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宇宙開発利用部会(第29回) 議事録

1.日時

平成28年7月14日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 3階2特別会議室

3.議題

  1. 宇宙ステーション補給機「こうのとり」6号機(HTV6)に係る安全対策について
  2. H-ⅡBロケット6号機打上げに係る安全対策について
  3. H-ⅡAロケット31号機打上げに係る安全対策について
  4. H-ⅡAロケット高度化プロジェクト終了審査の結果について
  5. HTV-Xの開発状況について
  6. 小型月着陸実証機(SLIM)プロジェクト移行審査の結果について
  7. その他

4.出席者

委員

部会長  白石 隆
部会長代理  佐藤 勝彦
臨時委員  青木 節子
臨時委員  井川 陽次郎
臨時委員  白井 恭一
臨時委員  永原 裕子
臨時委員  藤井 良一
臨時委員  星出 彰彦
臨時委員  横山 広美
臨時委員  吉田 和哉
臨時委員  米本 浩一
調査・安全小委員会 主査  中島 俊

文部科学省

研究開発局長  田中 正朗
研究開発局審議官  白間 竜一郎
研究開発局宇宙開発利用課長  堀内 義規
研究開発局宇宙開発利用課企画官  奥野 真
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長  鎌田 俊彦

【説明者】
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 理事  常田 佐久
 執行役  布野 泰広
 第一宇宙技術部門宇宙輸送系基盤開発ユニット長  川上 道生
 有人宇宙技術部門 事業推進部長  五味 淳
 有人宇宙技術部門HTV技術センターHTV-Xプリプロジェクトチーム長  伊藤 徳政
 宇宙科学研究所宇宙機応用工学研究系教授  久保田 孝
 宇宙科学研究所宇宙機応用工学研究系准教授  坂井 真一郎

5.議事録

【白石部会長】 それでは,時間になりましたので,宇宙開発利用部会第29回会合を開催いたします。
 事務局から本日の会議に関する事務的確認をお願いします。

【事務局(奥野企画官)】 本日は本部会所属17名の委員のうち,11名の委員の皆様に御出席いただいており,運営規則に定める定足数の要件を満足しており,本日の会議が成立していることを御報告申し上げます。
 次に,本日の資料につきましては,お手元の議事次第の4.に記載されたとおりのものを机上に配付しております。過不足ございましたら,適宜,事務方にお申しつけください。
 事務連絡は以上でございます。

【白石部会長】 どうもありがとうございます。

(1)宇宙ステーション補給機「こうのとり」6号機(HTV6)に係る安全対策について

【白石部会長】 それでは,議事に入りたいと思います。
 最初の議題は,宇宙ステーション補給機「こうのとり」6号機(HTV6)に係る安全対策についてでございます。
 調査・安全小委員会において,「こうのとり」6号機に係る安全対策の調査審査が行われましたので,小委員会の中島主査から御報告をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

【調査・安全小委員会 中島主査】より資料29-1-1,29-1-2に基づき説明を行った。

【白石部会長】 ありがとうございます。
 ただいまの御報告につきまして,御意見,御質問等あればよろしくお願いします。いかがでしょうか。
 特にないようであれば,この資料29-1-1について,小委員会からの提案どおり決定するということでよろしいでしょうか。

((異議無し)の声あり)

それでは,御異議ないようですので,これで決定としたいと思います。ありがとうございました。

(2)H-ⅡBロケット6号機打上げに係る安全対策について

【白石部会長】 二つ目の議題は,H-ⅡBロケット6号機打上げにかかわる安全対策についてでございます。
 これにつきましても,調査・安全小委員会の中島主査から御報告をお願いします。早速よろしくお願いします。

【調査・安全小委員会 中島主査】より資料29-2-1,29-2-2に基づき説明を行った。

【白石部会長】 どうもありがとうございます。
 これについて何か御意見,御質問等があればよろしくお願いします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

((異議無し)の声あり)

【白石部会長】 それでは,これにつきましても,特に御異議ないようでございますので,小委員会の提案どおり審議結果を了承したいと思います。どうもありがとうございました。

(3)H-ⅡAロケット31号機打上げに係る安全対策について

【白石部会長】 次は,三つ目の議題でございますが,H-ⅡAロケット31号機の打上げにかかわる安全対策についてでございます。
 これについても,中島主査から調査結果について御報告をお願いします。よろしくお願いします。

【調査・安全小委員会 中島主査】より資料29-3-1,29-3-2,参考1に基づき説明を行った。

【白石部会長】 どうもありがとうございます。
 ただいまの御報告について,何か御意見,御質問等ございますでしょうか。特にございませんか。
 なければ,この資料29-3-1について小委員会からの提案どおり決定するということでよろしいでしょうか。

((異議無し)の声あり)

【白石部会長】 どうもありがとうございます。
 それでは,これで決定をしたいと思います。
 JAXAの方では,安全で確実な打上げに向けて,是非これからもよろしくお願いいたします。

(4)H-ⅡAロケット高度化プロジェクト終了審査の結果について

【白石部会長】 次に,四つ目の議題は,H-ⅡAロケット高度化プロジェクト終了審査の結果についてでございます。JAXAにおいて,プロジェクト終了審査を実施したということでございますので,結果についてJAXAの方から御報告をお願いいたします。

