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宇宙開発利用部会(第20回) 議事録

1.日時

平成27年4月9日(木曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省 5階3会議室

3.議題

  1. 部会長の選任及び部会長代理の指名について
  2. 宇宙開発利用部会運営規則について
  3. 宇宙開発利用部会の活動内容について
  4. 革新的衛星技術実証プログラムの検討状況について
  5. 磁気圏観測衛星「あけぼの」の運用終了について
  6. 新型基幹ロケットの開発状況について
  7. その他

4.出席者

委員

部会長  白石 隆
部会長代理  佐藤 勝彦
臨時委員  青木 節子
臨時委員  井川 陽次郎
臨時委員  白井 恭一
臨時委員  髙橋 德行
臨時委員  永原 裕子
臨時委員  林田 佐智子
臨時委員  藤井 良一
臨時委員  星出 彰彦
臨時委員  松尾 亜紀子
臨時委員  安岡 善文
臨時委員  横山 広美
臨時委員  吉田 和哉
臨時委員  米本 浩一

文部科学省

研究開発局宇宙開発利用課長  千原 由幸
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長  谷 広太
研究開発局宇宙開発利用課企画官  奥野 真
研究開発局宇宙開発利用課長補佐  国分 政秀

【説明者】
独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 理事  今井 良一
 理事  常田 佐久
 理事  山浦 雄一
 理事  山本 静夫
 研究開発部門革新的衛星技術実証グループ グループ長  香河 英史
 宇宙科学研究所あけぼのプロジェクトチーム プロジェクト・マネージャ  松岡 彩子
 第一宇宙技術部門 新型基幹ロケットプロジェクトチーム プロジェクト・マネージャ  岡田 匡史

三菱重工株式会社防衛宇宙ドメイン宇宙事業部長  阿部 直彦

5.議事録

今回の議事は、部会長の選任、部会長代理の指名等があったため、開会から議題(2)までは非公開で実施した。

(一般傍聴者・JAXA入室)

(3)宇宙開発利用部会の活動内容について

【白石部会長】 それでは、議題(3)に入りたいと思います。議題は「宇宙開発利用部会の活動内容について」でございます。 これについて、事務局から説明をお願いいたします。

事務局(奥野企画官)より資料20-3-1、20-3-2、20-3-3に基づき説明を行った。

【白石部会長】 今の事務局の説明について、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。ないようであれば、資料20-3-1、20-3-2、20-3-3については、宇宙開発利用部会として決定するということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり。)

 御異議がないようですので、これで決定としたいと思います。
 なお、宇宙開発利用部会運営規則第2条第4項には「小委員会に属すべき委員等は部会長が指名する」とあり、第2条第5項には「小委員会に主査を置き、部会長が指名する者がこれに当たる」とありますので、二つの小委員会に属する構成員と主査は、本日の会議終了後速やかに私の方で指名するようにいたしたいと思います。

(4)革新的衛星技術実証プログラムの検討状況について

【白石部会長】 次の議題(4)でございますが、「革新的衛星技術実証プログラムの検討状況について」でございます。今年度から予算化されましたプログラムで、本格的に作業を開始するに当たり、調査審議を行うものであります。
 それでは、JAXAの方からご説明をお願いしたいと思います。

JAXA(今井理事)より資料20-4に基づき説明を行った。

【白石部会長】 どうもありがとうございました。ただいまの説明につきまして、質問、御意見等ございますでしょうか。どうぞ、そちらから。

【米本臨時委員】 衛星の革新技術について、今の段階でどういうものが必要とされているのか見通しが整理されているのでしょうか。
 それから、小型衛星、超小型衛星の今後について、世界的には何千という衛星数が必要だという調査もあるようです。具体的にどういうようなニーズが将来待っていて、それに向けてどのような革新技術に取り組んでいかなければいけないか教えて頂きたく思います。その2点です。

