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宇宙開発利用部会(第25回) 議事録

1.日時

平成28年2月2日(火曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省 3階2特別会議室

3.議題

  1. 光データ中継システムプロジェクト移行審査の結果について
  2. 平成28年度文部科学省宇宙関係予算案について
  3. H3ロケットの開発状況について
  4. その他

4.出席者

委員

部会長  白石 隆
部会長代理  佐藤 勝彦
臨時委員  井川 陽次郎
臨時委員  柴崎 亮介
臨時委員  白井 恭一
臨時委員  鈴木 真二
臨時委員  髙橋 德行
臨時委員  永原 裕子
臨時委員  藤井 良一
臨時委員  星出 彰彦
臨時委員  安岡 善文
臨時委員  横山 広美
臨時委員  吉田 和哉
臨時委員  米本 浩一

文部科学省

研究開発局長  田中 正朗
研究開発局審議官  森 晃憲
研究開発局宇宙開発利用課長  堀内 義規
研究開発局宇宙開発利用課企画官  奥野 真

【説明者】
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 理事  山本 静夫
 執行役  布野 泰広
 H3ロケットプロジェクトマネージャ 岡田 匡史
 イプシロンロケットプロジェクトマネージャ 森田 泰弘
 JDRSプロジェクトマネージャ 高畑 博樹
 地球観測研究センター/研究領域リーダ 可知 美佐子
三菱重工業株式会社防衛・宇宙ドメイン宇宙事業部長  阿部 直彦

5.議事録

【白石部会長】 定刻になりましたので,宇宙開発利用部会の第25回会合を開催したいと思います。
 まず,事務局の方から,本日の会議に関する事務的な確認をお願いします。

【事務局(奥野企画官)】 本日は部会ご所属の17名の委員のうち,14名の委員の皆様に御出席いただいておりますので,運営規則に定める定足数の要件を満足しております。よって,本日の会議が成立していることを報告いたします。
 次に,本日の資料でございますが,お手元の議事次第の4.のとおりの資料,既に机上に配付されております。過不足がございましたら,適宜,事務方にお申しつけください。
 事務連絡は以上でございます。

【白石部会長】 ありがとうございます。

(1)光データ中継システムプロジェクト移行審査の結果について

【白石部会長】 それでは議事に入ります。最初の議題は,「光データ中継システムプロジェクト移行審査の結果について」でございます。JAXAはプロジェクトの企画立案と実施に責任を有する立場から,光データ中継システムのプロジェクト移行審査を実施しました。
 宇宙開発利用部会では,JAXAが実施した評価結果について報告を頂き,調査,審議を行うことにしております。今回は実施フェーズへ移行する際に行う事前評価の位置づけでございます。
 それでは,JAXAの方から報告をお願いいたします。

【JAXA(山本理事,高畑)】 より資料25-1に基づき説明を行った。

【白石部会長】 ありがとうございます。
 それでは,ただいまの説明につきまして,御意見,御質問等がございましたらお願いします。

【吉田委員】 東北大学の吉田でございます。今回,光データ中継システム,衛星の全体の意義等は大変よくわかりました。そこで,三つほど質問させて頂きたいと思います。
 最初の二つは技術的な質問でございます。静止軌道から低軌道上の衛星に向けて,光リンクで1.8Gbps以上という高速通信を行うというのが主眼でございますけれども,それを達成するためには光通信機器のレーザービームのポインティング制御は,かなり高いものが要求されると思います。その要求に対し技術的な達成のめどは立っているのかというのが第1の質問でございます。

【JAXA(高畑)】 御指摘のとおり,今回は光を使うということで,ポインティング,追尾技術というのは重要な技術の一つというふうに捉えております。実際にまだこれからEMをつくる段階ですが,今できる要素試作等で確認を行い,達成できるめどは立っております。

【吉田委員】 そうですか。低軌道衛星は移動していくものでございますので,それをずっと追いかけて追尾するというところがかなり技術の肝になるのではないかと思うのですが,それに対してもめどがあると理解してよろしいですか。

【JAXA(高畑)】 そういった観点で,今回の私どものプロジェクトでは,静止軌道に乗せる光のターミナルと,それから低軌道の先進光学衛星ですけれども,先進光学衛星に乗せるターミナルを一体で開発いたします。そういった形でその通信の性能の担保を図っていこうというふうに考えております。

【吉田委員】 では,二つ目の質問です。今度は地上へのダウンリンクでございますけれども,地上に関しましては従来技術である電波を使うということですが,そこでもスピードを1.8Gbps以上ということで設定されていますので,こちらもかなり大きな数字だと思います。周波数帯はどのような周波数帯を想定され,これはもう既に実現,実証済みの技術と思ってよろしいでしょうか。

