原子力科学技術委員会 核融合研究作業部会(第34回) 議事録

1.日時

平成24年11月14日(水曜日)16時~18時

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  1. 今後の核融合研究開発の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

小森主査、疇地委員、石塚委員、岡野委員、尾崎委員、金子委員、笹尾委員、髙津委員、平山委員、堀池委員、森委員

文部科学省

坂本研究開発戦略官、中田補佐、飯嶋核融合科学専門官、山田科学官、門学術調査官

5.議事録

【小森主査】  それでは、時間ですので、ただいまから第34回核融合研究作業部会を開催したいと思います。よろしくお願いいたします。
 本日は、大島委員、小川委員、東嶋委員から御欠席との連絡をいただいております。
 本日の議事について御紹介いたします。本日は、今後の核融合研究開発の在り方について、その他について御審議いただく予定です。
 それでは、配付資料の確認を事務局からお願いいたします。
【飯嶋専門官】  配付資料につきましては、議事次第にありますように、資料1、本日、JAEAの飛田先生から御説明いただきます稼働率・保守。資料2といたしまして、今まで議論いたしました技術課題の検討案。参考資料1といたしまして、今後の核融合研究開発の在り方に関わる審議事項について。参考資料2といたしまして、第1回IAEA原型炉計画作業部会の報告。参考資料3といたしまして、来週の21日水曜日でございますけれども、この近くで、経産省別館の裏側になりますけれども、イイノビルというのがございまして、そちらでITER/BA成果報告会というのを開催いたしますので、そのチラシでございます。
 以上です。
【小森主査】  よろしいですか。
 では、まず議事の1です。今後の核融合研究開発の在り方についてで、最初の議題は、資料1にあります稼働率・保守についてです。
 前回の会議で、これまでの議論の横串を通す観点で、稼働率・保守に関しても項目として取り上げた方が良いという御意見がございましたので、有識者としましてJAEAの飛田先生にお越しいただいております。
 飛田先生、15分で、よろしくお願いします。
【飛田グループ長】  原子力機構の飛田でございます。稼働率・保守について、御報告します。
 原型炉の要件の一つとして、一定の経済性という文言がございまして、この文言について議論を深めるために、経済性、それからRAMIと絡めて、稼働率と保守について報告されたしというのが御下問でございます。
 1ページを御覧下さい。
 上の方は、原型炉設計のところでも示したものの復習になります。コスト・オブ・エレクトリシティーがどのように決まっているかというもので、ベータ値、磁場強度、熱効率、稼働率が重要な要因になっていることを示しています。稼働率については定義が複数ございまして、電力で見れば設備利用率ですし、時間で見れば稼働率になります。本日の題目として与えられた稼働率は広義の意味での稼働率と思います。広義の稼働率は、この報告の中では可用性という言葉で説明してまいりたいと思います。
 これから分かるように、稼働率と申しましても、原型炉の数値目標として、例えば50%、60%、70%と示しても、その合理的な説明がなかなか難しいので、その意味をどのように考えていくかというのが、今回の説明の中で迫りたいところです。
 一つのヒントがございます。1ページの下半分に書いてありますけれども、RAMI、安全性、それから経済性に関連した事例でありまして、スリーマイルアイランドの事故を受けて、1980年代に、アメリカのNRCが軽水炉の規制を強化したことがあります。その時に目指したのは、機器の信頼性を向上させて安全性を高めることでございますが、それがどういうインパクトがあったかというと、検査、品質管理のコストが上昇して、運転保守費が倍増したということです。最終的には経済性が低下しています。ここで申し上げたいのは、RAMIの一つの要素、例えば信頼性というのを伸ばそうとすると、信頼性は上がりますけれども、それだけではなくて、そこに絡んで、経済的合理性が考慮すべきこととなってくるということでございます。
 このような考えに基づいて整理したものが、2ページになります。経済性に直接関係するのは可用性で、これが一番上に示してあります。可用性に関係する要因として、保守、それから信頼性、検査というのがございます。
 保守に関しては、二つに分けて考えるのが分かりやすいと思います。計画停止と計画外停止という、この二つでございます。計画停止については、保守方式を合理的にして保守の期間を短縮する、あるいは機器の寿命を延ばすことにして保守頻度を下げるということで、可用性を向上することが可能です。一方、計画外停止については、機器の信頼性、あるいは運転の信頼性を高めて、このような計画外の停止期間を短縮していくことが求められます。
 このように可用性を高める基礎になっているのが信頼性であり、品質保証、冗長性、安全尤度、あるいは故障率が関連してきますが、信頼性の追求は一方でコストの上昇を招く場合もあります。また、信頼性と関連することとして、検査がございまして、これには、安全性のある一定要件を満たすための法定検査と、経済性の観点から故障率を低減するための自主検査というものがあります。いずれにしても、検査によって脆弱部分の対策を行って、可用性を高めていくことになります。
 原型炉の計画停止については、ある保守方式で、一定期間内にメンテナンスを行うというのが、一つ重要なターゲットになろうかと思います。あとは、計画外停止をどのように低減するかということですが、これについては、運転あるいはシステムの信頼性を高めていくことが求められます。原型炉の運転を通して、商用段階を見越した品質保証の在り方、検査の在り方の指針になるようなデータをそろえていくことが重要になろうかと思います。
 今日の話の中心は2ページのところで、あとはこれを補足するデータというふうになります。3ページを御覧下さい。3ページは、炉内機器の寿命を決めるのは何かを整理したものです。
 四つの要因がありまして、まず、プラズマ対向機器の損耗ということがございます。これはスパッタリングによって決まります。残念ながら、現段階では予測が困難な状況で、これは、どうやって評価するかという方法自体の問題もありますが、粒子束、イオンの種類、照射エネルギー、あと温度など、いろいろな要因に依存しているという状況がございます。
 それから、冷却管の減肉。液体冷却の場合では腐食の問題がありますし、ガス冷却の場合はダストによる損耗ということがあります。これらについてはある程度推定可能と思います。
 それから、構造材の照射劣化、照射脆化ということです。それから、増殖材の燃焼というものがありますけれども、これら二つについては予測可能と考えております。
 4ページを御覧下さい。4ページは、ITERと原型炉の保守でどのような違いがあるかを整理したものです。
 ITERの保守については、ライフ中に1回だけ、全モジュールを2年間で交換するという目標がございますが、基本的には損傷したらその都度交換するのが基本的な考え方で、この場合、どれだけ短期間に交換するかというのは求められていなくて、1モジュールを交換するのに要する期間は約8週間と評価されております。
 一方、原型炉の場合は、定期的にブランケット、ダイバータの交換を全て行う必要があって、可用性を高めるためには、できるだけ短期間に交換を終えることが必要になります。
 原型炉とITERを比べたときに、特に大きな違いが作業環境であり、ITERの場合は1時間当たり250グレイ、原型炉になりますとその80倍の2万グレイという線量率になりますので、既存のリモートハンドリング機器の寿命を考えると、炉内で保守を行うというのは困難です。このような事情で、原型炉の場合はITERとは違って、セクターのまま本体から引き抜いて、ホットセルで保守を行うのが妥当であろうと考えられております。
 5ページを御覧下さい。5ページは、原型炉でのさまざまな保守方式として今考えられているものを並べたものです。
 左側からいきますと、日本はセクターを水平に引き抜く方式、それも全ポートから引き抜く方式、部分的に引き抜く方式、あるいはセクターを垂直に引き抜く方式などを考えております。ヨーロッパは、セクターを内側と外側に2分割して、いわばバナナ型のセグメントにして、上のポートから引き抜く方式を提案しています。要は保守ポートを小さくしたいという考えがこの根底にあります。あとはセクターを回転しながら引き抜くという、右下のような方法も提案されています。
 それぞれ長所、短所があります。短所について言うと、解決の難しい問題ばかりで、実はこのどの方式が成立するかというのが、まだよく分かっておりません。ですから、たくさんある保守方式の中から点数をつけてこれを選ぶというよりは、工学的に成立するものが、おそらく一つか二つだけ残って、その中から保守方式を選んでいくということになるのではないかと考えます。
 6ページについて説明いたします。6ページは、原型炉のシナリオの例を書いたものです。
 原型炉では炉内の線量率が高いので、基本的にホットセルで保守をするということを申し上げました。この図は炉本体室とホットセルでの作業を並べて書いたもので、この場合だと、炉本体室での作業はトカマクの運転を停止してから5箇月で完了し、運転を再開できるという考え方になっております。使用済みのセクターを本体室から搬出して、検査の終わったスペアをホットセルから搬入してきて、再起動するというシナリオになります。一方、ホットセルは、炉本体室から搬出された使用済みセクターに対して、ブランケット及びダイバータの交換作業を、時間を十分かけて行います。最後にスペアセクターの検査を行って、次に交換するときまで待機するというようなシナリオでございます。
 ホットセルの保守ですが、保守作業自体についてはITERのリモートハンドリング技術を広く活用できると考えております。ロボットを使った高精度の遠隔保守や、カッターやレーザーを使った切断、再溶接、あるいは検査手法としてはビューイング検査、非破壊検査、ヘリウムリーク試験、これをリモートで行う技術がITERで実証されると思いますので、これらを原型炉の保守に利用していくことになります。
 7ページは保守の課題をまとめたもので、大きな課題が、高放射線場に耐える機器開発でございます。
 ホットセルで保守をするといいながらも、線量率は依然として高くて、リモートメンテナンス機器については寿命の長いものを使う必要があります。ITERの場合ですと、耐放射線性の目標が積算で5メガグレイとなっておりますけれども、原型炉では、その40倍の200メガグレイまで耐える必要があろうかと思います。
 そのページの下にあるのは、現状どのような機器が、どれくらいの線量に耐えるかというものを示したものでございますが、この200メガグレイに耐える機器は今のところない状況ですので、耐放射線性の機器の開発が、原型炉の保守のために不可欠と言えます。
 最後のページに、原型炉へ向けた保守・稼働率に関連する課題をまとめました。
 一つ大きな問題は、原型炉保守概念の構築ということでございます。保守方式、炉構造、建屋、ホットセル、それからリモートハンドリングの機器ですが、これにわたる総合的な概念検討が必要です。研究機関が実施するには限界がありますので、その成立性や製作性の検討のために、メーカーが主体的に参加できる体制の構築、あるいは環境整備が不可欠と考えます。
 あとは、耐放射性機器の開発・試験でございます。これはITERの技術を踏まえて、一層の耐放射線化ということが求められます。試験をどこで行うかということになりますけれども、現在、JAEAの高崎研に、1時間当たり1万グレイの照射設備がございます。原型炉の試験をするのにこれだけの設備があれば十分だと思いますので、これを継続的に確保していくか、または同等の設備を用意するかということは今後判断が必要かと思います。
