原子力科学技術委員会 もんじゅ研究計画作業部会(第6回) 議事録

1.日時

平成25年1月22日(火曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館16階特別会議室

3.出席者

委員

山名主査、稲田委員、笠原委員、北田委員、黒崎委員、永井委員、村上委員

文部科学省

藤木文部科学審議官、田中総括審議官、戸谷研究開発局長、生川原子力課長、西條核燃料サイクル室長

オブザーバー

弟子丸日本原子力研究開発機構高速増殖炉研究開発センター所長代理、佐賀山日本原子力研究開発機構次世代原子力システム研究開発部門長、中井日本原子力研究開発機構次世代原子力システム研究開発部門FBR安全ユニット長

4.議事録

【山名主査】 皆さん、おはようございます。
 定刻となりましたので、ただいまから第6回の「もんじゅ」研究計画作業部会を開始いたします。
 本日はお足元の悪い中をおいでいただきまして、ありがとうございます。
 報道関係者の方、特におられませんね。
 それでは、早速ですが議事に入りたいと思いますが、今日は二つのテーマを用意しております。中間論点の取りまとめと、それからもう一つは「もんじゅ」の研究計画についてでございます。
 それでは、まず事務局の方から、資料確認と出欠の確認を行ってください。

【西條核燃料サイクル室長】 おはようございます。
 それでは、本日は、大島先生と山口先生が所用により御欠席との連絡を頂いております。その他の委員の先生方には御出席いただいておりますので、本日は9人中7名の委員の先生方の出席ということで、定足数である過半数を満たしております。
 続いて、本日の配付資料の確認をさせていただきます。
 お手元の資料、まず資料の1ですが、「「もんじゅ」等の研究計画について(中間的な論点の取りまとめ)」、それから資料の2-1といたしまして、「高速増殖炉/高速炉の安全性強化を目指した研究開発について」、それから資料2-2といたしまして、「国際協力の下での高速増殖炉/高速炉サイクル研究開発について」と、この3点を配付させていただいております。
 それと、いつものとおり、第1回から前回第5回までの資料を、ファイルをいたしまして、机上に置いておりますので、そちらの方も参考にしていただければと思います。
 資料の欠落等ありましたら、事務局までお知らせください。また、議事の途中でもお気付きの点がございましたら、遠慮せずお申し付けください。
 また、昨日、メールにてもお知らせしておりますが、本日は一般の傍聴者の方から、会合の模様を収録して、ユーストリームを使って配信したいとの御相談がありましたので、「もんじゅ」研究計画作業部会公開の手続に基づきまして、会議の妨げにならないことを条件に、固定カメラで録画を許可しておりますので、御了承いただければ幸いです。
 以上でございます。

【山名主査】 それでは、早速ですが、本日の議題に入りたいと思います。
 まず最初に、昨年御議論いただきました中間的な論点の取りまとめについて議論したいと思いますが、まず事務局の方から説明をお願いいたします。

【西條核燃料サイクル室長】 それでは、事務局の方から資料1に基づきまして御説明したいと思います。
前回、12月11日第5回の部会の方で御審議いただきました「「もんじゅ」等の研究計画について(案)」ということで、そこで御審議いただいた結果、主査一任ということでございましたが、その後、第5回の御意見、コメントを反映した形で本日の資料をまとめております。本日はその変更点を中心に御説明したいと思います。それでは、資料に沿いまして御説明いたします。
まず、1ページを開いていただきまして、目次の次に、2ページの「Ⅰ.「もんじゅ」の研究計画策定における基本的考え方」、ここで2点ほど前回の資料に追記させていただいて、取りまとめとさせていただきました。
一つは、三つ目の丸になります。「このような観点より」というところですが、その中で矢羽が二つ書いてありますけれども、上の方の高速炉プラントとしての安全性を含む技術成立性の確認ということで、こちらにつきましては、前回の議論で、研究開発の方をいわゆる成果の取りまとめ、それから減容化の話、それから安全という三本柱としてこれを取り上げているということで、そことの整合性を図る観点からも、「安全性を含む」という文言を入れるべきという御意見を頂きましたので、それを反映しております。
それから、四つ目の丸に、「なお」以下ですけれども、2行目のところで、「かつ国民にその過程・成果が伝わるよう明確な目標をもって」ということで、ここにつきましては、緊張感を持って取り組むべきということ、そういった点を踏まえてこういった文言を入れるという御意見を頂きましたので、これを反映しております。
それから、続いて、ちょっと先にまいりますが、5ページ目をおめくりいただけますでしょうか。5ページ目の「3.当面の研究の進め方」、ここはいわゆる廃棄物の減容のところの部分でございますけれども、そこの(1)の二つ目の丸のところです。こちらにつきまして、前回のところでは、この「もんじゅ」におけるというところですが、最後の3行目のところですけれども、照射試験用燃料の製造・分析、ここが燃料製造等の先行的な研究という書き方をしてあったんですけれども、「もんじゅ」の照射試験を行うのにはほかの施設もありますし、様々な研究があるということを明示すべきということで、多少具体的に書かせていただいたという形になっております。
それから、(2)の二つ目の丸になりますが、「マイナーアクチニド含有燃料等の」というところですが、最後のところに「長寿命核分裂性生成物の短寿命化に関する」ということで、これはLLFP、ここの長寿命核分裂性生成物についても、こちらについても有害度の低減に貢献するので、研究をやるのであればそれを明示するべきということで、ここに明記させていただいております。
それから、次に6ページにまいりまして、Ⅳです。「高速増殖炉/高速炉の安全性強化を目指した研究開発について」ということで、こちらにつきましては、こちらの方は結構議論がございましたので、そこを反映しております。特に「1.検討の基本方針」の一つ目の丸のところですけれども、これは前回のところは「高速増殖炉/高速炉の安全性強化に向けた研究開発は、これは研究の大前提」という書き方をしてあったのですが、これはまず安全性の確保が大前提であるというところで、これは御意見を頂きまして、そういった形で書き直させていただいております。一方、安全強化の研究開発は最優先にやるべきだという形で整理をさせていただいております。
それから、二つ目と三つ目の丸ですが、ここはちょっと非常に流れが分かりにくいというような御指摘も頂きましたので、そこについて修正をさせていただいております。ちょっと入替えをしたりして修正をしております。御意見を頂いたところでは、丸の三つ目の下から3行目のところにありますが、「特にシビアアクシデント発生後の緩和対応方策と緊急対応方策」、こちらの方は緩和方策、緊急対応方策、こういったものをごちゃごちゃにならないにすることというような御指摘も頂いておりましたし、それから二つ目の丸、三つ目の丸、前回の書きぶりですと、福島事故の対応だけをやればいいのではないかというような誤解を与えるというところがございましたので、そこについて文章を構成し直した形で、より具体的な内容、それから分かりやすく書いてあるということでございます。
それから、7ページ目の方にまいりまして、「3.当面の研究の進め方」、安全研究に関する当面の研究の進め方ですが、こちらも「(1)「もんじゅ」で行うべき研究開発」のところですが、一つ目の丸と二つ目の丸のところですけれども、これも先ほど申し上げましたように、やはり福島事故のシビアアクシデント事象のみを対象とするような誤解を招くということで、ここに「幅広く」というような文言を加えながら、より広いシビアアクシデント対応をやるというところを追記させていただいております。それから一つ目の丸と二つ目の丸の関係が分かりづらいというところがございましたので、そこについては御意見を踏まえて、流れが分かるような形で書き直してございます。
それとあと、8ページの方にまいりまして、Ⅴの「研究開発実施に向けた準備について」、これは三つ目の丸になりますが、前回ちょっといわゆるなるべく早く対応すべきという観点として、コストの観点だけということが書いてありましたので、それは違和感があるということで、人材育成とか、国際的な協力、こういった観点からも、そこは早く対応するという観点もあるので、これも重要な視点ということの御意見を頂きましたので、ここを反映させた形にさせていただいております。
それから、実施期間のところでございますが、前回の書きぶりですと、研究開発を効果的、効率的に行うために他の機関と協力を行うという、そこだけに、他の機関と付き合う理由が効率的、効果的というような読み方ができたということで、ちょっとそういうような文章になっておりましたので、そこは基本的にJAEAと国内大学、それから民間企業、それから海外と、こういったところの協力で、総合的に研究開発を実施することが重要だという形で書き直しております。
最後のⅦの「引き続き検討が必要な事項」におきましては、矢羽の三つ目になりますが、研究開発体制の在り方の中で、いわゆる研究をやっていく上で硬直的なものにならないように、機動的な対応が必要だということを追記すべきという御意見がありましたので、ここに更に機動性を持ったという形で書かせていただきました。
それから、最後の矢羽を追加しておりまして、ここは特にいろいろなところで御意見もありましたし、前回も御意見を頂きました。国民にどう成果を説明するか、これは非常に大切な視点ということで、最後に国民への研究成果の説明の在り方という形で追記させていただいております。
この全体といたしましては、それに前回お示ししましたような参考の資料と、それから16ページ以降にこれまでの審議における主な意見及び論点ということで、前回添付資料として出させていただいたものに、第5回で頂いた意見を踏まえて、それも全部反映した形で参考資料として付けております。
以上が中間的な論点の取りまとめということになっております。中間的な論点の取りまとめ、12月11日ですが、その後に選挙もありまして、政権交代等もありましたけれども、これまでの経緯を踏まえますと、効率的・効果的に研究を進めるために「もんじゅ」を用いた研究開発について、専門家の先生方に技術的な検討を行っていただき、しっかりとした研究計画を策定することは有用だという観点から、本作業部会におきましても、引き続き研究計画策定の議論を進めてほしいと。これは下村大臣の方も御発言されております。こういった観点から、今後は中間的な取りまとめに示されました方向に沿って、詳細な計画を本年夏を目途に策定するべく引き続き御検討をお願いしたいと思います。
事務局からは以上でございます。

【山名主査】 ありがとうございました。
 昨年末最後に意見を伺ったものをできるだけ反映するようにいたしました。幾つかそれまでの文章でやや分かりにくいところがありましたものを強化して、この形でまとめたということでございます。
 これについては既にまとめたということでございますので、ここでは特に質疑等は行いませんが、今後、この論点の取りまとめを基本として、資料3で添付されています皆さん方の意見を参考にしながら、具体的な研究計画を決めていくという作業に入っていくということで御理解いただきたいと思います。
 それでは、次の議題に入りたいと思いますが、早速、先ほどの論点取りまとめの「今後引き続き検討が必要な事項」の中の幾つかのテーマがございますが、まず今日は安全性について特に議論をしたいと思っております。資料の2-1、「高速増殖炉/高速炉の安全性強化を目指した研究開発について」を使って、今日は安全研究の議論をしたいと思います。
 それでは、20分程度で御説明をお願いしたいのですが、中井ユニット長からお願いします。

