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宇宙開発利用部会(第33回) 議事録

1.日時

平成29年2月14日(火曜日)15時00分~16時40分

2.場所

文部科学省 3階2特別会議室

3.議題

  1. 国際宇宙ステーション長期滞在ミッション報告(大西卓哉JAXA宇宙飛行士)
  2. 技術試験衛星Ⅷ型(ETS-Ⅷ)の運用終了について
  3. H-ⅡAロケット34号機の打上げに係る安全対策について
  4. SS-520 4号機 実験失敗の原因究明結果及び対策について
  5. その他

4.出席者

委員

部会長  白石 隆
部会長代理  佐藤 勝彦
臨時委員  青木 節子
臨時委員  井川 陽次郎
臨時委員  白井 恭一
臨時委員  永原 裕子
臨時委員  林田 佐智子
臨時委員  藤井 良一
臨時委員  横山 広美
臨時委員  吉田 和哉
臨時委員  米本 浩一
調査・安全小委員会 主査  中島 俊

文部科学省

 研究開発局長  田中 正朗
 研究開発局宇宙開発利用課長  堀内 義規
 研究開発局宇宙開発利用課企画官  山之内 裕哉

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 理事  浜崎 敬
 理事  山本 静夫
 有人宇宙技術部門
   宇宙飛行士運用技術ユニット宇宙飛行士グループ宇宙飛行士 大西 卓哉
   第一宇宙技術部門
   衛星利用運用センター 技術領域主幹  藤澤 達也
   JDRSプロジェクトチームプロジェクトマネージャ  高畑 博樹
   宇宙科学研究所
   副所長  稲谷 芳文
   宇宙飛翔工学研究系准教授  羽生 宏人
   安全・信頼性推進部参与  宇治野 功

5.議事録

【白石部会長】 それでは,定刻になりましたので,宇宙開発利用部会第33回の会合を開催したいと思います。まず,事務局から本日の会議について,事務的な確認をお願いいたします。

【事務局(山之内企画官)】 はい,事務局でございます。本日は17名の委員のうち,11名の先生方にご出席いただいております。よって,運営規則に定める定足数の要件を満足しております。
 次に,本日の資料でございますが,お手元の議事次第の4.のとおりお配りしております。もし過不足等ありましたら,適宜事務局にお申しつけいただければと思います。
 事務連絡は以上でございます。

【白石部会長】 はい,どうもありがとうございます。

(1)国際宇宙ステーション長期滞在ミッション報告(大西卓哉JAXA宇宙飛行士)

【白石部会長】 それでは,議事に入りたいと思います。最初の議題は,国際宇宙ステーション長期滞在ミッション報告でございます。JAXAの大西宇宙飛行士から第48次,第49次長期滞在ミッションの報告をいただきたいと思います。大西宇宙飛行士,よろしくお願いいたします。

【JAXA(大西宇宙飛行士)】 より資料33-1に基づき説明を行った。

【白石部会長】 はい,どうもありがとうございます。いかがでしょうか。何か御質問,御意見等ございますか。よろしいですか。

【JAXA(大西宇宙飛行士)】 それでは,ありがとうございました。

(2)技術試験衛星Ⅷ型(ETS-Ⅷ)の運用終了について

【白石部会長】 それでは,二つ目の議題にまいります。
二つ目の議題は,技術試験衛星Ⅷ型(以下ETS-Ⅷ)の運用終了についてでございます。JAXAは技術試験衛星Ⅷ型の運用を終了いたしましたので,その成果について報告いただき,今後の衛星開発のための御助言をいただきたいと思います。
 それでは,JAXAから御報告をよろしくお願いします。

【JAXA(山本理事)】 より資料33-2に基づき説明を行った。

【白石部会長】 どうもありがとうございました。それでは,これについて御意見,御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 どうぞ,白井委員。

【白井委員】 後期運用段階での衛星バス系は,何も不具合が発生しなかったという御説明であったと理解してよろしいでしょうか。

【JAXA(山本理事)】 はい,それで結構です。

【白石部会長】 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。
それでは,JAXAの方では,ETS-Ⅷの成果を生かし,これからの衛星開発を着実に進めていただくようよろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。

(3)H-ⅡAロケット34号機の打上げに係る安全対策について

【白石部会長】  それでは,三つ目の議題は,H-ⅡAロケット34号機の打上げに係る安全対策についてでございます。調査・安全小委員会において,H-ⅡAロケット34号機に係る安全対策の調査,審査が行われましたので,小委員会の中島主査から報告をお願いしたいと思います。

