原子力科学技術委員会 核融合研究作業部会(第35回) 議事録

1.日時

平成24年12月14日(金曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省16F1会議室

3.議題

  1. 今後の核融合研究開発の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

小森主査、岡野委員、尾崎委員、金子委員、笹尾委員、髙津委員、平山委員、堀池委員、森委員

文部科学省

坂本研究開発戦略官、中田補佐、飯嶋核融合科学専門官、山田科学官、門学術調査官

5.議事録

【小森主査】  ただいまから、第35回核融合研究作業部会を開催します。

 本日は、疇地委員、石塚委員、小川委員、東嶋委員から御欠席との連絡をいただいております。大島委員は少し遅れて来られるそうです。

 本日の議事ですけれども、本日は、今後の核融合研究開発の在り方について、その他について御審議いただく予定です。

 それでは、配付資料の確認を事務局からお願いします。

【飯嶋専門官】  配付資料1といたしまして、核融合原型炉開発のための技術基盤構築の進め方についてという資料を用意させていただいています。この資料は、今週の火曜日に先生方にお送りいたしました資料から赤字で見え消しをしているものでございます。あとは課内で山田先生、門先生と議論いたしまして一部修正させていただいているものをお配りしております。

 参考資料1といたしまして、今後の核融合研究開発の在り方に関わる審議事項について、参考資料2といたしまして、第11回ITER理事会の結果概要、参考資料3といたしまして、第11回BA運営委員会の結果概要でございます。以上です。

【小森主査】  最初の議題は、今後の核融合研究開発の在り方についてです。前回の会議で技術課題の検討案について御議論いただいた内容を踏まえ、報告書の素案を作成いたしましたので、本日はこれをもとに議論を行いたいと思います。この素案が先ほどの資料1です。まずは、事務局から資料1について御説明をお願いします。

【飯嶋専門官】  先ほども申しましたように、今週の火曜日にお送りしましたものから若干変更をさせていただいているものでございます。大幅な変更にはなっておりませんので詳しいことは申し上げませんが、具体的にどういう方向性で記述をしているのかというのを簡単に申し上げたいと思います。

 まず、「はじめに」におきましては、冒頭に昨年の3月11日に発生いたしました東日本大震災において被害を受けた東京電力福島第一原子力発電所の事故によりまして、エネルギー政策、原子力政策が大幅に変更されつつあるという状況。続きまして、核融合研究開発の必要性について、我が国の核融合研究開発が現在、第3段階計画に基づき進められているということを記述してございます。

 第1章の核融合研究開発の現状につきましては、平成17年報告書に基づいた重点化計画の三方式の現状について記述をさせていただいております。トカマクにつきましては、ITER計画とBA活動について記述をしてございます。ITER計画については、計画の現状と、当該計画から得られる知見を原型炉開発に生かすことが重要であるということを記述させていただいております。

 BA活動については、三つの事業の現状について記述をさせていただいています。ヘリカル方式につきましては、核融合研が進めておりますLHDの状況、レーザー方式につきましては、阪大のレーザー研が進めている現状について記述させていただいております。レーザーの状況につきましては、実は今回の報告書の中身自体が磁場閉じ込めに重きを置いているものですから、レーザーの部分について記述が若干少ないということもございます。この第1章のレーザーの部分でもう少し厚目な書き方をした方がいいのかなと思っておりますが、またその点につきましてこの場で御議論いただければいいのかなと思ってございますので、よろしくお願いします。

 第2章の磁場閉じ込め方式の原型炉開発のための技術基盤の進め方につきましては、原型炉の本格的な概念、工学設計を開始するまでに技術基盤をどのように構築していくのかということを記述させていただいております。平成17年の報告書では、トカマク方式による原型炉設計に必要な研究開発を総合的に進めるとされておりますけれども、現在、計画が進められてございますITER計画、BA活動はもちろんのこと、LHD計画などの学術研究で生み出される成果を統合的に理解して体系化することにより、最適化された核融合炉を我が国として目指す必要があるのではないかというようなことを記述させていただいております。

 第3章の磁場閉じ込め方式による原型炉開発の技術基盤構築における研究開発課題とその解決に向けた取組につきましては、前回のこの部会で御議論いただいて皆さんの中でいただきましたコメントを踏まえて、山田先生、門先生の協力をいただきまして整理させていただいております。

 第4章の課題解決への取組を支える環境整備につきましては、基本的には現在行われている活動を有効に活用すると。産学官のオールジャパン体制で取り組むということを記述させていただいております。ここの4.1、共同利用・共同研究のところでございますが、国策として進めておりますITER計画、BA活動につきましては記述をさせていただいておりますけれども、学術研究の部分についてどう取り組んでいくのかということは、我々から記述するのはいかがなものかと思いまして、この場での議論を踏まえた形で記述をさせていただきたいなと思ってございますので、よろしくお願いいたします。

 最後に、第5章の結びでございますけれども、この報告書に記述されております課題を全ての核融合研究者が共有し、課題解決に向けてオールジャパン体制で取り組んでほしいということを書かせていただいております。

 あとは、今後、この報告書に記述されました各個別事項をどのように研究者の皆さんが克服していくのかということがしっかりとフォローアップされること、レビューされることが重要ではないかと思ってございます。その点につきましても、こちらから書き込むことはちょっとはばかられましたので、この場の議論を踏まえた形での記述をしたいと思ってございます。

 個人的には、今、産学官の研究者が集まって構成しております核融合エネルギーフォーラム、あとは、学術の研究者が集まっておりますネットワークなどにおきましてレビュー、フォローアップをしていただいて、その結果を2年に1度、1年に1度という割合かもしれませんけれども、何らかの形でこの作業部会に報告をしていただくというようなことを考えております。そういったこともあり得るということで、皆様の意見を踏まえながら記述をしたいなと思ってございますので、その点の御議論をよろしくお願いしたいと思います。以上です。

【小森主査】  ありがとうございました。

 それではまず最初に、本報告書に関する若手研究者の御意見をお聞きするために、本日、原子力機構から大山直幸氏、核融合研から後藤拓也氏、京大から笠田竜太氏の3名の方に来ていただいておりますので、御自由に御意見を述べていただきたいと思います。各10分ずつでお願いします。まず、大山さんからお願いします。

【大山氏】  原子力機構の大山と申します。今回は若手の意見を言わせていただけるということで、この貴重な機会を生かさせていただきたいと思います。今日は私、こちらの発表資料を作ってまいりましたので、これをもとに私の意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず、1ページ目の下の方に簡単に自己紹介を書いておりますが、今回、若手の意見ということですので、私がどれぐらい若いのかというのをまず皆さんに御理解いただきたいと思って書きました。2012年、私、現在41歳でございます。この年表は、ITER・BA成果報告会で堀池先生が使われたビューグラフを拝借させていただいたのですが、ITERの運転が始まる2020年、私、49歳でございます。実際、DT運転が開始される2027年、56歳になります。

 旧日本原子力研究所に博士研究員として採用されて以来、トカマク型核融合実験装置における炉心プラズマの研究に従事してまいりました。ITERでぜひDTの燃焼を実現したいと思っておるわけですが、今のスケジュールでいきますと56歳ということで、なかなかしびれるところがございますというのがまず正直なところです。このように現実的な自分の年齢とかスケジュールを考えますと、ITERの実験もしくは原型炉の工学R&Dもしくは設計活動等に携わるというのは、今30代、特に前半の若い方が本格的に参画することになるのではないかなと思っております。

 このような状況を見据えまして、次のページにいっていただきたいのですが、常日ごろから、こういう非常に長期のスパンにわたります核融合研究というプロジェクトにおける懸念を最初に述べさせていただきたいと思っております。

 いろいろな報告書等にも書かれてございますように、産業界、大学、研究機関で得られた技術や研究成果の蓄積と継承が重要と言われております。また、SAやITERが今、SAはまさに年明けから建設がスタートするという状況になってきておりますけれども、さらに建設、運転の経験を原型炉の設計、建設に生かせるように研究者・技術者の養成が急務ということです。この報告書の冒頭にも、過去に人材育成についてというのをまとめられた報告書の記述もございますけれども、研究者・技術者の養成は急務であると皆さん思っておられると思います。

 こちらの図は、2005年と2012年のプラズマ・核融合学会の年齢構成を示しております。炉心プラズマ、プロセスプラズマ、炉工学の研究者の方も所属しておられる学会なのですけれども、2005年にITER関係のシンポジウムがあった時に、私が学会事務局に作成していただいた資料が左側でございます。右側に、今回この機会がありましたので、7年経った今どうなっているのかという資料を用意していただきました。

 見て驚いたのですが、30歳から39歳のところの正会員の激減でございます。170、80人掛ける2ですから、350人くらい2005年の時にはいた30代の研究者が、110人から120人くらい、減少しているという状況になります。これは先ほど申しましたように、ITER・DEMO時代を担うというのは今の30代の人になりますので、この激減を非常に危惧しております。

 何で30代が減ったのかを考えるため、別の分析をしたものを下の図に載せてございます。水色で書いてあるのが学生会員の総数でございます。下の方に短く赤で出ている棒グラフは、学生会員から正会員になった人数でございます。例えば学生の人が卒業して博士研究員とかポスドク等の職を得た場合には、その方は学生会員から正会員に移りますので、ある意味ではこの業界に残った人の数の目安になるかと思います。

 これを見ますと、1990年代から大学院拡充化政策の結果ではないかと思うのですが、学生会員が非常に大幅に伸びてきます。過去10年くらいを見ますと、年平均300人くらいで一定になっております。この10年の間に学生の総数はどんどん減ってきていると伺っておりますので、その中でも学生会員の数が一定で維持できているというのは、大学の研究室等が非常に魅力的であると学生には映っているのではないかと思っております。

 一方、その後正会員になった人の数を見ますと、ここ5年くらい減少傾向にございます。以前ですと年平均で30から40人くらい正会員になっていたものが、今は20人強くらいに減っております。

 また、上のグラフをもう一度御覧になっていただきたいのですが、2005年で30から34歳くらいだった人が175人くらいいらっしゃいます。2012年にその方々は35から39歳の中に残っていなければなりませんが、そこに残っていない方が40人くらいいらっしゃいます。

 これは、私の推測でございますけれども、ポスドク等の職を得られたので当初は正会員になったものの、ポスドクの期間が終わった後にパーマネントの職を得ることができずに業界から離れた人が少なからずいるということを示唆しているのではないかなと分析しております。このような結果を見ますと、やはり核融合関連業界の就職難が、今30代の研究者の方々の置かれている状況なのではないかという懸念を強く持っております。

 次のページをお願いいたします。私、国際トカマク物理活動という活動で、ペデスタルグループの議長をさせていただいておりまして、昨日までカダラッシュのITER機構に出張しておりました。11日の会合で、欧州の代表の方がこのようなロードマップについての発表資料を出しておりました。黄色の四角で囲ってある部分にあるように、欧州でも若手の育成については非常に重要と考えており、博士課程、PhDの学生は年間300人、その後、ポスドクの職員のポストとして年間140人を確保するということを数値目標として掲げて、若手の育成をしっかりサポートするという資料となっております。

 このような背景を踏まえまして、今回、私、この若手3名の中では、炉心プラズマ研究という立場でお話しするのがいいのかなと思いましたので、その観点から、報告書の案、火曜日に送っていただいたのを見させていただきまして、いくつか意見を述べさせていただきます。

 まず一つ目は、人材育成と技術・経験の継承について、もう少し記述を追加していただけたらありがたいと思いました。関連しまして、ITERやJT-60SAの建設そのものも、特にトカマク装置を組み立てるといったようなところは、装置を設計する時に本当に組立てられるということを考えたうえでの設計にならないと机上の空論になってしまうと危惧しております。そのため、実際にものづくりを経験しつつ、先進的な原型炉を設計するというステップがいいのかなと思っておりますので、そのような観点から、こちらの赤字で書いているような改訂案を提案させていただきたいと思いました。

 また、これまでどのような議論があったのかを完全に把握しているわけではないのですが、可能な限り、どういう研究ではどれくらいの研究者の規模でやっていくのかといった具体的な数値目標をもし入れられるのであれば入れて頂きたいと思います。そういうものが入っていると、今、大学院生とか、博士課程に進もうかと思っている人にとってみたら、自分の研究分野にはこういう就職先があるのだというのがもっと目に見えてくるのではないかと思いました。

