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宇宙開発利用部会(第2回) 議事録

1.日時

平成24年9月6日(木曜日)13時~15時10分

2.場所

文部科学省 3階 2特別会議室

3.議題

  1. 安全確保に関する事項の審議・検討のための評価指針・評価基準について
  2. H-ⅡBロケット3号機の打上げ結果及び宇宙ステーション補給機「こうのとり」3号機(HTV3)の運用状況について
  3. 文部科学省における宇宙分野の推進方策について
  4. その他

4.出席者

委員

委員(部会長) 大垣 眞一郎
委員(部会長代理) 柘植 綾夫
臨時委員 井上 一
臨時委員 河内山 治朗
臨時委員 服部 重彦
臨時委員 青木 節子

文部科学省

大臣官房審議官(研究開発局担当) 大竹 暁
研究開発局宇宙開発利用課長 柳 孝
研究開発局宇宙開発利用課宇宙連携協力推進室長 斉藤 康弘
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 坂田 肇

【有識者】
元宇宙開発委員会委員長 池上 徹彦		
元総合科学技術会議議員、慶応義塾大学名誉教授 薬師寺 泰蔵
日本航空宇宙工業会 宇宙委員会委員長 笹川 隆

【説明者】
独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 宇宙輸送ミッション本部 H-ⅡBプロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 宇治野 功
 有人宇宙環境利用ミッション本部 事業推進部長 上野 精一

5.議事録

【大垣部会長】 それでは定刻になりましたので、科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 宇宙開発利用部会の第2回会合を開催します。暑い中お集まりいただきありがとうございます。
会議に先だって、まずは事務局から、本日の会議に関する事務確認をお願いします。

【斉藤室長】 事務局から、3点確認させていただきます。まず、本日の会議の成立について、御報告します。科学技術・学術審議会令の第八条第1項において、「審議会は、委員および議事に関係のある臨時委員の過半数が出席しなければ、会議を開き、議決することができない」と定められており、第八条第3項において、「その規定は、部会の議事について準用する」と定められています。本日時点で、宇宙開発利用部会には6名の先生方に構成員として御所属いただいており、本日は6名全員の先生方に御出席いただいていますので、定足数を満足しております。よって、本日の会議が成立していることを御報告いたします。
 続きまして、前回の会合以降に8月1日付けで、事務局に人事異動がございましたので、名前だけ紹介させていただきます。宇宙開発利用課長ですが、前任の佐伯が異動になり、後任に柳が着任しております。また、宇宙連携協力推進室長ですが、前任の井手が異動になり、後任に斉藤が着任しております。よろしくお願いいたします。
 続いて、本日の資料を確認させていただきます。

斉藤室長から配布資料の確認が行われた。

(1)安全確保に関する事項の審議・検討のための評価指針・評価基準について

【大垣部会長】 それでは議事に入ります。最初の議題は、「安全確保に関する事項の審議・検討のための評価指針・評価基準について」です。まずは、事務局から説明をお願いします。

坂田課長補佐から資料2-1-1、資料2-1-2、資料2-1-3、資料2-1-4、参考2-1及び参考2-2に基づき、説明があった。

【大垣部会長】 ただいまの事務局説明について、御意見・御質問がありましたらお願いします。

【河内山臨時委員】 関連質問で、実際の調査・安全小委員会での審議のプロセスは、従来の宇宙開発委員会であれば付託されて、最終的に報告で終わっているのですが、具体的なプロセスはどうなっていますか。

【坂田課長補佐】 御説明申し上げます。本日お配りしている資料の参考2-2を御覧ください。これは第1回の部会のときにお決めただいた調査・安全小委員会の設置紙です。まず、2ポツのところ、「調査・安全小委員会で検討する事項は適宜この部会が個別に決定して付託をする」ということで、基本的なプロセスはこの部会から付託を行います。「ただし、以下の事項については」というところで、一括付託をするものについてはすでに列記しておりますので、そちらについては個別に付託することなく、必要性が出たときに「適宜適切・機動的に調査検討を行う」ということで、ロケットの打上げ安全等や重大な事故というものについてはすでに付託がなされています。裏面に進んでいただき、4ポツのところで、さきほど言いましたように小委員会では本日御提案申し上げているものを宇宙開発利用部会で定めていただいて調査検討を行いますがその検討結果については、(2)にあるとおり「宇宙開発利用部会に報告し、議決を受ける」というプロセスで完結することになります。