【調査・安全小委員会 中島主査】 より資料33-3-1,33-3-2,参考1に基づき説明を行った。

【白石部会長】 どうもありがとうございます。それでは,今の報告について何か御意見,御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは,資料33-3-1について,小委員会からの提案どおり決定するということでよろしいでしょうか。

  ((異議なし)の発言あり)

【白石部会長】 御異議が無いようですので決定といたします。ありがとうござました。
JAXAには,安全で確実な打上げに向けて,今後も万全を期して準備を進めていただき,打上げ成功を継続していただけるよう期待します。

(4)SS-520 4号機 実験失敗の原因究明結果及び対策について

【白石部会長】  四つ目の議題はSS-520 4号機実験失敗の原因究明結果及び対策についてでございます。JAXAはSS-520 4号機の実験失敗について対策チームを組織し,原因究明作業と対策について検討を行ってまいりました。その結果を報告いただきます。それではJAXAより説明をよろしくお願いします。

【JAXA(羽生)】 より資料33-4に基づき説明を行った。

【白石部会長】 はい,どうもありがとうございます。それでは,今のご説明について御意見,御質問等ございますでしょうか。
 はい,どうぞ。

【横山委員】 丁寧な御報告ありがとうございます。
27ページと28ページについて簡単にお伺いしたいのですが,電線被覆が損傷するという非常に初歩的なところで失敗されたことが残念な結果になったと伺いましたが,設計変更等によって事前に例えばガラステープを何重にすべきとか,そうした詳細な検討は行われていたのかどうかという点について確認させてください。

【JAXA(羽生)】 はい,こういった保護施工というものについては,例えばテープを巻くということについては,二重ないし三重に巻くというような施工を行うのが通常されることです。ですが,この部位について特有の事情があるのですけれども,こちら設計はそういった観点で見ているのですけれども,ロケットの部品を,一般的に搭載する部品については環境試験といって,例えば振動ですとか衝撃を与えて壊れないところを確認してから搭載するというプロセスがあります。ですが,この直近にあるのはロケットモータでありまして,ロケットモータには火薬が入っているという状況です。これに対して衝撃,振動を与えるという試験は通常やらないことになります。
 こういったところとの組み合わせの最終段階でここは施工する部位ですので,ここについては通常はそういった衝撃,振動を与えないで施工していくという部位になっておりまして,そういったところは今回,確認プロセスの中でどうしても今まではできなかったところということですので,こういった事例に直面したということもございますので,今後は検証プロセスをこういったところも配慮して,今まではそういった必要ないということが,できないという理由であったわけなのですけれども,ここについても先ほど申し上げたとおり,確認をするということも行いたいと思っております。

【白石部会長】 はい,ほかにいかがでしょうか。
はい,どうぞ,米本委員。

【米本委員】 事実確認について,もう少しお聞きしたいと思います。一つ目はバックアップ電源を持たない機器が機能不全に陥ったことを,どのような手段で確認ができたかということです。
 二つ目は,テレメータの電源喪失と歪センサの二つの故障に関してです。今質問があった部位でそれぞれの電線が一緒になっており,摩擦その他の要因でショートに至ったとの話ですが,その写真から,電線のどの部分の被覆が壊れてショートしたかという特定はできないのでしょうか。
 先ほどの質問と重複するかもしれませんが,熱の問題も大きかったのではないでしょうか。軽量化のために金属構造体をステンレスから熱伝導性が10倍高いアルミ材料に変更したことにより,空力加熱による温度上昇がどこまで上がったのか,推定値があれば教えて下さい。これが三つ目の質問になります。
 更に四つ目の質問は,電線の被覆についてです。民生品を使って細くなったということは記載されていますが,材質はどのように変わったのでしょうか。
 最後の質問は,電線の摩擦耐性確認試験についてです。確認試験1と2について,後者では短絡が発生したものの,前者の場合は短絡に至るような現象が再現できませんでした。この二つの確認試験をどのように理解していいのか,説明をお聞きしたいと思います。

