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宇宙開発利用部会(第14回) 議事録

1.日時

平成26年2月24日(月曜日)10時~12時5分

2.場所

文部科学省3階1特別会議室

3.議題

  1. 国際宇宙ステーション(ISS)に提供するISS構成要素及び搭載物の安全性確認について
  2. H-ⅡAロケット24号機の打上げに係る安全対策について
  3. 文部科学省における国際宇宙ステーション(ISS)及び宇宙探査に係る検討の進め方について
  4. 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の定常運用段階の成果について
  5. 新型基幹ロケット開発の進捗状況について
  6. その他

4.出席者

委員

部会長 柘植 綾夫
部会長代理 佐藤 勝彦
委員 渡辺 美代子
臨時委員 井上 一
臨時委員 鈴木 真二
臨時委員 中谷 一郎
臨時委員 永原 裕子
臨時委員 林田 佐智子
臨時委員 藤井 良一
臨時委員 安岡 善文
専門委員(調査・安全小委員会主査) 中島 俊

文部科学省

大臣官房審議官(研究開発局担当) 磯谷 桂介
研究開発局宇宙開発利用課長 柳 孝
研究開発局宇宙開発利用課企画官 竹内 英
研究開発局宇宙開発利用課長補佐 国分 政秀
研究開発局宇宙開発利用課長補佐 齋藤 ちひろ

【説明者】
環境省
 地球環境局研究調査室 室長補佐 野崎 佳宏
独立行政法人国立環境研究所
 地球環境研究センター 衛星観測研究室長 横田 達也
独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 理事 山本 静夫
 有人宇宙ミッション本部
  有人システム安全・ミッション保証室 室長 上森 規光
  有人システム安全・ミッション保証室 主任開発員 織田 裕久
 宇宙輸送ミッション本部
  事業推進部 参与 岡田 匡史
  宇宙輸送系システム技術研究開発センター 技術領域統括 有田 誠
  事業推進部 計画サブマネージャ 佐藤 直樹
  宇宙輸送安全計画室 主任開発員 和田 伸一
 第一衛星利用ミッション本部
  GOSATミッションマネージャ 中島 正勝

5.議事録

【柘植部会長】  定刻になりましたので、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会宇宙開発利用部会の第14回会合を開催いたします。まずは、事務局から本日の会議に関する事務的な確認をお願いいたします。

【竹内企画官】  本日は宇宙開発利用部会に御所属いただいております16名の委員のうち、10名の先生方に御出席いただいておりますので、運営規則に定める定足数の要件を満足しております。よって、本日の会議が成立していることを御報告いたします。次に本日の資料ですが、お手元の議事次第の4項のとおりお配りしております。なお、本日予定しております5件目の議題の「新型基幹ロケット開発の進捗状況について」には、新型基幹ロケットの国際競争力に係る情報が含まれておりますので、運営規則第3条3号の定めにより、当該部分の審議及び議事次第の4項で下線を付している資料の別添につきましては非公開とさせていただくことを提案いたします。事務連絡及び非公開審議に係る提案は以上でございます。

【柘植部会長】  ただいまの事務局の提案どおり、議題(5)の審議と資料の一部は非公開としたいと思いますが御承認いただきますでしょうか。

(「異議なし。」の声あり。)

【柘植部会長】  ありがとうございます。御異議なしということですので、そのようにさせていただきたいと思います。

(1)国際宇宙ステーション(ISS)に提供するISS構成要素及び搭載物の安全性確認について

【柘植部会長】  それでは早速、議事に入ります。一つ目の議題は、「国際宇宙ステーション(ISS)に提供するISS構成要素及び搭載物の安全性確認について」であります。早速ですが、調査・安全小委員会の中島主査から、小委員会での検討結果について報告をお願いします。

中島主査から、資料14-1-1及び資料14-1-2に基づき説明があった。

【柘植部会長】  ありがとうございます。JAXAが取り組んでいる活動は妥当であるという報告でございましたが、御意見がございましたら伺いたいと思います。いかがでしょうか。

【中谷委員】  一般的な質問ですが、今回審議されたExHAM(汎用宇宙曝露実験用ハンドレール取付機構)のように、実験サンプルのミッションによっては搭載位置も違ってくるとか、インターフェースにもマイナーな調整があるかもしれないという場合、つまり個別のミッションではなく一般性を有しているものに関するFMEA(故障モードと影響解析)やハザードの網羅的なチェックは、どういった思想でなされているのでしょうか。つまり、相手が変わると状況も変わるということがあると思われる場合に、どういった思想でチェックと審査をしているのかという点を、一般的な議論として教えていただけますか。

【JAXA(上森)】  JAXAの担当室長、上森から回答いたします。ExHAMは、船外活動を行う宇宙飛行士が手でつかむハンドレールという部品を、布団バサミのちょっと大きなようなものでつかみ込む機構を有するもので、電気系のインターフェースは全くありません。ちょっと特殊なケースですので、審査としてはそれほど複雑ではなかったと思っています。中谷委員のおっしゃる一般論として回答しますと、まずは宇宙ステーション本体あるいは搭乗員に支障がないかというトップ事象からのFTA(故障の木解析)をやることで網羅的にハザードを識別するという手法をとっています。そのあと、FMEAをやることで個々の不具合からそれがトップ事象につながらないかという確認をします。一般論で言いますと、そういう形で・・・

