原子力科学技術委員会 核融合研究作業部会(第39回) 議事録

1.日時

平成26年4月28日(月曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省15F1会議室

3.議題

  1. 今後の核融合原型炉開発に向けて
  2. その他

4.出席者

委員

小森主査、疇地委員、牛草委員、海老塚委員、岡野委員、尾崎委員、小川委員、金子委員、笹尾委員、髙津委員、東嶋委員、伴委員

文部科学省

坂本研究開発戦略官、中塚核融合科学専門官、山田科学官、江尻学術調査官

5.議事録

【小森主査】  定刻となりましたので、ただいまから第39回核融合研究作業部会を開催します。
 本日は、大島委員、佐藤委員、堀池委員より御欠席との連絡をいただいております。
 まず、事務局に異動がございましたので、御紹介願います。
【中塚専門官】  御紹介いたします。本年4月より学術調査官を委嘱しております、東京大学大学院新領域創成科学研究科の江尻准教授でございます。
【江尻学術調査官】  よろしくお願いします。
【中塚専門官】  また、同じく4月より核融合科学専門官を拝命いたしました中塚でございます。よろしくお願いいたします。
【小森主査】  本日の議事について御紹介します。本日は「今後の核融合原型炉開発に向けて」、「その他」について御審議いただく予定です。
 それでは、配付資料の確認を事務局からお願いいたします。
【中塚専門官】  お手元の資料の議事次第に配付資料の一覧を記載してございますけれども、まず資料1-1といたしまして、行政からの問題提起というパワーポイントの資料が入ってございます。それから、1-2、1-3、1-4、1-5、1-6という形で、本日、関係の団体の先生方から「今後の核融合原型炉開発に向けて」ということで御発表をいただきますそれぞれの資料が入ってございます。それから、資料2といたしまして、「第14回BA運営委員会の結果概要について」という資料が入ってございます。それから参考資料の1といたしまして、第38回の核融合研究作業部会の議事録、参考資料2といたしまして、先日決まりましたエネルギー基本計画を入れてございます。このエネルギー基本計画につきましては、74ページ、上から10行目のあたりに、「国際協力で進められているITER計画や幅広いアプローチ活動を始めとする核融合を長期的視野にたって着実に推進する」ということが入っておりますので参考に入れさせていただいているものでございます。
 資料については以上でございます。
【小森主査】  ありがとうございました。
 本日の議題に入ります。前回の作業部会で合同コアチームより中間報告をいただいたところですけれども、今回は、原型炉開発に向けた今後の核融合コミュニティの体制についての検討に資するため、JAEA、NIFS、プラズマ・核融合学会、核融合ネットワーク、核融合エネルギーフォーラムにそれぞれ所属する方より、各組織としてどのように取り組んでいくべきと考えるか、また、組織を超えて必要と思われる取組、要望等につきまして個人的見解を述べていただきたいと思います。進め方ですが、まずは坂本戦略官より「行政からの問題提起」と題しまして御発表いただき、その後5名の方から個人的見解を述べていただこうと思います。意見交換の時間は最後に設けています。
 それでは、坂本戦略官、お願いいたします。
【坂本戦略官】  それでは、私の方から、まず本日の議論の最初に、行政側から、この作業部会でおまとめいただいた報告書を受けて、どういう問題提起を今、核融合コミュニティにさせていただいているかについて、これからの議論、様々な機関、核融合エネルギーフォーラム、あるいは核融合ネットワークのような場で議論していただいていること、あるいはその議論を通じて、指導的立場にある先生方の見解をこれから伺うわけですけれども、そういった見解のバックグラウンドとして我々の問題提起の御説明をまずさせていただきたいと思います。
 3月に7回、青森から九州まで、先日作業部会で御説明をしていただきました合同コアチームの報告書について、私と山田先生あるいは京大の笠田さんやJAEAの竹永さんと一緒に全国を回り説明会を行いました。そこで私、文科省の立場で問題提起をしたことを申し上げます。もう既に合同コアチームの意見につきましては作業部会の先生方に前回の会合で御説明を聞いていただいておりますので、こちらの問題提起をまずさせていただきたいと思います。
 問題提起の中身に入る前に一言申し上げたいのですが、3月の7回の説明会で我々はどういうことをコミュニティの方々にお伝えしたかといいますと、作業部会の報告書、あるいは合同コアチームの議論を通じて、原型炉開発に向けて我々行政とコミュニティが真剣なキャッチボールを始めているということを全国の方々に知ってほしいというメッセージをまず伝えたところです。
 なぜそういうことが必要かと申しますと、これまでの議論にも出てきておりますけれども、政策と研究、そして技術開発をどう連結させていくかを考える。さらに、それらを連結させるために共同で作業をする、そういうプロセスが今求められている。この認識を共有したいということを申し上げました。
 これは、言い方を換えますと、今、ここにありますように、ITERであるとか、幅広いアプローチ活動は進められております。あるいは学術研究ではLHDも今大きなステップを迎えようとしているわけですけれども、次の原型炉になればさらにプロジェクトの規模が大きくなる。非常にスケールの大きなプロジェクトに我々は今臨もうとしているわけですけれども、プロジェクトの規模というものが大きければ大きいほど、あるいは複雑であればあるほど、そのプロジェクトの進め方、体制についてどういう解を我々は見出していくべきかということを考えるときに、その方程式は、そのプロジェクトの計画であるとか、あるいはその資金であるとか、組織、制度、非常に多くのファクターをコヒーレントに動かして解を見出していかなければなかなか適切な解が得られない。我々行政側から見てもそうであると感じております。これはコミュニティの方々も先生方も同じような認識をお持ちだと思います。そういった認識を共有し、かつ、どうやってその解を見出していくかということを共に考えたいということを我々は訴えてまいりました。それについて本当に真剣な議論を各地でしていただいたことにこの場を借りて感謝したいと思います。
 具体的に問題提起の中身に入りますけれども、まず、こちらに描かれてあるのが、よく出てくる図ですけれども、平成17年に原子力委員会の核融合専門部会でまとめられた報告書に描かれてあるロードマップです。今我々はこの(科学的・技術的実現性)段階にあるわけですけれども、ITERをはじめとして、これはもう言うまでもないことですが、非常に大規模な投資がこの分野においてなされている。成果も出てきているわけですけれども、当然課題も次々に明らかになってきている。エネルギー源として、核融合を成立させるための本当の正念場は次の発電実証である。そうであるならば、この正念場である発電実証の段階にどう移行していくのかということをコミュニティは本当に真剣に考えているということを、具体的な形をもって示していただく必要があるということをまず私の方から申し上げました。
 その第1歩として昨年とりまとめていただいた「核融合原型炉開発のための技術基盤構築の進め方について」という報告書があるわけでございます。この中には、今後何を検討していくか、考えていくべきか、あるいはどういうシステムを作っていくべきか、ということについて重要な示唆が表われていると我々は認識をしております。
 現状認識として申し上げたことは次のスライドに出ておりますけれども、今申し上げたように、各種プロジェクトは着実に進展している。一方で、これらに対する多額の投資を背景に、いつ核融合は実現するのかという問いかけが頻繁に行われてきている。これはマスコミの方々からもそうですし、国会議員の方々からも頻繁にこの問いかけがございます。
 我々行政側としては、核融合コミュニティにとって、この問いかけについて信頼度の高い具体性のある答えを出すことがアカウンタビリティを果たすうえで極めて重要であるという認識を持っております。
 今、ITER、幅広いアプローチ、LHD、あるいは各大学の研究も進んでいるわけですけれども、先ほど申し上げました正念場である次の目標、発電実証を実現するためにはまだまだ技術的なギャップは大きい。様々な面で飛躍的なイノベーションが必要であるということも分かってきているというふうに我々は理解をしております。そのイノベーションのプロセスをいかに効果的なものにするのか、最短コースで発電実証にどうやって向かっていくかというところは重要な考え方が作業部会に示されていると、我々は説明をいたしまして、それはバックキャスティングということでございます。
 原型炉に求められるもの、原型炉のあるべき姿の方から見るバックキャストの手法に沿い、既存・進行中の研究開発計画を合理的なものにする、本格的な概念設計活動についてITER計画、BA活動及びそれらを補完する研究開発の整合性、合理性など、全体を捉えた検討・検証を進捗に応じて行うことができるものとする体制を整備する。そして、総合的な活動の推進を図る。これが必要であるということが作業部会の報告書で述べられております。
 我々の理解として、ここに書かせていただいておりますけれども、この報告書の考え方を受けて、今、大目標である発電実証の早期実現に向けて核融合コミュニティにおいては、コミュニティの方々が一丸となって、関連分野のすぐれた人材、特に若手をもっと巻き込んで、ロバストな技術基盤の構築、それを土台とした原型炉開発のプランづくりに邁進することが求められているのではないでしょうか。これがまず一つ目の基本的な問題提起でございます。
 さらに踏み込んだ問題提起をこの後させていただいております。まず、今申し上げた原型炉開発のプランとはどういうものかということについてでございますけれども、平成17年の報告書に、原型炉段階への移行の可否を判断する、それをどうやってやるかということが書かれています。そこには、実用化を見据えて民間事業者の参画を得つつ判断するというふうに書かれている。ということであれば、当然、その経済合理性あるいは安全性等に対する社会の要求に十分応え、広く支持が得られるプランが核融合コミュニティによって作成される必要があるということ。
 そのためにはどうするかということです。コミュニティ全体の活動を統合的視座で把握し、共通目標を設定して活動を組織化、あるいはその指向性を強化することが求められているということが言えるかと思います。
 昨年、この作業部会での提言を受けて、原子力研究開発機構、それから核融合科学研究所を中心に合同コアチームを設置していただきましたけれども、まさにこの課題に正面から取り組む議論を今行っていただいていると我々は理解をしております。