【白石部会長】 いかがでしょうか。

【JAXA(今井理事)】 お答え申し上げます。
 まず、一つ目の革新技術、特に衛星の革新技術はどういうものか、どういうことを考えていて、整理ができているのかという御質問だと思いますが、幾つか概念、観点がございまして、一つは衛星のバス技術の革新ということと、衛星の利用における技術の革新ということがあると思っております。
 衛星の利用における技術革新ということで言えば、例えば小型で観測ができるような観測センサ、例えば小型の合成開口レーダのミッションができないかということで、幾つか要素に関する研究は進めております。
 また、衛星のバス技術ということに関しましては、一つは小型・軽量化を目指していきたい。これは二つ目の質問にございました小型衛星の今後の利用という面にもつながるかと思うのですが、小型衛星の価値を高めるためには、小型だとどうしてもミッション規模が小さくなってしまうということで、それが制限になりやすくなるのですが、小型衛星としてもそれなりにちゃんとしたミッションができるようにするためには、小型衛星の規模に合ったバス機能を持っていると、小型のバス技術の開発ということが挙げられると思っています。
 また、更に将来的なことを見ますと、将来大型衛星につなげていきたいような技術、例えば今、無線LANとか無線によるエネルギー伝送という技術があるのですが、これを衛星のバス技術に応用して、まだアイデア段階なんですが、例えばケーブルを極力なくすような衛星、非常に軽くすると、そうすることで組立ても非常にしやすくなる。そういった要素技術にチャレンジして、将来的には大型衛星にも適用できるような技術に育てられないか。そういったことを考えております。
 それから、二つ目の小型衛星、将来的にどういう役割、ニーズがあるのか、そういうことを目指した研究はどうなのかということだと思いますけれども、例えば小型衛星の一つのメリットとして、複数の衛星を組み合わせたようなミッション、数を組み合わせて一つのミッションを達成するようなことが考えられると思っています。なかなか実証衛星1機でもってそこはできないのですが、そこにつながるような要素技術も、今回、方向性を出して提案を受けて、実証の中に入れていくということも考えていきたいと思っています。
 よろしいでしょうか。

【白石部会長】 よろしいですか。では、吉田委員、お願いします。

【吉田臨時委員】 東北大の吉田でございます。先ほどの質問の二つ目と少し重なる部分もあるのですが、二つ御質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、小型実証衛星とか超小型衛星の技術開発に関しまして、こういうプログラムが立ち上がって、重点的に進められるということは非常にすばらしいことだと考えております。そこで質問ですが、特に超小型衛星の分野は、現時点で海外のベンチャー等、特に米国ではかなり多数の衛星を打ち上げるという構想が展開されていますし、それが実行に移されている段階でございますけれども、基本的に今回のこのプログラムは研究を公募して、JAXAさんとの共同で開発をするという趣旨と承ったのですが、国際的な競争にまけないような、まだ手がついてない分野として何か注目していることがありましたら、お話しいただければと思います。

【JAXA(今井理事)】 よろしいですか。
 まず、超小型衛星、超小型衛星の定義というのも結構いろいろりますが、50㎏級以下の衛星と考えますと、マイクロ、ナノを超小型というように、世界的にはいろいろな衛星、いろいろな分野が、今、日々出ているような状況でございます。それに対して、我々はどういうところで競争力を持っていくめどはあるのかという事だと存じますけれども、一つには、今、欧米等でベンチャー等がチャレンジしているのは写真を撮ること。非常にコンパクトな衛星でもって写真を撮って、数を上げることで時間分解能を上げていこうというのが多いと考えています。
 確かにそれは小型衛星の分野で有効かなと考えておりますが、JAXAが実施しているのは決してそれだけではなくて、例えば通信もございますし、デブリ、あるいは、宇宙環境観測ということもやっています。そういうところにも使っていけないのかなと。あとは、衛星そのもので勝負するということだけではなくて、先ほど言いました大型衛星につながるとか、あるいは、将来の衛星を複数用いたミッションにつながるとか、そういったことの技術をここで実証して、確かに衛星単体で勝負するというよりは、そこで得た技術を次に生かして、次の段階で勝負する戦略につなげていくということもあり得るのではないかなと。
 具体的にお答えできないのですが、是非ともそういう点は大学や民間の皆さんとお話しさせて頂いて、新しいところを打ち出していきたいと考えております。