【中谷委員】  私が質問していることはそういったことではなく、ミッションによって、つまり相手にする実験サンプルによっては、取り付ける場所も違うでしょうしインターフェースも異なってくることがあるのではないかと思っているわけで、FTAやFMEAを行う時にそのようなバリエーションのある事項を含めて議論することはなかなか難しいような気がします。そこをどうなさっているかということを伺いたいと思います。

【JAXA(上森)】  ExHAMは、基本的には縦10センチメートル、横10センチメートルの材料プレートを載せて、それを曝露(ばくろ)実験するという装置ですので、その材料プレートが所定の規定を満足しているという条件で安全審査を行っています。その上で、材料プレートが所定の規定を満足しているかどうかについては、別途個別に審査を行うという形で安全性を確認していくようにしています。

【中谷委員】  ありがとうございます。

【柘植部会長】  せっかくの機会ですので、私からも一つ質問です。ISS(国際宇宙ステーション)全体の安全性確認については、恐らく国際基準と呼べるような上位のNASA(米国航空宇宙局)のアンブレラがあると思うのですが、JAXAが提供する搭載物に関する安全性確認については、それだけに頼るということは危険なので、JAXAとしての視点から安全性確認をするという工夫があるのではないかと思います。そういう思想がどういうアーキテクチャになっているか、これは非常に大きな質問だと思いますが、思想的な面でNASAの大きなアンブレラはこのようになっていて、それは当然守ってFTAなど行っている中で、JAXAとして視点はこうなっているといったような補足説明を頂ければいいと思うのですが、いかがでしょうか。

【JAXA(上森)】  資料14-1-1の付録1の3ページと4ページが、御質問の関係を表したものになります。まず、3ページの「要求の体系」ですが、これは1番上のIGA(国際宇宙基地協力協定)、MOU(宇宙基地了解覚書)といった政府間の協定を受けて、真ん中あたりの左側に書かれているISSに関する技術要求と、右側の安全開発保証要求、この二つをトップの要求として、NASAとJAXAで共同に設定しています。JAXAとしては、その二つの要求を満足する形で個々の実験装置やサンプルの開発をしているという形になりますので、JAXA独自の視点というわけではなく、NASAとJAXAで共通のもので審査をしています。次に4ページですが、ISS計画には日本やアメリカといった参加国がそれぞれ独立の立場で参加していまして、日本としては日本独自の安全指針が文部科学省において設定されておりますので、我々JAXAとしては、その文部科学省の安全指針も踏まえて安全を検証しているという形になっております。

【柘植部会長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは小委員会の提案どおり、ISSに供給する品目の安全性確認の審査結果を了承したいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし。」の声あり。)

【柘植部会長】  御異議がないようですので小委員会の検討結果を了承したいと思います。ありがとうございました。

(2)H-ⅡAロケット24号機の打上げに係る安全対策について

【柘植部会長】  次の議題に移ります。議題は、「H-ⅡAロケット24号機の打上げに係る安全対策について」です。引き続き、小委員会の中島主査から小委員会の検討結果について報告を願います。

中島主査から、資料14-2-1、資料14-2-2及び参考に基づき説明があった。

【柘植部会長】  ありがとうございます。更に安全性を高めるという意味で、今後とも幅広い議論をしていただくという報告だと思いますが、何か御意見がありましたら伺いたいと思います。いかがでしょうか。

【井上委員】  細かい質問ですが、先ほど少し重量的に余裕があるのでより安全な方向で対策を採ったと説明されましたが、これは具体的には、どのようなところに安全の工夫が施されているのでしょうか。

【中島主査】  ノミナルな飛行経路が、今までの実績以上に島から離れて飛行するように設定されています。紙ファイルの参考資料にとじ込んでいる小委員会の資料8-2-1を御覧ください。実線が今回の落下物の落下予想区域ですが、点線で示しています以前の21号機の飛行経路に比べて更に少し膨らまして、島から更に離れたところに落下物が落ちるようなことができるようになっています。そういうことで安全性を高めることができる。

【井上委員】  元々は、十分安全であったはずだと思いますが・・・

【中島主査】  それを、能力が余っているので更に遠回りして飛ばすように計画されているということです。

【井上委員】  そこが少し気になったわけですが、元々も当然安全だったという理解でよろしいですよね。

【中島主査】  その御理解のとおりで間違いありません。

【鈴木委員】  資料14-2-2でポイントについて御説明いただきましたけれども、「3.その他」の意味がよく理解できません。「経験を重ねることによって安全性をより高める」ということはいいのですが、「その方策が重要との観点からの審議」というところは、具体的にはどういうことが必要だという議論が行われたのでしょうか。

【中島主査】  今まで安全性が確保されてきたという部分については、ともすると目がいかなくなってしまうことがあり得ますので、そういうことがないようにしようということを、JAXAも我々小委員会もお互いに気をつけて確認していきましょうというわけです。

【鈴木委員】  具体的にはチェックリストとかを使う中で、今まで問題がないから良しとすることで見逃している点がないかどうかを、もう一度細かく見ていくということですか。

【中島主査】  油断していると、そういうところでの見落としがあり得るので、気をつけていきましょうということです。

【鈴木委員】  分かりました。

【中谷委員】  一つの今回の特徴は、副衛星の数が多いということだと思います。このこと自体が危険なことではないと思いますが、そのために安全性という点でどういった議論があったのか、簡単に教えてください。