 さらに、この合同コアチームは様々な原型炉開発の側面の議論をして中間報告をまとめたわけですけれども、我々行政から見た重要なポイントとしては、この中間報告は一言で言うと統合的視座からの研究開発システムの変革を求めているのではないかと理解をしております。
 その統合的視座からの変革とは何かということなのですが、ここに模式的に図を示しておりますけれども、我々は、少なくとも統合的視座として必要なものは二つあるだろうと考えております。一つは学問・技術面、これはサイエンス、エンジニアリング、そして製造技術、マニュファクチュアリング、これをいかに有機的に結合していくかということ、これがまず一つの重要な視座、もう一つは構造面、これはプロジェクトの運営あるいは制度の運営といったコミュニティの活動を動かすシステムの構造、それについて統合的視座を持つ必要があると考えております。
 では何をなすべきかということはこちらに書かせていただいているわけですけれども、こういった統合的視座を持っていろいろなプレーヤーの活動を見ていくということなのですけれども、まず学問・技術面の統合的視座から必要とされるのは、共通目標の設定、共通課題の特定とその共有だろうと考えております。それは、これまでの、あるいは進行中の活動によってどこまで達成可能なのか、あるいは原型炉開発のボトルネックとなる課題は何が見えてきているのかということ、これをまずしっかりとコミュニティの中で評価していただいて特定をしていただくことが必要である。そういった課題をいつまでにどのように解決するのか、各組織が果たすべき役割は何かということを具体的に考えていくことが必要だと思います。
 ここで特に重要なのは、様々なプレーヤーがあるわけですけれども、特にこういった学会であるとか核融合フォーラム、あるいは核融合ネットワーク、こういった様々な産学官の関係者の方々が集まる場、こういったところが非常に重要になります。
 それはなぜかといいますと、これから核融合の発電システムを作っていくといったときにシステムエンジニアリングあるいはシステムインテグレーションが重要であるということは、合同コアチームの報告書でも指摘をされているところでございます。それは、既存のディシプリンで、学問分野で、あるいは技術領域ではなかなか評価されない知的価値、システムインテグレーションあるいはシステムエンジニアリングの価値をどう評価してそれを伸ばしていくのかということ、その価値の創出に若手あるいは他分野の人材をどう巻き込んでいくのかというのは極めて重要な課題になっているだろうと。
 特に学会が知的生産の評価をし、それを育てていく、あるいは新しい活動の場を作っていく。そういう学会の役割というのは極めて重要であると我々は認識しておりまして、今、核融合にまだ十分な接点を持っていない様々な分野、材料関係の分野でありますとか、化学であるとか、あるいはプラントエンジニアリングもあるかもしれません。そういったところの他分野とのインタラクションというものをもっと学会が中心になって作っていただく必要があるのではないかと。私は、この核融合分野はできると思っています。
 それは、この図、1番最後のページに載せさせていただいている図ですけれども、これは私が核融合、ITERであるとか、あるいは幅広いアプローチの予算などを説明に行くときに必ずと言っていいほど持ち歩いている資料です。
 核融合技術というのは、当然、エネルギーの生産システムを作るために、それを大目標として進めるわけですけれども、様々な先端技術、波及効果が非常に大きいと期待される技術が核融合研究開発を通じて出てくることを、私は説明をしております。実際メーカーの方々からの期待も高いと私は理解をしております。
 こういった展開が可能であるのであれば、当然核融合科学あるいは核融合技術というものが様々な分野との接点をもっと拡大していく、チャンネルを太くしていくということは当然可能であろう、他分野との人材の交流というか、あるいはどんどん新しい視点を持って核融合の課題に挑んでいただく他分野の方々の参画、そういったものを求めていくことは可能であろうと考えております。それを是非仕組みとしてコミュニティの中で作っていただきたいということを私は切に思っておりまして、それを説明会でも訴えさせていただきました。
 いろいろ説明しましたけれども、一言で言いますと、核融合コミュニティが全体として共通目標を設定し、その実現への寄与度を最も重要な評価軸と捉えて、プロジェクトや組織、制度の運営から個々の研究活動まで方向性をそろえていくことが必要ではないかというのが我々からの問題提起でございます。
 最後に、この研究開発システムの変革、あるいは真のオールジャパン体制の構築に向けてコミュニティに取り組んでいただきたいことを、一般的な書き方でありますけれども、こちらに並べております。
 学問・技術面の視座から必要なこと、重要なこと。まず、世界最高水準の研究能力をさらにどうやって発展させていくかということ。重要課題解決に向けた研究戦略を確立する、それは学問分野、セクターあるいは国境を越えたコラボレーションの体制、あるいは切磋琢磨をどうやっていくかということ、この仕組みを考える必要がある。あるいは、製造技術というものが原型炉開発の鍵を握るということでございますので、いかに産業界と核融合発電に必要な製造技術を共同開発していくかというところ、これも仕組みが必要であろうということでございます。
 構造面につきましては、研究活動の組織化、指向性強化をどうしていくのか。それは、全体戦略と個別の、個々の研究現場の活動との間の目標、計画、評価をどう連動させていくかということ、あるいは核融合に対して社会的要請を常に意識して共有していく、そういった仕組みもコミュニティの中に求められると考えております。
 また、大型プロジェクトを、もう今、既に走っておりますけれども、今後もさらに規模を拡大した形で進めていく必要がある。そのためには、明確な開発目標があって、しかも斬新かつ有望な若手が持つアイデアを積極的にそのプロジェクトに組み込んでいく仕掛けづくり、これは言うは易しで、実際はなかなか難しいと思います。そういうシステムがこの原型炉開発、数十年かけて進めていくプロジェクトには必要とされていると考えています。
 さらには、長期的展望の下での優れた人材の確保、こういったことの仕組みを作る、これはコミュニティの方々と我々、様々な形で政策を実行する、その予算措置、あるいは組織、あるいは制度を整備していくという我々行政とがしっかりとキャッチボールをして作っていくべきものと思っております。それだけのことができないと、なかなか数十年かけて行う大きな目標を持ったこういったプロジェクトは続けるのが難しいと思いますので、そういったことを我々文科省も積極的に今考えようとしている、具体的な政策づくりに入りたいと思っております。それをコミュニティの方々にも理解していただいて真剣な御議論をお願いしたということでございます。
 以上が私の問題提起です。ありがとうございました。
【小森主査】  ありがとうございました。
 議論は後でまとめてということでしたが、今の御発表に対しまして何か御質問がありましたらどうぞ。よろしいですか。
 それでは、個人的見解の発表に移らせていただきます。お一人15分程度で説明いただきたいと思います。それでは、まず初めはJAEAの牛草委員よりお願いいたします。
【牛草委員】  それでは、JAEAからの個人としての御意見を述べてくださいということなので、紙にまとめるのはあまり適切でないという気もするのですが、一応紙にまとめましたので、資料に沿ってざっと説明させていただきたいと思います。
 昨年7月、第37回の作業部会において、BAの協力の期間終了後に原子力機構としては三つの柱を進めていきたいと御提案させていただきました。ITERを活用して実施する活動、ITERチームジャパンと呼んでいます。それからSAを活用して実施する活動、「先進プラズマプラットフォーム」という名前で我々は内部で呼んでいます。六ヶ所BA活動で整備した施設を活用・拡充して進める活動、我々は「核融合フロンティア」と呼んでいます。これをやっていきたい。ただし、原子力機構だけではなくて、大学・研究機関、産業界、学協会をはじめオールジャパンでやっていくべきだというような提案をさせていただきました。
 その三つの活動を再度整理させていただいておりますが、これは省略させていただきます。また読んでいただければと思います。1ページめくっていただきまして、実験炉のITER、SA並びに六ヶ所での研究施設など、これらは皆非常に規模の大きな先端研究施設であります。これをいかに国内の研究者、技術者が原型炉の基盤構築という一定の方向に向かって十二分に活用していくシステムを作るかということが非常に重要ではないかと思っております。我々原子力機構は、原子力機構がこれらの設備を使ってやるのだという立場ではなくて、基盤構築に向けた研究施設を提供するのだという立場で考えていきたいと思っています。
 まず最初の丸ポツですが、原型炉基盤構築に向けたプロジェクトプランの全体のマネジメントが必要ではないかと考えております。原子力機構の三つのプロジェクトというのは、大学・研究機関、産業界を含むコミュニティ全体の議論を通じて、より効果的、効率的なものにすべきであろうと思います。こういうふうな議論を通じて他の研究機関、大学、産業界の関連する計画も含めてブラッシュアップされたプロジェクト計画をコミュニティ全体の大きなプロジェクトとして一体的に推進する体制を構築すべきであろうと思います。
 各研究機関、各大学、産業界などがそれぞれの果たす役割や結果を出すタイミングだとか、準備・整備すべき内容を明確化して、その結果の評価をプロジェクト計画にフィードバックして、進捗に応じてリバイスされるべきだと考えています。
 そういうふうなことを実現するために、例えばコンソーシアムのような形態で共通の目標に向かって活動してリソースをプールすることが有効かもしれません。また、合同コアチームをそういうふうに発展させ、組織化することもあるかもしれません。あるいは、核融合エネルギーフォーラムなどにそのような機能を付加したり、その方向に発展的に変えていくことも考えられます。
 二つ目の丸ですけれども、原子力機構核融合部門の役割をまとめています。原子力機構核融合部門は、引き続きITERの国内機関、BAあるいはポストBAの実施機関としての役割を果たすべきだと考えています。現在提案している先進プラズマプラットフォームだとかフロンティアとか、両方とも欧州との国際協力活動を並行しております。国内事業として、国際協力活動と並行して国内事業としての活動を併せ持つということで、国内活動と国際協力を適切に調整することが必要だと思っております。