 次のページをお願いします。2番目の意見ですけれども、国内コミュニティからのITER計画やJT-60SA計画への参画に関するところですけれども、共同研究の枠組に関する記述が中にございました。4章の4.1に共同利用・共同研究というところがありますが、現在の記述ですと、「運転開始までにこういうものを企画していく必要がある」と書いてありました。現在、JT-60SAにつきましては、欧州側と共同利用をどのような実施体制で進めていくのかを議論するワーキンググループがございまして、私もその委員の1人ですけれども、先日、欧州側とワーキンググループレベルでの実施体制を合意したというところでございます。このようなことを踏まえますと、この赤字で書いてありますように、日欧協議の進展と歩調を合わせ、コミュニティと意見を交換しつつ検討を、SAについてはもう始める必要があるのではないかと思っております。ITER計画につきましても、特に大学の先生等がITER計画にどのように長期で派遣できるのかといったようなことも踏まえまして、参加形態についての企画構築が必要なのかと思いました。

 次、3番目の意見ですけれども、火曜日にいただいた案では、TBM計画の部分ですけれども、ITERにおける発電についてはITER計画に含まれていないので要修正みたいなことが書いてありましたが、先ほどお配りしていただいたものを見ますと残っていましたので、現状維持でよろしくお願いします。

 一番最後のページ、その他のコメントのところでございますけれども、クライオスタットベースの搬入、こちらについては、もともとの素案が24年12月にと書いてありましたけれども、既にこちらについては25年1月搬入予定ということに直っておりましたので、結構でございます。

 また、ITER導体のSULTAN試験について懸念がある様な表現が素案のところで書かれておりましたが、こちらも、先日のITPA調整委員会の中で、新しいSULTAN試験の結果では非常にいい成績であって、必要とされる磁束に対して全く懸念はないというような説明がITER機構からありましたので、最新の情報に更新していただければと思います。以上でございます。

【小森主査】  ありがとうございます。

 では、引き続き、後藤さんお願いします。

【後藤氏】  御紹介にあずかりました、核融合研の後藤と申します。すみません、私は、大山先生、笠田先生のようにこういった立派な資料を全く用意してきませんでしたので、失礼ながら、口頭で思うところを述べさせていただければと思います。

 まず初めに、簡単に自己紹介をさせていただきます。私、現在、核融合研の核融合工学プロジェクトのもとでヘリカル原型炉の設計活動に従事しております。年齢を申し上げますと、私は間もなく32になるところですので、その意味では、先ほど大山さんがおっしゃいました、まさに今後の原型炉の建設・運転に関して責任を持たなければいけない世代だというふうには思っております。

 まず、報告書を読ませていただいて、非常に率直ではありますけれども、思ったところを述べさせていただきます。まず、非常に必要な課題が細部まで検討されておりまして、それから、研究体制など、まさに今後、我々若手のことを考えた記述をいろいろしてくださっているということで、私も非常にありがたいことだと思っております。また、今後の収れんの過程においても、学術研究を、学術的に多様で新しい研究の展開を大型プロジェクトと総合的に一体化した戦略が必要だという記述がありますように、現在行われておりますそういう幅広い研究の裾野を見て、今後取り入れていただけるような記述をしていただいていることも大変ありがたいことだとは考えております。

 ただ、核融合研究者という立場を少し離れて見てみますと、例えば外部のコミュニティの方がこの報告書を見た場合に、非常に率直である意味失礼な言い方かもしれませんけれども、課題として挙げられている項目が非常に多いという印象を受けるのではないかなと私は思います。それはもう少し単刀直入に言ってしまいますと、やはりこれはよほど潤沢な予算と人員が確保されないと、これらを全て解決して、近い将来に核融合原型炉の建設に移るというのがなかなか大変なのではないかという印象を受けるのではないかというのを私はちょっと心配しています。

 また、最初に飯嶋専門官がおっしゃいましたように、この報告書で何か結論を述べようというよりは、この報告書を核融合コミュニティの方々が見て、今後の展開を考える契機になるものだと書かれておりますので、あまりに拙速に今後の展開の選択肢を狭めない方がいいと私は思います。ただし、オールジャパンの体制の構築の契機にするというふうに書かれているのですけれども、オールジャパンの体制のイメージがこの報告書からあまり見えてこないので、もう少し具体的な記述がされてもよいのではないかなというのを私としては思っております。

 そういった意味で、私見ではありますけれども、私の方から大きく分けて3点、まずは開発の今後の体制について、今後の開発の戦略について、それから、先ほど大山先生からありましたけれども、人材確保の観点について、少し要望といいますか、意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず体制につきましては、これは完全に私見ではありますけれども、やはり今後、核融合のエネルギーの開発、そして、原型炉の建設という方向へ向かっていくに当たりまして、やはり私としては、専門の組織を立ち上げていただく必要があるのではないかなと考えております。もちろんこれはバーチャルな組織でも構わないと思うのですけれども、仮にバーチャルであるとしましても、組織として一体として動けるためには、予算を共用化できるとか、またはエフォートを優先的にそちらに割くことができるとか、または必要な人員を適宜補充したりできるような、そういう機動力を持った組織が必要なのではないかと思っております。これは、後の人員の確保の点ともちょっと重なってくるのですけれども、やはり人が少なくなっているというのは事実だと思いますので、少なくなっている人をいかにうまく使うかということが今後重要になってくると思います。そういった意味では、現存の組織の枠を超えたことも考えまして、適切な人を適切な場所に配置して、開発活動を進めていく必要があると思います。

 その中で、やはり開発活動を進めていくに当たって、学術研究とどうしても完全にはかみ合わない部分があるのではないかと私は考えております。例えば材料の規格・基準をつくっていくことなどもそうなのですけれども、これはそれなりに時間をかけた実験といいますか、データの取得の作業が必要なのですけれども、これはアカデミックに見て、要するに、学術研究としてどこまで価値があるかというと、それが必ずしも整合しないところも今後出てくるのではないかと私は考えております。

 もちろんそういう観点に関しましては、研究者ではなく、専門の技術スタッフのようなものを雇って、その方々が進めていけるようになればそれが一番望ましいのですけれども、核融合の研究というのは非常に複雑な分野が多様に絡み合っておりますので、やはりそれなりの専門知識を持った研究者が携わることもそれは必要だと思っております。

 ですので、そういった点におきまして、今後、そういった、必ずしも学術的に価値がないと言うのはちょっと言い過ぎですけれども、学術的な価値とは整合が完全にとれないところであっても、核融合の研究開発として非常に重要な仕事を研究者が担当した場合に、それを正当に評価していただけるような仕組みがあれば、非常に仕事がやりやすくなっていくのではないかなと考えております。

 それに関しては、そういったデータ取得などもそうなのですけれども、後半にも書いていただいているように、一般の方々に今後、核融合をいかにしっかりと説明をして、理解していただくかというところに関しましても、やはりここでも専門の知識をしっかりと持った上で、かつ、一般の方々にきちんとわかるような言葉で説明ができるようなスタッフが必要になってくると思います。ですので、そういった方を雇うのか、または、もし研究者がその役割を担うのであれば、そういった仕事も研究者の業績としてしっかり評価していただけるような仕組みがあればよいのではないかと考えております。

 それから、開発の戦略といいますか、その部分につきまして、ここで挙げられている課題はどれも非常に重要だと思っておりますが、私、炉システムの設計に従事している立場から一言申し上げたいのは、ここにあるこの11の課題を全て解決したからといってそれがすぐ原型炉の建設につながるかといいますと、やはりその間を取り持つところ、インターフェースの部分とか、そこをしっかりと見ていく必要があるというのが、私も今、ヘリカル原型炉の設計をやっている中で非常に強く感じていることです。

 それから、例えばダイバータのところでコアプラズマの立ち上げについて言及されているところがありますけれども、そこはやはりコアプラズマの側としっかりと整合した開発戦略をとっていかなければいけないところがあるかと思います。そういった必ずしも単純に分割できない部分をどのように見て、そこを誰が責任を持ってやっていかなければいけないのかということについても、もし可能であれば言及していただければと思います。

 最後、人材確保の点に関しましては、大山先生の資料は、私、非常に分かりやすかったかと思いますけれども、やはり今後、若手研究者を増やしていくに当たって、もちろん中学校とか高校、高専、学部生に対して核融合の啓蒙とか宣伝をしていくことは非常に重要ですし、あとは、大学院教育を充実していくということももちろん重要ですし、それはもう十分な成果が上がってきているのではないかと私は考えております。

 ですので、やはりその後ろの出口といいますか、安定した就職先が確保されることが重要なのではないかと考えております。正直申し上げまして、私の周りの学生を見ておりましても、修士課程まで来て就職してしまう学生もなかなか多いのですけれども、その理由としましては、核融合そのものの開発の長期展望が見えないことというよりも、やはりなかなか安定した職業につけないので、個人としては核融合の研究開発に興味があっても、就職として競争を勝ち抜いていけるかどうかに自信が持てずに就職という道を選んでしまっている人もいるのではないかというふうに私としては思っております。

 それから、人材の確保という点に関しましては、そこも先ほど大山先生の資料にもあったかと思いますが、やはり今後の20年、30年を見据えていった時に、20年後とか30年後にどういうメンバー構成になっているかということを少し考えて、柔軟な人材を確保していく方法があればいいのではないかと思っております。例えば何年後とはちょっと分かりませんけれども、原型炉の建設が始まった時には、建設にスタッフがたくさん必要なわけです。それを育てておくためには、現在はそういうスタッフが大量に必要ではないとしても、先を見据えて、採用の仕方といいますか、どういう分野の人をどれだけ採っていくのかという長期戦略がやはり必要ではないかと思っております。そこについても考えていただければ非常にありがたいのではと思います。

 それから、最後、1点ですけれども、やはりこれまで培ってきた知見はたくさんあると思いますので、それをいかに継承していくかということが重要だと思っております。私も大学の教員の一環でありますので、一人前の研究者として自分の力で知識基盤を構築していかなければいけないというのは当然なのですけれども、これだけ非常に複雑な分野が絡み合った核融合において、かつ、少し人員が不足してきているところもあるということですので、やはりこれまでの得られた知見を効率的に継承して、例えば若手研究者の中には、必ずしも博士課程までで学んできた内容とは違うことをやらないと、核融合の研究開発を進めるうえで、今までと違った分野に移る必要も出てくるかもしれないと思っております。そういった時に、これまで得られてきた知見が散逸してしまわないように、そこをうまく継承できるような仕組についても考えていただければ非常に良いのではないかと思っております。

 ちょっとまとまりのない話になってしまいまして申しわけございませんが、私の意見としては以上です。

【小森主査】  ありがとうございました。

 それでは、笠田さん、お願いします。

【笠田氏】  京都大学の笠田と申します。私は、核融合原型炉開発のための技術基盤構築の進め方の見える化と称しまして、ブレークスルーを可能とする根本的研究への展開と社会的期待との相互作用醸成のためにといった形で意見を述べさせていただきます。

 私は先日のプラ核学会で40歳を迎えまして、その際席上で若手卒業と述べたのですけれども、また若手として呼ばれたので、やはりなかなか卒業できないなと。若手の高齢化問題というのは大山さんからもありましたけれども、まだまだ言い続けなければいけないなと痛感しているところです。

 昨年の12月、私、当研究所の小西研究室に移りました。それまでは木村晃彦教授のもとで核融合炉・原子力の材料研究を行っていたのですけれども、やはり3.11の原発事故というのが私にとっても公私ともに大きなショックでして、今後のエネルギー研究、エネルギー開発における核融合の在り方をどのように位置づけていくかというのを日々考えている次第です。そういった観点からも今回意見を述べさせていただきます。

 最初の1枚目の下に関しては、ここにいろいろ書いてあるのですけれども、基本的にこの課題はこの報告書にございますので詳細は述べませんけれども、要するに、どういった原型炉を目指すのかというのがもう少し主張がどこかにある、もしくはその主張をつくるような仕組みが必要なのではないかと感じました。

 一つめくっていただいて、上段も同じようなことを書いているので飛ばします。

 下段ですけれども、すなわち、社会から求められている原型炉との整合性をどういうふうに考えていくのか、あるいはその研究開発の在り方というのはどう考えていくのかと。というのも、やはり原子力分野に携わっておりますと、東日本大震災あるいは津波、福島原発事故による科学・技術への信頼の揺らぎというのは極めて大きいものと感じております。また、従来の基礎研究あるいは応用研究というカテゴライズではイノベーションが生まれがたいという反省もございます。こういったことから、少なくともある分野においては科学技術が現実の問題に対応することが強く求められつつあるのが皆さんも感じられているところでなないかと思います。

 こういったことに対して国でも最近よく言われるのは、課題解決型研究、これは社会的な要請とか、政策課題とか、産学連携といった分野でよく見られます。私、文科省さんの先端研究施設共用促進事業で、ここ数年、毎年数十社との産学連携事業を進めていますので、こういったことを私もかなり痛感しております。こういったことは、ほかの言葉でInverse translational scienceとかRadical research、根本的研究といった言葉でも10年近く前から着目されているわけです。