【中島主査】  副衛星に関しては、特に安全性に関する議論は行いませんでしたが、一つ議論になったことは、飛行安全の「軌道上デブリの発生の抑制」という観点から、いわゆる放出機構がデブリを発生しないような仕組みになっているかどうかということがありました。そのほかの安全性に関しては、特に議論はありませんでした。

【中谷委員】  安全性の観点から、副衛星がメインのミッションに影響があるといったような議論はなかったのでしょうか。

【中島主査】  特にありませんでした。

【中谷委員】  小さな衛星が四つも放出されるわけですが、それに関する心配はないということですか。

【中島主査】  JAXAからは、メインの衛星が分離されてから十分に時間をおいてからそれぞれの副衛星を放出するようシーケンスを設定していると説明がありましたので、メインの衛星には特に影響はないと判断していますが、今回はそのことについての特段の議論はありませんでした。

【中谷委員】  どうもありがとうございました。

【安岡委員】  今の件ですが、資料14-2-2の2項の安全飛行のところに、「副衛星についてもデブリが発生しない分離機構を採用されていることを確認」と書かれていますが、これはある意味では、既にJAXAによって確認されているわけですよね。この時点で改めて確認したということの特別な点は、どういうことだったのでしょうか。

【中島主査】  JAXAの最初の説明は、デブリが発生しないことを確認しているということだったのですが、その具体的な機構を議論すると、JAXAの説明者にも少し不確かなところがあったので、改めもう一度確認をしたということです。その場では、副衛星は四つあって、三つの衛星はマルマンバンドという方式の放出機構でデブリが発生しないようになっているのですが、残る一つの衛星の分離機構は違う方式だということで、その詳細について少し時間をとって説明者から御担当に確認していただいて、確かな回答を頂いたという流れでした。

【安岡委員】  分かりました。

【藤井委員】  宇宙天気も考慮しているとおっしゃったのですが、具体的にはどういった考慮がなされているのでしょうか。太陽フレアであるとか、そういったものの予測をしているということだと思いますが、そういう情報はどこから入手されているのでしょうか。

【中島主査】  考慮している事項としては、太陽フレアが起こった場合には、その影響に関して確認してから打ち上げるようにしているということです。

【藤井委員】  その情報は天文台からくるのですか。

【JAXA(佐藤)】  JAXAから説明いたします。太陽フレアの情報は、NICT(独立行政法人情報通信研究機構)が公表している宇宙天気予報から得る予定になっております。

【柘植部会長】  御報告いただいた安全対策を確認する作業とベースになっている信頼性確保を確認する作業は、恐らく違うものだと思うのですが、作業側の責任という点ではシステム全体として表裏一体だと思います。信頼性確保の中で大きな失敗をしている原因としては、往々にして、現場で作業を進める中で思わぬことをしていたということ、例えば思わぬ部品を知らぬまに良かれと思って同等品として変えてしまったといったことがあります。そのような行為が、実はシステムの信頼性に対して極めて重大なマイナス点を及ぼしていて、結果的に事故を起こしたといったような苦い経験を、私も産業の中で経験しています。安全対策という面でも、そういったように良かれと思って、同等品だろうから大丈夫だろうと考えて、現場が現場の判断で変えてしまうという余地はあり得るのではないかと思います。そういったことがないように、今回の24号機でも安全性確認という観点から潰してくれていると思うのですが、安全対策・安全確保のためのシステムや部品の一部を現場の判断で変えることは決してないというところは、どのように確認されているのでしょうか。

【中島主査】  私は、現場の判断でそういったことはできないようになっていると考えています。

【柘植部会長】  変更させてはいないのですね。信頼性確保の面でも、それをきちんと徹底しているわけですか。

【中島主査】  変更が必要な場合は、事前にJAXAに承認を得てから変更するという手続が、通常の基本動作として徹底されていると思います。

【柘植部会長】  分かりました。そのあたりについて、信頼性確保の歴史の中で非常に苦い経験をしていることを考えたわけですが、安全性対策の面でも同じことが考えられていると確信しました。それでは、小委員会からの報告につきまして御了承いただきたいと思いますがいかがでしょうか。

(「異議なし。」の声あり。)

【柘植部会長】  それでは御異議がないようですので、小委員会の検討結果を了承したいと思います。ありがとうございました。

(3)文部科学省における国際宇宙ステーション(ISS)及び宇宙探査に係る検討の進め方について

【柘植部会長】  次の議題に移ります。次の議題は、「文部科学省における国際宇宙ステーション(ISS)及び宇宙探査に係る検討の進め方について」であります。事務局から説明をお願いいたします。

事務局(柳課長)から資料14-3-1及び資料14-3-2に基づき説明があった。

【柘植部会長】  ありがとうございます。これは、科学技術の面からも、あるいは財政面へのインパクトも含めて重大な件だと思いますし、第5期の科学技術基本計画にも影響が及ぶと思いますので、御質問なり御意見をお願いします。

【安岡委員】  ISSとISEF(国際宇宙探査フォーラム)はイコールではないと考えますと、ISEFの会議でISSの延長が表明されるといった点に違和感を持ちますので、この背景を教えていただきたいということが1点目、もう一つは、ISSの中で宇宙探査がどういう位置づけになるかということは既に議論されているのかどうか、この2点をお伺いしたいと思います。