【JAXA(布野執行役,川上)】より資料29-4に基づき説明を行った。

【白石部会長】 どうもありがとうございます。
 これについて御意見,御質問等ございますでしょうか。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは,今後JAXAで実施する自己評価活動が更に充実したものとなるように取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(5)HTV-Xの開発状況について

【白石部会長】 五つ目の議題はHTV-Xの開発状況についてでございます。
 この議題の説明は,最初に文部科学省,その後,JAXAからお願いしたいと思います。
 それでは,どうぞお願いします。

【事務局(鎌田室長)】より参考2,資料29-5-1に基づき説明を行った。

【JAXA(五味,伊藤)】より資料29-5-2に基づき説明を行った。

【白石部会長】 どうもありがとうございました。
 これにつきまして何か御質問,御意見等はありませんか。いかがでしょうか。

【米本委員】 御説明いただいた7ページの再利用型補給技術への活用が,わかりにくかったのですが,どのような技術内容なのかもう少し詳しく説明いただけたらと思います。

【JAXA(伊藤)】 こちらは,3ページに示しましたサービスモジュールというものの派生型です。軌道上で待機している,サービスモジュールと,ロケットで打上げた補給部分を結合し,更に軌道上の拠点に対してこの補給部を結合して,例えば推進薬等の補給を行います。更にそれが終わった後に補給部を廃棄して,サービスモジュールはもう一度軌道上で待機すると,そういうような将来的な発展型を見越したサービスモジュールにしていきたいと,考えているところです。

【米本委員】 サービスモジュールが繰り返し利用できるという,そういう意味だという理解でよろしいですか。

【JAXA(伊藤)】 はい,これが再利用という言葉であらわしているものです。

【白石部会長】 よろしいでしょうか。

【米本委員】 HTV-Xをドラゴンと比較をしている4ページについて質問があります。HTV-Xの優位性は,かなり期待できると思います。4ページの左側の図について,ドラゴンの1トン当たりの輸送コストがHTV比で0.8ぐらいになっています。ドラゴンは,再利用される輸送機なので,この星印が示す輸送コストは妥当なのでしょうか。

【JAXA(伊藤)】 現在のところまだドラゴンは,輸送船としてはまだ再利用されていないということでここにプロット致しました。

【白石部会長】 よろしいですか。ほかに何かございますでしょうか。

【吉田委員】 今,米本委員の質問の1番目に関することですけれども,再利用型補給技術への活用ということで,これは非常にチャレンジングで,実現したら非常にすばらしいと思います。
 再確認となりますが,この図でいきますと,ISSへの補給というのが鮮明なミッションであって,ロケット2段についている補給キャリアを捕獲して,ISSにドッキングする能力をこのサービスモジュール派生機が持っており,その役割を担うという理解でよろしいですか。

【JAXA(伊藤)】 ISSへの補給につきましては,現在のHTVと同じような機能で補給する予定です。
 補給部の結合のような機能については,もう少し先の将来の発展性を含めた開発を行うということで,例示として示しています。

【吉田委員】 この図は一例であってというところで,そうするとこのサービス対象といいますか,何か物資を送り届ける対象はISSには限らないということであれば,具体的にISS以外でどういったものを想定されていらっしゃるのでしょうかというのが質問となります。

【JAXA(伊藤)】 将来につきましては現在,関係省庁,諸外国等を含めて検討中です。

【吉田委員】 ISSの軌道高度は400キロですけれども,軌道高度400キロに限らずにという,そういうことも含んでいらっしゃると。

【JAXA(伊藤)】 例えば燃料をたくさん積むとか,あるいは能力の大きいロケットとか,そういうものを使えば,いろんなところに行けるのではないかということも含めて,将来の発展型として検討しています。

【吉田委員】 わかりました。
 あと,関連となりますが,これが実現できると,コンセプトとしては以前からありながら,なかなか進めなかった分野ですので,是非推進していただければと思います。そうしますとこのサービスモジュールの寿命に関するリクワイアメントは,非常に高度なものではないかと想定されます。それで地上からの補給が頻繁に起こるようなケースであればよろしいのですけれども,半年に1回とか年に1回とか,それを数回繰り返すとなりますと,サービスモジュール自体が軌道上でかなり長期間機能する状態を維持しなければいけないということになりますが,そこら辺の技術的な見通しについては十分挑戦すれば達成可能であると,そのように考えていらっしゃるということでよろしいでしょうか。

【JAXA(伊藤)】 先ほど申しました再利用ということについては,現状,具体的な予定というのはありませんが,将来的にやるとしても,放射線ですとか燃料ですとか,耐熱とか,そういうことも含めて長期間運用できるような,検討も含めていきたいと思っています。

【吉田委員】 どうもありがとうございました。

【白石部会長】 はい,どうぞ。

【白井委員】 4ページの絵について2点,お伺いいたします。太陽電池パネルが新たにつくということですけれども,これは従来のHTVのように1次電池だけでは電力が足りないからなのでしょうか,というのが一つです。
 もう一つは,ISSへのドッキングを考えたときに,この形状に不安を少し感じるのですが,そのリスクの面での評価はされたのか,あるいはこれからなのかという点について教えていただけますでしょうか。