【吉田臨時委員】 わかりました。
 すみません、引き続き二つ目の質問ですが、それは打上げ機会の件でございます。
 小型衛星、超小型衛星、国内でもいろいろなアクティビティが今動いている中で、そこにかかわっている者といたしましては、打上げ機会が確保しにくい、めどが立ちにくいという状況がございます。頂いた資料には、イプシロンロケットを活用して小型衛星、超小型衛星の打上げ機会を増やすという趣旨で書かれておりますけれども、既存のものとしてはH-ⅡAの相乗り、それから、ISSからのキューブサット等の放出等もございます。そこら辺を全部見通した上でコーディネートするような体制はどのように準備されているのか。ここのプログラムの業務の範囲内なのか、それとも別途、相乗り打上げ機会の調整というのは、別の委員会ないしはアクティビティの中で実施されようとお考えになっているのか。そこら辺のところをお聞かせください。

【JAXA(今井理事)】 資料の4ページをごらん頂きたいと思います。こちらにJAXAが行っておりますH-ⅡAロケットの小型相乗り、それから、国際宇宙ステーションを利用したミッションの提供機会というのがございます。現在、本プログラムが視野に入れておりますのはイプシロンロケットの利用でございますけれども、これはいずれもJAXAがやっている事業でございますので、将来的にはここも連携してやっていきたいと考えております。もちろん、関係者等々と調査をさせて頂いて、なるべく利用機会を有効に、適切な時期に展開できる仕組みに持っていきたいと考えております。

【吉田臨時委員】 そうすると、4ページにありますあらゆる機会を使ってということと理解してよろしいでしょうか。

【JAXA(今井理事)】 そういう方向に持っていけるように調整・検討させて頂きたいと思っております。

【吉田臨時委員】 最後にお願いでございますが、このような形で衛星開発を進められるということで、超小型衛星等が続々と開発されて、しかし打ち上げ機会が少ないために、それらがいつ打ち上げられるかわからないというような状況が起きないように、御努力いただけると大変有り難いと思います。よろしくお願いいたします。

【JAXA(今井理事)】 はい。承知しました。

【白石部会長】 どうぞ。まず藤井委員、その後、永原委員。

【藤井臨時委員】 今の質問と最初の米本先生の御質問とも関連するのですが、タイムスケジュールをみますと、特に最初のところは非常に短期でやろうとされています。特に革新技術がシステムなのかコンポーネントなのかによるかもしれませんが、平成29年度に初号機を打上げということですが、その次を見ても大体そういうターンアランウドでやろうとしておられると言うことでよろしいですか。
 通常の衛星の開発等を振り返ると、もう少し開発期間が長いのですけれども、これを見る限り、いろいろな段階である程度開発が進んでいるというような印象を受けるのですが、今そういうような体制で進められているのでしょうか。最終的に公募はするのだけれども、ミッションテーマ自体はもうある程度育っており、そういう体制で進められているのでしょうか。そうでないと、これは非常に短いような気がするのですが。

【JAXA(今井理事)】 お答え申し上げます。
 まず、システムの開発を考えますと、ミッションを切った衛星のバスというのがございますけれども、最初の段階では確かに非常に時間が短いということで、ここは確実にこのプログラムを立ち上げていきたいということがございますので、衛星のバスについては既存の技術をできるだけ活用していくということです。 ミッションにつきましては、こういう小型プログラムに対していろいろ研究されているのが既に結構ありますので、まずはそういうところから成果を出しつつ、毎回切るのではなくて、2回目、3回目をにらんで、その準備も並行しながら進めることで、今御質問頂いたことに対してお答えをしていきたいなと考えております。