【JAXA(高畑)】 周波数帯につきましては,Kバンドという周波数を使います。これは「こだま」でもダウンリンクで使っている周波数で,周波数帯としては同じです。高速にするということで,変調方式を16QAMという方式,多値変調を使う予定で,これは「こだま」からは一歩前進しています。ただし,16QAMにつきましては,ALOS-2のダウンリンク等でも使われております技術をベースにして構築していくというものですので,一応実現のめどはあるというふうに考えております。

【吉田委員】 いずれにしろ,そこの部分もチャレンジではあるということですか。

【JAXA(高畑)】 はい。今回,大きな技術ポイントとしては四つ考えておりす。光を使うという観点で,高性能な光の受信機,それからハイパワーな送信機が一番目,それから追尾捕捉が二番目。三番目が,それを達成する精密な光学系の機器,それから四番目といたしまして,ダウンリンクするための周波数帯での多値変調技術などを考えております。

【吉田委員】 了解しました。最後の質問となります。プログラム全体として,戦略的な点でございます。このプランを実現するためには低軌道上に対となる衛星がいることが必須と思われます。そうでない場合は全く意味がなくなってしまいますので,その低軌道衛星に関して,先進光学衛星と考えてよろしいでしょうか。

【JAXA(高畑)】 先進光学衛星で結構です。

【吉田委員】 先進光学衛星についての御説明は,今回ほとんど含まれていないように思いました。この衛星は静止軌道上衛星(光データ中継衛星)に先行して打上げられるのか,どういう順序関係になっているのかということとが質問です。あと,それはあくまでも実証のための衛星だと思うのですが,本格的に,ここに掲げられました,例えば災害対応とか,いろいろなリモートセンシングをリアルタイムで実現するためには,その能力を持った衛星が低軌道上にいることが必須となりますけれども,そこら辺についてのめどとか,特に今回の静止軌道上衛星の寿命の期間に対してどういう需要が見込まれているのかというところを,追加で御説明いただければと思います。

【JAXA(高畑)】 現在は,この光データ中継衛星は平成31年度に打上げる計画となっています。先進光学衛星も同じ年度の打上げを予定しているというものでございまして,寿命に関しましては,先進光学衛星よりも静止軌道のほうが現状,長い寿命を持っておりますので,そこは十分カバーできる範囲,10年あれば先進光学衛星のミッションは十分カバーできるというものでございます。

【吉田委員】 静止軌道の方は10年がミッション期間ということですか。

【JAXA(高畑)】 はい,光の部分については10年でございます。

【吉田委員】 その間に先進光学衛星以外のユーザ衛星が打ち上がる見込みがどのくらいあるかというところも含めての質問だったのですが,いかがでしょうか。

【JAXA(山本理事)】 今,最初に説明しました先進光学については,プロジェクトが認められまして,開発中でございます。それに加えまして,2020年に,これは来年度の予算要求として,まだ政府の最終的な国会審議が残っておりますが,レーダー衛星につきまして,2020年に打上げることで認められる方向になっていると承知しております。レーダー衛星,光学衛星ともにこのシステムを使いますし,さらには将来も光学衛星,レーダー衛星もできれば継続的な観測をしたいと考えております。

【吉田委員】 承知いたしました。

【白石部会長】 ほかに何かございますでしょうか。
 どうぞ,鈴木委員お願いします。

【鈴木委員】 東大の鈴木です。御説明ありがとうございました。
 説明の中にもあったんですけれども,評価委員の指摘の中に,国際標準化への検討をきちんとやるようにということがあったと思います。電波ではなくて光でやるということの説明もあったのですが,国際標準化をするための,どういった枠組みでどういう機関を通じてというような検討はどのぐらいなされているのでしょうか。

【JAXA(高畑)】 ここにつきましては,電波のときには日本と欧州,それから米国の間で標準化のための会合が開かれておりました。光につきまして標準化を議論する場としましては,CCSDSという宇宙の国際的な標準の諮問機関がございます。そこで今,議論が行われております。ただし,カウンターパートとなるのは,やはりESAですとかNASAになりますので,個別のチャンネルも活用しつつ,標準化等の活動を行っていきたいというふうに考えております。