【JAXA(伊藤)】 太陽電池パネルにつきましては,6ページを見ていただいて,ISSから離脱後の機会を利用して技術実証をするためにプラットホーム機能というものを持つ予定です。余剰スペースに宇宙機器・センサ等を搭載し,それに対する電力の補給も考えていすので,HTVよりも,より大きな電力が必要と考えています。それで,今回このような拡張可能な太陽電池パネルを搭載することを想定してます。
 また,ISSへのドッキングにつきましては,太陽電池パネルがあっても問題ないことを確認しています。既に海外の輸送機のドラゴン,シグナスでも同じように展開型の太陽光パネルを持っておりまして,それも問題ありません。HTV-Xについても,我々の検討では問題ないとの結果です。

【白石部会長】 ほかに何かございますでしょうか。どうぞ,井川委員。

【井川委員】 基礎的なことを教えてほしいのですけれども,その4ページのコスト計算なのですが,コストに打上げロケットの費用は入っているのですか。これは輸送機だけになりますか。
 つまり,ちょっとお伺いしたいのは,これはH3で打上げることが前提になっているかということです。

【JAXA(伊藤)】 はい,想定として打上げロケットも含めたコストを積算しています。

【井川委員】 ロケットも入れて往復だけじゃなくて。ということは,日本の輸送能力というのは,アメリカの民間の補給機より高くなる予定なのですか。

【JAXA(伊藤)】 この図は,1トン当たりの輸送コストを示しており,左に行けばいくほどコストが安くなります。また,縦軸は搭載容積を示しており,左上に行けば行くほど費用対効果がよくなるということです。諸外国の補給機に比べてもHTV-Xは良くなることを想定しています。

【白石部会長】 よろしいですか。

【井川委員】 ありがとうございます。

【白石部会長】 ほかに何かございますでしょうか。
 なければ,JAXAにおいては,ただいま述べられた御意見を踏まえて,今後の開発を進めていただきたいと思います。

(6)小型月着陸実証機(SLIM)プロジェクト移行審査の結果について

【白石部会長】 次は,六つ目の議題でございまして,小型月着陸実証機(SLIM)プロジェクト移行審査の結果についてでございます。
 JAXAはプロジェクトの企画立案と実施に責任を持つ立場から,小型月着陸実証機のプロジェクト移行審査を実施いたしました。宇宙開発利用部会では,JAXAが実施した調査結果について報告を頂き,調査,審議をすることとなっております。今回は実施フェーズに移行する際に行う事前評価の位置付けでございます。
 それでは,これについてJAXAから報告をお願いいたします。

【JAXA(常田理事,坂井)】より資料29-6に基づき説明を行った。

【白石部会長】 どうもありがとうございました。
 これについて何か御質問,御意見はございますか。どうぞ,米本委員。

【米本委員】 資料の9ページについて,SLIMと同様の目標を持ったアメリカの民間ベンチャーと記載があります。具体的にどのベンチャーでしょうか。それと民間ベンチャーとの差別化について,SLIMに優位性があって,現行唯一の計画と書かれています。具体的にどのような理由でSLIMが優位性を持ったすぐれた計画だということを言っているのか,もう少し具体的に教えていただければと思います。

【JAXA(坂井)】 はい,わかりました。
 まず,このところで述べられているものについては,次のページも併せてごらんいただければと思いますけれども,10ページのこの表の中で,真ん中少し下あたりにありますAstrobotic Griffin Landerというふうに書かれているものが一つ,この米国のベンチャーで検討されている100m精度を狙っている探査機ということになります。
 一つの大きな違いとしては,まず質量を比べてみますと,打上げ時の質量としてGriffin Landerの方は2トンを超えるような数字を計上されておりまして,一方SLIMについては600kg前後ぐらいということを考えておりますので,こういう小型軽量の技術という将来も見据えた上での小型軽量の技術の実証という観点で,SLIMについては独自性があるだろうということを考えています。
 それから,ちょっとなかなか先方も実際の詳細を明かさないところもありますので,必ずしも確たることは申し上げられないのですが,公表されているようなデータを眺めていると,例えば使われている部品等々の信頼性については,我々が今考えているようないわゆる宇宙グレードのものを使ってやるわけではないという様子が垣間見えていますので,そのあたりの信頼性といったあたりについても,違いはあるのじゃないかというふうには考えています。

【米本委員】 資料10ページの総重量の比較において,SLIMの優位性の説明がありました。実際にペイロードとして持っていくものが違うので,全体の質量比較を見て軽量化ですぐれているとは言えないのではないでしょうか。つまり両者は,ミッションが全然異なります。月に着陸するということにおいては同じですけれども,その目的が違うので,総重量を見て何か軽量化の優位性があるというの言い過ぎではないかと私は思います。

【JAXA(坂井)】 わかりました。確かに持っていくペイロードの差が違いますので,そういったことも含めて数字だけで比較するのは難しいのですけれども,一方でいわゆる推薬なんかも除いた本当の意味での探査機としての重量について比べてみても,これもなかなか向こうもそれほど詳しい数字はあかしていないので,わからないのですけれども,SLIMでやろうとしている今,バスの探査機としてのいわゆるドライ質量,基幹部分の質量130kgというのはなかなかほかに類を見ないぐらいな軽量のものではあろうというふうには考えております。具体的な数字の比較はできませんけれども,いろいろなものを眺めてみてそういう判断をしています。

