ今まで若干トラブルも多くて、例えば3.11の福島の事故を踏まえて電源設備を強化しなくてはいけないという設備対応もプラスアルファとしてかなり期待されていました。当初の設計を超えるようないろんなものに応えていかなくてはいけないという感じがします。

【山名主査】つまり「もんじゅ」は正に安全に動かすという組織を最優先に組織を組んでいるということですね。

【廣井所長】そうです。

【山名主査】今回のトラブルは安全に動かすというタスクが一部抜けたということですね。いかがでしょうか。黒崎委員。

【黒崎委員】保全プログラムという言葉と保安規定。その関係はどうなっているのでしょうか。保安規定というのは自分らで守らなくてはいけないルールみたいな感じだと思いますが。

【廣井所長】今は保安規定の中に保全プログラムを作って、具体的には点検計画や保全計画を作って、こういうふうな責任体制で運営していきますということを保安規定に決めています。

【黒崎委員】その規制委員会からの措置命令のところで保安規定を変更するようにという命令がきていると思いますが、これはいつ頃までに変更するかというスケジュールはどうなっていますか。運営の1番との関係ですが、これだけを見ると1番と2番は同時にやるのか、片方やって片方は後からやるのか、そのへんの関係が分かりづらいので、どのように対応するのか教えていただけますか。というのは使用前検査を進めるための活動を行わないことというのは1番の方にかかっていて、2番の方にはそういうことは書いてないということと、2番は自分のところのルールなのでこれを変えると1番に随分かかってくるのかなみたいなということも感じたんのですが。

【廣井所長】1番の方は、未点検機器が存在していますので、点検がまだ期限を超過している状態のものがありますので、まずは我々がそれをしっかり点検して、そういう結果を基に保全の有効性評価を行って、保全計画の見直しをする。同時にこの保守管理、品質保証体制をしっかりしたものにするということが使用前検査を進めるための活動を今後再開できる条件だというふうに理解しております。保安規定の方は、今進めている根本原因分析も踏まえて、仕組みを作っていくわけですが、それを保安規定の中に書き込んだ方が良い仕組みがあると、書き込むべき事項になります。例えば責任等を明確にするための記載やそれをチェックする管理体制というものも必要ならば保安規定に記載をしていくことになるかと思っています。そこは中国電力さんが同じような点検の超過問題があって、保安規定も再発防止の観点で見直されていますので、そういうものも参考にしながら我々も検討していきたいと思っております。

【黒崎委員】ちょっと確認したかったのが、今、保全の有効性評価というところが一つのキーポイントになっていて、本当に自分たちで作った保全プログラムが実施可能なものなのか、合理的なものなのかといった有効性評価をやる必要があるということと、それと保安規定の変更というのは、つまり保全の有効性評価をした結果が反映されることも保安規定の変更の中に入るということで良いのでしょうか。

【飯島副所長】保全計画につきましては、保安規定はルールをきっちり決めて、ルールを守る人は誰かという責任の所在を明確にするというものが保安規定でございます。そのルールに従って保全計画というものを最適なものに見直しなさい、今あるものを最適なものにしていく、改善していくということ自体が安全文化の実践ですよ、ということです。我々はそれができていなかったということで、安全文化も劣化していると。そういうふうにつながっていきます。したがって我々はまずルールたる保安規定にそういう足りなかった部分、明確になっていなかった部分を明確にするという改訂をやります。それに従って、保全計画についても先ほど委員の皆様から御指摘があるように、身の丈に合った、できないものを決めていた、正にそのとおりのことをやっていたわけです。そういったものをちゃんと適切なものに変えていく、これを併せて実施していく。建設段階における「もんじゅ」に適した保全計画に見直していく。こういったものをやるというふうに考えております。

【笠原委員】黒崎委員と全く同じように考えています。海外からは合理的にこういうことをやりなさい、など、いろいろと言われています。「もんじゅ」のシンポジウムやIAEAが来たときも。なおかつJAEAの中では資源、予算が減らされていてなおさら無駄を排除して重点化しなくてはいけないと思います。規制委員会の評価の中でも、今回原子炉が低温停止状態では直ちに危険がないとも言っていただいています。どこがプラント安全に大事かという山口委員の指摘ですが、そこは早いうちに有効性を評価する必要があると思いますが。今のお答えの中だと、ダイレクトにそれに対する答えを頂いていない、よく分からない気がします。