【柳課長】  まず、1点目のISEFとISSの関係でございますけれども、この会議で議論されていることは、国際協働で大きな宇宙分野のプロジェクトをやっていくということでして、それがポストISSであるという意識になっていると思います。その計画のアイデアについては、これまでもいろいろな宇宙機関が参加するISECG(国際宇宙探査協働グループ)活動の中で議論されているのですが、そこには恐らくアメリカの財政状況を見ながらISSがどうなっていくのかということも考えられていると思います。ISSは、いろいろな国が参加をしてプロジェクトを成し遂げていくといった経験を積み重ねていますし、そこで培った技術を踏み台にしてその次につなげていくという観点もあると思います。例えば日本であればHTV(宇宙ステーション補給機)などを開発してきたわけですが、その技術を、例えば月近傍で何かをする場合の輸送系技術として発展させていくとか、それからまだやると決まったわけではありませんが有人火星探査といった場合には、当然ISSで培ってきた有人技術が活用されると思います。そういうことで、ISSで作ってきた協力という枠組みと、ISSで培ってきた技術の両方を活(い)かすという意識で、ISEFの中ではISSと深く絡めて議論がなされたと理解しております。2点目の御質問は・・・

【安岡委員】  ISSの中で宇宙探査がどういう位置づけになっているかという議論は、既にもうされているのでしょうか。特に、日本の中でそういった議論がされているのでしょうか。

【柳課長】  宇宙探査について申し上げると、先ほど申し上げた宇宙機関の間ではISECGという枠組みで議論されていますけれども、政府レベルでは余り議論は進んでいないと理解しています。また、民主党政権の時には官邸主導で「月探査に関する懇談会」という検討の場がありまして、そこでは日本のロボット技術を活(い)かして無人で月探査をやろうといったような話もありましたが、その後宇宙政策委員会ができ、宇宙探査の優先順位は一番低くなっているということもありますので、日本の中での宇宙探査の議論も進んでいないと理解しております。その意味では、今回の小委員会の設置についても、ここで全てを決めていくということではありません。政府としては内閣総理大臣を本部長とする宇宙戦略本部という検討体制がありますし、政府全体の宇宙分野の司令塔としては内閣府に宇宙政策委員会がありますので、最終的な判断はそちらで行われることになろうかと思いますが、その前に、まず文部科学省としてどのように捉えていくのかということをこの小委員会で整理・議論していただきたいと思っています。ISSを延長するかしないかということにつきましても、これまでの成果をおさらいしていくということが必要でしょうし、その中で、先ほど申し上げたようにISSで得た技術をベースに宇宙探査に活(い)かしていける技術は何だろうかといったあたりを明らかにしていければいいと思っています。

【柘植部会長】  この課題については、小委員会できちんと議論していただきたいと思いますが、小委員会の設置についての何か御意見があればお願いします。

【永原委員】  今の点でもう少しお伺いしたいのですが、日本としての意思決定は、今後どういう形でなされていくのでしょうか。例えば、総合科学技術会議や宇宙政策委員会と文部科学省の関係はどうなるのでしょうか。小委員会を設置するとしても、意思決定の枠組みが決まらないと、本当に何を議論すれば良いのかがはっきりしないと思います。そもそもポストISSプロジェクトに参加するかしないかとかといった根本的なところが、どこで、どうやって決まっていくのかということをもう少し説明いただければと思います。

【柳課長】  ISSを延長するかどうか、あるいは国際宇宙探査に参加するかしないかについて最終的に判断をするところは、内閣総理大臣を本部長とする宇宙戦略本部で決定することが最後のステップだと思います。それから、内閣府の宇宙政策委員会には司令塔という立場もありますから、我々としては、当然宇宙政策委員会でも今後議論がなされていくもの思っております。ただし、宇宙政策委員会での議論の前に、まずは我々が担当省庁としてこれまでの成果のおさらいし、技術的な強みが何かということを整理しておく必要があろうと考えています。宇宙政策委員会ができるときには政策論を中心に議論するということでしたので、この宇宙開発利用部会では技術的要素も含めて詰めていくという視点が強くなっていると思っています。従いまして、宇宙開発利用部会として、これまでのISSに成果があったと見るのか見ないのか、それから宇宙探査をしていく価値があるのかないのかといったことを、技術面で皆さんから広く御意見を頂いて、それを踏まえて文部科学省としての意見をまとめ、それを宇宙政策委員会の場などに提案させていただくということになろうかと思っております。

【柘植部会長】  永原委員の御質問に関しては、私も柳課長の御説明が今の国としての意思決定のプロセスであると思いますが、科学技術・学術審議会の立場や認識も、かつてとは変わりつつあると思っています。今、走っている第4期の科学技術計画をつくる時とは環境が変わり、我々の認識も変わりつつあるというこの時期に、ISSに関する今の命題について小委員会を置いて、ISSの学術的な価値や社会的な価値も含めてもう1度ドリルすべき時期に来ているように思っております。どういうことかと申しますと、昨年の1月、科学技術・学術審議会自身が野依会長の下、社会のための学術ということを大臣に答申したわけですが、この1年間、その大きなアンブレラの中で社会のための学術ということを掘り下げてきています。そういう中では、米国のISSを続けたいという意見に対して、我々としてはISSを通した学術あるいは科学技術というものを純科学という観点と社会のための科学という観点に照らして改めて議論し、どれだけ国民にとって価値があるものなのか、価値があるものにすべきなのかということを掘り下げる時期がきたなということです。その議論の成果物は、ちょうど1年前に野依会長が科学技術・学術審議会の会長として大臣に建議した活動の一つとして位置づけられるものであると感じております。議論の結果がどういうふうになるかについてはこの小委員会に委ねられるべきだと思いますが、この小委員会の設置が決定した際には、是非小委員会のメンバーには、今私が申し上げたように、この議論は科学技術・学術審議会の大臣への建議の一つのケーススタディでもあるということを我々の意見として出したいと思います。こういう課題設定をしたいと思っている次第でございます。中谷委員、お待たせいたしました。