【白石部会長】 どうぞ。

【吉田委員】 今の質疑に少し関連するところですけれども,まず表の10で,今御説明いただいたAstrobotic Griffin Landerというものがありますけれども,Astrobotic社は最近になりまして,よりコンパクトなPeregrineと名づけられたランダーを先にやるというようなことが公表されており,そこにペイロードを搭載したいユーザーに向けてのユーザーズガイドなものをインターネットで公開されておりますので,是非チェックされるとよろしいのではないかと思います。なお,重量としてはGriffinよりはかなり軽量ですが,SLIMほど軽量ではないと理解しています。また,2017年という時期も飽くまでも目標値として,計画が進んでいるようです。
 そのほかに,イスラエルの民間のチームが,着陸機の開発を進めており実現する日が近いと考えられています。着陸精度に関する数値はわかりませんが,そのような計画もあるようですので,御参考にされるとよいのではないかと思います。
 それから,少し質問させていただきたいと思います。前のやりとりの最後にあったのですけれども,最終的に着陸した後のドライマスがどれくらいになるか,SLIMで御計画されているのは130kgで,これはもう国際的に見てもかなり軽量で,これがこの計画どおり達成できれば,これはかなり技術的優位性を持つものではないかなというふうに私も感じているところですけれども,ただ大事なのはその130kgのうち,いわゆるミッションペイロードとしてどのくらい使えるのかというのが重要です。130 kgが全部バスシステムというか,着陸に必要なエンジン,タンクや,アビオニクス等に占められており,ミッションとして搭載できるペイロードがほとんど乗らないということであると,やはりそれはそもそも何のために月に行くのですかという話になってしまいます。現時点ではどのくらいのミッションペイロードが想定されていて,この技術を発展させていくとどういったことが期待されているのかということがありましたら,是非御紹介いただけたらと思います。

【JAXA(坂井)】 まず,前半の部分についていろいろと最初に情報を教えていただいてありがとうございました。
 技術的に参考になることが多々あると思います。是非チェックさせていただきたいと思います。
 それから,後半の御質問に関してなんですけれども,まず事実として今16ページで見ましたような月面活動ミッション系,分光カメラになりますけれども,ここに見込んでいるペイロードの質量は3 kgというものを見込んでおります。ですから,130 kgの中のうちの非常に大きな部分がペイロードということには現状はなっていないのですけれども,着陸を実現するために必要な一式セットが130 kgでできるだけでも,相当な軽量化だと思っていますので,将来につながるというふうに我々としては考えています。

【白石部会長】 どうぞ。

【吉田委員】 次に技術的要件に関連して,まだ着陸地点について質問いたします。着陸地点はまだ検討中ということで,こういうところに着陸できると100mの精度が意味を持つ例が三つありました。それぞれ具体的な地点を見ていきますと月面上での緯度が違っておりますが,技術的な観点から,今御検討中の着陸地点の緯度と,最終的に必要な推薬とはかなりリンクしてくるよう思います。例えば月にアプローチするのに極軌道から入るのであれば,推薬量は着陸点の緯度に余り影響しないだろうと思いますし,エネルギーミニマムで考えると,なるべく赤道なり黄道面に近い方が推薬量を減らしてペイロードをより大きくできると思うのですが,その点については今どういう方針で考えていらっしゃるか,御紹介いただければと思います。

【JAXA(坂井)】 基本的な考え方は,15ページの左下に書かれているところが,まず一つでありまして,必要な条件を満たすこと,それからこの分光カメラというのをせっかく持っていきますので,これで観測をして有意義な科学的なデータが手に入るところという観点で今探しているところです。
 緯度に関しては,今のところ候補となっているのは,今のところ挙がっているものの中ではという限定になりますけれども,中緯度から低緯度地帯というところが比較的候補が多いというような状況になっています。
 御指摘のとおり,いろいろな観点でこの着陸候補地点というのを選んでいく必要がありまして,エネルギーの観点もそうですし,それからバックアップ着陸候補地点も重要かと思っておりますので,基本的には極軌道でアプローチすることを考えていますけれども,いろんな観点からここについては検討しているところということになります。

【吉田委員】 はい。

【白石部会長】 ほかに何かございますでしょうか。どうぞ。

【藤井委員】 実施体制の図があったと思います。プロジェクト体制のところですが,これは当初からこのような体制となっていたのか,それともいろいろなことが起きて,体制等は見直しになったということであれば,ひとみの反映としていることになっているのですか。

【JAXA(坂井)】 御指摘の点については,いろいろプロジェクト移行後に起こったことも踏まえて若干の体制の見直し等ということは行っており,それが反映された後の体制表ということにはなってございます。

【藤井委員】 今のこのPIとかが入っているようなところがそういうところでしょうか。

【JAXA(坂井)】 はい,御指摘のとおりです。

【白石部会長】 ほかに何かございますか。どうぞ。

【米本委員】 まとめて三つほど質問したいのですが,よろしいでしょうか。
 一つ目は,資料13ページのサクセスクライテリアについてです。ミニマムサクセスやエクストラサクセスを定義する意味はどういうことなのか教えていただきたいと思います。
 二つ目は,最後の22ページのまとめにあるリスク識別についてです。このリスク識別の中でクリティカルな要素にどのようなものが主だって上がったのか教えてください。
 三つ目は,先の宇宙開発利用部会で吉田先生と私の方から,地上でやれるいろいろな試験があれば手をつくしてやっておいた方がいいのではないかと指摘しました。その後何かご検討されたことがあれば,教えていただけますか。 以上です。