【鈴木委員】 よくわかりました。標準化は,非常に重要な視点かと思いますので,しっかりとよろしくお願いいたします。

【白石部会長】 では,永原委員お願いします。

【永原委員】 重要性は非常によく理解できました。既にヨーロッパでは打上げがなされており,日本の場合,遅れているという現状ですね。そうしますと,日本がこれから開発をして打上げた場合に,十分にそれに見合うだけのニーズといいますか,それを日本が獲得できるのかという可能性についてはいかがでしょうか。あるいは,これはもう国家基幹技術であって,アメリカ,ヨーロッパがどうであろうが,とにかく日本として獲得しなくてはならない技術だからという要素が強いのか,どちらでしょうか。

【JAXA(高畑)】 光通信につきましては,宇宙の分野におきましては,今後,重要な技術になるという認識を持っておりまして,国として持つべき技術ではないかと考えております。そのため,欧州は先行してございますけれども,それに多少は遅れてしまいますけれども,獲得すべき技術ではないか。この方向性といたしましては,各国,米国もそうですし,その他の国もどんどん電波から光の方にシフトしていっているという状況なので,そこについては日本としてもきちんと技術を獲得しておくべきものというふうに考えております。

【白石部会長】 よろしいですか。
 では,米本委員,お願いします。

【米本委員】 質問が初歩的かもしれません。光データ中継システムの良いことばかり教えて頂きましたが,デメリットになるところは全くないのでしょうか。

【JAXA(高畑)】 技術的なデメリットといたしましては,先ほど吉田委員からも御指摘がありました捕捉となります。従来の電波に比べて非常にシャープなビームを使うということで,捕捉の難易度は上がります。それは技術的に克服していく予定でございますけれども,そういったものがございます。
 それと,衛星のシステムに対する要求も非常に厳しいものが要求として出てきますので,そういった制約というのは多少出てくるというものでございます。

【米本委員】 そのこと関連してでですが,15ページに大気揺らぎ効果抑制技術ということが書かれていて,地上局との通信による適用評価もやりたいとあります。大気による影響で全く通信ができないということもあるのでしょうか。

【JAXA(高畑)】 今回の私どものデータ中継衛星に関しましては,静止衛星と周回衛星の間は光,それから静止衛星と地上の間は電波を使います。ここに書かせて頂きましたのは,いずれ電波のところがボトルネックになるということがありますので,将来的にはそこも光にしたいということもありますので,今回は実験の位置づけですけれども,静止衛星と地上も光で通信した実験を行いまして,恐らく大気揺らぎというのは非常に大きな障害になりますので,そういったところを実際に使えるめどを立てるために評価を行うというものでございます。

【米本委員】 認識がずれていたことが,わかりました。ありがとうございます。
 この大気揺らぎ抑制効果というものがやはり技術的に重要だという気がします。そうなると,これをエクストラサクセスというよりは,試験の重要性が高いという意味で,フルサクセスという位置づけになるのではないかと思います。

【JAXA(高畑)】 試験はいたします。ただ,ここでエクストラと書かれていたのは,要するに,そのめどを得たいという部分について,試験は当然実施いたしますけれども,そこでいろいろな知見,それからノウハウ等を手に入れたいと,それができればエクストラとして一応評価したいというふうに考えております。

【白石部会長】 横山委員,お願いします。

【横山委員】 恐れ入ります,28ページのアウトカムの考え方の2点目で質問となります。災害対策に実運用されるというふうにお書きいただいておりまして,これはALOSのときとどのような体制の違いがあるのか,気象庁との連携を強める予定なのか,そのあたりをお伺いできればと思いました。お願いいたします。

【JAXA(高畑)】 すみません,もう一度教えていただけますか。

【横山委員】 28ページの災害対策のところでございまして,これは,この委員会だと思いますが,ALOSのときにも随分議論があったというふうにも記憶しておりますが,次のときにはどういうふうに実運用に供されるのか,それによってどれくらいインパクトが社会的に出てくるのかという観点もお教えいただけたらと思いました。

【JAXA(山本理事)】 災害につきましては,国内で起こる災害と,それから海外で起こる災害がありますけれども,非常にグローバル化しておる関係もあります。日本の企業だとか日本の法人も海外にいるという意味からも,海外の,特に災害については,ALOSのときにはなかなかデータ量の問題で送れなかったんですけれども,今回の場合には,そういう海外で起こった,例えば山火事一つとってみても非常に,その山火事を早く見つけることによって火事の進行を抑制できると考えます。インドネシア等で非常に大きな災害が起こっていると聞いております。
 あるいは,海外の援助隊が出動することがありますけれども,そういった海外での地震,あるいは洪水に対する援助活動について,速やかにその状況を把握するようなデータが送れるのではないかというふうに考えております。