 あと、寿命の評価が重要でございまして、プラズマ対向機器、特にこれについては評価の手法もデータもないのが現状でございますので、寿命のデータベース、モデリング手法の開拓が必要になります。あとは、リモートハンドリング機器の故障率のデータベースというのも必要かと思います。これらを一つの国でやるには限界がありますので、ITER及び国際協力などによってデータを拡充していくのが有効であろうと考えます。
 以上で報告を終わります。
【小森主査】  ありがとうございました。
 それでは、御質問や御意見がございましたら、お願いいたします。
【堀池委員】  200ミリオングレイというのは、何で決まっているのですか。
【飛田グループ長】  これは、出力をいくつで、何年間運転したときに、炉内がどれくらい放射化するかというので決まります。
【堀池委員】  それは動かせない数字なのですか。
【飛田グループ長】  出力を下げるか、あるいは材料を変えるか。ただ、原型炉の場合はフェライト鋼が構造材料になりますので、フェライト鋼が主な線量率を決める要因になっているというのが実情です。原型炉の先に、シリコンカーバイトが使えるようになれば、大幅な線量率の低減が可能だと思いますけれども。
【小森主査】  ほかにございますか。
【髙津委員】  2ページの図が非常に分かりやすくて、参考になると思うのですけれども、一定の経済性を目指すというのが、一応我々が頭に入れておかなければいけないことだと思うと、この2ページの中で、RAMIがどのように経済性にインプリケーションを与えるかということが示唆されているのですけれども、一方、原型炉の一定の経済性を究極の目標だと思えば、DEMO炉の運転というのも、段階的にこういうRAMIの性能を上げていって、かつ経済性を目指していくというアプローチもあるのではないかと思うのですけれども、いきなりDEMO炉の最初の姿が、一定の経済性を示しつつ、RAMIもうまく進めてというアプローチもあるかと思いますけれども、普通に考えれば、ある程度段階的に進めていくというアプローチもあるように思うのですが、その場合に、RAMIの項目の中で、ここは最初に必ず満たしていなければいけないけれども、多少最初の運転では緩めても、徐々にチューンアップしていけばいいというような視点で見ると、どういうふうな示唆が言えるのかというのを、何か御意見があれば聞かせていただけますでしょうか。
【飛田グループ長】  非常に難しい質問で、即答できるものではないと思っておりますが、品質ということについては、最初は自信が持てなくて、おそらく最高のものをつくろうと思うはずですけれども、多分それでも足りないということになるかもしれません。運転期間は数十年ありますので、その中で置きかえていくということで対処するのかなというのが一つの考え方です。
 あとは、この図の中では、計画外停止というところにあまり力点を置いて書いていませんけれども、実はこの運転の信頼性というのは重要な要因で、例えばディスラプションで止まりましたとか、何かそれ以外の運転トラブルがあって止まりましたというのは、長期の停止を余儀なくされかねません。計画停止だけではなくて、計画外停止の整理も必要かと思います。ですから、2ページの図は完成したものではなくて、今後リバイズしていく必要はあると思います。
【平山委員】  内容に関係することではないのですが、4ページと7ページに、炉内線量率ということで、グレイが使われていますよね。
【飛田グループ長】  はい。
【平山委員】  多分、損傷の話なのでグレイを使っているのだと思いますが、対象の物質は空気ですか。吸収線量は対象により値が異なるので明確にしておく必要があります。ここで言われているグレイというのは、エアグレイと思ってよいのでしょうか。
【飛田グループ長】  はい、エアグレイです。
【平山委員】  そのときには、ちゃんとやはりエアグレイと書いておく必要があります。同じ場でも、御存じのように物質によって吸収線量の値は違いますから、対象を明確にしておいた方が良いのではないかなと思います。
【飛田グループ長】  そのようにいたします。
【小森主査】  今のと関係するのですけれども……、関係はしないか。炉内線量率が、2万グレイということですけれども、それが、非放射化材とかを使って、1万くらいであれば、炉内保守方式でも良いということですか、逆に言うと。
【飛田グループ長】  1万ですか。
【小森主査】  というのは、引き出した後で、1万グレイと書いていますよね。
【飛田グループ長】  はい。
【小森主査】  ですから逆に言うと、炉内で1万くらいであれば、引き出さなくても良いということになるのですか。
【飛田グループ長】  ここではグレイをもとにして、炉内機器が難しいということを申し上げましたけれども、それ以外に考えないといけないのは、やはり稼働率との兼ね合いでして、炉内で保守すると、1回切って、再溶接して、検査までやらないといけないので、一つのコンポーネントの保守時間が非常にかかるわけです。それを全数、ブランケット、ダイバータとやると、やはり年オーダーの時間を要すると思いますので、稼働率の観点からも、炉内保守は原型炉では難しいと理解していますけれども。
【小森主査】  6ページの搬入0.5箇月というのは、全セクターで0.5箇月ということなのですね。これは、1個ではなくて。
【飛田グループ長】  そうです、全セクターで。
【森委員】  2ページの可用性ですが、経済性向上というところに結局つながると思いますが、これは定量化できるようなものですか。
【飛田グループ長】  定量化ですか。定量化しようと思うと、1ページのところに返って、稼働率がどうなっているかというので定量化するのだと思います、最後は。ただ、原型炉の問題は、やはり定量化した最後の数値だけで言われると厳しいものがあるのではないかなというところで、その次の段階、商用段階で、どこまで見通せるかということ、その外挿に利用できるデータを与えることが原型炉のミッションではないかということを申し上げたいのですけれども。
【森委員】  私もそう思います。関連して、1ページ目のところで、「信頼性を向上すると、結局経済性は低下を」と示されているところは、スリーマイルアイランドのリアクターの場合はそうであったということと思いますが、信頼性を向上するということで稼働率とかが上がる、あるいは稼働率の下がるリスクを低減するということもあるわけです。
 そうすると、リスクが下がるのだから、うまく運転すれば、結果的にはお金がかからないかもしれない。リスクを、ある意味ではお金という数字に勘定して、トータルとして経済性が上がるというような考え方というのはありませんか。
【飛田グループ長】  やはりそこに経済的合理性というのがあって、どこまで信頼性を求めるかということだと思います。その辺、この資料のヒントになったのは電中研のレポートなので、多分、電中研ではこのような研究をたくさんやられているのではないかなと思います。
【小森主査】  岡野委員、何かありますか。
【岡野委員】  核融合では、こういう信頼性とコストの関係の解析はやっていないです。
【飛田グループ長】  核融合ではやらないですね。
【岡野委員】  軽水炉では当然やっていると思いますけれども。
【飛田グループ長】  軽水炉では、経済性という側面からもやっているし、安全性という観点で、どこまで信頼性を上げるのが妥当なのかというのもやっていたと思います。最終的にはコストではかるのですが、ここには確率論をベースにした安全性も含まれていて、安全性はここまででいいとか、全てをコストではかっていいのかという議論も一方ではあるので、そこは簡単な議論で、こうだと決めるのは難しいと思います。
【小森主査】  ほかにございますか。
【笹尾委員】  基本的な質問ですけれども、もしセクター方式を採用する場合は、1回の保守期間の間に、セクターは全部交換するのですか。
【飛田グループ長】  全部交換します。
【笹尾委員】  ということは、既にスペアセクターは全部、用意しておくという考え方。
【飛田グループ長】  そうです。セクターが12個で一つのトーラスになるのであれば、セクターの予備を12個、あらかじめ用意しておいて。
【笹尾委員】  12個、あるいはプラス1くらいを用意しておくという考え。
【飛田グループ長】  そうですね。それをホットセルにスタンバイしておくということになります。
【笹尾委員】  そうすると、それは当然、セクターの製作費というのは、もともとそれを見込んだものにしておくということですね。
【飛田グループ長】  そうですね。スペアセクターを使わないで運転を止めておくよりも、スペアを1セットつくるよりも早く運転を再開した方が得だろうというような考えに基づいているわけです。
【笹尾委員】  分かりました。
 そうしますと、3ページの一番左に、寿命が短い方から長い方まで書かれておりますが、実際には短いものにあわせて交換することになりますね。
【飛田グループ長】  そうなります。
【笹尾委員】  その場合、例えば12個とか18個とかのセクターを用意して、その間に、短い時間だった場合は、本当に再生できるのかということなのですけれども、運転期間中に、戻ってきたものを再生しておかなければいけないわけですね、次に使えるように。そのあたりは大丈夫なのでしょうか。
【飛田グループ長】  おっしゃるとおり、そこが一番大きな問題だと思っていて、例えば対向材料の寿命がどれだけかと問われたときに、半年かもしれないし、1年かもしれないし、あるいは2年かもしれないし、いまだ明確に言える材料がないわけです。原型炉を見通した場合ですけれども、ですから、そこがまずキーになっていて、例えば半年しかもちませんよということになったら、メンテナンスは、6ページのようなシナリオでは回らないので、もうちょっと休止期間が長くなっていくことになります。実は、対向材の損耗をどういうふうに抑えるかというのは、原型炉に向けた非常に重要な、イシューになると考えます。
【笹尾委員】  分かりました。
【山田科学官】  飛田先生、非常に分かりやすく論点整理していただきまして、どうもありがとうございました。
 私から二つお聞きしたいのですけれども、一つ目は、核融合炉というのは非常に複雑な機器の集合体なわけですけれども、ものづくりにおいては、ある意味、ある機器については技術的に優れたものをつくることができる、あるいは安くつくれるところに、国際的に任せるという考え方もあると思うのですね。
 ただし、この保守においては、ここでは稼働率というのをあえて経済性というのに置きかえさせていただければ、経済性とか安全性に関わる問題で、現場でやる技術ですので、これについては、例えば日本でやる場合では、日本が独自にその技術を備えていなければいけないと私は思うのですけれども、この考え方は正しいですか、間違っていますか。要するに国際的な、ある意味役割分担で、これは可能な分野なのでしょうか。
【飛田グループ長】  おっしゃることは、キーになるところだと思っています。ここでは機器の説明しかしませんでしたけれども、ホットセルをどうやって設計するかというのも難しいところで、あとは、作業の流れとか、流れが違えば、当然メンテナンスの機器も変わってきますので、そこら辺をどうやっていくかということですね。
 例えば、切ったり、くっつけたりというと簡単に聞こえますが、実は、位置決めとか、再溶接とかは特に難しい技術と思いますし、検査についても、欠陥がないように検査をするというのは、品質保証の根幹に関わることです。やはり自国の技術として持っておくべきだと思います。
【山田科学官】  もう一つは、8ページ目のまとめの、課題と内容・対応策とに整理していただいているのですが、例えばこの表で、BAで扱えるものと、BAの中では入っていないという形で整理していただくと、どうなりますか。