【中谷委員】  まず、ISEFで大臣自らが日本として将来の宇宙探査に主体的に貢献するということを国際表明していただいたことは、大変心強く思っています。その延長でもあるわけですけれども、ISS・宇宙探査小委員会を設置して、いろいろと議論を深めていただくことは大変結構だと思います。しかし、その中で注意しなくてはいけないことは、ISSをどういうふうに活用していくか、どういうふうに国民にアピールしていくかという視点はもちろん大事ですけれども、もっと大きな課題はディープスペースも含めて日本の宇宙探査をどういうふうにこれから位置づけてどういうふうに発展させていくかということだと思います。大変大きな課題であって、その中には有人という要素も出てくるでしょうし、ISSも一つのトピックになると思いますので、ISSの運用延長ということに矮小(わいしょう)化せずに、我が国のディープスペースを含む宇宙探査をどういうふうにこれから発展させるか、その中に我が国として有人をどういうふうに位置づけていくかといったように、大きな視点からの議論が望まれると思います。そういう時期だと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

【柘植部会長】  井上委員、どうぞ。

【井上委員】  私も、腰を据えて宇宙探査をやっていこうということを文科大臣が表明されたことは、大変高く評価したいと思います。ただし、これまで議論があったことですが、やはりISSの位置づけについては、こういう大きな探査に向けた流れの中でどういう位置づけとして考えられるかということを、しっかり日本として議論をしておくべきだと思います。柳課長がおっしゃったように、技術的な面ではISSが非常に重要なステップを踏んでいるということをしっかり認識した上でその先の探査を目標にしているということを、しっかり確認しないといけないと思います。そういった時に、基本として議論されるべきことは、有人という部分をどう考えていくかということと、国際的な動きということをどう考えていくかということだと思いますが、そのほかに、いわゆる宇宙科学という部分でも探査をやっていくということが関係してくると思います。現在の大きな考え方の中では、探査については、非常に挑戦的な部分は科学の面でやっていき、有人や国際的な大きな動きに関わるものについては国として取り組んでいくというような考え方で、ある程度の整理がなされてきているように思います。このISS・宇宙探査小委員会で考えていこうとしている部分と、一方では宇宙科学小委員会というものもありますので、そのあたりをどのように整理して考えておられるかをお聞きしたいと思います。

【柳課長】  宇宙探査については、おっしゃるように宇宙政策委員会の議論においても宇宙基本計画の中でも二つの探査という捉え方がなされています。そのうち、宇宙科学として行う探査については政策的にどうこうすべきというものではありませんので、ISS・宇宙探査小委員会の主となる議論は、まさにこれから国際協働として各国でやろうとしている宇宙探査というものはどういうふうに進めていくのかというところになろうかと思います。しかし、それを議論する時に、もう一方の宇宙科学として捉える探査との関係をどうしていくのかということを全く議論しないわけにはいかないと思いますので、そのあたりについても、どういう関係として捉えていくのかということについて、是非御意見を頂きたいと思っております。

【井上委員】  是非そういう観点も含めて議論いただきたいと思います。

【柘植部会長】  林田委員、どうぞ。

【林田委員】  すみません。こういった小委員会をつくるに当たりましては、その小委員会が何を所掌するか、どういう範囲を議論するためにつくるのかということが非常に重要だと思います。今回の事務局の御提案については、ISSだけですと分かりやすいのですが、「国際宇宙ステーション・宇宙探査」となっていますので、地球を探査することはISSには入っていないのかと思うわけです。このことはこれまでも申し上げてきたと思いますが、昨年の夏頃に宇宙科学小委員会から宇宙科学についての御意見が出された時に私が感じましたことは、宇宙科学としての宇宙探査と言われるとその対象は天文・惑星というようになってしまって、地球探査あるいは地球観測というものは現状のままというように位置づけされて、地球観測の理学というものが抜け落ちてしまっているということでした。それについては、私は小委員会の御意見が出された時に意見として事務局に送らせていただきましたが、そういったことを思う人たちがほかにもいますので、現在、日本学術会議の中に地球観測の委員会を立ち上げて提言書をまとめる努力をしております。そのように考えますと、この小委員会が何を所掌するかという定義が曖昧ですと、はざ間に落ち込んである部分が抜け落ちてしまうということになりかねないと思います。ですので、私はどうも国際宇宙ステーションと宇宙探査の二つが同列に並んでいる小委員会というところが気になりまして、むしろ二つを分けていただいて、ISSはISSに特化した小委員会をつくり、宇宙探査は宇宙探査の小委員会をつくるというふうにした方がいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

【竹内企画官】  「国際宇宙ステーション・宇宙探査小委員会」については、先ほど柳から御説明しましたように、ISSで培った技術をどのように探査に移していくかという面と、国際的枠組みをどうするかという面がありまして、国際的にも欧州あるいはアメリカはそのように一体として捉えて議論をしておりますので、我々としましてもこのような面を検討するに当たってISSと宇宙探査を分けて議論すると、なかなかうまくいかないところも出てくるのではないかと考えているところです。御指摘の地球観測につきましては、私どもとしても重要性を認識しておりまして、次の議題でGOSAT(温室効果ガス観測技術衛星)の報告もございますが、実は今年度、私どもとしては地球観測のコミュニティをつくるといった内局の調査を始めておりまして、地球観測のニーズをしっかりと受け止め、幅広いニーズを集めていくということを考えております。今後、そういうことにつきましても、必ずしも小委員会をつくるということわけではなく、宇宙開発利用部会で御議論いただくことが必要になるかと思っています。

