資料1-2 原子力科学技術委員会における研究開発計画のプログラム評価における参考指標の検討について

1.経緯
○原子力科学技術委員会等の議論を経て、平成29年2月に研究計画・評価分科会(以下、計評分科会)にて研究開発計画を策定。その後計評分科会にて、研究開発計画の指標に対し
・分野ごとに指標の粒度が異なる
・当該分野に関する我が国全体の状況を把握することが必要
との指摘を踏まえ、研究開発計画における指標の再検討を行うこととなった。

○平成29年12月に開催された第63回計評分科会において、研究開発計画に設定されているアウトプット指標、アウトカム指標に加え、当該分野に関する我が国全体の状況を把握するための指標を設定することで、国際比較や国内の状況を踏まえた施策の評価に資することとされた。

○この指標について、計評分科会において、事務局から下記の候補が提示。
【候補1:共通の指標案】各分野の研究内容(サブジェクトカテゴリ)ごとの論文数
  ※クラリベイト・アナリティクス社(旧:トムソン・ロイター社 IP & Science部門)のデータベースであるWeb of Scienceにおけるサブジェクトカテゴリの分類ごとの論文数を用いる。
【候補2:中目標ごとの特性を考慮した指標案】社会・経済的に生み出される価値の内容等による指標

○原子力分野においては、【候補1】にて用いるサブジェクトカテゴリについて、「核科学、核技術」「物理学、応用」「物理学、総合」「物質科学、総合」「物理学、流体、プラズマ」「物理学、凝固物質」「物理学、核」等が提示されている。

○なお、今回再検討する指標は、研究開発計画を評価する「プログラム評価」において、当該分野の状況を俯瞰し、当該分野の国際比較や国内における研究開発や産業・経済への貢献の観点についても検討するための参考指標として活用される。

2.参考指標の検討について
○研究開発計画において取り上げられている項目は下記のとおり。
●福島第一原子力発電所事故の対処に係る、廃炉等の研究開発
●原子力の安全性向上に向けた研究 (軽水炉等の安全性向上に資する研究開発 など)
●原子力の基礎基盤研究
(研究炉の運転再開に向けた取組や今後必要となる研究施設の具体化、高温ガス炉に係る研究開発 など)
●高速炉の研究開発 (「もんじゅ」の廃止措置や「常陽」の運転再開 など)
●放射性廃棄物の処理・処分に関する研究開発等
(高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減や処分技術に関する研究開発 など)
●原子力施設に関する新規制基準への対応等、施設の安全確保対策
●核不拡散・核セキュリティに資する技術開発等
(計量管理技術や核拡散抵抗性向上に資する技術開発、核物質の測定・検知、核鑑識等の技術開発 など)

○これらのうち、「福島第一原子力発電所事故の対処に係る、廃炉等の研究開発」と「原子力施設に関する新規制基準への対応等、施設の安全確保対策」は、我が国特有の課題であり、国際比較を行えるような指標の設定が困難であることから、今般の指標の再検討にはなじまない分野であると考えられる。

○その他の各項目に対し、事務局案として提示された候補1のサブジェクトカテゴリは、研究開発計画に示された取組よりも広い範囲を指しているため、全論文の中からキーワード検索(キーワードの例:「"light water reactor" and ("safe" or "safety")」「gas-cooled reactor」「fast reactor」「high-level radioactive waste disposal」等)を行い、研究開発計画の取組に関係のある分野と推測されるものを抽出し、論文数の推移を確認することで、より適切に国際動向を把握できるものと考えられる。

○なお、原子力科学技術分野は、多様な研究の基盤を支えるものであり、構造材料等の材料科学分野、シミュレーション等の計算機・数学分野、復興支援等、広分野に裨益することも踏まえた評価を行う必要がある。そのため、論文数による指標を活用する場合であっても、多様な分野の広がりに留意。

○また、原子力科学技術分野の特性に鑑みた候補2(社会・経済的に生み出される価値の内容等による指標)についても適切な指標があれば設定。

3.今後のスケジュール
 7月2日      原子力科学技術委員会(参考指標の議論)
 8月20日(予定)  研究計画・評価分科会(各委員会にて議論した参考指標を決定)
 9月以降      原子力科学技術委員会(プログラム評価の実施)


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研究開発局 原子力課