【中井ユニット長】 それでは、高速増殖炉/高速炉の安全性強化を目指した研究開発について御説明させていただきます。
 ページをめくっていただきまして、1ページ目は昨年の会合で出された基本方針ということでございます。これに加えて、前回の議論も踏まえまして、研究計画の実施内容を検討してございます。
 基本方針といたしましては、東電福島原子力発電所の事故等を踏まえまして、シビアアクシデントの発生防止、シビアアクシデント発生時の緩和対策、こういうものが重要であるということを踏まえて、深層防護の在り方をよく吟味した上で、高速増殖炉/高速炉の安全技術体系の強化を図ることが必要であると。そういう趣旨で、今後「もんじゅ」を実存するプラントとして研究開発の場として利用すること、それから「もんじゅ」では難しい、炉心溶融時の基礎データの取得等につきましては、他の試験施設において実施したり、プラントシミュレーション等による原子炉の挙動解析等を行ったりすることによって、研究開発を実施し、安全技術体系を構築するというのが基本方針というように理解しております。
 2ページ目にまいりまして、研究開発成果というものを最終的にどのような形でまとめ上げるかという観点から、安全基準、それから安全設計・運転、それから安全評価と、こういう三つの観点で集約して、お互いに連携させつつ安全技術の体系化を図っているといくということが重要ではないかというように考えております。
 安全基準につきましては、まず安全目標とか、基本安全原則というものに基づきまして、研究開発成果を踏まえつつ、その下にある性能要求であります安全設計クライテリアとか、仕様要求であります安全設計ガイドラインというようなものを階層的に整備していくことを目指していくことだと考えています。それから、それをサポートする意味で、安全設計・運転技術の適用を通じて得られる成果を一つにまとめ上げています。それから、安全評価手法、データの適用を通じて得られる成果を統合していく。この三つの要素で集約していくということでございます。
 安全設計・運転につきましては、設計基準の安全設計・運転の対策のみならず、シビアアクシデントマネジメント策とか、「もんじゅ」を用いました訓練・運用等を通じた改良等を行っていくという成果をまとめ上げていきます。
 それから、安全評価につきましては、手法といたしましては決定論的な安全評価、それから確率論的な安全評価というようなものがございますが、それらにつきましても、設計基準のみならず、シビアアクシデント等について「もんじゅ」と「もんじゅ」以外でそういうデータを提供していくというようなことが重要というように考えております。このようなスタイルとして体系化を図っていくと。
 3ページ目に入りまして、そのような体系化に必要な技術というものはどういうふうに深層防護との関連において整理すると分かりやすいということで整理しております。
 まず、深層防護の第1層から第3層というのは、設計基準内に位置付けられますが、これにつきましては、「もんじゅ」の性能試験等に基づく安全系等の評価・試験を通じまして、設計評価技術の成果として取りまとめると。
 それから、第4層というのは、いわゆるシビアアクシデントの領域でございますが、これには炉心損傷の防止として重要な技術である受動的な安全特性である自然循環除熱等を利用した安全強化対策と、「もんじゅ」を用いてその試験を行うとともにそれを評価する技術と整理しています。
 それから、万が一、炉心損傷という事態に至った場合の影響、緩和策というものも、福島の事故を踏まえますと十分行うべきことということから、炉心損傷した場合の燃料の溶融挙動、振る舞い、そういったものをEAGLE等の試験を用いて行うと。更に冷却系の機能を喪失したような状態に対する安全強化策の検討、それから評価、そういったものについてはAtheNaという試験施設を用いてデータを取りつつ、評価技術を整備していくというようなことを計画しています。
 それから、第4層全般につきまして、「もんじゅ」等の実機でのシビアアクシデントマネジメント策を整備していくと。それには確率論的な安全評価とストレステスト等を通して、安全強化策を摘出して、それらに基づき、安全マネジメント策を整備するということと、実際に「もんじゅ」の中で訓練等を行いつつ、改良をしながらその知識化を行っていくというようなことが考えられます。
 それから、「もんじゅ」の実機の運転を通じまして、信頼性データを蓄積するということ。それから、プラント設計、それのまた評価といったものは深層防護の各層の全体的に共通して反映されるべきものとなってございます。
 この表のうち、青い部分につきましては、「もんじゅ」の運転によって出てくる成果に対応してございます。図中の括弧書きの番号につきましては、4ページ、次のページの研究開発項目に対応してございます。研究開発項目については、「もんじゅ」で実施する安全性強化の研究開発につきましては4項目ございまして、確率論的安全評価等によるシビアアクシデント評価技術の構築、それから安全性向上策の摘出が1点目。それに基づきシビアアクシデントマネジメント策を充実させていく。それから「もんじゅ」で実際に適用して、その実証的な確認、それから訓練や運用を通じて、その改良を図っていくというようなことが2点目。それから、「もんじゅ」の自然循環試験等によりまして、高速増殖炉の崩壊熱除去能力の実証を行うことが3点目。それから、4点目は、これは設計基準ベースでの安全設計・評価技術、つまり、様々な性能試験や運転を通じて得られるものがあります。それから、「もんじゅ」以外で実施する安全性強化の研究開発につきましては、1点目が炉心損傷時の再臨界の防止と事象の炉容器内終息を図るための研究開発ということで、これは主にEAGLEの試験施設を用いて試験を行いつつ、炉心安全性評価手法の開発・整備を行うものでございます。2点目は、損傷炉心燃料等を安定に冷却できる手段の多様化を行う研究ということで、シビアアクシデント後の炉心冷却性に関わるナトリウム試験等をAtheNaという施設を用いて行うというもの。更にそれに基づき、炉心冷却性評価手法の開発を行うこと。そのほかにナトリウム特有の機器を使うということを受けて、蒸気発生器等の安全評価手法、それから更に事象が進展して、炉外に至った場合の安全性評価手法、それから、シビアアクシデント時の計測技術等の研究、こういったものが含まれるということです。
 それで、それぞれの研究開発項目について、概要を5ページから9ページに示してございます。これは第4回の会合で少し説明しておりますので、ここでは要点を説明しつつ、更に後ろの方で個別の更に詳細なOHPが用意されておりますので、そちらを引用しながら説明させていただきたいと思います。
 まず1点目の確率論的安全評価等によるシビアアクシデント評価技術の構築と安全性向上策の摘出につきましては、地震・津波だけではなくて、幅広い外部事象を含む確率論的安全評価を実施して、継続的に安全性向上策を摘出していくということ。ここで着目すべきことは、「もんじゅ」を運転することによって、ナトリウム機器の信頼性データが取得できて、それらを適切に反映しながら評価ができるというところが重要なポイントだというふうに考えます。また、ストレステストでは、実機の耐性、安全裕度を確認しつつ、更に安全性向上策を検討するための安全技術基盤を提供するということでございます。
 6ページ目が、それらの安全向上策に基づきまして、シビアアクシデントマネジメント策というものを実際に整理して、それを「もんじゅ」の運転員等による訓練・運用を通じて、適用性を検討しつつ、シビアアクシデント策の、検討を踏まえて改良をしていくということと、経験・知識の集約を図っていくということでございます。
 ここでちょっと16ページの方に飛んでいただきまして、この16ページの下半分に図で示しておりますが、「もんじゅ」プラントにつきましては、今、原子力規制委員会で検討されているシビアアクシデントを含む新安全基準、こういうものを踏まえて対応していくということと、それから自ら外部事象を含むPSA等安全性評価を実施して摘出する課題を反映してシビアアクシデントマネジメント策を整備していく。更にそのシビアアクシデントマネジメント策を安全評価手法でその有効性というものを評価して、また必要に応じて安全審査を受けたり、自らレビューをしつつ改良を図っていくというような、こういうフィードバックを掛けていく流れと考えてございます。
 それではまた戻っていただきまして、7ページでございますが、今度は「もんじゅ」の自然循環試験で高速増殖炉の崩壊熱除去能力を実証する。これはどういう意義があるかというと、実機のスケールで実証できるということ。それからそういったものを踏まえてプラント動特性解析コードの検証等が行えるということで、またあちこち飛んで恐縮なのですが、20ページの方を見ていただければ幸いなのですが、自然循環試験ということで、福島で起きましたような全交流電源喪失時というような状態に至ったとしても、自然にナトリウムが、温かいナトリウムは上に上がって、冷たいナトリウムは下に落ちるということで、自然に循環ができると。それで空気側に、最終的にヒートシンクは空気でありますが、そうした空気についても自然通風ということで、温められた空気が上昇することによって、自然に大気へ熱が放散されていくという辺りが重要なポイントかと思います。
 右下のところに書いてありますように、試験で確認する内容につきましては、自然循環により崩壊熱除去ができることを確認するということと、自然循環時のプラントの様々な動特性の挙動というものを把握して、今後の設計とか、そういう評価手法に反映していくということでございます。
 恐れ入りますが、また7ページに戻っていただきまして、4番目が設計基準ベースの安全設計・評価技術ということでございますが、安全系等、いろいろ設置しておりますが、それらを性能試験をやって評価していくということ、それから、「常陽」にはない蒸気発生器については、ナトリウム-水反応対策ということで、そのナトリウム-水反応時に急速ブローをやるということで、急速ブロー評価というものを実際に試験で確認をしながら、そういった安全評価手法を確立していくということができるということでございます。
 続きまして、8ページが「もんじゅ」以外で実施する安全性強化の研究開発でございます。これにつきましては、EAGLEという試験を行いまして、炉心損傷時の燃料の挙動分析を行います。それに基づき、燃料挙動評価手法を確立するということでございます。これにつきましては、フランス、カザフスタンとの国際協力を行ってございます。
 それから、そういったデータに基づきまして、SAS4Aコード、これは燃料ピンが損傷するようなフェーズで適用するコードでございますが、これらにつきましては日米仏の共同研究で解析を行っております。それからSIMMERコード、これは燃料ピンが破損損傷した後、燃料が溶融するような状態を評価できるコードでございまして、これらについてはEAGLE試験、MELT試験等を反映し、日仏の共同研究として検証解析を実施してございます。
 恐れ入りますが、また26ページの方を見ていただきますと、こういう試験装置が一番左側がカザフスタンにありますIGR、Impulse Graphite Reactor、これを用いまして、大型試験体、約60本のピン束試験体を使用し、パルス出力と準定常出力を組み合わせることによって、集合体規模の燃料溶融が可能な世界でも唯一の試験用研究炉、これを用いて炉内試験を行うということ。それから、カザフスタンに設置している炉外試験装置で溶融体をナトリウム中に落下させるというような試験装置も利用してございます。
 それから、大洗研究開発センターではMELT試験装置というものがございまして、溶融体がナトリウム中で微粒化したり、堆積したりするというようなものを高速度のエックス線カメラで可視化して、それの現象を把握するというような試験装置がございます。
 それで、1枚めくっていただきまして、28ページに炉心損傷事故の事象推移がポンチ絵で示されておりまして、だんだんと燃料が損傷していって、燃料が溶けて、最終的には下の方に落下していってうまく冷却できるというようなところを解明していくということで、吹き出しで書いてありますような溶融燃料の流出、炉心からの流出挙動、それからナトリウム中でいったときに微粒化したり、それが堆積する挙動、それから右の方にいきまして、それが最終的に安定に冷却できるかどうか。炉心に残った燃料は安定に冷却できるかどうか。そういったところを試験で解明するということで、更に評価に反映していくということを計画してございます。
 続きまして、また戻っていただきまして、9ページ目でございますが、炉心損傷後の冷却性も含めまして、最終的に燃料を冷却するということが非常に重要な対策になります。この対策を検討する上でナトリウムの試験施設、AtheNaを使いまして、それらの検討を行っていくということで、具体的には第4世代国際フォーラムGIFの参加国に呼び掛けまして、国際協力を実施することを計画してございます。
 それらにつきましては、31ページ、あちこち飛んで恐縮ですが、31ページに原子炉の冷却系の絵が描いてありまして、様々な冷却できるパスがございます。通常の崩壊熱除去系はループ側から熱交換器を介して空気冷却器にいったり、原子炉から直接ナトリウムを熱交換器を介して循環させて、最終的に大気に熱を捨てるといったもののほかに、更に多様性を検討する上で原子炉容器の外面から冷却するとか、あるいは炉内に熱交換器を置くのですが、更にそれらについては液位が下がったような状態でも対応できるかとか、あるいはプレナムが上下に分かれておりますがそれらが貫通した型の新しい型式の熱交換器による冷却系、あるいは最終的にはSGも含めた冷却を考えていくというような多様性を検討していくものでございます。
 それで、具体的には34ページに、どういう試験を計画しているかということでございますが、シビアアクシデント対策の冷却系試験といたしまして、一つは炉容器内の冷却と炉容器内でどのような炉内冷却経路があって、どういう現象の可能性があるかということを調べる上で、まず水試験を実施した上で、既存ループを利用したナトリウム試験を行います。
 それから、原子炉容器の外面の冷却につきましては、原子炉容器とその外側にガードベッセルというのがございますが、この間のギャップをどのように熱が伝わるかという辺りが重要でございますので、その基礎試験をやったり、最終的には外面からの冷却、そういうものを確認試験でデータを取っていく。評価手法としては、複雑形状の3次元の解析、それから炉容器内の自然循環の特性データといったものを整備していくということでございます。
 それらに関連する研究といたしまして、右側に書いてございますが、燃料集合体内の挙動、それからプレナムの挙動、それから、あと、炉容器外に事象が進展した場合での評価ということで、ナトリウム火災とか、ソースターム評価、それからSGに関連する安全性、それからシビアアクシデント対策の計測技術ということで、様々な観点でシビアアクシデント関連の計測が行えるように検討していきますというようなことを考えてございます。
 それで、10ページ目に、最後の説明になりますけれども、12月の中間的な論点の取りまとめで、今後、引き続き検討が必要な項目が2項目挙げられてございます。これらにつきまして、下のように検討してございます。
 今後策定される新安全基準で規定されるシビアアクシデントの防止策・緩和策に関する安全要求については、高速炉の特徴を踏まえた適切な対策の考え方を整理して、それらの判断基準を整理するとともに、「もんじゅ」への適用を図っていくということを考えております。
 PSA等の手法によって、定期的に最新知見を反映した安全性向上のための評価を実施し、継続的な安全性向上に自ら取り組んでいきたいと考えてございます。
 国際協力につきましては、EAGLE、AtheNa等につきましても、それぞれ2国間協力、それからGIF等の多国間の枠組み等の国際協力の有効活用を図っておりますし、今後も継続的に国際的な協力の連携の可能性を探っていきますというふうに考えてございます。
 説明は以上でございます。