【林田委員】  そういうことでしたら一つの小委員会で結構ですので、地球観測という視点が国際宇宙ステーションの利用から抜け落ちないような人選を考えていただきたいと思います。

【柘植部会長】  私も林田委員と同じことを心配しております。先ほど申し上げたように、1年前に野依会長から大臣へ建議したことの一つの事例として、我々は地上に住んでいるわけですので、海洋を含めた地球という視点からISSの価値について、科学の面と社会の面を含めて議論してはどうかと思います。2項の調査検討事項では「ISSへの参加の在り方について」となっていて、全く視野を限定していませんので、そういう視点で小委員会の活動がなされるようなスペックになっていると思います。宇宙探査というだけではなくて、今申し上げたような視野まで広げることができると私は理解していますので、是非林田委員の御指摘されたように、人選も含めて小委員会の活動のスコープに間違いのないようにしていくことが大事だと思います。

【佐藤委員】  2点ほどお話ししたいと思います。一つ目は、既に井上委員からも指摘されたことではありますけど、2項の「調査検討事項」の2番目に、「我が国の宇宙探査の進み方」ということがはっきりと書いてあるところ、宇宙探査全般を小委員会で議論することにすごく違和感があります。これが「ISSを利用した宇宙探査の進め方」ということであれば、林田委員も御指摘されたように小委員会で議論する範囲が非常に分かりやすくなると思うのですが、こういった一般的な宇宙探査の進み方についてこの小委員会で議論していただくということは、私には分かりにくいです。例えば、どのようなロケットをつくっていくかという議論をしている委員会もありますし、開発研究としての宇宙探査について議論する委員会もありますから、この小委員会の報告の中にそのような一般的なことまで含めるのかどうかという点をどのように考えているのでしょうか。それから2点目は、この小委員会は文部科学省に設置された科学技術・学術審議会の中の小委員会であることを十分踏まえて、議論をしていただきたいと思います。そうでなければ、国策の話といったことが議論されると、それは内閣府の宇宙政府委員会と同じ議論になりますので、やはり科学技術という観点でしっかりとしたことをまとめていただきたいと思います。

【柘植部会長】  佐藤委員の御質問については、渡辺委員の御発言を含めて回答いただきたいと思います。渡辺委員、どうぞ。

【渡辺委員】  今後の進め方について、小委員会を設置して議論していくということはとても重要なことだと思います。その中で、先ほど柘植部会長から社会の中の科学と社会のための科学というところを重要視しながら進めていくべきだという点が、とても重要だと思います。この資料を見ますと、1項の「設置の目的」も2項の「調査検討事項」もそのように受け取ることはできるのですが、明確には書いてありません。国民の理解を得るという観点だけではなくて、国民の意見を聞きながら国民に還元できるような科学を進めていくというような観点を重視しながら、こういった議論を進めていただきたいと思います。

【柳課長】  御指摘ありがとうございます。御指摘いただいた事項は、肝に銘じてやっていきたいと思います。そこで、佐藤部会長代理から御指摘のあった単なる宇宙探査では広すぎるのではないか、何でもかんでも議論するのかという御懸念については、今、国際的に議論が盛り上がっているISEFを中心とした動きを主たる議題としていただくという意味で、少し修正を提案したいと思います。資料では、小委員会の名前を「国際宇宙ステーション・宇宙探査小委員会」としていますが、「宇宙探査」の前に「国際」と入れてはいかがでしょうか。2項の「調査検討事項」の2番目も同様に「我が国の国際宇宙探査の進め方」とすれば、主たる議論としては、例えば、ISSのように国際協働で進めていく宇宙探査をどうするのかということが分かりやすくなるのではないかと思います。ただしそうであっても、先ほど井上委員からも御指摘あったように、それ以外の探査のことを全く考えずに議論していくということにではなく、そういった探査との接触点という意味で関係する御意見を頂きたいと思います。そのように、議論の範囲があれもこれもと広がってしまうのではないかという御懸念に対しては、「国際」と付けることで範囲を明確できると思いますが、いかがでしょうか。

【柘植部会長】  部会長の提案でございますけれども、小委員会を設置するという方向については今日お認めいただくとして、資料14-3-2の「設置の目的」と「調査検討事項」につきましては、各委員からの御意見をできるだけ反映して部会長と部会長代理と事務局とで推敲(すいこう)するということを一任させていただけないかということでお諮りしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。事務局もそれでよろしいでしょうか。

(「異議なし。」の声あり。)

【柘植部会長】  それでは、今の私が申し上げた提案で御承認いただけたということで進めさせていただきます。また、設置しました小委員会に属すべき委員につきましては、部会の運営規則にしたがいまして、佐藤部会長代理とも相談しながら部会長である私から指名させていただきたいと思います。

(4)温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の定常運用段階の成果について

【柘植部会長】  それでは少し時間が押しておりますので、次の議題に移ります。議題は、「温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の定常運用段階の成果について」であります。「いぶき」は5年の定常運用段階を無事終了し、引き続き後期運用段階に入っています。また、JAXAでは「いぶき」の後継機の開発にも着手する準備を進めているとのことですので、本日は定常運用段階の成果を報告してもらい、今後の後期運用と後継機の開発に向けての御意見をお願いしたいと思います。それではJAXAから説明をお願いします。