【横山委員】 ありがとうございます。
 実運用するためには,データ取得のみならず,それを得たときにどういうふうに配布していくかという,その運営体制が非常に重要になるかと思いますので,是非その視点もよろしくお願いいたします。

【JAXA(山本理事)】 おっしゃるとおりだと思います。検討します。

【白石部会長】 次は,髙橋委員,お願いします。

【髙橋委員】 一つ,好事例として評価したいんですけれども,専門家の評価委員の方の意見を,具体的にJAXAがどう対応するかということをきちんとまとめられている,是非こういうことは引き続きお願いしたいなというふうに思います。
 それから,一つは要望ですが,14ページの性能比較ですけれども,2020年までの記載となっていますね。やはりここから10年使うプロジェクトですから,できれば予測でも構いませんので,この先10年ぐらいの方向性,動向,こういったものを是非ここにあらわして,既にあれば,またどこかで紹介してほしいと思います。やはりここでも10年先ぐらいまではしっかりと表すような,そういう工夫をしてほしいと思います。

【JAXA(高畑)】 はい,承知いたしました。内部的には一応,検討等は行っておりまして,ここでは20年までしか示してございませんけれども,この先,やはりここで頭打ちになるのではなく,将来的には伸びていくだろうという予測のもと,そこに達するためにどういうふうなステップ,技術的なステップも含めて,達すべきかというふうな議論もしております。

【白石部会長】 よろしいでしょうか。ほかに何かございますでしょうか。
 なければ,きょうの議論でおおむね予定どおりに開発が進められているということで,報告内容について了承するということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【白石部会長】 どうもありがとうございます。では,これで了承させて頂きます。

(2)平成28年度文部科学省宇宙関係予算案について

【白石部会長】 次に,2つ目の議題でございますが,「平成28年度文部科学省宇宙関係予算案について」でございます。
 事務局から,文部科学省における平成28年度の宇宙関係予算(案)がまとまっておりますので,これについて御報告をお願いいたします。

【事務局(堀内課長)】 より資料25-2に基づき説明を行った。

【白石部会長】 ありがとうございます。これについて何か質問等,ございますでしょうか。
 どうぞ,藤井委員。

【藤井委員】 調査費という項目はどういう位置づけのものなんでしょうか。1年度限りでまず調査をして,その後のステップはどういうものを考えてつけている,どういう種類の費用かということなんですけれども。

【事務局(堀内課長)】 調査費です。そこでどのような計画を立てていくかということを十分に議論するための経費となります。形式的にはその年度のみとなります。継続的に行う訳ではありませんので,そういうような予算になります。通常,プロジェクトを実施するに当たって,多くの場合,こういった調査費を計上して本プログラムにつなげていくようなことをしております。私どもの方も,この調査費を取って,次につなげていければと考えております。形式論として問われれば,単年度の経費でございますけれども,当然,将来のことも考えた上でいろいろ活動していくための経費というふうに御理解いただければと思います。

【藤井委員】 ということは,調査がしっかりできれば成果として本予算をとっていく。そういうことを一つの前提としてやっているというふうに考えてよろしいですか。

【事務局(堀内課長)】 そのとおりでございます。

【白石部会長】 ほかに何かございますか。どうぞ。

【吉田委員】 主なプロジェクトで挙げられていますものに対して幾つか,各論の質問で恐縮です。一つは次期技術試験衛星の部分ですが,オール電化というキーワードがありますが,私はちょっと不勉強で,この次期技術試験とオール電化がどうつながるのかがわかりません。どういう趣旨の技術試験をされる衛星なんでしょうか。

【事務局(堀内課長)】 これは,衛星重量を軽減させることを狙いとしています。要は,化学燃料を積みますと重くなりますので,その分,太陽光パネルなどを充実させて,搭載機器を電力で賄っていくという考え方です。衛星の重量軽減を主眼に置かれた技術開発ということです。

【吉田委員】 推進系を化学推進から電気推進に変える,そういう趣旨ですね。

【事務局(奥野企画官)】 はい,軌道遷移に係る推進系を,今までの化学推進ではなくて電気推進に変え,そういう趣旨の技術実証を想定してございます。

【吉田委員】 あともう一つ,具体的なプロジェクトの案件で,ERGと記載されているジオスペース探査衛星についてです。私の記憶が間違っていなければ,これはイプシロンのペイロードとして想定されている小型衛星の項目で上がってきたプロジェクトかと理解しています。ここに書かれています金額を見ると,かなり大きな金額となっています。小型衛星といえども随分お金がかかるのだなというのが私のコメントとなりますが,もし何かその辺の御事情を補足いただけるところがあれば,有り難いと思います。