 次のページですけれども、ブレークスルーを起こすためにはどういった研究の方法論が適切なのかというのを私は私なりにいろいろ勉強してみましたところ、根本的研究、Radical researchが極めて重要であると感じました。というのも、横軸が実用性、縦軸は好奇心となっておりますけれども、基礎研究、あるいはここでボーアの事象と呼ばれていますけれども、あるいは応用研究、エジソンの事象と言われているところ、ここの方法論ではなかなかそう簡単にブレークスルーが生み出されないというのが過去の科学技術行政あるいは方法論における反省です。そこで、解決すべき問題から情報を得て、ブレークスルーを生み出すために問題を根源まで掘り下げるという、パスツールの事象、根本的研究が極めて重要であるというのは広く認識されています。これがいわゆる核融合原型炉の実現においても極めて重要な方法論だと私は感じています。

 下の段ですけれども、根本的研究の方法論というのは非常に簡単でして、何が可能か、何が必要かに対する注意振り分けのパターンを下に書いてあります。理論家の視点というのは、何が可能かという着手から、そこでぐるぐる回って、ある時に、何が必要かというところにシフトするわけです。そういった観点であるのですけれども、特に根本的研究における方法論というのは、いわゆる設計者の視点が重要なわけです。すなわち、何が可能かと何が必要かの間に立って、そこから両方に着手を始めて、この問いかけのダンスを繰り広げていくうちにイノベーションが生まれるという方法論です。

 次のページです。この根本的研究というものは、まさしく原型炉のブレークスルーのためにふさわしい方法論だと私は感じています。こちらの左の図で、まず課題に対して違った見方をすると。これは実地調査あるいはビジネス的洞察、科学的洞察というものから、泣きどころ、重要課題の特定を行うわけです。こちらは、後ほど述べますけれども、私が若手だった頃にこちらにいる大山さんと後藤さんとともに行っていたTRL評価活動に充当するものです。

 その後、重要課題が出ました、こちらの報告書にもありますとおり。それをどう解決していくかというのに最もふさわしいのは、根本的研究に従事する柔軟性の高いチームだと私は感じています。すわなち、新しい専門領域の研究者・技術者が自在に入ってきて、若手も含めて、必要な時に入って、必要がなくなったら去っていくと、そういったような柔軟性の高いチームが極めて重要で、これが研究段階からの離陸、いわゆる死の谷の突破に極めて有効であると私は考えています。

 具体的には、こちらの第4章にも必要性は書いてありますけれども、原型炉の根本的研究に注力可能かつ柔軟性を有する枠組、あるコア研究組織を中心とする、柔軟性の高い、例えば私はなったことがありませんけれども、JSTのさきがけのように業界からリスペクトされるような併任可能な職を創設するというのが必要だと感じています。

 重要課題の見える化のところに戻りますけれども、これは私が若手だったころ、大山さんも若手だったころ、後藤さんはまだ若手ですけれども、核融合炉実用化若手検討会という有志活動を行っていました。この中で若手として何をしようというふうに悩んだ時に、まず我々は、核融合の何が難しいのか本当に理解しているのかというふうに感じました。そこで、共通認識できるように、技術成熟度評価、TRL、これはNASAで用いられていますけれども、そういったものを用いようと思いました。

 次のページですけれども、TRLというのは非常に簡単な方法でして、実用化の段階をTRL9として、それまでの発達段階を9段階に分割しただけです。今、その技術がどこにいるのかというのを評価するものです。TRL評価の適用というのは日本でもいろいろな分野で進められつつありまして、例えば原子力分野では、マイナーアクチノイドの分離変換技術のTRLが今どこにあるか。9を実用化とすると、どれもドングリの背比べで、ここにあるのは3か4か5というところなのですけれども、こういったふうにすれば、その技術がどこにあるかというのが、要するに、素人でもすぐ分かる、一般社会に対する説明にも非常に有効だという手法です。

 次のページですけれども、このTRL評価というのは、言ってみますと、自己評価なんですね。自分が携わっている技術開発が、最終的な目標がどこにあって、今、どこにあるのかというのを示すものです。要するに、学術的な価値とかを評価するものではなくて、研究開発としてどこにあるのかということを示します。その具体的な、核融合論におけるTRLの設定の全体像が下にありますけれども、このように、核融合炉、基本原理の提示から原型炉ミッション達成までを9段階に分けて、それぞれの要素技術が今どこにあるかというのを評価したわけです。

 次のページに例として、大阪大学の藤岡さんが評価した結果なのですけれども、TRL評価によって見えた、レーザー方式におけるボトルネック技術というのがあります。青い色で示されたところがもうTRLを突破しているということで、黄色いところがTRLに相当する検討段階にあるということです。プラズマ物理やレーザー材料、ターゲット製造技術とか、そういったレーザー核融合炉に関する技術が、このように一目瞭然で、どこの段階まで来ているのかというのが誰でも分かるわけです。また、この一つだけ引っ込んでいる部分というのが、まさしくボトルネック技術だということが分かるわけです。これはレーザーだけではなくて、ヘリカル、トカマクももちろん同じように行われていまして、こちらの報告書に書いてある課題に基本的には全て対応していまして、この課題が今、我々が信じている原型炉に対してどこにあるのかというのを評価しているわけです。

 私は基本的に材料研究者なのですけれども、炉工学の代表ということもありまして、次のめくったところに、TRL評価によって見えたボトルネック共通技術、炉工学技術ということで二つ示しています。ブランケット技術からダイバータ、超伝導コイルあるいはトリチウム、あるいは周辺技術までこういったTRL評価をしますと、非常に立派に進んでいるものもあれば、極端に進んでいない領域も当然あるわけです。こういったものが非常に見える化できるというのがTRL評価のすぐれたところなので、報告書等の理解にも非常に役立つのではないかと考えています。

 次のページ、本当は動画で一生懸命格好いいのをつくったのですけれども、核融合原型炉というパズルは、ばらばらになっていますけれども、組み立てて、1ピース足りなくても原型炉にはならないわけです。要するに、ボトルネック技術がこうやって見える化されたにもかかわらず、そこに何の投資もしなければ、結局、核融合炉は、どんなに立派な炉心ができたとしてもできないということは皆さん御存じのとおりだと思います。

 TRL評価をやって、何とかプラ・核学会誌に報告書として私がちょっと遅れ気味でやっており、何とか報告は近いうちにしようと思っているのですけれども、この先が重要なわけです。TRL評価を越えて、イノベーションにおける死の谷を越えて、ダーウィンの海に飛び込んで、果たして世の中にとって核融合炉というのが役に立つかどうかというのを見据えてやっていく、研究を進めていく必要があるわけです。すなわち、ここにいろいろ書いてありますけれども、結局、やはり根本的研究が重要であろうというふうに感じております。

 最後のところのまとめに、私の個人的な意見をまとめてあります。社会的期待と相互作用可能な原型炉の実現のために、科学技術基盤の構築は必須である。ただし、基礎研究や原型炉要件の明確な見通しのない応用研究からのある意味ボトムアップ的なアプローチのみではイノベーションが生まれ難く、このような原型炉の実現は遠回りとなる可能性が高いと私は感じています。

 若手有志によるTRL評価活動は、重要課題の見える化に成功しました。また、本活動自体が、原型炉のブレークスルーを可能とする根本的研究の方法論の有効性を示したと私は信じています。よって、原型炉早期実現のために、原型炉設計にかかわる柔軟性を備えた根本的研究チームを組織し、継続的な投資を行うことが必要であると。具体的にはこういった形というのが、今現在、若手と言われる人たちは、特に大学というのは非常にいろいろな業務が、人数が減っているので、なかなか抜け出せないというのもありますので、こういった形というのは非常に有効なのではないかと感じています。

 こういった形で、私からの意見は示させていただきます。ありがとうございます。

【小森主査】  ありがとうございました。

 それでは、御発表いただいた点も含めまして、報告書案素案に関して、御質問や御意見がございましたら、お願いいたします。

 はい。

【金子委員】  全体的な話で、私もこの報告書を最初ざっと読んだ時に、実は後藤さんと同じような感じを受けました。課題は非常に重要なものがたくさんそのままずらずらっと並んでおり、一体どれから手をつけたら良いのかよく分からないというのがこの報告書を読んだ感想です。

 それで、私の提案は、これだけ課題が出てきているので、これらをポートフォリオ分析するべきではないかと。例えば重要度と緊急度というようなものを指標にすれば、まず何から手をつけるべきかというのは分かりますね。それから、例えばアカデミズムと予算あるいは研究規模を指標にすれば、どこでやるべきかというのが分かりますね。大学でやるべきなのか、研究所でやるべきなのかとか。そういった指標をもってポートフォリオをつくってしまうと、少し見通しが良くなるのではないかと思いました。この報告書の中でやるのか、その後やるのかは別として、そういった作業が必要でないかなというのを感じました。

【小森主査】  ほかにございますか。

 どうぞ。

【髙津委員】  まずは全体的なコメントということで。私も多分、金子先生とか後藤さんたちと同じような印象を持っているのだろうと思っているのですけれども、課題が、当初の設定が九つの、ITER、BAはありきで、それに含まれない項目について原型炉に足りないものが9項目リストアップされて、それの議論を行うというのが今回の設定だったのですけれども、このレポートをまとめて、これがおそらく公表されるであろうし、外部に対するメッセージだと思えば、やはり当然ありきということも一度整理しておかないと、課題がいっぱいで何をやればいいのか分からないということに、ミスリーディングな状況になってしまう懸念があると思います。

 私の提案は、3章の後に、今、4章で環境整備が書かれているのですけれども、その前に、3章の後に、やはり今置かれている開発研究はITERとBAがあって、それにどう取り組んでいけばいいかという、共通認識であって、それはほとんど議論されなかったと思いますけれども、そういうことをまずもう一度整理して、ここで書かれている課題の重要度の高いものはどういうもので、緊急にやらなければいけないものは何かということを整理してまとめておいた方が、メッセージとしては分かりやすいのではないかなと思いました。

 ポートフォリオの分析というのは大変良いと思うのですけれども、時間的にまだこの委員会はやれる時間があるのでしょうかね。それがちょっと……。

【小森主査】  もう1回です。

【髙津委員】  ということは、議論していただいて、重要な項目というのを、やはり9項目挙げられている中でもどういう方向に持っていけばいいのかというのをメッセージとして伝えるべきだと思いますし、当然のこと、ITER、BAを一生懸命やっていくのだと。建設もしっかりやって、そこから最大限の先端技術を習得して、また運転に関わっていくというのは当然だと思いますけれども、そういうメッセージもやはりバックグラウンドとしてまとめておくべきだろうと思うのですけれども、いかがでしょうか。

【小森主査】  今の御意見等に御意見はございますか。

【岡野委員】  よろしいですか。

【小森主査】  どうぞ。

【岡野委員】  解決の道筋を示すという意味でなのですけれども、前回フォーラムで提案させていただいたロードマップには、ブレークダウンストラクチャのリストが載っています。これは作業項目が時系列に並んでいて、どの順番にやって、どこで何を先にやらないと次ができないかというのも見えます。もちろん、それらが現時点でも全然変わっていないわけではないと思いますが、ここに出てきている課題というのはほとんど載っているはずなので、もう一度見直していただいて、必要なところは拾って順番に並べるようなことも可能かなと思いました。作業項目がブレークダウンしてあると非常に説得力は増すし、見通しも良くなるような気がします。

【小森主査】  皆さんの御意見は、重要度、緊急度を、その前の資料を参考にして、ある程度決めていくというか、整理する必要があるということですね。

 どうぞ。

【坂本戦略官】  ありがとうございます。まず、髙津先生の方から今、お話のあった件について、私、はっきり言うと、行政として、山田先生、門先生はじめ、皆さんが相当御協力いただいて、ここまで文章化されたものができたということ自身が、今、大きな意味を生みつつあるなというのを今、実感しています。私、正直言いますと、本当にど素人ではあるのですけれども、この原型炉開発というのは巨大な象だなと思っていまして、なかなか全体像が本当に見えている方がいるのかどうかというのを私自身がある意味疑問を持ちつつ、この作業をやっていたわけです。相当部分見えていらっしゃる先生方も当然おられると思いますが、議論を重ねていけば、多分皆さんでそれは共有できるだろうと。

 金子先生からもお話がありましたし、今、ロードマップのお話が岡野先生からありましたけれども、そういったものも既に取り組まれつつあって、そういったものを載せていって。決して、髙津先生がおっしゃったように、ハードルはこんなに高いんだ、大変だというメッセージを出すことは、これは目的ではありませんので、それにちゃんと取り組もうとしているという、あるいはその見通しがあるというメッセージも含めて、時間的な制約はありますけれども、既にあるものを参照しながら、あるいはもし可能であるなら、ここに課題は掲げられているのだけれども、ITER、BAで一体どこまではやれそうなのか、分かりそうなのかというのを少し整理できるのであれば、整理して書くのはこれはいいと思います。ただ、短時間でできるかどうか、私は若干大変かなとは思うのですが。

