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原子力科学技術委員会(第6回) 議事録

1.日時

平成24年4月26日(木曜日)15時00分~16時30分

2.場所

文部科学省 3階1特別会議室

3.議題

  1. 文部科学省所管の試験研究用原子炉施設に関する電源機能等喪失時における炉心等の健全性評価の結果と原子炉設置者の今後の対応方針について(前回の質問事項に対する説明)
  2. 原子力の基礎・基盤的研究開発に関する現状・課題の整理について

4.出席者

委員

田中主査、小森主査代理、石田委員、伊藤委員、久米委員、服部委員、早野委員、山口委員、山名委員、和気委員

文部科学省

生川原子力課長、坂本研究開発戦略官、宮本保安管理企画官、阿部量子放射線研究推進室室長補佐、倉田原子力課課長補佐

5.議事録

【田中主査】  本日は、お忙しいところありがとうございます。

 前回御欠席の委員もいらっしゃいますので、改めて今回の開催趣旨を簡単に説明させていただきたいと思います。現在、原子力委員会の新原子力政策大綱策定会議において、新政策大綱の本年夏の取りまとめに向けて議論がなされており、大学等における原子力の基礎・基盤研究や、人材育成の在り方についても今後議論される予定のため、本委員会でも基礎・基盤研究や人材育成に関する現状と課題について主な論点をまとめ、新政策大綱策定の議論に反映していきたいと考え、先週と本日の2回にわたり、委員会を開催させていただいているところでございます。

 本日の議題はお手元の議事次第に書かれているとおり、前回の質問事項に対する説明と、基礎的・基盤的な研究開発の現状と課題について、前回に引き続き御議論いただきながら論点を整理していくこと、二つでございます。

 それでは、最初に事務局の方から、出欠と配付資料の確認をお願いいたします。

【倉田原子力課長補佐】  はい。本日、服部委員は少し遅れての御到着となりますが、14名中10名の委員に御出席いただくこととなってございますので、定足数である過半数を満たしております。

 また、本日の配付資料の確認でございますが、配付資料1といたしまして、文部科学省所管の試験研究用の原子炉施設に関します健全性評価の結果と今後の対応方針についてというもの、そして資料2といたしまして、基礎・基盤的研究開発の現状と課題という、この2種類お配りしております。また、机上の方には一部精査中ということを右肩に記載しております予算の推移のグラフ、そして前回の配付資料といたしまして、資料の2、3、4というデータ集を机上の方に用意させていただいておりますので、適宜御参照いただきながら、御議論いただければと思います。資料の欠落等ございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 また、昨日メールにてお知らせをさせていただきましたが、本日一般の傍聴の方から、会合の模様を収録し、Ustreamを使って後日配信をしたいとのお申出がございましたので、研究計画・評価分科会の規則に基づき、会議の妨げにならないことを条件に固定カメラで録画を許可しております。なお、後日ホームページでの公開となるようでございますが、公開となりましたら皆様の方にもお知らせさせていただきたいと思います。

 以上でございます。

【田中主査】  はい、ありがとうございます。

 それでは、早速ですが本日の議題に入ります。事務局で資料を用意いただいておりますので、それぞれ説明いただいた後、質疑、議論を行わせていただきたいと思います。なお、議題ごとに質疑応答の時間を設けて進めたいと思います。

 初めに、前回の会議におきまして、福島原発事故後、大学等の試験研究炉の安全性の確認がどのように行われたのかという御質問を頂きましたので、事務局で資料を用意させていただきました。資料1について事務局から説明をお願いいたします。

【宮本保安管理企画官】  はい、私、試験研究用原子炉施設の規制を担当しております、原子力安全課の宮本と申します。よろしくお願いいたします。

 福島の事故後、研究用原子炉施設につきましても、確認を行ってございます。まず、原子力発電所と若干違うところだけお話しさせていただきますと、原子力発電所は、御存じのように原子炉で燃料から発生します熱を水、あるいは海水、これらを冷却系統施設でポンプで回しながら、最終的に海に放熱をしているというものでございます。福島の事故におきましては、電源あるいはポンプ、これらの機能が喪失したということで、燃料からの熱を最終的に放熱できなかったということで燃料の温度が上がって、最終的に燃料が溶融してしまったという事故でございました。

 これを踏まえまして、試験研究用原子炉施設につきましても、何らかの対策が講じられなかった場合に燃料の損傷ということに対して健全性はどうなのかということを評価して、確認をしたというものでございます。

 1枚おめくりいただきまして、電源喪失時におけます炉心等の健全性評価の結果と原子炉設置者における今後の対応方針についてというのが、その1とその2、その3というふうに、施設ごとに確認した内容がございます。試験研究用原子炉施設につきましては、原子力発電所より出力の規模が大幅に小さいということで、対策が講じられなかった場合どうなるかというのが大きく三つに分かれると。ものすごく出力の規模が小さいので、そもそも燃料の冷却自体が必要ないというもの、それから強制冷却が必要ないというもの、それから何らかの冷却措置を講じなければ、いずれ燃料の損傷という評価がされるというものの三つございます。

 この中で、この表の中の一番下の安全対策の概要というのが書いてある施設が三つございます。この三つの施設につきましては、冷却、何らかの措置が講じられなければ、いずれ燃料が損傷するというふうに評価されたものというふうになってございます。ただ、規模が小さいということもありまして、燃料が損傷するまでの評価時間として、約1か月以上は損傷せずに、そのままでも損傷しないということの評価結果になってございます。ですので、約1か月ということでございますので、当然その間に復旧ですとか、外部からの支援というものも期待できるということという評価結果になってございます。

 そうはいいましても、安全対策といたしまして、いずれも日本原子力研究開発機構の施設でございますけれども、消防車からの給水には、そのような操作を行うに当たってのマニュアルの整備、それから訓練を行うということが、5月の段階では表明されてございまして、これらがその後行われたということにつきまして、文部科学省といたしましても保安検査で確認をしたということでございます。

 直接福島の事故に関します試験研究炉の確認というのは以上なのですが、現在、東海大洗地区にございます原子炉施設、研究用原子炉施設、いずれも日本原子力研究開発機構の施設でございますけれども、これは現在動いているのが一つもないということでございますが、これは震災によりまして直接施設が被災をしたということでございます。ですので、現在設備点検と、あと解析によりまして、施設そのものの健全性なりがどうかということを、今その確認作業を進めているという状況でございます。

 私からの説明は以上でございます。

【田中主査】  はい、ありがとうございました。

 ただいまの説明に関しまして、御質問等あればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。伊藤委員。

【伊藤委員】  ありがとうございます。これ使用済み燃料に関して、例えば地震に対しての備えというのは大丈夫だと思うんですけれども、津波が来て、本当に施設自体が波に流されるような、そういう事態になるということも、一つ想定としては考えられると思うのですが、そういう点は大丈夫なのかという点と、それからこういう、安全性に関して、市民に対してはどういうコミュニケーションというか、そういうのがとられているのかということだけ、ちょっと教えていただきたいんですけれども。

【田中主査】  お願いします。

【宮本保安管理企画官】  まず津波、今お話しした中で、一つまた別の話としてございますのは、そもそもどのような地震なり、津波に施設が耐えなければいけないかということについて、これはいろいろ事故の原因究明なんかもございますけれども、原子力安全委員会の方でも指針の検討などがいろいろ行われてございます。それらの状況を踏まえて、確認をしていきたいというふうに考えてございます。ですので、今のところ直接施設そのものが流されるというところまでは、今考えていないということが現状でございます。

 それから、一般の方とのコミュニケーションということですけれども、特に私どもの方からは、こういうようなことを確認したら報道発表するでありますとか、あとお問合せがあればお答えするというようなことで対応しているというようなことでございます。

【伊藤委員】  ありがとうございました。

【田中主査】  あとよろしいでしょうか。はい、どうもありがとうございました。

 それでは、引き続きまして議題の2、先回の議論を踏まえまして、現状課題の整理について、事務局の方でまとめていただきましたので、まず事務局の方から御説明をお願いいたします。

【倉田原子力課長補佐】  はい。それでは、お手元の資料の2をご覧いただければと思います。こちらは、これまでにいただきました御意見・御指摘を踏まえまして、主なものをまとめた上で、基本的考え方、そして現状と課題という形で整理をさせていただいております。たたき台として、こちら御用意させていただいておりますので、本日これを踏まえまして、是非いろいろ御意見を頂ければと思っております。