【白石部会長】 よろしくお願いします。

【JAXA(羽生)】 まず,一つ目はバックアップ系を持っていたか,いないかの識別のところでどう確認しているかといったことですが,こちらの図で真ん中の列,OBC,PYRO,DAUがございます。こちらにはそれぞれ電池を個別に持っている装置になりまして,これはそれぞれのユニットを駆動するための電源になっています。これはこちらから緑色の線が出ているのですけれども,これはバックアップと書いてあるこのラインはレーダーとつながっています。これは上の方にあるレーダーの送信機1と2です。
 先ほど追跡して姿勢変更していなかったという結果を示しました。これについては,このデータに基づいて解析したのですけれども,このバックアップ電源が働いた結果,20秒以降も追跡が正常に行われていたという結果がございました。その結果から,このバックアップラインでこのレーダーの装置が正常に機能したということが示されます。一方で,この28V系のみで構成されているラインにつきましては,このテレメータ装置が機能しなかったことや,あるいはコマンド復調装置も同じように機能していなかったということから,この関係については機能喪失したという識別をすることができます。

【米本委員】 姿勢センサや太陽センサも同じ28V系で,バックアップ電源で駆動しません。バックアップ電源がないものは電源喪失に陥って機能喪失したと資料では説明されていますが,そのバックアップ電源のない姿勢センサとか太陽センサ,その他のラムライン系電磁弁は,機能を喪失していないとなっています。機能喪失の因果関係がよくわかりません。

【JAXA(羽生)】 はい,で,そこを補足で説明させていただきます。
 確かにおっしゃるとおり,機能喪失していた可能性が非常に高いと考えています。ですけれども,姿勢変更しないということとラムライン装置が機能していなかったということは,必ずしも1対1ではないというのが解析でわかっていまして,つまりこちらでいうと姿勢センサが仮に電源があって,このラムライン装置の電磁弁のところにまでは電源が行っていないというケースと同じように姿勢変更しないです。ですけれども,姿勢センサが機能しなかったケースでラムライン電磁弁まで電源が行っていた場合については,この姿勢センサが最後にとったデータに基づいて,このRCSのラムライン制御装置というところにデータが残った最後の姿勢データをもとに,その姿勢変更の動作をすることができます。
 その場合の最後のデータでその姿勢変更の演算を行った場合については,姿勢変更ができないという結果が出まして,必ずしもここがだめだったかというと,その姿勢変更しなかったことでだめだったとは言えないと。間違ったデータで姿勢変更の動作はしたかもしれない。ただ,姿勢変更ができなかったというケースが解析の結果見られたので,恐らくおっしゃるとおり,機能喪失していた可能性は高いとは思うのですけれども,そういったケースも含まれた結果,明らかではないということからハッチングをかけていないという根拠になります。よろしいでしょうか。
 続いてが,線がどう特定されたかということなのですけれども,残念ながらこちら22ページの写真のようにどれも同じ被覆の色をしていて,どの順番で入っていたかということまでは正確には把握できないのですが,この中で赤い線が混じっている部分が一つだけあるのですけれども,こちらについては,第1段ロケットモータの安全装置の駆動状況を確認するための信号線になっているということだけは特定できました。それ以外のものについては,例えば分離機構に回っている火工品の線ですとか,その計器盤の下にあるラムライン装置をつなぐ信号線ですとか,同じような線で,線の種類としては同じようなものを使っていたために,そこまでの特定はできないということになりました。

【米本委員】 製造工程で配線の順番が決められているのが普通ではないでしょうか。このロケットの配線は,現場の成り行きで決めるような作業なので,どのように配線が並んでいるか,特定できるような設計情報はないという理解でよいですか。

【JAXA(羽生)】 はい,どの線が入っていたかはわかるのですけれども,その上から下まで番号を振って識別しているということではありません。その末端,末端では見ていますが,この部位で何が接触したかまではちょっと出てきません。
 続いてが熱の問題ですけれども,アルミ材に変更したというのは,おっしゃるとおり軽量化を目的にしていました。この部位がおおよそ130度になっていたというのが飛行データの部分的なデータを他の,これはこの位置ではないのですけれども,この近傍の計測データから算出した結果として出ています。これは事実としてはそういうことになっています。
 あと,その線に使った被覆の種類ということだと思います。これはテフロン系の被覆を使っていました。これは従来どおりの実績のある線の被覆の種類であります。
 あと,再現試験のところの御質問だったかと思いますが,この28ページにつきましては,この引き込み口に同じような部品をつくって,ここに模擬カウリングとついている,こちらがカウリングの模擬した部分になっていて,ここの下に電線が回って,この中を同じようなルーティングを模擬して環境試験を行った結果になっています。ただし,やはり飛行中の加速度までは模擬できないので,あくまでも振動条件に対する試験結果であるということで,このときの結果としては,こういった点で接しているというのが特徴として得られているという認識です。その結果として,こちらにありますようにガラステープに対しては損傷があって,例えばこの辺に孔があいていたとかいう,検証結果としては得られている状況です。全く同じ状況を模擬したとは言えないのですけれども,こういった保護施工をしたにもかかわらず,線を細くした結果,点で接してしまっていたというのが特徴としてあるのではないかと理解しています。