【JAXA(坂井)】 ありがとうございます。
 まず,13ページの識別のところになりますけれども,なかなか答え方が難しいところもあるのですけれども,やはり確実性の観点から,ミニマムとフルはそんなに違いがないかもしれませんけれども,どこまでが100%実現しなければいけなくて,どこについては飽くまでエクストラという想定をするのかといったようなあたり,例えば具体的にはこのエクストラの中に含めて考えている月面活動ミッションの位置づけといったようなところについては,このあたりの違いというのが結びついているというふうに我々としてはまず考えています。それから22ページの識別の方ですけれども,これは移行審査のときに識別をしたりして,かなりの詳細な項目がありますので,全てここでこれを御説明することはなかなか難しいのですけれども,ざっくりと申し上げると,まず技術実証衛星ということもありますので,幾つかの新規技術が,鍵を握っているところがあります。
 例えば一例として申し上げるわけですけれども,メインエンジンについては高い推力・比推力のものが重要であるというふうに考えていて,ある種の技術開発を行ったものを使おうとしておりますので,そのあたり本当にちゃんと開発できるのかというあたりについては,いろいろと議論があったところであります。
 それから,これも多分御理解いただけているところかと思いますけれども,質量,ドライ130kgというのも決して簡単な目標ではありませんので,このあたり一体どのくらいのマージンがあって,どのくらいのリスクがあるのかといったようなところについても,いろいろ議論があって,精査されているというところになっています。
 それから最後に,地上試験のところなのですけれども,ここは以前から御指摘も頂いていますし,我々としてもいろいろ検討はしているところです。前回のときにも御説明をしたところで,一部重複をしますけれども,いわゆるフライングテストベットといったようなフルで着陸をするようなものをつくって実証するという案もあるのですけれども,いろいろと検討している中では,これで例えば着陸精度の実証までするというのは,なかなか地上でのいろんな制約もありますので難しいと,そういうことを考えていますので,最終的な着陸精度については,シミュレーターを使って確認するのが一番的確だろうというふうに,我々としては考えております。
 あと,そこでシミュレートされる個々のハードウエアの性能等については一体どう確認するのかというところがありまして,このあたりのところについては,何らかある種の実施環境での試験を行って確認するようなことができないかといったようなことについて,引き続き検討しているという状況になります。例えばそれは着陸レーダを実際に何かの方法で飛ばしてみて,データをとるであるとか,カメラについて同様なことができないかといったようなところについては,引き続き検討していくところ,こういう状況になっております。
 まず,簡単ですけれども,回答は以上です。

【白石部会長】 よろしいですか。どうぞ。

【米本委員】 最初の質問に対する御回答では,やはり理解できません。例えば,SLIMがミニマムサクセスしか達成できなかった場合,一体何が起こるというのでしょうか。あるいは,エクストラサクセスまで達成できてしまったら,予定以上にすばらしい成果だというように評価してくれることを期待しているのでしょうか。このようなサクセスレベルをミニマムとかフルとかエクストラとかいう分類をもって成功基準をつくらなければいけない根拠がよくわからないというのが,コメントです。

【白石部会長】 ほかに何かございますでしょうか。どうぞ。

【井川委員】 この資料だけを拝見していると,これを税金でやる意味がどこにあるのかちょっとよくわかりません。アメリカのベンチャーがおやりになっていて,しかも日本の目標達成より早くおやりになるということがあると。
 それから,この目的のところをアメリカではベンチャーがやっているけれども,しかしながらとつけているけれども,この「しかし」というこの逆説の意味がよくわからなくて,何らかのアメリカのベンチャーの現状との比較があって,日本は税金でやるということの意義づけみたいなものがないと,いま一つよくわからないという感じがあるのです。
 ただ,プロジェクトにつられて,これから具体的なことをお決めになるというのだろうから,現状についてアメリカ等世界の動向についてもう少しデータなり集めていただいて,日本がやる必要性というものをもう少し税金を投入してやって,それがなおかつ民間並びに将来の技術にどのように役立つかという観点を,もう少し具体的に詰めていただかないと,将来的にこれはどうなのかなという感じが,私個人的には素人ですからします。
 その観点からいうと,資料のつくり方が,さっきのもちょっとあったのですけれども,雑で10ページあたりを見ると,この2019年にソ連があったりとか,ソ連という国はもうないと思いますので。民間という観点からいうと,これは将来的に民間もこの技術というのを民間にも反映されて役立てなければいけないけれども,このプロジェクトの18ページの図なんか見ると,国内メーカーがもうはみ出して小さい下の方に,何かおまけのようについているだけみたいな感じで,将来的にどう発展するかもよくわからないという感じがするので,是非ともここら辺,これは僕の個人的な感想かもしれないけれども,ちょっと詰めていただいた方がいいのかなという感想を持ちました。
 以上です。

【白石部会長】 これについては何かございますか。

【JAXA(坂井)】 ありがとうございます。
 まだ説明が至らないところが多々あると思いますので,その点については詰めていきたいと思います。
 それから,諸外国の状況については,向こうの状況もいろいろ動いているところもありますし,引き続きいろいろ精査を心がけていきたいと思います。
 1点だけ,Astroboticとの比較という意味でいいますと,先ほどこの繰り返しになりますけれども,大幅な軽量化というところが我々としては大きく違うところというふうに考えておりまして,例えばこの後,高頻度に月惑星探査をしていくということを考えていきますと,その小型軽量化というのは非常に重要な技術と考えておりますので,このあたりというのは一つの大きな差別ポイントではあるというふうには考えております。