【事務局(奥野企画官)】 予算の内数につきましては,衛星開発費及び打上げ費用の調達その他含めて当該金額となってございます。

【吉田委員】 では,打上げ費を含んでの金額ということですか。

【事務局(奥野企画官)】 はい,ロケットの機体費用も込みになっておりますので,打上げ年度に当たりまして所与の金額が計上されてございます。

【吉田委員】 であれば納得です。衛星単体であの金額だと,ちょっと突出しているなと思いました。ありがとうございました。

【白石部会長】 ほかに何かございますでしょうか。 
 なければ,次の議題に移りたいと思います。

(3)H3ロケットの開発状況について

【白石部会長】 3つ目の議題は,「H3ロケットの開発状況について」でございます。本部会では定期的にH3ロケットの開発状況の報告をいただいておりまして,現在,基本設計審査に向け基本設計を実施しており,イプシロンロケットとのシナジー効果の検討及び現行基幹ロケットからの移行計画についても検討を行っております。
 きょうはJAXAと,それから三菱重工業の方から御報告を頂きたいと思います。よろしくお願いします。

【JAXA(布野執行役,岡田),MHI(阿部部長)】より資料25-3-1,25-3-2により説明を行った。

【白石部会長】 どうもありがとうございます。
 これについて何か御質問,御意見等ございましたらお願いします。どうぞ。

【米本委員】 最後のMHI殿の御説明を伺い,かなり生々しい話を聞かされたような気がいたします。確かにH-ⅡA/Bのフェーズアウトと,H3の安定供給への移行がうまくいかないと,計画していた衛星が打上げられないということになります。このように古いロケットを維持しつつ新しいロケットに順次切りかえていくというような話は,何んとなくかなりゴージャスな計画のように聞こえます。アリアンとか海外のロケットもこのような対策で,フェーズアウトする古いロケットから新規ロケットへ移行しているのでしょうか。ほかの諸外国の例についてでも結構です。

【MHI(阿部部長)】 諸外国も同じようなやり方をしています。アリアンのケースですと,2020年に新型の試験機の初号機を飛ばした後,2023年に旧型をフェーズアウトさせるとなっています。

【白石部会長】 ほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。どうぞ。

【米本委員】 SRBについて技術的な話を伺います。H3ロケットのSRB-3はノズル固定という設計になりました。現行のH-ⅡA/BのSRBはノズルの推力方向制御を行っていますが,ノズル固定で問題ないことになったのは,どのような要因によるものでしょうか。1段の液体エンジンの制御力が向上したのか,SRB-3になって固体ロケットブースタ推力の個体差がなくなったのか,どのような理由なのでしょうか。

【JAXA(岡田)】 一言で言いますと,前者となります。1段の液体エンジンの制御力で十分であるということが解析上わかりましたので,ここに踏み切っているということです。また,今のH-ⅡAでの制御のマージンとかそういったものが実力としてわかっているので,それらも含めまして,我々の経験と,それから設計解析で見通しを得ています。

【白石部会長】 ほかに何かございますか。どうぞ。

【井川委員】 一つ教えて頂きたいんですが,三菱重工さんの10ページの資料に,最後に専用冶工具の維持廃却費,別途費用措置が必要というのは,これは自社内じゃなくて国に求めたいということなのか,そうではなくて社内で頭を悩ませておりますというお話なのか,教えていただければと思います。

【MHI(阿部部長)】 要するに,打上げサービス,普通の製品と同じですので,どこの費用で持つかは別にしても,最終的にはそれは製品に転嫁されていく。したがって,打上げサービスの費用の上にアドオンするか,全部にアドオンするのか,それとも,最終のところのみとするか。基幹ロケットですので,国として何か費用措置をいただくのかはご相談だと思っています。
 申し上げましたように,打上げサービス,特に政府ミッションの場合は打上げサービスの費用項目というのは全部ガラス張りになっていますので,もし今のように割り掛けをしていくということになれば,商品としても当然,割り掛けにしていくことになると,政府ミッションの中でもその部分が少し出てくるということになります。また,事業として見た場合に,専用冶工具だとか廃却とかそういったものを,廃却する費用を誰が負担するか,一時的に誰が負担するかは別にしても,事業として見たときには,それは必ずどこかで費用処置していく必要があります。