 まず1番目といたしまして、基礎・基盤研究についてという項目でございます。これまで、前回を中心に原子力の基礎・基盤については、やはり放射線利用というような視点も含め、すそ野の広い分野としてとらえて検討すべき、またその安全を支えるというためにも、すそ野の広い研究開発とそれを支える基盤的な施設や人材の確保が必要といった御意見、あるいは福島の原発を踏まえまして、その廃止措置ですとか、あるいは事故を受けていろいろ重要性を増しています放射性廃棄物の処理・処分といった課題のためにも、やはりその基礎・基盤的な研究の強化や加速が必要ではないかといった御意見、あるいは今後の原子力で求められるような技術領域の展開、例えばということで、シビアアクシデントやレギュラトリーサイエンスといった、新しい研究領域の魅力というものを示していくことが、人材育成の観点からも重要ではないかといった御意見、また、大学等におけます試験研究炉につきましては、やはり今後廃止、あるいは次の炉をどうするのかといった現実的な課題に直面をしているということでございましたけれども、幅広い視点から今後の検討が必要ではないかといった御意見、あるいは試験研究炉の放射性廃棄物の処理処分についても、喫緊に判断をしていくことが必要ではないかと、このような観点からの御意見を多数頂いたところでございますが、それを踏まえまして、基本的な考え方といたしまして三つ書かせていただいております。

 まず1番目でございますが、原子力の基礎・基盤研究というものは発電に関する技術ではなく、医療や工業等、身近な分野で利用が進められている放射線利用技術なども支える、すそ野の広い知的基盤であるということ。そして原子力施設の安全を支えるというためにも、やはり基礎・基盤研究の強化とともに、それを支える施設設備の維持、あるいはその安全を担う人材の継続的な育成確保が必要という点、そして今回の事故によりまして新たに顕在化した様々な課題への対応、あるいは福島原発の廃止措置等へ向けた対応に必要な基礎・基盤研究の強化、加速が重要というような形でまとめさせていただいております。

 これらの基本的考え方に立った上での現状と課題ということでございますが、近年減少傾向にあります原子力の基礎・基盤に係る予算については、今後一定の規模を確保することが必要であるとさせていただいております。

 また、ページをおめくりいただきまして、日本原子力研究開発機構、あるいは大学等におけますいろいろな試験研究炉等の原子力施設につきましては、老朽化が進む中で継続的な維持管理、あるいはその新規設備が困難な状況にあり、そういったことを踏まえて戦略的、あるいは集約的な整備、あるいは供用の在り方について今後検討していくことも必要ではないかという課題、また、3点目といたしまして、各施設の設置機関におきましても、そういった検討を踏まえながら、今後の炉の在り方や使用済み燃料等、あるいは放射性廃棄物の処理・処分について、コストも含めての検討が必要となっていると。なお、国においても必要な支援を行っていくことが必要ではないかという課題を書かせていただいております。また4点目といたしまして、今回の福島原発の廃止措置に向けて、いろいろな研究開発の効率的・効果的な実施が求められておりますが、原子力機構のそういった専門的な知見や既存施設の有効活用を図っていくことが必要ではないかということ。また、最後に大学等におきましても、福島原発事故により様々に顕在化した新たな課題ですとか、安全性の向上に関する課題等にも、その分野、機関を越えて、連携を図りながら積極的に取り組むことが期待されるのではないかと。こういった形で、たたき台ということで5点ほど、課題の方を整理させていただいております。

 なお、1点目に書かせていただきました基礎・基盤に係る予算ということで、お手元の机上資料といたしまして、1枚グラフを配付させていただいております。こちらまだ少し、一部精査中でございますので机上配付資料とさせていただきましたが、前回、鈴木委員の方からも基礎・基盤研究というのはもう少し幅広くとらえるべきではないかという御指摘がございましたので、前回の資料では狭義な、本当に基礎的な研究のみを表示しておりましたが、ここの下の米印に書かせていただいておりますように、放射線利用、あるいはビーム利用ですとか、核融合研究開発、あるいは地層処分の研究開発など、幅広く原子力機構で行っておりますような研究開発も含めての基礎・基盤研究の予算を、原子力関係予算の中における基礎的な研究の予算ということで示させていただいております。なお、こちらの方は研究に係る、直接研究に係る予算のみで書かせていただいておりまして、人件費や管理費等は除かせていただいておりますが、そういった観点からも、今後精査が必要ではないかと我々思っておりますけれども、傾向といたしましては、やはり平成18年以降、ある一定の規模が推移してきておりまして、24年度が若干減になってきているというような傾向がございまして、こういったことからも、一定の規模を確保していくことが重要ではないかということでの問題提起をさせていただいたところでございます。

 それでは資料の2に戻りまして、2ぽつ目の原子力の人材育成についてでございます。これまで頂きました御意見といたしまして、やはり昨年の事故や、あるいは安全性の向上のためにも、人材の育成、確保というのが今まで以上に重要になってきているのではないかといった御意見、あるいは優秀な学生の確保というためにも、今後の技術領域の展開、あるいはキャリアパスを示していくことが必要ではないかという御意見、また人材育成のためには、競争的資金だけではなく、大学として本来やるべき基礎的な教育の充実も図っていく必要があるのではないかといった御意見、あるいは基礎・基盤分野の人材確保に関して、大学等におきますパーマネントのポストの確保が難しくなっているということも課題ではないかと。こういった御意見を頂いたところでございますが、これらを踏まえまして、基本的考え方として2点整理をさせていただきました。

 まず1点目といたしまして、原子力人材の育成というものは、原子力の安全を確保する上でも基盤となるものであり、優秀な人材というものを継続的に育成・確保していくことが重要であるという点、そして今回の福島事故への対応にも、必要な研究開発を支える人材の継続的な育成・確保が重要ではないかという点、この2点の基本的考え方に立った上での課題を整理させていただきました。

 まず1点目といたしましては、やはり安全の確保ですとか、福島原発への対応ということで、専門家の重要性が非常に増している中で、一方で、前回もデータをお示しさせていただきましたが、原子力を志望する学生、若手研究者が減少傾向にあると。その中で優秀な人材育成を確保していくためには、原子力分野が魅力ある分野として政策上位置付けることが重要、必要ではないかという課題。

 また、2点目といたしまして、原子力を志望する学生、若手研究者の方が今後のキャリアパスを描きながら、やりがいを持って取り組み、そしてそれらの方が国内外の様々な機関で活躍できるような、産学連携による人材育成の取組というものを強化していくことが必要ではないかという課題。

 3点目といたしましては、福島原発事故への対応に必要な人材育成に当たりまして、原子力機構のこれまでの経験や、あるいは既存施設の活用も含め、必要な育成プログラムを検討していくことも必要ではないかといった点。

 最後に、また大学等におきましても、原発事故により顕在化した、先ほどの1ぽつとも共通するものでございますが、いろいろな課題への対応に向けて必要な基礎教育、あるいは専門的な教育の在り方というものを検討し、その人材の育成を継続的に、そういった人材を輩出することが期待されるのではないかといった課題を挙げさせていただきました。

 ここで必要な教育や専門教育ということで、前回もレギュラトリーサイエンスですとか、シビアアクシデント研究、あるいは放射科学といった具体的な分野も挙げていただきましたが、さらに、また本日も、どういった分野が必要なのかといった点も含めていろいろ御意見を頂ければと思います。

 2ぽつ目は以上でございます。それでは、3ぽつ目からはそれぞれの担当から説明をさせていただきます。

【阿部量子研究推進室補佐】  それでは3ぽつの放射線利用について御説明させていただきます。放射線利用につきましては、1ぽつと2ぽつにもそれぞれ含まれるところはございますけれども、こちらでは放射線利用ということでまとめております。

 これまでの主な御指摘としましては、主にここに三つありますが、放射線利用はビーム利用だけでなく、幅広い学術分野もサポートしていること、またアイソトープが身近なものとなってきていることをもっと言っていくことが大切ではないか、またそれを支える教育をしっかりやっていくことが必要ではないかということ、そして医療用RIの国内供給についても、引き続き取組や推進を図ることが重要ではないかといったようなコメントを頂いておりました。

 基本的考え方としましては、三つにまとめております。

 放射線利用分野が様々な分野で重要な役割を果たしている、領域横断的な研究基盤である。また、技術革新及びその利用を推進してイノベーションの創出や社会的課題の克服など、広範囲に貢献していくことが必要ではないか。それから、アイソトープ(RI)や中性子をはじめ放射線利用技術を活用して、基礎研究から産業応用までの幅広い分野における研究を推進する、ということが基本的な考え方として記載させていただいております。