【飯島副所長】保全計画の見直しにつきましては、今チームを組んでやろうとしています。どういうのが重要な機器か、例えば停止中においてはどんな機器が機能要求されて、しかも、機能要求の中でどういったランクがあるのか、今後、性能試験の段階ではどういう機器が機能要求されて、しかもそれの順位付けはどうなるのか、こういったものを整理して、そういった順位付けの中で保全はどうあるべきか、それは先ほど理事も触れましたが、予防保全が良いのか事後保全が良いのか、その予防保全においても時間基準のTBMと呼ばれているやり方が良いのか、それとも状態監視が良いのか、そういったことを一つ一つ機器ごとにこれまでのデータも踏まえて、あるいは過去の経験も踏まえて、点検した結果も情報の中に取り入れて、保全計画、保全の有効性評価を行っていく。その結果、ランクとしてはこれについてはこうしましょう、といったものを作り上げていく。これが原型炉「もんじゅ」を動かすという中で、運転保守技術の確立の一つですので、これは一つのR&Dとして「もんじゅ」の職員がやらなくてはいけないものでございます。そういうふうに考えております。

【笠原委員】ありがとうございました。

【山名主査】そろそろ時間も迫っておりますが。

【山口委員】軽水炉でも運転経験をどう反映していくかは非常に重要な問題です。大体オーナーズグループのような形でいろいろなトラブル情報も含めて、あるいはどういう対策かも含めて多分情報交換している場、そういうのを活用して安全性向上していく。それは当然一つのプラントに自分の経験だけを持って物事を見ていく、いろいろな他のところからの経験も踏まえてやるのがはるかに効果的なのは自明だと思います。先ほど中国電力の話が出ました。私も中国電力のときの話を見ていましたが、やはり中国電力の場合も身の丈に合っていないようなことがいろいろありました。点検漏れが何万点と出てきました。あれに対して私が見ていたところ
、安全委員会などでああいう品質保証という枠の中で現場の人がなかなか現場のチェックができないような状況もあったという議論もされていました。2年前くらいですか。提案としては、元々保全プログラムは軽水炉をベースにとおっしゃっていて、もちろん高速炉の特徴を反映していくところは、それは得意中の得意だと思います。逆にそういう経験をシェアするとか、そういう観点での仕組みもあっても良いのではないかというふうに考えます。