【河内山臨時委員】 それでは、一括付託されたものについては、事務局の方から小委員会にこういう準備が整いましたという連絡があって、それから開始されるということでよろしいでしょうか。

【坂田課長補佐】 はい。事務局の方で準備を取りはからいたいと思います。

【河内山臨時委員】 わかりました。

【大垣部会長】 他にありますでしょうか。それでは、資料2-1-2、資料2-1-3、資料2-1-4について、宇宙開発利用部会として決定するということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【大垣部会長】 それでは御異義がないようなので決定といたします。ありがとうございました。

(2)H-ⅡBロケット3号機の打上げ結果及び宇宙ステーション補給機「こうのとり」3号機(HTV3)の運用状況について

【大垣部会長】 二つ目の議題は、「H-ⅡBロケット3号機の打上げ結果及び宇宙ステーション補給機「こうのとり」3号機(HTV3)の運用状況について」です。これについて、JAXAから報告をお願いします。

JAXAから資料2-2-1及び資料2-2-2に基づき、説明があった。

【大垣部会長】 ありがとうございました。ただいまの報告について、御意見・御質問がありましたらお願いします。

【井上臨時委員】 資料2-2-1の5ページで、継手が少しゆるんでいたということですが、トルクを手動でかけるときに、別の継手にゆるみがでるということは理解できるのですが、これまでのたくさんの打上げに対して何度も同じプロセスを繰り返してきていた、という理解でいいですか。

【JAXA(宇治野)】 そうですね。ただ、漏洩点検において確認して再度しめるという行為は当然できます。今回の漏洩点検も含めて、ガスをパージしているときに測りたいという、漏れの点検を流動といいますが、ゆるみが発見できない可能性が高まっていることに対して、同じようにゆるんだとしても流動的な漏洩点検で確認してしめることはできるので、リカバリの対策があるということと、それからバックアップトルクをかけるという行為は、注意深くやっていれば普通に問題なくゆるめないでかけられる行為ですので、しめる行為自体が今回はゆるめるような力が入ってしまいましたが、通常は良好に作業できていました。

【井上臨時委員】 これまでにも可能性はあったが、今回だけ特別にこういうことになったというところに何か他に気を付けておくことは隠れていませんか。作業上の注意に、ある種気のゆるみが生まれていたという理解をしているということですか。

【JAXA(宇治野)】 いえ、そうではありません。作業されている方もベテランの方でそれなりに技量を持った人です。そこに気のゆるみはないと思っています。ただ、点検方法の順番は、ここで提案していますように、まずポートを締めてから近傍配管継手トルクを点検する方が確実なので、同じ作業者がやってもさらに確実な方向に変えるという形です。特に今回何か作業や、人の問題、気のゆるみの問題とかがあったとは考えておりません。非常に狭いところで作業するということで、作業自体が難しい場所ですのでこういうことが起きてしまっていますが、今後起きても処置できるように手順を変えたいということです。

【井上臨時委員】 まずは根本的なところを、こういうことにならないようにしていただきたいと思います。ほかに何か見落としがないか気をつけてください。

【服部臨時委員】 井上先生の続きで、こういう締結箇所はたくさんあると思いますが、この文章の中に漏洩点検方法の改善をするとありますが、これはこれまで石けん水をぬって点検しているのを別の方法にするということですか。

【JAXA(宇治野)】 はい。石けん水をぬって点検している箇所の他に圧力ディケイや、ヘリウムリークディテクタを使っています。漏洩量の許容量に応じて設定しています。今後は流動時にも目視できるように、例えばビデオカメラで確認できるような装置を設定することまでやろうということで改善しようとしています。

【服部臨時委員】 点検方法の改善ということですが、石けん水では流量が多いと飛んでしまって確認できないと思いますが。

【JAXA(宇治野)】 初期の状態から含めて見られるように、ビデオで確認したいと思います。

【服部臨時委員】 漏洩点検方法の改善については、手順書を作り、こういう場合にはこういう方法でやると、きちんと書いておいてください。たくさん点検箇所がありますから、大きな問題にならないようにしていただければと思います。