【飛田グループ長】  保守概念の構築ということでは、BAの原型炉設計の中に入っております。耐放射線機器、これについては入っておりませんし、寿命をどう評価するかというのもBAの課題の中に入っていないので、そういう意味では、保守に関連する技術開発がかなり抜けていると申し上げたいと思います。
【小森主査】  どうぞ。
【金子委員】  簡単な質問です。機器類の累積の放射線限度というのがありましたが、カメラはしょうがないとしても、ケーブルが非常に低いですよね、たった6メガグレイ。こういったもので、ホットセル自身が構築できるのかどうか。ホットセル自身がたくさんないといけないとか、ホットセルの遠隔保守をしないといけないとか、そんな話にもなりかねないので、ケーブルに関して将来的に耐放射線性を改善できる見通しはあるのでしょうか。あったらお聞かせいただきたいですけれども。
【飛田グループ長】  ちょっと私自身、その辺詳しくないので、調査して、後で申し上げたいと思います。[調査結果:他の絶縁材料を使ったケーブルでは、高線量まで照射劣化があまり見られないことが確認されている。ポリイミド系の場合 30 メガグレイ、セラミック系の場合 50 メガグレイ。]
【小森主査】  よろしいですか。時間になりましたので。
 どうもありがとうございました。次に移らせていただきます。
 次は、技術課題の検討案ということで、資料2ですけれども、「今後の核融合研究開発の在り方に関わる審議事項について」のペーパーの9項目の技術課題につきまして、説明者の方に、現状課題、今後の対策等について書いていただきました。本日は、これをもとに議論を行いたいと思います。
 まずは、今後の進め方につきまして、事務局より御説明をお願いします。
【飯嶋専門官】  本日、参考資料1としてお配りしております「今後の核融合研究開発の在り方に関わる審議事項について」という資料を御覧下さい。
 基本的に、このペーパーを踏まえまして、今まで議論を重ねてまいりました。この真ん中ほどに「検討に当たっての観点」というのがございます。最後のくだりの「第三段階核融合研究開発基本計画の枠内で実施することが必要な研究開発課題及びその実施体制について検討を行う」という文でございまして、こういった内容に沿いまして、今回、資料2を、説明者の皆様にまとめていただきました。
 基本的には、この技術課題の検討案を、今回皆様に議論いただきまして、最終的に報告書としてまとめるわけでございますけれども、本日の部会の委員の皆様からの御意見が大事なところかなと思ってございます。
 報告書の構成といたしましては、当然この技術課題の検討案だけではございませんので、「はじめに」というものがございまして、次に核融合研究開発の現状、次に原型炉設計に向けた取組と、この部分が、本日資料2で議論していただく部分に当てはまるのかなと思ってございます。それを踏まえて、国として今後必要な支援をどうするのかという形で、報告書をまとめたいと考えております。
 本日御議論いただいた内容を、次回が12月14日金曜日でございますので、それまでに、今申しました構成を文といたしまして、お示ししたいと思います。次回の部会で議論いただきました結果を踏まえまして、1月にも部会を開こうと思っておりますので、そこで最終的に決定をしたいなと思っております。当然、12月の部会、1月の部会、2回だけでは済みませんので、12月から1月にかけて、部会の間で、委員の先生方の御意見を踏まえながら、最終的なものに仕上げていきたいと思ってございます。
 さらに、前回の部会でございますけれども、やはり原型炉設計に向けて、今後、今回このようなペーパーをまとめるわけでございますが、若手研究者がどう考えているのか。これは、将来原型炉を設計、製作するに当たりまして、指導的な立場になる方が、現在35歳から40歳くらいの方だと思うのですけれども、そういった方々がこのペーパーを読んでどう思っているのかと、また、どういう意見があるのかというのを聴取したらどうかというのが前回の部会でございましたので、次回の12月14日の部会におきまして案をお示ししますので、それを事前に御覧いただきまして、14日の部会で意見を発表していただくということを考えてございます。
 どういった方に発表していただくかというのは、戦略官とも考えたのですけれども、やはり核融合研から1名、原研さんから1名出していただいて、あとは大学から1名出していただこうと考えてございます。核融合研と原研はそれぞれ、良いのですが、大学をどうするかというところですけれども、門学術調査官がこの委員会に出席しておりますので、若手ということでもございますので、門調査官に、どなたがいいかというのを選んでいただければいいのかなと思ってございますので、門先生にはよろしくお願いをしたいと思っておりますが、次回このような形で、若手研究者に来ていただこうと思いますが、今申し上げました核融合研から1名、原研から1名、大学から1名と、この3名につきまして、特にこういった観点から必要ではないかという御意見があれば、いただければと思います。またさらに、先に申しました報告書の構成案につきましても、何か御意見があれば、よろしくお願いをしたいと思います。
 以上です。
【小森主査】  ありがとうございました。
 それでは、今の御説明に御質問や御意見がございましたら、お願いします。よろしいですか。
 では、そういうことで進めさせていただくということになりますので、門さん、よろしくお願いします。
【門学術調査官】  大学の場合はなかなか、やっている人たちがバラエティーに富んでいますので、人選が大変だと思いますけれども、考えさせていただきます。よろしくお願いします。
【堀池委員】  そのときに、分野があまりかぶらないように、ちょっとそれは気をつけていただきたいというふうに思います。
【門学術調査官】  それも含めて検討させていただきます。ありがとうございます。
【小森主査】  それでは、資料2の技術課題の検討案に基づきまして御議論いただきたいと思います。
 上の方に丸がついている1というのが9項目ありますので、順番に議論していただきたいと思います。まず、1と書いた「原型炉概念の構築と設計作業」に、トカマクとヘリカルとレーザーの記述がありますので、ちょっと長いですが、ここから議論を進めていただきたいと思います。
 ここのところの御意見、御議論、お願いします。
【堀池委員】  この間これを、先にお送りしていただいていたので、最初のところだけちょっと見たのですけれども、今日は飛田さんがおられるので、ちょうど都合がいいのですけれども、設計というのを、共通認識を持っておいた方が良いと思うのです。
 原型炉は何のために設計するのかというのを少し、僕なりの意見をちょっと確認させてもらいたいのですけれども、車とかテレビみたいにたくさん売れるようなものは、何回か、たくさん、マスプロダクションの間である程度リファインできるけれども、こういう原子力発電所とか核融合プラント、あるいはLHDとかJT-60みたいなものは、1回しかつくらないので、開発とか設計の間にいろいろな微小な修正を入れて、少しずつ、非常に合理的なものを目指していくのだと。
 現在の原型炉の炉設計の研究というのは、ITERとかブローダーアプローチにお金を費やしていった結果に、どういうアウトカムがあるのかというのを明示するとともに、それをやはり現在のITERとかブローダーアプローチにフィードバックして、それでそのITERの開発とかJT-60での開発とか、LHDの開発とか、そういったものを、より合理的なというか、我々の最終目的に向かって、最も合理的な道を選ぶための手助けとしてあるのだと。そういう二つの役割があって、まず炉設計の作業の目的はこういうものなんですよというのを、やはり明示する必要があると思うのです。
 もう一つは、ITERに関して、前回のこの9項目の議論とか、岡野委員の委員会でロードマップをつくらせていただいたときから、かなりITERが進んできていると。まだなかなかファーストプラズマには達しないのですけれども、その間にいろいろ問題点が浮かび上がってきているので、そういうことに関して、原型炉の開発ということでどういうふうに修正していくのか。何か反映すべきものはないのかというふうな、そういう検討もある程度必要なのかなと思うのです。
 特に、今、飛田さんの説明の中にもあったのですけれども、プラズマ物理からこういう装置があってほしいという下の境界線と、それから、現状の製造技術からずっと発展させていって、もう現状この辺までになったらいけますよという限界線があって、それがちょうど重なる、オーバーラップしておれば問題ないのですけれども、核融合みたいな場合は、大概オーバーラップしていないと。その間をどうやってつないでいくのかというふうなことを考えるのが、今ここでまとめようとしている9項目のR&D項目であり、それから、今話がありましたような耐放射線材料がないんですよとか、そういったような細かいところに、そういうふうに問題点としてブレークダウンされていくのだと思うのです。
 その間を合理的につなぐ方法の、設計から、プラズマ物理からの限界線と、製造技術から解き起こしていった上の限界線の間がどの辺にあるのかというのを、ちゃんと明らかにする。それから、その間をつなぐ方法は具体的にどういうのかというのを、また明らかにする。それでもって、現在のITERとかブローダーアプローチとか、JT-60とかLHDとかいうプロジェクトは、ちゃんと正しいというか――正しいというのはないと思うのですが、より合理的な方向に向いているのかというのを、ある程度現状にフィードバックする。今の研究にフィードバックしていくというのが大事だと思うので、そういう視点でもうちょっと、トカマクとかヘリカルとかレーザーとかいうふうに書くのではなくて、全体としてこういうものがあって、その中で、現状の研究アクティビティーの中で、製造技術と、得たい成果との間をブリッジできる研究開発としてはどういうものがあるかというふうな、そういう書き方の方が全体としては良いと思うので、申しわけありませんが、最初にちょっとそれだけ意見として言わせていただきたいと思います。
【小森主査】  質問と言っていましたけれども、答えを一緒に言われたということですね。
【堀池委員】  はい。すみません。
【金子委員】  今の堀池委員の御質問並びにお答えですけれども、それぞれの9項目、1番を除きまして、その後の方のお話をこれまで聞いていると、かなりその辺は意識されて課題の抽出とか、今後どういうR&Dをしないといけないかということは話されていると思いますので、まとめ自身はそういう方向に行くのではないかと思います。
 ですから最初のところで、堀池委員がおっしゃったような書きぶりをすれば、この中身そのものはそのままでいけるのかなと思いますけれども。
【堀池委員】  そうだと思います。
【小森主査】  どうぞ。
【山田科学官】  堀池委員のおっしゃったことは、まさに、我々これまで、よくフォアキャストばかりしてきたというところがあって、戦略官の方がちゃんと、バックキャストが大事だということを一番最初におっしゃって、まさにそこをどうブリッジするか、つなぐかということが一番大事な点ですので、初めのところで引き取って、今、堀池先生がおっしゃったことは十分留意して書かせていただきたいと思います。
【髙津委員】  全く同じコメントで、大変重要な堀池委員の視点だと思いますので、言われたことは非常にそのとおりだと思いますので、ぜひとも、先ほど飯嶋専門官からお話があった「はじめに」というところに、そういった位置づけを書いていただくというのが大事だと思いますし、おそらくみんな、ここへ書いているのは、今進んでいるプロジェクトは期待される成果がちゃんと出てくるものだと想定して技術論を展開しているのであろうから、こういったことを前提のところに、「はじめに」に書いていただいて、それでなおかつ堀池委員が言われるように、上からのトップダウンと、下からのボトムアップでギャップがあるときにどうすればいいのかという課題が各論で書かれているというふうに理解すれば、御指摘のような流れでまとめられるのかなと思いました。