【白石部会長】 ほかに何かございますか。
 それでは,随分いろいろ議論がございましたけれども,本日の報告内容を了承するということでよろしいでしょうか。

((異議無し)の声あり)

【白石部会長】 御異議がないようですので,了承したいと思います。
 JAXAにおいては,本日述べられた助言をきちんと受け止めて,より確実に開発を進めていただくようお願いします。

(7)その他

【白石部会長】 それでは,事務局から何か報告事項があれば,お願いいたします。

【事務局(奥野企画官)】 報告事項といたしまして,議題に書かれたものに加えまして,JAXAにおいてASTRO-H後継機の検討を実施しておりますので,本日,追加の報告案件とさせていただき,その後に本件に関する質疑をお願いしたいと考えております。

【白石部会長】 それでは,JAXAよりどうぞよろしくお願いします。

【JAXA(常田理事)】より資料29-7に基づき説明を行った。

【白石部会長】 これについては何か質問,意見等ございませんか。どうぞ,永原委員。

【永原委員】 2点お伺いしたいのですが,一つは,「ひとみ」の事故の後,四つの項目に関して全社横断で改善に取り組んでいくということなのですけれども,具体的にどういうことをやられているのかという点です。「ひとみ」の事故の反省点の多くは,宇宙研内部のカルチャーにかかわるような部分が多く,例えば理学と工学の関わりとかが考えられます。装置が悪かったなどというものと違い,カルチャーに関わることは改善が難しいわけですが,そこにどのように取り組んでおられるのかというのが一つです。
 それから2点目は,先ほどの3ページ,宇宙理工学委員会でコミュニティとしての総括がなされて,それを了承されたということですが,実際にコミュニティからどのような意見が上がり,どのようなことを了承されたのかという具体的な内容についてお伺いしたいと思います。

【JAXA(常田理事)】 先生には的確な御指摘を頂きました。最初の宇宙研の今まで良さといわれていたカルチャーに対して,今回の改革がどういうふうに位置づけられるのかという,御質問だととりました。
 資料の3ページ目に4点あるわけでありますが,プロジェクトマネジメントの体制ということでPIとPMを分ける等の体制の充実を行うと。それから宇宙研と担当メーカーの役割・責任分担を見直すということで,一体となってメーカーと宇宙研がやってきたのを,そのことは維持しつつ,メーカーの責任,宇宙研の責任というのをやはりはっきり確認してからやりましょうという趣旨であります。
 それから,文書がないことを誇っていた面も宇宙研はあるのですが,やはり基本的なことは文書化し,品質記録を徹底すること。それから審査や独立評価の運用の見直しということであります。これだけ聞くと,メーカーと宇宙研の関係一つとりましても,従来やっていた一体的にやるということが,いい面が維持されるのかというような懸念が当初,所内に生じたのですけれども,これは「ひとみ」で起きた不適合というのは,大規模プロジェクトをやるときの基本動作ができていなかったというように捉えますと,いずれも当然やっておくべきことだったことが手薄だったというように捉えて,何か今まで宇宙研でやってきたことを全面的にひっくり返して別のやり方をすると,そういうことではないのだというように,ここで6回タウンミーティングというのをやりまして理解が深まったと思います。これは宇宙研がやろうとしているプロジェクトを更に確実にやるための基本動作を確かなものにしていこうという共有の理解ができ,それを具体的にJAXA,ISASとして制度的にどう反映するかというところがあるのですけれども,これはパワーポイントとかいろんな書類にまとめてこれを守りましょうと言うと,それは時代の変遷,人の切りかわり目で変わっていってしまうおそれがあるので,JAXA全体のいろんなプロジェクトを実施するための規程があります。設計基準とかマネジメントの規程とかありますので,その中に今回の宇宙研の改革を埋め込んでいくと,そういうことをオールJAXAでやっていって,制度改革を担保しようというふうに進んでおります。
 これは,最初大変かと思ったのですが,現在宇宙研の科学衛星で働いてきたプロマネの方,それからISASの外のJAXAの方々の理解が非常に深まって,大変順調に進んでいるというふうに思っております。
 それからもう一つ,理工委員会でX線専門分野の先生方より成る高宇連から総括があったわけですけれども,いろんな細かい総括が書かれているのですが,基本はやはりX線天文学者が非常に宇宙研のプロジェクトに近いところで,そこにエフォートをかけて働いている人から,その外側で,ある特定の役割を比較的少ないエフォートでやっている人まで非常に多種多様なポジションがあるわけですけれども,そういう人たちがやはりプロジェクトを実施するという,確実にやらなければいけないという意識が薄かったのではないかと。そのためにコミュニケーションに注意を払わなければいけないこと,それからドキュメント化しなきゃいけないということ,宇宙研が置かれている状況,その中でASTRO-Hプロジェクトの人が置かれている困難な状況をコミュニティとして十分把握できなかったゆえに問題が見過ごされたのではないかという痛烈な反省文が当事者から出まして,それを具体的に直していくには,こうやってコミュニケーションを改善すべきだ,こうやって宇宙研との連絡を密にすべきだと,具体的な提案が入っていまして,この後継機を実現する機会がもし与えられたならば,高宇連から出た総括と反省をチェックリストとして捉えまして,確実に後続機をやっていきたいということを当事者も述べております。
 以上です。