【JAXA(宇治野)】 そのつもりで改善します。

【服部臨時委員】 もう一つ、電子機器が故障したというところをもう少し説明してほしいのですが、バックアップ系統の電子機器で今は使わないのですがもともとは何をするものですか。

【JAXA(上野)】 仕事としては姿勢を制御したり、速度を調整したり、要はジェットを噴くスラスタがたくさんついていますので、そのどこから噴くかということを、それぞれバルブが付いていますのでその開閉をするための電子機器です。

【服部臨時委員】 そのバックアップは、ボードか何かなのですか。

【JAXA(上野)】 完全に二重冗長になっていて、その片系が今は動かなくなっています。

【服部臨時委員】 原因は分かっているのですか。

【JAXA(上野)】 ある程度のところまで分かっていまして、バルブの駆動装置に電源から電力を供給しますがその電力が出ていません。おそらくどこかでショートしていると思います。

【服部臨時委員】 この問題はものすごくシリアスですね。姿勢制御に使う機器が死んでしまうのは。ただ、今回は、バックアップということで原因を特定いただきたいと思います。

【JAXA(上野)】 原因はものが手に入れられれば調べられますが、原因を探るために電源をいれたりとかすると、特に今回ショートしているようですから二次災害として今正常のものまで壊してしまう恐れがあります。

【服部臨時委員】 地上でもう一度シミュレーションして、何回も実験を繰り返す必要はないかと思いますが、重要なことなのでそういう認識だけ持っていただければと思います。

【河内山臨時委員】 関連質問ですが、リークが発見できなかったということで、詳細チェックリストを作ることになっていますが、この詳細チェックリストは今回の該当箇所だけでなく、エンジン全体とか見にくいところに関して、他の箇所についてもチェックリストを作って注意を喚起するとかしたらよいのではないでしょうか。ある程度やられていると思いますが、総合的に判断して、なるべく完璧に近いことを考えていただければと思います。

【JAXA(宇治野)】 詳細チェックリストと言いますのは、いままでのチェックの仕方としては、ある系統全体としてリークチェックをしなさいと書かれていましたが、それを相当具体的に指示して、そういうチェックリストを作ることになっております。リークチェックをするところすべてに対して変更を行います。

【河内山臨時委員】 資料2-2-1の3ページの左下に、フライト結果が書いてあり、非常にあっているのですが、前回フライトデータとしてどの高度までデータがとれているのでしょうか。

【JAXA(宇治野)】 高度300km程度のところの軌道情報、速度情報ということになりますので、それ以下の情報はありません。グアム局でデータ取得しました。

【河内山臨時委員】 了解しました。

【井上臨時委員】 先ほどのバックアップの故障について、現状、まだ必ずしも原因究明ができていないとのことですが、実機を使って何らかの原因究明のための試験を行うことはしないとおっしゃったのでしょうか。非常に気になるのですが、出来るだけのことをするという理解でよろしいですよね。

【JAXA(上野)】 出来る範囲で、何が起こっているかはわかりましたが、その先どことどこがショートしているかは追い詰め切れていません。

【井上臨時委員】 最後、制御落下させるころに影響があってはいけないのでやれることは限られるのでしょうが、やれることはあるのだと思います。

【JAXA(上野)】 一つ、今、考えているのは、一番最後の軌道離脱のための噴射がありますが、そのあとは何もすることがなく落ちるので、その最後の噴射が正常に終わったあとに短い時間ですがもう一回スイッチを入れてみてどういう電流が流れるかデータをとろうとしています。

【井上臨時委員】 是非原因を究明してください。

【大垣部会長】 他にありますか。それではどうもありがとうございました。

(3)文部科学省における宇宙分野の推進方策について

【大垣部会長】 それでは、次の議事に移ります。三つ目の議題は、「文部科学省における宇宙分野の推進方策について」です。この議題について、事務局から趣旨等を説明してください。

柳課長から資料2-3-1及び資料2-3-2に基づき、説明があった。

【大垣部会長】 それでは資料2-3-1に基づいて進めるということでよろしいでしょうか。

【柘植委員】 小さなことですが、資料2-3-2の論点の中で、二つ目の○の「人材育成や教育」というところは、文部科学省として検討しますので、教育というのは幅広く初等中等を含んでいると理解したいです。それを是非忘れないような形で、場合によってはもう少し教育に対しては思うところを詰めこめる表現を想定されているのかなと感じています。