【井川委員】 素朴な疑問です。僕がその分野での専門家ではないのでよくわからないのかもしれないのですが,もともと民間にロケットを移管したということ自体が,民間スタイルでロケットを製造して,効率性,それから,なるべく安くなるのではないかという期待のもとに民間に移管するという前提があると思います。普通の民間企業の事業では,受注する場合,自らの製造工場の機械ですので,これは民間のもともと投資範囲でおやりになって,それをもとにコストを試算して,打上げて費用をもらえれば,その時点で普通は終わりですね。ところが,しばらくたって,いや,もうこれ,ロケットを買ってくれなくなるのならうちの工場を片づけるので費用を負担して欲しいというのは,ちょっと余りないのではないかという素人の考えです。

【MHI(阿部部長)】 多分,その考え方からいくと,打上げと輸送サービスの価格に含まれるんです。要するに,割り掛けされるという形になります。
 ただ,先ほど申し上げたように,政府との契約においてはコスト構造がガラス張りになっていますので,したがって,そこに割り掛けが出てくるというだけです。例えば車の場合は当然,初期開発だとかいろいろなことをやっているのですけれども,車の費用を仮に200万円とした場合に何が幾ら入っているか知ることができないようになっています。

【井川委員】 わかりましたが,政府の方には是非,しかるべき厳しい交渉をして頂きたいと思います。

【MHI(阿部部長)】 多分,割り掛けにすると一番いいんだと…

【井川委員】 なるべく安く上げていただくことを期待します。

【白石部会長】 次に永原委員からどうぞ。

【永原委員】 イプシロン高度化との関係についての質問です。技術的には前半で御説明が岡田さんからありましたように,非常によく連携していきましょうという話かと思います。イプシロンはイプシロンの方で独自に毎年予算がついて事が進められていて,それとこちらとの話というのは,これはどういうふうな連携で事が進むと将来につながるのでしょうか。

【JAXA(布野執行役)】 イプシロンは小型衛星の打上げ事情に対応するということで今,開発をしているところでございます。現在,強化型ということで開発に取り組んでございますけれども,対象とする衛星が小型ということで,地球観測衛星だと600キロぐらいという,そういう小さいものを対象として扱っており,H3とはレンジが違うところですみ分けをしております。双方を開発するに当たっては,その相乗効果を生み出すという観点でシナジーの検討をして,双方のメリットを生かしましょうということで今,検討しているということでございます。

【永原委員】 そのコンセプトまでは以前にも伺ったかと思います。例えば予算としては,イプシロンの強化型としての今年度予算があり,来年度予算もある額が付くなどして,それは独自なわけですよね。そうした場合に,つまり,この基幹ロケットとの開発の関係というのはうまく整理がされるのかどうかと言うことです。

【JAXA(布野執行役)】 今御説明しましたのは,シナジーの方向性ということで,今後,具体化をして,予算措置をお願いしていくことになるかと思います。それから,先ほどプロマネから説明がありましたように,SRB-3に関しましても,片や固定ノズル,片や可動ノズルという違いはありますけれども,それを別々に開発するのは効率的でないという状況の中で,どのような開発試験にしていくかということを今後検討して,より効率的に行っていこうという取り組みをしております。

【白石部会長】 奥野企画官から補足があればお願いします。

【事務局(奥野企画官)】 2点補足させて頂きます。まず,MHI様からの御説明に対し様々な御意見,御懸念等をいただいております。これにつきましては,ほぼ,JAXAさんとMHIさんのプレゼンの前提にございましたとおり,私ども文部科学省におきましては,この新型基幹ロケットへの円滑な移行の移行計画について検討を行い結論を得るという立場になっております。したがいまして,本日,開発者でございますJAXA及びMHIからこういった形でいただいた御意見及び,本日の委員会で委員の皆様からいただいた御指摘,こういったものを踏まえまして,最終的には私ども文部科学省の方で,移行計画に関する一案を持って宇宙政策委員会等にフィードバックしてまいりたいと考えております。そういった観点で,MHI様からは一つの移行計画案を,文部科学省において検討するに当たって,さまざまな考慮要素を御提示いただいているものと承知してございます。
 次に,イプシロンのシナジー効果に関しての基本的な考え方でございますが,現在イプシロンにつきましては,先ほど出ましたERG等の打上げに際して打上げ能力等を向上させる研究開発予算は,イプシロンの開発予算として,このH3ロケットとは別に開発プロジェクトとして行ってございます。
 また,今後のイプシロンの扱いにつきましては,国の施策といたしまして,国の基幹ロケットとしてこのH-ⅡA,H-ⅡB,さらにこれを承継いたしますH3ロケットの系統と,固体ロケットの系統とあわせまして,この2つを基幹ロケットとしています。かつ,それぞれのプロジェクトがサスティナブルに成立するような形で運用するようにというのが,国全体の施策として私ども文部科学省に課されているものでございます。
 そういった観点からは,本日はH3の開発サイドの側からイプシロンとのシナジーの関係について御説明頂きました。こういった内容を受けまして,御指摘のような,イプシロンの開発として,さらに今回のシナジーの結果及びH3の最終的な解としては,基本設計等が固まった段階での結果を踏まえて,今後イプシロンをどのようにシナジー適用開発していくのかについては,イプシロンの開発予算として今後,国のプロジェクトとして検討した上で,所与の予算の確保等を別途行っていく必要があると考えております。本日はそれの一助として,H3側からイプシロンに対するシナジーの可能性という御説明をしていただいたものと考えております。これを踏まえて,今後のプロジェクトの在り方について別途イプシロンの開発プロジェクトとして考えてまいりたいと思っております。
 以上です。