【白石部会長】 よろしいですか。では、永原委員。

【永原臨時委員】 今の藤井委員の発言とも若干関係するのですが、新しいプログラムで、小型ということでなるべく国内で多くかかわれる分野を広げようという基本的考え方は大変すばらしいと思います。実際にプログラムがスタートするとなると、本当にどれだけ手を挙げるのかということが心配になりますので、時間的な問題はありますけれども、どのぐらい新たな参画が期待できるのかということの見込みをお伺いしたいと思います。

【JAXA(今井理事)】 お答えいたします。
 本プログラムの前段階として、JAXAでは例えばSDS-1、SDS-4というプログラムがございました。また、関連するプログラムとしましては、経済産業省で進めておりましたSERVISプログラムというのもございます。その中でもいろいろ提案があるということを我々承知はしておりまして、そういうところと連携して進めることも考えているので、これはオールジャパンでやりたいと思っております。
 そこの中でもかなりの提案数を頂いております。例えば、部品レベル、それから、コンポーネントレベル、あるいは、ミッション機器につながる技術とか利用ということで、提案自体はたくさんあると考えていまして、その点をいかにうまく組み合わせるかとか、あるいは、うまく実現に持っていくかということで、まずはファーストステップとして確実な成果を出せるというところをにらんでいきたいなと思っております。

【白石部会長】 よろしいですか。どうぞ、髙橋委員。

【髙橋臨時委員】 髙橋です。革新的衛星技術開発の必要性は、今までの御説明で十分理解させていただきましたけれども、5ページを見ますと、これはすべて公募でプログラム、テーマをやるように書いてあります。JAXAの位置づけですが、私もずっとJAXA部会、独法の評価委員をやっていて、ずっと見ているとJAXAは技術ロードマップがしっかりあって、ニーズと言いますか、何を開発しなければならないかというのはJAXAが一番よく知っています。
 もちろん民間でもそういうニーズはあると思うのですけれども、これを見ますと、小型実証衛星の整備とか、JAXAは支援だという位置づけになっているようです。むしろJAXA自体が主体的にこういうテーマに積極的にかかわって、JAXAから見てこれは開発すべきだとかいった、むしろJAXAからの自発的なテーマの提案があってもいいのではないかなと思います。全てを外部からの公募で、もともとそういうプログラムにするのが目的なら、ちょっとまた話は変わってくると思いますが、革新的衛星技術開発ということでいくと、JAXAも積極的に提案する側ではないかなという感じもするのですが、いかがですか。

【JAXA(今井理事)】 非常に有り難いお話だと思います。資料のつくり方におきまして、我々の方で「オールジャパン」とか、なるべく広く日本の知恵や技術、強みを活用したいという思いが強く出た関係でこういうことになっておりますが、当然、我々もこの中に提案していきたいと考えております。その中で関係するいろいろな知恵や技術と連携をとるということもしていきたいと考えています。JAXAも大いにチャレンジさせて頂きたいと考えております。

【白石部会長】 では、どうぞ星出委員。その後、安岡委員。

【星出臨時委員】 1点だけ、質問です。
 公募のエリアですが、これは国内に限るのでしょうか。それとも、アジアあるいは海外も視野に入れられるのでしょうか。

【JAXA(今井理事)】 現在のところは、第1提案者と言いますか、提案の責任者ということにつきまして、まず国内を想定しております。

【白石部会長】 では、安岡委員。

【安岡臨時委員】 衛星技術実証と、このプログラムの性質としてこう出さざるを得ないというのはわかるのですが、打ち上げた衛星によって得られるデータをどうやって利用するかという視点がちょっと見えないような感じがします。衛星を打ち上げる以上は、それをどうやって使っていくかという視点が必要と思います。
 それは当然、実証の中にも含まれると思うのですが、この時間のチャートを見せて頂いても、打ち上げて、そこがゴールになっているような印象があって。その後どうやって利用していくのかというところの説明がややわかりにくかったのですが、JAXAとしてはどうお考えになっていらっしゃるのでしょうか。