【柳課長】 ありがとうございます。今いただきましたコメントを踏まえて今後の検討に活かしていきたいと思います。

【大垣部会長】 他にはいかがでしょうか。それでは、ただいまの趣旨に従いまして、文部科学省における宇宙分野の推進方策について、具体的に議論を進めたいと思います。
 まずは、この検討に当たって、本日は三名の有識者よりお話を伺うこととしております。お一人10分程度お話いただき、質疑や討議は、三人のお話の後にまとめて実施します。
 お一人目として、先日の法改正により廃止となりましたが、宇宙開発委員会の委員長をお務めになられました池上徹彦氏から、御意見を伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。

池上徹彦氏から資料2-3-3に基づき、意見が述べられた。

【大垣部会長】 ありがとうございます。質問はまとめてお受けいたします。
 引き続き、お二人目の御意見を伺いたいと思います。お二人目は、総合科学技術会議の議員や、宇宙開発戦略専門調査会の委員等を歴任され、慶応義塾大学の名誉教授でいらっしゃる薬師寺泰蔵氏です。薬師寺氏には、宇宙に関する学術界のお立場と観点で御意見を述べていただきたいと思います。それでは、よろしくお願いします。

薬師寺泰蔵氏から、意見が述べられた。

【大垣部会長】 ありがとうございます。
 引き続き、有識者の御意見を伺いたいと思います。最後の方は、日本航空宇宙工業会 宇宙委員会委員長の笹川隆氏です。笹川氏は、産業界のお立場と観点で御意見を述べていただきたいと思います。それでは、よろしくお願いします。

笹川隆氏から資料2-3-4に基づき、意見が述べられた。

【大垣部会長】 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの有識者の皆様からの御意見を踏まえて、文部科学省の宇宙分野の推進方策について、御意見等をお願いします。

【柘植委員】 今の有識者の方々の話の中に宝物が詰まっているということが大前提の認識の上での発言です。文科省の資料2-3-2に挙げられている論点に、最終的に、今の宝をどういった形で入れていくかの観点で資料2-3-2を見ていると、さっき教育という話も非常に幅広く初等中等からも含めてと言いましたが、国際協働の中には、薬師寺先生のおっしゃった宇宙外交とか、ナショナルセキュリティも含めるべきですし、宇宙産業基盤の観点では当然国際競争力の育成も、今のお話のなかでおっしゃったとおりだと思いますので、私としては論点の階層化と相互関係の見える化をすべきだと思います。そして、階層化と相互関係の見える化を活用して、これから作られる宇宙関連の国家のプランから最後の文部科学省まで、PDCAマネジメントのあらゆる局面、現場で活かしていく、こういうことが今からの議論の最終的なまとめとして不可欠だと思います。

【大垣部会長】 ありがとうございました。他にありますか。

【井上臨時委員】 いまの柘植委員の御意見と重なるかもしれませんが、現状の予算規模ですとか、国際的な産業力、競争力とか、そういう現状を踏まえて、どこをどうしないと先へ進まないという部分と、グローバルな視点という指摘もありましたとおり、探査の重要性とか、技術力を持った人材を育てるとか、そういうもう少し先を見た地道な取組と分けて話を整理しないといけないと思います。現状をどうしたらいいかという話から出発すると、結局は予算規模の問題になってしまって、そのなかで文部科学省が何をすべきかという観点からまとめをしようとすると限界があると思います。もう少し先を見て、日本として、あるいはグローバルな視点から日本が特徴を出せるような進み方を考えて、その視点から現状に対応するにはどういう展開の仕方がありうるだろうかという考え方をするほうがいいのではないか、思います。