【白石部会長】 はい,どうぞ。

【米本委員】 130度の温度上昇というのは,意外です。もっと高いのではないかなと思いました。その温度では,テフロン被覆の損傷につながることはないので,打上げの振動環境が原因で被覆が剥がれたと理解してもよいのではないでしょうか。

【JAXA(羽生)】 いや,温度のところも少なからず影響したと思います。といいますのも,このテフロン系の素材のガラス転移点,これが90度ぐらいと言われていまして,耐熱温度としては,より高い200度を超えるようなところでの耐熱を持っていますけれども,ガラス転移点に近い温度に達していたということも含めますと,熱の影響が全くなかったとは考えておりません。

【米本委員】 接着剤はエポキシ系に変えたとあります。設計変更前はどのような接着剤を用いていたのでしょうか。エポシキ系接着剤は,耐熱性が高いとは思いません。接着剤が何らかの影響を及ぼしたかどうか,説明をして戴けないでしょうか。

【JAXA(羽生)】 エポシキ系の接着剤についても,これまで充填材と呼ばれるようなもう少し質量の大きいものを1,2号機では施工していた実績がありました。今回については重量制限がかなり厳しいということもありましたので,これについては接着剤の変更,耐熱は表面のところでしっかりしているという前提で,このエポシキ材で固定をするという方法で変更を行っています。

【白石部会長】 よろしいですか。ほかに。
はい,どうぞ。

【永原委員】 26ページの三つの問題というのが指摘されており,御説明もしていただきました。民生品を有効活用することが今回のロケットの重要な目的だったわけですが,問題は民生品を使用したことではなくて,むしろ軽量化であったという内容であったかと思います。ほとんど全ての問題が軽量化に関連するという御説明と理解しましたが,その理解でよろしいでしょうか。

【JAXA(羽生)】 はい,民生品が影響したとは考えていません。一方で,軽量化のために,今おっしゃられたように出っ張り部分を小さくするとか,軽量化のための装置ですとか,そういった工夫をさまざましてまいりまして,その結果,幾つかいろいろ難しい状況になったのかもしれないと思っております。

【白石部会長】 はい,どうぞ。

【吉田委員】 二つございます。一つずつ順番に質問させていただきます。
 まず,本日の御報告に関しまして,技術的な事故の要因及びその解析については非常にご丁寧に説明いただいておりまして,結果的には直接,配線の被覆と金属との機械的な接触,過熱による断線という初歩的な事象であったということ,結果的には残念でありますけれども,きちんとした分析がなされて,今後の対策も示されていると考えております。
 その上で質問させていただきたいのは,少し話が広がるかもしれませんけれども,先般「ひとみ」の運用停止のトラブルもありまして,あれは衛星がどんどん大型化することによって,システムが大型化することによって,従来の体制でやられていた衛星の開発等とか,運用の仕方が従来の範疇を超えつつあるのではないかというような議論がありましたけれども,このSS-520 4号機ロケット実験というのが,そういう技術の基礎,ベースをつくるような,あるいはその技術を育成していくようなミッションという位置づけもあると思うのですけれども,そういうところでテープというか,配線の養生の仕方に不備があったという結論という二つの事象を見ますと,これまで宇宙研で培われてきた技術の一番根幹の部分において,いろいろな意味でのスキルが失われてしまっているということが,あるいは失われつつあるということが背景にあるのではないかなと思えるのですけれども,そのあたりについてどのようにお考えになっているか,お聞かせいただければと思います。