 前回の議論の中でも、課題等ということで資料を提出させていただいておりましたけれども、それらを踏まえまして、現状と課題ということで幾つか並べております。

 簡単に紹介させていただきますが、新たな光源や複数の施設等を統合的に利用した研究開発の推進、また利用者本位の仕組みづくり、分野融合や中間・境界領域の開拓、産業利用の促進、また国際頭脳循環の拠点形成や施設間の連携の強化、そういったことへの貢献等を進めていくことが必要ではないか。

 二つ目としましては、RIは医学や医療、農業をはじめとした様々な分野で広く利活用されているということで、研究開発を引き続き推進することが重要である。特に医療用RIの国産化につきましては、平成23年にアクションプランがまとめられていまして、それに基づいて引き続き推進することが重要ではないか。

 次のページに行きますけれども、重粒子線がん治療や分子イメージング診断の先進的・革新的な医学的利用などについて、研究開発を推進することが重要である。特に重粒子線がん治療については総合的な国際競争力の強化を図るために、次世代重粒子線治療システムなどの最先端技術開発と放射線がん治療等の専門人材の育成を充実させることが重要である。

また、J-PARCやJ-RR3などでの中性子実験につきましては、学術界・産業界の期待も大きいということで、安全で安定的な運転を確保しながら、研究拠点としてその機能や研究環境を強化することが重要である。

それから、研究基盤施設は、自治体や企業、大学等との連携・協力しまして、広域的な研究拠点として産業振興、またサイエンスの価値の創造、そういったものに貢献して発展していくことが重要ではないか。

 そして最後に、若手研究者等への利用機会の提供、施設等を支える人材の育成や確保、国際的な連携・協力、それからわかりやすい情報の発信や理解増進活動といったものを強化していくことが必要ではないかといったことで、まとめさせていただいております。

 3については以上です。

【坂本研究戦略官】  はい。4の核融合研究開発でございます。これまでの議論で御指摘いただきました中で主なところだけ3点挙げさせていただいておりますけれども、まずこれはもう大前提の問題でございますが、今後の核融合研究の在り方についてはエネルギー政策との整合性というのが非常に重要であると。エネルギー源としての役割というものをきちっと位置付けるということは必要でございます。

 それからあと、核融合研究については高校生の関心が高いので、そういったことを生かす。青少年の興味、関心というものを高めていくということの重要性を御指摘いただいております。

 更に長期にわたる、まだ基礎段階の技術でございますので、長期にわたる研究開発が必要であると。そのためには長期的に人材を育成して若い研究者を育てていくということ、そういった必要性についても御指摘を頂いたところでございます。

 どういった対応を今後進めていくかというところの基本的な考え方、三つポイントを書かせていただいておりますけれども、まず核融合エネルギーというのは資源面、あるいは環境との関係を含めまして、非常に有望なエネルギー源であると考えられておりまして、その実現は人類共通の課題であるという認識を書かせていただいております。

 さらに核融合科学につきましては、その学術的な研究、要はサイエンスの発展に加えて、様々な産業、材料分野を含めた産業でありますとか、あるいは医療、そういった分野への展開が可能な、基盤的な技術、成果を生み出すという側面もございます。現在核融合については、主要なプロジェクトとして国際約束に基づいて行われるITER(国際熱核融合実験炉)計画でありますとか、あるいはそれに付随する幅広いアプローチ活動、そういったものがあるわけですけれども、さらには国内の重点化計画として、トカマクに加えてヘリカル方式、あるいはレーザー方式についても着実に推進していくことが必要であると。こういったことが基本的な方針になるかと思います。

 そういった基本的な進め方の中で課題となることをちょっと五つほど挙げさせていただいておりますけれども、まず核融合科学研究ということにつきましては基礎段階にあることを踏まえて、財政的にも長期的展望を持った支援というものが必要であるということがございます。

 次でございますけれども、そのエネルギー源としての確立というものを目指して、原型炉に向けた研究開発を行うということ、そのためには安全性研究、あるいは安全基準の策定を含めた技術課題の解決が必要であるということ。こういった原型炉に向けた研究開発につきましても、一つ目のポイントにございます科学研究で培われた人材というものを幅広く糾合していくということも大事かというふうなことは考えております。さらに、この核融合研究の分野の研究成果というものを原型炉に向けた取組に集約していくとともに、産業利用できるものはどんどん活用していくと、そういった仕組みを構築することが必要。さらにはそれが、その次のポイントになりますけれども、この核融合研究によって育成されたすぐれた能力を持つ人材というものが様々な分野で、産業界を含めて活躍できると、そういったことにつながっていく、そういった博士号取得者の育成、教育カリキュラムというものも視野に入れていくべきではないかということを書かせていただいております。

 最後に、その人材の育成という意味で、今ITER計画、あるいはブローダーアプローチ計画、大型プロジェクトも進んでおりますけれども、実際に教育研究の場として動いているのは、大型のものとしては核融合研究所のLHDだけでございますので、大型プロジェクトが進む間、若手研究者はそういったものが完成していよいよ動き出すときには、もうフルに活用できるような若手を、例えば海外で武者修行していただいて準備をしていただくと。そういった国際共同研究というものも推進していくことが重要であろうと、そういったことを書かせていただいております。

 以上です。

【倉田原子力課長補佐】  そして最後に5ぽつといたしまして、前回のときにも御指摘を頂きました、今後の検討に当たってこういうことを留意すべきではないかといった御意見を2点ほどまとめさせていただいております。

 まず今回の事故等も踏まえまして、やはり基礎・基盤研究というものを今後どのようにとらえていくべきかと。例えば地層処分なんかの研究も含めて、幅広い視点から検討することが必要ではないかといった御意見、また、我が国の基礎・基盤研究や人材育成の在り方というものを検討する際には、やはり我が国のことだけではなく、米国やフランス、あるいは韓国、中国等の諸外国の状況も踏まえることが重要ではないかといった御意見を頂きましたので、ここに2点ほど挙げさせていただいております。

 以上でございます。

【田中主査】  はい、どうもありがとうございました。それでは、この議題の2につきまして、委員の方々から御質問とか御意見をお願いしたいと思います。時間は十分とってございますので、いろいろと御意見頂いて、これを更にいいものにしていくためによろしくお願いいたします。どなたからでも……。

 石田委員。

【石田委員】  どうもありがとうございます。全体、ここにお書きになっておることについては、この前の議論をまとめていただいたものとして、しかるべきペーパーになっているというふうに思います。

 ただ全体、今の原子力の状況を見ますと、もう本当にこれは残念ではありますけれども、原子力施設を運転する者、あるいはそれにかかわる者については、すっかり社会的信頼を失っておるということから出発せざるを得ないということを我々は十分認識すべきだと思うわけです。そういう意味では、この前も申し上げましたけれども、是非基本的に原子力の、基礎・基盤研究だけではなくて、原子力全体を進めるためには、信頼回復を第一義とするということを必ず我々は肝に銘じなくちゃいかんわけであって、それがなるべくこのペーパーといいますよりも、大綱での議論でよくそういう議論が行われるように努力していただきたいということかと思います。

 これまでの原子力の役割をしみじみ考えますと、昭和20年代の終わりから30年代にかけての原子力は何であったかということになりますと、これは単に原子力の分野だけではなくて、科学技術分野全体を牽引したということがあります。実際、ああいう高度成長期を前にして、かなり大きな予算が必要であったときに、確かに原子力予算がかなり集中して予算計上されたという面があったりして、原子力予算が非常に多く計上されたということがその後の原子力以外の分野、宇宙開発とか、それ以外の分野が比較的順調に形成されていくのに非常に大きな力があったということもありますし、原子力の政策決定機関として三条機関的八条機関である原子力委員会を作ったとか、それから従来研究の担い手というのは各大学と、それから行政に必要な研究を行う各省庁に属するミッションオリエンテッドな研究機関が、その二つであったと言い切ってもいいと思うのですが、それに加えて特殊法人という、特別な研究母体をつくり上げて、日本原子力研究所以下の、そういうものを作り上げたということ等々、原子力がこれまで果たしてきた役割というのはそれなりに、もちろん原子力、プロパーなこともありますけれども、ほかに及ぼした影響もあったと思います。

 それらの原子力のこれまで果たしてきた役割を、この際よく検討し直して、現実には世の中から信頼をしていただくということになりますと、本当に初心に帰るとか、初めに帰るとか、あるいは少なくともこの事故前までずっとやってきたことと、どこか違うところがある、事故までにやってきたことに対して、この部分は違っとるんだということをすっきり言えるような、そういうことではないと、とても多くの人は、いや、原子力は新しい状況で必要だとだれも認識してもらえないということがあろうかと思います。そういうことで是非、もちろんこれまでやってきたことはそれとして非常に大事なことだと思いますけれども、それではないところ、それを私は否定するという言葉をあまり使いたくはないのですが、それを乗り越える、あるいは従来と違ったところというのが非常に大事であって、それを是非大綱の御議論でもその辺を議論していただきたいということを、まず申し上げたいと思います。