 ただ、そういったメッセージを盛り込むにしても、多分、私自身、ITERを政府の中で担当して、ITER自身、実験炉自身が極めて大きなプロジェクトだと。原型炉に行くというのは、もっとすさまじい壮大なスケールのプロジェクトになるであろうと。それはやっぱり今日お越しいただいた若手――すみません、私も実は今、45でして、私も若手でないはずなのですけれども、私も役所の中でまだ若手の部類に、一番すれすれのところにまだいるようなのですが、が中心になって、やっぱり新しい目で、課題を当然のものとしてではなく、もう一度掘り起こして、本当に今取り組まれているので十分なのか、あるいはもっと深めなければいけないのか、アプローチは正しいのか、そういったものを見直していくというのを議論しながら、それもしかも、個々人の、個々の研究室の取組では多分もう無理で、はっきり言うと、コラボレーションが極めて大事であると。

 そういったコラボレーションを行うネットワークを日本でつくっていくということを議論を通じてやると。課題を共有して議論をして、方向性をそろえていくということが、少なくとも原型炉開発にとっては極めて重要であって、これは極めて長期の時間を必要とする取組であるだろうということを、この報告書をコミュニティの先生方と共有することによって、そういった取組が必要であるということを再認識させていただくということかなと思っております。

 したがって、そういった意味で、社会に対するメッセージとしては、これは非常にチャレンジングなプロジェクトだけれども、人類のエネルギーのためにやらなければいかんと。そのために、はっきり言うと、大きな投資も必要とすると。実際、ITERも今、大きな投資が必要となっています。でも、その先にある得られるものというのは非常に大きな価値のあるものなので、こういった課題は、コミュニティが今、それぞれがばらばらではなくて、しっかり取り組もうとしているということ。でも、これだけの課題がある、これをやっていかなければいかんということを、課題と意思表明というか、コミットメントというかで、今、どこまで来ているのかというのをもし加えられればいいと思いますけれども、あわせて発信をしていただくような、そういったものになりつつあるのかなと思いました。

 したがって、髙津先生がおっしゃったところは、あるいは岡野先生御指摘のところはできるだけ盛り込んで、ある意味どこまで来ているということと、それから、コミュニティーとしてこういうことをやっていくんだ、やれるんだというようなところももしこれに加えられるのであれば、ぜひ加えていただきたいと思います。行政としても、資源は限られています。時間は限られていますけれども、それをしっかり受けとめて、あるいは、コミュニティーが政治家の方々にも発信をしていただくような場を我々も設けさせていただくことを考えて、政治的な支持も得ながら解決していきたいと、できる限りのことをしていきたいと思っております。

【髙津委員】  戦略官、どうもありがとうございました。私が仮に4章としてつけ加えた方がいいと言った趣旨は、まさしくおっしゃったとおりで、3章に九つの課題について、いろいろな開発、チャレンジの目標が書いてありますけれども、例えば超伝導、ダイバータ、加熱電流駆動、それから、理論シミュレーション、プラズマ、そういったものはITERとBAをやる中で、DEMO炉に向けて何合目かまではおのずとそこで技術が習得されるものだろうと思われるので、そこをしっかりやれば、残りプラス2割、3割の技術は、並行してある程度その割合を考えて進めていけばいいのだろうと思います。

 私の理解ですけれども、足りないのは材料とブランケットです。ブランケットも、TBMということでITERの利用計画でしっかりやっていけばある程度の基礎ができるのだろうから、先進ブランケットとかDEMO炉に向けて違う部分を開発していけばいいという位置づけになると思うので、やはりITERとBA計画というメインラインで何ができるかを書けば、3章で書かれた課題のかなりの部分が見えてくるのだろうなというふうに理解いただけるという思いは、フィージブルな計画を議論しているというふうなメッセージにもなるし、我々の中にも整理になると思います。

 その中で足りないのは、ITERとかBAで十分にできないものは、やはり材料とニュークリア技術だと思うのですね。そういうものを今後、日本としてどういうふうに進めていくかというメッセージがあれば、私の見方では、かなり安心感のあるメッセージになるのかなと思ったので、御提案した次第です。

【小森主査】  ほかにございますか。

【平山委員】  いいですか。

【小森主査】  どうぞ。

【平山委員】  内容に関わることよりも、分かりやすくという意味でちょっとコメントさせていただきます。この各項目は、基本的に、現状があって、課題が挙げられて、その課題についてどういう取組が解決のために必要かという書き方になっているはずなのですけれども、項目によっては、解決に向けた取組と必要な体制が、課題と対応がとれていないところがいくつかあります。それをやはり分かりやすくするためには、課題をせっかくきちんと挙げたのであれば、それに対してどう取り組むのかみたいな形の方がいいのではと。

 例えばトカマクのところの一番最初に書かれている経済性とか多様性というのは、その前にはどこにも書かれていないやつが、いきなり課題の解決のところの最初に出てきているのです。もしこれを書く必要があるのであれば、課題なりそういったところに該当するようなものが挙げられていて、そのうえでこういう取組をするのだという書き方にしないと、課題の三つ挙げられているやつをすっ飛ばして先に違うことを書いてしまうと、読む側にとってみると非常に分かりにくい書き方になっているのではないかという気がします。

 それから、例えば14ページの超伝導コイルのところも、一番最初に、重要な課題はこれこれであるというような表現が解決に向けてのところに出てきているのですね。確かにこれは課題のところに書かれているのですけれども、書かれているのであれば、ここのところは、もう少し表現の仕方とかを工夫した方が分かりやすいのではないかと思います。

 それから、17ページのブランケットの材料のところで、トリチウム増殖比にかかるブランケット構造内での核反応確証試験で、注書きで2というのがあるのですけれども、これと注書きで書かれていることの対応がよく分からない。ここはあくまで、DEMO炉の中、この中で試験を実施すると書いてあるのですけれども、下の方の注書きのところは、大強度中性子源による云々という材料試験のデータベースを構築するというような書き方になっています。これ、どういう関係になるかというのは多分、当事者は分かっているかも分からないのですけれども、第三者が見た時には非常に分かりにくい形になっていますし、大強度中性子源というのはそもそも何を指しているのかというのも必ずしも明確でないので、このあたりの書き方は、やはり誰が見ても、何が必要であって、こういうことのためにどうしていくのだみたいな書き方をされた方がいいのではないかという気がします。

【小森主査】  ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 どうぞ。

【森委員】  ちょっと違う観点でのコメントになりますけれども、まずコメントをする前にちょっと確認しておきたいことがあります。「はじめに」のところ、2ページの下に、「今後の核融合研究開発の推進方策について」の引用部分と思われるところが丸印で書かれていますが、これは、以前に書かれた推進方策の中の記述を正確に、文言を変えずに引用していると思っていいですね。何箇所か見え消しで改訂が入っていますが、それはむしろ正確にするための改訂ですね?

【坂本戦略官】  これは正確にするためです。

【森委員】  ですね。

【坂本戦略官】  ええ、そうです。

【森委員】  分かりました。その方がいいと思います。この文章に至るまでに多分、想像ですけれども、随分長い議論をされたうえでこんな文章になっていると思いますので、それを正確に引用した方がいいと思います。

 そのうえでちょっと気になったのは、特に第2章の書き方です。まずタイトルですけれども、「磁場閉じ込め方式の原型炉開発のための技術基盤構築の進め方」と書いてありますが、推進方策では、「原型炉はトカマク型ということを想定して進めましょう。ただし、ヘリカルとか他の方式については、ある時点で核融合炉の可能性を評価するとして評価できるようにちゃんと進めていきましょう」という書きっぷりになっています。

 なので、磁場閉じ込め方式の原型炉開発というのは、(トカマク型と的を絞り込んでいた議論から)原型炉の方式の絞り込みが広がって、何か議論が後戻りしている感じがします。なので、ここは、タイトルとしては、「原型炉開発のための技術基盤構築の進め方」と単純にしてはどうでしょう。「まえがき」で、「トカマク方式による原型炉建設に必要な研究開発を総合的に進める必要があるとされている」と明確に書かれていますので、それでいいと思います。また、「これを踏まえ、以下の議論は・・・」も「トカマク方式の原型炉」でなく「磁場閉じ込め方式の原型炉」と書かれているので、議論の後戻り感が非常に強くて、的が絞れていないなという印象を受けてしまいそうな懸念を持っています。

【坂本戦略官】  よろしいですか。

【小森主査】  どうぞ。

【坂本戦略官】  ありがとうございます。今、森先生のおっしゃったことで、まず、ここに「磁場閉じ込め方式の」と入れたのは、我々は平成17年報告書から新しい方針をこの場で打ち出そうとしているものではないと認識しています。ただ、まず一つはっきりしておきたいなと思いましたのは、レーザー核融合についてはあまりにも性格が違うものなので、これは議論の対象にしませんということははっきり言っておいた方がいいのかなというのがあるので、磁場閉じ込め方式というのを入れたという点が1点あります。

 もう一つは、2ページ、まさにさっき御指摘があったところで、概要ですけれども、ポイントをもう一度リマインドさせていただく意味で書かせていただいたのですけれども、トカマク方式による原型炉建設に必要な研究開発を総合的に進める。実験炉が今、トカマクで動いている以上、これははっきり言うと、幹になる方針だと思っています。

 一方で、3ページの一番上の丸にありますけれども、開発研究と学術研究の相乗効果によって開発を加速する観点から、ITERを最大限に活用しつつ、実用化に向かって開発研究と学術研究からなる総合的な研究開発を推進するということも書いてあります。はっきり言いますと、この二つの方針は、平成17年の報告書にそれぞれ盛り込まれていて、見ている視点といいますか、強調されている側面が若干違うというものを総合して、報告書で述べようとしている技術課題は検討されていると私は理解しています。それをどう表現したらいいかという時に、それと、さっきの、レーザーはさすがに性格が違うので除くということをバランスで考えると、「磁場閉じ込め方式による」というのが一番整理しやすかったというのが正直なところです。

 これ、「トカマク方式による」というふうに限定してしまうと、それは一つの方針として確立されている方針ではあるのですけれども、非常に限定されたものに解釈される可能性も若干あるのではないかなと。トカマク方式による原型炉は、はっきり言うと、幹になる方針であって、それにいろいろな知見が組み込まれて、何をもって最適というか、これ自身が非常に難しい問題なのですけれども、平成17年の報告書の中にある中間チェック・アンド・レビューで、原型炉に関する基本的な設計の要件というか、そういったものが対象になると、そういうことになっています。

 その時には、さまざまな視点からの検討、それから、いろいろなところで得られた知見が総合されて体系化された形で、トカマクが先頭を走っているわけですから、それは多分一つの幹になって出てくると思うのですけれども、そこの総合性というか、体系化というか、そういったものも是非表現をしたいなと。ともするとトカマクというと皆さん一般の方は、ITERをすぐに想起する。我々もそういうところはあるんですけれども、いろいろな形で原型炉に向けてまだまだ検討するところはあるということも含めたいなというのがこの表現の趣旨です。

【森委員】  その趣旨については全く異論はありませんが、今のままですと、逆に的を絞り切れていないのではないかという印象を与えるという懸念を持ちましたので、「今言われたことを文章の中には盛り込みつつ、的が絞れていないとの懸念を持たれないような表現に工夫していくべきだ」という趣旨で私はコメントさせていただきました。そういう意味で、細かいところで他にいくつかありますが、また時間が長くなりますので、それは後でメールか何かでコメントさせていただくということでよろしいですか。

【坂本戦略官】  はい。

【髙津委員】  戦略官、御説明ありがとうございました。背景となる考えは全く同感で、その辺に基づいたような文章は7ページの本文に書かれているので、学術と開発研究とが一体となって進めていくということはうたわれているので、そのとおりの趣旨が書かれているのですけれども、タイトルで「磁場閉じ込め」というふうに書かれると、明らかに推進方策の進め方を逸脱しているのだろうと思います。

 我々は、トカマクの原型炉はスコープするけれども、それ以外の磁場配位、ヘリカルについては、学術研究としてとりあえず進めて、ある段階でレビューして、原型炉に行くかどうかという判断をしましょうと政策で書かれていますので、意図しているものが、スコープが推進方策と変わってくるというふうに懸念しますので、森委員のコメントに実は私も同感です。御主旨の内容は本文に書かれていると理解しますので、そのとおりだと思いますけれども。ありがとうございました。