JAXA(山本理事)及び独立行政法人国立環境研究所(横田室長)から資料14-4に基づき説明があった。

【柘植部会長】  ありがとうございます。本当にすばらしい成果をあげられていて、いろいろなことに感銘いたしました。それでは、御質問、御意見があればお願いいたします。

【永原委員】  大変すばらしい成果であると、感動して聞かせていただきました。そこで、成果のポイントとしては、空間的に網羅的に追えるようになったということが重要だと思います。しかし、7ページではGOSATの観測と地上観測はこれだけ精度よく合っているということだけ書かれていますので、地上でこれだけの精度で観測できるのであればGOSATはいらないのではないかと言われるのでないかと思われます。ですので、むしろ成果としては空間分布であって、従来の地上観測だけですとこれだけしか得られなかったところが、GOSATがあることでここまで網羅的に見えるようになったということではないかと思うのですが、我々はそのようなことをどの図で認識すればよいのでしょうか。

【国立環境研究所(横田)】  お答えいたします。地上観測点は2ページの左側の図のとおりに配置されています。

【永原委員】  それは分かっていますが、空間分布としての効果はどの図を・・・

【国立環境研究所】  8ページの上の段の図を御覧ください。少々見にくいのですが、四角い部分と丸い部分がありまして、丸い部分が地上観測点です。丸い点が海上にぽつぽつと、それからヨーロッパとかアメリカに集中しておりますが陸上にもぽつぽつとございます。それに対して、四角い色が付いているところがGOSATで測ったところです。アマゾン、中央アフリカ、それからインドのあたりが大きく白く抜けている理由は、このデータは7月のデータですが、ちょうどこの時期は雲がかかっていて「いぶき」は測れなかったということですが、アフリカのあたりには、丸で示している地上データが少しあります。そのほかに、船舶や航空機で観測したものが、アジアからオーストラリアのあたりに縦に丸い点でつながっています。こういったものが、今まで地上で測られていたデータになります。

【永原委員】  よく分かりました。ありがとうございます。それからもう1点お伺いしたいのですが、環境研ではこういったすばらしい成果をデータ化されているということですが、利用側としてこれだけのすばらしいデータを利用する場合に、実際にはどういうふうに配布されていて、どこでどのように利用されているかについて教えていただければと思います。

【国立環境研究所(横田)】  処理をしたデータについては、一般ユーザと研究者には環境研から、宇宙機関にはJAXAからそれぞれデータを配信しております。標準プロダクトは、ほぼ全てのものを配信し続けております。環境研の場合、一般ユーザとしては半分以上が日本からのアクセスでして、54パーセントになっています。また、GOSATのデータを積極的に使っていただける登録研究者でございますが、研究者としてはアメリカ、ヨーロッパ、韓国等からのユーザが多いようです。それから論文数ですが、これまで「いぶき」のデータに関連した論文は129報が出されていまして、日本の研究機関に所属した研究者からの発出は約3分の1、その他は海外から出されております。すなわち、「いぶき」のデータは海外の国際研究者が利用して、いろいろな成果の論文が報告され始めているということになります。

【永原委員】  つい最近も新聞紙上で話題になっていましたが、行政では使われていないのでしょうか。まだまだ、主に研究者が利用しているという段階なのでしょうか。

【環境省(野崎)】  現状は研究者の皆さんが論文等で成果を出しているところですが、行政ニーズについては、今、検証しておりまして、来年度以降に直接的に行政で使えるように検討しているところです。

【柘植部会長】  その件に関連して、現在の第4期の科学技術基本計画は来年度が最終年度ですが、第5期に向けては社会還元のことが今まで以上に問われるようになってきます。したがって、論文数であるとか海外で利用されているといったことは、それはそれで誇るべきことではありますが、やはり我々の生活の中にどれだけ活(い)かされているかということ問われることになります。そこは、かなりいいところまできていると思います。そこで、これは文部科学省への質問になりますが、第3期の科学技術基本計画の中でつくられた海洋地球観測探査システム、文部科学省が統括して関係省庁をデータで結んでそれぞれの行政に活(い)かしていくという統合システムの現状はどうなっているのでしょうか。それには、GOSATのデータがどのように組み込まれて、今後の環境予測や天気予報に活(い)かされるようになっているのでしょうか。第5期の基本計画が目前となってきていることを考えると、そういう形のものがここまでできているので、それを社会に活(い)かしながら、科学の面では更にこういった部分を掘り下げていきたいということを社会に対して言えるようにしておく時期がきていると思います。統合システムの現状と、そこにGOSATのデータがどういうふうに組み込まれているのか、あるいは組み込もうとしているのかといったことを見える化する必要があると感じた次第であります。井上委員、どうぞ。

【井上委員】  2点、技術的な質問があります。一つ目は、11ページに幾つか新しい成果が生まれてきているといったことが書かれていますが、これは観測データとしては結構広い範囲の波長が取れているので、その中のある波長帯を新たに切り出すことができたといった種類のものなのか、それとも事前に観測する波長帯として選ばれている中で、こういう成果が現れたというもののどちらでしょうか。つまり、GOSATの観測データとしては、これからも思いもよらない何か新しい成果が生まれてくるようなもっと広い可能性を秘めているといった部分があるのかということが一つ目の質問です。二つ目の質問は精度向上についてですが、9ページには、地域によっては誤差の低減率が非常に高いところがあると書かれていますが、これを改善していくために非常に苦労しておられるものとしては、まだ何か残っているのでしょうか。