【白石部会長】 ほかに何かございますでしょうか。どうぞ。

【横山委員】 どうもありがとうございます。
 宇宙研やコミュニティとも十分に御議論を進めていただいていること,心強く拝見しております。質問が二つございます。
 日本は硬X線が強くて,そのメンバーが中心になって,このプロジェクトが動いていたというような印象を持っているのですが,どういう経緯で硬X線ではなく,軟X線の方に絞っていくのか,あるいは欧米の寄与する部分が軟X線の方に集中しているのか,そのあたりのことをお教えいただければと思いました。それが1点目です。
 あと,2点目としては予想される予算の総額や時期について,どのように考えられてこういう案を出されてきたのか,少し補足をいただければと思いました。

【JAXA(常田理事)】 まず,先ほど中心となって紹介しましたSXS(軟X線分光計)なのですけれども,これはセンサの根幹のところは米国で長年開発をしていた部分であります。その周りのジュール・トムソン電気,冷凍機,スターリング冷凍機等は日本から供給しまして,非常に複雑な装置を真ん中のところで半分で割って,半分アメリカでつくって半分日本でつくってということで,インターフェースも極めて複雑であります。
 これは日本の技術とアメリカの技術が両方ないとできなかったことは確実で,やはり日本のX線コミュニティ,それから宇宙機関としてのJAXAは,このSXSが軌道上で動いたということは大いに誇っていい成果だと思いますので,真の日米協力の成果でこういうすばらしい装置ができて,この装置はほかにどこにもないということであります。
 それで,硬X線の方はどう考えるのかという御質問なのですが,ASTRO-Hを構想したときに,この硬X線の観測をするような衛星はありませんでした。ところが現時点においては,米国でNuSTARという衛星が,これは例えば8ページの図に描かれておりますが,2012年にNuSTARというのがありまして,これが硬X線の観測を現在も続けております。このNuSTARに搭載の硬X線望遠鏡の能力,感度とか空間分解能,エネルギー分解能というのは,ほぼASTRO-Hに搭載しているものと同等のものですので,NASAの方もNuSTARと「ひとみ」の後継機がある場合,それを連携させて科学の成果を最大に高めたいということを非公式に申しておりますので,その辺は国際協力を活用して,役割分担の中でASTRO-Hと同じサイエンスをやっぱり実現していくということが全体のバランスを考えるときに,一つ有力な案としてあるのではないかということがあります。
 一方,SXSがカバーする10keV程度までの観測領域と硬X線望遠鏡が観測する10keV以上の20keVを超えるところまでの,そこのつなぎ目に関するサイエンスもありますので,これはX線天文分野の人と今話しているのですけれども,このSXSを中心とした装置の幅の中で,硬X線観測もできるだけカバーするような機能を持たせられないかだとか,もう少し工夫の余地があるかもしれないので,現在そこを検討しております。
 10ページに,ミッションとして軟X線分光検出器を中心とすると書いたのは,そういう意味で,ここは確実に押さえつつ,取りこぼしのないように今後検討していきたいというふうに思っております。

【白石部会長】 どうぞ。

【横山委員】 ありがとうございます。
 少し追加で質問させていただきます。私は「すざく」の前のASTRO-Eの打上げを現場まで見にいった一ファンでございます。あのときにも残念ながらASTRO-Eは失敗してしまって,その後に後継機の「すざく」が後継機として打上げられたと理解しております。その「すざく」のときに,ヘリウム漏れがあってこの冷凍機がうまくいかなくなったと記憶しています。冷凍機に協力している米国の協力研究者にとっては2回続けて,ちょっと失敗のASTRO-Eも含めれば3回失敗したという,そういう状況に置かれていると理解しています。日本としてはそういう意味においてアメリカに対して非常に苦しい立ち位置にあるので軟X線検出器をおわびとして打ち上げる義務がある,優先度が必然的に高くなるという,そういうような理解でよろしいのでしょうか。
 あと,私も全てが元通りというのは,いろいろな事情から到底難しいのかなと思うのですが,先ほど所長も御指摘されました若い人の育成という意味においては,自分で観測器をつくってデータを出すというプロセスは,硬X線の人たちからは,残念ながら今回はチャンスがなくなってしまって,海外のプロジェクトへもそれを開発するようなチームに入ることが必然というか,それしかないという状況であるという理解は正しいでしょうか。