【山名主査】今まで出たことを幾つかまとめてみようと思います。全体的に発電プラントを運営していくというプラント運営のプロフェッション、プラント運営の眼力、経験、力。これが組織的にやや弱かったということがあるような気がします。もちろんそれなりの組織を組んでおられますが、今回こういうことがあるということが、情報が上がらなかったとか、そういう意味で発電プラントを動かす能力のもう少し集約なり強化のようなものが要るのかな、という印象を持ちました。これは一つです。皆さん違う意見をお持ちかもしれません。これはひょっとすると、電力事業者さんの力をもっと借りる必要があるという提案につながるのかもしれません。何とも言えません。それから山口委員がおっしゃるように、今の保全体制の中で保全の組織やそこでの仕事のスパンが一部不足していたと考えられる。やるべきところがやるということを完遂できていないという状態があったわけで、これはやはり組織として少し弱い部分があったのだろうということを感じます。ある意味で言えば、その部署に対する業務のスパンが大きすぎるのかもしれない。それについては人数増強とかが効くのかもしれません。恐らく今までの議論を聞いていると、多少現場に余裕がないというところがあるのかもしれません。業務量が多いということ、あるいはプレッシャーがあるということから、もう少し余裕を作らないと、すんなりといかないのではないかという懸念は持ちます。それから業務の責任と分担。これを再明確化する必要があるのかなと思います。もちろんやっておられるのでしょうが、今回の事象のようなところをその部署が何となく先送りしてしまうというところが、責務の再認識というのがいるのかなと思います。これくらい保全が複雑になってくると、横断的な情報流通や現場から上に上がってくる情報提供とか、率直なものの流通がもっとあればこの事態は防げたというふうに思います。「この保全が遅れているのだけど、所長どうしましょうか」と一言あれば済んだ話のような気がします。情報流通という問題を改善すべきことだと思います。保全プログラムの有効性確認。言葉を換えれば合理化なのかもしれません。これは高速炉開発という中で、高速炉に特有の保全の在り方を今まで真剣に考えてきたかというと、恐らくそれは軽水炉からの流用だけで、何となく厳しい計画を置いた状態できていたのかなという気がします。これは開発のポリシーの根幹に関わる問題です。自分たちがやるべきことは、高速炉の開発とは何かという目で洗い直す必要があるのではないかと思います。意欲の問題やモチベーションの話がありましたが、今回の問題と直結するかどうかは分かりませんが、この組織員のモチベーションの低下は間違いなく致命的なものになります。これだけいろいろ外からのプレッシャーも大きくなってくると、先ほどの自分が担っている仕事の位置付けがよく見えない、事務的なものに追われているという不満が必ずあると思います。どこの組織にも必ずあると思います。そういうものをどんどん解きほぐしていかないと有機的な連携はできないという危機感も感じます。そうしてみると、先ほど、どなたかがおっしゃったフィードバック、全体的にどうなって、それをどうフィードバックして計画や組織の役割に反映していくかというフィードバックのアセスメントがまだ十分ではないのではないかというようなところが多少気になるところであります。ということで、やはり組織強化、あるいは流通強化、プログラムと開発全体の再吟味と再構築、有効性確認、再強化。PDCAの回るような組織体系の改善。職員の意欲を落とさないような様々な手法。そういうものが必要になってくると思います。皆さんの意見を聞いていると、やはり安全文化というよりはプラント運営の文化上の何かがあるような気はします。安全文化はやはり、ルールを守ろうという意欲がないということは安全文化ではないということです。その前にプラントを動かしていくという文化の強化が要るような印象を受けました。簡単にざっとまとめましたが、今、言ったこと以外で抜けている部分があると思います。先生方何か補足することをお願いしたいと思います。これは全員から聞きましょう。山口先生、いかがでしょうか。

【山口委員】非常によくまとめていただいたと思いますが、一つ私が発言した中で、JAEAの中で改革をしてできるところの話と外部からサポートしてあげないと達成できない話があると思います。JAEAがこういうふうに改革していく中で外部に対してどういうふうにやってほしい、見てほしいという論点を1回議論することが必要だと思います。

【山名主査】これは機構の中からそもそも出てくるものですよね。これが出ないというのは一つのまた文化的な問題です。

【廣井所長】自らが改革していくことが、まず安全文化の劣化の防止では大事なので、我々はまず自分たちができることの項目を出して、それで所員にもそれをアピールして改善に向けているということです。外部にこういうふうにやってほしいというところは、ある意味今回新たな視点なので、外部といっても、機構の中で「もんじゅ」だけでなくというところは、機構としての改革推進本部ができましたので、その中で組織としてしっかりやっていくために、「もんじゅ」以外のところがどんなふうにそこに関わっていくかという議論はできます。機構の外となるとなかなかどうかなと思います。

【山名主査】この部会で、今の外の面も含めて、そういう話をもっとした方が良いと思います。機構の中でも少し積極的にそういうことを考えていただいて良いと思います。村上委員、どうですか。

【村上委員】本当に山名先生が総括された以外のポイントでも良いのかと思っていたら、正に山口先生が、自らやることと外部に見てほしい論点というお話を出されたので便乗します。JAEAさん自身が自ら、誰にも何も言われなくても、何かこれはいかんと思い、変えていかねばならない意識が必要だと思います。それは重々、見ていて分かります。JAEAさんに代わって言い訳します。今まで何か起きるとまず、自らこれはいかんと考えて変える以前に、考える間もなく、JAEAさんは何か起こったら、まず叩かれ、ぼこぼこにされて、誰にも頼んでいないのに誰か他の外部から動きだして、何とか改革委員会などを立ち上げてぼこぼこ言われ、責められる。そういうのだったらどこに自ら考える暇があったんですか。最初に私が文部科学省の中の改革本部とJAEAさんの中の改革推進本部の話を質問の形で出したのは、何でJAEAさんが自ら改革しようと取り組む前に、いきなり外部の有識者会合を立ち上げて何だかんだ言おうとしたのですか、というところが根源的な疑問だったからです。