【服部臨時委員】 原点に戻る話になりますが、宇宙開発委員会の委員を務めてきた立場で申し上げると、この部会が内閣府に設置された司令塔に対する遠慮が出てしまって近視眼的な議論になることだけは避けねばいけないと思います。宇宙政策の司令塔として内閣府に組織できるのは大賛成ですが、それは国の安全保障と、司令塔として大きな施策を出していただくことが非常に重要なことで、また、ステークホルダーである利用側の要望を出していただくのもありがたいです。しかし結局、宇宙の将来を考えているのは、傲慢かもしれませんが、文部科学省を中心としたJAXAだと思います。前にもいいましたが、医療イノベーション推進室ができて日本のライフサイエンス政策をまとめようとしましたが、十分な結果も出ていないことを考えますと、やはり中心として行動する部隊が本気で将来を描き、ステークホルダーと意見交換をしながら進めないと日本の宇宙の将来はないと思います。そういう観点で、あまり制限を加えずに本当に日本の宇宙開発の将来像をきちんと文部科学省と一緒に提案していく必要があると思いますので、決して遠慮気味に基盤技術だけをやるJAXAという制限を加えずに、産業界のことも考えながら将来のことを考えていきたいと思います。そうしないとこの会の意味がないし、宇宙への夢もないし、その辺を大前提にこの会議が進められることを強く要望します。

【大垣部会長】 ありがとうございました。
 薬師寺さんにお伺いしたいのですが、さきほど、Policy Alternativesとおっしゃっていましたが、今の話と関係しますが、日本の強いところ、宇宙産業はもちろんとして、強いところをのばしていくことと、それから例えば池上さんの御指摘の火星への道というような宇宙探査のバランスはどのように考えていますか。

【池上氏】 宇宙探査にはいくつかありますが、火星に行く予算をすぐに積めということではなく、アメリカですと2035年、中国ですと2050年というように遠い将来の目標としてあげています。もちろん具体的な計画を作る必要はありますが、お金の話から入っていくと火星探査の話は出てこないのではないかと思います。文科省として何をやるかという議論に関連しますが、日本が一番弱いところは、システムなり、言葉は悪いですが箱物を作る計画がないとなかなか予算がとれない点と思います。むしろ、それを利用したらどうなるかという、ソフトのところを議論する機会を作って欲しい。ソフト的な議論はそんなにお金がいりません。また、教育と人材育成は違いまして、人材育成という発想は大学には若干出てきていますが、人材育成とはある目標のために有用な人間を育てるということであり、教育はもっと広い意味を持ち、その担当である文科省とうまく連携してやっていけば、すぐお金がいるという話にはならないと思います。大学に関しては、例えばアメリカでは数学教育が必要だといっています。これは別にお金がいる話ではなくて、初等中等教育局でも同じような考え方があると思いますが、それを宇宙の側から支援していくことが出来るのではないかと思います。いずれにしろ、ユーザサイドというかソフトウェアサイドと、インフラ箱作りは分けて議論をした方がいいと思います。各省庁の予算を見ていると、金額のかなりの部分がインフラ箱造りを目的としているのは、いままでの実績から、すぐに変えるということはむずかしいと思っています。いずれにしろ長期目標があれば、実体として産業政策にも貢献するわけで、国がアンカーテナンシーとなれば雇用確保もあり、各省庁の政策とうまく整合しながらやっていくということが一番いいと思います。いずれにしてもユーザサイドと箱物は分けて議論しないといつまでたってもお金が足りないというところで思考停止になると思います。

【薬師寺氏】 Policy Alternativesというのは、簡単で、ある国が伸びてきたときに日本はどうするのかというアプローチを考えないといけないということです。また、科学技術は常に進歩するものです。つまり朝令暮改という話ではなくて、みんな議論して、日本における宇宙力、利用の違い、どうやって引っ張っていくか、きちんと議論しなくてはいけません。税金を使うのですから、国民目線が絶対に必要です。国民に対する説明が「はやぶさ」だけでは、一時的にしかお金がでないと思います。日本の中でどうやって若い人を含めるかを議論しないと、かつて原子力は進振りで一番でしたが今は必ずしもそうではありません。航空宇宙だってPolicy Alternativesを考えないとだんだん原子力みたいになってしまいます。日本の中にみんな無くなって中国とか韓国とかだんだん強くなってきてそれでいいのか、部会できちんと議論をやっていただきたいと思います。いろいろな議論があると思いますが、堂々と議論をしてもらいたいと思います。文部科学省がどうこうというのではなくて、みなさんは文科省の部会で科学技術・学術審議会の下の一つですから、日本の科学は学術をどうやって引っ張っていくかという中で、宇宙がどうあるべきかを考えることが、皆さんの使命で、それを絶対忘れないで欲しいと思います。そこが宇宙開発利用部会の制度設計上非常に巧みなところで応援しています。そういう中で、内閣府で議論が始まっていますので、国会同意人事がないからとか時間がないということは関係なく、予算が決まり始めたら皆さんで議論をきちんとしておかないと、向こうが予算を決めてきます。財務省と連絡しまして、財務省はそういう人間ですから、どこがしっかりとした考えをもっているかということで頑張っていただきたいと思います。みなさんが日本の宇宙を議論しているわけで、文科省には力があると思います。そこをどのように論争していって勝てるかということです。