 以上です。

【田中主査】  はい、ありがとうございました。伊藤委員、お願いします。

【伊藤委員】  まさに石田委員が今おっしゃったことなんですけれども、正直私もいろいろ、メディアの世界にいますと、やっぱり事故前と事故後で原子力に対する考え方というものは本当に変わってしまったと。やはり市民というか、国民の理解を得られなければ、次の原子力の技術への期待というのはなかなか難しい状況にあるのかなというのは、実感としてあるんですね。安全のことに関して、私がなぜ素人のような質問をしたかというと、やっぱり原子力イコール危険という、そういう認識が国民の中には根づいている。だから、研究開発をするにも、まず安全というものをしっかりと確保して我々はやっていくんだということを大前提として示さないと、これは理解してもらえないということを言いたかったんですね。

 それから、じゃあこれからどんな技術が、まず国民にとっては原子力技術の中で一番期待するものなのかというと、やっぱりこれからは放射性廃棄物の問題ではないかと思うんですね。やっぱり今、だんだん原子力発電所が止まっていって、これから再稼働するということに当たっても、トイレなきマンションじゃないかという議論というのは必ず今後出てきてしまう。だけれども、じゃあ国としては、やっぱり放射性廃棄物の処理について、あるいは地層処分について、これは全力を挙げてやっていくんだという姿勢を示すということが、まず第一段階として理解につながるということがあると思うんですね。やっぱり10万年という単位の時間というのは、なかなか想像できない部分でもあると思うんですね。ですから、その期間を短縮するという研究というのもなされているというようにお聞きしていますけれども、その部分も重点的にやっていくというようなことを前面に出していただければ、国民もそれならばそういう研究は大事だから応援したいというふうにも思うのではないかというふうに思うんですね。

 とにかく、何といってもやはり考え方を基本的に、本当に今石田先生がおっしゃったようにゼロに戻して、何が国民にとって理解をしてもらえるか。そこからじゃないと、次なる技術開発というのはないし、だけれども、世界の要請として、例えば放射性廃棄物の処分は、これ世界の共通の課題でもあるし、これから資源争奪戦も起こってくる中で、これはどうしても、人材も必ず確保しなくてはいけないんですね。そのことを考えたとして、やっぱりいかに理解してもらえる研究を、まず表に持ってくるかというような考え方というのが必要なのではないかというふうに私は思います。

【田中主査】  ありがとうございました。山名委員。

【山名委員】  まず基礎・基盤研究というテーマについて意見を申し上げたいのですが、まず原子力に係る基礎・基盤というのは何かという考え方が一番重要なんです。これについて二つの視点で申し上げますが、まず基礎というのは本当の基礎があるわけです。本当の基礎というのは、工学というよりも原子核現象をきちんとサイエンスとして扱うという真摯な研究取組というものが、広く我が国に存在しているということは、まさに我が国における原子力の安全の基盤のすそ野を広げる、例えば一つの例で見ても、今回福島の事故が起こっても、この事故に対して対応した人間が、決して原子力工学だけの人間ではないんです。例えば、RI利用で研究している人とか、原子力と直接関係ない人も、その環境汚染に対応したりしております。そういう意味で、本当の学問としての基礎部分が強化されねばならないというのが一つです。

 それからもう一つは、今回形成炉のシビアアクシデント事故に対して、その安全研究を担っていた人たちが一部引退していたとか、どこかに散逸していったというような、基礎工学のある種の空洞化のようなことも起こっていたということも言えます。そういう意味では、先ほど申しましたサイエンティフィックな基礎だけではなく、工学の基礎を押さえているところもやっぱり必要だろう。昔で言えば日本原子力研究所がそれを見ていたのではないかと思います。そういうところのたたき直しが必要であるというふうに思うわけです。そういう基礎・基盤がしっかりする、あるいはそのために必要な施設、研究の場が維持される、そのための予算が供給されるというようなことが、結局は日本の原子力のすそ野をしっかりさせるというふうに思うということが一つです。

 それからもう一つ、日本の原子力の基礎・基盤で弱くなっていた一つの原因が、やはり大きなプロジェクトが決まると、それに集中した技術だけが手当てされると。つまり、プロジェクタイルなものだけが重視されて、それから外れるものはほとんど研究として認められないというようなことがあったと思います。しかし、先ほど申しました基礎、あるいは基礎工学という観点で考えると、いろいろな原子力のオプションを幅広く研究しているというのは、ある意味では強さを持っているわけですね。つまり、対応の多様性を持っていますというか、あるいはサイエンティフィックな創造性の強さというようなものが維持できるわけです。ですから、あるプロジェクトに1本に傾注してしまうというのは逆に怖い話で、ある種の技術開発、研究開発の多様性というのを確保するということは、結局全ての足腰を強くするということになると思うんです。そうすると、本流以外は一切国として予算をつけないとか、そういうことではなくて、本流の方に予算をつけながら、ある一部の部分を技術開発研究の多様性にも向けていくというような、懐の強さのようなことが文部科学省の科学技術政策として求められるのではないかというふうに思います。

 先ほどお示しいただいた、この横長のグラフですが、ここに出ているものはどちらかというと、先ほど申しました基礎工学的なものですね。そういうものの予算が出ているんです。これを見ると、全体の中の2割ぐらいが基礎工学であると。ただし、例えば先ほど言ったような多様性開発とか、本当の基礎の部分はここにはほとんど出ていないと思いますから、その辺についても今後、ある種のてこ入れを文部科学省としてされていくのがいいのではないかというふうに思います。

 当然そういう姿勢に立ちますと、今度は原子力予算と違う部分の予算との絡みが出てくる。つまり文部科学省の中のほかの部局との連携とか、オーバーラップというような話も出てくる。特に大学のような教育機関になりますと、そういう話が出てきますので、何というか、連携の広さというようなことも求められるということになるのではないかというように思います。

 以上でございます。

【田中主査】  ありがとうございました。あと、是非いろいろと御意見頂きたいところですが。じゃあ山口先生。

【山口委員】  何点か。    一つは、特に最初の1ぽつ、あるいは2ぽつあたりで欠けているところとして、国際的な視点というのが幾つか意見が出たのですが、抜けているのかなと思います。それはどういうことかといいますと、例えば国際原子力機関などでは基本安全原則というものが多国間でいろいろ議論されて、それで安全に対する基本的な考え方というのも相当深いディスカッションが行われてきて、レポートも出ている。しかしながら、それに対して今回の事故の報告書でも、そういう議論に日本は乗りおくれていたというのが一つの反省点として挙げられていると思います。

 じゃあ、なぜ乗りおくれたのかという意味で言えば、恐らく、逆に日本は比較的基盤技術と言われているところがしっかりしていた分、国内で非常にクローズして何でも物事が決められて進んでいくと、そういう面もあったのかなと思います。それで、そういうことを踏まえて今の状況を考えますと、特にアジア地域ですね。そういう原子力の新興国では、日本で放射線のビーム利用とか、あるいは農業利用とか、そういうものを学んで母国に帰って、原子力のエネルギーの方に関与していくという人たちがたくさんいるわけです。日本はそういうのに協力をすると言っているのですが、やはりこれまでの考え方を踏まえると、特に安全とか、あるいはそういう原子力のリスクに対する考え方というのは、やはり一つの国で閉じることなく、そういう国際的な場に出ていって、いろいろな考え方を学んで共有できるような、そういう人たちが必要ですし、またそういうものをこれからアジア地域にも浸透させていく責任があるんだと思います。

 そういう意味で、1ぽつと2ぽつの中には、是非人材育成と基礎・基盤というのは、国際的な観点も含めてやると。そこで最後の留意事項に諸外国の状況を踏まえることというのが書いてあるんですけれども、やっぱりもうちょっときちんと、世界の中での日本の立ち位置、あるいは安全に対する貢献というのを出していくんだと思います。それが一つ目です。