【白石部会長】 はい,どうぞ。

【JAXA(稲谷)】 おっしゃるとおり,この事故についてこういう失敗ということで大変残念でございます。御指摘のように,小型のロケットなどは,可能な限り我々インハウスの人間の力で打ち上げるということを通じて,我々の中でいろいろなことを実行可能にするために,人材育成も含めたいということで,このプロモーションを考えていると御理解いただけると大変ありがたいと思います。
 先ほども申し上げましたけれども,今回の軽量化,小型化と申しますのは,民生品で非常に小型のものが使えるがゆえに,それを使って軽量化するということもプロモーションの中に入っていまして,例えば配線については,従来の配線基準というのがあるわけですが,これがやっぱりそういう線が細いとか,小型化のコネクタとか部品などに対する基準になっていたかどうかというところに,従来の基準をそのまま使ってよいかどうかというところになお配慮が足りなかったのではないか,と考えております。
 一方で,その他にも,我々のスキルが落ちていないのかどうかということについては,これは真摯に反省すべきであって,そのことに気がつかないこと自身もスキルの一つであると理解をしているところであります。結果として何がスキルのせいか,対象を選ぶときの選択がよかったか悪かったのかということに気がつくべきであったということも含めて,改めて民生品というその小型軽量化の世界,もちろん結果としての低コスト化というのは将来的には狙うわけですけれども,そういう新しい環境の中で従来手法をそのまま適用していくのか,より深く考えるべきであったかというところについて,残念な結果でありますけれども,今後の知見を得るというふうにしたい,そんなふうに考えております。

【吉田委員】 どうもありがとうございます。スキルという非常に漠然とした言葉を使ってしまいましたので大変恐縮でしたけれども,回答にありましたように,配線に関しては種類や線幅等について,それなりに基準がおありになってそれに基づいた作業をされたとのこと理解しました。
 しかしながら,実際に配線をどのように引き回して,最後にどういうふうに養生していくかというところは,先ほどもありましたけれども,現場作業という要素があって,今回起きた部分は残念ながら最後,組み立ててから振動試験をできないような部位でありました。これまでのミッションでも同様な要素があって,それでもうまくいっていた要因は,すごく漠然とした言い方になってしまいますけれども,経験を積んだ熟練した方が最後に手作業をされる,手順書という形で記載はされるんでしょうけれども,現実には手順書にはならないようなところで,やっぱり経験に依ってという部分があって,その経験がちょっと喪失されつつあるのではないかというのを懸念して質問させていただきました。

【JAXA(稲谷)】 その点についても全く同感でございまして,もし仮に,次の改善ということの対策論で少し申し上げましたが,そういう試験をできないというところをさらに減らしていく,試験ができるような仕立てに変えるという,そういうことも従来手法から踏襲するのではなくて,新しく変える,また,そのスキルとかワークマンシップに依存しないような形で管理されている状態ということに心をいたすというのが,ここでの改善策として考えております。

【吉田委員】 どうもありがとうございました。2番目の質問をさせていただきます。
 2番目の質問は,そもそも今回のこのSS-520 4号機のフライト実験の意義とか目的に関する部分でございますけれども,4ページにもありますように民生技術を用いてロケット・衛星の開発を行い,3kg程度の超小型衛星の打上げ実証ということでございますけれども,今回のプロジェクトは経済産業省のプロジェクトであるということでありまして,報道ではこれが新しいビジネスに道を開くという言われ方をされております。一方で,これが経済産業省のプロジェクトであることから,ここの文科省の宇宙開発利用部会では,このミッションの内容については審議をしないという経緯となっており,安全という観点だけ審議しますということがございました。
 けれども,やはり宇宙研が実施されているプロジェクトでありますので,これはどちらかというと事務局に対するコメントになるかもしれませんが,やはりそもそも全ては連動しているわけで,人材育成とか技術の継承ということもやっぱり宇宙研としてどういうふうに技術をつくっていくかというところともつながっていますので,やはりこういうプロジェクトの意義を含めて,本利用部会で出発点から審議をすると,そういうアプローチをとるべきだったのではないかなという疑問を持ちます。これはJAXAにお伺いすべきか,事務局に申し上げるべきかわかりませんけれども,意見交換でも構いませんのでお考えがあればぜひお聞かせいただきたいと思います。