 原子力機構は国内機関、実施機関として、これらの研究に主導的な役割を果たすべきだと考えています。その際、コミュニティの総意を適切に反映しつつ、先ほどの例えばコンソーシアムなどの方針などに基づきまして、ITER、SAはじめブランケットの試験、ブランケットの中性子照射施設など規模の大きな先端研究施設の整備や運用、これらを用いた研究開発活動を行って、さらに、これらの大規模先端研究施設を広く研究機関、大学、産業界などの共用に供して十二分に活用できるようにする、そういった義務を負うべきだと考えています。共同研究者の共用に必要な環境の整備だとか経費の確保に加えて、プロジェクトへの理解増進だとか成果の普及を組織的に行うことが原子力機構に求められていると考えています。
 他の機関との関係でありますけれども、原型炉の基盤構築はオールジャパン、国が取り組むプロジェクトとして位置付けることが必要です。このためには、原子力機構核融合部門はもちろんですけれども、核融合科学研究所をはじめ大学、産業界の研究者・技術者が基盤構築に対して主体的に取り組んで、それに対して一定の義務を負うべきだと思います。特に核融合科学研究所の炉設計だとか炉工学、あるいは理論・シミュレーション研究に関連する活動の中に、上記の原型炉の基盤構築活動の実施が明確に含まれるべきではないかと考えます。
 さらに踏み込めば、原子力機構において、核融合科学研究所の仕事として機構と一体となって炉設計・炉工学研究活動を行うこともあり得るのではないかと思います。大学の共同研究の窓口としての役割を核融合科学研究所は持っておりますので、大学関係者が原子力機構の施設を用いた研究開発を実施しやすいように調整する機能を果たすことも考えられます。
 原型炉の実現に向けてはかなり長期的な研究開発が必要であって、人材の確保・育成が非常に重要です。原子力機構は、上記の三つの活動を軸に、若手研究者・技術者の共有だとかファンドの共有、学生、教官、専門家の共有、施設・設備の共有を図って、流動性を保ちつつ弾力的に人材の育成、安定確保ができる場、こういうふうな場になるべきだと思っています。
 これを実現するための具体的な方策を検討する必要があると思います。例えば、原子力機構の那珂サイトあるいは六ヶ所サイトに大学や研究機関が常時駐在する、あるいは駐在しているような機能を持たせると。そういうふうなものを置いて、大学や研究機関の教育、研究開発活動の拠点として位置付けられることが必要ではないかと思います。
 次に、共同研究・委託研究の拡充が非常に効果的だということで、現在、核融合部門は共同研究で105件行っております。そこに内部の、いろいろ書いておりますけれども、一部が資金を提供して共同研究をやっているところがあります。これは非常に効果的なので、こういった研究資金を提供する共同研究を大幅に拡充すること、これがオールジャパン体制で原型炉に向けた課題を解決する有効な手段になり得るのではないかと思います。
 委託研究というのは、産業界とか大学等に特定の課題についての研究開発を有償で委託するものでありまして、現在、補助事業の一環でITER関連、あるいはサテライト・トカマク関連の委託研究をやってございます。これも大学・研究機関や産業界の能力を引き出す有効な手段であろうかと思い、今後大きく拡充することが効果的だと思います。
 最後に、共同研究のための施設、宿泊施設、交通手段などのインフラ整備が必要です。共同研究者が、六ヶ所、那珂、カダラッシュにおいて、各拠点にある施設を活用して共同研究を行えるような環境づくりが大事だと思っています。特に、六ヶ所核融合研究所においては、宿泊施設の整備、交通手段の確保が非常に不可欠になっています。さらに、共同研究者用の居室の拡充といったことも必要です。ITERの組立期、運転期に向けて、カダラッシュサイトにおける国内機関活動を円滑に行うための環境整備というのも今後やっていく必要があろうかと思います。
 以上です。
【小森主査】  ありがとうございました。
 今の牛草委員の発表に対しまして御質問等ありますか。ディスカッションは後でということでしたが、御質問か何かありましたら。よろしいですか。
 続きまして、NIFSの金子委員より御発表をお願いいたします。
【金子委員】  それでは、こちらも資料がございますので、それに沿って、御説明します。
 まず、核融合科学研究所というのは大学共同利用機関であるということを認識されていない方がいらっしゃるので、そこをまず強調したいと思います。
 大学共同利用機関というのは何かといいますと、二つミッションがございまして、一つ目は全国の国公立・私立大学の研究者のための学術研究の中核拠点として、個別の大学では整備や維持が困難な大規模な施設や設備を全国の研究者の利用に供し、効果的な共同研究を実施することで我が国の学術研究の発展に貢献する、つまり大学の研究活性化に貢献しなさいというのが一つ目の使命です。
 二つ目は、核融合研究分野は私どもですが、大学共同利用機関一般で言えば専門分野、そこにおけるCOEとして重要な研究課題に関する世界最先端の研究を進めるとともに、海外の研究機関や研究者と協力・交流を推進し、国際的中核拠点としての役割も果たす、つまり自らも最先端研究を行いなさいという、この二つが私どもに与えられた使命でございまして、それを最大限に生かして核融合、原型炉に向けた研究を進めていきたいと私どもは思っております。
 それで、まず私たちNIFSの既存のシステムの中で一体何ができるかということを考えてみますと、私ども大学共同利用機関は大学と一緒で、やはり中期目標・中期計画というのを持ってございます、6年間ですが。それで、核融合研は、大学も同じですが、平成22年から27年までが第2期中期計画期間になってございます。今はその最中でございますが、ここにおきまして、これは小森所長の御指導があったわけですが、LHDを用いたプラズマ実験研究、それからスパコンを駆使した大規模数値実験研究、第1期まではこの二つが柱だったのですが、それにさらにヘリカル炉設計を背景とした核融合工学研究、この三つを研究の柱に据えることを明記いたしまして、具体的な対応として組織もそれに応じて三つの研究プロジェクトを作り、進めるということをしてきております。
 これらのミッションを進める中で当然原型炉に向けた研究はできるわけでございまして、具体的に言いますと、LHDでは例えば長パルスを含めたプラズマ・ウォール・インタラクションとかプラズマの特に3次元効果とか、乱流物理の研究ができますし、数値実験炉研究では、3次元のシミュレーションをやっていますが、これは当然2次元に落とせばトカマクにそのまま応用できるものですからトカマクに適用することによって3次元シミュレーションがきっちりできているかというこれは検証になりますので、トカマクの解析もしています。核融合工学研究につきましては、岡野先生が主導された核融合フォーラムのレポートがございますけれども、その中でITER・BAと並行してやるべきというのがたしか九つございまして、その中から私ども大学は一体何ができるだろうということを考えて、五つのR&D課題をピックアップしましてそれを現在進めています。具体的には、先進ブランケット、超伝導導体、低放射化材料などでございます。以上が現在私どもの研究所としての進め方です。
 それから、大学と一緒に行うということで、大学側の核融合研究を進めるうえで大きな役割を果たしていると思っているのが双方向型共同研究でございまして、これは、第1期中期計画までは異なった特長を持つ四つのプラズマ研究センターと核融合研とで構成していたものを、第2期では二つの工学系研究センターを入れまして、より工学的な色彩を強くした双方向型共同研究に変えてございます。
 具体的に言いますと、筑波大のGAMMA10をダイバータ試験装置として活用したり、富山大のトリチウム取扱設備、東北大の中性子照射並びに材料試験設備をプラズマ研究と密接にコラボレーションするような形で双方向型研究を進めてございます。
 次のページに行っていただきまして、それでは普通の大学研究室とはどんな関係かといいますと、これは、私ども多様な共同研究を展開してございまして、その中では核融合理工学の基礎から安全性や社会的受容性などに至るまで、幅広く大学における核融合研究を行うというスタンスを持って進めておりますので、そういう意味では核融合研究の裾野を広げるということに貢献していると思っておりますし、一方では、例えば材料分野を見ていただきますと、本当に多数の研究者が多彩なアプローチでもって研究した成果が集まってくるわけでして、材料データベースは非常に広くこれでもって確立されているだろうと思っていますし、あるいはイノベーティブなアイデアを試す場としての活用をしていただいているということでございます。
 それから、人材教育、これも私どもの重要なミッションでございまして、特にネットワーク型と呼ばれるような、研究者が学生も含めて研究場所を移動できる流動性の高い共同研究を大学も含めて提供することによって学生教育、人材育成への貢献ができていると思っておりますし、さらには国際協力、これも大事でございまして、特にアメリカもヨーロッパも今、プラズマ・ウォール・インタラクションや材料開発に非常に熱心でございまして、日米協力、日欧協力はそういった視点で進めてございます。
 さて、それに対して追加予算が措置されることで可能となることはどんなことかということですが、まず私どもの三つのミッションに対しては、当然、もし追加措置をしていただければ、例えばLHDの特徴を生かして非常に高性能なプラズマの長パルス試験ができるとか、あるいは重水素実験により高性能プラズマができれば、原型炉に必要な計測開発、プラズマ制御シミュレーションなどが可能になりますし、また、数値実験では、当然のことながら、スパコンのグレードアップということができまして、非常に大規模な数値シミュレーション実験が可能となり数値炉構築に向かって研究が進むだろうと思っております。
 それから、核融合工学、今のところは基盤的な研究を進めてございますが、これをさらにもし投資していただけるのであれば、実機そのものはさすがに無理ですが、実機に外挿できる規模の試験研究が進められるだろうと思っております。
 3ページに行っていただいて、それからもう一つ、大学への投資でございます。大学にも中規模設備を持って核融合研究を行っているところがございます。そこに是非投資をしたいと思っております。核融合関係の予算は、概算要求は大学からできなくて、核融合研からしかできませんので、そういったチャンネルを生かして大学における核融合研究をさらに活性化できるだろうと考えております。
 それから最後に、これは非常に問題なのですが、現在ミッションの再定義というのが大学でございまして、そこでは大学の個性化を進めております。あるいはガバナンス力を強めるとかいろいろな方向で言われておりますが、これは下手をすると、大学において核融合を支える地道な研究が途絶えてしまうかもしれないという危機感を抱いております。それに対して、やはりこれを維持・促進するためにはインセンティブの投与が非常に大事でございまして、予算が頂けるのであれば是非こういうところにも使いたい。例えばトリチウムの環境影響というのは、一時期、ITERが誘致されるころは大学で一生懸命やられたのですが、最近はほとんど下火で、先生方がもし定年で辞められてしまったらその後の研究室はなくなってしまうというような状況でございますので、これは何とかしないといけないと思ってございます。