【白石部会長】 安岡委員,どうぞ。

【安岡委員】 先ほどの井川委員の御質問とちょっと関連致します。例えば6ページの一例と書かれているこの図で,今後,顧客と調整し,一例に示すような割当てを決める必要があるということに対してこの委員会はどのような立場をとるのかということがよくわからないのです。例えば,6ページの図の真ん中あたりに温室効果ガス観測技術衛星があり,2号機はH-ⅡAで打上げ,3号機はH3で打上げの枠に入っていますね。これは,MHIさんがこれから環境省さんと個別に調整をするということで,この委員会は理解をすればよろしいのでしょうか。報告内容を承認するということではないのだろうと思いますがこの委員会がこの資料に対して何をすればよいのかなというのがよくわからなかったんです。

【白石部会長】 はい,奥野企画官どうぞ。

【事務局(奥野企画官)】 先ほど申し上げましたとおり,最終的にはこの移行計画の決定主体といたしましては文部科学省でございます。それに際して本日,MHIさんから一つの考え方及びそれに関する考慮要素等を御提案頂きました。同様に,この開発プロジェクト及びこの移行計画案に関して御意見ですとか追加的な考慮要素等を承りましたので,最終的には文部科学省といたしましてそれを踏まえて決定していくことになります。この報告について御承認いただくというよりも,むしろこういった現在のH3のプロジェクトの状況等に関して御意見,御評価等を頂きますれば,最終的にはそれを,このMHIさんの意見等も踏まえて,私どもの方で最終的には調整することになろうかと思います。
 また,具体的なこの割当て案に関しましては,最終的には御指摘いただいたとおり,MHIさんの打上げサービスの調達に係るところがございます。ただ,その前の段階として,政府衛星に関しては基本的に基幹ロケットを利用するということが,国の宇宙基本計画等で決まっております。そういった観点から,まずはMHIさんと個別の契約に入る前に,このH-ⅡA/BであるのかH3になるのかについては,この割当て計画に基づきまして,所管省の間で一定のコンセンサスを形成することといたしたいとしております。
 ただ,MHIさんから御指摘いただいたように,個々の契約の段階におきまして,価格等に関して一定の価格変動要素,リスク等ございますので,最終判断はやはり契約においてという形にはなりますので,この割当て案に関しましては,文部科学省及びそれぞれの衛星を所管している府省との間で一定のコンセンサスを図れればと考えております。
 なお,御質問の温室ガス観測技術衛星3号機につきましては,この実施主体が文部科学省及び環境省と将来関連し得るであろう省庁の間で,その取り扱い等に関しては別途,府省のレベルにおいても環境省の御意向等を伺っておるところでございます。

【白石部会長】 ほかに何かございますか。
 どうぞ,白井委員。

【白井委員】 一つ前のやりとりに戻りますが,SRBについての質問となります。SRB-3という新しいSRBが開発されるということは,普通に考えると,イプシロンも1段が変わるわけで,イプシロンもバージョンが変わるというような含みがあるのかなと思って話を伺いました。永原先生の質問とちょっと似ているのですけれども,シナジーがしかもあるということをおっしゃっているということは,イプシロンについてもやはり,今の強化型のさらにもう一歩先になるわけですよね,そういう開発展望があるという理解でよろしいでしょうか。