【JAXA(今井理事)】 大変重要な御指摘を頂いたと思っております。
 資料の中でも若干は触れているのですが、今回は単に技術の実証だけを目的としていなくて、最終的にそれがどういうふうに、例えば産業競争力の強化であるとか、将来のシステム、あるいは、ミッションにつながっていくのかという事まで視野に入れた技術の実証を提案してくださいという形でやろうと思っています。
 それも完全にフリーでやるのではなくて、できればJAXAとして今後、あるいは、政府のこういうニーズがある、社会ニーズがあると、そういうことに対してこういう分野はどうかという形で、ある程度方向性も出しながらやっていきたいと考えておりまして、その中で実証した結果、そのデータなりその技術を今後どう使うかということもしっかりフォローしていきたいなと思っております。
 この資料はまだちょっと書ききれておりませんので、今後の検討課題とさせてください。

【安岡臨時委員】 はい、わかりました。

【白石部会長】 それ以外に何かございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、いろいろ御意見出ましたので、JAXAにおいては、御意見やコメントを生かしながらこれから進めていただきたいと思います。

(5)磁気圏観測衛星「あけぼの」の運用終了について

【白石部会長】 次の議題に移りたいと思います。「磁気圏観測衛星「あけぼの」の運用終了について」でございます。「あけぼの」は26年の長期にわたって運用を行っておりましたけれども、運用を終了するに当たり、この調査審議を行うものでございます。
 これについて、JAXAの方からご説明をお願いいたします。

JAXA(常田理事、松岡)より資料20-5に基づき説明があった。

【白石部会長】 どうもありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御意見等ございますでしょうか。いかがでしょうか。はい、どうぞ。

【藤井臨時委員】 藤井です。長い間どうも御苦労さまでした。非常に貴重なデータがとれたと思うのですが、このデータの今後の利用について、どのような体制でやられるのでしょうか。

【JAXA(松岡)】 この「あけぼの」のデータを、今、世界でスタンダードになっているCDFというフォーマットに変換しまして、宇宙科学研究所のDARTSという、これまた世界中の研究者がアクセスできるデータベースに順次登録をしているところです。まだ全部が済んでいるわけではありませんが、かなりの部分終わっております。今後も引き続き続けていきたいと考えています。この公開が進むことにより、先ほど申し上げたとおり、外国人のデータ利用が現在非常に進んでいます。

【白石部会長】 ほかに。はい、どうぞ。

【米本臨時委員】 衛星の技術的なことで質問があります。当初の目標寿命が1年間だったにもかかわらず、26年という長きにわたって衛星を活用することができたということでした。目標寿命の定義というのは、いろいろ複雑なところがあると配布資料に注意書きがあります。しかし、1年と言っておいて26年も運用できたということを聞くと、予想と実際の寿命に余りにも大きな乖離があるのではないでしょうか。今後、衛星の寿命の定義の見直しが必要かもしれません。それから、ERG等の衛星の寿命設計に対して、その経験をどのように反映していったのでしょうか。その辺について、何かコメントがあればお願いします。

【JAXA(松岡)】 衛星がつくられたのが、今から26年より前のことなので、詳細を説明することはちょっと難しいのですが、この「あけぼの」という衛星はヴァン・アレン帯を観測した衛星で、放射線の強い軌道を通っていました。この放射線帯の強い軌道で26年間運用できたというのは世界的にもかなり驚異的なことだと、いろいろコメントをもらう私も感じております。実際には、26年、非常に過酷な環境に上げるが故に衛星を丈夫につくった。少なくとも1年は絶対もつようにつくった。その設計が非常に良い方に転んだというと変ですけれども、行ったのだろうと思っています。
 ただ、26年前と今では放射線帯の中の環境に対する理解ももちろんずっと進んで、「あけぼの」がそういう知見を出したわけですけれども、より衛星を万遍なく目標寿命まで達成できるような設計が、さすがに26年前よりは今の方が知見の積み重ねを基にできている。私はERGにもかかわっておりますけれども、基になる知見が違うので、そういう点では活かされているのだろうと思っています。