 あと、我々以外のところで実施してほしい取組、私ども、大型設備を持っているとはいいながら原型炉に向けては規模が小さいので、やはりJAEAさんにしっかりと大規模な研究施設を備えていただいて、それを大学の方に展開してほしい、共同研究ができるような環境を整えていただきたい。学会や産業界との連携も重要で、ここでも議論がございましたけれども、規格・基準作りというのはそういったところが中心にならないといけないと考えます。最後に、行政に対しての要望は、戦略官がおっしゃったような統合的視座を持つためにはこういった場が是非必要でございまして、これはやはり行政の方で用意していただかないと、なかなかコミュニティから自発的に出てくるものではございませんので、是非しっかりそういった視点を捉えて進めていただければと思っております。
 以上でございます。
【小森主査】  ありがとうございました。
 今の金子委員の発表に対して御質問等ありましたらお願いします。よろしいですか。
 それでは、プラズマ・核融合学会より本日、二宮学会長にお越しいただいておりますので、二宮先生、よろしくお願いいたします。
【二宮プラズマ・核融合学会長】  プラズマ・核融合学会会長の二宮です。合同コアチームの中間報告を踏まえ、今後プラ・核学会がどのように取り組んでいくべきと考えるかということについて私の意見を述べさせていただきます。
 まず1ページ目、今後の取組の話の前に、最初に簡単にプラ・核学会の概要を紹介させていただきます。御承知かと思いますけれども、プラ・核学会の活動の目的は、プラズマ及び核融合両分野の学術研究の促進を図るとともに、人材育成に貢献するということでありまして、この目的に基づきまして四つの大きな活動を考えております。一つは学術研究促進でして、その中で核融合研究に関しましては、超高温プラズマの学術研究の体系化の促進、炉工学分野の研究のさらなる活性化、ITER建設や幅広いアプローチ活動の成果の活用等を通して、核融合炉実現に向けた研究基盤の構築を目指すというふうに考えております。
 また、学協会連携とか学会活動の国際化、学会内外に向けた情報発信、こういうものを大きな柱としております。
 御参考までに次の2ページ目に会員数と専門分野別の会員の割合を示しております。今プラズマ・核融合学会の会員数は、正会員が約1,300名、学生会員が350名です。
 ここで若干気にしておりますのは、最近学生会員から正会員になる人が減少しておりまして、この辺が人材育成とかそういう面から少し課題かなと思っております。あと分野別には、プラズマ基礎、プラズマ応用という人たちが結構おりまして、あと核融合、炉工学が大体同じくらいの割合でいるというような状態になっております。
 3ページ目に活動ということで紹介させていただきますけれども、学会におきます学術研究促進のための一番大きな活動としましては、やはり年会、学術講演会があるかと思います。年会に関しましては毎年1回行っておりまして、今年は年会を兼ねましたプラズマコンファレンス2014というものを日本物理学会領域2及び応用物理学会プラズマプロセシング研究会と共同開催する予定です。
 また、2年に1回、核融合エネルギー連合講演会を開いておりまして、今年は6月に日本原子力学会核融合工学部会と共同で開催する予定です。このエネルギー連合講演会ではかなり原型炉に向けた活動を中心に取り上げる予定でして、例えばシンポジウムで発電実証に向けた核融合研究の進展ローマ数字1、ローマ数字2、ローマ数字3、あるいは発電実証を担う若手の活動、パネルディスカッションで発電実証に係る戦略、このような議論をする予定でおります。それ以外に、九州・沖縄・山口支部大会とか北海道地区研究発表会というのが毎年1回行われております。
 今後の取組として重要だと思っておりますのは、先ほど来出ております学協会の幅広い連携ということで、電気学会とか日本機械学会、低温工学・超電導学会等、そういう幅広い連携の強化が重要と思っております。具体的にどういう連携の仕方があるかについては、まだなかなかいい案がないという面もあるのですけれども、今後この辺の強化を図っていきたいと思っております。
 4ページ目ですけれども、当然学会誌、英文論文誌の刊行を行っております。
 3番目としまして、萌芽的な研究、イノべーティブな技術開発の促進ということで、テーマを公募しまして専門委員会を設置し、額は少ないのですけれども、助成金を支給して活動を行ってもらっております。26年度は5テーマを推進するということで、その中の1テーマに「先進急伸基盤技術を用いた小型汎用核融合炉方式の検討」というような、非常に新しいテーマを追求しようというものも含まれております。今後もっとテーマ数や助成金の増大を行いたいと思っておりますけれども、学会財政との絡みで、その辺が今後の課題となっております。
 産業界との連携強化としましては、専門講習会で企業等での学会成果の活用の促進をしていただく、あるいは産業界との懇談を中心とした講演会、こういうことで、学会は産業界にどういう貢献をできるか、産業界は学会に何を期待しているか、そういう議論を通して連携強化を図っていきたいという活動をしております。
 若手研究者の育成ですけれども、毎年1回若手夏の学校を開催しております。これは、プラズマ・核融合学会の場合は運営を若手に一任して開催しておりまして、全国の主な大学7校ぐらいで順番に担当してやっていただいておりますけれども、最近の課題として、博士課程の学生が減少しておりまして、なかなか幹事校の役割を果たせないという学校が出てきている、そういう実態が出てきておりまして、その辺がやはり若手の人材育成という意味では問題かなと思っております。
 今後、少し日本原子力学会の核融合工学部会の夏の学校との協力を模索したいと思っておりまして、実際今年の夏は協力した第1回目の夏の学校を開こうということで今進めております。
 また、高校生シンポジウムというのを毎年1回開いておりまして、これは高校生自ら研究した成果を発表、議論する。それからプラズマ・核融合研究の紹介をするというものであります。これはプラズマ・核融合の研究に限らず、科学技術一般の紹介をしております。なかなか参加者も多くて、この活動を通じて若手研究者の育成の一端になればと思っております。
 それから、先ほど御紹介したプラズマ2014年で、講演と並行しまして学生や企業の人向けのレクチャーコースを毎日開こうかと考えて、今進めております。少し若い人たちに専門的ないろいろな教育をその場でして、彼らの勉強のためにもなってほしいと思っております。
 社会への情報発信としましては、公開講演会、小中学生向けの科学教室、ホームページでのプラズマ・核融合に関する知識の普及。この辺に関しましては、大学とか研究機関、あるいは核融合エネルギーフォーラム等との連携強化をさらに図っていきたいと思っております。
 その他の今後の取組で考えておりますのは、一つは受託等に基づく各種課題に対する学会としての検討・評価、こういうことができるのではないか。その下に例としまして、「核融合エネルギーの特徴と核融合炉の安全性・安心感」という報告書を2012年に作成しておりまして、これは学会の活動の一環として作成しておりますけれども、こういうのをもっと広げていけたらと思っております。そういうことで学会としての役割といいますか、コミュニティに対する貢献をもっと強めていければと思っております。
 また、核融合原型炉のための各種規格とか基準等の制定をプラ・核学会で行えたらと思っております。
 最後に、原型炉の開発に向けてということで、今後期待したい対応を一つだけ述べさせていただきます。核融合の研究現場から最近私、少し離れているのですけれども、そのような状況の中で率直な感想としまして、原型炉開発の中心となって責任を持って進めている組織の姿がちょっと良く見えない気がいたしております。私は、プロジェクトを進めるためにはやはり責任を持って開発を進める中核となる組織が必要と思っておりまして、そのような中核的な組織があって、それを中心に全日本体制を構築することによりまして初めて目的を有する研究開発といいますかプロジェクトが強力に、かつ効率的に進むのではないかと思っております。緩やかな連携体のような組織ではなかなか強力な開発というのは進まないのではないかと思っております。
 合同コアチームの中間報告では、研究開発計画の管理に全日本体制で取り組む炉設計活動組織の速やかな立ち上げということは提案されておりますので、これが中核となる組織となるのか、ちょっとその辺、今回の報告書からは読めなかったのですけれども、正直管理だけでなくて実務もきちんとするような組織を今後もし議論されるということならば、そういうことを合同コアチームでも是非議論していただいて、そういう組織の活動を強化する施策を検討していただけたらと思っております。
 以上です。
【小森主査】  ありがとうございました。
 今の二宮先生の発表に対しまして御質問等がございますか。
 それでは、続きまして核融合ネットワークの小川委員より発表をお願いいたします。
【小川委員】  それでは、核融合ネットワークから発表させていただきます。資料1を用意しましたので、これに沿って説明させていただきます。
 御存知の方も多いと思いますけれども、核融合ネットワークというのは、大学等、この大学等というのは大学及び核融合科学研究所ですけれども、等の核融合研究者をメンバーとしておりまして、研究情報の共有や研究協力の推進、人材育成、他分野への学術発信などを核融合科学研究所と連携・協力しながら進めております。このような立場から、核融合ネットワーク及び大学の研究者の視点から本日はコメントさせていただきたいと思います。
 三つの視点からのコメントということで、まず最初の視点に関しまして、その背景を最初のポチの3行目のところに「また」というところから書きました。「また核融合開発は、数十年の長期プロジェクトであり、しかも幅広い学術・技術分野の最先端の英知を結集することが必要である。したがって、原型炉開発を支える強固な学術基盤の構築と不断の人材育成も不可欠である」と。本日、私からはこの二つの点についていろいろコメントさせていただくということでございます。
 この二つの点、学術基盤の構築と人材育成という視点でまず図の1を見てください。これは平成15年の科学技術・学術審議会の学術分科会の核融合研究ワーキンググループのときの図ですけれども、ここにありますように、ITER及び核融合炉に向けて重点化をしていく、と同時に、その基盤となる学術をきちんとやらなければいけないと謳っています。