【山名主査】 ありがとうございます。
 それでは、もう委員の皆様方から御質問等があれば受け付けたいと思います。いかがでしょうか。黒崎委員、どうぞ。

【黒崎委員】 ちょっとお聞きしたいのですけれども、「もんじゅ」以外で行う研究で、EAGLEとAtheNaですか、これはプルトニウム燃料を使ったような実験ができるような、そういったものでしょうか。

【中井ユニット長】 EAGLEにつきましては、濃縮ウランを使った、濃縮ウランを溶かして、それの挙動を見るというような試験になります。AtheNaについては炉外試験ですので、やはりそういった核物質等は使えないということで、ヒーター等で発熱させて行うものです。

【黒崎委員】 つまり炉心が溶融した挙動を見るというときに、ウランの方はウランでよいと思うのですけれども、MOX燃料の場合だと20%とか、30%とか、プルトニウムが入っているわけですので、その辺の、実際はそういうものが入っている、それからこういった炉外試験ではそういった研究ができないという、その辺を埋めるようなことというのは何かお考えになっているのでしょうか。

【中井ユニット長】 そうですね、一つはウランとプルトニウムでそういう溶けたときの挙動が変わるかというと、ほとんどこれは変わらない、ほとんど同じように、MOXの形になっていてもUO2のものと変わらないのですが、中に照射したときのガスとか、そういうものはあるのですが、EAGLEの試験では残念ながらそういった照射ピンは使えないので、そういうものについては従来フランスにあるCABRIの試験とか、そういったものの研究成果を踏まえまして、そのギャップを埋めていくというようなことをやろうというようにしております。

【黒崎委員】 おっしゃるとおりでよいと思うのですけれども、やっぱり私はプルトニウムの影響というのはそんなにないという話もありますが、例えば融点の観点ではそれなりにUO2燃料とMOX燃料で差は出てくるので、今、その辺をいわゆるMOX燃料特有のといいますか、プルトニウムが2、30%入っているものというのをどううまく評価していくかというところも少し検討の中に入れていただけたらなというように思います。よろしくお願いいたします。

【中井ユニット長】 そういう意味では、ソースタームの研究といたしまして、照射済みのプルトニウム燃料の温度をどんどん温度を上げて、要するにソースタームとか、プルトニウムとかがどういう温度でどういう挙動を示すのかということを大洗研究開発センターのAGFという施設を使って、データを取っていって、そういうようなところを埋めていこうというように考えております。

【黒崎委員】 分かりました。

【山名主査】 ほかにいかがでしょうか。笠原委員、どうぞ。

【笠原委員】 今の黒崎委員の御質問を少し広げた観点のものなのですが、例えば4ページ目とかの全体像の御説明は、「もんじゅ」で実施するものと「もんじゅ」で実施する以外のものと、それぞれ分けて説明をされて、それぞれは良く分かるのですが、恐らく両方連携させて、補完し合いながらやっていくのでしょう。今日は余り強調されませんでしたが、例えばシミュレーションを活用されていると思うのですが、そういった全体像がどうなっているかという話をもし付け加えられたら御説明いただきたいと思うのですが。

【中井ユニット長】 はい。最終的にシビアアクシデントの挙動というものは、プラント全体で見るとシミュレーションでやらざるを得ないわけなのですが、28ページのところに炉心損傷事故の事象推移における全体的なポンチ絵が示されております。その中に、事象の各フェーズにつきまして、解析コードと試験を対比させております。例えば事象の最初の方ではSAS4Aコード、それから、事象が進展しますとSIMMERコード、更に最終的には冷却性についてはS-COPDコードとか、SIMMERコードが対応します。解析コードは、こちらの「もんじゅ」以外のところで研究開発を実施して、これを実際に「もんじゅ」を評価するときには、これをそのまま適用して、「もんじゅ」の場合にどういう事象推移をたどるのか評価しているわけですね。そういう評価に基づいて安全向上策ということを検討する。ということで、ある安全評価手法を開発したら、実機にも適用して、実機の成果はここに掲載しているシビアアクシデントマネジメント策などに反映していく。ということで、項目としては区分しておりますが、当然連携して、最終的にはまとめ上げていくということになります。

【笠原委員】 ありがとうございます。最初のときに全体像よりは、連携のようなことを説明するとよいと思います。

【中井ユニット長】 そういう意味では2ページ目にあるように、最終的には「もんじゅ」とか、「もんじゅ」以外といったことは全然なくて、安全技術体系というものが統合されるが、「安全設計・運転」あるいは「安全評価」とか、手法とか、技術とか、データ、そういったものが「もんじゅ」から来るものもありますし、「もんじゅ」以外から来るものもある。しかし、全体としてはこういう形でインテグレートしていくというようなことが重要ではないかと思います。項目に、研究開発項目としては、分けた形になっているため、全然別のことをやっている印象をお持ちになるかもしれませんが、決してそういうことではありません。  

【山名主査】 よろしいですか、笠原委員。
 笠原委員がおっしゃったことと黒崎委員がおっしゃったことは結構大事でして、今の2ページの話は全体の大きな話でして、むしろ「もんじゅ」とそれ以外、あるいはシミュレーション、そういったものと全体のリンケージがもう少し説明が欲しいところだというのは確かにありますね。今度またそこの辺りを補強してお願いできますか。何のデータが何で生きて、それがどうシミュレートされて、今日の説明では、どういう基礎実験がどう反映されたかというのは、全体像がちょっと分かりにくいですね。できたら次回にでも少し時間をつくっていただいて、その辺りのリンクをよろしくお願いします。
 ほかにいかがでしょうか。村上委員。

【村上委員】 研究の実施計画の全体像に関わることなのですけれども、この資料で分かりにくいと私が勝手に思っておりますのは、やはり時間軸との関係です。時間軸につきましては研究計画の全体像ということで、これまでも議論の中で幾つか頂いた資料に、実施する順番のようなものが分かるものがあったかと思うのですが、こうやって研究計画の案が具体化してまいりますと、やはり気になるのは「もんじゅ」の実際の運転のタイミングとの関係です。きょう本資料で御説明を頂いた研究の項目の大きな項目分けを3ページに挙げていただいておりまして、その後に4ページ以降にも個別の内容について御説明があるのですが、この御説明を聞く限り、プラントとして運転をして発電をしていってデータが取れて初めて実施できるものと、そうではなくて、「もんじゅ」が停止中にも計算コード等を使った解析や開発やこれまでの成果の見直しや検討等々で、動いていなくてもできるものとが混在しているように思います。
 そこで、「もんじゅ」が実際にいつから運転の認可を頂いて、起動して、運転ができるかというのが、研究開発側ではコントロールできない以上、いつから実機が動いてデータが取れるものが実施できるかが分からないわけです。そうなりますと、研究開発側では運転開始時期が思い通りにならない、ひょっとしたらすごく遅くなるかもしれない可能性も考慮の上で、その動いていない間にもできるだけのことをやっておこうという必要があるのかと思うのです。それをはっきりさせるためにも、動いていない間は何と何と何ができるのか、そして動き出してから実機のデータが入るわけですから、これとこの研究が進められるとか、そういう分け方が何かできないでしょうか。