【小森主査】  では、今のような感じでまとめるということでよろしいですか。
【堀池委員】  あと、ITERに関する記述がないというのは、どうされるのかというのが、ちょっと。どうなんでしょう、僕は何か書いた方がいいのではないかなと思うのですけれども。
【飯嶋専門官】  ITERの記述といいますと、具体的にどのようなことでしょうか。ITERの現状とか、ITERがやろうとしていることなどの内容を書くのでしょうか。
【堀池委員】  イメージしますのは、例えば、日本ではプロキュアメントアレンジメントがちゃんと進んでいるのですけれども、ヨーロッパではあまりうまくいっていないところもあると。そういうのは多分、今最初に僕がちょっと言わせていただいた、つくらないといけない装置と、それから現状のヨーロッパの産業界における製造技術とか、製造工場の設備とかいうのが、はっきり言ってちゃんとマッチングしていないというところに、その根本原因があると思うのです。そうすると、そういう調達のやり方というか、製造のやり方に関する問題点というのは、やはり現状の、もうちょっとオープンにやっておればすっといったようなことを、より困難にしているとか、そういったようなこともあるし、それからもう一つは、人材育成とか国内の工業技術の育成というのがいかに大事かというのを、今のヨーロッパの状況は物語っているのだと思うのです。
 そういう意味で言うと、我々もこの原型炉に向かっていくときに、ある程度ヨーロッパの現状というのを他山の石として、やはり日本の産業界がちゃんと次のプロジェクトに対応できるような技術力をつけていってもらわないといけないし、国内でもちゃんと人材開発をしていかないと、次は、同じように、競争入札の公募をしたけれども応札する企業が全然ないとか、あっても予定価格の5倍でないと契約できないとかいうふうな状況になり得るので、そういったようなことも含めて、少し書いておいた方がいいのではないかなと思うのですね。どうでしょう。
【金子委員】   ITERがうまくいっていない云々というふうな書き方は、適切でないと思いますが。
【堀池委員】  別に、そんなことは一切申していません。
【金子委員】  今のお話だとそういうふうに聞こえてしまうので、やはり日本としてはどうするのがベストかという、そういったものを書けばよろしいのであって、今進んでいるITERから反省事項はあるかと思いますが、それは反省事項ではなくて、こうしたらいいという提言として、この作業部会の報告書としては書いていく方が良いのではないですか。
【小森主査】  ITERから正式な文書が出て、それに基づいて書くというのではなくて。
【堀池委員】  そうです。
【小森主査】  伝聞になってしまいますので、やはりそういうのは避けるべきだと思いますね。
【堀池委員】  分かりました。そういう方向性で。
【髙津委員】  堀池委員のコメントを私なりに理解すると、こういうレポートを見る方は、一番中心になって動いているITERと幅広いアプローチ活動とのコンテクストで、一体どういう関係なのだという疑問は持たれると思いますので、おそらく「はじめに」の部分に、ITERでは何を目標として、科学技術的な目標が達成されるであろうということと、各9項目について、どのようなことが、ITERあるいは幅広いアプローチ活動で実現し得るかということは、触れておいた方が親切だろうと思います。
 堀池委員のおっしゃるような問題点では、今、飯嶋専門官のお話だと、4番あたりに国の取組というか、対応の仕方というようなことが書かれるというので、その中に、やや、経験を踏まえて、原型炉に向けて心していった方が良いようなことを少し入れれば、ポジティブなメッセージになるのかなというふうに思います。
【小森主査】  ありがとうございました。
 どうぞ。
【坂本戦略官】  ありがとうございます。事務局としても、ITERを中心に、今行われているところ、当然いろいろな技術的な課題とかが出てくるので、それに対して学ぶことは非常に重要だと思いますけれども、やはりそこの分析と改善策というものは、今まさにオンゴーイングで対策が打たれて、スケジュールに影響が出ないように一生懸命やられている中で、きちんと客観的に見て総括するというのはなかなか難しいのかなというのが、正直ございます。
 そこはそこで、はっきりと、もう組立の見通しが出てきて、振り返ってみて、それぞれ、ヨーロッパのコンポーネント、あるいは日本のコンポーネント、各極のコンポーネントというもの、製造というものを振り返ってみて、どういうところにレッスンズラーンドがあるのかというところを総括するというのは大事なことですけれども、まだちょっとはっきりと、オンゴーイングのところで、非常に整理が難しいと思いますので、先ほど金子委員がおっしゃっていただいたような、我々が今現時点で、限られていますけれども、得た情報からすると、こういうふうにすべきではないかというところを報告書に盛り込んでいただくのが、多分適切ではないかなというふうに、我々としても思います。
【小森主査】  森委員。
【森委員】  少し細かい各論的なところになりますが、違和感を持って原稿を読んだ部分がありまして、それは、トカマク型というので、いろいろな、現状、課題、それから課題解決に向けた取組等が書いてあって、その次にヘリカル型が書いてあって、同じように書いてあることです。磁場閉じ込めであるトカマクとヘリカルは、技術的にはかなり近いし、課題に関しても近いところがかなりあると思います。
 ということは、トカマク型で課題と書いてあるものは、ヘリカル型においてもほとんど課題になっているものが多いと思います。しかし、今の記述を見るとそういう書き方にはなっていなくて、ヘリカルの方はヘリカル特有の課題のみを特段の説明もなく書いているので、ミスリーディングかなという気がします。
 もしヘリカルとトカマクを分けて書くのであれば、ヘリカルのところでは、トカマクのここの部分はヘリカルも同様だけれども、それに加えてこうだというような書き方をするか、もしくは磁場閉じ込めで一緒くたにしてしまって、共通問題点は共通問題点として記述をして、トカマクに特有なものとヘリカルに特有なものを、そこの部分は断り書きをしたうえで明確にしていくという書き方の方が、分かりやすいと思いますが、いかがでしょうか。
【小森主査】  どうぞ。
【笹尾委員】  今の御意見ですけれども、必ずしもトカマクがトップに挙げている課題と、ヘリカルでトップに挙げるべき課題とはちょっとずれていて、トカマクでトップに挙げている課題は、ヘリカル系では少しミティゲートされているという捉え方もあると思うので、そういう書きぶりになるのではないかと思います。
【森委員】  それはそれで結構だと思いますが、そういうようなことが、むしろ正しく伝わるようにしていただきたい、ということです。
【笹尾委員】  はい。
【小森主査】  そういう意味では、ヘリカルの方に、トカマクと共通の課題があることを書いておいて、ヘリカルのところにはヘリカルに固有な課題だけを書くというのはいかがでしょうか。要するに、磁場閉じ込めとして共通の課題はトカマクの方に書いてあります。これはヘリカルが後になりますから、ヘリカルのところには、ヘリカルに固有なものだけを書きましたという形の方がよろしいのではないでしょうか。
【岡野委員】  そういうふうになるのが良いと思うのですが、その前の前提で、原型炉とはどんなものかというのが、何か違う意識で書かれているように私は感じているのですよ。
 1ページ目の「現状」という、トカマク型のところですが、「これまでの原型炉概念案である」という3行と、それから、BA原型炉設計では違うアプローチということが説明されていますね。これは、私の理解ではこれまで、2000年代からずっと原型炉の設計をいろいろやってきて分かったことは、このころ思っていたこういう原型炉があればいいなという設計、それがDemo-CRESTであったりするわけですが、これは今の我々が持っている、予想しているプロジェクトだけではなかなかできないということを、我々は認識したと思っているのですね。逆に、次の項目に書いてあるのは何かというと、どんな原型炉ならできるかと、その原型炉は我々の目標を満たせるだろうかと、そういう議論をしたいということがここに書いてあるのだと私は思うのですよ。
 そうだとすると、そういう認識での問題点を、ほかの、トカマクとかヘリカルもレーザーも書いていただけるならば、並んでいてもいいのだけれども、ひょっとすると、まだ、我々がトカマクでやっていたことが書かれるかもしれなくて、そうすると、そう見えてきてしまいますよね。というか、一番できそうもないのがトカマクだという話になりかねないので、そこはバランスをとる必要があると思うのですね。その認識をみんなで共有できれば、まざっていてもいいのではないかと思います。
【小森主査】  山田さん、どうですか。
【山田科学官】  おっしゃるとおりだと思います。原型炉とはという議論がずっと、前回の作業部会から議論を進めてきましたので、基本的には、今、岡野さんがおっしゃったところで、現状の力ではなかなか難しいことが分かったという認識を、どの程度書くかということが一つ議論になると思います。もちろん出発点は、平成17年度の報告書に基づきつつも、そこからどう踏み込むかというところの、踏み込み度合いについては、よくよく相談して書かせていただきたいと思います。
【堀池委員】  ちょっと私が最初に申し上げたのも、全体を見て、そういうのを僕も同じように思って、結局、一応今僕らが目指しているのはトカマク原型炉ですよね、原型炉というのは。国の定義でいうと。そのときに、ヘリカルをやっている方、あるいはレーザーをやっている方は、結局、そうすると今のトカマク路線にどういうふうにコントリビューションできるのかという目標と、自分たちの路線で行った目標ではどうなるかというのを二つ掲げているということになるのだと思うのですよ。そのややこしさがあるので、そこのところはきっちり整理できるような書きぶりにした方が良いと思います。
 だから、トカマクの原型炉に関して、ヘリカルのコントリビューションはこうです、レーザーのコントリビューションはこうですというのと、それから、ヘリカル方式、レーザー方式だとこういうのも必要になりますとか。そういう意味で言うと、トカマクのところというのはわりかた、今やっているのと、走っていくところは合致しているのでいいかなと思うのですけれども、そこをうまいことを整理しないと、何が何だか分からなくなってしまうかなと思います。
【小森主査】  大体よろしいでしょうか。今の議論に沿って全体的にまとめていただくということで。
 あと、1のところばかりになってしまいますが、1の中で特に何かありましたら、どうぞ。
【髙津委員】  読ませていただいて、トカマクのところは、私自身もその仕事をしているからか、よく理解できた記述だと思ったのですけれども、ヘリカルのところでちょっと、直感的に奇異な感じを受ける記述がございまして、「1.現状」の1)、三つ目のポチに「比較的大型の設計が可能であるため……、ブラブラブラ」という、この辺は、大型がでるというメリットというふうなポイントで書かれているように読めるのですけれども、そういう意味なのでしょうか。中性子壁負荷を低く抑えられるのだ、大型ができるという。
【金子委員】  これはそういう意図で書かれたと私は解釈しております。逆転の発想みたいなところがございますけれども。
【髙津委員】  ちょっとコンビンシングではないのではないかなというふうに、個人的には思います。
 それから、同じく、その一つ下にダイバータのことがあって、遮へいできる構造になっているからと。材料選定の自由度を確保する設計を推進するというのは、そうなのでしょうけれども、中性子がある程度遮へいできるということと、材料選定の自由度というのが、それほど強くリンクしているのかなというふうに感じていまして、ここも正直、私の理解では非常に奇異な感じがいたしました。