【白石部会長】 もし何かありましたらどうぞ。なければ,これは我々の方でむしろ引き取る問題だろうと思います。

【JAXA(稲谷)】 我々の方からはございません。よろしいでしょうか。

【白石部会長】 はい,どうぞ。

【井川委員】 すみません,ちょっと素人的なコメントとなりますが,このまとめというのはこれで最終なのでしょうか。

【白石部会長】 どうぞ。

【JAXA(稲谷)】 我々の理解としては,この部会への報告としては,今回の報告で最終とさせていただくという考えでおります。

【井川委員】 ちょっとお伺いしたいのは,この調査等この設計における,何か技術の細部について僕はよくわからないけれども,この26ページにあるような赤字のところは,こういう言い方をすると聞こえが悪いですが,何か僕はこれを見ていると姑息な変更をその場しのぎでされているというふうに見えるのです。何か軽くするために思いつきでいろいろなことをやられたのかなというふうに見えてしまう。
 これやっぱり,この間の「ひとみ」もそうですけれども,プログラムを変更したり,あるいは設計変更するというときは,やっぱりその変更の影響とか全体のミッションの成立性とかいうことについて,本来的にはデータなりとってきて,そのデータに基づいてディスカッションをし,全体への影響というものを考えながら設計しなければいけないという根本的な設計思想というか,設計のやり方の問題があると思うのです。ところが,何かそういう御報告が全然ないので,恐らく書いてないのか,そういうのはちゃんとディスカッションしてやったのかどうか。もしそういうのをやってないのだとすると,これもう,外部から見ているとこのまま何かいろいろ開発されたら,また不測のことをやってまた失敗するのではないかという感じがするわけです。
 それで,最後のまとめのところに,これから細部にわたって見直しを図るとなって,最後が大事なんだろうけれども,設計するとか物をつくるとかというときの根本的な考え方からやり直さないと教育にもならないし,これまた失敗するのではないのかという感じがしたんですが,そこら辺はやっているのか,あるいはここに書いてないだけで内部ではしっかりやっていたらやっているのですよとか,あるいはここを調べるのですよというようなことをちょっと,方向性というのかその姿勢,そこをちょっと教えてください。

【白石部会長】 どうぞ。

【JAXA(稲谷)】この部会でどの範囲までご審議いただくかということだと思いますが,実際,設計開発のプロセスとしては,従来からJAXA宇宙研でやっている設計審査,その他の審査方法についてはそれを踏襲してやっているところであります。こちらで御報告したかどうかという部分については,先ほど来,本件について審査結果を御報告してはおりません。一方で,先ほど来お話が出ています「ひとみ」の事故以後のアクションということも,我々真摯に受けとめてやっております。この計画の途中からではありましたが,より包括的な審査と申しますか,「ひとみ」の異常事象の反映を受けた形で,審査体制のより強化,水平展開ということについても,このプログラムの後半からはやっているところであります。小型の飛翔体という実験的な取り組みではありますが,そこは形を踏んで,あるいは形式を備えてやって来ているという事実がございます。

【井川委員】 ちょっとすみません,細かいことはいいですけれども,ちょっと言い訳に聞こえてしますので,僕は素人なんでよくわからないのだけれども,お願いですけれども,少なくとも今後もし次の5号機とかおやりになるときは,ぜひともここに書いてあることだけではなくて,例えばアルミ材に変えるのであればそういうデータに基づいて変えて,これによるメリット,デメリットとか危険性とかリスクとか,ちゃんと評価した上で変更されたというようなことを,一つ一つの部品について変えるときには,しっかりその理由とその悪影響というのを客観的に評価された上でやるという,当たり前のことをやるというのは多分大事だと思っていますので, それをちゃんと,こういう後日も説明できるような資料も用意した上で検討して,引き続きやるときはぜひそういう教育にも役立つように,人材育成にも役立つようにちゃんと総合的に評価するという,普通の工学的な設計変更,設計あるいは製作,製造においてやられるようなことをきちんとおやりになっているのか,おやりになっていないのかよくわからないけれども,おやりになって,その後も説明できるようにちゃんとなっているというのが,僕はやはり説明責任だと思うので,どうかよろしくお願いします。余り細かいことをここで議論してもしようがない,僕みたいな素人にはわからないのであれですけれども,それをぜひお願いしたい。

【JAXA(稲谷)】今回の御報告は今回失敗の原因について,その周辺のことに限ってご説明させていただいていますので,設計全般をどういうふうにするのがよいかという議論は,ここには含まれていません。先ほどおっしゃったようなことは,順を踏んでやっておりますが,それを今回のこの部会で全部御報告するとか,ご審議いただくということは用意してありませんでしたので,大変申しわけありません。委員の先生方には結果として今回初めてお聞きいただくということになった点についてはおわび申し上げます。