【中井ユニット長】 一つは、4ページ目に研究開発項目というのがありますけれども、そのうち確率論的な安全評価等による評価とか安全性向上策、これは止まっている段階でもできるというように思います。ただ、実機の運転データを反映するということはできないけれども、そういうことは可能ということになります。
 それから、シビアアクシデントマネジメント策の充実、それから実証的な確認、訓練ということで、こういったものも事前に準備できるということで、①、②については事前に検討ができるかなとは思うんですが、③、④は実際に「もんじゅ」が運転開始しないとデータが取れない部分がございますので、ちょっと③、④については「もんじゅ」の運転に関わっており影響を受ける項目というふうに考えています。大まかに言うとそんな感じです。

【山名主査】 いかがですか。よろしいですか。③と④。
 ちょっと村上委員のに追加して私の方からもう1点、「もんじゅ」が発電しながら動いているときに分かるものと、「もんじゅ」を定期検査とか、停止中に何かできるものと、それからどっちにも関係なく、「もんじゅ」というサイトでいろいろ何か試験をできるようなものと三つあるのですか。

【中井ユニット長】 例えば、③の自然循環試験というのは、一応出力を上げた状態で試験をしないとできないものですので、「もんじゅ」を運転しないと、再起動できないとできません。

【山名主査】 これはあえてスクラムさせてやっているというのですか。

【中井ユニット長】 そうですね。それから、④につきましても、例えば蒸気発生器からの急速水ブローというものも、結局出力状態で、水蒸気系が動いて運転している状態でブローさせるというような試験を行いますので、そういった運転した状態でないとデータは取れてこないということでございます。
 ④の中でも二つありまして、一つは定格運転で、出力運転で運転していないとデータが得られないものと、ただ、今止まっていても安全系というのは実は動いております。ナトリウムループは循環しております。だからそういう安全系について信頼性データというのは取れるのですが、例えば100%出力での条件での信頼性データという意味では取れないという、そういう取れる部分と取れない部分があるということでございます。

【山名主査】 いかがでしょうか、ほかに。
 永井委員。

【永井委員】 確率論的安全評価について、これは前にも申し上げたように、非常に重要なところで、しっかりやっていかないといけないと思っているのですが、当たり前なのですが、起こった事故を基にして確率をやっているわけではなくて、分かっていない事象も含めてやっているわけですから、そこでいかに世の中も含めてこれが安全だというように認めてもらえるような基準になり得るかというところを、これは「もんじゅ」だけではないと思いますが、そういう観点をもうちょっと強くして、確率論的安全評価の研究開発を進めていただきたいなというように思います。
 もうちょっと具体的に言うと、例えば必ず仮定が入るわけですね。先ほどのいろいろな海外の炉とか、いろいろなものを使いながら、ある程度模擬しながら、シミュレーションを入れながら、さっきのリンクをちゃんとしろという話は非常に重要なことの一つだと思うのですが、仮にそういう仮定が崩れる可能性があるのか、あるいはその仮定は本当に妥当なのかというチェックはやっぱり常にしなくてはいけないし、それからそもそもこれが安全だと言うために、この値を作るという意識ではやはりなくて、値が出てきますよね。その出てきたところが、これがここを良くすればもっと良くなるとか、あるいは、どこがやはり弱いところなのかということを具体的に数値で研究していくことによって明らかにしていくというのが、この確率論的安全評価の、なかなかそういう言い方はされないのですが、非常に重要な部分だと思うのですね。だから、そこをそういう仮定の部分というのをよりはっきり研究開発を実際されるときに明らかにしてやっていただきたい、まずそれが一つです。
 もう一つ、これは運用するときにどういう運用をするかというのはやはり非常に難しいところがありまして、そこはやはり将来動かしていくということを考えたときにはやっていただきたいと。例えば軽水炉の場合は大体100万分の1だという言い方をするのですが、状況がいろいろ変わってくると、そこのロジックがちょっと変わったりするのですね。アメリカなんかでも。反対派の人から見ると都合の良いように変えたようなロジックで、その辺をうまく使ったりする。あるいは昔の仮定が実は違っていて、何かという、それが言い訳に見えないように、初めからそういう評価、運用の仕方も含めたストラテジーを決めた上で確率論的安全評価の研究開発を進めていただきたいと思います。以上です。

【中井ユニット長】 おっしゃる点、非常に大事なところでありまして、確率論的な安全評価というものは、非常に確率の低い事象を取り扱っているというところとか、実際に経験していないところを取り扱っている部分がありますので、それを個々の要素に分けてそれぞれのどういう確からしさなのかとか、あるいは確実さはそれぞれどうなのかということで、我々はベストエスティメイトとアンサーティンティと呼んでおりますが、それを併せてセットで評価するということで、数字だけじゃなくて、その確実さはどうなのかということを併せて評価するということが非常に重要かなと。そういう意味ではよく分からないような事象はアンサーティンティが大きいというように評価が得られるというような形で、ここはやっぱり重要な視点として考えていくべきかなというように考えております。
 それからあと、PSAの実際のやり方につきましては、原子力学会等の標準でかなり整理されていまして、内的事象に加えて、地震、津波のPSAについても標準が出されておりますし、できるだけそういったものに準拠するようにやっていくと。その他のものについてはまだできていないものがあるので、そうしたものについてはある程度の研究開発的な要素があるかなというふうに考えております。そういうものも我々もデータを取得しサーチしながらやっていきたいなというように考えております。

【山名主査】 よろしいですか。
 ほかにいかがでしょうか。笠原委員。

【笠原委員】 今の永井委員の質問の中に、余り想定していないことに関してはPSAはなかなか使えないという意見があったと思うのですが、柏崎刈羽のときもどちらかというと周辺の配電盤、電源盤とか、あるいは今度の津波でもやはり配電盤が壊れたとか、そういった意識していないシナリオを抽出するということもかなり重要性を認識されておりまして、そういう意味では「もんじゅ」というのは正に現物があるので、そういうことをこれから探し出すことに有効ではないかと思うのですが、今回の資料の中でPSAという中に機器の信頼性とか、データ蓄積といった文言はあるのですが、もう少し中身を具体的に説明していただければと思うのですが。ただ、新たなシナリオ、見ていないシナリオに気付いていくというような、そういう観点は、入っているのでしょうか。

【中井ユニット長】 新たに気付いていないシナリオに気付くというのはちょっと難しいと思うのですけれども、13ページのところにですね、実際にPSAの実施の方法というものがございまして、できるだけ「もんじゅ」の固有の機器の信頼性データ、「もんじゅ」のデータが反映されるようになるというのが一つ目のことでございます。
 それから、二つ目は、その下に書いてあるのですけれども、実機でのプラントウォークダウン等によるというものがございまして、これは実際にプラントの配置関係がどうなっているのかとか、あるいは配置上たまたま弱い機器が周りにあって、頑丈な機器に影響を与えないかとか、そういう観点で、現場でないと分からないような、系統図だけで見ていると隣にあるかどうかというのが分からないこともあるものですから、そういったものも含めて評価に載せていくというのは非常に重要かなと思いまして、こう書かせていただいております。

【笠原委員】 ありがとうございました。ちょっとここを気付かずに申し訳ありませんでした。大事な観点かと思いますので、元の方の括弧の中に囲い込むだけではなくて、そういうことも分かるような記載がされているとよいかと思いました。

【山名主査】 ほかはいかがでしょうか。
 稲田委員、どうぞ。

【稲田委員】 ちょっと技術的な話なのですが、AtheNaで炉心を冷却する、多分溶けた燃料を冷却する試験をされると思うのですが、これを具体的にどういう感じでやられるのかを教えていただきたいのですが。

【中井ユニット長】 35ページですね。発熱位置がⅠ番などと書いてありますが、これが炉心ですね。普通ですとここに発熱部位があるのですが、溶けた燃料が下に落ちてくると、この下の方に、これはコアキャッチャーをちょっとイメージした図なのですが、下の方で発熱するということで、通常の発熱位置と違うとか、あとは冷却パスが通常炉心が壊れていて違うとか、そういったことをいろいろ模擬しながら、こういう状態でシミュレートした試験をやっていくというように考えています。

【稲田委員】 そうしますと、この中で具体的にどういう部分にヒーターが入っているかとか、それでどの部分は溶けているかとか、その辺を教えていただければと思います。

【中井ユニット長】 ヒーターが入っている部分は、Ⅰという炉心の部分です。それから下のところに、右下にModeled debrisと緑で書いてあると思いますが、これが燃料デブリを想定した発熱部位、この部分で発熱させるというようなことを考えています。

【稲田委員】 それから、これは模擬デブリを使われると思うのですが、どのようなものを使われるのでしょうか。

【中井ユニット長】 これ自体はデブリではなくて、ヒーターです。

【稲田委員】 ヒーターそのものということになるのですか。

【中井ユニット長】 はい。デブリ自体が冷却できるかどうかというのは、これまでの炉内試験のデータとして存在しているので、あとはEAGLEの試験等でそういうデブリがどういう挙動を示すのかという辺りは把握したいなというように考えています。

【稲田委員】 どうもありがとうございました。

【山名主査】 黒崎委員。

【黒崎委員】 コメントなのですけれども、ちょうど福島の事故の後、軽水炉の方でもこうした安全性強化の研究開発というのがどんどん進んでいってですね、データも蓄積されていて、今は昔からあるものがどんどん改良されているという状況にありまして、ですから、高速炉と軽水炉は確かに違うところはたくさんあるのですけれども、参考になるところというか、共通するところは多々あると思いまして、例えばソースタームの話とか、あるいは燃料デブリの話であるとか、それと炉心燃料の溶融進展の解析コードであるとか、そういったところ、当然違うところもあれば、共通するところもあるし、参考になるところもあると思うので、その辺はうまく軽水炉の方でもそういった研究ともリンクして進めていっていただきたいなというふうに思います。これはコメントです。

【中井ユニット長】 そのとおり、効率的に研究する上では、軽水炉の方でかなり研究が進んでいる部分について、例えばデブリ-コンクリート反応とか、水素の燃焼であるとか、そういった部分は軽水炉のデータを適用可能な部分は適用するような形で、我々としては高速炉特有の部分に焦点を当てて行うのが効率的かなと思っています。