【JAXA(常田理事)】 最初の質問で,X線天文学の日米協力を3回実施して,今回の「ひとみ」も入れると3回,ロケットの不適合の場合もありましたけれども。いずれも大規模な日米協力で米国は日本とやると決めて,こういうことが起きたわけで,もちろんNASA,ESAには詳細な説明をし,おわびをして,先方は懐深く非常に適切に我々に対応してくれているのですけれども,やはり失われた信頼というのはあると思います。
 そういう中で,今後どうしようかという相談をNASA,ESAとしているわけですけれども,最初に先方が強調して言うのは,やはりJAXAと日本の不適合の報告と,それに対応する対応プラン,これは全部英訳して,そのままを本部会議へ提出したものをそのまま英訳して先方に送っておるわけでありますが,その原因究明の徹底の仕方と対策の適切さというのを高く評価したいというのを言っていただいております。
 そのことをもとにして,もう一度日本とやることを検討するという方向に今なっておりまして,やはり徹底した原因究明,それから確実な対策,米国から見ても二度と同じことが起きないなとわかってもらえるような,目に見える対策ということをやる前提で,もう一度やるという方向になっている。その背景のもう一つは,先ほど述べたように,非常に複雑な観測装置を協力してつくってきましたので,なかなか別のやり方でやるのは難しいという実際的な面もあると思います。
 ただ,米国で長年頑張ってきて,こういう連続した不適合に見舞われた方々には,単にエージェンシー間の合意ということではなくて,十分な説明とか話し合いというのが今後必要だというように思っています。
 ただ,先ほどのX線コミュニティの強い希望と決意も聞きまして,是非JAXAとNASAが協力して後継機について,もし機会が与えられるならば,できればというように思っております。
 それからもう一つ,先生の御指摘の,もし硬X線の観測装置が「ひとみ」の後継機に載らない場合,そこで観測装置を開発していた人たちのことは大丈夫ですかという御質問だったと思いますけれども,これはSXSについても,硬X線についても,そういうものが載る場合,ここに書いてありますように財政策を基本とするというのがあります。新しい打上げ機会があると,ここを直したい,あそこを入れかえたいという希望があると思うのですが,基本的に軌道上で動いたものは実証されたとして,同じものをつくるということであります。
 そういう意味で,硬X線の方はこれから2020年近辺の打上げに向けて,例えば4年,5年,同じ装置をつくって,更にそれからサイエンスをやるのにも5年,これから10年かかるわけで,そういう道を選ぶか,やっぱり「ひとみ」の先に硬X線分野でどういうサイエンスをやるか,どういうミッションを日本としてやるかということを今から考えるか,どっちの道に行くかというのはよく考えて,やっぱり「ひとみ」に載せたこの硬X線観測器をはるかに上回るアメリカのNuSTARを上回るような新しい装置をつくる実力があると思いますので,そっちの選択肢も考えていただくのが大事だと思います。軟X線の方はSXSの下に次にアテナという2040年まで使う将来計画がもう完全に書かれています。
 一方高X線分野については,NuSTAR,それからASTRO-H1号機の後にありませんでしたので,やはりそこの議論から始めていただくというのが僕は大事かなというように思っております。

【白石部会長】 先ほど横山委員から大体想定されておる予算規模に関して質問がございました。これはいかがですか。

【JAXA(常田理事)】 すみません,これはちょっとまだ言える段階ではないので御容赦ください。

【白石部会長】 そうですか。わかりました。
 もう予定時間が過ぎていますので,簡単にお願いします。

【永原委員】 宇宙研のプロジェクトは昨年つくったロードマップに従って進められているわけですが,今回の御提案は,全体計画とどのような関係にあるのでしょうか。宇宙研としての全体的な計画をどのように設計しておられるのかを,本当はこの書類の中に含めていただくべきであったかと思うのですが,口頭で結構ですので,御説明いただければと思います。

【JAXA(常田理事)】 宇宙科学の予算がほぼ一定の中で,こういう後継機というのが入る場合,その後に続くほかのミッションへの影響は避けられない状況であります。例えば宇宙研で一生懸命検討しております火星衛星探査ミッション,それからその後に関連分野の期待が高いLiteBIRD,それからSolar Sail等のミッションがありまして,一方,イプシロンで上げる競争的な小型ミッションも大事であります。これらのミッションをどうするのだというものが非常に大事な問題でありますが,ASTRO-H,後継機の側にもできるだけ費用対効果の高いアプローチをして,影響が少ないようにしてもらうということをX線天文分野にお願いし,そのほかの分野には,これは宇宙科学全体の問題だと捉えていただいて,日米の信頼関係が回復しなければ,ほかの分野の国際協力へも影響を与える面もあるわけで,やはり全体のスケジュールの調整の中で対応していくと。それぞれの今具体的な名前を申したミッションというのは,さっきSPICAも言いませんでしたけれども,重要なミッションであります。これらのミッションがみんな非常に高い科学的性能を狙っていますので,それに必要な時間もあるということ,かかるということで,やはりミッションを万全の態勢で正式にスタートするためにどれだけ時間がかかるか,どうすれば万全になるかというのを,いま一度今回の事態を見ていくと考えていただいて,ASTRO-H後続号機というのが実現するなら,それを踏まえた新しい工程表というのを描けるのではないかというように思っています。
 だから,後継機があるからどれかはミッションの可能性がゼロになって消えてしまうということは現在ないようにしたいと。今,宇宙研で行っているボトムアップの競争的過程で選ばれたものは実現できると。要するにいいものは実現せねばならないというアプローチで臨みたいと思っております。

【白石部会長】 本日はもう予定の時間を越えておりますし,本日は一応御報告を伺うということでございますので,またこれからもこういう機会はまず間違いなくあると思いますので,本日はこれでとりあえずおしまいにするということでよろしいでしょうか。
 それではあと,事務局の方から連絡事項をお願いいたします。

【事務局(奥野企画官)】 会議資料と議事録の公開につきましては,これまで同様,文部科学省のホームページに掲載させていただく形としたいと思います。議事録の公開につきましては,後ほど委員の皆様には御確認をお願いすることになりますので,御協力のほどよろしくお願いいたします。
 事務連絡は以上でございます。

【白石部会長】 では,これで本日の会合は終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

以上

(説明者については敬称略)

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研究開発局宇宙開発利用課

-- 登録:平成28年08月 --