【米本臨時委員】 ということは、今回の「あけぼの」の運用を通じて設計技術的なデータも得られたことから、次のERGの設計においては、目標設計寿命により確度の高い数値設定ができるようなレッスンズ・アンド・ラーンが得られたという理解でよろしいのでしょうか。

【JAXA(松岡)】 はい、そのように理解して頂いてよいと思います。

【白石部会長】 よろしいですか。ほかに何かございますでしょうか。はい、どうぞ青木委員。

【青木臨時委員】 最近、宇宙天気ということがよく言われておりますが、宇宙天気を研究している機関へデータを出すことによって、衛星の運用や打上げに対してどういう利益が得られたか、いついて教えていただけないでしょうか。打上げの時期を決めることに役立つなどいろいろありそうに思うのですけれども、宇宙機運用について何か特筆して、ここが26年間の観測データ集積の結果、役に立ったというようなことがありましたら、教えてください。

【JAXA(松岡)】 先ほど御紹介しました、例えばヴァン・アレン帯の中の電子数がふだんの10倍、100倍になる、これはかなり特異な状況でありますので、宇宙機によってはそういう状況を避けたい宇宙機が当然あると思います。
 まず、高速太陽風がヴァン・アレン帯の中のプラズマの増加に効いているということ、しかも、同じ高速太陽風でも増える時と増えない時とあるのだけれども、増える時というのは太陽風の中の磁場が南を向いているということ。そういうことが分かってきましたので、ここから少し離れた話になりますが、もっと上流にある太陽風モニター衛星でそういう太陽風を観測したら、少し後にヴァン・アレン帯のプラズマが増えるぞということが予測できる。そういうことに役立っていくと考えています。

【白石部会長】 では、永原委員。

【永原臨時委員】 先ほどの米本委員の御質問と同じ質問です。それからもう一つ、前回のこの委員会で地球観測の衛星でも予想を越えて非常に長期に生き延びたという衛星があって、そのときにも全く同じ質問をさせて頂いたのですが、何がうまくいった理由なのか。予想を越えてうまくいけたということから何を学べるのかということが我々には十分に理解できておりません。逆に、そこから学ぶべきものを学んでいないと、結果としてたまたまうまくいった、たまたまうまくいかなかったということになってしまい、せっかくの経験が次に生かされていかないのではないかと思います。
 松岡さんがこの衛星を設計されたのではないことを承知の上で質問させて頂いているので恐縮ですが、宇宙科学研究所としては、つくった人から技術的な部分をきちっと学びとり、次にその経験が生かされているかという、知識の継承をしてゆくべきではないかと思います。どのように組織的に評価されているのかをご説明いただきたいと思います。

【白石部会長】 これは場合によってはほかの方でもよろしいです。

【JAXA(常田理事)】 この衛星はスピン衛星でして、クルクル回っているので、姿勢制御システムは最近の高精度の衛星に比べて非常に簡単です。それから、観測機器も、ERGなどに搭載されているものに比べて世代的に前で、比較的単純な構成をしていたと思います。要するに、機器構成が単純だったので、コンポーネントが少なければ寿命も長くなるということもあったかもしれません。一方、当時の開発、衛星を担当した方が考え抜いてこの衛星を仕上げたということもあると思いますので、そういうことが合わさって長寿命に結びついたのかと思います。
 ただ、軽々にこういう結論をするのも、実際のエビデンスを積み重ねていかなければいけない面もありますので、きょうの先生のコメントがありましたので、なぜこんなに寿命が長かったのかということを、所内でも少し振り返ってみたいと思います。また、今開発している衛星は逆に冗長系とかを持って、どこか1か所が壊れても、全損にならないような措置をいろいろとっておりますが、みんな26年もつと仮定するのは危険で、非常に慎重にかつ丁寧にやっていかなければいけないということで、これが冗長系なしで26年もったから、同じような考え方をとっていいという風にはなかなかならないと思います。