 それから、2)で、R&D項目の絞り込みというところにも「保守交換を軽減可能な長寿命液体ブランケット」とあって、交換頻度が下げられるという意味だろうと思いますけれども、やはり交換シナリオそのものの困難さというのが根本的にあると思いますので、少し適切に書かれた方が良いのではないかというふうに感じました。
【小森主査】  言葉の使い方を一般的にということですね。
【金子委員】  ブランケットに対しては、おっしゃるとおりだと思います。ちょっと、表現を代えた方が良いと思います。
【小森主査】  もうちょっと一般的にということですね。
【髙津委員】  同じ視点から、3番の。
【金子委員】  そうですね、中性子の話は。
【髙津委員】  3番の「必要な体制」の2)で、「遠隔保守については分解取り出しまでが課題であり……、ブラブラ」という言葉があって、まさしく分解取り出しが非常に大変なのではないかというふうに直感的に思うので、記述の仕方なのですけれども、ちょっと適切に課題を提示していった方が、より理解が得られやすいというふうに感じました。
【金子委員】  ありがとうございます。
【森委員】  「比較的大型の設計が可能」というのは、私の理解は、ヘリカルの場合は大きな装置設計にならざるを得ないと理解しています。トカマクでも、大きな設計はできるかもしれないけれども、トカマクで目指しているところはもう少しコンパクトということでやっているので、負荷はきつくなってきている。だからこの部分の書きぶりは、少しミスリーディングかなと思います。
【金子委員】  多分相良先生の頭の中にあるのは、今まで、ヘリカルというのは大型化せざるを得ないので、それは不利な点だと言われていたものが、こういう視点から見ると、いや、そうでもありませんよということを強調したかったのだと思います。
【岡野委員】  相良先生が大型化ができるのがメリットと書かれた理由も私は理解できるので、ちょっと申し上げると、トカマクは大型化したら設計パラメータが楽になるのかというと、実は電流駆動による定常化を考える限り、大型化すると、電流駆動パワーが大きくなるので、そう簡単に大きくできないのですね。
 ヘリカルは、その点で、プラズマ性能を下げて、その分大きいヘリカル炉をつくってしまってよければ、プラズマの点では楽につくれるのが、トカマクから見るとうらやましい点ではあります。ただし、密度上限とか、関連するスケーリング則が、そのまま大型になって使えるなら、という前提ではあるのだけれども、今見るスケーリングから言えば、確かに、大きくするのが楽な装置であるというのは事実だと思いますね。
 一方、トカマクでは、例えばパルス炉にしたら楽に大きくできるのかというと、それもまたなかなか難しかったりして、多分大きなトカマクを設計するのはいろいろと難しいので、そこをおっしゃったという意味であれば分からなくはないのです。ただ、一つ疑問は、大きくしても建設費は高くならないという話を聞くので、それはどこかおかしいだろうなと、私は思っています。やはりブランケットは、装置が大きくなったら間違いなく体積が大きいので、液体ブランケットだから10分の1のコストでできますみたいな話になっていると、やはりまずいでしょう、という気はするのですね。
【金子委員】  それはないと思います。
【小森主査】  その辺を加味して書いていただくということでよろしいでしょうか。
 ほかにございますか。
 どうぞ。
【疇地委員】  先ほど堀池委員がおっしゃられた点にちょっと戻るのですけれども、ヘリカル、レーザーがいかにトカマク原型炉に貢献する部分があるかという部分と、それから、ヘリカル、レーザーそれぞれの固有の開発状況と二つあって、両方書いたらいいというふうにおっしゃったと思うのですけれども、どちらを先に書くかというか、主として書くかということで、私は、それぞれのところの固有の問題をまず主張して、その次に主計画であるトカマク原型炉にどういう貢献をするのかという順番で書かないと、例えばレーザーのところを見ていただくと、超伝導コイルの話が一番最初に出てきて、これは確かにレーザーでも使っているのですけれども、それはレーザーの開発の中では主要でもなければ、クリティカルなところでもないものがどうしても先に出てきてしまうので、やはりこういう書き方をすると全体の流れが見えづらくなるので、それの固有のところを書いたうえで、ほかのというか、トカマクにどういう貢献ができるのかという書きぶりがいいのではないかなと思うのですけれども、それでよろしいでしょうか。
【堀池委員】  私は答える立場ではないと思うのですけれども、問題提起しただけですので。
 書きぶりとしては、今のはまだ、非常に散逸な感じがするので、とにかくトカマク原型炉に向けてというのをメインに書いてしまって、その後に補足的にヘリカル特有の問題点、レーザー特有の問題点とかいうふうな書き方の方がすっきりするようには思います。個人的にですが。
【疇地委員】  そうであるならば、むしろトカマクの中に、ヘリカル、レーザーがどういうふうに貢献をするのかというのを書いて、それぞれの固有のところは別途、次に書くということの方が。要するにわけが分からなくなるのを心配しているのですけれども、そういうふうにした方が良いのではないかなというふうに、直感的ですけれども、思いますが。
【小森主査】  御意見何かありますか。
【髙津委員】  全くそのとおりだと思います。レーザーのところはかなり、項目を合わせるために無理して書かれている感じで、結局、個々の木を見て、全体の森を見られないというふうな形になりつつあるというような懸念を持っていまして、おそらく疇地委員が言われるように、やはり多少レーザーはまとめ方を、独自のまとめ方をされた方が、より理解しやすいかなというふうに、個人的には感じました。
 一方、ヘリカルは、もちろんトカマクと、課題、プライオリティーが違うという可能性もあるのですけれども、やはり全てを網羅されているわけではなく、例えば電流駆動のCW化というのは共通の課題だと思うのですけれども、そういうことは、たしか触れておられないし、遠隔保守技術も触れておられないので、ややヘリカルに固有の課題を挙げておられるように私は受け取ったので、トカマクとヘリカルは多少整合性をとって、共通の課題はトカマクのところに書かれているけれども、固有の課題はヘリカルのところで特に詳しく触れるというような感じの整理のされ方をした方が、より理解しやすくなると思います。
【小森主査】  もともと、それを意識して書いていると思います。遠隔とかかなりの部分は、トカマクの方が先行していますので、それはそれで解決するという格好で書かれているのではないでしょうか。プラスアルファとして、ヘリカルに固有なものを書き出していると思います。その辺は後で書きぶりで調整すれば良いと思います。
 最初に磁場閉じ込め、レーザーも含めて、共通の部分を、今、疇地委員がおっしゃったように書いて、固有の分だけを後で書くというのが、やはり良いかもしれませんね。よろしいですか、そういう感じで。
 時間がちょっとなくなってきましたので、2番以降に行きたいと思います。
 2番は、超伝導コイルの新線材開発ということですけれども、特に気がついたことがございましたら。
【金子委員】  報告書の全体的なことになってしまうのですけれども、いいですか。
【小森主査】  はい。
【金子委員】  参考資料のところにもありますけれども、必要な研究開発課題の実施体制であるとか、ITER、BAの結果をどうフィードバックするかという、そういった組織体制とか役割分担、そういったことを具体的に検討を行うというのが、ここのチャージに今なっているのですが、その部分がここから出てきた検討案の中ではやはり足らないような気がするので、そこを報告書の中でどう書くかというのが少し気になっています。
 特に、後の方でも出てきますけれども、こういう試験装置がないとだめだとか、そういう記述が結構見られるのですね。では、そういったものをどういう形で手当てなり、整備していくのだというような議論はどこかで必要ではないかなと思いますので、ぜひそのあたりをしていただければと。9項目をやった後にしていただければと思います。
【堀池委員】  私も金子委員と同じようなことを思っていまして、これを読んだときに、もともと核融合フォーラムに、ITER、BAで足りないもので9項目というのがあると聞いたけれども、それは一体、具体的に何ですかという質問があったときに、言われたのは、具体的に何なんですかというのをちゃんと出してくださいというのも当然入っていたと思うのです。
 そういう意味で言うと、ここの3の「必要な体制」と書いてあるところで、開発計画を速やかに具体化することが肝要とか、規模の開発計画が必要とかいうのではなくて、その中身って一体何なのというのを、もうちょっとちゃんとコミュニティーで議論して、教えてくださいねという話だったと思うので、初心に戻ると。だから、そこをもうちょっとブレークダウンしないといけないと思う。
【小森主査】  ほかにございますか。
【髙津委員】  超伝導のところ。
【小森主査】  一応超伝導なんですけれども、今のは一般的な話ですね。
【髙津委員】  超伝導のところを私、読ませていただいて、専門家ではないのですが、非常に課題が、線材、導体、構造材について具体的に課題がまとめられていて、かつオプションはどういうのが今ありそうかという展望も書かれていて、どういう開発目標をやればいいかと書かれていて、必要な装置も、高磁場の試験をする装置が要るというのも書かれていて、かつ産業界の現状、ITERの技術がどこまで使えて、産業界の体制がどうであって、かつ、こういうふうになってほしいということが書かれている。私、個人的には、読んだ印象では、非常にここはうまくまとめておられるなというふうに感じました。
【小森主査】  そういう意味では、ほかのところも、こういうふうにということですね。
【金子委員】  ですが、具体的に、その装置をどこで、誰が責任を持ってやるのだみたいなところまで踏み込めるかという、そこですよね。
【小森主査】  責任をどこが持つかという話になってくると、非常に具体的になってきますね。
 山田先生、何かございますか。どこがやるべきかということについて。
【山田科学官】  3ポツのところでは、特に主語が何になるかということを意識しながら整理をしないといけないと考えています。ですから、もちろんコミュニティー自身で自立してやらないといけないことと、やはり国の支援がどうしても必要なことと分けて議論できるように整理したいと思います。
【岡野委員】  そういう意味だと、もう一つ大事な点は、今日の飛田さんのご資料の最後の8ページにあるような、メーカーも主体として参加できる体制の構築や環境整備が不可欠というのが、少なくとも今はここの体制にはないと私は思っているので、ぜひそういう体制をつくる方向にしていただかなければ、研究所だけで研究していても物はできないと私は思うので、ここにはそういう体制をぜひ書かれるべきだと思います。それは超伝導コイルだけではなくて、全てに対して言えることです。
【小森主査】  どうぞ。
【石塚委員】  今のことに関係するのですけれども、1ページ目のトカマクのところには書いてあるのですけれども、人材の話なのですね。ここにもメーカーが参画を拡大して、人材の流れをつくると書いてあるのですけれども、人材の流れをつくるということはどういうことなのかをもう少し具体的に、踏み込んで書く必要があるのではないかと思うのですね。
 ちなみに、平成20年7月に人材問題で、当部会は検討したわけでして、この資料2の10ページあたりのところには、かなり具体的に書いてありますよね。例えば、研究休職制度を利用するとか、あるいはサマースクールを協力して開催するとか、20年7月のときにそういうことを書かれて、これをやられたか、やらないか。そういうことを一つ一つ積み上げていかないとならないわけであって、今回のこの報告書についても、人材の流れというのは具体的にどういうふうにして、メーカーの参画をし、規模の拡大を図っていくのかというのをもうちょっと踏み込んで書かないと、お題目だけになってしまうような気がするのですね。