【小森主査】  どうぞ。

【岡野委員】  よろしいですか。私もこれを読んだ時のイメージとして、森委員とか髙津委員が今おっしゃったのと同じ危惧は持ったんですが、一方で、核融合コミュニティーに説明するだけでいいならば、私はこの記述でもいいかなとも思ったのです。危惧は、これは多分、核融合コミュニティー外の人が読むと思われるので、その時に、あれも原型炉、これも原型炉、相変わらずみんなやるのねと読みたがる人がいるのですね。そう読まれないように気をつけておくために、タイトルはちょっと議論していただけばいいと思うのですが、2点だけ私が提案したいものがあります。

 1個目は、最初の4行の真ん中には、トカマク方式の原型炉の設計が必要があるとされていると書いてあって、そのすぐ後に、磁場閉じ込め方式の原型炉と書いてあるのは、やはりこれは違和感があるので、2回目の原型炉については、「磁場閉じ込め方式の場合の技術基盤構築の進め方を対象として行う」とか、ちょっと変えた方が良くはないですか。

 それから、一つだけ、これは本当に気持ちとしてはこれでいいのですけれども、最後から4行目、ヘリカル方式による原型炉開発の可能性というところも目立つので、例えばですが、「ヘリカル方式の実用化のためには」とか「ヘリカル方式の実用化を追求するためには」、つまり、ヘリカルの原型炉とあらわにない方が私はいいような気がしたのですね。それはあくまでも外に対してという意味だけです。そういう意味です。

 同じことをちょっとついでに言うと、レーザーのところもちょっと気になったのがあって、同じことを言うのでついでに一緒に申し上げますと、レーザーの最初の部分、12ページのところに、やはり「レーザー核融合原型炉の概念設計には」と書いてあるんですね。ここは、「レーザー方式で原型炉を目指すには」とかではいかがでしょう。あるいは、「原型炉での実用化を目指すには」とかですね。そうすると、総花的に相変わらずなのねと言われないで済むかなと感じました。以上です。

【小森主査】  ほかにございますか。

【堀池委員】  じゃ、いいですかね。

【小森主査】  どうぞ。

【堀池委員】  私も同じように思っていまして、ヘリカルのところの書き方が、トカマクとヘリカルというふうな感じで分けて書いてあるので、あまり良くないと思うのです。全体的にいうと、小森先生に替わられる前の本島先生が最後に「こういう検討をしてください」とおっしゃった議事録が残っていると思うのですけれども、ヘリカルとレーザーも合わせて原型炉を目指すにはどうすればいいのかみんなで一緒に考えましょうという、そういうのが基本だと思うので、そういう意味でいうと、ヘリカルでどういうコントリビューションができるのかというのが、できたらもうちょっと山田先生に知恵を絞っていただいて、そういう書き方が望ましいのだと思うのです。そういうふうな書き方にして、やっぱりLHDの研究もこれからの日本の核融合開発にとって重要なんだよということを社会に説明するという、そういう路線でここはひとつまとめるべきかなと思います。というのが一つです。

 それからもう一つは、今、一応、原型炉は、もしつくるとしたら、日欧協力でつくるということですよね。それはないのですか。

【坂本戦略官】  それはまだ全く決まってないです。

【堀池委員】  でも、つくる時になったら、欧州は協力するというのはいきているわけですよね。

【坂本戦略官】  協力するというのは、サイト選定の時のプロセスには協力すると。

【堀池委員】  そうですね。そういう意味で、やっぱりある程度国際コミュニティーの中で日本の研究をどうやって高めていくのかというふうな視点の記述がちょっとないので、それは先ほどおっしゃったようにもしもう少し書き加えるのであれば、書き加えた方がいいのではないかと思うのです。

 髙津委員の話で、もしそういうところを書くのであれば、ITERの中で日本のプレゼンスをどうやって高めていくのか、原型炉の開発をやりながらいろいろ研究を進めることによってITERにおいても日本のプレゼンスを高めるとか、ITERの実験を主導するとかいう意味でいっぱい役に立つことがあるでしょうし、その逆もある。そういうことも含めて、これからの核融合開発全体の在り方を考えた時に、国際協力と、それから、ITERで日本がどうやって活躍していくのかというのをどうやってこれから担保していくのかというような視点の記述は、もしトカマクとかITERとかBAを入れるのならその辺も書かないといけないかと思いまして、そこまで行くと今回の報告書としては風呂敷を広げ過ぎるかなという気もしますので、この報告書の目的に応じてどこでちょん切るのかというのは少し難しいところだと思います。すみません、以上です。

【小森主査】  はい、どうぞ。

【笹尾委員】  今、二つ問題が出てきて、一つは、髙津さんが言われたような、課題がずっといろいろ横並びに出ているところで全体像や重要度、緊急性などの議論が見えにくいというのと、それからもう一つは、ヘリカル、レーザーをどう位置づけているかということが見えにくいという問題と二つ出てきています。

 前者の方と、今言ったヘリカルのことも若干含めて、髙津さんは、もう一つ章立てをしたらいいのではないかとおっしゃっていたのですが、私は、3章の最後に、3章のまとめという形で、今出てきたものを横軸とすると、縦軸で課題のみを書くと。それで、その課題を挙げた時に、前文として、ITER、BAが果たす役割を書いて、その次に、是非ともこれはやらなければいけない、重要だという課題が見えるような形で課題だけをまとめるということを書いて、その中でヘリカルやレーザーが果たす役割を書くと、その次のオールジャパンでそういうものに取り組む必要性は論理的な流れとして出てくるのではないかと考えておりまして、何かそういうような文章をA4、1枚か2枚程度つけ加えたらどうかなというのが全体を見た時の感じでした。

【髙津委員】  実は私が考えていたのは、笹尾先生と全く同じで、新たな章でなくて、3の最後でもいいので、全体の3章のまとめを一回やって、学術分野と言われている分野の貢献とか位置づけをそこに加えればフルセットになるのかなと思ったので、新たに章にするかしないかは別としまして、御指摘のコメントと全く同じことを考えておりました。

【小森主査】  ほかにございますか。

 どうぞ。

【岡野委員】  全然違いますけれども、2章の件でちょっと言い忘れていたことがあったので、一つだけよろしいですか。2章の7ページですが、赤字で5行追加されている部分、「H17年報告書によれば」の部分ですが、「ITERの運転初期の成果はもとより」と書いてあって、「チェック&レビューにおける活用想定を進められることが必要不可欠である」と結んであります。

 お聞きしたいのは、これを書いたことによって得られるメリットが何かあるかということなのです。つまり、これを書いたころは、ITERは2017年に運転を始めると思っていたはずです。もしもこのチェック・アンド・レビューのここの定義を厳密に、ITERの初期運転の成果も取り込むというふうに取ると、チェック・アンド・レビューは2027年以降なのは確実になりますので、これが入ったことで、これはそこまで遅らせるということになってしまいませんか。

【坂本戦略官】  私の理解は、今、平成17年報告書のチェック・アンド・レビュー項目を見ているのですけれども、例えば実験炉による自己加熱領域での燃焼制御の実証……、ちなみに、このITER運転初期というのを今、想定しているのは2027ではなくて2020です。

【岡野委員】  そうですか。

【坂本戦略官】  はい。ファーストプラズマのことをこれは意図しています。というのは、中間段階でのチェック・アンド・レビューは、ITER機構の発足を10年程度想定と書いてあるのですね。これは多分、ファーストプラズマが当初2017年でしたので、そのことを想定して書かれているのだろうというふうに我々は理解しています。だからこそ、実験炉による自己加熱領域での燃焼制御の実証とか、実験炉による非誘導定常運転の時にQイコール5は今どうなっているのかというのは、私、詳細には把握していないのですけれども、実験炉による統合化技術の確立とか、やっぱりこれは完成してある程度動き始めているということを想定しているのだろうと、このチェック・アンド・レビューの項目はですね。

【岡野委員】  そうです。そのとおりです。

【坂本戦略官】  ですよね。だから、少なくともインテンシブと書いてあるのは、2020のちょっと後に、ここに書いてある目標設定、原型炉全体の目標設定がなされるべきであると。これもチェック・アンド・レビューの項目の原型炉の概念設計の中に入っている項目です。

【岡野委員】  入っていますが、当時は2022か23年にはDTが始まると思っていたのではないでしょうか。大丈夫でしょうか。

【坂本戦略官】  そうですが、そこを、今、先生がおっしゃった、2027以降というふうに遅らせるつもりで書いたわけではないです。2020なんですが……。

【岡野委員】  そうだと信じているのですが、後から見た時に、「こう書いてあるね。ITERはまだQが10になっていないじゃない」という話にならないですかという危惧を私は申し上げているわけなのです。

【坂本戦略官】  一応、運転開始は2020というふうにはっきりと言っていますので……。

【小森主査】  そういう意味で、運転というのは、岡野先生はDTだと。

【岡野委員】  いや、つまり、ITERの初期の成果というのは、普通、常識で考えれば、初期の軽水素プラズマがついたことではないでしょう。

【小森主査】  戦略官は、初期のころということですね。それが誤解されないように、この運転のところを、初期のという……。

【岡野委員】  初期のというか、ITERのファーストプラズマとか書いてくれれば。

【小森主査】  DTではないというのが分かるようにしておかないと、確かに、場合によってはかなり遅れるのではないかということになるということですね。

【岡野委員】  私がこれを何も知らずに読めば、たぶん2027年から30年にチェック・アンド・レビューを遅らせよう、と書いてあるのだな、としか読めませんし。

【坂本戦略官】  なるほど。書き方がちょっと難しいですね。

【岡野委員】  難しいですね。

【小森主査】  でも、意図はそういうわけではないという。

【坂本戦略官】  ええ。

【岡野委員】  御意図はそうじゃないのは十分理解しつつも、これは危険な記述だと思ったのです。

【坂本戦略官】  別の言い方、あんまりDTまで引っ張るつもりはないということをどう表現できるかちょっと考えますか。

【岡野委員】  はい。

【山田科学官】  よろしいですか。

【小森主査】  はい。

【山田科学官】  戦略官にはなかなか言いにくいかと思われるので。確かに、岡野先生的な解釈もありますが、逆の解釈もこれは、できるのですね。というのは、17年の推進方策には、チェック・アンド・レビュー項目があって、例えばQイコール5の定常運転というのは、現実的に見ると、ものすごくハードルが高い設定になっていますね。だから、これをクリアしないと次にいかないということがあるのですが、17年の報告書では非常に慎重に書いてあって、これはあくまで案であるから――案であるからって、否定して良いということではないですよ――、これをもとに、要するに、目安にして検討しなさいということでありますから、要するに、しかるべき議論をして見直すことができるわけですね。だから、そういう解釈も成り立ちますので、ここでは、両義ある、両面あると御理解いただければと思います。

【岡野委員】  それが読めるように書きませんか。

【山田科学官】  はい。

【小森主査】  そうすると、この件に関してはもう少し戦略官に考えていただくということでよろしいでしょうか。

 それから、時間がありませんので少し整理しながら行きたいと思います。一つは、2章の頭の「磁場閉じ込め方式」をとる、とらないという問題でいろいろ御指摘がありましたけれども、とってしまうということでよろしいですか。

【坂本戦略官】  はい。

【小森主査】  では、それはそういうことで。

 あとは、今の次ですけれども、3章というか、課題が羅列……。

【髙津委員】  2章でよろしいですか。

【小森主査】  2章? どうぞ。

【髙津委員】  申しわけありません。どうしても読んだ印象が非常に気になるので。2章というのは基軸のトーンが書かれているところだと思うのですけれども、その中で、赤字で入れられたのも、ITERとかメイン路線をどういうふうにやっていくかということが書かれていると思うのです。

 確認させていただきたいのですが、赤字の上のパラグラフで、「磁場配位や運転条件の最適化を図る」と書かれていますけれども、この磁場配位というのは、この委員会で少し議論になった、ダイバータあたりのヌル点の磁場をもう少しオプティマイズした方がダイバータの運転が楽になるのではないかといった、そういったマイナーな磁場配位のことをおっしゃっているのか。文章を読むと、「ヘリカル方式による」というのが次に出てきますので、トカマクではない磁場配位というふうなイメージを想起させるのですけれども、3行目には「より望ましい核融合炉に向けて」と。基軸になるトーンが書かれているところでこのパラグラフというのは、私としては非常に違和感を覚えました。

 最後のまとめの文章で岡野さんが修文をコメントされましたけれども、「さらにヘリカル方式による」という文章が入っているところも、基軸となる第2章の文章、短い文章の中で2箇所、いわゆる違う磁場配位を考えるのですよということをあたかも言っているかもしれないというふうにとられるという文章は、書かれていることはもっともなことだと思いますけれども、入れる場所としては適切でないのではないかなと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。