【白石部会長】 はい,了解しました。
ではどうぞ。

【米本委員】 31ページの推定原因に対する対策を見る限り,今回の事故の最大の問題点は,軽微な故障が全電源喪失に至らしめたことにあります。その対策を次の設計に具体的にどう反映していくか一生懸命考えることが大切です。設計は100%宇宙研の手で行われたものとは思います。完璧に設計をしたところで,どこかに抜けがあるという想定も必要です。このような電源に係る軽微な故障が,クリティカルな全電源喪失に至らないというような設計配慮に取り組んでいただきたく思います。

【白石部会長】 はい,ほかに何かございますか。
はい,どうぞ。

【藤井委員】 技術的な話ではないのですが,これは8時33分に打ち上げられたということで,9時のニュースを見ていますとうまくいったということで,かなり説明等もしていたわけですが,いつこれは失敗したという判断になって,いつ発表するかと。報道は10時ぐらいじゃなかったかと思いますが,どうしてそういうふうに時間がかかっていたのかという点について,ちょっと御説明をお願いします。

【白石部会長】 はい,どうぞ。

【JAXA(稲谷)】 報道対して正式にお知らせした時間という意味では,実験はこういう結果になりましたということを,たしか2時間後ぐらいだと思います。リアルタイムには,例えば場内,あるいは現場に来ておられる方への情報としては,比較的速やかに実験を中断してということは申し上げたと思っております。正式な対外対応というのは,いろいろなこういう形で発表するということについて確認を取るということもありますので,そこはそれぐらいの時間がかかるということは,通常のプロセスかなと思っております。なお御指摘のような改善の余地があるとか,間違った憶測が出ないようにするという配慮が必要ということはございますので,その都度改善の余地があるとすれば反映させていきたいと思います。

【白石部会長】 ほかに何かございますか。
はい,どうぞ。

【青木委員】 コメントです。実験結果の失敗原因が明らかになったということですので,一日も早く5号機の実験ができるような環境を整えて頂きたいと思います。今,小型衛星を打ち上げるための小型ロケットが非常に必要とされていますし,日本の宇宙ビジネスの発展のためにもスピードが大事ですから,一日も早く次の実験をしていただきたいと思います。

【白石部会長】 ほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは,JAXAにおいては,今回の教訓を真摯に受けとめてこれからの研究開発に取り組んでいただければと思います。どうも今日はありがとうございました。

(5)その他

【白石部会長】  それでは,次に事務局の方から連絡事項等をお願いいたします。

【事務局(田中局長)】 それでは,研究開発局長の田中でございますけれども,本日の宇宙開発利用部会が第8期として最後の部会ということでございますので,御礼の御挨拶をさせていただければと思います。
 委員の方々には,平成27年4月から2年間ご審議をいただきました。今期は,内容がかなり盛りだくさんであったと私は理解してございます。特に新規のプロジェクトの立ち上げ等にも各回かなりのご審議を賜りました。例えば,新規という意味では,光データ中継衛星ですとか,先進光学衛星,あるいは宇宙状況把握,先進レーダー衛星,こういったプロジェクトは事前に御審査をいただきました。また,H3ロケットの基本設計審査といったものも御審議いただきました。
また,今期は非常にロケットの打上げも回数多くございましたので,きょうも議題となりましたが,打上げの安全審査,H-ⅡAでは6機分,あとH-ⅡBで2機,さらにイプシロンロケット1機に,「こうのとり」も2機分です。こういった多くの安全対策に関する評価もいただきました。それから,昨年は,先ほども議論に出ておりましたが,「ひとみ」を打ち上げて余り時間を置かずに運用停止という形に至りまして,その検証も部会の方でもしていただきました。その部会での議論を受けまして,「ひとみ」の代替機につきましては,平成29年度の予算の案の中に盛り込みましたので,この代替機についてはぜひ開発に持っていきたいと我々思っているところでございます。
 以上申し上げましたように,この2年間という時間の中で非常に多くの審議事項もご議論いただきまして,先生方からいろいろな御意見,御指導を賜りまして,我々も非常に文科省として今回の宇宙政策に御貢献いただいたということ,改めてこの場をおかりしまして御礼を申し上げたいと思います。本当にどうもありがとうございました。

【白石部会長】 それでは,これできょうの議事を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。

以上

(説明者については敬称略)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課

-- 登録:平成29年06月 --