【柘植委員】 話は変わりますが、論点の階層化と相互関連の見える化ということで、トップレイヤーについて言いますと、池上先生の6ページ目の国家安全保障の話は多分トップレイヤーの一つだと思います。実際は国家安全保障のPolicy Alternatives的な発想で考えると次の世代の人材の広い意味の教育も国家安全保障に入ってくると思います。そういう意味での階層化の相互関連を見える化してあらゆる教育の場も含めて、トップレイヤーは国家安全保障と思いますが、先ほどの話のとおりこれは外務省がやっています。つまりここでおっしゃっている国家安全保障について、丁寧な議論はなぜできてなかったのか、どうしたらそれが可能になるのか、当然、文部科学省ですが、内閣府と一緒に話して、外務省も入って、是非とも薬師寺先生の意見もお聞きしたいと思います。

【薬師寺氏】 科学技術は、国家の安全保障の基幹です。それがいわゆる安全保障です。安全保障は戦争をする安全保障と日本を守る安全保障とあり、外務省が何をしているかというと、国益を守る仕事をしています。では国益は何かというと、人々が安全に日本の中で成長していく、それが安全保障です。それのベースになるのが科学技術ですから、宇宙だって安全保障の一部です。どこの役所が担当しているとかは関係ないと思います。僕は安全保障の専門家だから、文科省が安全保障を議論することに全然心配することはないと思います。

【柘植委員】 これまでなぜ議論できなかったかについては、文科省の怠慢ということですか。

【薬師寺氏】 教育も安全保障の根幹ですよ。一番いけないのはステークホルダーが重なってしまうということです。

【池上氏】 薬師寺さんは、実はバックグラウンドに科学技術があるから今の発言ができると思いますが、僕は具体的に考えると、科学技術を背負う大学、あるいは公的研究機関に非常に不満があります。世界で研究者にとってこれほど幸せな場は無いような気がしますが、そこを変えていかないとだめだと思います。先日も問題になりましたが、工学部の先生は論文を書いて終わりで、イノベーションから離れています。問題解決の作業の経験からいうと、議論されていない部分があって、そこに本当の理由があります。いままで大学の先生がどうかという議論はありませんでしたので、そこに問題の原因があると思います。しかし、まだまだやれるのではないかと思います。

【薬師寺氏】 教育の現場で、大学などで安全保障を議論すると必ず失敗します。大学の先生は安全保障なんていったらすぐ右翼とか左翼とかきます。そういう世界です。そうではなくて、宇宙というのは科学安全保障だと言わないと、それで失敗した例はたくさんあります。例えば、自衛隊の幹部を先生にするかというと、それだけでも右翼がきます。大学の先生は安全保障と言わない方がいいです。

【大垣部会長】 科学技術外交ということですね。

【井上臨時委員】 私も今の安全保障という言葉は、科学技術の持つソフトパワー的な面について誤解がないように、言葉使いとして気をつけていった方がいいと思います。もう一つ、さきほど池上さんが、大学・公的研究機関がもっとしっかりすべきという発言をされましたが、私も、今まさに、産官学の中の「学」の部分がしっかりしなければならない時だと思います。「学」との関わりについては、本来文科省が注力すべきところで、そこはいろいろな各論の議論に入ってきてはいますが、文科省として、宇宙開発利用における「学」の大事さについて、総論としてきちんと言っておくべき所かと思います。