【山名主査】分かりました。永井委員どうぞ。

【永井委員】山名先生がおっしゃった以外にということで、厳密にどうか分かりませんが、最後に飯島副所長からいろいろ御説明がありました。正に保全プログラムの合理化は、掲げていればそれをやるのが当たり前で、それをやるのが研究開発であったはずです。それをできる人がそのプログラムを作っていなかったというのが事実なわけです。それにはどうすれば良いかということは、そんなに答えは難しくないと思います。人事の話をしましたが、結局そこに行きつくのではないかと思います。精神論で言ったつもりはなくて、そういうところが本質ではないかということを申し上げました。もうちょっと別の視点で、とはいっても、絶対的な人員が足りないことも事実です。参考資料で頂いている中で、4ページ目。予算とほぼ比例する形で人員も減っています。この中の人員の内訳もかなり変わっていると私は記憶しています。研究者と技術職、それぞれの比率、事務職。いろんなものの比率がかなり変わってきて、かなり頭が大きい組織になってきているという気がします。大学でもそうですが、どんどん人数が減ってくると、上は減らないで下が減ると、普通組織はそういうふうに変わってきます。やり直すなら、そういうところから考えるべきかと思います。もう1点だけ。最初の方で議論した安全と管理がどうしても対立するのではないか。研究開発している内容だからそれはお互いにフィードバックしながら、正にその通りで、やはり管理をしている側の人も研究開発にいって、研究開発している人も管理の方に行くような、そこをもうちょっと密にして。例えば我々大学の中でも、ほとんど人がいない場合は全部自分たちでやらないとしょうがないわけです。研究している人間も核燃ではございませんが、RIの主任者の免状くらいは取るわけです。そうすると初めて管理がいかに大変かということが、自分が勉強して試験を受けて初めて分かるわけです。それと逆のことももちろんあるわけです。技術者がどういうことを考えてやりたいのかということを管理側が勉強することによって、保安プログラムの合理化に具体的につながっていくわけです。だからそんなに難しいことではないような気がしました。

【山名主査】黒崎委員、お願いします。

【黒崎委員】私は途中で、一つの系統でも、こっちの機器はA社でこっちの機器はB社でという話があったりとか、請負会社の関係とかがあって、その辺りの話を聞いていまして、今こそ、そういういろんな過去のしがらみ、これまでの経緯とかいろいろあると思いますが、そういうのは全部壊してしまって、安全、合理的な仕組みを作ってもらえるのは、ここしか今しかできないのではないかなと思っています。過去のしがらみやいろんなところはもう一切見ずに、一つの目標に向かってやっていただければなと思っています。

【山名主査】北田委員。お願いします。

【北田委員】安全に向かってということで、私が思うのは、組織論の専門家ではありませんが、現場の方が元気になって、現場の方の意見を尊重するようなそのような体制を、JAEAの中の人たちだけで動いているものではないと思いますので、実際「もんじゅ」などでしたら、関連の会社の方たちなどいっぱいおられると思います。その人たちも含めた中で、風通しの良いような組織を作り上げていただければと思います。

【山名主査】笠原委員。

【笠原委員】山名先生が言われたプラントの運営の強化という意味ですが、学術会議が複雑巨大システムの問題というのを出されて、大学でも今、そういうことにチャレンジしています。新しいプラントはハードとソフト、一体になって、新しい次元の安全システムを作らなくてはいけないと思います。従来の強化というよりも新しい次元に入ったそれ自体が研究開発のような意味もあるのではないかなと思います。少しでも現場の方の理解やモチベーションに有効でしたら、そういう見方もあっても良いかなと思いました。

【山名主査】はい、分かりました。それでは大体我々の論点としては出尽くしたというふうに思います。それでは室長から何か。

【西條室長】予定時間を過ぎてしまいましたが、どうもありがとうございました。本日頂いた御意見につきまして、先ほど御説明させていただきましたが、文部科学省に設置された機構の改革の議論においても反映させていただきたいと考えております。今日、御意見を頂いた中でまだ足りないということがございましたら、今後追加で我々の方にメール等で出していただいても結構ですので、事務局まで御連絡いただければと考えております。また今回の会議の議事録案につきましては、出来次第メールにてお送りし、御相談させていただきたいと思います。以上でございます。

【山名主査】それでは以上で第9回もんじゅ研究計画作業部会を終了いたします。本日はありがとうございました。

 

--了--

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