 先ほど坂本戦略官からもお話がありましたように、強固な学術基盤の構築のためには、我々核融合関係者のみならず、他分野の人材をいかに核融合コミュニティの中にインボルブしていくか。それからもう一つは、世代を超えた人材をいかに育成していくか、これがキーだと思っております。それをどうしたら良いのかというので、私も長く考えていて、なかなか具体的な案がないのですけれども、少し考えましたのを次の1ページ以降簡単に紹介させていただければと思います。
 それで、この強固な学術基盤の構築と不断の人材育成を推進するためには、核融合ネットワークの母体である全国の大学における核融合研究の活性化が必須である。
 大学等の研究の活性化に向けた努力の一例として核融合研の共同研究の拡充が挙げられます。これにつきましては、先ほど金子委員の方から御説明がありましたように、核融合研にいろいろ最近御努力いただきまして、双方向型とかネットワーク型というので、附置センター、それから大学間の交流などもできるようになったので、しかもそれが学生の交流となったので、これは非常に有効であると思います。
 核融合研の共同研究では、大学等からの自主的な提案に基づいた課題に対して推進されております。一方、原型炉開発では、今回の中間報告書にありますように、やはり緊急かつ重要な検討課題がある意味ではトップダウンで指摘されておりますので、それに対して、大学、核融合研、原子力機構などを網羅した全日本的な連携による共同研究体制を構築し推進する必要があるでしょう。これは皆さんも御指摘されているような考えと共通します。
 例えばですけれども、9項目の開発項目のうちの一つとして、ダイバータが挙げられます。今まではどちらかというと閉じ込め方式とか装置オリエンテッドの共同研究体制だったのですけれども、それをこういうダイバータという課題オリエンテッドのものとして、それを全日本的に、しかも大学と核融合研と原子力機構を含めたところで横断的に、プラズマ実験装置、材料開発・シミュレーションなどが連携してできないかと。こういう組織をどこにどう作るかは、先ほどの責任の体制というのがありますので難しいですけれども、こういうものが必要ではないか。ある程度課題別のトップダウンの組織が必要であろうと。
 その次のポツは、ちょっと視点がずれますけれども、原型炉開発では多種多様な学術分野からの参画が必要であり、大学等の潜在的ポテンシャルを把握しておくことが必要です。というので、9項目に代表される開発課題がありますけれども、大学にどの程度の人材がいるのかというのをそれなりにきちんとデータ化しておくことが必要であろうということで、ネットワークでは、大学等の核融合研究の現状と将来の人材育成の可能性ということで学生の数とかそういうものを定期的に調査しておりまして、最近だと平成18年に行いましてこの作業部会に報告しました。もう18年から8年経ちましたので、早急に最近の動向を再調査しようというので今、検討、動いているところでございます。
 それから2番目、予算措置の件ですけれども、原型炉開発には計画的な予算確保の裏付けがなければ人材が定着しないし、研究開発も継続性がなく、非効率となります。大学等で原子力機構からの受託研究などを通して原型炉開発を目指したBA活動に寄与しているが、先ほど牛草委員から紹介がありましたけれども、やはり予算的には我々から見ると非常に小規模で単年度予算であったりするので、ある程度単発的と言わざるを得ない。また一方、ほかの分野ですと、産業界と関連がありますと産業界との連携も考えられるのですけれども、核融合の場合は産業界とのそのような産学連携はなかなかなじまない。
 そうしますと、どうしてもやはり長期的視野に立って国策として進めるべき核融合分野では、例えばですけれども、JSTがやっています戦略的創造研究推進事業、CRESTですね。さきがけの方は個人が対象になるという話ですので、CRESTのような科学技術政策対応型の競争的資金の確保が必要であろうと思います。
 ちなみに、1980年から10年間、文部省時代の科研費に核融合特別研究というのがありました。ここには書きませんでしたけれども、10年間で75億と聞いております。この核融合特別研究により、大学の研究がかなり進展しました。特にこのときに核融合をプロパーでやっていた先生方以外に、大学の先生方で核融合の方に入ってきた先生がこの核融合特別研究で非常に多かったと聞いております。他分野の先生方が核融合界に参入するためには、やはりこういう基盤となる研究開発資金の確保が必要ではないかと思っております。
 その次、3ページ目ですけれども、このような戦略的創造研究推進事業が核融合分野でも創設されるならば、原型炉開発の重点項目遂行に必要な課題を公募することによって、コミュニティ内の切磋琢磨も起こると共に、先ほども申しましたように、関連する学術分野の人たちが積極的に参加するという可能性がありますので、それは原型炉開発における学術基盤の構築と裾野拡大に非常に寄与するものだと思っております。
 これは比較的大きな予算で、1件当たり数百万から数千万ぐらいの規模になると思いますけれども、そうすると、このような比較的大型の研究予算を大学等が獲得することにより、この予算で、CRESTなんかそうでしょうけれども、若手の研究者の雇用をしておりますので、そういうことにより次世代を担う研究者の育成にもなると。
 それから、大学の方は最近ずいぶん世知辛くなくなりまして、外部資金をいかに取ってきたかで大学内の競争力が決まってくるところもありますので、そういう意味でこういう大きな予算を定期的に長い期間取れれば大学内での競争力を上げることができるだろうと期待しております。
 最後はその他のことですけれども、これはいくつか個人的に思っていることを書かせていただいたものです。まず最初に、日本からのITERへの人的寄与、特に若い人の寄与を組織的に増力する必要がある。若い研究者がすぐにITERに採用されるのは必ずしも容易ではないので、できるだけITERと何らかのコンタクトをとりながら研究を進める。このようなことは、核融合科学研究所の方で、COE研究員の枠でITERへの若手を派遣、滞在させるような制度を今検討中と聞いておりますので、期待しております。
 それから、先ほど牛草委員の方からも少しありましたけれども、原子力機構のリエゾン室をカダラッシュサイトにもっと拡充して、多くの日本人がITERサイトに行けるようにしていただきたい。
 それから、これも皆さんから言われて、なかなか難しい、今後の課題だと思われているのですけれども、JT-60やITERへの大学からの参画では、タスクやテーマのリーダーとして牽引する人が期待される。そういう人が大学等を長く離れるときの、ポスト等をどうするのかと、その辺の制度設計を考えていただきたい。
 それから最後は、これは言わずもがなですけれども、一般的なことですけれども、昨今の我が国の科学技術政策は比較的短期的な成果を期待できそうな分野に傾注していると言えよう。行政に対する要望を書いてくださいとあったのでこういうふうに書かせていただきましたけれども、エネルギー政策においても30年程度を想定した政策のみの議論に集中しているような気がします。今回は幸いなことに、エネルギー基本計画に核融合の研究課題が取り上げられましたが、言い古されていることですけれども、やはりエネルギー問題というのは国家百年の計を見据えた議論と政策が求められる。これは蛇足ですけれども、以上でございます。
【小森主査】  ありがとうございました。
 今の小川委員の発表に対して御質問等ございますか。よろしいですか。
 それでは最後に、核融合エネルギーフォーラムの岡野委員より発表いただきます。フォーラムにつきましては前回の作業部会で堀池委員にお願いしておりましたが、あいにく堀池委員の御都合がつきませんでしたので、岡野委員にお引き受けいただきました。それでは、岡野委員、お願いいたします。
【岡野委員】  私は、もちろん個人の意見を申し上げますが、堀池委員とも十分議論して私の意見をまとめてまいりましたので、それを御紹介したいと思います。それから、3月28日には、原型炉概念設計共同検討会というものと、それからコアチームの中間報告会を兼ねた会をやりまして、そこでフォーラムの皆さんの意見を聞きましたので、それも考慮に入れながら意見を構築してきたつもりでございます。
 まず最初のページの1)については、核融合エネルギーフォーラムのこれまでの取組について、全部は御紹介できませんので、原型炉開発戦略に向けたものだけに特化して御紹介しているものでございます。
 まず1個目の丸でございますが、核融合炉開発ロードマップ検討委員会を2005年に作りまして、2007年に中間報告を出しました。その中間報告を基に、ITER・BA技術推進委員会にロードマップ等検討ワーキンググループが作られて、よくここでも話題に上げていただくロードマップができたという流れでございます。だから背景にはフォーラムの活動があったというのを御紹介したいと思って申し上げました。
 それから2番目の丸ですが、BAの炉設計活動の開始に伴いまして、原型炉概念設計共同検討会を設立しまして、その中で国内の意見調整をして、最近の早期実現性を高める設計へと進む日本の国内の合意形成、そういったものに貢献してきたのではないかと思っています。
 また、3番目の丸でございますが、堀池先生が報告された「原型炉に向けた研究開発の具体化について」のためのアンケートをフォーラム内で行い、まとめまして、それも基に2012年の本作業部会からの報告書、「核融合原型炉開発のための技術基盤構築の進め方」というものにつながっていったと考えております。
 以上、非常に簡単にこれまでの活動を御紹介いたしました。次のページ、2)では今後の体制について少し御紹介しています。本年度から少し体制が変わっておりますので、それを御紹介します。
 原型炉に向けた国内体制構築を核融合エネルギーフォーラムの体制としても明確にし、活発な活動を実現すべく、社会と核融合クラスターにこれまでございました実用化戦略サブクラスターというものを、サブクラスターではなく、独立した実用化戦略クラスターとして新たに位置付けています。その中で、DEMO設計意見交換会とロードマップ意見交換会を継承しまして、それぞれがDEMO設計サブクラスター、ロードマップサブクラスターというものに位置付けられるように形を変えました。
 その下の絵を御覧ください。調整委員会と右の方に書いてある図です。その下の方に矢印が書いてあって実用化戦略クラスターと書いてありますが、社会連携・企画クラスターと、その他、物理、炉工学、シミュレーションのクラスターと並んで新しいクラスターとしてここに実用化戦略クラスターが位置付けられて、外形的にも実用化を目指しているのが見えるような体制にいたしました。