【服部臨時委員】 今、薬師寺さんがおっしゃった日本における宇宙力という言葉は大変大切な視点と思います。今日本の製造業は、下から中国に追っかけられて上からアメリカに締め付けられて、どういう方向で生き延びるかを考えるときに、必ず出てくる言葉が「日本における企業力を見直そう」です。今日の文部科学省の資料の中で、アメリカ式ではない、本当に日本における宇宙力を見直そうとあります。そのためには日本の宇宙力の棚卸しをやってみて、議論を具体化していくのも一つの手だと思います。

【池上氏】 今のに関しまして、JAXAしかないのは事実です。アメリカも今後NASA(米国航空宇宙局)をどうするかという議論がありまして、そういう意味ではCNESというフランスの宇宙機関は安全保障から産業振興までやっていますので、そこを参考にすることをお勧めします。みんな悩んでいます。アメリカも、NASAが官僚化してしまったということを含めまして、悩んでいます。多分いずれ新しい動きがあるので、JAXAも新しい動きに沿うようにに変えていかないといけないと思います。

【河内山臨時委員】 薬師寺先生にお伺いしたいのですが。安全保障という観点から自主性、自在性の確保が非常に重要になるのですが、その関連の議論をする場合どこまでやれば自主性、自在性を確保できるかについて議論が深まっていないように思います。このことについてアメリカ等との関係だけを考えるのではなく、中国、インドを始めとするアジア諸国を含めた世界との関係をどういうふうに考えていき、どのように議論すればよいかについて何かヒントをいただければと思います。

【薬師寺氏】 他の国をみると日本に対する期待がどこら辺にあるのか、アメリカが日米同盟をもって、中国やアジアの国々が、日本の宇宙に対してどういう期待がどこにあるか調べてないですよね。そういうものを少しいろいろな分野の人を呼んで、あるいはそれぞれの科学アタッシェを呼んで、非常に重要な期待とか、そういうことをやってみるのも一つの方法だと思います。その辺に自在力みたいなもの、日本はある程度持っていると思いますが、どこの部分がもう少し考えられるのかが見えてくるのではないかと思います。ここだけでやると、例えば人材の進振りなど、宇宙の人間がだんだん少なくなってくるというのは、日本の中の問題です。また、機微な問題ですから他の国の留学生をどういう風にやるのかというようなものを含めて、そういうのも日本の自在力だと思います。すごく自家撞着みたいになっていて、宇宙、火星、月とかそういう風に思ってしまいます。そうではなくて、もっと違う自在力がありますよね、若い人にどんどん入っていただきたい自在力がありますよね、そういうような力を日本は温存しているので出来るのではないかと思います。このままでいくとこういう自在力がなくなってしまう可能性があると思います。

【池上氏】 笹川さんに伺いたいのですが、少し楽観しすぎではないですか。私が一番心配しているのが、宇宙を担う企業の社長が、社内のプロジェクトとして回らないものは止めろという可能性です。日本は今頑張っていますが、今後は大変なので、市場に見通しがなければが止めろという可能性があります。そのような危機感を企業は持っていますのでその辺をメッセージとして挙げていただかないとやっていけないのではないかと思います。

【笹川氏】 企業側も厳しい経営環境に置かれています。宇宙関連の事業は総合電機メーカや総合機械メーカの一部門で実施されています。そのなかで、他の事業に比べて高い技術力を駆使して製品を作っていて、社会や国に対して大変な貢献をしているという社内評価を得ていますが、一方で株式会社でもあり利益面の評価も問われています。企業の社長は経営者としてその辺を見極めながら宇宙事業を中長期的に投資に見合うかどうか判断すると思います。そこを理解しながら、宇宙を成長事業にして社内の期待に応え、また社会に対しても貢献していくのが課題だと思います。危機感は持っています。

【池上氏】 先ほどの薬師寺さんがおっしゃったように、文科省に対する指摘があるとすれば、産業界はもっと文科省に接触した方がいいと思います。文科省は産業界は遠い世界と思っており、それを変えていくために産業界としての御意見をインプットされることをおすすめします。