【国立環境研究所(横田)】  簡単にお答えいたします。最初に11ページですが、括弧の1は、もともとは予定しておりませんでした。酸素の観測データ、「いぶき」ではバンド1になりますが、この全体のベースラインをかさ上げすることによって得られたもので、いわゆる想定しなかった成果です。スペクトルのクオリティが非常に高かったということから得られた結果です。括弧の2は、熱赤外でこれを含むバンドを持っておりましたので、解いてみたら解けたということで、これはどちらかというと想定された波長帯から言える結果になっています。二つ目の御質問、誤差の低減がそれぞれの地域で異なるということについては、もとから地上観測点がたくさんある地域では低減率が低いのですが、全くなかったところに衛星データを入れて推定するということの効果が非常に高かったということです。残っている課題としては、「いぶき」の濃度データには、エアロゾルや薄い雲(絹雲)とどのように戦って精度をよりよくしていくかという問題がまだ残っており、世界中の研究者が独立にその問題に取り組んでおります。それから、衛星データを利用してどの地域が二酸化炭素を吸収・排出しているかという研究については、「いぶき」でも測ることができていない、あるいは測りにくいところがありますので、今後どうやって衛星で観測できるところを増やしていくかといったことが課題になっております。政治的、政策的に地上観測を置きにくいところを衛星で精度良く測ることが世界の研究者あるいは政策者が望んでいることですので、そのようなセンサをどのように開発するかといったことが2番目の課題となっております。

【磯谷審議官】  先ほど柘植部会長の御指摘にあった地球環境観測の関係について申し上げます。御存じの方も多いと思いますが、平成16年の総合科学技術会議で「地球観測の推進戦略」という形で、今後10年間の地球観測と地球環境の方針について問うていただいたわけですが、ちょうどその頃、GEO(地球観測に関する政府間会合)という国際的な動きもあり、そちらでも10年間にわたって国際協力で地球観測を行うという計画が進められていました。実は私、1月の中旬にGEOの会議がありましたので、副大臣とともにジュネーブに行って参りましたが、それは、2015年以降の新しい10か年計画を引き続き国際協調でつくっていこうという話のキックオフの会議でした。そういった流れも受けて、今、日本国内でも事務的に調整をしているところですが、今までの10年計画がどうだったのか、今後の将来計画についてはどうすべきなのかということを、科学技術・学術審議会における御審議も踏まえて総合科学技術会議で議論していくということも考えているところです。もう一つ、先ほど林田委員から御指摘のあった時に申し上げようと思っていたのですが、地球観測ということになりますと、JAXAやいろいろなところで進めている衛星だけでなく、地上からの観測、海からの観測といったものが全て含まれてきますので、そういったものを総合的に捉えて、今後どういうふうに進めていくかということをしっかりと議論をしていただきたいと考えています。また、これも先ほど御指摘があった「いぶき」のデータの利用に関しましては、ジュネーブの会議でも国立環境研究所の方に来ていただいて成果をパネルで紹介させていただきましたし、GEOSS(全地球観測システム)の計画として日本はDIAS(データ統合・解析システム)という統合データベースを東大の小池教授を中心につくっていただいておりますので、そういったところを中心に日本のデータについては基本的に全てアクセスができるようにオープンにして、世界の研究者がそれを使えるような状況ができております。JAXAもオープンポリシーを定めて適応する段階になっていまして、ジュネーブの会議でも各国から非常に評価を得たところであります。これからもそういう方向で、しっかりと議論していきたいと思っております。

【柘植部会長】  この件はよろしいでしょうか。是非とも我が国の技術を、これはまさに日本のソフトパワーを世界に示す非常に有り難い成果でありますし、社会還元という面にも努めていただきたいと期待する次第でございます。それでは、この議題は終わらせていただきます。ありがとうございました。

(5)新型基幹ロケット開発の進捗状況について

【柘植部会長】  次の議題は、「新型基幹ロケット開発の進捗状況について」です。早速ですが、事務局から説明をお願いします。

事務局(柳課長)から資料14-5-1及び資料14-5-2に基づき説明があった。

【柘植部会長】  ありがとうございます。それでは引き続き本件の具体的な議論を進めていきたいと思いますが、冒頭に決定しましたとおり、このあとの議論にはロケット開発に係る機微な事項が含まれますので非公開で審議をしたいと思います。非公開の審議に際してはプレス及び一般傍聴者の皆さまには御退席いただきますが、その前に6番目の議題の「その他」として連絡事項を先に済ませたいと思いますので、事務局からお願いします。

(6)その他

【竹内企画官】  会議資料と議事録の公開について申し上げます。宇宙開発利用部会の運営規則に基づきまして、本日の会議資料は非公開部分を除いて公開となりますので後日、ホームページに掲載させていただきます。また議事録につきましても非公開審議部分を除きまして、委員の皆様に御確認いただいたのちにホームページの方に掲載させていただきますのでよろしくお願いいたします。

【柘植部会長】  それでは非公開審議に移りますので、プレス及び一般傍聴者の方々は御退席をお願いいたします。

(プレス及び一般傍聴者退席)

以上

(説明者については敬称略)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課

-- 登録:平成26年04月 --