【小森主査】  担当の人に各項目ごとに書いていただいていますけれども、共通的なもの、今の人材とか、メーカーさんと一緒にものづくりをする体制などをまとめて、頭かどこかに書くということでよろしいですか。
【尾崎委員】  超伝導のところは、先ほど髙津委員が言われたように、よく書いてあると思うのですけれど、今ごろ言うべきではないかも知れませんが、これをずっと見ていくと、とにかく物をつくってやってみますとしか書いていないように見えます。非常に難しい技術であることは分かるのですが、いわゆる解析だとかシミュレーションだとか、他のところではいっぱいそういうものが必要だと書いてあるのですけれども、超伝導はそういうアプローチはできないのでしょうか。その点がちょっと気になりました。
 やはり、物をどんどんつくるばかりでなく、バックボーンになる予測だとかいうものもやってはおられると思うので、その辺ももうちょっと書いておいた方が良いのかなと思いました。
【小森主査】  誰か。
【堀池委員】  尾崎さんが言われるとおりで、超伝導でも、例えばリニアモーターカーが始まれば、かなりのところの開発が行われて、例えば超伝導線材が値下がりして、原型炉にプラスに効く要因とかというのは当然期待できますよね。でも、それだけではできないので、やはりその上に、どれくらいの核融合独自の技術を積み増さないといけないのかというふうな、そういう問題点があって、そこのところは、どういうところで、どういうふうに、どこかでやっていかないといけないというふうな、やはりそういうチェックをしているという書き方は必要かなと思います。だから、何かそんなのかなと思います。
【髙津委員】  尾崎さんの御指摘の点、私の理解するところでは、今一番ITERで大きな問題になっている、ミクロな、素線の間に曲げひずみが生じたときにどのように劣化していくかというのは、多分まだ解析的に扱われていないので、そういう研究をしなければいけないというのが、確か書いてあったと思うのですね。
 それから、コンジットの中により線を入れて、導体の性能、安定性などを評価するというのは、ある程度もうシミュレーションコードができているので、そのままの構造でDEMO炉にいくのだったら、おそらくツールはあるのだろうと思います。ただ、何か抜本的な改善をしなければいけないという場合が出てきたとすると、この2ページ目の上の方に、改良型の導体とか、新たなタイプの導体が出てきた場合には、また冷却安定性や交流損失、それから冷却構造の研究も必要になるということで、そこには当然シミュレーション技術も含めて、予測性能を上げていく、新たな取組が必要になってくる可能性があるということが書かれて、ある程度意識はしているかなというふうに感じましたけれども、さらにもう一度そういった点は、うちの者とも議論してみようと思います。
【小森主査】  多分このまま開発を進めればいけるという思いが担当の頭にあって、このような書きぶりになったと思いますが、今のようなことを今川さんに伝えて、少し直してもらうということでいかがでしょうか。
 ほかに何かございますか。
 時間がだんだん迫ってきましたので、まだ2までしかいっていませんが、順番に、もうちょっといかせて下さい。次はブランケット、3です。
【堀池委員】  ちょっとだけいいですか。ここは大体こんなものかなと思うのですけれども、課題のところに「必要」とか「必須」とか、ずっと書いてありまして、ちょっと投げやりな感じといったらおかしいですけれども、それをどうやって解決するのだというふうな感じで書いていただいた方がいいのかなと思いました。
【小森主査】  その次のページの3の取組と必要な体制のところにも、「強化が不可欠」とか「必須」とかあって、確かにそのような書きぶりですね。
【堀池委員】  そうですね。
【小森主査】  具体的に何かということを含めて、書き直していただくということですね。
【堀池委員】  これは多分、発表された方が書かれたと思うので、そういうふうに、もうちょっと見直していただきたいなと思いました。
【小森主査】  どうぞ。
【金子委員】  例えば、3の3)の先進ブランケット概念の一番最後のポツですけれども、「稼働率と遠隔保守に関する液体ブランケットの長所を十分に実現するための運転システムの構築が課題」だとか「各種事故事象の実験と解析の推進が不可欠」とかいった、こういう項目はまた別の、ほかのところも含めた、安全性解析だとか、そういったところと絡めながら記述していった方が、山田先生のおっしゃる横串になると思うのですけれども、そういった全体を見て、共通的な部分、特に安全性とかそういうものだと思いますけれども、それはどう書くようにしたらいいのか。一つの共通課題としてまとめるかどうか、その辺を少し検討した方がよろしいのではないかと思うのですが。
【小森主査】  ブランケットに固有の安全性ということであれば、ここで良いと思うのですけれども、書き方として。
【金子委員】  その辺が、読んでよく分からなかったので。事故事象とか言われてしまうと、どうイメージしているのか。
【小森主査】  その辺は先ほども申し上げましたように、共通的なところと、そうでないところとをやはり分けて、よく精査して書いていくということで良いと思います。まとめるのがちょっと大変ですけれども、山田先生、御意見ありますか。
【山田科学官】  ないです。
【岡野委員】  ブランケットの項目は非常にうまく書いていただいていると思っているのですが、ただ、「必須」とか「不可欠」というのが多いですね。思いは伝わってくるのですけれども、前にロードマップをまとめたときにも私が最後に、この「必須」「不可欠」を全部消していった記憶があるのですね。
 というのは、私の認識は、「必須」とおっしゃったら、もしもこれができなかったら核融合を諦めるのですね、というぐらいのつもりで「必須」を絞っていった記憶があります。やはり今回の報告書も、みんなが「必須」と書いて、全部の項目が必須ばかりになってしまわないように、ぜひ調整されるか、あるいは、書く方々に少しそういう思いを伝えた方が良いような気がします。必要なのはよく分かるのですけれども。
【小森主査】  おっしゃるとおりだと思いますので、ちょっと大変ですけれども、書かれた方にこの辺の、実際どうなんだということを書いていただいて、それをもとにまとめるということでいかがでしょうか。
【岡野委員】  本当に代替がないものであれば、正真正銘「必須」なので、逆に言えば、それはあらわにした方が良いと思います。これをやらなかったら、本当に核融合は終わりだよというものは、絞りこんで出した方が説得力があると思います。
【小森主査】  この方は、ほとんど「不可欠」か「必須」になってしまっていますので。
【岡野委員】  やっている方々の思いは分かります。
【小森主査】  ということで、全体的なまとめ方になりますけれども、今の御意見のようなことでどうでしょうか。
 次、ダイバータはどうでしょうか。
【髙津委員】  ダイバータのところの記述はおおむね、私自身はいいかなと思ったのですけれども、炉心プラズマのところでも、ちょっと先に飛んでしまって恐縮ですけれども。
【小森主査】  6ですね。
【髙津委員】  6の炉心プラズマ研究の2枚目の3ポツ「課題解決に向けた取組と必要な体制」の1)の最後の3行あたり、原型炉のダイバータ熱負荷低減のためにダイバータ部の磁場配位を大きく改良する必要が生じた場合には、そういった実験をしなければいけないということが書かれていて、これは議論があって、今考えられている磁場配位と、ディタッチメントプラズマで輻射をなるべく、90%くらい飛ばしてというと、DEMO炉ではほとんどピンポイントの解しかない。だから、もっとリスクをミティゲーションするために、いろいろな磁場配位の工夫もあり得るのではないかというふうな議論があったと思うので、ダイバータのところでも、その点はやはり触れておかれた方が良いのではないかと思うのです。もうコンベンショナルな案のみが書かれているので、ピンポイントでうまくいけばいいですけれども、非常に、ほかのミティゲーションのアイデアはないなということを考えられますので、そういう意味で、私の提案では、ダイバータのところの3番「課題解決に向けた取組と必要な体制」の二つ目のポチに、「実験室プラズマ実験が重要である」という文章がございますけれども、そのあたりに、多少このヌル点の工夫のような、Super-Xとか、ああいったものの原理実証みたいなことをやってはどうかというようなことを含めてもらった方が、必要な装置とまた関連してしまうのですけれども、ダイバータの開発全体を見ると、そっちの方が意義があるのではないかと思います。
【小森主査】  よろしいですか。
 最後にまた、まとめで議論できますので、次に5番の理論・シミュレーションに移らせていただきます。
 先ほど御質問がございましたが、理論・シミュレーションの一番下には「また、第一壁やダイバータ」と書かれています。超伝導は書かれていませんが、シミュレーションも行われているということですので、超伝導もここに入れておくと良いのかもしれません。
 よろしいですか。
 では、次の6番の炉心プラズマ研究です。
【堀池委員】  2枚目の3の3)の一番下の行に、「ITERでは行うことが装置制約上困難な試験をこれらの装置を用いて実施」と書いてあるのですけれども、これは既定路線として、こういうのをやるというふうに書かれているのか、サテライトトカマクの機能として、こういうことに柔軟に取り組むと書かれているのか、ちょっと分からないという感じがしたのですけれども、どうなのでしょう。
【髙津委員】  私が答えるのも適切ではないかもしれません、森さんが答えてもらった方がいいのかもしれないけれども、もともとのJT-60SAのミッションは、ITERでは運転できない範囲の高性能トカマク領域というのでしょうか、それから定常とか、そういうところを目指しているので、それはもともとのミッションがそういうことだったというふうに私は理解します。
【堀池委員】  そうしたら、これはもともとのミッションに書いてあるわけ。
【森委員】  私もそう思っています。だからJT-60SAの計画されていることを再確認で書いているように理解しました。
【小森主査】  「実施することが重要である」というのは、実施、必ずするのですよと再確認しているということですね。
【堀池委員】  それはそうですね。
【小森主査】  そういう意味では、「実施する」で、丸、で良いのかもしれないですね。
【森委員】  この報告書のスタンスのことですが、ITER、BAでカバーできていないことについていろいろ分析をし、提言すべきことがあれば提言するということだと思います。ですからBAとかITERでカバーできていることは、そのことをむしろ書いた方が良いと思います。
【堀池委員】  それが、この「現状」「課題」「取組と必要な体制」という分け方の中に入っていて、だからそういう意味でいうと、「現状」のところにBAとITERでの既定方針分は入っているというふうに考えるのではないですか。
【森委員】  厳密に言うとBAは10年間で終わって、その後のJT-60SAの活動はBAでないと思えば、ここに書く方が良いのかもしれませんね。
【小森主査】  ただ、この炉心プラズマの書きぶりとしては、「現状」のところは、今、堀池委員がおっしゃったように、ITERがまず書かれていて、こうやって進んでいると書かれています。60SAはこれを行うのだというような書きぶりになっていますから、それに近いと思います。
【金子委員】  今、森委員がおっしゃったように、BAは10年間で終わりで、その後の施設がリソースとして残るわけですよね。これをどういうふうに生かすかというのは、やはりここでちょっと議論しておいた方が良いのではないでしょうか。