【山名主査】 ほかにいかがでしょうか。
 ちょっと私の方から確認させてください。中間的な論点取りまとめで、高速炉に関わる深層防護の在り方を吟味する研究開発が必要であると、こうまとめたのですよ。それは最初の方に2ページとか、3ページでお話しいただいた、1層目から5層目までを、5層目はちょっと分けて考えましょうか、1層目から4層目までの全体の在り方を福島の事故を受けてもう一遍見直すという、きちんとしっかりと見直すと、あるいは検証するということが大事で、それを「もんじゅ」を動かすというアクションの中でしっかりやっていくということが非常に重要だと思います。「もんじゅ」を動かす価値というのはそこにある。
今お聞きした話で見ると、やはり1層目から3層目のところ、2ページ目の絵で言えば安全設計・運転というところになるのですか。そこはどういうふうに分けているのか分かりませんが、まず1層目から3層目のところを再吟味するということが、恐らくスタートポイントだと思います。もちろん4層目というシビアアクシデント対策というのはマストであるから、これは行いますが、1層目から3層目の扱いと4層目の扱いのバランスが、今の説明では私はよく分かりませんでした。特に1層目から3層目のところは通常の「もんじゅ」の出力を出した運転の状態で何が得られていくのか。あるいは新基準によって1層目から3層目に対して何をやるのかと。1層目から3層目で過去に失敗していますよね。温度計の折れなんていうのは、もう最初の1層目のところで失敗しているわけですね。そういうものに対して、今まで動かす中で何が分かっていくのかというのは、実は今日の説明ではよく分かりませんでした。4層目だけの話が聞こえてきたような気がするのですよ。いかがですか、これは。

【中井ユニット長】 特に1層目につきましては、「もんじゅ」の安全安定運転ということに尽きるかと思います。そういう意味では、ここで取り上げている研究開発は、要するに1層から外れたら安全に関わる事項になるということなので、1層目というのはむしろ安全の領域に来ないような、要するに異常の発生防止というところなのですね。それは「もんじゅ」の研究開発全体に関わるところかというふうに考えています。異常状態だけといういわゆる狭義の安全ではなくて、「もんじゅ」全体の研究開発ということかなということで、あらゆる技術の中にそういった面は含まれるものと思います。ですので、ここの研究開発だけ見ていると狭義の安全ということで少し事項が進展したところに焦点を当ててしまっているのですが、1層目辺りについては今後議論される「もんじゅ」の研究開発の全体に関するものを見ていただいた上で、更にコメントをいただければと。

【山名主査】 多分そうしますと、1層目できちんと動いているという安全運転の実績を積むことが一番の安全研究なのですよね。だけども、1層目の範囲できちんと炉がコントロールされているという仕組みが正常に動いていることを確認するというのが一番の安全研究ですよね。そうすると、例えば何かの外乱があったときに、プラントがこう応答したとか、安全保護系がこう動いたとか、例えば設計と想定しているより1秒遅れたとか、遅れなかったとか、きちんと動いたとか、そういう全ての評価が運転中に継続的に行われて、それがきちんと設計評価的に反映されているということが基本ですよね。それはきちんと行われているわけですよね、ここに明示されておりませんけれども。

【中井ユニット長】 それを前提に考えておりますので、ですので、そういう意味ではほかに「もんじゅ」の研究開発でどういったデータを取って、どういうふうに成果がまとめられるのかという全体を聞いていただいてからの方がいいかなと思います。

【山名主査】 正にそういう通常運転でたまっていくデータが、いかに高速炉の安全に反映されていくのかという、そういう位置付けとか、それから事故が起こったときにはこういう対応を取っていくというようなことは、全体をもう少しお聞かせするチャンスは今後あるのでしょうか。是非そこは聞きたいですね。でないと、安全に何サイクルかを運転するかという意味の重みというのがなかなか伝わってこないことになってしまいますので、これは是非よろしくお願いしたいのです。
 それに関してもう一つ聞くと、率直にお答えいただきたいのですが、許認可的に、マルファンクション試験みたいなのができるのですか。

【中井ユニット長】  マルファンクション試験というのは、ある事故状態を想定した試験という意味ですか。

【山名主査】 あえてポンプを止めてみるとかですね。

【中井ユニット長】 そういう試験はできます。

【山名主査】 できるのですか。

【中井ユニット長】 はい。

【山名主査】 通常運転状態でもそういうことはできるのですね。

【中井ユニット長】 そういうものを試験として定義した上で行うということになります。

【山名主査】 であれば、そういうものはかなり重要になるのではないですか。

【弟子丸所長代理】 まず、性能試験、今度は再起動したときに40%から100%に持って行くのですけれども、その中でやはり、山名先生がおっしゃったように、マルファンクション試験という、具体的には我々は過渡試験と言いますけれども、プラントが異常状態になった場合にちゃんと止まるのかどうか、冷却できるかどうかという試験は、性能試験の一つの性能の確認の中で行うことにしています。例えば、一次系のポンプを止めまして、その結果どういう応答をするか。あとは外部からの電源がなくなった場合でございますとか、そういうものを含めて幾つかの試験を行っていきます。

【山名主査】 はい、分かりました。
 いかがでしょうか。まだございますか。
 笠原委員。

【笠原委員】 今、山名さんが言われたことと似ているのですが、そういった過渡試験などをいろいろ行ったときに、考えたシナリオがうまくいくということが前提だと思うのですが、思ってもいなかった、ぜい弱性がないのだとか、そういうことも探していくということが大きな目的かとも思うのですが、なかなかこういう説明だとそういうものが伝わってこないのですけれども、いかがでしょうか。

【中井ユニット長】 そういう意味では3ページの第1層から第3層にかけて性能試験に基づく安全系等の設計・評価技術と書いてありますが、いろいろな性能試験をやっていく、トランジェント試験や、そういったことをやって安全系がどのような応答をするのかという辺りは全部試験でデータを取ってそういう評価をしてみるということで、まず設計通りでなければそれは評価してそれを反映するというような形になるのかなというように考えております。

【笠原委員】 設計通りではないところを是正するというのもあるのですが、もう少し、本当に気付いてもいないようなことがないかとか、ぜい弱部が本当にないのかとか、そういうことをもう少し強く意識していくということを福島事故後の教訓としてあったのかなと思うのですが。

【中井ユニット長】 気付いていないようなことを見つけ出すことは難しいかとは思うのですが。

【山名主査】 どうぞ、稲田さん。

【稲田委員】 多分この資料でもう少し付け加えようとすると、何かシナリオの検討というものをもう少しやった方がいいのではないでしょうか。

【中井ユニット長】 シナリオというのがちょっと趣旨を。

【稲田委員】 シナリオというのは、要は、例えば、福島で言えば外部電源喪失というものが起きたわけですね。そういったようなシナリオというものを、この中でもどういうシナリオが最も厳しいのだろうかとか、幾つかやはりあると思うのですよね。そういうものをやはりしらみ潰しに潰していくということが多分、笠原先生とかの御意見ではないかなと思ったのですが。

【中井ユニット長】 そういう意味では、シビアアクシデントについてはPSAを実施して、想定されるシナリオを全部ピックアップして、その頻度と影響を評価するということですので、それは評価の中でできるかなと思うのですね。設計基準内の話については、いろいろ着目する観点があって、いろいろな事故事象が想定されるわけで、ナトリウム-水反応を想定してやるとか、そういったいろいろな観点で想定した試験を実施していく予定になっておりますので、その辺は少し「もんじゅ」の中の研究計画の中で触れられるのではないかなと思います。

【山名主査】 村上委員、どうぞ。

【村上委員】 すみません、稲田先生と笠原先生から厳しい御指摘が相次いでおりますが、私はこのテーマの中ではど素人に近い方ですので自信はないのですが、設計基準外の様々な事象でどんなことが起こりうるか、特に高速増殖炉、高速臨界体系炉心とナトリウム冷却系の場合は軽水炉と違って何が起こり得るかについては、「もんじゅ」に関しても、その次の実証炉や実用化に向けた研究の中でも30年近く研究されてきました。そこで、大体何が起こるかは、ほぼ取り出されていると思っています。
それでもなお、思いもかけないところが壊れて、それが大変なことになるかもしれないということが実際に福島で起きたことですので、怠ってはならないという姿勢は分かるのですが、そこら辺の取組姿勢については、今日頂いた資料の16ページ以降にもシビアアクシデントマネジメント策の充実とその実証的な確認や訓練・運用として、16ページ、17ページ、18ページ辺りに、方針として示してあるのではないかなと私は思いました。例えば、思いもかけないようなことが起こるかもしれない可能性については、「外的事象等によるシナリオレスな機能喪失が発生することも考慮し」とありますし、それから従来こういうことが起きたらこういう対策をすると考えていたシーケンスについても「使用可能な対策を全て活用する、多様性を高めたフレキシブルなSAM策を充実する」というふうに書いてあって、その一部は今、正に、まだ対策が進行中のものを含めて、様々書いてございますし、それに関してはJAEAのこれからの取組を是非しっかりやっていただければよいのではないかなと思っています。
 それで、私が考え、思うことでちょっと確認、お聞きしたいことは、この16ページの下の方に、SAM策を整備していって、安全評価手法を整備していって、それで安全審査及びレビューに臨むというフローみたいなものがございますが、これは基本的に原子力規制委員会の新安全基準に適合することが起動の条件とされております。なので、これは新安全基準の策定までに新安全基準にどのようなものが盛り込まれるかを想定して、それで検討していく。つまりこれが起動の、起動前に進めておくべき作業項目となるということでよろしいでしょうか。

【中井ユニット長】 おっしゃるとおりで、規制委員会の新安全基準に適合することをもって再起動ということですので、今、軽水炉の方で新安全基準の検討が進んでおりますので、それを踏まえまして高速炉ではこういうものがどういうものになるだろうかということを想定した上で、その対策というか、適合するような形で対策を検討していくというようなことを今進めているところで、それは起動前にやらなくちゃいけないことだというように考えております。

【村上委員】 ありがとうございます。そうしますと、起動前にこれだけの評価整備を進めていって、実際にやることといえば、これまで散々検討して分かっていることがほとんどですので、基本的には今までで分かった知見を取りまとめて、影響緩和を確認していって、改めて分かりやすい新基準に適合する形で提示することを考えていますでしょうか。

【中井ユニット長】 まだ新基準自体固まったものではありませんので、この段階で確認だけすればよいかどうかというのは分かりませんけれども、適合できるように必要に応じて整備をしていくことになると考えております。

【稲田委員】 村上委員のおっしゃるとおりだと思ったのですけれども、この資料の中に、シナリオというのはPRAをやっていく中でしっかりとやられていくということは確かに書かれていると思いますが、それでもあえて多分申し上げることなのかなというように思いました。
 それからあと、30年やってきたからというお話もございますが、やはり非常に確率の低い、しかもインパクトのあるものというのは、やはり多少これから重点を置いて検討していかないといけないのかなというような気はいたします。

【中井ユニット長】 しっかりやりたいと思います。

【山名主査】 ありがとうございます。
 ちょっと私からもう2点ほど伺いたいのですけれども、まずナトリウム-水反応の問題というのは依然としてあるわけで、ここに23ページに蒸気発生器のことが書かれています。ナトリウム-水反応に関わる「もんじゅ」を使ってできる試験というのはここに書かれているようなものだけなのですか。先ほどの「もんじゅ」以外で行う試験とか、そういうものを合わせて、蒸気発生器周りのトラブルに関しては、大体どういう連携が組まれているのかをお聞かせいただきたいのです。