 二つ目は、ちょうど今、山名先生がおっしゃっていたのですが、私も基礎・基盤というのはどういうのかなというのを考えるんですけれども、実際支えているのは機械、電気、土木、材料とか、そういういろいろな分野なのですが、それは国全体の産業として底上げしていくものなんですけれども、こと原子力の部分につきましては、やはりこの前レギャラトリーサイエンス云々という話言いましたが、多分少し表面的な部分ですね。そこに偏り過ぎていたのかなと。表面的な部分というのは、例えばここ数年リスクコミュニケーションなんていうのは随分力を入れてやってきたわけですね。それはその根っこの原子力の安全というところの外側の、表面の国民との接点のところでどういうふうにコミュニケーションしていくかというところを考えていたわけですけれども、やはりそのもうちょっと手前の、例えば分野でいえばトランサイエンスとか、要するに社会の意思決定と科学の問題との接点の話とか、それからあとはリスクリテラシーとか、レギュラトリーサイエンスとか、そういう部分が一つ核として必要なのかと思います。

 もう一つは、やはり大分原子力の技術が成熟してきたというふうに考えられる反面、少し希薄になってきたのが原子炉物理ですとか、放射線計測ですとか、放射線医学、放射科学という話もありましたけれども、そういう分野というのは、今は教科書もあまりなくて、やはりちょっと手薄だったのかなと。ですから、原子力政策としてやる部分としては、今のような原子炉物理、あるいは放射線計測、そういった部分、それからもう一つはもう少し社会科学的な観点のトランサイエンスとか、レギュラトリーサイエンスとか、そういうものなんだろうというふうに思います。

 以上2点です。

【田中主査】  はい、ありがとうございました。和気先生、お願いします。

【和気委員】  前回議論に参加せず、申し訳ございません。率直な意見を述べさせていただければ、既に石田先生はじめ他の委員の方々が言及なされているように、3・11を踏まえて、日本の原子力科学技術政策がどう変わろうとするのか、あるいは変わらないのかというところに関してでございます。そしてそれは多分にこのような国家予算の投資配分の議論の中に具現化されていくはずのものであると考えています。そこでまず社会におけるニーズ・オリエンテッドな科学技術政策というとらえ方をすれば、つまり国家予算などの資源を、何にどれだけ投資するのが好ましいかという政策課題からしますと、原発のシビアアクシデントを不幸にも経験してしまった今日、原子力科学技術がこれからの人々の暮らしや地域社会、様々な産業活動、あるいは自然環境を復元していけるかという復興課題に、いかに貢献できるかという、むしろ貢献しなければならないという使命のもとに、私達は徹底的かつ優先的に資源を投入していくことが求められていると思います。今の時点で原子力科学技術政策の柱は何かといえば、疑いなくそこにあらねばならないと私は思います。

 その中にあって安全研究が、というよりは原子力リスク評価及びリスク管理の分野といった方が良いと思いますが、どのように効果的かつ効率的に成果を上げていくためには、原子力専門分野だけではなく、当然周辺領域とのシナジー効果を期待した連携や統合的な研究が行われれば、限られた科学技術予算の中で実質的な貢献が期待できるのではないかと思います。その意味では、原子力分野のすそ野の広さというよりも、もっとすそ野を広く国家の知見を集めるような科学技術政策を中核的な政策指針として位置付けることが大事なことではないかと思います。

 次に、原子力のエネルギー利用という意味で、いわゆる原子力発電関連分野については、相当程度にぶれないエネルギー政策がある程度確定する段階までは、いまの状況下で国家予算の投資配分という具体的な議論は難しいのではないかと考えます。事故の収束がどのように進展するか、その中で冷静かつ客観的なエネルギー論議がどのこまで行われるかなど、流動的なこの事態のなかで、将来を見据えた科学技術政策の方向性を確定する論議を軽々に行うことはできないと思います。そこで、いま原子力科学技術政策の中核に据えてほしい分野は、具体的には放射線の研究領域です。放射線のリスクとベネフィットに関する研究開発に対しては、明らかに社会からの高いニーズがあると感じています。これまでの原子力科学技術政策における優先領域からすると、原子力エネルギー利用の後塵を排してきた印象が私にはありますが、放射線の人体・環境影響リスクの研究は言うまでもないですが、放射線利用のベネフィットを巡る科学技術の発展へのポテンシャルは相当程度に期待できると思っています。もちろんこの領域における国際競争力も期待できますし、結果として国際貢献も可能でしょう。

したがいまして、本日御提案された案に記載されている個々の御指摘内容に関して特に違和感があるということではありませんが、この案を国民の皆さんがパッと読んでいただいてどういうメッセージが伝わるのかという観点から評価しますと懸念が残ります。単に政策課題の一つとして、福島第一原発事故への対応が加わった、増えたといった印象を与えてしまうかもしれないということで、それは避けなければならないと強く思います。いま、我が国の原子力科学技術政策をゼロベースで、大げさかもしれませんが、まずは根底から見直すということ、その見直しを確実にスタートさせるということがとても重要なことだからです。この政策見直しによって、全て何か新しい原子力科学技術政策の方向性が決まるというわけではないけれども、原子力行政に対する信頼回復へ着実なプロセスを進めるという意味においても、この案の中に最大限の盛り込むべきメッセージを検討すべきではないかと思います。

【田中主査】  はい、ありがとうございます。山名先生。

【山名委員】  もう一度よろしいですか。和気先生の御意見に非常に共感するのですが、その意見を聞いていて一つ申し上げたいことがあります。

 先日別な会議でフランスの原子力開発の話を聞きました。フランスというのは、いろいろ話を聞いてみると、大学や国の原子力研究機関、あるいは産業界、原子力産業界の会社、かつて公社だったようなものが、一同に技術的な連携をものすごく高くやっているわけです。例えば研究資金的にも、産業界の資金をしっかりと基礎研究に流したり、研究所を共有したり、基礎から工学、産業技術までが非常に強い連携をして、まさに和気先生がおっしゃったように、国の技術のノウレッジがインテグレートされている体系をフランスというのはやっぱり作っている。非常に強いんですよ。

 ところが我が国の形を見ますと、例えば経済産業省と文部科学省が分かれている、それから矢内原原則というのがあって、矢内原原則というのは、実は非常に崇高な理念で、これはものすごい大切なことなのですが、大学界、教育界が原子力という産業技術にどう関与するかという定義が、今は非常にあいまいになってきている。あいまいといいますか、むしろ拡大解釈になっているんでしょうかね。そういうこともある。それから先ほど申しましたように、技術や研究のタイム性というのはものすごい大事なのに、予算が、いわゆる電源開発促進税の特会の予算が、ある非常に限定したところにしかいかざるを得ないという法制度になっているという問題があると。目的税というのはそういうものですから仕方がないんですけれども、逆にその特別会計を見直そうという動きがある中で、もう少し各研究開発に使う予算の融通性を広めれば、他の分野との連携や科学技術の広いすそ野を強化することになって、これは結局原子力の安全を強化し、電源開発を促進するという効果がきっとあるはずなんですね。そういう予算的な広い、予算的にも広くすると。それから技術的にも多様性を持たすという方向をいま一つ考え直す、一つのチャンスになるのではないかというふうに思います。

 そういう意味で、一つの施策として具体的に思いつくのは、文部科学省が公募研究制度を数年前からやってこられて、私これはすごい成功だったと思っているんです。それは、従来プロジェクトにかなり傾注して充てられていた予算が、もう少し広い分野に、あるいはほかの大学に流れる、あるいは彼らのプロポーザルオリエンティッドな研究に予算を充てることができるようになった。これは一つの壁を破ったことだと私は高く評価しておるんです。そういう意味で、特会予算なんかも使いながら、そういう、もう少し門戸を広くする、あるいは新しいアイデアとか着眼点をもう少しエンカレッジするような公募研究のようなものを強化していくということは、やはり原子力の基盤を固めていくような思いがあります。是非そういう具体的な施策のことも考えていただけないかなというふうに思う次第でございます。

 以上です。

【田中主査】  ありがとうございます。はい、小森委員。

【小森主査代理】  今も議論がまだ続いておりますけれども、このまとめは、今までの議論をよくまとめられていると思います。それから私の場合、どうしても核融合分野の方に目が行ってしまいますが、それについて少しコメントさせていただきます。山名先生の先ほどのお話に照らして考えますと、核融合の分野では核融研を中心とした大学の学術研究と、ITER、BA等の開発研究が、有機的にバランスよく進んでいると思っています。

 ということで、この基本的な考え方3ぽつ目にありますように、今進んでいるものを引き続き着実に推進していくことが必要と書いていただいたのは非常に適切と思います。また、基礎科学ということで、長期的な支援が必要としていただくなど、現状と課題についても大変よくまとめられていると思います。