【堀池委員】  そういうところがあるというのは、前から、9項目を議論したときから分かっていて、それをうまいこと書いておかないといけないのでとは思います。
【金子委員】  報告書の中で、例えばこんな試験装置が必要だと、いろいろ書いてありますが、その中でBAの後を使ってできるようなものがあれば、それも視野に入れるというような書きぶりをつけ加えたらどうかといます。先のことなので、何とも言えないですけれども、やはりこことしては、そういう方向性がいいのではないかということを記述したらいかがかと思うのですが。
【小森主査】  それは、もともとその後実験する予定になっているので、特に問題はないということでよろしいですか。
【岡野委員】  それに関連して、ちょっとダイバータに戻ると、先ほどSuper-Xとか、先進ダイバータのコンフィギュレーションについての実験が、実験室レベルの研究と書いてあるのですけれども、本当に原型炉をつくるつもりならば、ITERでも試験できなくて、SAでも試験できなくて、実験室で小さいのがうまくいったら原型炉に採用するのですかというのが、私は非常に疑問に思っているので、実験室レベルで成功した場合には、少なくとも臨界プラズマ級の試験装置が必要ぐらいのことは書く意気込みが必要かなと思っています。実際ダイバータは、コンベンショナルなのものでいけるかどうかはやや疑問もあるので、新概念を開発するとなると相当大きな投資になるので、ここに書けるものなら書きたいと思いますが。
【小森主査】  今の御意見、そのとおりでよろしいですか。
【髙津委員】  もうそのとおりだと思いますね、ここでは流れで、今ここに入れてはいかがかと申し上げましたけれども、あくまでも実験室でできるのはプルーフ・オブ・プリンシプルだけであって、いろいろな閉じ込めとか、ほかの性能もあわせて、フィージブルな技術だと実証するのは、大きさは私は分からないですが、もっと大型トカマクのようなものでやらないと、原型炉に使うというにはいかないのではないかと、直感的には思いますけれども、岡野委員のおっしゃるとおりだと。
【小森主査】  それでは、7番の燃料システム開発と環境安全性評価というところです。
【堀池委員】  ちょっと読ませてもらって、1の「現状」の2)リチウム6のところで、1行目に「機微技術」という言葉が書いてあったり、3)の「通常時放出があること」とか「PSAに依存する方法になじまない」とか、ちょっと表現を工夫した方が良いと思うので、少しこれは後でコメントさせていただきたいと思います。もうちょっとよく考えて。
 それと同じようで、次のページにいきまして3の1)の下の方で、「ある程度のトリチウム経験の蓄積は可能であり」というのも、やはり今の話でいうと、JT-60でどこまでできて、ITERでどこまでできてとかいうふうなものは、もうちょっと具体的に、書くか書かないかは別として議論というか、コミュニティーである程度共通認識がほしいなと思いますのと、それから、次の「至急着手」というのも、どれくらい至急かという話も、さっきの「必須」「必要」と同じで、少し足並みをそろえた方が良いのかなと。これはスケジュールの問題だと思いますので、そういうガイドラインも出していただければと思います。
【小森主査】  そうですね。
 ほかに何かございますか。
【髙津委員】  小西先生がまとめられたと思うのですけれども、非常に私自身は、分かりやすくまとめていただいて、表現にはもちろん問題はあるかと思いますけれども、まとめていただいたと思います。
 ただ、3番の3)のところに、「我が国の原子力戦略の中での核融合の見直しが必要」というあたりは、こういった核融合のコミュニティーだけで議論が閉じないことを提案されておられるので、こういったことは最後のまとめで、外に出して発信していく。外というのはどちらかよく分からないのですけれども、そういうメッセージとして取り入れていかれるというふうなお考えなのでしょうか。
【飯嶋専門官】  そこはなかなか難しいところなのかなと思っておりまして、今後核融合政策というものをどういう形で、我が国として検討していくべきなのか。その点、やはり原子力委員会が今後どうなるか分からない状況の中で、なかなか今の時点では言えないのかなという感じはしております。
【堀池委員】  ここの議論としてこういう文面があっても、最終的にはちょっと、どうするかというのを最後に決めればいいのではないかと思うのです。
 とにかく去年、福島で事故が起こってしまったので、原子力の、産業も含めて、今、非常な激動の中にあって、私が冒頭にちょっとお話しさせていただいたように、今まで、JT-60にしても、LHDにしても、ITERにしても、やはり原子力産業技術の上に乗っかってるというのはもう間違いないので、そういう意味で言うと、核融合の将来も原子力の将来と、もう表裏一体なのだと。そういう問題認識を持っているのだというふうな、ちょっと決意表明みたいになるのですかね、何かそういうのを。何とかこれから支えていかないといけない、そのために核融合を通じてどうするのかというふうな、そういうニュアンスの文章が必要かなとは思いました。どこかに欲しいなと思うので。
【小森主査】  どうぞ。
【坂本戦略官】  技術基盤としてどういうものが必要かと、それが今の原子力政策の見直しによって影響を受ける、相当大きく影響を受ける部分があるというところの問題と、エネルギー政策の中で核融合をどう位置づけるかという問題と、多分いくつかのことをまとめて今議論されていると思うのですね。
 技術基盤としてどうかという、そこはそこで一つ重要な課題として挙げていただいたらいいと思うのですけれども、エネルギー戦略の中で核融合をどう位置づけるかというところ、これは今の議論のスコープを多分超えている問題で、これはまた我々、別のところでしっかりと先生方と一緒に議論させていただく必要があると思うのですが、一つ、間違いなく福島以降の原子力をめぐる議論の中で言えることというのは、我々は国民からの、安全であるとか、あるいは環境負荷といったらいいですか、そういったものの要求に対して、確実に応えなければならないと。その要求水準が非常に高いというか、厳しいというか、そういうものになっている。これは日本だけではなくて、欧州でも当然言われているわけで、そういったものに確実に応えていくと。岡野委員とかが前にプレゼンをしていただいたところが、まさにそういうところに当たると思うのですけれども、そういった意味の決意表明というのもしていただくということはあるのかなと。
 それは、エネルギー政策との関係でどうつながっていくのかというのはまた別の議論として、日本全体のエネルギーをどうしていくかという議論の中で捉えるべきものなので、そこまで議論を及ぼすのはちょっと難しいのかなというふうに思います。
【小森主査】  すみません、進め方が悪くて、時間がかなり詰まってきましたので、8番と9番で、特に気がついたことがございましたらお願いします。
【金子委員】  ここでも2の「課題」の2で、IFMIFができないと、原型炉に必要な核融合中性子照射データを「供することができない」と言い切っているわけですけれども、原型炉を設計する意味で、これを本当に、さっきの「必須」と一緒なのですけれども、どういうふうに捉えるか。IFMIFができない限り原型炉はできないということになってしまうので、これ自身が律速条件になってしまうという、この辺をどう考えるかは重要だと思うのですけれども。
【小森主査】  ほかに御意見ございますか。
【堀池委員】  僕もそう思います。やはりIFMIFをどのタイミングで、どれくらいの価値を持ったものとして位置づけるかというのは、ちょっとまだコミュニティーとして、国際的な面も入れて、多分合意には達してないなと思うのです。それをどうするのかというのも、やはりこの部会の議論のテーマではないかなと思います。
【金子委員】  最後の資料にありましたが、アメリカでは、STを使って、DTプラズマの照射装置をつくろうとか、そういうアイデアもありますし、あるいは、先ほど出たEVEDAの後の施設を使って、低エネルギーでもいいから、それなりのデータはとれるのではないかというような御意見もありますから、そういうところを見極めながら、原型炉の実際の設計はどう進めるのかというのをしっかりと考えた方が良いと思います。そうしないと、本当にIFMIFが律速条件になって、いつまでたってもできないという話になってしまうと思います。
【髙津委員】  金子委員の御意見と全く同感でして、材料開発のところは、1ページ目の1番「現状」の真ん中やや下の方に、IFMIFは今EVEDAでやっていて、「実稼働は最速でも2020年代後半と見込まれている状況」と書いてあるのですけれども、これはきっと書いた方の希望であって、早くてもこんなふうになってしまっているということの意味で書いているのだろうと思いますけれども、平成17年の推進方策でも、やや、我が国が主体となってやるのではなくて、国際協力に参加するというふうな書き方になっていたと思うので、国際協力であるからには主体になる国、リードする国があるということを想定しているのだろうと思いますが、今そういう国がないので、非常に厳しい状況にあるので、ここに書かれているのは期待であろうというふうに思います。
 2番の「課題」の2で、IFMIFを使わないと、核融合特有のスレッショルドが分からないということで、結論的には原型炉の工学設計活動に必要なデータを「供することができない」と書いておられるのですね。だから、材料研究者としては本音なのだろうと思いますが、非常に厳しい状況で、金子委員が言われるように、これが、五つか六つの原型炉移行条件の一つ、80dpaまでクオリファイされたデータをそろえることというふうになっているので、非常に律速になってしまう可能性が高いというふうに思いますので、本当にそれでいいのかという議論が必要だろうと思います。
 最後のページの課題3の上の4行で、より低いレベルの――レベルというのはdpaで、低い値しか得られないけれども、IFMIFのEVEDA活動でつくった加速器を使って、それを拡張利用して中性子照射施設をつくると、ある程度のデータが得られるだろうというので、ここに、核融合環境を模擬した材料の照射データが得られると思われますので、こういったことを早く取得すべきであるということが書かれているのですけれども、やや、ここを書いておられる方は、「必須と考える場合」とか、やや価値が低いというふうに思っておられるように感じまして、スレッショルド、閾値まで行かないのではないかというふうに多分思っておられるから、非常に原型炉に向けた判断に向けては、レベルの低い、dpaの低い値までしか得られないので価値が非常に少ないというふうに思っておられると思うのですけれども、それも原型炉の設計の判断の仕方によると思われますので、こういったところをもう少し議論を深めて、より現実的なアプローチというのを考えていった方が良いように思います。
【岡野委員】  私も同意見で、IFMIFが原型炉体制に移行するのに絶対必要かどうかは、よくここで議論していただかないといけないと思うし、個人的には、IFMIFがあればいいことは間違いないのですが、IFMIFの運用時期によっては原型炉の運転シナリオが変わることも許されるなら、遅れても大丈夫な可能性は確かにあるとは思っている。例えば飛田さんの品質保証とか、そもそも許認可が受けられなければしょうがないですけれども、それでも最初からいいものを入れるのではなくて、最初のブランケットあるいはダイバータはひょっとしたら3箇月で取り出すかもしれない、くらいのつもりで考えれば、原型炉の許認可も得られると思うのです。実際に軽水炉でも実はそうやって開発してきたわけですから、そういう作戦でいけばやれなくはないわけですね。ですから、ここで「必須」と言ってしまわない方が良いのではないかなと、私は思っています。
【森委員】  必須と言ってしまわない方が良いということは、私も全く賛成です。