【中井ユニット長】 蒸気発生器につきましては、「もんじゅ」が蒸気発生器を使って運転をすることによって、その安定性とか、安全性ですね、それを確認していくということと、それからナトリウム-水反応が仮に起こったとして、実際に安全系がうまく作動するかどうか、急速水ブローを行うのですが、そういったものがどういった性能を持っているか、そういったところは「もんじゅ」を使って性能試験の中で評価します。
 それから、それとは別に、実際にナトリウム-水反応が起こったらどういう影響があるのかということですが、39ページに図を示しておりますが、これまではナトリウム-水反応が起こった場合、反応ジェットと言われる隣の伝熱管をアタックするわけなのですが、そのアタックする度合いを経験則的に試験をたくさんやってきて、求めてきた部分があります。「もんじゅ」がターゲットですと、そういう「もんじゅ」の伝熱管を使ってやるということになります。今後はそれが広く手法として適用するためにということで、この分野ではマルチフィジックスと呼んでいますが、熱流動と化学反応と構造材の損耗といった同時に三つの事象が同時並行で起こる事象なのですが、その辺のそれぞれのメカニズムを少し解明して、そういうモデル化をやるような研究を進めていくというのが「もんじゅ」以外でやるということになります。その2種類、2本立てでやるということです。

【山名主査】 そうすると、「もんじゅ」で得られるデータは、さっきの事象が起こった場合の保護系の応答を確認するというようなところになると。分かりました。
 それから、ちょっと今日、多少不思議に思ったのは、核的なことが余り書かれていなくて、いわゆる炉心応答として、炉物理的な応答として安全に関わるものは一体何が「もんじゅ」を使って分かるのですか。調べようとしていますか。

【中井ユニット長】 例えば反応度係数とか、あと炉心の応答特性とか、そういったところはプラント動特性解析コードに反映されることによって、評価の方に反映されていくと。

【山名主査】 それはさっきの過渡試験の一環として、核的な摂動を入れるような試験も入っていると思ってよいのですか。

【弟子丸所長代理】 核的というか、ゼロ出力のときにやっている試験がありまして、これは制御棒を抜いて、放っておいたらどうなりますかという試験を行っております。そういう形で、炉心の過渡応答についての試験も行うことになりますし、あとは反応度係数としては、先ほどの1層から3層の中の性能試験の中で炉心の特性に関しましては、特に一つは炉心のいろいろな反応度係数というものを測定しますし、大きいところでは炉心の性能という面でみた増殖性というものもみていきますが、その辺りについては次の「もんじゅ」の中で御紹介したいと思います。安全性という目で見れば、やはり反応度係数というのは一番大きなファクターですので、それについては各々炉心の中で測定しまして、それは前回も御紹介しましたが、機構が持っている解析コードなどにも反映しまして、設計に反映されるということになります。

【山名主査】 マイナーアクチニドが、アメリシウムが結構入った燃料で炉心を組んでいるということは、そういったMA含有炉心の核的な特性。

【弟子丸所長代理】 そうですね、そういう炉心を構成したときに、本当に炉心が安全に制御できるかどうか。当然我々としては制御できると思っていますけれども、それが正しいかどうかというのを示していくということになります。もう一つ、先ほど、蒸気発生器につきましては、ナトリウム-水反応という目で見れば、確かに中井が言ったような研究があります。一方、ナトリウム-水反応を防ぐという観点では、やはり蒸気発生器の健全性確認というのが大事になってまいりますので、これはまた次回の「もんじゅ」の中で御説明いたしますけれども、どういう形で、伝熱管の健全性を確認していくのか。検査技術ですね。そのあたりもそういうものを含めて、蒸気発生器の安全性を確保しながら、「もんじゅ」における安全性向上の研究を行っていくことになります。

【山名主査】 ありがとうございます。
 手短にお願いしますね。

【永井委員】 シナリオの話が出て、分からないシナリオを検討することはそもそも無理だというのは、全くそのとおりだと思いまして、ただ、福島のときに一番批判されているのは、そういう話というよりは、本来想定されてもしかるべきであって、しかも一部の人はある程度想定していたけれども、したくないからしなかったということがやっぱり問題で、やっぱりそれがないようにするには、やっぱり批判的な立場の人が、ここに、16ページにレビューとあるのですけれども、本当にしがらみがなくて、きちっと批判的なことを言える立場の本当の専門家に、そのシナリオでよいのかどうか、チェックされていくという、そういうのを厳格にやっぱりしていただくと。それは実際にそれをやっていない意味ではなくて、そういうことをちゃんとやっていると示すことが安全強化の研究をきちんとやっているということを示すことになるというふうに思います。

【山名主査】 これは後で体制のところでも議論しますが、やっぱり今のようなしっかり厳しい目で安全というものをやっていくという、体制に反映させていくということですね。是非そこは御検討いただきたい。
 何かありますか。

【中井ユニット長】 安全研究につきましては、いろいろな専門家の方々に意見をもらうような委員会を作りまして、その中でいろいろな議論をした上で進めていくというところは体制の話になりますが、確率論的な安全評価はレビューを掛けるというのは非常に重要な作業です。そのシステムを作ることについても考えていきたいと思っています。

【山名主査】 ちょっと時間を超過しまして、次の議題に移らせていただきたいと思います。
 次は、国際協力の話です。佐賀山さんからですか、それでは簡単に説明願います。資料2-2でございます。