 以上です。

【田中主査】  はい、ありがとうございます。いかがですか。では、お願いします。

【早野委員】  私は産業界の方からコメントをさせていただきたいと思います。前回欠席をいたしまして、皆さんのお話を今日聞かせていただき、また、前回の議事録も拝見いたしましたけれども、原子力をまずどう理解するかが重要と考えます。福島第一原子力発電所の事故、これを通してのみ、狭い範囲というか、偏った形で理解されたままでいいのかという心配があります。

 先ほど石田先生から、かつて原子力が産業界を強く牽引してきた、大きな力を発揮したという御発言ございましたけれども、それは今でも変わっていないと思います。原子力が現在持っている大きな力、それから持っている潜在力、あるいはいろいろな分野や技術に対する波及効果、産業界にいてもそれを明快にひしひしと感じます。

 偏った理解のままで将来にわたって原子力の力を失わせていいものかどうか、これを大変危惧いたします。福島第一の事故は、これは現実に起きたわけですから、しっかり受けとめて、徹底した安全確立に向けた基礎・基盤技術について、掘り下げられるだけ掘り下げていくべきであると思います。と同時に、もう一面では、逆に原子力の力で国民の安全を確保する、あるいは生活水準を上げていくという多面的な力もあります。是非、その潜在的な力とか、まだまだこれから発展する余地をこの段階で摘むことのないようにしていただきたいと考えます。いろいろなコメントをこの中に拝見しますけれども、決して「そういうことはない」というふうに書かれていると思いますが、福島の事故をほかの原子力の効用をもってキャンセルできるものではありません。したがって、まず徹底した安全へ向けての基礎・基盤技術の確立、これには最大の努力を傾注すべきと考えます。と同時に、原子力の持っている大きな力を是非今後も伸ばしていっていただきたいと思います。

 それから、先ほど石田先生から信頼が失われてしまっているという御発言がございましたけれども、私もこの点が心配です。どういう方がどういう形でどういう話をされれば国民の理解が得られるのかという点の掘り下げが必要と思います。まずそこが出発点になると思いますから、その議論は相当重ねていく必要があるのではないかなという気がいたします。

 それから、少し話題が飛びますが、若手人材の確保とか育成の面からすると、そもそも日本における原子力に関連する教育の指針というか、方針というか、どういうふうになされるべきかというものが、まだできていないのではないかなという気がいたします。これは大事なことだと思います。是非省を越えて、省の中の局を越えて、学生が大学に入ってからではなくできるだけ若い時期から早めに理工系を志望する、中でもこういった分野に夢を持っていけるよう、早期に横断的な取組の確立に着手していただきたいと思います。

 以上でございます。

【田中主査】  はい、ありがとうございます。

 あといかがでしょう。久米委員。

【久米委員】  原子力の信頼回復ということでいろいろ御指摘を頂いておりまして、私ども事業者としては、やはりこれに一番しっかり取り組んでいかなくてはいけないと心底思っているところでございます。

 そういう意味で、我々もそれぞれの安全対策を含めながら、国民の皆様に安全・安心を得ていただけるようなことをしっかりやっていきたいと思っています。我々自身も、事業者としての新たな団体企画といいますか、組織も作りまして、全事業者挙げてしっかり安全対策に取り組んでいくつもりでおりますので、是非またよろしく御指導のほどお願いしたいと思いますが、今回のこの基礎・基盤研究についてと、それから人材の育成のところでございますけれども、やはりしっかりまとめていただいているのではないかと思っております。むしろやはり、先ほどからも出ておりますように、非常に原子力の技術というのは、科学技術全体の中でも大きな影響力を持っておると思っておりますし、これから先を見ても、やはりこの部分についてはもっと強く打ち出していただいてもいいのではないかという感想を持っております。

 以上です。

【田中主査】  ありがとうございます。

 あといかがでしょうか。はい、服部委員。

【服部委員】  すみません、遅れて参りまして。もう既に出た議論かもわかりませんけれども、先ほどの和気先生のお話に若干触発されたといいますか、同じような思いを持っているところもありまして、ちょっと発言をさせていただきたいと思います。

 私は今回の福島事故の最大の、何といいますか、問題、我々が抱えた問題というのは、科学技術に対する信頼を損なってしまったということが一番大きなところだと思っておりまして、これは政府もそうですし、規制当局も、それから事業者、これは電力もメーカーもといってもいいと思いますが、さらには学界もという、アカデミアもですね。それで、誰を信用すれば、信頼すればいいのかということが、今わからない状態だというふうに思っています。この問題は、この今日のまとめていただいている資料の前段階として、そういうものに対してどういうふうに取り組んでいくのかというのがまずあってしかるべきといいますか、あるべきではないかというふうに思っているところでありまして、結局は科学技術と社会との関係といいますか、そこについてもう少し我々としての取組を深めるといいますか、議論をする必要があるんじゃないかなというふうに思っているところであります。

 具体的に何をという提案が今できないんですけれども、我々はよく原子力村と言われますが、そういう村の中での議論から、ここで一歩大きく変わる必要があると思っておりまして、そういう意味での取組をどうするのかというのは一つ、私はメッセージとして、社会に対するメッセージとしてあってもいいんじゃないかなというふうに思っているところであります。

 以上であります。

【田中主査】  はい、ありがとうございました。

 あと、これ気になっているのはあれですね。新大綱の会議のところで提案して意見を頂くんですね。あっちの方は5年程度を見据えた、今後の中期的な政策をどうすべきかというふうな感じの展開と。そうすると、和気先生や石田さん、服部さんがおっしゃったように、序文のところにそういうふうな信頼回復、あるいは社会との重要性とか書くことは大事だと思うんだけれども、中のいろいろな個別なやつが、あまり個別で近未来的過ぎると、やっぱり結局大きな問題点を解決できないままにいくんじゃないかなと思うんですね。あのときも鈴木委員がフランスの例なんかをとって、やっぱり基礎・基盤の考え方とか、かなり変えてもいいんじゃないだろうかとか、場合によったら国の、省庁の連携の話もあったんだけれども、こういうようなところに対しての国のお金をどういうふうに使っていけばいいのかとか、ちょっと中期的なことも提案していいのかなと思うのですが、そこずっと気になっていて、特に具体的にどうやればいいかというのは、まだ私の方からは案がないんですけれども、その辺についても御意見頂ければいいなと思っているのですが。

 はい、お願いします。

【山口委員】  今のお話と直接かかわるかどうかわからないんですけれども、今ここで基本的考え方と現状と課題という形で整理していただいているのですが、やはり少し弱いなという印象があって、それは、ものによっては基本的な考え方と現状と課題と似たような文章が入っていたりもするんですけれども、やはりそれぞれ、あるいはその基礎・基盤、人材育成、放射線利用、核融合を通じての原則とか、もう少し戦略的にこういう原則を持っていくんだという、そういうしっかりした文章があってしかるべきなのかなと思います。

 例えば、基礎・基盤研究ということでいえば、ここにいろいろ書いてあることを総括してみれば、福島事故を踏まえて基礎・基盤の重要性がますます認識された一方で、じゃあ基礎・基盤とは何か、どこが欠けていたのかというのを改めて、その核となるものを整理してこれからやるんだということが、やっぱりまず原則としてあるんだと思うんですね。その上で施設や設備の維持であり、それから個別の課題なり研究の加速でありという、そういうふうに展開していくと。ですから、基本的考え方というのがそれぞれ、例えば人材育成も、両方とも優秀な人材を継続的に育成、それから福島の事故への対応の人材を継続的な育成・確保とあるのですが、じゃあ、継続的な人材の育成・確保と言われても、一体どういう考え方で何をやるのか、そこを最初に書いた上で、その上で今の喫緊の課題としては、福島事故への対応のための人材がこれだけ要るんだと。それから新しい基盤研究の分野をしっかり人材をこれから輩出していくためにこういうプログラムが要るんだという展開をするという形で、頭書きのところにそういう国としての方針というもの、あるいは原則というものをしっかり書いて、そのあたりは先ほど山名先生おっしゃっていたフランスなんかは、私はお話を聞いていて、やはり最初に原則がしっかりしているからこそ、あれだけ一貫してできるんだろうなと思うんです。当然原則さえあれば、そのときそのときで多少の重点をほかのいろいろなところに配分していくというのはあり得るにしても、長い目で見れば正しい方向にきちんと向かうということが言えるんだと思います。それで、ちょっとなかなか、これ自体非常に整理されているのですが、もう一つこれをまとめたところのメッセージを入れていただきたいなと、そういうふうに感じます。