 今岡野さんの言われたことのうち、よく知らないのでちょっと教えてもらいたい点は、軽水炉では、実際の原子炉を使って、材料がどうなっていっているということを短期間毎に様子を見ながら開発を進めてきたと、そういう理解で良いのですか。
【岡野委員】  ジルコニウム被覆管は、私はそうやって開発されたと思っていますけれども。
【森委員】  そういうことを核融合の場合も、とり得るのか。極端に言うと、IFMIFも全くなくてもいい、というような話があるのかどうか、そこら辺はどんな感じなのでしょうか。
【岡野委員】  そういうことになると許認可が得られるかどうかになってしまうので、その点では必ずしも判断できないですが、その時点までで入手できているデータの範囲で原型炉を運用すればいいじゃないかという考えはあってもいいと思います。本当に物をつくるときには、そういうふうに順々に行くのだというシナリオでも構築は可能だと私は思っています。法的には分かりませんが、技術的にはできると思います。
【髙津委員】  私、飛田さんに、先ほど2ページで、段階的なというので、RAMIがどのように影響するかというのを御質問したのは、今の議論と割合つながるところがあって、私の直感では、飛田さんの資料の2ページで、最初に本当に運転するときは、ある限られた運転範囲までの安全性を必ず実証するということと、保守方式が、メンテできるのだというテクニカルフィージビリティーを実証することと、二つが満たされれば、あとは運転をする中で信頼性を上げたり、アベイラビリティーを上げていくというふうになるのかなと、実際にあり得る姿です。
 だから、安全性と保守性さえ示されればいいのではないかと勝手に思っているのですけれども、そのときに安全性というのは、クオリファイされた材料のデータが50dpaまであります、残念ながら100はないですと。だから50dpaまでの運転は、このようにクオリファイされたデータで安全性を担保しますので、やらせてくださいというのはあり得るのかなというふうに思っているので、そういったことも含めて先ほどお伺いしたのですけれども、その辺の議論もぜひ深めていただきたい。
【笹尾委員】  9の方へ移ってもよろしいですか。
【小森主査】  どうぞ。
【笹尾委員】  以前、9の項目の場所に関してちょっと議論があったと思うのですけれども、これが今一番最後に来ていることについて議論があって、そのときの結論を忘れてしまったのですが、やはり今でも、全体原案ができてきた段階で、9は、どちらかというと4と5の間くらいに置いておいた方が良いのかなという気がします。
 それが一つと、もう一つ、9の3ポチ、課題解決に向けた取組と体制のところで、一番最後から二つ目に、実証の必要な項目がいくつか書いてあるのですが、絶対やらなければいけない項目と、こういうものがあった方が良いという項目というか、ちょっと重みに違うものが列挙されているので、ジャイロトロンにしてもNBIにしても、とにかく長寿命連続というのはもう最優先に必要な、ハードルの高い項目なので、そこをはっきりと明言したような書きぶりにしていただければと思います。
【小森主査】  位置の問題はいかがですか、9は加熱ですので、笹尾委員の御意見ですと……。
【岡野委員】  これが9になっている理由は、これは私の想像ですが、ロードマップではこの加熱・電流駆動が項目としてなかったのです。後から追加されて入ったので、ここにあると思います。ですから、入れる以上は、ダイバータとかこの辺の下にあるのが適切ではないかと思います。
 それから、ロードマップにない理由は、あれはBA期間中にすぐに立ち上げなければいけない項目を挙げたのですね。そういう意味から言うと、BA期間中はITERのNBとRFをやるのだから、それをもらって、BA後に立ち上げる、という意味で入っていなかったわけなので、BA以後も考えた日本の全体戦略としては、加熱・電流駆動はあるべきだというのは、言うまでもないと思います。
【小森主査】  それでは、原型炉に向けたということですので、今のお話で、4と5の間に移すということでよろしいですか。9番を5番にして、あと、理論・シミュレーション以下を一つずつ数字を大きくするということでいきたいと思います。よろしくお願いします。
 それからもう一つの点は、必然か、先ほどの続きですけれども、やった方が良いかというのは分けて記述する。全体的にそういう記述にまとめていただきたいと思います。これは山田さんがまとめるのですか、門先生……。今の議論をもとにまとめていただいて、また皆さんに見ていただくということでいかがでしょうか。何回かやりとりしないといけないと思いますので、早急にまとめていただくということでよろしいでしょうか。
【坂本戦略官】  一つだけ。
 ありがとうございます。今、ざっと技術課題の検討案について御議論いただいたわけですけれども、改めまして、冒頭、堀池委員からも、今、我々がはっきりさせるべきこととして、目標の限界線と、それから達成された、あるいは達成するであろうITERとか、あるいはJT-60SAなどによって、BAによって、そういったものの限界線というもの、ここには多分ギャップがあるだろうと。しかしながら、その課題と、それをどう解決していくか、そこをブリッジしていくための共通理解というものを、こういった形で、今先生方にまさに御議論いただいていると。
 これは、恐縮ですが、先生方はもう十分御認識のことをまた繰り返して言っているにすぎないかもしれませんけれども、こういった共通認識というものを、核融合といってもいろいろ分野があると、材料もあれば、シミュレーションもあれば。そういった分野を超えた方々、特に若い方が、こういった共通理解、共通認識というものを共有していただいて、さらに分野とか組織を超えて、どうコラボレーションしていくかと。その土台といいますか、ベースを今つくっていただいているのだろうなと。これは非常に重要な取組だというふうに思います。
 非常に短期間で御検討いただいているので、なかなか詳細に、できるだけ具体的な議論をすべきだというところを御議論いただいて、本当にありがたいと思いますけれども、そこは時間的な制約もあるかもれませんけれども、そういったコミュニティーの中で今後どう計画を進めていくか、あるいは施策を進めていくかというときの、非常に大きな土台になるものだと思いますので、ぜひ先生方、引き続き、精力的な御議論をいただければというふうに思います。
 さらには、これはコミュニティーの中の議論だけではなくて、対外的に考えましても、核融合の分野を超えた科学技術全体のサイエンスのコミュニティー、あるいは国民に対しても、今ここで行われている議論も、あるいは産業界もそうですが、議論の前提というのは、課題は大きいけれども、その課題に真正面から取り組む時期がそろそろ近づいてきていると、そこまで我々は来たということを確認したうえで、では、そこをどう次のステップに行くかということを議論する。そういう時期に来ているというメッセージにも同時になるはずでして、そういった形でも我々は、真摯にそういった課題を、決して楽観視はしないけれども、真摯にそれに取り組もうとしているし、それは十分可能性はあるというようなところをお示しいただくということも、ぜひ意識しながら御議論いただければありがたいと思います。
 その結果、その見込みを具現化するために、どう、行政レベルであれば施策に、あるいは各機関、あるいは大学での計画に、ここでの取組の方針というものが、実行の在り方というものが組み込まれていくかということ、それも、できればこの報告書の中に盛り込んでいただいて、限られた部分でも結構ですので、それを、次は我々は行政としてフォローしていくと、先生方と一緒に。そういったふうに前に進めていきたいと考えておりますので、ぜひとも引き続き、御審議をお願いしたいと思います。
【小森主査】  どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは、報告事項ですけれども、参考資料2にあります第1回IAEA原型炉計画作業部会につきまして、飛田先生から御報告をお願いします。申しわけありませんが、短時間でお願いします。
【飛田グループ長】  では、簡潔に御報告申し上げます。
 この作業部会ですけれども、今後の国際協力の可能性も含めて、原型炉に向けた開発計画、技術課題を広く議論するということが目的でございます。
 10月に4日間、UCLAで、66名の参加で行われました。
 主な議題が、除熱をどうするか、あとブランケットの成立性。あとは、原型炉の前段階の核融合関連施設をどういうふうに考えるかという、この3点でございます。
 各国の状況ですが、全部は申し上げません。米国については、コンポーネント試験、あるいは工学の総合試験のためのFNSF、要は中性子照射施設を検討しているところで、その設計案が報告されております。これは中性子の照射試験だけではなくて、あわせて先進プラズマの開発をしたいというような考えが読み取れました。
 ヨーロッパについては、現在立案中の原型炉開発のロードマップの骨子について報告がありまして、正味電力を20から30万キロワット、数時間の発電実証を目標と。スケジュールはこのとおりですけれども、これはロジカルシークエンスを示したもので、いつというのは、それほど精度はないというような話でした。
 中国については、現在、工学試験炉CFETRというのを設計中で、2014年には設計完了、2015年に建設判断したいということです。主半径が4.5メーターで、核融合出力が400から500メガワット程度、増殖ブランケットを一通り備えて、トリチウムの増殖と、総合的な工学試験を行うというもので、非常に意欲的な計画です。
 韓国については、K-DEMOという、概念設計の非常に初期段階の検討例が示されました。韓国はITER規模で、定常炉を目指しているということです。
 米国、中国、ロシア、インド、それぞれコンポーネントテストのファシリティーをつくりたいという考え方がありますけれども、一方、ヨーロッパと日本については、材料試験はIFMIFで行いますというような考えですので、そこは開発方針が異なっています。
 その他、今回の作業部会は、技術的な議論が中心で、国際協力に関する議論には至りませんでした。まだ技術的な議論が十分尽くされてないという印象です。
 次回は、来年の11月か12月に、ウィーンのIAEA本部で開催されることになっております。
 以上です。
【小森主査】  ありがとうございました。
 一つくらい、何か御質問がありましたら。
【金子委員】  項目の中で、一番最初の議論で、安全について別途項目を立ち上げるかどうかという議論をしたと思うのですが、その辺はどうなったのか。私もちょっと記憶にないので。
【飛田グループ長】  次回の議題に含めようという意見もありますが、実際に入れるかどうかは要検討で、実際、安全性研究をやっているのはITERがメインであって、ほかの国の安全性研究は停滞している状況ですので、今後の様子を見てということです。
【小森主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、事務局の方から、参考資料3ですか。お願いします。
【飯嶋専門官】  参考資料3は、冒頭にも申し上げましたけれども、来週の11月21日水曜日、13時から16時15分で、イイノホールでITER/BA成果報告会というのを開催いたしますので、お時間がある方は、ぜひ御参加をいただければと思います。
 以上です。
【小森主査】  ありがとうございました。
 次回は、12月14日の14時から16時に開催予定です。
 本日はこれで閉会したいと思います。ちょっと遅れまして申しわけありません。どうもありがとうございました。

お問合せ先

研究開発戦略官付(核融合・原子力国際協力担当)

小野
電話番号:03-6734-4163
ファクシミリ番号:03-6734-4164

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