【小森主査】  どうぞ。

【坂本戦略官】  よろしいですか。すみません、今の髙津先生のお話は、多分そろそろ私の能力の限界を超えつつあるような御質問をしていただいているのではないかと思うのですが、とはいいながら、一応、作成の担当者ですので、私が理解しているところは、おっしゃるように、磁場配位という言葉にはさまざまな概念が含まれているというのは私も理解をしています。

 すみません、釈迦に対して説法をしていまして本当に恐縮ですけれども、素人の私が今まで本当に限られた勉強をさせていただいたところ、やはり磁場配位、もっと言うと閉じ込めの物理と学理というものは、まだはっきりと分かっていないところはやっぱりあるのだろうなと。トカマクかヘリカルか、電流駆動を必要とするのかしないのかという意味の磁場配位というところからすると、トカマクの優位性が認められているというのはこれは揺るぎない事実だと思います。

 ただ、問題は、運転条件というふうにも書かせていただいていますけれども、さまざまな意味で、工学的な観点も含めて、どういう磁場配位がいいのかというところについて、はっきり言えば、学理を突き詰める部分と、そこから出てくる知見で何かやはり、ここに革新的なというのを書いていますけれども、従来よりもエネルギー効率なのか、あるいはリストアップ上の可能性なのか、そういったものである程度の革新性のあるようなものを、新しい提案を若い人の発想でする余地というのはこれはあるのだろうというか、それは強調されてしかるべきだろうという意識で書かせていただいています。

【髙津委員】  書かれている内容は、私、人材育成に有効だとかいろいろ書かれているのは全くそのとおりだと思いますけれども、基軸になるここは、第2章というのは、私、メインのストリームを書いて、その各論が3章に展開するのだろうと思って読んでいたら、非常に違う印象を受けると思いますので、書かれる場所をやはりほかのところに移された方がいいのではないかというのが私の提案です。

【小森主査】  平成17年度の報告書では、原型炉を目指した研究は、あくまでもトカマクを原型炉と想定して進めるというのが基軸になっていて、ヘリカルとかレーザーというのは、オプションとして学術的に進めることになっています。皆さんの御意見は、どこかでレビューして、それをまた基軸に持っていくまでは、平成17年度の記述に沿ってほしいということですね。書き方によると思うのですけれども、2章に書いても良いと思うのですけれども、基軸とオプションを混ぜたような記述はやめてほしいということだと理解しましたけれども、そういうことでよろしいですか。森先生も、岡野先生も、そこを混ぜないできちっと書いてほしいということだと思います。

【森委員】  いいですか。

【小森主査】  はい。

【森委員】  この2章のところは、磁場配位という言葉は多分それほど重要ではなくて、「運転条件の最適化を図るためには」だけでも十分だと思います。その後の「革新的な磁場配位の研究開発」、ここも、「革新的な研究開発を継続して進めることは」みたいな言葉で私は戦略官の意図されていることは十分に盛り込まれているという気がします。「磁場配位」という言葉を入れることによって、何か磁場配位のところだけえらくクローズアップされてしまう感じがするのですね。

 2章で、私のもう一点気になっているところがあります。それはこのページの中ほどに、「ITER計画・BA活動をはじめとする大型プロジェクトとそれ以外の学術研究・基盤研究を統合する」とあって、全体的な構造は、ITER・BAと、それから、学術・基盤研究、の二つだというふうに見えます。BAは先がかなり限られて、もうすぐ終わる活動ですね。そうすると、そのBA後にある活動は、ITER以外は全て学術研究、基盤研究という構造になるわけで、それはちょっと違うと思います。

 それは、BAの延長線上にある研究のことがこの言葉の中に出てこないからだと思います。なので、そこのところは、今、どういう言葉を選べばいいのか即は出てきませんが、その概念が抜けないように修文を考えていただきたいなと思います。例えば、BAの先にもやっぱりプロジェクト的に進めるのだと思うので「プロジェクト的な研究」とかの表現ですね。

【坂本戦略官】  ありがとうございます。今、森先生おっしゃったところの、BA活動を厳密に捉えたらそうだというのは私も理解します。ただ、JT-60SAというのは厳格に残るので、それはその活動はずっと引き続き継続されるので、うまい表現をもし御提案いただければありがたいなと思って、というふうにお願いさせて……。

【森委員】  検討して、提案させていただきます。JT-60だけではなくて、青森の施設を使ったものもやはり同じような位置づけがあると思うので。

【坂本戦略官】  そうですね、IFMIF/EVEDAもそうです。ありがとうございます。

【髙津委員】  提案させていただいてよろしいですか。

【坂本戦略官】  はい。

【髙津委員】  たまたま私も同じ印象を持ったのですけれども、ITER計画・BA活動をはじめとする大型プロジェクト、関連する開発研究及び学術ブラブラというコメント……。

【坂本戦略官】  そこは……。

【小森主査】  相談して。

【坂本戦略官】  そうですね。きちんと包含されているものがあるとよろしいですね。

【小森主査】  またその辺は後で議論いただくことにして。

 どうぞ。

【尾崎委員】  細かい話になるかもしれないのですけれども、産業界はやっぱりこういう長期的な開発に長期にわたってコミットしていくというのはなかなか難しい状況にありますので、そういう意味で、今回そういう点も考えて、枠組、仕組を考えなさいということを書いていただいているので、それは非常にありがたいと思います。

 ただ、書く場所によっては、前後の関係を読むとちょっと誤解があるような感じがあるのが、例えば28ページの課題のところの最後の丸のところですと、IFMIFの稼働は云々で、原型炉、構造材料の開発にはメーカーの長期にわたる参画が不可欠と書いておられるのですけれども、これはもともとは二つあった別の文章をコンバインしているので、このように、コンバインしてしまうと、IFMIFが動かないからメーカーが参画しなければいけないというふうに読めてしまいます。そういうようなところが、もう一つどこか、ブランケットのところでしたか、にもありまして、施設整備するために産業界は協力しないといけないとか、そういうふうに読めてしまうところがありましたので、その辺は、もともとの仕組みを考えていかないといけないという趣旨が分かるような記述にしていただきたいのが一つです。

 それからもう一つは、製造技術という言葉を出していただいていて、これも大事なことなので良いのですけれども、例えば3ページの下の最後の段落のところに、原型炉に関する云々で、現在有効な工学技術基盤と原型炉に必要と想定されている製造技術との間をつなぐことは容易ではない、これは何となく分かるようなところもあるのですけれども、例えば9ページの二つ目の段落の、一方、プラズマ物理実験から積み上げてきた云々と製造技術から設計可能と判断できる原型炉に見られる不一致という文章、これをそのまま読むと、物理の知見からは理想的な原型炉がもう想定できるのに、製造技術が足りないから実現しないでギャップがあるのだと、何か我々が責められているようなそういう感じで読めてしまうところが、あとどこかほかにもう1箇所くらい製造技術云々というところであったと思うのですけれども、この辺、そういう誤解のないような表現をちょっと考えて……。

【堀池委員】  いいですか。それは、前回、僕が発言したことを多分入れていただいたと思うので、僕もちょっと違和感があって、そこはまた後でコメントさせていただきます。

【尾崎委員】  よろしくお願いします。

【堀池委員】  もう少し前向きに書けばいいのですよね。

【尾崎委員】  いや、本当のところは、製造技術だけでなくてもっといろいろな課題があって、技術だって、製造技術だけでなくて、設計技術とかいろいろな技術を伸ばしていかなければいけないというところがあると思うので、製造技術にスポットを当てていただくのはありがたいのですけれども、あんまり当て過ぎるとちょっと違った見え方になってしまうかなというのが気になりましたので、コメントさせていただきました。ありがとうございます。

【小森主査】  それでは、時間がだんだんなくなってきましたので、2章のところは今までの議論でよろしいですね。

 3章のところで……。

【坂本戦略官】  すみません。

【小森主査】  どうぞ。

【坂本戦略官】  もう1点よろしいですか。2章のところで、先ほど髙津先生あるいは森先生も同じラインでお話しされていますが、磁場配位というものをあまり強く言い過ぎているというところは、そういったところを抜いた方がいいのか、それとも、先ほど小森先生がおっしゃった「トカマクを基軸とする」とかいう言葉を入れた方がいいのかとか、どちらがいいのかそこをちょっと考えさせていただきたいなと思います。

 いずれにしても、最後に書かせていただいていますけれども、課題解決を志向しつつ、開放性を持ったコラボレーションのネットワーク、これは非常に重要だというのを、私、この課題の整理を勉強させていただいて痛切に思いました。開放性というのは二つの意味があって、いかに人材を巻き込んでいくかという話と、新しいアイデアによってイノベーションを生み出す、そこの部分を、これを課題解決と結びつけて……、これは実は容易ではないのですね。その部分では、今日、笠田さんにおっしゃっていただいたのが非常にいいというか、私もほとんど同じ認識を持っていて、そういったものをどうやって組み込むかというのを山田先生とか門先生のお力を借りながら表現をしたわけですけれども、その部分ですね。

 ともすると閉鎖的に、まことに恐縮ですが、日本のアカデミーは特にその傾向が激しいと、はっきり言うと、私はほかの分野を見てても思います。それをいかに開放していくか。核融合は国際的にも開かれているので、それは先端を行かれているとは思いますけれども、でも、ともすればそうなりがちというところをいかに開くか。

 しかも、さっき尾崎先生がおっしゃっていた、これは誰が遅れをとっているかというのを決してフィンガーポイントする趣旨ではなくて、まさに私はITERの議論をさんざんやっていて、産業界のまさにものづくりの現場と、ある意味、頭脳集団とかいいますかね、コンセプトとかデザインとかをするところが離れれば、必ずプロジェクトに問題を起こすんです、はっきり言うと。これはコストにはね返り、スケジュールの遅延にはね返ってくるわけです。それをぐっと結びつけていくということは、まだまだ我が国でも努力していかなければいかんだろうなと。特にこの原型炉をやるうえでは。ITERでも今、それは課題になっています。というのをどうやって表現したらいいかというのをぜひお知恵をいただければありがたいと思います。

【小森主査】  よろしいでしょうか。何か浮かびましたら、是非メールでやりとりをしていただきたいと思います。

 あとは、3章の方ですけれども、つけ加えるという話もありましたが、基本的には最後にまとめをすることにして、ITER、BAの現状とか、それから、どこまで行けるかという見込みを記述する。その中で、もうちょっとすればこの辺は解決できるというものを書いた後に、岡野先生のつくられたロードマップの中で一番問題となるようなもの、緊急度の高いもの、重要なものを……。

【岡野委員】  ロードマップじゃなくて、ワーク・ブレークダウン・ストラクチャーというんですかね、リストですね。

【小森主査】  そうですね。その中で、ITER、BAの後にさらに必要になる重要なもの、今やらなければいけない緊急なものを少しまとめるというか、整理する。それがブレークスルーとして突破できたならば、ほかに、3章に挙げたものもこういくだろうと書いて良いと思います。このような格好でまとめていただくということでよろしいですか。その時は、3章をもう1回よく見直していただいて、問題に対して対策をきちんと書いていただくということですね、どうでしょうか。

 はい。

【金子委員】  その方針で私も賛成ですが、でも、もともとこの九つぐらいの項目というのは、ITER、BAではやらないもの、抜けているものということで挙がったはずなので、そこをどう捉えるかですよね。

【小森主査】  それは現時点でもう1回検討してということだと思いますけどね。

【金子委員】  だから、やっぱり何からやるべきかという、そういった議論は一から起こさないとこれはだめではないかなと思います。

【小森主査】  同じことだと思いますが、ITER、BAを記述してどこまでできるか。抜けていれば、その中から重要なブレークスルーをいくつか挙げて、それができれば、その次に、上に挙げたような問題を順番に解決していくというような記述にしていただければ良いと思います。

【金子委員】  参考資料1のそもそもの検討に当たっての観点も二つあって、2番目がそれですので、是非それは入れていただきたい。

【小森主査】  それから、先ほどの専門官からの宿題は、レーザー記述の量がちょっと気になるという問題です。これはヘリカルも一緒ですが、今のこの報告書の性格からすると、学術的な研究を進めて、どこかでレビュー・アンド・チェックを受け、基軸となる可能性もあるということが記述してあれば、量はそんなに問題にならないと思いますが、いかがでしょうか。それでよろしいでしょうか。

 あと、共同研究のところの……。

【飯嶋専門官】  すみません、そこで3章のところで、実は当初の課題が九つだったと思うのですが、JAEAの飛田先生から、核融合炉は稼働率と保守、それから、岡野先生からは核融合の安全性と安全研究、小川先生と一緒に話をしていただいたと思うのですが、その課題についても今回、報告書に続けて盛り込むということを実は考えているのですけれども、その点はいかがでしょうか。