【JAXA(森田)】 これは私から申し上げてよろしいでしょうか。

【白石部会長】 どうぞ。

【JAXA(森田)】 もともとイプシロンは,将来構想というのを考えながら現在の強化型を進めているという背景があります。ですから,今後,低コスト化,高性能化というのをどうやって進めていこうかという構想を我々は現在,構築中でありまして,その世界の中で今,強化型というのが,現在はこういうことをするのが将来に向けてベストですよねという解の一つとして進めているんです。
 今回,SRB-3の開発に取り組んでいますけれども,やがてSRB-AがSRB-3に置きかわるということで,必ずイプシロンの1段目は変えざるを得ない。これは将来展望とは若干切り離して考える必要があり,そこの部分で我々はどうするかというのを今まさに考えているところなんです。将来に向けて,SRB-3というのがこういう形であればイプシロンにもいい形になるねということを含んでH3開発もやっていただいているという観点で,H3と,それから強化型イプシロン,それからその先の構想というのがつながっているというふうに我々は考えています。

【白石部会長】 よろしいでしょうか。どうぞ。

【髙橋委員】 MHIさんのフェーズイン・フェーズアウトに関する報告についてとなります。大変よく今から検討されているというふうに印象を持っています。自動車でもそうなんですけれども,フェーズイン・フェーズアウトするときは必ずアドオン費用が発生します。問題は,そのアドオン費用をどう案分し配分するかということになると思うんですが,先ほどの割当て案の計画を先に決めてアドオン費用を後から決めると,必ず後で,自分のところの衛星は高いとか安いとかなってしまうので,やはりこの割当て案の段階で,できるだけアドオン費用をどのように配分するかをきちんと決めた上で,割当て案とセットで決めるべきではないかと思います。その辺,いかがでしょうか。

【事務局(奥野企画官)】 当然,開発自身に不透明性を含んでおりますので,この案というのも柔軟性を担保する必要がございます。ただ,御指摘のとおり,この時期,この政府衛星に関しましては,各府省におきまして予算要求等が行われていく際に,こういったアドオン費用の可能性というのがそれぞれの各府省の予算要求において十分に考慮されていませんと,委員から御指摘のような問題というのが生ずると考えております。
 したがいまして,御指摘のとおり,確定的なことは申せませんが,一定のこのフェーズイン,フェーズアウトの時期において,アドオン費用の可能性,若しくは価格等が従前と違った価格になり,そういった形で打上げ費用の予算の確保が必要になるという点については,宇宙政策委員会の場等を通じて,それぞれ予算要求をしていただくことになる関係府省にも十分周知いただいた上で,MHIさんにおいてサービス契約の調達等において御指摘いただいたような,円滑でない事案が起こらないように,御意見を踏まえて対応してまいりたいと思います。

【白石部会長】 ほかに何かございますでしょうか。
 なければ,ありがとうございました。本日の報告内容につきましては,後日開催されます宇宙政策委員会 宇宙産業・科学技術基盤部会においても報告されるという予定でございます。

(4)その他

【白石部会長】次に,それ以外の事項に参りますが,事務局から報告事項があれば,お願いいたします。

【事務局(奥野企画官)】 より参考1に基づき報告を行った。

【JAXA(山本理事,可知)】 より参考2に基づき報告を行った。

【白石部会長】 どうもありがとうございました。
 報告について何か質問等,ございますでしょうか。
 どうぞ。安岡委員。

【安岡委員】 AMSR-E,AMSR-2のデータが世界で物すごく使われているということについて,可知さんは説明されませんでした。ただ,最後のページの全球降水マップというのは,私もアフリカとかアジアの方と共同研究を行いますが,こういうところの降雨データはほとんどなくて,このデータが唯一のデータに近いものとなります。広い範囲であり,精度の問題もありますが,やはりこういう世界に貢献できるデータをこれからも是非継続的に公開して頂きたいと考えています。
 以上です。

【白石部会長】 ありがとうございます。
 ほかに何かございますでしょうか。
 なければ,最後に事務局から事務連絡をお願いいたします。

【事務局(奥野企画官)】 会議資料と議事録の公開について申し上げます。宇宙開発利用部会の運営規則に基づきまして,本日の会議資料は公開となりますので,後日,文部科学省のホームページに掲載させて頂きます。また,議事録につきましても公開となります。委員の皆様に事務方より御確認いただいた後に,文部科学省のホームページに掲載させていただく形で公開とさせて頂きたいと存じます。
 よろしくお願いいたします。
 事務連絡としては以上でございます。

【白石部会長】 ありがとうございます。
  これで,本日の議事は終了となります。
 閉会したいと思います。 ありがとうございました。

以上

(説明者については敬称略)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課

-- 登録:平成28年03月 --