 また、その図の下の記述でございますが、実用化戦略クラスターの暫定世話人と暫定幹事としまして、原産協会の清水さん、JAEAの坂本さん、それと私、それから暫定幹事としてNIFSの後藤さん、電中研の日渡さん、この5名を予定しております。下線を引いた方は産業界の方です。このように、産業界から新たに2名の世話人、幹事を迎えて、産官学の意見調整を推進しつつ、BA後の原型炉に向けた体制下におけるロードマップの見直しとか技術課題を整理して、できるだけ意見を集約したいと考えています。
 それから、その下の下線がある部分は、中間報告会を聞いて思った個人の意見を書いたものです。特に3月28日にフォーラムと共同でやったコアチームの中間報告会は、特に原型炉活動の紹介と一緒にやったこともあって、昨今の原型炉の設計変更方針について、「原型炉として十分な役割をそれで満たすのか?」あるいは、「将来コスト競合性のあるプラントにそれでいけるのか?」といった点を不安視する意見も聞かれました。
 これは、あくまでも私見ですけれども、lTERの建設より前に確立された従来の重量ベースのコスト解析モデルによって結論した、小型だったら低コスト、大型だったら高コストという先入観が日本ではいまだに強いためではないかと感じました。
 その後のITERの建設経験や、IFERCでのヨーロッパとの議論も通しまして、私は、今は必ずしも大きさとコストが同義でないと思っています。それらの最新の成果も会員にも提供して、早期実現性と将来競合力への見通しの確保の両立を図った原型炉に関する意見集約を今後は図っていきたいと私は考えています。
 こう言うと、そういう従来のコスト計算をしたのは君だろうと言う方はきっといらっしゃると思うのですが、それはそのとおりながら、ITERを建設する前はそういう方法しかなかったし、核融合炉のコスト比較ということは役に立った研究であったと私は信じているのです。ただ、一つまずかったかなと思っているのは、全く違う技術で、しかもプラズマの仮定も全く違う概念設計を同じコスト解析手法で分析して高いとか安いとか結論していったのは適確ではなかったかなと今は思っています。そういった技術レベルや開発の難しさの差のコスト評価までができるような手法を開発していく必要がある。例えて言いますと、工業化された市販車の製造コストを評価する手法で、F1マシンのコストは評価できないですよね。多分、F1マシンは仮に量産しても市販車のように安くはならないわけです。そういったことがあるので、新しく評価方法を開発していく余地があるのではないかと思っています。
 それから、次に3番目に行かせていただきますが、今後の活動を強化するための要望ですけれども、皆様が割と大所高所からおっしゃっているのに比べて、細かいことになるかもしれませんが、非常に分かりやすい使い勝手の改善について、困っていることをちょっと言わせていただくチャンスかなと思って、次のことを申し上げます。核融合エネルギーフォーラムの予算について、旅費をなかなか発表者以外に出せないというのが結構困っていて、シナリオのない自由な討論をしたいと思うのですが、最初から名前が載っていないと旅費も出せませんという状態になっているのが困っている。これは一言だけ言っておこうと思って、簡単にできそうなものということで言わせていただきました。
 それから次が、かなり大掛かりなものになるかなと思うのが研究予算の配分についての要望です。フォーラムで原型炉開発のために必要と判断した課題について、今は出せても旅費程度なのですが、今後は研究費とか海外渡航費を提供する、あるいはさらには、研究員とか一般職員を雇用できるような仕組みを工夫してほしいと思っています。そしてそれを将来、つまりこのフォーラムの仕組みを原型炉設計コア組織の一部に取り込むとか、あるいは逆にその組織の初期段階として設定してもいいのではないかと感じています。もしもそれが可能ならそういうふうに発展させていただければと思っています。
 それから次は、産業界と他分野の人材連携強化に向けての意見です。ひょっとするとほかの方と言うことが違うかもしれませんが、私は以下のように思っています。簡単に言うと、やっぱり東京近傍に何か核となる仕組みがあってほしいと思います。その心は、研究側の都合で場所の集約を考えてはいけないのではないかと思うのです。もう少しはっきり言えば、ここには書いていませんが、どうすれば産業界とか他分野の協力を得られるかという視点で考えていないのではないかと私は思うのです。全部東京に持ってきてください、と言っているのではないのです。ただ、核となる組織どころか、原型炉設計の会議をしようと思っても、今は東京にはテレビ会議システムが海外とか青森とかNIFSにつながる部屋さえない。これはうまくないです。何らかの組織が東京近郊にあれば、産業界の方でも、例えば半日使えば来ていただけるし、週に1回か2回の兼務というものも可能なのですが、今の状態で、産業界に要望されていることは、会議一つするにも丸1日掛けて出張してきてくださいと言われるし、何か業務協力するという場合にも常勤で出向してくださいという話になってしまうのです。それは現実問題として非常に敷居が高いです。
 私は、少なくとも炉設計は机とコンピューターである程度までできるわけですから、そういう一部が東京にあって、議論をして、NIFSとか青森とかはテレビ会議でいつもつながっているというシステムでもできると思っています。これは産業界を取り込むには極めて重要かと。他分野の方もそうです。他分野の方を取り込むには場所が参加しやすいというのは極めて重要かと思っているので、あえてこういうふうに申し上げております。
 1番下の3行は愚痴が書いてありますのでちょっと忘れてください。ただ、これは、実際にはとても困っているので何とかしてほしいと思います。
 それから最後のページでございますが、ここの部分については、堀池先生と議論してまとめてきたものでございます。もちろん私の個人の意見として、中間報告も聞いたうえでのコメントでございます。批判ではありません。私は中間報告を一緒に議論させていただいたメンバーですから、批判があったり意見が違うことはないのですが、こういうことを今後に生かしていただければということをコメントしています。
 まず全体設計の進め方、核融合原型炉の進め方ですが、従来のJT-60とかJET、LHDまでは、概念設計時点にて装置のサイズや要求精度が既存の工業技術の範囲内に十分収まっているという見通しがあったと思います。そのため、装置の検討からの設計において、まずは物理性能を満たす設計が優先されて、その後から後付けで工学的な技術設計を当てはめても全体の整合性がとれるという方式で設計、建設が進められてきたと私は認識しているのです。
 しかし、ITER以降では、装置の大きさと精度、必要とされる製造技術が産業界での技術者の能力も含めて既存製造技術を超えてしまうところまで来ているわけです。原型炉はもちろんもっと難しいでしょう。炉設計と製造に適用可能な工学技術開発と物理的な研究開発を並行させて相互のバランスをとりつつ進め、装置全体としての物理と工学のバランスと最適化を図ることが必要不可欠で、ここが難しい。
 物理的な目標と機器の構造概念、それを実現する機器の製造技術、ものを作る工作設備、それから製造技術者の能力、人材確保と若い人の勧誘、育成も含めてなのですが、それにかかる費用、それから工程など、主要ポイントだけで良いと思うので、全体を通しての最適化の検討をコアチームで今後進めてもらえないかと感じています。
 それから、その他の点について少しコメントを追加しています。与えられた目標に関してコアチームのアウトプットは非常に順調な成果を出したと私は評価したいと思います。それから、若手の意識を高めたという意義は非常に大きかったと思います。
 一方で、私は、事情は良く分かっているのですが、中間報告では、原型炉の技術課題に注力する取捨選択がなされていないので、総花的であるという意見が結構出ていました。これは、そう見えてしまうのは仕方がないと思います。資源は限られているので、優先順位を付けて取り組むべきだと思いますし、具体的には、私と堀池さんが思ったところは、ブランケット、燃料、安全、ダイバータであると思います。結論をここで言うつもりはないのですが、そういったことまできちんと議論していただければと思っています。
 それから、最後の項ですが、また、ロードマップとして、人材を切らさず、ITERの建設フェーズの進捗に合わせる形で時間軸を考えて設計してほしいと思います。特に、ファーストプラズマを見てからというのが非常に重大なポイントなので、ファーストプラズマが何かちょっと予定と違っていたら全部変わりますというのではなくて、何は待つ必要があって、何を前倒せるかというのは明確にしておいてほしいと思います。
 それから、ITERとBAは、実施機関とテーマが決まってはいますが、原型炉設計とR&Dはいまだ実施主体もないわけです。その構築に至る道筋を皆さんで考えてほしいと思います。具体的には産業界と大学の取込が重要で、そのためにどうあるべきか。さっき私も意見を申し上げましたが、もう少し考えてほしいと思います。ITERとか60、LHD以外の人間の確保が必要ではないかなと思います。そのためには、エネルギー全般、原子力分野、それから社会経済分野との情報交換が重要です。
 私は、この中では特に社会経済分野を強化してほしいと思っています。なぜかというと、IPCCなんかも核融合は全然出てこないのは、きっと十分な情報を提供できていないからなのです。IPCCの委員の先生方の何人かと話している限りでは、必ずしも核融合を嫌っているわけではないのです。ただ、実現は遠い未来だよねと。それは間違っていないのですが、研究進展の実情は必ずしも分かってもらっていないように感じます。現状や展望をきちんと説明すれば、核融合を未来技術にとり入れてくれる可能性はあると思います。ですから、まだコミュニケーションが不足だと非常に感じているので、そこを頑張ってほしいと思います。
 それから最後の1行ですが、トリチウム技術や安全性、ブランケット試験等については、何らかの組織化した検討が必要ではないかと思うので、具体的には例えば、まずはワーキンググループを作るとか、そういうことをやってみてはいかがかと思っています。
 以上でございます。
【小森主査】  ありがとうございました。
 今の岡野委員の発表に対しまして御質問等がございますか。よろしいですか。それでは、全体を通しました意見交換の時間とさせていただきます。何か全体を通しまして御意見がありましたらお願いいたします。
【岡野委員】  質問なのですけれども、よろしいですか。
【小森主査】  はい、どうぞ。
【岡野委員】  小川先生のときにお聞きすれば良かったと思うのですが、小川先生はネットワークは大学とNIFSとおっしゃったのですが、これは正式にはJAEAさんは入っていないという認識なのですね。
【小川委員】  今はオブザーバーとして入っているということです。