【白石部会長】 どうぞ佐藤委員。

【佐藤委員】 常田先生がおっしゃったことも含めてですけれども、衛星の事後評価をどういうふうにされる予定でしょうか。つまり、PDCAサイクルがうまく働くためには、ちゃんとした評価を残さないと駄目だと思うのですけれども、JAXAの中での計画はどうでございましょうか。

【JAXA(常田理事)】 まず、宇宙理学委員会で終了審査をしまして、非常にポジティブな評価で学術的評価、26年前の衛星ということを考えたら、出ている論文数等をみましても、大変高い成果が出たというふうに研究委員会で評価されました。これは外部の大学の先生方も入った委員会でございます。それから、その後、所内の終了審査というのもやりまして、これについても同様の評価を得ております。
 一方、さっき松岡先生からお話があったように、データベースを今作成中で、必ずしも全部終了していないということもありまして、もう少し早くデータベースが完備していたら、より早く外国人の研究者にも使って頂けたのではないかと、そういう疑問も生じますので、今日のコメントを頂きまして、PDCAサイクルという観点からもう一度見直したいと思います。

【佐藤委員】 特に質問があったような機器の寿命がすごく延びたことについては、常田先生がおっしゃったような簡単なシステムだということもあったのでしょうけれども、もう少し科学的に解説する必要もあるのではないかと思うのですね。わかりました。

【白石部会長】 では、まず髙橋委員、その後、白井委員、お願いします。

【髙橋臨時委員】 今の質問に関係して、JAXA部会、独法でも、設計寿命5年に対して7年もった、8年もったということで、内部評価でS評価をしてくるようなケースもあって、独法の評価でも議論しているのですけれども、この設計寿命は、ストレスとストレングスの関係、すなわち負荷と強度の関係じゃないのかなと考えます。
 私は自動車メーカーで30年間技術開発をしていた経験から言いますと、自動車は地球上を走りますから、ストレスが実験データでもわかりますし、いろいろなところでデータがとれるわけです。ところが、宇宙になってくると、どのくらいのストレスがくるのかというのは、例えば放射線をどのくらい受けるかとか、そういった具体的なストレスが分かりにくく、恐らく26年前はもっとわからなかったのではないのかなと思います。そこで、ある程度推測しながらストレングスを決めて設計したと思います。
 これから設計寿命の確度を上げていくためには、どれだけ宇宙空間でのストレスのデータを集めるかが重要で、ストレスのデータをJAXAの中で蓄積するようなことも、一つのテーマとしてあげていったらどうかと思います。

【白石部会長】 では、白井委員どうぞ。

【白井臨時委員】 1年の目標寿命に対して26年間もったということで、私も関係する質問です。今回運用を終了する理由として、観測機器、それから、電力系の限界と言いますか、そろそろ寿命がきているという話がありましたが、これは燃料、正確には推進薬はまだもつということでしょうか。

【JAXA(松岡)】 推進薬について、「あけぼの」は推進系を持っておりません。磁気トルカで太陽指向の姿勢制御を行うだけで、軌道を変える能力は持っておりません。

【白石部会長】 ほかに何かございますでしょうか。
 それでは、この件、本衛星の運用終了については了承したいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり。)

 御異議ないようですので、本報告内容について了承したいと思います。
 JAXAの方では、この後、先ほど出ました意見・コメントにつきましても、是非よろしくお願いいたします。

(7)その他

【白石部会長】 では、議題(6)が一部非公開となりますので、議論の連続性を確保するために、まず議題(7)「その他」について行いたいと思います。
 まず、事務局から連絡事項があればお願いいたします。