【佐賀山部門長】 それでは、資料2-2を簡単に御説明します。
 概要のところにありますように、国際協力の意義と基本方針、それから各国の動向です。それから国際協力の枠組みと今後の活用方針、そして当面の重点協力項目の案でございます。
 まず、最初の基本方針です。2ページのところですが、その事故、東電の福島第一発電所事故以降も、高速増殖炉/高速炉、両者それぞれ、各国のエネルギー事情等によって違いますが、その開発・利用計画を維持して、着実に商業化に向けた開発を進めているというような状況にあります。
こういった国々との技術協力というのは、開発ですとか、技術基盤整備のコスト削減並びに技術・知見の共有化とか、安全文化の醸成などを推進する観点からも、非常に効果的であるということで、これをできるだけ有効に活用していこうという考え方でおります。
その次、3ページでは、推進すべき項目ということで、国際標準化に有効なものですとか、先ほども申し上げましたが費用分担によるコスト削減とか、リスク分散に関するものとか、我が国で培った技術が国際貢献に資する、反映できるようなものに焦点を当てて展開を図っていきたいと考えております。ただし、国際協力を行うわけですから、全て奉仕するというわけではありませんので、基本は等価交換的な協力をしていくという考えです。もちろん比較的開発が進んでいない国に対するサポートなどを実施するという考え方はあります。
それで、4ページ目には、国際協力の動向を記載しています。多国間の協力というのは、最も代表的なものは第4世代原子炉システム国際フォーラム、GIFということになりますが、一方で、IAEAではINPROと呼ばれている、これはもともとはGIFと同じような開発を目的に行いましたが、いろいろと資金的な問題や参加国の問題等もありまして、今はどちらかというと、その評価手法を検討するというようなやり方に少し形を変えてきています。これらGIFとINPROをうまく使い分けながら、マルチな協力が可能な状況にあります。
それから日本や、日本以外でも、資料の絵にありますように、仏露ですとか、米露ですとか、仏印とか、それぞれそういう二か国協力といったものをそれぞれ持っており、多国間協力では達成し得ないようなところを二国間でうまく補いながらやるというようなやり方になっています。
日本の場合ですと、日米のフレームワークと日仏のフレームワーク、それから日米仏、これはいまだ覚書といった段階ではありますけれども、そういった枠組みを持っておりますので、そういったところをうまく活用していきたいと考えています。
それで、ほかの国々の動向では、フランスとロシアがCEA-ROSATOM間で高速炉開発に向けた取決めを締結しております。インドは古くはフランスからの技術導入でスタートしたわけですけれども、現在は、かなり開発が進んでいます。これまで、二十数年にわたって開発をしてきていて、近年はロシアとの協力が活性化しています。かなり広範囲の基礎的、基盤的な研究を行っています。また、韓国はGIFとか、アメリカとの協力という形で開発を進めています。
それで、その次のページに、今申し上げたようなことを簡単に書きましたが、GIFの協力の枠組みの中で、これは今、高速炉を積極的に開発している国々としては米仏韓中露、インドは入っていません。あとEUはフランス以外の欧州の国々、イギリスですとか、ドイツですとか、東欧諸国なども入っています。
それから、その次の6ページの方には日米仏、日仏、日米というところで、こういう研究、それぞれの分野を簡単に紹介していますけれども、こういったところをうまく活用しながら行うということになります。
それで、7ページの方に当面の重点項目ということで、「もんじゅ」を用いた協力項目という、「もんじゅ」を用いたときの研究の主だった3テーマ、いわゆる高速増殖炉開発の成果取りまとめというような範ちゅうのもの、それから放射性廃棄物の減容・有害度の低減といったもの、それから安全性強化といったところの大きく三つに分類して記載してありますけれども、最初のところは、「もんじゅ」の試験データですとか、あとは解析手法の検証、あとは技術者の派遣受入れといったところをやっていく。もちろんデータベースとしての構築等、故障データ等の蓄積を継続していきます。
それから、2番目の有害廃棄物の減容・有害度低減ということですと、マイナーアクチニドの燃焼ということで、GACIDプロジェクトというのをGIFの中でやっておりまして、日米仏の3か国に限定して実施しているところです。こういったところでマイナーアクチニドの燃焼特性を検討していこうとしています。それから高次化したプルトニウム、プルサーマル燃料由来のMOX燃料の燃焼を実証していきます。具体的には、フランスが今ASTRID炉の開発を急速に進めていますけれども、そのASTRID燃料集合体の照射を「もんじゅ」を用いた作業として実施することを考えています。
それから、安全性に関しては、先ほども申しましたが自然循環の実証ですとか、シビアアクシデントマネジメントの方策についての実証的な確認、そういったところができるだろうと考えています。
それから、「もんじゅ」以外では、一つは廃棄物減容関係では、「常陽」による照射ですね。それから安全性の観点では、先ほど申しましたがAtheNa試験ですとか、EAGLE試験といったシビアアクシデント関連の試験、それから一つはシビアアクシデントのシナリオの統一と記載しましたが、これは炉心が損傷して大規模に溶けてしまうような事象の分析というものがなかなか世界的にもかなり難しい領域になっているということもあり、これについての考え方、どういうふうにこれをうまく処理したらよいのかというような意味で、このシナリオを日米仏3か国で中心となって展開していこうというように考えております。
それから、安全設計クライテリアや安全設計ガイドラインについては、GIFの中で国際標準化しようということで始まっている作業で、今は安全設計ガイドラインの整理という、安全設計クライテリアよりも1ランク下の詳細化した安全設計ガイドラインというのを更に詰めていくというフェーズに入っていますが、これをIAEAの場で国際標準化するような活動にしていくという考えを持っています。
その他としては、こういったこと以外にも、ASTRIDに対する協力であるとか、米国との金属燃料サイクルに関する協力であるとか、そういった研究項目についても協力をしていきたいと考えています。
8ページ目は、作業部会での検討の中で取りまとめた内容を記載してあります。「もんじゅ」における成果の取りまとめを目指した研究開発と、廃棄物の減容及び有害度の低減を目指した、といったことを書いています。
それで、その次のページからは、少し具体化して記載しています。簡単に御紹介しますと、9ページ目の最初のところで、「もんじゅ」は世界的にも数少ない原型炉クラスのプラントであるということで、実際に今動いている。動かせる状態の原型炉プラントとしては「もんじゅ」とロシアのBN-600しかないわけです。こういった意味で、データ取得ということはかなりの価値があるということもありますし、実規模集合体での照射ができるという点もうまく活用していく考えです。
それで、ここに掲載している中で、成果の取りまとめの部分と放射性廃棄物の減容・有害度の低減の部分と安全性強化の部分がそれぞれあって、その次のページからそれぞれについて具体的にどのような内容であるかということを整理しています。10ページからですね。それが成果の取りまとめのところでは、性能試験データを用いた解析手法の検証ですとか、運転・保守データ等蓄積による信頼性データベースの構築、それから海外からの技術者派遣の受入れといったところをやっていくところがポイントになります。
それから、その次の11ページの放射性廃棄物の減容・有害度の低減に関しては、先ほど申しましたとおり、GACIDプロジェクトというものの中で実施したいということで、アメリシウムを含有した炉心がありますので、まずは今の「もんじゅ」にあるアメリシウム含有の燃料を燃焼させて、その挙動を見る。もう一つは、「ふげん」の燃料がありますが、いわゆる軽水炉MOXの燃料の組成にかなり近いものですので、プルサーマル用MOX燃料を再処理して使用するということももちろんあるわけですが、「ふげん」をうまく有効活用して、プルサーマル燃料を模擬したようなデータを取得できるだろうということで、高次化したプルトニウム燃焼実証というようなことを実施することを、今、検討しています。
それから、安全性強化に関しては、一つは自然循環ですけれども、自然循環のデータを取得して、そのコードの検証を実施していくという考えです。
それから、シビアアクシデントマネジメントに関しては、シビアアクシデントマネジメント策を「もんじゅ」はかなり取り入れているわけで、今、これについての運転・訓練を含めた適用の妥当性を確認するところですとか、それに必要な改良案を出すといったところが十分データとして使えるので、そういったところをSDG、安全設計ガイドラインの構築の中にも反映していきたいというように考えています。
それから、今申し上げたのは、大体「もんじゅ」を使ったいろいろな活動でして、こういったことで、国によって、また相手国によって、どういった期待を持っているかというのがもちろんあると思いますが、今、特に運転データ等に関しては、これまで余り経験が少ない国々では、よりそれを重視してくれるだろうと考えていますし、技術者の派遣受入れ等も意味があることだと考えています。それから、これまで相当に経験もある、更に実用化に近づいていったところをやりたいと考えている国々に対しては、いわゆるGACIDでマイナーアクチニドの燃焼であるとか、高次化したプルトニウムの燃焼、これは原型炉では軽水炉由来のプルトニウムを使って運転している施設というのは意外とないため、フランスのスーパーフェニックスではそれを実施しようとしていたようですが、短期間でやめてしまいましたし、フェニックスではそういう実績を持っていませんので、そういったデータの価値があります。
それから、安全性に関しては、全ての国に、更に新しく実証炉や商業炉を作ろうとしている国々に対しては、シビアアクシデントのいろいろなデータ、それから自然循環のデータはかなり有効なものになりますし、余りこれまでの経験が少ない国々にとってみると、こういう関係の中でいろいろな検討をしていくということが一つの勉強の場にもなりますし、またシビアアクシデントのいろいろな対策についての知見を得る場にもつながる活動となっていくと思いますので、そういった意味での活動、議論、協議をしていただきたいと考えております。
それから、「もんじゅ」以外の部分なのですが、一つは廃棄物の低減的なものであれば、「常陽」ですね。「もんじゅ」の先行照射、それも燃料集合体試験というか、照射試験データを補強・補完する観点。
それからあと、「常陽」はそこに記載していますようなPTM試験、Power To Melt試験といって、下にちょっと書いてありますが、燃料の溶融限界線出力試験ですが、RTCB試験という被覆管が破損に至るまでの継続した照射試験といったところも実施できるので、そういった幅広いデータ取得ができると考えています。
それから、あとLLFPの核変換といったデータとか、あとはフランスのASTRID燃料を「常陽」を用いて先行照射していくといったところも可能性としてあると思っておりまして、そういったところも検討していきたいと思います。
それから、その下の安全性のところでは、シビアアクシデント対策ということで、一つはAtheNa試験、先ほど紹介がありましたけれども、これでいろいろな除熱手段の多様性を検討すると。特にナトリウム冷却高速炉の場合は、いわゆるパッシブセーフティというところが非常に重要なポイントになるだろうと考えておりまして、そのパッシブセーフティを補う手段として多様性が非常に重要になってくるというふうに考えておりますので、特にこういう視点でやっていくことが重要です。
これは当初フランスとか、アメリカとか、そういった国々との連携が今まで強かったので、そういったところとの協力を考えましたが、それら以外のGIFの国々も是非実施したいという希望がありますので、むしろGIFのプロジェクトとして実施しようと考えて、今、計画を立てて、この話合いを進めているところであります。
それから、安全設計クライテリアとか、安全設計ガイドラインの国際標準化に関しては、先ほどもちょっと申し上げましたが、安全設計クライテリアという、IAEAの従来のセーフティリクワイヤメントですね、それを更に具体化した安全設計ガイドラインというところまで検討した上で、安全設計クライテリアに関してはIAEAの共通クライテリアという格好になるように標準化を進めていくというようなことと併せてやっていきたい。
それから、その下の技術基盤の効率的な強化というのは、いろいろなこういったことを進めていく中で、いわゆるモデルの検証であるとか、新材料開発のための試験データの共有化ですとか、ベンチマーク解析等による知見、また手法の共同開発というところを可能な限り進めていきたいということですね。ただこれはそれぞれが興味を持っているところ、やりたいところが違っているでしょうから、そういったところを準備しながら相談をしていくということになると思います。
以上が大体国際協力で実施を考えている内容、それから各国の状況を含めて御紹介しました。
後ろの方には、参考資料1として、各国の開発の実績と現在の状況ですね、これはアメリカ、フランス、ロシア、インド、中国、韓国、それぞれの国の状況です。
それから、その次の参考資料2の方は、各国が大体どういう実験炉なり、原型炉を持っていたかということと、今何が動いているかということですね。それからどういうものが計画されているかというのも少し記載してあります。
それから、参考資料3は、作業部会の中で以前議論されたものを参考につけております。位置付け等が分かるように参考的に付けたものです。

【山名主査】 ありがとうございます。
 それでは、御議論をお願いします。
北田委員、どうぞ。

【北田委員】 すみません、ちょっと確認をさせていただきたいのですが、「もんじゅ」は実際に動いているわけではないということで、「もんじゅ」以外というところはこのとおりできることもあるのだろうと思うのですけれども、「もんじゅ」が実際に動かないというような状態でおって、国際協力をされるというときの計画がそれによって変更されるとか、そのような可能性というのはあるのでしょうか。

【佐賀山部門長】 動かないというとあれなのですけれども、照射をするとか、そういうことは動かないとできませんので、ある意味こういう予定でやるということで相談をしていくということになります。

【北田委員】 例えば、気にしておりますのは、例えば1年なり動かなかったというようなときがもしあったとしまして、そういうときには、では、ここではなくて、別の炉でやりましょうかとか、そういう話になってしまって、「もんじゅ」を使わないなんていう可能性があるのかどうかということをちょっと確認したいのですが。

【佐賀山部門長】 大体各国がそのデータをいつ必要かという時期があって、それに依存するわけですが、たった今欲しいという話になると、それは難しいのですけれども、今必ずしもそういうところはなくて、例えばロシアは自分たちでBN-600を持っているところもありますが、フランスですとか、そういったところはかなり計画が詰まっているというか、早めに作りたいというのがあります。あと韓国なんかはややゆっくりですね。それから中国はどちらかというと、ロシアの方から持ってくればいいんだ、技術導入すればいいかなと考えているようなので大きな影響はない。インドはもう既に来年に臨界になるというような状況でやっていますので、ちょっと違うかなと。ただし、安全とか、そういったところはもちろんある。それからアメリカはブルーリボンのことがありますので、今すぐ物を作るという計画はない。
そうすると、そういう意味で急いでいるところというのはフランスだとか、ロシアとか、そういったところになるのですが、そういった国々も大体2014年とか、2017年とか、そういうふうな節目を持っていまして、そういった意味で「もんじゅ」が仮に1年遅れて動き始めたとしても、その程度であれば許容できる、つまりデータを取ることができる範ちゅうと言えます。ただし、相手国との相談にもなりますので、必ずそれで大丈夫かというといろいろな事情もあるのですが、それでも1年程度であればほとんど問題ないものと考えています。我々としてはできるだけ可及的速やかに動かして、それをできるだけ有効に活用したいということですから、余り遅れることは考えたくないなという認識です。

【北田委員】 遅れるということは考えたくないというのは当然なのですけれども、例えば1年だったらOKだけれども、2年、3年と止まるとなると、その後の段取り、枠組みというのは変わる可能性があると考えてよろしいですか。

【佐賀山部門長】 ですから、取るデータ数が減ってしまうということになりますよね。それからあと、どれぐらいで運転できるかということによって、データを取れる時間も決まりますよね。ですから、そういったところの兼ね合いになりますね。けれども、我々としては数年ぐらいのスパンで検討しているので、その中で何とかいろいろなデータを取れるのであれば、交渉の余地はあると考えています。

【山名主査】 黒崎委員。

【黒崎委員】 3ページのところの黒ポツのところの三つ目のところで、国際協力の基本は等価交換とするというふうに書いてあって、今の話だと、「もんじゅ」を動かして、それでうまく使ってくださいという、こちらから諸外国に提供するようなイメージのことかなと思っていたのですが、等価交換ということで、向こうからも等価な物をいただくというところかと思うのですけれども、その得た物というのは既に、例えばフランスからこういうものを得たいとか、米国からはこういうものを得たいとか、そういったものを「もんじゅ」は既にお持ちであるということでよろしいですか。