【田中主査】  ありがとうございます。

 原則と同時に、まあ原則の中に入るかわからないんだけれども、将来どういうふうにして原子力の研究をしていくのか、あるいは原子力エネルギーの将来とも関係してくるかわからないんだけれども、そこの中期的な日本の立ち位置、あるいは世界の中での立ち位置もそれこそ大事かと思うし、あのときは服部さんの方から韓国の例を説明されていたと思う。もうちょっと何か日本は今後どういうふうにというか、この報告書をどういうふうにしていけばより立派なものになるのかについて御提言いただけたらと思うのですが。

【服部委員】  まだよくまとまらないんですけれども、今の山口先生のお話を聞いておりますように、やはり日本としてこれからどういう方向を目指していくのかという国の一つのありようといいますか、それがまずあると思うんですね。それが恐らく、私は科学技術といいますか、そこで生きていくという大きな目標、これは皆で共有できると思うんですね。そのためにどういうふうな戦略といいますか、その大きな太い柱を書いて、それに基づいてその具体的な施策が、その中の原子力というふうになるので、そういう感じだと思うんですけどね。

 韓国という国があそこまで最近伸びてきたのは、やはり韓国としての難しい環境にありながら、あれだけの6,000万ぐらいの人口で、科学技術として国内の市場がそれほど大きく発展をしないということを、彼らとして十分そこを認識した上で、これはもう海外展開を積極的にやっていこうと。アメリカとの関係が強いですから、アメリカでトレーニングを受けた、いわゆるエリート集団が国のありようというのについてしっかりリードしていく、そういうふうな形ができているわけですね。ところが日本は残念ながらそういうところまで、もう80年代の後半に行き着いてしまって、ちょっと目標を失っているというのが現状だと思うんで、改めてここで、何といいますかね、それを立て直す、その一つのいいきっかけが福島事故であったというふうにとらえれば、何か私はそういうものができるんじゃないかなというふうに思って、それがないとまだまだ迷走するような時代が続いてしまうんじゃないかなと思っている次第であります。ちょっと答えになっておりませんが。

【田中主査】  ありがとうございました。

 よろしいです。石田さん、お願いします。

【石田委員】  今の山口さん、服部さんのおっしゃることは本当にそうだと思います。ここで確かに難しいのは、基本的に抜本的な考え方、もとになる考え方をきちんとしなきゃいけないわけでありますけれども、今この状況においてそれをきちんと書こうとすると、基本的に、もう少なくともエネルギー利用、電力利用としては原子力というのは、もう国民は相当驚いて、もういいと思っているんだというのもかなり一般的に認識されている、そういう状況なんですね。したがってなかなか、今原子力に関する抜本的な考え方というのを、今ここで一から議論して、それをきちんと書き得るかということになると相当、そう簡単なことじゃないんじゃないかというふうにも思われます。

 実際これまで、それこそ原子力委員会というレベルで見ますと、昭和32年、昭和36年からずっといろいろな長期計画、大綱、いろいろなものを作ってきたわけでありますけれども、今私、きちんと振り返っているわけではありませんが、そのとき書かれている文章を見ますと、必ずそのときのごく短期的、あるいはその近場での状況が、長期の見通し、あるいは計画を非常に大きく左右しているというのは私の印象なんですね。したがって、今ここで、確かに5年なら5年の期間というのは一体何かということになりますと、今、かなり我々全体が、まさにさっき早野さんおっしゃったような、ある程度偏った形で理解されざるを得ない状況にある、これは国全体がある中で長期的な見通しをきちんと書くというのは非常に難しいことであるわけでありますから、大事なことは、ここで我々が本当に失ってしまったら絶対取り返しのつかないようなことについては、これはそういう結論はしてはいけない。

 ただ、その中にあって、なかなかこんな状況において、消極的なことについてきちんとコミットするのは難しいわけですから、それこそ前回も出ました基礎・基盤、絶対どういう状況になっても必ずこれだけはやっておくべきことについては、世の中にきちんとアピールもし、なおかつ我々自身がそれに向かって努力していくと、そういう状況を作り上げていくことが非常に大事なのではあるまいかと。それがどうも今回の大綱に対する基本的なスタンスじゃなかろうかというふうに思えてならないのであります。

 以上です。

【田中主査】  はい、ありがとうございました。では、山名先生。

【山名委員】  皆様方の御意見を聞いていまして、やっぱり最も重視すべきは人材の育成だろうという思いをまた強くします。それで、いずれにせよ、今の我が国の人材育成体制というのは昔からの継続と、それの時代が進展したなれの果ての状態で今にあるわけですね。今はむしろ、もう原子力絡み、あるいはさっきから言っている基礎・基盤絡みの人材の育て方を何か抜本的に変えるぐらいの根性がないと、従来の延長だけのバンドエイドによる修復では、多分駄目だろうという思いを強くします。さりとて、カンフル剤として今まで人材育成イニシアチブのような制度で何とか頑張っているわけですが、もう少しこの原子力絡みの人材を本当に育てるという拠点を明確にしていかないと、結局弱いままで頑張っている状態が続いていくと思います。

 そうしますと、やはり人材育成の育て方の目標とか、何人かの方がキャリアパスが大事だとおっしゃっていましたよね。まさにこれが大事で、やっぱりこういうセンターオブエクセレンスというか、そういう人間を育てていくという拠点をもう少し明確に定義すべきだ。それは大学であり、そういう拠点的な施設であり、一部JAEAのものなのかもしれません。あるいは産業界が絡んでもいいと思うんですね。そういう拠点を作っていくというような、かなり大きな考え方を再構築するということが必要なんじゃないでしょうか。

 御承知のように服部さんの韓国の話あったかと思うのですが、韓国はKAISTという、KAIST、日本語で何というのか知らんけれども、科学技術先端大学とか何か、そんなようなものでしたか。KAISTというような大きな教育拠点を作るというような政策もとってきています。日本でこれから新たに原子力専門大学校を作るかというと、そんな甘いものでもないですね。やっぱり今まで大学に教育拠点があり、高専なんかでも頑張っている。それから独自の取組をしているところもあるというものを、力を合わせながら、何か拠点を明確に置いていって、予算をきちんと充てていくというような教育体制の見直しみたいなものも必要なんじゃないでしょうか。そのためには、そういう拠点施設に置いていくような施設や設備の維持というようなものが必要になると思いますし、そのあたりを少し産業界と政府が連携して人材育成拠点というのをもう少し作り直すということもあってもよろしいと思います。

 以上です。

【田中主査】  ありがとうございます。服部さん、ちょっとあれで、原産協会も一緒になって何か人材育成ネットワークとか……。

【服部委員】  はい。実は今、ちょっと遅れて参りましたのはそちらの会合がありまして、生川課長とも一緒だったんですけれども、今、紹介があったのは、今年の3月に韓国で既にスタートをしたのでちょっと紹介をしますと、KINGSという、これKEPCOだったと思いますが、KEPCOというのは韓国の原子力の全体を取り仕切っている国策の会社ですが、KEPCO International Nuclear Graduate Schoolといいまして、KINGSというんです。これは今年の3月、もう長い構想の上で立派な校舎も出来ということのようでありますが、毎年100人の、いわゆるGraduate Schoolということで大学院ですね。実務を中心に勉強するということで、国内から50人、海外から50人集めて、全部英語でやって、それでシンコリという、APR1400という韓国がUAEに売ったプラントの建設現場のすぐ隣で、座学だけじゃなくて実務をあわせてやるというような、それで海外の原子力界のシニアなメンバーをアドバイザリーコミュニティーに据えて、非常にインターナショナルな、そういう箱といいますか、枠組みをつくったんですね。そういうことで、まさに拠点をつくって、それで目標を立てて、それで今、進めつつあると。

 そういうところから見ると、日本は個別の教育のシステムというのはある程度あるんですけれども、全体としてのまとまりがあまりないということなので、一つ、今おっしゃったような拠点作りも含めて、これからの検討課題ということになっておるのですが、ようやく日本で、どこでどんな教育プログラムがあって、どこでどういうカリキュラムで、どんなテキストを使って、どんな施設を使って、それからどんな講師が教えているのかと。それから対象は誰かというような、そういう基本的なデータをようやく今、整理しつつあるという段階です。これを横に連携をしながらなのですが、先ほどちょっとお話が出ましたけれども、今、競争的な環境に大学がありまして、競争と協調の連携というところが必ずしもうまくいっていないようなところもあって、なかなか皆さんが情報を皆さんとシェアをするような環境にないのが若干残念なところでありますが、いずれにしましても、今やっていること全体を何か今、先ほど申し上げたような観点から整理をして、例えば施設なんかでも相当老朽化しているものについては、これをどうやって更新すればいいのか、あるいは皆さんで共用していくような仕組みを作ったらいいのかなどなど、課題はいっぱいありまして、ようやくそういう課題が整理されつつあるところが今年度の仕事であります。したがって、是非ともこれは国としての後押しといいますか、お願いをしたいということで、今この場でそういうお話が出たということは、大変私は心強く思っている次第であります。