【事務局(奥野企画官)】 本日の会議資料と議事録の公開について申し上げます。
 先ほどお諮りいたしました宇宙開発利用部会の運営規則に基づきまして、本日の会議資料は非公開審議資料を除き、公開することになりますので、後日、文部科学省のホームページに掲載いたします。
 また、議事録につきましても、非公開審議を除き、公開となります。したがいまして、事務方において議事録の案を作成し、委員の皆様に御確認頂いた上で、同じく文部科学省のホームページに掲載させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 次に、お手元の参考資料についてでございます。既に皆様御存じのとおり、JAXAは、今般、政府の研究開発法人制度の見直しに伴いまして、本年4月より独立行政法人から国立研究開発法人となっております。
 なお、この機会におきまして、JAXAにおいて組織改正が行われております。先ほどご説明申し上げましたとおり、本部会におきまして、JAXAのプロジェクトの進捗管理と非常にかかわりの大きな機関でございますので、JAXAの組織改正についてもご説明申し上げたく、資料を机上に配付しております。
 なお、JAXAの組織編成につきましては、JAXAの裁量事項ということもございますので、事務方に代わりまして、JAXAの側から簡単に資料等のご説明をいただければと存じます。よろしく。

JAXA(山浦理事)より参考1に基づき説明があった。

【白石部会長】 どうもありがとうございます。これについて何か質問ございますか。

【事務局(奥野企画官)】 その他の議題として御用意していたのは以上でございます。

【白石部会長】 よろしいでしょうか。どうぞ。

【吉田臨時委員】 今ご説明頂いた裏面の新旧対比の図でございますけれども、旧と新の対応関係はわかりやすくなっていると思うのですが、一つ質問させていただきたいと思います。
 旧では「月・惑星探査プログラムグループ」というものがございましたね、JSPECと呼ばれていたと存じますけれども、内容的にはJSPECがピンクの「宇宙探査イノベーションハブ」に継承されているという理解なのか。それとも、そうではなくて、また新たに完全にミッションあるいは人も入れ替えてイノベーションハブを立ち上げられたのか。そこら辺のところを教えていただければと思います。

【JAXA(山浦理事)】 はい、承知いたしました。
 まず、「月・惑星探査プログラムグループ」の中に三つのファンクションがございました。規模的に大きかったのは「はやぶさ2」でございます。これが無事打上がりまして、今は順調に航行しております。あと、運用とか、帰って来た後の研究というところは、すべて宇宙科学研究所で実施するということになりました。
 それから、将来の国の、あるいは、国際協力で大がかりな探査を検討しているというコアになっておりましたが、これは、右側にございます「宇宙探査イノベーションハブ」というところで個別具体的な研究をする。ただし、前提となる大きなシナリオの検討は「ミッション企画部」で行うということに致しました。それから、付随する研究は研究開発部門の方に一部ございます。したがいまして、宇宙科学研究所とイノベーションハブと、研究開発部門、これらに分かれております。

【吉田臨時委員】 わかりました。

【白石部会長】 よろしいでしょうか。

(6)新型基幹ロケットの開発状況について

【白石部会長】 それでは、次に議題(6)「新型基幹ロケットの開発状況について」に移りたいと思います。
 JAXAは、プロジェクトの企画・立案と実施に責任を持っております立場上、新型基幹ロケットのプロジェクト移行審査を実施しております。宇宙開発利用部会では、JAXAが実施した評価結果について報告を頂いて、その上で調査審議を行うこととなっております。今回は実施フレーズに移行するに際し実施する事前評価の位置づけになります。
 会議の冒頭に事務局から提案がございましたけれども、この議題はロケットに関する機微情報を含むため、公開審議を行った上で、非公開審議で進めることになります。
 本日の本部会での審議結果は、事務局において机上配付の様式「審議の視点」に沿って取りまとめられ、後日開催されます宇宙政策委員会 宇宙産業・科学技術基盤部会において報告される予定です。
 それでは、JAXAの方からお願いいたします。

JAXA(山本理事、岡田)より資料20-6に基づき説明を行った。

【白石部会長】 どうもありがとうございました。御説明に対し、何かコメントがありますでしょうか。無いようであれば、先ほども申し上げましたけれども、この後の議論はロケット開発にかかわる機微な情報が含まれることになりますので、非公開で審議したいと思います。
 プレスの方及び一般傍聴者の方は御退席をお願いいたします。

(プレス・一般傍聴者 退席)

以上

(説明者については敬称略)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課

-- 登録:平成27年06月 --