【大垣部会長】 他によろしいでしょうか。それでは、大分時間も過ぎておりますので、以上でよろしいでしょうか。

【大竹審議官】 本日は貴重な御意見ありがとうございました。さきほどからいろいろありますとおり、今までは宇宙開発委員会が文科省の中にありましたので、逆に言うとあまり自分たちでやるとお手盛りになってしまうのではないかということで、なかなか堂々としてなかったという御批判にさらされるのもそうかなと思いますが、逆に言うと今度は打って出る機会だと思います。宇宙戦略室や宇宙政策委員会が内閣府にできたので、文科省としては何をするべきかということを、おっしゃるとおり科学技術の塊みたいな宇宙でどういったことをやっていけるのかということを、正々堂々と、今日の議論、有識者の御意見を参考にしてまとめていきたいと思います。自在力の問題、それから安全保障というと言葉が一人歩きして使いづらいのですが、まさに一目置かれる日本とはどういうものかというと、いろいろなものがあると思いますが、やはり科学技術の力があると思います。笹川先生に御意見をいただきましたが、我々としても産業の裾野が広がっていくところが重要だと思っていまして、いろいろ議論もしていますが、役所の予算は皆シーリングがありまして、我々としては文科省の予算も十分に活用していきますが、他の省庁、民事を取り込んでいきたいと思います。それによって需要が増えることが重要だと思います。その中でも、自在力の中であると思いますが、宇宙を使った新しいビジネスの人が参入してくるような活動をしたいと思います。そういうことを腹に据えてやっていきたいと思います。それから、古典的かもしれませんが、最先端の進歩、ニーズの進歩、科学技術の進歩によって新しい可能性が出てくると思いますので、逆に言えば巣立っていくところはどんどんユーザを見つけて文科省から手放していって、そこで空いたリソースでまた新しいものを生み出して、次の時代にやっていくようにしないと2000億、3000億円の裾野が広がらないと思います。情報収集衛星はそういう意味で、安全保障ということでアメリカにあって日本になかった分野が開けた例だと思っていますので、こういったことをやっていきたいと文科省は考えています。先生方の御意見も伺いながら、部会長以下専門家の良識を得ながら、理屈を通して正々堂々とした議論を展開していきたいと思います。池上氏には、自分の意見をちゃんと今まで体現していなかったのではないかと御不満の部分もあるかとは思いますが、そこは反省をして新しい体制で大いに活かしていきたいと思います。今後も有識者の皆様によろしくお願いします。

【大垣部会長】 私は炭酸ガスの衛星を見ていますが、今科学技術がものすごい勢いで変化しているのでその変化をきちんととらえないといけません。さきほど薬師寺さんがおっしゃった社会がグローバル化して産業活動が変化していますし、同時に政治全体も押さえた上で、服部委員が言われましたが日本の宇宙力の特徴をどう出していくかが課題であるかなと思いますので、是非、間違いの無いように、有識者の御意見を反映させていきたいと思います。
 それでは今日の議論を踏まえて、まずは事務局において推進方策の「叩き台」を取りまとめて、メール等で本部会の委員に配布して意見集約を図るようにしてください。次回会合には、委員からの意見集約を反映した推進方策の中間的な取りまとめを提示いただき、効率的かつ速やかな審議を行うこととしたいと思います。よろしくお願いします。

(4)その他

【大垣部会長】 それでは、その他に入ります。事務局から連絡をお願いします。

【斉藤室長】 本日、「文部科学省における宇宙分野の推進方策」の御審議のなかで、大垣部会長から御指示いただきましたとおり、事務局で早急に推進方策の「叩き台」を取りまとめて、委員の皆様に御意見を伺うようにいたします。短時間でのお願いになりますが、御意見を賜りますようお願いします。次回会合は、その上で速やかに開催したいと考えております。
 なお、宇宙開発利用部会の運営規則第3条に基づきまして、本日の会議資料は公開となりますので、後日、文部科学省のHPに掲載をさせていただきます。また、議事録についても運営規則第4条第1項に基づきまして公開となりますので、委員の皆様に御確認いただいた後、文部科学省のHPに掲載をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。第1回の議事録につきましては、委員の皆様の御確認を終え、文部科学省のHPに掲載されてございますので御報告いたします。

【大垣部会長】 本日は3人の有識者の方々にお越しいただきましてありがとうございました。これをもちまして本日は閉会といたします。ありがとうございました。

(説明者については敬称略)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課

-- 登録:平成24年10月 --