【佐賀山部門長】 我々の考え方というのは、持っています。例えば、一つの例として、GACIDというのは、それぞれが同じ負担をしましょうということなので、材料を提供する国とか、ピンを作る国とか、燃焼させる国とか、そのPIEをみんなでやりましょうとか、そういうふうな、金額もおおよそ見積もって、大体似たような金額になっていることを見たり、それから、例えば照射をしてくださいというような議論があったときには、照射をするには当然経費が必要となることから、基本的にはそこは対価をもらうということになりますね。
 ただし、例えばPIEみたいなことを分担してやりましょうとか、そういうようなことになればまたそれは別途協議することになる。要するに相手が等価交換のようなそういう協力をしたいか、むしろ経費を負担してもよいから実施してほしいということになるかというのは、それは協力の相手と行う内容次第ですね。今までいろいろな議論をしてきて、そういったところのどうやってやりましょうねというのは、それぞれの案としてはあります。

【山名主査】 よろしいですか。

【黒崎委員】 はい。

【山名主査】 ほかにいかがでしょうか。村上委員。

【村上委員】 すみません、大変初歩的な質問で申し訳ございません。「もんじゅ」の安全水準についてなんですが、「もんじゅ」は今現在、国際標準である安全設計クライテリアをクリアしているのでしょうか。クリアした上で、国際標準の作成に向けて日本がフランスと並ぶ世界のトップランナーとして走った状態で、要するに日本とフランスが今のまま上にいて、韓国や中国やロシア等々に頑張ってついてきなさいという立場なのか、それとも完全にまだクリアしているとは言い切れない状態で、ほかの国と競争しつつクリアすることを考えているのか、どちらなのでしょうか。

【佐賀山部門長】 私の考えということを言うと、「もんじゅ」は必要な安全の条件はクリアしていると思っています。ただし、審査をしていただいて、確認していただくということは当然必要ですから、これはもう我々の考えですよね。ただし、いろいろな方策とか、やり方というのは当然差はあるわけですね。これまでの流れでいろいろ検討してきている「もんじゅ」と今後更に効率性とか、それから安全性を高めるというようなことを追求してやっているものとでは、取っている方策は当然違いが出てきています。もちろん同じになるということもあり得ますけれどもね。それで、それは例えば一つは大型化するわけですね。もちろん小型化の開発の道もあるのですけれども、基本的には大型化する方向で我々も、フランスも狙っているわけです。そうすると、それを「もんじゅ」と同じような対策をとって大型化していったら、非常に経費が増すというような状況に成りかねないわけで、それはそれを防ぐためのいろいろな方策を考えるということになりますね。
ですから、「もんじゅ」はこれまでの考え方に、もちろん炉心が損傷するようなことまで全部考えて、十分に高い安全性を達成するべく、十分大きな余裕を持った設備対策をとっているわけですね。ですから、そういった意味での安全のグレードという観点では満たしていると思っていますが、全く同じ施策でやるというよりは、より合理的に、合理的というのは余り安全を適当にはしょっているというふうに捉えられてしまうと困るのですけれども、要するによりうまい工夫をして、経済性も著しく損なうことなくというようなことで、安全の方策を詰めていくということを考えているわけで、そういった意味で、「もんじゅ」が決して安全性が劣っているのではないかということはないというように思います。

【山名主査】 よろしいですか。
 いかがでしょうか。稲田委員、どうぞ。

【稲田委員】 今、国際標準の話が少し出たのですが、今動いているものとしては安全設計のクライテリアについてIAEAで作ろうとして今作業をされているということなのでしょうか。このような国際標準というのは非常に重要なことであろうと思うのですが、これは今後考えられる展開とか、どういう方向に持って行こうと考えられているのか、それを教えていただければと思います。

【佐賀山部門長】 ちょっと背景を申し上げますと、別にその国を批判しているわけではないのですが、いろいろな安全の確保の仕方というのは国によって差があるわけですね。それで、非常に端的な話として、格納容器が付いているとか、付いていないとか、軽水炉でもありましたように、そういう話もありますし、だけれども実際に炉心が溶融するような、時間的余裕、グレースピリオドが非常に長いから十分大丈夫だとか、いろいろな観点があって、そういった各国のものをそのままやり続けるというのは必ずしも分かりやすい、また十分な安全ということを確実に達成していく上では、必ずしも余り得な方法ではない。つまり国によってばらばらだということは非常にまずいだろうということで、狙いとしては一つに統一化しましょうということにしました。
軽水炉も実際動き始めて、しばらくたってから統一化されたわけだと思いますが、アメリカという国がベースを作ったりすることもあったので、そういう意味で成り立ったのですね。ですから、今我々の狙いとしてはそういうものを作っていく、それはやるためにはGIFというのは開発をしようと思っている国の集団なので、その集団の中でまず案を作る。だけどそれではいわゆる規制側が作っているわけではないので、規制側とのリンク、つまり規制側とのディスカッションを通じて、一つは考え方に大きな抜けがあるとか、そういったことがないように活動しようと思って、エムデップというところがありますけれども、そういうところと少し意見交換をしながら中身についてもう少しブラッシュアップしていこうということをするのと、あとはIAEAで軽水炉のセーフティリクワイヤメントが基準化されて出されましたけれども、それと同じような高速増殖炉用のリクワイヤメントにするべく、今GIFで作ったものをIAEAの場に持って行って、それで議論してもらうというような活動を今年から始めようというような計画です。
したがって、それには少し時間がかかるかもしれませんけれども、今我々がGIFの中で一応まだ安全にフィックスはされていないのですが、今度、今年の5月のミーティングのときに完全にフィックスさせる計画にしていますけれども、それ以降、そういうIAEAの場でも議論していただいて、基準化していくと。それを今、INPROとGIFの共同の議論がありますので、そういったところを使っていろいろな関係国との連携を取りたいというふうに考えています。

【稲田委員】 ありがとうございました。将来的には、今はGIFなどを使って発言する場というのは当然あると思うのですが、IAEAの場でも、我々というのか、日本がきちんと発言して、安全性向上に役立てていくというようなことと考えてよろしいわけですね。

【佐賀山部門長】 今、GIFの中で、タスクフォースみたいな形でやっているのですが、それを隣の中井君が議長でやっていますし、それをIAEAの中にGIF側から展開するときに、そういう形を保持してやっていこうと思っています。ほかの国々は、フランスも一緒にやっていくということなのですけれども、我々としては日本が中心的な役割を果たしていけるだろうと考えています。

【山名主査】 笠原委員。

【笠原委員】 今と関連することかと思いますが、7ページ目に「もんじゅ」を用いた研究協力の一番下にシビアアクシデントマネジメント策の充実とか、あるいは下の「もんじゅ」以外の下から3行目ぐらいのところにシビアアクシデントシナリオの統一というものがあるのですが、前半で議論したシナリオに抜けがないとか、こういう今後は日本がリードするというだけではなくて、海外からもレビューを頂くとか、あるいは福島とか、そういう大きなところで国際的なコンタクトを得ていくとか、そういう協力もあると思うのですね。

【佐賀山部門長】 それはそのとおりですね。これはこういうのを国際協力の中で要するに共同してやっていこうと。例えばいろいろなシビアアクシデントのドミナントシナリオというか、評価の中のやり方というのは、例えば日本と、フランスと、アメリカとも違うわけですよね。ですからそれをできるだけ統一化していきたいというように考えているわけです。ですから、当然違った意見は出てくるわけで、それをうまくマージして、そういうシナリオとしての認識合わせとそれに対する対策の妥当性をそれぞれの国々との協議、また検討の中で統一化していきたいと、そういう趣旨です。

【笠原委員】 「もんじゅ」に海外から優秀な研究者の方が来られて、現場を見て、正にそういう議論ができるとよいように思いますが、計画の中にそういうこともおありでしょうか。

【佐賀山部門長】 「もんじゅ」の方に来ていただいて、いろいろな検討をするというのはもちろんあると思いますが、シビアアクシデントシナリオであれば、必ずしも「もんじゅ」の現場でやるか、どこでやるかというのはまた相談ですけれども、おっしゃるように、「もんじゅ」に来てもらって、いろいろな運転データも含め、またアクシデントマネジメント策の検討も含めてやってもらうということは十分できるだろうと思っています。また、そういうことを、試験をやりながらやるということになると、大洗で今やっている試験があるとすると、大洗のところも使うことになりますし、ですからその辺はうまく使い分けながらやっていくということになると思います。

【山名主査】 よろしいですか。
 いかがでしょうか。
ちょっと佐賀山さん、私から一つだけ、もうちょっと時間なのですけれどもね。論点整理の最後のところに、「もんじゅ」の開発の成果というのは国民に見えていないということが書いてあって、今後はそこを改善しなければいけないという提案をさせていただいた。国際関係の中で「もんじゅ」が動いているということをほとんど国民は知らない。国民が知らないのか、国民に誰も伝えていないのか、よく分かりませんが。それで、「もんじゅ」が単なる自国内の一施設ではなくて、国際的な位置付けにあるとおっしゃるのであれば、それはもう少し国民に伝わるようなやり方なり、伝え方なり、あるいは研究の意義みたいなのが、明確化みたいなのは間違いなく必要なのですよ。だから、私は感覚的に、これまでのJAEAの取組というのは、どちらかというと、各国とバイラテラルな仲良くしましたよと、お友達を増やしましたよと、やっていますよというだけで、それが国にどういう成果が上がってきているかというのはやはり見えていないと思いますよ、国民に。やっぱり国際関係の中での伝え方というのは今後よく考えていただく必要があると思います。これは一皮むけていただく必要があるかなというように思うのですね。この点はいかがですか。

【佐賀山部門長】 そうですね、確かに見えにくいというのは、そう言われますと確かにそうなのかなと思うのですが、一応「もんじゅ」をもう少し、今まで動いていなかったことがあれなのかもしれませんが、動かしていく中で、今度そういう少しワークショップ的なことを「もんじゅ」の場でやりながら、それをアピールしていくとか、あとはどういう協力でどういう成果が出ましたよということを確かに余り成果発表会とか、せいぜいその程度しかやっていないのかもしれないので、もう少し常時発信できるようなことを考えた方がよいかと思います。国際的ないろいろな仲間というか、そういうことをやっている国々に対しては、ワークショップだとか、いろいろな形でアピールすることは一つのやり方でもあり得るとは思うのですけれども、一般の人に向けたやり方はちょっと考えていかないといけないなと思います。

【山名主査】 時間が迫っておりますが、いかがでしょうか、国際関係について。よろしいでしょうか。
 では、時間になりましたので、今日の審議はここまでとしたいと思います。
 それでは、事務局の方から何かありますか。

【西條核燃料サイクル室長】 どうもありがとうございました。本日いただいた御意見を踏まえまして、必要に応じて、事務局からまた御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、今回会議の議事録案につきましても、出来次第、毎回同じですが、メールにてお送りさせていただきますので、チェックいただければと思います。
 以上でございます。

【山名主査】 それでは、以上で、第6回「もんじゅ」研究計画作業部会を終了いたします。本日はありがとうございました。
 
--了--
 

 

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(研究開発局原子力課核燃料サイクル室)