【小森主査】  ここで議論したことですので、基本的には良いと思います。特に安全は今、非常に重要ですので、盛り込んだ方が良いかと思います。

【飯嶋専門官】  そうしますと、実は小西先生にお話をいただきました、3.8に「核融合燃料システム開発(と環境安全性評価)」というのがあるのですが、そこの安全性という部分でちょっと重複する部分が多分出てくるのかなと思いますので、そこは実は3.10としております核融合炉の安全性と安全研究、これは小川先生、岡野先生に原稿を書いていただこうかなと思っているのですが、その原稿を書くに当たって、小西先生の部分とちょっとうまく調整をしながら書いていただきたいなと思ってございます。

【小森主査】  そうですね。調整して書いていただくということですね。

【飯嶋専門官】  それで、原稿を1月の第2週目、7日の週になるかと思うのですが、申しわけないのですが……。

【岡野委員】  これは飛田さんとも相談してよいのですね。

【飯嶋専門官】  構いませんね。飛田さんにもこの3.11の稼働率と保守についてはお願いをしようと思っておりますので、申しわけありませんが、よろしくお願いします。

【小森主査】  ということで、よろしくお願いします。

 あとは、先ほど学術の方の共同研究が記述されていないという宿題が出されましたが、これは山田さんに書いていただいて、足してもらうということでいかがですか。

【山田科学官】  ここで4.1について御意見をいただければ、ヒントになるようなものをいただければありがたい。

【小森主査】  31ページですね。

【山田科学官】  はい。

【飯嶋専門官】  個人的には、今、一番学術的に予算のあるのが、核融合研が持っている双方向研究ですので、その予算の枠組をどういう形でという書きぶりがあるのかなとは個人的には思ってはいるのですけれども、なかなか難しいところはあるのかと思いますが、ちょっと御検討、意見交換をしていただければなと思います。

【小森主査】  何かございますか。

 どうぞ。

【門学術調査官】  3章に関してちょっと補足させていただきます。

【小森主査】  戻りますか。

【門学術調査官】  ちょっと戻ってすみません。本日、レーザーの疇地先生が御欠席でして、若手の意見ということで、藤岡先生に意見を、笠田先生に集約していただくように依頼していたのですけれども、その時に、改訂案に関して、レーザーの素過程の研究に関する部分を入れてくれというのを我々の方にメールでいただいていますので、その部分も持ち帰らせて審議して、どのように反映するかを検討させていただきたいというのだけちょっとお伝えしておきたいと思いまして、補足させていただきます。

【小森主査】  素過程?

【門学術調査官】  シミュレーションの共通性が高いところということで、壁に対する熱負荷の関係と原子過程のところは共通性が高い部分として挙げられるのではないかという意見をいただいていますので、どのように入れるかというのを含めて検討させていただきたいと思います。

【小森主査】  3章でほかに何かありますか。

【髙津委員】  すみません、3章はもう終わったのですか。

【小森主査】  いや、終わっていません。時間がないものですから、ちょっと急がせていただきました。

【髙津委員】  修文という意味では、コメントをメールベースで送らせていただいてよろしいですか。

【小森主査】  はい、それで。

【髙津委員】  二つだけ確認させていただきたいのですけれども、修文でデリートではコメントに多分ならないと思うので。10ページのトカマク方式の原型炉の課題の真ん中の「ITERの成果を原型炉設計に反映する仕組みの確立が必要である」。当初は、「不明瞭である」という。申しわけありません、これ、議論をやった中でのコメントの意図がよく分からないので、仕組の確立が必要であるというのは、これはどういう意味なのでしょう。

【門学術調査官】  10ページの?

【髙津委員】  10ページのマル2の課題の二つ目ですね。ITERの成果はどんどん原型炉の設計に反映すればいいのだろうと思うのですけれども、仕組が何か要ると? どういう意味なのでしょうね。

【門学術調査官】  これは私だったかな。ちょっと待ってください。確認します。

【髙津委員】  インプット資料を確認したのですけれども、そういうことも書かれていないので、議論でもあったかなというのがあんまり記憶がないので、申しわけないのですけれども、意図が、真意が分からないので困っています。

【門学術調査官】  ありました。

【髙津委員】  どういう意味?

【門学術調査官】  これはたしか、すみません、記憶ですけれども、前回の部会でコメントをいただいた中で、フィードバックをするような部分が必要だというのをいただいたと思いまして、それを課題の中に入れさせていただいたと記憶しています。

【髙津委員】  その仕組というのはどういう意味なのですか。

【門学術調査官】  ここではですね……。

【髙津委員】  ITERでも、BAでも、ヘリカルでも、データは全て設計に生かせると思うのですけれども、何の仕組が要るのだろうというのが私の疑問なのです。

【門学術調査官】  これはどのように反映させればいいかというプロセスとか方法論とかを念頭に置いて挙げたので、コメントいただければ修正は可能だと思います。修正させていただきたいと思います。

【髙津委員】  すみません、意図が分からないというコメントで申しわけないのですが、修文の案もなかなか出ないのですけれども、積極的に反映するようにしろという意味ならもっともだと思いますし、ただ、仕組という……。

【小森主査】  この会議の前の会議でという意味ですか。

【門学術調査官】  はい。

【小森主査】  前回で?

【門学術調査官】  前回の会議でコメントをいただいたところで、それを入れていたと記憶しています。

【岡野委員】  よろしいですか。多分ですけれども、ITERが27年からDTに入って、原型炉設計はその前から始まっているからいつフィードバックするのですかというコメントだったような気がするのですけれども、実際にはもう設計は進めていて、順次、ITERの新しい知見をどんどん入れながら最終的に建設に入るというふうに、原型炉設計の飛田さんも同じことをおっしゃると思いますので、入る仕組は当然あるのではないでしょうか。ITERが動いているのに、それに関係なく原型炉を設計しているなんてあり得ないと思うので。

【小森主査】  では、ちょっと検討いただいて。

 もう一つありますか?

【髙津委員】  それから、もう1点だけ。17ページの下の方に赤字で修正されておりますけれども、「核融合フロンティア計画(要修正)」とあるのですけれども、これはまだ人口に膾炙した言葉ではないという意味で消されているのでしょうか。平たく言うとそういうことなのですか。

【飯嶋専門官】  JAEAが独自に計画しているものであるということから、今回はこの部分は削除させていただいた。

【髙津委員】  十分でもないのですけれども、ここで議論を大分いただいたので。でも、まだ提案段階だということであれば……。

【飯嶋専門官】  そうです。国としてまだ書ける段階ではないと。

【髙津委員】  「提案されている核融合フロンティア計画などのもとで」という、「提案されている」という修飾語をつければ、確立したものでないということでよろしいのでしょうか。全然なじみない言葉ですか。

【笹尾委員】  こういう中にそういうのはちょっとなじまないですね。

【髙津委員】  まだ努力不足ですか。

【笹尾委員】  ちょっとなじまないと思う。

【小森主査】  はい、どうぞ。

【森委員】  ちょっと確認ですけれども、固有名詞はさておいて、内容について、あるいはその様な概念は構わないですか。

【小森主査】  内容は書いておられますよね、「拡充することが有効である」。

【笹尾委員】  それはそれでいいのではないでしょうかね。

【堀池委員】  それはどこかよその節にもあったと思う。

【森委員】  ありましたね。

【堀池委員】  ええ。何箇所か出ていたと思うので。

【森委員】  分かりました。

【小森主査】  よろしいですか、では。

 ほかに3章で……、はい。

【岡野委員】  どうしても私の言ったのと反対だなと思う点が1点あるので、ちょっといいですか、短く。それで了解していただければ、書き直す文章は提案しますので。9ページの3章のイントロダクションのところです。一つは、2番目のパラグラフの下から4行目の「このため、原型炉に求められるもの」というところから始まるところなのですが、「このため、原型炉に求められるもの、原型炉のあるべき姿から見るバックキャストの手法に沿い、既存・進行中の研究開発計画を合理的なものとすることが」重要であると。これは私は、今までこうしてきたので、ギャップが広がってしまったと申し上げたつもりであって、つくれると思われる原型炉と、それから、こうあるべきとみんなが前思っていたものとギャップがあるので、そこを詰めることが重要であるというふうにちょっと書き直したいと思います。このままだと前と同じだなという気がするのです。

【坂本戦略官】  すみません、ここの意図は、恐縮ですがちょっと不勉強で、岡野先生が今おっしゃっている前のバックキャストというのはどういう形で行われていたか、私よく理解していないのですけれども、ここで言わんとしているところは、平成17年の報告書で、平成4年当時議論されていた実験炉、原型炉、実証炉の実証炉の部分を相当もう原型炉に取り込んできているということですので、したがって、原型炉の次は本当の実用化にならなければいけないわけです。だから、相当の期待の高いものになると。

【岡野委員】  ですね。

【坂本戦略官】  期待の高いものであるからこそ、これもよく御存じのとおり、本当にエネルギー源としてマーケットの中で成立可能かどうかというところを含めて十分吟味された原型炉の例えば中間レビューの時の全体目標、あるいは実際の概念設計、本格的な概念設計がなされなければならないと。そこの原型炉が満たすべき要件といいますか、そういったものから見て今の技術の到達水準はどうなっているのかというのを考える必要があるでしょうと。これは笠田さんのさっきのTRLにつながるものだと私は思っています。本来到達すべき技術水準が明確になっていないと、これははっきり言うと、ギャップの埋めようがないですよね。それを原型炉のあるべき姿と表現されていると、そういう意味です。

【岡野委員】  分かりました。そういう御説明であったら分かりました。

【坂本戦略官】  はい。

【岡野委員】  あともう1点、最後の1行の「体制を整備するために」というところです。体制を整備するためには、原型炉の概念設計研究を促進する必要があると。これは私が逆だと思っていて、原型炉の概念設計研究を促進するためには、体制の整備が必要ではないでしょうか。私はそう申し上げたと思っているので、逆に変えていただけないかなというのが私のお願いです。つまり、これだと、今のまま行けば大丈夫というふうに読めますよね。私は人材とかの点で非常に危ないと思っています。ほかの節では、体制が必要であるとか書いていただいているのに、ここだけ記述が逆なのですよね。

【坂本戦略官】  確かに活動と体制というのを確かに。よろしいですか、前後関係を変えた方がいいかもしれないですよね。ここで言う、体制を整備するというのは一体どういうことをイメージしているのかというのを少し考えた方がいいと思いますが、もしよろしければ、岡野先生、ここは単に順番を変えるだけでよろしいですかね。

【岡野委員】  表面的には、順番が変われば、私は言ったことと矛盾がないと思います。

【坂本戦略官】  そうですか。分かりました。体制を整備するということの意味を確認させていただいて、修正を考えたいと思います。

【大山氏】  今のところ、一言よろしいでしょうか。岡野先生が言われていたのは、「整備するためには」という言葉でなくて、まず先に整備して、その後原型炉の最適化を可能とする研究を推進することが必要である、そういう意味ですか。

【岡野委員】  逆にしなくても、それで意味が逆になるので、順番を逆じゃなくてもいいですよ。そういう意味です。

【大山氏】  そういう意味ですね。

【岡野委員】  整備するために、今、原型炉設計を促進しなければというふうに読めるのがちょっと違和感があっただけです。

【大山氏】  先に体制を整備することが必要だということですよね。

【岡野委員】  体制を整備しないともう進まないのではないかなと心配をしているということです。

【小森主査】  よろしいですか。

【坂本戦略官】  すみません、1点よろしいでしょうか。

【小森主査】  はい。

【坂本戦略官】  先ほど小森先生の方で総括していただきました3章のまとめのところの書き方についてなのですけれども、ITER、BAについて挙げられた課題、どこまでいけそうなのかということを、これを簡潔に書くというのは、正直言うと、並み大抵では、相当工夫しなければいけないだろうなと思うのです。ぜひ原子力機構の方に、髙津先生、森先生にちょっと御協力いただいて、ちょっと短時間になりますけれども、そこの整理を御協力いただいて。山田先生と門先生に課題との対応関係とかそういったものをチェックしていただいて、それで盛り込むというふうな形にさせていただきたいと思います。ぜひ御協力をよろしくお願いします。

【小森主査】  よろしいですか。

 あと、3章でまだ……、大筋としては大体良いですかね。あんまり細かいのは……。

【髙津委員】  1点だけすみませんけれども、ダイバータのところで、発表があったとおりにまとめられているのですけれども、あの時に、熱負荷を下げるアイデアがないと、なかなかトカマク、まあ、トカマクと言っていいのか、厳しいのではないかというコメントをさせていただいたのですけれども、そういう点がやはり記述にはないので、何ができるのかというのが十分に煮詰まった議論がなかったので、浮ついた言葉だけ書いてもだめなのかもしれないですけれども、やはりある方向の努力が要るというふうなことは入れた方がいいのかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。もしそういう方向で……。

【小森主査】  門先生。

【門学術調査官】  19ページの頭の方の「基礎過程解明や、周辺プラズマモデル高度化」というあたりが、一応、熱負荷低減に相当するとは思っているのですけれども、そういう趣旨ではない?