【岡野委員】  分かりました。そうすると、フォーラムは逆に言うとJAEAさんも入っているし、産業界まで入っているので、そういうところをすべてカバーしようとするとフォーラムでやるしかないことになりますね。
【小川委員】  はい、そうです。
【小森主査】  ほかに何かございますか。先生どうぞ。
【東嶋委員】  先生方、御説明ありがとうございました。先ほど坂本戦略官から非常に危機的な意識を持って、原型炉を作っていくためにこういう説明責任があるから予算獲得というか、原型炉を作るためにはこういうことが必要なのだとすごく強く言われたと私は認識しているのですが、それに対して先生方がそれぞれのグループとか組織を代表してお話しくださったのですけれども、では原型炉開発に向けてどこが、どこの誰が中心になってどうやるのかということについて、皆さん、姿が見えないとか、こうやって行政にはやっていただきたいとか要望ばかりで、では自分がやろうとかどこがやろうとか具体的な話が全然ない。質問させていただきたいのは、全員の先生方にお願いしたいのですが、例えば二宮先生は、今後に期待する対応として中核となる組織が必要、今姿が見えないというようなことをおっしゃったのですが、どこがやればいいのかというのをもうちょっと出し合って、皆さんもっと危機感を持たないと、原型炉に予算なんか付けなくてもいいということになりかねません。ですので、是非先生方からどこがやるべきか伺いたいと思います。
【小森主査】  どうぞ。
【牛草委員】  原子力機構の牛草です。これまで、JT-60もそうですしITER、ブロードアプローチ、それぞれ核融合の割と大きなプロジェクトについては原子力機構がやるということで進めさせていただいています。我々、現場の核融合の原子力機構の研究者は、原型炉についても私たちがやりたいと思っています。ただし、我々が今与えられているミッション、ITERをうまくきっちりと責任を果たす、ブロードアプローチをきっちりやる、それに加えて原型炉をやろうとする、現時点でですよ。やろうとすると、とてもとても人材が足りない、人が足りない。だからこそオールジャパンで、何とか我が国の研究者、技術者が一丸となってできる体制になればと思っているところです。ただし、原子力機構が例えば原型炉に向けたプロジェクトの実施主体になりなさいという指示があれば我々としてはそれに沿って務めを果たしていきたいと思っています。ただ、そのためには人をより拡充する必要がある。現状ではなかなか人的には厳しい状況だということです。
【東嶋委員】  今のこのもんじゅをちゃんとできていない、つまり、原型炉開発といって、将来は発電に向けてやるけれども、いろいろな派生的な研究開発もできますよということでやってきたけれども、結局発電ということになるとなかなかうまくいきませんよね。そこにはいろいろな背景となっている問題があるのは分かっていますけれども、結局は、予算だけ取って、研究をしている人たちの誰も責任を持たない、実際、高速増殖炉として現実にやるという意欲が感じられない組織にそれができるのかというのが国民のおおかたの見方ではないでしょうか。
 ですから、それを払拭するような説明とか科学的根拠とかやる気を出さないと、JAEAさんが原型炉やります、中心になってやりますと言っても、できるのかしらという不信感しか持たないということです。
【坂本戦略官】  よろしいですか。
【東嶋委員】  はい。
【坂本戦略官】  どうもありがとうございます。
 今、東嶋先生がおっしゃっていただいたことを、はっきり言うと、もうほとんどそのまま私は3月の説明会で全部のところで言ってまいりました。非常にありがたい、私からのメッセージを先生にも御理解いただけたのは。その声は、私自身が説明しているときにずっといろんなところで私自身が受けている声なのです。
 今、ITERが非常に重要な段階に差しかかっていて、予算も非常に大きな割合で伸びています。そこには非常に大きな責任が伴う。今、先生がおっしゃったような、その責任が伴う。しかし、そこで、それがゴールじゃないですよね、その次がありますよねと。今、このコミュニティで活動されている、一生懸命日々研究に取り組まれている人は、ITERが目的ではなくて、その次、実現したいという志を持ってやられていますよね。その志を前面に出してがむしゃらに取り組んでいかないと次へ行けませんよということを私も必死になって皆さんに伝えているというか、皆さんそう思っているのですけれども、どうしても日々やっていることが忙しい、あるいはいろいろな研究の課題もありますし、あるいはマネジメントの課題もありますし、いろいろなところで、本当は大きなビジョンというものをみんなで共有すべきところを、ついそこは後に回して当面取り組むべき課題に目が行ってしまうというところを私も感じたものですから。でも、それでは我々説明責任がいつの間にか果たせなくなるかもしれませんよと、次のステップに行こうとしたときに。
 ということを、これは相当部分、この2年間というか、まず作業部会で報告書をとりまとめていただいた去年の春に1回やって、今年も春やって、この2年で相当再認識というか、意識を高めていただくことができたのかなと思っています。若い方にはそれをしっかりと受けとめて、その責任を果たすぞと。私、正直言うと、JAEAの那珂の研究所で、100人ぐらいの方がいらっしゃいましたけれども、やる気のない方は辞めてください、このプロジェクトをすぐ止めますからとはっきりと、先生がおっしゃったことをもろに言いました。そこに対して応えるという意欲は私も感じました。それを形にしていただくことがこれから必要になるということです。
 そういう意味では、これは議論してもしようがないことなのですけれども、もんじゅについては我々はそれを教訓にしないといけないと思っています。そのビジョンを、志をずっと高く持ち続けていくためにどう、人材育成を含めてシステムを、動き続けるシステムというか、発展し続けていくシステムですね。進化していくシステムというものを作っていくかというのを、これはコミュニティと行政両方で考えなければならないと思っていまして、これは言うのは簡単で、実は非常に難しい問題ではあるのですけれども。
【東嶋委員】  坂本戦略官の意欲はすごく分かるのですけれども、先生方の意欲が分からないということをさっき申し上げました。今日発表された方々がこうあるべき、こうあるべきとおっしゃったので、では具体的にどこの組織を考えているのですかということを伺いたいというのが質問です。
【山田科学官】  そういう意味では、牛草さんからの中にJAEAが主導的役割を果たすべきと書いてありますので。私は、これは非常にはっきり書かれて、よく書かれたなと今日最も感じているところです。
【東嶋委員】  どこに書いてありますか。
【山田科学官】  牛草さんの資料の、めくっていただいて2ページ目の下から4行目です。「原子力機構は国内機関、実施機関として、これらの開発研究に主導的な役割を果たすべき」。
【東嶋委員】  はい。分かりました。では、二宮先生は。
【二宮プラズマ・核融合学会長】  私、JAEA出身だったものですからちょっと遠慮したのですけれども、やはりJAEAがしっかりとやるべきだと、そういう意味で書かせてもらっています。
【東嶋委員】  分かりました。
【江尻学術調査官】 私は、先生の質問に関しては、JAEAさんが中核的に担うべきだとは思うのですけれども、ほかの機関や、あるいは海外と比べてJAEAさんは予算と人的資源のバランスが非常に悪い。要するに人が少ないというのが私の感じるところです。ほかの機関、あるいはほかの国と比較して非常にバランスが悪いと思います。
 それはただ核融合だけではないのです。私の近いところにJAXAで仕事をしている大学の教員がいるのですけれども、JAXAの方に共同研究で駆り出されている。そうやって大学のマンパワーを吸い上げて何とかやっているというのが日本の科学技術の科学の実態だと思うのです。それは、彼が言うには、NASAとか何かと比べると驚くほどひどい、低い予算で同等のことをやろうとしていると。それは核融合も多分同じなのです。
 だから、やる気がないというふうに批判するというのは分かるのですけれども、かすみを食って研究しているわけにいかないというところがあって、非常に個人の努力に、あるいはボランティア的なところで何とか働け働けと言ってやらせるというのが日本の特徴だと思うのです。それが、ある程度はうまくいくけれども、いつもうまくいくとは限らないと。だから、日本人というのは批判はするのです。競争させて、それで頑張らせて、うまくいくこともあるけれども、いつもそれでは頑張れないというのが私の意見で、何も研究者や科学技術をやっている人だけのせいではないという気がします。
【東嶋委員】  私は別に「せい」だと言ったのではなくて、それぞれの先生がせっかく今後の体制について御意見を書かれていて、具体的にどこがどうやると書かれていないので、それぞれ具体的にどうお考えなのか御意見を伺いたいと申し上げたのですけれども。
【小川委員】  どの組織がどうやるべきかというのはネットワークの立場からは言ってませんが、個人的には、私はどこがやるべきかと聞かれれば、まず中核になるのはJAEAだろうと。ただし、JAEAをもっと大きくしたというか、もっと引っ張るような組織として全日本的に新しい組織が立ち上がるべきだろうとは思いますけれども。それに対してネットワークとしては、それを先ほど言ったように学術基盤として支えたり、人材育成として支えるというところでコントリビュートしていく。だから、ネットワークとしてコントリビュートするのはどの部分であって、原型炉をどういう組織でやるべきかというのは、今日は私のところでは答えなかったのです。原型炉をどこでやるべきかということに関しては、今言ったように、JAEA及びもっと大きな、JAEAからもっと発展したようなところでやるべきだろうと。
 多分この後、岡野さんが話すかもしれないですけれども、どういう組織で原型炉をやるべきかというのは岡野さんたちとフォーラムの中で一時検討したことがあって、JAEAよりも独立したものとするべきだと。新しい法人を作るべきだという話もフォーラムの中でやっているので、そういうのは、どこの組織でどうやるべきかというのは、今後具体的にこの辺を課題、ベースとして議論していくべきだと思っています。全部JAEAが主体となるかどうかというのは、その議論を踏まえてと。ただしベースになるのはJAEAだろうという考えを持っております。
【東嶋委員】  ありがとうございます。
【岡野委員】  私の資料の3)のところには、原型炉設計コア組織という文字が出てきていますが、これはJAEAとはあえて書いていません。私はJAEAだけだとは思っていないからです。JAEAはもちろん非常に人材がいますから、そこからの人材を利用しないことはあり得ませんけれども、ここに書いた設計コア組織というのは、最初は10人くらいのオーダーから始まるかもしれないけれども、設計を核に、最終的には原型炉建設組織にまで広げていくコアという意味で書いています。そこには、JAEAの人材はもちろんですが、産業界からも、他分野からも人を投入できるような仕組みにしたいという意味でここに、背景にはそういう意味が書いてあります。