 以上であります。

【田中主査】  よろしく、是非お願いします。

 私も大学の一員として、悪い意味での競争というのはあまりよくなくて、本当に何かしないといいものはできてこないと思いますので、是非よろしくお願いします。

 あといかがでしょうか。はい、どうぞ。山口先生。

【山口委員】  今までの一連の皆様の御意見とか伺っていて、やはり最初に方針を書くべきだというお話をしましたけれども、例えばこういうペーパーであれば、人材育成のところであればきちんと危機意識を書いて、事故の後の志望者、あるいは人材の継続的な供給が危機に瀕するしているんだということを書いて、その上で今の大学教育、あるいはこれまで人材育成のプログラムで大学が連携していったことが、必ずしも成功につながっていない面もあるという認識のもとに、戦略的に連携してやることをこれからの方針とするというような、そういう話をやはりきちんと書いていただくというのが大切だというふうに思います。

【田中主査】  はい、ありがとうございました。はい、どうぞ。お願いします。

【伊藤委員】  私も、今この時点で、日本が求められていることって一体何なのかということは、一つあると思うんですね。日本の方向性が決まっていないにしろ、やっぱり世界は原子力発電をやめると言っていないわけで、中国、インド、やっぱり安全な原子力発電所を造っていくためにはどうするかという課題がある中で、日本が福島の事故を経たということは、逆に言えば日本しか経験していないことなんです。だから、データももちろん日本がこれからとれるでしょうし、やっぱりそこにきちっとまず向き合っていくという、そこが日本にしかできないことであるし、世界もそこはすごく注目していると思うので、まずそこの部分というのを理念として書いてほしいなという部分ですね。

 それがまた安全な原子力発電所を世界に造っていくというための、世界への貢献になるんだと。そのためには、やっぱり基礎基盤というのをしっかりと作らなくてはいけないし、人材も今後も確保していかなくてはいけないという世界の、本当に要請ですね。その部分というのは今でも、国の方向性が決まらないとしても、これだけは言えるのではないかという気がしております。

【田中主査】  はい、ありがとうございました。

【石田委員】  よろしいですか。人材養成について一言申し上げさせていただきたいと思います。

 確かに人材養成拠点、極めて大事だと思いますので、それこそ原産協会、その他非常に御尽力いただいて、非常に大事だというふうに思っています。ポイントは、さっきから話に出ておりますように、養成とか育成というのは非常に大事なことであるんですけれども、本来人材を集めるということは何かというと、その分野が魅力的であって、そんな養成とかいうことの前に人材が蝟集してくる、集まってくるという、そういう状況を作らないと、とてもしっかりした人材というもの、確保という言葉もやや他律的な言葉であって、本来人材が集まってくる、そういう状況をつくり上げることが非常に大事なのではあるまいかと思います。

 そのためには本来、何遍か出ていますように、キャリアパスという議論も当然あるわけでありますけれども、実際はそういう人材を受け入れる組織が、何かすぐ名前が変わるとか、所属省庁が変わるとか、それから規制だってあっちに持っていったり、こっちに持っていったりすると。そういうことが本当にいいかどうかということになりますと、これらは決して将来、自分の一生をその組織に預けようと思っている人、それはいるかどうかわかりません。なるべくそれはどんどん、所属組織がどんどん変わっていく流動性の高い社会というのも、確かに指向されるべき社会かもしれませんけれども、今の日本の実態からいって、かなり変わった感じの組織運用をする組織が、本当に多くの人が信頼するか。特に、かつて東大の原子力工学科という名前をやめましたとき、いろいろな議論を先生らにさせていただいたときに、やはり自分だけじゃなくて、お母さんだってなかなかサポートしてくれないというような議論も随分当時あったわけでありますけれども、家族の方みんな含めて、それほどはっきりしていない組織、名前が変わるかもしれない組織、そんな組織に自分の息子をやるか。そんな中ではそうはいかないというのが普通だと思うのです。その意味ではなるべく、本当は組織の安定度が極めて大事なのであって、特に大学とか、あるいは研究機関は、組織は安定していながらも、そこでやることは極めて斬新で、なおかつ革新的なことをおやりになっていただくと非常にいいと思いますけれども、組織自身の安定というのは非常に大事だと思うんです。

 何やかやいいながら、日本でやっぱり大学というのは、それは国立大学法人になったかもしれないけれども、名前的には極めて安定しておって、だからこそ大学は優秀な研究者をどんどん、当然卒業生から供給されるという面があると思いますけれども、それ以外の組織は非常に難しい。そういう意味で、やっぱり全体、本当は私は何を言いたいかというと、やはり本当はまず隗より始めよというのがあって、今はそういう、隗って私は含まれませんよ。含まれないけれども、今一生懸命研究をやっておられる方々、それなりに、ああいうトラブルは起こったかもしれないけれども、それはそれなりによくやっている。さらにそれを世間的にもよくやっているという、そういう認識がないと、どうしてこの分野に多くの若い人が蝟集するようになるかというふうに思います。そういう意味では、なかなか本当は難しいんですけれども、全体、なるべく短期的な状況にあまり左右されずに、長い目で見た対応というのが大事なのではあるまいかというふうに愚考します。

 以上です。

【田中主査】  はい、ありがとうございました。大体意見も聞いたかと思います。特に言い残したことございませんでしょうか。では、本日頂きました本当に貴重な御意見を踏まえて、事務局にて更に整理し直して、かなりのところ変えないといけないかと思いますけれども、したいと思います。必要に応じてEメール等でのやりとりを行わせていただきたいと思いまして、それを踏まえて新政策大綱策定の議論に間に合うように完成させるということにしたいと思います。その辺のところ、最終的には当方にて決めさせていただくということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【田中主査】  どうもありがとうございました。また実際に新政策大綱策定の会議に、この中にもメンバーの方何人かいらっしゃいますので、是非そのときの場においても積極的な御意見といいますか、お願いしたいかと思います。

 それでは以上をもちまして本日の議題終了でございますが、今のことも踏まえて、事務局の方で何かございましたらお願いいたします。

【生川原子力課長】  はい、ありがとうございます。私の方から一言申し上げたいと思います。

 先週、今週と2回にわたって、大変活発かつ貴重な御意見を頂いたと思っております。大変感謝をいたしております。特に今日いろいろと御議論いただきました、全体を通じての基本的な理念とか、危機感、問題意識、あるいは骨太の考え方みたいなものをきちっと書くべきである、あるいは福島の事故を踏まえて、基礎・基盤も含めて原子力に係るところの研究開発というのは、やっぱり大きく変わっていくんだというような考え方を示していく必要があるんじゃないか。そういう観点、確かに抜けていたなというふうに考えておりますが、反省をしているところでございます。

 本日の会合、それから前回の会合でいただいた御議論を踏まえて、今座長の方からもおっしゃっていただきましたけれども、このペーパーも改定をさせていただいて、取りまとめをさせていただきたいと思っておりますし、その上で前回も申し上げましたけれども、5月の下旬ぐらいになるかと思うのですが、原子力政策大綱の改定会議において、この基礎・基盤、人材育成等々についての私どもの考え方を、この資料をそのまま出すということではなくて、ここで取りまとめをさせていただいたエッセンスを踏まえて、私どもの方から特に課題とか、そういった点を中心にということになろうかと思うのですが、問題提起をさせていただきたいというふうに考えております。そういう問題提起をしていくに当たって、また個別に先生方に御相談をさせていただくこともあろうかと思いますが、引き続き御指導を是非いただきたいというふうに思っております。本当にどうもありがとうございました。

【田中主査】  どうもありがとうございました。事務局から何か連絡事項等ありましたらお願いします。

【倉田原子力課長補佐】  はい。本日頂きました御意見を踏まえまして、資料の修正等を含め、またこちらから御連絡させていただきたいと思いますので、その際は何とぞよろしくお願いいたします。

 また今回の会議の議事録の案につきましても、出来次第メールにて御相談させていただきますので、こちらの方もよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

【田中主査】  はい、ありがとうございました。

 それでは、皆さんにおかれましては引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 これをもちまして第6回の原子力科学技術委員会を終了いたします。どうもありがとうございました。

 

―― 了 ――

 

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-- 登録:平成24年10月 --