【小森主査】  それを具体的に書いたら良いのではないでしょうか。

【髙津委員】  それで熱負荷軽減のアイデアが実験室プラズマで出るというふうに見込みをお持ちなんだろうと思うのですけれども、私、あんまり専門家ではないですけれども、やっぱりヌル点の磁場配位を変えて幅広くして、熱を、ヒートフラックスを落とさなければいけないということをよく設計のグループで言われていますよね。そういうものは、原理実証からやはりそれ専用の装置をつくってやらなければいけないと思いますので、基礎過程解明や、周辺プラズマモデル高度化と、ダイバータの熱負荷を下げる磁場の工夫というものを実験してアイデアを実証していかなければいけないのではないかということは要るのではないかと私は思うのですけれども、門先生の方が御専門なので、その辺、より適切な表現になっているというのであれば、もうそれ以上書く必要はないかもしれませんが。

【門学術調査官】  分かりました。その辺、具体的に磁気との対応関係で少し文章を入れさせていただくというので。

【髙津委員】  よろしくお願いいたします。

【門学術調査官】  はい。

【小森主査】  ほかにございますか。3章は大体よろしいですか。

 4章は、先ほど専門官から御指摘のありました共同研究のところだけです。31ページの4.1ですね。括弧のところで「学術研究の取組についても記述」ですが、金子先生が何か御意見ございますか。

【金子委員】  全然。

【小森主査】  手を挙げていなかったですか。すみません。

【金子委員】  小森先生がお話しされるのが一番いいのかなと思いますけれども、やはり核融合研の持っている責任は大きいので、双方向型に限らず、三つの共同研究をしっかり展開して、大学の皆さんは自由な研究をされるのですけれども、私どもの責任はそれをいかに核融合の方向に目を向けていただくかというところにあるのかと思いますので、その辺しっかり対応していくべきというようなことを書いていただければよろしいのではないかと思います。

【小森主査】  ありがとうございます。

 ほかにございますか。

【大山氏】  4章は入って?

【小森主査】  4章に入っています。

【大山氏】  すみません、4章にはBA活動という言葉が書いてあるのですけれども、やはりポストBAについても考えておかないと、体制という意味ではいけないのかなと思うのです。ITER計画の方は良いですけれども、BA活動についてはポストBAに関連するような記述が特に書かれていないので、ポストBAも含めた体制がないとこれらの重要な課題が解決できないという様に読めるようになっていた方が良いのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

【笹尾委員】  それはやはりここのところである施策の方向を打ち出してしまうのは、この文章からちょっと逸脱しているような気がしますね。それがポストBAの形になるのか、それとももうちょっと違う形になるのか、いろいろあり得ると思うので、そこまで書かない方がいいと思います。

【小森主査】  今のところで、ほかに御意見がございますか。

 はい。

【岡野委員】  ポストBAにならないという意味は、BAが続くという意味ですか。その可能性があるという?

【笹尾委員】  いや、いろいろな形があると思うのね。

【岡野委員】  いろいろな形があるという。分かりました。

【笹尾委員】  そういう意味です。

【小森主査】  ですが、まだここで限定しない方が良いのではないかということですね。

【岡野委員】  それはおっしゃるとおり。

【金子委員】  この表現で十分じゃないですか。

【笹尾委員】  ええ、この表現で十分。

【金子委員】  この装置、設備を使っていく必要があるという、そういう前向きな姿勢ですよね。

【飯嶋専門官】  基本的につくったものはBAが終わったらそのまま消えてなくなってしまうというわけではありませんから、当然、日本に残るものもあるわけですから、そういったものは有効活用すべきであるということも念頭には入れている文章にはしています。それがポストBAになるのかどうかというのは、またその時点での判断があるのかなと思います。

【小森主査】  よろしいですか。ちょっと時間が遅れて申しわけありません。

 最後に、もう一つ難題ですけれども、最後の結びですね。この報告書をどう確実に実現していくか、核融合フォーラムとかネットワークでどのようにこれを実現していくか、また、そのレビューについても記述した方が良いのではないかということを盛り込む必要があるということなのですが、これに対するアイデアといいますか、基本的な考え方について御意見がありましたらお願いします。

 どうぞ。

【堀池委員】  フォーラムの提言をまとめた立場で、ここをどうするか少し考えさせていただきます。その時は、小川先生と日野先生に御連絡して、ちょっとネットワークの意見を入れさせていただきまして、それで、いつまでに書けばよろしいですか。

【飯嶋専門官】  1月7日の週の終わりですね。

【堀池委員】  1月7日の週ね。

【小森主査】  学術のネットワークも入れてください。

【堀池委員】  はい。

【小森主査】  ほかに。どうぞ。

【坂本戦略官】  すみません、小森先生の進行をお邪魔しているかもしれませんが、せっかく今日は大山さん、後藤さん、笠田さんに来ていただきましたので、ここのフォローアップのところ、今日、やはり我々が行政の方でいかに我々が直面している課題に取り組んでいくかという、その取組方、そのマネジメント、これが非常に大事であるというところを、まさにポイント等御指摘いただいたなと思っています。

 これを課題として持ったままだと、はっきり言うと、なかなか進まないと思います。さっきの金子先生のポートフォリオ分析だとか、やっぱり何をどういうタイムフレームでやるべきか、誰が責任を負うべきか、実は多分、個々に分散された活動では済まないんですね、はっきり言うと。いろいろな知識なり、技術をインテグレートしていかなければいかんという体制をつくるというのは、これは極めて高度なマネジメント問題で政策問題です。

 当然、我々行政のほうは、資源の確保をどうするかとか、あるいはネットワークと一口に言っても、組織を超えて活動するにはいろいろな仕組、仕掛が要ると思うので、そういったものをどうするかという行政レベルの問題は我々、最大限対応しますけれども、そこで活動される方々が一体どういう仕組が必要かと。当然、制約もあります、はっきり言うと。国費を使うプロジェクトは特にですね。

 そういった制約、緩和できるものは緩和するわけですけれども、どうしてもなければいけない制約があるといった時に、その制約の最大限何ができるかというのを考えていただくのは、是非やっぱり若い方中心になってこういうところに入っていただいて、この課題を、どういう仕組を使って、誰が中心になって、どういうグループ形成をしてやるかというのを是非コミュニティーでお考えいただいて、我々行政もそこに参加しますので、是非お願いしたいと思います。

 そういった意味で、今日プレゼンしていただいたのは……、さらには、はっきり言いますと、大山さんがおっしゃったポストの問題、これは本質的な問題で、これは単に研究者のポストを増やせばいいという問題ではないです、はっきり言うと。これは日本のアカデミアの構造的な問題が出てきていると私は思います。その時に、学会の会員、私、はっきり言うと、実は核融合関係者というものは非常に広いものであると。我々は実はいろいろなところで、産業界とか、あるいは学術面でもいろいろな人たちとつながっているというのをもっと意識的にアピールして、プロジェクトに巻き込んでいくと。

 この前、11月に行われた核融合フォーラムに御尽力いただいた成果報告会、あれは非常に良い機会だと思っています。ああいった活動と、それから、こういった課題解決のように具体的にどうするかという議論を通じて、そういうネットワークを広げていく。それが多分、プラズマ・核融合学会の会員数とか、あるいはポスト、就職先、そういったものにも私はつながってくると思っていますので、それも一緒に考えるということを是非お願いしたいと思います。

【小森主査】  ありがとうございます。

 それでは、この原案について、何かほかにございますか。よろしいですか。

 ちょっと時間が過ぎてしまって申しわけありません。

 これから、御報告いただきたいと思います。2件ございます。参考資料2ですけれども、第11回ITER理事会の概要、参考資料3、第11回BA運営委員会の概要について、事務局より御報告いただきます。それでは、どうぞ。

【坂本戦略官】  私の方から、第11回ITER理事会、それから、第11回BA運営委員会の開催結果、両方、本当にごく簡単に御説明させていただきます。

 まず、ITER理事会の開催結果、参考資料2でございます。先月の28日から29日にかけまして、フランスのカダラッシュで開かれました。髙津先生に議長をお務めいただいて、ありがとうございます。

 それで、各局の参加のもとに、今のITERの進捗の状況の確認と、それから、課題について議論したわけですけれども、その内容については、3ページ以降に書かせていただいています。

 ITER機構からの活動報告としては、特に調達取り決めが、全体の調達価格の81%に相当する量が既に締結済みである。いよいよ本格化をしてきていると。そういう意味で、先ほどちょっと議論させていただきましたけれども、まさに産業界も含めてさまざまな形で活動が展開されていくフェーズに入っていると申し上げられるかと思います。あとは、フランス政府が、ITERの建設を許可する法令を定めたということでございます。

 さらに、このプロジェクトは、規模が、スケールが壮大であるうえに、各局が分担して枢要な機器を製作してそれを組み上げていくという、マネジメント的にも非常に複雑なものを持っております。そこで、当たり前と言えば当たり前なのですけれども、実際のマネジメントの仕組みをつくるということは現場の苦労が相当あるということで、4ページですけれども、ITER計画のスケジュールということで、いろいろな課題がある中で、共同作業体系(ユニークITERチーム)というものをつくって、各局の実施機関とITER機構が一体となって、国境を超えて、組織を超えて作業するという体系を構築しつつあるということが確認され、これを各局政府は全力で支援するということが確認されております。

 5ページですけれども、次回の理事会は日本において6月19日から20日に開くと。今、東京の開催を考えておりますけれども、そういったことがあるということでございます。以上がITERの御説明でございます。

 もう一つ、BA運営委員会でございますけれども、これは先月6日、ベルギーのブリュッセルで開かれました。こちらもITERの三つの事業、国際核融合材料照射施設の工学実証・工学設計活動(IFMIF/EVEDA)、それから、国際核融合エネルギー研究センター(IFERC)、それから、サテライト・トカマク、この三つの事業について、作業の進捗状況を確認するとともに、作業計画が承認されたというところでございます。

 特にIFMIF/EVEDAにつきましては、リチウムループの震災からの復旧も順調に進んでいると。さらには、原型炉加速器の入射器が来年3月に六ヶ所村に搬入されるというふうな状況がございます。着実に進展しておると。

 さらに、3ページですけれども、3のサテライト・トカマクにつきましては、これも来年1月に欧州から真空・低温保持容器の基礎部が搬入されるということで、トカマク装置の主要部分の組立がいよいよ始まるということでございます。順調に進んでいるということで、これを是非進めて、原型炉開発に向けた国際的な研究拠点をしっかり形成していくということを引き続き政府としても進めたいと考えております。以上です。

【小森主査】  ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明につきまして、何か御質問とか御意見ございましたら、お願いします。

 よろしいですか。

 どうもありがとうございました。

 それでは、今日は以上となりますけれども、事務局から何かございますか。

【飯嶋専門官】  次回の開催は1月28日を予定しております。その段階においては最終的な文章を取りまとめたいと思っておりますので、このペーパーに対する御意見をメールで、ここをこういうふうに修文したらどうなんだというような意見は、先ほど堀池先生にもお願いした日程で、1月7日の週までにいただければ、その翌週には修正したものを皆様にお送りして、随時更新していければいいのかなと思っておりますので、御協力よろしくお願いいたします。以上です。

【堀池委員】  すみません、コメントはどなたに送ればいいですか。

【飯嶋専門官】  小野さんと僕に。

【堀池委員】  小野さんと飯嶋さん。

【髙津委員】  バージョンは、今日の赤で修正いただいたバージョン?

【飯嶋専門官】  そうです。それを基本に。

【髙津委員】  それはもう送って?

【飯嶋専門官】  それは送っていませんので、それは後ほど皆さんにお送りいたします。

【髙津委員】  よろしくお願いします。

【小森主査】  それと、次回が最後で、2時間ほどしかありませんので、これから記述いただくものを吟味いただくほかに、やはり今日いただいた原案をさらに見ていただいて、問題があるようでしたら事務局に送ってください。そこからみなさんに出していただいて、メールでかなり議論をしたいと思います。1月28日までにかなり完成させておかないと結論が出ないと思いますので、皆さん、12月、1月はお忙しいと思いますが、戦略官も予算とかでいろいろお忙しいとは思いますが、よろしくお願いします。メールで議論するということで御了解願いたいと思います。

それでは、本日はどうもありがとうございました。

お問合せ先

研究開発戦略官付(核融合・原子力国際協力担当)

小野
電話番号:03-6734-4163
ファクシミリ番号:03-6734-4164

(研究開発戦略官付(核融合・原子力国際協力担当))