 これは、ロードマップの報告書には原型炉建設のための総合調整会社と書きましたが、そのような新しい仕組みを作るというふうに考えていました。ただ、日本の今ある人材、これはJAEAはもちろんですけれども、NIFSも、大学も、そういったところから、人材を投入するという考えでいます。
 JAEAさんがやるべきでしょうというのは、私は、正しくないと思うし、無責任だと思います。JAEAだけではやれないと思います。もっともっと周りからみんながやらないとできないと考えています。
【東嶋委員】  ありがとうございます。
 私が申し上げたかったのは、今のような議論を皆さん方の中でもっとどんどんやっていって、それを国民に見えるような形で、応援しようという気持ちになるような形になっていただきたいということだけです。時間を取ってしまって失礼いたしました。ありがとうございました。
【小森主査】  時間が迫ってまいりましたが、ほかにもう一つぐらい何か御意見がありましたら。はい、どうぞ。
【海老塚委員】  今の議論の続きとなり恐縮ですが、今までの高速増殖炉にしても、必ずしもうまくいっていないというのが一般的な評価だと思います。従い、どうすればうまくいくかということをきちんと説明できなければ、どこが行うにしても十分な理解は得られないだろうと思います。人材や予算が不足しているという御意見がありましたが、では人材をそこに集め、予算をたくさん投入すればよいかというと、それでは答えにならないのではないかと思うのです。最初に坂本戦略官が提示された、国費投入がさらに必要になるこの開発に対してさらに履行できるかという問いかけに対して、予算をしっかり付けてくださいというような御提言がたくさんありましたが、それもやはり答えではないのではないかと考えます。
 以上です。
【小森主査】  残念ながら時間となりました。このあたりで切らせていただきます。
 貴重な御意見ありがとうございました。合同コアチームの中間報告、本日発表いただきました見解や意見を踏まえまして今後本作業部会としての見解をまとめていきたいと考えております。今後の流れにつきまして事務局より御説明願います。
【中塚専門官】  説明させていただきます。
 本日個人的見解という形で御発表をいただきました先生方には、お忙しい中御準備をいただきましてどうもありがとうございました。また、委員の先生からも貴重な御意見を頂戴いたしましてありがとうございます。
 今、小森主査からも話がございましたとおり、今後、合同コアチームの中間報告を受けての本作業部会の見解をまとめていただくために、具体的なスケジュールについては、今、先生方に日程伺いをしておりますけれども、5月の後半から7月上旬までの間にこの委員会を2回ほど開催したいと考えてございます。それから、次回、見解のドラフトについてまず御議論をいただいて、その次の回でとりまとめに向けた御審議をお願いしたいと思っております。日程調整の結果につきましては追って御連絡をいたしますので、委員の先生方には、お忙しい中恐縮ですけれども、御協力のほどよろしくお願いいたします。
【小森主査】  今後のまとめ方の日程について御説明いただきましたけれども、これに関しまして御質問等がありましたらお願いいたします。どうぞ。
【坂本戦略官】  一言だけよろしいですか。
【小森主査】  どうぞ。
【坂本戦略官】  事務局から補足といいますか、先ほどの東嶋先生の意見、あるいは海老塚先生の議論、非常に重要なポイントで、これから原型炉開発というものを考えていくうえで一体誰が責任を負って何をしようとしているのか。何をしようとするのかというところは、では一体今行われていることでどういう成果が出て、克服しなければいけない課題というのは何が見えてきているのかということ、そこに必要な人材があり、お金があり、資金がありということで、これは全部つながっている非常に複雑なシステム、この原型炉開発プロジェクトというのはそういうものだと我々行政は認識しておりまして、それらを一つ一つ詰めていく。まず、合同コアチームは何をやるべきかというところに今、重点を置かれていますけれども、その次には、その何をやるべきかが見えてきたら、それを実行する組織はどうあるべきかというのは必ず出てきますので、そこの議論も今後この作業部会でしっかりやっていただきたいと思っております。
 今、1歩1歩進んでおりまして、そのための手順を我々が考える。今回の合同コアチームの中間報告を受けての見解はその一つのステップだと思いますけれども、そういった見解をまとめていく中でまた今後どう進めていくかといういろいろと御指摘をいただいて我々事務局の方でも考えたいと思いますので、よろしくお願いします。
【小森主査】  どうもありがとうございます。よろしいでしょうか。
 それでは、その他事項としまして、配付資料2の第14回BA運営委員会につきまして事務局、坂本戦略官から御報告をお願いしたいと思います。
【坂本戦略官】  それでは、お手元の資料2ですけれども、幅広いアプローチの第14回運営委員会の結果概要を簡単に報告させていただきます。この幅広いアプローチ活動、年に2回運営委員会を開いております。ここが最高意思決定機関になりますけれども、今年の前期の運営委員会が4月10日に青森県の六ヶ所村で開かれました。日本からは文部科学省官房審議官の磯谷が出席いたしまして、欧州からは欧州委員会のエネルギー局のITERユニット長でありますカリニャーニさんがヘッドとなって委員会が開かれました。
 ポイントは、幅広いアプローチ活動の三つの事業、(2)の進捗状況の報告のところに丸1、丸2、丸3と書いてありますけれども、IFMIF/EVEDA、IFERC、サテライト・トカマク、この三つの事業の進捗状況の報告、それから事業計画の更新、年次報告、これが主要議題であります。それから、青森県あるいは六ヶ所村の方でホストサポート。幅広いアプローチ活動に参画する研究者、特に外国人研究者の方々の生活支援、あるいは子弟の教育の支援でありますとか、そういったところのサポートの状況も御紹介いただいたところでございます。
 議論の内容を簡単に御説明いたしますと、次のページを見ていただければと思います。2ページですけれども、まず進捗状況と、それから今後の予定を簡単に三つの事業について書いておりますけれども、まずはIFMIF/EVEDAです。これは国際核融合材料照射施設の工学実証、工学設計活動ということで、将来必要となる大規模中性子照射施設の小型版、原型加速器といいますが、それを今、青森県六ヶ所村に日欧共同で整備中でございます。その原型加速器の入射器及び低エネルギービーム輸送システムが本格的に組立作業が行われているということでございます。この右下にあるのが今お話しした入射器、あるいは低エネルギービーム輸送システムの部分が後ろにちょっと写っていますけれども、こういった加速器の整備が今、本格的に進められているということでございます。
 さらに、超伝導磁石を用いた高周波線型加速器の整備もこの後行われるわけですけれども、高圧ガスの関係の許認可が真空空洞に必要になっておりまして、そちらの許認可も間もなく得られるということで、さらに整備が加速していくことになります。
 次は国際核融合エネルギー研究センター、IFERC事業でございます。これについては、欧州から搬入されましたスーパーコンピューターが、性能が20%増強されたということでございます。年間通じて日欧の300名を超える研究者の利用が今なされているわけでございますけれども、さらに研究の能力が上がるということでございます。計算能力に加えて、ヨーロッパあるいは全国の研究者がこれを使っておりますので、データ通信が非常に重要になりますけれども、ネットワーク幅も増加する。今の約4倍の10ギガbpsになるということでございます。
 さらにサテライト・トカマク事業では、これは那珂で行われているJT-60の改造ですけれども、建設が着々と進んでおります。日欧の機器の調達が進んでおりまして、現地での建設も、今年の1月に平衡磁場コイルと。これは大きいものですと直径がたしか11メートルか12メートルあったと思うのですけれども、その超電導磁石の一部が装置の基礎部分に据え付けられています。5月から真空容器の組立も開始される予定でございます。
 これは前回の会合で東嶋先生からの御指摘もありまして、是非作業部会の先生方にもこういった建設現場を御覧いただきたいと思っておりまして、マスコミの方にも公開は別途、今、考えておりますけれども、またその御案内をさせていただきたいと思っております。5月か6月頃でJAEAさんの方と今、相談をしているところでございます。
 最後に、その他でございますけれども、青森県の佐々木副知事、それから六ヶ所村の古川村長が御出席になりまして、外国人研究者とその家族のための生活支援、あるいは教育支援の報告がございました。今、中学生相当の年齢の方がお1人、小学校の方がお1人、さらに幼稚園相当の方々、たしか3、4人いらっしゃったと思うのですが、今この国際学校で学ばれているということで、これは一時期児童がいなくなった時期があったとかで、外国の研究者の数が十数名ということで少ない状況ですので、学校の対応は非常に状況の変化が大きいわけですけれども、地元の方々、青森県、それから六ヶ所村の方々には大変御尽力いただいて、児童が来られると、教育ニーズが発生するとまた学校を立ち上げるというようなことを行っていただいておりまして、これは欧州の方からも相当高く評価をされております。感謝の意が表明されたところでございます。
 次の、下期の運営委員会は今年の11月にドイツにて開催予定でございます。
 以上です。
【小森主査】  ありがとうございました。
 今の御説明に対しまして御質問や御意見がございましたらお願いします。よろしいですか。
 それでは、本日予定していました議題は以上となりますが、その他何かございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、次回の予定につきまして事務局からお願いします。
【中塚専門官】  先ほどの繰り返しになりますけれども、次回は5月の後半か6月の頭での開催を予定してございます。日程が決まりましたら改めて御連絡をいたします。また、5月か6月ということで那珂研究所の視察につきましても御希望の先生にはしていただきたいと思っておりますので、こちらにつきましてもまた改めて御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【小森主査】  本日はこれで閉会いたします。ありがとうございました。

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